第1回社会福祉法人会計基準検討会 議事録

日時

令和元年6月10日(月) 10:00~12:00

場所

TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター ホール2A(2階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

 ・秋山(あきやま) (しゅう)一郎(いちろう)  日本公認会計士協会常務理事
 ・亀岡かめおか) 保夫(やすお)    大光監査法人理事長
 ・(しば)  (たけし)    日本公認会計士協会常務理事
 ・中村(なかむら) (あつし)     日本公認会計士協会福祉専門委員会委員
 ・馬場(ばば) (みつる)    日本公認会計士協会福祉専門委員会委員長
 ・松前(まつまえ) ()里子(りこ)   日本公認会計士協会研究員
 ・宮内(みやうち) (しのぶ)    宮内公認会計士事務所
 

議題

(1)社会福祉法人における合併、事業譲渡の会計処理について
(2)その他

議事


○高坂福祉基盤課長補佐 皆様、おはようございます。定刻前でございますけれども、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより第1回「社会福祉法人会計基準検討会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、大変お忙しい中、また本日は大変お足元の悪い中、お集まりいただきありがとうございます。
 初めに、構成員の皆様の御紹介に入らせていただきます。
 まず、本日出席の構成員を五十音順で御紹介させていただきます。
 秋山修一郎構成員でございます。
○秋山構成員 秋山です。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 亀岡保夫構成員でございます。
○亀岡構成員 亀岡でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 柴毅構成員でございます。
○柴構成員 柴でございます。よろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 中村厚構成員でございます。
○中村構成員 中村です。よろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 馬場充構成員でございます。
○馬場構成員 馬場です。よろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 松前江里子構成員でございます。
○松前構成員 松前でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 宮内忍構成員でございます。
○宮内構成員 宮内でございます。どうぞよろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 また、本日は林光行構成員から御欠席の連絡をいただいております。
 事務局からの出席者につきましては、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、紹介にかえさせていただきます。
 それでは、本検討会の開催に当たりまして、谷内社会・援護局長より御挨拶を申し上げます。
○谷内社会・援護局長 皆さん、おはようございます。社会福祉法人会計基準検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 出席者の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず、また、本日は雨の中、お足元が悪いにもかかわらずお集まりいただき、心から御礼申し上げます。
 社会福祉法人につきましては、平成28年の社会福祉法人制度改革によりまして、経営組織のガバナンス強化、事業運営の透明性向上、財務規律の強化などの改革を行いました。こうした改革を実効性のあるものとするためには、会計処理のルールを全ての社会福祉法人が遵守し、当該ルールに基づきまして適切に財務諸表が作成され、国民に正確な情報として公表されることが欠かせません。
 このため、28年の改革におきまして、社会福祉法人会計基準についても通知から法律に根拠のある省令に格上げして基準の位置づけを強化したところでございます。
 一方、人口減少や急速な高齢化、地域社会の脆弱化など、社会構造の変化、国民の抱える福祉ニーズへの多様化、複雑化は社会福祉法人に既存の社会福祉事業に加えまして包括的で切れ目のない支援など、新たな取り組みを要請しております。
 こうした変化に対しまして、会計処理においても新たなルールの構築など、所要の対応を講じていく必要があると考えております。
 平成23年に併存しておりましたさまざまな会計基準が一本化されて以来、会計処理に関する課題が幾つか出てきております。本検討会では、未来投資会議で挙げられた論点なども踏まえまして、まずは社会福祉法人の組織再編時の会計処理に関する課題につきまして御検討いただきたいと考えております。
 皆様におかれましては、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
○高坂福祉基盤課長補佐 続きまして、資料の確認でございます。
 厚生労働省では、審議会、検討会、各種会議等におけるペーパーレス化の取り組みを推進しております。本検討会につきましても、原則としてペーパーレスで実施することとしており、お手元のタブレットにて資料の御説明をさせていただきます。
 先ほど開始前に事務局からタブレットの取り扱い方法を御説明させていただきましたが、会議中、操作方法等に御不明点等がございましたら、挙手にて事務局職員をお呼びいただければと存じます。
 次に、本検討会の座長の選出について御説明いたします。資料1の「3.構成員等」の(2)をごらんください。資料1の開催要綱をお開きください。
 「3.構成員等」の(2)におきまして、「構成員のうち1名を座長として厚生労働省社会・援護局長が指名する。」との規定を踏まえ、日本公認会計士協会の柴毅常務理事に座長をお願いできればと存じます。
 早速ではありますが、柴座長から一言、御挨拶をお願い申し上げます。
○柴座長 座長に御指名いただきました柴でございます。
 不慣れではございますが、円滑な議事進行に努めたいと思いますので、御協力のほどをよろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、ここからの議事運営について柴座長にお願いしたいと存じます。
 カメラの方々は、これで御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○柴座長 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 初めに、資料3-1「社会福祉法人会計基準の現状について」から、資料3-4「社会福祉法人における合併、事業譲渡の会計処理について」の4点について、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○長谷川福祉基盤課長補佐 福祉基盤課の長谷川と申します。私から、資料3-1~資料3-3まで説明をさせていただきます。
 資料3-1でございますが、まず3ページですけれども、「社会福祉法人制度の概要」は改めて申し上げるまでもございませんが、社会福祉法人は社会福祉法の規定に基づいて所轄庁の認可を受けて設立される法人となっております。
 こちらの3の「運営」にございますように、「社会福祉法人はその非営利性・公益性に鑑みて、運営にあたって強い公的規制を受ける一方で、税制優遇や補助金の交付を受けている」法人となっております。
 公的規制といたしましては、原則不動産の自己所有ですとか、解散時の残余財産の帰属先の制限などがございます。
 また、支援措置としては法人税の非課税ですとか施設整備費の補助といったものがございます。
 次に、4ページ目は「社会福祉法人数の推移」のグラフですけれども、近年は微増傾向にございまして、現在は2万838法人ということで、2万法人を少し超えている状況となっております。
 5ページ目、6ページ目は法人の所在地別の状況をお示ししているものです。
 次に、7ページ目の下の1-4「設立認可からの経過期間別法人数」を見ていただきますと山が2つございまして、30年~50年くらいのところに大きい山がございますのと、あとは10年~20年くらいのところにも大きな山が1つあるという状況です。
 次に8ページ目ですけれども、サービス活動の収益の規模別の法人の割合です。最も法人の数が多いのは、収益1億円~2億円未満のところが約4分の1でして26.5%を占めてございます。また、真ん中のほうに四角で囲ってございますけれども、平均は約5億円という状況です。
 9ページ目は、現況報告書の集約結果に基づきましてサービス活動増減差額率の分布をグラフにお示ししているものです。全国平均ですと2.67%で、中央値は2.39%、分布は図のようになってございます。
 次に10ページ目ですが、分野別の社会福祉法人の状況を参考に挙げたものです。少し傾向がございますが、保育所等のところは公立の保育所が結構ございますので行政が3割くらい、社会福祉法人が半分くらいを占めております。障害と介護の分野は、社会福祉法人がそれぞれ29.3%と、それから26%でございます。
 以上、社会福祉法人に関する基本的なデータをごらんいただきました。
 11ページ目と12ページ目は、参考に挙げているものです。
 まず11ページ目が「2025年までの社会の変化と2025年以降の社会の変化」ということを挙げております。
 左下の棒グラフのところをごらんいただくと、2015年が実績値で、右側の2025年と2040年の2つが推計値となっております。下から2つ目の緑色の生産年齢人口について、2025年以降のところでかなり急激に減少していくということが見込まれていることがわかるかと思います。
 12ページ目が、地域別の少子高齢化の状況を図で見たものでございます。15歳未満人口を見ますと、かなりのところがブルーになっておりますので、今後全国的に子供が減っていくことが見てとれます。
 一方、右側の75歳以上につきましては、まだ都市部はこれから増加していきますが、地方においては既に減少が始まっている地域も結構あることが見てとれるかと思っております。
 次に、13ページ目からは平成28年、前回行いました社会福祉法人制度改革の実施状況について資料をおつけしております。
 14ページ目が前回の改革の内容でございまして、御承知のように柱は5つございます。
 1つ目は「経営組織のガバナンスの強化」、2つ目が「事業運営の透明性の向上」、3つ目が「財務規律の強化」、4つ目が「地域における公益的な取組を実施する責務」、5つ目が「行政の関与の在り方」ということで、比較的大きな制度改正が平成28年の法改正で行われているということでございます。
 その一部の実施状況について、資料をその次のページからつけております。
 まず15ページ目ですが、こちらは社会福祉充実財産を有効活用するということで、図の左にある【活用可能な財産】から【事業用不動産等】や【将来の建替費用等】などを控除した後に出てきた残額、これについては一番下にございますように第1順位から第3順位の社会福祉事業、地域公益事業、公益事業という順番で計画的に充てていっていただく枠組みとなっております。
 次が16ページ目ですけれども、その実績値を挙げたものですが、左下に全国の社会福祉法人の社会福祉充実財産を足し上げたものが4,939億円という状況になっております。また、右側に4番ということで「社会福祉充実財産が生じた法人の社会福祉充実計画の内容」を掲げてありますけれども、充実財産が生じた法人についての計画の内容がどういったものになっているかを示しております。
 また、17ページ目ですが、これは全ての社会福祉法人にかかるものですけれども、「地域における公益的な取組」につきまして責務規定が創設されております。地域における福祉サービスを、社会福祉法人の責務としてしっかり取り組んでいくということとなっているものです。
 18ページ目が、実際どういったことに取り組まれているかということを例示でお示ししているものです。
 19ページ目は、先ほどまで御説明いたしたように、人口減少ですとか、急速な高齢化などが進む中で、複数法人による協働化ですとか、社会福祉法人の事業の効率化やサービスの質の向上に向けた連携方策や、「地域における公益的な取組」の促進方策などを検討するために、本年4月から有識者による検討会を実施しているものです。柴座長も、構成員として参画いただいております。
 20ページ目が今、御紹介した検討会において協働化、大規模化を議論する中の課題といたしまして、合併等に当たっての会計処理に不明点があるということで、会計専門家による検討会で整理とされてございます。赤字のところでございます。
 続いて、21ページ目からが会計基準の現状についての御説明でございます。
 22ページ目ですが、社会福祉法人は「社会福祉法人会計基準」という省令と関係通知に基づいて会計処理を行い、計算書類及びその附属明細書並びに財産目録を作成しなければならないとされております。
 23ページ目は、会計基準の改正の経緯を整理したものとなっております。御承知のように、平成12年にもともと会計単位が施設単位だったものを法人単位に一本化いたしまして、社会福祉法人制度共通の会計制度として基準を定めました。その後、各種別の関係者の御参加をいただきまして、旧社会福祉法人会計基準検討委員会を開催いたしまして、平成23年に施設種別ごとに併存していたさまざまな会計ルールを統一いたしました。
 さらに24ページにございますように、平成28年に局長通知と課長通知で作成されていた社会福祉法人会計基準を省令に格上げして、運用上の取り扱いと留意事項を局長通知と課長通知に再編する改正を行っております。
 25ページ目と26ページ目は、最近の改正内容を御紹介しているものです。平成30年3月は、社会福祉協議会が実施する退職共済事業に関する会計処理について、それから平成31年3月には企業会計における税効果会計の取り組みなどの改正を行っております。
 ここまでが3-1の御説明で、続いて3-2の説明に移りたいと思います。
 本検討会における検討課題ですが、1としまして事業展開検討会の中で出てきた課題として、組織再編に関する会計処理がございますほか、2として例えば企業会計で適用されている会計上の変更ですとか、誤謬の訂正に関する会計基準の適用などが問題となると考えております。
 3につきましては、平成23年の継続的検討課題といたしまして、生活福祉資金の取り扱いですとか、社協版モデル経理規程の取り扱いといった課題がございます。
 これらの検討の優先順位についてですけれども、矢印の下にございますように、直近の課題としては「未来投資会議」での指摘を受けているという事情もございますので、当面はこの1の組織再編に関する会計処理を中心に検討して、年内を目途に議論をまとめていきたいと考えております。また、来年度のことになるかとは思いますが、2と3の課題についてはその取りまとめ後に順次検討していきたいと考えております。
 続いて、駆け足で恐縮ですけれども、資料3-3でございます。資料3-3は、検討会の当面の議論の進め方を整理したものとなっております。先ほども申し上げた組織再編に関する会計処理について、参考資料4につけている「企業結合に関する会計基準」を参考に論点を抽出いたしまして、社会福祉法人の統合に関する会計処理を議論していく形としたいと考えております。
 その流れですけれども、第1回目は本日のことですが、基本的に自由討議、第2回は次回、合併や事業譲渡の事例のヒアリングを実施したいと考えております。
 なお、表の中には少し書いているのですけれども、ヒアリングは当事者から事例の概要ですとか会計処理の実情をお話しいただくことになりますので、公開することで特定の者に不当な不利益を及ぼすおそれなどがあるということで非公開といたしまして、基本的に議事要旨のみを公開することとしたいと考えております。
 第3回以降は、論点に関する議論ということで、企業結合の基準から抽出した論点を踏まえまして、論点を1~5まで立てております。論点1が用語の定義の関係、論点2が取得法人の判定基準、論点3と4が統合時と取得時の論点の関係、それから論点5が計算書類上の表示方法の関係でございます。
 議論が順調に進みましたら、5回程度で年内を目途に議論を取りまとめまして、議論の結果はその後、会計基準省令ですとか関係通知に反映するべく、事務的な手続を進めていくこととしたいと考えております。
 ここまでが、資料3-3の説明です。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 福祉基盤課で専門官をしております横溝と申します。資料3-4の説明に入らせていただきます。
 「社会福祉法人における組織再編の規定と会計処理について」という資料でございますけれども、こちらは考えられる組織再編の種類を一覧にまとめたものでございます。
 一番左の列、合併、事業譲渡、分割、子法人の保有と4種類挙げさせていただいておりますけれども、そのうちのまず下2つ、分割と子法人の保有ということで、分割については法に手続がないので組織法上の行為としては実施不可能、子法人の保有についても制度上、子法人の保有を認めていないため実施不可。この2つについてはそもそも実施されることはないだろうということで、会計処理の検討は不要なのかなと考えております。
 上の2つ、議論の中心になっていくと思いますけれども、合併、新設と吸収が認められていまして、法に手続の規定があります。
 それから、事業譲渡については法に手続の規定はないんですけれども、他の例えば会社法とかを見ますと、承認の規定ではあるのですが、基本的に行為自体が法人間の合意・契約により実施可能という組織法上の行為という形ではございませんので、実施することはできるのかなと考えております。
 こちらにつきまして、それぞれ会計処理は具体的な規定がございませんので検討していただきたいと考えております。
 次の2ページ目に移らせていただきます。こちらは「非営利組織の合併に関する規定について」ということで、一覧表にまとめております比較表になっております。一番左に社会福祉法人の欄がありまして、承認規定のところ、「社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することができる。合併は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない」、社会福祉法48条~50条まで承認の規定がありまして、その右側、一般法人から一番右側のNPO法人まで、ほぼ同様に合併することができるという規定が設けられております。
 下の段に移っていただきまして、社会福祉法人の会計処理のところですね。こちらは、規定がありません。他の法人の状況を見てみますと、規定があるところ、ないところとありますけれども、規定が用意されているところもいわゆるパーチェス法と持分プーリング法という2つの方法がとり得るのではないかという傾向になっているように感じます。
 続きまして3ページ目、「非営利組織の事業譲渡に関する規定について」ということでございますが、こちらは承認規定のほうもまちまちで、規定がある法人種とない法人種があります。社会福祉法人のところをごらんください。「規定なし」の下に括弧書きがありまして、取引法上の行為であり、一般的には次の手続きを経ていると推測される」理事会で決議が必要な重要な財産の処分及び譲り受けと、こちらは理事会の決議事項となっておりますので、事業譲渡という重要な行為ですので、基本的にはこの理事会決議を受けているものと考えられます。
 その下、会計処理については規定がありません。他の法人種を見ていただくと、学校法人のところが学校法人委員会研究報告という研究報告の文書でちょっと出てくるくらいで、ほかのところには全く規定がないという状況になっております。
 資料の説明は、以上です。
○柴座長 ありがとうございました。
 それでは、本日第1回目ということで、皆様方に御意見をいただきたいと思っております。お一人様5分程度で、今の事務局の説明内容、今後の進め方、あるいは日ごろの社会福祉法人とのおつき合いの中で、会計基準で比較的早目に解決すべきものがあるんじゃないかというような御意見があれば、そちらのほうを5分程度でお願いしたいと思います。
 あいうえお順で申しわけないんですけれども、まず秋山構成員からよろしくお願いします。
○秋山構成員 秋山でございます。5分程度ということですが、そんなにかからないかもしれません。
 今般の会計基準の見直しということで、非常に期待しているのは、まさに早急にやらなければいけないと考えられている組織の再編について、これはまさに私も現場でひしひしと感じているとおりでございます。私が担当している社会福祉法人さんにおいても、数年前からこういった話はちらほら出てきていて、相手が国の施設であったり、公的な施設であれば行政の認可を得て事業譲渡なりができていたところではあるのですが、民間同士の場合の処理はこれでいいのかというのが判別しづらい。所轄庁においてもその判断がなかなかつかない部分があるというところで、現場でかなり困っていた部分がありましたので、制度の見直しとそれに附随する会計処理の見直しが今回検討されるということで、非常に期待しているところでございます。
 それで、一義的にはその組織再編の会計基準の検討ということでございますが、平成23年に改正されたいわゆる新基準ですね。今、省令化されている基準においても、やはり10年近くたっておりますので、かなり見直しをしなければいけない部分があるというのは現場なりで見ていると感じているところでございます。
 具体的に申し上げますと、ちょっと細かい話にはなるのでございますが、まずこの資料にも記載がございましたが、社協の会計処理がなかなか会計基準から読みとれないといいますか、規定されていないと言ったほうが早いのかもしれません。例えば貸し付け関係の処理ですね。資格取得等の貸し付けに係る、国とか地公体から補助金をもらった場合の処理、一旦収益で受けて国庫補助金等特別積立金に積み立てるといったような処理については、全社協さんが出されている考え方の整理に厚労省さんがオーソライズしているという形になっており、これは決して基準と言えるものではないと認識しているところでございます。
 あとは、実務上認められているのだとは思いますが、基金という勘定科目の整理ですね。こちらも、しっかり基準上で明記していったほうがいいのかなと個人的に考えている部分でございます。
 あとは、民間社会福祉法人においては、関連当事者の範囲の規定がございます。有給常勤役員とか、そういった規定があって、それに該当する場合は関連当事者で、関連当事者との取引が一定以上の場合は注記するという規定がございますが、この関連当事者にほとんどの社会福祉法人は該当者がいないという状況になっております。
 そういうことで、言い方は悪いですけれども、ちょっと骨抜きになっているのかなという部分もありますので、せっかくこの規定がある以上は、有効に効果を発揮できるような規定に見直すべきではないかと思っているところであります。
 私が全部しゃべると、後の人がしゃべりづらいかもしれませんけれども、もう一つ言わせていただきますと、私はこの業界に長く携わっておりますので、資金収支計算書というものに余り違和感がないのですが、かかわり始めた当初はかなり違和感を覚えていたところです。最近は私も資金収支計算書が普通に語れるようになっているのですが、まだやはり一般的にはなかなか理解しづらい計算書の一つだというふうに認識しております。
 そもそも支払資金の範囲、それがイコールキャッシュを指していないという部分になかなかわかりづらい部分があるということで、今後は公益法人もそのようになってきている部分がありますので、例えばキャッシュフロー計算書のようなものを検討してはいかがかと思います。
 資金の使途制限が社会福祉法人の場合は厳しく規制されているところでありますので、なかなか一概にはいかない部分もありますし、私も繰り返し申し上げましたが、なじんできた部分でございますので、簡単に変えられても困るという気持ちもある反面、やはりわかりづらさという意味では改善の余地があるのかなと感じている部分でございます。
 雑駁ではございますが、以上になります。
○柴座長 ありがとうございます。解決すべき課題は多いということだと思います。
 続きまして、亀岡構成員よろしくお願いします。
○亀岡構成員 亀岡でございます。よろしくお願いします。
 私のほうからは今、秋山構成員のほうからいろいろ話されましたので、それ以外のところで話をしたいと思います。
 やはり先ほどからありましたとおり、今の社会福祉法人の置かれた環境を考えますと、今後事業を誰と一緒にやっていくとか、つまり合併であるとか、事業譲渡というものがいろんな他の業界や、または同業他法人との競争を考えると当然必要になってくる分野かと思っておりますので、今回のこういう検討会というのは非常に有用だと思っております。
 また、現状の社会福祉法人会計基準の作成にも携わらせていただきましたが、その中で今思っていますのは、拠点で実施する複数の事業について会計を区分するのがサービス区分であり、大変重要だと思っていますが、このサービス区分間の取引について一言申し上げたいと思います。
 御存じのとおり、このサービス区分間取引は附属明細書である拠点区分資金収支明細書と拠点区分事業活動明細書、つまり資金と損益の明細書で表示されることになっています。拠点区分資金収支明細書の様式は「その他の活動による収支」区分までありますので、サービス区分間取引が表示されますが、拠点区分事業活動明細書の様式は「サービス活動外増減の部」までしかありませんので、「特別増減の部」に記載されるサービス区分間取引が表示されません。法人の内部取引である事業区分間、拠点区分間、さらにサービス区分間の取引は事業活動計算書上、すべて特別増減の部で出てきます。局長通知における拠点区分事業活動明細書の様式には内部取引消去欄が用意されており、サービス区分間取引により生じる内部取引は拠点区分事業活動明細書において相殺消去するものとされています。しかしながら、拠点区分事業活動明細書の様式には「特別増減の部」が用意されていませんので、結果的にサービス区分間取引が表示されません。これは、統一した会計基準の作成時に従前の指導指針で作成を必要とされていた「介護サービス事業別事業活動計算書」では「サービス活動外増減の部」までしか作成の要請がありませんでしたので、それを踏襲したものだと思われます。そこで、局長通知で準備された拠点区分事業活動明細書の様式に「特別増減の部」を加えることによってサービス区分間取引をはじめとする内部取引を計上できるだけでなく、当期活動増減差額や次期繰越活動増減差額を表示することにより結果的に貸借対照表とも整合性を保つことができます。
 現状の拠点区分事業活動明細書の様式は、従前の指導指針の考え方によるものと思われますが、法人運営ということを考えると再度、検討されてよろしいのではないかと思います。
 それから、先ほどもお話がありました拠点区分の取扱いについてです。拠点区分の考え方は施設であるとか、事業所であるとか、事務所という事業の場所を中心となっています。しかしながら、社会福祉法人の中には施設運営を中心に事業を実施している法人ばかりではありません。一方、会計基準は社会福法人が行う事業に関する会計に適用しなければなりません。受託事業の中には、同一事業所で実施できる事業であるが、資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表を他の事業とは区分しなければならない場合があります。このような場合には拠点区分で作成する計算書類の要件と合いますので、当該事業については、一つの拠点区分という取扱いができれば会計基準を有用に利用することができます。
 公益法人会計基準でも同じような概念を持っているわけですけれども、公益法人会計基準においては全ての事業が公益法人会計基準の中でカバーできているわけですので、そういう意味では社会福祉法人会計基準の中でも同様にカバーができるような建付けになっているかと思います。
そこで会計基準に置ける事業区分をどう考えるか。社会福祉事業とか公益事業、その中における拠点区分というのをどう捉えていくか。施設だけを捉えていくのか。さらに、事業ごとにサービス区分を超える区分が必要な場合には、例えばそれを一つの拠点として捉えるという柔軟な対応はできないのかどうか。
 ここで、公益法人会計基準では、公益法人における公益会計区分の中で、複数の事業があった場合に事業区分を設けることができますので、それに準ずるようなことで、ちょうどそれが今の社会福祉法人だと拠点区分という形になっているので、これを利用すれば対応ができると思います。
 それから社会福祉法人の計算書類の作成の仕組みについて申し上げたいと思います。社会福祉法人の計算書類は資金収支計算書(第1号)、事業活動計算書(第2号)及び貸借対照表(第3号)があり、それぞれ法人全体(第1様式)から拠点区分別(第4様式)まであります。会計基準では最終的に法人全体を表すという意味で、最終的には第1様式まで積み上げていくわけでございますけれども、現実的には第4様式である拠点区分別の計算書類を作成して集計して第1様式の計算書類を作成しています。予算も全部、拠点区分がベースになっておりますので、結果的に第4様式が妥当であるかどうかを見ないと法人全体の計算書類(第1様式)が妥当であるかどうかはわからないということになりますので、その辺の仕組みをもう少しわかりやすく説明することができなのか。ついつい見ていると、第1様式、第2様式、第3様式のみを修正して第4様式を修正しないでそのままにしている場合が見受けられました。
 実はそうではなくて、第4様式をきちんと修正してその集計の結果第1様式が修正される仕組みになっています。それが法人のガバナンスであり、コンプライアンスみたいなものが働いておりますので、そこを理解していただき、第3様式、第2様式、第1様式は第4様式の集計ですので、その辺の仕組みをもう少しわかりやすくできればいいと考えております。
 私のほうからは、以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。会計基準の基本的な部分について、少し検討の整理が必要だという御意見だったと思っております。
 続きまして、中村構成員よろしくお願いします。
○中村構成員 中村でございます。私のほうも、社会福祉法人の組織再編というのは今後もふえていくことが当然予想されます。そういう中で、制度の設定と、この会のような会計をリンクさせながら討議していかれるというのは、非常にタイムリーでいいことではないかと思っております。
 あとは、会計基準についてということですが、会計基準についてお話をするときに、会計基準の中身自体の話と、あとはその運用といいますか、利用といいますか、その二面から考えていく必要があるかと思っております。
 まず1面の内容自体に関しては、今の亀岡先生と多少かぶって、ちょっと逆のことを言うかもしれないですが、やはり拠点区分ですね。拠点区分というものが、本当に基本になっております。それで、今、社会福祉法人の会計がちょっとわかりにくい面があると正直言われているのは、ボリュームの多さなんです。決算書類のボリュームの多さです。それは、ほぼ拠点区分の多さなんですね。多いから少なくしたほうがいいという短絡的なことではなくて、基本的に拠点を分けるということは貸借対照表を分けるということなのです。
 貸借対照を分けるということは、例えば1つの建物であっても事業が違うということで2つの拠点に分かれてしまう。それが、本当にわかりやすいことなのか。それは背景としては、先ほどから出ているような資金使途制限という大きな社会福祉法人に対する規制があることは十分理解しておりますが、まさしく今回のような組織再編とかになると、資金使途制限も変わらざるを得ないのではないか。そういう流れの中で、どちらかというと拠点をもう少し緩くという言い方はあれですが、束ねるようなことができないかということは個人的には考えております。
 あとは、運用のほうですが、運用では2点お話をさせていただきたいと思います。
 1点目は、先ほどもデータにありましたが、1億~2億の収入規模が26.5%、たしか3億以下で50%くらいなんです。そうすると、いわゆる小規模な法人が多い。ですから、今から議論するようなある意味、高度な話はもちろん必要なんですけれども、それとは別にベーシックなところでつまずいている法人がたくさんある。それに関しては、我田引水になってしまいますが、やはり会計士や税理士のような専門家を入れていく。
 それで、30億以上に関しては会計監査というものが導入されて、非常にうまくいっていると個人的には思っておりますが、やはり3億の法人に、2億の法人に、1億の法人にというのは非常にきつい。そうであれば、今、支援体制として出ています内部統制の支援であるとか、事務処理体制の支援であるとか、これをもう少し推進していくことが必要かと思っております。
 その中で、Q&Aの中で、決算作業や記帳代行を専門家がやった場合に、いわゆる指導監査の延期とかのインセンティブが得られないというのは、ちょっと私的には相反しているのではないか。むしろ小規模法人にとっては全部やってもらうと、一番正確なものが出るんです。
 もちろんやってもらったからわかりませんという状態になる場合もあって、それはまずいのですが、やってもらってちゃんと説明も受けて、これで正しいものが出ています。それはある意味、小規模、1億、2億くらいについては一番いい形ではないかと思っているので、それをもっと推進できるような形のものがあったらいいかと思います。
 それからもう一つ、最後に運用という面では開示システムですね。開示システムに関しては、今は3年目でしょうか。どんどんよくなっているとは思います。
 ただ、やはりいまだにあるのは理事会、評議員会に出した決算書は正しいんだけれども、開示システムに載せたときに間違っている。でも、それが一番世の中に出てしまうという矛盾がありますので、このあたりはかなり改善してきていると私も思っていますが、さらにいわゆる入力しやすいような、間違いが起こりにくいようなシステム設計にしていただければと思っております。
 私のほうは、以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。会計監査の規模基準の話もありますし、それ以下の小規模法人ですね。こちらについても、きちんと対応していくことが今後重要だと私も思っております。
 続きまして、馬場構成員よろしくお願いします。
○馬場構成員 馬場でございます。今までの間に大分、会計基準について私の感じていることが出尽くした感があり、重複した話になってしまうかと思うのですが、23年基準になってからは法人全体の会計基準になり、これによって法人全体の収支、法人全体の財産が開示され、さらに法人全体の財務分析もできるようになったということで、法人の財務状況を誰もが把握できるようになった点が大きな前進だと思います。
その一方で、従前より行政指導目的の観点から求められている拠点区分の計算書類ですね。法人全体の決算書をつくるために、まず拠点区分の計算書類を作成しなければならないところが、現場における会計事務の疲弊になっていると思います。
 会計監査が入る大規模法人の中には、拠点数も30以上、50以上の拠点を抱えている法人もあります。そのような法人では、拠点区分ごとに計算書類を作成するのがまず大変で、また監査をおこなう上でも拠点区分の計算書類の監査を行って、そして拠点の計算書類を総括して法人全体の決算書をレビューするという流れですから、監査の工数もだいぶかかるというところです。
 この拠点区分は、資金の使途制限規制があるがゆえに、会計基準において拠点区分が設定されているわけですが、資金の使途制限規制自体、公金はその施設のために使用することを原則としつつも、弾力運用が認められており、一定の条件を満たせば他の事業等に繰り入れができるというふうに融通が利くようになっています。
 そうなりますと、この資金の使途制限規制、あわせて会計上の拠点区分の分割というのを今までと同じように継続していかなければならないのかどうか、もう一度考えるべき時期にきているのかなとも思います。
 先ほど中村構成員のお話にもありましたが、もうちょっと緩やかなグルーピングですね。例えば、種別ごとにグルーピングして拠点区分を設定してもいいとか、そういった拠点区分規制を緩めた方法を考えていってもいいのかなとも感じるところでございます。
 また、今回、組織再編の話が出てきましたが、ちょっと前には地域公益活動の推進も出ていますし、そもそも平成28年からガバナンス、財務規律の向上ということで、社会福祉法人に求められているものが、従前の施設ごとの運営から、法人としての事業運営にシフトしているように思います。
 その点では、本部機能の強化が求められているところですけれども、各法人では本部機能の強化が大切であることの認識はしているが、いかんせん本部には財源がないというところで、なかなか本部機能の強化に向かえないというところが多いといえます。
 一方で、本部機能を強化した法人においては、今回の組織再編の取り組みとか、地域公益活動の推進とか、ガバナンスの強化など、制度が整備されたらいち早くとりかかることができており、今後、本部機能の強化が進んだ法人と進んでいない法人との間で、法人間の優劣が進んでいってしまうのではないかと思います。
 そうしていったときに、本部機能の強化について、各法人の自助努力に任せるやり方でいいのかというところにも疑問があります。そう考えますと、先ほどの資金の使途制限規制についても、法人内における本部機能強化のための繰り入れについては、より弾力的に認める方向でいいのではないかとも思いますし、あわせて会計上も拠点区分の設定をもっとシンプルにして、統合に向けた方向で検討してもいいのではないかと感じるところでございます。
 私のほうからは、以上です。
○柴座長 ありがとうございます。
 積極的な事業展開等の今後の課題に向けて、やはり本部機能の重要性というのは非常に重要なのかなということと、それを果たすためにある程度の制限を緩和することも検討に値するかと思います。
 続きまして、松前構成員よろしくお願いします。
○松前構成員 松前でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、今回の社会福祉法人における合併事業譲渡の会計処理についてということでございますけれども、これについては現状の社会福祉法人さんが置かれている状況を、先ほどの資料でも伺いましたが、やはり必要なところで、今まさに決めなければいけないものなのかなと感じております。
 それで、過去、公益法人でもこういった制度ができたときに、もう10年も前になりますけれども、合併や事業譲渡の仕組みはできたというふうに考えておりますが、それから今に至っても会計処理がこうであるというものが何かできているかというと、そうではないというふうに認識しております。
 また、ほかの非営利の法人さんにおいては、やはりそういった同じような事象が発生しているかと思いますけれども、そこでもほかの決まっているところもあろうかと思いますが、やはりいろんな実態がある中で決めかねているというところがあるのではないかと思っております。
 また、私がおります協会においても、過去検討した経緯はございますが、そこでもやはり実態をよく調べてからでないと結論というのも出ないのかなというような状況でございまして、そこでもはっきりとした会計処理が決まっているところではないというふうに認識しております。
 事業展開の検討会もあると認識しておりまして、そういったところでもまた今回、次回の会計の検討会においても、実態を聞かせていただけるということでございますので、現状どういった困っていることがあるのかとか、合併、結合ということで組織がくっついて大きくなっていくということでございますので、そのときにどういった障害があるのかとか、どういったことが会計処理のポイントになるかということをよく伺いながら考えていければと思っております。
 また、1つのパターンが会計処理として決まるということもなかなか難しいかと思っておりますので、いろんな条件のもとで法人さんが選べることができたらいいのではないかと考えております。
 また、社会福祉法人の会計基準でございますけれども、ほかの非営利の会計基準と比較して特徴的であると考えられるのは、先ほど秋山構成員もおっしゃっていましたが、収支計算書というのがまず大前提に出てきているところかと考えております。
 それで、ほかの公益法人とかでは損益計算というか、企業会計と同じような計算の仕組みでできておりますけれども、果たして非営利の組織においてその活動をあらわすのに何が一番いいのかというところも、改めて考えさせていただけるようなものかと思っております。
 特に、予算と実績を備えている情報でございますので、通常であれば予算が出てくる場合は法人の中で使う管理目的のものであるというふうに認識しております。一般に財務諸表といいますと、外部報告目的が主たるものであろうかと思いますけれども、社会福祉法人会計基準の中ではたくさんの情報を開示するということになってございますので、両方の目的を備えたものであると考えております。
 また、会計処理につきましても、ほかの非営利法人の会計基準を横並びで見させていただいておりますが、その中では標準的な会計処理が全て備えられているようなバランスのよい会計基準なのかなというふうに見させていただいております。
 あとは、いろいろ今までも構成員の先生方がお話をされておりますが、情報としてはかなり豊富であると思います。その中でも、そのような情報が出てくるということは、作成をされる社会福祉法人さんの側には大変な負担があるのではないかと考えております。
 それで、拠点別、法人全体というふうに幾つかあるかと思いますけれども、例えば1つ、貸借対照表につきましても公益法人と比較すると、公益事業とか収益事業とか事業を幾つかやっている場合には、当然正味財産増減計算書という活動をあらわすものについては区分経理が必要ですけれども、貸借対照表については条件によっては作るものになっておりますので、法人さんの負担も考えた制度になっているのかなと思っております。
 一方で、社会福祉法人会計基準においては、なかなかつくる量とともに、つくりなさいというようになっているのかなと思いまして、全体として見るのであればやはり今、御意見も出ましたけれども、どういったくくりで情報をつくるのがいいのかというのは、もう少し検討ができるのかなと考えているところでございます。
 情報はあればあるほどいいとは思いますが、今のこの時期にどういうものが必要かということを合併、結合の処理もそうでございますが、通常の財務諸表においても必要な情報をより選別していくということが、次の段階としては必要なのではないかと考えております。
 短いですけれども、以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。合併については、会計士協会のほうでもいろいろと松前さんを中心に議論したんですけれども、これはかなり難しくて今ストップしているという状況でございます。
 それと、確かに他の法人組織と内容は違うにしろ、管理監督のやり方とか、業務負荷等の比較というのも今後検討に値するのかなというふうに思います。
 それでは、宮内構成員よろしくお願いします。
○宮内構成員 1点は、今回のメインテーマである合併事業譲渡の件についてお話をさせていただきます。
 合併は、余り進んでいないという指摘がもともとございました。
 ただ、事実上の合併は非常に違う形で、アンダーグラウンドにおいて進められているというふうに私どもは認識しております。つまり、理事長である方々が交代して、一人の理事長に収れんしていっているという件数はかなりに上るというふうに私は把握しておりますし、多分、厚労省においても把握されているのではないか。
 ただ、このこと自体がアンダーグラウンドで行われる。つまり、事実上の合併交付金を払うという形で、理事長の退職金になって払われているというような実態が存在しているということについては、やはり十分に組織法上の問題として御検討いただきたい。これは、会計上の問題以前の問題として、合併交付金の規定は福祉法の中には存在しておりません。
 会社法の中には、合併の規定並びに合併交付金の規定が存在しておりますので、組織法上の問題としてこれらが行われている。これに伴って会計上の実態としてパーチェスであるのか、持分プーリングであるのかという事実認定を行っていくプロセスがその後に用意されているわけですけれども、それが用意されていないものにおいて、つまり持分権の存在しない組織同士の合併において、あしたになればみんな一緒になるのに、ここで交付金を出すという理由がどこに存在するのか。これは、法律上の問題、解釈の問題としても重要な問題として御考慮いただかないとならないというふうに私は思っております。
 あわせて、事業譲渡に関しても、先ほど重要な財産の譲渡については定款に規定があるとおっしゃられましたが、重要な財産に関する処分の規定は別に今のような合併の規定が入る前からずっと定款準則の中で規定されていまして、これが事業譲渡と同じかというと、事業譲渡は単なる財産の譲渡ではなく組織そのもの、つまりマンパワーも含めた譲渡という性格を有するものなので、これを類推適用する、ないしはこの脱法行為として事業譲渡が扱われるということについては慎重な判断をしていただく必要があろうかと思います。
 最後に、社会福祉法人の特徴として、法人が設立するときに措置法40条の適用を受けて行われている件数が大変多うございます。このことに関する社会的批判は、相続税回避の対策として行われているのではないかというのが、昔からずっと存在しております。
 これが一旦、法人になって合併という形、ないしは事業譲渡という形で退職金に形をかえた、姿をかえた形で交付されるというような事態になると、このことについて社会的に説明する合理性が非常に苦しいと私は感じております。
 他の皆さんは会計の世界だけで見ておりますが、社会制度として見ていったときに、これらの問題について行政の説明が行われなければならないということをまず大前提として御配慮いただきたいと思っております。
 それから、会計基準の問題についてはどなたかも申し上げたと思いますし、馬場構成員も的確にコメントしたと思いますが、拠点区分の考え方というのが、確かに措置制度においては当該施設というものが前提になってその資金規制が行われておりました。ですから、同じ特養でも、お隣にあるA特養からB特養に資金規制もかかっておりましたが、現在の通知においてはそのような資金規制はかかっていないんですね。それで、資金そのものについても大幅に自由度を認めている。それから、これは全く就労支援、いわゆる支援給付費においても同様の規制になっております。
 そういう意味では、従前からの規制がそのままずっと残った状態ではないというふうに私は理解しておりますが、会計がこれを追いかけていない。
 あわせて、事業の種類がサービス区分という形で行われておりますが、どんどんダウンサイズされていっている。もともと特養の中に含まれていたであろうサービスの内容が、これを確実に実施させるために報酬とリンクさせ、ダウンサイジングされていっていることは十分に承知しているわけですが、これらのものについても資金規制が特にかかっているとは思えない通知の内容になっております。
 したがって、これらについて事業を進めていく小さなサービスに関していくと、キャパシティーの共用、つまりマンパワーとスペースの共用を行うことを前提として事業が細分化されているということになって、これをダウンサイズして、会計もダウンサイズしていきますと、ほとんど共用されている共通経費に基づいて行われているものが、全て個別に表示しなければならないという事態に相なってきて、方向性が逆行していると私は感じているところです。
 したがって、拠点区分の再編、つまり一般目的財務諸表であるとするならば、一般的に考えられているセグメント別の会計の情報開示という形でこれらをもう一度、再整理していただくことが必要なのではないか。
 その場合に、先ほども馬場構成員のほうから御指摘があったように、老人福祉法であるとか、児童福祉法であるとか、その法律根拠をベースにして事業を分けるなり、もう少し細かく分ける必要があるのであれば、分けるという方法をお使いになるのがよろしいかと思います。これは逆に言うと、我々会計専門家というよりは行政側の御判断に依存するということになろうかと思います。
 細かなところはまだいろいろあるんですけれども、ちょっと資金収支に関しては私は皆さんと違う意見を持っております。つまり、資金収支計算書をつくるというのは予算をつくるということで、いわゆる結果オーライの事業展開というものを想定していない、企業とは異なる、特に非営利も私はそうだと思っておりますが、社会福祉法人においては、これらのガバナンスがどうやって形成されていくのかということになると、あらかじめ予算を示し、これによって活動を行っていくという宣言を社会的に行っていくということが唯一の方法であると私は思っております。
 したがって、企業における管理の道具として予算というのは考えるものではなく、公表されるものとして予算も考え、なおかつこれと対比されるべき資金収支計算書というものの重要性についてはもう一度御検討を、会計専門家の方々にも御検討いただきたいと思っております。
 また、キャッシュフローステートメントは、恣意性の排除された情報として損益計算書並びに貸借対照表が今の企業会計においてはかなり恣意的にいろいろな情報を整理しながらつくり上げていくということに対して、最も素の状態で恣意性が排除された情報を提供するという意味において、キャッシュフローステートメントの作成が義務づけられたという経緯がございます。そういう意味では、結果としてお金がどう動いたかということを示すという意味では、余り社会福祉法人の計算書類としては用をなさないのではないかと思っておりますので、さらに御検討いただければと思います。以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。合併事業譲渡等で、組織法上の脱法行為等が現実的に起きているという話については、これは皆さん共通の認識のもとにあるのかなと思っておりまして、ここの会計基準がこれを許容する形の基準には絶対ならないなというのを今ひしひしと感じたところでございます。
 また、会計基準がやはり実態に即して追いついていないという御意見をいただきましたけれども、そういったことについても今後、詰めてく必要があるのかなと、また資金収支については宮内先生の持論ということでありがとうございました。
 以上で皆様の御意見をいただきましたが、最後に私のほうで一言、意見を申し上げたいと思います。
 まず、この会計検討会の意義でございますが、会計基準を一度つくられて、その後やはり会計基準の品質を向上させていくというプロセスは重要なものでございまして、厚労省のほうでこういった検討会をつくられて、実態に即して会計基準を見直していくというプロセスは非常に有意義なものだと理解しております。
 それと、合併等の会計基準について、事業展開の検討会でいろいろと議論されております。多くの方が、トータルヘルスケアの重要性というものについては当然認識されておりまして、その地域、コミュニティーにそういったグループ、あるいは提携の形でそういったサービスの提供が必要だということは皆さん認識しているんですけれども、余りにも成功例というものが少なくて、実態として合併すればどうにかなるんじゃないかというような話はなかなか通らなくて、こういう形のものがあればトータル的なヘルスケアができるコミュニティーに役立つんだというときに、そういう再編等に向けてどういったことが有効なのか。事業譲渡が有効なのかとか、提携が有効なのかというようなことを経て、そういった中で合併等の基準も自然には出てこないのですけれども、それに向けて検討していくんだろうなと思っています。
 それと、合併、企業結合の会計基準は実は2つしかなくて、1つは企業会計の企業結合基準ですね。きょうの資料の最後の2つを開けていただくと物すごいページで、我々会計士もそういった事例があるとこれを一生懸命読み込んで、相当苦労するような基準なんですけれども、そこにはパーチェスしかないということですね。
 それと、もう一つが信金、信組、農協等の協同組合組織、こちらについては信用事業をやっているということで再編が物すごく多いという実態がございます。農協などは1県1農協ということも幾つか出てきたりしていますし、信金は御存じのとおりいろいろと統合が進んでいるという中で、これは行政がかなり突っ込んでそういった指導もしているという状況があります。
 ですので、今の社会福祉法人の自主的な協働とは全然話が違う状況だと思うんですけれども、そちらについては基本的に修正の持分プーリングというものが認められているということでございます。
 この検討会において、そういった基準で2つある中のどちらをとるのか、あるいはとらないのかということが、今後重要な議論になるのかなと感じているところでございます。
 私のほうは、以上でございます。
 今までの議論の中でいろいろ貴重な御意見をいただいたわけですけれども、それについてさらに追加的な議論と意見がございましたら、挙手の上、御発言をいただければと思います。
 では、亀岡構成員よろしくお願いします。
○亀岡構成員 先ほど宮内構成員が話された資金収支計算書の件ですが、私は全く同意見です。実は平成16年改正公益法人会計基準において資金収支ベースの収支計算書、つまり資金収支計算書が会計基準の枠から外れ、かわってキャッシュ・フロー計算書が会計基準に入りましたが、当時は別途、「内部管理事項」という行政通知が出て当該通知に基づき資金収支予算書及び資金収支計算書を作成し、資金収支計算書は会計監査の対象にもなっていました。その後、新公益法人制度になってからは、資金収支予算書及び資金収支計算書の作成を規定するものがなくなり、作成が要請されなくなりました。しかしながら、新公益法人制度になってからも新公益法人へ移行した法人の多くの法人が相変わらず、実務上、必要なため従来と同様に資金収支予算書と、そしてその資金収支予算の結果である資金収支計算書を作成して理事会の承認を得て、総会や評議員会の承認事項となっています。
 その事実を公益認定等委員会も認めて、資金収支予算書及び資金収支計算書の作成を認めるに至っています。さらにそのうえで、公益法人会計基準に規定されている財務諸表は会計監査の対象となりうるが、一方、会計基準に規定されていない資金収支計算書については会計監査の対象となりうるかどうかについて日本公認会計士協会において検討した結果、会計監査の対象となるという結論を得ました。会計基準に規定されてないため一般目的の監査とはならないけれども、特別目的の監査に該当するということになりました。その結果、資金収支予算書及び資金収支計算書が従前のように使用されているのが現状です。
 これらの状況を踏まえたときに、社会福祉法人会計基準の中に資金収支計算書が規定されているということは、私は大変重要なことだと思っています。一言、公益法人では資金収支計算書はもうなくなったのではなく、一度、会計基準から除かれた資金収支計算書がその必要性から、実務上、作成、使用され、会計監査の対象にもなっているということを、改めてお話しさせていただきました。それだけ、資金収支計算書は公益法人や社会福祉法人にとって必要であり、もし、1種類の計算書だけを選ぶとすると選ばれるくらい資金収支計算書は非常に重要な計算書であると思います。
○柴座長 ありがとうございます。資金収支決算書の監査については、私が担当常務理事として実務指針を出させていただいたという経緯でございます。資金収支の重要性は、おっしゃるとおりだと理解しております。ほかに、御意見等ございますでしょうか。
 秋山構成員、お願いします。
○秋山構成員 冒頭の発言の場でちょっと言い忘れたといいますか、1点ございます。
 今の社会福祉法人会計基準の1条の第2項だと思うのですが、この基準に定めがない場合は社会福祉法人会計の慣行を斟酌してという文言がありまして、読者においては慣行というのは何だろうという疑問が生じると思うのですね。基準を設定した厚労省さんと、私ども会計士協会は、そこら辺を理解して当然議論はできるのですけれども、一般の人には何を指すのかなかなか理解できない。
 さらに言いますと、社会福祉法人会計基準は当時、公益法人会計基準や企業会計を参考にして作成されたというふうに認識しておりますが、その後、企業会計はいろいろな基準が規定されてきております。具体的には、資産除去債務ですとか、過年度遡及修正を行う基準ですとか、そういったものが企業会計ではつくられてきているわけでございますが、それを社会福祉法人においては適用すべきなのか、すべきでないのかというのがなかなかわかりづらいところがございますので、そういった点ももし可能であれば整理していただけると助かると思います。以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。会計監査に入るときに、非常に重要なテーマとして議論した点でございます。ほかに御意見ございますか。
 宮内構成員、お願いします。
○宮内構成員 企業会計の処理方法を非営利の世界に入れてくるという流れは、平成16年の公益法人制度改革からずっと続いていまして、何でもかんでも企業会計を入れちゃっているんじゃないかという懸念を私は個人的にずっと持っております。
 それで、その中の社会福祉法人に関して最大の問題は、減損会計の導入でございます。減損会計の導入に関しては特に補助金、施設整備等の補助金が入っていないようなものについて減損会計でやっていくということについて、特に私は違和感を持っているわけではございません。
 ただ、施設整備を行って、国がこの事業をセーフティーネットとして実施するものを用意しようとし、なおかつ適化法の25条でその後の目的に従った活用をずっと義務づけている。こういう制度の中で減損会計を入れてくるというのは一体何なのか。減損会計はもともと事業撤退会計ですから、事業撤退を勝手に行えないような仕組みになっているものに対して、この減損会計をそのまま導入するというのはおかしいと感じております。
 これで減損会計を適用して、その後の年度が赤字にならなくなる。つまり、ずっと赤字であったけれども、減損会計を適用して減損損失を計上しますと、その後の年度においては剰余が出る。つまり、今の会計基準でいえば増減差額が発生するという事態が起きるわけです。
 この情報をもとに、一番大きいステークホルダーである、例えば社会保障審議会の介護保険給付部会が、単年度の情報でもって利益が出ているがゆえに、これが出過ぎているからまた介護保険給付水準を下げるべきだという判断をするとしたら大変なことになってしまうという意味で、私は減損会計は少なくとも施設整備補助が行われているものに関しては適用されるべきではない。対価性のあるものについては全部適用するというQ&A、実務指針を公認会計士協会においてつくられておりますけれども、私は全く反対です。
○柴座長 御意見、ありがとうございます。
○宮内構成員 それからもう一つ、合併に関しては2つというふうに座長のほうから発言がありましたけれども、IPSASのほうでは合併に関してパーチェスと持分プーリングのほかに、amalgamationという、融合というか、統合というか、そういう表現を使って、これは一緒になるんだ、融合するんだという会計処理を規定しております。
 したがって、これの可能性について、適用可能性についても十分に御検討いただく必要があるんじゃないかと思います。以上です。
○柴座長 ありがとうございました。融合という処理についても検討に入れていくという貴重な御意見ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
 馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 先ほど秋山構成員から、企業会計に提供されている会計ルールが社会福祉法人会計基準上、同じように導入されるのかどうかが明確でない。このあたりを明確にするべきじゃないかというお話がありましたが、いまの社会福祉法人会計基準は、社会福祉法人の施設の定員が維持され、あるいは定員が拡大していくことを前提に、必要な企業会計のルールをとりこんでいるのではないかと思う部分があります。
 しかしながら、実態は地方など、福祉の利用者が今後減少し、施設事業所の定員割れがおこり、定員の引き下げも予想される地域などもあります。すなわち、施設運営のダウンサイジングも考えられるところです。
 そうしたときに今の会計のルールのままで本当にいいのか、すなわち定員の維持、事業の継続を前提にした費用配分の会計ルールだけで果たしていいのか疑問があります。
 例えば、一般の会社であれば、資産除去債務として建物等の取り壊しにかかる費用をあらかじめ認識しておく、費用計上しておくということが行われているわけですが、社会福祉法人会計においては会計ルールの適用が明確にされていない。ですから、資産除去債務を認識する実務は少ないように思います。
 しかし、地域の福祉サービス利用者が減少し、当該地域の施設建物の利用がなくなり、建物の取り壊しとなったときに、その時点で取り壊し費用、除去費用を認識することで果たしていいのか疑問に感じます。その取り壊し費用は、本来、施設が稼働している間に認識し、現役世代、今の世代に負担させるべきコストであって、取り壊し時点に費用を認識するのは、コストの負担を将来の世代にしわ寄せさせていることにならないかと感じます。社会保障費の負担に関して、世代間の負担の不公正を招いていないだろうかと感じる部分もあります。
 ですから、新しい企業会計に適用されている会計ルールの中で、社会福祉法人会計にも取り込むべきものというのは少なからずあるのではないか。固定資産の減損も減損の兆候の基準が示されていないため、減損の適用が属人的な判断でおこなわれるおそれがあります。今後、企業会計のルールの導入を明確にしていくことも必要になるのではないかと思います。
 あと、合併、事業譲渡の会計の検討にあたって、気になっているのは、国庫補助金等特別積立金です。国庫補助金等特別積立金は、現状の会計実務としては、減価償却費等の費用に対応する部分を補助金割合に応じて取り崩す処理をしていますが、事業をやめたときの国庫補助金等の返還額は、返還が決まった時点で、国等の基準で再計算して返還しています。通常は、国庫補助金等特別積立金の残高よりも返還額のほうが高くなります。
 補助金を受領し、補助金を取り崩してきた法人と、事業を廃止し、国庫補助金を返還する法人が変わらない場合は、当該差額を返還時に特別損失処理すればいいということになりますが、合併等の場合、補助金を受領して取り崩してきた法人と合併、事業譲渡に伴って、国庫補助金を返還する法人が一致しないケースが起きるだろうと思われます。
 したがって、合併、事業譲渡等において、補助金の交付対象となった施設設備を譲渡する際、国庫補助金等特別積立金の引き継ぎ金額をどのように算定するか明確にしなければならないと思います。そこの部分は、会計の問題ではなく、補助金の算定の仕組みにかかる検討が必要になると考えます。
 おそらく、合併、事業譲渡の場合に、事業の一部を廃止するとか、あるいは定員を引き下げるとか、そういった施設における事業運営の一部見直しもあわせておこなわれると思われるので、定員引き下げのときや事業を一部廃止したときに、それまで事業を運営してきた法人において、国庫補助金等特別積立金をどのように取り崩して、新たな法人に国庫補助金等特別積立金を引き継ぐか、すなわち国庫補助金等特別積立金の引き継ぎ価額をどのように算定するのか考える必要があると考えます。国庫補助金等特別積立金の引き継ぎ価額をどのように算定するのか、法人間の負担の公平性を確保する観点から考えておく必要があると考えます。私のほうからは、以上です。
○柴座長 ありがとうございます。ほかに御意見等ございますか。
 では、中村構成員お願いします。
○中村構成員 今、議論になっております会計基準の第1条の2項のところの、「この省令に定めるもののほか、一般に公正妥当と認められる社会福祉法人会計の慣行を斟酌しなければいけない」、これは今後、合併の議論、合併の処理を進めるときとかも問題になってくるので、そこら辺ははっきりさせておいたほうがいいと思うんですが、これは実は23年基準の前にいわゆる12年基準というのがありまして、その中ではこの会計基準に定めのない事項については一般に公正妥当と認められる会計の基準に従うという規定、つまり社会福祉法人会計という言葉がなかったのをあえて入れたという経緯があるんです。
 それはまさしく先ほど宮内構成員がおっしゃったように、この企業会計を無条件には受け入れないという意思表示だったと理解しております。
 ただし、無条件に受け入れないことと、一切受け入れないことは全く違いますから、ただ、現在は何もそれ以後フォローがないので、ある意味、何も受け入れないと考えられなくもない状態が生まれている。
 ですから、新しい基準ができたときには、それにあわせて、これは受け入れるんだ、これは受け入れないんだ、あるいはこの部分は受け入れるけれども半分だけ受け入れるんだというような議論を本当はしていくべきであったのかなというふうには思っております。以上です。
○柴座長 ありがとうございます。今後の重要な課題というふうに認識しております。ほかに御意見等ございましたら、よろしくお願いします。
 松前構成員、お願いします。
○松前構成員 今、議題に出ていた、企業会計に適用されているような会計基準を導入するということもあったと思うんですけれども、例えば公益法人の会計基準においては平成20年に会計基準が制定されておりますが、その後、27年にそういった企業会計について、そもそも適用するのかどうかというのが質問として外から出たというふうに認識しておりまして、そこでは一つ一つ検討がなされて規定化されたというふうに認識しております。
 そのときにも、公益法人の会計の中で本当に必要かどうか、その実態を踏まえて検討というようなことで検討されたというふうに認識しておりますが、その後、今ちょうど10年たったところの資料等によりますと、アンケート結果でそれが実際に使われたかどうかというと、使われていますよというふうに思われたというような認識は余りなくて、その会計基準が使われる法人さんにとってどのように認識されているのかというところがまず問題があるのかなと思っております。
 その結果を見ると、どういったときにこの会計基準が必要なのかをなかなか理解することが難しかったのかなというようにも捉えられるところでございまして、一つ一つ必要性というものを検討していく中では、利用者サイドのこともよくよく考えながら作っていかないと、やはり情報として正しいものが出てこないのではないかと考えておりますので、そういったところも社会福祉法人会計基準での導入に当たっては留意していくべきことなのかなと感じております。以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。
 亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 今いろいろな御意見がありましたけれども、公益法人のときにいろいろな企業会計の基準を適用するかどうかという話があったときに、1つは小規模法人について今、公益法人会計基準に定めているような、さらに新たな企業会計の基準を導入するのかというときに、小規模法人には事務負担が重過ぎるのではないだろうかということが検討されました。
 では、小規模法人とはどのような規模の法人をいうのであろうかということになりましたが、これは社団法人と財団法人では全く財産規模が違いますので、単純に収入規模や財産規模だけでは判断できないということになりまして、最終的には公益法人においては法人規模の大小によって社会的役割やよって立つ制度や税制等は変わらないんだ、いろいろなルールも同様に適用されるんだということですので、逆に小規模という規定が難しいということで、小規模という法人について簡便な方法を使うという選択はしなかったです。かわりに、会計基準注解の(注1)に重要性の原則の適用について具体的に規定されていますので、そこで実質的に対応が可能になるのではないかということになりました。
 一方、社会福祉法人会計基準においても、公益法人会計基準と同様に局長通知で「重要性の原則の適用について」が規定されています。しかしながら、社会福祉法人が公益法人と若干異なるのは、社会福祉法人は事業形態や財産形態が似ているところがありますので、そういう意味では公益法人のように重要性の原則に委ねるだけではなくて、企業会計の基準を導入するかどうかの検討において、収益や財産についてある一定規模の基準を設けて当該基準以下の法人には簡便法の適用を認めることや企業会計の基準自体の適用を省略できるようにすることも検討してもいいのではないかと思います。何かそのような収益や財産の規模の基準を設けられるといいと思っています。
○柴座長 ありがとうございます。非営利の会計基準については、必ず規模基準という課題が出てきまして、会計上の問題と、あとは所轄庁のほうの監督目的として、どの程度まで監督していくんだということも含めて検討が必要なのかなと思っております。ほかに御意見はございますか。
 馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 ちょっと細かな話になりますが、事業譲渡に関してなのですけれども、会計を検討する以外に、事業譲渡の場合は、建物、設備などの売却取引が発生すると思いますが、消費税の課税取引になるのではないでしょうか。組織再編、合併の場合、消費税というのは当然出てこないわけですが、事業譲渡の場合は売却取引であって、消費税の課税というものが出てくるのではないかと思います。
 一般の会社間の事業譲渡の場合は課税取引で差し支えないと思われますが、社会福祉法人の場合は、事業が非課税事業ですから、消費税の課税関係も整理しておいた方がいいと考えます。というのは、そもそも施設を整備したときに、法人は、非課税収入に対応する課税資産の取得ということで処理をしており、消費税の仕入税額控除をしていません。
これが事業譲渡のときに施設、設備の売却収入に課税となると、資産の取得時に仕入税額控除を受けていないにもかかわらず、消費税の納付をしなければならなくなります。
 一方、買い取った法人の課税関係は、非課税収入に対応する課税仕入れとなり、取得価額に含まれる消費税の控除はできないこととなります。
 その結果、事業譲渡した法人における消費税納付だけが発生し、課税のバランスが崩れるように思われます。このあたりは、社会福祉施設の事業譲渡における固有の課題として、税務当局との協議を含めてあらかじめ検討しておく必要があると思います。以上です。
○柴座長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。
 それでは、やや時間を余らせているんですけれども、1回目ということで今回の議論はこの辺で終了させていただきたいと思います。
 次回の開催等について、事務局から連絡をお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 次回は、7月17日水曜日10時からの開催を予定しております。
 会場等の詳細は、追って御連絡させていただきます。
○柴座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議はここで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 

照会先

社会・援護局福祉基盤課

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