第1回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会議事録

日時

平成31年4月26日

場所

労働委員会会館

議題

  1. 第1回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会
    1. (1)検討会の開催について
    2. (2)身体障害者補助犬に関する施策の動向について
    3. (3)身体障害者補助犬の訓練・認定等に関する課題と対応案について
    4. (4)その他

議事

○秋山専門官 定刻となりましたので、ただいまより、第1回「身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会」を開催いたします。私は事務局を担当しております福祉用具専門官の秋山と申します。構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、初めに、本日お集まりいただきました構成員の皆様を御紹介させていただきます。座席順に紹介させていただきます。全日本ろうあ連盟の吉野幸代様です。
○吉野構成員 皆さん、よろしくお願いいたします。
○秋山専門官 社会福祉法人日本盲人会連合常務理事の橋井正喜様です。
○橋井構成員 橋井です。よろしくお願いします。
○秋山専門官 東京都視覚障害者生活支援センター所長の長岡雄一様です。
○長岡構成員 長岡です。よろしくお願いいたします。
○秋山専門官 慶應義塾大学経済学部教授の中野泰志様です。
○中野構成員 中野です。よろしくお願いします。
○秋山専門官 日本リハビリテーション連携科学学会理事長の江藤文夫様です。
○江藤構成員 江藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○秋山専門官 日本獣医生命科学大学獣医学部准教授の水越美奈様です。
○水越構成員 水越と申します。よろしくお願いいたします。
○秋山専門官 一般社団法人日本作業療法士協会の吉田文様です。
○吉田構成員 吉田でございます。よろしくお願いいたします。
○秋山専門官 一般社団法人日本言語聴覚士協会副会長、目白大学保健医療学部言語聴覚学科教授の立石雅子様です。
○立石構成員 立石でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○秋山専門官 公益社団法人日本社会福祉士会の森戸崇行様です。
○森戸構成員 森戸です。よろしくお願いします。
○秋山専門官 横浜市健康福祉局障害福祉部障害福祉課生活支援係長の石川裕様です。
○石川構成員 石川でございます。よろしくお願いいたします。
○秋山専門官 公益社団法人日本理学療法士協会の佐藤史子様です。
○佐藤構成員 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
○秋山専門官 本日は御都合により御欠席ですが、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事の飯塚善明様、日本身体障害者補助犬学会理事、神戸大学大学院保健学研究科准教授の三浦靖史様。以上、13名の構成員の先生方に御協力いただきまして、本検討会への参画いただいております。
事務局の出席者については、お手元の座席表のとおりとなっておりますので、これをもって紹介にかえさせていただきます。なお、企画課長の内山は、ほかの公務の都合上、途中で退席いたしますので、あらかじめ御承知おきください。
それでは、本検討会の開催に当たり、厚生労働省障害保健福祉部企画課長の内山から御挨拶を申し上げます。
○内山企画課長 おはようございます。厚生労働省障害保健福祉部企画課長をしております内山でございます。本日は御多忙中、そして、お足下の悪い中、検討会に御参加いただきまして誠にありがとうございます。
御案内のように、身体障害者補助犬の制度は、平成14年に「身体障害者補助犬法」が成立して以降、着実に社会に浸透してきていると思っております。訓練事業者、指定法人、ユーザーの皆様をはじめ、多くの皆様の御尽力により、法律の目的といたします目や耳、手足に障害のある方の自立、そして、社会参加に寄与してきているものと考えております。
一方、補助犬に関する理解を広め、社会における受入れを促進するためには、補助犬の質の確保ということが欠かせないと思っております。制度開始から15年以上、20年近くが経過する中で、適切・適正な訓練、そして、認定の実施に必要となる施策の具体的なあり方について検討を行うために、この検討会を開催させていただきました。
本検討会には先ほど御紹介させていただきましたとおり、有識者の先生方、そして、障害者に対する支援を行っている方々、また、障害当事者の皆様にお集まりいただきまして御議論いただきながら、今後のあるべき姿、対応について検討を進めていきたいと考えております。是非、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を率直に賜りまして、活発な議論をしていただきますよう、これからよろしくお願いいたします。
○秋山専門官 続きまして、本検討会の取扱いについて御説明いたします。本検討会の議事については公開とさせていただき、また、議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますので御承知おき願います。
それでは、本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元にタブレット端末を用意させていただきましたが、厚生労働省全体の方針としまして、審議会等については、原則ペーパーレスで実施することになっております。本検討会についても、ペーパーレス会議で実施させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
お手元のタブレット端末をお開きください。事前に紙媒体を希望された構成員の皆様については、クリップ留めの資料を御確認ください。タブレットの中を見ていただきまして、左側の「プロジェクト領域」という所を選択していただきますと、本検討会の資料が表示されるようになっております。第1回のフォルダをお開きいただきまして、まず、1番上が「議事次第」、2番目が資料1「開催要綱」、3番目が資料2、4番目が資料3、5番目が参考資料となっております。ファイルの場所が分からない方や、資料が不足している方がいらっしゃいましたら事務局までお知らせください。
なお、タブレット端末につきまして、iCloudのパスワードを要求される画面が表示されることがあります。その場合にはキャンセルを選択していただければと思います。なお、タブレット端末について、現在のシステム上、2つのファイルを同時に開くことができませんので、別のファイルを開く際には、開いているファイルを閉じてから開くようにお願いいたします。
続いて、本検討会の座長の選出についてです。資料1を御覧ください。資料1「身体障害者補助犬の訓練及び認定のあり方検討会開催要綱」ですが、要綱の項番2の(2)におきまして、本会議、検討会の座長は、構成員の互選により決定することになっております。よって、どなたか、自薦、他薦も含めて御意見はありませんでしょうか。中野構成員、お願いいたします。
○中野構成員 江藤先生を、リハビリテーション全体について非常に知見をお持ちの先生だと思いますので、推薦させていただきたいと思います。
○秋山専門官 ありがとうございます。ほかにありませんか。御推薦がないようであれば、江藤構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○秋山専門官 御異議がないようですので、江藤構成員におかれましては、お引き受けいただけますでしょうか。
○江藤構成員 はい。僭越ながら、私、国立の障害者リハビリテーションセンターに、7、8年ぐらい勤めていたこともありまして、補助犬にはとても関心がありますので、この機会に座長を引き受けさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○秋山専門官 ありがとうございます。以降の議事運営については、江藤座長にお願いしたいと思います。今、簡単な御挨拶を頂きましたけれども、引き続いて議事を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○江藤座長 ただいま簡単に自己紹介させていただきましたけれども、また後で、もう少し詳しく紹介させていただきたいと思っております。それでは、座長を務めさせていただきます。最初に冒頭のカメラ撮影については、ここまでということにさせていただきます。撤収方、どうぞ御協力をよろしくお願いします。
それでは、議事次第に沿って進めさせていただきます。議題(1)「検討会の開催について」、議題(2)「身体障害者補助犬に関する施策の動向について」、議題(3)「身体障害者補助犬の訓練・認定等に関する課題と対応案について」。それぞれ事務局より資料の説明をお願いします。
○秋山専門官 まず、資料1から資料3について、順を追って御説明を差し上げます。資料1を御覧ください。先ほども御紹介しましたが、身体障害者補助犬の訓練及び認定のあり方検討会開催要綱です。かいつまんで申し上げます。趣旨としては、身体障害者補助犬法に基づく補助犬の訓練や認定のあり方について検討していただき、適正な訓練・認定の実施に資すること等を目的として、この検討会を開催いたします。構成員は先ほども御紹介しましたけれども、有識者のうちから厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長が委嘱いたします。任期は2年と考えております。なお、必要に応じて、適当と認められる有識者の方等を臨時構成員として委嘱することもできることにしております。また、座長は、先ほど江藤座長にお願いしましたけれども、座長に事故あるときには、座長が指名する構成員が職務を行うこととしております。検討会の庶務は、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室において行います。構成員の名簿については、先ほど皆様のお名前を御紹介しておりますので、省略したいと思います。資料1については以上でございます。
続いて、資料2をお開きください。検討会の議論を始めるに当たりまして、現在の身体障害者補助犬の施策がどのように進んでいるかということについて簡単に御説明を申し上げます。表紙をめくっていただきまして1枚目ですが、「身体障害者補助犬法の概要」です。平成14年に成立しております。法の目的としては、良質な補助犬の育成、補助犬使用者の施設利用の円滑化をもって、身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与するという目的があります。定義として、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」の3種類を定義しております。まず、訓練事業者は、きちんと良質な補助犬を育成するということを定めております。使用者は、補助犬の行動の管理、衛生の管理をきちんと行うという義務を定めております。そういったきちんと訓練された犬、それと、使用者がきちんと理解をしていることをもって、第五章では、補助犬の認定は厚生労働大臣が指定する法人が認定を行うこと。身体障害者が施設等に同伴して他人に迷惑を及ぼさない等、適切な行動を取る能力があることの認定などを行うこととしております。そういった仕組みをもって国等、また、公共交通事業者等、それから、不特定多数の者が利用する施設において補助犬を同伴することを拒んではならないと規定されております。また、苦情相談窓口についても、各都道府県、指定都市、中核市に設置することとしております。これが補助犬法の概要です。
3ページ目、私どもが作っております一般向けのリーフレットからの抜粋です。お手元に青い掌サイズのリーフレットがありますので、後ほど中身を御覧いただければと思います。なお、このリーフレットについては、本年3月に、ちょうど更新が終わったところでして、一番新しいバージョンになっておりますので、参考にしていただければと思います。
4ページ目、「身体障害者補助犬の育成について」です。これは訓練事業者によって、また、その使用者の方の状況によって変わりますが、ごく一般的なお話として、約1歳ぐらいから訓練が始まると聞いております。訓練については、基礎訓練、盲導犬については歩行誘導訓練、介助犬は介助動作訓練、聴導犬は聴導動作訓練という、いわゆる犬の訓練が行われるとともに、合同訓練、使用者と補助犬が一緒に社会参加のための訓練をするという仕組みを経て、指定法人による認定が行われた上で貸与又は譲渡が行われます。これも法人による考え方の違いがありますが、約10歳程度を目安にして引退し、使用者の方は次の補助犬をお求めになるか、違う道を考えるかということを選択されると聞いております。
5ページ目、「認定の流れ」としては、現在、盲導犬と介助犬・聴導犬では若干異なるプロセスになっております。盲導犬は、国家公安委員会が指定する法人によって盲導犬の育成から訓練・認定までを行っております。介助犬・聴導犬については、介助犬訓練事業者、聴導犬訓練事業者が第二種社会福祉事業として都道府県に届け出を行い、厚生労働大臣が指定した法人による認定を行っております。
続いて、「身体障害者補助犬の実働頭数の推移」です。盲導犬は非常に古い歴史もありますので頭数が多いのですが、現在、29年度末のデータでは941頭、1,000頭から900頭の間、950頭ぐらいの間を推移していることが言えます。介助犬・聴導犬については、右肩上がりの傾向ですが、現在、29年度末で69頭ずつという状況です。
次のスライドは、その訓練を行う「指定法人・訓練事業者の状況」です。認定を行う指定法人については介助犬が7法人、聴導犬が6法人です。国家公安委員会が指定する盲導犬訓練施設は11法人あります。また、訓練事業者は、介助犬訓練事業者が26、聴導犬訓練事業者が20ありまして、これら盲導犬の訓練施設と介助犬訓練事業者・聴導犬訓練事業者は社会福祉法、また、身体障害者福祉法に基づきます社会参加支援施設・第二種社会福祉事業としての届け出を行っております。また、動物愛護法に基づく第二種動物取扱業の届け出も行っております。
次ページは、その指定法人の一覧、次のスライドには第二種社会福祉事業の届出状況、それから、盲導犬訓練施設の一覧がありますので参考にしていただければと思います。
次ページ、「身体障害者補助犬育成促進」です。これは地域生活支援促進事業の1つとして、自治体がこういった事業の取組を行うことに対する補助金を出す、補助をするという事業です。事業内容としては補助犬の育成、また育成計画の作成、理解促進、普及・啓発という取組を自治体が行った場合に、それを補助する事業です。留意事項としては、訓練を希望する障害者の選定を行う場合には、きちんと障害等の状況や生活環境などを十分確認する。きちんと訓練・認定が行われるかどうかを慎重に検討するように自治体には働き掛けているところです。
また、普及啓発も重要だと考えております。次ページを御覧ください。先ほども申し上げたとおりリーフレットを作成する。また、受付の所にありますが、ポスターについても、今年度新しくしております。また、こういった一般向けの普及啓発のほか、医療機関向けの普及啓発、また、海外の使用者向けの普及啓発等を行っております。
次ページ、「障害者週間」にちなむイベントが主ですけれども、私どもの主催のイベントを年3回ほど開催しております。昨年度は恵比寿ガーデンプレイス、また、札幌市のかでる2・7、阪急うめだ本店でイベントを開催しております。
次ページ、直近の動きとして、「指定法人に対する通知」を昨年度2通発出しております。1点目が、「海外から渡航してくる補助犬使用者への対応ガイドライン」について通知を発出しております。渡航してくる補助犬又は補助犬使用者について、日本の「身体障害者補助犬」と同等の質が確保されていると確認した上で、統一的なプロセスで、その旨を証明する書類、いわゆる期間限定証明書を発行するようにガイドラインを制定して指定法人宛に通知をしております。
2点目は、身体障害者補助犬の指定法人に関する報告等の様式についてということで、3月に通知をしています。これは、指定法人は身体障害者補助犬法及び同法施行規則に基づきまして、厚生労働大臣に報告するものが幾つかあります。しかしながら、これまでその報告の様式が定められておらず、各指定法人によって報告の内容、形態がばらばらという状態でしたので、報告する際の様式を定めて指定法人宛に通知しております。
一番最後のページについては、「海外の補助犬使用者の入国プロセス」を参考にお示ししましたので、後ほど御覧いただければと思います。こういった取組については、先ほど御紹介が漏れてしまいました、失礼いたしました。警察庁の国家公安委員会様にも御協力を頂きまして、今日ここには、横井係長がいらっしゃいますけれども、警察庁にも御協力を頂きまして、また、農林水産省動物検疫所にも御協力を頂いております。以上が、これまでの身体障害者補助犬の施策の動向です。
続いて、資料3を御覧ください。「身体障害者補助犬の訓練・認定等に関する課題への対応について」です。ただいま施策の動向について御説明を申し上げましたが、課題としては、身体障害者補助犬の質を一層確保する必要があるのではないか。つまり、社会に受け入れていただくためには、きちんと質が確保されているということをしっかり確認していく必要がある。ですので、質がきちんとした補助犬又は使用者であることを一層確保する必要があると考えております。そのために訓練や認定に関する実態や課題を把握することが必要ですけれども、従来、なかなか把握できていなかった。それと、認定プロセスの透明性を確保することであったり、公平性があるかどうかという観点で検証する必要があると考えました。そのため平成30年度障害者総合福祉推進事業という調査事業がありまして、その中で身体障害者補助犬の訓練・認定の実態に関する調査研究というものを行いました。これは、みずほ情報総研が採択して行なった事業です。
その調査研究結果を踏まえて、対応方針としまして外部有識者による検討会の設置、本検討会でありますが、検討会を設置すること。また、厚生労働科学研究を実施して対応方針を検討する。この2点を考えております。そういったものを踏まえて、適正な訓練・認定の実施に向けた対応を検討してまいりたいと考えております。
次ページ、「平成30年度障害者総合福祉推進事業における実態把握」について、かいつまんで御報告を申し上げます。詳細については、後日、厚生労働省のホームページで報告書全文が公開される予定になっております。みずほ情報総研が調査を行いました。主にアンケート調査とヒアリング調査の2つの柱で実施していただきました。アンケート調査については回収率が8割を超えておりますので、比較的十分な調査ができたのではないかと思っております。ヒアリング調査も過去3年間で認定実績のある事業者を抽出はしておりますけれども、幅広く、比較的充実してヒアリング調査ができたのではないかと思っております。
結果の概要です。1点目、訓練事業者の実態ですが、医療機関や指定法人と連携できておらず、身体障害の評価が不十分な事業者が散見されたということで、そういう評価が不十分である可能性があるのではないかということです。2点目、訓練記録、契約書、手順書等、書類の整備が不十分な事業者が少なくないということです。3点目、訓練は訓練士の経験に基づいて実施されており、このことが先ほど御紹介した書類の整備の不十分さと関連があるのではないかということも言われております。4点目、認定後のフォローアップですが、使用者の社会参加の状況までは、なかなかフォローアップできておらず、例えば犬の健康状態であったり、そういったところに主眼が置かれているのではないかということです。5点目、「人」よりも「犬」の知識や訓練に偏重している傾向が見られるということです。また、訓練事業者同士の横のつながりが希薄で、ノウハウの共有が難しい状況にあるという調査結果がまとめられております。
指定法人ですが、認定を行う際には認定審査会における審査を行うことになっておりますが、その審査内容や時間が法人によってばらつきがあり、認定の質に影響を及ぼしている可能性が示唆されております。もう少し詳しく申し上げますと、1回の認定審査会で何時間も掛けて1人を認定する指定法人もあれば、1回の認定審査会で複数人の認定を行っている、また、短時間である指定法人があったりということで、認定の質に影響を及ぼしているのではないかという可能性があります。それから、今、申し上げたとおり、審査会については、身体障害者補助犬法施行規則で構成員について明確に定めておりますけれども、その構成員が規定を満たしていない状態で審査会が開かれていたり、衛生管理の確保といった検証は行われていない審査会があったというような、課題のある法人が見られております。それから、訓練事業者から見て、認定基準が不透明との意見がありました。先ほどの訓練事業者と同様、フォローアップが十分行われていないという例もありました。それから、記録の作成基準、様式が法人により異なっていること。また、指定法人間で情報共有する機会がないということは、訓練事業者と共通の課題ではないかと考えております。これだけではないのですが、代表的なところを挙げました。こういった調査結果になっております。
次の資料を御覧ください。そういった調査研究を踏まえて、「外部有識者による検討会の設置」ということで、本検討会であります。訓練や認定のあり方について検討していただきます。厚生労働科学研究、また、障害者総合福祉推進事業の結果をもとに、さらに、その調査研究に対する御助言も頂きながら、具体的な対応について提言等を頂きたいと考えております。必要に応じて関係団体等のヒアリングも可能かとは思いますが、課題に関する論点整理や必要な対応策の検討を行っていただくということです。具体的に、私どもが例えば施行規則を改正したり、告示を策定したり、ガイドラインを作ったりといった具体的な対応をするに当たりまして、御助言や御提言を頂きたい。また、厚生労働科学研究に対する御助言も頂戴したいと考えております。
対応案の2つ目の「厚生労働科学研究」について、次の資料を御覧ください。今年度から2か年で行う予定にしております。身体障害者補助犬の質の担保及び受入れ促進のための研究ということで、国立障害者リハビリテーションセンター総長の飛松好子先生に研究代表者として実施していただきます。また、研究分担者として、帝京科学大学アニマルサイエンス学科講師の山本真理子先生、また、本検討会の構成員でもあります日本獣医生命科学大学獣医学部の水越先生にも御参画いただいております。また、国立障害者リハビリテーションセンター研究所室長の清野先生にもお願いしております。この4名の研究班で、この研究を進めていこうと考えております。
目的としては、補助犬の質を確保して社会での受入れを一層進めることとしておりまして、4つの柱を立てております。1つ目は、現行法令、既存の各種ガイドライン等の内容を学術的な視点で検証する。具体的に言うと、現行の制度と、その他の法・他制度の認定等の基準等を比較検証するということを考えております。それを基にして訓練事業者に対する、国又は都道府県等の対応の明確化をしていこうと考えているのが1つ目の柱です。補助犬の衛生管理の実態を把握する。2つ目は、訓練事業者及び使用者が行うべき対応を取りまとめる。3つ目は、交通事業者や飲食店、ホテル、医療機関等、各分野で補助犬使用者を受け入れるための留意点について取りまとめるということです。4つ目は、障害者のニーズを的確に把握するために補助犬の種類ごとの需給推計方法について検討するということです。こういった研究を行うことにしておりますので、皆様から是非御指導、御助言を頂ければと思います。
最後の資料です。「全体のスケジュール」ですが、これは現在想定しているスケジュールです。状況に応じて変更があり得るということですが、本日、検討会第1回を開催しております。これは厚生労働科学研究の進捗にもよりますけれども、10~12月に第2回の検討会を開催したいと考えております。常に私ども事務局に対して、又は厚生労働科学研究の研究班に対しても御助言を賜れればと考えております。来年度についても上半期で1回、下半期で1回、合わせて4回程度開催させていただいて、御提言をその都度御報告、又は御助言を賜りながら進めてまいりたいと考えております。最終的に御提言を頂いて、私ども事務局の対応を考えたいと思います。資料に関しての説明は以上でございます。
○江藤座長 ただいまの説明について、御質問あるいは御意見等をお願いいたします。ただ、本日は初回ということでもありますので、構成員の皆様の自己紹介を兼ねて、補助犬の訓練及び認定等のあり方、現状に関するお考え、あるいは将来のあり方についてのお考えも含めてお話いただければと考えております。
最初に私の自己紹介をさせていただきます。私は、平成17年に国リハに移りました。最初は病院長をして、それから更生訓練所長、自立支援局長、それから総長と一通りはお仕事をさせていただきました。国リハでは学院の主催になりますが、いろいろな企画で研修会を行ってまいりました。補助犬については平成14年に法律が整備されて、私の4代前の総長の初山先生が座長を務めていろいろな訓練、あるいは養成等についておまとめいただいたことがあります。そこで平成15年から補助犬に関する研修会を始めました。
盲導犬については、視覚障害に関してずっと長い歴史がありますので、それ以前より関わりがありました。所沢周辺でもよく盲導犬は見掛けます。その他については新しくということでした。その後も研修会は続けてきたわけですが、この検討会があり、その前には関連して研究事業ということで、実際に国リハの研修会はどうなっているかと思い、最近の様子を振り返ってみました。そうすると、年に1回で情報が十分に周知されていないのではないかという御意見を伺いました。定員が20名で、20名以上の応募がありますが、20名で5日間やっています。それぞれ行政に関係する担当者、それから養成訓練等に関わる専門家などが参加されています。
最近は動物愛護の観点からの整備も必要とされますが、補助犬だけではなくて、いろいろな動物が障害のある方にパートナーとしても関わっている状況があります。その視点から見ると公的な病院ですら余り盲導犬を見かけません。私は、栃木県の獨協医科大学にいたときに、気になって、医学部でちょっとしたキャンペーンをやったことがあります。その頃はまだ法整備がなされていませんでした。ただ、盲導犬については周知されていたはずでしたが、事務に問い合わせると、病院の受付で盲導犬を預からせていただいて、1人ないし2名の事務方が付いて御案内しますので問題はないということで、実情はこんなものかなと思った覚えがあります。
その後、最近になっても余り病院の中で盲導犬を見掛けることはありません。最近は視覚障害の方にはガイドヘルパーが付いて、外出する機会を増やそうということがなされていますが、もう少し盲導犬についても一般の方が触れる機会があってもいいのではないかと考えております。いろいろ課題があることを実感したところで、この検討会では構成員の皆様方からもいろいろ御意見、御発言を頂きたいと考えております。それでは、座席の順で吉野構成員からお願いいたします。
○吉野構成員 私は、一般財団法人全日本ろうあ連盟の吉野と申します。全日本ろうあ連盟は、加盟団体が全部で47都道府県にあります。そこに加盟して、私たちは聞こえない、手話言語を使う者の団体ということで、福祉の向上、手話養成、情報コミュニケーション保障、手話言語法等を目指して取り組んでおります。私は平成30年度の検討会にも出席して、引き続き今回の検討会にも構成員として参加することになりましたのでよろしくお願いいたします。
いろいろ調べてみると、全国の聴導犬の数が、平成31年3月に厚生労働省のホームページにアップされたのを見ると、盲導犬が941頭、介助犬が65頭、聴導犬が68頭。資料に掲載している数字とは違いますけれども、平成30年度3月ということです。盲導犬、介助犬、聴導犬を比べると、ものすごく介助犬と聴導犬が少ない。盲導犬はかなりたくさんあるという状況です。介助犬と聴導犬がこんなに少ないのはなぜなのだろうか。平成14年度に法律が始まってからもう10年近く経っているのに、なかなか増えていかない原因について、調べてみました。
全国の状況を見ると、関東又は近畿では聴導犬が結構います。北海道、東北、北信越にはいないのです。九州には2頭だけいます。私は福岡に住んでいますが、福岡はゼロです。そういう状況で非常に少ないという現状があります。
全国ろうあ者大会開催期間中に聴導犬を普及させるためにいろいろと周知するイベントあるけれども、なかなかそのことが普及しない現状があります。やはり聴覚障害者団体との連携が大切になってくるのではないかと思っています。滋賀県の場合は、びわこみみの里でそういう事業を行っていて、聴覚障害者団体と連携して、とても良いケースがあって普及しています。福岡の場合にはそういうものがない状況です。先日発行した聴導犬の訓練基準に関する検討会報告書を読ませていただくと、その中には、訓練育成団体は、その他協力団体として聴覚障害者団体と連携を持つことが大切だと書いてあります。正にそのとおりだと思いますので、この機会を利用して全国にそのことを広めていく必要があると思っております。
もう1つは施設を円滑に使用するということで、こちらの資料に書いてありました。身体障害者補助犬法の中に、一部見直しが必要ではないかと思うところがあります。それは第4条に、「補助犬を同伴するときには断らないように努めなければならない」と、民間施設の所にそういう曖昧な文言があります。「断ってはいけない」と記載されていなくて「努めなければならない」というような言葉の使い方が曖昧です。実際に前の調査の報告を見ると14ページに、「アパートでは家主の理解が受けられないために使えなかった」という、とても残念な報告があります。今は障害者差別解消法がスタートしておりますので、当然聴覚障害者が聴導犬を使用したいと言った場合は、それをきちっと受け入れる必要があると思います。その辺りに一部改正ができればと思っています。
また、来年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。外国からたくさんの方がいらっしゃいます。その中には聞こえない人もいる可能性があります。そのときに聴導犬を伴ってくるケース、そのときの受入れ体制というもの、例えば聞こえない人が来たら手話通訳等の情報保障はどうなっているののでしょうか。そういう部分を具体的に盛り込んでいただければと思っております。以上、私の意見です。よろしくお願いいたします。
○江藤座長 ありがとうございました。続いて橋井構成員、お願いいたします。
○橋井構成員 日本盲人会連合の橋井と申します。よろしくお願いいたします。日本盲人会連合は、北は北海道から南は九州まで61団体あります。その団体の中で私は常務理事をしております。私は、名古屋市から本日はこちらに出席させていただいております。名古屋市のほうでは、身体障害者福祉連合会の会長もしておりますので、多くの聴導犬と盲導犬のユーザーの人たちを見ることもあります。
私は、もともとロービジョンというか、ほとんど困らない弱視で、読み書きも何も困りませんでした。そんな中で生活をしていたのですが、平成17年に全く見えなくなりました。東京都内の場合は、本日も事務局のサトウさんが隣に来てくださっていますが、一緒になって行動しています。名古屋市内では歩行訓練を受けて、今は1人で歩いています。盲導犬を使用しない一番の理由として、私は犬が大好きですが、食べる席とか、あるいは東京のようなあれだけの交通機関の満員の中を、犬を同行するのは少し躊躇するということで今なお犬は持っていません。
先ほど座長からも、ガイドヘルパーが少しずつ普及してきたということで、盲導犬が少ないのかというお話がありました。実は同行援護、ガイドヘルパーを使うときには、まだ、行きたいときにどこへでもというわけにはいきません。盲導犬というのはちょっと散歩しようかとか、雨が上がったから行こうかというのが本当にできます。それから、家族の手伝いは必要ないのです。家族はどうしても学校とか生活があります。配偶者もそうなのですが、利用できないということで、犬の使用とか利用価値というのが一番大事かと思っております。
私の妻は子供のときに失明しました。今は子供たちも大きくなりましたので、一緒に買物や移動ができないということで、何年か前に盲導犬の貸与を受けました。3頭目の犬が6歳半ぐらいで、昨年6月に亡くなりました。病院にかかったりしましたので、亡くなる頃には65万円ほどかかりました。今は、貸与を受けていた所に働き掛けをしているのですが、今なおありません。今まで1人歩行していた人が盲導犬を持って、その盲導犬が外れると私が知る限り1人では歩行できなくなる方が多いです。私の妻もそうなのですが、生活する中で、買物、散歩、病院へ行ったりということが、誰かの手を借りなければ行けないということで、もう11か月になっています。
本来施設という所は、新しくユーザーになろうとしている方もあれば、代替えもあります。そういうところで、協会とすれば、それをきちんと計画的に作ることはできると思うのですが、それをきちんと計画的にしていないのか。一人一人の計画書みたいなものを長期的に作っていただいて、盲導犬が病気などでリタイアしたときには、1か月ぐらいで、改めて貸与ができるような体制を取っていただきたい。盲導犬を持つということは、金銭的な負担もかかります。病院でのケアとか飼料代もあります。妻の盲導犬が病気になったときには医療費はかなりの負担になりました。そういうところは国あるいは市区町村といった行政からの援助も頂ければと思っております。
前回の調査の中で、いろいろ心配なところがありました。1番はそれぞれの協会によってですが、大体10歳ぐらいでリタイアとか、あるいは12歳、そういうことは全然考えていないとか。こういうものも、きちんと計画的にしていただきたいです。あとは、マッチングをどうしているか、ある人は、急にマッチングでOKになって盲導犬を貸与されたりします。ところが、2年、3年待っても頂けない。これは、きちんとした公開というか、分かるようなマッチングの方法を各協会に仕向けていただきたいというところがあります。
今回は2年かけてこういう検討をするということですので、ユーザーのほうを向いた形で私もいろいろ提案していきたいと思っています。
○江藤座長 ありがとうございました。最初に私が余計な時間を使ってしまいました。時間も限られていますので、5分ぐらいをめどにお願いいたします。続いて長岡構成員、お願いいたします。
○長岡構成員 東京視覚障害者生活支援センターの長岡と申します。私どもの施設は、障害福祉サービスの機能訓練と就労移行支援の多機能事業所ということで、サービスを提供させていただいています。特に今回関わりのあるところで言うと、視覚障害者の機能訓練ということが中心になるのかと思っています。一般的な訓練で言うと移動の問題、白杖歩行であったり、パソコンであったり、点字であったり、身辺処理であったり、日常生活動作であったりという訓練を提供しています。私どもの所では、盲導犬の訓練は実際には行っていません。ただ、利用者の中には、私どもの訓練が終わる、ないしは途中で、移動については白杖では非常に不安があるので盲導犬を利用したいということで、実際に盲導犬の訓練に行く方もいます。私は、視覚障害者の歩行訓練士でもあるのですが、私の立場から見ても、安全性ということを考えたら多分盲導犬は白杖を上回っているだろうというのは認めざるを得ないのかと考えています。
そこで問題を感じているのは、全国に11か所盲導犬の協会がありますけれども、認定の仕方が違います。例えば、ある協会で、あなたは犬を持てませんと言われた方が、他の協会では持てますというような、ダブルスタンダードが実際にあるのかどうかというのが私どもにとっては分かりづらいです。実際に盲導犬の貸与をするときのいろいろな資料を拝見させていただく機会もあるのですが、事業所の実際に訓練する場所での意見、それから自治体の意見、御本人の意向等を見ると、訓練をしている事業所の意見はかなり強いのだろうと思うのですが、何かスタンダードが違うというような感じをいつも抱いています。それがまず1点です。
それから、盲導犬が私どものやっているような機能訓練、いわゆる障害福祉サービスと分かれて提供していいものかどうか。その制度的な立場というものが非常に異なっている。移動に対して同じような訓練をしていて、違っていてもいいのか。それは財政的な問題で、盲導犬もかなりきついのではないか。私どもの施設が財政的に豊かだということは全然ないわけですけれども、ある程度報酬単価が決められた中でやっていくというのが、今の障害福祉サービスであるとすれば、盲導犬も同じような考え方に立ってもおかしくはないのかということも1つ考えたりします。
全体として考えたときに、盲導犬は視覚障害者の移動の手段として非常に大切なものだし、選択肢の提供というのが福祉サービスの中では一番重要なことになっていくとすれば、盲導犬と白杖と同行援護というものをうまく使いこなせるというような体系というものがあるのが本当は望ましいのかと私は考えています。
○江藤座長 ありがとうございました。それでは、中野構成員お願いいたします。
○中野構成員 慶應大学の中野と申します。私は30年ほど前から、主として視覚障害のある子供たちの支援からスタートしています。現在は、様々な障害のある子供たちや大人の方々の支援活動や、社会的な体制づくりという活動をさせていただいています。今回の、補助犬訓練認定のあり方の検討の中で、一番重要な目的になっているのは、社会での受入れを一層進めるという部分だと理解しています。これまで内閣官房の会議で、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議等に参加させていただき、議論に加わらせていただきました。
この行動計画では、補助犬の問題について明文化して研究をしています。例えば、身体障害者補助犬法や、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、身体障害者補助犬を同伴した人の受入れが社会全体で行われるよう周知徹底を図っていくことも重要であるというように、行動計画の中に明記されています。これが明記されたのは、議論の中で補助犬の社会的な受入れが適切ではないというユーザーの声があったからだと理解しています。この行動計画は今、オリンピック・パラリンピックに向けて、日本政府が非常に重視し、全ての省庁を横断して推進している事業だと理解しています。
これを受けて、国土交通省でも交通事業者向け接遇ガイドラインを昨年作りました。私は、そちらの座長を務めさせていただきました。このガイドラインの中でも、やはり法律でちゃんと定められているにもかかわらず、社会での受入れが不十分であるという議論が出てきました。これを更に進めるために、研修プログラムも昨年度国土交通省で作り、その研修プログラムの中に、適切な社会の受入れが必要だというようなことを盛り込ませていただいております。今後それを進めていくという話になるかと思います。
そのためにも補助犬の質を担保していくことが重要で、この会議の中では、これまでの資料を見させていただくと、補助犬そのものの訓練や認定というところにすごく力点が置かれていると思います。その際に重要なのが、この行動計画でも述べられているユーザーの評価だろうと思います。先ほど、吉野構成員と橋井構成員からお話があったように、補助犬そのものが問題なのではなくて、それを使っているユーザーの視点で考えたときに、入店拒否をされるというのは人権の侵害に当たることなので、そういう観点からこの話を進めていく必要性があるかと考えています。
○江藤座長 ありがとうございました。続いて水越構成員、お願いいたします。
○水越構成員 水越と申します。この中では仕事として補助犬に直接関わっていないのは私だけだと思います。獣医師であり、普段は大学で学生の教育をしている立場です。補助犬ということだと、なぜ補助犬なのかということです。昔からちょっと身近にというか、盲導犬の訓練施設でボランティアをさせていただいたり、私は獣医学の中でも臨床行動学ということで行動学が専門になっています。その留学をした際に、アメリカの聴導犬団体でボランティアをしていた経緯もあり、補助犬に興味があるというところから関わらせていただいているという立場です。
また、国リハの研究所に在籍していた経緯があり、そのときに先ほど江藤先生からお話がありました、補助犬の訓練者の研修会でも初回から補助犬の衛生管理、行動管理についての講義を担当させていただいております。先ほど中野先生からもお話があったように、補助犬法ができて15年たつのですが、公共施設では受入れの義務があるにもかかわらず、いまだに受入れの拒否が非常に多いということは、やはり衛生又は行動管理という部分も1つ理由にあるのではないかと感じております。そこで、今回、厚生労働科学研究のほうでも衛生と行動管理について研究を担当させていただいております。
先ほど、受入れ拒否というのは人権侵害だというお話もありました。障害者自身を拒否するというだけではなくて、私の場合は動物の専門でありますので、補助犬自体の衛生であるとか、補助犬の行動を管理するという視点から、いろいろ議論ができたらと思っています。それが訓練認定というところにもつながってくるのかと思っています。よろしくお願いいたします。
○江藤座長 ありがとうございました。続いて吉田構成員、お願いいたします。
○吉田構成員 日本作業療法士協会からまいりました、作業療法士の吉田と申します。よろしくお願いいたします。こちらにいらっしゃる構成員の皆様は、恐らく作業療法士という職業については御理解いただいているかと思います。現在、有資格者が全国で8万5,000人ほどおります。日本作業療法士協会の会員数としては5万8,000人が全国にいると報告されています。そのように、非常にたくさんの会員を抱えている団体の1つです。主に医療機関に勤めている者が多いと思います。私たち作業療法士がいつも考えておりますのは、リハビリテーションの理念として、先ほど中野先生からもございましたが、人の権利を全人的復権というところをいかに実現していくのか、それを作業療法の視点からお手伝いするのが私たちの役割であると考えています。
一般的に、もしかしたら医療機関などに行かれたときに、医療従事者が威張っているのではないかとか、自分たちのやりたいことを聞かずに勝手に決めるのではないかというようなことを感じる場合も、もしかしたらあるのかということをちょっと懸念しています。それは、決して私たちの役割の本分ではありません。私たち作業療法士は、障害のある方と共に生活を考え、一緒にその方自身がしたいと思っている生活を実現するために、応用動作と言われているような、暮しに必要な動作を一緒に改善したり、工夫したり、生活しやすくするというのが役割だと思っています。
その視点から考えたときに、補助犬というのは障害のある方の選択肢の1つとして非常に重要なものなのではないかと考えています。特に作業療法士は介助犬の使用者と関わることが多いです。やはり介助犬を使うことによって、生活がどのように豊かになるのか、そこをお手伝いしたいと考えています。そのために必要であれば、身体障害の評価というものもお手伝いいたします。それから生活の中で、補助犬や介助犬が行う介助動作に必要な道具も作ってまいります。また、全体的に環境調整をしたり、社会参加をされるときに必要な支援の内容であるとか、周りの方々が気を付けていただきたいようなことを周知していくという役割も担っています。
そういう点から考えたときに、今回この検討会でお話をされる目的として、認定、訓練の実態について調べた結果から、もう少し社会の受入れを良くしていくということを踏まえたときに、質を担保することが必要なのではないかと。そこを今回は検討していきたいということについて述べられていました。そこを考えたときに、十分作業療法士を活用していただけているだろうかということが1つ疑問点として挙がります。各訓練事業者は、補助犬法の中で、必要であれば医療従事者と連携を取りながら補助犬を育成しましょうということがうたわれております。それがどれぐらい本当に実行されているのか。また、私たち作業療法士のほうも有効に役割が果たせているかどうか。その辺りを私たち自身も検証していく必要があるだろうと考えています。
リハビリテーションはチームで行うということが基本です。1つの役割で全てのことが担えるわけではありませんので、そういう視点で補助犬の育成を是非これから考えていくことが重要なのではないかと感じています。幾つかの疑問点の中には、指定・認定法人に関わっている作業療法士や理学療法士、医療従事者の皆さんがどのように選ばれているかとか、私たち作業療法士も十分その審査会の中で基準が理解できているだろうかというような疑問もあります。作業療法士の中で、補助犬法をきちんと理解して、補助犬を育成するのを手伝える作業療法士をもっと作っていかなければいけないという反省点もあります。こういうことについて、皆様とディスカッションをしながら検討して、是非補助犬を使って、社会の中で自分らしく豊かに暮らしていけるようにお手伝いができたらいいと考えております。
○江藤座長 ありがとうございました。続いて立石構成員、お願いいたします。
○立石構成員 日本言語聴覚士協会からまいりました立石と申します。言語聴覚士というのは、今、吉田先生が作業療法士とおっしゃいましたけれども、リハビリテーションを支えている職種の1つです。言語聴覚士が一番関わる補助犬というのは聴導犬ということになるかと思います。昨年から、これの前段階の検討会というか委員会にも参加させていただいて、いろいろな調査の中で、とにかくまだ聴導犬の数がとても少なく、盲導犬に比べると全然桁が違うということもよく分かりました。実際にその辺りのところでは、今日も吉野構成員や橋井構成員のお話にもありましたように、やはり利用する当事者と、その訓練をしている所との連携が不十分なのではないか。使用する側の方が何を求めているのかということが実はよく伝わっていないので、その数も増えていかないのではないか。
欧米では、アメリカとイギリスを見たところ1,000頭を超える数があります。ですから、それを増やしていくためには、ニーズをもう一回洗い出す。逆に言うと、ニーズは個別なのだと思うのです。そういうところをちゃんと拾い上げるような制度設計にしていかないと、なかなかその数を増やしていくということにはなっていかないのかもしれないというようなことを考えた次第です。この検討会に参加させていただく中で、是非ユーザーの方たちの視点で、一番使いやすい、利用しやすい良い制度。もちろん動物愛護の立場も分かりますので、そういうところも忌憚のない検討ができて、良い形のものになっていけばいいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○江藤座長 ありがとうございました。それでは、森戸構成員お願いいたします。
○森戸構成員 よろしくお願いします。日本社会福祉士会の森戸です。私自身は千葉リハビリテーションセンターという所でソーシャルワーカー、社会福祉士として長年働いてきておりまして、補助犬のほうについては、この法ができる前から、その職場の中で少し関わりを持たせていただいて、これまで来ております。指定法人としてもやっているところではあるのですが、今回、社会福祉士として、社会福祉士は病院で働く医療ソーシャルワーカーもいれば、いろいろな施設とか地域の中で生活する課題に対しての相談を受けている社会福祉士がたくさんおりますので、そうした中で補助犬ユーザーの相談というところに対応していくということが今後も考えられます。
今回、この課題とかを少し見ていく中で、やはり1つの基準をどのようにもっていくかというところがあるとは思うのですけれども、この補助犬は、やはり個別性が高いところがあると思われますので、そうした個別性の対応というところが十分に損なわれないような基準というものを、どのように作っていくのかというのが、課題としてはあるのではないかと思っております。
それと、いろいろな生活場面で補助犬については、ショッピングモールなどに行っても「補助犬の同伴は認めます」という放送が流れたりして、いろいろと情報としては一般市民の方にも入っていきますけれども、実際に、ではその補助犬、介助犬にしても聴導犬にしても盲導犬にしても、どういった認定を受けているのかとか、どういう訓練を受けた犬がそういう補助犬になっているのか、またユーザーはどういった方たちなのかということが、なかなか見えにくいというところがあると思いますので、お互いの指定法人とか訓練事業所の情報の共有ということもありますけれども、一般の方に向けてどのように見える化していくかというのが1つの課題としてあるのではないかと思っております。以上です。ありがとうございます。
○江藤座長 ありがとうございます。では、続きまして石川構成員、よろしくお願いします。
○石川構成員 横浜市役所障害福祉課という所におります石川と申します。よろしくお願いいたします。私自身こちらの福祉の関係につきましては、高齢福祉、障害福祉、児童福祉と10数年ぐらい関わりがあるのですけれども、こと補助犬ということに関して言えば、昨年4月以降、直接担当させていただきまして、まだまだ勉強不足な点がありますけれども、できる範囲で御協力させていただければと思っております。
横浜市は神奈川県にありますけれども、恐らく神奈川県では100頭弱ぐらいの補助犬がいる。そのうちの横浜市では、正確な数は承知していないのですけれども、60~70頭ぐらいを市民の方が活用されていると。それから認定団体さん、訓練団体さんも複数の団体さんがいらっしゃって、そういった意味で横浜市として、やはり補助犬に関するいろいろな課題等を現場で対応しながら、こういった制度のあり方等についても、できる範囲で現場の意見等を伝えながら、こちらで関わらせていただけたらと思っております。
こういった中で、私も1年余りぐらいの経験ですけれども、市内に所属している認定団体さん、それから訓練事業の団体さん等、いろいろ関わらせていただいてきている中で、やはり関わり方が難しいというのは、とても感じているところです。これは制度的なものもありますし、現場での対応的な部分もあるかとは思うのですけれども、1つは私ども社会福祉事業のほうが、政令指定都市ですので、届出の窓口になっております。届出していただいた窓口として、こちらは社会福祉事業法等に関して、今はもう2年に1回ですけれども、盲導犬訓練施設のほうには、いわゆる指導監査というような形の言い方になってしまいますが、運営状況等、厚労省に定めていただいている基準に基づいて、確認・点検等をさせていただいているというところです。
ただ一方で、同じ横浜市内にも訓練事業者さんと認定法人さんを兼ねている所もありまして、実際、団体さんとしては1つなのですけれども、いわゆる認定事務に関しては、そういった権限といいますか、それを確認させていただくような形にはなっていないのかなというのがあります。なかなか、一緒に話をしながら、その部分についてはちょっと聞きにくいといったことがありまして、現場では、お互いがお互いをある程度理解しながらお話をさせていただくのですけれども、そういった関わりが難しい面があるとは感じているところです。
また一方で、横浜市も苦情相談窓口という役割も与えられている中で、ユーザーさんの方から、いわゆる受入れ拒否的な部分、それとは別に団体さんですか、訓練事業者さんとのトラブル的なもの等々の苦情を1年間、はっきりは数えていないですけれども、平均10件前後ぐらいは、直接御連絡いただくようなことがあります。そういった中で、やはり特に団体さんとのトラブル等となりますと、団体さんの条件を聞きながら対応させていただかなければならないということもあります。その辺の関わりについても少し難しいなと思っているところです。
そういった中で、今回、認定訓練のあり方検討会ということですけれども、その部分で市町村、地方自治体として、どういった形で今後、より関わっていくといいますか、協力して、この補助犬のあり方、補助犬が本当にユーザーさんにとって非常に有効なものになっていけるように、社会の理解等も含めて、市町村が様々な面で、やはり役割は大きいと思いますので、少しでもお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○江藤座長 どうもありがとうございます。それでは、続きまして佐藤構成員、よろしくお願いします。
○佐藤構成員 公益社団法人日本理学療法士協会からまいりました佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします。理学療法士はリハビリテーション専門職で、作業療法士、言語聴覚士と並ぶ3職種のうちの1つになります。今、協会の会員数は11万人を超える会員数を持っていますけれども、この補助犬関係で関わらせていただいている理学療法士は、本当に一握りいるかいないかというぐらいのところだと思います。
私のほうは、暫定犬の認定から関わらせていただいている経過がありますけれども、ほかの認定団体の所の理学療法士の方と連携が取れているかと言われると、どうかなと反省をする部分が多いかなと思います。そういう意味では理学療法士が関わることで、理学療法士の認識が一致した中で認定が行われているかというと、そこはもう一度振り返る必要があるかなとは考えています。
理学療法士はどういう職種かと言いますと、作業療法士、言語聴覚士のほうは、今、報告がありましたけれども、理学療法士は基本的には身体障害がある方たちの体の状態を整えるということや、ダイナミックな動き、歩くとか起き上がるといった基本的な動作を作り上げていくというところに支援をしている職種です。そういう意味では、介助犬の起き上がり補助や歩行補助といったところには大きな役割があるのかなと思います。
私たちリハビリテーション専門職としては、その人の生活を支えるというところに大きな役割があるかと思います。支える方法としてはいろいろなことがあるのかなと思っていますが、その人の身体機能を上げるということも1つ、道具を使うということも1つ、介助者を使うということも1つ。道具という言い方は補助犬には申し訳ないかもしれませんが、道具の中には福祉用具や機器、それと補助犬といったいろいろな手段があるのかなと思っています。その中でどういうものを使って、その人がやりたい生活を整えていくのかというところに一番大きな役割が、私たちリハ専門職はあると考えています。
その中、今、人数も増えてきたということもありますが、医療機関から地域に生活の支援の場を移しつつあります。そうすると生活をどう支えていくのか、活動をどう拡大していくのかというところに役割があるかと思います。認定に関わってくる中で、補助犬が欲しい、私たちは主に介助犬ですが、介助犬が欲しいということがニーズになっている方が多いなと思っています。
それがどういう生活をするために補助犬なのだ、介助犬なのだというところのディスカッションが導入のところでは少ないと思います。それはやはり補助犬がどういうことをできるものだという1つ1つの動作の周知にちょっと偏っているかなという気もしていて、最初、導入時期はそれでもいいかなと思っています。
ただその後、認定を受けて自分たちの生活の中で、この補助犬がどう活躍し、どう自分たちの生活を変え、どう社会に役割を持って、自分たちが社会の中の1人として生きていくのだという、発展的な支援というところが乏しいかなと思っておりまして、そこの支援が、やはり認定をする機関に戻されることで、補助犬が本当に生活の中で活きる役割を持てるのかなと思っています。なので、リハビリ専門職としては、生活をどう支えていくのかというところが役割であり、そこを補助犬の認定にどう生かしていくかというところが課題なのかなと思っています。以上です。ありがとうございます。
○江藤座長 ありがとうございます。それぞれ専門家、有識者の立場から、いろいろ御意見を頂きましたけれども、まだ言い足りないこと、質問がある方もいらっしゃるかと思いますので、もし追加がありましたらお願いいたします。
それから、盲導犬は道交法に規定されているところでありまして、本日は警察庁の横井係長が見えているので、もし何か御発言があれば、一言よろしくお願いします。
○警察庁交通局交通企画課横井係長 では御挨拶だけ。警察庁の横井と申します。今の話のとおり、警察は何なのかと言いますと、やはり道路交通法で、目の見えない方が杖や盲導犬を連れて歩くと、当然運転者の方は、それを見たら一時停止するとか徐行するなどの注意をしなければいけないといったような規定があります。あとは盲導犬の訓練の法人の指定について、規則をもって行っているということです。御挨拶がてらですので、交通事故防止の観点から、またしっかりやっていきたいと思っています。
○江藤座長 どうもありがとうございます。まだ時間があるかと思いますので、御意見の追加をお願いしたいと思います。私の自己紹介を追加させていただきますと、余り肩書き
のない人間で仕事をしたくないという人間なのですけれども、日本リハビリテーション連携科学学会という所の理事長をさせていただいています。介助犬、補助犬に関わっている先生方から御意見を頂きまして、やはり連携ということがとても大切です。この学会ができたのも国リハとも結構関係が深いものです。リハの専門職が十分に養成されるようになってきたけれども、それぞれ縦割りで、多職種の会議では言葉ですら必ずしも共通ではないのではないかと感じることもあります。多数の専門職、多数の関係者が、当事者あるいは利用者さんを中心として関わるという中で、この学会は連携の実践をテーマにした極めてユニークな学会であります。会員は500名ぐらいしかいません。でも職種はそれぞれいろいろあります。理学療法、作業療法、ソーシャルワーカー、言語療法、看護、お医者さんもいますけれども、学校の先生がかなり参加しております。
そういう中で、なかなか連携というのは、そう簡単にはいかないことが指摘されています。昨今は介護の世界でも「連携」という言葉が飛び交い、研究費の申請でも連携という言葉が表題にも出てきたりしているのですけれども、その割にはなかなか理解が進まないなと感じています。特にこういう検討会では、それぞれの専門の皆様に有識者として御参加いただいて、連携が促進され補助犬の利用者さんを増やしていくという期待もあります。
それから、一般の方々にこういう補助犬の存在を周知して、そして実際に町の中で補助犬が活動できる、活躍できる、そういう場を増やしていくということでは、いろいろな職種の方が参加して、そしてコミュニケーションを取って連携していくことが必要ではないかなと思っております。
まだ時間がありますけれども、いかがでしょうか。今、一通り御意見を頂いたわけですけれども。
○水越構成員 時間があるということなので、ちょっと言い忘れてしまったところもあって追加させてください。この検討会は補助犬の普及、補助犬を増やすというところにもつながってくると思うのです。動物側、犬側の立場からお話させていただきますと、やはり犬の健康というか、健全性、その中には衛生も含みますが、そこがしっかりしていないと、ただ増やしただけでは、社会参加する中で、健全ではない犬を働かせて犬がかわいそう、つまり動物愛護の観点だけではなく事故などにつながり、ユーザーさんが危険になることもあります。
また作業を犬が嫌がらずにするというような犬の適性の部分が非常に普及につながってくると思っております。ですので、今回、訓練についてのお話がありましたが、訓練の仕方であるとか、どのような犬を選択するかということも、やはり普及というところにも非常につながってくることだと思います。犬であれば全ての犬が補助犬になることは決してないと思いますので、そういった意味で犬側の検討についても、私は非常に必要になってくるのではないかと思っております。すみません、追加させていただきました。
○江藤座長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。
○吉野構成員 全日本ろうあ連盟の吉野です。先ほどのお話で、少し漏れたところを説明したいと思います。中野構成員や何人かの方からもお話がありましたように、補助犬の社会の受入れ体制がない、非常に乏しいという状況、つまり理解がされていないということですよね。聴導犬も同様です。
関東や近畿はたくさん育成、使用者も多く見掛けますので、まあまあ理解はありますが、九州、福岡は聴導犬がいないという状況の中で、東京から旅行で福岡に遊びに来られたときに、福岡の夜に食べたいという飲食店に聴導犬を同伴して、入ろうと思ったらお店で断られたという事例が実際にあります。
障害者差別解消法の違反になりますよね。それが事業者側の理解がないということです。つまり、盲導犬は知っているけれども、「聴導犬、何?」というような、そういう理解が全くない状況にありますので、やはり全国各地、関東や近畿以外の普及していない地域に、補助犬の存在をもっと理解を広める、社会の受入れ体制を整える環境を整備することが、これから私たち検討会として広めていく責務があるのではないかと思います。福岡に広めていく必要があると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○江藤座長 いろいろ御質問も頂いた中で、では、秋山専門官のほうからお願いします。
○秋山専門官 いろいろ御意見をありがとうございます。今、幾つかキーワードを頂戴しました。御質問的なところにもお答えしながら、少しコメントさせていただきます。
オリ・パラの関係で吉野構成員から御発言がありました。先ほども資料の中で御説明しましたけれども、オリ・パラだけではないのですが、海外の補助犬使用者の方の受入れについては昨年に通知し、統一的な指針で期間限定証明書というものを発行するプロセスは出来上がっております。
これによって海外の聴導犬使用者の方であっても、指定法人が日本の聴導犬と同等の質が確保されているということが確認されれば、期間限定証明書を発行することになりますが、その中の情報保障について、指定法人によっては発行するときに併せて日本の体制や工夫の仕方についても情報を提供していただいていると承知しておりますので、引き続きトータルでの情報提供についても工夫したいと考えております。
それからキーワードとしては、計画的に訓練・認定について、全体の計画的なケアマネジメントをしてほしいという橋井常務の御発言であったり、長岡構成員の、例えば、ほかの障害福祉サービスと違っていていいのかという御視点、また、それぞれの先生方から数々挙げられました「連携」というキーワードについて、やはり昨今の障害福祉サービスや社会保障制度全般を通して見ても、そういった連携という視点は欠かせないところですので、併せて厚生労働科学研究のところでも連携のあり方、また、そういった視点での検証をしていきたいと考えております。
なお、障害福祉サービスの御発言がありましたけれども、ちょっと御紹介ですが、従来、特に視覚障害の歩行訓練については、障害福祉サービスの中では長岡構成員が御指摘の自立訓練、機能訓練の枠組みの中でやっておりました。昨年4月の障害福祉サービス等報酬改定において、機能訓練は身体障害、生活訓練は主に知的精神障害の方を対象にしていたところですが、機能訓練の事業所には看護師を必置しなければいけないなどの要件が少し高かったもので、なかなか事業者指定につながらなかったところですけれども、身体障害や知的精神障害という障害種別を撤廃しましたので、いわゆる生活訓練事業者として歩行訓練を行う事業者が指定を受けられるようになっております。
自治体の指定の仕方次第ですけれども、補助犬の訓練事業者についても、もちろん要件を満たせばですが、障害福祉サービス事業者、いわゆる自立訓練の生活訓練事業者としての指定が可能ではないかと考えております。
また、皆様には先ほど御説明した厚生労働科学研究、今年度からスタートしましたけれども、厚生労働科学研究の進め方についても引き続き御助言を頂ければと思います。以上です。
○江藤座長 今、幾つか秋山専門官からコメントやお答えがありましたけれども、いかがでしょうか、そのほかに御意見、あるいはふだん感じておられることでもいいのですが、追加はありますでしょうか。
オリンピック・パラリンピックで海外からいろいろな、特にパラリンピックの絡みでは障害を持った方々も大勢来られることが予想されますけれども、動物というと、どうも犬
だけではない世界になってきているみたいです。日本のリハビリテーションではペット療法というのは余り盛んではありませんが、ファシリテーターみたいな存在で、いろいろな動物がパートナーとして障害を持った方と一緒に生活するということは国際的には、かなり専門領域として広がっているようですけれども、我が国ではその辺が古くから知られている割にはなかなか広がりにくいようです。そこで、補助犬の存在をまず一般によく知ってもらうということも、1つの課題としてあるのではないかなと感じております。
そのほかにいかがでしょうか。中野先生、どうでしょうか。よろしいですか。今日は第1回ということなので、余り堅くるしく考えなくてもいいかなと思いますけれども、いかがですか。よろしいですか。
生活訓練で視力障害に関しては、国リハでも学院の中に養成コースがあるのですけれども、これは意外と知られていないようです。盲ろう者宿泊型生活支援の事業でも東京都に関わっていただいた記憶がありますけれども、ごく最近になっても歩行訓練の呼び方ですら結構まだまだ議論があります。視覚障害生活訓練専門職のコースを長くやってきているのですけれども、なかなか参加者が増えません。
そこを修了した後、どういう所で活動するかということで、行政との関わりも結構大きいかと思います。それで、補助犬の研修会では、そういう訓練者だけではなくて、行政担当者の方を対象とした講義も含めてやっているわけです。これも人数が定員20名の一部ということで、しかも期間が年度末ぐらいにやることが多く、今年は2月でという時期的なこともあって参加が制約され、なかなか研修会の役割を十分に果たしていないかなという危惧もあります。これを機会に身体障害者補助犬に関するあり方について、この法整備後15年の、ちょうど1つの節目かと思いますので、有識者の皆様方の御参加、御意見を今後、頂ければ幸いと存じます。それでは、秋山専門官のほうから。
○秋山専門官 主に皆様方には厚生労働科学研究の進め方について、御指導・御助言を頂きたいというのが本来の目的の1つですので、少し整理をさせていただきます。先ほど資料の中で御説明を申し上げましたが、柱としては4本あり、今の御意見等も踏まえて、まず現行法令、各種ガイドラインの内容を検証するというところについては、例えば橋井構成員の計画的な訓練・認定の実施であったり、長岡構成員の、ほかの障害福祉サービス等との並びをどう考えるのかという御視点、また、皆様方から頂いた連携をどのように法令上定義していくのかという視点であったり、森戸構成員からは個別性への対応というものをどのように考えていくかという御視点の御示唆を頂きました。
また、それぞれリハ専門職の方々から、それぞれの職域としての専門職の関わり方をどのように考えるのかという御視点を頂いたということです。また、そういった観点で検証も進めていきたいと思いますので、引き続き御助言を頂ければと思います。
2点目の補助犬の衛生管理の実態を把握すること、また、訓練事業者、使用者の方が行うべき対応を取りまとめるというのは、水越先生が主に研究分担者として御担当ではあるのですけれども、先生からも御指摘があったように、結果として補助犬使用者の方が社会で受け入れられるためには、補助犬のそもそもの行動管理、衛生管理をきちんと行うべきという御視点ですので、現状、実は補助犬の衛生管理ガイドラインというものがありますので、そういったものを水越先生中心に検証していただいて、それが実態どうなのかということを踏まえまして、訓練事業者、使用者の方が行うべき対応を取りまとめていただく予定にしております。
3点目の各分野での補助犬を受けるための留意点ですけれども、吉野構成員はじめ、中野構成員など、それぞれ受入れの課題について御指摘を頂きました。補助犬の同伴を拒むことが人権侵害であるといった御視点であったり、各関係省庁のガイドラインへの反映なども踏まえて、また、今、厚生労働省では医療機関向けの受入れガイドラインは、ホームページで公開しているところです。
このガイドラインについて、先ほど江藤座長からも、まだまだ医療機関での受入れが十分ではないという御指摘も頂いておりますので、その内容について、本当に現状はどうなのかということの調査などを行いつつ、現状に合ったものをまず作った上で、交通事業者、飲食店、ホテルといった関係各分野にも発展可能なガイドラインを作っていきたいと考えておりますので、そういったものを、例えば、各障害者団体の方々に当事者の方々にもお伝えいただいて、社会に広げていただくように、引き続き御協力をお願いできればと思いますし、そういった各ガイドラインをまとめる段階においては、是非、御指導いただければと考えております。
それから、佐藤構成員のほうから、どういう生活をするために必要なのかという議論が不十分ではないかという御指摘も頂いておりますが、これは4点目の障害者のニーズを的確に把握するための需給推計方法というものを、実は私どもも課題として捉えておりまして、欲しいことが、ニーズという御発言もありましたけれども、現状、補助犬の需給推計をするときの指標というのが、欲しいかどうかというところに偏っていて、どのような観点で需給推計をしていくかという研究が今までなされておりませんので、そういう意味で、例えば身体機能に着目するのか、生活環境に着目するのか、そういったことも含めて、この4点目の需給推計の方法について検討していきたいと考えております。
こういった4点、今まで皆様の御発言の中で、様々なキーワードを頂きましたけれども、改めて皆様の御発言を踏まえて整理させていただきましたので、また、この研究を進めるに当たって必要な御視点について、御助言いただければ幸いです。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。厚生労働科学研究は今年度、来年度と2年続けて行われることになっておりまして、その研究の成果をより上げられるように、この検討会もお役に立てればと思っております。
ほかに御意見の追加はありますでしょうか。よろしいでしょうか。では、本日は検討会第1回ということですけれども、この辺りで終わりにさせていただきたいと思います。今後の検討会の予定等につきまして、事務局のほうから御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○金原自立支援振興室長 事務局です。最後、私のほうから今後の予定をお話させていただきます。まずは本日、皆さんお忙しい中、また雨の中をおいでいただき、ありがとうございます。また本当に貴重な御意見を頂いたと思っております。皆様から今日頂いた御意見を踏まえながら、今後の進め方も検討させていただきたいと思います。資料3の5ページ目に今後のスケジュール等がありましたが、少し長い期間、2年ぐらいを検討期間と考えておりますので、皆様には引き続きよろしくお願いしたいと思います。
次回日程ですが、そちらの資料にありますとおり、10月から12月頃に開催させていただこうと思っております。また、事務局のほうから、皆様方の調整をさせていただいた上で、御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○江藤座長 どうもありがとうございました。それでは第1回の検討会、本日の議論は以上とさせていただきます。元号が変わるその境目で、これから10連休という、先生方にとってもいろいろお忙しい時期にお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 

照会先

 

障害保健福祉部企画課自立支援振興室