第17回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会

日時

令和元年6月6日(木)16:00~18:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館 ホール11D

議事

○渡邊総務課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第17回「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
本日は、大月構成員、小熊構成員、川上構成員、松田構成員、松村構成員、吉川構成員より御欠席の御連絡をいただいております。事務局において、医政局長の吉田、審議官の迫井ですが、本日、所用にておくれて出席の予定でございます。
次に、参考人を紹介させていただきます。本日御欠席の大月構成員より代理として御推薦いただき、長野県より徳本参考人に御出席いただいております。また、同じく本日御欠席の吉川構成員より代理として御推薦いただき、日本看護協会より堀川参考人に御出席いただいております。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
議事次第、構成員名簿、座席表のほか、次のとおりです。
資料1「特定機能病院の第三者評価について」。
資料2「地域医療支援病院の見直しについて」。
資料3「特定機能病院及び地域医療支援病院の見直しに関する議論の整理(たたき台)」。
参考資料1「一般病院3について(上田構成員提出資料)」。
参考資料2「特定機能病院に係る参照条文等」。
以上でございます。
資料の欠落等がございましたら、事務局にお申しつけください。
よろしいでしょうか。
それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。
冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。
○遠藤座長 それでは、議事に入らせていただきます。
最初に、議事1「特定機能病院の第三者評価について」を御議論していただきたいと思います。
資料1「特定機能病院の第三者評価について」、資料3「特定機能病院及び地域医療支援病院の見直しに関する議論の整理(たたき台)」、これの関係部分について事務局から説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○鶴田保健医療技術調整官 事務局です。
まず、お手元の資料1「特定機能病院の第三者評価について」という資料について御説明させていただきます。
2ページ、こちらは、前回の検討会で事務局より提示させていただいた内容になります。前回は、論点案として、日本医療機能評価機構の一般病院3をどう評価するか、特定機能病院の第三者評価についてどう考えるかという論点を提示させていただきました。
前回の検討会でいただいた主な御意見としましては、働き方改革を進めるべきである状況においては、病院の負担になってしまわないようにすべきではないか。弱点となる部分を埋めていくことが重要なのではないか。特定機能病院の認定審査においては、ガバナンスと医療安全に特化すべきではないか。認定を要件にする場合と受審を要件にする場合、法的な効果が違うので、整理して議論すべきではないか。受審だけをして改善の努力をしないことを容認すべきではないのではないか。日本の病院を評価するという点では、評価機構が適しているのではないかといった御意見をいただいたところです。
1枚おめくりいただきまして、第三者評価に関連する過去の経緯を整理させていただきましたので、その辺について御説明させていただきます。病院機能の向上という観点で過去にさかのぼりますと、昭和62年に病院がみずから医療機能を評価する自己評価という形で、その評価項目・評価基準が、当時の厚生省と日本医師会が協力をして、病院機能評価に関する研究会を立ち上げ、そこでまとめ上げたという経緯があります。平成2年、平成6年と書いてありますけれども、平成6年のところを見ますと、自己評価も極めて重要であるが、みずからの位置づけを客観的に把握でき、改善すべき目標がより具体的、現実的になる。具体的な改善方策の相談、助言を受けることができる。地域住民・患者、他の医療施設などへの情報提供が保証されるなどの効果があるため、第三者による評価が必要であるという考え方がまとめられ、評価機構が立ち上がり、第三者評価機構が行われてきたという経緯があります。これらの経緯の中では、自己チェックにしても、第三者評価にしても、病院の主体的な取り組みとして医療の質を高めていくといった手段として自己チェックなり第三者評価というものがなされてきたという経緯があります。
5ページ目が、第三者評価の現状ということで、現状、評価機構が実施している病院機能評価以外に、JCI、ISOが行われています。特定機能病院に限ってみますと、下から2段目のところです。評価機構に関しましては、一般病院3を受けている特定機能病院が10病院、一般病院2を受けている特定機能病院が64病院となっています。JCIに関しては3病院、ISOに関しては6病院となっております。
1枚おめくりいただきまして、これらの経緯も踏まえまして整理をさせていただいておりますけれども、現状・課題として、過去の経緯も振り返りますと、病院には、医療の質及び医療安全を向上する取り組みを主体的に実施することが求められています。我が国においては、病院の第三者評価は、このような病院の主体的取り組みを支援する活動として、評価機構が実施する病院機能評価を中心に行われてきたという経緯があります。特定機能病院においては、第三者による病院の機能評価を承認要件とすることの必要性が指摘されています。これは前回も御説明させていただきましたが、平成29年の医療法改正の附帯決議の中でもこういった要素が盛り込まれています。評価機構は、2018年4月に病院機能評価の一部として、特定機能病院を対象とした「一般病院3」というプログラムを新設し、今、それを実施しています。先ほど御紹介しましたように、ほかに、第三者評価として、JCI、ISOがあります。これらを踏まえますと、第三者評価の基本的考え方としましては、病院は主体的に医療の質及び医療安全を向上する取り組みを実施することが求められ、第三者評価の受審もそのような取り組みの一部と考えることができます。特定機能病院は、高度の医療を提供し、医療の高度の安全を確保することが求められることから、特に第三者評価の受審をすべきと考えられます。
これらの考え方を踏まえますと、7ページになりますけれども、「第三者による評価を受け、病院が主体的に取り組む」という枠組みの中で第三者評価を「受審すること」を特定機能病院の要件としてはどうでしょうかと。第三者評価の過程で指摘された事項について対応することを特定機能病院の努力義務とする必要があるのではないでしょうか。評価を行う第三者については、特定機能病院の医療安全管理体制などを評価できる機関の中から、病院が主体的に選択できることが望ましいのではないかということで、見直しの方向性を事務局の提案として書かせていただいております。前回の検討会でも、「受審すること」、「認定されること」、どちらを選ぶかによってどういった違いがあるのかを整理して議論する必要があるという御指摘をいただいておりますので、下の部分で整理をさせていただいておりますが、第三者による認定の効力の部分ですけれども、「受審すること」を要件とした場合は認定の有無が特定機能病院の承認の可否には影響しないことになりますし、「認定されること」を要件にした場合は認定の有無が直接特定機能病院の承認の可否に影響することになります。考えられる追加的な制度的対応としましては、「受審すること」とした場合、これは前回も御指摘いただいたところですが、受審をして認定を受ける努力をしないことが起こり得るのではないかという御指摘をいただいているわけですけれども、そういうことが起きないように、第三者評価の過程で指摘された事項について対応することを特定機能病院の努力義務とするかという検討が必要になります。事務局提案は、努力義務としてはどうでしょうかということを書かせていただいております。また、「認定されること」を要件とした場合は、認定の適切性を担保する必要がありますので、その第三者評価を実施する機関に国が何らかの指定をする必要がありますし、また、そこを監督する必要が生じます。第三者評価の実施機関ですけれども、「受審すること」とした場合に関しましては、特定機能病院の医療安全管理体制等を評価できる機関の中から、病院が主体的に選択できるという枠組みで設計することが可能と考えております。他方で、「認定されること」を要件とした場合は、認定された第三者評価の実施機関に限定されますので、選択の幅は減るのではないかと考えております。
続けて、資料3についても御説明させていただきます。こちらは「特定機能病院及び地域医療支援病院の見直しに関する議論の整理(たたき台)」ということで、これまでの議論を踏まえて、事務局で議論の整理のたたき台をつくらせていただきました。
構成としましては、「I.はじめに」、「II.特定機能病院について」、3ページのところに「III.地域医療支援病院について」という3つの構成となっております。
まず、「II.特定機能病院について」の部分についてのみ御説明させていただきたいと思います。
まず、「1.経緯」ですけれども、1つ目の○にありますように、特定機能病院は高度かつ先端的な医療を提供する使命を有しており、患者がそうした医療を安全に受けられるように、高度な医療安全管理体制の確保がなされる必要があります。群大、女子医大の事案を契機として、特定機能病院におけるガバナンス体制を強化し、高度な医療安全管理体制を確立するため、近年、特定機能病院の要件の見直しが行われております。2つ目の○ですが、具体的には、平成28年に省令改正を行い、医療安全管理に関して要件の見直しを行っております。また、平成29年の医療法改正において、ガバナンスに関する要件の見直しを行っております。また、その際の附帯決議として、先ほど御紹介しましたように、広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすることが明記されているところです。
「2.第三者評価の現状について」ですけれども、現状、先ほど御紹介しましたように、病院機能評価、JCI認証、ISOの認証の3つがあります。
「3.第三者評価の基本的考え方について」、「4.見直しについて」、「5.今後の検討課題」を書かせていただいておりますが、こちらは先ほど御紹介した資料1の論点のところに書かせていただいている内容を、本日の議論を踏まえて修正したものをこちらに追記するということで、こちらのドキュメントを用意させていただいております。
事務局からの説明は以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
関連で「一般病院3について」という資料が上田構成員より追加資料として提出されておりますので、上田構成員より内容について御説明いただきたいと思います。
○上田座長代理 前回の検討会で評価機構の橋本常務理事より一般病院3について御説明申し上げましたが、その際、議論がありました一般病院3における医療安全とガバナンスの評価について、私から補足の御説明をさせていただきます。
参考資料1をお願いいたします。
1枚おめくりをお願いいたします。最初の○でございますが、昨年4月に運用を開始した一般病院3は、2015年8月に開発に着手し、2年数カ月にわたり、専門家による検討会を15回重ねて開発いたしました。開発に当たっては、特定機能病院承認要件の改定内容及びこの検討会、また、大学附属病院等のガバナンスに関する検討会での御意見を踏まえ、特に医療安全とガバナンスの評価を強化したところでございます。大半の評価項目においても、医療安全とガバナンスを念頭に評価を行っておりまして、例えば、高度な医療の提供、高度な医療技術の開発・評価についても、病院の方針・基準等にのっとり、倫理・安全面にも配慮して実施していることを評価しております。
2つ目の○でございますが、実際に昨年度一般病院3を受審しました19の病院については、中間的な結果報告で一定の水準に達していないため、評価Cとされた項目が111ございましたが、その指摘の8割が医療安全とガバナンスに関するものでございました。この点につきましては、後ほど詳しく御説明申し上げます。
3つ目の○ですが、一般病院3の医療安全とガバナンスの評価は、3日間の訪問審査のみならず、事前の書類審査、また、訪問審査後の評価部会と評価委員会での審議を経て、慎重に行っております。また、評価Cとなった項目については、改善に向け、繰り返し審査を行う仕組みとしております。これにつきましても、この後、具体的に御説明申し上げます。現状の概要は以上のとおりでありますが、この検討会でも御指摘いただいておりますように、医療安全とガバナンスは極めて重要と考えておりますので、今後、より一層重視して取り組むとともに、また、改定時にこれらを含めて検討したいと考えております。
3ページでございます。昨年度、一般病院3を受審しました19の病院の改善の取り組みについて、受審の流れに沿って御説明いたします。結論を申しますと、病院機能評価では、一定の水準に達していないため評価Cとした項目については、病院が評価機構の支援を受けて改善に取り組み、改善が確認されるまで繰り返し審査を受ける仕組みとなっております。訪問審査の6~8週間後に病院にお届けします中間的な結果報告で評価Cの項目がなければ、そのまま認定されます。中央の1病院が認定となっております。残りの18病院については、※1がございますが、合計111項目が評価Cとなっておりました。これは、全体の項目数の7%弱で、前回の一般病院2で受審した際は1%台でしたので、一般病院3の要求水準が高くなっております。この18病院は、2カ月間、評価Cの項目の改善に取り組みまして、補充的な審査を受審します。なお、9病院は現在審査中でございます。これは、昨年度の19病院の中には、後半の時期に受審された病院については、このような現在審査中という状況となります。評価Cの項目すべてが改善した病院、この3病院が認定となっております。一方、評価Cの項目が残った病院、黄色く囲っておりますが、評価Cの項目が残った6病院は、条件つき認定となりまして、一定期間改善に取り組んだ後に確認審査を受審することとなります。この一定期間は、この6つの病院いずれも6カ月となっております。補充的な審査で27項目が評価Cとされました。※2でありますが、これは改善が確認された項目でも、その定着を確認する必要がある項目については、評価Cのまま残し、一定期間後に運用実績からその定着を確認することとしております。このように、一般病院2よりも厳しい評価となっております。例えば、この27項目の中に臨床倫理の問題を検討する体制がないため評価Cとなったケースがありますが、これは補充的な審査で体制の整備が確認できても、運用実績が不十分なために、6カ月後にその運用実績を踏まえて定着を確認することとしております。一番右側の今後の予定でありますが、6カ月後に受審します確認審査で、評価Cの項目の改善が確認されますと認定となります。しかしながら、確認されなければ、これは認定でなくなるということになりますけれども、認定保留となりまして、さらに6カ月改善に取り組んでいただいた上で、新たに再審査を受審し、改善が確認されると認定となります。
4ページをお願いいたします。先ほど御説明しました中間的な結果報告で評価Cとなった111項目の内容について御説明いたします。この111項目の指摘内容を分類しましたところ、医療安全とガバナンスに関する指摘が8割を占めております。その具体的な指摘事項については、右側に記載されておりますが、例えば、IC書式や同席ルールの不備・不徹底等、このような記載でございます。幾つか事例を御紹介させていただきます。例えば、3つ目の医療安全に関する各種ルールの部門・部署間の不統一でありますが、これは医療安全管理部門で管理するマニュアルの相互間で整合性がとれていないとか、あるいは病院で定めたものと異なるルールが部門・部署で運用されているという指摘でございます。また、死亡症例報告の不徹底は、死亡症例の全報告が一部の診療科で守られていないという指摘でございます。また、パニック値の連絡方法の不備は、迅速に担当医に伝達する仕組みや、担当医が確実に認識したことを確認する手順が不整備であるという指摘でございました。
以上、御説明申し上げましたように、一般病院3の評価では、さまざまな評価項目で医療安全とガバナンスを念頭において評価を行っておりますが、今後ともさらに強化を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ただいま御説明がありました事柄につきまして、御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 上田先生の今の説明に関して、4ページの右側半分ですね。「ガバナンス・医療安全に関する項目の主な指摘事項」の項目は、資料1の11ページ、承認要件の見直しの概要の中、右側の「見直し後の内部統制」というところと対応しているのですか。一部対応しているのか、完全に対応しているのか、そうでもないのか、どれですか。
○遠藤座長 上田構成員、どうぞ。
○上田座長代理 基本的に対応いたしております。
前回も橋本理事がお話ししましたように、ガバナンスと医療安全はかなり一体的ですので、あえてここはガバナンス・医療安全としております。ガバナンスについては、今、先生から御指摘がありましたように、内部統制ですね。つまり、病院としての理念があり、そういう体制がある。それが実際に現場でどのように機能し、また、現実に動いているかというところを確認し、評価を行っております。
○中川構成員 資料1の11ページは、例えば、これはかなり厳しい承認要件になったと思うのですが、例えば、「内部通報窓口機能を義務化」は先生の資料の4ページにありますか。
○上田座長代理 まず、4ページは、評価Cと指摘された項目を挙げています。
○中川構成員 内部通報窓口が機能しているかどうかというのは。
○上田座長代理 ここはあくまでも評価Cと評価した項目を掲載しております。
○中川構成員 だから、資料1の11ページと4ページに整合性があるのかとお聞きしたのですよ。だから、資料1の11ページの右側半分を全部見ているわけではないのですよね。
○遠藤座長 もうちょっと説明してください。4ページと、お手元に持っておられる全ての項目がありますよね。つまり、それを反映しているのかどうかということを何かおっしゃりたいのであれば、その辺をおっしゃってください。
○上田座長代理 私が申し上げたかったのは、まず、4ページについては、後ほど触れますが、この11ページのガバナンスに関しての評価を行って、その上でC評価された項目でございます。
私どもは、冒頭にお話ししましたように、ガバナンス・医療安全に関しまして、今、先生から御指摘がありました、これまでの法改正に伴う省令改正等々、そういった内容、御意見等を踏まえながら、体系的には89項目の中に、先生がおっしゃられていますこの11ページの内容については盛り込んでおります。
○遠藤座長 内部通報窓口があるかどうかということは聞いているということの理解でよろしいわけですか。
○上田座長代理 はい。内部通報窓口を含めて確認しております。
○中川構成員 この内部通報窓口は、4ページの黄色いところに反映されているのですか。
○上田座長代理 今、申し上げましたように、内部通報窓口についても確認をしております。
○中川構成員 では、全部の受審した全ての特定機能病院は内部通報窓口が機能していると審査したということですか。
○上田座長代理 そうですね。ざっと見ましたけれども、C評価はございませんでした。評価は行っております。
○中川構成員 私は、第三者の医療機能評価機構の評価を医療安全とガバナンスに特化すべきということは、例えば、この資料1の11ページの右半分を詳細に審査すべきだということも含めてお願いしたいと思っているのですよ。それで初めて第三者の評価ということの価値が非常に上がるのではないかと思っているわけです。
○上田座長代理 先生、私の資料の4ページの4行目「死亡症例報告の不徹底」はまさに11ページの中に「事故等の報告の義務化」という要件が求められているわけですね。現実に、「死亡事故報告の不徹底」ということで、例えば、一部の診療科においてはされていないところがありました。あるいは、本来であれば自主的に報告することなのですが、医療安全管理部の専従医師がそれぞれの部門に回って収集して、報告がなされていますので、C評価としまして、改善を図るように指導しているところでございます。
○中川構成員 だから、先生、何回もしつこいようですけれども、資料1の11ページの右半分と先生の資料の4ページのこの黄色いところが対応していないように見えるのですよ。していないなら、していないとおっしゃっていただいて、別に非難しているわけではなくて、お聞きしたいわけです。例えば、医療安全管理責任者が配置されているというのは、19病院全部に配置されていたのかと見えてしまうのですね。もし全部やっているとおっしゃるのであれば。でも、そこは見ていないのではないかと思うのですが、違いますか。
○金澤構成員 岡山大学の金澤です。
特定機能病院の場合は、多分、今、中川先生の御指摘の右側部分ですけれども、これはどこもが意識してやっているので、必ず置いていますし、内部通報窓口も必ずホームページに職員に周知できるようになっているし、多分そこら辺は遺漏がないと、受ける側としては思っています。
○中川構成員 特定機能病院がよもや承認要件をクリアしていないとは思わないのですが、これだけたくさんの病院がありますから、温度差もたくさんあるでしょうし、いろいろなことを、医療機能評価機構が審査して認定したのだから大丈夫なんだよということが明確にわかるようにしたほうがいいですよね。
例えば、C評価の項目だけを言うのではなくて、オーケーだったというものも示すべきではないかと。これは信用していないわけではないけれども、せっかく頑張ってやっていらっしゃるのだったら、それは大事ではないかと思います。
○上田座長代理 先生の御指摘は理解しております。
今回、C評価を中心に、ガバナンス・医療安全を強化していることを御説明しましたが、今、先生がおっしゃられましたように、全体の概要がどうなっているかをきちんと示して、その上で、C評価の整理をしなくてはいけないとは思っておりますので、その点については、進めていきたいと思っております。
○遠藤座長 新しく義務化した要件ですから、それをクリアしているのは前提なわけですけれども、新しく追加したのにはそれなりの理由があるので、その実効性についてさらに深く評価をしたらいかがかという趣旨の話かと理解しますので、御検討いただければと思います。
ほかにいかがでございましょうか。
島崎構成員。
○島崎構成員 今の点に関して言うと、先ほどの89項目かどうかは知りませんけれども、中川先生がおっしゃっているこの11ページのところにそれがどう反映されているかという対応表をつくればいいわけですね。それを次回か何かに見せていただければ、ちゃんと中川先生の要求に応えたかどうかということはわかるのではないでしょうか。
○中川構成員 医療機能評価機構は、特定機能病院で承認要件をクリアしているかどうかの下働きというか、下請、そんなことではなくて、独自にガバナンスや医療安全を調べるのだとおっしゃるのかなと思っていたら、そうでもないと言うので、ちょっと意外でした。私は意外なほうがいいと思いますが。
 
○遠藤座長 相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 私は評価機能の評価をする委員なものですからあれなのですが、これまではどうしても仕組みさえあればいいとか形さえつくっていればいいということだったものですから、実際にこれが行われているかどうかということを評価するようにしています。だから、内部通報の窓口があるだけではなくて、実際に内部通報があったのかどうかとか、あった場合にそれをどう処理しているのかまで見て、それがあればBという形にするようにここはつくってありますが、項目を出せと言えば、苦労してつくった項目がありますので、ぜひこの次に見せていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長 そういうお話だと思いますので、したがって、今回新たに追加されたところも示し、それ以外のところもまた新たに見ておられるのだと思いますけれども、その辺がわかりやすいような形でお願いしたいと思います。
どうぞ。
○上田座長代理 関連して、1点、よろしいですか。
十分な説明ができず、失礼いたしました。
例えば、ただいま御指摘がありました内部通報窓口の設置という項目については、「1.3.1 安全確保に向けた体制が確立している」という項目で見ることで整理をしておりますので、次回、具体的にご説明したいと思います。
○遠藤座長 お願いいたします。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 上田先生の資料の2ページ、一番下の○なのですが、「当機構としては、医療安全とガバナンスをより一層重視して評価の充実を図ることを考えている。今後も、運用実績も踏まえ、評価内容の改善に取り組んで参りたい」とまでおっしゃっているので、これは医療安全とガバナンスに特化した「一般病院4」というものをつくるおつもりはございませんでしょうか。ぜひ要望したいと思うのですが。
○遠藤座長 何かありますか。
上田構成員、どうぞ。
○上田座長代理 冒頭に御説明しましたように、2年数カ月かけて、これまでのいろいろな御指摘を踏まえて、私どもとしては医療安全とガバナンスを強化した一般病院3をスタートさせ、これまで19病院について進めております。
確かに先生がおっしゃいますように、我々もこの一般病院3が100%かと言われますと、まだ課題があるかと思います。そこで、我々は、これまでもそうですが、これからも審査を行う中で、いろいろな課題が見つかりましたら、それはきちんと対応していく必要があると思いますので、そのように進めていきたいと考えています。これまでも過去の事例を見ますと大体3~5年ごとに改正などが行われておりますので、そういった改正時にはさらに見直しを図っていくことも考えてまいります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
中川構成員。
○中川構成員 それでは、上田先生は、一般病院3をブラッシュアップしていくのだという御意思だと理解していいですか。
○上田座長代理 私どもとしましては、これまでの19病院についても、実施しながら、データを集め、課題も整理して、より強化された、質の高い審査に努めております。と同時に、今、先生がおっしゃいましたように、課題がありましたら、それは見直しといいますか、ガバナンスと医療安全についてさらに強化を図っていく必要があると考えております。
○遠藤座長 それでは、いかがでございましょうか。
特にもう一つ重要な課題は、資料の7ページにありますように、「受審すること」を要件とするのか、「認定されること」を要件とするのかというところは事務局の案も出されておりますけれども、これも大きなところでございますので、この点についても御意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 これを拝見させていただきまして、第三者評価の受審を要件にすることは、私としては賛成したいと思っております。ただ、今のお話を聞き、第三者評価の過程で指摘された事項について対応することを、努力義務とすることについては少し疑問に思いました。指摘事項の内容にもよりますが、患者の安全性に支障が生じるような事項については、早急に改善を図るように義務づけることが必要ではないかと思っております。中には直に対応できない事項もあるかもしれませんが、最低限、更新時までの改善が必須という形にはすべきではないかと思っております。
また、評価を行う第三者機関について、病院が主体的に選択できるという点についても、第三者機関については一定の条件をつけるべきではないかと思っております。資料1の5ページに、日本医療機能評価機構、JCI、ISOが想定されておりますが、現状の比較を見ても、特定機能病院を対象としたプログラムや更新審査時期にも違いがありますし、ISOについては病院機能ごとの認証がないということもあるため、少なくとも医療の質や安全などについては、特定機能病院の特性を踏まえた一定水準の審査が可能な第三者機関でチェックする必要があると思います。病院側から考えますと、審査が厳しい第三者機関より、審査が厳しくなく、安価で更新期間も長い第三者機関で要件をクリアできるのだったらそちらにシフトする危険性もあるのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいまの御意見は、「認定されること」を要件とすることに限りなく近い御意見だったようですけれども、これについていかがお考えでしょうか。
三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 私も、今の本多構成員の御意見におおむね賛成なのですが、前回、受審ではなくて認定を要件とするべきではないかという意見を申し上げました。今回の上田構成員の資料の中でも、まだ継続審査中が9病院、受審19のうち認定1、これはまだ途中経過なのでわからないのですが、前回、改善の努力をするのだけれども、何回受審しても合格しないことも間々あると伺いました。受審だけして、改善の努力はしているけれども、クリアできなくて、それをよしとするかというと、そこは疑問があります。「受審すること」を要件とした場合に反対するわけではないのですが、今、本多構成員がおっしゃったように、努力義務よりもう少しはっきり改善したというものが必要ではないかと考えます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 先ほどの「受審すること」を要件とするか「認定されること」かという話なのですけれども、通常、私の病院なども機能評価は2を受けていますけれども、例えば、受審をして、指摘された事項に対してきちんと対応すれば、それは認定されることがほとんど多いわけですよね。
国が第三者評価をもし「認定されること」を要件とした場合には、第三者評価の実施機関を決定し監督が必要という案に関しても、実際に民間のそういうところを国が監督できるのか。例えば、JCIなどに関してはアメリカの機関ですよね。それを国が監督することができるのかというところも疑問が起こってくると思います。
○遠藤座長 現状について御説明いただいたということですね。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 今、中村先生がおっしゃったのは、最後のところはそのとおりですが、もし「認定されること」を要件とする場合は、厚労省が監督できるところの第三者機関を決めればいいということになりますよね。本多構成員も三浦構成員も、おっしゃったのは、「受審すること」を要件ではなくて、「認定されること」を要件という意見だと私には聞こえます。
上田先生、この先生の資料の3ページで、「受審すること」を要件とした場合に、この絵の中でどの辺ですか。受審するというのは、最初の一番左の19病院が自動的に要件クリアということになるわけですか。
○上田座長代理 「受審すること」となりますと、19ですね。
○中川構成員 では、はっきり言って、ほとんど意味がないですね。要件にする意味がなくなりますね。
○上田座長代理 要件については、私が申し上げる立場ではないですけれども、病院機能評価については、評価を通じて、ここにありますように、質の改善を支援するという、この流れで取り組んでおります。受審病院が、評価機構が指摘した課題と改善点について改善を図るという流れでこれまで進めております。
ですから、例えば、この黄色の6病院については、6カ月の間の改善期間に改善を図っていただいて、改めて確認審査でそこが改善されていますと認定ということになります。そういうことを当然病院は目指して取り組まれていると考えております。
○遠藤座長 金澤構成員、お願いします。
○金澤構成員 認定するのは国であって、第三者機関が認定するというのはそもそもおかしいと私は思います。国が第三者機関に委託して改善を図るということがそもそもの趣旨であるのだから、これは「受審すること」を要件とするべきであって、その受審に基づいて各病院が改善を図って、挙げ句の果てに全然改善しないので、これは特定期の病院として認定しないという判断を国がするというのが筋であって、第三者機関が認定するというのは、そもそもの特定機能病院の要件から考えると全くおかしいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
坂本構成員。
○坂本構成員 この病院機能評価というのは、ある一瞬の断面を見るというのではなくて、病院として継続的に質の改善と安全確保を、PDCAサイクルを回しながら行う仕組みができている、あるいはそれが実際に機能しているというところまで見るものだと思います。もちろん改善の努力をしないことに関しては非常に問題だと思いますけれども、例えば、資料の11ページで、この機構の評価とは別に、今、特定機能病院では、相互チェックでピアレビューということで、お互いのガバナンスや医療安全について特定機能病院同士でチェックをしているわけですけれども、これらについて、例えば、外部監査委員会に報告をして、外部監査委員会で評価を受ける。あるいは、国の地方厚生局の立ち入りのときにも、ピアレビューの指摘事項について、それに対してきちんと対応しているかどうかについて毎年確認を受けておりますので、少なくともこの機構から評価を受けて、また、C項目である、あるいは、ぎりぎりCは脱したけれども、その後、継続的な努力を続けているかなどということを、こういうようなところで改善の努力を続けているかどうかを確認していただくというのが妥当ではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 先ほど中村先生が御指摘されたように、第三者機関に国が入って監査することは現実的ではないと思っておりますが、ただ、特定機能病院をチェックする以上は、国が第三者機関として適正であるかどうかというポイントになるところだけは決め事としたほうがいいのかなという観点で申し上げております。
○遠藤座長 要するに、今回は、簡単なほう、緩いほうの「受審すること」すら、義務化するというのは相当これまでよりは一歩進んでいる話なわけですね。これまでは受審の義務化はないわけでありますから。
どうぞ。
○中川構成員 あの2特定機能病院は、一般病院2はクリアしていたのですか。そのことを考えると、受審すればさらに踏み込んでいるとはいえないのではないですか。
金澤先生がおっしゃるのはそのとおりなのですけれども、第三者評価の結果を見て、最終的に国が判断するというのを要件にするという意味だと思うのですよ。ですから、事務局、最初の特定機能病院の承認要件を審査するときには、どこでやるのですか。部署、局、課。
○鶴田保健医療技術調整官 まだ特定機能病院でない一般病院が特定機能病院の申請をしてきた場合、その審査をするのは医政局総務課が担当しています。
○中川構成員 では、見直し後の承認要件は、まだ一度もやっていないんだ。
○鶴田保健医療技術調整官 既に特定機能病院として承認されているところが施行されてからその要件を満たしているかどうかというところに関しましては、各厚生局が立入検査にて確認しています。
○中川構成員 一度は全部終わっているのですか。
○鶴田保健医療技術調整官 終わっています。
○中川構成員 その結果はどうだったのですか。
○鶴田保健医療技術調整官 基本的には、どの病院も施行後に関してはほぼクリアしていますけれども、厳密に言うと、一部、これからやりますと言っているところもありますので、そこは指導しているという実態もあります。
○中川構成員 そうなると、例えば、この上田資料の3番目のパワーポイントを見ると、厚生局はちゃんと見ているのかという気もしないでもないですね。19病院のうち18病院で評価Cがあるのですよ。だから、そういう状況では、国がちゃんと審査をすれば、民間の審査、第三者評価よりも厳しくて正確だということは言いづらくなりますよね。
○鶴田保健医療技術調整官 国も、今回、制度改正をして、客観的外形要件等をセットしているわけですけれども、当然それを満たしているかどうかというのは立入検査等で確認をしていくわけです。その外形的なところはしっかりと確認していくわけですけれども、本当にそれが機能しているかどうかというところに関しては、問題が起きれば当然そこもしっかりと見ていくわけですけれども、平時、特段問題が起きていない状況においては、なかなかチェックが難しい実態もあるのが実情かと思っております。
○中川構成員 だから、第三者評価をする意味があるのですよ。機能しているかどうかの調査、審査を委託するわけですよ。そこに意味が出てくると思うのです。だから、一般病院3を医療安全とガバナンスに特化して、精密な審査ができるようなものにしてほしいとお願いしているのです。高度な医療とか、そういうものは、特定機能病院の承認要件それ自体に任せればいいと思うのです。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 先ほど金澤構成員がおっしゃられた、国が認定するので第三者機関が認定するわけではないということはごもっともなのですが、例えば、受審を要件とした場合に、この上田先生の3ページの表で、一番左の「訪問審査」の段階で認定要件はクリアになりますけれども、最終的に、6カ月後の再審査の後も評価Cがあって認定留保、改善の努力をしたけれども足りなかったということがあった場合に、ここは要件はクリアしているけれど認定はできないということは、国の判断でできるのでしょうか。
○遠藤座長 いかがですか。
○鶴田保健医療技術調整官 内容によると思うのですけれども、特定機能病院の承認要件に関することでもしC評価がついているのであれば、当然取り消しどうこうという議論にはなり得るわけですけれども、承認要件とは関係ない要素で、第三者評価、評価機構独自にC判定をつけているものに関しましては、国として取り消し云々の議論はできないと思っております。
○遠藤座長 国がやるとするならば、基本的にそういうことですよね。
相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 この一般病院3という特定機能病院を見るというものが、医療安全とか、そこだけを見るのではなくて、病院全体を見ます。ですから、審査の中で、ここにもCとあるのですが、行ってみると、初期研修はしっかりとやっている特定機能病院でも、病院としてやるべきことがやられていないというのも見えてくるわけですね。そうすると、その病院は本当に大丈夫かという観点から見ていくということも大事で、医療安全とガバナンスだけを見れば、その病院全てが見えるかというと、ちょっと違うと思うのですね。
ですから、そこが医療機能評価で見る視点と厚生労働省が見る視点との違いで、厚生労働省がもしそこだけを何とかどうしても第三者に見させるということであれば、そういう仕組みをつくらなければならないのではないかと思っています。医療安全とガバナンスだけを見るのを病院機能評価機構に委託するという仕組みでないと、今の日本医療機能評価機構が病院全体のありようとかやっていることを見ようというのとはちょっと違ってくるのではないかと思うのです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
評価の視点が違うという御指摘でもありました。
高野構成員、どうぞ。
○高野構成員 ちょっとよくわからないところがありまして、病院評価機構が審査をすることはわかっているのですけれども、そのときに、例えば、条件つき認定とか、改善期間を見ているときに、例えば、期限を定めた改善計画を示して、それを開示しながら指導していくという丁寧な状態にまで行っているのか。ただ評価して、また何カ月後かにまた評価するというだけなのか、その辺がちょっとわからなかったので。
○遠藤座長 先ほどの話だと指導までしているということで、つけ加えてください。
○上田座長代理 評価Cの項目については、具体的に改善について指導させていただいて、それを病院が改善に取り組んでいくことで進めております。
○高野構成員 期限を定めて、ちゃんと計画を立てて、それは公にしていただいていることなのですか。
○上田座長代理 先ほども説明しましたが、この条件つき認定の6病院については、全て6カ月間の改善期間を示しまして、6カ月後に改めて確認審査を行いますので、その間、改善あるいは定着状況を示せるように改善されてくださいということで働きかけております。
○高野構成員 わかりました。
○遠藤座長 大体よろしゅうございますか。
大体御意見はよくわかりました。いずれにしましても、この認定要件とすることになりますと、民間の評価を認定要件のダイレクトにするというのはルール上難しい話だと思いますので、それをどう考えるかという話になるかと思います。今、いろいろな話がありましたので、少し整理した形で、事務局がまとめていただいて、また必要な資料を出していただいて、次回以降もこの問題については検討していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
次、行きましょう。第2「地域医療支援病院の見直しについて」も、資料2「地域医療支援病院の見直しについて」と、先ほどのたたき台でありますが、資料3の関係部分について事務局から説明をお願いしたいと思います。
○鶴田保健医療技術調整官 事務局です。
まず、資料2を使いまして、御説明させていただきます。
2ページ目、3ページ目、こちらが前回の検討会で事務局から提出した資料そのものになりますけれども、こちらの論点をお示した上で、前回、どのような御指摘をいただいたのかを4ページ目、5ページ目で整理をさせていただいております。4ページ目は、前々回の検討会の指摘になりまして、5ページ目が前回の検討会での意見となります。前回の検討会でいただいた意見の部分を御紹介させていただきますが、地域の実情に応じて、既存の要件も含めて、地域ごとに要件の幅を持たせてもよいのではないか。4つの機能をセットで評価する合理性はなく、個別に診療報酬で評価するほうが適切なのではないか。同じような機能を果たしていても、地域の状況によって、地域医療支援病院になれる場合となれない場合があり、不合理ではないか。単に調整会議の協議に追加機能を委ねるというのは、ばらつきが生じてしまうのではないか。在宅医療や訪問看護の支援も考えるべきではないかといった御意見をいただいたところです。
その後ろは、参考資料になります。
続きまして、お手元の資料3の地域医療支援病院の部分について御説明させていただきます。
3ページ目ですが、「III.地域医療支援病院について」。
「1.基本的考え方」ですけれども、またおさらい的にはなりますが、平成8年の医療審議会の意見具申の中で、地域医療の充実・支援を行う医療機関のあり方として、地域で必要な医療を確保し、地域の医療機関の連携等を図る観点から、かかりつけ医等を支援する医療機関の位置づけを検討することが必要であるといった提言を踏まえて、平成9年の医療法改正において地域医療支援病院が創設されております。地域医療支援病院には、主に4つの機能が求められております。紹介患者に対する医療の提供、医療機器の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施といった機能が求められています。基本的考え方として、地域医療支援病院は、紹介患者に対する医療の提供や救急医療の提供など、地域で必要とされるさまざまな取り組みを通じて、かかりつけ医などを支援する医療機関と位置づけられてきたと考えられます。
3ページの下の部分、「2.現状及び課題について」です。
「(1)かかりつけ医等を支援する機能について」、1つ目の○ですが、今、地域医療構想の議論が進んでいるわけですが、地域医療構想の達成に向けて、地域医療支援病院は新公立病院改革プランもしくは2025プランを策定し、地域医療構想調整会議で協議することになっており、地域医療支援病院でなければ担えない分野に重点化することが、今、求められております。全国を見渡しますと、地域医療支援病院が全くない二次医療圏もあれば、10以上の地域医療支援病院が所在する二次医療圏もあり、地域医療支援病院がその制度趣旨を踏まえた役割を果たしているのか、疑義が生じています。前回の検討会で御報告させていただきましたが、地域医療支援病院、群市区医師会、都道府県を対象とした実態調査の結果によれば、地域によりさまざまな医療機能が不足しているといった回答が得られておりまして、特に郡市区医師会からの半数を超える回答においては、医師確保、周産期医療、小児医療などの機能が不足しているといった回答が得られております。こういったことを踏まえますと、地域医療支援病院には地域の実情に応じて真に地域で必要とされる医療を提供することが求められていると考えられると思います。
「(2)医師少数区域等を支援する機能について」ですが、地域医療支援病院には地域医療を支援する病院として、医師少数区域等を支援する機能が求められております。背景としましては、医師偏在対策について議論されました医師需給分科会において、下の枠囲みの部分の記載があるところです。この枠囲みの下の○のところですけれども、地域医療を支援する立場にある地域医療支援病院については、医師派遣機能やプライマリ・ケアの研修・指導体制の確保など、その環境整備に一定の機能を果たすものについて評価を行うこととし、その役割、機能、評価のあり方等を含めて、別途、検討すべきであるといった御指摘を踏まえて、この検討会において御議論いただいているところです。次の○ですけれども、現状においても、これも前回の検討会で御報告させていただいた内容になりますが、7割程度の地域医療支援病院が医師派遣などを実施していることが調査結果からわかっております。具体的には、実態調査において73.7%の地域医療支援病院が、巡回診療の実施、医師派遣機能の実施、総合診療の部門を持つといういずれかを満たしているといった回答が得られておるところです。
「3.見直しについて」。
「(1)基本的考え方について」ですが、これらの現状の課題を踏まえますと、地域医療支援病院の基本的な役割として、医師少数区域等を支援することを追加してはどうでしょうか。地域医療支援病院は、地域で必要とされるさまざまな取り組みを通じて、かかりつけ医などを支援するとともに、医師少数区域等を支援する医療機関と再定義してはどうでしょうか。
「(2)地域でかかりつけ医等を支援するために必要とされる機能の見直し」ということで、地域ごとに地域医療支援病院に求められる機能が異なることを踏まえ、都道府県知事の権限により、地域の実情に応じて要件を追加できるといった整理をしてはどうでしょうか。具体的には、調整会議における協議において、地域でそれぞれの地域医療支援病院が果たすべきとされた機能について、医療審議会における審議を経て、その実施を当該地域医療支援病院の責務と設定してはどうでしょうか。
「(3)医師少数区域等を支援する機能について」に関しましては、地域医療支援病院に求められる機能であり、全ての地域医療支援病院が実施するという整理としてはどうでしょうかと。具体的にやる内容としましては、医師少数区域等における巡回診療の実施、医師少数区域等の医療機関への医師派遣機能の実施、総合診療の部門を持ちプライマリ・ケア研修・指導機能を持つ、これらのいずれかを実施することを地域医療支援病院の承認要件及び責務としてはどうでしょうか。この場合、既に承認されている地域医療支援病院に対しては、新たな機能を付加することになりますので、十分な経過措置が必要と考えます。
※印のなお書きのところですけれども、前回の医療法改正で新しく医師少数区域で勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度が来年度からスタートをします。地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を有する病院の管理者についてはこの認定医師であることとなっておりますので、こういった整理をした場合につきましては、全ての地域医療支援病院がその対象となりますということを留意事項として書いております。
「4.今後の検討課題」ですが、地域の実情に応じての要件の追加について、都道府県が地域の実情に応じて適切に運用ができるよう、さらなる検討が必要ですと。2つ目の○として、地域医療支援病院が制度として一定の役割を終えたという意見もあったわけですけれども、地域医療支援病院が地域医療構想や地域の医療提供体制の中で真に必要な役割を果たしているかどうか今後も検証が必要であるということで、こちらのドキュメントを事務局のたたき台として準備させていただいているわけですけれども、基本、これに関しましていろいろと御議論いただければと思っております。
事務局からの説明は、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、事務局案という形で出されておりますので、これをベースにいろいろと御意見をいただきたいと思いますが、御質問や御意見等はございますか。
堀川参考人、どうぞ。
○堀川参考人 資料3の5ページについて、意見が2つと質問が1つございます。
まず、地域でかかりつけ医等を支援するために必要とされる機能について、地域の実情に応じて要件を追加できるというところには賛成いたしますが、要件の割り出しを調整会議の協議に委ねるのではなくて、地域の実情に応じて追加する要件として、どのようなものが想定されるか、例示をすべきではないかと考えます。特に在宅医療や訪問看護の提供体制の整備は喫緊の課題でもありますので、その例示の中に含めるべきと考えます。前回の検討会の資料2で示された調査結果において、回答された地域医療支援病院の6割程度は訪問看護を実施している。また、地域医療支援病院や群市区医師会に地域医療支援病院が目指すべき将来像を訪ねた調査結果においても、在宅医療の提供あるいは後方支援、地域の人材育成への支援といったことが挙げられておりました。こうした実態や地域のニーズに応じて、在宅医療や訪問看護の提供や後方支援もまた地域医療支援病院の役割の一つである、そういったあり方もあることを例示していただきたいと考えます。これが1点でございます。
次が、医師少数区域等を支援する機能に関して、医師の地域偏在はもちろんなのですが、訪問看護も地域偏在しているということを申し上げたいと思います。近年、訪問看護ステーションの全国的な数は非常に右肩上がりで増加していますけれども、新規開設は主に大都市部に集中しており、全国の3割弱の自治体には訪問看護ステーションがないという状況です。訪問看護ステーションというリソースが十分でない地域に対しては、新たにステーションを設置するための支援ももちろん必要ですが、病院からの訪問看護提供や人材支援に対しても期待がされるところだと思います。
そこで、事務局に質問なのですけれども、この「医師少数区域等」の「等」に含まれるものとして、看護師の少数区域も含むと読み込むことができるのかということを確認したいと思います。
○遠藤座長 それでは、事務局、「等」の中身ですね。コメントをお願いします。
○鶴田保健医療技術調整官 この医師少数区域等は、今年度、都道府県がまさに医師確保計画というものを、医師偏在指標をもとにつくることになっております。医師少数区域につきましては、相対的に医師の少ないところに医師少数区域というラベルが張られることになるわけですけれども、それに加えて、二次医療圏よりもう少し小さな区域、その場合、検討会では「医師少数スポット」という呼び方をしておりますけれども、わかりやすく言うと、無医地区や準無医地区といったものが医師少数スポットになり得るわけですけれども、それをここでいう「等」として呼んでおりますので、看護師が少ないことを「等」と読むことは、これまでの議論からすると、今の時点では読めないということになります。
事務局からの回答としては、以上です。
○遠藤座長 そういうことですよね。書き方として、もしそうなったら「医師等少数区域」となるわけですからね。そうではないわけですから、エリアの問題だということですね。
どうぞ。
○堀川参考人 現状では読めないという御回答をいただきましたけれども、ぜひ訪問看護のリソースが少ない地域への支援についても、どこかまた別の項目で追記していただければと思います。
以上です。
○遠藤座長 御意見として承りました。
ただいまの御意見に関連してでも結構ですし、それ以外でも結構でございます。事務局から提案が出ておりますけれども、それに対して。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 2つ、まず、確認的な質問をしたいのですけれども、1つは、この縦書きの資料3について、確かに7割、73.7%の地域医療支援病院が、その中身は問題かもしれませんけれども、医師派遣等を実施している。逆に言うと、26.3%はそういう機能を発揮していないということですね。そういう地域において、医師の派遣等の機能を果たしている病院がある地域というのはあるのではないですか。そういう検証はされたのでしょうかというのがまずは一つです。
イメージが湧きにくいかもしれないので、あえて固有名詞を挙げますと、例えば、北海道の名寄市立病院は医師の派遣を行っていますが、この病院は別に地域医療支援病院になっているわけではないわけです。当該地域、名寄市立病院があるところに地域医療支援病院があるかというと、実はありませんので、そういう意味では競合関係にはなっていないのですけれども、私がここで懸念しているのは、ある二次医療圏があって、そこで医師の派遣機能を担っている地域医療支援病院ではない病院があったときに、あえてその地域にある地域医療支援病院に医師の派遣機能を持たせる必要があるのかということを質問しているのです。つまり、そういう検証をやっているかどうかということをまずは一つ確認したい。
2つ目として、例えば、これは前から申し上げているように、福岡県には地域医療支援病院が二次医療圏の中で10を超すところが2つあるわけですよね。具体的に言うと、福岡・糸島、北九州でありますけれども、この地域は一般的にいってお医者さんが不足しているとはなかなか思いにくい地域ですが、例えばここにある11の病院それぞれについて、医師のこういう派遣機能を持たせる必要があると考えますか。それとも、仮に事務局の提案どおり何らかの形でそういう支援機能を持たせるときに、具体的に11の地域医療支援病院がどういう機能を果たす形になると想像されますか。あるいは、福岡県の医療政策担当部局は、それについて何か考え方を持っているのでしょうか。それらについてお伺いしたいと思います。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○鶴田保健医療技術調整官 事実関係として検証しているかどうかですけれども、調査に関しましては、地域医療支援病院を対象に調査をして、医師少数区域支援としてどういうことをやっているかということを聞いているわけですけれども、やっている・やっていないということを聞いているだけですので、やっていないところがなぜやっていないのかとか、できるのかとか、そういったことは聞いていませんので、検証自体はやっておりません。
例えば、福岡の事例で、複数あるような圏域において、それぞれの病院がもしこういったことをしたらどういうことで対応されるかというところは、ここも想像の範囲でしかないわけですけれども、事務局の提案としましては、医師少数区域における巡回診療の実施、医師少数区域等の医療機関への医師派遣機能、もしくは総合診療の部門を持ちプライマリ・ケアの研修・指導機能を持つということであるわけですが、その二次医療圏の中にいわゆる医師少数スポットというものがもしあるのであれば、そこをサポートすることが一つは考えられますし、その地域の中にそういうものがない場合は、隣接の、場合によってはその県の中の医師少数区域に医者を派遣するかどうかという判断、もしくは代診医の派遣をするという判断があろうかと思いますし、もう一つとしては、今回、総合診療の部門を持ちプライマリ・ケアの研修・指導を持つということを書いているわけですけれども、そういった病院では、お医者さんの養成機能として総合診療を今後志すといったお医者さんを育てる機能を持つという、3つのどれかを、10以上ある福岡においても、要件をかけた場合は、どれをやるかということを選択していただくことになろうかと思います。
県の担当者がどういうふうに考えているかというところは、なかなかお答えが難しいところです。
○遠藤座長 島崎構成員、いいですか。
○島崎構成員 よくないのですが、ほかの方からも意見があるかと思います。
○遠藤座長 事務局が言うには、派遣しなくても(3)の総合診療部門を持てばということが一つの要因になると言っているわけです。
○島崎構成員 だから、それが本当に必要かどうかです。私は反対ですが、ほかの方の意見も聞いてみたいと思います。
○遠藤座長 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 まず、確認ですけれども、地域医療支援病院の公立・公的と民間の比率、割合は。
○鶴田保健医療技術調整官 公立・公的に関しては、精緻な数値は回答できないのですが、ざっくり見たところでは7割ぐらいが公立・公的となっております。
○中川構成員 それで、地域医療支援病院を一くくりにしたら、これは全然だめですよ。その意味は、例えば、2025プランも一律にばっと公的医療機関等の中に地域医療支援病院も入っているのだけれども、地域医療支援病院の中の民間の医療機関、さらに社会医療法人でもない民間の医療機関が地域医療支援病院になっているというのは、要件が厳しい割に非常に恩恵が少ないわけですよ。
例えば、国立とか公的医療機関をずらっと並べて、2025プランの対象医療機関を並べると、医師派遣機能を持たせるというのを、あえて全ての地域医療支援病院に持たせるというのは、筋が悪すぎると思う。もっと言えば、民間の医療機関をどうもターゲットにしているように見える気がします。それよりも、ほかの公的医療機関のほうに医師派遣機能を持たせるほうが優先順位としては先だと思います。
ですから、この文脈をきょうも改めて読んでみると、どうもおかしいなと。社会医療法人でもない地域医療支援病院をどうもいじめているなと見えますね。この地域医療支援病院の要件の追加は、地域医療構想のワーキンググループの議論とは乖離し始めているような気がします。いかがでしょうか。
○遠藤座長 中川先生、その補足をお願いしたいのですが、民間病院をいじめているというのは。
○中川構成員 いじめているというか、結果的にいじめになっていると。例えば、ほかの税制だとか。
○遠藤座長 労働がきつい割には報酬が少ないという意味合いですか。
○中川構成員 そうです。優遇措置が少ない。一番少ないのです。
○遠藤座長 それは同じですよ。今、補助金とか、そういう話は別ですよ。
○中川構成員 同じではないですよ。ほかの公的医療機関はほとんど税制優遇とか、いっぱいありますよ。
○遠藤座長 だから、それは別の話ですよね。
○中川構成員 別って、それが一番大事なことなのです。地域医療支援病院になりたいのは経営がよくなるからなりたいのです。これは小熊構成員に確認したではないですか。わかりやすく言うと、そういうことなのですよ。公的医療機関等を並べて、一番これから遠いのは特定機能病院ですよ。その次に、民間の社会医療法人でない地域医療支援病院なのですよ。上のほうの優先的に対象にされるべきところを抜いて一番下からいくというのはいかがなものかと見えるのです。
○遠藤座長 それは御意見として承るという形でいいですか。
○中川構成員 いや、できれば答えてください。
○遠藤座長 では、事務局、何かコメントがあれば。
○北波総務課長 ここの議論は、今の島崎先生と中川先生からお伺いしている話であれば、基本的に地域医療支援病院の機能として考えられるもの、今までの検討会の御意見等を踏まえても、いわゆる困っているところに地域として支援をしていくという機能はやはりあり得るべきものなのだろうというところは大体あろうかと思いますが、これは全てのものについてこういうふうなものを要件化することについての疑義を呈していただいているのではないかとは受けとめております。
一つ、5ページの(2)にございますように、趣旨といたしましては、地域の実情に応じて、いろいろな要件というものを地域それぞれに考えていただく。これはまさに島崎構成員からありました、ほかにそのようなことを果たしているときに、重複して果たさせることを本当にするのかどうかという問題もあろうかと思いますし、今、中川構成員がおっしゃられたように、どこに優先順位をつけてこの機能を果たさせるのかというところにも帰着するのではないかと思います。
そういうことからいきますと、3のところで全て実施すべきであるというのは、私たちとしては、これは果たしていただきたい機能ではありますけれども、2で地域の実情に応じて要件を加えるというところと組み合わせるというのは一つの考え方だとは思います。
○遠藤座長 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 地域の実情に応じて要件を追加できることとすべきであるというのは、それは賛成です。国が例示をするとさっきおっしゃいましたけれども、私はそれに反対です。国が、全国、例えば、構想区域、二次医療圏の内容をわかるわけがないのです。例示をするとなぜ問題かというと、全国の地方自治体は、それは例示としては読まないのです。これしかできないのだとか、これをやらなければいけないのだと思ってしまうのです。これは、地域医療構想を進める上で、事務局も嫌というほど痛感していますよね。ですから、それはそのように考えてほしいと思います。
繰り返し言いますが、地域医療支援病院だけに医師派遣機能を追加するのではなくて、筋から言うと、それでは公的医療機関全てに追加することになりますよ。そのことをよく考えていただきたいなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 まず、基本的な考え方をお聞きしたいのですが、この3ページにある基本的な考え方の「地域で必要な医療を確保し」ということの、この「地域」という概念は何なのかということなのです。4ページに「地域医療支援病院が全くない二次医療圏もあれば、10以上の地域医療支援病院が所在する二次医療圏もあり」と書いてあるということは、二次医療圏がターゲットになっていますよね。ところが、医師が多い・少ないは、今度は違う二次医療圏同士で計算しているわけですよね。同じ二次医療圏の中でやっているわけではなくて違う二次医療圏でやっていて、そうすると、この医師派遣というのは地域医療支援の地域という概念を外れてやるのかということになるわけで、そうすると、もともとの地域医療支援病院とは何なのかと非常に疑問を感じざるを得ないということが第1点。
もともと、二次医療圏ごとの医師が多い・少ないは、別に病院に勤務している医師だけではなくて、全ての医師になるはずなのですね。余り地域のことを言っては申しわけないのですが、私の医療圏の隣にある医療圏は、病院医師は極めて少ないのですが開業医は多いという非常に珍しい圏域がございまして、そこから病院の医師が足りないから派遣してくれといって私たちが派遣したときは、これはどうなるのかなとちょっと疑問を覚えているわけです。
もう一点、その医師を派遣しているというのが、ほとんどが二次医療圏の中の、例えば、開業医の先生が困っているからと派遣したり、あるいは中小病院が困っているから派遣しているという、その二次医療圏の中でやっていて、別に医師少数区域へ派遣するということまでやらされると、今の働き方改革もある中で、そんな力は全然ないよ、やめてくれと、拒否をしたい思いに駆られるということがあります。ですから、医師少数区域に支援するということと、地域医療支援病院の基本的な概念がずれてしまっているような気がして、何か統一性がないなと思うところです。
○遠藤座長 そういう意見があるのですが、事務局、「地域」にぶれがあるではないかということに何かコメントはありますか。
○鶴田保健医療技術調整官 ここでいう「地域」は、基本的にはこれまでの議論の経緯を踏まえると、二次医療圏が想定されてきていると思います。今回、事務局の提案として、医師少数区域を支援する機能を全ての地域医療支援病院にかけることになると、恐らく先生がおっしゃるとおり、医師少数区域ではない二次医療圏、医師過剰なのか、そうではない二次医療圏の地域医療支援病院が医師少数区域を支援しようとすると、自分のところの二次医療圏ではない二次医療圏のところまで支援するという別の要素が入ってくるということが、この地域の概念をわかりづらくしてしまうのではないかという御指摘だと思っております。
ですので、まさに本日の議論もそうですけれども、この医師少数区域を支援するのを、全部にかけるのか、そうではなく地域の実情にかけるかによって、多分その地域の概念がまた整理ができるのではないかとお話を聞いていて思っておりますので、その辺は本日の議論を踏まえて事務局としても再度整理をしたいと思っております。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、徳本参考人、お願いいたします。
○徳本参考人 本日、健康福祉部長の大月が公務のため欠席ですので、長野県健康福祉部の徳本がかわりにコメントをさせていただきます。
まず、地域の実情に応じて要件を追加できることにすべきということに関しては、本年4月に全国知事会からも健康立国の実現に向けた提言の中に入れておりますので、こうやって反映していただいたことに関しては感謝を申し上げたいと思っております。
今議論のありました医師少数区域等を支援する機能について、例えば、福岡県のお話とか、相澤構成員のところの松本医療圏とか、そういったいろいろな実情はあるかと思うのですけれども、長野県は全国38位の医師少数都道府県でございますので、医師少数の二次医療圏も多数抱えております。その中においては、こういった医師の派遣機能を位置づけていただけると大変助かるなと思っている一方、代診医派遣や巡回診療というのは、へき地に対しての要件でございますけれども、へき地医療の拠点病院の役割として既にあるので、もう少し実効性のあるというか、手厚い体制をお願いできればと考えておるところでございます。
総合診療の部門について、例えば、医療の提供という観点でいうと、かかりつけ医は既に全人的な診療をされているということを前提とすると、かかりつけ医との差別化が難しく、要件とする必要性がそんなにないのではないかなと思っております。いわゆる人材育成という観点でいうのであれば、そのクオリティーの担保という観点から、まだ十分にはその数はいないかと思いますけれども、総合診療専門医の配置を要件とするなど、クオリティーの担保の観点も今後入れていただけると助かるなと思っております。
最後ですけれども、承認要件が充足されていることを継続的に確認することが重要だと思っておりまして、そういったことの担保をするものとして、更新制の導入とか、そういったことも今後議論していただければと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
どうぞ、相澤構成員。
○相澤構成員 もともと、地域医療支援病院は、地域の医師会、行政、そういう方が委員に入って、その地域医療支援病院がきちんとやっているかどうか管理するようになっています。でも、これを県に届けると、そんなことは余分だからいいよと言います。大体がおかしいでしょう。そういう機能が、第三者機能として、地域の医師会の人も入って、この地域の医療をどうしようかときちんとやっているわけですよ。それは極めて重要な機能で、そこを支援することが極めて大事ではないかと私は思います。
もう一つ、私のところに開業したいから勉強させてくれといって来る人の多くはERです。救急で患者さんが来たときに困る、だから、ERの勉強をさせてくださいと。別に救急の専門医をとるのではないのですよ。自分が開業したときに大変だ、地域の医師の少ないところに行ったときに、救急の人が来たときに全て診てあげたいという思いで来るのです。それでここに入っていないというのはおかしいなと。救急の機能の勉強をさせてあげることはすごく大事なことで、それはぜひ入れてほしいと私は思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 地域の中で、どの医療機関にどういう機能を持たせるかどうかというのは、それは地域の実情によって違うわけです。その医師少数区域等に対する支援機能を持っている地域医療支援病院があることは否定しません。かなりの割合で持っているというのは事実だと思います。
しかし、その地域医療支援病院がある二次医療圏で、ほかの、つまり地域医療支援病院に以外の病院がそういう機能を現実的に果たしている地域はあるのです。その場合に、あえてそれとは違う地域医療支援病院にそういう機能を付与する必要があるかということを私は申し上げているわけです。
せっかくきょうは徳本参考人がいるので、あえて具体的な例で申し上げたほうがわかりやすいと思うので申し上げますが、例えば、長野市内に地域医療支援病院が3つあるわけです。ところが、そうではない病院が、県全体のいわゆる長野版の総合医の育成機能を担っているのです。なおかつ、そこの病院は二次医療圏を超えて県内の一定の派遣機能も担っているのです。そのときに、地域医療支援病院ではない病院がそういう機能を果たしているときに、ほかの3つの機能にどうしてその医師の派遣機能を新たに付与しなければいけないのかということが私には理解できません。
2つ目として、医師の少数区域に対するそういう機能を持たせるというのは、何となくたくさんあればいいのではないかと思うかもしれませんけれども、本格的な医師の派遣機能みたいなものを考えたら、むしろ分散することはマイナスです。ある程度派遣医師をストックとしてためて柔軟に配置することを考えていかないと、それは現実的ではないですよ。先ほどなぜ二次医療圏に地域医療支援病院が11もあるところを持ち出したかといえば、11も点在していて、そこのところが全部派遣機能等を持つ必要が本当にあるのでしょうか。ないと思いますし、かえって派遣機能は分散して脆弱になりますよ。私が申し上げたいのは、そういう機能を持たせたほうがいい地域医療支援病院があることは事実ですが、それは、むしろ地域の中で話し合って、都道府県知事が確かにそれはこういう機能を持たせるべきだねと決めればよい。私はそう思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 島崎先生がおっしゃった前半の御発言ですけれども、やはり地域医療支援病院は一定の役割を終えたのですよね。そういうふうに聞こえます。私もそう思います。そこで、医師派遣機能も含めて、さっきの繰り返しになりますが、これはそろそろ抜本的に、やめろとまでは言いませんが、地域医療支援病院になったことで診療報酬上の評価が急激に上がることが最大のポイントなのです。これがなければ、誰もなろうとしないのです。診療報酬で、政策的なというか、医療提供体制に影響するようなことになっていることが問題だなと。
迫井審議官がいらっしゃいますけれども、迫井審議官は、医療課長当時、診療報酬は地域医療構想に寄り添うのだという歴史的な名言を言われましたが、そういう感じでこの地域医療支援病院の見直しは慎重にやっていただきたいなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
一つ、島崎構成員に質問をさせていただきたいのです。御趣旨はよくわかりました。そうすると、島崎構成員は、したがって、全ての地域医療支援病院の責務としてというところが問題であると。むしろそれは「地域の実情に応じて要件を追加できる」という中で総合的に把握させたほうがいいと。
○島崎構成員 あるいは、地域医療支援病院の中のこういう類型でも構いませんよ。いずれにしても、全てを指定する要件化するのはおかしいということを申し上げたわけです。
○遠藤座長 ただ、事務局提案の中には、この(3)で派遣機能でないものも選択可としているわけですよね。
○島崎構成員 だから、その点に関して言うと、プライマリ・ケアの養成機能とかという話なのでしょうけれども、本当にそれが全ての地域医療支援病院に必要なのかということを申し上げたわけです。例えば、ホスピタリストみたいなイメージで考えたときに、貴重な総合診療医というものを、全部そういうところにそういう機能を持たせる必要があるかといったら、そんなことはありません。ないです。むしろその地域の中で過疎地か何かのところで働いてもらうお医者さんのほうが必要かもしれない。地域の実情が異なるなかで、変にバイアスをかけるのはおかしいということを申し上げたわけです。
○遠藤座長 わかりました。ありがとうございます。
中村構成員、三浦構成員の順番でお願いします。中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 また現状の話になりますけれども、当院に関しては、先ほど中川先生が言われた一般社団法人の地域支援病院という一番苦しい立場になっているところなのでしょうけれども、実際問題、二次医療圏を超えて別の地域を支援するというのは、我々としては考えられない話だと思います。うちで働いている先生方に、その地域を超えてそこに支援しに行ってくれと言っても、多分ドクターとしては、だったら僕はやめてしまいますという話に絶対になるでしょうし、地域、例えば、医師会の先生の紹介を受けている、さまざまな医師会の先生がサポートする、これは先生方としても顔の見える関係がしっかりつくれるので行くかもしれませんけれども、その枠を超えてとなると、これはなかなか現実としては難しいと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、三浦構成員、お願いします。
○三浦構成員 見直しのたたき台の5ページの(2)にある「地域の実情に応じて」という部分には大いに賛成なのですが、今回のこの見直し案ですと、追加だけです。これまでの議論の中で、現在の4要件をそのままセットにする必要があるのか、そもそもそこから見直すべきではないかという意見が結構多く出ていたと思うのですが、今回は従来の4要件に追加するだけの御提案ですが、4要件から、例えば、地域の実情に応じて何かを省いてかわりにこれを入れるとか、そういうことは必要ないのでしょうか。ほかの構成員の皆様にもお聞きしたいのですが。
○遠藤座長 いかがでしょうか。何人かの構成員からはそういう意見も出ていたわけなのですけれども。
島崎構成員。
○島崎構成員 必要ないです。そもそも地域医療支援病院の議論の大前提として、中川先生はこの地域医療支援病院の役割は終わったという言い方をされましたが、私は違う言い方をすれば、4つの要件をフルセットで持つ必要はなくて、個別に判断していくのが本来正しいあり方だと思います。なぜならば、繰り返しになりますが、地域の実情によって、その4つの機能をフルセットに持たせることによってかなりいろいろな弊害が生じてきてしまうからです。ですから、そもそも今後のあり方として、4つの要件をフルセットで持つことについても、きちんと考え直すべきだというのが基本的な意見です。
ただし、今回の事務局の提案は、現状を前提にした上で、一方で先ほどいろいろな議論があったことをどう受けとめるかという議論なので、その範囲内で申し上げているだけです。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 まさにおっしゃるとおりで、変な数値基準が出たものですから、無理してそれをクリアするために頑張って、意図がどこにあるかは別問題として、実際の本当に地域で顔の見える関係でその地域をネットワークで守っていこうということは余り意識をしていない病院があるのは事実なのですね。それと、地域に根づいて地域をみんなで守っていくために、例えば、コ・メディカルの人の教育をしたり、一緒に勉強をしたりという機能のほうがもっと大事で、そこは余り診療報酬でも補填されていないところなので、そういうところを支援してもらったほうが私はありがたい。
地域医療支援病院は何かと、基本的な最初の原点に返ってもう一度見直したほうがいいと思います。そうすると、この医師少数区域に派遣する機能も、どうかなという議論に多分なってくるのではないかと思うのです。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。高野構成員。
○高野構成員 1つ確認なのですけれども、承認要件に紹介率というものがあります。地域の事情によっては、紹介してくるところ自体、つまり、一次医療機関的な診療所とか、そういうものが少ないところだと、病院に対する紹介率が低い場合があります。そういう意味で、「都道府県知事の権限により、地域の実情に応じて要件を追加」のところを「要件の緩和」ということはできるのでしょうか。済みません、逆行する意見にとられてしまうといけないのですけれども、地域で頑張っているのにそこのちょっとした率の状態でなれないところを応援するために、そういうことは可能なのかということでお聞きしたかったのです。
○遠藤座長 関連であれば、中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 先生、もうちょっとのところで承認要件がクリアできなくてなれないというのは、それが大半ですから。みんなそうなのです。それを全部緩和するということになると、診療報酬の評価もゼロから見直さなければならないということになりますよ。
○遠藤座長 そうなのですね。これは診療報酬とくっついているものですから、緩和しますとふえてしまうわけですよね。したがって、ここでは本来提供体制の話としていながら、反面は診療報酬の話と絡んでくるので、そういうこともあって、既存の基準は前提としてそれに加えるという形とすれば、減るわけですね。そういうことだと思うのですよね。そういうことが背景にあるということなのですよね。
三浦構成員、そういうことでいいですか。
○三浦構成員 今、座長が御説明したようなことなのですけれども、そういう根本から見直すべきという意見のほうがどちらかといえば多いですし、4要件がセットになっている意味がかなり薄れている中で、あえて追加だけの御提案なので、追加でなくて緩和というか、組み直しというか、そっちの御提案はできないものなのかなという、事務局にも質問です。
○遠藤座長 今、その議論をいたしていたのですけれども、事務局、コメントを。
○鶴田保健医療技術調整官 紹介率のところが多分一番いろいろと御意見が多いところではあるわけですけれども、確かにそこを緩和すると、多分地域医療支援病院は実情としてすごく数がふえていくということも予見ができる話ではありますので、現状としては、財政影響とかも踏まえますと、まずは今の現要件をそのまま存置し、プラスアルファとして地域の実情に応じて要件を検討できるような、そういった仕組みにすることを事務局としては提案をさせていただいたところです。4要件の緩和という議論は、なかなか現時点では難しいのかなと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何か御意見はございますか。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 いろいろ聞いていまして、この地域医療支援病院は、二次救急をその地域のネットワークを使ってやっていくことが、本来の趣旨であるため、それに沿った見直しをすべきだと思います。事務局から提案がありましたとおり、今般の医療法の改正により、医師少数区域の勤務医に地域医療支援病院の管理者資格を与えることや、進捗を急がれている地域医療構想調整会議の状況等を考えますと、今、大幅に地域医療支援病院の機能や承認要件を変えてしまうと大きな混乱になると思います。現時点では、地域の実情に応じた要件の追加を新たな機能として加えることもやむを得ないのではないかと思います。
前回も申し上げましたが、地域の実情に応じた要件を地域医療構想調整会議等で決めることになりますと、地域によって基準にばらつきが生じますので、地域の実情に応じた機能については、これまで地域医療構想調整会議の議論に供するデータが示されており、昨年10月頃に第7次医療計画における各病院の役割等が示されたデータや、これから手術実績といったデータも示されるため、そのような分析データをもとにその地域で不足している機能とか、一定のデータに基づいて、地域住民も納得できる地域要件として承認するような形がいいのではないかと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
よろしゅうございますか。大体意見は出尽くしたかとは思います。全然まとまっていませんけれども、出尽くしたかなという感じがいたしますので、この地域医療支援病院の要件につきましてはまた今後も議論いたします。ただいまいろいろな御意見が出ましたので、これは事務局として整理をしていただいて、また次回以降の議論に資するようなものをつくっていただければと思います。よろしくお願いします。
何か事務局でコメントがあればお聞きしたいと思います。
○北波総務課長 まず、この地域医療支援病院の制度自体が、平成9年からできていまして、22年たっている中で、まさに二次医療圏であるところ、ないところ、あるところも2桁になっているところ、本来的な役割を問い直さなければならない時期になっているのではないかと。これにつきましては、5ページの下の「4.今後の検討課題」のところにも御紹介させていただいております。
もう一つ申し上げますと、この地域医療支援病院は、先ほど座長からもございましたように、診療報酬とリンクをしているという中で、この要件を満たせばなる。一方でなれないところもありますし、なるところもあるところですね。今回につきましては、この議論の、お座敷というと言い過ぎなのですけれども、ファインチューニングできるところを少しさせていただければというところではございます。
そういうことから申しますと、今の要件を抜本的に見直すという話につきましては、もう一つ、これで22年運用してきた制度をどう変えていくのか。もしくは、新たなものを受け皿としてつくるのか。こういうふうな議論をしっかりとする必要がありますし、私たちもそれは今後の検討課題の中で取り組ませていただきたいと思いますが、今回の議論の積み重ねの中で、少し動けるところがあれば、ここは動かしていただきたいというところでありますので、今、申し上げましたような地域の実情をどう捉えるかというところについてきちんと整理をさせていただいて、次回、ここの構成も含めて、少し御相談させていただいて、提示をさせていただきたいと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
そういうようなお考えであるということであります。御納得された方もされていない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、今回はそういう形で議論を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、これをもちまして本日は終了させていただきたいと思いますが、次回以降の開催について、事務局、何かございますか。
○渡邊総務課長補佐 次回開催の日程は、改めて御連絡させていただきます。
○遠藤座長 それでは、少し時間が余りましたけれども、これにて閉会したいと思います。
どうもありがとうございました。
 
 

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