第118回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和元年6月12日(水)16:00~18:00

 

場所

ベルサール九段

議題

  1. 1.医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律について
    (1)医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律の成立について(報告)
    (2)マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針について(報告)
    (3)被扶養者認定要件の改正省令について
    (4)審査支払機関における審査の効率化・高度化等に向けた取組について(報告)
  2. 2.「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ」「経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)(原案)」「成長戦略実行計画案」について(報告)
  3. 3.「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」議論の取りまとめについて(報告)
  4. 4.第3期全国医療費適正化計画について(報告)
     

議事

 

○宮崎課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第118回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。
初めに、部会長の再任について事務局から御報告をさせていただきます。
本年1月28日に遠藤部会長の社会保障審議会の委員の任期が終了し、翌29日に再選、再任されました。これに伴いまして、社会保障審議会令第6条第3項の規定に基づき、医療保険部会に属する社会保障審議会委員の互選により、医療保険部会長を選任する必要がございました。
この点に関し、事務局においてあらかじめ社会保障審議会の委員である尾﨑委員、南部委員、遠藤委員と御相談をさせていただき、遠藤委員が医療保険部会の部会長として適任ということで一致をされました。その結果、既に引き続き部会長に選任されておりますので御報告をさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
初めに、委員の方々の異動につきまして御報告をさせていただきます。
部会長代理をお務めいただいておりました岩村正彦委員が御退任されまして、本日はおくれて御出席の予定ですけれども、新たに早稲田大学大学院法学研究科長の菊池馨実委員が就任されております。
また、部会長代理は社会保障審議会令第6条第5項の規定に基づき、部会長が指名することとされており、菊池委員を部会長代理に指名したいと存じます。
なお、菊池委員には事前に承諾をいただいておりますので、あわせて報告させていただきます。
次に、望月篤委員が退任をされ、本日は御欠席ですが、新たに日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会長の藤原弘之委員が御就任されております。
次に、本日の委員の出欠状況について報告をいたします。本日は、岡﨑委員、尾﨑委員、樋口委員、村上委員、藤原委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、菊池委員、横尾委員からは少々おくれるとの御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席をされる方についてお諮りをいたします。
尾﨑委員の代理として家保参考人、樋口委員の代理として新井参考人の出席につき、御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に移りたいと思います。本日の議題は、以下のとおりでございます。
まず、審議事項といたしまして「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律について」のうち「(3)被用者認定要件の改正省令について」。
報告事項といたしまして、「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律について」のうち「(1)医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律の成立について」。
「(2)マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針について」。
「(4)審査支払機関における審査の効率化・高度化等に向けた取組について」。
また、「「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ」「経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)(原案)」、また「成長戦略実行計画案」について」。
「「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」議論の取りまとめについて」。
「第3期全国医療費適正化計画について」となっております。
では、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○宮崎課長 ありがとうございます。本日の審議会につきましても、ペーパーレスで審議をお願いしているところでございます。
資料の確認ですけれども、お手元のタブレットで見ますと、マイプライベートファイルの中に資料番号1~17まで資料がございます。今、部会長から御指摘のありました議題にかかわる資料、通し番号でいいますと4番以降に資料1-1、1-2、1-3、1-4、2-1、2-2、2-3、資料3-1、3-2、資料4として置かれております。
また、これに加えまして、前回開催時に一部の委員からお求めのありました「在留外国人の国保適用・給付に関する実態調査」を通し番号14、参考資料1として、またステミラックやキムリアなどの高額薬剤やゲノム検査の保険償還など、最近の医療保険制度を取り巻くトピックスについて通し番号15、参考資料3として提示をさせていただいているところでございます。
御不明な点等がありましたら、事務局に御連絡いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 それでは、まず初めに「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律について」を議題といたします。
事務局から、資料の説明をお願いします。
○宮崎課長 それでは、資料の1-1から1-4を使いまして、それぞれ担当課長より説明をさせていただきます。
まず、資料1-1をお開きいただければと思います。健康保険法等の一部改正法でございます。法案の準備段階から本部会、関係の団体、あるいは関係の有識者の皆様方におかれましては、いろいろ御審議あるいは御助言等をいただいてまいりました。法案をことしの2月15日に閣議決定をいたしまして今国会に提出をし、5月15日に最終的に参議院の本会議で可決成立をいたしたところでございます。この間、いろいろ御指導、御協力をいただきましたことに厚く御礼申し上げます。
国会におきましては、衆議院で12時間、参議院で10時間、合わせて22時間の審議が行われたところでございまして、いずれの委員会におきましても賛成多数で成立を見たところで、その後、5月22日に交付されたところです。
資料1-1の1ページ目でございますが、改正の概要をまとめております。この中で、項目ごとに青字で施行日について記載を加えております。今後施行に向けまして準備等を行ってまいりまして、円滑な施行にこぎ着けたいと考えております。
また、施行に向けましては、その進捗に合わせまして本部会への報告ないしは審議をお願いすることもあろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
一方、2ページ以降はこれまでに御説明してまいりました法案の内容と同じものを記載しておりますので説明は省略をさせていただきまして、ちょっと飛びますけれども、最後に16ページ目をお開きいただければと思います。
衆議院厚生労働委員会、参議院厚生労働委員会、それぞれ賛成多数で成立をしたところでございますけれども、その審議に際しまして附帯決議が付せられているところでございます。
まず16ページでございますが、衆議院厚生労働委員会における附帯決議として、1として今回の医療保険制度の運営に関する改正に続いて2025年には団塊の世代が後期高齢者に移行することなどから、少子高齢社会の進展を見据えた取り組みを早期に開始し、医療保険制度の健全な運営に努めることという決議がございます。
2以降で、個別の各論に関しての決議がございます。
例えば本日の議論にかかわるところでいいますと、2番におきましては個人番号カード、マイナンバーカードによるオンライン資格確認が導入されることを踏まえて、個人番号カードのさらなる普及拡大に向けて関係府省が連携して取り組むこと。
あるいは、5~9にかけては健康保険の被扶養者等の要件にかかわる部分ですけれども、健康保険の被扶養者等の国内居住要件の例外要件の設定等に当たっては、国籍による差別的な取り扱いとならないようにすることといった決議がつけられているところでございます。
また、17ページ、18ページにおきましては、参議院厚生労働委員会における附帯決議がなされております。こちらは、先ほどの衆議院厚生労働委員会における附帯決議を踏襲した部分もございますし、また、参議院において新たにつけ加えられた部分もございます。例えば、3番や4番などは新たにつけ加えられているところでございます。
ただ、衆議院のときと同様に次の改正に向けて取り組みを早期に開始をすること、あるいはマイナンバーカードについて関係府省が連携して取り組むことといった同様の規定もあるところでございます。御参考までに御紹介をさせていただきました。
こうした附帯決議も踏まえまして、施行に向けて、あるいはその後に向けて、取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、資料の1-2をお開きいただければと思います。資料1-2は、今回の改正にかかわる内容のうち、オンライン資格確認に関する事項と関連することといたしまして、マイナンバーカードの普及とマイナンバーカードの利活用の促進に関する方針について、先日6月4日にデジタル・ガバメント閣僚会議におきまして決定された内容を御紹介させていただければと思います。
資料1-2の1ページ目をお開きください。このデジタル・ガバメント閣僚会議は、官房長官のもとにおかれまして関係大臣が入っている会議でございますけれども、マイナンバーカードの普及に向けて政府を挙げて取り組んでいくということで、普及促進策についてまとめたところでございます。
「マイナンバーカードの普及促進等のポイント」の1枚目、上段のほうにありますように、国民の皆さんがマイナンバー制度のメリットをより実感できるデジタル社会を早期に実現するために、マイナンバーカードの普及、その利活用を促進するということでございまして、関係府省庁が連携をして施策を順次実施していくということです。
その中では、「自治体ポイントの実施」として令和2年度、来年度に予定されている自治体ポイントの実施にマイナンバーカードを活用するといった施策も入っておりますし、また、オンライン資格確認の仕組みのもとでマイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みも令和3年3月から本格運用といった内容も書かれてございます。
この令和3年3月というのは、オンライン資格確認の仕組みの中でマイナンバーカードを活用した資格確認を進めてまいりますのが令和3年3月目途に開始をするということでございますので、その内容をここに写しているということでございます。
また、あわせまして全国の医療機関等ができる限り早期かつ円滑に対応できるよう、令和4年度中におおむね全ての医療機関での導入を目指し、具体的な工程表を8月を目途に公表するといった内容も記載がございます。
そのほか、「マイナンバーカードの普及促進等のポイント」といたしましては「マイナンバーカードの円滑な取得・更新の推進等」、政府全体としてのさまざまな取り組みが盛り込まれているところでございます。
2ページ目はその概要となっておりまして、今、申し上げたように「自治体ポイントの活用」を1として、マイナンバーカードの健康保険証としての利用というものを2として、そして「マイナンバーカードの円滑な取得・更新の推進等」を3として、縷々政策が記載をされているところでございます。
これを6月4日の閣僚会議で決定をしたところでございまして、こうした方針に沿いまして、また関係の機関、関係者の方々とも相談をしながら施策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
資料1-3、1-4につきましては、保険課長から説明をお願いします。
○安藤課長 保険課長でございます。私のほうからは、資料1-3及び1-4につきまして御説明させていただきます。
まず資料1-3、被扶養者認定要件の改正省令についてでございます。
ページをおめくりいただきまして1ページ目でございますけれども、先ほど資料1-1の中の今回の改正法の中に含まれているものでございますが、今般、健康保険法が改正されまして、被扶養者等の要件に国内居住要件が追加されたところでございます。
こちらの規定自体は来年の4月1日から施行という形になってございますけれども、法律の中で2点、省令事項がございます。1点目が国内居住要件の例外となる者について定めるということ、それから2つ目としては例外的に法律の適用除外すべき者、これらの2つについて厚生労働省令のほうで定めることとなってございます。
それで、こちらの全体のスケジュールでございますけれども、来年の4月の施行に向けまして、特に保険者を中心として準備期間というものが必要になってまいりますので、今、申し上げた省令自体はこの8月に一定の手続を経た上で公布をしていきたいと考えております。
2ページ目でございますが、本日はまさにこの改正省令の中身につきまして御審議いただきたいというものでございます。その概略について、2ページにまとめてございます。
資料の見方でございますけれども、左側に青枠の中で書いてありますのは法律の条文になってございます。
まず原則でございますが、先ほど申し上げましたように日本国内に住所を有する人というものを被扶養者の要件として追加するというものでございます。こちらは、住民票で確認をすることを考えてございます。
それから、2つの省令事項でございますが、1つ目が「例外的に認定」するということでございまして、法律の条文上は日本国内に住所を有しないが、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして定めるものという形になってございます。
それで、こちらは省令を規定する上での考え方を右側に書かせていただいてございますけれども、私どもとしましてはこの日本国内に生活の基礎があるという方については、そちらに掲げられておりますマル1及びマル2を満たすものを省令に規定するということで考えております。
1つ目が、これまで日本で生活をしており、渡航目的に照らして今後日本で生活する蓋然性が高いと認められる方、要すれば一時的な海外渡航である方というのを考えてございます。
なお、※印で書いてありますけれども、その中には例えば海外赴任中に生まれたお子さんみたいに過去が観念できない方についても、身分関係の変更という事情を考慮してこのマル1の中に含めていくことを考えてございます。
それともう一つが、渡航目的が就労ではない方、以上2つの考え方を満たす方々を省令で規定するということで考えておりまして、現時点において省令の規定として考えておりますのがその下段の表になります。
具体的には(1)~(5)に掲げる方について省令で規定することを考えておりまして、まず(1)として外国において留学をする学生、いわゆる留学生の方、それから(2)として日本から海外赴任に同行する御家族、それから(3)として先ほど申し上げましたように海外赴任中の身分関係の変更により新たな同行家族とみなすことができる方、典型的には海外赴任中に生まれた被保険者のお子さんですとか、あるいは海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者などを想定しているところでございます。
それと、(4)といたしまして、観光・保養やボランティアなど、就労以外の目的で一時的に日本から海外に渡航されている方、典型的にはワーキングホリデーですとか青年海外協力隊というような形で海外に行かれるような方を想定しているところでございます。
大きくはこの4つでございますけれども、ただ、いろいろなケースというものが実際には考えられるのではないかと思っておりまして、最後の(5)にありますように「その他日本に生活の基礎があると認められる特別な事情があるとして保険者が判断する者」という形に、一定のいわゆるバスケット的な規定というものを設けることもあわせて考えているところでございます。
なお、これら具体的な省令で定めるのは今、申し上げたようなところでございますけれども、より具体的な内容につきましては右側に確認方法も書いてございますが、通知においてさらに詳細については規定することを考えているところでございまして、これは実際に企業の方ですとか、あるいは保険者の方々にもいろいろなケースというものをよくお伺いした上で、この省令に合わせて通知もお示しをするということを考えているところでございます。
それからもう一つ、マル2の部分でございますけれども、「例外的に適用除外」をする方でございます。法律上は、その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として省令で定めるという形になってございます。こちらでは、2つのビザで日本国内に入ってくる方を想定しているところでございまして、1つ目が「医療滞在ビザ」で来日した方、それからもう一つが「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で来日した方を被扶養者の適用から外すということを考えているところでございます。
まず、前者の医療滞在ビザにつきましては、いわゆるこれは医療ツーリズムで入ってこられる方ですけれども、そもそもとしてこのビザが自費で医療を賄うことを前提として発給されるものでございます。
それから、下の「観光・保養を目的とするロングステイビザ」につきましても、これは一定の資力、具体的には3,000万円の資力を求めておりますけれども、それに加えて民間保険の加入というものがビザの発給に当たって必要になるというビザでございまして、いずれのビザにつきましても基本的に医療につきましては自費で賄うということを前提に出されているビザでございますので、今般、実は国保においてはもう既に適用除外されているという事情も考慮した上で、被扶養者の適用から外すということを省令で規定することを考えているところでございます。
なお、最後の※」ありますけれども、今般、来年の4月からこの国内居住要件自体が導入、スタートすることになりますが、施行日、来年の4月1日時点で現に保険医療機関に入院されている方で被保険者資格が切れる方というのも出てくる可能性はありますけれども、その方々については人道的な配慮の観点から、入院期間中はこの資格を継続させるという経過措置を設けることも合わせて考えているところでございます。
以上が資料1-3でございまして、続きまして資料1-4について、話はがらっと変わりますけれども、あわせて御説明させていただきます。
資料1-4につきましては、「審査支払機関における審査の効率化・高度化等に向けた取組について」でございます。
ページをおめくりいただきまして、1ページと2ページにわたりまして、それぞれ1ページにつきましては「支払基金改革におけるこれまでの主な取組状況」、それから2ページにおいては「国保中央会・国保連合会における主な取組状況」について記載させていただいてございます。これは御報告になりますけれども、簡単に説明いたします。
まず1ページ、支払基金のほうでございますが、「審査支払新システムの構築」ということで、これは今まさに現在進行中でございますけれども、令和3年9月の稼働に向けて業務単位にモジュール化した上で新しいシステムというものの調達を今、実施しているところでございます。
それから大きな2番、「審査業務の効率化」にかかる取り組みといたしまして、例えばコンピュータチェックルールを順次公開するといったような取り組みですとか、あるいは高額医薬品等の注意付せん、これは既に廃止してございますけれども、これまでは高額の医薬品については全て付せんを張った上で、基金の職員の方に目視でチェックをしてもらうという取り組みをやっておりましたが、それ自体を廃止するといったような効率化に資する取り組みを進めてきたところでございます。
3点目として、「支部間差異の解消」ということで、「支部独自に設定されたチェックルールの見直し」というものを順次進めているところでございまして、廃止するか、あるいは全国ルールに一本化するという形で、現在このチェックルールの見直しを進めているところでございまして、令和3年9月の新システムの稼働時までに集約を完了していきたいということで進めているところでございます。
あるいは「本部審査の拡大」ということで、これは昨年の10月診療分からこの本部審査の拡大というものを図ってくるといったような取り組み、あるいは本日、後ほどの説明にかかわってくるところでございますけれども、「審査基準の統一化」ということで、全国の審査の取り扱いが一定程度収れんされた事例につきまして、基金内の会議において審査基準を統一し、一定の見解という形で各支部に周知するという取り組みもあわせて基金のほうで進めているところでございます。
それから、大きな4つ目、「組織の在り方の見直し」ということで、これは1-1に書かれておりますように、今般の法律改正の中で支払基金の機能強化のための組織の改正というものを行って、これからその施行に向けて準備を進めていくというものでございます。
続きまして2ページ目、今度は「国保中央会・国保連合会における主な取組状況」でございます。基金とパラレル、平行になるような形で記載を書かせていただいております。
まず1番目は「審査支払新システムの開発」ということで、国保の場合につきましては国保総合システムの次期開発・機器更改時期が令和6年度になってございますので、それに向けて基金と中央会、双方の審査支払業務が整合的、あるいは効率的に機能するように、双方連携を図りながら検討を進めているところでございます。
それから大きな2番、審査業務の効率化の推進ということで、これも基金のほうと同様に進めているものでございますが、コンピュータチェックルールについて順次公開を進めてきている。
それから、3番が「審査基準の差異解消に向けた取組の強化」ですが、まず「統一的なコンピュータチェックルールの設定」ということで、事務共助段階で審査が完結する項目について、現在4,000項目について国保連の中の会議で承認を行った上で、ことしの4月から統一的なコンピュータチェック項目として設定をするといったような取り組みを進めているところでございます。
また、基金のほうにもございましたが、「審査基準の統一化」ということで、国保の場合については全国の国保連、47ございますけれども、そのうちの8割、38連合会以上が採用している審査基準について、これも会議にかけて承認を得た上で、全国国保連共通の審査基準として採用するといった取り組みを進めてきているところでございます。
また、「審査委員会の在り方等の見直し」ですが、中央での審査の拡大ということで、これは基金と同じように取り組みを進めているところでございます。
以上、支払基金、それから中央会、国保連でこれまでも取り組みを進めてきているところでございますが、3ページをごらんいただきたいと思います。こうしたそれぞれの審査支払機関の取り組みに加えて、審査の判断基準の統一化に向けて連絡会議を今回開催するということについての御報告でございます。
3ページは【趣旨・目的】について書かせていただいておりますが、昨年の3月に厚生労働省と支払基金においてまとめました「審査支払機関改革における支払基金での今後の取組」というものの中でも、「厚生労働省においては、国民健康保険連合会も含む審査基準の統一のための検討の場を設けることにより、審査基準の統一化を進める」こととされているところでございます。
また、今般の改正法の中でも審査支払機関の機能強化が盛り込まれておりまして、審査における不合理な差異をなくして平準化を図るための改革というものも進められているところでございます。
こういった状況の中で、基金と国保連、それぞれにおいて先ほども申し上げましたように審査基準の統一化に向けた取り組みが行われているということも踏まえまして、今般支払基金、あるいは国保連合会、それぞれにおいて統一化が図られた事例のうち、審査の運用の際に全国統一的な判断基準が必要と思われるものについてこの連絡会議を設置しまして、そこで検討の上、統一的な判断基準を提供するということを進めたいと考えているところでございます。
4ページは、連絡会議の【構成等】について書かせていただいております。連絡会議本体の親会と、そのもとに設置する作業部会で構成したいと考えておりますが、【連絡会議】としましては厚生労働省保険局と、それから支払基金、国保中央会のほうから審査委員を中心にメンバーとして御参集いただいた上で、必要に応じて学識経験者も入れて、先ほども申し上げた統一的な判断基準についての検討というものを行っていきたいと考えているところでございます。
大きなスケジュール感でございますけれども、ことしの8月以降、第1回の連絡会議を開催したいと考えておりまして、以降、定期的に年2回程度開催することを予定しているところでございます。
以上、簡単でございますけれども、資料1-3及び1-4についての説明でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
以上、資料の1-1~1-4まで御説明いただきました。非常に内容は多様でございますけれども、この中で資料の1-3ですね。「被扶養者認定要件の改正省令について」、これが審議事項でありまして、それ以外は御報告ということでありますので、まずはこの審議事項である資料1-3について御意見、御質問等をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
それでは、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 それでは、1点だけです。被扶養者認定要件に国内居住要件が追加されますけれども、やはり例外規定等もありますので、施行に向けた準備においては健保組合における事務手続が煩雑にならないように御配慮をお願いしたいと思います。以上、要望でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
それでは、南部委員どうぞ。
○南部委員 ありがとうございます。私からも、要望を1点申し上げます。
例外規定として、(5)の「その他日本に生活の基礎があると認められる特別な事情があるとして」ということが書かれております。これについては、一定の基準が必要かと思いますので、ぜひガイドラインなど、わかりやすい基準をつくって、保険者によってさまざまな対応にならないような御対応をお願いしたいと思います。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかに何か御質問、御意見等はございますか。
では、安藤委員どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。ただいまお二人の委員からもありましたように、保険者が現場で本当に運用に困ることがないように、できるだけ明確に規定をしていただきたいと思いますので、その判断に困るケースが生じた場合には、保険者からの疑義照会に速やかに回答もしていただけるように御準備をよろしくお願いしたいということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
堀委員、どうぞ。
○堀委員 前回の審議会でも発言させていただきましたが、被扶養者認定要件の改正については非常に前向きな一歩と評価しているのですが、この改正省令の「例外的に適用除外」というところでちょっと御質問させてください。医療滞在ビザで来日した方はもともと国民健康保険の対象ではないと思うのですが、その方の被扶養認定というのは医療滞在ビザに帯同した家族の被扶養認定ということかと思いますけれども、ほとんどまれというか、めったにないケースかと思うのですが、実際こういうケースはあるということなのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○安藤課長 ありがとうございます。委員がおっしゃるように、極めて概念的なお話かと思っておりますが、まず国保については御指摘のとおり既に適用除外になっております。今般、新たに省令で適用除外しようとしておりますのは、例えば被保険者の方が日本の国内、企業で働いていて、その御家族、例えば誰でもいいんですけれども、配偶者の方が日本に医療滞在ビザで入ってこられて、それで日本で働いていらっしゃる被保険者の被扶養者になるというケースを想定してございます。
ただ、先ほども申し上げましたように、この医療滞在ビザ自体、基本的に自費で医療を賄うということを前提に発給されるビザでございますので、そういったことに鑑みれば、そもそも日本の医療保険でそれを出すというのはおかしいのではないかというのが考え方としてあるところでございます。
ただ、ケースとしては我々も極めてレアなケースではないかと考えているところでございます。
○遠藤部会長 よろしいですか。
○堀委員 はい。
○遠藤部会長 ほかに何かございますか。
それでは、横尾委員どうぞ。
○横尾委員 遅参しまして失礼いたしました。途中の説明を聞いていないのでやりとりに行き違いがあるかもしれませんが、この問題は少し潜伏的な課題として今ネット上で広がっているという認識を持っています。
旅行やその他の目的で来た海外の方が医療を受けるということがあります。また、そのことを目的として自己負担も適切にされる場合はいいのですが、なかなかそのことでトラブルが起きている、あるいは実際は医療費を支払わないままに終わっているということも聞いたりするのですが、それらを踏まえましてとにかく遺漏がないようにしなければならないことが一番重要だと思っています。特に納税者の皆さんや、実際の保険にかかわる方々は熱い視線で今ごらんになっていると思います。その辺を踏まえまして、こういったスタンダードで大丈夫なのか、もうちょっとここまで踏み込むべきか、そういったことがあったらぜひ教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、何かコメントありますか。
○安藤課長 これはまさに今般の法律改正の中でも、国会の中でもさまざまな議論がなされたところでございますし、先ほどもちょっと御説明があったんですけれども、附帯決議もいただいているところでございます。
ですので、内外差別があってはいけないということは当然でございますけれども、医療保険制度というのは基本的には日本に在住される方が保険医療機関を受診されて、それに対して保険給付をするというのが原理原則でございますので、今般グローバル化が進む中で、必ずしも想定していなかったケースというものがいろいろあるという指摘を受けて今般改正をするということでございますから、そういった原理原則の中できちんと省令についても規定していきたい、考えていきたいと思っております。
ただ、その中で先ほども保険者の方々等々から御指摘がございましたけれども、やはりきちんと実務が回るということも重要だと考えておりますし、保険者間で不公平があってはいけないというところは我々も十分認識しているところでございますので、よく企業ですとか、あるいは保険者の方々の実態というものをお聞きした上で、できる限り公平・公正なルールとなるように、我々のほうでもきちんと考えていきたいと思っています。
○遠藤部会長 ほかにいかがですか。よろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○遠藤部会長 ありがとうございます。それでは、今いろいろ御意見が出ましたけれども、これは運用上の御要望ということでありまして、事務局原案について特段の反対意見というのはありませんでしたので、これは事務局原案をお認めいただくということでよろしゅうございますね。
(委員 異議なし)
○遠藤部会長 それでは、事務局としましては今の会議の議論を踏まえまして所要の手続に進んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは1-3以外、1-1~1-2、1-4について意見を伺いたいと思います。
では、佐野委員どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。マイナンバー関連のところですけれども、この普及と利活用のところですね。マイナンバーカードの取得、保有については当然オンライン資格確認のメリットを確実にするための必須要件でありますので、この基本的方向性についてはもちろん賛成でございます。
ただ、その上で健保連として問題意識を2点述べたいと思います。
まず1点目は、この資料1-2の1ページ目のところの記載を見ますと、マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、令和4年度中にあたかもほとんどの住民がマイナンバーカードを保有するような表現に見えます。すなわち、マイナンバーカードの普及促進があたかも保険者の義務、責務であるかのような印象を受けておりまして、これが1点目の問題認識でございます。
次に、現実問題としてはいわゆる病院、診療所、それから歯科診療所、調剤薬局以外にも療養費支給の対象となっている機関がございます。したがって、マイナンバーカードの普及が仮に100%になったとしても、現状のままでは既存の保険証の発行はやめられないということになってしまいます。この場合には、実質的には2種類の保険証が存在するということになって、健保組合の保険証発行、もしくは管理業務は増えますし、また2つのものが使えるということになれば不正使用対策のような新たな対策も必要になってくる。これが2点目の問題意識でございまして、この2点については厚生労働省のお考えを聞きたいと思っております。
それから、次が要望事項でございます。これは今までも申し上げていますけれども、やはりマイナンバーカードの普及に向けてはマイナンバーの取り扱いに対する国民、あるいは企業、事業主の認識に働きかける部分も相当必要だと思います。もちろんプライバシー保護の観点というのは重要だと思いますけれども、国として利用拡大を目指すための取り組みをさらに進めていっていただきたいと思います。
以上がマイナンバー関連でございまして、それ以外は1点だけです。審査支払機関の強化のところでございますけれども、法改正後、この審査支払機関が効率化に向けた具体的な取り組みをどのように行っていくのか、その計画ですとかスケジュールを早急に示していただきたい。これは、要望事項でございます。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、質問が2つと要望が2つありましたけれども、まず質問に対するお答えをいただいて、それから要望に対してコメントがあればお願いしたいと思います。事務局、どうぞ。
○高木室長 マイナンバーカードの保険証利用の関係でございます。こちらにつきましては、マイナンバーカードの普及推進についてのデジタル・ガバメント閣僚会議における取りまとめでございまして、政府全体としてマイナンバーカードの普及推進に取り組んでいくということでございます。
そうした中で、マイナンバーカードの保険証としての利用につきましては、保険者や医療機関、薬局では失効した保険証の利用による過誤請求の事務コストが減少するとか、患者においてもマイナンバーカードによって医療機関で受診が可能になるということで、保険者、医療機関、薬局、患者それぞれに事務の効率化や利便性のメリットがございますので、国から保険者の皆様にも事業主を通じた取得の働きかけなど、普及推進の取り組みについて我々からお願いをする。あわせて、医療機関、薬局においてもシステムの導入について医療情報化支援基金を活用して積極的に支援していくということで、政府全体においてそうした関係者の協力を得ながら普及導入の推進に取り組んでいくというものでございます。
また、2点目は療養費の関係について御指摘がございました。まずは保険者の事務負担の軽減に資するものとなるようにしないといけないということでございますので、そのような療養費におけるマイナンバーカードによる資格確認の方法とか運用につきましては、保険者の皆様を含め、関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと思っております。
さらに、事業主の認識に働きかけることも必要という点につきましては、今回のマイナンバーカードの普及推進方策においては事業所官庁を通じた事業主への働きかけ、これは厚生労働省だけではなくて全省庁に対して、内閣官房中心で、そのような働きかけも進めていくということです。政府全体でそのような事業主も含めたマイナンバーカードの取得推進についての働きかけも進めていくこととしております。
○遠藤部会長 それでは、佐野委員どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。今コメントがございましたが、やはり今後の検討に当たっては保険者に負荷がかからないような形でお願いしたいと思いますし、また、実施に当たっては十分かつ丁寧な議論といいますか、協議をお願いしたいと思います。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 私もお聞きしたいのですけれども、法律を見ますと、必ずしもマイナンバーカードを使わねばならないという文章はないように思います。つまり、お年を召していて大事なものは持って歩きたくないという方もございますし、また、医療機関においての整備も十分でない状態であります。したがって、そういったマイナンバーカードだけでもなく、これまでどおり健康保険証で資格確認ができて受診できるということは間違いないのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、お願いします。
○宮崎課長 御質問ありがとうございます。その点につきましては、国会でも何回かにわたって御質問いただきまして、大臣ないしは局長、政府参考人から御説明させていただいたところでございますけれども、委員が御指摘のとおり、現在ある健康保険証もこれまでどおり使えるということで法律をつくっておりますので、例えば今、持っておられる健康保険証が使えなくなるとか、そういうことを申し上げているわけではございません。
マイナンバーカードが健康保険証としての機能を持つことになれば、マイナンバーカードを持っている方にとっては利便性が増すだろう。また、これをオンライン資格確認という仕組みの中で使うことで、保険者、医療機関、患者さん、それぞれにとってのメリットがあるだろうということでシステム整備を進めておりますけれども、何かしら現在ある保険証をなくすとか、そういう強制的なものを伴っているわけではございません。
○遠藤部会長 松原委員、どうぞ。
○松原委員 現在の保険証でも資格確認ができる仕組みになるんですか。
○宮崎課長 オンライン資格確認につきましては、そのとおりでございます。
ただ、例えばその際に医療機関での情報の打ち込みの負担が変わるとか、そういった差異はもちろんございますけれども、現行の保険証でも使える仕組みとして、資格確認ということに関して申し上げますと用意をしているところでございます。
○松原委員 まだ少し先の話でございますし、健康保険証にQRコードをつけていただく。協会けんぽはつけていただいていますけれども、同じ方法で簡単に読み取れますので、そういったこともお進めになることはないのでしょうか。特に健康保険はつけているところと、つけていないところがあるやに聞いていますけれども、とにかく医療機関としては認証して、有効かどうかということが一番大事なメリットですので、いかがでございましょうか。
○遠藤部会長 事務局、お願いします。
○高木室長 QRコードにつきましては、保険証の再発行が必要になるとか、そうしたコストの面もありますので、どういった形でやることが効率的かという中で、今回のマイナンバーカードの資格確認の仕組みや、現行の保険証による資格確認の仕組みというものを関係者と御相談しながら進めてまいりたいと思っております。
○松原委員 現行のものにもQRコードを使える部分があると思うのですが、それはぜひ残していただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、お待たせしました。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。マイナンバーカードの普及促進についてですが、例えばマイナンバーカードを、各病院共通の診察券として利用できるような仕組みもぜひ検討していただければと思います。
また、マイナンバーカードを活用し、医療機関等において、患者の受診歴や投薬歴が確認できるようになれば、重複受診や多重投与が減り、医療費の抑制につながると考えられます。したがって、マイナンバーカードと診療情報・投薬情報との紐付けについても、ぜひ検討していただきたいと思います。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
先ほどお手をお挙げになった原委員、どうぞ。
○原委員 ありがとうございます。今般の健康保険法等の改正に関しまして、2点発言をさせていただきたいと思います。
1点目は保健事業の関係でございますけれども、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施ということでございまして、私ども国保中央会、国保連合会は今回の法律の中でデータ分析手法の研修支援、あるいは実施状況等の分析評価等の役割を担わせていただくことになっております。それで、来年度からの本格実施に向けまして、今年度、中央会の中に有識者によるワーキンググループを設置しまして、研修プログラム等を策定するほか、広域連合や国保連合会職員向けの研修というものを実施していく予定としております。
また、今回の国保法の改正の中で、連合会の業務としてデータ分析等に関する業務を明確に規定していただきました。先ほど御紹介がありました国会の附帯決議におきましても、保険者の全国団体等による基礎的な分析や、実用性の高い分析ツールやフォーマットの整備が求められているところでございます。
これらの私どもに期待されているデータの分析業務等につきましては、KDBシステムの機能面の充実とともに分析業務ができる人材の育成を図っていくことを今、予定しているところでございます。いずれの取り組みにつきましても、厚生労働省の御支援、御指導が不可欠だと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
2点目は、「審査支払機関における審査の効率化・高度化に向けた取組」の関係でございます。中央会、連合会におきましても説明にございましたように、現在基本計画に基づきまして審査支払業務改革に取り組んでいるところでございまして、今後ともしっかりとやってまいりたいと思っております。特に審査基準の統一化につきましては、これも御説明がございましたように、全国連合会の8割以上が採用している審査基準を全国共通の審査基準として採用するなど、各連合会の審査委員会の会長先生方の御協力のもと、積極的に進めているところでございます。
今般、支払基金と国保連合会における審査基準の統一化に向けて、厚生労働省に連絡会議が設置されるということでございますが、私どもも以前から要望していたことでございまして、大変意義のあることと思います。中央会、連合会も積極的に協力してまいりたいと思いますので、厚生労働省におかれましてはこの連絡会議が有効かつ円滑に機能するよう、今後ともリーダーシップを発揮していただくことをお願い申し上げたいと思います。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、遠藤委員、安藤委員の順番でお願いします。
○遠藤委員 ありがとうございます。2点ほどお尋ねしたいのですけれども、1点はマイナンバーカードのところで、令和4年度中におおむね全ての医療機関で導入を目指すということがあるんですけれども、これは可能であるという目算があってのことでしょうか。
例えば、我々歯科のところではデジタル化は進んでいますけれども、オンラインはまだ2割に満たない状況です。こういったところで、令和4年にできるということの道筋というのはもう既にできているのでしょうか。
それから、予算化という意味では今回300億のうち150億はこちらに使うということですけれども、そこに向けての予算化というのは十分対応できているのかという点が1点です。
もう一点は、審査支払機関に関して、連絡会ということで国保と支払基金の合同の委員会、協議会が立ち上がるようですけれども、通常審査においては医科と歯科と別々に分かれているように思うんですが、この場合、歯科の部分についても何らかの対応があるのかどうか。この2点をお願いします。
○遠藤部会長 では、事務局、お願いいたします。
○宮崎課長 まず前段ですけれども、このオンライン資格確認をスタートさせていくに当たりまして、このようなオンライン資格確認に対応できる医療機関等、あるいはそのメリットを享受できるためにできるだけ多くの医療機関等に参加をいただいて、多くの方が利用できるような形にできるだけ速やかにしていく必要があるということは、繰り返し国会で御質問もいただき、また御説明もさせていただいたところでございます。できるだけ速やかに進めていくという意味で、令和3年3月から本格運用ということですので、本格運用してから令和4年度中ということで、最大でも2年くらいの期間をかけてということになります。
今からいうと3年、4年あるわけですが、制度が施行されてから2年くらいの間を目指すということでこのような目標を立てまして、それに向けてどういう手だてが必要かということをむしろ考えて、また関係の皆様にも御協力をいただきながら進めていきたいということでございます。現時点でこういう形でこうなるというものを具体的に持っているわけではございませんけれども、この目標に沿って進めてまいりたいと思っていますし、そのために御質問のございました財政的な支援の部分につきましても、現在既に医療情報化支援基金という形で用意をさせていただいておりますが、さらにその必要があるのかどうかということも今後の検討の課題には挙がってくるかと思っております。
○遠藤部会長 では、医療課長どうぞ。
○森光課長 連絡会についてのお問い合わせかと思います。まず、この連絡会につきましては対象とするものに関しては支払基金、それから国保、それぞれが全国的に統一できるような内容のものをピックアップして双方、国保と支払基金とで連絡会をつくるということになっております。
それで、基本的にはレセプトの量ですとか、そういうことからしますと、まず医科のレセプトを中心に始めることになると思いますが、将来的には、当然歯科やその他のものに関しても対象となると考えている状況でございます。
○遠藤部会長 遠藤秀樹委員、よろしいですか。
○遠藤委員 はい。
○遠藤部会長 それでは、安藤委員、森委員、池端委員の順番でお願いしたいと思います。
それでは、安藤委員どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。マイナンバーカードにつきましてお話をさせていただきます。まず保険者ごとのマイナンバーカードの取得促進策を本年の8月を目途に公表することとされていますが、その中でまず1点確認と、2点意見を述べさせていただきたいと思います。
まず最初に1点目の確認ですが、オンライン資格確認等の円滑な実施に向けて、保険者としてももちろん加入者のマイナンバーカードの取得に協力していきたいとは思っておりますが、そもそも国民のマイナンバーカードの取得促進についての責任の所在は、我々保険者ではなくて国にあると考えております。この点について、事務局の認識も相違ないのかどうか、念のためにまずは確認させてください。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○宮崎委員 保険者に責任を負わせるということではなくて、政府全体としてマイナンバーカードの取得促進を図っていくということでございます。この閣僚会議そのものがまさにそうでありますし、またこの内容も保険証の機能を利用するというのは一つのコンテンツでありますけれども、それが全てではなくて種々のコンテンツが入ってカードを普及させていくように政府として取り組んでいこうというものでございます。
○安藤委員 ありがとうございます。その上で、まず意見の1点目です。私ども協会けんぽでは225万の事業所があります。その225万の事業所に郵便を1通送るだけでも2億円近いお金がかかるということも考慮に入れていただきたいのですが、マイナンバー取得促進策については、やはり我々保険者の意見も十分に聞いた上でぜひ策定していただきたく思っております。
2点目です。マイナンバーカードの取得を促すためには、取得をすることで得られる国民のメリットを十分に説明して、そして、ご理解いただくことが必要ですので、ここの部分につきましてはやはり国が率先してPRを行っていただきたいと思います。メリット、利便性、いろいろあるとは思いますが、現時点ではなかなか皆さんが納得できるようなものが伝えられていないかなと感じておりますので、その点ぜひよろしくお願いしたいと思います。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。資料1-2のマイナンバーカードのところですが、1点目の質問は先ほどの遠藤委員と同じで、令和4年中に全ての医療機関、薬局での導入を考えているのかということで、これはお答えいただきましたので大丈夫です。
ただ、導入している施設、していない施設、できない施設があると、国民が非常に混乱をすると思いますので、資料の中で十分な支援を実施すると書いてありますけれども、ぜひ国のほうで支援をお願いしたいと思います。
それから、支援いただいても全ての施設で令和4年に導入できるかというと非常に難しいと思います。そのことを国民へ周知しないと、国民が困ってしまうと思います。
もう一点はお願いで、資料1-1になります。資料1-1の3ページ目の「医療情報化支援基金の対象事業」で、前回この2番の「電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援」のところで、薬局も対象になっているかということで確認させていただきましたが、対象になっていないということで、薬局における調剤情報を医療機関と共有することも非常に重要なので、今後対象となるようにお願いしましたが、その後、少し調べてみました。まずは調剤情報を薬局間、それから薬局と医療機関間で連携できるようにするためには、標準化形式の開発が必要となります。
その上で、標準化形式に対応したシステムの開発、薬局では標準化形式に対応したそういうシステムの導入が必要になってきます。電子化はいろんなところで動いていますが、必要なことは何なのか、全体の負担ということも考えて、一度全体を整理していただいて、きちんと連携がとれるような体制、支援をぜひお願いしたいと思います。これは、要望です。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私は、1-4の支払機関における審査の効率化・高度化の取り組みについて少し御質問させていただきたいと思います。
まず、この取り組みそのものについてはもちろん反対するところではなくて、平準化も含めて進めていかなければいけないことは十分理解している上でお話をしたいんですけれども、一方で、現時点では地域性を鑑みた一定のローカルルールがあることも事実かと思います。その辺はどこにどうその平準化を合わせるかということに対して、やはり各地域性も踏まえた丁寧な情報収集のもとで議論していただいて、そしてソフトランディングをしていかないと、中央で集まって、えいや、これが基準ですよ、さあこれでやってくださいということになると非常に混乱が起きる可能性も高いのではないかと思うので、その辺のソフトランディング的な取り組みを考えていらっしゃるかどうかが1点質問です。
もう一つは、当然ながらこの医療、特に最近は薬剤の適用も含めて日進月歩でありまして、一定のルールをつくったところで1年1年、それをすごくバージョンアップしていかないと、新しい医療に対する適用ということに対しておくれがちな委縮診療につながってしまうようなこともあり得るかと思うので、その辺のタイムリーな対応をこの中央で一括でできるのかどうか。その辺のタイムリーな対応ができるかどうかということについて、2点目にお伺いしたいと思います。
○遠藤部会長 では、事務局、質問がありましたので、どなたかお願いします。
医療課長、どうぞ。
○森光課長 まず、ローカルルールについては、基本的にはまず国保や支払基金の中でそれぞれローカルルールも含めてしっかり話し合って丁寧にやっていただくことが大前提で、その前提のうえでそれぞれの機関の中で丁寧に話し合っていただくということでございますので、それは御心配ないのではないかと思っています。
それからもう一点、高度化の話でございます。それは基本的に私ども医療課において診療報酬改定の中に新しい高度な技術を入れるとか、そういう部分に関しての解釈ということでございますので、まず私どものほうで高度化に応じた形でしっかり疑義について解釈を示していくことが必要であろうと思っております。
○遠藤部会長 池端委員、よろしいですか。
○池端委員 はい。
○遠藤部会長 ほかにいかがでしょうか。
それでは、南部委員、それから横尾委員の順番でお願いします。
○南部委員 ありがとうございます。マイナンバーカードについての要望でございます。附帯決議にもございましたように、普及の拡大とセキュリティーの対策の充実ということをぜひお願いしたいと思います。
特にセキュリティーに関しては、個人単位被保険者番号についても被保険者自身がアクセスログを確認できるような仕組みをぜひ考えていただきたいと思っております。
また、マイナンバーカードを取得した後、資格確認を行うための初期登録というのがございます。それについてはなかなか難しいと思いますので、国民へのサポート体制をどうしていくか。そして、そのカード自身が普及するための周知をどのようにしていくかということは、十分な検討をしていただきたいと思っております。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、横尾委員お願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。マイナンバーカード普及の問題や資格認証をオンラインでやる話が出ていますが、私は実は4日前にエストニアから日本のICT教育の助言のために来た先生とお会いしました。この方はキンダーガーデン、年少から小学校、中学校の一部もいろいろ指導しているスーパーバイザーです。
懇談の機会がありましたので、カードを見せてくださいと言って見せていただきました。そうしたら、にこにこしながら、これで「医療、行政サービス」全てこれでオンラインでオーケーですと言われました。エストニアにはエックスロードという大変優れた情報システムがあって、それが「医療、行政サービス」の全てをカバーしているということですが、日本政府はまだそこまでいっていませんので向かっている途中であり、官房長官や総理大臣もおっしゃっている日本のデジタル・ガバメントの実現というのはその方向性だと思います。
それで、お話を聞いていてさらにびっくりしたのは、もうカードを卒業し始めているなと思ったんです。実は、デジタル認証を別にやっている。要は、一般の日本の場合ですと、スマートフォンとか何かでいろんな決済が行えるようになっていますけれども、そういう段階に入ってきていて、カードは持っているけれども、多分使う機会は今後減るとおっしゃっていました。
もちろん、セキュリティーの課題とか、いろんな課題があるのは各委員の皆さんがおっしゃったとおりですが、やはり政府が大きく目指しているデジタル・ガバメントというのは、1つは利用者の方の利便性の向上、あるいは医療保険や健康行政でいいますとパーソナルヘルスレコード、自分の健康データをちゃんと記録して、それを適宜自分もわかるし、医療機関でも確認いただいて、医療とか治療とか指導に生かしていただけるとか、ひいてはそれをカバーしている保険者や行政の主体からすれば、諸般の事務作業が効率化できるし、コストもかからなくなる。いろんなプラス面があると思います。
プラスの議論をすると、必ず一方からは、マイナスもあるのではないか。メリットがあればデメリットもあるだろう。そのことについてもはっきり言うべきとよく言われます。我々も、よく言われる機会があります。
でも、プラスの面をしっかりとカバーしながら、厳しい面とか、課題のある面は一つ一つソリューションを見つけて解決をしていくことで、諸国は既に先をいっているわけですね。そういったことを想定しながら、デリケートな部分も、特に厚生労働省は非常にそういう重要な政策の分野を扱っておられますので、そこも想定しつつ、各省庁との協議がこれから本格化すると思いますから、ぜひそういった中で、よりよい体制、よりよい実施ができるように、実装ができるように、いろいろ助言やリードをしていただきたいと心から願っているところです。
私は後期高齢者医療広域連合の立場と、自治体の首長という立場を持っていますが、この両者から見ても、やはりこの辺のデジタル・ガバメントを目指すデジタル改革をいい意味で生かしていくということをしていかないと、本当にコストばかりがかかって、その都度バージョンアップに物すごくコストがかかって、結局統合ができなくて、まだまだコストがかかる。そんなことでは、医療財政についても負担になっていきますし、よりよい健康指導もなかなか追いつかなくなります。データベース、NDBとかを生かす意味でも、このカードとかデジタルの機器やその情報インフラの整備、そしてその活用は極めて重要だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
ただ、これを加速していくと、一方ではリテラシーがない国民がふえても困るんじゃないかという話がありますが、その辺も各国はちゃんと指導する体制とか、助言する体制をつくられているようであります。
きのう、ニュースを見て驚いたのは、あるフリーマーケットアプリのことが出ていました。なぜかというと、終活のためにフリーマーケットアプリを勉強しているグループがいるんです。年配の方々です。自分のお墓とか、自分の最後の居所とか、自分の最後のみとりをどうするかという中に、持っているものをいかに子供たちに迷惑をかけず処分するか。フリーマーケットアプリというものがあるんだ。知らなかった。それを勉強しているわけですね。
そういう時代になってきていますので、ぜひマイナスばかりではなくて、よりよいものになるように、特に総理大臣はこのカードのワンカード化というのを官邸で言われたのが数年前ですけれども、健康保険証のことをそのときもおっしゃっておりました。ぜひ厚労省に頑張っていただきたいと思っています。
○遠藤部会長 では、松原委員、堀委員の順番にお願いします。
○松原委員 2つほどですが、1つは私どもが健康保険証の存続にこだわっているのは、前から申していますように、今回、健康保険証自体がその人の医療においてのIDカードになり得るという、つまり個人番号でやれるということでございます。
何度も言いますけれども、どの先進国もID番号一つでその方のデータを集めているところはありません。エストニアやアイスランドはそのようにしていますけれども、前も言いましたが、アイスランドは遺伝子データを売り飛ばした国であります。がんの遺伝子パネル検査やいろいろなものが実現化すると、個人の遺伝子の情報というのは今後30年の間にほとんどが分析されてデータ蓄積される日がきます。
そのときに、マイナンバーカードでデータ蓄積をやるという先進国はありません。マイナンバーを用いると、どこかに流れてしまったら自分の遺伝子データが出て、胃がんになる、肝臓がんになる、精神疾患、鬱病を初め、そういったものの全てがどのようになるということが明らかになる時代がもはや目の前にきています。経済的な利便性で使うこととはやはり切り離して行うべきであり、医療等IDカードを用いている先進国と同じようにすべきだと思います。医療等IDが健康保険の個人番号とすべきと思っています。
もう一点は、支部間の差異を解消するのはいいことです。ただ、私も中医協を長年やっていましたけれども、随分議論していろいろなことを決めます。いろいろなことを議論して決めても文書が玉虫色になりますので、その解釈がばらばらであり、そのばらばらなところを患者さんにとって一番適切な判断をして、それをマルとするかバツとするかというのが審査委員会の仕事であります。
そういったものを単純に一元化すると、いろいろな問題が起きるということは、日々認識しているところであります。今回の審査充実全体会議というのはどこが担当で、どのようにされるつもりなのか。むしろこういったことは中医協で決めたルールに従って行っているので、やはり中医協に一回報告し、変更する、修正するときには中医協に戻さねばならないのではないかと思いますが、医療課長、どう思われますか。
○遠藤部会長 医療課長、どうぞ。
○森光課長 松原先生がおっしゃるとおり、ルールを変更するという話であれば、それはもちろん中医協での議論を経て変えるということですから、それは中医協に一遍戻すというのは当然のことと思っています。
今回の連絡会というのは、審査に当たって先生がおっしゃるとおり、それぞれの個別の症例を審査したとき、例えば手術の拡大切除といった場合、どこまでの範囲までが拡大であって、そうではないのはどの範囲なのかといったところは、それぞれの症例によって若干違ってきます。また、この症例であればここまでだろうとか、まさに技術的なところでの判断というのがあるかと思います。
それが審査において悩ましいところが出てくると思います。そこは、中医協の判断のルールの中で審査のときにどういうふうに考えるのか。これは個別、また、ここの部分に関しては、例えば個別の症状詳記によって考えるべきだろうなど、さまざまな御意見が出てくると思います。
そういう意味で、まさに中医協の決められたルールの中でどのように審査のときに考えるのかというところをお互いに情報提供し合いながら統一していくことでございますので、そのような形の運営が必要だろうと思っています。
それで、医療課の中では私が座長となって進めるというふうに考えております。
○松原委員 では、所管は医療課ということですね。
何度も申し上げていますけれども、人の体重や、その方の環境、いろいろな状況を、かかりつけ医はその人に合わせて対応しているわけであります。簡単にルールで0、1、2、3と決められるものではないということ、そのための審査委員会であります。そういったところにおいてよかれと思ってやった医療に対して、もしそれを否定されるのであれば、やはり審査委員会を通していただいて判断すべきです。そしてその問題が蓄積するようであれば医療課を中心にしてルールを変えるなり、あるいは適用のやり方を変えるなり、通知を出すなりしていただかないといけないと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○遠藤部会長 大分時間が押しておりますので、御発言は簡潔にお願いできればと思います。
では、堀委員どうぞ。
○堀委員 30秒で終わらせます。個人番号カードという法律上の明記になっているものもありますが、今回の審議会ではマイナンバーカードというふうになっているものも混在します。そのこと自身は全く問題ないと思っているんですけれども、国民にこの制度の周知をするときには、マイナンバーカードと個人番号カードとイコールであるなど説明が必要かと。また、以前ここの審議会ではマイナポータルという用語があったと思うのですが、今回の資料のどこに該当するのか。マイキープラットフォームというものと一緒なのか、そうではないのかと、省庁横断的な資料になっているので仕方がないと思うんですけれども、どの用語が他の資料ではどれに該当するか、何を意味するのかというのを丁寧にわかりやすく周知していただくといいのではないかなと思いました。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。特にほかにございますか。よろしゅうございますか。
活発な御議論、ありがとうございました。それでは、次の議題に進ませていただきたいと思います。次は、「「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ」「経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)(原案)」「成長戦略実行計画案」について」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○宮崎課長 それでは、資料2-1、2-2、2-3について、御報告でございますので簡単に御説明させていただきます。
まず、資料2-1をお開きいただければと思います。これは、先月5月29日に省内に設置いたしました2040年を展望した社会保障・働き方改革本部におきまして取りまとめをしたものでございますけれども、2040年を展望した社会保障・働き方改革の方向性を示したものでございます。
人口構造の推移を見ますと、2025年以降、高齢者の急増から現役世代に急減へと局面が大きく変化していくということを認識いたしておりまして、そうした新たな局面における課題につきまして、現在進めているさまざまな改革を踏まえつつ、対応できるように総合的な対応策をまとめたものでございます。
1ページのところでその方向性について書いておりますけれども、一番上のところでございます。2040年を展望すると、現役世代が急減する。こうした時代変化を押さえまして、「総就業者数の増加」とともに「より少ない人手でも回る医療・福祉の現場を実現」することが必要ではないか。こうした観点から「多様な就労・社会参加の環境整備」「健康寿命の延伸」「医療・福祉サービス改革による生産性の向上」、そして給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保」、これは引き続き取り組む政策課題ということでございますが、こうした新たな局面に対応した政策課題としては3点、引き続き取り組む給付と負担の見直し等による持続可能性の確保ということで進めてまいりたいということでございます。
具体的な内容につきましては、2ページ目以降にそれぞれの柱、「多様な就労・社会参加」「健康寿命の延伸」「医療・福祉サービス改革」、それぞれにつきまして資料がございます。
3ページ目に、そのうちの「健康寿命延伸プランの概要」がございます。健康無関心層も含めた予防・健康づくりを推進していくこと、あるいは地域・保険者間の格差の解消に向けて「自然に健康になれる環境づくり」や「行動変容を促す仕掛け」など「新たな手法」も活用しながら、健やかな生活習慣の形成、「疾病予防・重症化予防」「介護予防・フレイル対策、認知症予防」といった3分野を中心に取り組みを推進していくということでございまして、具体的な施策の主だったところが列挙されているところでございます。
また、4ページには「医療・福祉サービス改革プランの概要」として、AIやICT等の活用、「タスクシフティング、シニア人材の活用推進」等の内容が盛り込まれているところでございます。こうした取り組みに、今後取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、資料2-2をお開きいただければと思います。「経済財政運営と改革の基本方針2019」とございます。いわゆる骨太の方針ということでございますけれども、現在これは原案ということで昨日の諮問会議で示されたものでございまして、今後、最終的な調整を経て月末に閣議決定される予定のものでございます。
目次をごらんいただくと、第1章として「現下の日本経済」についての認識、そして第2章として「Society5.0時代にふさわしい仕組みづくり」ということで「成長戦略実行計画をはじめとする成長力の強化」ということがございます。
第2章の1の(2)の中では「全世代型社会保障への改革」ということで、「70歳までの就業機会確保」ですとか、あるいは「疾病・介護の予防」といった内容が含まれてまいります。
進んでいただきまして、「人づくり革命、働き方改革、所得向上策の推進」という中では、人づくり革命の中で少子化対策や子育て支援対策、働き方改革、そして所得向上策の中では「就職氷河期世代支援プログラム」などが含まれてまいります。
さらに進んでいただいて最後のほうになりますけれども、第3章「経済再生と財政健全化の好循環」というところでございますが、その中で社会保障改革についての基本的な考え方、または個別の分野として社会保障各分野についての考え方が示されているところでございます。
その点だけちょっと触れさせていただきます。48ページをお開きいただければと思います。「経済再生と財政健全化の好循環」ということでございまして、具体的にはさらに次の49ページでございます。「経済・財政一体改革の推進等」ということで、昨年の骨太の方針2018及び本方針に基づいて経済財政一体改革を着実に推進するとともに、引き続き2025年度の財政健全化目標の達成を目指し、「目安」に沿った予算編成を行うということが書かれてございます。
この「「目安」に沿った予算編成」に154と注が書いてありますけれども、49ページの下のほうに注がございまして、社会保障関係費についての目安というものが記載されているところでございます。
その上で、54ページをお開きいただければと思います。「主要分野ごとの改革の取組」ということで、「社会保障」についての記載がございます。
(基本的な考え方)として54ページにございますように、団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年までに基盤強化を進め、経済成長と体制を持続可能にするための基盤固めにつなげるとした上で、2段落目ですけれども、「年金及び介護については、必要な法改正も視野に、2019年末までに結論を得る。」とした上で、医療等のその他の分野についても、基盤強化期間内から改革を順次実行に移せるよう、2020年度の骨太の方針において、給付と負担のあり方を含め、社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめるとされております。こうした点につきましては、昨年の骨太の方針のときから基本的なラインというのは変わっていないかと思います。
55ページ以降に具体的な内容がそれぞれ書かれてございまして、55ページには(予防・健康づくりの推進)として、先ほど御紹介を簡単にいたしました「健康寿命延伸プランの推進」、また「生活習慣病・慢性腎臓病・認知症・介護予防への重点的取組」。
56ページには健康増進に向けた取り組み等がございまして、年金制度改革がございますが、57ページには(医療・介護制度改革)というところで1つ項目が立っております。この中で、医療・福祉サービス改革プランを推進するとともに、地域包括ケアシステムの構築とあわせ、医療介護提供体制の効率化を推進していくといった記載がございまして、「医療・福祉サービス改革プランの推進」以下、「医療提供体制の効率化」、さらに58ページ、59ページと進みますと「保険者機能の強化」、60ページには「診療報酬・医薬品等に係る改革」といったそれぞれの項目についての内容が記載されてございます。
60ページには、最後にまた改めて書かれてございますけれども、(給付と負担の見直しに向けて)は、上記の「基本的な考え方」を踏まえつつ、骨太方針2020において給付と負担のあり方を含め、社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめると記載があるところでございます。
やや駆け足で恐縮ですけれども、引き続き最終案は月末に閣議決定されますが、こうした内容に沿いまして施策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
資料2-3でございます。これも、いわゆる成長戦略と言われるものでございます。「成長戦略実行計画案」というものがございまして、1ページ目というか、目次を開いていただくと「基本的考え方」の後に第2章としては「Socity5.0の実現」、そして第3章に「全世代型社会保障への改革」ということで、医療分野を含めた社会保障分野に関する提言がございます。
具体的には、33ページをお開きいただければと思います。「3.疾病・介護の予防」ということで記載がございまして、33ページ以降に「現状」がございまして、34ページのほうに糖尿病の重症化予防、特定保健指導に関して、例えば糖尿病の重症化予防につきましては市町村国保でかなりの取り組みがされて効果を上げているところもあれば、まだ下がるところもあるというような内容ですとか、特定保健指導の実施率につきまして依然として目標を下回るというような現状についての記載がございます。
あわせて35ページですけれども、ヘルスケア・ポイントに対する記載、あるいは(歯科健診、がん検診)に関する記載などがございます。
36ページに進みまして、こうした現状を踏まえて「対応の方向性」ということで、疾病予防について地域や職域の保険者の役割が重要であり、保険者の予防・健康インセンティブの強化を図るという方向性として(保険者努力支援制度)、あるいは(後期高齢者支援金の加減算制度)に関する記載がございます。
そのほか、37ページには「ナッジ理論の活用による個人の行動変容促進」ですとか、「民間予防・健康サービスの促進について」の記載などもあるところでございます。こうした内容を含めまして、成長戦略につきましても月内に決定をした上で進めてまいりたいと考えているところでございます。
大変、大部な内容をかなり端折って御説明させていただき恐縮でございますけれども、資料2-1~2-3の説明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等をいただきたいと思います。松原委員、藤井委員、南部委員の順番でお願いします。
○松原委員 今の御説明の資料2-3の35ページですが、とんでもない表があるのでびっくりしたのですが、簡単に見ると、これはサロンに行くと3割は認知症が治ってしまって、そしてサロンに行くと半分も認定率が下がるように見えます。自然科学では、何例やって、そしてどこがやって、どのような結果だったということを統計的に示さないと、これだけ見せたらただのポンチ絵で余りにも無責任です。
これを見ると、サロンへ行くと治ってしまうイメージを植えつけたいのでしょうか。こんなものを出されたら全ての資料の信用性を失いますので、これはやめませんか。それとも、徹底的な証拠があるんですか。
○遠藤部会長 事務局、コメントがあればお願いします。
○鹿沼課長 恐れ入ります。これは内閣府の未来投資会議で出されている資料でございまして、そちらのほうでやられているものですから、今ここで落とすというのも、なかなか私どものほうではお答えしにくいところですが、御指摘のようにこれは後のほうに出典は書いてあるのですが、比較の仕方が乱暴なのではないかという御指摘は確かにあろうかと思います。
ただ、いずれにしましても、この未来投資の成長戦略にも書いてありますが、今回、私どもはこの施策の中の1つのポイントが37ページ目のマルサンというところにございますけれども、「エビデンスに基づく政策の促進」というものを考えております。
要するに、これはちょっと乱暴なんじゃないかという御指摘だと思いますが、ちゃんとした比較ができるように、まさに先生御指摘のように比較ができるようなことをきちんとやって、それでエビデンスが出たものを政策につなげていこうという発想がありますので、それはまさにこれから今まで以上に強力には進めていこうと思っております。
そういった考えで、我々としても今後当たっていきたいと思っておりますので、御理解をいただければと思います。よろしくお願いします。
○松原委員 了解しました。厚生労働省さんの資料じゃないということですね。
もう一回申しますけれども、自然科学の世界は正しいエビデンスがなかったら幾ら議論しても意味がありません。こういう曖昧なものはお使いにならないように、簡単に国民の皆さんにこれだけ見せて、サロンに行ったらいいのかなと皆さんがお思いになるようなことを堂々とおやりになるのは間違っていると思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 それでは、お待たせしました。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。資料2-3の「成長戦略実行計画案」について、一言申し上げます。
資料10ページに、「多様な働き方の拡大のインフラ整備」として、「被用者保険の短時間労働者等に対する適用拡大を進める必要がある」という記載があります。
しかし、足元の労働分配率は、大企業の43.7%に対して、中小企業は72.7%まで達しており、さらに、大企業と中小企業の収益格差も拡大しています。そのような中での被用者保険の適用拡大は、深刻な人手不足の折、防衛的な賃上げを余儀なくされている中小企業にさらなる負担増をもたらします。本件については、中小企業への影響に配慮して、慎重に御検討いただきたいと思います。以上です。
○遠藤部会長 それでは、南部委員、お待たせしました。
○南部委員 ありがとうございます。「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ」について御意見を申し上げます。
まず、ここに書かれている内容で、予防と生産性向上という言葉が気になります。現在治療をしている方もたくさんいらっしゃると思います。がんなどの治療を受けながら、そして就労を継続できる環境をまずは整備することも必要だというふうに思っておりますので、その点も含めた検討をお願いしたいと思っております。
そのためには、この取りまとめの実効性を高めるために、必要な財源を含めた国民的な合意形成が必要であります。そういうことで、働く者であったり経営する方々、そしてさまざまな各層のステークホルダーの方々を交えた協議の場というのを設置すべきだと思っております。そして、政府全体の取り組みとして厚生労働省からの働きかけをぜひ期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、佐野委員、お待たせしました。
○佐野委員 ありがとうございます。まず、骨太2019のほうですけれども、我々も従来から給付と負担の見直しということをずっと言っていますが、これは骨太の方針2020で取りまとめるということで、今回、2019のほうではあまり触れられていないという感じがしております。
ただ、健保連としては従来から言っていますように、団塊の世代が後期高齢者になり始める2022年が大きなポイントで、2022年危機がくるのではないかというふうに危惧をしております。そう考えた場合、時間もない、緊急度が高いという問題意識を持って早期の議論開始をお願いしたいと思います。
それからもう一つは、成長戦略のほうでございますけれども、こちらのほうで先ほどもお話をしました被用者保険の適用拡大のことが記載されておりますが、これに関連して意見を述べたいと思います。それは任継制度の見直しでございます。この任継制度については従来から問題提起を行っておりますけれども、今回骨太2019で出されています勤労者皆保険制度、これに向けてもやはり解決すべき課題だと考えます。
ぜひ被用者保険の適用拡大の検討と合わせて、任継制度の見直しの検討を進めていただきたいと思います。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 私どもも同様に、先ほど佐野委員がおっしゃったように、できるだけ早く給付の負担の見直しについての議論をしていただきたいということと、あとは任意継続の件につきましても同制度の廃止も含めた見直しをいち早く検討していただきたいと思っております。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
それでは、菅原委員どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。疾病予防だとか介護予防という言葉がいずれのところにも入っておりまして、これはこれを進めることによって国民の健康増進を図る、あるいは健康寿命の延伸を図ることについては全く異論がありませんので大いに賛成でありますが、一方で先ほどの37ページにエビデンスに基づく政策の促進ということもありましたけれども、基本的に健康寿命の延伸はさまざまな取り組みを行うことによって効果はあったとしても、コストがどれだけかかっているのかということに関して余り情報が上がってきておりませんので、非常に効果はあるんですけれども、効率が悪いものも大分あるような気がいたします。
そういった意味では、予防の推進というのは大いに進めるべきですけれども、それと同時にそれにどれだけのコストがかけられているのかということもきちんと明らかにして、費用対効果のいい予防推進策が政策で採用されるように希望いたします。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
それでは、この件につきましてはこのくらいにさせていただきたいと思います。
次に、「「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」議論の取りまとめについて」、これについて事務局から資料の説明をお願いします。
○森光課長 御説明させていただきます。資料3-1、妊産婦検討会議論の取りまとめ(概要)というのをごらんいただきたいと思います。
「妊産婦に関する保健・医療体制の在り方に関する検討会」の議論の取りまとめについて御報告させていただきます。
この「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」につきましては、平成30年度の改定の際に、妊産婦に対する慎重な対応、それから胎児や乳児への配慮をした診察を評価するという形で妊婦加算というのができました。
これが年末に妊婦加算の凍結という形で決着をしたわけでございますけれども、これについては、やはり妊産婦に対する保健・医療全般に関してしっかりその背景等、課題、現状を踏まえた形で検討を進めていかなければいけないということで、この検討会が立ち上がったという状況でございます。
まず、概要の検討会の最初のところにありますように、2つ目でございますが、「出産年齢が上昇傾向にあり、一般に、高齢出産の場合には、特に健康管理に留意が必要とされるなど、妊産婦のニーズに応じた細やかな支援が重要。」というような認識のもとに、まず、この妊産婦に対する保健・医療体制のあり方について検討会が行われました。
構成員は、そこに書いてあるとおりでございます。
「検討のスケジュール」と書いてありますように、5回の検討をさせていただいてございます。
「検討事項」としては、先ほど申し上げましたように、保健・医療体制のニーズに対する把握、安心できる医療体制の充実について、健康管理の推進、そして保健・医療体制に関する事項で連携等について議論をしていただいたというところでございます。
また、「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」としまして、実際の妊婦さんに対してアンケート調査を行いまして、約2,000名の方からアンケートの回答があったということで、それをもとに議論をしていただいたものでございます。
次を見ていただきますと、議論の取りまとめにつきましては、まずそこにありますように、妊産婦が安心できる医療体制の充実、健康管理の推進を含めた妊産婦に対する保健・医療体制のあり方について検討を行っていただきました。
中央社会保険医療協議会においては、この妊産婦に対する診療の評価のあり方についてさらなる検討を進めることを期待するというまとめになっております。
また、国においては、妊産婦に対する保健・医療体制を構築するため、関係機関と協力・連携のもと、引き続き取り組んでいくべきであるというまとめをいただいております。
まとめにつきましては、そこにありますように「相談・支援」「医療提供」、そしてその「連携体制の構築」「健診や診療の評価」という4つのグループに分けて取りまとめをさせていただいております。左側が現状と課題、そして右側がそれに対する意見と方向性ということでございます。
「相談・支援」につきましては、〔妊産婦の不安〕ということで、これは例えば栄養や食事に関すること、それから授乳に関するようなことということで、その不安や負担というのは時期によって異なる。
また、そこにありますように、産後の不安解消には産後ケアが有効というような御意見があり、それに対して右手に書いてありますとおり「不安を感じる妊産婦が相談できる仕組み」、これをしっかり構築していこう。また、マニュアルの作成等、それから産後ケア事業の推進といったことを進めてはどうかということで意見がまとまっているところでございます。
「医療提供」につきましては、〔妊産婦の診療の現状〕というところでございますが、妊婦加算の前提でありました産婦人科以外の診療科から診療を断るようなことがあるということがございましたけれども、これもアンケート調査から、やはりそういう診療を断られるようなことがあるという実態がわかってきております。
また、妊婦が産婦人科以外の診療科を受診する際に求める気配りとして、診療・薬の内容について文章を用いて説明してほしい。経験が十分にある医師に診察していただきたい。それから、母子健康手帳を確認して指導していただきたいというような意見が挙がっております。
また、〔産婦人科の現状〕として、コモンディジーズについて他科からの診療情報の提供が少ない。それから、産婦人科の問題として、特に働き方改革の中でも産婦人科は非常に労働時間が長いというようなことがあり、分娩取り扱い施設も減少しているというような中で、コモンディジーズについても対応するというのはなかなか苦しいという現状が出ております。
また、〔産婦人科以外の診療科の現状〕ということで、診療の際にさまざま配慮が必要であり診察を敬遠しがち、妊産婦の診療に対する研修機会が少ないので不安がある、妊産婦に処方できる薬剤かどうか情報が非常に少ないといったような現状、課題が出されておりました。
それに対して右側でございますけれども、「産婦人科以外の診療科と産婦人科の医療機関の連携」が重要であり、特に妊産婦の診療に積極的な医療機関の把握・周知、これを都道府県が主体的に地域の医療機関間の連携体制を検討し、構築していくということが必要であろう。また、母子健康手帳を活用した診療科間の情報連携というものも進めてはどうか。
それから、「診療の質の向上に向けた取組」として、医師に対する妊産婦の診療に対する研修を推進したり、診療や薬に対する説明文書の例を作成する。それから、妊娠と薬に関する情報を医師へ提供する体制の整備・周知をしていくといった取り組みを推進してはどうかという御意見が出されているところでございます。
次をめくっていただきまして「連携体制の構築」ということで、特に妊産婦の中でも〔支援を必要とする妊産婦への対応〕というのが重要である。特に、妊娠期から子育て期まで一貫してつながる支援が必要だろう。利用できる施設や制度について、十分知られていないということもあり、それもあわせて知らせてはどうか。それから、周産期の鬱病、これは平成30年改定の際にも特に課題となったことでございますけれども、周産期の鬱病を抱える妊産婦については医療機関と行政機関で連携が重要であるというような御意見が出されておりました。
また、〔母子健康手帳〕についても広く活用していく必要があるということで、特にこれは自治体のほうからありましたけれども、今、妊産婦のうちの十数%、多いところではもっとでございますが、外国人の妊産婦がそれだけを占めているというようなことがあり、そういう方への周知、それから説明というのが非常に重要になってきているというようなことが課題となっておりました。
これにつきまして右側でございますけれども、「妊娠期から子育て期までつながる支援」ということで、子育て世代包括支援センターの質の向上と設置の促進を進めてはどうか。
それから、「母子健康手帳の活用」ということで、多言語化を進めてほしいというような意見がございました。
それから、「健診や診療の評価」ということでございますが、〔妊婦健診、産婦健康診査〕では、全ての市町村で14回以上の公費負担制度を実施しているということでございますが、健診内容によっては公費助成を超えるために、一部、自己負担が生じるという状況がございます。
また、妊婦健診以外の診療という意味での評価につきましては、妊婦健診以外に偶発合併症等の診療の費用も生じる全国のうち4県において、所得に応じて妊産婦の診療に係る費用の一部を助成している制度があるという状況でございます。
これにつきまして、議論の取りまとめとして、「妊婦健診、産婦健診審査について」は、公費補助額を超える自己負担が発生しないような工夫をしてはどうか。それから、妊婦の同意に基づく自己負担が可能となる取り組みをしてはどうか。また、産婦健診の拡充をしてはどうかという御意見があり、これについては引き続き検討してはどうかという御意見をいただいております。
また、診療に対する評価ということでございます。これは、平成30年改定につくられました妊婦加算について、単に妊婦を診療したのみで加算されるといった前回と同様の妊婦加算そのままの形で再開されることは適当ではない。
また、妊産婦の診療において、質の高い診療やこれまで十分に行われてこなかった取り組みを評価・推進することは重要で、具体的な要件や名称については中央社会保険医療協議会で議論してほしい。
また、妊産婦が受診する際の負担が、これから子供を欲しいと思う人にとってディスインセンティブとならないようにすることが必要であり、他の受診者との均衡や政策効果といった点を勘案し、引き続き検討すべきという御意見をいただいたところでございます。
これをさらに、検討会の報告でありますように中医協等で議論していくということでございます。
以上、報告をさせていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
さて、御意見、御質問ですが、松原委員どうぞ。
○松原委員 妊産婦の方が診察に来られたときに、内科医は物すごく緊張します。
というのは、最終月経がおくれて2週間ぐらいでややこしい薬を出すと、例えばサリドマイドのような事がおきる可能性があるわけです。薬の説明書に書いてあるのは、催奇形性があるというのが動物実験で報告されている場合と、ほとんどの薬は投薬することによって有用性が妊娠に対する害に対して上回る場合に医師が判断して投薬しなさいとあります。
どういうことかというと、全て医者の責任と判断で、何かあったら医師の責任ですということが書いてあるわけです。ですから、妊産婦の方に風邪薬を出すときに、問診して、最終月経がいつなのかということも確認しながら、薬の処方には緊張します。
薬を選んで出すので、その方のいろいろな既往歴を聞いたりして、確かに時間がかかるので、妊産婦加算がつくというのは理解はできます。これを言うと眼科の先生には怒られるかもしれませんが、コンタクトレンズの処方で何で加算されるのだというのは、私たちも妊婦さんと同じことを思います。
簡単に言えば、投薬があって、その投薬が妊娠に対して何か影響があるときに対して加算をするのであったらよかったのかなと思います。
しかし、実際に妊娠して高くなるというのは、これはやはり理不尽であります。今、国が子供が少なくて困っているわけですから、妊娠したら医療費を無料にするとか、そういった大胆な政策をとっていただけることを希望しますし、それをやった上で加算をつけるべきだったなと今になってみると思うところであります。
簡単に言いますと、妊産婦の方を内科医はきちんと診るでしょうが、診ないとか、あるいは産婦人科に行きなさいとおっしゃる先生はいます。そうすると、産婦人科の先生は、出産だけじゃなくて風邪ひきまで診なければいけなくなって大変です。そういうことのないように何か効果的な事を考えるべきだと思っています。以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。今、松原先生からもお話があったように、私もこの件に関しては、逆に言うとこのことが問題になって、こういう検討会ができて、このことに関していろいろな体制がまた必要だよねということが議論になったことは非常によかったことかなと思っています。
ただ、ちょっと私が1つ疑問に思ったのは、これが出てきたのは、もともとこの加算をとることによって妊産婦の方に自己負担がふえることに対して、これはけしからんということでだめだという議論からスタートした。これは、保険制度そのものに対する自己負担のあり方という議論になってしまって、本当はスタートが違っていたんじゃないかと思うのです。もしこの主張がまかり通ってしまって、これが全てこういうことになってくると、では小児の加算はどうだ、認知症の加算はどうだ、それに対する自己負担はどうなっているのかという話になってしまうので、これはちょっと議論が違うということは認識しながら、このことに対して今後も検討していただければと思っています。以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。ほかに何かございますか。
それでは、横尾委員どうぞ。
○横尾委員 妊産婦直接の意見ではないんですけれども、妊産婦、すなわち赤ちゃんが生まれるわけですね。出産後、出産した赤ちゃんの状況がいろいろその後の成長に影響があるという論があることを聞いたことがあります。
例えばいわゆるカンガルーケアのことですとか、体温のことですとか、それからどれぐらいの時間の間に母乳を飲んだかとか、いろいろなことがあるようですけれども、多分これまでの調査はないと思いますが、できるならばそういうものも調査が可能ならば調査をとっていただいて、個人を識別する必要は全くありませんし、ビッグデータとしても構いませんので、どのようなケアが本当に必要なのか、どのようなケアだったら要注意なのかということを、今後科学的なエビデンスデータとして持っておくことは、長い目で見て大切な赤ちゃんたち、未来を担う人材となる子供たちが生まれたときから健やかに成長してもらうためにも必要なことですので、そういったことも国としてどこかで考えていただいて、我が国はそういうデータはありませんということでずっといくのは、今後非常にもったいない話だなと思います。
今、御発言があったように、医師会の先生方や、この分野や周産期にかかわるいろいろな先生方のさまざまな見解もありましょうし、また世界的ないろいろな研究開発が行われたりしています。そういった見解も踏まえながら、ぜひ必要な調査ということは国としてもどこかで考えていただくことが今後重要かと思っています。意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。妊娠している方、妊産婦に対してその方が医療を受けるときに、当然ながら妊娠しているということを考慮に入れて診療していただくということは、非常に大事なことであると思います。
残念ながら今回妊婦加算について本人にご負担いただくのは問題であるという話になってしまいましたので、今後妊婦加算の再開を議論する際に、その費用負担をどなたがするのかという議論になると思います。
その議論になったときに、我々保険者に対して影響がないような形で検討していただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。先ほど松原委員のほうからありましたが、薬剤師も妊婦の場合、特に注意をして対応しています。
そうした中、妊娠の月数によっても使ってはいけないお薬もありますので、添付文書だけではなくて、さまざまな書籍を見て、より注意をしながら調剤しています。
今、横尾委員のほうからありましたけれども、国のほうでレセプトデータが整備をされていると思います。医師のほうも、治療上の有益性が副作用を上回ると判断して、投与をすることがあると思います。妊娠中、最近使えるようになった薬もあります。妊婦が使用した薬のデータを蓄積していくことにより、より安心して安全に妊婦が使用できるようになると思いますので、そういう体制整備も必要だと思います。以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、この件についてはこのぐらいにいたしまして、次の議題、「第3期全国医療費適正化計画について」、事務局から資料の説明をお願いします。
○宮崎課長 それでは、資料4、「第3期全国医療費適正化計画について(報告)」を御説明させていただきます。
1ページ目でございます。医療費適正化計画につきましては、高齢者医療の確保に関する法律に基づきまして、これまで第1期、第2期と適正化計画を進めてまいりました。実施主体は都道府県として、国が策定する医療費適正化基本方針に基づきまして、都道府県のほうで医療費適正化計画を作成され、国はその都道府県の計画を積み上げて全国計画を作成するという仕組みになってございます。
第1期、第2期におきましてはこの中段のあたりでございますけれども、18年の制度改革で医療費適正化計画の枠組みを創設した上で、入院医療費、外来医療費につきましてはそれぞれここに掲げられておりますような考え方に基づいて計画を策定いただいたところでございます。
第3期におきましては昨年度からの計画がスタートしておりますけれども、大きな違いは平成26年の医療法改正で地域医療構想の枠組みが創設されましたので、27年に高確法を改正した際に、入院医療費につきましてはこの地域医療構想の成果を適正化計画に反映する枠組みへと見直しを行いました。
また、外来医療費に関しましては、特定健診・保健指導の推進のほかに、糖尿病の重症化予防や後発医薬品の使用促進、医薬品の適正使用などの取り組みを取り入れたというところでございます。
こうした第3期の計画ですけれども、2ページ目でございますが、都道府県の計画を取りまとめまして、18年度末に厚生労働省として全国計画を策定して公表したところでございます。
大きな枠組みにつきましては、2016年度末に基本方針を示しておりまして、この基本方針につきましては当医療保険部会にも2016年の9月に報告をさせていただいたところでございまして、その内容に沿って各都道府県でつくっていただいて全国計画に至ったというものでございます。
2ページの下のほうに「全国計画の構成」と、取りまとめた内容がございますけれども、第3のところに「目標と取組」としてございますように、医療費適正化に向けた目標として、それぞれ「国民の健康の保持の推進に関する達成目標」や「医療の効率的な提供の推進に関する達成目標」「計画期間における医療費に要する費用の見込み」などを盛り込んでいるところでございまして、主な目標値といたしましては、特定健診について実施率70%、特定保健指導実施率45%、特定保健指導対象者の減少率を25%、後発医薬品の使用割合80%といった目標値などを盛り込んでいるところでございます。
3ページに進んでいただきますと、「第3期全国医療費適正化計画における医療費の見込みについて」の記載がございます。都道府県の計画を取りまとめた結果、【第3期全国医療費適正化計画における医療費の見込みのイメージ】は、この3ページにあるとおりでございます。外来医療費につきましては、適正化効果6,000億円を見込んでいるところでございます。また、入院医療費につきましては、地域医療構想の進展を踏まえて盛り込んでいるところでございます。
以上が第3期医療費適正化計画の内容でございます。詳細な内容につきましては参考資料のほうに全文がございますので、御参照いただければと思います。
また、この概要の4ページ、5ページには、第2期の医療費適正化計画の実績評価として、第2期の医療費適正化計画を25年度~29年度に取り組んだ結果どうであったのかという点につきまして簡単にポイントを記載をしておりますので、御参照いただければと思います。
私からの説明は、以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
それでは、何か御質問、御意見があれば承りたいと思います。
堀委員、どうぞ。
○堀委員 詳細な御説明ありがとうございます。第3期医療費適正化計画の方向性について異論はなく、地域医療構想を反映させるというのはとてもいいアイデアだと思っております。
1点、質問なのですが、先ほど菅原委員からもエビデンスに基づく政策というところで御質問があったかと思うのですが、1期、2期の医療費適正化計画は適正化計画どおりに実施できたのかどうか。実績評価なのかと思いますが、参考資料で5ページ、6ページを見ていただきますと、目標値、例えば特定健診実施率ですと、70%、実績値は特定健診実施率は53.1%というふうに、実際は目標値より実績値が下回っています。一方、医療費適正化計画の医療費適正化額のところを見ますと、私の勘違いかもしれませんが、目標を達成しているということになっているのですが、これは計画上の実施率等の目標としては達成できていなかったけれども、医療費適正化は計画とは関係なく結果としてうまくいったというふうに解釈をしたほうがいいのか、それともちょっと違う解釈の仕方があるのかというのを教えていただけますか。
○遠藤部会長 では、事務局からコメントをお願いします。
○宮崎課長 まず、医療費適正化計画の中で、それぞれ個別に目標を定めた部分につきましては今、委員が御指摘のとおり特定健診、あるいは特定保健指導の実施率につきましては、残念ながら目標を下回ったのが実際のところでございます。もちろん、それぞれ実施率は徐々には上がってきているところではございますけれども、目標には及ばなかったというところです。
一方、医療費の推計に関しましては、第2期計画策定時の推計よりも実績はそれを下回る。計画としては、適正化という点で捉えれば上回った結果となったわけでございます。約2兆円の開きがあったわけですが、その2兆円の開きがあった内容につきましては各都道府県におけるさまざまな取り組みなどの影響もあったかと思いますし、例えば後発医薬品の使用割合などにつきましては、期間中にかなり使用が進んだというようなことも影響があったのかもしれません。
また、計画策定時の推計におきましては診療報酬改定の影響というものを、なかなか十分見込むことができなかったというようなことも影響しているのかと思っておりまして、その点は必ずしもこれだからこうということをはっきりお示しができないところはございますが、状況としましては御指摘があったように特定健診・保健指導は目標を下回った。目標は定めておりませんけれども、後発医薬品の使用割合などは進んだ部分があった。
一方、医療費の影響が非常に大きい診療報酬改定などについては、26年、28年などはマイナス改定が行われた部分の影響もあったと思われるという状況でございます。
○遠藤部会長 堀委員、よろしいですか。
○堀委員 はい。
○遠藤部会長 ほかに、何かあれば承ります。
それでは、菅原委員どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。今のお答えの中にも関連するかもしれませんけれども、第3期の医療費適正化計画の目標の中にも、引き続き後発医薬品80%というのが入っているんですが、資料の中で見ますと基本的に実績値、平成29年でもう既に73%になっておりまして、そもそも骨太の方針、たしか2017だったと思いますけれども、2020年の9月までに80%を達成するというのが書かれていました。現状既にほぼ80%に近い水準になっているような気がするんですけれども、第3期の計画というのは2023年度までの計画であり、そもそも骨太の目標では来年20年の9月までで80%達成というふうに書いてある。
医療費適正化計画の目標として第3期に80%を掲げるというのは適切なのかどうかについて見解を伺いたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○宮崎課長 第3期の適正化計画としては80%の設定をいたしたんですけれども、第2期の医療費適正化計画の実績などを踏まえますと、今、御説明しましたようにかなり進んできているので、骨太の方針ではさらに一歩進んで早期に80%達成、この第3期医療費適正化計画の終わりまでということではなくて、その途中までで達成すべきだということで書かれているところでございます。
そういう意味では、適正化計画としての終期はありますけれども、骨太の方針の中で盛り込まれているように、できるだけ早期の80%の達成をこの医療費適正化計画の中で目指していくということになろうかと思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
ほかに何かあればどうぞ。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。用意をいたしました議題は、以上のとおりでございます。
それでは、菊池部会長代理が御出席されておりますので、一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 御紹介いただきました早稲田大学の菊池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日、大学の会議で遅参してまいりまして申しわけございません。
今回、医療保険部会委員を拝命いたしました。さらに、いきなり部会長代理という、思ってもいない重責を御指名いただきまして、身の引き締まる思いでございます。
遠藤部会長を初め、委員の皆様から御指導いただきまして、日本の医療保険法制、医療保険行政の推進に向けて寄与できればと思っております。
私は専門が法律学の中でも社会保障法学という分野で、岩村前委員と同じ分野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、これをもちまして本日の審議会は終了したいと思います。
また、次回の開催日等につきましては、事務局から御連絡をしていただくことになると思いますので、よろしくお願いします。
本日は、大変、御多忙の中、御参集いただき、活発な御議論いただきましてどうもありがとうございました。