2019年4月19日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

平成31年4月19日(金)17:00~

場所

Learning Square新橋 6A会議室(6階)

出席者

出席委員(16名)五十音順


欠席委員(5名)  (注)◎部会長 ○部会長代理

 
行政機関出席者
 
 宮本真司(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は遅い時間、また、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。局長、審議官、医薬安全対策課長の到着が少し遅れておりますが、申し訳ございません。追ってこちらに向かう予定です。
まず、新しく当部会の委員になられました先生を御紹介させていただきます。公益財団法人癌研究会有明病院院長補佐の濱敏弘先生です。
○濱委員 癌研有明病院薬剤部の濱でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 どうぞよろしくお願い申し上げます。本日の委員の御出席状況ですが、島田委員、中野委員、増井委員、南委員、山口委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、川崎先生は少し遅れておられるようですが、本日、現在のところ、当部会員数21名のうち15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
また、事務局に人事異動がありましたので御報告申し上げます。医薬品医療機器総合機構審査センター長に新たに着任いたしました新井です。
○医薬品医療機器総合機構審査センター長 新井と申します。第二部会では10年ほど勤めていましたけれども、よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 よろしくお願いいたします。続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。毎回のことではありますが、委員の皆様には会議の開催の際に御負担をお掛けしておりますが、何とぞ御理解・御協力を賜りますよう、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、清田部会長に以降の進行をお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目、競合企業リストについて、報告をお願いします。
○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にいたします。本日、机上には議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしております。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の医薬品部会では、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し、閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を、審議品目に係る諮問書、審議報告書及び添付文書のみとしております。このほか資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を机上に配布し、また、タブレット内には資料15として、各審議品目に係る専門協議の「専門委員リスト」を、資料16として、「競合品目・競合企業リスト」を格納しております。加えて前回までと同様に、各議題の対象品目について、製剤の見本を机上に置いております。こちらは会議終了後に回収いたしますので、机上に置いたままとしていただきますよう、お願いいたします。
それでは、机上のタブレットの操作方法について、簡単に御説明いたします。タブレットを縦にしていただき、画面下の丸いボタンを2回押してください。画面が表示されましたら議題ごとにフォルダが表示されておりますので、審議議題1をタッチしてください。議題1の資料一覧が表示され、御覧になりたい資料名をタッチしていただくと、資料が表示されます。ほかの資料を御確認いただく場合には、左上の青字、審議議題1をタッチしていただくと、資料一覧が再度表示されます。また、ほかの議題を御確認いただく場合には、左上の「マイプライベートファイル」をタッチしていただくと、再び議題ごとのフォルダが表示されますので、必要に応じてフォルダをタッチして御覧いただくようにお願いいたします。なお、タブレットの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料16)について御報告をいたします。資料16の1ページを御覧ください。「ポートラーザ点滴静注液800mg」ですが、本品目は「切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。「イナビル吸入懸濁用160mgセット」ですが、本品目は、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。「ベバシズマブBS点滴静注100mg「ファイザー」他1規格」ですが、本品目は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページを御覧ください。「larotrectinib」ですが、本品目は、NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
5ページを御覧ください。「カプマチニブ塩酸塩水和物」ですが、本品目は、MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。「アレクチニブ塩酸塩」ですが、本品目は、「ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本部会の審議事項に関する競合品目、競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは委員からの申出状況について、御報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1「ポートラーザ」、退室委員なし。議決には参加しない委員は亀田委員、山本委員。議題2「イナビル」、退室委員は川上委員、山本委員。議決には参加しない委員は亀田委員、清田委員、濱委員、渡辺委員。議題3「ベバシズマブBS」、退室委員なし。議決には参加しない委員は亀田委員、川上委員、清田委員、濱委員、山本委員、渡辺委員。議題4「larotrectinib」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題5「カプマチニブ」、退室委員なし。議決には参加しない委員は亀田委員、山本委員。議題6「アレクチニブ」、退室委員なし。議決には参加しない委員は亀田委員、川上委員、清田委員、濱委員、山本委員、渡辺委員。以上です。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はありますでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものといたします。本日は審議事項は6議題、報告事項は7議題となっております。
それでは、審議事項の議題1及び報告事項の議題2に移ります。議題1及び報告事項の議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題1及び報告事項の議題2について、機構より御説明いたします。まず、審議事項の議題1、資料番号1、医薬品ポートラーザ点滴静注液800mgの製造販売承認の可否等について説明いたします。タブレットの資料番号1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。各ページの最下部中央に青字で記載のページ番号で御説明したいと思いますが、そちらの5ページに本申請の概略を記載しております。本剤の有効成分であるネシツムマブ(遺伝子組換え)は、ヒト上皮増殖因子受容体、以下EGFRと略しますが、EGFRに対するIgG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であり、EGFRに結合し、EGFRを介したシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、切除不能な進行・再発の肺癌(扁平上皮癌)を効能・効果として承認申請されました。
平成31年1月時点において、本剤は扁平上皮非小細胞肺癌に係る効能・効果にて、44の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にありますとおり9名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるSQUIRE試験が提出されました。
有効性については、審査報告書29ページの表19及び図3を御覧ください。化学療法歴のない切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象としたSQUIRE試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、ゲムシタビンとシスプラチンとの併用投与群と比較して、本剤、ゲムシタビン及びシスプラチンの併用投与群の優越性が示されました。
安全性については、審査報告書33ページ、下から6行目以降を御覧ください。本剤ゲムシタビン及びシスプラチンの併用投与時において注意すべき有害事象として、静脈血栓塞栓症、動脈血栓塞栓症、低マグネシウム血症、間質性肺疾患、重度の皮膚障害、発熱性好中球減少症、インフュージョンリアクション、重度の下痢及び出血が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
なお、審査報告書61ページの表37及び図4を御覧ください。SQUIRE試験における本剤の標的分子であるEGFRの発現状況別の有効性及び安全性の結果を記載しております。EGFRの発現状況はHスコアで判断しておりまして、字が大変小さくて恐縮ですが、60ページの脚注にHスコアの算出方法をお示ししております。61ページの左下の図のHスコアが0の集団では、対照群と比較しまして本剤群の生存曲線が下回っております。
しかしながら、当該結果は部分集団解析の結果であること、EGFR検査時に使用される診断薬の性能に限界があること、EGFRの検査に用いる検体の採取が困難な場合があること、早期に治療開始が必要な場合があること、また、専門協議において専門委員から、結腸・直腸癌における抗EGFR抗体医薬品での科学的な知見を踏まえると、EGFRの発現状況は抗EGFR抗体医薬品の効果予測因子ではない旨の御意見も出されたことを考慮いたしますと、本剤の投与対象を患者から除外する必要はないと判断いたしました。ただし、EGFRの発現状況別の有効性の結果については、添付文書等を用いて医療現場に情報提供をする予定です。
以上のような審査の結果、機構は、切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
なお、川崎委員よりポートラーザの品質評価のうち、安定性試験と同等性/同質性評価に関して、事前に御質問を頂いておりますので、その点について回答いたします。
まず御質問の1点目ですが、安定性試験につきまして、「原薬の長期保存実施期間が24か月、製剤の長期保存試験が36か月になっているが、原薬の安定性試験は継続中なのか。継続するとしたら、製剤より原薬の試験開始が遅れたのはなぜか。保存期間を24か月と設定したのは、原薬の実績に合わせたのか」という御質問を頂いております。継続中かどうかについてですが、原薬の安定性試験は24か月で終了しており、また、承認後の安定性試験は実施しないと申請者は説明しておりますので、継続中ではありません。また、製剤の有効期間を24か月にした理由は、申請資料中には明記されておりませんが、製剤の長期保存試験において36か月まで品質特性に明確な変化は認められていないことから、○○○○○○○○ではないかと考えます。
次に御質問の2点目ですが、同等性/同質性評価につきまして、「原薬の製法Bから製法Cへの変更においてサルによるPK試験が実施されたのは、品質上どのような差異や懸念が認められたからか」との御質問を頂いております。本件につきまして、実施した理由の詳細は申請資料中で説明されておりません。2.3.S.2の項の111ページに説明がありますが、製法変更前後で品質特性の差異はほぼ認められず、同等性/同質性が示されているところです。
また、同じく2.3.S.2の78ページ、83ページにありますように、製法Bから製法Cへの変更は、培養スケールを約○倍、○○○Lから○○○○○Lへ拡大し、○○の変更等もあることから、○○工程の変更の程度が比較的大きく、○○方法等も変更されておりますので、これらの変更が薬物動態等に影響しないかどうかを確認する位置付けで実施されたものと考えます。
以上が御質問への回答となります。
本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
なお、報告事項の議題2、資料番号8、ジェムザール注射用200mg他については、日本イーライリリー株式会社から、本剤との併用で使用される薬剤として用法・用量を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、当該品目についても承認して差し支えないと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 まず、川崎先生の御質問に対するお答えですが、この辺に関していかがでしょうか。
○川崎委員 保存期間に関して、36か月安定であったのに24か月にしたのが不思議でしたが、○○○○○ということで分かりました。また最近は、品質の比較のみで同等性/同質性を確認することが多いようなので、なぜ、あえてPK試験を実施したのか、何か問題があったのかと思い質問したのですが、問題はなかったということで、分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのほかの委員の先生方から御質問がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
○亀田委員 動静脈血栓症について、質問させていただきたいのですけれども、2点なのですが、これに関してはメカニズムとして本剤と関係するような合理的なメカニズムは想定されていないということの確認と、それから発生時期に関して中央値(範囲)での記載はあるのですけれども、例えばカプランマイヤーみたいなもので、それぞれの群においてどのような時期に起こっているのかという、そういったデータはありますでしょうか。以上2点です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構からお答えさせていただきます。まず本剤の作業機序と動静脈血栓塞栓症の関連についての御質問だと理解しておりますが、明確にどのような機序で発現しているかは分かっていないと考えています。2つ目の発現時期に関する御質問ですが、審査報告書の41ページを御覧ください。41ページの10行目辺りから発現時期等の情報を記載しておりますが、III相試験、SQUIRE試験における中央値としては88日、範囲としては5~837日、国内の試験の中央値としては43日、範囲としては1日~143日といった情報が得られています。
○亀田委員 これを見た上での質問だったわけですけれども、カプランマイヤー曲線みたいなものはないわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 カプランマイヤー曲線については得られていません。
○清田部会長 ほかに御質問どうぞ。
○渡辺委員 先ほど市販後の臨床試験というか、市販後調査が必要だということですけれども、この薬剤は国際誕生が2015年で大分時間がたっているということと、それからこのSQUIRE試験と並行してというか、ほぼ同じ頃に発表されて、ネガティブデータの第III相試験も発表されているのですよね。
それから、やはり競合薬剤でキイトルーダがありましたけれども、ペムブロリズマブが、こういう状況では、ほとんどそちらを使うという状況になってきており、『UP-TO-DATE』の最新版を見ても、この薬剤を「推奨しない」みたいなことが書いてあるのですね。そうすると承認されて市販された後に、果たして調査ができるほどの仕様が成り立つのか、時代遅れの薬剤というようなイメージを我々は持っているのですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。確かに○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○て、日本での開発が遅れてしまった事実があります。その中でペムブロリズマブも登場してきて、本剤の位置付けというのは○○○○○○○○○○○○○○○医療現場でどのようになるかというのは、はっきりしないところがあります。
一方で、現状の企業としては、年間○○例ぐらいは本剤が使用されるのではないかと見積もっており、その中で可能な範囲で調査はできるのではないかと、考えております。
○渡辺委員 大体これぐらい必要だということではなくて、やってみて、できる範囲でやっておこうというようなことですか。
○医薬品医療機器総合機構 今のところ企業としては、機構との議論の末、製造販売後調査としては○○例規模の調査を考えています。実際には、それを実施してみて○○例集まらないというような状況が出てきたときには、再度我々と議論して見直しをすることも検討いたしますが、まずは○○例で調査は始めたいと思っております。
○渡辺委員 分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問ありますでしょうか。
○浦野委員 教えていただきたいのですけれども、このHスコアというのは、普通の臨床において全ての患者さんに対して必ず計測する値なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。そういった全ての患者さんで測定されるようなものではないと考えています。
○浦野委員 そうすると、今回は0と200という所で切って、個別に観察して0以下でやると、普通に考えて効くことはないだろうなと思って見ていたのですけれども、何ページかに、そこの切片を取ったときは0だけれども、実際にはEGFRがあるので、中のほうで0であるという保証がないから全部に対して出すのだということを書いてあったのですが、その理論で行くと200とかの値も、200という数字が本当にその部分しかなくて、ほかは0である可能性もあるということになってしまうので、やはりせっかくこうやってちゃんと解析したからには、何かしら、このスコアで分けるべきかなと。つまり投与の対象をもっと絞るべきなのではないかなと思ったのですけれども、それを全くやらない理由というのは、今言ったみたいに、全てで、このスコアを出すということは、臨床的にはほぼ無理だから、こういう形で今回は通したと考えてよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 もともとの試験の計画が、そういった情報を取るというような設定になっていませんでしたので、全ての情報を、より深く詳細に検討するということも難しい状況も踏まえると、これ以上の情報を得るというのは難しいと考えています。そういったことも踏まえると、今回の承認に当たっては、適応患者さんを限定せずに承認することで差し支えないと判断しております。
○浦野委員 全体を考えると、Hスコアが0の方のパーセンテージは10%、20%程度なので、余り問題ないのかなと思うのですが、この資料というものが表に出ると、明らかに効かない、確かに0というスコアは、局所の免疫染色で出した結果だとは思うので、もしかして、ほかは上がっているかもしれないという理論は成り立つと思うのですが。
でも、明らかにOSは下回っているというデータが出てしまっているのにもかかわらず、この人にも関係なく全部に投与していいですよというと、やはり何のために、この解析をしているのだというような議論になるのではないかなと、ちょっとサイエンティフィックにそのように思ってしまったので、それは臨床的には、このHスコアを出すということが難しいということの理解ということですね。分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問ありますでしょうか。
○菊池委員 添付文書の中に「およそ60分」とか書いてありますが、余り添付文書の中に「およそ」とか、用法・用量の所に「1回800mg、およそ60分かけて点滴静注」となっていますけれども、「およそ」というのは添付文書に余りふさわしくないかなと思います。いつも言っているような記載整備のお願いになりますが、これはもともと本当に「およそ」だったのでしょうけれど、書かなくても普通のある程度投与時間に注意が必要な薬剤でも「およそ」ですよね。この「およそ」というのは必要でしょうかという旨の疑問が生じました。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。先生の御指摘のような御理解なのかなと思います。ただ一方で、他の添付文書で「およそ」という言葉を全く使っていないかというと、そうでもないところもありまして、今回は申請者から「およそ」という言葉を付けた上で用法・用量が設定されたこともあり、我々としてはそれを受け入れたというような審査の経緯になります。
○菊池委員 何を言いたいかと言うと、そういう記載整備をするのがあなたたちの仕事であって、これは本当に「およそ」は必要なのか、ほかのものだって30分とかいろいろ書いたのがありますが、それもガチガチに30分だと言っているわけではなくて、多分「およそ」なわけですよね。その中で更に「およそ」とか書くのはどうなのでしょうということであって、申請者から言ってきたから、それでそうしましたというのは、やはり余り良い答えではないような気がするのですが。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。もう少し補足させていただくと、実際には試験の設定としては、1つの試験では50分以上、もう1つの試験では50分と設定されていまして、「60分」と書くと正確ではなくなってしまうことも踏まえました。
○菊池委員 それだったら「50分」にしなさいという話ですよね。だから、そういうところがおかしいのではないかと思いますけれども。今回はこうなってしまったから仕方がないですが、そういうところのこだわりというか、全体で混乱してはいけないと思うので、やはり「およそ」があるとすごく違和感があって、ほかの添付文書もざっと見ましたが、「およそ」というのは添付文書中の用法・用量の中にはめったに出てこない言葉だと思いました。
あと、ほかのことですが、これも日本人には4コースしかやっていなくて、海外では6コースやっていますよね。添付文書の中には、投与の仕方についてのコースについての記載は、1コースとしては書かれていますが、それ以降どこへとか、何か書いていますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御回答いたします。添付文書の中になってしまうのですけれども、小さい字で申し訳ないのですが、臨床成績の項で各試験の用法・用量の詳細については記載をし、試験での設定を情報提供させていただいております。
○菊池委員 こちらは「サイクル」と書いてあるのですね。分かりました。これはタブレットなのでコースというので検索をして、ずっと見ていたのではなかったので、やはりそういうところも記載の仕方が良くないですよね。「コース」というなら「コース」で整えるべきだし、「サイクル」と言うなら統一してください。
あと、EGFRの変異の発現の仕方とか、RAS遺伝子の何かとかで効きやすいとか効きにくいとか、そういうことは分かっているのですか。これは先ほどもちょっとお茶を濁したような言い方でおっしゃっていましたが、そういう情報は、これを使ったらとても良い人のいる集団があるのであれば、それは臨床上すごく重要な情報であって、この薬が遅れて出てきているけれど、そうやって使えばいいというのは、すごく良い情報だとは思うのですが、そういうこととかは何か検討されていたりするのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回の扁平上皮癌に関しては、実際にはそういうものが分かっていない状況になります。結腸・直腸癌では、EGFRの発現の有無が適切な効果予測因子ではなくて、RAS遺伝子変異の有無が適切な効果予測因子だということは分かってはいるのですが、今回の扁平上皮非小細胞肺癌におきましては、一般的にRAS遺伝子の変異がある患者さんというのは少ないと言われていまして、扁平上皮の非小細胞肺癌においては、RAS遺伝子変異の有無が効果予測因子になるかどうかということは分かっていない状況になります。
○清田部会長 ほかに御質問ありますでしょうか。
○濱委員 初めてなので、もしかしたらちょっとこの場ではそぐわない質問かもしれないので、もしそうであれば、そう言っていただきたいと思います。今のこの添付文書の記載様式なのですが、この4月からは新規の記載様式に沿って新しいものになるというように理解しているのですが、今、拝見しますと、この資料は旧式の様式になっているのですけれども、その点についてちょっと教えていただければと思います。新規である必要はないということでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えいたします。添付文書記載要領の新記載要領への切替えにつきましては、今年の4月1日以降に承認申請がされる品目から順次切替えをしていくこととしておりますので、今回、審議報告としている品目については、まだ古い様式のものが残っているという形になっております。
○濱委員 古い様式でも良いということでしょうか。
○事務局 切り替わっているものもあります。
○濱委員 分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問ありますでしょうか。よろしいようでしたらば議決に入りたいと思います。なお、亀田委員、山本委員にかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題2に移ります。川上委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題2の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。
                            (川上委員、山本委員退室)
○清田部会長 それでは議題2につきまして、医薬品表から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、医薬品イナビル吸入懸濁用160mgセットの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料No.2のフォルダをお開きいただき、審査報告書のファイルもお開きください。
イナビル吸入懸濁用160mgセット(以下「本剤」と略します)は、有効成分であるラニナミビルオクタン酸エステル水和物が生体内で活性代謝物であるR-125489へと代謝された後、A型又はB型インフルエンザウイルスの表面に存在するノイラミニダーゼを選択的に阻害することにより、ウイルス増殖抑制作用を示します。本邦では、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物を有効成分として含有する吸入粉末剤(販売名:イナビル吸入粉末剤20mg)が、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」等の効能・効果で承認されています。しかしながら、既承認の本薬吸入粉末剤は、5歳未満の小児、肺機能が著しく低下している呼吸器疾患(気管支喘息又は慢性閉塞性肺疾患等)を合併する患者等では、使用が困難であることから、申請者は、これらの問題点を改善することを目的として、本剤を自発呼吸で吸入可能な吸入懸濁用製剤とし、医療現場での利便性及び感染予防対策を考慮して単回使用のネブライザ吸入器を同梱した新剤形医薬品として、今般、製造販売承認申請が行われました。なお、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は2019年1月時点において、本邦でのみ承認されております。
本申請の専門委員については、資料15にお示した6名の委員を指名しました。審査内容について臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について、審査報告書の下段の青字の通し番号13ページ、表7及び図4を御覧ください。こちらは、10歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者を対象とした国内第III相試験における本薬又はプラセボを投与したときの主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間を示しています。その時間の中央値は、本薬群が55.3時間、プラセボ群が73.6時間であり、プラセボに対する本薬の優越性が検証されました。
続いて10歳未満の小児の有効性について、審査報告書通し番号14ページの図5を御覧ください。10歳未満のインフルエンザウイルス感染症患者を対象とした国内試験における主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間の中央値は49.0時間であり、10歳以上の患者における本薬群のインフルエンザ罹病時間(55.3時間)とほぼ同様な結果が得られました。なお、理化学試験等に基づくブレスシミュレータを用いた小児の呼吸パターンを考慮した検討結果に基づき、小児と成人とで、本剤を投与したときの肺における本薬のばく露量に大きな差異はないと判断しております。以上より、本剤のA型又はB型インフルエンザ感染症に対する有効性は示されたと判断しました。
安全性について、審査報告書通し番号20ページ表14を御覧ください。インフルエンザウイルス感染症患者を対象とした国内臨床試験の2試験における安全性の概要を示しています。10歳以上の患者を対象としたJ310試験での有害事象発現割合は、本薬群13.4%、プラセボ群10.5%であり、両群で同程度でした。
次に、表14直後の表15を御覧ください。表15は、それぞれの試験において、いずれかの投与群で発現が2例以上であった有害事象及び副作用を示しています。これらの事象について、本薬群とプラセボ群との発現割合及び内訳に明確な差異は認められませんでした。また、既承認の本薬吸入粉末剤と比較して、新剤形の本薬吸入懸濁用製剤に特有の有害事象は認められませんでした。なお、本薬の臨床試験において因果関係が否定されなかった異常行動の発現は認められませんでした。これらの成績に基づき、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者に対する本剤の安全性は許容可能と判断しました。ただし、異常行動については、既承認のインフルエンザウイルス治療薬投与後に薬剤との因果関係は不明であるものの、異常行動が認められたとの報告があり、本剤においても既承認製剤と同様の注意喚起を行う必要があると判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新剤形医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年、原体及び製剤は、生物由来製品、特定生物由来製品、毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○渡辺委員 渡辺です。有害事象について従来の粉末薬との比較についてはお話されましたけれども、効果の点で報告されているのはプラセボとの比較なわけですよね。それで従来の粉末剤との比較で効果が劣らないとか、あるいはプラセボとの比較における有効性のマグニチュードというか大きさで、ほぼ同じだとか、何かそのようなことについてちょっと御説明いただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。お答えいたします。既承認製剤の吸入粉末剤と本薬吸入懸濁用製剤との比較というところで、まず、本薬の既承認の粉末剤に関しての臨床試験ではタミフルに対する非劣性試験が実施され、プラセボとの直接の比較試験が行われておりません。今回はタミフル対照ではなくて、プラセボ対照で試験をやられたということで薬効は示せたのですが、直接的な本薬吸入粉末剤と吸入懸濁用製剤での比較試験は実施されておりません。実際に、そのプラセボとの罹病時間の差がどのくらいの意義があるかということに関して、例えば、直接比較は難しいのですけれども、既存の粉末剤のインフルエンザ罹病時間の中央値が73時間と得られていますので、今回は55.3時間というところで特段、既承認のものから劣るような成績は得られていないことを確認しています。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに。
○宗林委員 2点伺います。年齢ですが、10歳未満の投与も書かれていますが、実際は0歳でも使えるとかというものではないと思いますので、何歳以上というのがあるのでしょうかというのが1点目です。
2点目は、これは単回投与なので、うまく吸うということも含めまして、クリニックで実際は使うというような想定でしょうか。家庭に持ち帰るというよりは。教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、本剤の投与可能な適応対象について、臨床試験では、0歳以上の患児が組入基準になっていました。実際に0歳児のデータは非常に少ないところではあるのですが、投与経験も踏まえて特段、年齢制限は今のところは考えておりません。
また、御指摘のとおりこのセット製剤に関しては、コンプレッサーを接続する必要がありますので、基本的にはコンプレッサーの設置されている小児科等、クリニックで治療していただくことを想定しております。ただし、繰り返しになりますが、0歳児年齢小児に対する投与経験が限定的ですので、製造販売後に低年齢の小児に特化した製造販売後調査を行い、その中で本当に問題なく使えるかどうかの情報収集をする旨、申請者と合意しております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問。
○長島委員 審査報告書の22ページの臨床的位置付けというところですと、既承認である吸入粉末剤を使用することは困難な患者に対する選択肢の一つという位置付けになっておりますが、添付文書にはそういうことは全く書いてなくて。とすると、この薬の従来のものとの使い分けとか位置付けはどのように考えているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では、吸入時間が5分~10分程度、またクリニックに一定時間とどまっていただく必要があるので、専門協議での議論も踏まえて、院内での感染リスク等がありますので、できる限り吸入が可能な患者に関しては吸入粉末剤を使用することを前提に考えております。現時点で特段の注意喚起はしておりませんが、院内感染等の可能性も踏まえて適切に情報提供するように申請者には指導しております。
○長島委員 ですので、こういう患者も想定して作られたものだということが、きちんと臨床現場に伝わるような資料なりをきちんとしていただいたほうがいいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。御意見を踏まえて、申請者に伝達させていただきます。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。
○浦野委員 余りちゃんと覚えてないのですが、この薬剤は確か、エステルの2アシル基と3アシル基の混合物ですよね。それが代謝活性化されて効く形になってということだと思うのです。今回、効いているのは十分効いているかと思うので、いいかなと思うのですけれども、その2種類は代謝活性化を受けるスピードは違うと思うので、実際の粉末吸入とこのネブライザ吸入で、その2アシルと3アシルの暴露比率が変わらないかどうか、そういうことは全くデータはないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございました。現時点ではそのような詳細な検討までは申請資料中では出てきておりません。あくまで総量として肺内でのばく露量が既存の吸入粉末剤と吸入懸濁用製剤で同等だというところの説明のみで、本薬の2種類の薬物に関する比率の変化等のデータは今のところは提出されておりません。
○浦野委員 今回の薬剤だけではないのですが、一般的にこのような形で代謝活性化を受けると同一生成物になるような、そういったものの混合物は他にも多分あると思うのですが、一般的にこういった形での投与形態の変更に関してやるときというのは、そういうことを気にしなくても一般的には大丈夫なものなのですか。これはちょっと教えてほしい部分なのですけれども。
○上席審議役 どうもありがとうございます。そういう代謝活性化ということが想定される場合、それがメインの試験結果、つまり代謝活性化体の量で有効性を説明するメインの承認審査のデータにある場合は、それをきちんと評価しなければならないと思います。ただ一方で、今回は最終的な目標である臨床効果を検証する臨床試験をやった上で、プラセボに勝っているということが出ておりますので、その結果で評価をしているということになります。
○浦野委員 分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○大曲委員 質問というよりは意見ですけれども。こういうネブライザを用いるようなインフルエンザの薬は確か、おそらく日本では初めてだと思うのですが、こういう感染症のある、例えばRSウイルスとか、インフルとか感染症のある患者さんに吸入の治療を行う場合は、感染対策上で注意をするというのが一般的な認識ではないかと思います。具体的にはエアロゾルが出ますので、普通のインフルの患者さんよりは周りの方を感染させるリスクが高まるのではという認識が一般的と思います。例えば、RSウイルスのリバビリン吸入など海外はやられていますけれども、そのときも感染防止対策は厳しく行われています。そういう意味で、これは情報提供の話になると思います。想定されるリスクというような扱いになるとは思うのですけれども、やはりネブライザを使って治療をするということで、今までになかったような感染の伝播が起こるとかというリスクを伝えておくことは感染防止対策上必要と思いました。添付文書に書くべきものなのか、情報提供なのか、ちょっと分からないですけれども、使う側の人間からすると、その辺りが気になりましたので意見しました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございました。専門協議の中でも、同様の御意見を頂いておりました。申請者から、この点に関してとして、本剤服用時には他の患者と隔離した場所やカーテン等で仕切られたスペースで投与すること、医療従事者の不織布製マスク着用の徹底等の情報提供を医療現場に行う旨の説明を頂いておりますので、適切に情報提供が行われるよう引き続き伝達したいと思います。御意見ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに。
○菊池委員 ちょっと長くなって申し訳ないですけれども、通し13ページに、21.5時間以上継続する症状がなくなるといいというのがありますけども、これは一般的ですか。この21時間30分というのは、私はすごいと、これって何かこの数字はありますか。簡単に分かれば教えていただけますか。
あと、プラセボと、この薬でやっていますけれども、これは実際に、本当に何もしてないでプラセボと、インフルエンザの治療薬はいろいろあることが分かっているところで、これガチンコでやったのですか。何となくそれ自体がすごい話で、この薬しかなくてどっちが効くか分からないからやりますというならあれだけど、というのがちょっと。これは答えなくてもいいです。
あと、さっきもおっしゃっていましたけれども、この160mgで、吸い方がいろいろな形になるから大人も子供も、それこそ小児も0歳でも1歳でも同じ量でいいというのは、本当にそうなのと聞いても、はてな、はてなという感じですけれども、そんな薬は今までないでしょうし、吸う換気回数で違うのだったら、一生懸命に吸ってしまう小児がいた場合ものすごい量をばく露するでしょうし、というのがありますが、それは大丈夫ですか。
あとB型の数が、これは少人数ですよね、それをもってB型に効くというのは、これはまた乱暴な話であって、大丈夫ですかというのが。この年に流行っていなかったのか、B型の診断がこうだったというのが事実ならそうなのでしょうけれども、そこら辺はいかがでしょうか。今のは答えられなかったら別にいいです。
○医薬品医療機器総合機構 21.5時間以上の解熱が継続することを、解熱の基準にしているのは、既存薬、例えばタミフルとかゾフルーザの臨床試験でも使われている基準で、この領域では一般的に使われている方法です。
○菊池委員 長らく、インフルエンザを診ていても、実際の臨床現場で患者さんに21.5時間症状が消えました?なんてことは一度も聞いたことはないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 再発熱があった場合、集計上、平熱まで下がったということを取るのですけれども、そこのところが、体温が上下した場合に、解熱したタイミングをどう判断するかは非常に難しいためです。
○菊池委員 実際に感染症のレジデントに21.5時間でインフルエンザかどうか分かるかというと、誰も全然、そういうのは意識していない時間ですよ。
○医薬品医療機器総合機構 そういう意味はございません。臨床試験における集計上の手法としてやっているということです。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの試験デザインは治験相談等で申請者と詰めていた中で、既存の吸入粉末剤に関しては、タミフル対照の非劣性試験だったのですが、インフルエンザ患者の中でも重篤な合併症を有する患者は除外し、分析感度を確保する観点から、プラセボ群対照の試験を実施することについて、申請者と合意の上で実施したというのが経緯です。
3点目の本剤の投与量が160mg一定量で、大人から子供まで全て同じというところで、こちらはネブライザが自発呼吸をしているという前提の薬剤ですので、吸入パターンのブレスシミュレータというものが、例えば米国薬局方等に収載されています。この中で、成人の呼吸パターン、小児の呼吸パターン、乳児の呼吸パターンがあり、それぞれその呼吸パターンで、このネブライザの煙を吸ったときにどれぐらい薬剤が飛ぶかをシミュレーションして、さらに飛んできた中でも実際に肺に到達するものは5μm未満の微粒子であるいう点を考慮し計算したところ、実際に吸入粉末剤と同等の薬物量が肺まで届くというところから、今回は160mg一定量で、その吸い方が違うというところで大人、子供、乳児では肺まで到達する量が異なるという申請者の説明を受けて、臨床試験を実施しています。
○宗林委員 実使用上の問題ですけれども、子供が途中でワーワー泣き出したりしたような場合でも大丈夫ですか、今の理屈というのは成り立つのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 もちろん、お子様が吸えない場合、一旦電源を落とす等、いろいろ対応はあるとは思うのですが、やはり10分間ぐらいは吸入時間はかかるので、10分間全く吸えていないという状況だと十分なばく露量は期待できないと思います。10分間程度吸入できる患者さんに使っていただくのが大前提かと考えております。
菊池委員より御指摘いただきましたB型インフルエンザウイルスに対する有効性に関しては、審査報告書の通し番号17、18ページに記載しております。御指摘のとおり、この臨床試験が行われたシーズンの影響や実施時期など、いろいろな影響で、ほとんどの患者のインフルエンザウイルスの方々はA型のH3N2亜型で、B型及びH1N1亜型の方はほとんど臨床試験には組み入れなかったというのは事実です。この結果に関して総合機構としては、既存の吸入粉末剤の臨床試験のデータ、またこのラニナミビルが初回承認される前に実施された臨床試験、その後の現時点までのウイルスのラニナミビルに対する感受性の変化等を調査しましたところ、このラニナミビルが市場に投入される前の時点からこの臨床試験が行われた時点まで特段、B型も含めてウイルスの感受性が変化してないという事実も踏まえ、また海外ではありますが、B型の被験者に対する吸入粉末剤のデータではあるものの有効性を示唆するデータが得られていたということを総合的に勘案しまして、B型にも有効だと結論づけております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございませんか。ありがとうございます。そうしましたら、議決に入りたいと思います。亀田委員、濱委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私につきましても同様の取扱いがございます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
別室で待機されています川上委員、山本委員をお呼びください。
                            (川上委員、山本委員入室)
○清田部会長 それでは、議題3及び報告事項3に移ります。機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題3と報告事項の議題3について御説明いたします。資料はタブレットの資料No.3から始まるフォルダです。まず、審議事項の議題3について御説明いたします。本剤は抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)[ベバシズマブ後続1]を有効成分とする製剤であり、アバスチンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、ファイザー株式会社により製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のアバスチンは原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、アバスチンと同等/同質である本剤についても、原体及び製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。また、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。審議事項の議題3、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。
なお、同一品目に係る報告事項の議題3につきましても、併せて御説明申し上げます。機構における審査の結果、本剤とアバスチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をアバスチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。報告については以上です。
なお、川崎委員より事前の御質問を頂いておりますので、その点について御回答いたします。「先行品の販売名では、含量は100mg/4mL、あるいは400mg/16mLとなっていますが、本剤では医療安全上の観点から含量の記載を100mg及び400mgにしたということであるが、その理由について教えてほしい」との御質問です。
販売名については、平成17年9月22日付けの薬食審査発第0922001号の通知において、注射剤の場合、原則含量表示とするよう定められていることから、本剤では含量記載とすることについて申請者に御検討いただきました。なお、単位当たりの含量についてはラベルに表示することが義務付けられておりますので、販売名に含まれていない場合でも、医療現場では認識できるようになっております。回答は以上です。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見がございましたら承ります。
○川崎委員 先行品の販売名は、「100mg/4mL」となっているとなっていると思うのですが、そちらのほうは医療安全上の問題はなくて、後続品のほうは問題があるので名前を変えるということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 問題があるというよりも、通知においては原則として、総量で表示してくださいというルールになっておりますので、そのように申請者に検討を依頼したことになります。
先行品が問題があるかというと、もちろん先行品の表示であっても総量は分かりますので問題はないかもしれないのですが、一応ルールとしては、一般名、総量、屋号となっています。
○川崎委員 では、それはガイドライン上の問題であるということですね。審査報告書に「医療安全上の観点から」と書いてあるので、「何ミリリットル当たり」と書くことが医療安全上問題があるのかと思って質問したのですが、そういうわけではないということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。審査報告書の表現が分かりにくいものであったかもしれないのですが、もともと通知が医療安全上のことで、このように販売名を統一しましょうという趣旨の通知ですので、その通知に基づいた旨を、そのように書かせていただきました。
○川崎委員 分かりました。
○長島委員 医療経済的な観点から見ますと、先行医薬品のアバスチンが、恐らく年間1,100億円程度と、医薬品の中でもトップグループの規模を持っているというところです。そこで、バイオシミラーができて、通常薬価が70%となると、かなり大きな医療費の抑制効果、患者本人の個人負担も減るし、医療費全体も減るということで非常に期待も大きいのですが、やはりこれが安定に供給されないと、非常にバイオシミラー自体のイメージも悪くなってしまうということで、是非、安定供給のほうの指導をよろしくお願いしたいと思います。
○医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございます。安定供給についても企業のほうがしっかりと対応できるように、関係課と一緒に指導したいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。
○川上部会長代理 先行バイオ医薬品には効能・効果として、他の癌腫があると思うのですが、それが今回承認されない理由は、用途特許とか再審査期間なのでしょうか。外挿できないからというわけではないのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 コメントいただいたとおりで、特許あるいは再審査期間が切れていないということが理由になります。
○川上部会長代理 それらが将来的に承認されるのはいつなのでしょうか。すなわち、今、長島委員がおっしゃったようなバイオシミラー使用促進による経済効果が得られるためには、やはりある程度、臨床で使われる効能・効果がそろってこないと難しいのではないかと思ったので、もし差し支えなければ教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 申請者のほうも、少しでも早く効能を追加したいと思っているので、申請されれば機構は適切に、速やかに対応したいと考えております。
ただ、特許の辺りなどは微妙なところもありますので、いつ効能・効果を追加できるかというのは、明確にお答えすることはできないのですが、機構も申請者も速やかに追加する方針でいきたいと思っています。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。
○菊池委員 バイオシミラーのときにいつも言っていますけれども、多分、資料を見てもらっているからもういいと思うのですが、これは日本人の参加がすごく少ないですよね。特に、癌腫もいろいろある中でも、その中で何人がちゃんと受けてどうだったという資料はお持ちなのですよね。これはすごく少ない量で外挿しているわけですが、実際に日本人は8例と何例だったか、部分集団のものが出ているだけだと思うと、すごく少ないですよね。日本人が8人のものが表15にあって、これは安全性のほうですが、癌腫的にはどのようなものがそろっていたのですか。
○医薬品医療機器総合機構 対象患者ということですと、非小細胞肺癌の患者を、日本人についても対象としております。
○菊池委員 それは8人が全部それなわけなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 これは結腸癌とかでも通っているわけだから、添付文書上は通っていますよね。それを、全然経験はないけれども外挿するということなのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、ご理解のとおりです。
○菊池委員 ですから、この中で日本人で大丈夫かというのを、いつも言っていますけれども、この資料も薄いのですが、その中で日本人のことが本当にちょっとしか書かれていなくて、それで本当に大丈夫なのかということをいつも心配しているので、申し上げたところです。外挿していいというバイオシミラーのいろいろなものを勉強してきましたから、そういうものだと思って、私たちに送られてくる資料も薄っぺらで読むのは楽なのですが、そのようないつもと同じ感想です。
○医薬品医療機器総合機構 日本人でも外国人と同じように肺癌で臨床試験が実施されており、先生の御指摘のように、結腸・直腸癌については実績がないので、製販後に安全性を確認する調査が実施される予定です。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、濱委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様の扱いです。本議題について、劇薬及び生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題4に移ります。事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料4、larotrectinibを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料No.4のフォルダをクリックしていただき、2「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の1ページの中段を御覧ください。申請者はバイエル薬品株式会社、予定される効能・効果は、NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形癌になります。
まず、1ページの対象患者数について御説明いたします。厚生労働省における患者調査及び文献報告に基づき、本邦におけるneurotrophic tyrosine receptor kinase(以下、「NTRK」)融合遺伝子陽性の固形癌の患者数は約1万9,320人と推測されております。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、3ページの「医療上の必要性」について御説明いたします。NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形癌に対する現状の治療としては、癌腫ごとの治療体系に基づいて、NTRK融合遺伝子陰性の患者と同一の化学療法等が行われておりますが、治療効果は限られており、NTRK融合遺伝子陽性の固形癌は予後不良な疾患です。また、NTRK融合タンパクは、単一で細胞の形質転換を誘導することから、NTRK融合遺伝子を有する進行固形癌の生存・増殖に大きく寄与することが報告されており、NTRKのチロシンキナーゼを阻害する本剤は、NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形癌に対する有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形癌患者を対象とした国際共同第II相試験及び進行固形癌又は原発性中枢神経腫瘍患者を対象とした国際共同第I/II相試験における第II相パートにおいて、データカットオフ時点までに登録された最良総合効果の評価対象とされた患者における奏功率は、それぞれ60.7%及び62%でした。
以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えています。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見を調戴したいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御質問がないようですので、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題5に移ります。事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題5、資料5、カプマチニブ塩酸塩水和物を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料6のフォルダをクリックいただき、2「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の1ページの中段を御覧ください。申請者はノバルティスファーマ株式会社、予定される効能・効果は「MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌」になります。
まず、1ページの「対象患者数」について御説明いたします。患者調査及び文献報告に基づいて、本邦における間葉上皮転換因子遺伝子のエクソン14スキッピング変異陽性の非小細胞肺癌(以下、「METエクソン14スキッピング変異陽性のNSCLC」)の患者数は約5,000人と推測されております。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、2ページの「医療上の必要性」について御説明いたします。METエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者に対しては、こちらの変異陰性の患者と同一の化学療法等が行われておりますが、治療効果は限られており、依然として予後不良な疾患です。また、METエクソン14スキッピング変異は、METを介したシグナル伝達経路を亢進させることに加えて、当該変異と癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の欠損によって肺腺癌を生じること等から、METエクソン14スキッピング変異を有する腫瘍細胞の生存・増殖に大きく寄与することが報告されており、METのチロシンキナーゼを阻害する本剤は、こちらの変異が陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCに対する有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性」について御説明いたします。METエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者等を対象とした国際共同第II相試験において、変異陽性の化学療法歴のない患者を対象としたコホート及び化学療法歴のある患者を対象としたコホートにおけるデータカットオフ時点での中央判定による奏効率は、それぞれ71.4%及び39.1%でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。これも希少疾病のものですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは決に入りたいと思います。亀田委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題6に移ります。事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、資料6、アレクチニブ塩酸塩を希少疾病医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料6のフォルダをクリックいただき、2「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。まず、1ページの「対象患者数」について御説明いたします。未分化大細胞リンパ腫(以下、「ALCL」)は、悪性リンパ腫のうち、成熟T細胞又はNK細胞を起源とする悪性腫瘍の中の病型の1つです。患者調査及び文献報告に基づき、本邦における未分化リンパ腫キナーゼ(以下、ALKと略す)融合遺伝子陽性のALCL患者数は約640人と推計されております。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、2ページの「医療上の必要性」について御説明いたします。未治療及び再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性のALCLに対する既存治療においては、延命効果を明確に示す治療成績は得られておらず、ALK融合遺伝子陽性のALCLに対する新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性」について御説明いたします。小児を含む再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性のALCL患者を対象とした国内第II相試験が実施され、中央判定による奏効率は80%でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 それでは、これについて、委員の先生方からの御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入ります。亀田委員、川上委員、濱委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。私につきましても同じでございます。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項に移ります。報告事項について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項について、まとめて御説明いたします。初めに、報告事項の議題1、医薬品アクテムラ点滴静注用80mg他2規格の製造販売承認事項を一部変更承認について御説明いたします。資料No.7を御覧ください。本剤の有効成分であるトシリズマブ(遺伝子組換え)は、免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体であり、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎」等に係る効能・効果で承認されております。今般、中外製薬株式会社より、医師主導治験成績等から本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、既存治療で効果不十分な成人スチル病の効能追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2及び議題3については、先ほどの審議の際に御説明しておりますので、次に、報告事項議題4、医薬品ポマリストカプセル1mgほか3規格の製造販売承認事項を一部変更承認について御報告いたします。資料No.10を御覧ください。本剤はサリドマイドの誘導体であるポマリドミドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果で、デキサメタゾンとの併用に係る用法・用量は承認されております。今般、セルジーン株式会社から、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
次に、報告事項議題5、医薬品ゲンボイヤ配合錠の製造販売承認事項一部変更承認について御説明いたします。資料No.11を御覧ください。本剤はインテグラーゼ阻害剤であるエルビテグラビル、CYP3A阻害作用により抗HIV薬のばく露量の増加を惹起するコビシスタット、並びに核酸系逆転写阻害剤であるエムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を有効成分とする配合錠であり、現在は「HIV-1感染症」に係る効能・効果で、成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児に係る用法・用量が承認されております。
今般、日本たばこ株式会社より体重25kg以上の小児に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
続いて、報告事項議題6「希少疾病医薬品の指定の取消しについて」です。資料No.12-1を御覧ください。届出者は、ノバルティスファーマ株式会社、医薬品の名称はBYM338です。本剤は、平成25年9月3日、「封入体筋炎」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されました。
試験研究を中止する理由について御説明いたします。届出者は、封入体筋炎患者を対象に国際共同第II/III相試験を実施し、日本からも参加しておりましたが、主要評価項目での統計学的な有意差を確認することができず、封入体筋炎患者への明らかな有効性が認められませんでした。届出者は当該結果を踏まえ、封入体筋炎を対象とした開発の中止を決定したとのことです。よって、本剤の希少疾病用医薬品の指堤を取り消すことといたしました。
続きまして、資料No.12-2を御覧ください。届出者は日本たばこ産業株式会社、医薬品の名称はメシル酸ネルフィナビルです。本剤は、平成8年12月20日、「後天性免疫不全症候群並びに症候性及び無症候性HIV感染症」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。
製造販売を中止する理由について御説明いたします。販売名ビラセプト錠として平成10年より販売を開始していましたが、その後、HIV治療ガイドラインにおいて、本剤が積極的に変更を考慮すべき旧来の薬剤に位置付けられたことから、HIV感染症治療薬としての役割は終息したものと考え、本剤の希少疾病用医薬品製造販売中止届の手続きを行ったとのことです。これを踏まえまして、本剤の希少疾病用医薬品の指定を取消すこととしたものです。
続いて、報告事項議題7、医療用医薬品の再審査結果についてです。資料No.13を御覧ください。こちらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりまして、有効成分名は三酸化二ヒ素、販売名はトリセノックス注10mgです。こちらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない、カテゴリー1と判定したものです。長くなりましたが、報告事項に関する事務局からの説明は以上です。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、あるいは御意見がございましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項の議題1及び議題4から7につきましては御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 次回の部会は5月30日の木曜日の午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)