第2回社会福祉法人の事業展開等に関する検討会 議事録

日時

令和元年5月15日(水) 17:00~19:00

場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール3A(3階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

 ・神田(かんだ) 浩之(ひろゆき)      京都府健康福祉部地域福祉推進課長
 ・久木元(くきもと) (つかさ)     日本知的障害者福祉協会社会福祉法人経営の在り方検討委員会委員長
 (しば)  (たけし)      日本公認会計士協会常務理事
 ・田中(たなか) (しげる)(座長)   埼玉県立大学理事長
 ・千葉(ちば) 正展(まさのぶ)       独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターシニアリサーチャー
 ・塚本(つかもと) 秀一(しゅういち)     全国私立保育園連盟常務理事
 ・原田(はらだ) 正樹(まさき)      日本福祉大学副学長
 ・藤井(ふじい) (けん)一郎(いちろう)     上智大学総合人間科学部准教授
 ・松原(まつばら) 由美(ゆみ)          早稲田大学人間科学学術院准教授
 ・松山(まつやま) 幸弘(ゆきひろ)          一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
 ・宮田(みやた) 裕司(ひろし)      全国社会福祉法人経営者協議会地域共生社会推進委員会副委員長
 ・本永(もとなが) 史郎(ふみお)       全国老人福祉施設協議会総務・組織委員会社会福祉法人改革対策本部長


参考人(敬称略・五十音順)

 ・今村(いまむら) 良司(りょうじ)     社会福祉法人和幸園 理事長
 ・川原(かわはら) (たけ)(よし)    株式会社 川原経営総合センター
 ・岸田(きしだ) 耕二(こうじ)     社会福祉法人すいせい 理事長
 ・手塚(てづか) 敬一郎(けいいちろう)    社会福祉法人恩賜財団済生会特別養護老人ホームながまち荘
 ・峯田(みねた) (こう)(えつ)      社会福祉法人恩賜財団済生会特別養護老人ホームながまち荘

議題

関係者からのヒアリング 等

議事


○高坂福祉基盤課長補佐 定刻より少し前でございますけれども、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより第2回「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」を開催させていただきます。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
初めに、前回欠席されました構成員の御紹介をさせていただきます。
塚本秀一構成員でございます。
○塚本構成員 皆さん、こんにちは。
前回は大変失礼いたしました。保育三団体を代表して参画させていただくことになりました。全国私立保育園連盟の常務理事の塚本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 ありがとうございました。
続きまして、本日のヒアリングを御快諾いただきました参考人の皆様を順に御紹介いたします。
山形市内特別養護老人ホーム施設長連絡会の峯田幸悦参考人です。
○峯田参考人 山形市内の特別養護老人ホーム施設長連絡会会長の峯田幸悦でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○高坂福祉基盤課長補佐 同じく、手塚敬一郎参考人です。
○手塚参考人 事務局をしております、特別養護老人ホームながまち荘の手塚と申します。
本日は、どうぞよろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 社会福祉法人すいせい理事長の岸田耕二参考人です。
○岸田参考人 神戸市から来ました社会福祉法人すいせいの岸田です。
本日は、ほっとかへんネットたるみの代表として発表させていただきます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 社会福祉法人和幸園理事長の今村良司参考人です。
○今村参考人 青森県青森市からやってまいりました。和幸園の今村でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 川原経営総合センター代表取締役の川原丈貴参考人です。
○川原参考人 コンサルティングをしております株式会社川原経営総合センターの川原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 なお、谷内社会・援護局長は、公務によりおくれて出席いたします。
続きまして、資料の確認でございます。
本日は紙での資料となっております。お手元の資料の御確認をお願いいたします。
資料は全部で9点ございます。
上から順に議事次第、資料1-1として峯田参考人・手塚参考人提出資料、資料1-2として岸田参考人提出資料、資料1-3として今村参考人提出資料、資料1-4として川原参考人提出資料、資料2-1として事務局提出資料、資料2-2として宮田構成員提出資料、資料2-3として第1回検討会での主な御意見等、最後に参考資料1として構成員名簿となっております。
過不足等ございましたら、事務局へお願いいたします。
それでは、ここからの議事運営につきまして、田中座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々は、これで御退室ください。
○田中座長 皆さん、こんにちは。
早速、議事に入ります。
議題(1)関係者からのヒアリングのため、本日は先ほど御紹介があったように、4団体の方に参考人として御出席いただいています。
議事の進め方としては、それぞれ10分程度、プレゼンテーションをお願いいたします。その後30分程度、全体での質疑応答時間を確保しておりますので、そこでまとめて質問をお受けいたします。
早速始めます。
初めに、山形市内特別養護老人ホーム施設長連絡会の峯田参考人及び手塚参考人、どうぞ発表をお願いいたします。
○峯田参考人 ただいま御紹介いただきました、山形から来ました、今、山形市内の特別養護老人ホーム施設長連絡会の会長を仰せつかっております峯田幸悦でございます。施設名は、特別養護老人ホームのながまち荘というところでございます。
私どもの法人は、済生会の法人でございますけれども、今、私は山形市内の施設長会の会長もしておりますが、山形県の老施協の会長、そして全国の老施協の副会長も仰せつかっているところでございます。
そんなことで、資料の1ページでございますけれども、私のほうからは組織の概要だけお話し申し上げて、担当している事務局の手塚のほうから、お話しさせていただきたいと思います。
山形市内特別養護老人ホームの施設長をもって組織している団体でございますけれども、平成16年6月に設立いたしまして、今、32施設、19法人がかかわっておるところでございます。
会長、副会長、監事などで組織しておりますけれども、このたび、小規模の法人も含めまして、いろいろ連携をとって、介護の質を上げたり、介護の人材の育成をしたりとか、そういうことを心がけておりますので、詳しいことは手塚のほうからお話しさせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○手塚参考人 それでは、続きまして私のほうから活動の報告をさせていただきます。
お手元のパワーポイントの資料をごらんいただけますでしょうか。「『平成30年度小規模法人のネットワーク化による協働推進事業』活動報告」といたしまして、ページをめくっていただきまして、事業の趣旨といたしましては、山形市の人口は24万7044人ほどおりまして、高齢化率は28.8%になっております。今後、2040年までに85歳以上人口が1.9倍とさらに高齢化することが見込まれていますが、現時点で、特養の待機者は実人数で949名いるということで、今後、ますます介護施設等が必要になると予想されております。
一方、労働力人口の減少ということで、市内の介護施設における介護人材の不足も深刻になっています。また、平成28年の社会福祉法改正により、「地域における公益的な取組」の実施も求められてはおるのですけれども、なかなか介護分野において小規模な法人が市内にも多いというところから、独自で人材確保策や公益事業に取り組むことは難しいというところがございます。
そういったところから、市内の全19法人、32施設で構成される連絡会で、小規模法人のネットワーク化による協働推進事業を活用して、取り組みを推進するという運びになっております。
3ページが主な内容になっております。
4ページをごらんいただけますでしょうか。まず、➀法人間連携プラットフォーム会議ということで、市内の特養施設長が集まり、全3回、会議を行っております。
1回目に関しては、事業といたしまして、防災ネットワークや生活困窮者への中間的就労、刑務所出所者への一時生活支援、地域住民の買い物支援、介護人材の確保・定着のための取り組みの推進等、進め方、スケジュール等の確認、検討を行っています。
第2回目に関しては、中身の再確認と中間的就労に関しての外部講師による研修ということで、勉強を兼ねて実施しています。
第3回目は、事業の振り返り、あとは次年度に向けた取り組みの検討を行っております。
続きまして、5ページが➁先進地視察ということで、何分、私どももなかなか勉強不足なところもありますので、法人間の連携や地域貢献への取り組みの研修という目的で実施しております。このときは9名ほど参加していまして、まず京都市の地域密着型総合ケアセンターきたおおじさんに伺いまして、連携した人材確保、合同研修等の取り組みを勉強しております。
あと、大阪府八尾市にございます八尾隣保館第二成法苑ライフつむぎさんのほうに、生活困窮者等の中間的就労支援事例や刑務所出所者の連携事例等ということで勉強をしております。
続いて、6ページは➂防災ネットワークの構築及び地域住民(高齢者)の買い物支援の構築のための検討会といたしまして、同日開催でしております。この研修に関してはプラットフォーム構成施設以外の介護事業者も参加いただき、取り組み事業者の普及啓発も意識したものとしております。
防災ネットワークの構築の検討会といたしましては、現在、特養のほうで災害時相互応援協定ということで、私どもの施設が本部施設となって、山形市以外の施設も含め、合計64施設でネットワークを形成して、協定を実施しているといった話だったり、山形市防災対策課からの講話だったりとか、もろもろ行っています。
第2部ということで、買い物支援の構築のための検討会ということで、山形市内の特養数ヵ所が買い物支援を実施していますので、そちらの報告であったり、隣の天童市のほうで総合事業と組み合わせた買い物支援事業も行っていますので、こちらの紹介もしています。
続いて、7ページは➃介護人材定着に向けた研修会及び交流会の実施ということで、こちらは各月1回実施しています。
プラットフォームの構成施設の職員を対象とした研修会として、認知症、精神疾患への対応、コミュニケーション、中間的就労等を主としながらも、グループワーク等で交流の要素も含めた内容としています。
このうち、第4回の中間的就労と地域共生社会をテーマにした分につきましては、山形市社会福祉協議会が実施している連絡会との合同開催として、構成施設外職員や一般市民も含めた2日間にわたる研修会を実施しています。
第5回に関しては、後ほど説明いたします合同交流会の部分で実施しております。
続いて、8ページがその研修会の模様になります。
9ページは、➄介護人材確保・定着のための合同交流会の実施ということで、こちらは内容といたしましては、介護人材確保・定着のために、プラットフォーム構成施設以外の介護事業者も交えまして研修会、交流会等を行っています。その中身につきましては、山形市長からの介護職激励会といった内容にしたり、介護の魅力プレゼン大会の実施など、学生も含めた一般市民の見学も設けながら、介護の魅力PRの機会を設けているところです。
ちょっと小さいのですけれども、下の写真は山形市長による講演です。
次の10ページの上段に、介護福祉士でモデルでもあります上条さんにお越しいただいて、介護の魅力について講演をいただいたり、あと、その下のほうですけれども、介護の魅力プレゼン大会ということで、7名ほどの方にプレゼンをしていただいており、この時は順位を競う形で、賞をつけ、実施しています。
前のA4の資料のほうに戻りまして、3番目、この連携を通じて、地域貢献や人材確保・定着に生じた効果なのですけれども、地域貢献ということについては、施設間でも認識の温度差がありますので、今、求められている社会福祉ニーズや特養としてどうかかわれるか、研修や意見交換等を通じて施設長間で共有しております。
今後、実施した内容よりも幅を広げたものにするのか、それとも昨年取り組んだ内容を深めていくのか協議していきたいと考えております。
その下、人材確保・定着についてですけれども、介護職員を中心とした合同研修や介護の魅力向上に向けた交流イベントを行いましたが、合同研修については、実務に関連する内容であり、施設単独で企画する際の準備、調整等の手間や費用負担も抑えられ効果的な開催であった一方、事前に年間計画で予定がわかれば、より多くの介護職員を参加させることができたといった意見もいただいております。
交流イベントについては、内容として複合的なもの、市長による激励会や講演会、プレゼン大会等であったため、フェスティバル的な要素としても介護という分野をポジティブに示すことで介護職員等のモチベーションアップの機会も図ることができました。
また、一部学生を含めた一般市民の方の見学もあり、より介護の魅力の発信につなげることができたと考えております。
続いて、4番目です。連携を通じて間接部分の合理化、効率化に生じた効果ということで、地域貢献というテーマを施設長間で共有できる機会を用意できたということは、施設の具体的な取り組みの進展につながるものと考えております。
介護職員の合同研修については、先程も申し上げましたが、準備段階の手間や調整、費用負担等を抑えられたことは効果的で効率的でありました。今後、法定研修といった共通項が多く含まれる研修内容であればより効果的な機会になると感じております。
交流イベントについても、市長からの激励やプレゼン大会、一般市民の参加等、規模を大きくすることで効果的な面もあるため、そのフレームを企画できたことは、介護全体としての魅力発信につながったと感じました。
5番目です。連携するに当たっての課題ですけれども、各施設間での取り組み、認識の標準化を進めるべく、より研修や事案に対して検討の機会を設けていく必要があると考えます。
各施設のコアな課題に対して、連携することで解消、軽減できるような現実的なシステムを整えて示していかないと連携のメリットが感じられなくなると考えております。
最後、6番目です。「小規模法人のネットワーク協働推進事業」の改善を含め、連携の促進に向け政策的に取り組むべき事項ということですけれども、施設間(法人間)のそれまでの関係性だけで成り立つものではなくて、動機づけとなり得る、連携することでのインセンティブや連携を続けられるような継続した助成制度があると、より発展的な仕組みにつながるのではないかと考えております。
私からは以上になります。
○田中座長 発表ありがとうございました。
続いて、社会福祉法人すいせい理事長の岸田参考人、よろしくお願いいたします。
○岸田参考人 私からは、ほっとかへんネットたるみという神戸市垂水区でやっている社会福祉法人の種別を超えた連携について発表させていただきます。
本日の発表内容としましては、活動の背景とこれまでの活動の様子、実際活動してみての効果・課題、今後の活動・展望という流れでお話しさせていただきます。
まず、ほっとかへんネットたるみの目的なのですけれども、平成27年につくられたのですが、当時、26年ぐらいから社会福祉法人は、高齢、保育、児童、障害と地域にいろいろあるのですが、なかなかつながることがなかった。ここがもうちょっとつながり合うと、新しい価値が生まれるのではないかということを提案していただいて、まずは顔を合わせて勉強をやっていこうというところがスタートになっていきます。
事業目的としては、ここに書いてあるように1、2、3なのですが、まず、1番のように地域のつながりをつくっていくことを目標にすることと、2番目には、職員のスキルを上げていくこと。3番目には、地域の互助を再生していきたいということを目標に活動してきました。
神戸市は人口152万人、垂水区は21万人で、高齢者率が28.6%です。私は地元が鳥取なので、そこから標準的に考えると少し都会かなと思う地域です。
ほっとかへんネットたるみの活動内容なのですが、役員会・実務者会・全体会という3部構成で、役員会は月に1回、高齢の代表の1法人と児童、保育の代表法人1つ、障害の代表法人1つで行います。
実務者会・全体会は、参加される方に入っていただいて、3カ月に1回行っております。ここでは、勉強会であったり活動方針を決めていくというふうに今、構成してやっております。
実際の活動でいきますと、ベルデ名谷という災害復興住宅です。神戸市の場合は震災がありましたので、その震災後、どうしても住む場所がなくて、ベルデ名谷という災害復興住宅は980戸の大きなマンションなのですけれども、こちらに好きで住まわれている方ももちろんおられるのですが、実は出たいけれどもなかなか出られない、高齢の方であったりとか、女性、シングルマザーの方であったりとか、そういった方が残られていることによって、いろいろな問題が起こっている住宅でした。
そこで、まず社会福祉法人として何かできないかということを活動のスタートとしてやっております。
あとは、そういった災害復興住宅だけではなくて、困っている方が垂水区にはたくさんおられるので、小学校区で何かできないかということで、次の候補として今、本多聞小学校区というところで新しい活動もやっております。
きょうはこの2点を発表させていただきます。
これまでの活動です。まず、27年3月に設立されて、先ほども意見がありましたけれども、やはり意識をそろえていくということはとても重要になってくるので、そもそも何のためにやっていくか。社会福祉法人とは何かということを皆さんで話し合いを行いました。
実際に、何か活動しないと連携というのはできてこないので、何をしようかということを話し合って、当時、ベルデ名谷の問題が垂水区にありましたので、ベルデ名谷で何かできないかということで、アンケートをまずとるところからスタートしています。
アンケートも500件ぐらい返答が戻ってきてかなりいろいろな質問もさせていただいたのですが、そこから問題を抽出していました。この左隅に書いてあるのが結果ですが、ニーズとしては、やはり独居の方やシングルマザーの方で頼る方がない方は、かなり漠然とした不安を抱えているなということがアンケートから出てきました。あと、人とのつながりがあればという意見も非常に多かったので、そういったものを解消できる仕組みはないかということを話し合いました。
実際にどのような流れであるか、図が10ページにあるのですが、社協が地域とのつなぎ役をやってくださって、ベルデ名谷の代表の方とかと社協さんが話をしてくださって、場をつくっていただいて、そこに社会福祉法人の役員が出向いていって、こういう者ですという自己紹介をさせていただいて、向こうからすれば怪しいというか、何かわからないと思うので、こういう目的で活動したのですということもお話しさせていただいて、まずはベルデ名谷の方も何を頼んだらいいのかわからないというところだと思うので、一番最初に言われたのが祭りです。イベントが高齢化してしまって、なかなかできなくなっているということで、この祭りをまたしたいのだけれども、その協力をしてもらえませんかということで、まずはそこから入らせていただきました。
祭りをつくる打ち合わせをしていくうちに、住民の方ともつながりができていって、ほっとかへんネットが何かも把握していただいて、そのうちに、やはり直接声を聞くことになると、居場所が欲しいというニーズがあったので、ここで赤字で書いてあるのですけれども、「ふれあいオープン喫茶+(プラス)」というものをつくろうということになりました。
これは、マンションの人が集まる場所があるのですが、そこに月に1回、高齢の方に限らずに、集まりたい方に来ていただいて、子供に喫茶店員をしていただく。社会福祉法人は、そこで月に1回のイベント、出し物であったりとかゲームであったりを提供する。食べ物や飲み物も、社会福祉法人でパンをつくったりクッキーをつくったりというところもあるので、そういうところが供給して、子供もお客さんではなくて、ホスト役というか迎える役でやっていくという仕組みをやっていきました。
実際にやっていくと、やはりどんどん人が来られるようになって、29年度からは「ふれあいオープン喫茶ミニ」といって、毎週火曜日、週1回に頻度をふやして、イベントなどはないのですけれども、その場を開くということをやっております。
実際に数がどれぐらいかのスケールなのですけれども、次のページに書いてあるのですが、昨年の年間で参加住民の方が262名来られて、スタッフはいろいろな法人、月に1回、3法人が入る。社会福祉法人の参加は当初20法人であったのが今は30法人参加していただいているので、1カ月3法人からがスタッフとして出てくる。それで、12カ月行ったりしています。
ふれあい喫茶ミニも、ここは毎週やっているので延べの人数は多いのですが、参加住民は941名、ここもどんどんふえてきています。それ以外にも、祭りなどにも引き続いてかかわっていることと、夏休みにどうしても御家族が出られて、子供が家にいるということを心配される相談もあったので、垂水社協の方と相談して、子供の勉強する場所、居場所を夏休みだけでもつくろうといったことも今、やっております。
あと、30年度からやり出したことなのですが、ベルデ名谷は一つの成果であると思ったのですが、それ以外にも何かできないかと。職員のスキルアップもできるような仕組みで、かつ地域貢献ということで、本多聞小学校区で高齢者の集まるところに社会福祉法人が出向いていって、本当に困り事などはないかという聞きに行くということをやっております。ここも最初はアンケートからスタートして、ベルデ名谷のときと同じような数字が出たというか、どこの地域でも、孤独というところが一番漠然とした不安として上がりやすいと思ったことと、つながりを求めているというところは一緒だったので、これは多分、どこでアンケートをとっても同じような数字が出るのではないかということを今、感じております。
こういった活動を通じて見えてきたものなのですが、ベルデ名谷などでいきますと、今まで同じマンションに住んでいても、つながりがなかった。今回、こういった企画ができて、つながりができたことによって、子供が独居老人の高齢者の方の部屋に遊びに来たりとか、私がよかったなと思ったのは、子供が危ないことをしているときに、今までは知り合いではないので注意できなかったものが、ちょっと知っているので注意できるようになったことをおばあさまが喜んでくれて、昔のいい空気感がそこには戻ったのかなと、そういうきっかけになれたのかなと思いました。
そういった地域連携と、あとはほっとかへんネットたるみを通じて、私たちのところは障害なのですけれども、高齢や保育の方と接することで、実際にふだん相談に来られている方の親御さんの問題、認知症の問題などは、今まではどうしていいかわからなかったので、高齢の事業所であればあそこがありますよとか、そういう紹介も、顔が見えることによって、スムーズにできるようになったということも、一つ効果かなと思います。
具体的な例として、16ページには「高齢×障害」という事例や、児童養護施設などでも18歳になったら就職しないといけないけれども、児童養護施設の方がどういった職業に向いているか適正を見きわめるのはなかなか難しいということで、我々障害の訓練しているところでいくと、本人の適正を見たりとか、どういった仕事が向いているかということのアドバイスはできるかなということで、夏休みに実習に来ていただいて、本人が得意なことを見つけて、就職のお手伝いをするということも行いました。こういったことが一つ、うちだけではなくて、いろいろな法人ででき合うということが、つながるメリットかなと思います。
あと、ほっとかへんは垂水区だけではなくて、神戸市全区と兵庫県で今、広がっていまして、いろいろな市も入っておられます。兵庫区ではごみ屋敷の問題などをほっとかへんネット兵庫として解決していったり、あとは災害です。神戸市も去年大雨が降って、土砂崩れなどがあったのですが、そのときに、このネットワークがあったので、すぐに連携して動くことができたことも一つ事例としてあります。
これからの課題としては、つながって、しかもそれを持続させ、価値を出し続けるためにはプランというものも必要かなと思いますし、意識をそろえていくということもなお必要かなと思っております。
また、社会福祉法人は地域に知ってもらってなんぼというところもあるので、足を運ぶことや、発進の仕方なども工夫が要るということで、今、内部で話をしています。
まとめとしては、法人連携をすることによって、自分たちの法人だけではできない地域貢献ができるということが一つ魅力かなと思います。社会福祉法人は規模もいろいろな法人があるのですが、連携をすることによって、小規模法人でも地域貢献に参加できるということであったり、災害のときなども、自分の法人だけで何とかしようと思ってもなかなか難しいので、こういったつながりがあることによって、規模の大きな地域貢献が可能になるかなと思います。
2番目は、種別が違ってもつながることによって、今、目の前におられる方に対してのサービスの広がりができるということと、職員にもそういった意識ができていくなということを見ていて思います。
これが自分の社員のためにもなるでしょうし、今後、リクルーティング、人材不足の中で福祉に、人が来ていただく中でも、こういった魅力が若い人を集めてくるのではないかと思うので、そういう結果も出てくればと思っています。
20ページに図があるのですが、障害、保育、児童、介護といろいろあるのですが、まずは知識を深めることによって、各事業で幅が広がっていく。そうすることによって、この地域の中でつながり方もわかってくることによって、どうしてもすき間で落ちてしまったものが減らせる確率は高くなるのではないかということを仮説として思っていますし、今、活動を3年間やってきて、少しずつですが穴は埋まってきたと思っています。
これからSDGsなどと国連でも言われていると思うのですけれども、そういった誰ひとり取り残さない社会にしていくというところに、我々社会福祉法人が貢献できることがあるのではないかということを感じています。
以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田中座長 ありがとうございました。
3番目の発表は、社会福祉法人和幸園理事長の今村参考人です。どうぞお願いいたします。
○今村参考人 社会福祉法人和幸園の今村と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、社会福祉法人同士の合併を行った背景、経緯、行ってみた結果、さらに合併をした後、それで得たことで、地域がどのように変わってきているのかという点についてお話しさせていただきたいと思います。
資料をおめくりください。2ページから3ページに、私ども社会福祉法人和幸園の法人沿革を書かせていただいております。昭和38年に、その年に制度化された軽費老人ホームを青森市の東の外れの温泉場であります浅虫温泉につくったことから法人が始まっております。
その後、昭和42年に県庁から直線距離で100メートル程度のところに、乳児専門のいわゆる未満児保育所、当時ゼロ歳児保育が一般的でなかった時代、まだウーマン・リブという言葉さえなかった時代に、そのときにも青森市の町なか、商店街や官庁街では、赤ちゃんを抱えて働かなければならないという女性の方がたくさんいらっしゃいまして、その要望に応えるために保育園をつくりました。
その後、この沿革にあるように、特別養護老人ホーム等を浅虫につくっていったという経緯がございます。
当時はまだ道路も余り整備されておりませんでしたし、今のようなインターネットの環境などもなかったので、実は青森市の真ん中と青森市の東半分の一番外れの浅虫にある施設が同じ法人で活動する、また高齢事業と保育事業という違った種別で活動していくことが非常に不都合でした。
おのおのが、それぞれの専門性を求められていたので、そこで昭和56年に、新法人、青森和幸会を設立しまして、保育事業をそちらに無償譲渡という形で法人を分割した経緯がございます。
この2つの法人が35年の時を経て、平成28年7月に吸収合併の形でまた和幸園になったということでございます。
もともと一つの法人だったので、合併して別にそう大したことはないと思われる方も多いかと思いますが、35年間、全く違う種別で、違うエリアで活動してきましたので、基本、35年後には、本当に同じ法人だったということを直接実務で知っている者は、両方の法人に一人もおりませんでした。そういう経緯を経ての合併でございました。
合併の経緯でございます。4ページをごらんください。平成25年12月、当時の和幸園理事長の西岡から私に連絡が来まして、法人合併を考えているのだけれどもどうかという働きかけがございました。実は和幸園理事長の西岡は私のおばに当たります。ただ、年齢は12歳差です。私の母親が長女でございまして、西岡が7番目の子供ということで、私と西岡はもうほとんどきょうだいのような形で育ってきた経緯がございます。
私も実は、昭和63年に和幸園の特別養護老人ホームに勤めて、福祉の道に入っております。したがって、西岡も私には比較的、話がしやすかった。それで、そういう話が来て、実はいろいろな経緯を経て、両方の法人で合併検討委員会を開くに至ったのが平成27年3月でございます。
そして、合併の契約が締結できたのが、実は最初に話があってから2年後、平成27年12月、ここまでで2年間の月日を要してございます。
さらに、そこから行政との話し合い、そして合併の手続等を行って、合併が終わったのが平成28年7月、最初から2年半の月日がかかってしまいました。
実は、私はここに社会福祉法人の合併ということの大きな問題があると思っております。それは、合併の事例が少ないこと。さらに、平成18年から合併の手引はつくられて、それをベースにずっと使われてきたわけですが、最初に私は吸収合併という話をさせていただきましたけれども、手引には吸収合併と新規設立合併の2つしかございません。2つを解散して1つにするか、1つが1つにのまれるかということでございます。
その中の吸収合併のほうが、手続上簡単なので、私どもは吸収合併を選びましたが、吸収合併の欠点として、手引の中に成績優秀な法人が成績不良な法人を吸収すると、文章で書いてございます。したがって、何が起きたかと申しますと、合併すると決めたあたりから、吸収される和幸会の周りがざわざわし始めまして、倒産するのではないかという、プチ取り付け騒ぎでございます。
さらに、契約を結んで催告書等を発送し、官報に載せた段階で、倒産するのでしょうという電話が殺到しました。当然といえば当然でございます。
ただ、後に出てきますが、両方とも成績良好であるからあえて吸収合併をした。また、きょうだい法人であるから、見栄を張らずに、手続上、一番簡便である吸収合併を選んだというだけの話なのですが、平成18年当時はそれでよかったのだと思うのですけれども、現在の社会情勢に手引自体が合っていないという問題もありました。
さらに、7月1日の合併を目指して法務局ともお話し合いをさせていただいたのですが、実質上、合併日が7月5日になってしまいました。これは、法務局の手続が終わった日が合併日となるということによるものだそうで、会社法の合併では特例があって、合併日を先に決めることができるのだそうです。しかし、社会福祉法の中には特例はないねと言われて、5日になった。別に1日だろうか5日だろうが、体制に影響はございませんが、そのような問題も発生してございます。
さらには、金融機関でございます。会社同士の合併においては、両方の口座、名義、小切手をそのまま生かしたまま、数カ月の時間を要して一つにまとめることができるのだそうですが、まず金融機関と話し合いをしたときに、そういうことは認められないと。社会福祉法人でそういう例がないというお話をいただいて、実は税理士さんのアドバイスをいただいて、それならば、和幸会の口座を全て今、解約すると言ったらできますという話になりました。冗談のような話でございますが、それだけ実例がないことに対して、周りが戦々恐々としていたということでございます。
この2年半、もう一つ大きな問題になったのは、それぞれ経営が良好な法人でしたので、今、動いている時代の中で、和幸園も和幸会もそれぞれ事業の拡張をしながら、合併の手続をしてまいりました。そこで問題になったのが、両方の理事会に、それぞれの法人のこれからの計画、財産の推移を毎回報告する必要が出てまいりました。
和幸園では、ちょうどサ高住の建設を行おうとしておりましたし、青森和幸会では、ゼロ歳児だけの分園を町なかにつくろうという動きをしておりました。それぞれ先駆的な、地方に必要な事業をしていたのですが、それが逆に、2つの法人の理事会で同時に決議してもらわなければ前に進めないという時間も要して、2年半を費やしてしまったということでございます。
平成28年以降、青森県青森市では、私が知る限り、続けて3つの法人合併が行われています。一つが動き出すと、地域の中で、合併の必要性を感じているところがたくさんあって、そういう動きが出てきたと思っております。
資料の8ページをごらんください。合併に踏み切った経緯を少し書かせていただいております。実は、青森県は、全国でも有数な人口減少、高齢化の先進地域でございます。ベスト5に入っているエリアでございまして、正直に申しまして、介護保険等で法人が大きくなってきた社会福祉法人に関しては、生き残りをかけて、基礎自治体をまたぐ法人に、場合によっては県をまたぐ法人になることで、10年後、20年後の延命を図っています。
ただ、和幸園と青森和幸会は、たまたま理事長が、それも一つの方策ではあるものの、一つの自治体の中に、地域に寄り添うということで、その延命策を考えたいということで、生後43日から天寿を全うするまで、それぞれ地域に寄り添っていく法人を目指すということで、種別が違う2つの法人、エリアが違う2つの法人が合併するという道を選んだわけです。
その後に移らせていただきます。合併の要因6つに、それぞれその後を書かせていただいておりますが、時間もありますので、まとめてお話をさせていただきます。
青森というエリアの中で、これからどんどん人口が減っていく中で、地域で生まれ、そして育ち、勤め、天寿を全うする。それら全てに寄り添うためには、生後43日からお預かりし、子育て支援、親育ちの応援をさせていただき、合併したことで、300人を超える職員を抱えることで働く場としての位置づけもし、そして、その地域で天寿を全うしたいという方がいれば、そこまでお世話するという法人を目指して、合併をさせていただきました。
さらに、大きな法人になりましたので、おのおのの弱点を補い合うこともできるようになりました。例えば、高齢の法人では、マイクロバスを2台くらい持っておりますので、町なかの保育所で、自然環境に恵まれていないので、子供たちをバスに乗せて、高齢施設に出向き、裏で植えていたイモを、ほかの法人とも連携して、年2回、イモ掘りをするとか、せっかく出向いたのだから、そこで異年齢交流を行うとか、今までお互いができなかったことを、一緒に補い合い、その中に、町なかで同じような思いをしている保育施設を巻き込んでいくという連携も始めております。
このようなことがあって、青森県の中でいろいろな動きが生まれてまいりました。それは、第1回目の検討会の資料の中でもありましたように、青森県は社会福祉法人の数が522ございます。その半分くらいが小規模の保育だけの法人です。そこには、必ず保育士さんや看護師さんや栄養士さんがいます。今、人口減少の中で、40市町村ある青森県内では、ぼちぼち経営ができなくなる子育て施設が出てきています。その地域に子供が住んでいない。そうすると、そのエリアで子育て施設は経営できなくなります。
青森は、東南アジアからの外国人労働者に早くから取り組んできましたが、実は、結果が余りよろしくございません。なぜならば、寒くて住めないというのが東南アジアの方のお答えです。
その中で、人口がどんどん減少する地域で、どうやってこの地域を守るのかといったときに、私どもは保育だろうと思っています。そこに、人が住んでいないと今、言われている地域も含めまして、津々浦々に保育所があり、そこに根を張り、人材がいる。その人材を種別を超えて共有化できないのかということを、実はいろいろな団体と組んで今、起こしているのが16ページ目の取り組みでございます。
保育所サービス提供体制構築支援事業なるものを、青森県経営協に業務委託されて、ことしが2年目でございます。そのようなことを繰り返しながら、たくさんの社会福祉法人がある。そして、人口減少、高齢化の先進地域である。その青森で、福祉法人の合併というものを通して、新たな人材共有と、町を守る、ふるさとを守る新たな仕組みに今、取り組み始めているということを報告させていただきます。
以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
初めての合併に当たって、周りの法人や銀行等がわかっていないがゆえの御苦労、大変参考になりました。ありがとうございます。
お待たせしました。最後に川原経営総合センター代表取締役の川原参考人、よろしくお願いいたします。
○川原参考人 私からは、社会福祉法人における連携・統合についてというテーマでお話をさせていただきたいと思います。
資料の2ページ目をごらんいただきたいと思います。平成25年8月に出されました社会保障国民会議報告書を要約したものでございます。
赤字のところを見ていただきたいのですけれども、法人同士、病院同士の関係につきましては、協調・連携がより重要で、今までは部分最適だったのが、今後は地域レベルでの全体最適が求められる。あと、医療法人、社会福祉法人のあり方につきましては、非営利性等を堅持の上、医療法人等が容易に再編・統合できるような形になっていかなければならないという形での報告書がございました。
その下に、医療法人制度における近年の改正というところで、私が思うに、大きな改正がございました。
一部の医療法人の要件なのですけれども、社会保険診療等に係る収入金額が全収入金額の100分の80を超えないとならないという80%基準がございます。従来は、この80%基準の中には、医療系介護、例えば訪問看護といったものは入っていたのですが、介護系の介護、グループホームや訪問介護というものは入っておりませんでした。ですので、私どものクライアントの特定医療法人が要件を満たせなくなり返上するケースもあったのですが、これが改正によりまして、介護系の介護につきましても80%の中に含めていいという形になりました。これというのは、医療と介護は財源が違うというところで大きな隔たりがあったものを、さらにもう一歩進めて連携ができるようにという意味で、税制もそれを後押ししたということで、大きな意味合いがあったのではないかと思っております。
続きまして、3ページ目は、平成26年7月に社会福祉法人の在り方等に関する検討会の報告書が出されたというところでございます。
4ページ目の右下の赤い囲みでございますが、その当時の在り方検討会で指摘されました法人外への資金拠出の規制緩和や社団的な連携というあたりが現在、本当に十分なのかどうかということが問われているのではないかと思われます。
5ページ目は、今後、人口減少が進む中で、法人間の連携や統合を、どのようにやられていくのかというところで、目的は飛ばしまして、その下の法人同士の連携の種類と地域医療連携推進法人というところでお話をさせていただきたいと思います。
関与度合いが一番強いのが合併でございます。続きまして、事業買収で法人内に取り込む。あとは経営陣交代、一番下が連携で、その間にあるのが地域医療連携推進法人という形ではないかと思っております。連携以上、統合未満という形のものではないかと思っております。
その右横の社会福祉法人の連携で、今、1法人1施設や、事業承継の問題もかなり大きな問題となっているのではないかと思います。
そういう意味で、現在進められている小規模ネットワークの拡充などはすばらしい取り組みではないかと思っております。
その一方、社会福祉法人におきましても、地域医療連携推進法人のような仕組みを選択肢として設けるのは一つの方策ではないかと考えております。
6ページ目につきましては、地域医療連携推進法人の概要でございますので、後ほどごらんいただければと思います。
7ページ目は、連携推進法人のメリット・デメリットをまとめてまいりました。
まず、メリットにつきましては、ヒト・モノ・カネの3つで考えてみました。
ヒト、人材につきましては、まずは後継者問題への対応、これはまた後ほどお話ししたいと思います。あとはキャリアパスの構築、これも後ほどお話ししたいと思います。研修・マニュアル等の共有といったことも図れるといったメリットがあるのではないかと思っております。また、連携推進法人などで、ある程度、人員の余力を確保することによって、どこかの施設が急に人手が足りなくなって、スタッフが必要だというときに、ヘルプで入ることができるのではないかとも思っております。
続きまして、モノ、資源というところで、これが実際にどのような形でできるかはまた議論が必要だとは思うのですけれども、事業の分担と集約といったものができるのか、できないのか。次に、紹介・逆紹介、これの中にはある意味、情報共有といったものも入ってくるのではないかと思っております。また、共同購入や共同利用といったものもうまく行うことができればメリットになるのではないかと思っております。
例えばですけれども、給食というところも、恐らく採算も含めて大きな問題ではないかと思いますし、今、介護人材確保のところで、外国人の労働者確保につきましても、相手国に行ってマッチングというケースのときに、どうしても小さな法人だと、なかなか相手国に行ってというあたりが難しい部分もあろうかと思いますので、そういった部分。あとは、新たなICTの活用で、見守りセンサーといった部分も、うまく連携の中で、少しずつ出し合って、うまくできないのかなとも思っております。
その次のカネ、資金の部分でございます。財務の安定が図られる部分もあるのではないかと思っております。これはどこまで資金移動するのかというところもありますし、債務保証、恐らく各法人の理事長が債務保証をまだやられているところが多いかと思うのですが、そういうところも、ある意味、理事長が個人で負うのではなくて、連携推進法人なりが債務保証を負うことによって、個人の負担を軽減できないのかというところも一つ方策としてはあるのではないかと思っております。
その次の投資による拡大なのですけれども、今、地域における公益的な取り組みが求められていて、そのためには多様なニーズをどのように吸収して、それに対応していくかという話があろうかと思いますが、それに取り組むときには資金というものが必要であり、そのような資金を1法人の持ち出しでという部分ではなくて、ある程度、連携推進法人という枠の中でうまく資金調達をして、それで多様なニーズをやるときには、うまくいくとも限らないというところで、そこら辺をうまく全体で担保できないかというところもあるのではないかと思っております。
そして、3番目、報酬改定等政策リスクへの対応。介護報酬という部分は、こちらを上げればこちらが下がってというトレードオフの関係の部分はどうしてもあろうかと思います。そういった部分や、あとはこちらに重点を置こうという政策意図である事業に特化しようというときにも、こういった部分はある程度、全体の中でバランスよく事業展開できていれば、ここら辺の政策リスクというのもある程度、解消できるのではないかとも思っています。
ただ、メリットだけではなくデメリットもあろうかと思います。どうしてもいろいろな法人の中で意思決定しなければならないとなりますと、経営判断がおくれるというケースも想定されますし、各地域や施設ごとによりよい取り組みをやっていった場合、もしかすると、そのよい取り組みというのが、どうしても全体の中では薄まってしまって、本来、そのよい取り組みをさらにブラッシュアップしていかなければならないというところであっても、なかなかブラッシュアップできずに、全体で示された計画のもとやりなさいということで、トーンダウンしてしまうというリスクもないとはいえないのかなと思っております。こういったデメリットも一方ではあろうかと思っております。
8ページ目をごらんいただきたいと思います。地域医療連携推進法人の論点と、それが社会福祉法人にどのような示唆があるかというところでございます。
上のほうの地域医療連携推進法人の論点としましては、人材活用もありますし、地域医療連携推進法人の中で病床融通ができるという形になっております。その中で1点、大きいポイントかと思うのは、病床融通した側におきましては減収となるというところがありますので、それをどのように資金的に保障するのかというところも、ベッドを減らした側からしたら、そのような思いも出てくるのではないかとも思っております。
その下の資金のところなのですけれども、活動資金の不足というところもございます。先般、産官協議会の「次世代ヘルスケア」の議論における論点整理の中で、地域医療連携推進法人の事業比率要件や外部監査要件に関して、発足当初、一定期間においては緩和できないかというペーパーも出されております。
このようなものに基づきまして、社会福祉法人が連携するに当たっての論点はどのようなものがあるかというところで考えてみました。
ここは機能転換と書いてありますが、事業のほうがわかりやすいかもしれません。事業転換等を伴う連携が困難な場合も考えられるかなと思います。先ほど言いましたように、事業を転換、例えばですが、自分のところはこの事業についてはこちらの法人でやってくださいというふうになったときの減収の手当てをどのように行うのか。また、例えばそれが、もし建物といったものが絡んでいた場合には、その建物についての借り入れをどのように賄うのか。残債があって、その残債についての債務保証も当然ついているでしょうし、そういう部分をどのように解消するのかというところもあろうかと思います。
あとは、事業転換によって、例えば補助金をもらっていた場合に、また目的外の別の用途に使用します、となることもあろうかと思います。そのときの補助金の返還といったあたりもうまくクリアされていかなければならないだろうと思っております。
資金移動のところも論点であろうかと思っております。そのときには、老発第188号通知というものがございまして、これはあくまでも社会福祉法人内の話でございます。介護事業への資金繰り入れにつきましては、当期末支払資金残高に残高が残るようにとなっています。そして、他の社会福祉事業等への資金移動につきましては、事業活動資金収支差額かつ当期資金収支差額合計が資金不足にならない範囲という制限がありますが、昔の措置の時代では、こういった施設間の資金移動もできなかったが、老発188号通知というものによって、法人内では資金移動できるようになったというところでございます。
再投下対象資産(社会福祉充実財産)の使途で、これは法人外もできるようになったというところですので、この連携法人をどのように位置づけるかというのも一つ論点にはなろうかと思っております。
そして、活動資金の確保も、やはり何か事業やいろいろ活動を行うときには、どうしても資金が必要ですので、どのようにその資金を賄い支出を抑えるのかというところも論点になろうかと思います。
続きまして、9ページ目をごらんいただきたいと思います。特に9ページ目では、人材にターゲットを絞って活用方法を考えてみました。
まず一つは、役職員の人事交流や成功体験の共有です。事業承継の問題や施設長が急にやめなければならないという話もよく耳にいたします。そのようなときに、1法人1施設だと、次に誰が後を担うかというあたりは難しいかと思うのですけれども、ある程度、社会福祉法人の中で連携推進法人をつくって、その中で出向を含めての異動みたいなことができるようになれば、事業承継という問題にも対応できるでしょうし、急に施設長や経営幹部が不在になったというときにも対応できるのではなかろうかと思っております。
その下のキャリアパスの構築にも役立つのではないかと思っております。
やはり、どのように介護人材の離職を防ぐかというのも大きな部分かと思います。離職を防ぐためには、例えばですが、内部の人間関係等があったりして、今の法人からやめたいですということになったときでも、連携内の別の法人でどうだという引受先、人の異動先を示すことができれば、それによって、グループの中ではスタッフが残ってくれるということになろうかと思います。これを、一つの法人でやろうとするとなかなか難しくて、別法人でどうかというと、隣の法人とは人材を奪い合う関係でもありというところですので、こういった顔が見える関係、腹の中まで見えるような関係である連携推進法人のようなところがそういったものを示せれば、またそういうところでキャリアパスを構築できたりというところですとか、研修・マニュアルという話は先ほどいたしましたこともできると思います。
幹部育成のためにも、かなりこれは使えるのではないかとも思っております。1法人1施設で人が育ってきた場合には、その人をどうやって処遇していくのかと。ある程度、一定のレベルまで行ったときに、どうしましょう、やめるしかないですかという話になると、それはその法人にとっても問題かと思います。そういったときに、また別の法人で新たな施設をつくるので、そちらのほうの施設長なり何なりでというところで、幹部候補生の処遇先という意味でも、やり方によっては連携法人をうまく活用できるのではないかと思っております。それによって、地域における人材の定着を図れるのではないかと思っております。
私からは以上でございます。
○田中座長 連携推進法人について、いろいろとありがとうございました。
以上でプレゼンテーションは終了いたします。
ここからは、各参考人の御説明に対して、構成員の皆様方からの御質問や御意見を受けつけます。
どなたからでもどうぞ。
お願いします。
○宮田構成員 岸田参考人にお伺いします。
協働で成果を上げているというお話でした。
ただ、以前に岸田参考人の法人の独自の取り組みとして、公益的取り組みをしているところで、行政からいろいろとストップがかかるような事例があったということをお伺いしたことがあるのですが、その辺のことを少し詳しくお伺いできたらと思います。
○岸田参考人 行政からストップがと言うと角が立つのであれなのですけれども、うちの法人は平成10年にできて、もともと理事長が一般企業の方が退職されて理事長になったところで、私はそこのスタートアップで入社させていただいて、ベンチャー企業のような感覚で福祉をやろうということで法人をやっていて、法人の文化として、いろいろなことをどんどんやっていくということをしているのですが、その中で、例えば今は大学生の方は障害のある学生も多く、でも特に制度がこれとあるわけではなく、そこに誰も手を差し伸べないと、結局大学を卒業して引きこもって、10年、20年たって精神病になってうちの法人に来るみたいな流れがあったので、学生中に支援する方法はないかということを取り組んで、平成23年からやっているのです。それが評価されて、大学から一緒にやろうなどと言われるのですが、そういった事例が日本でもないようなことが起こると、社会福祉法人の定款がかなりきっちりとあるので、それ以外のことをするとどうなのかと。
それ以外でも、うちはLGBTといった方の就労支援などで困られている相談も多いので、そういうこともやりたいなとか、実際にやっていっているのです。
生活困窮もやっているのですが、生活困窮は制度があるのでまだ通りやすいのですけれども、LGBTとか大学生となると、想定外になってしまって、定款というか、そもそも社会福祉法人ができるのかどうかというところから問われるというか、私たちとしては、社会福祉法人は地域貢献と言われているので、自主的にやりますと言っているのですけれども、そのルールにはまらないと、どうかなと言われてしまうことなんかを聞くと、社会福祉法人としてやれと言われているのにどうなのだろうかという思いにはなることは幾つかあります。
○宮田構成員 ありがとうございました。
○田中座長 重要な問題提起をありがとうございます。
千葉構成員、お願いします。
○千葉構成員 実際の連携とか取り組みをされている峯田さん、手塚さん、それから岸田さんのところのお話で共通するところがあるかなと思ってお聞きしたいのですが、まず、いずれも連携して、複数の法人が力を合わせてやっていらっしゃるという事例であると拝察しました。
その中で、多分、マインドの高い、頑張ろうねという前向きな方が参加されているのではないかと拝察するのですが、全部ではないかどうか。または、それに参加する人、しない人というときに、何が違うのかということと、参加しないと思っていた人が、参加に切りかわったときのきっかけみたいなもので共通するようなことがあるのか。
要は、連携することのメリットをどうも感じないまま過ぎてしまう法人がいるのではないかと思う中で、そういうことを実践された中で感じるものがあるかというところを一つ聞きたいと思います。
あと一つ、二つあるのですが、幾つか言うとわからなくなってしまうので、まずはここをお願いします。
○峯田参考人 山形のほうでありますけれども、実は先ほど私は挨拶の中で、済生会というお話を申し上げました。済生会というのは、炭谷理事長がトップになって、今、全国の社会福祉法人の中で一番大きいのだというお話を申し上げています。
これは実はすごく重要なことで、我々の法人というのは、特養を全国で52持っておりまして、老健も三十幾つ持っています。訪問看護も五十幾つある。でも、一番大きな母体は実は病院であります。こういう場で言っていいかどうかわかりませんが、無料低額診療を含めたこの法人が、無低問題でいろいろありまして、炭谷理事長が就任してから考え方を変えろということで、我々は社会福祉法人なのだということです。
ですから、いろいろなことのバックが医療でありますので、お医者さんもたくさんいるわけです。そういう中で、信頼が非常に大きい。そんなこともありまして、私どもの法人のほうが中心になってやることによって、実は外国人の労働についても、今、私どもの施設で6人ほど採っております。あと、12月に2人ほど来ます。来年も4人採ります。それで、うちの支部長も、ぜひほかの法人を含めて、育成して、そういうのを周りにやるようなということもやっております。
そういう意味では、済生会という法人を何とか活用すれば、医療法人でなくても、社会福祉法人の中でバックが病院でもありますので、そういう点で、厚生労働省のほうで、もうちょっと済生会にてこ入れをしていただけるとすごく有効的かなと思っております。
そういうことがありまして、要するに、メリットは何があるかというと、私も皆さんから言われるのです。とにかく介護人材がほとんどいないのだと。そんなことで、何とか人材を育成したいのだけれども、いないから大きな法人で、もし済生会で我々のことをやっていただいたら、少しお金をつぎ込むから、登録支援機関なんかもぜひ済生会でつくってくれと。私は今、老施協の会長もしております。私も老施協の会長として、登録支援機関をつくって、外国人について直接、特定技能もやれるのではないかと思っております。そういうノウハウも我々のほうで構築しておりますので、そういうことを提供できることによって、いいよね、研修もできるよねということがあるから、大きな法人で理念がはっきりしているところ、財力があるところがまず引っ張っていけるようなことだと、皆さんもついてきて、メリットもあるとすると、いいのかなということを思っているところであります。
あと、私はいろいろなことがあって、絡んでいるケースがありまして、参考になるかどうかはあれなのですけれども、実はある老人ホームが、非常に経営が厳しくて、私に相談がありました。理事長と理事、評議員が全員交代するという事例にも遭遇しております。ただ、理事長は決まっているのですけれども、唯一決まっていないのが施設長なのです。なぜ施設長が決まらないかというと、先ほど川原先生に言っていただきましたように、もしこの連携法人ができれば、勉強のために、幹部候補生として施設長になることができるのです。しかし、今のことだと、やめていかなくてはならない。これはすごくリスクがあって、私は40人に電話をかけました。施設長にならないかと。峯田さん、わかるのだけれども、なれないよと。これは残念だなと。せっかく勉強できるのに、もし連携法人ということが実現できたら、チャンスも生まれるのです。
その中で、いろいろなお話をしたら、法人がトラブっているケースがあるのです。幹部候補生同士が戦っているとか、理事長と合わないとか、性格が悪いとか、そんなことばかりなのです。もしこういうことができたら、生きがいもできるし、勉強もキャリアパスもできるし、今の先生の話を聞いて、これがあったら、私はすぐに実現できるなということを思っております。
余談になりましたけれども、そういうことで、ぜひ済生会にもう少しいいアドバイスをしていただけるように、厚生労働省は炭谷理事長にもっと強くアピールしていただけると、必ず私に話が来ますので、ぜひそんな形でできるといいなと思います。
ちょっと余計なことを言いました。よろしくお願いします。
以上でございます。
○千葉構成員 ありがとうございます。
○田中座長 岸田さんもどうぞ。
○岸田参考人 私の法人は規模の小さな法人で、引っ張っていく力とかはないのですけれども、ただ、参加する方が参加する法人とそうでない法人、最初は20法人でスタートしたのですが、意欲的にやっているのは本当に役員ぐらいで、4~5法人ぐらいだったと思います。半信半疑ですよね。何が起こるかわからなくて、何か言われたから一応、関係性上参加するというところからスタートしたのですが、だからこそ何か一つ活動をやらないと、この連携は深まらないなということで、ベルデ名谷というものを一つやることによって、皆さん変化してきたのは、自分たちのアクションが効果が出るかどうかということです。かかわった住民の変化がやはりモチベーションにはなったのかなと思います。なので、多分それがうまくいっているので、20法人でスタートしたのが今は30法人にふえていって、残念ながら1法人、ことし抜けてしまったのですが、ふえていっているので、福祉の人は喜んでもらうというのを本能的に求めている方が多いので、そういった実例をつくれるかどうかが一番ポイントなのではないか。
ちなみに今、ベルデ名谷と本多聞の何でも相談という2つをやっているのですが、何でも相談はかかわれる法人に限りがあるので、そちらはモチベーションが余り上がってないなとは思うので、より多くかかわれるような活動をするというのが一つ鍵なのかなと思っています。
○千葉構成員 ありがとうございました。
あと、幾つかあるのですが、また両参考人の話を聞きたいのですけれども、そういう連携の事業をするときに、実際、各法人がどれくらい持ち出しというか負担というか、ヒト・モノ・カネとなると思うのですけれども、何かあるのでしょうか。それともないのでしょうか。その辺を教えてください。
○峯田参考人 山形市内の施設長の中では、特に予算などはありませんし、持ち出しのお金もありませんので、理念を共有しながら勉強して、レベルを高めていこうという集まりですので、今のところ年間5万円出すとか、10万円出すとかは全くありません。ただ、勉強会でやっていこうということです。
ただ、私は老施協の会長もしておりますけれども、災害時応援協定というのを今、六十幾つほど、村山地区の応援協定をやっておりますので、そんな形では、一応7,000円ぐらいは持ち出して、継続できるようにしようということをやっておりますけれども、来年に向けて、老施協のほうから助成金を出そうかなどとも思っております。
地域福祉をするには、災害から入るのが一番いいなと私は常日ごろ思っておりますので、これさえやっておけば、何かあったとき、水害や地震があったときに、いつでも連携して助けられるということで、済生会も今、動きなどもしておりますけれども、そういうことで、もし可能であれば、災害の連携を通して、地域福祉をやっていくのだというところで、そこだけは訓練などをするのに少しお金が必要ですので、5,000~6,000円ぐらい集めて、やっておるような程度でございます。
○岸田参考人 ほっとかへんネットでは、今、年間の会費で5,000円くらいいただいています。それは事務局など、実費のほうで使う費用となっています。
あと、持ち出しというと人件費のところが一番大きくなるのかなと思うのですが、それを最小限にしながらちゃんと価値を出していくということが目的ではあったのですけれども、昨年度は社会福祉法人から延べで650の参加がありました。ですので、研修会とかも全部含めてになるので、30法人あるので、集まれば1法人でいうと年間20人出ていることにはなります。ただ、規模によって少ないところは10ぐらいかもしれないですし、大きなところは2人などと出ていただいているので、ばらつきはあるかもしれないのですけれども、それぐらいの人件費で活動をしています。
○千葉構成員 ありがとうございます。
そういうのが進める上でのハードルになっているのではないかという気持ちで聞いたので、どうもありがとうございました。
○田中座長 塚本構成員、お願いします。
○塚本構成員 大変貴重な事例をありがとうございました。
私は今村さんに少しお伺いしたいのですが、実は保育というのは、なかなか合併、連携ということが進まないという課題があるわけです。
そうした中で、将来的には人口減少、少子化ということの中では、必ずその必要性というのは高くなってくると思うのです。
きょう教えていただいた青森県の経営協の取り組みの中で、保育サービス提供体制構築支援事業について、もう少し効果と課題みたいなことで感じていることがおありでしたら教えていただきたいと思います。
○今村参考人 実は青森県経営協は10年くらい前から「子育てするなら青森県」という標語を掲げて臨んでおりました。これは、全国の中でも、人口比に対しての保育所の数が非常に多いこと、それから、幼稚園よりも保育の実績が高い県であったこと。それらをベースにして、そういう話をしたのですが、その当時、県行政からは、絵に描いた餅は食えないと言われました。標語だけではだめだという意味です。
ところが、5年くらい前から、県行政のほうから、経営協としてグループ経営というものを我々と一緒に研究しないかと言われました。何を意味しているのだろうということを、我々も考えましたが、やはりバックにあるのは、人口減少と社会福祉法人の数の多さだということです。その半分くらいが1法人1保育所という中で、恐らく中学校区に1つくらい保育園がある中で、いずれそのエリアに子供が住んでいないというところがたくさん出てくるということは、社会福祉法人として、保育の施設としては成り立たなくなるということがあったのだと思います。
ただ、それは裏返すと青森県の資産でもありまして、津々浦々に社会福祉法人があり、本当にこんな山の中にというところでも、子育て施設がある。これは本当にかけがえのない資産なのだろうということで、県からお話をいただいたときに、潰すためではなくて、潰してしまうと、その町は10年、15年後は必ず消滅する。子育てする人が住めない町になるということを前提に、今、閉めても、必要な人が一人でも二人でも来たら、ぴんと旗が立って、そこで保育ができる。そんな連携ができないのかということから、私どもは去年から、この委託事業というものに積極的に取り組もうと。
ただ、県経営協自体は県の社会福祉協議会の協議団体という位置づけもありまして、法人格を持っておりません。その中で、どうしたら常設のマッチングや相談機関をおけるのか。それから、今、塚本構成員からのお話の裏には、恐らく保育という小さい、どちらかというと家内制手工業のような意識で根を張ってという歴史の中で、自分の施設という意識が強い。なので、横のつながりが非常に弱い。秘密主義であるとか、いわゆる商店主のような動きがあるという中で、これをどう解消していくかというところに実は焦点を置いて今、活動しています。
そのために、去年は青森県の中核の3市でセミナーを開いて、いろいろな勉強もお互いにしながら、保育園や認定こども園だけではなくて、全部の教育・保育施設にアンケートをして、このグループ経営に興味がある人はいませんかというものもやりましたら、回収率は余り高くありませんでしたが、十数件の施設から興味があるという返答もいただきました。
もちろん、600以上ある中の十数件なので、多い少ないという話ではないのですが、そこから始まることで、少しずつ縄張り意識が剥げてくるのではないか。それから、人口減少の中では、私有意識というのはなくなってくると私は思っています。
失礼な言い方かもしれませんが、おいしいところがあるから、私のものという意識になると思います。子供がいなくて、持ち出しだけで、利益がなければ、私という意識はだんだん薄くなるのではないか。ただ、そこで活動してきた実績と信頼は確かにあるので、そのネットワークを上手につないでいくことで、先ほどから話が出ているような一つの固まりをつくっていけるという可能性を今、感じて、この業務委託の2年目に取り組み始めるところでございます。
○塚本構成員 ありがとうございます。
○田中座長 議題2もありますので、こちらについてはもう一問ぐらい。
藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 貴重なお話をありがとうございました。
本会で検討が必要な事項の方向性が地域共生社会の実現等に向けた取り組みを進めるための経営の協働化・大規模化ということでございます。さはさりながら、どうしても社会福祉法人の経営そのものがどうなるかという部分の守りというか、そういう協働も出てくるかと思うのです。
お二方にお聞きしたいのですけれども、峯田参考人のほうに、人材の確保に関して、老施協で取り組んでおられることなのですが、人材の確保ということになりますと、これは恐らく社会福祉法人だけでなく、ほかの法人も大変困っておられるということになるので、協働していただいたものは、ほかの株式会社やNPOにも役立てようという話になるのではないか。そういうことをどのように考えるかということをお聞かせ願いたい。
それから、岸田参考人のほうにも、おっしゃった話は、例えば地域であればNPOとか一般社団とか、非常に積極的に参加したいというところもあると思うのです。そして、峯田参考人のほうで京都のリガーレを訪問されたということなのですけれども、あのあたりは地域密着協をまず社会福祉法人でつくって、その後で質を高めるときに株式会社やNPO、医療法人に入ってもらうというやり方をしていると思うのですが、そういう面での、社会福祉法人だけでない協働みたいなものの方向性はどのようにお考えか、お聞かせください。
○手塚参考人 京都へは私が行きましたので、かわりにお話しさせていただきます。
きたおおじさんはすごく先進的な取り組みで、お話を伺うと合併ぐらいのような感覚で連携されているなとは思っているのですけれども、今、御質問いただいたNPO、株式会社は、介護事業者としては同様になりますので、今回、我々のほうで取り組んだところとしては、特養以外の部分でも、介護職員などということで、研修等を御案内させていただいているところもあります。
やはり、地域貢献の部分から申しますと、例えば防災の部分に関しては、社会福祉法人だからではなくて、それ以外の介護事業者の部分の支援も必要になると思います。実際、地域の高齢化が進むと当然、要援護者となる多くの高齢者が住むわけで、障がい者の方もいるわけですが、日中帯、若い方、元気な方は仕事に行って、地域にはいません。そうなったときに、そこの支援は社会福祉法人の施設だけでは賄えないわけです。そこに株式会社やNPO法人の介護事業者の方々が、地域とつながるというところも含めながら支援していくというところも重要でありますし、介護人材不足というのは、社会福祉法人だけではないわけです。こういった部分の量的な課題や質といった部分を一緒に考えていかないことには、山形市だけではなくて、全国の介護の力は上がっていかないと感じます。ですから、一体的な取り組みというのは、今後増々必要であると考えております。
○峯田参考人 もう一つ、先ほど私がお話ししたように、外国人の問題はすごく重要だと思っておりますので、登録支援機関というのは、特定技能が入って場合、それでもできるわけでありますので、労働者性が高いということもありますので、私はそこに着目しておりまして、山形県老施協は一般社団法人をとっておりますので、今、6人の職員を抱えております。いろんなことをいわれまして、理事長からも言われるのです。老施協がすごく信用があるのであれば、そこの中に我々も少しお金を出すから、技能実習でない、そういうことを育成できるノウハウをもって、そういうところで人材育成の登録支援機関のようなものをつくっていただきたい。そうすると、みんなが集まってくるよと。自分にメリットがないとやらないわけです。だから、外国の人材をまず老人関係、企業でも結構でありますので、どのような組み合わせがいいかも研究が必要かと思いますけれども、外国人を含めた人材育成に誰かがきちんと着目をして、信用できる関係を構築した人がリードできるのではないかと思っています。
実は済生会と私どもEPAで、インドネシアのジャワのボゴール大学というところと連携をしておりまして、そこの学長、副学長も私どもの施設のほうに来ました。また、法人としても、8月にはインドネシアのほうに行かせるようにしておりますけれども、そんな形で連携さえきちんとできれば、インドネシアは2億5000万もおりますので、幾らでも日本に送り込めるよということ。我々も研修をやっておく。
そして、今回もおかげさまで、EPAで介護福祉士のほうも合格を1名ほど出させていただきましたけれども、そんな形で、ノウハウさえきちんとできて、育成もできれば、これは連携の中ですごく重要な問題になるのではないかと思います。もし我々が人材供給をできるのであれば、すごく信用が高くなるのではないかと思っています。
以上でございます。
○岸田参考人 ほっとかへんネットたるみでは、今のところは社会福祉法人でとは思っているのですが、決定などをしているわけではないのですけれども、行く行くは、いろいろな団体と連携していくことが必要だと思っています。
実際に今、ベルデ名谷なんかでも、やっていると民生委員さんとかは声をかけてくださるのです。私たちはこういうことができるけれども、使い道はないかみたいなことを言ってくださって、そうであれば、これをやってもらえると助かりますとか、大学であったり高校であったり、学生さんのボランティアというのも、何か活用方法はないかと声をかけていただけるので、イベントに来てもらえると助かりますなどとして巻き込んでいくということをやっています。
小学校区で拠点をちょっとずつ変えていくというのが、要は1拠点、冷え切ったところがある程度温まってきたら、いろいろな人が声を出してくるので、そうしたら、そこに主軸になる近くの社会福祉法人が残ってというか、いろいろなところと連携しながら地域をつくっていく。そして、次のところ、次のところというようにやっていけば、理屈上は、垂水区は福祉に手厚い町になるはずだと思うので、やはりNPOなどすごくいいことをされているところはたくさんあるのですけれども、そういう情報がよくわからずに、NPOさん同士もつながる機会がないので、誰かがフラッグを立てるというか、ここで何かやっていきましょうということをまずほっとかへんネットでやっていけると、実は何かやりたいと思っている人が集まってきてくれるのではないか。それをしっかり活用して、互助を再生していけたらと思っています。
○田中座長 5人の方にさらにいろいろと伺いたいし、討議したいところですが、時間の都合もありますので、一応、ここまでとしまして、議題(2)に移ります。検討課題に対する議論について、事務局から資料の説明をお願いします。
○長谷川福祉基盤課長補佐 事務局から、資料2-1と2-3の説明をいたします。
まず、資料2-1ですが、前回の検討会の議論を踏まえまして、連携・協働化の議論に資するよう、幾つか資料を準備させていただいたものです。
3ページ以降ですけれども、事務局にて、連携・協働化が効果を発揮する場面・観点について、想定されるものを整理いたしました。
4ページ目、まず、人材確保・資質向上であります。観点といたしまして、人材確保・資質向上、キャリア形成、イメージ刷新、外国人人材の受け入れ等に当たりまして、連携・協働して入門的研修や合同面接会、合同研修などに取り組むことが考えられますが、そういった連携が必要か。どう連携を進めていくのかという論点でございます。
5ページ目ですが、地域における公益的な取り組みについて、前回も議論がございましたように、少子高齢化や地域社会の脆弱化等が進む中で、潜在化している地域課題の把握や、多様で複雑化している課題に対しまして、連携・協働して、お互いの強み等を生かしたりしながら取り組んでいくことが考えられますけれども、そういった連携をどう進めていくのかというものでございます。
6ページ目ですが、地域共生社会でございますけれども、住民が地域課題を把握して、解決を試みる体制の構築や、地域課題を受けとめる場の提供につきまして、連携・協働して取り組んでいくということが同様に考えられますけれども、そうした連携をどう進めていくのが有効かという論点でございます。
足早で恐縮ですけれども、次に7ページです。2つございますが、まず➃としまして、人口減少地域における福祉ニーズへの対応といたしまして、そうした中で生じる地域課題のきめ細やかな把握・対応について、どのように連携して取り組んでいくことが有効かという論点でございます。
最後、➄ですけれども、事業運営の効率的・安定的な事業運営のために、どういった連携が考えられるかという観点で資料を準備したものでございます。
続いて、8ページ目以降は、前回話に出ました社協につきまして概要等を整理いたしたものです。
9ページ目にありますように、社協とは、社会福祉法を根拠法といたしまして、地域福祉の推進のため、住民やボランティア団体、民生委員、児童委員、社会福祉施設などの関係機関の参加のもと活動を行う民間の団体で、全国の市区町村、都道府県・指定都市、中央にそれぞれ設置されております。
主な活動の内容といたしましては、9ページの右側にございますように、社会福祉事業や住民の参加のための活動あるいは各種相談支援活動などを実施しているという事例でございます。
10ページ目と11ページ目は参照条文ですけれども、条文上も、前回お話がありましたように、地域内の社会福祉事業等を経営する者の過半数が参加することとされているほか、同様に、前回議論にございましたように、社協が行うべき事業として、社福事業の連絡・調整ということも列挙されております。
最後に、12ページ目以降は、前回お話があった地域医療連携推進法人制度の概要の資料をおつけしたものでございますが、時間の関係もございますので、概要部分は説明を省略いたします。
17ページ目に飛んでいただきますと、設立された地域医療連携推進法人で、それぞれ実施中または実施予定の業務一覧を掲載しております。実施中のものといたしましては、「○」のところですけれども、従事者の派遣、人事交流、それから共同研修などがございまして、実施予定のものといたしましては、「●」のところですが、そのほか病床機能の見直しや病床の融通が挙げられております。
資料2-1に関する説明は以上でございます。
続いて、資料2-3は、第1回検討会での主な御意見につきまして、内容に応じて事務局にて分類いたしまして、まとめたものでございます。
前回の御意見の整理ですので、中身はここで繰り返しませんが、議論の際に、前回の議論の状況を参照したい場合などにごらんいただければと考えております。
事務局からは以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
続いて、宮田構成員から、社協の法人間連携の取り組みについて資料を提出いただいています。説明をお願いします。
○宮田構成員 私のほうからは「都道府県域の複数法人間連携による取組と今後の展望」ということで、御説明をさせていただきます。
1枚めくっていただいて、現在、経営協で推進している都道府県内の社会福祉法人間の連携による公益的取り組みにつきましては、45都道府県で実施をしておるところであります。残り2県も現在準備中であります。
事業内容といたしましては、都道府県ごとに展開をしておりまして、総合相談が39県、生活困窮者の支援が38県、災害支援が7県、その他(権利擁護、中間的就労など)と、複数の取り組みがあるわけであります。
3ページ、4ページで、具体的にどの県がどのように行っているかということを記載しておりますので、ごらんください。
5ページですけれども、現在の実施状況であります。複数の社会福祉法人が人材や資金を出し合って、プラットフォームは社会福祉協議会で行っている。
これは都道府県域で行っているのが前提なのですが、その中でも、市町村域にブレークダウンしていく兵庫県のほっとかへんネットのような事例もあるということであります。それにつきましても、基本的にはプラットフォームの中核は市町村社協が行っているという状況であります。
地域住民のあらゆる生活課題を受けとめるということ。また、生活困窮者支援を中心に、公的制度のみでは解決できない課題に対応しているということであります。
それぞれの地域の実情等に応じ、体制や活動対象など、独自の工夫のもと設定している。ですので、都道府県ごとの取り組みにかなり特徴があるということであります。
6ページに、主な取り組み例として大阪のしあわせネットワークです。社会福祉法人の強みを生かしたワンストップの何でも総合生活相談ということで、もともと平成16年から高齢者の事業者が寄って「生活困窮者レスキュー事業」というものが立ち上がったわけでありますけれども、平成27年度からオール大阪ということで、全種別で取り組んでいるところであります。
平成30年度の相談支援件数が3,750件ということであります。
支援事例➀、➁は後ほどまたごらんいただいたらいいと思うのですけれども、こういう事例を通して、社会福祉法人が地域における公益的取り組みを行っているということがしっかりと訴求されて、今では、例えば社会福祉法人のみならず、株式会社等の支援、例えば食品会社がこのネットワークに米を寄付していただいて、その米で支援をするというようなことも展開されているところであります。
2つ目の主な取り組み例として、静岡県の災害福祉広域支援ネットワークということであります。こういう地域における公益的取り組みを通してできたネットワークが、災害支援の体制につながっていく。DCATやDMATということで、これが主体になってそういう体制がつくられていくといった例であります。
8ページ目は、それぞれの専門性を生かして、社会福祉法人が連携・協働する意義ということで、7点挙げさせていただいております。
地域住民の幅広い生活課題の把握ということ。社会福祉法人というのは地域それぞれにありますので、幅広い生活課題が把握できるということであります。
多様な法人の強みが発揮できるということ。種別を超えた連携が非常に重要なところになろうと思います。
そういう強みを発揮することで、複合する課題への対応が可能であるということであります。
4つ目には、小規模法人による公益的な取り組みの促進ということで、1法人1保育所のような小規模の法人であっても、しっかりと専門性の発揮ができる場ができるということであります。
活用できる資源(専門職、設備等)の増ということも言えるのだろうと思いますし、新たな社会資源の開発、社会的な訴求ということも非常に期待できるのであろうと思います。
次のページです、4つ目に連携・協働による効果ということです。高い専門性の発揮ということで、それぞれの法人が持つ専門性をつなぎ合わせて、1法人では解決できない生活課題にも柔軟に対応することができる。
きめ細やかな対応ができる。身近な法人が相談窓口となることで、個別の生活課題にきめ細やかに対応することができる。
関係性のさらなる強化・広がりということで、支援を通して、社会福祉協議会をはじめ、より多くの関係機関等との連携の輪が広がるということです。
この辺の事例は、先ほどの岸田参考人の発表があったところであります。
連携・協働を進める上でのポイントでありますけれども、複数の法人が共同で事業を実施する場合には、柔軟に資源を活用することがポイントになってまいりますので、この柔軟性というのが非常に重要になってくるのだろうと思います。
そもそも社会福祉事業というのは各対象者別であります。ですので、人員の兼務、設備の共用というのは、省令等で基準上、現在でも利用者の処遇上問題がない範囲で一定程度、許容されておりまして、その柔軟性をもって取り組むことが非常に重要になってくるということ。
ただ、具体的な運用は各自治体に委ねられているため、自治体の柔軟な対応により、人員の兼務や既存の資源の活用が進むものと考えられる。
逆に申しますと、この辺の理解が自治体にないと促進が困難な阻害要因になることも考えられるということであります。
今後の展望や検討課題です。基本的な考え方として、社会福祉法人による連携、協働、統合という順番で、まずは連携・協働していくことが重要なのだろうと考えております。
多機能化の推進ということです。人口減少社会の中で、限られた担い手により、いかに多様化・複雑化する福祉ニーズに対応していくかということで、連携・協働がますます重要になってくるということ。
もう一点は、社会福祉法人の使命として、撤退規制があるわけでありますから、過疎地や中山間地、離島などの福祉サービスの確保をどのように考えるかということです。セーフティーネットをしっかりと担い続けるために、こういう連携をしながら、しっかりとそういう役割も担っていくことが重要になってくるのだろうと思います。
私のほうからは以上になります。
○田中座長 ありがとうございました。
前回、第1回では、主に大規模化に関して話しましたが、きょうは連携・協働化について重点的に取り上げます。ただし、ただいまの宮田構成員の発表にあったように、連携と統合は連続的なものですし、今村参考人からは、統合の事例もありましたので、両者は実際には区別できないので、メインは連携・協働化だとは思いますが、統合について触れていただいても構いません。
連携のためにどのようにしたらいいか、今、論点が整理されていました。これについて、構成員の皆様方からの御意見を伺います。
さらに、せっかくいらしている参考人の方々も、連携の必要性や進め方について、御自分の意見を言っていただいても構いませんので、御参加ください。
久木元構成員、お願いします。
○久木元構成員 前回も少し申し上げましたけれども、やはり連携や合併というものに関しては、誰かから言われて強制的になされるものではないということを、今日の参考人の皆様方のお話を聞くにつれ、感じたところでございます。
あと、将来的に人口減少が進んでいく中で、何らかの枠組みというのは必要なのだろうなということを感じました。
合併については、現在、制度的には枠組みはあるわけでございますが、ただ、合併上の課題が今、今村参考人のお話の中でも幾つか出ておりましたので、ここはクリアにしていかなければいけないのかなと思いました。そういう意味では、一定の理解ができましたと同時に、論点整理をやっていく必要があるのかなということを少し感じました。
課題として少し感じているのは、種別が異なる法人が合併する場合、制度が縦割りになっている状況を考えますと、例えば、最たる例としては処遇改善の取り扱いが違うとか、そういうものがあるわけでございまして、ここをクリアにしていかなければ、今後、合併の事例が幾つか出てきたときに、課題に上がってくるのではないかと思っています。
また、内部的にも、ガバナンスの体制をどうするかとか、あるいは、給与等、異なる規定の整合性をどう図っていくのかとか、内部的にも幾つかの課題があるのだということも認識をしたところでございます。マッチングについてですが、冒頭で申し上げましたように、強制的にやるものでもありませんので、情報提供の仕組みみたいなものは必要なのかなと考えております。その中で、必要があれば、ニーズがあれば、そこが合併という形に進んでいくのではないかと感じたところです。
あと、連携についてですけれども、連携を推進するための方策として、先ほど来、医療の例が出ておりますけれども、社会福祉法人の連携のあり方についても何らかの仕組みが必要になってくるのではないかと感じております。ここは議論しておく必要があるのだろうと思いました。
ただ、一定の目的がなければ、やはり各法人に連携をしようというインセンティブは働きにくいのではないかと考えています。まさに、人材の確保や人事交流、あるいは先ほど来、出ておりますような、責務化された地域の公益的な取り組みを複数間で取り組んでいく、災害支援に取り組んでいくのだというものが連携の目的としてなければ、ここはなかなか進んでいかないのではないかと思っています。
その際、課題として上がってくるのは、やはり会計上の資金移動の問題、あるいはさまざまな活動を行う場合の設備基準、人員配置基準などが厳しく制限されていますので、ここを再検討していく必要はあるのではないかと思います。
もう一つ申し上げますと、社会福祉協議会の役割というのは非常に重要なのかなと思っております。この場で再認識をしておかなければいけないと思うのですが、地域連携が進んでいるところは、社会福祉協議会が活発に動いているところは、非常に連携が進んでいるのではないかと私自身は感じておりますので、ここも含めて、社会福祉協議会の役割というものをしっかりと認識しておく必要があると思います。
最後に、都道府県を超えた連携のあり方も少し考えていってもいいのかなと感じております。前回、千葉構成員がおっしゃっておりましたけれども、同じ地域で連携を組むとなると、人を取り合っているとか、いろいろなしがらみがあったり、過去のいろいろなことがあったりして、なかなか連携がしづらいという声も耳にいたしますので、そうしたときに、圏域を超えて、志を同じくするような法人と人事交流など、一定の目的をもって連携をしていく。サービスの質の標準化を図っていくとか、そういうものもあってしかるべきなのかなと思っています。
これは意見でございます。
○田中座長 本永構成員、どうぞ。
○本永構成員 お示しをいただいた資料の観点1の部分の人材確保・資質向上の部分で、安定的な確保ということが付記されていますけれども、その例として挙げられている入門的研修や合同面接化、合同研修といったものについては、現行でも都道府県社協であったり、それぞれの種別団体であったり、あるいは行政が絡んだ人材確保等の協議会であったりということで、同様のことは既に行われていることであります。
このことが、社会福祉法人同士が協働するということで、新たなメリットが生まれるかどうかというのはやや疑問な部分がありまして、先ほど山形の峯田参考人の話があったように、圏域全部というよりは、エリアを絞って山形市内のみといったところに絞って、研修等に参加しやすくするというメリットは確かにあるのだろうと思いますけれども、ここで社会福祉法人同士の組織体を何かつくってやるというメリットというよりも、現行、やっているのに効果が出ないのはなぜなのかということを考えるべきところもあるでしょうし、組織体をつくるより前に、まずはできることをやるということがまずは大事なのかなと思うところがあります。
それから、地域における公益的な取り組みについても、多様な福祉ニーズについて、地域の課題を把握することがスタートであるというか、これは当然のことでありますが、公益的な取り組みについても、社会福祉法人が何がしたいかというよりも、地域が何をしてほしいかがスタートになければならないのは当然のことですが、先ほど久木元構成員からもありましたけれども、基本的には社協の役割というのは地域福祉活動ですから、地域の福祉課題については市町社協が最もよく知っていなければならないことであるはずなのです。
先ほどほっとかへんネットのところでもありましたけれども、実際のニーズ把握には、社協に御協力をいただいているといった事案もありましたが、スタートの部分で、社会福祉法人、いわゆる事業法人が連携をするということは当然であるのですけれども、その中に地元の中で誰と組むかというところにおいては、市町社協で把握した課題について、それぞれの法人が、自分ができることは何があるのか、自分のところだけではできないことは何があるのか、だったらどことつながるのかというところがスタートだと思うのです。
基本的に、社会福祉法の24条2項に記されている部分についても、社会福祉法人に課されているということは、それぞれの社会福祉法人に課されている義務、責務なのです。だから、小規模法人をネットワークに入れて、小規模法人でもみずからの責任が果たせるようにするということですから、まず連携・協働ありきというよりは、みずからの責任を果たすための手法として連携・協働するというのは、当然、協議すべきことであろうとは思いますけれども、既存の枠組みの中でできることがまだまだたくさんあるのに、そこが十分機能していない。では、それを阻害している要因は何であるのか、モチベーションが上がらないのは何なのかということが一つの課題かなと。
人材のところで、参考人のほうからもキャリアパスの話があり、キャリア形成の話はここにも書いてありますけれども、ここで指しているキャリアパスというものが、ポストの話なのか給与レベルの話なのかが、余り明確でない気がするのです。
先ほど、久木元構成員のほうからもありましたけれども、法人同士が協働して、キャリアパスを共有化しても、A法人よりB法人のほうが給与レベルが高いということになると、B法人の人はA法人には行きたくはないわけですから、そこのレベルをそろえるということで、今まで合併がなかなか進まないということが現実的に起こったりしている部分ですから、キャリアパスというのが一定の経験値や技能レベルの評価尺度という意味で言っているのであれば、共有化するというのは、ある意味、有効策かなとは思います。
以上です。
○田中座長 松原構成員、どうぞ。
○松原構成員 人口減少社会の中で、人もお金も限られているという地域課題に応えようとすれば、どうしても担い手としては今後、マルチプレーヤーにならざるを得ないと思います。例えば私は保育しかしないとか、私は介護しかしないというような働き方は、これからなかなか難しくなっていくのだろうと。
そうすると、人材育成という面で、ある資格を持っている人はほかの資格を取りやすくするということと、報酬を、こういう人員配置だから幾らではなくて、機能で報酬を払うという転換をしていかないと、地域ニーズに応えるというのは難しいですし、連携とか協働をしようとしても、この地域はどんどん子供が減っていき保育経営は厳しいけれども、子供を育てる機能は地域の将来のためには残さなければならない、一方で高齢者ケアのニーズはあるというときの対応も難しいのではないかと思います。
意見です。
○田中座長 ありがとうございます。
千葉構成員、どうぞ。
○千葉構成員 私も幾つかの点において、今までの各構成員のお話と被るかと思うのですが、2点ばかり加えたいと思います。
先ほどお伺いした中でも質問させていただいたのですが、参加している法人、しない法人というのがあるのだろうと思うのですけれども、社会福祉法24条2項でいえば、参加しない法人があるということ自体はあり得ないと思うのですが、一方で、現実問題を考えたときに、法人の枠と行政庁としての都道府県の枠が違うということもあると思います。
そういう意味では、例えば本部がある中心拠点のところでは、その県の複数法人のネットワークをやっているかもしれないけれども、ブランチになっているほかの県にあるところは、実は後ろ向きとか、何もやらなくても本部がやっているから、うちの法人はいいやということになる部分もあるのではないかということでいうと、地域共生をもっと深掘りしていく中での法人枠ということが、果たしてどの程度、意味があるのか。むしろ今、存在している施設というレベルの事業所をどう活用していくのか、そこを掘り起こすための阻害要因なり、メリットを示していくものがなければいけないのではないかという気がしているのが一つ。
その延長上に統合とかがあると、前回私が指摘したように、県を超えたようなところでのマッチングは県ではなかなか難しいこともあるのかもしれないので、そこを超えた全国組織なり何なりが仲介をとることは必要になるかという気はしています。
もう一つ、連携の受け皿というところで、今回、御紹介があった中でも、医療の先進事例ということで地域連携推進法人が出ております。これは確かにすごく参考になるし、ある意味、地域包括ケアの整合性という意味では、介護の分野ではかなり親和性がある考え方かもしれないと思うのです。
それ以外の福祉のジャンルで言うと、距離感があるかなというところが正直感じるところはあります。一方、今回、事務局のほうから御紹介があった社会福祉協議会の存在、これは前回も藤井構成員のほうから指摘があったとおり、社会福祉特有のもので、しかもすごく伝統があって、組織率の高い活動母体であります。しかもその中に、今、複数法人の連携の事務局が置かれて、動き出しているというところで言うと、わざわざ新しい器の法人格をつくるかどうかというよりは、先ほど本永さんの話もありましたけれども、法人格ありきではなくて、何をするかというところをまずは射程に置いて、それで今、活用できる資源を最大限使っていく。例えば、それが社会福祉協議会なのかもしれないし、場合によっては、社会福祉協議会の中にある任意団体の組織なのかもしれないけれども、それにスポットライトを当てて、そこの活性化を図っていくという方策も、積極的に考えていったほうが、むしろ社会資源の有効活用という意味ではいいのかなと感じました。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
まだ発言があるかもしれませんが、時間になりましたので、最後にどうぞ。
○塚本構成員 ありがとうございます。
今後、人口減少、少子化という中で、先ほど松原構成員がおっしゃったような福祉のマルチプレーヤー、保育だけとか介護だけ、障害だけということではなくて、そうした職員の育成というのが本当に課題になってくると思っています。
今回、法人間の連携や協働、合併というのは、経営的な側面から考えると、いろいろな制度上の問題があったりとかいうことで、なかなか進んでないということがあるのですが、ケアの向上ということから考えますと、この連携・協働というのは必ずプラスになります。
実は私の法人は、児童養護施設と認定こども園と障害の施設と母子生活支援施設があります。積極的に職員を異動させることによって、職員の資質は間違いなく向上しています。そうした意味から、連携ということについては、ケアの質の向上という視点で取り組むと、例えば研修とか人事交流なんかは比較的とっつきやすいのです。そういう視点で取り組むということも重要ではないかと思います。
○田中座長 いずれも貴重な意見で、ありがとうございます。
特にきょうは社協についての御指摘が多かったですね。さらに、医療側で行われている連携推進法人についても、お二方から言っていただきました。法人格を失わずに事業所単位で加入できる。おもしろい資格なので、これもまたさらに検討が必要かもしれません。さらに議論を進めてまいります。
きょうは、大変中身のある発表をいただいたおかげで、時間が短く感じました。まことにありがとうございます。
予定の時間になりましたので、事務局から、次回以降の説明をお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 本日は大変ありがとうございました。
次回は6月5日水曜日の17時からの開催を予定しております。会場等の詳細は、追って御連絡させていただきます。
○田中座長 それでは、本日の議論はこれにて終了いたします。議論し足りない方は、名刺交換をしていますから、捕まえてさらに場外で行ってくださいませ。
お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

照会先

社会・援護局福祉基盤課

(代表電話) 03-5253-1111(内線2871)