第3回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(議事録)

日時

令和元年5月29日(水) 15:55~17:32

場所

経済産業省別館 101-2会議室

議事

○地域就労支援室長補佐 ただいまより、「第3回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」を開始させていただきたいと思います。
 本日は、倉知委員、佐保委員、眞保委員、中川委員が御欠席です。
 また、異動に伴いまして、ハローワーク松戸の児島統括職業指導官に参加いただいております。
 それから、事務局に異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 地域就労支援室長の澤口でございます。
○地域就労支援室長 よろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐 それでは、以降の進行につきましては、座長の朝日先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 
 座長を務めさせていただいております朝日でございます。きょうは、どうぞよろしくお願いいたします。
 昨年度2回開催いたしまして、本日が第3回となります。先般から、就労パスポートの記載項目、内容、また、活用のガイドライン等について御審議いただきまして、この間、後ほど事務局から御説明があると思いますけれども、必要な修正を加えて、きょう、改めて、御提示いただくということでございます。
 そして、きょうの方向性としては、就労パスポートの試行に向け、現段階での考え方を固めていきたいと思っておりますので、ぜひ、忌憚のない御意見、情報交換をお願いしたいと思います。
 それでは、早速、次第に従いまして進めてまいりたいと思います。事務局から、「1.就労パスポートの記載項目と指標の改訂案について」と「2.就労パスポートの活用ガイドラインの改訂案について」の御説明をお願いしたいと思います。
○地域就労支援室長 それでは、私から説明をさせていただきます。
 まず、就労パスポートの様式の主な修正点について、資料1-1を御覧いただければと思います。
 大きくは3点掲げさせていただいております。「就職後の自己チェック」欄の追加、それから、「支援機関」の欄について、医療機関が含まれることを明記したことでございます。また、文言の一部簡略化等を行っています。
 具体的な中身につきましては、本日は、お手元に参考資料1ということで、就労パスポートの様式の見え消し版の紙を置かせていただいております。こちらを御覧いただければと思います。
 表紙には、これから試行を迎えるということで、【試行版】と入れさせていただいております。
 ページをめくっていただきまして、1ページ目の上のところを修正しておりますけれども、こちらは文言の整理でございます。
 続きまして、3ページ目でございますけれども、こちらは各欄、番号等の記述の整理とともに、中ほどでは表現ぶりの修正を行っております。
 それから、4ページ目になりますが、下のほうに「就職後の自己チェック」欄を入れてございます。こちらは状況に応じて、また、適切なタイミングでふり返りを行っていただこうということで、チェック時期を「( )か月後」と括弧書きにしてございます。
 その下、「支援機関」の欄ですけれども、医療機関が含まれることを明記させていただいたというものでございます。
 以上、様式の関係でございます。
 次に、ガイドラインの関係でございます。こちらは資料2-1を御覧いただければと思います。大きくは5点ほどございます。まず、両ガイドライン共通の部分といたしましては、1つ目として、他の支援ツールや支援策との関係を具体的に記載させていただいております。また、「構成、記載要領」については、先ほど御説明申し上げました、「就職後の自己チェック」欄や「支援機関」欄についての説明を追記したということでございます。
 また、前回の検討会で「過去の就労状況がわかったほうがいいのではないか」という御意見をいただきまして、「職務経験」の欄に勤務時間・日数、通勤時間等を記載する例を追加したということでございます。
 それから、支援機関向け活用ガイドラインにつきましては、「御本人視点の目的を入れるほうがよいだろう」というような御意見を踏まえて、そうしたものを明記してございます。また、その下は、支援機関が今まで使っていた支援ツールについては、補足資料として添付するといった例を追記しているというものでございます。こちらも、お手元に、支援機関向けガイドラインの修正見え消し版を御用意させていただきました。こちらの中身を若干触れさせていただきたいと思います。
 まず1ページ目のところでございますが、「企業」を「事業主」という言い方に修正をしてございます。「事業主」や「職場」といった書き分けをしてございますけれども、イメージとしましては、「事業主」は雇用する主体というような意味合いで使わせていただいているということと、「職場」は、実際、障害のある方が配属されている部署も含めて、働く場所というような意味合いで書かせていただきました。1ページ目は、そういった文言修正の関係でございます。
 次に、2ページ目、「目的」の下に四角囲みがございます。就労パスポートの名称についてはこれまでも御意見をいただいていたところではありますけれども、ここに書いてございますように、職業生活上のさまざまな場面・段階を「港 port」に例えまして、さまざまな場面・段階で自己理解を深めるということで、「渡航歴」というような表現ぶりも入れてございます。そういった意味合いを込めて「就労パスポート」と言っている、という解説を入れさせていただきました。
 それから、その下、「1-1 本人の自己理解促進」は、御本人視点の目的を追記させていただいたところでございます。
 続いて、3ページ目になりますけれども、四角囲みのところについては、ただいま御説明申し上げましたように、各種支援ツール、支援策を組み合わせた支援の例でございます。1つ目はジョブコーチ支援と、2つ目は「情報共有シート」と就労パスポートを組み合わせた支援の例を書かせていただいております。その他、文言の整理ということで、修正をさせていただいております。
 4ページから6ページ目には、「企業」、「事業主」の表現ぶりを修正してございます。 また、9ページ目の中ほど、5については「就職後の自己チェック」欄の説明を、6については「支援機関」欄の説明を追加させていただいております。その下の「就労パスポートの項目一覧」にも「就職後の自己チェック」に関係する記述を追加させていただいております。
 また、10ページ目の中ほど、こちらも修正点のところでお話をしましたように、勤務時間・日数や通勤時間についても記載する例を追加してございます。その他は文言の整理でございます。
 12ページ目、中ほど四角囲みのところでございますけれども、「提供先に応じた記載内容の変更の必要性について」という説明書きを入れてございます。こちらは、いろいろ御意見を伺う中で、例えば職場実習または就職といったことを考えたときに、同時に複数箇所に応募することもあれば、応募先の仕事内容、作業内容に応じて就労パスポートの記載内容を変えることも考えられるのではないか、というような御意見がございました。そういった記載内容を、また、「更新」ということは、時系列ごとに更新するということではありますけれども、就労パスポートの提供先に応じて記載内容を変えるという対応も考えられることを書かせていただいたものでございます。
 13ページ目、「就職後の自己チェック」についての説明でございます。御本人が就職後の一定のタイミングでふり返りを行って、変化や成長を感じる項目を記入する、といったところを追記させていただいているところでございます。
 14ページ目、「就職後の自己チェック」については、実際のところ、御本人、職場、支援機関が三者面談の形でふり返りを行う場合が多いというお話もございましたので、三者面談でのふり返りによって就労パスポートを更新する流れの例を追記させていただきました。
 それから、その下の「参考 支援機関」のところでは、支援機関には医療機関も含まれることを明記してございます。
 15ページ目の上の四角囲みでございますけれども、こちらは支援機関が独自に作成した本人に関する資料について、就労パスポートに添付して活用することも考えられるという記述を入れさせていただいております。
 16ページ目、「6-1 本人に対する説明、活用に関する意向確認」のところに「本人向けリーフレット」、「本人向け活用の手引き」がありますけれども、こちらは、後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
 以降の修正は、職場、企業、事業主といった文言の整理や、「就職後の自己チェック」欄の追加に伴う文言調整になってございます。
 修正点等については以上でございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
 就労パスポート及び活用ガイドラインともに、前回からの議論を踏まえて修正、とりわけ、赤い字で示されております加筆の部分、それから、言いかえの部分が中心になりますので、大きく削除されたところはないように伺っておりますけれども、ただいま御説明をいただきました。
 それでは、ここで一度説明を区切らせていただいて、就労パスポートの記載項目と指標の改訂、そして、活用ガイドラインの改訂案について、御質問や御意見を順次いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 清家委員、お願いします。
○清家委員 ワーキング・トライの清家です。よろしくお願いします。
 支援者向けのガイドラインについて、1点気になる点がありましたので、発言させていただきます。
 11ページの一番下、「服薬管理のための配慮」の記載例について、1つ目の「副作用により~」ということは非常に多く見られるので、私どもの利用者の方も、企業に配慮をお願いしているところですが、2つ目の「疲労のたまった状態が続くと~」は、例としてふさわしいかどうか引っかかっています。
 今回、支援者向けのガイドラインを読ませていただいた中では、支援者として、どうアセスメントをしていけばいいかとか、御本人の自己理解をどう深めていけばいいかについてのエッセンスがたくさん盛り込まれています。昨今、いろいろな背景の支援者の方たちが就労支援に取り組み始めているというところでは、このガイドラインをしっかり読んでいけば、間違った支援にならないのではないかというぐらい非常によく書き込まれていると思っています。
 ですので、なおさらこの記載例にあるような方たちを私たち支援者は雇用の場に送り出すかなというところで引っかかっています。もし記載例として書くのであれば、薬の飲み方が、食前・食後ではなく、例えば5時間おきという場合、仕事の最中に飲まなければいけない方もいらっしゃいます。業務中の服薬への配慮についての希望といった記載例はいかがでしょうか。先にもお伝えしましたが、この記載例ですと、まだまだ職業準備性が整っていない方を企業へ送り出ししているという印象を受けます。
 以上です。
○朝日座長 清家委員、ありがとうございます。
 今の御発言に関連する御発言はありますでしょうか。
 ここは、言うまでもなく、御本人が事業主などに希望する項目を書く。ただ、ガイドラインとしてこれを目にされると、どういうことを書くべきか、あるいは、支援機関として、今おっしゃったように、アセスメントを的確にした上で、この服薬管理のための配慮として表現していただけるようにするかといったことが問われてくるような気がいたします。
 この記載例は実例をもとに書かれたのでしょうか。
○地域就労支援室長 いろいろな実例も踏まえて書かせていただいたところですけれども、清家委員がおっしゃるように、職業準備性がまだ整ってない人というイメージになってしまうということであれば、この記載例は、今いただいた御意見のような工夫の仕方はあると思いますので、工夫をして修正を考えたいと思います。ありがとうございます。
○朝日座長 記載例は、この就労パスポートの活用を想定した上での現実味のあるものを、という趣旨だと思います。
 それでは、ほかのところでも結構でございますが、いかがでしょう。 特に資料1-1で御説明いただいたように、修正点の主な事柄としては、「就職後の自己チェック」欄を追加しているところです。すなわち、一定のタイミングでふり返りができるように、欄そのものを追加し、自己チェックの際、様式の各項目との対応を簡略した番号で示すというところで、ふり返りをしやすいような様式上の工夫をしたということかと思います。
 それから、「参考 支援機関」の欄については、適切な支援をしていく環境の中でその方の職場定着などが成り立っているということも非常に重要なことなので、医療機関もあわせて明記された、と理解しております。
 いかがでしょうか。
 では、高橋委員、お願いします。
○高橋委員 3回目にして結構整理されてきたという大前提なので、もしかしたら、ポイントが細かくなるような発言になるのかもしれませんけれども、大きく2点あります。
 1つ目は、「支援機関向けガイドライン」の12~15ページの流れの中で、支援機関は、御本人が客観的に御自分の特徴をふり返られるよう支援を行う役割を担うという整理をしながら見ていくと、15ページの上に「支援機関が独自に作成した本人に関する資料の添付について」という説明がございますが、この中の「あくまで任意で」という部分がすごく消極的に書かれているという印象を受けます。私は、支援機関が入るということは、企業と御本人の橋渡し役になるという点で、非常に役割が重要となる場面が出てくると思うので、資料はあくまでも添付というよりは、そのことによって就労が促進したり、定着したりするのであれば、もう少し積極的な表現ぶりがいいのではないかと思っております。
 また、就労パスポートが御本人の「渡航歴」ということで、現状をしっかり把握して、お互い良い形でマッチングや職場定着を図るとなると、12ページの中ほど、「提供先に応じた記載内容の変更の必要性について」の下から2行目の「特にアピールしたい点を強調するなど」という点については、あくまで現状把握の一側面ですので、配慮が必要な点も加えていただいたほうがよいと思います。
 「渡航歴」に付随し、全体の考え方として、マッチングや定着支援に加え、より働き易くなることや、力が発揮できるというキャリアアップという視点にも注目すべきと思います。私が見えなかったのかもしれないですけれども、もう少しキャリアアップという点も、ガイドラインに入ってきて良いかと思います。
 2つ目は、これはガイドラインとかに付随するところかと思うとともに、今回は難しいかもしれないという前提で申し上げたいのですが、障害者手帳の有無を就労パスポートの様式に入れるか入れないかというお話が以前の検討会であったかと思います。私も意見を言わせていただきました。
 実際、会社でもそうですし、また、私自身はそれを受けとめる側の家族の立場でもあるのですけれども、障害者手帳の有無については、比較的マイナス要素からの議論で、就労パスポートには記載が難しいという整理がされていたかと思います。ただし、実際に、そもそも障害者手帳の取得には前向きな要素もあることを私たちは考えておかなければいけないのではないかと思っております。
 今回、就労パスポートへの記載が難しかったとしても、もしかすると国でも考え方を整理されているのではないかという認識も一定程度持っていますが、障害者手帳はプロセスが大事だと私は思っております。取得した後、結果だけを求めているものではなく、取得するためのプロセスを関係者で共有することが未来につなげるための一つの手段であると思っております。「こういうアプローチをしたから現段階はこのような力ですよ」ということを共有することが結果的に合理的配慮につながることもあるので、障害者手帳の有無ということよりも、プロセスを共有することで、御本人たちは自立の可能性を切り開くという視点が、障害者手帳についての考え方として一番重要ではないか、とずっと思っておりましたので、きょう、意見を入れさせていただきたいと思います。
 ただ、「このようなアプローチをしたからこうだった」ということについてのフィードバックが、果たしてどこまで行われて今に至っているのか。そういった視点から障害者手帳制度ができたのではないかと理解しておりますので、今回、事例に入れられるかなどは難しいところかもしれないですが、結構大事な視点かと思っております。
 あとは、行政が行う障害者手帳取得のプロセスには、経済的な視点もあると思うのです。行政が制度として実施しているからこそ、障害者手帳取得に至ったプロセスが理解できることもあり、もし、民間でそういったことをしようとするとおそらく多くの費用がかかります。その点でも、合理的配慮や御本人の未来を考えると、行政が行う障害者手帳取得のプロセスはある側面ではとてもいい部分があると思っております。記載は難しいかもしれませんが、その側面も捉えられるのなら、少しそのニュアンスを入れるという検討も必要ではないかと思いました。
○朝日座長 どうもありがとうございました。細分化すると、4つほど御提案をいただいたというように承りました。高橋委員の一つひとつの見解がいいかどうかということを議論するのが目的ではありませんので、関連する御発言があれば、さらにいただきたいと思います。
  簡単に整理すると、1点目は、支援機関が独自に準備して活用している資料について、場合によってはもっと積極的に活用するというような例示をしてもいいのではないかということ。支援機関で非常に有効な資料を提供することで、もしかすると就労パスポートのほうが相対的にややかすんでしまうところがあるかもしれませんけれども、より積極的な添付資料の活用を、ということです。
 2点目は、変更・修正していく中で、多分、その次のキャリアアップの問題とも関わると思うのですけれども、アピールをしていくことも大事だけれども、と同時に、現状をきちんと伝えていくことが、「渡航歴」たる就労パスポートとしての趣旨にかなうのではないか、ということ。
 3点目は、そもそも全体としてキャリアアップという視点がもう少し表現されているべきではないかということ。
 そして、4点目は障害者手帳の有無について。就労パスポートには障害者手帳の有無を書く欄はありません。これは就労パスポートの対象者が雇用率に該当する方だけではなく、精神障害等があって何らかの支援を必要としている方ということによるものだと思います。そのため、障害者手帳そのものの有無が就労パスポートに記載されるというよりは、必要なときに確認するということで記載がなかったけれども、障害者手帳を取得するプロセス自体が、御本人が自分の障害と向き合ったり、次のステップに向かっていったりするためのいわば試行のプロセスであるならば、それを活用するという方法もあるのではないか。こういう理解をしましたが、よろしいでしょうか。
○高橋委員 ありがとうございます。
○朝日座長 この点に関連して、あるいは、発展して。
 では、お願いします。
○小幡委員 就労パスポートを更新する意味合いについて、いろいろな指標を含めて当事者御本人の視点や社会通念上から見たときに、「有利に働くために書く」というように受けとめられがちなところがあると思いますので、高橋委員がおっしゃったような(支援機関が独自に準備して活用している資料について、場合によってはもっと積極的に活用するというような)意味合いのところは押さえておく必要があると私も感じます。
 ただ、支援機関が独自に作成した資料を添付するところについては、あくまでもそこに網羅されていることも、この就労パスポートの中で御本人とやりとりし、御本人が認識していく、ということが前提として組み込まれていけば、添書によらず、御本人の認識としてアピールすることに近づけていけると思います。その上で、さらにフォローするという意味で、御本人が望めば資料を添付するという形になるのだと思います。御本人が望まなければ、添書もつかないことになると思いますので、今まで培われてきた関係機関とのやりとりも含めてふり返り、リカバリーしていくことで、この就労パスポートの中に反映される、ということが主にならないと、本来、高橋委員がおっしゃったようなところも漏れてしまうのではないかなと思います。作成のときには、ぜひ、そのへんを支援者の方に意識していただけるものがよいと思っています。
 また、就労のスタイルとして、時短、超短時間ということもかなり話題になってきておりますけれども、「ゆくゆくはフルタイム勤務になっていく」といったイメージが多く持たれています。就労パスポートの中にも、フルタイム、フルタイム以外、または、フルタイム以外からフルタイムに向けて段階的に延ばしていくような項目もありましたが、就労のスタイルとして、場合によっては短時間のままで継続就労をしていく方もいらっしゃるかと思います。そこがミスリードにならないようにと思っております。
 先ほど、服薬に関するお話しもありましたけれども、試行実施の中で、実際にそういった項目があるとやりにくいのか、あるいは、もう少し違う表現ぶりだと書きやすいということが当事者の方に御意見を頂けるのであれば、ぜひ、あえて提示して試行いただくほうがより好ましいかと感じました。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
 さらに、いかがでしょうか。
 栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
 この就労パスポートは、制度としては非常にいいものだと私は思います。ただ、前からお話ししているように、似たようなものがいろいろあるということで、できれば就労パスポートが中心になっていくと一番いいなと思っています。
 ただ、いろいろなお話が出ていますが、精神障害と言っても非常に幅広く、いろいろな方がいらっしゃいますので、どういった方がこれに該当するのかというのが少しわからないところがあります。言い方が悪いかもしれませんが、例えば、精神障害のある方で、障害者手帳がなく短時間就労で、というと、企業のほうは雇用が非常に難しいのではないでしょうか。フルタイムで、こういうところで少し配慮をお願いしたい、というのであれば、活用する意味があると思うのです。しかし、法定雇用率にも助成金にも該当しないというのであれば、果たして、企業は「雇用しよう」となるのだろうかという感じはします。
 それであれば、精神障害の方については、最長1年間のトライアル雇用がありますが、せめてその制度は就労パスポートに関連づけられるとよいのではないかという感じがします。「仕事にどうしても難があるので短時間で働きたい」というのであれば、先ほど来、障害者手帳の代わりになるものを入れていただかないと少し難しいのではないかという気がしています。
○朝日座長 この検討会でもそれぞれの委員の方が対象者像をイメージされてきたとは思うのですけれども、栗原委員からは、改めて、対象者にいかなる制約も設けないのか、あるいは、イメージとして大体こういう方に使っていただくのがより効果的だとみなすのか、もっと絞り込んではどうかというような、幾つかの考え方があると思うのですけれども、このあたりについて、委員の皆様から何かございますでしょうか。
 では、成澤委員、お願いします。
○成澤委員 良品計画の成澤です。
 皆さんのいろいろな御意見をお聞きしまして、企業として今思うことは、就職のときにこの就労パスポートがあると、よりお互いにコミュニケーションがとれますので、とても重要なものになると思います。ぜひ、就労パスポートが普及していくとよいと一番に感じています。
 障害者手帳の有無について、あえて就労パスポートに載せないという意見は、いろいろ意味があると思うのですけれども、きちんと載せていくことも、次のステップにつながるのかと思います。企業としては、もちろんその人自身を見たいと思っていますし、障害者手帳を持っていなくても採用したいという気持ちもあります。そのため、御本人が例えば障害をオープンにして働く・働かないという記載の様式については、当社ではとても重要視しています。今回、就労パスポートも自己受容するためにとても必要なものであるということでつくられていると思います。「みんなで一緒に働くに当たって、自分の障害をどのように相手に伝えていくか」ということにおいて、できれば障害者手帳の有無を明示するほうが、企業や支援する方々にとって、この就労パスポートがより活きていくのではないかと思っております。
 もう一つ、キャリアアップという話が出ましたが、就職されて何か月後にふり返りができる様式になっていますので、キャリアアップの面も加味されてくるとよいかと思います。もちろんいろいろなものを取り入れることで本来の目的が失われていくのはよくないと思いますけれども、長く定着して働くためには、次なる目標や自分の将来の夢、キャリアアップできるようなことなどが記載されていれば、たとえまだ実現できていないとしても、その思いは企業や支援する側にも伝わっていくのではないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、吉岡委員。
○吉岡委員 東京障害者職業センター多摩支所の吉岡でございます。
 高橋委員から、支援機関が独自に作成した御本人に関する資料の添付について、もっと積極的にというお話がありました。私も、支援機関とすれば、御本人にとっても企業の方にとってもよい情報は積極的につけていくことについては反対ではないのですけれども、他方で、事業主向けガイドラインには、「御本人が記載を望まない項目は無記入でもよい」、「就労の可否を判断する際に、就労パスポートの作成や提示を必須とすることや、就労パスポートを所持していないからといって不利な取扱いをすることは適当ではない」といった表現もあります。おそらく情報量の多寡が採用に直結することについて、事務局のほうで危惧されて、少し抑えめのトーンで書かれているのかなと思いましたが、そのあたりの御意見を聞かせていただければと思います。
 また、就労パスポートの作成支援を支援機関が行うにあたり、実際にどのような状況にある方が支援機関に作成支援を求めてお越しになるかということを想定しながら読ませていただいたときに、前回の検討会でも私のほうで危惧いたしましたけれども、この就労パスポートを作成するために初めて支援機関を利用するという方がお越しになった場合、どういう形で対応していけばいいのかと思いました。
 ガイドラインの中には、就労パスポートは数々あるツールの代替ではなく、既存のツールから得られた情報を就労パスポートの様式の中で改めて整理していくという説明があります。そうすると、支援機関に初めて来られた方の場合、既存のツールによる情報整理はまさにそこから始まるという状況ですし、また、例えばですけれども、「明日面接がありますので、きょう就労パスポート作成を手伝ってください」という場面への対応が一番難しいかと思います。これまでにさまざまな支援機関を利用されている方を想定した場合、ガイドラインの内容は非常に細かく行き届いた、網羅的な内容になっているかと思います。ただ、支援機関に初めて来られる方が、この就労パスポートに期待なさるときに、支援機関としてどう対応をすればいいのか。そのことをガイドラインにどう書くかということも考えなければいけない、というのが気になった点です。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
 さらに、いかがでしょうか。
 児島委員、お願いします。
○児島委員 ハローワーク松戸の児島です。よろしくお願いいたします。
 ハローワークでは、障害のある方がお仕事を探して面接に至るまでの間に、求職登録ということで、仕事の条件などを登録して紹介状を受ける流れがあるのですけれども、その中で、障害者手帳をお持ちでない場合などには、医師の就労可否の証明ということで、御本人が働ける準備の状態になっているかという確認を必ずと言っていいほどとるような状況にあります。
 就労パスポートは、御本人のキャリアアップも含めてということではあるのですけれども、試行の段階などで御本人が支援機関と就労パスポートを作成し、安定所にお越しになったときに、安定所として、もちろん参考にしながら、キャリアアップも含めて話を進めるわけですけれども、そこで、果たして仕事につながるかといったときに、ハローワークとして御本人のお手伝いがどこまでできるのかということで、少し悩みがありましたので、申し上げます。
 以上です。
○朝日座長 ハローワークの窓口での御体験からのお話でございました。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 柿島委員、お願いします。
○柿島委員 障害者手帳と、就労パスポートの対象者のお話を伺う中で少し思ったところがありましたので、発言させていただきます。
 まず障害者手帳についてです。手帳の有無についても記載するほうが、いろいろな方の理解がより進むといった御意見がありましたけれども、障害者手帳は、御本人や御家族の様々な事情を踏まえた上で、医療的な判断もあって取得できるものと思っております。そういった部分で、障害者手帳にはぎりぎり該当しないけれども困難を抱えている方もいらっしゃるのではないかと思っております。障害者手帳のない方も就労パスポートを活用されることがあると思うのですけれども、障害者手帳の有無を記載するところで、御本人が書きたくない場合や、事情があって取得できないというような葛藤がある場合に、「書かなくてはいけないのか」、「障害者手帳を取得しなければいけないのか」といった負担になるという部分についても考えておく必要があると思いましたので、発言させていただきました。
○朝日座長 ありがとうございます。
 清家委員、お願いします。
○清家委員 23ページのQ&AのQ3が少し気になっております。先ほどの、支援機関が作成した資料の添付という話に通じるかと思うのですが、支援機関のサポートを受けなくても、自分一人で就労パスポートを作成できるという人にはどのように対応すればいいかというところです。これから就労パスポートが普及していけば、いろいろな方がこれを使っていくことになると思います。もちろん、支援機関は使わず自分で書いていこうという方も大勢いらっしゃるかと思います。そうなったときに、もともと就労パスポートは基本的に支援機関と相談しながら作成するということが前面に出されているのですが、読み込んでいく中では、「御自分で作成しても構わない」という文面もあります。支援機関の一人としてできることは、ともに作成したものであれば先ほどの添え状のようなものをつくって、「本人と相談しながら作成しました」ということを記載して提出しようかと思いつつ読ませていただきました。
 それと、こういった方(支援機関とは関わらず自分で作成する方)と関わることが多いのは、多分ハローワークではないかと思います。ハローワークの窓口の担当者が、御本人のいろいろな話を聞きながら、障害者手帳についてもそうですけれども、御本人が作成したものを一緒に確認し、なぜこういったものが必要なのかとか、どういう思いで作成したのかということを聞きながらやりとりし、自己理解を深める、そのステップをともに歩んでいくことが大切であると思います。ハローワークの大きな役割と思います。そういったステップを踏みながら支援機関を紹介するなどしていただけますと、支援機関としては御本人と良い関係性を築けると思います。様式の「支援機関」欄の名前がひとり歩きしていかないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。支援機関との関わりがさほどなくても、御本人が一人で作成したときに、「ここがバックアップしています」というような使われ方も出てくるのではないか、という御意見だったと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、ここまで修正案に対しまして多様な角度から御意見を頂戴しました。意見が集中したものとして、1つは障害者手帳の有無を記載するかどうかということです。これについては、例えば項目としてあって、記載するかどうかは自由ということもあり得るでしょうし、項目があると、そこにある意味縛りが出て、書かなければいけないという印象を与えるかもしれません。他方で、プロセスとして考えれば、障害者手帳の有無を記載する欄があるほうが役に立つかもしれない、というように、どういう角度からこれを捉えていくかについていろいろな御意見があったと感じたところです。
 もう一つ、座長としての見解が加わって申し訳ないのですけれども、高橋委員のおっしゃったキャリアアップの視点は、結果として、自分の状況や必要な支援を客体化して就労パスポートに記載し、それを必要な人たちと共有化することによってその人の広い意味でのキャリアが進展していくのは、とてもよいことだと思います。あとは、その表現、受けとめ方で、これをきちんと書かないとキャリアアップにつながらないといったことになると、今度は非常に荷が重たくなるおそれもあるでしょう。結果として広い意味でキャリアアップしていくことについてはどなたも異存はないと思いますが、キャリアアップしなければいけないといった雰囲気を当事者の方に与えるのはどうか、ということを少し感じたところでございます。
 あと、もう一つは本質論で、この就労パスポートがどういう役割を果たすかというところになります。就労パスポートは、自分で管理して、自分で保管し、自分で記載項目を選べるわけですので、myパスポートの側面があります。「就労パスポートを持っています」ということで、空欄がとても多いけれども、今、書き切れるのはこれだけですという点で、myパスポートという部分のよさと懸念、留意点が考えられます。それから、yourパスポートと言うと、これはもう企業の採用のためだけになってしまうというように捉えられてしまい、就労パスポートは自分のためのものという点で対比すると、yourパスポートというのは違うかと思います。そうすると、ourパスポート、私たちの就労パスポートという感じで共有化できると、きっと就労パスポートの趣旨が活かされていくのではないか、と私なりに理解いたしました。
 それでは、事務局から、ここまでのところでもし何かあれば御発言をいただいてもよろしいですか。
○地域就労支援室長 いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 記載ぶりやキャリアアップの視点12ページ等の現状把握などがございました。このあたりは、後ほど説明いたしますけれども、試行して、現場の声もお聞きしながら、どういった形にするのがいいのかについて、また、この検討会の場で御議論いただきますとともに、御相談させていただければと思っております。
 なお、障害者手帳に関する部分につきましては、これまでの検討会でもいろいろな御議論があったと承知しておりますけれども、就労パスポートの主体はまず誰なのかというと、障害のある方御本人です。御本人が使う就労パスポートに、障害者手帳の有無を記載する欄を一義的に載せるというのは、その記載を求めるということでもあります。障害者手帳の有無の確認に当たっては、プライバシーに配慮したガイドラインを出しており、そことの兼ね合いや、就労パスポートの趣旨、それから、御意見でもいただきました、障害者手帳のない方にも支援ツールとして使っていくことも含め、支援ツールとして広げていこうという趣旨からすると、まず一旦は、障害者手帳制度と切り離す形でやらせていただくのが適当なのではないかというのが私の意見でございます。
 そういった点も含め試行の中での現場の意見も踏まえて、また、御相談させていただければと思っております。ありがとうございます。
○朝日座長 よろしいでしょうか。
 もう一点、今回、ガイドラインの2ページに就労パスポートの名称の意味合いが新たに加えられています。先ほど御説明いただいたのですけれども、きょう御欠席の倉知委員からは、以前から、名称が本当に「就労パスポート」でよいかどうかという投げかけをいただいておりました。このことに対する一つの回答の根拠というふうに思いますが、この新たな説明ぶりを踏まえた上で、この名称について、もし何かございましたら、御意見をいただきたいと思います。
 では、成澤委員、お願いします。
○成澤委員 私はこの就労パスポートという名称は大賛成です。誤解を生むという指摘もあったかもしれませんが、この説明書きですっきりしたという印象を受けています。当社は全国にお店があるので、各地のいろいろな支援機関などとつながりがあり、就労パスポートの話がニュースに出たときから、「今度、就労パスポートができるのですね」という話をよく投げかけられています。「情報共有シート」という言葉もいい言葉で、いいものができ上がっていますけれども、もっとみんなが使いやすい、みんなが言葉にしやすいという意味では、この「就労パスポート」という名称はとても浸透していますし、これからますます広がっていく、発信していくにはこの名称は本当に適切だと私は思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
では、先ほどの地域就労支援室長の説明からすると、実際の試行の中でいろいろな角度から、わかりやすさ・わかりにくさや誤解の有無、共有ツールとしての価値といった観点で現場の意見を把握していくということでよろしいでしょうか。
 そうしますと、御意見の部分は、御本人向けの活用の手引きにも関連するところが多くございましたし、また、きょう最後の、試行についての御議論を踏まえての課題にもつながっていくと思いますので、次第の1番と2番については、改訂案をベースとし、記載例などについては、実施に至るまでにさらに工夫をする、基本的にはこの方向で進める、ということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○朝日座長 ありがとうございました。
 では、次第の3番「本人向けリーフレット及び活用の手引きについて」、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○地域就労支援室長 よろしくお願いいたします。
 御本人向けの資料ということで、資料3-1「本人向けリーフレット」と、資料3-2「就労パスポート活用の手引き」がございます。
 まず、資料3-1「本人向けリーフレット」でございますけれども、障害のある方御本人に、活用のメリットも含めて就労パスポートのことをよく御理解いただくことが大事ということで作成したものであります。リーフレットには、「作成・活用のメリット」として自己理解を深めることや、「作成・活用・更新の流れ」などを書かせていただいています。また、裏面には、試行を通じて現場で得られた利用者の声も載せられればよいかと考えております。
 それから、資料3-2「就労パスポート活用の手引き」は、今、御議論いただいたガイドラインをベースに、御本人向けの表現ぶりで詳しく書いたものでございます。就労パスポートについては、基本的に支援機関をキーにして活用していくのがよいだろう、というのがこれまでの議論だったと思います。そのように活用する中で、御本人が「自分で読んで使いたい」といったニーズが出てくるかもしれませんので、それに対応できるよう御本人向けの手引きをつくらせていただいたところでございます。
 このように、御本人が理解しやすいリーフレット版と詳細版ということで、御本人向けの資料として活用してはどうかと考え、今回、提示させていただきました。御意見等をいただければと思います。
 以上でございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
 今回初めてリーフレット及び御本人向けの活用の手引きを御提示いただいたところでございます。
 それでは、御意見をいただきたいと思います。高橋委員、お願いします。
○高橋委員 詳細版は、御本人が使うには躊躇するぐらい情報量が多く読みにくいという印象です。かなり情報をカットして、チラシ+アルファというイメージで、見たい方の理解を深めるためには工夫が必要かと思います。例えば、後半に記載例が書かれてありますが、御本人向けであれば、就労パスポートの様式そのものに記載例を書き込んだものを掲載するほうが、リアルに書き方のイメージがわくのではないかと思います。
 もう一点、先ほどの障害者手帳の話について誤解のないようにお伝えしたいと思います。障害者手帳の有無ということではなく、プロセスが共有されることによって御本人の自己理解が進むということがそもそもあるのではないかと思うのですが、そこに、御本人が「障害者手帳を持ちたくない」というマイナスの側面があることも当然わかるのです。一方で、プラスの側面もある、行政の一つの制度としてあるということがあまり知られていないことで、マイナスの側面からのみとらえられてしまうのは、とてももったいないと思っています。
 先ほどの繰り返しになってしまうのですけれども、自己理解の方法はいろいろあると思いますが、例えば、いろいろな検査を受ける場合で、民間だと多くの費用がかかるときに、ある意味一つのセーフティネットがあるということを、就労パスポートに書けないのかもしれないのですけれども、とても有効な面として、御本人にも少しでもプラスの面の選択肢として何か伝わるとよいのではないかと思い、先ほど発言しました。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。吉岡委員、どうぞ。
○吉岡委員 吉岡です。
 利用者向けリーフレットについてです。非常に読みやすくていいのですけれども、初めて支援機関に来られた方についての支援をどうしていくかという視点でリーフレットを見たときに、裏面に支援機関が列記されていると、個々の支援機関を利用したことがなく、それぞれの支援機関の役割や機能についてご存じでない方々が、もしかしたら「全ての支援機関で同じ水準で就労パスポートの作成支援をしてくれるのかな」と思うのではないかと感じました。例えば、御本人が「一番近い支援機関に行ってみよう」と考え、訪問し、就労パスポートの作成支援をお願いした場合に、そこでリーフレットに列記された支援機関の全てで対応できないということもあるかもしれない、ということを考えたときに、支援機関が列記されていると現場で混乱があるのではないかという気もしています。そのため、例えば、就労パスポートの作成支援を行う機関として、代表としてハローワークを挙げていただき、先ほど清家委員からお話がありましたけれども、ハローワークにおける相談の中で御本人の就労パスポートの作成の意味やメリットについての理解をより深めていただいた上で、さらに必要な支援機関を紹介していただくほうが、実行としては混乱が少ないのではないかと思うところがあります。
 そういった面から言えば、活用の手引きの5ページ目に、「ステップ2 支援機関を活用しながら就労パスポートを作成」とありますけれども、ここの2点目と3点目の間に、「ただし、一度の相談などで作成の支援が可能となるとは限りません。一定期間の相談や支援プログラムへの参加などを経て作成することをお勧めします」といった一文を入れていただければと思います。それによって就労パスポートはすぐに書いてできるというようなものではなく、支援機関と相談したほうが御本人がさらなる気づきを深め、いいものができるといったところが加わってくると思います。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
 支援機関向けの活用ガイドラインには「貴支援機関がこの活用の期待になり得ます」というところは書かれていない中、御本人向けのリーフレットで初めて「ここが就労パスポートの作成支援をしてくれます」ということが書かれましたので、その書きぶり、前提について現場の混乱を招かないように、ということでよろしいでしょうか。
○吉岡委員 はい。
○朝日座長 全然関係ない場所ではないかもしれませんけれども、例えば、近くにある就労移行支援事業所に行って就労パスポートをつくりたいと言ったときに、「まだ支給決定されていません」という話になってしまうということでございますね。
○吉岡委員 いわゆるたらい回しが起こらないように、ということですね。
○朝日座長 さらに、いかがでしょうか。
 御本人向けの活用の手引きについて、先ほど御指摘があったように、書字の理解という点で読みこなすことがなかなか大変な状況にある方もいらっしゃると思うので、まずは、このリーフレットで就労パスポートの全体像、目的と活用の意義が一目でわかるようにしていくことは非常に重要な気がいたします。
御本人向けのリーフレットについてはいかがでしょうか。就労パスポートを活用される御本人にメッセージとして伝えることができますでしょうか。
 小幡委員、お願いします。
○小幡委員 御本人向けの活用の手引きは作成マニュアルとして位置づけられていくのか。それとも、この間議論をしてきたように、御本人の特性や強みをしっかりと記載していくときに、支援機関と関わりがあれば一緒に作成し、関わりがなければ、作成し始める第一歩を一緒にやっていきましょうと呼びかけていくのか。それによって変わってくると思います。提示されているリーフレットがあれば事足りるかもしれませんが、これで難しい方もいらっしゃるかと思います。
作成方法やいろいろなことをもっと知りたいという方には、活用の手引きなども紹介していったり、書面だけではなく、そこに関わる支援者や窓口の方が丁寧なやりとりをするということが相乗効果的にあることを前提にする必要があると思います。文面だけですと、向き不向きを押さえ切れないところが多々あるので、リーフレットを一つの土台にして、手引きを使ったり、人と関わったり、必要な機関に行ったりというように、いろいろなバリエーションでやりましょうということについて、わかりやすい表現が加わればよりよいのではないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 確認ですけれども、活用の手引きというのは、作成の手引きでもあり、共有して活用していくための手引きでもあるわけですが、御本人から見たときにどのような進め方があるか、という理解でよろしいでしょうか。
○小幡委員 はい。
○朝日座長 小幡委員からは、ベースはこのリーフレットで、その後、状況に応じてガイドラインなどの活用や必要な支援をしていく、という考え方をお示しいただきました。
 ほかはいかがでしょうか。
 ここまでの議論からすると、吉岡委員から御指摘がありました、御本人向けリーフレットの裏面、「就労パスポートの作成支援を行う主な機関」という部分について、実際にはこういうところに担っていただかないと支援が展開しないと思いますので、試行の段階でもここの書きぶりについては誤解がない表現にしていただく、ということでいかがでしょうか。
○地域就労支援室長 ありがとうございます。
 今、座長がお話しになったように、就労パスポートの作成支援を行う主な機関の示し方、書き方は少し検討したいと思います。「たまたま近くにあったからここへ来ました」ということで、御本人にとってデメリットとなることが一番よくないと思いますので、検討させていただきたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかに、御本人向けリーフレットと活用の手引きの関係ではいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、いただいた御意見をもとに必要なところは修正し、基本的にはこの考え方で進めていくということでまとめさせていただきます。
 では、次第の4番「就労パスポートの試行について」でございます。事務局から御説明をお願いします。
○地域就労支援室長 それでは、資料4「就労パスポートの試行について」を御覧いただければと思います。「1 趣旨・目的」にありますけれども、就労パスポートの試行版を就労支援機関で実際に使用していただきまして、障害のある方御本人、支援者の方々、事業主の方々から現場の意見を収集し、反映していこうというものであります。
 実施時期につきましては、6月から8月にかけての約3カ月間を想定してございます。
 対象につきましては、3の(1)~(4)までございます。この検討会に御参画いただいている委員の機関については、ぜひ、御協力をよろしくお願いしたいということでありますし、就業・生活支援センターと就労移行支援事業所のところに「等」とありますけれども、これは、全国団体や関係団体にこれから相談させていただいて、御協力いただけるところについては試行をお願いしようと思っているところであります。対象機関の数としては10機関程度と書いておりますけれども、これはあくまで目安でございます。できるだけ現場の生の声を聞ければというのが我々の思っているところであります。
 「4 実施方法」になりますけれども、就労支援機関において、就労パスポートの活用について同意が得られた方を対象に、就職前、就職時、就職後の職場定着といった場面で、この試行版を使って試行していくということでございます。当然ながら、就労支援機関と連携しているハローワークについても、事業主に対する説明、情報共有、働きかけ等を行って、事業主サイド、それから医療も含めて現場の声を把握できればと思っているところであります。
 「4 実施方法」の一番下、「原則として」ということでありますけれども、障害のある方御本人と支援者の御意見は就労支援機関から聞かせていただき、また、事業主の御意見はハローワークに集約して聞かせていただくことを想定してございます。
 次のページには、「聴取項目」ということで作成の時点、作成の方法等を書いてございます。これについては、後ろのページへございますように質問票をつくってございます。いつ、どんな場面でつくったかなどをチェックする形で記載いただけるものと、定性的な御意見について記述いただけるものを御用意させていただきました。
 また、このように様式上で御意見をいただくことに加え、提出いただいた質問票の状況も見まして、我々のほうで直接ヒアリングを行い、現場の生の声をお聞かせいただくことも考えられるのではないかと思っています。そういったものも含めて試行しながら、現場の意見を聞いていきたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
○朝日座長 ありがとうございました。
 試行に向けた考え方を示していただきました。この点につきまして御意見等があれば、お願いしたいと思います。
 栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
 とりあえずやってみましょう。そして、問題点があれば、その都度見直す。実施するという前提で進んでいるので、まずトライしてみましょう。
○朝日座長 ありがとうございます。
 小幡委員、お願いします。
○小幡委員 試行期間がタイトというところで、就職前や就職時はこの3か月でも幾つか事例ができるかもしれないのですけれども、就職後については、サンプルを押さえるのは非常に難しいのではないかと思うので、どのようにフォローするかについて、別途検討しておくほうがよいのではないかと思っています。
 そういった意味では、単なるサンプルをとるだけにとらわれずに、関連する職能領域の機関、また、精神障害のほうでも就労連絡会のようなところもありますので、そこへヒアリングを行い、意見を集めるということがあってもよいかと感じました。
○朝日座長 ありがとうございます。
 さらに、いかがでしょうか。
 柿島委員、お願いします。
○柿島委員 試行の対象機関について御紹介がありましたけれども、実施期間が限られているのでなかなか難しい部分もあるかとは思うのですが、多様な意見の収集というところで、ぜひ、広く関係機関に呼びかけを行っていただければと思っております。
○朝日座長 ありがとうございます。
 さらに、いかがでしょうか。
 実施方法を改めて拝見すると、きょうの前段の議論の中でも出ておりましたが、就労パスポートの活用が有効と考えられる求職者として、一定程度の職業準備性がある方がイメージされていることが、この試行の段階でも示されていると思います。「一定程度の職業準備性とは何か」というのは、それぞれ置かれた状況や支援の状況に応じて決まっていくのかもしれませんけれども、ここで示されています。就労パスポートの活用を勧奨する、ということであって、ほかの人はだめとは全然書かれてはおりませんけれども、対象者のイメージとしては、試行の実施方法の中に示されております。
 ほかはいかがでしょうか。
 高橋委員、お願いします。
○高橋委員 対象者のイメージについては小幡委員とほぼ同じ意見で、試行は賛成、やりましょうという点は栗原委員と同感です。対象者お一人お一人のビフォアー・アフターを把握する期間としては短すぎると困るので、そこをどう把握していけばよいか整理してから試行に入れればよいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 そのあたりの方法論、あるいは協力いただく方の選定基準などについて、事務局から、何かお考えがあれば教えていただいてよろしいですか。
○地域就労支援室長 御意見ありがとうございます。
 我々も、今御意見をいただいたように、一人の方について3か月間で就職の時点から職場定着まで追っていくというのは、なかなか難しいと思っているところです。御協力いただける機関で、試行に同意・御協力いただける障害のある方がどのぐらいいるのかにもよりますけれども、例えば、就職後であれば、既に雇用されていて、一定期間働いている方に御協力いただけるかということも考えられると思います。そういった場面も含め、どれだけの規模感で試行できるかについては、今の段階で明確にお示しできず申し訳ないのですけれども、整理の上、御参画いただいている委員の機関に御協力いただくということで、改めて御連絡、御相談させていただければと思っております。
○朝日座長 ありがとうございました。
 高橋委員、よろしいでしょうか。
○高橋委員 はい。
○朝日座長 一つ一つの事例を長く追っていくのは無理なので、場面・状況にバリエーションをつける中で傾向を蓄積していく、ということですね。
 ほかにはいかがでしょうか。
 成澤委員、お願いします。
○成澤委員 成澤です。
 試行の対象者は、これから就職を目指す方と、実際に働いている方という説明がありました。当社で言うと、入社時には就労移行支援事業所がついていたのですが、1年ぐらいたつと離れていき、相談相手が誰もいないといった方々がいます。そういう方々に就労パスポートを使ってもらい、困っていることなど生の声を事業主として把握し、就労パスポートで解決できることがあるのではないかと感じています。協力できることがあればぜひ協力したいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 さらに、いかがでしょうか。
 小幡委員、お願いします。
○小幡委員 今までの話の中に含まれていることだと思うのですけれども、障害種別として、精神障害、発達障害、高次脳機能障害ということが挙げられています。実施できるところからの優先にはなりますけれども、そのサンプル数に偏りがあれば、事例の少ない対象にも手が届くようなサンプルを選んでいただくということが必要かなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 ありがとうございます。
 清家委員、お願いします。
○清家委員 まさに試行する立場でありまして、皆さんのお話をいろいろ伺っている中で、対象者としては、準備段階の方、これから職場実習や企業就労に向かう方、既に働いて一定期間経っている方というイメージをしているのですが、それでよろしいでしょうか。今おっしゃった障害種別などは、試行対象者数などの状況を踏まえながら御相談いただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 6月から8月ということで、少しタイトというお話もありましたけれども、いい事例がこの短い期間で、かつ、どのくらいできるか。今回の試行を実施する支援機関は10機関程度ということですけれども、事務局のほうではどのくらいの事例数を想定されていらっしゃいますか。
○地域就労支援室長  イメージとしましては、例えば、精神障害の方、発達障害の方について、最低10事例ずつはないと現場の声は把握できないだろうと思っております。そこにいろいろな支援機関、企業の方が結びついてきますので、全体的な規模感としてどうなるかというのは、少し考えないといけないとは思うのですけれども、事務局としては、今申し上げたぐらい事例数がないと、就労パスポートをどうしようかという話に収れんしていかないのではないかと思っております。
 また、先ほど申し上げましたように、協力機関についても、これから関連団体も含めて御相談しようと思っていますけれども、小幡委員からもお話がありましたように、精神障害、発達障害の方ということを考えたときに偏りがないようにということもあると思いますので、そのあたりも含めて整理したいと思っております。
○朝日座長 ありがとうございました。
 ほかに、試行についてはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。御協力いただける旨の力強い発言もありましたので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次第の5番が「意見交換」ということで、実際には1番から4番までの案件につきまして意見交換をしてきたところでございます。全体をふり返って、何かございましたら、御発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
 試行期間が6月から8月ということで、サンプルがうまく集まればいいのですが、見直しは何度ぐらい考えていらっしゃいますか。1回だけの見直しでは多分済まないと思うのですが。
○朝日座長 これからの検討のスケジュールにも関わる部分だと思いますので、事務局からお願いします。
○地域就労支援室長 試行は8月までとしていますけれども、それ以降、秋の時点で一度試行の意見や本日いただいた御意見も含めて整理し、検討会の場で御議論いただこうと思っております。そして、ある程度形が定まった上で、年度後半は、具体的に使うための周知活動に移れればというイメージでおりますけれども、そのあたりは、今後御相談させていただければと思っております。
○朝日座長 よろしいでしょうか。
○栗原委員 はい。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、ここまで議論を重ねてまいりましたので、いろいろな意味で改善・修正をしていくという前提ではありますけれども、試行をしていただいて、就労パスポート、ガイドライン、リーフレット等々がより効果的になるように努めていただきたいということでまとめさせていただきたいと思います。
 それでは、本日御準備いただきました次第については、以上とさせていただきます。
 事務局にお返ししたいと思いますが、委員の皆様ありがとうございました。オブザーバーの皆様もお疲れさまでございました。
○地域就労支援室長補佐 ありがとうございました。
 検討会の次回の日程につきましては、試行実施後、9月ごろの開催を予定しております。また改めて調整させていただければと思います。
 それでは、以上で「第3回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。