2019年6月7日 第7回肝臓移植の基準等に関する作業班 議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

日時

令和元年6月7日 (金) 10:00~12:00

場所

都道府県センター 4階  410会議室
(東京都千代田区平河町2-6-3)

出席者

委員(五十音順)

議題

(1) 肝臓移植希望者 (レシピエント) 選択基準の改正について
(2) その他

配布資料

■ 資料1-1 肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準について
■ 資料1-2 肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準について- 肝細胞がんに対するMELD換算値付与、周期加点の条件 -
■ 資料2  学会からの要望
■ 資料3  肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準

議事

議事内容
○曽山補佐 定刻になりましたので、ただいまより、第7回肝臓移植の基準等に関する作業班を開催いたします。班員の先生方におかれましてはお忙しいところ、お集りいただき誠にありがとうございます。
前回の作業班の開催が平成30年4月24日ですので、約1年ぶりの作業班となります。前回から班員の先生方も変わっておられません。時間の制約もございますのでこのまま会議を進めさせていただきます。本日頭撮りの希望がありますが、頭撮りはここまでといたします。これ以降のカメラ等による撮影は御遠慮ください。

本日は、古川委員、星野委員から御欠席との御連絡を頂いております。
それでは、以後の議事の進行は田中班長にお願いしたいと存じます。田中班長お願いいたします。

○田中班長 議事に入ります。今日の会議はタブレットによるペーパーレスの会議ということで、まず事務局からタブレットの端末について、それから資料についての説明をお願いいたします。

○曽山補佐 タブレットは議事次第を画面に表示した状態で配布いたしております。画面の左上にあります、マイプライベートファイルという箇所をタップしていただきますと、ホルダーの中の資料一覧が表示されます。ホルダー一覧の、資料1-1「肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準について」、今回検討する項目についての記載です。資料1-2「肝細胞がんに対する周期加点の条件」です。ポンチ絵等を含む資料です。資料2、「学会からの要望」、資料3、現行の「肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準」となっています。タブレットの操作などに不明な点がありましたら手を挙げていただければ事務局の者がまいりますので御遠慮なくお申し付けください。またお手元にタブレット操作説明書もお配りしておりますので適宜御参照ください。
なお、タブレット、タッチペンは会議終了後持ち帰らず、机の上に置いたままとしていただきますようお願いいたします。事務局からの説明は以上です。

○田中班長 検討事項に入ります。資料1-1、資料1-2、資料2、資料3に基づいて議論を進めていきたいと思います。検討事項、肝臓移植希望者選択基準、優先順位、医学的緊急性における肝細胞がんの取扱の説明を事務局からよろしくお願いいたします。

○曽山補佐 資料1-1を御覧ください。今回の作業班開催の経緯です。平成30年12月26日に日本肝臓学会肝移植委員会から、肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準における肝細胞がんに対するMELDスコア換算値付与、周期加点の条件について検討を開始してもらえないかという要望がありました。今回の作業班で検討する項目として、肝臓移植希望者選択基準の優先順位、(3)医学的緊急性における肝細胞がんの取扱に関してです。
続きまして資料2を御覧ください。こちらが日本肝臓学会肝移植委員会から、厚生労働省移植医療対策推進室に頂きました要望書になります。この中で肝移植委員会では、肝細胞がんに対する肝移植の適応基準を、後ほど詳細は述べますけれども、ミラノ基準内あるいはミラノ基準外でも腫瘍径5cm以内かつ腫瘍個数5個以内かつAFP500ng/ml以下のものと改定する方向で検討を始めましたという御連絡を平成30年12月に頂いております。これに伴い脳死肝移植におけるレシピエント選択基準における肝細胞がんの登録時の取扱に関して、現行のミラノ基準から前述の新基準への変更に関する検討を開始してもらえないかという要望が12月にあったということです。

要望書のもう1つを見ていただくと、日本肝臓学会肝移植委員会で検討を重ねられ、令和元年5月31日当肝移植委員会での最終意見がまとまり、先ほど申し上げた基準を肝細胞がんに対する肝移植の適応基準とすることを決定されました。また令和元年8月1日より、脳死肝移植希望者(レシピエント)適応基準を変更することとしたとの御連絡を頂きました。「それに伴い現在の肝移植希望者(レシピエント)選択基準において、肝細胞がんの患者に対する周期加点を得るための基準を、現行のミラノ基準からミラノ基準内あるいはミラノ基準外でも腫瘍径5cm以内かつ腫瘍個数5個以内かつAFP500ng/ml以下のもの」という基準への変更検討の要望があったということです。

今の基準も含めまして、資料1-2で説明いたします。資料1-2の2ページ目になります。先ほど要望書の中でも、「適応基準」という言葉と「選択基準」が出てまいりました。ここでまず最初にこの適応基準と選択基準について整理させていただければと思います。レシピエント適応基準ですが、こちらは患者の登録に係るルールです。レシピエント適応基準は、最新の医学的知見に基づいて、患者登録をするために、学会が作成する基準ということで、先ほど要望に頂いたように、学会で適応基準を決定されたということです。次にレシピエント選択基準ですが、こちらはあっせんに係るルールです。レシピエント選択基準は、個別事例において、登録されているレシピエントの中で、臓器あっせんを行う優先順位等を決定するための基準で、一番下のフローです。(レシピエント)選択基準を改正するための手順ということで、先ほど申し上げた学会からの要望が最初にあったということです。そして今回青い四角の中で囲んでいます厚労省の所にありますが、各臓器作業班、今回は肝臓移植の基準等に係る作業班の、この中で検討を行っていくということです。

次のページを御覧ください。現行の肝移植希望者(レシピエント)選択基準における優先順位です。まず、ドナーが発生した場合、臓器の提供がある場合に、そのあっせんの優先順位は、親族への提供希望がある場合には親族優先。ドナーが18歳未満の場合には、18歳未満のレシピエントを優先。次にABO式の血液型で一致を適合より優先。その次に医学的緊急性、待機期間と続きます。

今回御議論を頂くのは医学的緊急性です。その中にStatusⅠ、StatusⅡとありますので、次のページで御説明いたします。医学的緊急性にはStatusⅠとStatusⅡを設けています。StatusⅠは予測余命が1か月以内の疾患・病態群であるものと定義とされており、StatusⅠ以外の方は全てStatusⅡになります。StatusⅡにおける優先順位は、MELDスコア、その式は下に示していますが、MELDスコア又はMELDスコア換算値、これについては後ほど説明いたします。MELDスコア換算値が高い順に設定されているということです。(※の2)原疾患が以下の場合、移植希望者登録時にMELDスコア換算値を16点(HIV/HCV共感染重症患者を27点)、最初の登録時にこの換算値が付与されるということです。そして登録日から180日経過するごとに2点加算します。
このMELD換算値を付与される疾患名が青い四角の中で囲んでありますが、このようにリスト化されています。その中で今回の検討事項である肝細胞がんについては(注2)を御覧ください。次のページに大きくしてありますのでそちらを見ていただければと思います。先ほど疾患のリストでは180日ごとに周期加点と御説明しましたが、肝細胞がんについては、90日経過するごとに画像検査を施行し、ミラノ基準の遵守を確認した上で、登録時のMELDスコアに2点加算した値を登録するということです。肝細胞がんの取扱に関しては、このようなルールが優先順位の中に設定されております。

次のページを御覧ください。日本肝移植学会より提示された調査結果ですが、先ほどの学会からの要望にもありましたけれども、学会からの提示された調査結果に基づく基準を示しておりますので、こちらの説明をいたします。日本肝移植学会では、2011年44施設にアンケート調査を実施し、調査対象としては生体肝移植例の965例でした。この調査結果に基づき、先ほど学会からの要望にもありました「腫瘍径5cm以内かつ腫瘍個数5個以内かつAFP500ng/ml以下」という基準が報告されており、その四角の→の下を見ていただきますと、ミラノ基準あるいは5-5-500基準を基準とした場合、対象となる患者がミラノ基準に比して19%増加し、5年再発率10%未満、5年生存率70%以上という結果が報告されたところです。こちらは2018年の『Transplant International』に出版されているところで、先ほど申し上げたミラノ基準あるいは5-5-500基準という基準に関しては表(Table)の一番下に記してある所で、その上にミラノ基準、5-5-500基準が書いてあります。

次のページを御覧ください。ミラノ基準と5-5-500基準という2つの基準に関して、腫瘍径また腫瘍個数がどちらも基準に入っていますので、このように重なる部分も出てきます。例えばミラノ基準と5-5-500基準の重ならない部分、ミラノ基準の朱色というか、そちらで三日月状になっている所ですが、例えばこういう所はミラノ基準内でありながら5-5-500基準外となる患者ということです。腫瘍マーカーが高いという患者群になるかと思います。『Transplant International』に報告された結果によると、下の→2つですが、5-5-500基準はミラノ基準より11%の適応人数拡大となるということと、5-5-500基準は、ミラノ内の患者群においては、再発ハイリスク群の予測に有用であるということが述べられております。参考までに、先ほど申し上げた朱色の三日月の部分ですが、実際に今まで脳死肝移植の待機リストに登録された患者の中でデータを見ますと、289例中で3例だったというデータを、脳死肝移植適応評価委員会から御提供頂いております。

次のページを御覧ください。ミラノ基準と5-5-500基準の2つの基準に関しては重なる所、重ならない所という箇所が出てきますので、患者群の中でミラノ内あるいはミラノ外5-5-500内、5-5-500外という基準のほかにそれぞれ重なる所、重ならない所でこのようなサブグループが出てくるので、このサブグループごとの生存率あるいは再発率という所をお示していますので、こちらも後ほどの議論のときに御参考にしていただければと存じます。

次のページを御覧ください。こちらはサブグループのサバイバルカーブを示したもので、ミラノ内に入っているもの、5-5-500内に入っているもの、あるいは入っていないものということでサブグループを作っています。こちらも例としてお示ししていますが、ミラノ内/5-5-500外とミラノ外/5-5-500外には有意差なしというデータもありますので、こちらも参考にしていただいて、議論していただければと思います。

次のページを御覧ください。ここで諸外国の臓器あっせんルールにおける肝細胞がんの取扱について御紹介したいと存じます。肝細胞がんの患者の場合には、MELDスコアが予後を反映しない場合が多いということで、適正なあっせんのため、本邦の他、米国あるいは欧州において、肝細胞がん患者の登録時の、欧州あるいは米国ではExceptional pointと呼ばれていますが、これが本邦における登録時のMELDスコア換算値となっており、このようなExceptional pointが設定されているということです。
それでは、どのような方に肝細胞がんにおけるExceptional pointが付与されるかということですが、ここに条件が設定されております。例えば米国ではそこにT2criteriaとあり、腫瘍径、腫瘍個数という所とAFPも考慮した基準が設けられており、この基準を満たす方に最初にポイントが付与されて、その後加点に関してもこの基準が採用されているということです。欧州はミラノ基準がその基準に採用されております。
日本の現行のルールをおさらいしますと、登録時にミラノ基準を満たしている肝細胞がんに対して、その後もミラノ基準を遵守していることを条件として、90日ごとの周期加点がされるということです。

次のページを御覧ください。こちらは2019年5月14日の時点での日本臓器移植ネットワークに登録されている肝臓移植の希望者の原疾患別の数字になります。肝細胞がんで待機中の患者は319名中24名で全体の7.5%に当たります。また2017年末までに脳死肝移植を受けた患者のうち、肝細胞がんの患者数は444名中27名の6.1%でした。下の緑の四角は先ほど述べた数字です。

一番最後のページを御覧ください。今回の作業班にて検討する項目として、現行の肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準におけるMELD換算値の付与、また周期加点の条件、現行はミラノ基準ですが、そちらを変更し学会から要望された基準「遠隔転移や脈管浸潤を認めず、腫瘍個数5個以内かつ腫瘍径5cm以内かつ500ng/ml以下(5-5-500基準)」と呼びますけれども、こちらを含む基準とするかどうかについて御議論を頂ければと存じます。事務局からの説明は以上です。

○田中班長 ただいまの事務局の説明に、何か御質問はございますでしょうか。よろしいですかね。現行、ミラノ基準で適応を決めて、それに対して点数を付けていただいているということです。5-5-500という優れた基準があるということで、学会としてはそれは適応にする方向で検討しているのですが、脳死の加点をどのようにしていくかというのが今日のポイントになります。それでは、皆様方から御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○國土班員 先日の日本肝臓学会肝移植委員会でも申し上げましたが、経緯から言うと5年生存率を70%以上、再発率を10%未満にする条件を探して、現行のミラノ基準から外れている方をできるだけ救済したいという趣旨で始めた研究だと思います。その中で嶋村先生の論文にまとまったわけです。いろいろな意見があるかと思いますが、その中での議論としては、やはり広げるという趣旨で始めたものですから、特に問題となるミラノ内でAFPが高くて、少しだけ成績が悪い小さなグループを除外するというのは、ちょっと趣旨に合わないのではないかなと考えます。和集合というか、ミラノ基準を広げるという形で採用するのがよろしいかと思います。

○市田班員 これは、この前のお話と一緒で、肝細胞がんの適応基準はミラノ基準を中心にしてプラス、ミラノ基準をはずれている肝細胞がんも術後成績が良好なので増やすという意味合いと理解しております。そして、その割合は11%ですよね。ですから、そういう意味では極めて良い案だと思います。ただ、先生がおっしゃったとおり、ミラノ基準に該当しているにもかかわらず新基準の5-5-500から外れているので適応外とするというのは間違っていると思います。たしかに60%という生存率から見ると50%として成績は若干落ちるけれども、それも入れていくのが一番良いと思います。ただ、問題は登録した後、更新しますよね。そのときに、ミラノ基準を外れたらオミットしますよね。それと同じように、5-5-500を外れたらオミットするというのは、原則として残しておけばよいのではないかと思っています。

○田中班長 5-5-500を外れたらオミットするのですか。違いますよね。

○市田班員 いいえ、更新の際です。

○國土班員 新しい条件で広げた基準を。

○市田班員 最初は拡大した新基準をそのまま適応すればよいのです。

○田中班長 最初はね。

○市田班員 気をつけてほしいのは更新のときです。

○田中班長 更新のときにどちらかに入っていればいいわけですよね。

○市田班員 そうです。

○田中班長 分かりました。

○市田班員 多分、更新のときに結構問題になると思います。

○玄田班員 更新のときは、どちらか入っていればよいということですよね。

○國土班員 だから、同じ基準です。

○田中班長 同じ基準でいくということですよね。

○市田班員 その基準をずっといくのだけれども、ミラノ基準も5-5-500基準も両方逸脱したら外れると。

○玄田班員 そういうことですよね。

○市田班員 そうです。

○田中班長 それは、皆そうですよね。

○市田班員 それを勘違いしないようにしてほしいということです。

○國土班員 追加でよろしいですか。1つは、この間の会議でも申し上げましたが、ミラノ内でAFP500以上の患者群やはりちょっと成績悪い可能性がありますので基準拡大後もフォローアップはして、万が一将来、このグループだけは非常に悪いということが判明するようなら考えなければいけないかなと思います。
それと、この基準を広げることによって11%でしたか、適応症例が広がるという数字は過去のデータに基づくものです。要するに基準外ですから保険も適用されず原則として移植をやらなかったわけです。ですから、これを認められるようになると11%ではなくて、これまで諦めていた症例が入ってきますからもっとパーセントは上がると予想いたします。

○田中班長 適応になる人が増えるということですね。

○國土班員 そうです。これまでは自費でしかできなかったわけなので、自費でやる人だけやっていたデータですから、将来、保険が効くようになるともっと広がりますので、比率としては上がることが予想されると思います。

○上田班員 私は、当初は古いミラノ基準を見直すといって新しい日本の基準を作るという意味で、ミラノ基準をなくして5-5-500にしてほしいと思っていたのですが、先生方の意見をお聞きして、適応範囲を広げるという意味でミラノ基準、あるいは5-5-500というので納得いたしました。

○田中班長 ああ、先ほどのね。

○玄田班員 うちの医局員と話したときに、ミラノ基準という言葉は残しておかないと、完全に5-5-500に移行してしまうとオミットされる部分の誤解が生まれるので、ミラノ基準若しくは5-5-500基準ときちんと両並びにしておかないと、臨床現場で誤解が生まれると思います。ミラノ基準はしっかり残しておいてもらって、5-5-500基準まで拡大可能という説明をしたほうが分かりやすいかなと思います。

○田中班長 ミラノ基準はもちろん残しますし、両方の名前がしっかり出るという。

○玄田班員 出るというのが大事かなと思いますね。

○田中班長 その足し算だということをしっかり出してほしいと。

○玄田班員 そういうことですね。

○田中班長 ミラノ基準は十数年ですか、世界的にかなり認められている基準ですし、5-5-500も日本で新しく作られた良い基準ということで、両方の名前はしっかり残すということですね。

○玄田班員 そうですね、残さないと誤解が生まれると思います。

○笠原班員 現在、お待ちいただいている患者さんが私が思っているよりも少ないですね。HCCの患者さんが今現在7.5%しかおりませんで、これは通常の成人の肝移植又は全体の肝移植のパーセンテージからすると、大分少ない印象を持っていますので、広げる方向で待機患者あるいはHCCでお悩みになっている患者さんには、非常によろしいことではないのかなと思います。賛同いたします。

○田中班長 皆さん御賛成ということですが、室長、いかがですか。

○井内室長 ここで決めていただければよいです。今のお話だと、今のミラノ基準を丸々ミラノ基準プラス5-5-500に置き換えるということだと思います。そうすると、学会で決めていただいている適応基準とも合致するので、加点するものと登録するものが一緒なので、運用上も混乱は少ないかなと思います。

○市田班員 ベースは、非代償性肝硬変というのは確認しておかなければいけないですよね。先生がおっしゃったとおり、非代償性肝硬変の肝臓細胞がんはそんなに多くないのですよね。

○笠原班員 はい。

○市田班員 代償性の肝硬変からの肝細胞がんは多いのですが、この適応基準からは外れます。このベースは押さえておきたいですよね。非代償性肝硬変でHCCと。

○田中班長 Child Cでということですよね。

○市田班員 そういうことです。

○田中班長 その基準は変わらないと。

○市田班員 変わらない。

○田中班長 要するに、肝臓の機能が良ければほかの治療を優先して考えてほしいと。ただ、Child Cになると、移植以外はほとんど治療法がないのでということですね。

○市田班員 そうです、その確認です。

○曽山補佐 そうですね、それは適応基準なので。

○田中班長 そうか、適応基準ですね。選択基準ではないですね。

○曽山補佐 適応基準を8月1日からこのように変えますということで要望書を頂いています。その中に明記していただければ、それはもう学会で決めていただく基準ということです。現行のものは非代償性肝硬変の場合のみと書いてありますので、それをそのまま残すということであれば残していただいてというように思います。

○田中班長 分かりました。変えるというか現状はそうなので、それはそのまま単純にはっきりさせるということですね。

○曽山補佐 そうだと思います。

○國土班員 肝硬変で非代償性ですから、この基準内ではもちろん、アメリカのようにChild Aでは登録できないわけです。それは一緒だという理解ですよね。

○曽山補佐 それは適応基準で。

○國土班員 一緒ですね。

○田中班長 今のところChild Aではできないです。

○國土班員 ということですね。

○曽山補佐 学会で決めていただきます。

○國土班員 はい。

○曽山補佐 1点よろしいですか。先ほど國土先生から11%増加するということで、自費で受けられていた方がいたのでということがあったのですが、論文自体は生体のデータですので、先ほどおっしゃったのは生体の話ということでよろしいでしょうか。

○國土班員 そうです。ですから、ミラノ外の生体は自費で扱ってきました。

○曽山補佐 そういうことですよね。

○國土班員 このグループはですね、自費でなくなれば。

○田中班長 もっと増えると。

○國土班員 もっと増える可能性はあると思います。

○笠原班員 よろしいですか。また小児のことで申し訳ないのですが、原因不明の肝硬変でChild Cに至らず、HCCを合併している子供が比較的多くて、こちらの疾患名に入っていない患者さんも中にはいるのです。なので、今後そういうところを検討する場をどこか作っていただけると、非常に有り難いなと思います。今、実際にMPVの17遺伝子異常という家族性の疾患がありまして、3兄弟いて3兄弟ともChild Cにはならないのですが、HCCで脳死登録ができないと。お二人生体肝移植をして、もう一人をどうしようかという、そういう事案もありますので、できればそういうことも考えていただければなと思います。

○田中班長 こういうリストアップをしてやっても、なかなか全部網羅し切れないと。世の中にはいろいろな病気があるということで、笠原班員から出た意見については、現状ではその他の疾患ということで相談して、どういう対処をするかと。適応を見るということで対応する部分になっていますが。

○國土班員 でも、それはB型、C型の肝硬変と同じではないのですか。Child Cに至らない成人の肝がんで肝移植の候補はいっぱいいるわけですから、同じ扱いになるのではないのですかね。

○曽山補佐 今、田中先生がおっしゃったその他で登録されるという方に関しては、StatusⅡの中でMELDスコアでそのまま入力ということであって、笠原先生が先ほど言われたのは、例えばChildが上がっていない方かと思います。その方をリストにするには、やはり作業班でディスカッションしていただくことになって、この疾患名の中に入れるかどうかというのは要望を出していただいた上で、作業班での討議ということになります。

○市田班員 だから、そういう適応基準は学会で決めるということでいいのではないでしょうか。

○田中班長 適応基準は学会で決めるけれども、それに加点をするということになると作業班でお願いしないといけないことになるので。

○國土班員 だから、小児に限らないのではないかなと思うのですよね。Child Bぐらいで切除もできない、移植だったら救えるという成人の肝癌症例はいっぱいいるわけですので。

○田中班長 ですから、そういう現在の適応に上手に当てはまらない部分については、例えば最近では、大きい血管腫をどうするかという問題もありましたし、それについては肝移植委員会でまた検討していって問題提起をしていただいて、話し合っていくということで、今度のシステムはまだ5月15日にスタートしたばかりですので、来年ぐらいをめどにそういう機会を設けて検討して、学会で皆さんの賛成が得られれば作業班でお願いするという形になるのだろうと思っています。

○井内室長 スケジュール感としては毎年決めておりまして、大体12月中に学会から厚生労働省に要望を頂いて、それを臓器移植ネットワーク等と、システムを変えるとしたらどうするかどうかというようなディスカッションをしながら、また4月から6月ぐらいの時期に作業班で本当にやるべきかという御議論を頂くというスケジュールになっております。恐らく適応基準ともリンクした議論になるのかと思いますので、学会のほうで適応基準はどうしよう、レシピエント選択基準はこう変えたほうがよいのではないかというお考えをまとめていただければ、来年4~6月頃に先生方にここで御議論いただくことになると思います。

○田中班長 では、今年の12月をめどに検討しますか。先生、是非問題提起していただければと思いますが。

○笠原班員 成人も同じ問題だと思いますので、是非お願いいたします。

○田中班長 市田先生、今のお話でいいですかね。

○市田班員 ですから、なかなかディスカッションする場所がないから、今度の第37回日本肝移植学会の前日の脳死肝移植関連合同委員会でいろいろ話をして、決めていきたいと考えています。要するに皆が集まって話をしないと進みませんからね。そういう感じではないですか。

○玄田班員 恐らくレシピエントの選択基準に関わることだと思うのですが、適応基準として入るかどうかということも重要ですが、選択基準の妥当性を検証するためには、レシピエントとして待機リストに載った後に、早く亡くなってしまう人をきちんと拾い上げているかどうかを確認するデータが必要になってきます。今までは、脳死肝移植適応評価委員会のデータとJOTの持っている予後を突き合わせていたのですが、個人情報等の問題が出てきていてなかなかうまくいかなくなっています。次の選択基準とか適応基準を決めるときに、脳死が受けられなくて亡くなってしまった人が、どれぐらいいるのかというデータが恐らくかなり重要になってくると思います。
そこのシステムを作っておかないと、後日臓器配分システムの妥当性評価ができなくなると思います。登録時の患者データと予後のデータは、今は完全にばらばらになっていて、細かいデータは適応評価委員会の手元にあって、予後のデータはJOTにあって、そこがつながらないという状況があります。このため、今出たようなChild A、Bで肝がんの人が早く亡くなるのか、がんのないChild Cの人が早く亡くなるのか、どちらの優先順位をあげるのかというのが結構大事になってくると思います。それを何か仕組みを作っておいたほうがよいのではないかなと思うので、ちょっとどの段階でどういう仕組みになるのかよく分からないのですが、移植を受けてない人がどれぐらい、受けられなかった人がどれぐらいで待機死亡するのかというのがすごく大事になるかと思います。

○市田班員 要するに、登録したが、待機中に残念ながら脳死肝移植が受けられなくて亡くなった人のデータですよね。

○玄田班員 要するに、早く亡くなる人を救い上げる仕組みがこの仕組みになると思うので、移植後のデータもすごく大事だと思うのですが、移植が受けられなかった方のデータというのも臓器配分システムの検証のためには、非常に大事になってくるかと思います。そのつながりで多分、Child A、Bで肝がんがある、例えば小児の方がどれぐらいいたとか、成人の方がどれぐらいいたから非代償を外すとか外さないとか、そういうディスカッションが必要になってくるかと思います。そういう場ができるといいのかなと、そういう仕組みですかね。

○笠原班員 今の議題なのですが、そもそもChild A、BでHCCの患者さんは脳死登録を行っていないわけですよね。ですから、そのデータをどこで集められるか。例えば、市田先生のほうでそのデータが集まるかというと、これはちょっと難しいのではないかなと思いますし、小児も登録は当然していませんので、そこを吸い上げるシステム自体がないのが現状かなと思います。

○市田班員 今、玄田先生がおっしゃったのは、登録して移植を受けた人は分かるのですよね。ところが、お亡くなりになった人たちのデータがどうなっているかということです。亡くなったから登録を外すという連絡はJOTに多分行くと思うのです。そういうデータをしっかり私たちのデータと整合しておけばよいということですか。

○玄田班員 今日の仕組みが妥当かどうかということの検証ということになるかなと思います。

○國土班員 日本肝癌研究会でプロジェクトを組むしかないでしょうね。

○玄田班員 それで、データを突き合わせるしかないですね。

○國土班員 この基準を満たした肝がんで、Aの人、Bの人がどういう治療をやって、どういう予後なのかということですね。

○玄田班員 それぞれ別個のデータになるかもしれないけれども、突合せはする必要が多分あるかなとは思います。

○國土班員 それを日本肝癌研究会に提案しましょうか。

○田中班長 肝移植学会ですかね。

○國土班員 いや、データは日本肝癌研究会にありますので。

○田中班長 肝がん学会のほうですか。

○玄田班員 肝がんとしてのデータは、そこに集積されていますね。

○國土班員 だから、現在このような症例に治療として行われているのは、移植ではないですから。

○井内室長 今おっしゃっていただいたとおりだと思います。学会のほうでプロジェクトを組んでいただいて、恐らくその中で、例えばJOTからどのようなデータが欲しいかということを決めていただいて、その上でJOTでもそれを出せるのか出せないのかの検証をJOTの中でやってということになると思います。

○田中班長 まず、学会レベルで立ち上げてということですね。ちょっと作業班の話題とは違いますが、重要なことなので話させていただきました。よろしいですか。

○市田班員 現状としては、脳死肝移植適応評価委員会に登録症例は全部エクセルという形で来ているから、どういう疾患でどういう患者というのは分かりますよ。だから、そっちに来ている話をJOTでの登録結果と合わせればよいだけですよね。

○田中班長 それプラス、笠原先生が言われたのは、脳死登録もしていない人たちの。

○市田班員 それはもう肝がん学会になると。

○田中班長 肝がん学会ですね。

○玄田班員 比較するという意味ではですよね。

○國土班員 質問ですが、JOTには移植に至らなかった患者さんの生死のデータまで捕捉できているのですか。要するに、登録が外れてしまうともうフォローできないのではないですか。

○玄田班員 一応、何月何日死亡という形で、そこまで見せていただて。

○國土班員 死亡まで追跡できているのですか。それならいいです。

○玄田班員 登録した施設からの連絡という、あくまでもそういうことになるのですが。

○井内室長 そのデータの精度がどういうものなのかを確認する必要があると思います。全てがオンタイムで死亡日が登録されているかどうかというのも、まだ分からないと思いますので。

○國土班員 そうですね、必ずしもそうではないですね。

○市田班員 あと、脳死肝移植に登録しながら待機期間中に生体肝移植を施行した症例もあります。そういう症例は脳死肝移植からはドロップアウトというカウントになります。

○井内室長 その差が分かるかどうかということですね。

○市田班員 ですから、生体肝移植にスイッチしたので脳死肝移植の登録から下しましたという報告は、以前はもらっていましたけれども。

○國土班員 最終転帰の情報は、もらっていましたね。

○市田班員 それはもらっていましたけれども、多分それはあるはずだと思いますが。

○田中班長 よろしいですか。議論も出尽したと思います。今日の結論としては、加点の話ですね。「ミラノ基準内あるいはミラノ基準外でも腫瘍径5cm以内かつ腫瘍個数5個以内かつAFP500ng/mL以下のものに加点する」ということで、両方を合わせた形にするということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局のほうにお返ししたいと思います。

○笠原班員 点数はいいですか。点数はこのままで。

○田中班長 そのままです。だけれども、点数は学会の基準なので、また適応基準。

○國土班員 今は材料がないですよね。

○田中班長 材料がないですね。

○國土班員 そこをいじるデータがないですね。

○田中班長 先生、これはいろいろな議論が大分あったのですよね。それでは事務局から何かありますか。

○曽山補佐 本日は、御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。本日頂きました御意見を踏まえ、今後、レシピエント選択基準の改正に向けた臓器移植委員会への報告準備をさせていただきます。事務局からは以上です。

○田中班長 では、終了ということで、分かりました。これで本日の作業班を終了いたします。ありがとうございました。

照会先

健康局難病対策課移植医療対策推進室

代表:03(5253)1111
内線:2365