第279回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2019年(平成31年)1月30日(水)10:00~

場所

中央労働委員会会館 講堂(7階)

出席者

(公益代表委員)
・鎌田 耕一(部会長)

(労働者代表委員)
・奈良 統一
・村上 陽子

(使用者代表委員)
・佐久間 一浩
・正木 義久

 

議題

(1)職業安定法施行令の一部を改正する政令案要綱等について(諮問)(公開)
(2)新たな外国人受入制度の創設に伴う規定の整備について(公開)
(3)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
(4)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)
 

配布資料

資料1-1
雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案要綱、職業安定法施行令の一部を改正する政令案要綱、職業安定法施行規則等の一部を改正する省令案要綱、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針及び青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱(諮問文)
資料1-2
職業紹介における求人の不受理について
資料2
新たな外国人受入制度の創設に伴う規定の整備について
参考
新たな外国人受入制度の創設に伴う規定の整備について(参考資料)

議事

議事内容
○鎌田部会長 定刻となりましたので、第279回労働力需給制度部会を開催いたします。議事に先立ち、本日は公益代表の松浦委員、藤本委員、労働者代表の永井委員、使用者代表の高野委員が所用により御欠席されておりますが、労働政策審議会令第9条に基づく定足数を満たしていることから、予定どおり開催させていただきます。本日はお手元の次第にある議題1及び議題2について、公開で御審議いただきます。
それでは、本日の議事に移りたいと思います。まず議題1、「職業安定法施行令の一部を改正する政令案要綱等について」です。事務局より御説明いただいた後、質疑の時間を取りたいと思います。それでは資料1について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 お手元のタブレットの資料1-1を御覧ください。平成29年の職業安定法改正による職業紹介における求人の不受理については、昨年10月30日の本部会において対象条項等の案をお示しし、御議論いただいたところです。その後、関係する政令、省令、指針の要綱案を作成し、本日1月30日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問をさせていただいたものです。具体的な内容の説明に当たっては、資料1-2の概要資料を用いて説明いたしますので、資料1-2の表示をお願いいたします。なお、昨年10月の部会の際に一度御説明しておりますので、主な内容に絞って御説明をさせていただきます。
1ページは、改正の背景です。平成29年の職業安定法の改正においては、就職後のトラブルの未然防止を図るため、ハローワークや職業紹介事業者等において、一定の労働関係法令違反の求人者等による求人を受理しないことができるものとされました。改正法の概要は右下に記載しております。施行日については、法律上は公布日から3年以内とされておりますが、一定の周知期間や職業紹介事業者等による準備期間を考慮して、来年2020年の3月30日とすることを考えております。また、求人不受理の対象となる労働関係法令、どの法律の何条が不受理の対象になるかについては政令で、対象となるケース、違反の程度や違反があった場合に不受理とする期間については、省令で定めることとされております。
その政令と省令の内容については、次のページ以降を御覧ください。2ページにお示ししている対象条項については、職業安定法に先立って求人不受理の規定が設けられていた若者雇用促進法において、新卒者向け求人の不受理の対象条項とされているものと、基本的には同じものを対象として盛り込んでおります。これに加えて、職業安定法改正の附帯決議を踏まえ、資料の真ん中の青枠で囲まれた部分、安定法の求人者等の義務に関する規定を追加しています。具体的には安定法第48条の3第3項において違反した場合に、公表の対象とされている規定を追加しております。
次に、3ページを御覧ください。どのような場合に不受理の対象となるかです。こちらも基本的には若者雇用促進法と同様の整理としております。まず対象となる違反の程度ですけれども、労働基準法、最低賃金法については過去1年間に2回以上、同一条項違反で是正指導を受けている場合と、対象条項違反で送検・公表された場合などです。また職業安定法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法については、是正勧告に従わずに公表された場合としております。次に、下の段の不受理の対象とする期間です。1つ目のマルですが、是正指導、是正勧告公表の場合については、法違反が是正されるまでの期間に加え、更に違反を重ねないことを確認するため、是正後6か月経過するまでを不受理期間としております。2つ目のマルですが、送検されて公表された場合については、これも同様に、きちんと経過を見るという考え方で、まず送検後1年間を不受理期間としつつも、その時点で是正後6か月を経過していないときには、是正後6か月経過するまで延長するという考え方としております。
次に、4ページを御覧ください。職業安定法の指針において、求人不受理の取扱いに関する留意事項を定めようとするものです。まず上段です。職業紹介事業者が、求人者が不受理要件に該当するかどうかを、どのように確認するかという点です。行政が保有する指導状況等を外部に提供することは困難であることを踏まえ、指針において職業紹介事業者は求人者に対し、自己申告をさせるべき旨を規定しようとするものです。下の段です。職業安定法上、求人不受理はできるという規定ですが、不受理要件に該当する求人申込みを紹介することは、求職者に重大な悪影響を及ぼすおそれもありますので、指針において不受理要件に該当する求人の申込みは、受理しないことが望ましいという旨を規定しようとするものです。事務局からの説明は以上です。
 
○鎌田部会長 ただいまの御説明について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 
○村上委員 要綱案については、求人不受理規定を議論した第275回部会の事務局案が正しく反映されていると思いますが、その議論においては、対象条項がこれで十分であるのかということや、求人不受理の法的性格についての議論もあったと記憶しております。これらについては今後、施行状況も踏まえて、改めて検討が必要ではないかと考えております。
それから要望です。資料1-2の4ページの下の囲み、民間の職業紹介事業者についての部分です。ハローワークが不受理とした求人者から求人を受けた場合には「受理しないことが望ましい」となっているところですが、本来、「受理すべきでない」と書いていただくことが、望ましいのではないかと思います。ただ、現在の法規定では限界があるということは承知しております。そういった中で、優良職業紹介の認定制度の基準においては、若者雇用促進法11条に基づき、ハローワークが不受理とすることができる求人者からの学校卒業見込者等求人の申込みは受け付けないように措置を講じていることとされているところです。今回の不受理規定に関しても、認定制度の基準で「受理すべきでない」などとし、指針では「望ましい」ということではあるけれども、実質上、そういったことがないようにしていくことを促進していくべきであると思いますので、そのお願いです。
 
○鎌田部会長 今のことについて、事務局から何かコメントはありますか。
 
○牛島課長 10月末の部会で1回議論を頂いて、そこの御指摘については、事務局としても受け止めております。対象条項とか対象となるケースについて、まずは先行事例の若者法の制度がありますので、それを基に運用していきながら、いろいろな課題などが出てきた場合に、改めて御意見を頂きながら見直しをしていくというところは、委員の御理解も頂きながら進めていきたいと思っております。
2点目の紹介事業者が不受理にすることができるというところについては、前回10月の部会でも御議論がありましたが、法律上は全件受理原則の例外としての規定という形になっておりますので、法制上はそういう規定になっております。ただ周知においては、基本的には望ましいというところも含めて、そういったことは適当ではないので、やらないようにしてくださいという形で周知をやっていきたいと思っております。
あと、御指摘の優良認定の部分については、担当課が別になっておりますので、話を伝えた上で適切に対応するという形で進めていきたいと考えております。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。御質問がなければ、職業安定法施行令の一部を改正する政令案要綱等について、当部会としてはいずれも妥当と認めることとし、その旨を職業安定分科会会長宛に報告したいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 
                                    (了承)
 
○鎌田部会長 それでは、報告文案の配布をお願いいたします。
 
                                (報告文案配布)
 
○鎌田部会長 それではお手元の案のとおり、職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
                                    (了承)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、この件についてはこの報告文に沿って、後日開催される職業安定分科会に、このとおり報告させていただきたいと思います。
次に議題2、「新たな外国人受入制度の創設に伴う規定の整備について」です。事務局から御説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 まず、タブレットの「新たな外国人受入制度の創設に伴う規定の整備について(参考資料)」というファイルをお開きいただけますか。昨年12月、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律が成立し、特定技能という新しい在留資格が設けられました。それが本年4月1日に施行される予定となっております。この特定技能外国人の受入れにおいては、民間の職業紹介事業者によるあっせんも可能な仕組みとされており、国内での転職も認められる仕組みとなっております。職業安定法においては、現在も職業紹介事業者が国外にわたる職業紹介を行う場合には、許可の際に一定の審査を行っているところですが、今般の入管法改正も踏まえ、更なる対応が必要ではないかという問題意識の下、今日の部会の議題とさせていただいたものです。
まず、入管法改正の概要をはじめとした背景事情を参考資料としてまとめておりますので、こちらを御覧いただければと思います。1ページが国外にわたる職業紹介の実績です。これは国外から国内への紹介、国内から国外への紹介の両方を合計したものをお示ししております。上の段は就職件数の実績について、有料職業紹介、無料職業紹介、特別の法人による紹介の別に集計したものです。直近の平成28年度を御覧いただきますと、有料が1万4,452件、無料が8,660件、特別の法人が7万2,825件といった状況となっております。下の段はこの内訳として、上位5職種の件数を示したものです。有料、無料、特別の法人ともに技能実習生が多くを占めているという状況になっております。
ただ、留意点が1点あります。平成29年11月から施行されている技能実習法の改正において、技能実習生を対象とした職業紹介は、技能実習法の許可を受けた監理団体が行うこととされておりますので、本日お示ししているデータは、その改正前の時点のものということで御理解を頂ければと思います。
2ページを御覧ください。改正入管法の概要で、ポイントをかいつまんで御説明させていただきます。左上の1に記載のとおり、特定技能というのは1号の場合、相当程度の知識・経験を、2号の場合、熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格とされております。その受入れのプロセス等については2に記載のとおり、まず分野横断的な方針について基本方針を、受入れ分野ごとの方針については分野別運用方針において定める仕組みとされており、これら双方とも昨年末に決定されているところです。また、右上の4に記載のとおり、外国人を雇用する企業である受入れ機関に一定の基準が定められております。例えば、日本人と同等以上の報酬であることなどの基準が定められています。
3ページを御覧ください。こちらが先ほど申し上げた、分野横断的な受入れの方針を定めた基本方針の概要です。本日の部会の議論に関係する箇所を赤枠で囲んでおります。改正入管法の議論の際にも、保証金や違約金を徴収するような悪質な仲介事業者をいかに排除するかが、1つの論点となっておりました。このため、基本方針においては法務省、厚生労働省等の関係機関の連携、二国間取決めなどの政府間文書の作成といった必要な方策を講ずることという内容が盛り込まれております。
4ページを御覧ください。現在、パブリックコメント中ですが、入管法に係る政省令の案です。これも赤枠で囲んでおりますように、まず左側の受入れ機関の基準として、保証金を徴収するなどの悪質な紹介業者等の介在がないこと、右上にありますとおり、個々の外国人の入国審査の際に確認される特定技能外国人の上陸基準にも、紹介業者等から保証金の徴収等をされていないことという基準が、それぞれ盛り込まれております。
最後に5ページです。今般の外国人の受入れ拡大に合わせ、政府としての総合的対応策が取りまとめられました。ここも右下赤枠のとおり、悪質な仲介事業者等の排除といった項目が盛り込まれております。詳細な文言は、6ページを御確認いただければと思いますが、説明については割愛させていただきます。
以上のような背景を踏まえ、本日、職業安定法に基づく対応案について御説明をさせていただきたいと思います。資料2のほうに、ファイルの切替えをお願いいたします。1ページは、国外にわたる職業紹介について、現状の制度の概要を整理したものです。下の図にありますように、国を越えて職業紹介が行われる場合には、「取次機関」と呼んでいる相手国の現地あっせん業者を介して行われるのが、一般的に行われている1つの形態です。上の囲みを御覧いただければと思いますが、こうした場合に職業紹介事業の許可の対象、これはあくまでも国内の事業者ですけれども、その許可の際には国外の取次機関、どこと提携するのかといったことを申告させるとともに、取次機関が相手国で活動を認められているか、届け出た国だけを相手国として紹介を行うか、入管法や相手国の法令を遵守するか、紹介事業者や求人者が求職者に対し、渡航費用の貸付けを行わないかといった点を許可時に確認しているという取扱いとなっております。
2ページを御覧ください。ただ、今般の入管法の改正でも議論になった、保証金や違約金を徴収する悪質な紹介事業者や取次機関に対する対応という点については、一部課題が残っているのではないかと考えております。具体的には下にマトリックスで整理をしております。まず左上のマトリックスは、国内の紹介事業者が国内で活動している場合の法規制を整理したものです。国内の紹介事業者が保証金等を徴収する場合は、違法な求職者手数料となりますので、法律上、行政処分や罰則の対象となっております。2つ目のマルですが、許可を受けずに雇用契約のあっせんを行っているような場合にも、無許可の職業紹介として罰則の対象になります。また、国外にわたる職業紹介については、先ほど1ページで御説明したとおり、許可時の審査で一定の確認を行っているところですが、ここの赤字に記載しているとおり、その許可をした後に違反行為が行われた場合についての対応が、十分ではないといった課題があるのではないかと考えております。
次に、右上のマトリックスです。これは国外で職業紹介行為が行われる場合です。この場合、我が国の職業安定法は適用されないということになりますので、本来、相手国の法令の規制の下で活動していただくことになるかと考えております。
次に、右下のマトリックスです。国外の取次機関の活動については先ほど御説明したとおり、国内の紹介事業者が許可を受けるときに申告をさせるといった対応を行っているところですが、届出を行わずに業務提携を行っているような場合には、国内の事業者が届出義務違反として、行政処分や罰則の対象等となります。一方で2つ目のマルですが、現在の許可時の審査では、取次機関による保証金や違約金の徴収に関しては審査をするということになっておりませんので、こうした取次機関を排除する仕組みがないところが、もう1つの課題となってこようかと考えております。
こうした2つの課題を踏まえて対応案をお示ししているのが、3ページ以降です。まず3ページは、許可時の審査において取次機関による保証金や違約金の徴収について、確認する仕組みとなっていない点への対応です。対応案としては下の枠の中にありますように、赤字で記載の内容を許可基準に追加することとしてはどうかと考えております。取次機関に関する要件として、求職者から保証金を徴収している、違約金を定める契約を締結している、又は渡航費用等を貸付けしているといった行為を行っているような取次機関を利用しないこと、保証金を徴収されている求職者又は違約金を定める契約を締結されている求職者に対して、職業紹介を行わないこと、これらを許可基準に追加するという案を示しております。
4ページを御覧ください。こちらはもう1つの課題である、現状では国外にわたる紹介の要件は許可基準にしか規定がありませんので、許可後に許可基準に違反する行為を行っても、許可取消の対象にはならないという点についての対応です。また、それに関連して、許可を受ける必要がない届出事業者については、そもそも許可基準や許可条件の対象にならないといった課題もあります。対応案は下の段の赤字で記載の内容を許可条件に記載し、許可時に条件を付すことで、この条件に対する違反があった場合には、許可取消の要件となるものです。この許可条件と職業安定法に基づく指針に定めることとしてはどうかと考えております。具体的に追加する内容としては現行の許可基準にある内容と、前のページで御説明した許可基準への追加を検討している内容の両方を、許可条件と指針に加えることとしてはどうかという案です。これにより、許可後に悪質な取次機関の利用が判明した場合には、国内の事業者の許可取消の対象となるとともに、届出事業者に対する指導の根拠も明確にできることになります。事務局からの説明は以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、この件について御質問、御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。正木委員。
 
○正木委員 許可の取消しとか、許可をそもそも与えないということは分かるのですが、では具体的に違反した取次機関なり事業者がいた場合、その違法な業者が取った手数料とか保証金について、求職者の方はどうやって取り戻すことができるのかというところを整理して教えていただきたい。取次機関の場合は、その現地の、最初の図で言うと、A国の民事法で取り返すしかないのかもしれないのですけれども、では日本の職業紹介事業者が許可基準に違反して徴収したと場合、許可は取り消されたので、ではもうやめますとか、いなくなってしまうとかいうことが起こりうる。そのときに求職者はどうやって違法に徴収されたものを取り返すことができるのか。その辺について御説明をお願いします。
 
○鎌田部会長 では、この件について、事務局、お願いします。
 
○牛島課長 今、正木委員から御質問の中に、一部民事的な話もありましたが、支払ったお金を最終的に取り返せるかどうかというところについては、ここは最終的には民事の話になってきますので、裁判の関係で、それを現場の裁判所でやるのか、日本国内の裁判所でやるのか、これはまた管轄地の関係で、その都度の御判断になると思いますが、そういった対応になると思います。仮に、正木委員が御指摘になったような事案を労働局が把握したときには、どういう監督指導をするのかというところになってきます。監督指導の手法ですので、これも詳細にはお答えできませんけれども、我々としては、そういった違法に手数料、要は保証金なり、違約金を取っていた所というのは安定法違反で、違法な手数料の徴収という形になると認識しておりますので、そのときの対応としては、個別の事案によって対応は異なってきますが、基本的にまず、直ちに違法な徴収はやめなさいという指導をすることになります。また、違法に徴収した手数料については、これは指導ベースですが、返還するようにということを指導の中でやってまいります。ただ、先ほども申し上げたとおり、強制的に返させるというようなところについては、最後は、ここは裁判の判決、それに基づく執行ということになってきますので、全てにおいて対応するまでの返還を確保するということは難しいのですが、指導という意味では、今、申し上げたような対応を取ることになります。
取次機関という所については、これは逆に国外に所在する取次機関という形になってきますので、取次機関に直接日本の労働局が行って、今、申し上げたような指導を行うというのは限界がございます。ですので、例えば、取次機関の届出を出している紹介事業者に対して、今、申し上げたような内容を要請するといったようなところが、1つ考えられますけれども、海外の取次機関への直接の対応というのは、先ほど申し上げたような部分で、一定の限界があるというところは御理解いただければと思っております。以上でございます。
 
○正木委員 技能実習の分野での政策にかかわっている経験などから、何となくこういうことかなと思いますが、職業紹介事業者のほうも恐らくこの国の特定の分野の職業を紹介する事業として設立したりするので、許可が取消しになったら、即、その事業はないというか、その事業者自体がいなくなってしまったりということになりがちなのではないか。大手のいろいろな事業を扱う、日本人の職業紹介を行っている会社であれば、逃げられないので、ある意味、違法で徴収されたものの取返しができるのですと思います。しかし、専門である国の、例えば何とか業のための職業紹介をする事業者ということで設立されて、違法な形で保証金を取ったということになると、許可取消と同時にどこか行ってしまいましたということになりうる。そうなると、なかなか取り返せないという事態が生じうる。それではいけないと思いますので、今、この枠組みでやれることといったら、指導しかないのですが、しっかりしていただいて、求職者の人が困らないようにしていただくのがいいと思います。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○佐久間委員 職業紹介の関係で、このように明確にしていくというのは本当に望ましいことだと思います。その中で、先ほどの国外にわたる職業紹介の実績の数値からですが、主な職種の中には、これは質問になりますが、就労可能な留学生が入っているかどうかを教えていただきたいと思います。主な職種の所です。
今、正木委員が言われたことも、私も関連するのですが、資料2の3ページですけれども、現状、届け出た国を相手国として職業紹介をする、行うことというのが現状の許可基準としてあります。今回、この目的というか、二国間協定を結ぶのは特定技能、新しい在留資格ができたというのが背景だと思いますが、その中で技能実習のほうは二国間協定というのが、今、11か国あります。それから、特定技能のほうでも、二国間協定が9か国あります。これをどのように認識するかというがあるのですが、9か国というのは、例えば中国とかインドネシアは、技能実習は対象国になっていませんが、特定技能では対象国となっています。二国間協定を結んだ国の取次機関しか入れないのか、多分、そういうわけではないと思います。それを届け出た国だったら分かるのですが、届出というのは、協定を結んでいない国でそういう取次機関というのがどのように判断されるかというのが、非常に分かりにくいのではないかと思います。ですから、その辺の判断基準というか、判断ができるのかどうかという考え方を教えていただきたいと思います。
また、今、職業紹介の関係で御説明いただきましたが、実際に派遣の関係も同じように、3ページの対応案というのが何か出るのではないかというように考えます。ですから、派遣の業者の取扱い等についても考え方を教えていただければと思います。派遣型もできないというわけではないと思いますので、そこを教えていただきたいと思います。
もう一点は、正木委員が先ほど言われたように、4ページの所に保証金の関係、そこには「違約金等」とありますが、今回の特定技能のほうは、その業者が利益分をまた補填しやすくなるのではないかというのが懸念されるところです。ですから、そこを本当に取り締まる機関というか、発見する機関、要は申請のときには入管なりが見られると思いますけれども、その後の判断というのは、どこが本当に監視・監理をしてくださるのか。先ほど課長から、「労働局が違法なというか、過度な」案件を見つけ出すというのがあると思いますけれども、そこが過度かどうかというのが、なかなか分かりにくいのではないかと思います。その辺の考え方というのは、先ほどのお答えの1つの要素だと思いますが、教えていただければと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 今、4点ほど御質問を頂いたと思います。準備ができましたら、事務局、お願いします。
 
○牛島課長 まず、1点目の参考資料の1ページの件数については、概念が分かりづらくて恐縮でございますが、国外にわたる職業紹介というのは、紹介において外国から日本に紹介行為が行われているというような位置付けでありますので、国内にいる外国人を紹介するというものは、この中には、国外にわたる職業紹介には入ってきておりません。むしろ、それは国内の職業紹介における実績という形になっておりまして、そこはミスリードで恐縮ですが、そういった件数になっているということで、御理解いただければと思っております。
2点目は、二国間協定の部分ですが、御指摘のとおり、9か国で特定外国人材の送出しが想定される主な国との間での二国間協定の動きというのも政府としては採っておりますが、今般の特定技能の受入れに当たっては、技能実習とはちょっとスキームが違っておりまして、二国間協定のあるなしにかかわらず受入れ自体は可能という形になっておりますので、そういったところで入管法の仕組みはなっていると。その際に、私どもとして、現地の取次機関の適正性をどのように確認するのかというところですが、これは許可申請の段階において、添付書類の中に取次機関が現場で適正にこの事業を行える資格があるということとか、法令に違反していないことというところについては、証明書の添付プラスその証明書が現地語で書かれている場合、なかなか解読は難しいので、責任を持って翻訳をしたものも出してくださいという形を取っておりまして、そういった形で許可申請の段階で確認を取っているというスキームです。ここについては、今後そういった形でやりつつ、ただ一方で、二国間協定の中で進められているのは、現地と我が国のほうで適法にこういった職業紹介行為が行えるような情報の共有ということも1つの事項になっておりますので、そういった情報の共有の仕組みというのが広がってくれば、より実効性というのは担保できていくと考えておりますので、そこは外務省、法務省とも連携を取って、取り組んでまいりたいと考えております。
3点目は、派遣の部分ですが、派遣については、まず、国内の受入れにおいては派遣を使うということについては、今度の特定技能の世界では漁業と農業の分野に限定されているところがあり、かつ、派遣会社がどういう立場になるかというと、入管法上は受入れ機関という形になってきますので、受入れ機関としての責任というのは、きちんと果たしていただく必要がまずあります。あと、当然、我が国の派遣法の仕組みというものについても、国内の派遣業者については、適正に守っていただく必要があるということになります。
片や海外の派遣会社が日本の派遣先に派遣をするというようなケースについては、これは派遣就業自体国内で行われていますので、派遣先の責務といったところについては、そこは適正に図っていただく。もし違法があれば、労働局において派遣先に対して適正に指導を行っていくということになってまいりますが、海外に拠点がある派遣業者に関しては、日本国内における派遣元の規定に抵触するような行為が行われた場合であっても、そこは、なかなか監督指導が及ぶかと言われると、非常に難しい面があるところがありますので、そこは一定の限界を感じつつ、派遣先における派遣就業は適正にそこは確保していくようなところを、まず力を入れて取り組んでいくということが軸になるのかと考えております。
4点目は、保証金、違約金を徴収している事例をどのように捕捉するのかというところについては、ここは基本方針の中でも書いてあるとおり、厚労省、法務省、関係機関が連携して取り組んでいくという形になっておりまして、法務省サイドであれば、例えば在留資格の確認の中で保証金、違約金を、あなたは払っていませんねという確認を取っていくと。あと、私どもにおいては、紹介業者がそういった行為をやっていないかというのを定期監督の中で確認していくということもありますし、あとは、どうしてもそういったところは個別の労働者のほうからの申立てというところがあろうかと思いますので、そういったことがあったことを端緒にしまして、定期監督指導の場合には当然確認を取っていきますけれども、個別の申立てに応じての対応、そのときには法務省入管局といった所とも連携して取り組んでいきたいといった動きで考えております。そういったことを軸にして、またいろいろと運用していきながら工夫していけるところは改善していくという形で進めていければと考えております。
 
○鎌田部会長 追加があれば、どうぞ。
 
○佐久間委員 御説明で、おおむね理解できるところですけれども、どうしても新しい受入制度が意識的に中心になってきて、そこの中で、うまく各省庁が連携を取れているかというのが、ちょっと不安なところもあるものですから、是非、各省庁との連携を図っていただきますようよろしくお願いしたいと思います。
それと、今回のこの資料も、特に特定技能や技能実習ということで仲介業者の対応をペーパーで書いていただいているわけではないと思います。今までの受入れとか、外国人労働者が、労働者と言ってはいけないのかもしれませんけれども、入って来る又は出て行くというところで、今も実際に派遣とか職業紹介がやられているわけです。実際に先ほどの派遣の関係も、やはり現在の特定技能分野は、ある程度限定された業種、14分野しかありませんけれども、今も実際には行われる可能性があり得るわけですので、その辺の明確化というのが、引き続いて行われればいいのかと思っております。以上でございます。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○村上委員 資料2の図にあるように、労働側も、国内の悪質ブローカー対策は何とかできるけれども、国外の悪質ブローカーをどう排除していくのかということが必要で、その中で職業安定行政としてできることをやっていただきたいということを申し上げてきました。
今回の案は、国外の取次機関に対する規制が直接は及ばないけれども、日本の職業紹介の許可基準や許可条件を見直すことで、間接的にではありますが国外の取次機関の部分について規制を及ばせようというものであり、大変重要だと思っております。
その中で2点あります。1点目は先ほど正木委員からもありましたけれども、監理団体の許可基準などはどうするかということです。先ほど参考資料でも御紹介いただいたように、外国人の職業紹介の中でも、技能実習は桁違いに多いわけでして、そういうことからすると、技能実習法もあるとは言え、監理団体の許可基準や許可条件についても同じような趣旨で見直すことは必要なのではないかと思います。この点は意見です。
2点目は、資料2の4ページの対応案で、「求職者から保証金を徴収しているもの、違約金等の徴収を定める契約を締結しているもの又は求職者に対して渡航費用その他を貸し付けているもの」とあります。これは重要だと思いますが、実際のトラブル事例としては、取次機関が渡航費用などを貸し付けているのではなくて、取次機関に支払うために自国の金融機関などで借金をして、取次機関に金銭を支払っているという相談事例も多々あるところです。そういったことからすると取次機関による貸付けだけでよいのか、少し工夫はできないのかということが要望です。以上です。
 
 
○鎌田部会長 要望ということでしたけれども、御質問にもなる点もあるかと思いますので、事務局のほうで用意ができましたら、お願いします。
 
○牛島課長 2点目の監理団体、技能実習の関係ですが、御指摘はまず担当部署には適切に伝えたいと思っております。現状の立て付けを、口頭で恐縮でございますが、御説明申し上げます。
技能実習法に基づく管理団体は、外国の機関から技能実習生になろうとする人からの求職の申込みの取次ぎを受けようとする場合には、省令で定める要件を満たす送出機関との間で取次契約を締結していないと駄目ですというのが、これは許可の基準になっておりまして、職業紹介のスキームと若干違うのですが、管理団体については要件を満たす送出機関との間に取次契約を締結するのが許可基準になっている。管理団体は許可の基準に該当しなくなったときは、許可を取り消すことができるという形になっています。ですので、許可の基準の中で先ほど申し上げたようなものがありまして、技能実習法の省令で定められている内容としては、ここでテーマアップされている保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、お金を取っているような行為とか、違約金を支払う予定の契約を締結している場合、これについては省令で定める要件に該当しています。そういった要件に該当する取次機関とはまず取次機関との契約を締結できないという構造に、許可基準時はなっている。許可基準に許可取得後も抵触した場合には、取消しができる形に法制上はなっているというところがあります。また個別に御説明申し上げたいと思いますけれども、ある程度現状においても、御指摘の点についてはクリアできている面があるのではないかという部分がありますが、ちょっとそこは、申し訳ございません、別途、御説明申し上げさせていただければと思っております。
2つ目の点については、渡航費用の貸付けを第三者が行っている場合に、どのように考えていくかという点ですので、そもそも借金を背負った方を紹介の対象にするということを、一律に規制するというところがどうかという論点があろうかと思います。どのようにこなすかというのを御議論を頂ければと思っております。現時点において、現行においても、現在、渡航費用を貸し付けるのを禁止されているのは求人者であり、紹介事業者であり、というところに加えて今回、取次機関を加えたいということが主課題でありますけれども、そこに更に何か1つ、2つ加えていくというところは、委員の皆さん方の御意見も踏まえて、どういう結論があるのかということは考えてまいりたいと思っておりますが、一律に今すぐできますということは難しい部分があるのかという感覚を持っております。
 
○鎌田部会長 何かありますか。
 
○村上委員 1点目については、また少しお話させていただければと思っております。2点目の部分は、例えば、取次機関が貸し付けている場合だけではなくて、他の金融機関から借金をさせて渡航費用などを徴収している場合も含めることはできないかということも考えているのです。その点についても御検討いただければと思っております。
 
○鎌田部会長 御検討いただくということなので、それは今、即答できなければ、また後日でも個別に説明いただくということで。
 
○牛島課長 はい。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。今、もし準備があれば。いいですか、それで。
 
○牛島課長 現時点において、この場での御指摘ですので、明確な回答はなかなかできませんので、こちらで受け止めて、対応案を考えたいと思っております。
 
○鎌田部会長 よろしいですか、村上委員。ほかにありますか。
 
○奈良委員 1つだけ確認させていただきます。特定技能1号、2号の皆さんというのは、基本的に雇用される事業所を移れる、移動できる、選択できるということですよね。ですから、枠組みで言えば、現状、日本で行われている有料職業紹介あるいは無料職業紹介の特定技能の資格で認められた職種であれば、自分で事業所を選んでそこに雇用されることはできると考えてよろしいわけですね。
 
○鎌田部会長 事務局、どうぞ。
 
○牛島課長 その点については、職業安定法上は特に制約はありませんが、在留資格の関係で先ほどの資料でいくと、受入れ機関についていろいろな基準があります。受入れ機関になるためには、生活上とか職業上諸々の支援をしなければならないことになっていまして、そういった支援計画を適切に定めて入管の在留資格の申請の際に、きちんと確認が取られていることといったところもありますので、そういったところではない事業者での就業となると、これは不法滞在になりかねませんので、そういったところでのブロックというのは働き得ると。そういった仕組みになっております。
 
○奈良委員 では普通に、例えば新聞広告などを見て自分で電話を入れて、就職したいのですがみたいな話には、なかなかならないということですか。
 
○牛島課長 仮にそういった行為が行われて採用されたとしても、まず在留資格が認められない形になりますので、不法滞在となりますし、雇った事業所については、場合によっては不法就労助長という形での罰則ということも用意されている。これが入管法の立て付けになっていると理解しております。
 
○奈良委員 転職の自由があると言っても、なかなか厳しいということですね、そうすると。
 
○牛島課長 在留資格との関係でという形になってきます。
 
○鎌田部会長 奈良委員、よろしいですか。
 
○奈良委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。それでは、私から形式的なことでお聞きしたいのですが、先ほどから満たさなければいけない基準の中に、保証金や違約金の徴収ということがあるのですが、恐らく要綱の段階ではもう少し厳密な定義がなされるのかと思いますけれども、つまり、保証金、違約金等といったような中身については、具体的にどういった要件で規定されることになるのでしょうか。一般的に考えれば、例えば、受入れ機関が一定の雇用期間を定めた場合にその雇用期間内に就労することとか、要するに、保証金というものの中身がどういったものを要件とするのかというのが1点と。
もう一点は、その手数料に関してです。職業紹介事業者なので手数料ということが問題になってくるのですが、この場合の保証金等の中に、求職者からの手数料は原則徴収しないというのは、これは職安法の定めで我が国の大原則でありますが、仮に手数料についても徴収しないということで、この文章は書かれている、保証金を徴収しないということが書かれているとすれば、我が国の法制の中では例外的に徴収できる場合があります、一定の業種に関しては。それについての対応というのは、例えば、入国させるときの入国管理局との間でどのような調整をされているのか、少しお話を御説明いただければと思います。準備がなければ、後日でも結構ですけれども。
 
○牛島課長 1点目の保証金や違約金の要件については、私どもとしては、保証金の徴収というのは、あくまで1つの例でありますし、違約金というものも、1つの例であります。要は、名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されていないこと、若しくは雇用契約の不履行が行われた場合に、不当に金銭その他の財産の移転を予定すること。これが違約金でありますが、そういったところをベースに規定していくということを考えております。具体的に許可基準にどのように書き込むかということについては、明確化していきたいと思っております。
2点目は、求職者から手数料を取ることができるということは、これは現行法上、確かにありますが、入管当局が今回やらんとしておりますのは、入管サイドの仕立てとしては、紹介手数料というのは保証金、違約金とは別のものだという整理になっております。ですので、紹介事業者が手数料を取っていること、求職者から所定の手数料を取っているからといって、それは入管サイドの言うところの違法な保証金、違約金という形にはなってこないという整理をしておりますので、いずれにしても、この仕組みが動いていくときにどのように扱われるかというところは、何某かの形で明確にすることが必要だと思っておりますので、入管当局とも認識を共有した上で、適切に周知を図っていきたいと考えております。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。そうすると、第1点ですが、保証金というのはあくまでも例示であって、職業紹介事業者との関連で、求職者が何らかの形で金銭を支払うことを原則禁止するという、徴収することを原則禁止するという趣旨で考えておられるということでよろしいのですか、今の御説明ですと。
 
○牛島課長 そういう形で、今、現時点ではこのようにしています。
 
○鎌田部会長 あくまでも例示というか、保証金という。
 
○牛島課長 はい、というように考えております。
 
○鎌田部会長 なるほど、分かりました。よろしいですか。御質問がなければ、本日の審議は、ここまでとさせていただきたいと思います。今後の予定について、事務局から説明をお願いします。
 
○米岡補佐 御説明させていただきます。今後、こちらの内容については、本日の御議論も踏まえてパブリックコメントに付させていただきまして、告示等の案の要綱を作成の上、3月を目途に、再度お諮りしたいと考えております。以上でございます。
 
○鎌田部会長 それでは、そのような取扱いということで、よろしいでしょうか。

                                   (異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
それでは、公開案件は、以上となります。本日の議事録の署名は、村上委員、佐久間委員にお願いいたします。佐久間委員におかれましては、この時点で、所用により御退席されるということですので、よろしくお願いいたします。事務局から連絡事項はありますか。
 
○永島補佐 傍聴者の皆様に御連絡を申し上げます。傍聴者の皆様方におかれましては、委員の随行の方が退席した後に、事務局の誘導に従って御退席をお願いいたします。以上です。
 
                            (佐久間委員、傍聴者退席)