2019年4月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

平成31年4月26日(金)17:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(16名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

行政機関出席者

 宮本真司(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日は遅い時間、また、連休直前のお忙しい中、御参集いただきまして本当にありがとうございます。本日の委員の御出席状況でございますが、大賀委員、川上委員、佐藤委員、増井委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、少し遅れておられる先生もいらっしゃるようでございますが、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の先生に御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。2月の部会から新たに着任いただきました先生を御紹介したいと思います。慶應義塾大学薬学部の大谷委員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大谷委員 よろしくお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 続きまして、事務局にも人事異動がありましたので御紹介させていただきます。医薬品医療機器総合機構審査センター長の新井でございます。

○審査センター長 新井と申します。この4月より、東大の薬学から審査専門管理室に移ってまいりました。よろしくお願いします。

○医薬品審査管理課長 続きまして、部会を開始する前に事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様には、会議の開催の都度、書面を頂いており大変御負担をお掛けしております。引き続き、何とぞ御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、杉部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○杉部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 それでは配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上には議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。議事次第に記載されております資料1から資料7-2をあらかじめお送りしています。会議のペーパーレス化に向けた取組としまして、本日の医薬品部会ではあらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し、閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を審議品目に係る諮問書とさせていただいております。このほか、資料8、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を机上に配布し、また、タブレット内には資料9として、競合品目・競合企業リストを格納しております。

 それでは、机上のタブレットの操作方法について御説明をさせていただきます。タブレットを縦にしていただきまして、画面下の丸いボタンを2回押してください。画面が表示されましたら、議題ごとにフォルダーが表示されておりますので、「審議議題1」をタッチしてください。議題1の資料一覧が表示され、御覧になりたい資料名をタッチしていただくと資料が表示されます。ほかの資料を御確認いただく場合には、左上の青字「審議議題1」をタッチしていただきますと、資料一覧が再度表示されます。また、ほかの議題を御確認いただく場合には、左上のマイプライベートファイルをタッチしていただくと、再び議題ごとのフォルダーが表示されますので、必要に応じてフォルダーをタッチして御覧いただくようお願いいたします。なお、タブレットの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構でございますので事務局までお申し付けください。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料9)について御報告をさせていただきます。資料9の1ページを御覧ください。デフィブロチドナトリウムでございますが、本品目は肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上でございます。

○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の了解を得たものといたします。それでは委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況につきましては次のとおりでございます。議題1、デフィブロチドナトリウム、退出委員は柴田委員、議決には参加しない委員は武田委員、以上でございます。

○杉部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見等はございますでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものといたしたいと思います。本日は審議事項が1議題、報告事項が6議題となっております。それでは審議事項の議題1に移りますが、柴田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議題1の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

(柴田委員退出)

○杉部会長 では、よろしくお願いいたします。

○事務局 審議事項議題1、資料1、デフィブロチドナトリウムを希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より御説明いたします。タブレットの資料1、審議事項1、デフィブロチドナトリウムのフォルダーをお開きいただき、希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。

 日本新薬株式会社が開発するDefibrotideについては、平成30年9月14日に予定される効能・効果を「造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)」として既に希少疾病用医薬品としての指定を受け、指定された効能又は効果で平成301017日に医薬品製造販売承認申請をしましたが、審査の過程において造血幹細胞移植を伴わない肝類洞閉塞症候群も対象に含めることとなったため、希少疾病用医薬品の指定についても変更が必要な状況となっており、デフィブロチドナトリウムを「肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)」を予定される効能・効果として新たに指定することについて御審議いただくものです。

 1ページを御覧ください。肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)の指定に関してですが、まず、対象患者数について御説明いたします。日本造血細胞移植データセンター/日本造血細胞移植学会による2016年の造血幹細胞移植年間実施件数及び造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群発症率により推定される造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群の患者数は年間403例であり、また、造血幹細胞移植を実施しない場合でも、イノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)、ゲムツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)等の化学療法及び化学療法/放射線照射により肝中心静脈閉塞症を発症することが報告されており、これら化学療法等を施行される推定患者数及びそれによる肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群発症率から化学療法/放射線照射後の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群の患者数は年間2358例と算出されるため、本邦における肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群の患者数は年間461例程度と推定されます。以上より患者数が5万人未満の要件を満たしているものと考えております。

 2ページを御覧ください。次に医療上の必要性について御説明いたします。肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群の多くは、造血幹細胞移植後3週間以内に発症し、重症例では多臓器不全を伴う致死的な疾患であり、現在の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群に対する薬物治療については、本邦では肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群を適応症とする既承認薬は存在しません。そして、欧米のガイドライン等では、肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群に対する治療薬として唯一推奨される治療薬として記載されています。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。

 3ページを御覧ください。最後に開発の可能性について御説明いたします。海外第III相試験(2005-01試験)において、造血幹細胞移植後の多臓器不全を伴う重症肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群患者を対象に、非盲検下で本剤の有効性及び安全性が検討され、その試験成績に基づき、欧州、米国で承認されています。そして、造血幹細胞移植又は化学療法施行後の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群患者を対象に実施された2006-05試験において主要評価項目とされた造血幹細胞移植後又は化学療法開始後の100日目の生存率は、造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群患者と同程度以上で、有害事象全般及び出血関連の有害事象の発現割合は、これらの患者間で大きく異なりませんでした。本邦においては、造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症/肝類洞閉塞症候群患者を対象に、第II相医師主導治験(FMU-DF-002試験)が実施され、日本人における本剤の治療効果が示唆され、安全性について、2005-01試験で示された安全性プロファイルとの間に明確な差異は認められませんでした。以上より開発の可能性は高いと考えられます。

 以上から、本品目は肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)に対して希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問、御意見ございませんでしょうか。希少疾患に対する薬ということと、今までは最初のほうに出ておりましたが、造血幹細胞の移植の後でということでの特定範囲の適応だったのですけれども、今度は化学療法、放射線療法にもこれを適応しようということでございますが、いかがでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。

 それでは、議決に入りたいと思います。武田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。はい。ありがとうございます。では、御異議がないようですので指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。別室で待機されている柴田先生をお呼びください。

(柴田委員入室)

○杉部会長 それでは、報告事項に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは事務局より、報告事項についてまとめて御説明をさせていただきます。初めに、報告事項の議題1について報告いたします。資料2を御覧ください。本剤はベドリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とするヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体です。現在、「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存療法で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で承認されております。今般、武田薬品工業株式会社より、「中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(既存療法で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 次に、報告事項の議題2、ビクトーザ皮下注18mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料3を御覧ください。本剤はGLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする水性注射剤であり、「2型糖尿病」の効能・効果で承認されております。今般、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社より、投与量の上限を0.9mgから1.8mgとする製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項の議題3、ブロプレス錠2、他7品目の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料4を御覧ください。本剤はカンデサルタン シレキセチルを有効成分とする錠剤であり、本邦においては「高血圧症」「腎実質性高血圧症」及び「慢性心不全(軽症~中等度の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合)」の効能・効果で承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、小児の高血圧症に対する使用の医学薬学上公知への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成3011月9日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、今般、申請者から、高血圧症に係る小児の用法・用量を追加するための製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し仕えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項の議題4、資料5の医療用医薬品の承認条件について(ヴォリブリス錠2.5mg)を御説明いたします。タブレットの資料5「医薬品の承認条件について(ヴォリブリス)」のファイルの2ページ、「承認条件に係る評価報告書」を御覧ください。アンブリセンタンを有効成分とする医薬品ヴォリブリス錠2.5mgの承認条件に係る御報告です。本剤は、平成22年7月23日に「肺動脈性肺高血圧症」の効能・効果が承認され、その際、承認条件が付されております。この度、グラクソ・スミスクライン株式会社から使用成績調査(以下、本調査とする)の結果と、その結果に対する考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されたので御報告いたします。

 3ページの「2.提出された資料の概要」の()「製造販売後調査の概要」を御覧ください。本調査は全例調査方式により実施され、平成28年9月6日までに調査票を回収した1,394症例の情報を基に調査結果がまとめられました。

 安全性については、4ページの2)の「安全性」を御覧ください。安全性解析対象1,380例における副作用発現症例率は28.5%であり、国内臨床試験における副作用発現率88.0%より高くなく、主な器官別大分類別の副作用については、一般・全身障害及び投与部位の状態、呼吸器、胸郭および縦隔障害、並びに血液およびリンパ系障害は、臨床試験成績と比較して大きく異なる傾向は認められませんでした。そして、重点調査項目の一つとされた貧血、体液貯留、心不全、肝障害、出血の発現状況については、本調査におけるこれらの副作用の発現状況について、安全性に関して特段の問題が認められなかったことから、新たな対応が必要な事項は認められなかったと承認取得者は説明しています。

 有効性については、7ページの3)の「有効性」を御覧ください。有効性評価項目は6分間歩行距離、WHO機能分類、心肺血行動態、脳性ナトリウム利尿ペプチド及び全般改善度であり、本調査から得られた成績について検討を行った結果、有効性に関して特段の問題は認められなかったことから、現時点では特段の措置を講ずる必要はないものと考えたと説明しています。

 9ページの4)の「特別な背景を有する患者」を御覧ください。特別な背景を有する患者(小児(15歳未満)、高齢者(65歳以上)、妊産婦、肝機能障害を有する患者及び腎機能障害を有する患者)における安全性及び有効性について、特段の問題は認められなかったことから、現時点で特段の対応は必要ないと判断したと説明しています。

 10ページの()「製造販売後に実施された適正使用に必要な措置の内容」のマル1「添付文書の改訂」を御覧ください。副作用の集積等に基づき行われた対応について、表でまとめております。

 続いて、11ページのマル2「安全性情報の提供」を御覧ください。欧州において特発性肺線維症に対する本剤の使用を禁忌とし、医療従事者へ注意喚起がなされたことについて、平成24年8月に「ヴォリブリス錠2.5mgの適正使用に関するお願い」を配布し、国内の本剤納入医療機関に注意喚起を行い、本調査の中間成績の報告を平成26年4月及び平成27年8月に納入医療機関に配布し、情報提供を行っております。

 「3.機構における評価の概要」の1)「製造販売後調査の実施について」を御覧ください。機構は、本調査において、施設との契約不能等により一部の投与患者の情報が適切に収集されていないことを確認したため、承認取得者に対して、全例調査が確実に遂行可能な社内体制を速やかに構築することを求めました。そして、今後も当該体制のさらなる改善の要否を継続的に検討し、迅速かつ適切な見直しを行うことが必須であると考えております。

 最後に「III.総合評価」を御覧ください。機構は提出された資料から、本来、情報収集されるべき一部の投与患者の情報が得られなかった点は適切ではなく、それを踏まえて全例調査の実施中に調査方法等の改善が計られなかったことは不適切と考えるが、承認条件である製造販売後調査が実施され、患者背景、安全性及び有効性に係る情報が概ね収集されていること、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、承認条件は対応されたものと判断されています。以上を踏まえ、承認条件は満たされたものと判断しております。

 続いて、報告事項の議題5、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御説明いたします。資料6-1、希少疾病用医薬品の指定取消し(Defibrotide)のファイルを開いてください。届出者は日本新薬株式会社、医薬品の名称はDefibrotideです。本剤は、先ほどの御説明のとおり、平成30年9月14日、「造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。試験研究を中止する理由については、指定された効能・効果で平成301017日に医薬品製造販売承認申請をしましたが、審査の過程において造血幹細胞移植を伴わない肝類洞閉塞症候群も対象に含めることとなり、指定時の効能・効果に係る試験研究を行わないことから、当該希少疾病用医薬品の試験研究中止を決定したものです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしたものです。

 続いて、資料6-2、希少疾病用医薬品の指定取消し(-アミノレブリン酸塩酸塩)のファイルを開いてください。届出者はSBIファーマ株式会社、医薬品の名称は5-アミノレブリン酸塩酸塩です。本剤は平成24年7月4日、「悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の視覚化」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されました。希少疾病用医薬品の製造販売を中止する理由について、届出者は、平成25年3月25日にアラグリオ内用剤1.5gの製造販売承認を得ていますが、今般、医療現場における他の医薬品との混同を避けるため、本剤の製造販売を行わないものとしたため、当該希少疾病用医薬品の製造販売中止届を提出するに至ったとのことです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。以上、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて、御報告をいたしました。

 続いて、報告事項の議題6、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料7-1及び7-2です。これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御説明をいたします。資料7-1です。有効成分名はデフェラシロクス、販売名はエクジェイド懸濁用錠125mgのものです。資料7-2です。有効成分名はブロナンセリン、販売名はロナセン錠2mg、他3規格のものとなっております。これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効成及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。報告事項に関する事務局からの御説明は以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。たくさんの事項がありましたが、委員の先生方から何か御質問、御意見はありますか。

○長島委員 議題4のヴォリブリスの製造販売後調査ですが、一部の投与患者の情報が適切に収集されていないということで、これは問題ではないかと思いますが、もう少し具体的にどういう問題があったのかというのを教えていただけませんか。

○事務局 ヴォリブリスの資料の4ページです。「なお、契約施設において本剤が投与されたことが確認できた症例のうち、未登録症例は321例確認され、また、契約不能施設は35施設であり、登録に至らなかった症例が多数認められた。これに対し承認取得者は、納入情報を入手後、速やかにMRに連絡し、調査予定医師等へ調査実施依頼を行うよう指示・管理する体制に変更するとともに、調査を支援するモニターを導入していると説明した」という所が該当するかと思います。

○医薬品審査管理課長 4ページの該当区分を、先生方はお分かりいただけましたか。

○長島委員 そうではなくて、なぜそういう事態になったのか。要するに、契約ができなかったのはやむを得ないことなのか、きちんとしていればそういうことは起こらなかったのかという点です。

○事務局 その点については確認をさせていただいたところです。臨床の実態、臨床の現場を推察した上でというのは伺っているのですが、以前にも同じような品目、肺動脈性肺高血圧症についての品目があり、同様の状態で今回と同様の対応をしているということです。

○長島委員 再発を予防するためには、その原因をきちんと分析し、再発を防ぐための施策をしなければいけないのですが、それが可能な状態ということですか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、先ほどの補足の説明からです。今回のような全例調査の場合、医療現場においてはどうしても多忙であったり、調査に記載する事項が多岐にわたったりするなどの理由で、一定の施設では説明をした上でも調査に御協力いただけないような場合があると伺っております。当然、調査の必要性というものは丁寧に説明して、できる限り施設に御協力いただくという対応も取られますし、昨今は調査において、なるべく必要な情報を取りつつ、現場の負担にならないような調査の計画立案を行うといった対策なども講じ、今後も検討していきたいと考えております。

○長島委員 11ページの真ん中辺りで、機構は「全例調査が確実に遂行可能な社内体制を速やかに構築することを求めた」とあるのですが、今のお話からすると、そもそもそれは必ずしも実現できない状態であると理解していいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 少なくとも今後行われる調査においては、そういった改善が反映されることは期待しております。今回の調査については、既に登録のみに移行しておりますので、今回の調査にそういった改善を反映することはできないかと考えております。

○長島委員 今までのほかのものと比べて、ここに特別に問題があったのか、それともほかのものと同様のやむを得ない事情だったのか、どちらでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 PAHの領域における全例調査の回収率や施設契約の率としては、特段問題になるほどではなかったと把握しております。

○長島委員 すると、速やかに全例調査が可能な体制というのは、事実上は既に構築されていたのですか。それともまだ改善を要する状態だということですか。どちらの判断ですか。

○医薬品医療機器総合機構 完全とは言えないので、まだ改善の余地があるという状況かと思われます。

○長島委員 完全でないというのは、どの部分ですか。

○事務局 この品目については、既に調査が終わってしまっていまして、次回、この承認取得者について同じような全例調査の承認条件がかかった場合には、こういったことが起こらないような対策が行われているかを継続的に確認させていただきたいと思っております。

○長島委員 先ほども言ったように、どの部分が十分でないと判断したのかということです。これが通常どおりで、臨床上やむを得ないことであれば、そもそも改めて完全な構築は不可能ということになるのです。ここの書きぶりだと、何か問題があったから、これを完全にすべきだという書き方だけれども、そうではなくて臨床上やむを得ないことであれば、それはそういう評価できちんと書かなければいけないので、今時間がなければ、後でそこのところをきちんと整理していただきたいと思います。ちゃんと調査ができていたかどうかということを判断するときに、この書き方だとやはり問題があると判断してしまうので、そこはきちんと書いていただいたほうがいいと思います。

○代田委員 追加のコメントをよろしいでしょうか。今のお話ですけれども、未登録症例が321例というのが、やはり一番問題かなと考えます。そこをどうやって解決するかという具体的な提案をしていただく必要があるのではと思います。

○杉部会長 そのことについて、いかがでしょうか。

○医薬品審査管理課長 今、お2人の先生方から御指摘を頂きました。全例調査というのは、新薬で承認を下ろした後に、基本は全例、できる限り症例を押さえて、そこで何が起きるかというのをしっかり漏れなく把握し、必要があれば市販後の対策に速やかにフィードバックするということを目的としてやっていただいているものです。そういう意味では、症例数をできる限り多くというのが、やはり目指すべきところだと思っております。その上で、機構が報告しておりますように、やむを得ない所がこういう形で出てきているとは思いますが、そこをできるだけ少なく、漏れなく市販後に症例を押さえていただくことが、やはり全例調査を課されたものについては取り組んでいただきたいところ、取り組むべきところだと思います。

 課題については、今回のケースではどういう難しさがあったのか、後ほどもう少し確認して御報告させていただきたいと思いますし、組み込まれなかった症例数が少しでも少なくなるように、次の全例調査の策をこの会社として改善し得るのか、企業がどういうように体制を組んだのかということについても、御報告をさせていただきたいと思います。御意見ありがとうございます。

○杉部会長 長島先生、それでよろしいですか。やはり記載の仕方というのもあるし、その裏に入っている実態の会社の姿勢があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。そのほかにいかがでしょうか。

○堀委員 資料4のブロプレス錠とカンデサルタン錠について、小児への投薬方法について1つ質問があります。それから、小児用調剤の開発についても1つ意見を述べさせていただきます。まずNo.4の1の報告様式を見ていただきますと用法・用量が、通常、1歳以上6歳未満の小児には1日1回カンデサルタン又はブロプレス錠2錠を粉砕し、0.050.3mg/kgを経口投与すると書いてあります。そうなると、私どもが子供に薬を飲ませる場合、母親にしてみると非常に注意や工夫が必要になってきます。

 確かに調剤薬局などでは、お医者様からの処方箋で1包1包その調剤に伴ったミリグラムなどで来るのですけれども、それをいざ飲ませるときに、実際水で飲ませるには誤嚥を起こしてしまったり、吐き出してしまったりということが起こります。そこで1つ質問です。通常こういう散剤を飲ませる場合、例えばヨーグルトに入れたりオレンジジュースに入れたりという形でどのように子供に投与をさせるのか?、親の悩むところなのです。この薬に関しては、食品との混合に注意するものはあるのでしょうか。例えば、ミノマイシンを粉ミルクに入れてはいけないとか、そういうものがあれば教えていただきたいです。もし、そういうものがあれば、是非添付文書に記載していただきたいのですが、いかがでしょうか。

○医薬安全対策課長 遅れて到着して申し訳ございませんでした。添付文書の記載は確認させていただきますけれども、一般論で申し上げますと、いわゆる健康食品と言われるものも含めて、併用注意とか相互作用のあるものについては情報に基づき、適宜記載しているところです。有名な話としてはセントジョーンズワートのように、健食で明らかに相互作用に問題のあるものについては、現に書いてある添付文書もありますので、一般的にはそういう取扱いをさせていただいています。

○杉部会長 事務局、具体的にはどうですか。本剤についてジュースなり、そういうものは何も報告がないということですか。

○事務局 今のところ特定の食品に関する情報は、特に持ち合わせておりません。

○堀委員 分かりました。では、もう1つ意見です。資料4の別紙1の7ページの小児用製剤の開発についてです。この薬剤に関しては、かなり割れやすいということがここに書いてあります。「機構は、以下のように考える」ということで、「現行製剤のみを提供し続けることは適切とはいえず、速やかに小児に係る用量の投与に適した製剤の開発に関する検討を開始するべきである」と書かれているのです。これは具体的にシロップとか、そういうものを考えていらっしゃるのでしょうか。

○事務局 今のところ、特定の剤形はないのですけれども、小児の方が飲みやすいようなシロップ剤といったようなものについて、開発を検討していただければとは思います。

○堀委員 ありがとうございます。散剤を子供に飲ませるというのは、皆様の想像以上に大変なことなのです。本当に誤嚥を起こしてしまって、そこで肺炎になってしまうような赤ちゃんもいます。確かに、小児にこの薬が適応されたというのは、ものすごく素晴らしいことだと思うのですけれども、それを投与する家庭での飲み方というのは、やはり製薬会社も是非意識していただければ幸いです。

○杉部会長 そのほかに先生方から何か御意見はありますか。特にありませんか。よろしいですね。報告事項があって、そのうちの2剤について御質問がありました。ありがとうございました。今後のメーカーからの報告というのもありましたが、報告事項の議題1から議題6については御確認を頂いたものとしたいと思います。本日の議題は以上です。事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は5月28日火曜日の午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 それでは、本日はこれで終わりたいと思います。どうも御協力ありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)