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- 第3回 未来イノベーションワーキンググループ 議事要旨
第3回 未来イノベーションワーキンググループ 議事要旨
日時
平成31 年3 月4 日(月曜日)18:00~20:00
場所
厚生労働省本館17 階専用第21 会議室
出席者
委員(五十音順)
- 佐久間座長
- 渋谷副座長
- 飯田委員
- 市橋委員
- 石山委員
- 落合委員
- 熊谷委員
- 後藤委員
- 坂田委員
- 真田委員
- 下河原委員
- 鈴木委員
- 田宮委員
- 中野委員
- 比留川委員
- 堀田委員
- 本田委員
- 松尾委員
- 山本雄士委員
出席者(厚生労働省)
- 諏訪園審議官
- 迫井審議官
- 伊原審議官
- 佐原審議官
- 森審議官
出席者(経済産業省)
- 藤木商務・サービス審議官
- 江崎商務・サービス政策統括調整官
- 西川ヘルスケア産業課長
- 富原医療・福祉機器産業室長
次第
○開会
○経済産業省 藤木商務・サービス審議官より挨拶
○事務局より資料に基づき説明
○討議
○経済産業省 藤木商務・サービス審議官より挨拶
○事務局より資料に基づき説明
○討議
配布資料
議事
- ○討議
- ・ だれでも個人が主体化できるということだが、そこについては、私は日本独自のアプロ
ーチを提案したい。昨今話題のSociety5.0 の考え方とも同列であるが、アメリカは個
別化はできているがお金持ちのみが対象。中国やシンガポールは基本的には画一化。こ
の中で多様性を認めて、誰でも個人を主体化するというのは日本独自のアプローチだ
と思う。また、「ともに支える」の方であるが、ユーザイノベーションのコンセプトよ
りも先に行っていて、全体としてユーザと供給側の区別がないという状態だと考える。
・ 一方でこの二点は、多くの場合コスト増を避けられないが、日本の独自の可能性を可能
としているのは、「インフラのスマート化」という部分ではないか。現在進めているデ
ータヘルス改革は、このスマート化の出発点であるので、これがなくてはスマート化は
始まらない。さらに間もなく5G が始まると容量が1000 倍、時間や空間の制約を超え
るという意味では可能性が一気に広がる。その際に重要なのが、総理が前回のダボス会
議でDFFT という考え方を述べられたが、インフラのスマート化によって生まれてくる
データから価値を引き出して、医療健康に使うとともに、その価値の一部を、多様性を
支えるためのインフラとする考え方が必要。
・ 最後に一点、全体として「心のケア」、「生きがい」「やりがい」「満たされている」「役
に立っている」といった価値を非常に重視した考え方になっている。2040 年になると、
さらなる大量生産により、物の価値がさらに下落するが、相対的に心の満足を目指すサ
ービスの価値が高まるのではないか。経済的に見ると戦略的に2040 年に高い価値が社
会に突き付けられることを志向していると考えられるのでは。
・ この話はどちらかというと医療を受ける側、受益者側の話である一方、治療についての
技術革新というところもかなり医療情報の密度というものが高くなりロボットやAI が
出てくることもあるだろう。
・ 2040 年に向けて疾病構造が変わっていくということに対してどこまで対応できるか。
これまでは感染症や特定の疾患の患部を取り除くということに技術力が割かれてきた
が、今後はやはり疾患になる前からケアをする。特に介護もそうであるが、継続的にデ
ータをとることによって先手的にアプローチをとる。これは医療なのかという問題も
あるが、そういったサービスが求められることになるだろう。取るべきデータも変わっ
ており、できるだけ正確な情報を安定的にとれば、すべてのシグナルがその中に出てき
て、そこに対してどういったアプローチをしていくかというのが医療の形であり、それ
に加えて高齢化になるため、人の体が弱っていくことをどう管理するかが基本になる。
そうなると、「アメリカと中国と違う」という話があったように、アメリカはもとに戻
して治すというところにまだこだわっているが、様子を見るというよりは積極的に食
事・運動・ストレス管理などを総合的にやるサービスに代わっていくのでは。というも
のとして2040 年の姿を見ると、まさに今度は医療者の在り方、情報のテーマも変わっ
ていくのでは。
・ 医療サービス・医療機器で必ず規制の問題というものも出てくるが、その時に今までの
データのとり方とデータを使った基本的な考え方があると思うが、どういった評価を
するか。データのとり方や医療技術の評価も違ったやり方をしていく必要がある。「こ
ういう方法である」という話が出てきたが実際に今の評価のやり方でいけるのかどう
かといった意味でもいろんな評価のやり方もしっかり見ていく必要があるのでは。
・2040 年を目指すということで、非常に美しい絵が描いてあるが少しきれいごとに過ぎ
る気がしている。2040 年を目指すと来年からやらなければならないようなこともある。
そうするとデータの標準化・収集などの問題がたくさんある。介護事業者にしても現状
を変えるという意識も少ない中でどうモチベーションを保つか。介護職にしても魅力
的な仕事にするには看護師やコメディカルのレベルまで専門性が出てきて、資格制度
を整備するなどして働けるようにならないと難しいのでは。
・そのように、少し直近の5 年ぐらいでやるべき泥臭い話もどこかにいれないと何をや
るのかがなかなか見えてこないのではないか。
・守備力がすごく高いなと思った。網羅的になっていて誰かが突っ込もうと思ってもな
かなかコメントが出ない。全部実現する都市は作れず、日本のどこかでは実現している
から絵にかけばこういった網羅感はあるが、類型がいくつか出てくるのでは。たとえば
地方都市A、東京、大阪、離島の場合など。そこで暮らすとかそこで人生の最後を迎え
るという選択肢が広がることはいいことだと思うが、メリットデメリットがあること
を記述していくことがポジティブなことである。大きなデメリットがあるところをな
くすことがまずは必要。
・ そして、急なデメリットや、急激な人口動態の変化に備えるという意味ではこれは非常
に効いているが、その中で網羅的になりえないようなものが出てくるための思考のフ
レームの条件は何かケーススタディにしてやっていくことが必要。一つのイラストに
まとめることは無理があり、あえて悪いところが書いてあるくらいがいい。例えば離島
に住んだら空気はいいが救急搬送が必要な場合は厳しい。ただ最大限頑張るなら通信
インフラが早ければ何とかなるかもしれないし、今まで1 時間輸送にかかっていたも
のが、5 分ぐらいでできるように目指すなど。
・ また、個々のライフスタイル、例えばいわゆる大企業に入った人とフリーランスの人と、
裕福な家庭と社会資本を接続しているような人と、何パターンか人の類型と地域の類
型があって、それの最大公約数的なところを目指すということを考えてみるのは面白
いのでは。
【事務局】
・ 例えば前回のグループ1でかなり議論になったように2040 年になっても山奥で住み
たいといった選択肢をなるべく狭めたくないが、とはいえ都心の医療の水準と、山奥
でできる医療の水準はかなり違っている。そうしたときに緊急時でもなるべく救え
るようなスマート救急車などで可能な限り時間・空間制約を開放はするが、とはいえ
若干は水準の違いは残るので、そこは受け入れないといけないといった意味で、「地
域医療・介護のスマート化」という部分で、山奥でも最低限このレベルのミニマムス
タンダードを目指しましょうといったコンセンサスを作るとか、あるいは一人の看
護師がいろんな職種のことをバーチャルでサポートを受けながらできる多能工化と
かマルチスキル化といったところは書いている。
・今お話を聞いていて思ったのは、イラストの中で都市型だけではなくて地方型など
いろんなライフスタイルを切り取って、ある意味露骨に見える化した方がわかりや
すいと感じた。
・ これは「日本国」という一国の中で全部をやるイメージで話をしているが、ほかの国と
の切り分けというかアライアンスというものはありうるのか。相互協力というか、どこ
の国はこの部分が強いからそこを頼りにして、その代わりそこに投資する分の金を少
なくして、日本として優先順位の高い部分にやるという、ほかの国とのアライアンスと
いうことを検討するものなのか、ここではしないのか。だれが決めるのかという主体の
話もあると思うが、外国とのやり取りはどうするのか。
【事務局】
・外国を使うという意味では、「外国人労働者」の話もそうであるが、それは過渡期の
やり方になると思っている。経済格差があるゆえに可能になるサービスもあり、外貨
を稼ぐための経済状態のニーズから出ているものにどこまで頼るのかという話が一
つと、むしろ外国との関係では中国・台湾とものすごく日本に期待している部分があ
って、まさにアメリカでできているものは輸入すればいいが超高齢社会になってい
る国がない。その中で中国はこれから2 億人単位で高齢者が増えていく中で、介護と
医療で支えるのは絶対に無理だということが分かっているが、どの辺に手を打てば
いいのか。インドネシアもそうであるが人工透析で確実に国が破綻するが本当に医
療で行くのかということについて疑問は持っているが答えがないというのが世界の
状態である。であるがゆえに日本に対する期待は大きく、スウェーデンでも、認知症
になってしまったらケアするが、ならないようにするということが全くなかったり
する。あえて日本の中に閉じようというつもりもないが、世界から見ても日本という
のは実験場で、どのように対応するのかが注目されている。経済格差があるがゆえに
マンパワーが足りないからしばらく手を借りるということはあるが、未来永劫それ
で行くのは難しいと思っている。
・私は看護師だが、看護師の立場として、供給側の人と技術が共生し最適なサービスを提
供できるということを2040 年に自分たちが果たしてこんな世界を作れるのだろうかと
不安が募るし、こんな難しいことはできないと思ってしまう。どういうことかというと、
専門職のための人材育成を社会システムの中に入れなければいけないのではないかと
いうのが一つ、もう一点が、健康に関して自己決定できるためには子供のころから、ヘ
ルスリテラシーを付けていくような教育システムが必要なのではないか。この二つの、
人材育成と子供のころからのヘルスリテラシーの教育をどこかに入れることが必要な
のではないか。
・ 大項目や中項目の言葉が大事かなと思っている。「活躍」「生きがい」「次世代ケア」「最
適な生き方」「満足できる」など結構強めの表現が多くて、20 年で本当にいけるのか。
前回の議論を踏まえれば、「理不尽でつらい思いをしない」や「うーんと困らない」な
ど、そういう表現のほうがいいのではないか。
・ ネガティブな考えに振ると面白く、提供したい価値のところが最もマイナスだったら
どうなるか。人とテクノロジーによって支えあわなくて、自分の選択肢を持つことがで
きなくて、選択肢を理解できなくて、こういう投資ができないという考え方の世の中は
2040 年大いに想像できるが、「○○でない」というところをはずすために下がつながっ
ているのか。「○○でない」をどれだけつぶすのかを考えても面白いのでは。
・ 例えば、「3 つのアプローチを可能にするアクション」のうち、「受け入れあって認め合
うことができない」であればそれがすごく想像がつくし、「支えあわない」というのは
みんな余裕がないから支えあえなくて、「エンパワメントする余力がない」というのも
すごく想像がつくが、その「○○でない」ということを下で対応できるかというと、ポ
ジティブでやる気があって活気のある社会であれば想定されるが、さっきおっしゃっ
ていた誰もうーんとならないというのは、ほどほどにやる気のある人が困らないライ
ンなのではないか。そこまで広げておくのもいいのではないか。
・ 介護の現場でやっているイメージとしては、完全に行き過ぎている。ケアの縮小化とい
う話も前回でたとおり、行き過ぎたものに対してもう少し抑制というか、「これでよく
ないか」というほどほどを示していただかないと、現場で働いている人たちはどこまで
やればいいのかを常に迷いながら完全に行き過ぎている。行き過ぎたものに対する抑
制の方針みたいなものが見えてくると介護の現場で働いている人への道しるべになる
のではないか。
・ 「うーんとならない」というのは結構リアルなもので、特に「受け入れあい認め合う」
ということが成り立つためには、価値観が変わって今の「できるだけ多くのことを早く
やっていくことが勝ちなんだ」ということを教え込まれていることで、なんらかの障害
を負ったら「自分が一番だめなんだ」と思ってしまうし、一回犯罪を犯したらだめなん
だ、だめな人たちだとなってしまうということを具体的な教育にどうやって展開する
かが、専門職教育もそうであるが、全ての人が「そこそこまあ、みんなそれでいい」と
思えるための教育のあり方をしっかり組み込むということにしたい。
・ 前回から引っかかっているが「活躍」「生きがい」というのがやっぱりキラキラ見える、
今の価値観の「速くたくさんのことができる」ことが推奨され続けるようなイメージを
伴わずになんらか上の言葉を作れないかというのが一つ。
・ 2040 年の理想的な医療・介護の姿とあるが、「供給側」「需要側」という分け方そのも
のがそぐわなくなってくることをなんらかイメージがつくような形にできないか。例
えば言葉一つ一つをとってみると、供給側の方が最適なサービスを提供できるという
ことよりもしっかり価値が届くということのほうが大事であって、それこそ「最適の」
「最善の」という言葉が強いのかも知れないが、とにかく本人たちの価値が届いている
のか、体験の改善につながっているのかということが重要で、専門職が最適と考えるこ
とを最善を尽くして燃え尽きるということがあってはならないはずなので、「サービス」
という言葉を使わないほうが少なくとも良いのではないか。
・ また「需要側」と書かれているがこれは全ての人たちのことで、最適な健康づくりを選
択できる、医療介護を選択できるというよりも、生き方であり働き方であり、そういう
ことのための健康であるのではないかということが「供給と需要」の部分で感じたこと
である。他方で、「コミュニティを含めた共同関係へ」という図は慢性疾患ケアモデル
の考え方に非常に近いと思っており、急性期医療で想定されていた「専門職が治しそれ
を患者が受け取っている」という昔の患者役割論から、慢性疾患ケアモデルだと、先を
見越した準備ができた他職種チームと情報スキルを得て活性化された一人ひとりの住
人の生産的相互関係が我々のWell Being を支えていると言われている、その背景にあ
るのが活性化したコミュニティと言われている。この中途半端な「供給が」「需要が」
「ともに治す」「ともに支える」という微妙な表現を少し調整する余地はあるのではな
いか。
・ もはや予防・医療・介護が今ほど限定的なエリアやシチュエーション、プレーヤーによ
って実施されている状態ではないのだ、というのを一つのゴールとおくのが良い。逆に
今ほど限定的なエリアやシチュエーションではないとすると、生活の中に予防医療介
護がより浸透していて、専門職だけが医療機関に患者を呼ぶサービスではなくなって
いるはずなら、コミュニティの在り方を変えることに帰結するのではないか。そういう
目線でこの資料を見ると、違和感を覚えていたのが、意図的なのかもしれないが個人を
重視しすぎていて、先ほどの「需要」と「供給」の話もそうであるが、医療従事者でい
う「臨床」といわれるような、患者が一人いて、それに周りから色んなことをするとい
った発想で資料ができている感じがあった。
・ 例えば「誰もがどんな状態でもこれでいいと自然に思える」とあるが、「これでいい」
と思えたら支えあわない。「これでいい」ではない。コミュニティの中でより自然に関
わると、適時的なサポートや適切なアプローチをでやりたいと思ってしまうが、「適度
な無視」が重要で、これから全体主義ではなくコミュニティとして動くときに、どの程
度無視するのがよくて、どの程度介入するのがよいのか、あらたなコミュニティのあり
方を考えないといけない。「互助」ということだと思うが、コミュニティとしての共通
価値をどう教育の中で置いていくのか、という互助のあり方と、技術にどう落とし込ん
でいくかを考えると出てくる。2040 年は「最適」「サービス」「個が」という時代ではな
いのではないか。
・ 追加で、今私が関わっているケースで毎日親からの暴力に怯えながら暮らしている子
供がいる。それがここで見たときにどう説明されるかがよく分からない。2040 年で解
決されるのか、理不尽な人が、最適な生き方を追求でき、自然とそれでいいと思える・・・
とは思えない。
・ 守備力が高いという話があったが、では攻撃力はどうかというと、若干攻撃力は弱い。
全てのことを網羅的にまとめてあるように見えるが、もう少し強弱が付けられるとよ
いのでは。最低限ここはできていないと社会が破綻するといったレベルのものと、その
次のステップとしてみんながある程度満足できるというステップ、その上にさらに個
人のバリューにアドレスできるような、それぞれの解をしっかり回収できるようなも
のになっていると良いのではないか。全部にのべつ幕なしに投資して全部が1%ずつ
ぐらいできても何の価値にもならないのではないか。100 点のもの、あるいは120 点の
ものを一つ一つの階段で作れるといいのではないか。大上段の話であるが。
【事務局】
・ 実は医療だけでなく教育でも同じ議論をしたが、全く同じ議論となった。学校の先生
は生徒のために無制限無定量で働くのが当たり前である。先ほどお話しいただいた様
に、医療介護に対して社会がどこまで期待をするかというのに対して無限大に答えな
いといけないというくびきのなかで苦しんでこられたと思う。素晴らしいと思ったの
は「適当に無視する」「そんなものじゃないのか」というのは今までできなかったので
はないかと思う。
・そうするとまさに社会の期待と価値とは何なのかという問題で、それがないが故に、
個が輝くとか生きがいといった美しい言葉で表現されざるをえない。しかしせっかく
問題提起していただいたので「まあそのへんじゃないのか」という議論がある程度で
きたらこれは素晴らしいことだと思うし、どの辺りにするんだという議論ができると、
この議論は一歩前に進むのでは。
・事務局としてアドバイスをいただきたいと思っているのは、今鈴木先生にすごくいい
ことを言っていただいた、「層を分ける」ということはすごく重要であると思ってい
る。我々は2040 年の医療・介護のあり方を考えるときに、新しいことだけやるので
はなく、根っこの部分からしっかり議論はしなければいけない。
・ただ一方で最後レポートの形にまとめるときに、厚生労働行政や経済産業省がやって
いるようなことを全部包括するような形で書いていくと、なかなか分かりにくいもの
になるので、ご批判もあると思うが、ここに書いてあることは、階層を分けていった
ときに理念としては下の階層まで重視はしながらも、どちらかといえばこれから新た
に投資をしていかなければいけないようなところを中心に書いているのが今のまと
め方になっているのは否定できない。我々はどこまで書き込むのがいいのかは皆さん
のご意見も踏まえながらやりたいので、もう少しご助言いただけると助かる。飯田委
員の言った内容も、少しはよくなるのかという目線で見るのか、それともそういった
ところまで書き込んでいかないと訴求するものにならないのか、そのあたりのご意見
も少しいただけるとありがたい。
・ 先ほどの「社会にどこまで期待するのか」ということはなるほどと思った。私も都の教
育委員をずっとやっているが、実際に行っていることは子供に向き合うこと以外、余分
な仕事を排除することである。例えば、マニュアルを作るというと役所的には厚いもの
を作ろうとするが、それは読むだけで時間がかかるので、そのようなことに配慮してい
る。確かに全体として攻撃力が弱いという点は確かにあり、なぜかというと、短期の視
点が弱いからなのではないか。これまでの議論で、最初にそこから入ると手前によって
きてしまうのであえてやっていないのだと思うが、この段階までくると、これはまず出
発点として必ずやるべきといういくつか重要な点があると攻撃力が上がるのではない
か。
・ 2040 年の先々で、現場で働く人たちや患者が、実際に今回議論したような医療介護を
行い 、受けるにあたり2019 年の今の時点で足りないことが見えていないといけない
のでは。おそらく「日本中一緒にこうしましょう」というよりもそれぞれの地域でそれ
ぞれにあったものが生まれて、その中で良いものが、その地域など枠の中で広がってい
き、本当に良いとなったらみんなに広まるのでは。最初から政府が「理想はこれ」と言
わなくても、それが起こりやすいような良いものが出たら広げます、応援しますという
形がいいのではないかと思った。良いものを広げる人はものすごく努力が必要になる。
・ 最後にテクノロジーは皆受け入れなければならないのだと思うが、私の子供のころと
同じ教育を受けている人が2040 年に向けて進んでいく時に、果たして本当に創造的に、
イノベーティブになれるのか。
・ 本能的に具体的なタマを探してしまうのは仕方ないが、具体的なタマにする方法を探
せば探すほど丸まっていくし、きれいな言葉で片付いてしまう。提案ではあるが、「こ
れがなかったらどうするのか」という発想で、今後政策などを決める際の判断軸や価値
基準として共有していく位で十分なのではないか。そのときにきれいな方面だけでな
く「これはだめだよね」ということをきちんと決めたい。具体的に例えば経済状況が悪
くなってくるとありがちなのが、既存産業にとってはすごく価値があるがもはや社会
にとって価値のないことをやりがちなので、そういうところは気をつけるなど。2040 年
予防介護ケアが生活に浸透した社会になるためにという社会価値を考えたときに、何
はしたらダメなのか、何をしていったらいいのかということを決めるくらいのステッ
プで十分では。
・ 保健医療2035 は攻撃的なビジョンを出していて、結局今何をすべきか、ある種しない
ほうがいいかということを言っているのが肝である。手前に寄せないようにというこ
とで2040 に設定しているが、例えば医者が足りないというのは結局病院が多すぎてベ
ッド数が多いから医者がそんなに配置できていないため、結局集約化の議論を進めな
い限り解決しない。タスクシフトなども進まない限り解決しない。そういうところに打
ち込めるものを出さないと変えるインセンティブにならない。自分が自分の主治医に
なるということは、医師法の抜本的なパラダイムシフトである。そういった意外とベタ
だが高めのタマを入れていった方がある程度攻撃的になるのではないか。
・ ほどほどに賢そうな中庸策よりは網羅的な個別具体策の方が価値があり、それよりも
さらに価値があるのはやらないことをいくつか決めることだというのは私もその通り
だと思うが、やらないことを決めるのも大変なので、「よくある思考停止」をあげつら
うのは価値がある。例えば「倫理観の問題」「教育の問題」など。具体的な案が出なく
なる思考停止のワードが出てきたら個別具体的なケーススタディをいくつかやると決
めておくなど、思考停止感が出てこないようにするにはどうしたらいいかというのは
考えておかないといけない。我々が避けなければならないのは、シルバー民主主義にな
ったときのデッドロック感。デッドロックしないためにどうしたらよいかをもっと積
極的に議論したほうがいいと思っている。デッドロックしてしまうとディスラプティ
ブなアイデアは採用されない。そこでどうやって議論の余地を残しておくのかがあっ
ていいと思った。
【事務局】
・ 今のいただいたご意見の受け止めとしては、素材自体は大きく間違っているわけでは
ないが、優等生過ぎるというような趣旨の内容かと思っている。確かにその通りで、一
番初めにお話しさせていただいた内容につながるが、元々経産省と厚労省で明らかに
キャラの違う組み合わせでやらせて頂いている。分野として社会保障に関わるところ
はやはり現実の路線で進んでいかなければならないところがあり、課題が重なるし、
2040 年に全部課題が解決して桃源郷になるわけではない。あえて2040 年に飛躍してで
きることを考えるというのが投げかけであった。
・私なりの受け止めは、提案させていただいた素材は素材として、具体的にご指摘いただ
いていることを合わせる形で、先ほど出ているポジティブなものをつまんでやるより
はネガティブなもの・避けるべきものをうまく形にしていければ、これまでの作業は無
駄にならない。これはこれからも続けていく作業だと思う。
・ 個人的には本当に守備力が高いのかも若干気になっている。例えばマクロ面から見た
インパクトという点で、これでどの程度のインパクトを出さないといけないのかが整
理できるといいのではと思った。一定のインパクトが出せていないと、わが国の医療介
護がサステナブルではないのか、それともビジョンドリブンでこんなところまででき
ていれば良いという世界観なのか、というところの、環境の今の厳しさ、がけっぷちな
のか余裕があるのか、またそこに対して40 年はどういうビジョンなのかみたいなとこ
ろが詰まっていてもいいのではと思った。そのあたりのレベル感、実態として私たちの
ステージがどこにあるのか。
【事務局】
・ 元々これを経産省と立ち上げたのがなぜかというと、2025 年までに向けて今まで議
論をしてきたが、2040 年を見ると1000 万人近く生産年齢人口が減ってしまって、と
ても今の仕組みで医療福祉のマンパワーを増やしていくことは難しい。ここが最大
の危機感である。お金の問題は様々なバリエーションがあるが、人の問題は最もクル
ーシャルな問題ではないかと思っている。
・もう一点、これを事務局が、これまでの議論やご意見を我々がどう活用させていただ
くかをお話しすると、これまでいただいた一連の議論、一連の素材については基本的
に今後政府全体で考える話として、情報医療戦略・健康医療戦略などの各種閣議決定
を行って政府で取り組んでいる内容があるが、AMED の次期の中期計画も含めて、経
産省厚労省で努力をさせていただく大きな計画にどう反映させるのかという素材を
いただきたいという趣旨である。研究開発・実証のプロジェクトに関するアイデアに
ついてはかなりいただいているので、必要に応じたテーマ設定を具体的に行いなが
ら、技術や、目の前の具体的な研究などを興していく取組みが必要なので、例えば再
来年度の予算要求というものが念頭にあって、内閣府のCSTI のムーンショット型の
研究開発のようなものと連携しながら努力していく。
・ 色んなカスタマーがいる中で、おそらくこれを見る大多数の国民はサイレンスマジョ
リティだと思う。2040 年でこういった形にしますと言ったときに、申し訳ないが一般
の普通の市民は「夢があるのか」「では私は何をすればよいのか」となるのでは。
・ 3 つ目の対応の方法で、「あなたが主役なのだ、だからこうしていかなければならない」
というのを我々は言っている。それはロボットやAI 抜きにはありえない。そうすると
ヘルスケアリテラシーもあるがロボットリテラシーといったことが必要。日本はロー
アンドオーダーはきちんと作れるがエンフォースメントがすごく弱い。自動運転の車
もそこが問題になっている。2040年に向けて社会をこう変えていきますといった
ときに、テクノロジーを使って今のライフスタイルを変えていく、そしてそれは社会規
範も含めて考えて変えていかないといけないのだというようなところが、メタファー
として入っていくようにしていただければ。
・ またもう少し優しい言葉で、見た人が「ちょっと負担があるが頑張っていこう」となる
ようにすればいいかと思う。また人材不足の話については、生産年齢人口は15歳から
75歳まで含めても減るのかもしれないが、テクノロジーを使って、80歳でも90歳
でも元気な人はいるので、それを日本社会の一員として活躍してもらえるようになら
ないか。
・ 資源が少ないがニーズがあるという世界は、単純化して分かり易く理解する意味では、
あまりよい表現ではないが究極的には戦場とかのようなイメージに近いものなのかな
と思う。そうするとミニマムのスタンダードオブケアをどうするかということがもう
少しトーンとして色濃く出てもいいのではと思う。優先順位という話もあったが、それ
が一つである。もう一つは「個の要素が出過ぎている」ということも私も冒頭から思っ
ており、戦場・軍隊では個々の力の強さと「チーム力」が重要だと思うので、そのバラ
ンスの観点が抜けているのではと思う。チームは社会を指すが、「個の要素が出過ぎて
いる」とこれを享受できるのかと不安になる気持ちも逆にあり、イメージがついてこな
いところがある。定量的に示すことは難しいと思うが。
・ 一方で「サバイブする」というイメージが実は大事ではないか。個とチーム双方でサバ
イブするというメッセージがもう少し出るといい。全員が本当にベストな状態で「サバ
イブできる」「自分がそれを選べる」というのが、多様性を持ってサバイブすることを
個人の価値観でできるのかということがメッセージとして入るといいのでは。最後に、
前回の会議のグラフィックレコーディングでまとめられているものにはかなり優しい
言葉や受け入れやすい言葉が沢山入っていた。こういった言葉がバランスよく入って
くると、結構違って見えるのでは。
・ 一点違う観点で議論させていただきたいのが、結局ここで提示している未来が実現す
る「エンドゲーム」は何であるのか。例えば、ここで言われていることが実現して日本
の社会で医療費が下がり、皆がなんらかの形でハッピーになるということで以ってこ
の取組みは成功したと言っていいのか。「インパクト」の考え方だと思うが、世界で共
通する社会の流動化が進んでいき、需要と都市のインフラがマッチングしなくなった
時に出てくる共通課題であるため、こういった新しいウェルネスや幸せのインフラを
輸出産業としてどうやって国として捉えていくのかというのも非常に重要な論点だろ
う。
・ こうしたときにこれを実現するためには個々の要素技術に対する投資ではなく、エコ
システムを立ち上げていくために、誰がどういう役割分担で、どういうお金をどこに配
分するのかという議論だと思う。一回目で議論させていただいたIora というシステム
は完全にプライベートなセクター、カイザーペルマネンテのようなアメリカの保険者
は私企業でありながらほとんど公的なインフラを担っている。日本もそういった姿を
目指していくということであれば、今後我々がヘルスケアに対する投資というものを
どういうものに対して誰が担っていくかの発想の転換が新たに必要になってくるので
はないか。例えばイギリスで取り組まれているカタパルトという団体は、半官半民で投
資をして、コストニュートラルで回していき、投資のリターンは中長期で得ていく。リ
スクマネーとパブリックのファンディングをどうマッチングさせていくのか。要素技
術ではなくエコシステムを立ち上げていくための投資、役割分担をルールとして明確
化する必要がある。
・ あえて問題点を話すと医療介護の領域も、現状を見るとやはり米国・中国のAI 技術が
すごく進んでいる中で日本のAI はなかなか厳しい状況にあると思う。また、AI・ディ
ープラーニング分野の進展を見ても、翻訳の技術がすごく進んでいて、この数年後には
相当レベルの高いところに行くことが予想されるが、そう考えると日本という軸に閉
じて話をすることは少し違和感がある。欧州並みに人口の流動性は高まり、日本がちゃ
んとした政策を打って良い国で居続けないと、優秀な人間はどんどん海外に逃げてい
くだろう。そういう観点からは少なくともアジア圏くらいで捉えて議論してもいいと
思うし、この資料の中で「日本の中ではどうするか」「世界の中ではどうするか」とな
っていくのでは。
・ 一つは、ケアする人にもう少し光を当てたほうがいいのではないか。子育てや介護など
家族の中に押しつけて見えないところがあって、そこで何が行われてどんなことがあ
るかというデータはない。イギリス・ドイツではケアすることは労働として2 週間は有
給休暇として休まなければいけない、その間のショートステイは公がお金を持ってい
る。ケアすることはただではないし、大変なことで尊敬できることだというのをもっと
出せるとよいのではと思う。今まで右肩上がりで進んできて家庭の中でそういったこ
とが燃え尽きてしまっていたのをまだ引きずっている。私がビッグデータを扱ってい
る理由は今まで隠れていたそういったことがわかるためである。生活でどんなことに
困って、生活でどんなことが幸せかという、そういったちょっとしたデータを用いてデ
ィスカッションできるとよいと思う。
・ 次に、それをするためにはビッグデータを分かる人材、統計・データが少ないので、そ
れをわかる人材を育てていかなければならない。
・ 最後に、マイナスの開発ということで医療の分野も右肩上がりでどんどん長生きを求
め、新しいテクノロジーを求めて研究開発を続けているが、それが必ずしも人間の幸せ
につながらないのではないか。どこまでやるのがいいのか、ミニマムリクワイアメント
はどこか。あと極端な話、ACP など人生どう終わるのが良いのか見据えていく。先ほど
海外の話もあったが、極端なメディカリゼーションの考えや技術でどんどん医療にた
のんで医療があればどんどん長生きできるという考え方はまだあるので、そこを払拭
して大胆に変えていく必要がある。「長生きより自己実現」という言葉もあったが、そ
こをみんなで考えていくことも大事であると思う。そういう自分のことだけでなく、時
間の視点や他国の視点を持って皆で考えていく、そのためのツールとしてデータがあ
るのではないか。
・ グラフィックにはいい言葉がかなり拾われているので、そういった言葉を拾って、例え
ば提供者と需要者の二項対立や双方向という言葉でのまとめ方をしないで、もっとこ
のダイアグラムをもっとシンプル化して、分かりやすい言葉に翻訳しつつ、対応の方向
性もわかりやすい言葉3 つにしてしまって、あとはアペンディックスで今やるべきこ
となどを2,3枚でまとめたほうがよい。まず言葉が固いし、色々な意味に取れるし、
確かに個と社会の接点とかどういう方向にするか。二項対立的というよりはエコシス
テム的な発想をかもし出すためにはグラフィックのほうがいい。漫画は説明しないと
分からないので徳間氏のグラフィックと折衷する。言葉のチョイスがすごく大事であ
るが一つ一つがすごく固い。
・ そしてもう一つは強弱をつけるためにも、もっと民に任せるのがいいのではないかと
いう観点や、インテリジェンス機能としてどこをやる・やらないという点や、それは今
決められないにしても、最終的にはどこまでやるのかという点。
・ 日本の公的保険制度で閉じた世界ではない。世界各国で議論しても第一回の図の議論
に集約する。イシューはここに出ているが、シンプルにしていただけると。全て素材は
あり、もう少し気をつけて言葉を入れるのと、提供と受給の二項対立ではなく、もう少
し連関したネットワーク型などを抽出しながらアプローチに落としていったほうが分
かりやすいのではないか。
【事務局】
・ 第一回の際に、どういう人をどういう笑顔にしたいのかという時に出した図もチー
ムで否定形なのか肯定形なのかを悩んだが、今は肯定形で「経済的な理由で必要な治
療を諦めなくて済むためにはどうすればいいのか」という書き方にしている。
・ ある種、「諦めなくてはいけないかもしれない」状況で「諦めなくて済む」に持って
いくためには、一人ひとりの主体性を引き出すというか、あなたにもこういうことを
してもらわなければいけない、例えば地域医療でのミニマムスタンダードオブケア
という話をする時には、コミュニティに暮らす人たちがお互いに助け合うというこ
とが必要で、ある種防災訓練の地域医療版みたいなものが必要かもしれない。今日の
残り時間は少ないが、可能であれば、徳間氏の図でもいいので、「キャッチフレーズ」、
最も伝えるべきメッセージについて、もちろん個に集中するよりはエコシステム、ア
メーバ型のものであると思うが、どういう言葉であれば、色んな人に解釈のブレがな
く伝わるかのアイデアをいただきたい。
・ イラストで結局何を伝えたいのかがわからなくなるのではないかという気がしている。
それは今の将来像にもつながっており、本当に対象者別に目指すべき将来像がそれぞ
れあるということでいいのだろうかと他方で感じる部分がある。オランダの議論で紹
介したいのが健康の新しい概念として「ポジティブヘルス」という考え方を上位に挙げ
ており、社会的身体的感情的問題に直面したときに適応し自ら管理する能力としての
健康というように「ポジティブヘルス」という概念が位置づけられており、変化に直面
したときにどれだけ適応できるか、自己意識ができるかを能力として捉えなおしてい
る。これは6 つの要素から構成されており、身体的な機能・Mental Well-Being・生き
がい・生活の質・社会参加・日常機能という6 つから構成されていて、オランダの場合
はこれを専門職の教育にも展開をしていっており、専門職の教育の中では例えば、ネッ
トワーク構築やテクノロジーの使い方を知るとか、社会的なスキルを持つ、コンテクス
トを知る、ケアの縮小化といったことが出てくる。他方で、全ての人たちはもっと自分
が変化に対応できる、学び続けるということが学校教育から社会教育にかけて組み込
まれている。ビジネスのセクターから見ても、6 つの構成要素に向けて何ができるのか
ということをそれぞれが作っていくということの共通する価値となっている。
・ できれば「誰のためにこういう将来像で」というようなことやパーツではないような支
援観なのか、それとも健康の概念なのか、前回のグラフィックでも他のグループの議論
で健康の定義についてがあったが、そういう上位の概念がこのイラストや図によって
出されるとそれには合わないものを捨てるときの参照しがいのあるものになるのでは
ないか。
・ 社会保障費の制約や人手不足のようなところから出発し、社会が多様化し貧富が拡大
しているのだとしたら、2040 年に「死守しなければならない絶対的な価値」のような
ものがもっと明確に、スタンダードオブケアのようなものが示されている必要がある
のではないか。「人が死ななくていい」とか。相対的に「選択できる」とかもいいのだ
が、そういったところを再確認するのもむしろ新しいのではないか。ただ、それをベタ
に書くと面白くないという話もあるが、頑張っていただきたい。
・ もう一つは、読んでいるとネオリベの延長としての「個」なのかなと。選択する・追求
するというのは個人として能力がないとできない、難しいことで、これは気持ち悪さと
してある。我々が現場でこの能力がない人の能力をどう支えるかということをやって
いるので、その人たちは置いていかれてしまうのではないか。「親から虐待」」「恐怖で
おびえる」「理不尽な思い」の中で暮らしている人がいて、その人たちが2040 年限りな
くゼロに近づけられるのかが個別のケースとして見えてこないのが気持ち悪さとして
ある。
・ 細かい話になるが、資料の最初は「健康・医療・介護」となっているのが後半ではいつ
のまにか「健康・予防」が消えて「医療・介護」になっているので健康や予防は入れて
ほしい。
・ もう一つは委員の皆さんがすごくディスラプティブなことを言っている割に、出てき
た事務局案が丸まりすぎていて、大丈夫かというところも含めて不安であった。「再来
年の研究開発のタマを探りたい」という話が出てきたり、一方で、「打ち出しとして政
治的なキーワードは何になるのか」といった話もあったりで、一体何を目指しているの
かを事務局サイドできちんと握れてないのではないかということも感じ混迷した。
・ 一方で国内事情に寄り過ぎな感じはあって、生産労働人口が減って支えきれなくなる
のであれば、移民を増やすか、高齢者をアジアにばら撒くような仕組みを作ればいいと
いう話をしてもいいと思うが、おそらくあまり現実的ではない。そうするとアジア域の
中でどう考えるかで、例えばアジアのAI ヘルスケアコンソーシアムを立てましょうと
か、そういう議論でよい。それがとてもこの資料から読み取れない。
・ 繰り返しになるがどっちでほしいのか。タマで欲しいのであればポジショントークも
含めてできるはずであるし、政策キーワードはほとんど使い古されているので5 年周
期で使いまわしても大丈夫なきれいな言葉が並んでいる。何を議論したいのかがます
ます分からなくなってきており、困ってしまっているのが全員の共通認識。
・ やるべきことを書くのは正しいが、「○○ではなくてこれ」という書き方をしないと、
何を課題として感じているのかが分からない。「今こうなってしまってダメだからこう
したいんだ」ということを意識して書かないと冗長になってしまう。2030 年にこれを
見せられても誰も反対しない。
・ 日本は世界の国から試されていると思う。超高齢化社会が最も早く来るので、絶対やっ
てはいけないのは他の国に解決策を求めることであると思う。カイザーペルマネンテ
はカリフォルニアという健康な人が多く、裕福な人が多い地域だから成り立っている
側面はある。そこから学びを得るというよりも、日本だからこそできることや日本だか
らこそ求められることをしっかり強調するとよいのでは。それの一つが「互助」という
ような日本でなければできないことの一つなのではないか。
・ 今回イノベーションの目標という話であったが、「オペレーション側のイノベーション」
ということもあるのではないか。つまり政策実行のプロセスのイノベーションという
のもありうるなと思った。「外国に答えを頼らない」という話もあったが、例えば最初
にこの場を見て「全員日本人なのだな」と思った。これまでの慣習を変えられるのかと
いう話もあるが、予算が単年度になるのが本当にいいのかとか、オペレーションという
意味でのやり方も色々あるのではと思う。今回厚労省と経産省が一緒にやるというの
も一つだと思うが。
・ 元々は労働者人口が減っていって、65 歳以上の高齢者が増えていくという話であると
思うが、65 歳から75 歳を「協働世代」「協働人口」として、お世話するほうとされる
ほうがそれで考えられるようになって世話をかけないし、働くことができる。そうやっ
ていければ需給ギャップを埋めることができるし、そういったメッセージを出してい
って、そこにテクノロジーが入れば増やせるというメッセージもいいのでは。
【事務局】
・ これだけの方に集まって議論いただいているので我々は「欲張りたい」と考えている。
そういった意味では国民に訴求するメッセージもそうであるし、「○○ではなくこう
すべきだ」ということも作りたいし、他方で足元の、迫井審議官が言っていたが、医
療の研究開発の取組みや医療健康の戦略も動いていくので、そういったものにも反
映させていきたい。そういった意味では色んなところを狙っているのでまとめるの
が難しいが、少なくとも3 月で全部終わりではなく、こういったものを出していただ
いたら、どのような形で受け止めるのか、どうディスカッションしていくのかも含め
て4 月以降やっていく。そういった意味では、少しボケたとしても欲張りにビジョン
とタマを両方狙いたい。
・ 保健医療2035 はそう使ってもらった。ビジョンはとてもシンプルで、方向性を出して
あとは施策で様々なことを入れた。使い方としては、色んな審議会や予算を取るなども
あるので色々入れておいてよいが、本当に攻撃的なものと、みんな言うようなことを入
れておいたほうがいいのかなと思う。
【事務局】
・ 「最悪だったらどうだろう」というのは、「今」で、我々は今の状態を変えなければ
いけない。お金がある限り無限大の要求をする今の状況を変えないと無理だろう。何
を我々は変えなければならないかというところにメッセージが必要だと思っており、
基本的に「誰かに何かをしてもらう、私は待っている」ということをもうそろそろ変
えないか。自分でできることは自分でやり、そして互助の考え方があるのだからまず
やれることをやらないかと。
・それは何を意味するかというと既存のプロフェッショナルのサービスが変わるとい
うことである。イノベーションは常識を変えることであると思っていて、常識は変わ
るのか。よく読むと「やはりそうである」ということになったときに、このメッセー
ジはいいものになっていく。その上で何をやっていくかという順番で並べていくと
いいものになるのでは。
・ 「人と人とが共生することをそっと支える」とあるが「そっと支え」なければいけない
のか。そっと支えなくても、皆様の議論を聞いていると「人と先端技術が共生する社会」
というのが一番言いたかったことなのかと思っており、「そっと」がなぜ必要になって
いるのか。
・ もう一方では、個々が自分の幸せのために健康になりたいという思いがあるので、人と
人とが共生することが大事なのか、幸せ寿命を先端技術で達成することがいいことな
のか、最終的な概念化というか、キーワードが何かということかと思っている。本当に
人と人とが共生することを望んでいるのか、互助の話でもあったが「そっと支える」こ
とを望んでいるのか、そうではないのではないか。積極的に先端技術が我々の幸せ寿命
と共存してもいいのではないかと思った。
・ 「そっと」という意味は「うっとおしくない」、技術でやらされている感がないという
ことかと思っている。そっとというのは、アクティブでやってもそっとというのはある
と思っている。それから、インセンティブをどう与えるかという点で、どうお金を持っ
ていくかという話になるのでそれをどうするか。一方でそういうことだけでやるとこ
ぼれていく人がいるのでそれをどうするかということを考えていく。全部やろうとす
るとまとまっていくので、そのあたりをどうまとめていくのかなと思う。最後に繰り返
しになるが課題先進国でこれは新しい産業になるのだろうということは申し上げてお
きたい。
・ IT などでは学がなくて常識がないような人がきちんとビジネスをワークさせていくこ
とがある。意外とこの医療・介護分野は、そういう人が出ても排除していく傾向がある。
そういった血気盛んな元気な人が出てきたときにうまくいくような余地というのを残
しておくような働きかけは、どうしても賢い会議では排除してしまうので、残しておく
といい。
・ ともすると「人材が不足している」「小学校からAI 教育」といったことになるが、画一
的なことをしても仕方がないので、異端児や違う分野の人が気軽に参入して失敗して
また戻ってくるような、そういう人たちが出てくるような土台や強いメッセージが必
要。
【事務局】
・ 国際関係の話を色々出していただいたが、これは入っていない。やっていることは沢
山あるしこれからやらなければならないことも沢山あるので、これは要素としても
もう少し加える工夫をしたい。
・ 国際を入れていなかったのは、僻地における様々な時間空間制約を解決していくと
結局医療インフラが通っていない中でも海外の人材を使ってどうやっていくのか、
あるいは災害時にもどう活躍できるかといったことも共通するかと思ってはずして
いたが、工夫をしたい。
【佐久間座長】
・今事務局が言った形で進めていくのでよいか。事務局にお返しする。