2019年4月25日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

平成31年4月25日(木)15:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(19名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名
 

欠席委員(4名)
 
行政機関出席者
 
 宮本真司(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 中井清人(医療機器審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 
 櫻井信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

議事

○医療機器審査管理課長 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。先生方におかれましては、お忙しい中、御出席どうもありがとうございます。現時点で医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち17名に御出席いただいていますので、審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告します。
 最初に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介申し上げます。議題4につきまして、自動車事故対策機構千葉療護センター、センター長小林繁樹先生にお越しいただいています。
 4月1日付けで、機構に新たに新井審査センター長が就任しています。
○審査センター長 4月より審査センター長に任命された新井と申します。昨年までは、東大の薬学部にいましたけれども、退職しましてこちらに移動してきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様方より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますことを、報告させていただきます。この規定については、毎回その都度、書面を御提出いただいています。御負担をお掛けしますが、何とぞよろしくお願いいたします。
○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1から議題3までについては会議を公開で行い、議題4以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 お手元のタブレットに関して、簡単に説明させていただきます。従前のとおりですけれども、タブレットの開いている画面、マイプライベートファイルの画面より見たい資料を選んでタップしていただいて、資料を御確認いただけたらと思います。詳しい操作説明に関しては、タブレット左側にタブレットの操作説明書を置いてありますので、御確認いただき、また分からないことがありましたら、事務局までお知らせいただけたらと思います。
 配布資料の説明ですけれども、タブレットに基本的には資料を全て入れさせていただいていますので、タブレットを御確認いただきたいと思います。そのほかに、先ほど御説明しましたタブレットの説明資料及び議事次第と座席表をタブレット左側に配布させていただいていますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
 以降の進行については、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それではよろしくお願いいたします。ここまでの事務局の説明について、何か御質問などはありますか。よろしいですか。
 よろしければ、これより議題に入らせていただきます。議題1です。医療機器の認証基準の改正及び承認基準の廃止についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1につきまして、事務局より説明します。資料1を開いてください。説明を開始させていただきます。1ページですが、今回の認証基準及び承認基準の廃止についての改正の概要をまとめたものになっています。個別の詳細については、概要の各項に記載されたページ番号に記載されていますが、今回は資料1の1ページ、2ページに基づき説明させていただきます。
 1の(1)核医学診断用ポジトロンCT装置についてですが、全身検査用PET装置による検査の後に使用される乳房専用PET装置に関しては、従前は既存の医療機器と構造原理等が異なるものとして、認証の対象外とされていました。しかし、最近、核医学診断用ポジトロンCT装置として、機構により複数、乳房検査用のPET装置が承認されていることに伴いまして、現在の認証基準により承認された乳房専用PET装置を前例として認証することが可能であると判断したことから、乳房専用PET装置に関しては、全身用PET装置と併用して使用することを前提として、認証基準の範囲内と読むことをできるようにするために、今回、認証基準の「使用目的又は効果」の改正を行うものとなっています。
 続いて(2)超音波歯周用スケーラ等について御確認ください。こちらは表を確認いただければと思いますが、これらは、ISOの構成の変更を受けまして新たに制定されたJIS規格を引用するために、認証基準告示を改正するものとなっています。
 続いて2ページの上から1つ目のポツを御覧ください。加えてテレメトリー式心電受信機、テレメトリー式パルスオキシメータ受信機については、当初は患者環境外で使用されることを想定していましたが、今般、無線技術の進展及び併用する医療機器との接続を加味した場合、患者環境内で使用されることが想定されることから、患者環境内でも使用する場合には、JIST 0601-1に適合する必要があることを新たに規定するための改正を行うものとなっています。
 (3)手術用ナビゲーションユニットを御覧ください。当該装置は、外科手術全般における術者の補助具として、器具の位置情報を表示する装置であり、当該機器の認証基準においては、中枢神経系(脳神経等)を除く整形外科手術の支援に用いることが、認証基準の「使用目的又は効果」とされていました。しかしながら、性能の基準として中枢神経系(脳神経等)を除く外科手術の位置情報を評価することも現在の認証基準で可能であると考えることから、適用可能な手術領域を拡大するために今回認証基準の改正を行うものとなっています。
 最後に同じページ、承認基準の廃止の概要を御覧ください。放射線治療シミュレータの承認基準の廃止の件です。当該装置は、患者のX線画像を取得し、放射線治療の照射野の位置及び大きさの決定に使用するために用いる装置ですが、現在、放射線治療計画にはCT画像等を使用するケースが多く、放射線治療シミュレータ単独で新規に製品化される予定がないことから、廃止を検討するものです。
 なお、今まで説明させていただきました認証基準の改正及び承認基準の廃止については、現在、パブリックコメントを実施中です。説明は以上となります。
○荒井部会長 ありがとうございました。今、御説明いただきました医療機器の認証基準の改正と承認基準の廃止について、何か御意見、御質問等はありますか。いかがですか。よろしいですか、ありがとうございます。特に御意見がなければ、これで議題1は終了とさせていただきます。
 議題2に進ませていただきます。議題2、一般用黄体形成ホルモンキットの市販後適正使用調査結果報告書に入らせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題2について、事務局から御説明します。資料2をお開きください。資料の構成ですが、3ページ以降の資料2-2及び資料2-3が日本臨床検査薬協会から提出された資料です。事務局でこの資料をまとめたものが1ページ、2ページの資料2-1となっています。3ページに期間中の出荷数量の記載がありますが、こちら企業情報とされているため傍聴の皆様の資料では黒塗りとなっていますので、あらかじめ御了承ください。
 本日は、資料2-1の概要に沿って御説明します。1ページをお開きください。1.の経緯ですが、体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用については、本部会で考え方や手順を御議論いただき、平成26年にその結果を取りまとめました。具体的には、検査項目ごとに使用上の注意や使用方法などを定めたガイドラインを策定し、そのガイドラインに沿って個別の製品の評価を行うという形になっています。
 平成28年に、黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドラインを策定しました。このガイドラインを本部会で御議論いただく中で、本検査薬が排卵日予測の補助ではなく、避妊目的で不適正に使用される懸念などが指摘されました。このような点について、2年間、適正使用調査を実施することとされ、昨年5月11日の本部会において1年目の中間報告の状況を御報告しています。今般2年間の結果が提出されましたので、改めて本部会に御報告するものです。
 2.の概要です。適正使用調査は、使用者に対する調査と販売店に対する調査に分かれて実施されています。購入者の理解度に関する調査ですが、この調査は、製品の箱の中にアンケートはがきを同梱して、製品を購入した方に購入目的などの質問項目を御回答いただき、製造販売業者宛てに返信されたものを集計したものです。この検査薬のガイドラインを御議論いただいた点やピックアップした結果を、ここに記載しています。まず、購入目的についてです。2年間を通じて全2,069件中、2,063件は適正な使用目的と考えられる回答でしたが、6件は避妊目的で購入したという回答でした。次のポツですが、薬剤師からの説明については、2年間を通じて83.9%で実施されているという回答です。1年目の84.2%とほぼ同様の割合でした。3つ目と4つ目のポツ、医師の診療を必要とする結果、これは例えば陰性や陽性が続いた場合という結果ですが、そういったものが2年間を通じて全体で25.3%、そのうち医師の診療を受けようと考えている方の割合が66.7%でした。
 次に販売店に対する調査です。こちらは、販売店に対してアンケート依頼を行って回答を頂いたものです。初めて本検査薬を購入された方に対する情報提供と、以前購入したことがある方に対する情報提供の2種類に分かれており、それぞれ3,131件及び2,923件の回答がありました。回答欄に空欄の所があるなど、資料上合計の数字が多少ずれている点がありますが、あらかじめ御了承いただければと思います。
 販売店に対する調査の結果概要として、こちらも論点となった点を記載しています。まず、避妊目的に使用しない旨の説明については、2年間を通じて初回購入者に対しては80.7%、購入履歴がある方については60.4%でした。内訳としては、1年目から2年目にかけて説明したという割合がやや上昇しており、1年目の中間報告の結果を踏まえ、日本臨床検査薬協会として、適切な情報提供を行うよう販売店等に要請したことが一助になった旨が報告書にて考察されています。
2ページの次のポツ、最も説明割合が高い項目については、検査のタイミングで、2年間を通じて初回購入者に対して96.1%。購入履歴がある方に対しては72%でした。次のポツです。情報提供を行わなかった理由、主な理由としては中間報告と同様、時間的な制約やデリケートな内容のため説明ができなかったという回答が挙げられています。
 これらの結果を見ますと、避妊目的での購入割合は1%未満と低いものの、適正使用について引き続き取り組んでいくことが必要であると考えています。
 以上の結果を踏まえ3.の今後の対応です。日本臨床検査薬協会の報告書では、製造販売業者は引き続き避妊目的に使えない旨等の必要な情報提供を実施する旨、また不適正使用に関する情報収集を行う旨を報告いただいています。行政としては、本調査結果を基に、現在、第一類医薬品とされている本検査薬のリスク区分の見直しの要否について、医薬品等安全対策部会にて今後検討する予定としています。その結果も踏まえ、販売店における説明の徹底等、適正使用のための必要な対応を検討することとしています。議題2の説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。その際に出席されていた方は、部会でも色々意見が出た項目でもあり、御記憶にあるかと思います。今の説明について、何か御意見、御質問等いかがでしょうか。全体としての80%は悪くないのですが、本当に徹底されているかという点につきましては、最後の所にもありましたように、今後も引き続き努力をしていかないと、「水は低きに流れる」といいますか、だんだんといい加減になってしまわないようにしていかなくてはなりませんね。御意見はよろしいでしょうか。
○渡邉委員 薬剤師会です。今回の調査結果に関して、薬剤師から適正な使用目的の説明を受けていた場合は理解度が高いということと、実際に検査の結果によって受診行動、実際に受診されている、医者の診察を受けているという数字が上がっているということで、この一般用検査薬の初期の目的がある程度達成できているのではないかなと思います。
 ただ、やはりデリケートな部分、避妊目的には使用してはならないということがあるものですから、この点に関して、まだまだ我々の情報提供が至らない部分があるかと思います。したがって、業界が提供されている説明用資材などを十二分に活用して、今後の適正な使用に努めていきたいと考えています。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見いかがですか。
○長島委員 適正な使用が確保されるために、チェックシート等をしっかり確実にしてもらうことで、確実に使われているというようなチェックというのをきちんと行っていく必要があるだろうと思います。
○荒井部会長 今の点については、特によろしいですか。最後の所でも触れていただきましたが、適正使用のための必要な対応をきちんと続けていく、ということでよろしいでしょうか。そのほか御意見いかがでしょうか。特に御意見がなければ、これで議題2は終了とさせていただきます。
 議題3に進ませていただきます。議題3、次世代医療機器評価指標についてを始めさせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題3、次世代評価指標について、事務局より御報告します。資料3をお開きください。資料3-1では、今回、御報告します2件の次世代医療機器評価指標の概要と、2ページ、参考として次世代評価指標作成事業について御説明しています。
 2ページの(参考)を御覧ください。次世代評価指標とは、最先端の技術を使った医療機器の開発の促進を目的としたものです。技術の発展の早期の段階から着目して、承認審査する場合の評価すべき点を検討し、評価指標としてあらかじめ公表するものです。審査の際に評価するべき点を明らかにすることにより、開発側にとってはどういったデータを集めればいいのかが分かるということ、また開発を効率的に進めることができ、開発期間の短縮・費用の縮減につながります。審査側にとりましても、実際に審査をする際のポイントが事前に分かっているため、スムーズに審査を進めることができ、審査期間の短縮につながります。これまで、このような評価指標を30件ほど作成してきており、現在も毎年数件テーマを選定し、評価指標を策定しています。
 1ページにお戻りください。今回、2件の評価指標について御報告します。いずれも平成29年度から30年度の間に、研究班におきまして評価指標の案を検討し、パブリックコメント手続を経まして作成したものです。本部会終了後、近日中に公表を予定しています。
 2件の評価指標案の概要について、御説明します。1つ目、人工知能技術を利用した医用画像診断支援システムに関する評価指標についてです。人工知能技術を利用した医用画像診断システムは、これまでの医療機器とは大きく異なる特性を有するため、単に指標のみを述べるにとどまらず、より大きな観点から、人工知能技術を利用する際の課題と解決の方向性について、研究班で検討しました。その結果を踏まえて、学習アルゴリズムや学習に用いたデータについて詳細を明らかにし、そのデータを使用した根拠や妥当性について評価すること、また市販後に学習を行う際には、適切な性能の検証方法を規定し妥当性を評価することなどが、重要な評価指標であるとしてまとめられました。
 2つ目、ホウ素中性子捕捉療法用加速器型中性子照射装置システムに関する評価指標についてです。本装置は、ホウ素同位体と低エネルギーの中性子線を利用し、がん細胞のみを破壊する画期的な治療法として期待されています。ホウ素中性子捕捉療法、BNCTと呼ばれますけれども、そのためのシステムについて評価指標を検討しました。中性子線の特性を踏まえて、装置や建物の放射化等による被ばくに対する安全性を評価することや、中性子線の照射精度について評価することなどが、重要な評価指標としてまとめられました。なお、本評価指標については、本年4月2日から15日までパブリックコメント手続を行いまして、その結果を踏まえた補足、修正を行っています。委員への事前送付版からの変更がありますため、変更箇所を見え消しにしたものを参考資料として別に添付していることを申し添えます。事務局からは以上になります。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの2つの指標について、御意見、御質問はいかがでしょうか。どちらについてでも結構ですし、あるいは追加等ありますか。
○長島委員 人工知能は特に市販後に、その後、性能がどう変化していくかが極めて重要で、かつまだよく分からないというところなので、ここのところは徹底的にしっかり行っていくことと、市販後も再チェックを継続的にしていかないといけないというところで、今までの審査と少し違う発想が必要だと思いますので、十分に徹底的にお願いできればと思います。
○荒井部会長 今の御指摘の点について、事務局からはいかがですか。
○医療機器審査管理課長 御指摘ごもっともだと思います。本評価指標は、これは指標の考え方を示したものですので、今後、具体的な品目が出た際には、個別に市販後の品質管理や性能評価についても、明確にしていくことになると思います。また、この部会でも御審議を頂くことになると思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。これは、私たち皆がこれから先、悩ましい場面に遭遇する可能性がありますので、御記憶いただければと思います。そのほか、御意見いかがでしょうか。
○中島委員 最初の学習という所で「必要な性能を有するためには、適切な学習データを使用し学習を行う必要があるため、学習アルゴリズムを明確にし」という所があります。それから「データソースやアノテーションの種類」なども明らかにするとなると各ベンダーの特許の中身をオープンにしてしまうおそれがあると思うのです。大体、今まで使っている人工知能あるいはCADなどは、基本ブラックボックスのところが多くあり、各企業がどの辺まで明らかにしてくれるのか、そして我々が実際にそれを評価出来るのかというのが課題ではないかと思います。その辺に関して、どのように委員会等で議論があったのかを教えていただきたいです。
○医療機器審査管理課長 すみません、委員会の議論というよりも、この本件ついて言うと、そもそもAIは中身はブラックボックスになっているわけです。今回、指標を作りましたので、それを基に、ここの指標の中ではアルゴリズムというのは、ものすごく細かいことを言っているわけではなくて、考え方といいますかそういうものを明確にしつつ、それを申請に出してもらって、それを評価するというようになるのだろうと思っています。したがいまして、細かいことを全て出すわけではなくて、今のプログラムの審査と同程度のものを出していただいた上で、そこで評価をしていただくということになるかと思っています。
○蓜島委員 国立衛研の蓜島です。この評価指標を作る審査WGの事務局代表をしていた者です。お手元にある資料3の10ページの上段(2)の下の1)の所を見ていただくと今の御質問に対する回答が書いてあるかなと思います。AIを使っていない普通のソフトウェアのプログラムであっても、アルゴリズムの開示は審査の際には必ず求められるものと理解はしています。ただ当然、守秘義務がありますので、そういった情報は公開はされません。このAIを使った場合は、今、御指摘があったとおり、ブラックボックスという問題があります。ただ、ここでは「承認申請時に検出・診断アルゴリズムを示すことが困難な場合には、設計開発時の検出・診断用ネットワーク構造とプログラム概要を示す必要がある。なお、技術の進展等によりブラックボックス化したネットワーク構造等の振る舞いが説明できるようになった場合には、可能な限りその情報を開示する」ようにと、審査の段階でということに取りまとめています。
○荒井部会長 ありがとうございます。中島委員、特にここはいかがですか。あくまで指標ですので、こういう考え方にのっとって行っていきましょうという大方針のところで大きな齟齬がないことを確認しておきたいと思います。基本的には先ほどの課長のお話にありましたが、個別に行う場合には、明らかにする部分についてのせめぎ合いといいますか、そういう境界領域が今後出てくると思います。まだ正直、誰も足を踏み入れたことがないところのディスカッションが今後、始まってくる訳ですので、今後もこういった議論は当然あると思います。
 そのほかは、いかがでしょうか。あるいは事務局から、何か追加があればお願いします。よろしいでしょうか。内容は深いので、これからも色々な場面で議論になる場面があると思われますが、指標としての提示については特にこれ以上御意見がないようですので、これで議題3を終了とさせていただきます。
 以降は非公開となりますので、傍聴の方々は恐れ入りますが、御退席をお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を始めていきたいと思います。
○医療機器審査管理課長 それでは、医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。
○事務局 続いて、本部会の利益相反について御報告いたします。資料10の「競合品目・競合企業リスト等一覧」を御覧ください。まず1ページ、AMPLATZER PFOオクルーダーについての利益相反リストとなっております。この品目は、潜因性脳梗塞の既往があり、心エコーによって診断された卵円孔開存を閉鎖し、脳梗塞の再発リスク予防を低減することを目的とした経皮的カテーテルPFO閉鎖機器であり、同様の効能・効果等を有する製品は存在しないため、競合品目はなしとなっております。
 2ページはアダカラムです。こちらは、直接血液灌流を行うことで末梢血中の顆粒球・単球を選択的に吸着除去する血球細胞除去用浄化器であり、同様の効能・効果を有する製品は存在しないため、競合品目はなしとなっております。
 そのほか、一般的名称に係る影響企業のリストが3~5ページまでありますので、必要に応じて御覧いただければと思います。本日の審議事項に関わる競合企業として、資料10に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の収受状況についてお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまのところは特に御質問、御意見はよろしいですか。
 よろしければ議題4です。医療機器「AMPLATZER PFOオクルーダー」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について始めます。先ほど御紹介いただきましたが、本議題については小林先生に参考人として御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それでは、機構から説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、資料4のフォルダーを開いてください。02の審査報告書をお願いいたします。本審査に当たり、山王メディカルセンター脳血管センター長の内山真一郎先生、独立行政法人自動車事故対策機構千葉療護センターセンター長の小林繁樹先生、榊原記念病院循環器内科主任部長の七里守先生の3名の専門医から、御意見を頂戴いたしました。なお、七里先生については4月より御所属先が変わっております。事前にお配りした資料では旧所属先が記載されておりますため、この場で訂正させていただきます。
 では、審査報告書の7ページの1.審議品目の概要を御覧ください。はじめに、品目の概要について御説明いたします。本品は、発生機序が特定できない脳梗塞である潜因性脳梗塞の既往がある患者の卵円孔開存(PFO)を閉鎖することで、脳梗塞の再発リスクを低減することを目的とした経皮的カテーテルPFO閉鎖機器です。本品は、図1で示すような2枚の保持ディスクを有する閉鎖デバイスと、図3で示している閉鎖デバイスを心臓内に送達するためのデリバリーシステムから構成されます。本品を用いた治療の流れを審査報告書の8ページ、上の方の図4にお示ししております。大腿静脈からデリバリーシースを挿入し、PFOを通じて左心房まで送達します。そこで閉鎖デバイスの片方のディスクを展開し、その後デリバリーシースごと右心房内まで引き戻し、もう一方のディスクを展開させることでPFOを閉鎖いたします。
 次に審査報告書の8ページ下段の(1)開発の経緯を御覧ください。本品の開発の経緯について御説明いたします。PFOは胎児循環の遺残物で、心房中隔に存在するフラップ状のトンネル又は開存孔です。一般剖検の集計によれば、PFOの有病率は26%と報告されています。PFOは一般的に無症候性ですが、静脈系で形成された血栓等がPFOを通って動脈系に流れ込み、脳梗塞を発症する場合があるとされております。近年、発生機序が特定できない脳梗塞は潜因性脳梗塞と分類されますが、その潜因性脳梗塞は脳梗塞全体の25%程度で、60歳未満に発症した脳梗塞においては、その40%程度を占めると言われております。潜因性脳梗塞の原因の1つとしてPFOが挙げられ、55歳未満に発症した潜因性脳梗塞の患者においては、55歳未満の既知の原因による脳梗塞患者と比較したPFOのオッズ比は、5.1であったとの報告もあります。
 脳卒中予防のガイドラインにおいて、PFOが関連する脳梗塞の再発予防には抗血小板薬であるアスピリンの投与が推奨され、また、下肢の静脈に発生する深部静脈血栓症(DVT)がある場合には、ワーファリンに代表される抗凝固療法が推奨されております。しかし潜因性脳梗塞を発症した患者は、ガイドラインに基づく薬物療法下でも、一定の脳梗塞の再発率があることが問題となっております。このような背景を踏まえ、申請者は、脳梗塞の再発リスクを低減することを目的とし、経カテーテル的にPFOを閉鎖することを可能とする本品を開発いたしました。
 続いて審査報告書の9ページの(2)外国における使用状況を御覧ください。本品は、米国において2016年、欧州においては2013年に許認可を取得しており、現在までに約○○○○○個の販売実績があります。本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書の14ページ中段の表3、RESPECT試験の概略を御覧ください。RESPECT試験は、米国及びカナダの計69施設で実施された、前向き、多施設共同、無作為化比較試験です。本試験には、過去に潜因性脳梗塞を発症した18~60歳の患者のうちPFOを有する者、計980症例が登録されました。そして登録症例は、本品群もしくは薬物療法群に無作為化割り付けされました。本試験の主要評価項目は、「非致死性脳卒中の再発」「無作為化後死亡」又は「致死性虚血性脳卒中」の複合エンドポイントと設定されました。
 続いて、審査報告書の18ページ中段の文章を御覧ください。ここからは本試験の結果について御説明いたします。本試験では、本品留置6か月時のPFOの閉鎖状態については、94.2%の症例で有効な閉鎖が確認されました。なお、その下の表6にお示ししておりますように、初回手技での本品のリリース成功率は99.1%でした。
 次に、審査報告書の19ページの図5を御覧ください。こちらが主要評価項目の結果です。図の縦軸が主要評価項目該当事象の非発生率です。この図より、対照群である薬物療法群と比べ、本品群の方が統計学的有意差をもって主要評価項目該当事象の発生率が低いことが示されました。
 続いて、審査報告書の20ページの冒頭より御覧ください。本品の安全性について御説明いたします。本試験における手技及び本品に関連する重篤な有害事象の発生率は4.2%でした。主な事象として心穿孔が1例、心タンポナーデが2例、心嚢液貯留が1例、血管アクセス部出血が2例に発生しました。なお、デバイス塞栓及びデバイスによるエロージョンの発生はありませんでした。また、本品が心房内に留置されることで懸念された心房細動に関しては、本品群で発生件数は多いものの、周術期に発生した心房細動は全て退院前に軽快しており、周術期以降の発生率は対照群と統計学的な有意差はありませんでした。一方、肺塞栓と先ほどのDVTを併せた静脈血栓塞栓事象(VTE)は、有意差をもって本品群に多く発生しておりました。本品群では27件中16件のVTEが重篤と判定され、本品群のうち留置の約7年後に肺塞栓症を発症した1例の死亡が確認されました。なお、本品群のVTE27件のうち23件は、デバイス及び手技の関連は否定されております。以上がRESPECT試験の概略です。
 次に、総合機構における審査の概要について御説明いたします。審査報告書の19ページ、先ほどお示しした図を御覧ください。本品の審査における主要な論点は3点あります。1つ目の論点として、本品の有効性及び安全性についてです。本品の有効性については前に述べたとおり、主要評価項目該当事象の発生率は、先ほどの図5のように、本品群の方が有意に低いことが示されました。次に同ページの上から3行目の文章を御覧ください。先ほどの図の結果に関して、こちらにはあらゆる脳卒中が含まれておりますが、本品の真の治療対象となる発生機序が特定できない脳梗塞においては、対照群に対する本品群のリスク低減率は62%と、更なるリスク低減効果が示されております。
 以上より、本品と抗血小板療法の併用による脳梗塞再発抑制効果は、抗血小板薬単独療法を上回ると、総合機構は判断しました。
 続いて、審査報告書の23ページ中段の(2)本品の有効性及び安全性についてを御覧ください。ここからは本品の安全性について御説明いたします。まず、本品群で多く発生していたVTEについて御説明します。VTEの発生率が本品群で高くなった要因としては、1点目として、VTEが発生した患者の大半はVTEの既往、悪性疾患、最近の外科手術等のVTEのリスク因子を有していたことが挙げられます。2点目として、RESPECT試験プロトコルの規定によって、本品群においては、無作為化割り付け前には抗凝固薬であるワーファリンが投与されていた患者であっても、本品留置後は抗血小板療法に変更されていたことです。
 次に審査報告書の25ページ、下から10行目の「また、VTEは」から始まる文章を御覧ください。VTEは本品留置3年以降にも発生しており、そのリスクとなる悪性腫瘍や他疾患による外科手術は、本品以外の因子と考えられます。現に、VTE27件のうち23件は、本品及び手技との関連は否定されております。そのため、本品留置後に抗凝固療法を投与すべき症例を、全て事前に抽出することは困難と考えられますが、個々の患者の容態の変化に応じて、具体的には抗血小板薬と抗凝固療法の使い分けですが、適切な抗血栓療法を施行することによって、VTEの発生リスクは低減可能であると判断しました。そのため、「VTEのリスクが高い患者においては、本品留置後も抗凝固療法を実施することを検討すること」という注意喚起を、添付文書等で周知する必要があると判断しました。
 次に審査報告書の26ページ、上から3行目の「本品の安全性に関しては」という文章を御覧ください。本品の安全性に関してまとめますと、次に述べる4点から許容可能と判断しました。1点目は、本品の留置手技等に関連した重篤な有害事象の発生率は4.2%と、本品と類似する既承認品「ASD閉鎖セット」における発生率と比較しても特段高くないこと。2点目として、「ASD閉鎖セット」で確認されていない未知の有害事象の発生はなかったこと。3点目として、心房細動については周術期以降の発生率は対照群と大きな差がなかったこと。4点目は先ほど述べたように、VTEの発生リスクは、適切な薬物療法を行う必要がある旨を注意喚起することによってリスク低減が可能と考えられるので、VTEの発生リスクは臨床上許容できると判断できることです。
 以上より本品のベネフィットはリスクを上回ると、専門協議での議論も踏まえて判断いたしました。
 次に、審査報告書の27ページ冒頭の(3)本品の臨床的位置付けについてを御覧ください。2つ目の論点である本品の臨床的位置付けについて、ここでは本品と抗凝固療法の比較を御説明いたします。3行目からお願いいたします。RESPECT試験では、対照群の7~8割の患者が抗血小板薬を服用しておりました。そしてRESPECT試験では、脳梗塞を再発した症例の大部分は、両群ともに抗血小板薬を服用中の患者でした。一方で対照群において、抗凝固療法を継続した症例が少数例ですが存在し、この集団では脳梗塞の再発率が低い傾向が見られました。このことより、抗凝固療法に対する本品のリスクベネフィットバランスを評価する必要があると判断いたしました。
 ここでは冒頭に述べたように、ガイドラインにて推奨される薬物療法が異なる、DVTのある患者とない患者に分けて御説明いたします。まずDVTがない患者においてです。ガイドラインでは、抗血小板薬が第一選択薬と推奨されております。そのため抗凝固療法を考慮しても、本品のリスクベネフィットバランスは変わらないと判断いたしました。
 次に審査報告書の29ページ、図7のパネルAを御覧ください。ここからは抗凝固療法が推奨されるDVTがある患者を御説明いたします。こちらの図は、本品を含む経皮的カテーテルPFO閉鎖術と抗凝固療法を比較したメタアナリシスの結果を示しております。こちらの図の左側に振れますとカテーテルPFO閉鎖術が有利、右側に振れますと抗凝固療法が有利という図になります。こちらのメタアナリシスの結果においては、抗凝固療法の脳梗塞再発抑制効果はカテーテルPFO閉鎖術より優れているという結果は得られていないことが分かります。
 ここで審査報告書の28ページ、下から11行目の「しかしながら」で始まる文章から御覧ください。先ほど述べたように、メタアナリシスの結果より、抗凝固療法の脳梗塞再発抑制効果が本品より優れているという結果は得られておりません。同メタアナリシスから、抗凝固療法を行っても一定の脳梗塞の再発率があることが確認できます。また、本品によりPFOを物理的に閉鎖することで、脳梗塞の再発を抑制できることがRESPECT試験では示されました。
 これらの2点を踏まえ、総合機構は、抗凝固療法が必要な患者においても治療選択肢の1つとして、本品を提供することの臨床的意義があると判断いたしました。ただし、抗凝固療法に対する本品のエビデンスは、現時点では限られており、本品及び手技に関連するリスクもあることから、潜因性脳梗塞の治療に関連する十分な知識及び経験を有する医師によって、個々の患者の適応やそのリスクベネフィットバランスを十分に考慮した上で使用されることが必要と判断いたしました。なお、当該患者集団については、製造販売後の使用成績調査にて広く情報収集を行うとともに、必要に応じて追加のリスク低減化措置を講ずることも重要と考えます。
 では、審査報告書の30ページ下段、下から7行目の「総合機構の考えは」から始まる段落を御覧ください。3つ目の論点は、市販後の安全対策についてです。PFOの有病率は全人口の25%程度と言われ、大部分のPFO患者が無症候性に経過しているという背景の中で、本品の適応となる患者を適格に判断するためには、脳梗塞の原因鑑別を適切に行う必要があります。そのため、留置手技を行う循環器医だけではなく、脳卒中の専門医を含むブレインハートチームによって、本品の適応患者を適切に判断することが最も重要と判断いたしました。
 次のページの2段落目をお願いいたします。本品の留置手技は、既承認品「ASD閉鎖セット」とほぼ同等とはいえ、本邦初の経皮的カテーテルPFO閉鎖機器であるため、本品を用いた治療は、トレーニングやプロクター制度等によって必要な技術を修得した上で、本品を用いた治療の特徴を十分に理解し、心臓構造疾患に対するカテーテルインターベンションに関する十分な経験を持つ医師によって、合併症への対応ができる施設で実施されることが必要と考え、これを承認条件1として付すことといたしました。なお、本品の適正使用、使用する医師や施設の基準に関しては、日本脳卒中学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会の3学会が連携し、適正使用指針を作成しております。
 最後に、使用成績評価について御説明いたします。審査報告書の31ページの表15を御覧ください。こちらが申請者が計画している使用成績調査案です。案では、本品の留置が行われる500例の全例において、各症例の観察期間3年で調査が実施されることになります。次のページをお願いいたします。使用成績評価について、総合機構は、下に示す3点の理由から、国内臨床使用実態下において一定症例数に達するまで、本品を使用した全症例の情報を収集し、安全性及び有効性を評価するとともに、本品が留置された患者の適切性について確認を行い、必要に応じて追加のリスク低減化措置を講ずる必要があると判断いたしました。以上より、総合機構は、500例の全症例において調査を実施する申請者の計画案は妥当と判断し、これを承認条件2として付すことといたしました。
 以上の審査を踏まえ、総合機構は、審査報告書の34ページ中段に記載している使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。また、使用成績評価の調査期間は7年とすることが妥当と判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、参考人としてお越しいただいている小林先生から、追加の御説明がありましたらお願いいたします。
○小林参考人 今説明がありましたように、このデバイスは、静脈側にある血の塊が心臓の卵円孔を通過して、動脈系の方に紛れ込み、それが脳に飛んでいってしまって起こるタイプの脳梗塞、その穴を塞いでしまうことで予防するということで、考え方としては非常に分かりやすい器具だと思います。脳梗塞の中でも特に若い患者の中に、このデバイスで再発を防止できるという恩恵にあずかれる患者が、一定程度の数いらっしゃるというように考えております。
 ただ、少し難しいのは、最近の脳梗塞の急性期治療というのは、血栓回収やt-PAといった色々な治療が出てきたことで、非常に話題を集めているわけですけれども、脳梗塞を最初につかまえるのは脳卒中医ですので、脳外科医や神経内科医が中心になります。脳卒中医の興味というのは、どうしても早く血栓回収を行うなど、事態を最小限にとどめるというところで、それから今度はリハになるべく早く回そうということで、なかなか二次予防まで考えがいかない部分があるわけです。
 このデバイスが力を発揮するためには、循環器科医が卵円孔の開存が原因だという部分に関して、かなり精密なといいますか、経食道の超音波など、色々なことで、それを調べていただかなければなりません。また、その後は循環器のカテーテルがお得意な先生がこれを留置するといったことで、かなり幾つもの臨床医の中の縦割りのハードルを突き抜けていかないと、なかなかこのデバイスが正しく使われないことがあります。
 今、3学会共同でというお話がありましたけれども、そういった形で、まずこれが原因ではないかというところに脳卒中医が気が付いて、それから二次予防ということを考え、循環器科医の方にバトンタッチをしていくという、チームワークといいますか、ある意味で循環器系に理解がある脳卒中医と循環器科医が総力戦で行っていかなければ、このデバイスのいいところが引き出せないというのが要点になるかと考えております。
○荒井部会長 貴重な御意見をありがとうございます。それでは全般について、委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。
○永井委員 承認条件が2つ挙げられていますが、それぞれに関係することで、場合によっては機構からメーカーさんを指導いただきたいと思ったことがあります。1つは、この製品は海外での臨床試験を基に承認となるわけですが、RESPECT試験において、実際に手技をしようと思っても、本日は御説明がありませんでしたが、7%ぐらいの人で、結局、留置にまで至っていません。非常にストリクトにコントロールされた治験の下でもそうであります。であるならば、実際にこれがリアルワールドで使われた場合、教育をこのような形でして、どの程度そういったものが起こるのか。今の市販後調査計画ですと、そこが読み取れないのです。恐らく機器を留置した後のこと、留置したところがスタートのようにも読めるのですが、手技的成功、すなわち、留置しようと思ってうまくいかなかった人の割合、あるいは、うまくいった人の割合も、今後きちんと出していただいた方がいいのではないかというのが1点目です。
 それからもう1つが、本品群でVTEが多い、恐らく、抗凝固剤を抗血小板剤に変えたことが原因ではないかと。確かにそうだとは思うのですが、そのデータがまだないのです。これを、市販後でデータ、数字を明らかにしていくわけですが、その際の判断基準となるコントロールのデータが、今のところはRESPECT試験のものしかない。それは海外のものであり、しかも、条件がコントロールされた臨床試験のデータしかない。ということを考えますと、できればですが、本品を使用しない潜因性脳梗塞の症例のデータもある程度一緒に集めていただく。本当に一番いいのは全例登録ということになるのでしょうが、可能な範囲でそういったことも考えていただいた方がいいのかと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。2点、頂きました。どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、まず1点目から御説明します。先ほどの報告書の表15に概要を記載しております。御指摘いただいたところはもっともでして、実は、その他の調査項目という所に、「手技成功率」というのも入っております。こちらは、記載が悪かったのですが、本品の留置が試みられた症例全てを収集することになっておりますので、本品の留置を試みて不成功だった症例に関しても、情報を収集することにしております。
 2点目としては、先ほど御指摘があったように、確かにRESPECT試験のデータしかありません。まず、RESPECT試験ではVTEは4%という発生率が出ております。ですので、使用成績評価では、まず、そこを最低限下回ることが確認でき、RESPECT試験の薬物療法群と同等の成績が得られていればいいのかと考えています。ただ、日本のデータに関しては、まだまとまったデータがないというのが恐らく現状でして、最近、肺塞栓だけに関しては、DPCのデータなどを用いて発生率が少し出てきたりはしているのですが、VTE全体に関してはまだ詳細は掴めておりません。その辺をどう集めていくかというのは、また検討させていただければと思います。
○荒井部会長 かなり難しい御指摘だと思います。これは海外データですが、それでは日本で今からPFOがある人をそのまま、先ほどの小林参考人の御意見にもありましたが、なにもしないでコントロールとしてデータが集められるかというと、それは難しい。でも、きちんと考えてみれば、今の永井委員の御指摘のとおりで、データ自体は宙に浮いてしまっているといいますか、地に足が着いてないところがあります。永井委員、どうぞ続けてください。
○永井委員 決してコントロール群を置けということではなくて、そういった症例のデータも、1つのコホートの中で集められたらいいのではないかということです。すみません、言葉足らずだったと思います。
○荒井部会長 そのほか、御意見いかがでしょうか。
○一色部会長代理 抗血栓療法に関してですが、最近は抗凝固療法が見直されている中で、静脈系に発生した血栓がPFOを通って塞栓するということになると、抗血小板薬ではなくて抗凝固療法がプライオリティが高いような印象があるのです。少々古い時代に行われた、海外の治験のデータなので、デバイスに対する血栓の付着に対する効果が抗血小板薬の方がいいという考えによるものかなとは想像はするのですが、このデバイスが広く用いられるようになった場合には抗凝固療法を行うべきであるという考えはないのかということが1つです。エビデンスがないので難しい質問かもしれません。
 もう1つは、PFOをこのデバイスで閉じた後に脳梗塞が発生した場合、抗血栓薬の有効性の問題なのか、それとも、そもそもの脳梗塞の原因がPFOによるものでなかったのかという可能性が残ると思うので、フォローアップの中でどのように評価をしていくのかについて、御意見を頂ければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 まず、抗凝固療法との比較につきまして御説明します。現在のガイドライン上、DVTがない場合は抗血小板薬が推奨されているというのは、少し古い臨床試験に基づくもので、ワーファリンとアスピリンを比べて脳梗塞の再発率を見た試験では差はなくて、ワーファリンの方が出血事象を増やしたという背景から、まずガイドラインが決められたと考えております。ただ、抗凝固薬の方がいいのではないかという印象は恐らく、循環器の先生はお持ちだとは思いますが、潜因性脳卒中を発症した際の二次予防のお薬の割合を、小規模ですが日本でも確認しましたが、やはり7割程度は抗血小板薬が使われているという現状が確認されました。この点につきまして、小林先生からも、もしよろしければ御意見を頂けましたら。
○小林参考人 この抗血栓療法の部分に関しては、本当に議論が多いと思います。先ほどの2番目の御質問にも関わるのですが、要するに、PFOがあることが原因と判断するためには、例えば潜因性の発作性心房細動などを植込み型心電図を使って除外診断をする必要があります。本来で言えば、その全てをやった上で適応を決めなくてはいけないと思うのですが、そこまで侵襲的な検査まで全部入っていけるかどうかという問題があります。そう考えると、確かに理屈で全部割っていきますと先ほどの抗血栓療法の件についても、それから、本来の潜因性脳梗塞の本当の原因はどこにあるのだという診断の問題に関しても、かなり理屈が不十分な部分が沢山あると思うのです。ただ、リアルワールドで今行われている鑑別診断は、そこにもはるか届いていないところにあるというのが現実だと思います。臨床医の都合のいい言い方かもしれませんが、これを契機に、その辺の部分が整理されていったらば逆にいいのかという期待を持っている部分も正直申し上げてあります。
○荒井部会長 ありがとうございます。かなり難しい部分なのですね。一色委員、よろしいですか。
○一色部会長代理 このデバイスによる治療をした後の経過に注目しています。本デバイスが有効だというデータははっきり出ていると思いますので、運用後にしっかりとフィードバックしていただければと思います。
○荒井部会長 そのほか、よろしいでしょうか。
○中谷委員 PFOに関しては違う立場ですが、補助人工心臓を装着する際、PFOがあるとそこから右―左逆シャントが起こり、大変なことになります。そのため、装着手術をする時には必ずそこを確認し、PFOがあれば閉じるという外科的な処置をするのです。そういうことから、時々、PFOがたまたま何も症状がない人でみつかることがあります。そのような人たちも実はリスクがあるわけです。ですから、少し悩ましくて、PFOだけがあって、まだ脳卒中を発症していない人に対してどうするのかというのが疑問としてあります。今回のこの試験があって臨床に導入するのはよく分かるのですが、導入するに当たり何か、先生が言われたように、PFOを見つけたら、循環器科医とよく相談するようにするなどとしないと、PFOがある潜在的な脳卒中発症リスクのある人を見つけられないと思います。そういうところに対しても、何かそれなりの考え方はしておいてもらっていいかなという感じがするのです。
○荒井部会長 一歩先の話ですね。確かに、機器の場合は承認の段階とは手続と多少違う展開をすることがままありますが、これは答えられません。小林参考人、今の点につきましては、今後の展開にもなりますが、何か御意見がありましたらお願いします。
○小林参考人 先ほど申し上げましたように、現場で、例えば脳梗塞を発症した患者さんで経食道エコーをする、これではヒキリツとなっていますが、その方が2015年レベルで3%程しか行われていないという、それほどまだ、そう高いレベルにまでまだ全くいっていない、注目度もまだ脳卒中医の方で余り高くないという現状があります。ただ、このデバイスが必要であるということと、一定の有効性を持っていることは間違いありません。ですので、3学会が今、適正指針を作りましたが、それこそ一定数全例調査を行い、その症例の中にどれだけバイアスがあるかという問題もあるかと思うのですが、やはり、そこから、後から分析していくしか方法はないのではないかと私自身は正直考えております。
○荒井部会長 今までなかったPFOを留める、塞ぐ道具が出てきたというところからスタートラインだと思いますので、当然、今回の適応以外に、もしかしたら将来、先ほど御指摘いただいたような新たな点が出てくるかもしれないとも思いますし、その都度、適応拡大をここで検討していかなくてはいけないかと思います。もうお一人、どうぞ。
○今野委員 浜松医大の今野です。初めて参加させていただきます。基本的に、臨床的なニーズがあり、しかも、コントロールアームを置いてエビデンスを作るのは大変難しいということでもありますので、最終的な承認に関して異議を唱えるものではありません。ただ、VTEに対する捉え方が、時代的な感覚からいってどうなのかという気が少ししてしまうものですから。
 先ほど、抗凝固療法の御指摘がありましたが、決して無侵襲ではなくて、侵襲的な手技であることは確かなわけであります。私は外科医ですが、外科領域におけるVTEは、近年色々な所でディスカッションがされているわけですが、なかなかエビデンスが得にくいわけです。少なくても、色々な侵襲に関して、米国の基準をワンランク上げるという対応を、各病院は行っていると思います。本附属病院でもそうです。したがいまして、やはり、VTEの発生が多いということを、軽く見るべきではないことを申し上げたい。当然ながら、適応に関しては極めて厳密にVTEの発症リストを考慮した上で対応する必要があります。PEが起こりますと致死的になりますから、やはり極めて慎重に対応すべきということを一言申し上げたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。先ほど一色先生が述べられましたように、この試験が古いものですから、抗血小板薬が本品を留置した後に一律に使われてしまったということが、VTEをかなり増やした原因ではないかと考えております。こちらの方は、御説明しましたように、抗凝固療法は、もともと飲んでいる患者さんにとっても、これを留置してその後血栓予防として続けていただくという選択肢もあると思います。それで、抗凝固療法と本品の併用療法のデータについては、PMSも含め、しっかりデータを取っていくというふうに考えております。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見いかがでしょうか。よろしいですか。活発な御議論を頂きありがとうごさいます。特に御意見がございませんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「AMPLATZER PFOオクルーダー」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は期間を7年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告させていただきます。これで議題4を終了します。小林先生、どうもありがとうございました。
 それでは引き続きまして、議題5、医療機器「アダカラム」の使用成績評価の指定の要否を始めます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題5、医療機器「アダカラム」の使用成績評価の指定について御説明いたします。資料5の1ページを御覧ください。今回、使用成績評価の指定について御審議いただく品目の概要です。申請者は、株式会社JIMROです。
 品目の概要の欄を御覧ください。本品は、酢酸セルロース製の吸着単体が充填された体外循環用カラムで、直接血液灌流を行うことにより、末梢血中の顆粒球・単球を選択的に吸着除去する血球細胞除去用の浄化器です。本品は、既に活動期潰瘍性大腸炎の活動期における緩解促進等の適応で承認を取得していますが、新たに、複数の生物学的製剤等の既存の全身治療が無効、効果不十分、又は適用できない「関節症性乾癬」の臨床症状の改善に対する適応拡大を目的として申請されております。
 続いて、使用成績評価の指定に係る根拠を御覧ください。本品の関節症性乾癬に対する臨床試験は、生物学的製剤等の既存療法が効果不十分の患者を対象に実施されておりましたが、臨床試験が行われた時期から現在では、適用される生物学的製剤が増加しており、現状の適用患者に対する本品の有効性及び安全性が十分に確認されていないこと、また、臨床試験では症例数や観察期間が限られているため、本品の有効性持続期間の評価が限定的であったことから、使用実態下における本品の有効性及び安全性を評価すべく、使用成績評価を指定することが妥当と考えております。
 なお調査期間については、前述の評価対象の調査に必要な期間として、登録期間3.5年、経過観察期間1年、解析期間0.5年の計5年を課すことが妥当であると考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それではアダカラムについて、委員の方々から御意見はいかがでしょうか。特にありませんか。よろしいでしょうか。特に御異議がなければ、議決に入ります。議題5、医療機器「アダカラム」の使用成績評価は、期間を5年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決いたします。本件も分科会にて報告いたします。
 では引き続き、議題6、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題6、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について、資料6に基づき御説明いたしますので、御用意ください。既存の一般名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について、御審議いただいております。今回は医療機器の承認に際し、一般名称の新設が必要なものが3品ありますので、御紹介いたします。
 資料6-1、新設する一般的名称(案)についてを御覧ください。新設予定の一般名称は、「大静脈用ステント」となります。定義は、「拡張して大静脈の内側に留まる支持構造で、その開存性を維持するために用いるステントをいう。例えば、ステントはカテーテルによって閉塞部に送達することができる。バルーンカテーテルの膨張、又は自己拡張により、ステントは拡張して血管を支持する。カテーテルを抜去すると、ステントは永久インプラントとしてその位置に留まる。金属、ポリマー又は他の物質を原材料とする。一定の長さの連続チューブ状のものもあれば、チューブ型の足場構造のものもある」です。本品はクラスIV、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。
 続いて資料6-2を御覧ください。新設予定の一般名称は、「再製造心臓用カテーテル型電極」となります。定義ですが、「心臓内に挿入する軟性チューブの一端に設置し、心拍出量を測定する場合の特定の指標を検出したり、又は心臓の左右短絡を判定する導体をいう。心臓の電気生理学検査、心臓内心電図記録を行うために用いる。また、一時的ペーシング又は除細動に用いることがある。本品は再製造単回使用医療機器である」です。当該品目は、日本国内で収集された使用済みの単回使用医療機器を米国の製造所に輸送し、分解することなく洗浄・滅菌し、オリジナルの医療機器と同等の性能を有することを試験検査により確認した上で出荷されます。使用済みの単回使用医療機器を再製造することを目的とした一般名称がないため、今回新設することとなっております。本品はクラスIV、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。
 続いて資料6-3を御覧ください。新設予定の一般名称は、「再使用可能な排液流量計」となります。定義は、「胸腔又は腹腔ドレーン接続時に胸腔又は腹腔から排出される排液の量を直接的又は間接的に測定する装置をいう。測定法には、機械的測定、電気的測定又はこれらの併用が用いられている。本品は単回使用ではない」です。本品はクラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器であり、必要と考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいま御説明いただきました大静脈用ステント、再製造心臓用カテーテル型電極、並びに再使用可能な排液流量計について、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。以前、この部会で御議論いただきました、いわゆる再製造品がいよいよ出てくる訳です。よろしいですか。特に御意見がないようですので、議決に入らせていただきます。「大静脈用ステント」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。2つ目、「再製造心臓用カテーテル型電極」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。最後に、「再使用可能な排液流量計」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決いたします。本件は、本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会で文書で報告をさせていただきます。これで議題6を終了いたします。
 続いて議題7、医療機器「サンコンKyoto-CS」の使用成績評価期間の延長についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題7、医療機器「サンコンKyoto-CS」の使用成績評価期間の延長について御報告いたします。資料7-1を御用意ください。1ページの中段、品目の概要を御覧ください。本品の申請者は、株式会社サンコンタクトレンズです。本品は終日装用の酸素透過性ハードコンタクトレンズであり、スティーヴンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症の眼後遺症の軽減を目的とした輪部支持型レンズです。本品は、希少疾病用医療機器として指定されております。本品は、平成28年1月15日に開催された本部会において御審議いただき、4年の使用成績調査を行うこととして同年2月に製造販売承認を取得したものとなりますが、使用成績評価に十分な症例が集まらなかったことから、追加で2年の延長を行うこととなりました。本報告事項について、事前に委員の先生方に資料を送らせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきます。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。御意見、御質問等はよろしいでしょうか。レアな疾患ですから、どうしても時間が掛かるということで、その延長についてです。皆さんの御異議がなければ、これで議題7を終了し、議題8に進みます。
 それでは議題8、医療機器の再審査結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題8、医療機器の再審査結果について御報告いたします。再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則、新しい医療機器について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回は、再審査結果の報告が3件あります。
 資料8を御覧ください。資料8-1、販売名「放射性医薬品合成設備NEPTIS plug-01」です。申請者は、日本イーライリリー株式会社です。本品は、遠隔操作により自動的に放射性標識化合物であるflorbetapir(18F)の注射剤を製造するために用いる医療機器で、平成26年7月3日に承認されました。なおflorbetapir(18F)の効能・効果は、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化です。本使用成績評価では、本品の臨床実態下における医療機器の不具合の発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、12例を評価対象としました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イ~ハのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査結果の区分を、効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要のないカテゴリーIと判断しています。
 続いて、資料8-2を御覧ください。販売名は「MRガイド下集束超音波治療器 ExAblate2000」です。申請者は、GEヘルスケア・ジャパン株式会社です。本品は、症候性子宮筋腫の患者を対象に、腹部体外から子宮筋腫組織に集束超音波を照射することにより、筋腫組織を局所的に加熱、壊死させ、筋腫に伴う症状の改善を目的として使用する医療機器で、平成21年9月1日に承認されました。本使用成績評価では、本品の臨床使用実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、66例が評価対象となりました。これについて調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イ~ハのいずれにも該当しないカテゴリーIと判断しています。
 資料8-3に移ります。販売名は「da Vinciサージカルシステム」他4品目です。申請者は、インテュイティブサージカル合同会社です。da Vinciサージカルシステムは、一般消化器外科、胸部外科(心臓外科を除く)、泌尿器科及び婦人科の各領域において、内視鏡手術を実施するに際し、組織又は異物の把持、切開、鈍的/鋭的剥離、近置、結紮、高周波電流を用いた切開・凝固、縫合及び操作、並びに手術付属品の挿入・運搬を行うために、術者の内視鏡手術器具操作を支援する医療機器で、平成21年11月28日に承認されました。なお他の4品目は、da Vinciサージカルシステムを含む一連のシステムとして使用されるものです。本使用成績評価では、本品の臨床使用実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、782例が評価対象となりました。これについて調査したところ、特段の不具合はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イ~ハまでのいずれにも該当しないカテゴリーIと判断しています。
 以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りしておりますので、簡単な御説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの議題8の説明につきまして、御質問、御意見はよろしいでしょうか。ないようでしたら、これで議題8を終了いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは本日、この場をお借りいたしまして、本年の3月に通常国会に提出しました医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正ということで、その概要について、医療機器・体外診断薬の審査関係について御説明申し上げたいと思います。
 当日配布資料、薬機法改正に関する資料をお開きいただけますか。冒頭に申し上げなかったのですが、資料の一番上に「機密性2対外秘」と書いてありますが、特にこれは別に秘密でも何でもありませんので、お話いただいても全く問題はありません。
 まず、スライドの1枚目ですが、改正の概要と書いてあります。1.に医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善ということで、(1)から(6)までございます。そのうちの(1)は、「先駆け審査指定制度」の法制化と小児の用法用量設定といった特定用途医薬品等への優先審査ということになっております。
 スライド2枚目を見ていただきまして、そこの上の1つ目の○、「先駆的医薬品」として制度を法制化するという、これはいわゆる先駆け審査指定制度を法制化するということになります。それに加えまして、小児の用法用量、これは医薬品でありますが、医療機器にも小児で開発が進みにくいものもございますので、医療ニーズが充足されていない医薬品等について、「特定用途医薬品」として指定する制度を法制化するということになります。
 左下の方に現行の薬機法が書いてあります。真ん中に改正後と書いてありますが、現行の薬機法では、希少疾病用医薬品がありまして、それ以外にその他で先駆け指定医薬品というものがあったのが、今度の改正後には、希少疾病用医薬品、先駆的医薬品、それから特定用途医薬品というふうになるということです。
 1ページに戻っていただきまして(2)「条件付き早期承認制度」の法制化とあります。これもスライド2枚目になりますが、従来より御説明申し上げます「条件付き早期承認制度」ということで、これの法制化をするということになっております。いわゆる再生医療等製品では既にこういったものがあるわけですが、市販前から市販後に一貫して有効性、安全性を評価しながら、徐々に市販後にデータを集めていって、適応を拡大していくというような制度になっております。
 次はページを戻っていただきまして、(4)継続的な改善・改良が行われる医療機器の特性やAI等による技術革新等に適切に対応する医療機器の承認制度の導入ということについて御説明申し上げます。スライド4枚目、これは厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会の資料ですが、検討の方向性(案)というのが下の方に書いてあります。この3つの○について、それぞれ制度というものを計画しております。1つ目が、施設や術者等の限定、市販後安全対策の充実強化により、機器のもつ機能に着目した迅速な適用追加ということ。2つ目で、改善・改良計画を審査の過程で確認して、迅速な一部変更を認めることにより、継続した改善・改良を可能とする承認制度。3つ目は、市販後に恒常的な性能が変化する医療機器、これはAIを想定していますが、医療機器の改善・改良プロセスを評価することにより、市販後の性能変化に合わせて柔軟に承認内容を変更可能とする方策です。
 スライド5枚目になりますが、これは先ほどの1つ目の○になりまして、真ん中の所にda Vinciの例が書いてあります。da Vinciはもともとは一般消化器外科、胸部外科というふうに承認を取っていった後に、心臓外科で臨床試験を行って適応追加というような経緯があるわけです。しかし、これも今回の制度を導入することによって、一番下の方に書いてありますが、A効能のデータを収集して、関連する学会と連携というのは、医療機器でよく適正使用基準というのを作っていただきますが、B効能への蓋然性やリスク、市販後の安全計画というのを作っていただいて、承認をAとBに同時にする。Aについては通常の提供であるのですが、データのないBについては施設を限定、術者も限定するということをして、データを集めていって、そのデータが十分に集まった場合に、その条件を解除するというようなことを考えたいというように思っております。
 スライド6枚目です。これは改善・改良計画を認める審査制度ということになります。これまでは真ん中に書いてありますが、臨床データを集めて承認申請をしていた上で、市販後にデータを収集して、また一部変更申請というような手続を踏むわけであります。それを下の方にいっていただきまして、1回目の承認申請の際に、変更計画という届けを出していただきます。その承認をして、変更計画に沿った形で市販後にデータを収集して、その計画に沿った形であれば、ここには「チェック」と書いてありますが、例えば届出というような、何日以内に何かなければ、そのまま一部変更を認めるなど、より簡便な一部変更申請というのを作っていこうというのが、この制度になります。これも適切かどうかは分かりませんが、イメージ的に言いますと、よくある例として、例えばMRIや二次元のデータ、二次元の申請で承認申請した場合に、大体三次元にするというのは計画されているわけなのですが、まずは二次元で承認を下ろした上で、データを集めていただいて、迅速に三次元のデータによる一部変更を行えるというようなことを考えています。
続きましてスライドの7枚目になりますが、これは恒常的に性能が変化し続けるプログラムということです。下の方を見ていただきますと、申請時に改善・改良プロセスというのを出していただく。先ほどの改善・改良計画というのにかなり似ているものになりますが、申請時に改善、有効性・安全性データに合わせて、プロセスも一体で確認をするということを考えています。そして承認条件を付して承認して、定まった改善・改良プロセスの中において承認条件の変更を迅速にしていくと言うことになります。AIでいきますと、例えば検出力が50%以上としてしまえば、特に60%、70%になっても別に承認上は50%以上になっていれば、特に一部変更申請は要らないわけなのですが、販売する際には60、70、80%として売りたいということもありまして、そういうことができるように、データが集まってくれば、その都度、標榜を変えられるというようなことが、今回の制度で可能になるということです。
 また、1枚目に戻っていただきまして、そのほかにも添付文書の電子化やトレーサビリティ向上のためのバーコードの表示の義務付けといったものも、併せて予定しております。足早ですが、こういったことで、新たな承認制度ということを構築しまして、医療機器について、より改善・改良を迅速に適応できるような承認制度というものを考えております。まだ、これも法案提出段階でありますが、仮に法案が通れば、業界とも色々議論をしながら、制度を作るだけではなくて、実際に制度が運用できるような形を詰めていった上で、進めていきたいと考えています。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今お話がありましたように、これは3月19日に通常国会に提出されたということです。機器課長からは説明ということでしたが、折角の機会ですので、課長も必ず答える義務はありませんが、もし御質問があればお願いします。前倒しという言葉が結構繰り返し出てきましたが、なるべく早く、そして広く使えるよう承認を進めて行こうという方向性が読み取れるように思われます。この部会でしばしば、問題になっている部分でもあり、良い方向への動きと私も期待しております。よろしいでしょうか。
○永井委員 スライドの5枚目ですが、学会との連携によって、承認条件の解除というお話でしたが、それは保険とのカバレッジとはまた別なお話ですね。
○医療機器審査管理課長 形式上は保険上のカバレッジとは別になります
○今野委員 前にも別の会でこのお話をお伺いしていますが、学会等との連携は進んでいるのですよね。過去に色々医療機器に関する不幸な事案があって、現在は登録がかなり厳密に行われていると承知しております。つまり、術者の質保証のために、全ての症例の登録を前提とすべきと考えます。それが学会との連携の非常に重要なポイントであるという理解でよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 厳密に言ってしまえば、全登録かどうかというのはまだ決まったわけではありませんが、一般的にはそうなることが多いと思いますし、そういう意味でいくと、学会との協力というのは必須になるかと思います。
○今野委員 全例登録がリスクを避ける意味では最も重要なことだと思います。NCDなどはそういうふうにしていますので、是非そのようにしていただきたい。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ、これで、本日の議題は全て終了になりますが、事務局から何かございますか。
○医療機器審査管理課長 次回の部会については8月の開催を予定しております。現在、日程調整させていただいていますので、また、決まりましたら御連絡をさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。それではこれをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 

再生医療等製品審査管理室 室長 田中(内線4226)