2019年5月13日 第9回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会 議事録

政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和元年5月13日(月)18:30~20:00

場所

厚生労働省省議室
(中央合同庁舎第5号館9階916号室)

出席者

構成員(五十音順、敬称略、○:座長)

  石原 真三子
  稲葉 由之
 ○今野 浩一郎
  神林 龍
  樋田 勉
  山田 久

事務局

  藤澤政策統括官
  吉永審議官  
  中井参事官(企画調整担当)
  瀧原統計管理官
  細井統計企画調整官
  田中審査解析官
  村木雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

(1)「共通事業所」及びその集計値に係る分析等について
(2)その他
 

議事

 


○細井統計企画調整官 
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第9回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催いたします。
 委員の皆様方には、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、野口構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 早速ですが、以後の進行につきましては、座長にお願いしたいと存じます。
 カメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○今野座長 
 それでは、始めたいと思います。
 今日は、お手元の議事次第にありますように、2つの議題があります。主に(1)です。
 議題「(1)『共通事業所』及びその集計値に係る分析等について」は、前回、神林さんから分析結果について報告がありました。これについて、前回欠席された稲葉さんから質問とコメントが出ておりますので、まずそこから議論をしようと思います。
 それでは、瀧原さん、お願いします。

○瀧原統計管理官 
 それでは、資料でございますけれども、ただいまの資料につきましては、資料1が、前回、神林先生から提出していただいた資料でございます。これにつきましては、前回御説明いただきましたので、今回、これについての新たな説明はしないという形にさせていただきたいと思います。
 これに関しまして、先ほど座長から御紹介のありました、稲葉先生からの質問などという形で、参考資料1を御提出いただいておりますので、これにつきまして、稲葉先生から少し御説明いただいて、それについて、御議論いただければと思いますので、よろしくお願いします。

○稲葉構成員 
 それでは、私から参考資料1に基づいて、質問させていただきます。
 1番と2番につきましては質問です。3番につきましては、神林先生のデータ分析の結果を見まして、考えたことについてお話しさせていただきます。もしかしたら、私が勘違いしているところが幾つかあるかもしれませんが、そのときはお許しください。
 1点目ですけれども、データ分析自体は、事業所単位の対応関係を考慮して、脱落バイアスを評価したという点で、非常に意義のある分析であると思います。被説明変数を時間賃金の対数値とした場合においては、幾つかの傾向は見られるものの、顕著な脱落バイアスは見られなかったと解釈しますが、これは被説明変数が時間賃金の場合のみです。
 2番に移りまして、被説明変数として、例えば1人当たり平均現金給与総額であったり、1人当たり平均総実労働時間数であったり、または常用労働者数などを採用して比較を行うと、脱落バイアスに関して異なる推定結果が得られるのではないかと感じました。これらの変数自体は、実際に毎月勤労統計における指数のもとになっているものですので、こちらで分析をしたら、脱落バイアスといったものが出てくるのではないかと考えました。
 この意見に至った背景は、第8回の検討会の資料2、共通事業所と未提出事業所との比較にあります。この比較を見ますと、現金給与総額であるとか、総実労働時間といったものは、共通事業所のほうが高い値をとっておりますので、両者が高い値ということで、割り算をしてみると、両者の違いが余り大きくないということが、表現されているのかもしれません。基となっている数字で比較したら、脱落バイアスが出てくるのかもしれないと考えました。
 1点目と2点目は、質問という形ですけれども、いかがでしょうか。

○神林構成員 
 おっしゃるとおりですと言ったほうがよいかと思います。今回、私が提出した分析は、こんなふうにやったら、こんなことができますという1つの例を出しているだけです。プログラムがありますから、月給でやっても、時間でやっても、すぐに結果は出ます。
 ただ、1つ、コントロール変数に関してなのですけれども、女性が占める比率、パートタイムが占める比率は、現在、毎勤統計で、集計には使われていない変数ですが、ある程度説明力があります。なので、明らかに女性が少ない事業所、あるいはパートタイムが少ない事業所が生き残る確率が高いという、統計的な関係が恐らくあるだろうということが、背後に見えてきます。ですので、脱落バイアスそのものを理解するために、こうした毎勤統計で使われていないコントロール変数を使って、脱落バイアスを推定して、復元に持っていくのか、それとも現在の毎勤統計で使われている変数だけを使って、いわば経済学的な脱落バイアスを求めるのではなくて、単に統計的な平均値の差だけを求めるという態度で脱落バイアスを推定して、戻すときにそれを利用するという、どちらの態度のほうがいいのかということについては、自分としては、五分五分というところがあります。
 厚生労働省は、マイクロデータを持っているわけですので、これからもしこの手法を使うのであれば、非共通事業所についても、女性比率あるいはパートタイマー比率はつくることができますので、より正確な脱落バイアスをつくって、全体の復元につなげるということも、考えたほうがいいと思っています。
 被説明変数を変えると、恐らくバイアスのあり方が大きく変わるというのは、そのとおりだろうと考えています。時間賃金にした理由というのは、労働経済学で最も重要な指標というのは、時間賃金ですので、時間賃金でバイアスが発生するということであれば、真面目に考えたほうがいいだろうということで、ボトムラインを形成するという意味で、時間賃金を使っています。
 あと、労働時間、あるいは所定外、常用労働者といったものを一緒に使って、どの指標に対して、どれぐらいバイアスがあるのかということをいちいち計算して、修正をしていくことは、基本的に自動的にできるかと思います。

○今野座長 
 それに関連して、いいですか。今、共通事業所でこういう指標を出すというのは、前からここにありましたけれども、既存労働者の賃金変化を知ることが重要で、でも、個々の既存労働者の賃金変化を見ることは不可能なので、それを代理するための指標として、共通事業所の指数を使う。そう考えるのであれば、コントロール変数で入れてあげて、バイアスを出すというほうが、理屈としては通ると思うのですけれども、どうですか。先ほどフィフティー・フィフティーとおっしゃいました。

○神林構成員 
 もしそういう形で、脱落バイアスを推定するのであれば、当然のごとく、年齢、学歴という重要な変数があります。それは毎勤では使えません。明らかに影響がある変数があるにもかかわらず、それを使わずに、別な変数だけを使ってバイアスを推定するというのは、真摯な態度ではないと思います。なので、自分としては、使わないほうが、全体の統計とのフレームワークの一致性という意味では、価値があると思います。女性比率、パートタイマー比率を投入するというのは、次善、三善、四善ぐらいの策になると思います。

○今野座長 
 わかりました。
 どうぞ。

○稲葉構成員 
 ありがとうございます。
 続けて、3番に移らせていただきます。神林先生の脱落バイアスといったものの分析結果を見ると、根本的な疑問が湧いてきまして、それについて、報告させていただきます。
 労働者の賃金の推移自体を見るというのは、本来は労働者個人の賃金がどのように推移していったかということを観察するものです。毎月勤労統計の調査票においては、労働者を固定することはできないために、代替的に事業所を固定して、事業所単位での比較をもって、賃金の変化を観察しようというのが、共通事業所の考え方であると思います。
 ここで疑問となるのは、果たして共通事業所の労働者は、1年間でどの程度の変化があるのかということです。共通事業所ですので、これまで数年間継続して事業を行っている事業所です。それが1年間において、変化が起こっていないというのは、なかなか考えられないわけでして、どの程度の変化があるのか、それは調査票上にあります、「採用、転勤等による増加」であるとか、「解雇、退職、転勤等による減少」といったものを1カ月ずつ見ていくことによって、どれだけの出入りがあったのかということを集計することは可能だと思います。共通事業所における労働者の変化の度合いといったものを明らかにする必要があるのではないかと考えました。
 資料は用意をしていないのですけれども、世帯調査の状況について、事例がありますので、紹介させていただきます。
 世帯が1年間でどの程度変化するのかということを、住宅を固定して分析した研究があります。これは労働力調査に基づいて行われた分析です。労働力調査では、世帯が転出しない限り、1年後に同じ世帯を調査するという特質を持っております。紹介するのは、労働力調査の2カ年分のデータを使って、どのように世帯が変化したのかということを研究した分析結果です。
 具体的に言いますと、2005年から2006年において、どのように変化したか。4人世帯のみを例に挙げます。2005年の4人世帯は784万世帯です。このうち、1年後の2006年も同じ住戸に居住していた世帯は716万世帯で約91%、9%は転出してしまった。そして、2005年と2006年の両方、継続して調査できた716万世帯のうち、4人世帯のまま変化がない世帯は579万世帯で、716万世帯のうちの80%。3人以下の世帯になった世帯は104万世帯で15%。4人から5人以上の世帯になった世帯は34万世帯で5%。すなわち、1年間で転出しなかった世帯が9割、そして、その9割の中で、4人のままであった世帯が8割ということです。世帯におきましては、1年間で変化が結構あるということがわかります。
 例えば、4人世帯での就業者数の増減といったものを見た場合、果たしてこの変化自体の意味があるのかを考えますと、意味があると言えるのかどうかについては、疑問を持ちます。
 同様に事業所におきましても、事業所を構成している労働者がどのように変化したのかということも、やはりつかんでおかなければならないのではないか。つまり、本来は労働者を固定して観察するものを、代替的に事業所を固定して調べたものでも、景気の動向を測るのに適しているといった、根拠として提示する必要があるのではないかと考えました。
 以上です。

○今野座長 
 どうですか。

○神林構成員 
 この点は、全くおっしゃるとおりで、私たちの研究の中でも、事業所レベルでの出入りと労働者レベルでの出入りというのは、一致しないということはよく知られております。もちろん日本においては、両者ともに、諸外国に比べると小さいということが言われているわけですけれども、それでも年間当たり、大まかにいうと、10%ぐらいの入職率、離職率です。

○今野座長 
 10%、10%ですか。出るが10%、入るが10%ですか。

○神林構成員 
 出るが10%、入るが10%です。なので、1年間で20%ぐらいの人が入れかわるというのが、典型的な職場なのではないかと思います。
 その件で、既に3年ぐらい前になりますけれども、私と内閣府の上野さんで書いた論文で、名目賃金がなぜ上がらないかということに関して、賃金センサスを使って疑似パネルをつくって分析したことがあります。同じ労働者で、どれぐらい時間賃金が上がったのかを疑似的につくって、それを見てみると、実は3%から4%、毎年上がっているのです。それは当然といえば当然で、定期昇給がありますので、何パーセントかは、常に賃金は上がっていくわけです。
 なぜ全体で名目賃金が上がらなかったのかというと、退職者の名目賃金と新規採用者の名目賃金が、日本の場合、違い過ぎるのです。なので、1人退職をして、1人新人を雇ったとしたら、平均的な名目賃金は下がるのです。しかも、2000年代というのは、退職者が非常に増加したときでありますので、退職者の賃金水準と新規採用者の賃金水準の差があって、全体の名目賃金の変化率を押し下げていたというのが、私たちの主張でした。それを考えると、毎勤の事業所の平均賃金だけを見ても、出入りがありますので、同じ労働者が平均賃金をもらっているとは考えないほうがいいだろうというのが、論文の1つのメッセージになります。
 私自身、この検討会で何度か申し上げていますけれども、毎月勤労統計というのは、あくまでも事業所の統計ですので、事業所が見ている時間当たりの賃金コストは、この統計で見ることができます。それが上がっているか、下がっているかということはわかります。けれども、背後にある、労働者がどれだけの賃金を受け取っているかということとは、直接的には結びつかない統計だということは、申し上げておきたいと思います。

○今野座長 
 そうすると、先ほど稲葉さんも言われていたけれども、労働者一人一人の賃金の変化率を見るための代理変数として、共通事業所の賃金の変化率を見るという捉え方は、余りしないほうがいいということですね。もう少し正確に言うと、共通事業所における一種のコストとしての平均賃金に、どういう変化があったのかと捉えたほうが、正確だということになるのですか。

○神林構成員 
 私自身の意見はそうです。なので、名目賃金という言い方は、公式統計でされていますけれども、自分は名目賃金コストだと申し上げています。

○今野座長 
 そうすると、先ほどの2番目の論点との関係ですけれども、例えば女性比率とか、パート比率などで調整しないほうがいいということですね。コントロールしないほうがいいということですね。

○神林構成員 
 そういう意味では、そうなります。

○今野座長 
 ありがとうございました。
 稲葉さんからそういうコメントがありましたけれども、ほかの方はどうですか。よろしいですか。どうぞ。

○瀧原統計管理官 
 3番目、今、稲葉先生から御提案いただいた部分の「本来は労働者を固定して観察するものです」という一文は、非常に関心があったのですけれども、賃金統計というのは、こういう面もあると思いますが、これが本来的なものなのかどうかというところが、気になります。といいますのは、毎月勤労統計そのもの自身は、共通事業所以上に、事業所も固定しないし、要はオールジャパンの労働者の1年前と今年について、全員の平均値がどうなっているかということを見るもので、その中には、1年前は仕事をしていたけれども、やめて、賃金がゼロになった人もいれば、働いていなかった人が、働き出して、賃金を得ていることもあります。そういうものの増減というのは、本来、労働者を固定して観察するものとしては、対象外という観念になるという気がしまして、いわゆる働いていない人が働き出したことによって、例えば給料が20万とか、増えるわけです。それは労働者を固定して観察するものから、出てくるものではないと考えてよろしいのでしょうか。

○稲葉構成員 
 説明が足りなかったかもしれません。賃金の変化といった面で見るという意味です。

○瀧原統計管理官 
 そういう部分を見ますと、毎月勤労統計の本系列というのは、対象とはちょっと違うものも含めて、全部バスケットにして計算しているものという意味では、日本の中で働いている人の賃金がどういう水準で動いているかということを、まさに見ているものという形になろうかと思いますけれども、その中で、共通事業所系列というのは、そこから少し絞り込んで、実際には先ほど御議論があったように、事業所の中で見るのですが、ただ、毎月の本系列に比べれば、労働者を固定して見るという意識は、多分強くなっているものだと思います。
 ただ、これには、転職は入らない形になってしまう。A社をやめてB社に行った人の賃金変化は除かれる形になりますから、以前、神林先生から、共通事業所というのは、1社にずっと勤めている人の賃金変化を見る指標ではないかというお話しがありましたので、そういう意味では、本系列よりは、労働者を見る観点が共通事業所は強くなっていると思います。とはいえ、完全に労働者の賃金の動向を見るものにはなっていないということが、今のお話しだったと思います。
 明らかに本系列よりは、その傾向は強く出ているものだと思いますので、そういう意味では、今、御議論いただいている本系列と共通事業所系列の違いは何かというときの見方の1つのポイントとして、この観点というのは、重要というか、1つの大きなポイントではないかと思うのですけれども、それはそう考えてよろしいのでしょうか。

○今野座長 
 今、この辺でやっていた議論というのは、それでもいいけれども、それはかなり誤差があるという話です。神林さんの意見というのは、例えば本系列で賃金が10%上がりました。そうすると、労働者の賃金は10%上がりましたと言ってはいけないというのが、神林さんの言い方です。労働者が10%賃金が上がったというと、労働者を固定して、固定した労働者の賃金が10%上がっているように見えるけれども、毎勤の本系列のデータは、そうではなくて、オールジャパンで、企業あるいは事業所が雇った人の賃金コストが10%上がりましたと言ったほうが、ずっと正確だというのが、神林さんの言い方です。そういう点からすると、共通系列というのは、今、瀧原さんが言われたように、相対的には労働者を固定していますけれども、固定の仕方は、かなり緩いと考えたほうがいい。そういう意味で、固定しているということだと思います。

○瀧原統計管理官 
 そういう意味では、毎月勤労統計調査自身が、個別ではないものを調査して、統計としてつくっているという色合いは、本系列も共通事業所もより強く出ている。ただ、その中で、相対的に差が出ているという位置づけであろうということですね。

○今野座長 
 そうです。

○瀧原統計管理官 
 ありがとうございます。

○今野座長 
 それでは、次に行きましょうか。今日は、資料を幾つか用意していただいていますので、その説明をしていただいてから、また議論したいと思います。

○瀧原統計管理官 
 それでは、続きまして、資料2の「本系列と比較した『共通事業所の集計値』の特性」ということで、従来から出している資料に追加的な分析を加えましたので、その御説明をさせていただきたいと思いますけれども、その前に、参考資料の説明をこの時点でさせていただきたいと思います。
 先ほどの稲葉先生からの御質問の資料の次に、参考資料2-1と参考資料2-2をつけさせていただいております。これは「毎月勤労統計の『共通事業所』の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会」でやっているものが、国会等でも非常に関心を持っておられるということを御紹介させていただきたいということで、用意いたしました。
 参考資料2-1は、4月12日、ほぼ1カ月前になりますけれども、厚生労働委員会で審議がされました中で、山井議員が質問に立たれたときの議論です。未定稿ではございますけれども、議事速報でございます。
 めくっていただくと、下のページで、15ページと書いてあるところがございます。15ページの一番下のところになりますけれども、山井議員から質問がありまして、最後から2行目になりますけれども「そのことについては統計委員会、総務省も問題意識を持って、今日の配付資料で、おといつ総務委員会でその議論がありました」ということで、総務委員会で統計の議論が集中的にされたときの御紹介をされております。「その中で」というのは、配付資料のことを指しているわけですけれども、配付資料の8、9、10、11を読んでくださいとございます。
 配付資料というのが、参考資料2-2という形で、用意させていただいたものでございます。
 表紙をめくっていただきますと、縦書きの3段のものがありますけれども、右下のところに、8とか、9と書いてあります。これがページでございます。
 8ページ、9ページ、10ページ、11ページという形で、4月9日の総務委員会での議事が整理されておりまして、4月12日の厚生労働委員会で資料として出されていたものを、この場で御紹介させていただければと思います。
 総務委員会に統計委員会の西村委員長が参考人として御出席されておられまして、西村委員長が共通事業所系列の議論についての御意見をいろいろと述べておられるということの御紹介でございます。
 横線につきましては、山井議員の資料にもともとついていた線でございますけれども、主に西村委員長の発言のところについております。
 例えば8ページの下、右側ですけれども、西村参考人の発言がございまして、2行目の下のところですが「人々の賃金の変化というのの実態を見るときに、やはり同一事業所、本来ならば同一の労働者の賃金を見たいんですが、なかなかそれが難しいので、同一事業所という形で、同一事業所の変化を見るという形が実感に一番近いだろう」とございます。このあたりは、当会でも紹介させていただきましたけれども、西村委員長が共通事業所に持っておられる部分のお話しで、たまたまですが、先ほど稲葉構成員が発言された部分と近い発言になっている部分でございます。
 同じ8ページの左側の真ん中の段になりますけれども、真ん中のところに、西村参考人というところがございまして「この点に関しましては、基本的には、誰が何に使うかということに依存しますので、その利用者の用途に応じていろいろな実質賃金の系列があるということは、私は望ましいことだというふうに考えております」という御発言があります。
 9ページも少し御紹介させていただきますと、真ん中の段の横線のところでいきますと、今、共通事業所の部分と本系列の比較の中で、サンプルの違いが出ておりますけれども、「だから」で始まっている横棒のところですが「サンプルが例えば小さいから誤差が大きくなるというのは原則的にはそうですが、この場合には、単純にサンプルの小ささというよりも、例えば、変化ですので、同じものを共通でとっているかどうか、その間の、同じものをとっている間の、逢坂先生ならおわかりになると思いますが、いわば相関係数が、時間相関が非常に重要な役割を果たすんですね。そういったものを含めた形で、きちんと定量的な評価をしていただきたい」という話が出ております。
 全般的な紹介は省略させていただきますけれども、こういう形で定量的な分析をして、その上で判断していくことが必要だという趣旨をおっしゃっているということもありまして、我々も不十分なところは、しっかり分析する必要があろうかと思いますが、ただ、こういう形で、国会で関心を持って見ていただいている現状を、この資料で見ていただければと思います。
 11ページの左側の一番下のところにも、真ん中に西村参考人の発言がありまして「できる、できないというのは、基本的には誤差の大きさに依存します」ということで、数行後に「きちんと定量的に把握して、そしてそれが十分に説得できるくらいの大きさであるという形であるならば、それは使えるという形になりますが、やってみないとわからないので、それはきちんとやってください」とございます。これは我々に対する御要望という形で受けとめるべきだと思っております。
 以上、一部を紹介させていただきましたけれども、ここの部分は、ぜひ各委員の方々に目を通していただきまして、今後の議論の中で、どういう点を分析していく必要があるかという御認識も含めて、見ていただければと思っております。
 その上で、今回、資料2で用意させていただいた、新しい分析を御紹介させていただきたいと思います。それは、今、紹介しました、西村委員長がおっしゃっていた、時間相関という考え方のところです。
 時間相関というのは、いかなるものかということで、資料2の7ページをごらんいただければと思います。「共通事業所及び本系列の前年同月との相関(きまって支給する給与)○1」がありますが、相関分析をさせていただいたものでございます。
 これはどういうものかといいますと、今までは、共通事業所と本系列そのものの、同じ時点での散布図を紹介させていただきましたけれども、これは共通事業所なら共通事業所について、2時点、具体的には平成29年1月と平成30年1月についての数値の動きの分析でございます。
 まずここにドットがありますけれども、1つは、集計区分となっている産業1つずつをあらわしております。グラフ自身は規模別になりますので、産業別の単位集計区分を点で打っております。縦軸は平成30年1月の値、横軸は平成29年1月の値であります。ここは平均の金額を打っておりますので、例えば一番左側、規模1,000人以上のところでいきますと、下の金額はそこの平均賃金だと思っていただければ、結構です。低いところでいきますと、十数万というところ、高いところで見ますと、50万ぐらいのところで、平成29年と平成30年とで、どういう金額になっているかというものです。基本的に1つのセルの中には、共通している事業所しか入っておりませんので、同じ事業所であれば、大きな動きにはならないということで、相関が強くなっております。
 一番上の左でいきますと、1,000人以上の共通事業所のRは0.968という形で、非常に近い値です。ほかの規模におきましても、1にかなり近い値でのものになっているという形であります。
 一方で、本系列ですが、真ん中で同じようにとっていきますと、Rは少し小さくなります。特に1,000人以上のところでありますと、0.7572という形で、1からは少し離れてくる。あとのところは、0.9台ではありますけれども、共通事業所に比べれば、相関が弱まっているという形です。
 もう少し明確にするために、引き算したものが、一番下のところでございまして、各セルの中で、本系列から共通事業所になっているところを除いた、事業所だけでつくったものでございます。これでいきますと、1,000人以上のところ、あるいは500~999人のところは、かなりばらつきが出てきておりまして、500人以上のところは、Rが0.2306ということで、相関がないような分布になっています。一方で、500人未満のところは、0.8前後という形で、比較的相関があるということになります。
 1つポイントになりますのは、どの程度が共通事業所になっているかというお話しを初期の頃にいたしましたけれども、資料でいきますと、44ページを見ていただきたいと思います。規模ごとで見ますと、500人以上のところは、8割以上が共通事業所になっているのに対して、100~499人、あるいは30~99人のところについては、4割強、45%ぐらい、5~29人のところは3割ぐらいという形になりますので、裏を返すと、共通事業所になっていないところは、500人以上のところでは2割弱、一方で、5~29人のところですと、7割が共通事業所以外という形になります。
 そういう目で、7ページに戻って見ていただきますと、一番下の表の1,000人以上、あるいは500~999人のところは、サンプル数が少ない中で、しかも、これは共通事業所になっていないところを入れていますので、平成29年1月と平成30年1月は、調査票を提出していなかったことによって、どちらかにしか入っていない、あるいは新たにサンプルになったこと、サンプルから外れたことによって、消えた事業所が落ちているというところが含まれて、ばらつきが非常に大きくなっているところです。
 一方で、500人未満も条件は同じです。ですので、ここに入っている事業所は、共通でない事業所が入っているのですけれども、ただ、ここは一定程度のサンプルがありますので、例えば5~29人という規模で、かつ、ある単位集計区分に入っている1つの産業の中の賃金で見た場合には、一定程度相関があるということで、共通事業所よりは低いですが、それでも0.83ということで、そういう意味では、入れかわっても、それなりの相関はあるということが、これで見られると思っております。そういう意味では、同じ共通事業所は、当然相関が強いわけですけれども、そうでない部分も一定の相関があるということが、全体的には見られます。
 もとに戻りますけれども、共通事業所に対しては、1年後と1年前の賃金の相関が強いということがありますので、サンプル数が少なくても、例えば一番上の右側の規模5~29人については、サンプル数は、先ほどのとおり、3割ぐらいしかありません。それでも非常に高い相関を持っているということで、真ん中の本系列の相関性を高めているという形になろうかと思います。
 1月の分析が7ページですけれども、以下、8ページ、9ページというのは、2月、3月という形でやっておりまして、同じような形での数字が出てきております。
 ちょっと飛びますけれども、前回のときに分析させていただいたのが、20ページです。これは本系列と共通事業所での平均値なり、標準偏差の分布ですけれども、共通事業所のほうは、これまでの議論のように、サンプル数は少なくなっております。特に規模の小さいところでは、サンプル数が少ないので、ぶれが一定程度あるものと思われていたわけですけれども、実際、20ページの真ん中、標準偏差の散布図の一番右側の5~29人のところを見ていただきますと、横軸が本系列、縦軸が共通事業所ですが、標準偏差を見たときの状況は、特に標準偏差が大きくなっていると言えるまでの数字にはなっていないという結果が、前回、出ていたわけです。
 なぜこういうふうになっていたかという1つの回答ですが、共通事業所というのは、1年前との伸び率についての相関性が高いので、標準偏差は、サンプル数が少なくても、一定程度に抑えられているというところが、読めるのではないかということで、追加的にこの資料を提示させていただきました。そういう目で見ていいのか、平成30年と平成29年の二時点間の相関というのは、共通事業所、あるいは本系列というもので見比べた場合の解釈の仕方、あるいはこれをどう考えていくかというところは、ぜひ委員の皆様方に御示唆いただければと思っております。それが18ページまでございます。
 もう一点、追加の表を用意させていただきました。19ページでございます。19ページは、前年同月比というものを、共通事業所、本系列それぞれであらわしたものでございます。
 19ページの一番下の注を見ていただきたいのですけれども、ここで言っている平均値というのは、各単位集計区分で、平成30年の平均値と平成29年の平均値を割り算して、伸びていれば、1.0何倍とか、下がっていれば、0.9何倍ということになろうかと思うのですが、その値を出しまして、それを単純平均したものが上の平均値です。
 共通事業所の1月で見てみますと、1,000人以上で1.013ということで、各産業の単純平均でいくと、1.3%ぐらい伸びているという見方で、数字を見ていただければと思います。2月ですと、1.06というのは、0.6%のプラスです。一方で、本系列のほうは、0.990ですので、マイナス1%という形です。これは単純集計ですので、ウェイトをかけて復元している、実際の公表値とは違う数字になりますけれども、単純平均での数字だということは、御容赦いただければと思います。
 そうやって見ていただきますと、上の平均値は、平均的には似たようなものになっています。どちらが高いか、低いかというのは、違いがありますけれども、マイナスが出た場合には、本系列のほうが少し高目に出ているという形になりますが、0.0の下に、1とか、2とか、あるいは0.00というところもありますけれども、それぐらいの差になっているので、共通事業所も本系列も、変化率については、近い形になっています。
 一方、平均値を出したときの標準偏差がどうなっているかということが、下の表でございまして、これにつきましては、ざっと見ていただければわかりますけれども、本系列のほうが、標準偏差は高くなっておりまして、共通事業所のほうは、比較的標準偏差が小さいというものです。
 これで見ますと、1月の1,000人以上でいきますと、0.37ということで、3分の1ぐらいの標準偏差に共通事業所はおさまっている。3月、4月ぐらいになりますと、0.7ぐらいになりますので、そこまで小さくはなっていないのですけれども、それでも共通事業所のほうが小さい。3行目に当たる比のところを見ていただきますと、大体が0点台ということで、やはり共通事業所のほうが標準偏差は小さくて、かつ、半分とか、あるいはそれ以下というところも、そこそこあるということで、共通事業所の1つの特色というのは、前年同月比が安定的に出てきているということです。実際のオールジャパンの賃金の動向が、どの程度安定しているか、それに近いものかどうかということは、別問題ですけれども、共通事業所というのは、安定的な数字を出すような傾向になるということが、見てとれると思います。
 どう解釈するかという部分の御議論をぜひいただきたいと思いますけれども、事務局で分析いたしました資料は、以上でございます。

○今野座長 
 ありがとうございました。
 新たに分析していただきましたので、御質問、御意見をお願いいたします。どうぞ。

○樋田構成員 
 先ほど西村委員長の発言の中で、時間相関という言葉があり、それについての御説明をいただきました。西村委員長が意図されているものは、正確にはわからないわけですが、ローテーション・サンプリングの場合に利用可能な推定法の中で意味を持つ相関は、ここで計算されている、各セルの平均が当月と前年同月でどう変化したかというよりは、各セル内で、各事業所の賃金水準が当月と前年同月でどう変化したかという相関です。そうすると、時間相関について検討するのであれば、継続事業所の当月の賃金水準と前年同月の賃金水準を、各セルについて散布図で見て、どのくらいの相関があるのか確認することが重要だと思います。セル内で相関が十分に高い場合には、継続事業所のデータと新規事業所のデータの両方を用いて、推定精度を高める可能性がある方法もあります。これは共通事業所というよりは、本系列の話かもしれませんけれども、そういった方法もあるということは、少し意識しておいてもいいと思います。
 以上です。

○瀧原統計管理官 
 ありがとうございます。
 セル内でも結構ですし、全ての事業所という形でも構わないのですけれども、こういう形で相関をとると、これと同じような形で、かなり高い相関を見ることができるのですが、その場合、その比較対象をどう考えるかということを、ぜひ知りたいと思っております。実際、共通事業所以外ですと、この場合、平成29年1月にはデータがあるけれども、平成30年1月にはデータがない。あるいは逆のケースというときに、それは比較として、どういう分析が可能なのか。
 例えばこれでいいますと、一番下の本系列から共通事業所を除いた事業所が存在していて、それは1年前にも1年後にも存在しているのですけれども、それについて、相関に近いものが分析できるのかどうか。それは仮定を置くと、全く違う事業所ですので、相関はないという考え方もできるかと思うのですけれども、現実には同じ産業に入っていたり、少なくとも日本での同じ時期の事業所なので、相関がないということではないと思われます。組み合わせの仕方によって、相関係数は幾らでも変わってしまうので、共通事業所は相関が非常に高いです。これは間違いなく事実としてあるのですけれども、それを本系列の中の位置づけとして、どう位置づけたらいいのか。共通事業所以外のものとの兼ね合いでいうと、どの程度高いという判断はあり得るのでしょうか。

○樋田構成員 
 先ほど申し上げた推定方法では、継続事業所での相関が、全体にも成り立っていると仮定します。その仮定が妥当かどうかというのは、共通事業所の中だけではわからないので、別に議論する必要があると思います。

○瀧原統計管理官 
 ありがとうございます。
 そういう意味では、共通事業所のセルの中での相関関係を計算することができるわけですけれども、それに加えて、どういう分析を加えるかということについては、何か御示唆などはございますか。

○神林構成員 
 例えば今のこの図を使って描いてしまうと、各セルの中で、一つ一つの事業所を見ると、継続事業所については、こういう相関が見えるわけです。これが平成29年1月、平成30年1月です。ただ、今は各セルの中で集計をしているので、非共通事業所についても、こういう図が描けてしまうわけです。描けているわけですけれども、各事業所だけを見て、共通事業所と非共通事業所を分けてしまうと、どういう図が描けるのかというと、ここはこういうふうになっていて、ここはこういうふうになっていて、こういう2つができてしまうわけです。樋田さんがおっしゃっていたことは、これをこちらにコピーします。そうすると、この事業所は実はこの辺にあるのではないか、この事業所はこの辺にあるのではないですかということが、復元できるということです。そうすると、賃金変化率について、サンプルを倍とか、3倍にふやすことができて、統計をとることができるということなのですが、結局、出てくる相関はここだけで決まっているわけです。ここだけの情報を使う。こちらの事業所とこちらの事業所は、相関係数というのは、全くわかりませんという状態です。
 生き残りバイアスがどうのこうのと言っている話というのは、ここの相関関係とここの相関関係は一緒なのですかということを言っているわけです。生き残りバイアスがあるとすれば、例えば比較的賃金上昇率が低いような事業所が脱落していってしまうとすると、本当の相関関係はこの辺にあるかもしれないわけです。仮にこの事業所が生き残ったとしたら、この辺にいっているはずですということをプロットしていくと、この差がどれだけ大きいかというのが、生き残りバイアスと呼ばれるものの1つの表現になっているので、これがないと考えるのであれば、機械的に復元してあげてしまえば、それでいいと言えるのではないかと思います。こういう図を描いてみると、樋田さんがおっしゃったことは、かなり正確に理解することができるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

○樋田構成員 
 今、御説明していただいたとおりです。最後が一番大事なところだと思います。共通事業所で成り立っている相関関係が、共通事業所以外も含む全体についても成り立っているかは、共通事業所のデータだけからではわからないということです。もしもこの関係が成り立っていれば、これを利用して精度を高めることが可能となるのですけれども、成り立っていなければ、正確な統計にはなりません。だから、もしこういった方法を利用するのであれば、この点を検討することが重要だと思います。

○今野座長 
 考えてみると、今、厚生労働省がやっている共通事業所系列の推計の仕方は、成り立っているということを前提にしている感じが、直感的にします。

○神林構成員 
 そうです。

○今野座長 
 そういうことですね。

○神林構成員 
 はい。

○今野座長 
 それを前提に、全国のベンチマークを復元してしまっているわけですね。

○神林構成員 
 そうです。

○今野座長 
 瀧原さん、いいですか。細かいことがわからなかったら、後から聞いてください。

○瀧原統計管理官 
 ありがとうございます。

○今野座長 
 ほかにどうですか。
 今、厚生労働省がやっている共通事業所系列の指標の出し方も、いろいろと限界があるということですね。

○樋田構成員 
 そう思います。

○今野座長 
 その限界を少しでも改善しようとして、神林モデルが出てきたわけです。

○神林構成員 
 限界というよりも、ある種の仮定に基づいて、推計をしているということです。前回、私が出した資料も、そういう意味では、ある種の仮定をしているわけですけれども、多分厚労省の仮定よりは、ましだろうという言い方になろうかと思います。

○樋田構成員 
 神林先生のモデルを使って、適切に補正を行えば、より適当な数字が出る可能性があると思います。

○今野座長 
 今日、神林さんが言われたのは、補正するときに、コントロール変数を入れて補正したのだけれども、入れないほうがいいのではないかという話もあるということですね。

○神林構成員 
 そうですね。ここは判断です。どちらがよいかという基準は、恐らくないです。

○今野座長 
 我々ができることはもう一つあって、少なくとも両方やってみて、数字を見てみるということがあります。

○神林構成員 
 研究論文などでしたら、全く想定を置かない、単にセルの中での共通事業所と非共通事業所の間の単純な平均の差だけを求めて、その修正をしてしまう、ベース1みたいなものがあって、次にもうちょっとコントロール変数を考えましょうということで、コントロールをした後に、コントロールすらもインピュートしてしまって、系列をつくるということがあり得る。コントロール変数に関しては、バイアスの計算をするときには、コントロールをするけれども、復元するときには、実際の数字を使うというシミュレーションの仕方もあって、それが3本目になる。こういう系列を幾つもつくっていくというのが、やり方だと思います。

○今野座長 
 ほかに御質問はいかがですか。よろしいですか。
 今日は、もう一つ、海外の統計についても、少し勉強しよう、知ろうという話だったので、その資料も用意してもらっていると思います。

○瀧原統計管理官 
 資料3-1と資料3-2は、海外の部分でございます。これにつきましても、1年前なり、一定期間、継続して回答している事業所の活用という事例で、海外、特にアメリカの賃金・労働時間の統計で、そのようなケースが見られるものがございますので、それについて御紹介させていただきまして、議論の御参考にしていただければと思います。1つの共通事業所の活用の仕方の例という形で、認識いただければと思います。
 資料3-2で、上のところに「第1回毎月勤労統計の改善に関する検討会(平成27年6月3日)資料4より」という形で書いてありますけれども、平成27年に毎月勤労統計の改善に関する検討会というものをやっておりまして、そこで出されていた資料に少し手を入れて、紹介させていただきます。もう少し分析なり、データ収集をやりたいとは思っておりますけれども、今回はそのときのものをベースに、御紹介させていただければということで、資料を用意させていただきました。
 資料3-1は、アメリカの事例でございます。アメリカの賃金・労働時間の統計につきましては、そこにございますように、CESというものに基づいて算出されているのですけれども、CES自身は、約1000万の失業保険加入事業所データに基づき抽出された約14万2000の企業及び政府機関、68万9000事業所が対象になっており、調査期間は最低2年以上、2年ということで考えると、それでローテーションしているということになります。
 替え方自身は、下にありまして、抽出替えは、産業ごとに4グループに分割して、四半期ごとに1グループずつ実施する。調査期間を2年としますと、1年間で1つのグループの半数を入れ替えるという形で考えられます。
 産業ごとに1、2、3、4という形で、最後の4のところは、年度の最後ということで、第1四半期から第3四半期に新設された事業所、これは産業にかかわらず、そこに入れ込むということでセットされています。
 登録開始時期と集計開始時期を1四半期ずらすことによって、ダブらせるというか、その期間をとれるような形でやっていると考えられるものでございます。
 1枚めくっていただきまして、概要でございますけれども、全国集計における雇用者数のベンチマークは、毎年3月の失業保険データ等で設定し、更新時は、楔形更新と言っておりますが、これは日本の毎勤の三角補正だと思っていただければ、結構だと思いますけれども、それで12分の1ずつ、1年間、過去11カ月に振り分けるという形での補正をしているものです。
 失業保険でカバーできない、残り3%の雇用者については、他の統計を利用した更新を行うということです。
 ベンチマーク更新において、過去21カ月分のデータが、その影響を受けることになるものでございます。
 ベンチマーク更新時には、産業・規模別の基本集計セルの平均値は更新されないけれども、積み上げ区分のセルは、ウェイトが変わりますので、加重平均の雇用者ウェイトが変更されることに伴って、改訂が起きるというものであります。
 これが雇用者数のほうでして、雇用者数はベンチマークとすべき数字がカウントできるので、それでやりますけれども、賃金・労働時間につきましては、ベンチマークになるものがないので、WDLTという方式を使ってございます。
 雇用者数は、Link-relative方式で推計して、ベンチマークを標本集計値の前月から当月への変化率で更新するという形をとっております。
 賃金・労働時間に使っております、WDLTの方式について、簡単に御紹介させていただきたいと思いますけれども、そこに大文字と小文字がありますが、AHEが平均時間当たりの賃金公表値で、aheはそれぞれサンプルウェイトを使っているもので、これが共通事業所に当たるもので、共通事業所に当たる部分を使って、ここでいきますと、一番最後の項、aheCからahePを引いているという形になります。pが前月で、cが当月ですので、共通事業所についての差を変化率として使っている趣旨だということで、見ていただければと思います。詳細は、後ろで紹介させていただきます。
 ここで御紹介したいのは、一番下のところです。注です。字が小さくて恐縮ですけれども「また、WDLT方式の妥当性については『比較する基準値はないが妥当と認識している。賃金、労働時間はベンチマークがないのでこの方法を使っている』」ということをアメリカのスタッフの方から聞いております。ベンチマークがないので、共通事業所の伸びを使っていくというのが、WDLTの方式だということで、大まかに御理解いただければと思います。
 詳細につきまして、次のページ以降で御説明いたします。
 アメリカの資料を翻訳した形になっておりますので、週平均労働時間公表値をAWHで表したりという、文字の使い方をしておりますけれども、これを式に埋め込んだ形での紹介をこれからさせていただきたいと思います。
 パワポのページでいきますと、9と書いてあるところの上の側ですけれども、matched sampleということで、このデータを基礎にして推計されますということです。これがまさに共通のものということで、ただし、アメリカの場合のマッチというのは、当月と前月、1カ月の伸びを示すときの両方に提出のあったデータを、この場合のmatched sampleというものにしておりまして、以下、サンプルという形でのみ出てきますけれども、ここで出てくるサンプルというのは、前月と当月の両方に提出があった事業所ということになります。そういう意味で、そこに書いてありますが、データは、当月の推計に使うために、当月と前月の両方あるものでなければなりませんということで、それに限定した推計を行っているものでございます。
 下ですが、pwは雇用者、whは週労働時間、prは週当たり賃金額ということで見ていただければと思います。
 WDLTの意味としましては、10ページにありますけれども、真ん中に、非農業雇用者数のデータとは異なり、時間と賃金のデータにはベンチマークがないので、H&E、時間と賃金につきましては、完全にサンプルだけに依存して推計している。
 このため、サンプルにおける突然の変化、明確に高い・低い報告がなくなるなどを除いた形で、やることを考えているものになります。
 11ページですけれども、WDLTというのは、サンプルの非経済的な変化を滑らかにするように設計されているということで、新しいサンプルが追加されたり、あるいはまだ営業しているサンプルがデータ報告を停止した形になりますと、そういうサンプルについては、前月と当月という部分が入らなくなりますので、そういう変化の部分というのは除いて、滑らかにするということになってくるものであります。
 具体的にどうするかというのが、下の式でございます。これは先ほどの式でございますけれども、下の式のAHECという部分は、平均時間当たりの賃金公表値です。cというのは当月ですので、当月の賃金公表値を出すに当たって、AHEPという、前月の平均時間当たり賃金公表値にαを掛ける。αは、アメリカでは0.9を使っている。
 次の式は間違っています。下のほうに「β=1-β」とありますが、これは「β=1-α」の間違いです。恐縮です。
 αが0.9ですので、βは1マイナスαで0.1になる。残りの部分については、ahePということで、これは2カ月連続して存在するサンプルの1カ月前の値を使って、加重をするということで、これをtapersと呼んでいます。これはろうそくのようなものを指す言葉だそうですけれども、そこの部分を1カ月前の1つの値の疑似的なものとして見て、aheCとahePはサンプルの部分についての前月と当月との差を出して、そこの部分について、前段に加えるということで、AHECを出すというものであります。伸び率は完全に共通している事業所のみで考えて、そこに若干前の部分での補正もかかりますけれども、そこの部分と合わせた形での当月の賃金を出すものでございます。
 これについて、実際、使っているものが、先ほども紹介しましたけれども、13ページです。変化の水準は、taperに適用されるという形で、90%が前月の公表値、10%が当月に一致しているサンプルの前月の平均により構成されています。αが0.9、βが0.1に値するものでございます。
 戻っていただいて恐縮ですけれども、パワポのページでいきますと、5ページです。先ほどこの式が最初に出てきたわけですが、下に注が2つありますけれども、その上のほうに、アメリカのBLSのスタッフからヒアリングした内容が書かれておりまして、αは0.9を使っているわけですが、なぜ0.9なのかということを聞いたら、「理論的な裏づけがあるものではないけれども、いろいろと試算した結果、分散が最小限になること、前月の結果を尊重することなどから決定したもの。」という回答がありました。経験的な部分で、0.9を使っているという回答を得ています。これは前回のときの調査ですけれども、そのように得ているものでございます。これがアメリカのWDLTの計算方法で、いわゆる共通事業所を活用した伸ばし方を使った実例でございます。
 パワポの14ページ以下は、具体的にどうやって計算しているかというもので、これは見ていただければ、わかると思います。
 少し説明しますと、16ページに表がついていますけれども、1001、1002という事業所に対して、ウェイトづけを行ったものです。日本でいうと、抽出率の逆数のような形だと思いますけれども、倍率を掛けて、労働者数なり、労働時間なり、賃金についてのウェイトづけをして、それについて合計して、割り算をすることによって、平均値を出すというのが17ページです。
 具体的な例として、18ページで計算をされています。週当たりの労働時間でありますとか、時間当たりの賃金額を出しています。
 それについて、先ほどのWDLTの計算式を使って計算すると、このようになりますというのが、19ページから20ページです。具体的な数字を入れたものであります。
 これについて、最後、全体的な規模でありますとか、産業があるときには、ウェイトづけをした形で出していますというのが、21ページ、22ページ、23ページで出ているものでございます。こういう形で、活用されている例を御紹介させていただきました。
 資料3-2は、他の国ということで、イギリスの情報でございますけれども、こちらについては、共通事業所というものではございませんが、紹介させていただきたいと思います。
 英国については、主要賃金統計が2つありまして、1のASHEというものと、2で書いております、MWSSというものがございます。
 上のほうは、日本でいうところの賃金構造基本統計に当たるもので、毎年4月に調査している賃金構造によるものでございます。
 今、御議論いただいている、毎月勤労統計に相当するものが2でございまして、毎月実施される賃金の変動に関する統計でございます。省庁間企業登録、IDBRというものの中に登録されているもので、20人以上の規模の約9,000事業所について抽出している。1,000人以上規模は全数で、20人以上1,000人未満については、抽出をやっています。これについては、最大60カ月、5年の継続調査ということで、比較的長い調査のようであります。
 これについて、実際の計算の仕方ということで、Bのところで書いておりますけれども、AWE、Average Weekly Earningsというもので、2009年から変わったそうですが、それまではAverage Earnings Indexというものを利用していた。AEIというものについては、雇用者ウェイトを1年間固定した賃金指数でやっていたのですが、それがAWE、毎月の規模別の雇用者ウェイトを反映させるというやり方に変わったということでございます。
 下から2つ目のポツで、日本と違うところは、調査票の提出がなかった場合は、5カ月間は、最後に提出された調査票の賃金と雇用者数を継続しているものと集計するということで、提出がないという部分についての変動を少し抑えるような形での調整がされています。
 一番下のポツについて、平均賃金の水準を著しく上回る、あるいは下回る場合もあるのかもしれませんけれども、外れ値については、復元ウェイトが1になります。通常、全数の場合、復元ウェイトは1ですけれども、それ以外の場合、抽出ですと、5とか、10というものになると思いますけれども、それを1にするということで、影響を最小限にするという意味合いであろうかと思います。
 そういうものでやっているというのが、イギリスの賃金統計で、今、情報があるところでございますので、御紹介させていただきました。
 資料の説明は、以上でございます。

○今野座長 
 ありがとうございました。
 何か御質問はございますか。どうぞ。

○神林構成員 
 1つ、ノーテーションで教えていただきたいのですけれども、スライドの22ページ、Aggregate Upなのですけれども、1行目のところに「WH aggregate=PW×AWH」と書いてあって、PWというのは、定義がないのですけれども、これは何でしょうか。

○今野座長 
 PWというのは、労働者数ではないのですか。違いますか。

○神林構成員 
 pwは、ウェイトを掛けた各セルの合計労働者数と定義されているのですが、PWはないです。

○瀧原統計管理官 
 pw自身は、サンプルのみだと思います。

○神林構成員 
 飛ばされたスライドがあるのでしょうか。

○瀧原統計管理官 
 確認いたします。

○今野座長 
 WHは、週労働時間を計算しているのですね。

○神林構成員 
 そうです。そのときに、2つ目のAWHというのは、AWHCになっていると思います。

○今野座長 
 各時点ごとに考えればいいと思います。

○神林構成員 
 AWH自身は、AWHCを持ってきています。

○神林構成員 
 各時点で今までのものを使って、AWHCを求めます。AWHとAHE、この2つを加工しているのですね。

○瀧原統計管理官 
 そうです。

○神林構成員 
 それをPWで掛けて、aggregateを持ってきているのだと思うのですが、PWはどこから飛んできたのでしょうか。

○瀧原統計管理官 
 恐らくなのですけれども、資料の4ページの下に、雇用者数の推計の仕方が書いてありまして、雇用者数はLink-relative方式で推計し、ベンチマークを標本集計値の前月から当月への変化率で更新するとありますので、これで計算されたものを言っているのだと思います。

○神林構成員 
 なるほど。外から持ってきて、外挿するわけですね。

○瀧原統計管理官 
 はい。

○神林構成員 
 これは一応調べておいていただけますか。

○瀧原統計管理官 
 はい。

○神林構成員 
 お願いします。

○今野座長 
 スライドの12ページの式が一番の肝なのですね。

○瀧原統計管理官 
 はい。

○今野座長 
 これで各セルの当月の賃金の公表値を決めるということですね。

○瀧原統計管理官 
 はい。

○今野座長 
 おもしろいですね。これは普通に考えると、前月の公表値AHEPをベースとして、サンプル調査をしたら、右側の「(aheC-aheP)」の変化率が出たので、それをベースに足し合わせると、今月が出ます。というのが普通だと思うのだけれども、ここにβの項を入れて、0.9と0.1を振り分けるのですね。理屈としては、どういうことでβを入れるのですか。先ほど言ったように、理屈としては、公表値の前年のデータがあって、それにサンプル調査で出た前月と今月の変化分を足し合わせれば、今月の公表値が出ます。違うのですか。それにもかかわらず、ここにβ項を入れるというのは、な
ぜなのですか

○瀧原統計管理官   
 そこの部分ですが、1つの見方として、5ページを見ていただきたいのですけれども、5ページには同じ式が出ているのですが、極端に考えたものがここの例示で出ておりまして、この式で、αを1つにするとどうなるかというものがあります。αを1にした場合、1カ月前の公表値に共通になっているものの伸び率を足したものになる。共通のものだけの伸び率が全体を代表しているというものです。一方で、αを0にすると、今度、AHEのpが消えてしまいますので、前月と同じサンプルの今月の値だけを見て、全体のものにしてしまおう。そこの間をとろうとしているということです。

○神林構成員 
 式の変形がわかりにくいと思います。式が変形すると、これがターゲットになる変数です。こういうふうに変形できて、これがターゲットになる今月のものなのですけれども、前月のものと今月の継続事業所のものの比の加重平均をとります。さらに継続事業所の平均変化率ですけれども、平均変化率をαでつけてしまいます。レベルに関しては、前月のレベルと今月まで生き残っている事業所のレベルの加重平均をとって、それに生き残っている事業所の伸び率を上乗せする。そのウェイトをαに置くという式になっています。ここまでは何となくわかるのですけれども、これを足すときに、何でαなのかということが、理解できません。

○山田構成員 
 これは実際に当てはめて、一番変動の小さいものをとったみたいな言い方をしています。

○神林構成員 
 普通だったら、ここはフリーパラメーターに置くのではないかと思います。ここまでは加重平均でいいと思います。ここがアドホックだと思います。それが自分の解釈です。

○今野座長 
 前半も気に入りません。大文字のほうは公表値です。小文字はサンプルデータです。それを加重して足しているわけです。大文字のほうは、前月のベースです。右側の小文字のほうは、次の月のサンプルデータです。違うものです。それを加重して足し合わせるというのは、どうなのかと思います。

○神林構成員 
 先月のサンプルがここにあって、これがAEHPということで、公表されています。この中で、一部のサンプルがパネルになっていて、ここの平均値がAEHCになるわけです。この理解で正しいですか。

○瀧原統計管理官 
 そうです。

○神林構成員 
 ここの平均値とここの平均値を加重平均で足しますというのが、ここの部分です。ここの平均とこちらの平均、継続サンプルの今期のアベレージと前期のアベレージの変化分をαで出しています。そういう格好になっています。何でこうなのかと言われると、わかりません。

○今野座長 
 そうすると、αはどこかで推定して決めることになるのですか。

○神林構成員 
 していません。

○今野座長 
 ここではえいやだけれども、理屈としては、何かあるのですか。どうやって決めるのですか。

○樋田構成員 
 私が知る限りでは、毎月勤労統計の改善に関する検討会でも、こちらの方法の紹介がありました。WDLTという方式は、平滑化の1つの方法として成り立つと思うのですが、私の知る範囲では、標本調査法の理論的な裏づけがあるわけではないのです。理論的な裏づけがあればαの決め方にも、最適な方法が見つかる可能性があると思いますが、WDLTはアドホックな平滑化になっているので、経験的にいろいろな数字を試した結果、0.9が一番よかったというのが、BLSの判断だと思います。

○山田構成員 
 私は違うところでおもしろいと思ったのですけれども、アメリカの場合、ウェイトのところを固定しているのです。ウェイトというか、足し合わせのところです。日本の場合、本系列のほうは、一旦、全部合算したものを比較している。

○今野座長 
 賃金のほうは、ベンチマークを使っていないです。

○山田構成員 
 ちょっと前に議論があったのですが、日本の場合の毎勤の数字というのは、実態的には事業所にとっての1人当たりの平均コストをはかっているのですけれども、これは正確には計測し切れていないのですが、それぞれの労働者の賃金の変化を見るような計算の仕方になっているということで、日本のやり方とかなり違うのではないかという印象を受けました。

○今野座長 
 これも事業所データです。

○山田構成員 
 事業所データなのですけれども、ウェイトを固定しているのです。

○今野座長 
 ウェイトはないです。

○神林構成員 
 最後のステップのところですか。

○山田構成員 
 雇用者のところは、ベンチマークを使っているということです…。済みません、もう一回、ここは考えます。

○今野座長 
 賃金計算のときに使っている雇用者数というのは、サンプルデータの雇用者数なのではないですか。ベンチマークデータではないですよね。瀧原さん、そうですね。

○瀧原統計管理官 
 はい。

○神林構成員 
 WTというものですね。

○今野座長 
 そうです。

○神林構成員 
 Aggregate UpするときのPWというのは、ベンチマークですか。

○瀧原統計管理官 
 PWというのは、ベンチマークです。

○神林構成員 
 ここのセルの平均値を出すときには、サンプリングウェイトしか使っていません。

○山田構成員 
 Aggregateのときのやり方が、日本と違いますね。

○瀧原統計管理官 
 そうです。違います。

○山田構成員 
 これは個人の変化を見ている。そちらに近づけているということではないかと思います。そうではないのですか。

○神林構成員 
 日本の毎勤の場合、各セルの平均値を出すときには、ウェイトは使っていません。WTというのは、全部1になっています。最後、それを復元するときのPWというのが、この間いただいたものだと、DとEのコンビネーションになるということです。

○瀧原統計管理官 
 今、東京都だけ違う形になっていますけれども、基本的な考え方は、各単位集計区分については、同じ倍率のものを集めていますので、一人一人というか、同じ倍率で上がっています。そこは同じといえば、同じです。

○神林構成員 
 日本の毎勤を使って、この計算方法で復元して、どういう系列が出てくるのかというのは、試してみましたか。

○瀧原統計管理官 
 この系列というのは、どういうことですか。

○神林構成員 
 この計算方法を使ってということです。

○瀧原統計管理官 
 前月との共通ということですか。

○神林構成員 
 はい。

○瀧原統計管理官 
 それはやっておりません。

○神林構成員 
 試してみるといいのではないかと思います。その後、αを決めるときに、BLSに連絡して、どれぐらいの期間をとって、分散が最初になるようにαを決めたのかということを聞いてみて、それを日本のデータに当てはめたときに、αが0.9になるのかどうか。

○今野座長 
 どうぞ。

○樋田構成員 
 毎月勤労統計調査の改善に関する検討会のときに、WDLT方法で試算していますので、資料が公表されていると思います。αの値についても、何パターンか計算していたと思いますので、それを見ると有益と思います。私の記憶では、現在の系列と際立った違いがあるわけではなかったと思います。

○神林構成員 
 αというのは、0.9ぐらいになるのですか。

○樋田構成員 
 私の記憶では、αをどうやって決めるかということは検討していません。αが0.9の場合と、あと何パターンか試算があったと思います。

○今野座長 
 今の毎勤だと共通事業所データを使うわけですが、ここでは前月と今月の間だから毎勤とは違いますね。ごめんなさい。
 それでは、そろそろ時間なのですけれども、今日、ほかに何かありますか。

○瀧原統計管理官 
 事務局からは、特にございません。

○今野座長 
 それでは、今日は、この辺にしておきましょうか。
 最後、言い残したことはございますか。どうぞ。

○稲葉構成員 
 今、米国と英国の例を参照できたのですけれども、共通事業所の場合で考えるならば、英国の場合の処置が参考になると思いました。それは資料の下から2つ目の事項です。調査票の提出がなかった場合、直近のもので代替するという、インピテーションと言われる方法です。資料2の42ページを見ますと、翌月も共通事業所である事業所数といったものは5%ぐらい落ちていますので、こういったものをインピテーションで埋めて計算すると、ぶれがどのぐらいになるのか。事例を見ての感想ですが、導入する可能性はあるのかもしれないと思いました。
 以上です。

○今野座長 
 ほかにいかがですか。よろしいですか。
 それでは、時間ですので、今日は、終わりにいたします。ありがとうございました。

○細井統計企画調整官 
 皆様、本日は、長時間にわたりまして、遅い時間まで御審議いただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催は、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。
 これをもちまして、第9回の検討会を閉会させていただきます。本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。



                                                                                                                                                                                       (了)

照会先

政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7609,7610) 03-5253-1111(内線7373)