第2回フグの処理者の認定基準に関する検討会 議事録

日時

令和元年5月21日(火)10:00~12:00

場所

TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンターホール2A

議題

(1)前回の議論を踏まえた関係者からのヒアリング
(2)評価基準に関する論点整理
(3)その他

議事

 
○朝倉座長
それでは、定刻になりましたので、第2回「フグの処理者の認定基準に関する検討会」を開催いたします。本日は、構成員全員に御出席をいただき、お忙しい中、誠にありがとうございます。
今回、2回目でございますが、今回から御参加いただいた委員の先生がいらっしゃいますので、御紹介させていただきたいと思います。
まず、東京都福祉保健局から永渕委員です。

○永渕委員
永渕でございます。前回はほかの会議がございまして出席できませんで、申しわけありませんでした。今回からよろしくお願いいたします。

○朝倉座長
一般社団法人全国ふぐ連盟の代表理事会長、亀井委員でございます。

○亀井委員
一般社団法人全国ふぐ連盟の会長をしております亀井でございます。京都府ふぐ組合の理事長もやっております。私、フグ専門店を40年以上やっておりますので、そこのところの観点から申し上げたいと思います。せんだっての第1回目は申し訳ございませんでした。海外のお客さんの予約が前もってあったものですから、どうしても断れませんでした。よろしくお願いします。

○朝倉座長
また、本日は、参考人としてフグの交雑種等にお詳しい国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校生物生産学科准教授の髙橋洋先生に御出席いただいております。

○髙橋参考人
髙橋です。どうぞよろしくお願いします。

○朝倉座長
髙橋先生にはこの後、交雑に関する知見を御紹介いただく予定でございます。それでは、議事に入る前に事務局から配付資料の確認等をお願いしたいと思います。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。
まず、委員の皆様におかれましては、資料の送付が大変遅くなってしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。また、本日の検討会はペーパーレス化の会議とさせていただいておりまして、事前に資料のダウンロードを傍聴の皆様にお願いさせていただいておりましたが、掲載予定としておりました昨日の16時までに資料を掲載することができませんでした。御迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。そのため、本日は傍聴の皆様に受付で紙の資料を用意しておりますので、まだ受け取っていない方がいらっしゃいましたら事務局までお申しつけくださいますようお願いいたします。
それでは、本日お配りしている資料を確認させていただきます。
資料は1から4までございます。
資料1 前回の議論を踏まえた関係者からのヒアリング
資料2-1 山口県提出資料
資料2-2 東京都提出資料
資料2-3 大阪府提出資料
資料2-4 国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校生物生産学科資源増殖学講座准教授提出資料
こちらのほうには、一部非公開のデータもございますので、配付は委員に限らせていだいている部分もございます。御了承くださいますようお願いいたします。
資料3 フグ処理者の認定基準に係る論点整理(案)マル1
資料4 フグ処理者の認定基準に係る論点整理(案)マル2
また、この後、亀井委員から御説明いただく資料を机上配付させていただいておりますので、御確認をお願いします。
資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけください。
なお、厚生労働省ではクールビズを実施しておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでにさせていただきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
以上です。

(報道関係者退室)

○朝倉座長
ありがとうございました。
資料等不足がございましたら、挙手いただくなりお知らせいただければと思います。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。議事次第に沿って本日の議題は1つ目として「前回の議論を踏まえた関係者からのヒアリング」でございます。まず、この点につきまして事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
それでは、資料1に基づきまして、御説明させていただきたいと思います。
第1回の検討会で事務局からこの検討会の背景や制度の現状等について御説明させていただきまして、委員の皆様からの御説明、御意見をいただいたところでございます。こ
のうち、この検討会でフグの処理者の評価基準を検討するに当たっての御意見を抜粋して、資料1の1ページ目に御紹介させていただいています。まず、上の3つは、自治体のほうから御説明いただいたところでございますけれども、フグの処理者の認定の範囲、生産地・消費地に応じた制度等について御説明いただいたところでございます。
次の2つは、魚種鑑別の関係でございますが、フグの種類の鑑別は生産・出荷地でより厳しくする必要があるのではないか等の御意見をいただいたところでございます。その下でございますが、交雑種の関係についても御意見をいただいたこともございまして、今日、髙橋先生にヒアリングに御出席いただいたところでございます。
最後のフグの漁獲量は、松浦先生から御質問いただいたところでございます。種類ごとの漁獲量のデータはないかということで農林水産省に照会したところ、こちらに記載がございますが、ふぐ類として調査しているということでございまして、内容は把握していないということでございました。
2ページ目は、本日のヒアリング内容でございます。これから評価基準を検討していくに当たりまして、現行のフグ処理者の認定基準の内容及び考え方といたしまして、この検討会で先日、事務局から2つの検討課題をお示しさせていただいておりますが、講習会の受講又は試験の受験資格、フグ処理者を認定する際に求める要件について各自治体の構成員から御説明をお願いしたいと考えています。それから、業界の立場で亀井委員から現行の認定基準に関する意見や課題等、今日、資料をいただいておりますが、御説明をいただきたいと考えております。
先ほど申し上げましたけれども、第1回の検討会におきまして、交雑種の出現に関する御意見等もいただいておりましたので、髙橋先生に、交雑フグの発生状況、フグ処理者として必要な交雑フグの鑑別の知識、技術等の観点から御紹介いただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。

○朝倉座長
ありがとうございました。
前回の検討会で出てきた意見を集約していただきました。これに対する形として、今回、ヒアリングの内容ということで資料1の2枚目におまとめいただいたかと思います。この内容に従ってヒアリングを進めていきたいと思います。
まず、現行のフグ処理者の認定基準の内容及び考え方につきまして、山口県の白銀委員から御説明いただけますでしょうか。

○白銀委員
山口県の「ふぐ処理師免許」の関係で御説明いたします。資料2-1です。
3つの点で御説明いたします。まず、法令の根拠、どういう根拠で制度設計がされているのか、それから、実際の試験の状況、そして、業界から聞き取った内容を取りまとめさせていただいたもの、この3点で御説明させていただきます。
まず、ふぐ処理師の免許制度ですが、これは山口県条例に基づいて定められた資格ということでございまして、免許を受けることができる者は、試験の合格者、他県で条例免許を有する者、そのうち、山口県の試験の合格者と同等以上の知識・技能を有すると知事が認めた者という形になります。具体的な指定の都道府県については枠囲みに記載のとおりです。
それから、この免許制度自体は、制度設計としては調理師の資格をベースにつくっておりまして、絶対的欠格事由、相対的欠格事由、こういったものも設けられているものでございます。
次のページを御覧ください。ふぐ処理師の試験でございます。試験については処理師として必要な知識・技能について行う。受験資格については、中学校卒業程度以上の学力、そして、3年以上の処理業務に従事した者でなければ受験資格はない。この3年なのですが、調理師法では2年と定められています。当初、昭和56年に県の制度ができたのですが、今ほど養殖のフグは流通していなかったと思います。フグの漁獲・流通については「彼岸から彼岸まで」というふうに言われておりまして、年間約8か月間の業務従事が一番多いのだろうということから、2年間、ほぼ同等という形で制度設計がされております。試験の方法自体は学科試験と実技試験で、学科試験については衛生法規、食品衛生学、フグに関する知識、この3科目です。実技試験については、フグの種類・臓器の鑑別、フグの処理の技術、この2科目でございます。
次に、実際の試験の内容でございます。学科試験は、先ほど御説明しました3科目から出題いたしまして、多肢択一式またはマル・バツ式で解答するものでございます。試験時間は2時間で、出題範囲については、私ども山口県の食品衛生協会が発行しております「ふぐ」という書籍がございますが、この内容を基本として出題しております。
次に、実技試験でございます。まず、魚種鑑別は、県内で水揚げされる一般的なフグ8種類を使用しまして、それぞれ異なるバットに入れて番号を付している。受験者はその番号を記載してある魚種名のところに記入していただく。試験時間は3分ということです。写真の7番、8番というバットの中に、横にした形、背面を見せる形、これは持ち上げてはいけないけれども、触ってもいい、そういう試験のやり方にしてあります。
次に、実技試験のうち、臓器の鑑別でございます。臓器の鑑別には、トラフグかカラスの臓器を使用しております。6種類の内臓をバットに入れまして、同じくバットに番号をつけて、臓器名を記した解答用紙に受験者が番号を記入するというものでございます。時間は書いておりませんが、同じ3分間でございます。
次に、処理の技術の試験でございます。処理の技術には、トラフグかカラスを丸ごと1尾、20分間で処理をしていただく。処理した後に、そこに出ておりますように、可食・不可食部位をバットの中に分別していただく。処理については、ヒレと口ばしを取り除いて皮を剥ぎ、脳、眼球、内臓を除去、皮の処理まで行う。皮の処理については、粘膜の処理までということで、皮下組織と皮の分離、棘を除く皮すきについては不要ということで対応しております。
最後、下関唐戸魚市場仲卸協同組合の要望ということで、私、直接、面会しまして、聞き取りをしてまいりました。要望事項については、チェーン店や卸業者を経由する流通では、現状、都道府県ごとに取り扱いが異なるということで複雑な状況にあるため、加工品(有毒部位を除去した身欠き)の販売自体を見送る場合が多くなって困っているという状況です。そこで、今般の見直しに当たって、フグの取り扱いについても都道府県の参酌基準の省令規定など、全国統一の運用となるようにしていただきたいというものでございます。その前提として、フグの取扱者の認定基準の平準化は当然必要だという認識でございます。
補足でございますが、丸体処理と調理、刺身を引くというような異なる部分がありますが、二段階方式の免許制度という形でもいいのではないかという御意見がございました。それから、免許制度の統一に加えまして、身欠きフグの販売の統一が必要で、自治体ごとに、例えば身欠きフグを扱うには届け出が必要である、または専門の講習会を受講する必要があるという制度になっているところがあり、こういったものを統一していただきたいということでございます。その背景としましては、フグの生産者、これは養殖業者ですが、養殖業者が減って、魚価も低下しているということがあるようです。魚価については、キロ当たり500円から800円ぐらい低下しているということをお聞きしております。
以上、直接、聞き取りをした内容ということで、これは私がまとめたものでございますので、団体の皆様方と意見が若干違っている部分もあるかと思いますが、こういう形でまとめさせていただいております。
私から以上です。

○朝倉座長
ありがとうございます。
御意見もあるかとは思いますが、自治体からのヒアリングについては3つ続けた形で進めさせていただければと思います。
続きまして、東京都の永渕委員から御紹介いただけますでしょうか。資料は2-2になるかと思います。

○永渕委員
資料2-2です。前回、厚生労働省さんのほうでつくっていただいた資料の中に東京都のフグ処理を認める者の資格ということで、試験に関することが載っておりましたが、ほぼそれと同じですけれども、改めて御説明させていただければと思います。
最初に、資格名称としては「ふぐ調理師」ということで「東京都ふぐの取扱い規制条例」第2条の定義のところに「ふぐ調理師」とはというのがございます。
試験制度ですが、2番の受験資格です。前提として調理師法に基づく調理師免許を持っている者で、それ以外に「(1)東京都のふぐ調理師の下において、ふぐの取扱いに2年以上従事した者」「(2)(1)に掲げる者と同等以上の経験を有するとして知事が認めた者」ということです。括弧の中に「他自治体のフグ処理の免許を有する者等」と書いてありますが、「等」のところを御説明しますと、1つは、自治体の免許を持っている者ですけれども、もう一つは、2年以上処理に従事した者を対象としたフグの処理に関する講習会を修了し、知事もしくは市長が認めた者ということです。
3番の実際の試験ですけれども、目的といいますか、ふぐの毒に起因する食中毒の防止のためにふぐ調理師として必要な知識及び技能について、年1回の実施なのですが、条例上は年1回以上実施するということになっています。言葉が不適切かもしれませんが、現在は例年7月下旬から8月上旬にかけて年1回実施しているというところです。試験科目は、学科試験、実技試験がございます。
学科試験は、アとしまして、先ほど申し上げました条例、施行規則がございますので、これに関すること、イとしましてふぐに関する一般知識、この2つで構成しております。
ふぐに関する一般知識ですが、ふぐの種類と特徴、ふぐによる食中毒、食品衛生法規及び厚生労働省の通知等の衛生知識という形で出題しております。試験といたしましては、90分間で合計30題出題して、解答は択一式のマークシート方式をとっています。
実技試験は、アといたしましてふぐの種類の鑑別、イでふぐの内臓の識別、毒性鑑別及び処理技術という構成になっております。
アのふぐの種類鑑別は、実際にふぐを使用しております。ふぐの種類を鑑別していただきまして、札が置いてありますので、その札を該当するふぐの前に置いてもらうという形式ですが、試験時間は3分です。5種類のふぐをバットの上に並べてありますので、それぞれのふぐの前のところに自分が正解だと思う札を並べていただくということで、先ほど山口県さんからもお話がありましたけれども、これにつきましては、さわることはオーケーで、そういう条件で試験をしております。
イのふぐの内臓の識別、毒性鑑別及び処理技術ですけれども、これは丸のトラフグを1尾処理していただくという中で試験をやっていきます。
内臓識別ですが、各部位に分けて、各部位の名称札が置いてありますので、札をつけていただくことで識別していただきます。肝臓、腎臓、脾臓、心臓、胆のう、胃、腸、粘膜などという形で札がありますので、該当するところに札をつけて識別していただく。
毒性鑑別は、大きく2つ、可食部位と有毒部位(不可食部位)のバットを準備して、それぞれに食べられるもの、食べられないものの臓器等を入れていただくということでございます。
処理技術は、除毒処理及び調理技術ということで、除毒処理のほうは「有毒部位を除去する」と書いてありますが、ちり材に腎臓が残っていないか、可食部位のところに有毒部位が残っていないかということです。
調理技術は、ちょっと衛生から離れている部分もあるのですが、皮引きと申しまして、ふぐの皮の棘を食べられるようにきちんと除去してもらうというもの、除毒処理のところでも話しましたけれども、ちり材料の調理技術、それから、ふぐの半身を刺身にしていただきまして、それを皿の上に盛ってもらうということを実施しております。
実技試験につきましては、試験時間20分で、1尾を最後まで調理してもらうという制度になっております。
以上のような形でふぐの試験をやっているという状況でございます。
以上です。

○朝倉座長
ありがとうございました。
続きまして、大阪府から御説明をお願いいたします。

○西岡委員
大阪府でございます。
資料2-3を御覧ください。大阪府では、制度の基本的な考え方ということで、2ページに示しているとおり、今回、議論になる制度に関しましては、専ら食品衛生の観点から真に必要な最小限のものであることが望まれると思っております。
また、フグ処理者と自治体にとって実効性というものも重要かと思っておりますので、そのような仕組みを検討していきたいと思っております。
また、これまで都道府県でやっていた資格ということになりますので、それぞれさまざまな事情があるかと思います。この制度の運用につきましては、それなりの準備期間が必要かと思っています。
次に、今回、フグにかかわる事業者の基本的な役割があると思います。
まず、水揚げ地や出荷地につきましては、もちろん魚体全てが有毒なフグや種類不明なフグが流通しないようにきちっと鑑別して市場に出すという責任があるかと思います。
また、フグを販売するに当たりましては、食品表示法に基づき、名称、産地を正しく伝達し、末端のところまでしっかり伝えていくということが必要かと思います。
また、内臓の有毒部位の処理に関しましては、フグ処理者の責務になるかと思いますので、それに関しましては、フグ処理を行う場所でフグの種類と可食部位をちゃんと確認しまして、適切に有毒部位を除去する。この部分に限定して、今回、フグ処理者というものは考えていくべきだと考えております。
次に、フグの流通過程でさまざまな形態があるかと思いますが、この表にあるように、水揚げされて生きたままのフグが移動していくことに関して特にフグ処理者の規制の対象ではないと思っておりますし、もちろん未処理フグのまま流通することも規制の対象ではないと思っております。ただ、これが先に行きまして、初めてフグを処理し有毒部位を除去する、この点線で囲った部分がフグ処理者の規制されるべき部分かと思っています。当然、この加工業者が飲食店営業や魚介類販売業、新しく検討されています水産食品製造加工業の方であるかと思いますが、あくまでも未処理フグを処理する、この行為に限るものではないかと思っています。その先の有毒部位が除去されたフグに関しましては、一般の魚と同様に特に規制の必要はないと思っております。
続きまして、フグ処理者に必要な知識と技術、これは大阪府の講習会の考え方と重なります。
まず、フグ処理者になるための要件は、フグ処理に従事しようとする者としておりまして、特にこれまでの従事経験や調理師資格、そういうものは大阪府では全く問うておりません。したがいまして、大阪府では、一般にお店をされているような方、そういう方以外に調理師学校の生徒もフグ処理講習会を受けられまして、フグ処理登録者の資格をお持ちになっております。990名ぐらいの受講が毎年ございます。また、他府県で資格を持たれて大阪府のフグ取扱登録者になる登録を行われる者を含めますと、年間1000名以上、大阪府フグ処理登録者が毎年ふえている状況でございます。
フグ処理者の認定の際に求める要件としましては、フグに関する一般知識、これは関係省令、法令にかかわる部分と食品の表示に関すること、また、店で営業しなければいけませんので営業許可に関するようなことを網羅している内容にしております。
次のフグの有毒部位の適切な除去ということは、山口県さんと全く同じで、精巣、卵巣、肝臓の鑑別はさせていただいています。それ以外の内臓の鑑別は特に求めておりません。不可食部位という形できちっと分けられれば、特にその内容までは確認しておりません。フグ処理者につきましては、雌雄の鑑別をきちっとしていただくように、ここは力を入れております。両性フグがございますが、両性フグはフグ処理者にしかわからないものになりますので、両性フグの発見ができるかどうか、ここは講習の中でも力を入れております。
最後になりますが、大阪府でお伝えするような内容の関係法令は、資料に書いているとおりです。大阪府に限りましては「大阪府ふぐ処理業等の規制に関する条例」の内容も盛り込んでおります。
参考につけましたのが大阪府の講習会の全ての内容で、1、2、3が学科と言われるもので3時間、フグ処理に関する実技としましては3時間、模範調理の見学と自らトラフグの処理を行っていただいております。
以上でございます。

○朝倉座長
ありがとうございました。
これに続きまして、フグ処理者の認定基準にかかわるところで、今回、亀井委員から資料をいただいているかと思いますので、これについての御説明を続けてお願いできますでしょうか。

○亀井委員
皆さん、こんにちは。
全国ふぐ連盟としましては、フグの免許の統一は絶対やっていただきたい、そういう観点で今まで行政なりにいろいろお話を申し上げてきたわけでございますが、今回は、試験をどのようにしたらいいか、私も平成14年から京都府の試験委員を、この間来られた真貴田副会長も東京の試験を担当しておりますので、そういうところからいろいろ考えたことを申し上げたいと思います。
お渡した資料は簡単なのですけれども、フグ処理者というのは除毒だけ、要するに調理は必要ない、このように思っております。東京やほかの県でもテッサやサメ皮引き、こういうものがありますけれども、今のところ、私は必要ないと思っております。全国ふぐ連盟も必要ないと思っています。なぜかといいますと、食べられる皮と食べられない皮があります。もう一つ、テッサを引けるか引けないか、これはぶつ切りでもいいわけです。これからはフランス料理やイタリア料理のシェフなどにもフグを取り扱っていただきたい。必ずしもテッサが引けなくてもいいのではなかろうか、このように思っております。
次に、調理師免許の必要性ですが、調理師免許は公衆衛生、食品衛生学、食品学、調理理論、いろいろあります。その中で食品衛生学、食品衛生法といったフグに関する法律関係は必要だと思いますが、一般的に調理師の免許がなくてもいいと思っております。
次に、実務経験の取り扱いですけれども、いわゆる従事証明というのが今は形だけのものになっております。フグ専門店というのは少なくなっております。フグも取り扱っているというお店のほうが多いわけで、1年間に数本しかフグを扱っていない。しかし、一応認証は取っておこうということで取っております。そこで勉強されている若い調理師の見習いの方はなかなかフグを触らせてもらえない。
もう一つ、こんなことを申し上げるとちょっと悪いのですが、陰で判子だけ押してもらうというようなことがございます。私などがこれから思うのは、フランス料理やイタリア料理のシェフなども免許を取ってほしいということです。フグという食材はそういうものに化けますので。ところが、オーナーシェフはなかなか取れない。京都の場合は1年ですけれども、千葉県の場合は3年と聞いております。東京の場合は2年ですが、なかなかそこまで修業に行けないわけでして、そうなるとどこかで「ちょっと判子を押してくれ」「いいですよ」というような感じで、本当のことを言ったら内緒なのですけれども、そういうことがまかり通っているということでございます。ですから、実務経験、いわゆる従事証明は必要ないと思っています。門戸は開かれるべきだと思っております。
次に、受験資格認定講習会は、先ほど申し上げました従事証明のことに関係しますけれども、いわば運転免許の自動車教習所のようなところを設けて、そこで講習会を開いてはどうか。そうすれば、技術レベル、包丁のレベルが大体一定する。従事証明をもらっていても師匠の教え方によってばらばらでございます。また、昔の人の場合は最近のやり方が余りわかっていないので間違った教え方をしている。統一したレベルの包丁を握れる人間にするために、講習会、もちろんこれは国のほうで認定しなければならないと思っておりますが、現在、京都や東京、その他の県でも講習会をやっておりますので、そういったところでも講習会ができると思います。運転免許に例えると、教習所に通わずに受験してまぐれで合格するということもありますので、そういうことをなくすために講習会を開いたらいいと思います。
フグ処理者の資格要件ですが、フグを取り扱っていることは基本的な要件でございます。もう一つ、従事証明と書いておりますが、これは、いわゆるフグの従事証明ではございません。調理師試験を受けるときにも従事証明が必要で、飲食店営業や魚介類販売業、そういった従事証明は必要であると思っております。次は、調理師学校の卒業資格です。これだけの資格があれば受験することは可能だと思います。京都の調理師学校では、今はどうか知りませんが、24時間の座学、5本のフグを捌いている。5本では少ないと思いますが、少なくとも5本を捌かなければならない、そういうふうに思っております。
次は、フグ処理者の認定要件、これは試験です。学科試験は今、各地で同じだと思いますけれども、フグに関する知識、魚種の鑑別、解剖学、寄生虫やフグ毒についての知識、例えばフグのテトロドトキシンは水に溶けるか溶けないか、そういったところですね。間違った考え方で、水に溶けるから水でさらせば肝から毒は抜けるということを未だに信じているところもございますので、そういうところをなくしたほうがいいと思います。食品衛生法はもちろん必要でございます。食品衛生学は、食中毒にかかりますので、これも必要でございます。
実技は、まず種類の鑑別、これは今、問題になっている交雑種を見分ける。交雑種というのは中間種ではございません。例えばトラフグとマフグとの合いの子なんて言いますが、はっきりとわかっているものはいざ知らず、そうではないということですね。22種類のフグを鑑別できる能力がなければ試験は受からないのですが、例えばショウサイフグに似ているけれども、ショウサイフグではない、ゴマフグに似ているけれども、ゴマフグではない、こういったものは絶対食べてはいけない、そういうふうに教えておりますので、国のほうでもそういうふうに言っているわけです。また、フグの種類によっては毒のある部位が違っている。4種類のフグの場合、コモンフグ、ヒガンフグ、クサフグ、サンサイフグですが、これらの場合は筋肉のみ食べてもいい、白子と皮は食べてはいけないというように変わっております。そういった鑑別とその知識は絶対必要だと思っております。
次に、内臓の鑑別です。先ほどお聞きしたのとちょっと違うかなと思いますが、京都の場合は、処理しているときに自分の処理した内臓をあけて、これは肝臓、これは脾臓、これは腎臓というふうに表示札をつけます。内臓鑑別はやはり必要でありまして、おなかを出して、これは食えないとぽんと置くだけはだめです。その中に、例えば卵子、腎臓が抜けている、脾臓が抜けているという場合があるわけです。脾臓というのは血によく似ておりますので、試験のときに血の塊と脾臓を間違ったりしているわけです。今日、捌いたフグの中に肝臓もあった、脾臓もあった、心臓もあった、腎臓もあった、胆のうもあった。であれば、ほかは大丈夫です。ですから、内臓の鑑別も必ず必要でございます。
生殖腺は、白子と真子の区別なのですが、これを間違えるとえらいことになります。京都の場合は、これ一つ間違うだけで不合格になるわけで、これはやはり必要でございます。必要というよりも重要な部分であります。
次に、有毒部位の除去です。除毒処理の過程、処理台も採点するというのは、余りにも汚い捌き方によってまな板に残る場合があるのです。例えば、私が禁止させたのですけれども、前は水槽で洗ってそのまま流している。その中に腎臓なども入っていたわけです。こういうことは下水に、いわば普通のごみ箱に有毒部位を入れるようなもので、有毒部位はちゃんと鍵のかかる容器に保管しなければならないということから間違っておりますので、水でじゃぶじゃぶ流さないようにということに最近はなっております。要するに、まな板の上に付着していることがよくありますので、それはきっちりと注意しなければならないと思っております。
次に、ちり材料の調理です。要するに、でき上がった食べられる部分にフグの毒がついていないか。よくあるのは腎臓ですね。腎臓は6カ所から出てきます。本当は左右2個あるのですけれども、解体している途中で6カ所に分かれます。そのときに、頭の首のところに骨の中に入っている場合もあります。そして、上身、テッサの身と骨との間にめり込んでいる場合もあります。これもきっちり取らなければならないと思っております。
そして、先ほども申し上げましたが、サメ皮引きは必要ないと思っております。全国ふぐ連盟でもそのように思っております。テッサのほうも必要ないと思っております。
もう一つ、フグ処理者の試験制度ができれば更新が必要だと思っております。5年ごとの更新ぐらいがいいのではないかと思っています。取ったらそのまま忘れてしまうのでは意味がない。それよりも、取ったときに一生懸命勉強したことをまた5年後に再確認ということですから、そのためにも更新は必要と思っております。
以上でございます。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございました。
自治体、それから亀井委員から、それぞれ認定基準に関する部分についての御説明をいただきました。これまでの御説明等につきまして御質問等ございましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員
亀井先生にお伺いしたいのですけれども、処理者の認定基準のポイントのマル4、私、聞き逃したかもしれないのですが、「認定試験に合格」という書き方をしていますね。「必要な専門知識を学習」から矢印で「認定試験に合格」。

○亀井委員
これは普通の試験です。いわゆる処理者の試験です。

○佐藤委員
処理者の試験ですね。

○亀井委員
いわゆるフグ処理者の試験、国で定める試験のことです。

○佐藤委員
さらに右側に矢印が行って「受験資格を修得」、こっちの受験は調理師のほうの。

○亀井委員
いえ、違います。「認定試験に合格」して「受験資格を修得」、これは講習会の中での試験ですね。講習会の中でも試験をやればいいということです。いわば模擬試験みたいなものです。模擬試験をやって、それに合格すれば受験資格を与えましょうと。

○佐藤委員
処理者の受験資格が与えられる。

○亀井委員
仮免許みたいなものということです。

○佐藤委員
理解しました。ありがとうございます。

○朝倉座長
ありがとうございます。
そのほか、ございませんでしょうか。
平準化ということがやはり議論になるかと思いますけれども、それを考える上では、この認定基準というところにあわせて、前回の御議論にありましたもう一つの課題として交雑種の問題があったかと思います。こちらにつきまして、特に日本における交雑フグの発生状況並びにフグ処理者が習得しておくべき魚種鑑別の知識・技術といった観点から、今回御参加いただいております髙橋参考人に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○髙橋参考人
よろしくお願いします。今回お呼びいただいてありがとうございました。
資料2-4を見ていただきながら説明していきます。フグの雑種ですが、私自身はもともとはフグの専門ではなくて、下関に就職して、地元の特産種ということでフグを扱うようになったということです。強いて言うと、もともと魚類の雑種を研究していました。
1枚目の下の段ですが、下関でフグを研究してさまざまな業者さんから試料をいただいていると、種類不明フグ、どの種とも鑑別がつかないフグというのは日常的に見られます。このようなものについて、私自身はフグをしっかり鑑別する能力はもともとなかったということで、遺伝子を使って判別していくと、雑種、種内変異-遺伝的には普通のトラフグであっても模様が違うものなど、そういったものが出てきます。種類不明フグというふうにくくられるものだと思いますが、そういったものには種内変異と雑種が含まれるということになります。
2枚目の上ですが、普通の魚類ではなかなか出てこないような、種類がぱっとわからないものが比較的多く含まれているのはトラフグ属魚類で、サバフグのグループには余り出てきません。その理由としては、ここに示しているとおり、ヒトとチンパンジーが種分化してからの時間を考えると、トラフグ属魚類がごく短期間に多数の種に分化しているからなのです。
下は、サバフグ属魚類です。サバフグ属というのは3000万年以上かかって10種程度に分化して、それに対してトラフグはわずか300万年で20数種に分化している。こういう違いがあります。そのためにトラフグ属魚類には雑種が多い。さらに進化の途中にある。今まさに、まだ種内でもさまざまな形態を持ったものが生まれつつあって、そういったものを含むということで種内変異も多いということになります。
そういったこともありまして、フグというのは雑種の事例が今まで結構報告されています。サバフグのグループの中にはシロサバフグとクロサバフグの事例があって、これは1980年に熊本県で見つかっていますが、サバフグの中でも唯一、遺伝的な差が小さい2種です。これの出現率が0.3%で、1例報告されています。
次に、シマフグとナシフグですが、有明海で1985年に全体の0.4%、トラフグ属魚類のナシフグとコモンフグは瀬戸内海で0.05%、こういう形でこれまでたんぱく質の電気泳動という方法を使って雑種が報告されてきました。
シロサバフグとドクサバフグは、非常に重要なのですが、ただ、実験方法の根拠が今の私たちの解析手法からすると非常に曖昧ですので、これは再検証が必要だろうと考えています。ドクサバフグとシロサバフグは遺伝的にも大変離れていますので、なかなか雑種は起こりにくいのではないかと考えています。
これまでの発生状況を見ていただくと、全て100匹に1匹以下ということになるのですが、2012年以降、東日本沿岸でショウサイフグとゴマフグの雑種が出現しました。全体の漁獲された魚の中のこの割合は38.5%ということで、桁違いの雑種の出現率になっています。このショウサイフグとゴマフグの報告の後、雑種の発生事例は局面が少し変わったと考えています。フグの分布域が大きく変わっていく中で、今まで100匹に1匹、1000匹に1匹で珍しいと言っていたものが、日常的に当たり前のように入ってきている状況になっています。
ショウサイフグとゴマフグの雑種がどのようにして発見されたかですが、震災後の調査で茨城県のほうで全ての魚種について地引網で調査していたところ、水産試験場から種類不明フグがいると連絡をもらいました。1日に38キロとれたうちの20キロが種類不明フグということで、茨城県は厚労省の通知に従って、すぐに県内業者に注意喚起をしています。このときは小さなフグだったのですが、そのすぐ後に、翌年2013年の秋に下関に漁獲サイズのフグが入ってきました。下関の業者から明らかにおかしなフグがいるということで持ち込みがあって、この時点でどうもこれまでとは性質が違うということに気がついたわけです。100匹に1匹、1000匹に1匹というレベルでは絶対ないというのがわかりました。
ショウサイフグとゴマフグの大規模な交雑現象ということで、まずはゴマフグという魚、ショウサイフグという魚ですが、以前は主にゴマフグは日本海側、ショウサイフグは太平洋側に分布していました。漁獲の中心もそういった場所にあったわけですけれども、ゴマフグの漁場が近年北上して、10年ぐらい前から太平洋側の定置網でもまとまった量がとれるようになってきました。この原因は、日本海が世界的に見ても海の温暖化のスピードが速い海域であり、太平洋側は大きな海域ですから、ゆっくりと温暖化が進行していますが、日本海側では急速に温暖化が進んでいます。そのために分布域が、太平洋を中心にしている種と日本海を中心にしている種で大きくずれている。津軽海峡を越えて分布域が重なるようになったのがもともとの原因だろうと考えています。
この雑種フグですが、ショウサイフグとゴマフグの両方の特徴をあわせ持っています。
次に、5ページ目の上ですが、交雑、雑種を我々はどうやって判別するかという実践的なところを少し説明させていただきます。これまではたんぱく質の電気泳動等で調べていたのですが、今まで調べたところ、両方の親の種間で遺伝子の異なるところを探す遺伝マーカーというものの数が結構要るということがわかってきました。最初に多数の遺伝マーカー、ゲノムのたくさんの場所を調べて判別能力を検証して、それから判別していくことになります。この際に、例えばサバフグのようにお互いに遺伝的に大きく離れていればゲノムのどこをやっても大体は種間に違いがあるのですけれども、トラフグ属魚類に関して見ると、お互いに遺伝的に近いせいでほとんどのマーカーが種間で共通ですので、大量の遺伝マーカーを調べて判別の精度を上げていかなければいけないということです。こういった判別能力の有無がこれまでの雑種の事例では余り検証されていなかったということになります。
こういった判別能力についてこの場で詳しく説明する必要はないかもしれませんが、ゲノムの中の200カ所ぐらい調べてやると2世代目までの雑種が判別できる。すなわち、ある種とある種が交雑した1世代目をF1と言うのですが、F1だけなら少なくていいのですけれども、さらにそれが純粋な種と交雑して戻し交雑になったり、さらにF1同士が交雑してF2になったり、そういったものまで判別しようとするとかなり慎重にやらなければいけないということがわかってきています。
6ページ目の上になりますが、ショウサイフグとゴマフグ、東日本沿岸でたくさんサンプルを集めて調べたところ、F1雑種が131個体、戻し交雑が18個体あり、ここからわかることはF1が多いということで、交雑がまさに今、進行している。もし交雑が何世代も前から起きているとすると2世代目以降の雑種がたくさん出てくるはずなのですが、それはほとんど出てこないということで、2012年ごろから一気に交雑が進み、雑種がふえたということが言えると思います。さらに一部戻し交雑も出てきています。
判別能力の検証ですけれども、DNAマーカーを使えば判別率は2世代目までの雑種に関しては100%です。
まだ未発表データですが、では、外部形態でこういった雑種が見分けられるかという話になります。さまざまな計数形質や計測形質、11形質を使って判別しようとすると個々には判別できません。単独で雑種の判別に使える形質はないわけです。それらを全てあわせて外部形態に基づく主成分判別分析を行っても、F1は辛うじて97%の判別率が出るのですが、2世代目以降、戻し交雑まで含めると全く外部形態は判別できないということになります。すなわち、戻し交雑、2世代目以降の雑種がいる状態で雑種の判別は相当困難です。雑種も恐らく消費されているケースがあったのではないかと考えています。
こういった現状を踏まえて、フグの雑種に関する留意点を私なりにまとめてみました。先ほど申し上げたとおり、今、フグの交雑現象というのは新たな局面に入っています。これまで記録されたことのないようなフグ、組み合わせの雑種が私のところにたくさん届いています。さらには、分布域が、今、フグの漁獲量は北海道が一番多くなってしまいましたけれども、いつどこで大規模な交雑現象が発生するか予測できない状況です。
さらに、DNAが万能かというとそうではなくて、大量のDNAマーカーが必要で、少なくとも迅速に2世代目以降の雑種を判別する技術というのは今のところ確立されていません。
2世代目以降の雑種を含む場合に、外部形態から判別することは現実的には困難で、このことは逆に既に流通、消費されたケースもあったと考えるべきだと思います。
それでも現行法規制のもとで有資格者によって処理されたフグによる事故は起きていないということが重要なポイントで、このような留意点を踏まえて、取得しておくべき魚種鑑別の知識や技術の内容を考えていく必要があると思います。
8ページ目の下です。この雑種鑑別の観点から、今、ルールで重要なポイントの一つは、どの種とも鑑別がつかない種類不明フグについての留意事項ということで通知の中に書かれていますが、種類不明フグは確実に排除する。雑種の場合は純粋な種とは違っている場合が多いですから、確実に排除する。それから、市場等で種類不明フグが発見された場合は、発見地と水揚げ地の食品衛生担当部局間で連絡を密にし、流通防止に努めることとなっています。
それから、通知の別表1の注6ですが、中間種の話が出てきます。「両種とも○の部位のみを可食部位とする」ということです。
一般的にフグの種鑑別をしていく上で知っておくべきこととしては、フグ類、特にトラフグ属魚類には雑種が多く見られるということをこれからは認識しておく必要がある。
雑種の両親種を外見から判別することは、一部の組み合わせ、ここに例で挙げられているトラフグとカラスというのはほとんど遺伝的に差がありませんから、こういったものについてはわかるかもしれませんが、そのほかについては困難ですので、雑種は種類不明フグとして確実に排除していくということです。
さらに、雑種を含む種類不明フグの発生状況について、資格を持っている人は常に注意を払っておく必要がある。というのは、先ほど申し上げたとおり、今、フグの雑種の発生というのは新しい局面に入っています。さまざまな組み合わせでこれまで経験したことのないような規模で交雑が起きることがこれからも予想されるわけです。ですので、そういったことが必要だろうと考えております。
こういった私が気づいた点をコメントとして最後の9ページ目の上に入れました。まず、種類不明フグが日常的に見られる状況で、発見したら必ず連絡を密にし、流通防止に努めるということは今、徹底されていないと思います。さらに、発見地と水揚地、先ほどで言うと例えば東日本沿岸と発見した下関の間だけでその情報が共有されているというのは現状では余りよくないのではないかと思います。どこどこでこういった種と種の間の雑種がふえているという情報を全国で共有していくことが安全につながると思います。
もう一つは、別表1の注6、ここはよく引用される部分ですが、まず「中間種」という言葉は少なくとも水産学や遺伝学の分野では一般的ではない。定義の解釈がすごく曖昧です。遺伝学では「雑種」と呼ぶのですけれども、いわゆるハイブリッドの訳語になると思いますが、それに該当するのかどうかということが明確にされる必要があると思います。
それから、有毒部位の遺伝様式はほぼ未解明の状態です。この「両種とも○の部位のみを可食部位とする」というのは、有毒部位が遺伝学で言うと優性遺伝するということを前提にしています。しかし、有毒部位が優性遺伝するかどうかというのは、ほとんどの組み合わせの雑種についてはまだ解明されていません。ですので、特に流通する可能性の高い種間については早くそういった遺伝について調査していくべきだろうと思います。
最後、最新の情報について有資格者が常に気にかけておく必要があると思いますが、そういった有資格者がどこで雑種あるいは種不明フグがたくさん出ているかを把握できるような何らかの仕組みづくりが必要ではないかと考えます。
足早に説明しましたけれども、私からは以上です。

○朝倉座長
髙橋先生、ありがとうございました。
フグの魚種鑑別、特にトラフグに関しては雑種の頻度が非常に高い状況が続いているというお話、それから、鑑別に当たっての御提言等もいただいたものと思います。ただいまの御説明に関しまして御質問等ございましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。白銀委員、お願いします。

○白銀委員
1点、聞き漏らしたのだと思いますが、フグ類の雑種の事例の表があったと思います。この中の頻度というのは分母が何で分子が何という、そこを教えていただけますでしょうか。

○髙橋参考人
これは説明を飛ばしてしまったのですが、この場合の分母というのは、例えばシロサバフグとクロサバフグの場合は、同時に漁獲されたシロサバフグとクロサバフグの全個体数プラス雑種です。それに対して分子が雑種の数ということになります。これは全て個体数ベースです。

○白銀委員
わかりました。

○朝倉座長
そのほか、ございませんでしょうか。松浦委員、お願いします。

○松浦委員
さっきの東北のショウサイフグとゴマフグの交雑のケースですが、非常にたくさん、39%ぐらい出ている。大規模な交雑現象という、パワーポイントのF1と戻し交雑の個体数が出ているスライドを見ると、戻し交雑は非常に少なくて、多数のF1が見つかって、その後の変化というのはどうなのでしょうか。つまり、短期的なものなのか、割合継続的に高い雑種の割合を保ったまま個体群が存在しているのか、気になります。

○髙橋参考人
この雑種の発生時から継続して気仙沼漁港に入って年に1回調査しています。1割、10%ぐらいに一回収束したのですが、去年はまた23%にふえていますので、ふえたり減ったりしつつも発生が続いている状況です。

○朝倉座長
ほか、よろしいでしょうか。松浦委員、お願いします。

○松浦委員
日本海側の温暖化が太平洋側に比べて速い速度で進んでいるようだというお話で、それがフグの雑種の出現に結びついているかもしれないということなのですが、もう一つ気になるのは、日本海というのはフグが非常にたくさんとれて、トラフグの産卵場もありますね。ショウサイフグとゴマフグというのはそれほど市場にたくさんは出ないけれども、トラフグとマフグいうのは価格も非常に高くて重要な、下関で「ふく」と呼んでいる4種類のうちの2種です。私、昔、下関の水産大学校の方々と一緒に調べたのですが、さっき増田さんの論文が出てきました。増田さんは鹿児島大学ですが、多部田先生が中心になって調べたときに、トラフグとマフグの交雑ではないかというのが結構出てきていたように思います。増田さんが、どうもF1だけではないというようなこともおっしゃっていたので、いわゆる価格が高くて非常に出現割合の高いフグ類については雑種の出現頻度が近年高くなっている、そういうような過去と比べてのデータはあるのでしょうか。

○髙橋参考人
まず、分布域が大きく変わっていて、さまざまな地域で統一された雑種の出現率の計算方法がないということで、定性的な状況しか話せないという現状があります。山口県はさほど大きく変わっていないのですが、相変わらず1%以下ぐらいですけれども、継続して出ています。それに比べると、最近新しく生息が広がった東北地方のほうはもう少し頻度が高いように計算しています。
もう一つは、戻し交雑が出るのですが、外見に基づく普通の判別基準でやると純粋なトラフグと判別されていることが多いということです。

○松浦委員
わかりました。

○朝倉座長
亀井委員、お願いします。

○亀井委員
今日はフグ処理者の認定基準に関する検討会ということなのですが、今の交雑の話ですけれども、これがどのように試験方法に関係するか、お聞かせ願えませんでしょうか。

○髙橋参考人
一つは、知識としてフグは雑種がたくさん出るということは必ず共通して持っておくべきだと思うので、知識としては必要ではないかと思います。
それと、教科書にできるような固定した知識というのと、もう一つは現状を把握しなければいけない。これはどういう仕組みづくりをするか難しいのですが、先ほど5年ごとに更新というお話をされたと思います。そういった機会、あるいは何かしらの状況で現状を有資格者が把握できる、例えば今、東北ではショウサイフグとゴマフグがふえている、あるいは東北地方でトラフグとマフグの雑種がふえて皮は危ない、そういう情報を共有できる仕組みがあると安全が確保できるのかなと思います。そういうふうに資格者の人が常に知識を持っておくことと情報を得ようとすることを要件として含めると、安全が担保されるのではないかと考えます。

○亀井委員
私もそう思います。

○朝倉座長
大変貴重な御意見をいただいたと思います。
それでは、ちょっと時間も迫ってきておりますので、まず、議題の1つ目「前回の議論を踏まえた関係者からのヒアリング」についてはここで一度クローズさせていただきまして、実際の認定基準に係る論点の整理という観点について進めさせていただければと思います。これにつきましては、事務局よりまず御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
それでは、資料3と4につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料3でございます。先ほど関係の皆様からいろいろ御説明、御意見をいただきまして、これからフグ処理者の認定基準を御検討いただくわけですけれども、それに当たっての論点を整理させていただきたいということでございます。
資料3の1ページ目でございますが、検討課題として1回目の検討会で2つお示ししておりまして、これらの論点を整理していくということでございます。
「1.フグ処理者になるための講習会の受講又は試験の受験の資格」でございます。東京都は調理師免許、山口県と大阪府は食品衛生を試験や講習会の内容に含めているということで、いずれもフグ処理の前提条件としては食品衛生の知識が必要ということかと思います。
食品衛生の観点で申し上げますと、2ページ目に、現行の制度もそうですけれども、食品を取り扱う営業者の方は施設に食品衛生に関する責任者を置くとされておりまして、この食品衛生責任者等の設置ということで規定がございます。こちらは今、検討しております食品事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針ということで、衛生管理のガイドラインに基づいて省令で規定することを検討している骨子の内容でございます。こういったこともございまして、1の(2)を見ていただくと、栄養士や調理師、こういった方は食品衛生責任者の要件を満たすということになっておりますので、食品衛生の観点からは食品衛生責任者の要件を満たしている者としてはどうかと考えております。フグ処理者の認定基準は、フグ処理者を認めるときのフグに特化した内容としてはどうかということでございます。
1ページの1の「(2)実務経験は必要か」は、先ほど亀井委員からも御意見等をいただいておりまして、必要かどうか、必要な場合にはどの程度の経験が必要かというところが論点になると思っているところでございます。
「2.フグ処理者の認定基準」でございます。後ほど御説明いたしますが、資料4に認定基準として項目を挙げております。これに関してどのような項目や内容が必要かというところが論点だと思っておりますので、このあたり、御意見をいただきたいと考えております。
1回目の検討会で御意見等がございましたけれども、生産地と消費地においてそれぞれフグの処理を行う場合に種類の鑑別の程度に違いを設けるべきかどうか、こういったところが論点かと考えています。
先ほども髙橋先生から御紹介いただきましたが、交雑種の種類の鑑別について、フグ処理者になるに当たってどの程度の知識及び技術が必要かというところが論点だと考えております。
認定基準の項目と内容でございますが、続きまして、資料4を御覧ください。字が小さくて読みづらいところもあろうかと思いますが、委員の先生方、適宜拡大等していただいて御覧いただければと思います。こちらは、フグ処理者として認定する際にどういった項目があるか、これはまだ論点整理の段階でございますが、到達目標としてどういったことが必要か、内容として、現行の厚生労働省から出している通知、食品衛生法に基づく規定等、関係の規定はこういったものがあるということでお示ししているものでございます。
科目としては、フグに関する一般知識(学科)が4ページ目まで22項目ございます。それから、魚種の鑑別(実技)と有毒部位の除去(実技)という項目が4ページ目にございます。もちろん魚種鑑別や有毒部位の除去に当たっても一般知識の22項目の内容で必要な項目もあろうかと考えているところでございます。
簡単に御説明させていただきます。例えば1ページ目の2つ目の「不衛生食品等の販売等の禁止」ということで、食品衛生法に基づくフグに関する法令とそれに関する通知等ございますので、そういったものを理解していることが必要と考えているところでございます。
2ページ目を見ていただきますと、先ほど御議論があったところで申し上げると、6の「処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位(海域も含む)」ということで、当然、食べられる種類と部位は海域も含めて理解していることが必要と考えています。
こういったことで項目と到達目標を論点としてお示ししておりますので、本日、ヒアリングでも既に御意見をいただいているところもございますが、それ以外の論点も含めて御意見をいただければと考えているところでございます。
以上でございます。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございました。
まず「フグ処理者になるための講習会の受講又は試験の受験の資格」に係る部分について御議論いただければと思います。資料3です。まず、案として出していただきましたものは「フグ処理者は、食品衛生に関する知識が必要であることから、受講又は受験の資格として、食品衛生責任者の要件を満たしている者としてはどうか」となっております。
2つ目としては実務経験のことがあります。本日のヒアリングの御説明でも、実際に必要なものかどうかということについて率直な御意見を自治体や事業者団体ということで業界のほうからもいただいているところかと思います。
大阪府さんでは、冒頭で御説明いただきましたように、専ら食品衛生の観点から真に必要な最小限のものであることを要件とするべきといった御提言もいただいております。そうしたことを踏まえますと、ここで御提案いただいた食品衛生の観点、いわゆる責任者ということは一つの候補案となるのかと思いますが、いかがでしょうか。追加の御意見、さまざまな形があるかと思いますけれども、大阪府の西岡委員からお願いいたします。

○西岡委員
大阪府では講習会というやり方をさせていただいておりますけれども、実際に実技でありますとか、講習でも知識の確認は十分できておりますし、有毒部位の除去ができないような方を講習会で受講済みにするようなことは一切やっておりませんので、きちっと試験制度という形でなくても安全性は確保できているという認識でございます。
また、知識に関しましては、これはやはりフグを処理するに当たって必要なということになりますので、基本的な食品衛生の知識に関しても、フグのことに関して、水産に関してという部分に限定したような内容にしていますので、食品衛生責任者の受講資格があるということは必ずしも必要ではないと思います。もちろん、持っておられるのは全く問題ございませんが、フグ処理者にそれを課すのであれば、学科のテスト、そういうものが本当に必要になってくるのかというところも議論になってくると思います。あくまでも処理に関することに特化するのであれば、調理師、責任者というような一般知識を要件とするのはどうかと思います。特に全国の基準とする中で必要かというところでは疑問がございます。

○朝倉座長
ありがとうございます。
白銀委員から山口県の御提案として、いわゆる調理と処理の部分は明確に分けるということも一つの考え方ではないかといった御提言があったかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

○白銀委員
私どもの提言ではないのですが、業界がそのように考えている、そういうことで申し上げました。
確かに、資料3で言えば、2の認定基準の中の(2)に生産地と消費地という部分もございます。ただ、私どもの業界のほうからは流通についての話も出ておりまして、フグの身欠き、有毒部位を除去したフグの取り扱いが画一的ではない、ばらつきが大きいということが大きな障壁となっているというお話ではございました。
今の流通の状況を見ますと、山口県で処理されて、刺身セットやふぐちりのセットというものが全国に宅配で届きます。同じことが逆の状況でも起こるわけです。全国各地でそういうことが起こり得るわけなので、果たして生産地と消費地という形できっちり分けられるのかというのはあるのかなと思います。生産地、消費地という形で分けたことによって逆に混乱を来すのではないか、食の不安をあおってしまうことになりはしないかという危惧は少しございます。
ただ、第1回目に御議論がございましたように、生産地で魚種鑑別をきっちりして、鑑別されたフグのみを使って処理する、消費地の市場においてはそういうやり方もあるということは理解いたしております。

○朝倉座長
ありがとうございます。
やはり有毒部位の除去並びにそこに係る前後の処理というところをあくまでも要件とするということが、前回の御議論、それから今回、御提示された内容を踏まえると適用範囲とするべきなのかと感じているところではございます。
知識が必要であるということ、その大本としては食品衛生に基づいた形であることは当然必要になってくると思いますので、その中の一つの例示として食品衛生責任者ということで今回提示いただいているところであります。あと、実務経験の部分についてはいかがでしょうか。亀井委員、お願いします。

○亀井委員
先ほど実務経験、従事証明は必要ないと申し上げました。2011年からですが、京都が最初で、東京はその次なのですけれども、処理済みのフグであれば免許がなくても取り扱えるということになりました。その時点からだんだん受験生が減りまして、今では3分の1ぐらいになっております。京都でも350人ぐらいは受けていたのですが、最近は150名でございます。しかしながら、この150名の中で100名というのは調理師学校の生徒さんで、これは義務づけられています。京都の調理師学校の2年生は必ずフグの免許を取らなければならないので、これが100名ぐらいいるのです。300人のときも100人ぐらい、ということは一般の人は200人、それが50人に減っているわけです。簡単に言えばそれだけ減っている。
受験者のモチベーションが物凄く下がっているわけなのです。なぜかというと、そんな免許を持っていたってどうせ身欠きのフグでやればいいのだと。ところが、よく聞くと、本当の料理人の子供は、丸のままから触りたい、人が触った後のフグは触りたくないというわけです。私もそうなのです。例えば、今日なんかでも仕込みはできませんので、明日のお客さんのために、今日仕込んでおいたのです。中央市場の人が「身欠きにしておこうか。」と言いますが、「そんなん、やめといてくれ。私がする。おまえらには触らせへん。」、そういう考え方です。
免許の統一になって、その免許は難しくなっても、身欠きのフグだけでいいというのではなくて、若い子は受ける気持ちは物凄くあると思います。試験制度は、技術を問うことも大切です。ただ、さっき言いましたように、単なるテッサ、サメ引き、それでは技術はわかりませんので、その前に、いわゆる認定された講習会である程度の技術を磨いて、そこのお墨つきをいただいて試験を受けてもらう、そういうふうに考えております。

○朝倉座長
ありがとうございます。
先ほども御説明があったと思いますが、そういった認定のための講習会というのは実際に実行可能なものなのでしょうか。

○亀井委員
我々全国ふぐ連盟の組織の中で実際に講習会をやっております。ただ、皆、講習会はばらばらです。もちろん試験制度がばらばらだからです。何匹捌くというのもばらばらです。今、見てみますと、学科試験でも京都は4科目あります。4科目あって40問の出題があって、90分で解かなければならないということですので、ちょっと違うのですけれども、私は、安全性というのは単なる知識だけではだめだと思います。我々のような腕を持っている者のしっかりと正しい知識と的確な処理技術、これによってフグの安全性が保たれる、そのように思っていますので、統一の教え方というのをこれから私たちは考えていっています。そして、今、講習会におけるカリキュラムも考えている最中でございます。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございました。
ここで結論というところにはなかなか至らないと思いますので、いただいた御意見を踏まえまして、このあたり、事務局で整理いただく作業になるかと思います。御議論、ありがとうございます。
それでは、認定基準というところについて、このあたり、先ほどと重複しておりますけれども、鑑別のお話も含めた形で、どういった技術あるいは知識が必要かというところ、試験の内容、講義の内容、そういったところにかかるかと思います。
資料4で事務局から現行の通知等に含まれる項目を整理していただいているところかと思います。特に1ページ目の2つ目の項目、例えば食衛法の第6条あるいは施行規則等で受けている部分等が非常に重要であって、関連法規を含めた形での講義、いわゆる知識の習得が求められるというお話であったかと思います。
また、次のページの「7.有毒部位の除去に係る留意事項」、このあたりについても局長通知、課長通知等で受けてはいるところでありますが、こうしたことについては非常に重要な項目であるという考えから、実技を含めた形でこれも引き続き平準化の項目とするべきかと思います。
そのほかにも細々としたものが複数ございますけれども、特にこのあたり、資料4に挙げていただいた項目の中で特段の御意見等ございましたら、この場で御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員
話は戻りますけれども、受験資格を余り高いレベルで要求すると何が起こるかというと、私、先日、申し上げたのですが、今、フグがたくさんとれ始めている東北地方、北海道というのはフグになれていませんから、その場で処理することが望ましいにもかかわらず、受けてみたいと思うというか、実際受けられる人数が限定されると思うのです。とれるのは、多いときは一つの市場で1トン単位でとれますから、これを処理するとなると、仮にこの処理者という話を進めるのであれば、やはり1人ではなくて複数の処理者が必要になります。この辺、考慮したほうがいいかなと思います。
以上です。

○朝倉座長
ありがとうございます。
あくまでも実行可能性を伴ったものでなければ意味がないということかと思います。
ほか、どうでしょうか。永渕委員、お願いします。

○永渕委員
今の御発言で、実行可能というところではありますが、レベルにつきましては、やはり最低限という話になっていますけれども、ある程度きちんと確保していただきたいというのがまず前提であります。
もう一つは、先ほど白銀委員から話がありましたが、産地と消費地というのがフグの処理の認定基準のところにありますけれども、先ほど言われたように、そこを区分けするのはなかなか難しい。
東京都の事情をお話しさせていただきますと、消費地型だと単純に考えるのですが、今、豊洲に移りましたけれども、築地の市場に私、2年ほどおりまして、やはり産直で魚が入ってきます。そうすると、漁業者から直接、市場に流れてくるという状況がございまして、産地で網がかかっていれば、確かにかなりリスクは軽減できると考えますが、産直で入ってきた場合につきましては、たまたま私は市場にいたので、市場の網にかかって、それを排除することができたのですけれども、今、場合によってはお店で直接、荷を引かれる方もいらっしゃるのではないか。産地で鑑別されていないものが消費地のフグ処理者に入ってくるというところを考えると、やはり先ほど話をされていましたけれども、余り分けないほうがいい。
しかも、国のほうでこれから基準をつくるということであれば、変にダブルスタンダードみたいな形になっていくというのも自治体としては非常に困ってしまう。では、自分のところはどういうふうにすればいいのか、どのレベルに合わせればいいのかというような非常に難しい問題も出てくると思います。そういう意味では、産地型、消費地型というのではなくて、やはりフグは丸から一本きちんと最後まで処理できるというのがフグを処理できる者の資格だというふうに整理していただきたいというのが一つあります。
それと、東京都は厳しいほうなので、厳しいことを言わせていただきますと、そもそもフグというものは食品衛生法では食べてはいけないものに入っているものです。これを限定解除してやっているというところがございますので、それを処理する者については、先ほど最低限と言いましたけれども、余り緩めるのはいかがなものかというところがあります。
では、どのレベルにすればいいのかというのは、はっきりと申し上げられませんけれども、先ほど言った、最初のフグ処理者になるための資格要件にありましたが、食品衛生責任者であれば基本的なことがわかるので、個人的にはいいと思います。逆に、なくしてしまうということになりますと、東京都の試験もフグに特化したことのみを試験しておりますので、それで合格すればフグの処理はできるようになりますが、衛生的なところ、例えばフグの除毒はできたけれども、食中毒を起こしてしまう、そういったフグ処理者をつくってしまうのは制度自体がどうなのかという話になってしまいます。
そういう意味では、御提示いただいたような食品衛生責任者の要件ということで、米印をつけていただいて、その中には調理師など入っているから、東京都の場合ですとそれに該当するということでおっしゃっていただいているので、いいのかなというところです。確かに今、緩和のほうに全体が動いている中では、緩めるというのも大事な要素なのかもしれませんが、そこは表に書いていただくと、そもそものところも考えていただきながら御検討いただきたいというところがあります。
産地型、消費地型ということを最初に話をさせていただきましたが、やはり地域特性というのはどうしてもあると思いますので、ベースの部分をきちんと国のほうで決めていただければ、後は、身欠きが多いからとか、丸フグを扱うのが多いからというのはそれぞれの地域特性を上乗せさせていただければということで御検討いただきたいと思っております。
以上です。

○朝倉座長
貴重な御意見、ありがとうございました。
特に地域を分けるという考え方はなかなか成り立たないのではないか、ダブルスタンダードを招くことが懸念されるというお話、それから、より川下の部分での一般衛生管理を含めた形での不備が発生する懸念がありますので、そうしたことを担保していくためには、一定の食品衛生管理の技能あるいは知識を持った方を養成していくことが前提にあるのではないか、そういった御意見かと思います。その上では、食品衛生責任者のようなものも要件の一つとしてはいいのではないかといった御意見かと思います。
ただ、今回のさまざまな先生方の御意見を踏まえますと、丸から完全に処理を終えて調理するという行為に対しての知識と技能、ここがやはり適用範囲になるということはおおむね了承いただいているところなのかなと思います。
そのほか、いかがでしょうか。西岡委員、先にお願いいたします。

○西岡委員
西岡です。
いろいろ議論がある中で、もともとの資格というものについては、大阪府は先ほど述べさせていただいたとおりでございます。それ以外に魚種の鑑別というところなのですが、やはり大前提として、魚種を特定して購入するというのがまずベースになっていると思います。髙橋委員からもいろいろお話がありましたとおり、雑種フグの見分けも、水揚げしたところで正常なもの、そうではないものをたくさん見ているからこそできるような技術ということも十分考えられますので、1匹、2匹仕入れてさばくフグ処理者に余り高度なものを求めるというのはやはり難しいと思います。あくまでもきちっと産地等で魚種を特定して市場に流通させる、このルールは絶対に守られるべきだと思いますので、種別が特定できないものは排除、これは全国でやるべきだと思います。それをフグ処理者にだけ求めるのはかなり難しいことではないかと思います。
フグ処理者にあっては、自分が購入したフグがどういうフグなのか、それについてどこが可食部位で、どこが不可食部位なのか、血合いも含めてきれいに除去してきれいなものを丁寧に調理できることに限定すべきだと思いますし、余り高いものを求めるよりはたくさん知識のある方がふえて正しい処理ができるほうが望ましいと思います。
そういう意味で言うと、実物を見て数分で鑑別するというその正確さ、スピードというのも非常に求められるところだとは思いますが、全国基準ということであれば、そこまでの厳しいことを全部に課すというのはやはり厳し過ぎるのではないかと思います。あくまでも魚種を特定したものを仕入れて処理をする、そこからスタートかと思っております。
以上です。

○朝倉座長
ありがとうございます。
続いて、亀井委員、お願いいたします。

○亀井委員
私は料理人としての希望ですけれども、もちろん全国ふぐ連盟の考え方なのですが、やはりどこに行ってもその免許が通用するシステムにしていただきたい。なぜかというと、今でも京都に受け入れ態勢があるところは20軒、オーケーなのですけれども、まず京都に来ていただいて、新たに免許を取っていただかなければならない。どのぐらい期間がかかるかというと2週間ほどかかります。そして、4000円かかります。そういったことで各県を受けようと思ったら、10県受けたら4万円要るわけです。それよりも一つの免許があれば、あちこちどこでもお店を、それこそ今、北海道のほうにはフグ屋さんは余りありませんので、そこへ行って一旗上げようかという若い子が出てくるかと思います。そうすることによって、フグのプロが全国に散らばるわけでありまして、そういった人が安全なフグはどういったものかということを一般消費者にもお伝えしたりすることができると思います。私は、どこでも使える免許をよろしくお願いしたいと思います。

○朝倉座長
ありがとうございます。
東京都の永渕委員、お願いいたします。

○永渕委員
今、亀井委員からお話が出たので、私もできれば国家資格にしていただければ一番いいのかと思いますが、それはなかなか難しいというところもあります。
先ほどのフグの鑑別のところですけれども、試験制度というふうに考えますと、東京都がやっているように、現物を見て判別しろという方法は鑑別の試験制度として一つの方法ですから、例えば写真を使うとか、ちなみに、東京都は1年かけて鑑別用のフグを集めて、当然のことながら複数日かかります。そうしますと、とげが減ったりするとかえるということになりますので、そういった大変なところもあります。ただ、鑑別はきちんとできなければいけないというのは大前提だと思います。それで産地、消費地という考え方はちょっとそぐわないのではないかと思っています。
産地型みたいなことを考えるのであれば、どこにウエートを置くかという中では、鑑別がそういう方法ではなくても別の方法でもきちんと担保できると判断すれば、それはその方法をやっていただいて、鑑別できる人だということになっていいのかと思います。そういうところもありますので、東京都に合わせろと言っているわけでは全然ないというのを御理解いただければと思います。

○朝倉座長
白銀委員、お願いいたします。

○白銀委員
私どもも鑑別というのは非常に重要なポイントだと思います。当然その次に処理の技術が確かなものであるべきというのは皆さんと全く同じでございます。
先ほど亀井委員がおっしゃった、どこに行っても一つの免許が通用するという形であればやはり国家資格という形が望ましいのだろうと思います。実際私どもも、先ほど御説明いたしましたが、東京都さんを初めとした幾つかの県の免許を受け入れています。これも、免許証を持っている方が私どもで再度、試験は受けなくてもいいけれども、免許申請はしていただかなければいけないという制度になっておりますので、一本免許を持っていたら山口県で使えますよというものではないというのが現状でございます。補足説明でございます。

○朝倉座長
松浦委員、お願いいたします。

○松浦委員
私も鑑別が一番重要だと思います。東京都の例を詳しく御説明いただいたのですが、やはり現物を使わないとどうしようもないと思います。写真だけでは全くわかりませんので。
きょう、髙橋さんから東北沖の交雑種についての詳しい御紹介があったのですが、疑わしいものは、形態、色彩を含めてですけれども、それである程度わかると思います。先ほどの例でも、尻びれの色が黄色いショウサイフグはいないので、これは変だということになります。マフグとトラフグでも何となく模様が変ですし、とげの分布もちょっとおかしいとか、多分、外部の特徴を見るだけでも疑わしいものをはねることはかなりの確率で可能ではないかと思います。
そのためには何が必要かというと、トラフグはこういう特徴を持っている、マフグはこうで、ヒガンフグとか、あるいは瀬戸内地方では食べるところもあるコモンフグ、そういうものはどういう特徴を持っているというのが識別できないと困る。だから、東京のような大きな消費地で扱われるフグと、地域で、例えばコモンフグを食べているようなところとで、鑑別に用いるサンプルを変えなければいけないということがあるかもしれません。ただ、フグ料理屋でコモンフグを扱うことはまずないと思うので、それには全国的にある程度平準化した種を決めて試験に用いればいいと思います。
もう一つは、先ほども例が挙げられた産直が実際問題としてあります。あるいは、だんだんフグ食が北のほうに広まっていっている。山形や、もう少し北のほうまで進んでいるのかもしれませんが、フグを食べる人たちが増えてきているわけです。そうすると、今までのようなやり方では通用しないかもしれないですね。まずは種の鑑別が必要で、平準化した試験制度、資格を与える制度がないと消費者としては怖いということになるだろうと思います。
それから、今のはトラフグ属ですが、サバフグ属のほうもだんだん北へ上がっているのではないかと思います。ドクサバフグは、高知県や宮崎県で中毒事件があったというのはそんなに古い話ではなくて、だんだん北へ上がっている可能性もあります。高知では、実際に漁師がシロサバフグとドクサバフグを間違えて食べています。普通に見たらシロサバフグに思えるわけです。よく注意しないとどうしても間違えるレベルです。背中のとげの分布を見れば、実は誰でも区別できるのですが、そこを見ないのです。だから間違えてしまうということだと思うので、危険なフグについては、まじってくる可能性のあるものについては、鑑別にドクサバフグのようなものも入れておいたほうがいいかもしれません。
ただ、実際問題として料理屋で扱うフグとしては、ほとんどは身欠きになっていると思うのですが、そういうことも気になるので、やはり鑑別できる人をちゃんと選び出すことができる制度が全国的に担保されるというのが一番重要ではないかと思います。

○朝倉座長
貴重な御意見、ありがとうございます。
やはり鑑別等については実物を使った実技が必要になるだろう、また、それに関係するところで特に疑わしきものを除外することを原則として、代表的なものについてはそれに関する形態学的あるいは色彩的なところも特徴としてしっかり身につけていただくことが必要という御意見であったと思います。
今回いただきました御意見を含めて、またこの後、事務局で一度整理していただきまして、今回の要件、それから、そもそもの適用の対象、そうしたところがおおむね整理できてくるのではないかと考えています。
東北地方での今後の消費が伸びるのではないかといった御指摘もあったかと思いますので、そういったことも含めて、このあたり、事務局に御検討いただくという流れではいかがかと思います。よろしいでしょうか。
最終的には、こうしたことで評価基準の一つの案を形づくって皆様方に御提示するという流れになるかと思いますので、その場でまた御意見等をいただく形で次回以降進めたいと思います。
このほか、事務局から何かございますでしょうか。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
本日はいろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございました。
国家資格をという御意見もいただいているところでございますが、この検討会で御議論いただくというところは、1回目の検討会でも御説明させていただいたところでございますけれども、基本的には、都道府県知事等がフグ処理者を認める際の認定基準の要件、評価基準を整理させていただくということで議論をお願いしているところでございます。それによって国が取りまとめる評価基準が自治体のほうで使っていただけるようなものになって、結果として、ある自治体で取られた資格がほかの自治体でも使えるというようなことを期待して御議論いただいているといるところでございます。
そういった観点から次回も御議論いただければと考えておりますのと、今回、論点整理の案を事前に御検討いただく時間もございませんでしたので、今日、資料を見ていただいてお気づきの点があれば事務局までお知らせいただければと考えています。
次回、第3回検討会でございますけれども、構成員の先生方と日程を調整の上、改めて御案内をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○朝倉座長
ありがとうございます。
日程調整等への御協力を引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、本日の検討会はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたる御議論、誠にありがとうございました。
 

照会先

医薬・生活衛生局 食品監視安全課

電話:03(5253)1111(内線4244、4271)