第5回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和元年5月17日(金)12:58~14:58
 

場所

全国都市会館 3階 第2会議室

出席者

(委員)神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、臼杵委員、内田委員、大江委員、小川委員(安達代理人)、金子委員、小林委員、白波瀬委員、細田委員(鶴岡代理人)、渡邊委員
(オブザーバー)松下国民年金基金連合会理事長、宮園企業年金連合会理事長
 

議題

(1)企業年金の普及・拡大について
(2)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について
 

議事

 
議事内容
○神野部会長
それでは、定刻ちょっと前でございますが、御出席予定の委員の皆様方が全ておそろいでございますので、ただいまから第5回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと思います。
平成から令和に改元されてから初めての会合でございます。外務省の公式訳は「Beautiful Harmony」、平和の達成から美しき調和に改められてから初めての開催となりますが、皆様方には大変お忙しいところ万障繰り合わせて御参集くださいまして本当にありがとうございます。伏して御礼を申し上げる次第でございます。
本日の委員の出欠状況ですが、藤澤委員、小川委員、細田委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。小川委員の代理といたしまして、日本年金数理人会の副理事長でいらっしゃいます安達様、それから、細田委員の代理といたしまして日本商工会議所企画調査部課長の鶴岡様に御出席いただけるとのことでございますので、お二人の代理出席につきまして、部会の承認を頂戴したいと思います。よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」と声あり)
 
○神野部会長
ありがとうございます。
さらに加えまして、御出席いただきました委員の方々が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただく前に、事務局のほうから資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金・個人年金課長です。本日もよろしくお願いいたします。
資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、資料1「ヒアリング等における主な意見」、資料2「企業年金の普及・拡大について」、資料3「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況について」、参考資料として委員名簿を用意させていただいております。
事務局からは以上です。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思いますが、カメラの方がいらっしゃいましたら御退室の御協力をお願いいたします。
いらっしゃらないようでございますので、議事のほうに入らせていただきたいと思いますが、お手元の議事次第を御覧いただきますと、本日は議事として2つ準備をさせていただいております。最初の第1の「企業年金の普及・拡大について」、これが主な御議論を頂戴する議題でございます。さらに、2番目は報告事項でございまして「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」御報告を頂戴するということになっております。
それでは、議題(1)「企業年金の普及・拡大について」でございますが、御案内のとおり、既に委員の皆様方や関係団体のヒアリング等々におきまして御意見を頂戴いたしておりますので、この御意見を踏まえながら議論を進めていきたいと思っております。進め方といたしましては、事務局から、まず資料1「ヒアリング等における主な意見」、資料2「企業年金の普及・拡大について」を御説明していただいた上で、委員の皆様方から御質問、御意見を頂戴したいと考えております。
それでは、事務局のほうから資料につきまして御説明を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
資料1と資料2を通しで御説明いたします。本日も盛りだくさんの内容になっております。かいつまんでの御説明になることをお許しください。
まず、資料1をお開きください。4月の部会でもお示ししたもので、ヒアリングにおける関係団体からの御意見等をまとめたものです。本日御議論いただくテーマの企業年金の普及・拡大については7ページになります。
・企業年金のカバー率を向上させるべき、
・給付の十分性(制度のクオリティー)と制度の普及の間で、トレードオフがあるということを認識して進める必要がある、
・企業規模間格差を是正する方向での検討が重要、
・非正規雇用について同一労働同一賃金の原則を参考にした対応が不可欠、
・総合型DBを活用すべき、
・補助金、あるいは半ば強制的に企業年金への加入の仕組みを整えるなど様々な選択肢を検討すべき、
・中小企業に無理に企業年金を持たせることが目的ではなく、一人ひとりの労働者の老後所得の確保をサポートすることが目的、
・企業規模にかかわらずiDeCoプラスの取扱を可能とすることや、従業員数の拡大を検討すべき
といった御意見がありました。
「柔軟で弾力的な設計」として、
・キャッシュバランス、リスク対応掛金、リスク分担型企業年金など、DB制度を維持できるような仕組みをどう構築できるかが大事、
・リスク分担型企業年金の給付減額判定基準の見直しを検討すべき、
・給付減額における手続を簡素化すべき、
・変更前の積立金に対して掛金の一括拠出を認めるべき、
・定年延長等の雇用延長に伴ってDBの給付設計を見直す場合、給付減額判定基準について見直し、事務手続の柔軟化・手続の簡素化を行うべき、
・死亡率低下による終身年金現価率の増減を勘案した調整率を適用し、財政的な影響緩和を図ることができるようにすべき、
・終身年金の保証期間・20年上限の延伸が有効、
・バイアウトなどのように、年金支給義務を社外に移転させる仕組みなどを検討すべき
といった御意見がありました。
「事務負担の軽減」として、記載のとおり4件の御意見がありました。
「特別法人税」について、企業年金制度をより一層、普及・拡大させる観点で、速やかに廃止すべきといった御意見がありました。
続けて、資料2の御説明に移ります。資料2をお開きください。ヒアリングで浮かび上がってきた各検討課題について順次資料を整理していきますので、御議論をいただければと思います。
2ページをお開きください。長期の年金制度ですので、部会のたびに歴史を振り返るようにしていますが、中小企業のカバー率が課題となってきた過程を整理しています。
1952年に税制上の「退職給与引当金制度」が導入された後、1962年に税制上の「適格退職年金制度」が導入されました。真ん中の枠の※の部分ですが、適格退職年金は、企業と金融機関が信託契約や生命保険契約を締結し、適正な年金数理などの適格要件を満たすものについて、税制上の優遇措置を認めるもので、中小企業でも簡便に設定ができるため広く普及しました。
その後、「厚生年金基金制度」が導入され、「退職給与引当金制度」の損金算入の限度額縮小の影響もあり、「厚生年金基金制度」への移行が促進されました。
3ページに移っていただき、バブル経済の崩壊で、厚生年金基金の代行返上を求める要望が高まり、真ん中の枠になりますが、2001年、「確定給付企業年金制度(DB)」、「確定拠出年金制度(DC)」を創設、適格退職年金制度も廃止され、DB、DCの2制度による企業年金制度体系が確立されました。
DB制度の創設後、多くの厚生年金基金が代行返上し、DBに移行しました。厚生年金基金は、経済基盤の弱い中小企業が設立母体となった総合型基金中心になりました。
リーマンショックによる運用環境の悪化の中で、厚生年金基金の「代行割れ」が社会問題化しました。
これを受け、2013年の制度改正において、厚生年金基金の新設は認めず、5年間を時限とした特例解散制度の導入により、財政状況が健全な基金を除いて、基金の解散や他の企業年金への移行を促進しました。
こうした経過の中で、企業年金制度の加入者数が減少し、確定給付企業年金や確定拠出年金の普及・拡大、特に中小企業のカバレッジが課題となっているのが現在の状況になります。
4ページ、適格退職年金からの移行状況ですが、青い部分、確定給付企業年金に2割の事業主が、確定拠出年金に1割の事業主が、中退共に3割の事業主が移行しましたが、残り4割の事業主が制度を廃止しました。
5ページ、厚生年金基金の状況ですが、下の絵の部分、2013年には531の基金があり、うち466が総合型の基金でしたが、代行返上と解散により、現在、基金は8つに減少しています。
6ページ、企業年金の加入者数の推移です。長らく企業年金の中核を担ってきた適格退職年金・厚生年金基金から、確定給付企業年金・確定拠出年金に移行しているのが、グラフの色の変化から見てとれると思います。そして、この間、企業年金の加入者数は大きく減少しています。
7ページ、退職給付制度の実施状況ですが、退職年金制度がある企業は引き続き減少しています。左の折れ線グラフを見ていただくと、赤囲みの部分ですが、一時金と年金が併用されている企業が15.0%、退職年金制度のみの企業が7.6%で、合計すると退職年金制度がある企業は22.6%となっています。
8ページ、その退職給付制度の実施状況を従業員規模別に見たものになります。先ほど説明した退職年金制度がある企業が22.6%というのは、青い部分になりますが、2008年37.5%から2013年25.8%、2018年22.6%と低下してきています。それを従業金規模別にみると、赤囲みの部分、従業員規模が300人未満の企業で減少が大きくなっています。
9ページ、退職給付制度の実施状況を制度種類別に見たものになります。確定給付企業年金や確定拠出年金の実施割合は増加していますが、赤囲みの部分、それ以上に適格退職年金の廃止や厚生年金基金の減少の影響が大きく、従業員規模300人未満で特にその影響が大きい状況にあります。
10ページ、OECD諸国における私的年金制度の加入率です。諸外国の加入率については、2月の第1回の部会でも御質問がありましたが、最新の数字は表のとおりになります。OECDによる報告書では、日本の私的年金制度の加入者数は3879万人、生産年齢人口に対する加入率は50.8%とされています。ただし、OECDが各国比較を行う際の私的年金制度の範囲は非常に広くなっております。次の11ページを御覧いただきまして、日本の場合、企業の退職金制度や民間の個人年金保険等も含まれていることに特に留意が必要です。
続きまして、中小企業向けの取組です。
13ページ、中小企業における企業年金の実施率は低いため、DB、DC各制度において、主に中小企業が取り組みやすいよう支援策を実施しています。DBでは、簡易型が約4割を占めますが、DCでは、施行後間もない状況ではあるものの、簡易型の広がりは見られません。
14ページ、DBの導入の障害や実施中の問題について尋ねたところ、「財政的負担」に次いで、「手続き上の負担」が挙げられています。
15ページ、簡易型DBの一つである受託保証型ですが、2つ目の○、掛金計算や財政検証において簡便な方法による数理計算が認められているほか、手続面での簡素化が図られており、2019年3月末時点で1,167件の導入実績があります。
16ページ、その受託保証型の導入手続ですが、
・規約の雛形を登録しているため、地方厚生局への事前相談が不要、
・従来のDBと比べて、制度設計が簡素な仕組みであるため、制度設計の検討から規約の作成まで短期間で済む、
・事業主から委託を受けた受託機関が申請手続を代行できるため、事業主の負担が少ない
といった特徴があります。
17ページ、簡易な基準に基づくDBです。加入者数が500人に満たないDBでは、掛金計算や財政検証において簡便な方法による数理計算が認められており、2019年3月末時点で3,836件の導入実績があります。
18ページ、簡易な基準に基づくDBの規模要件は、2010年に加入者数300人未満から500人未満に緩和しました。これは、約8割のDBが簡易型の対象となり得る水準・ラインになっております。
19ページ、いわゆる総合型DB基金は近年増加しており、2017年度の1年間で89基金から159基金に増加しています。実施事業所は約1万事業所、加入者数は約56万人増加しており、主に中小企業におけるDBの受け皿となっています。
20ページ、続きまして、確定拠出年金・DCです。企業型DCの導入の障害や実施中の問題について尋ねたところ、「財政的負担」に次いで、「加入者への投資教育の負担」「手続き上の負担」が挙げられています。
21ページ、企業がDCを導入しようとする場合、事業主は、導入の意思決定から各種手続で1年程度を要すると聞いております。
22ページ、簡易型のDCです。簡易型DCは、加入者となる者が100人以下の企業年金向けに、制度の対象者や拠出額等をパッケージ化することで、導入時に必要な書類等を削減して設立手続を緩和したものです。2018年5月の施行後、いまだ導入実績はありません。制度を導入しにくい理由として、対象となる規模が小さすぎて特に中退共とのすみ分けが不十分、対象者が第2号被保険者全員とされており役員等を対象外としたいというニーズに対応できないといった指摘があります。
23ページ、DBとDCを比べますと、DBの簡易型の基準は500人未満となっており、DBの約8割が対象となり得る水準・ラインですが、DCの簡易型の基準は100人以下と対象範囲が非常に狭くなっています。
24ページ、中小企業においては、退職給付制度として中退共が既に普及しています。
25ページ、中退共制度の概要で、国、地方公共団体から助成金があることが特徴となっています。
26ページ、企業型DCにおいては、特定の者について不当に差別的でない範囲で、制度の対象者について「一定の資格」を設けることができ、多くの規約において、この「一定の資格」が設けられております。
27ページ、中小事業主掛金納付制度・iDeCoプラスですが、企業年金を実施していない従業員100人以下の事業主が、従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うことができるよう、iDeCoに加入する従業員の掛金に追加的に拠出するものです。従業員の掛金と事業主掛金の合計がiDeCoの拠出限度額の範囲内とすることが必要です。年間27.6万円、月額2.3万円になっています。2018年5月施行以降、300事業主が導入しています。
28ページ、iDeCoプラスの実施に当たっては、拠出対象者や拠出額等について労使合意を得るとともに、拠出対象者本人の同意を得た上で届出書類を提出する必要があります。また、就業規則などの社内規程も見直す必要があります。
29ページ、iDeCoプラスを導入するに当たっては、開始の届出や対象者の届出等を全て手書きで記載の上、紙で提出する必要があり、事務負担が大きく、厚生労働省から国民年金基金連合会にも改善を求めてきた点であります。特に「中小事業主掛金対象者登録届」はiDeCoプラスの対象となる加入者全員を紙に記載する必要があり、事業主にとって大きな負担となっていると指摘されています。
30ページ以降、諸外国の制度を紹介します。
アメリカのIRAは、1974年のエリサ法の施行により創設された個人用の積立勘定で、我が国の個人型確定拠出年金が参考とした制度です。個人が自助努力で老後資金を準備する制度として普及しています。当初、企業年金等でカバーされない個人が対象でしたが、企業年金に加入している労働者も含めて全労働者に適用範囲が拡大されました。拠出金負担者は通常個人ですが、事業主は従業員が設定した個人退職勘定に掛金を払い込むこともできますし、また事業主自身が従業員のために個人退職勘定を設定することもできます。
31ページ、イギリスにおける自動加入制度です。2008年年金法は、退職後貯蓄強化策として、全事業主に自動加入の企業年金を設置することを求めました。下の表の部分、事業主は自らプランを用意しなくても、中小事業主向けに、NESTという自動加入の受け皿が創設され、低廉なコストで実施されているのが特徴です。
32ページ、ドイツにおけるリースター年金制度です。公的年金の給付削減を自助努力で埋め合わせるため、個人年金と企業年金に補足的老後保障制度・個人積立勘定を導入したものです。制度の大きな特徴は、国が補助金を拠出すること、税制上の特別支払控除の対象となっていることです。
続きまして、柔軟で弾力的な設計です。
34ページ、柔軟で弾力的な設計は、企業年金の選択肢を増やし、企業年金の普及・拡大に資するものです。伝統的な給付建て・DBでは、運用のリスクが事業主に偏る一方、伝統的な拠出立て・DCでは運用のリスクが加入者に偏ることとなり、給付建て・拠出建ての二者択一では、労使のどちらかにリスクが偏る構造となっています。最近の企業の動きとしては、給付建てはリスクが大きいとして、拠出建てへ移行する傾向があります。そこで、こうしたリスクの偏りをなくし、労使でリスクを分け合うことができる仕組みとして、我が国では「キャッシュバランスプラン」や「リスク分担型企業年金」を導入しています。
35ページ、諸外国においても、「事業主と加入者でリスクを分け合う」という視点から、確定給付型と確定拠出型双方の特徴を持つ制度が導入又は検討されており、企業年金における柔軟で弾力的な設計は世界的な流れとなっています。
36ページ、キャッシュバランスプランは、あらかじめ定められた拠出額と指標による利息額との合計額を「仮想個人勘定」に累積し、それを原資として給付額が決まる仕組みです。確定給付企業年金制度に位置づけられていますが、確定給付型と確定拠出型双方の特徴を併せ持ちます。
37ページ、キャッシュバランスプランの導入状況ですが、確定給付企業年金又は厚生年金基金を実施している企業の16.7%が、企業規模1,000人以上でみると26.5%がキャッシュバランスプランを導入しており、大企業を中心に広く普及しています。
38ページ、企業年金連絡協議会から、「協働運用型DC制度」や「元本保証付協働運用型DC制度」の創設が提案されています。
39ページ、企業年金連絡協議会から提案されている「元本保証付協働運用型DC制度」は、積立金の運用実績を指標とするキャッシュバランスプランに、「協働運用型DC制度」は、元本保証を外した仕組み、ただし現行はこれを認められていないわけですが、そのような仕組みに類似していると言えます。
40ページ、リスク対応掛金です。従来のDBでは、不況などで積立不足が生じたとき、事業主に追加の掛金負担が生じます。このため、将来発生するリスクを算定し、労使の合意によりその範囲内においてあらかじめ掛金・リスク対応掛金を拠出し、不況時の追加拠出を不要とすることで、より安定的な運営を可能とするものです。2017年1月施行後、206件の導入実績があります。
41ページ、従来は、財源が給付に一致している状態を「財政均衡」の状態としており、積立金の増減が積立剰余や、積立不足の発生・掛金増加に直接結び付く仕組みでした。これに対し、リスク対応掛金の制度導入により、あらかじめ給付に必要な額以上の財源の手当が可能となりました。「将来発生するリスク」の範囲内にある限りは「財政均衡」の状態となり、従来に比べて積立剰余や積立不足の発生しにくい安定的な財政運営が可能となりました。
42ページは、リスク対応掛金の制度導入後の積立剰余・積立不足の状態のイメージ図です。
43ページ、続きまして、リスク分担型企業年金です。リスク分担型企業年金は、あらかじめリスク対応掛金に相当する分を上乗せした固定の掛金を負担することにより事業主が一定のリスクを負い、一方で、財政バランスが崩れた場合に給付の調整を行うことにより加入者・受給者が一定のリスクを負うといった形で、労使でリスクを分け合う仕組みです。2017年1月施行後、9件の導入実績にとどまっています。
リスク対応掛金やリスク分担型企業年金は、制度は施行したものの、当部会のヒアリングでも意見が出ていますが、様々な指摘をいただいており、改善が求められています。
44ページ、まず「将来発生するリスク」の算定方式です。リスク分担型企業年金以外のDBでは、「将来発生するリスク」は、将来の積立金の価格変動による積立金の減少を想定し、資産区分ごとの資産額に「所定の係数」を乗じた額の合計額に基づき算定します。これを「標準算定方式」と言います。このほか、厚生労働大臣の個別の承認を得て、DBの実情に合った算定も可能となっています。これを「特別算定方式」と言います。
45ページ、リスク分担型企業年金の場合も、「将来発生するリスク」の算定方式には「標準算定方式」と「特別算定方式」があります。リスク分担型企業年金は最初に設定した掛金を固定する仕組みであることから、より慎重に、将来の積立金の価格変動により積立金が減少するリスク、先ほど見ていただいた価格変動リスクになりますが、これに加えて、今後の金融経済環境等の変化に伴い予定利率が低下するリスク、予定利率低下リスクについても見込みます。
46ページを御覧ください。今、見ていただいたように、リスク分担型企業年金では、「将来発生するリスク」の算定に当たって予定利率低下リスクを見込むことが「標準算定方式」となっていますが、それ以外のDBでこれを見込む場合は「特別算定方式」となり、厚生労働大臣の個別の承認が必要となります。この「特別算定方式」に係る承認手続は、リスク対応掛金を拠出するための規約変更に先立って行う必要があり、リスク分担型企業年金同様、「標準算定方式」に位置づけ、それを織り込むかどうかはDBの任意の選択とすれば、「特別算定方式」の二度手間の手続が不要になるという指摘があります。
47ページ、従来のDBでは、給付設計の変更を行う際、給付現価や最低積立基準額が減少する場合に給付減額と判定しています。給付減額と判定された場合は、手続要件として、給付減額に該当する者の個別の合意等を得ることとなっています。
48ページ、リスク分担型企業年金では、給付水準である給付現価が減少する場合に加えて、掛金の変更で掛金収入現価が減少する場合も、財政バランスの変化を通じて減額調整が生じる可能性が高まるため、給付減額と判定しています。
49ページ、従来のDBからリスク分担型企業年金への移行時は、給付の性質を大きく変更するものであるため、給付減額と判定しています。
50ページ、この移行時において、「給付の原資、すなわち2の積立金と3の掛金収入原価を加えたオレンジの水準」が「1の給付現価に、将来発生するリスクの2分の1を加えた赤い破線の水準」を上回っている場合は、その後の資産の価格変動等を考慮すると、減額調整よりも増額調整が生じる可能性が高いため、給付減額手続のうち個別の同意等は不要としています。
51ページ、一方で、リスク分担型企業年金導入後の企業年金の合併時、これは事業所の追加時を含みますが、絵の部分を御覧いただきたいと思います。合併前のA企業年金について、「1の給付現価100に、将来発生するリスクの2分の1の30を加えた赤い破線」を基準ラインとして、「給付の原資、すなわち2の積立金と3の掛金収入原価を加えたオレンジの部分145」が基準ラインを超過する分15について、「1の給付現価100」に対する比率0.15、赤い部分ですが、この率の増減をみて、この率が低下する場合は給付減額と判定しています。
例えば、給付現価に対する基準ライン超過分の比率が0.1のB企業年金と合併しても、マイナス0.2のC企業年金と合併しても、いずれもA企業年金より数値が劣る企業年金と合併したり、事業所を追加したりすれば、A企業年金の0.15という数値は必ず低下します。AとB双方が全く同じ数字でない限り、合併時はAかBどちらかは必ずこの率が低下するという状況になっています。
右側の合併後のケース1の絵を御覧いただきまして、この絵のように、「給付現価200に将来発生するリスクの2分の1の60を加えた赤い破線」を「オレンジの給付原資」が上回っている場合、この絵ですと25上回っているわけでありますが、この場合、先ほど説明したリスク分担型企業年金への移行時は、給付減額ですが、個別の同意等は不要になっています。一方、合併時・事業所追加時には、給付減額であることは同様ですが、個別の同意が必要と、取扱いが異なっており、改善を求める指摘があります。
52ページ、従来のDBにおいては、最低積立基準額は、各加入者等の現時点までの加入機関に見合った給付・最低保全給付の現在価値から算出します。一方、リスク分担型企業年金は、最初に設定した掛金を固定して追加の掛金拠出を行わないため、財政検証時における最低積立基準額は、積立金の額と一致するよう水準の調整が行われる仕組みが内包されています。財政状況が異なる企業年金同士が合併する場合、事業所追加の場合も含みますが、財政状況が良い方の企業年金では必ず最低積立基準額が減少することとなりますが、この合併時における最低積立基準額の取扱いについて、現在、制度上の手当てがなされておらず、改善を求める指摘があります。
53ページ、DBの給付設計について、勤続期間に応じて給付額は増加していくものの一定の勤続期間を超えると増加幅は緩やかとなるS字カーブを描くことがあります。定年延長に伴って支給総額が増える場合であっても、その増加に対して、定年延長に伴う割引の方が大きい場合は、給付現価が低下します。給付減額と判定された場合は、手続要件として、給付減額に該当する者の個別の同意等を得ることとなっています。
54ページ、給付減額を行う場合には、規約変更の申請書類に「給付減額に係る同意を得たことを証する書類」の添付が必要となっています。「給付減額に係る同意を得たことを証する書類」は、同意書の写しとしており、給付減額の対象となる加入者や受給者の自署と押印を求めています。
少し戻っていただきまして、47ページを御覧ください。左の下の箱の一番下のポツ、加入者の3分の2以上の個別同意を取得する必要がありますが、加入者の3分の2以上で組織される労働組合がある場合は、当該労働組合の同意で代替可能ですが、このような組合がない場合、企業によっては個々の加入者の何万人にも上る署名と押印を厚生労働省に提出しなければならなくなります。今後、多くの企業で定年延長・支給開始要件の見直しがなされるであろう中、改善を求める指摘があります。
55ページに移っていただきまして、我が国のDBは、退職一時金と老齢給付一時金が同額となるよう設計するとともに、年金として受け取ったとしても、退職一時金相当額が保証されるように設計するのが一般的です。このような設計を行う場合、保証期間部分を超える終身部分の年金現価相当額は、企業が負担することになりますが、平均余命の延伸に伴ってこの負担は増加します。
56ページ、DBの保証期間は、現在、20年が上限とされています。平均余命は総じて増加傾向にあり、1985年、これは保証期間上限を20年に設定した1989年当時における最新の完全生命表の時点になりますが、この時点と比べますと、2015年時点では男性で4歳強、女性で5歳強延伸しています。
57ページ、DBの給付は、あらかじめ規約で給付額の改定ルールを定めることが認められています。上の絵の部分のように、現行は、年金支給開始後一定期間が経過したときに、例えば定率2分の1を乗じるといったことが認められているのですが、給付額の改定ルールの一つとして、真ん中の絵のように、死亡率低下に伴い給付現価が増加するような場合、青い部分の給付現価の面積が変わらないよう調整率を算出し、その調整率を個人の給付額に乗じて調整する方法が考えられるのではないかと、日本年金数理人会から提案をいただいています。
59ページ、年金バイアウトです。年金バイアウトは、DBの実施者が年金資産と負債を生命保険会社などの他者に移転し、その後の給付を他者が引き継ぐ仕組みです。イギリス・アメリカでは、確定給付型のリスクやコストの増大から確定拠出型への移行が顕著ですが、その際、「年金バイアウト」の手法を活用する取組が進んでいます。
60ページ、DBの実施者が、保険会社などの他者にバイアウト・プレミアムを上乗せした額を保険料として支払った段階を「年金バイイン」と言い、DBの実施者は、給付の原資を保険会社から受領し、加入者・受給者に年金又は一時金の支払いを維持します。年金バイインの実施後、DBの終了・解散の手続が完了すると、母体企業の財務諸表からオフバランスされます。この段階を「年金バイアウト」と言い、保険会社が加入者・受給者に年金又は一時金の支払いを行うことになります。
61ページ、我が国では、現行、DBが制度終了する場合には、制度終了時の加入者や受給者は残余財産分配金を一時金として受け取ることになります。この分配額が少なくとも最低積立基準額以上となるよう、非継続基準による財政検証を行っています。一時金ではなく年金として受け取りたい場合には、制度終了時の加入者・受給者は清算人に対し、企業年金連合会が実施する通算企業年金に残余財産の移換を申し出ることで、分配金を年金化することができます。
このような仕組みがあるほか、我が国のDBは終身年金が少ないといった事情や、過去債務分を含めてDBをDCに移換できますので、バイアウトが普及している国とは環境が異なっています。
62ページ以降、企業年金に対する税制です。公的年金については、拠出時は企業拠出は損金算入、本人負担は社会保険料控除を適用し非課税、運用時も非課税とし、給付時に課税する考え方となっており、代行部分を有する厚生年金基金は公的年金に準じた取扱いとなっています。
他方、厚生年金基金以外の企業年金については、拠出時において企業の経費・損金算入とする一方、直ちに従業員に対する給与所得として課税する方法も考えられますが、拠出時においては、従業員にとっては、年金の受給権は発生しておらず、このような状況下で課税することは適当でないとの判断の下、所得税の課税を受給が確定するまで繰り延べることとしているものです。
本来、拠出時に給与所得として課税すべきところ、これを繰り延べると、企業拠出部分とその運用益部分について、非課税の「たまり」ができることとなります。
この非課税となっている企業拠出部分とその運用益部分について、従業員の所得としての課税は年金受給時に行うことによる、その期間の繰り延べによる利益、すなわち、税金の納付を延長するための利益相当部分を、年金積立金を運用する法人に課税するのが、導入当時の特別法人税課税の考え方です。
特別法人税については、現下の金融市場の状況、企業年金の財政状況等を踏まえ、1999年度から課税停止の措置が繰り返されていますが、今年度末に課税停止の期限を迎えることとなります。
63ページ、DBについては、公的年金と相まって老後の所得保障を行うという公的年金の補完としての目的の下、積立義務など受給権保護のための措置がとられていますが、適格退職年金並びの税制上の措置とされています。DCについては、受給開始可能年齢を60歳以上とするとともに年齢到達前の中途引き出しを原則禁止するなど、単なる貯蓄とは異なるという年金性を担保する要件を課すことで、確定給付型の年金と同等の税制上の措置とされています。
他方で、かつて特例退職年金制度というものがありまして、拠出時非課税、運用時非課税、給付時課税という厚生年金基金と同じような税制上の措置がとられていたわけですが、これは給付設計、特に終身年金に着目して、厚生年金基金に準じた税制上の措置がとられていました。
64ページ、企業年金の性格論や給付設計とは切り離して、企業年金の普及・拡大の観点から、特別法人税は廃止すべきとの主張があります。諸外国では、拠出や給付のいずれかにおいて課税されているのが実態であり、我が国では給付時に控除が手厚いのが現状で、平成31年税制改正大綱にも、「拠出・運用・給付の各段階を通じて課税のあり方について、公平な税負担の確保等の観点から検討する必要がある」とされております。
長くなりましたが、私からの説明は以上とさせていただきます。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
既にこの問題については委員の皆様方、それから、関連団体から御意見を頂戴しておりましたので、それについて要領よくおまとめいただいた上に、さらにそれを深めるべく普及・拡大にかかわって考慮すべきさまざまな論点を網羅的に御説明いただいたところでございます。今日は自由に御議論をいただきたいと思いますので、御説明いただいたことに関する御質問を含め、どなたからでも結構でございます。
大江委員、どうぞ。
 
○大江委員
御説明どうもありがとうございました。
中小企業向けの取組のところで、今回の御説明の中ではDCの総合型というものについて触れられておりませんでしたが、小規模企業の多くが実はこの総合型というものを利用しておりますので、これについて皆様と共有させていただきたいと思いまして、お話しさせていただきたいと思います。
企業型の確定拠出年金・DCは、3月末で実施している規約が約6,000ございますけれども、その規約に参加している事業主が約2万7000社ございます。これらの事業主は代表ではないという意味で、通常、非代表事業主と呼ばれております。
私どもが2017年に行った調査では、非代表事業主というのは、半数以上が従業員50人未満の企業でした。代表の事業主さんは半数以上が300人以上の事業主さんですから、非代表は非常に小さい規模の事業主が多いという実態がございます。さらに、この非代表事業主の6割が総合型でしたので、確定給付同様に、DC・確定拠出のほうでも、総合型というのが既に小規模企業の受け皿になっているという実態がございます。簡易型につきましては、正直、ニーズがほとんどなく実績もないと思われることから、私はこの際、簡易型は廃止してしまってもいいのではないかと思っております。
一方で、非代表事業主は、継続教育について、今のところ実施する予定はないと多くが回答しておりまして、特に従業員50人未満の小規模企業では50%以上、100人から500人未満といったところの中規模でも40%以上の事業主がこのような回答をしておりまして、これはとてもゆゆしき問題だと思っています。
この非代表事業主の導入の件数は、2015年以降急増しておりまして、この時期、事業主側の社会保険料負担軽減、それから御本人の所得税、社会保険料負担軽減を目的とした導入、俗に「給与内枠選択制」と呼んでいるような確定拠出の仕組みが広がった時期と重なっております。こういう事業主さんでは企業型DC導入に伴う事業主の責務というものが事業主自身によく認識されていないのではないかということを危惧しております。
逆に、資料の20ページ、企業型DCの導入の障害という部分で、赤枠で囲んでいただきました「手続き上の負担」の上に「財政的負担」「加入者への投資教育の負担」というのがございます。その割合の方が高いということは、本来的な企業型の事業主としての責務が理解されている証でもあるので、私は決してこの結果は悪いことではないと思っています。さらに、この障害は、企業型という枠ではなく、iDeCo、iDeCoプラスを活用することで解決が可能ではないかと思います。なぜならば、iDeCoプラスであれば、口座管理料などの制度運営費は加入者本人が負担をしますし、加入者教育の部分は運営管理機関がその役割を果たすという仕組みになっているからです。
ですので、iDeCoにつきましては、御説明にもありましたけれども、手続簡素化という意味で電子化の部分は本当に一刻も早く進めていただくことが必要だと思いますし、中小のところの公的年金の補完という仕組みはiDeCoも含めた、ほかの制度も含めて整えるということで、いいのではないかと思います。
 
○神野部会長
ありがとうございました。
現時点でコメントがあれば、お願いします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
法律上は、事業主は単独又は共同してDCを設立することができるという形になっておりまして、その中の共同型に、いわゆる総合型と称しているものがあるのだろうと思います。
今、規約の承認件数が6,161件ありますが、単独1社で設立している企業は約6割の3,646規約になっておりまして、それ以外は全て共同型という形になっています。
そのような中、DCについては、事業主は単に事業主掛金を拠出すれば済むというわけでは決してなくて、投資教育、運管評価など各種の受託者責任を果たしていただくことが当然必要になります。総合型DBではガバナンスが問題になったわけでありますが、DBは財政責任を負うわけでありますが、DCについては、ある意味、プロセス責任と言いますか、投資教育等の責任を果たしていただくことが大事になると思います。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
内田委員、どうぞ。
 
○内田委員
御説明ありがとうございます。労働側の内田です。私からは、1点要望と1点質問がございます。
スライド19で御説明いただきましたとおり、総合型企業年金基金が近年増加していることが資料で示されておりますが、総合型DBのガバナンスについては2016年の改正法で一定の改正がなされたことで、今後も適切な運用がなされることが重要であり、総合型DBは中小企業への企業年金の普及という意味で一定の役割を果たしていると考えております。
とはいえ、普及の観点からしますと、資料のスライド9にありますとおり、2008年と2018年を比較しますと300人未満の企業におけるDBの実施割合につきましては低水準にとどまっていると見えます。今後の議論に当たって、総合型DBのガバナンスの実効性を確保しつつ、さらなる普及・拡大を進めていくために、どのような課題があるかを整理していただければと思っております。
もう一つ、質問になりますが、スライドの32にありますドイツにおけるリースター年金制度についてです。こちらは国からの補助金があるということですが、そのカバレッジはどの程度あるのかを教えていただければと思います。それから、日本でも中退共には期間限定というものがあるかと思いますが、国からの掛金への補助があり、このような掛金への助成が企業年金の普及に当たってどのような政策的な効果があるのか。海外を含めて、先行研究とかこれまでの調査結果などがあれば教えていただければと思います。
以上、2点です。
 
○神野部会長
よろしいですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、総合型DBのガバナンスにつきましては、先の改正で、代議員の選定基準の強化、監事監査の充実や会計の正確性の確保を図るためのAUPの導入等の取組を行いました。そのレビュー・検証作業というものは、次回以降、この部会でも取り扱っていきたいと思っております。
御質問いただいた件でありますが、ドイツのリースター年金ですが、税額の控除は課税の人しか恩恵を受けられないので、まさに低所得者を念頭に補助金というものが仕組まれたと理解をしています。具体的な数字を持ち合わせていないので調べてみたいと思いますが、リースター年金については期待していたほど低所得者の加入率が高くなっていないという反省で制度改正を検討し、見直したという動きがあったと承知していますので、これも調べて提供したいと思います。
日本の中退共については、制度として補助金があるわけです。日本の企業年金はまさに退職金由来の制度でありまして、ある意味、中退共も含めて俯瞰して考えることも可能と思います。そうしますと、補助制度というのは、中退共にあり、DB・DCにはないという形になっておりまして、財源の問題や企業年金の性格論等とも絡んだ議論が必要と思います。
 
○神野部会長
いいですか。
 
○内田委員
ありがとうございます。
 
○神野部会長
井戸委員、どうぞ。
 
○井戸委員
ありがとうございます。御説明もありがとうございます。
私のほうからは、御質問が2点と御提案を2点させていただこうと思います。
13ページから、中小企業向けの取組の資料になっているのですけれども、資料を拝見すると、100人と300人と500人というのがいろいろ出てくるのですが、中小企業の定義とか根拠をお示しいただけるとありがたいです。
それから、15ページと21ページには、普及の際に事業主の手続上の負担があるというふうにお示しいただいているのですけれども、23ページの簡易型DCですが、大江委員からは廃止したらいいという案もございました。まだ実績がないのでお答えしづらいかもしれないのですが、この表の通常の企業型と簡易型と比べた場合、手続とか時間はどのぐらい違うのかというのが、少しイメージがわかるといいので、教えていただきたい。
私は、ここは役員を対象外にしたいのに、みんな入ってしまうというふうに書いてあるのですけれども、アルバイト・パートさんでも30時間働くと厚生年金に入るわけですが、通常のDBとかDCだと規約で外されることが多いので、ここはみんな入るという点ではいい制度ではないかと感じております。
御提案のところなのですが、29ページのiDeCoプラスですけれども、手続に3~4カ月かかると聞いているのと、それから、導入手続が手書きであるということなので、電子化をまず早急にしていただきたい。それから、時間がなるべくかからないようにしていただきたいというのが御提案です。
最後ですけれども、企業型の事業主による運営管理機関の評価というのが2019年7月から始まります。片やiDeCoのほうですけれども、iDeCoプラスもそうなのですが、運営管理機関の選び方はすごく難しくて、いろいろ運営管理機関も差があると思います。手数料であるとか、商品のラインナップであるとか、あるいはサポート体制というので一応比較しますけれども、サポート体制といっても実際のところ利用しないとわからないという面もあると思います。ですので、選びにくいことが多いと思います。みんなが老後、お金を抱え込まなくて済むように安心して長い老後を送れるようにするということが目的でございますので、この運営管理機関が今後、もしかしたら撤退をするとか、他社へ移換するというようなことがあると、個人型で入っている場合、すごく影響が大きいと思うのです。
なので、国基連さんのほうで何かしら、例えば加入者数を公表するなど、より選びやすい内容をお示しいただけるととてもありがたいと思います。
済みません。長くなりました。よろしくお願いします。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
質問について。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、中小企業の定義ですが、中小企業基本法において、一般業種で300人以下、卸売業・サービス業で100人以下、小売業で50人以下とされていると承知しています。DBの簡易型基準は、制度創設時、一般的な中小企業を念頭に、この300人という数字を使って設定していました。それが、資料にありますように、2010年に加入者数を300人から500人未満に基準を引き上げたわけでありますが、これは当時、2012年3月末までに廃止が決まっていた適格退職年金からDBへの移行を支援・促進する観点から引き上げたと承知しています。中退共に入ることができる基準は、まさに中小企業の定義に該当することですので、一般業種では300人以下である必要があります。簡易型のDBは、それより大きな規模にするという観点から300人を500人に引き上げたということです。
一方、DCの簡易型基準は100人と設定しているわけですが、これは先の改正で実現しました。中小企業の実施率が課題となっている点を、この部会の前身である企業年金部会でも御議論いただいて、中小企業向けの取組が重要だという指摘をいただき、税務当局との調整もあり、100人という基準で設定したものと理解をしています。
中小企業向けには助成金があるなど大きな特徴がある中退共が既に定着している中、DCの更なる普及・拡大を図るためには、中退共と同程度、もしくはそれより大きい基準で簡易型基準というものを設定していく必要もあろうと思っています。
簡易型DCですが、これにより手続がどれぐらい短くなるかという御質問がありました。簡易型DCは、通常のDCと比べて制度設計をシンプルにするために、対象者を2号被保険者全員にし、併せて事業主掛金は定額一本とパッケージ化したわけでして、書類のシンプル化と行政審査のシンプル化を実現したというものです。この点、加入資格に選択の余地がなくてパッケージが厳し過ぎるので、制度導入に踏み込めないという指摘があるのは事実でして、それを見直すかどうかは御議論いただければと思います。
どれぐらい期間が短くなるかというのは、定量的には申し上げにくいのですが、審査がシンプルになっておりますので、意思決定から申請までしていただければ、その後は短期間で速やかに承認ができるものと考えています。
もう一点、運営管理機関の選択のお話をいただきましたので補足させていただくと、企業型DCについては、事業主が運管を1つ選んで、従業員は選択の余地なくその運管からサービスを受けるという形になります。一方で、iDeCoは個人が運管を選ぶことができるといった大きな違いがあります。
企業型DCについては、事業主が単に長年の取引関係上の理由等から選択するのではなくて、手数料やサービス内容の水準を比較考量して、運管と対話を通じて運管サービスの向上を努めるという趣旨から、先の改正で、事業主による運管評価というものが制度上位置づけられたわけです。
これは個人型の運管は対象になっていません。iDeCoの実施主体で、限度額や被保険者管理をやっていただいている国民年金基金連合会にはその義務はかかっていないという状況になっています。
一方で、競争環境下にあるiDeCoの運管を国民が適切に選択していただくかというのが大事になりますので、国民年金基金連合会のホームページにおいては、運管から提供のあった手数料、運営商品などの情報を掲載していただいています。ただ、この開示方法については、今、各運管を比較できないような形になっていて、ある運管を見るときにはここをクリックして、ある運管を見るときはこちらをクリックするというような形になっています。これについては改善を図るべきではないかという指摘も国民年金基金連合会には寄せられているものと承知しております。
更に7月から企業型と個人型の運管については、自身のホームページで、運用商品の公表・開示もしなければいけない形になりましたので、これら様々な情報をもとに、iDeCoの加入者については、運管を、例えばアドバイザーの意見を聞きながらでも選んでいただくことが必要になると思っています。
 
○神野部会長
ありがとうございました。
次に、金子委員に御発言いただいた上、小林委員に御発言いただきますので、よろしくお願いします。
 
○金子委員
金子でございます。
大江委員から先ほど御指摘がありましたように、いろいろ制度をつくってみても、見込みのなさそうなものと見込みのありそうなものがあって、見込みのなさそうなものは余り考えてもしようがないのではないかといような御指摘がございました。私もそれは同感です。ただ、例えば簡易型DCがそれに当たるかどうかというのは、ちょっと皆さんの考え方によって違う可能性があるので、一般的に見込みがなさそうであると判断されるのであれば、無理して何か工夫する必要はないのではないかと思っています。
一方で、見込みのありそうなものがあって、それについてはもう少し積極的に改善を図っていく必要があるかなと思っています。いろいろ数字を御説明いただいた中で一つ注目したのが、大江委員も御指摘されていましたiDeCoプラスでございまして、1年足らずの間にそこそこの実績を上げているのかなと思っています。届け出の電子化などで事業主の事務負担を減らすことを考えているとのことですが、まさにそれは非常に重要だと思います。
iDeCoプラスについてはさらに積極的に改善を考えていくべきだと思っています。例えば幾つかの団体で御提案があったと思いますけれども、従業員の基準のところです。今、100人以下となっているのですけれども、こんなに有望なのであれば、もう少し柔軟に考えてもいいかなと思っています。特に今回の資料でいいますと、8ページか何かで何度か御提示いただいている資料などを見ましても、この資料で言うと299名以下の従業員のところで年金制度を持っていない企業が増えているという指摘もございますので、最低でもそこら辺まで含めてもいいのかなと思っています。
もう一つ、iDeCoプラスについて、これはまず質問なのですけれども、27ページの資料によりますと、拠出額のところに、資格に応じて額を階層化することは可能と※で書かれているのです。私がある金融機関の方から聞いた話によりますと、例えば役職に応じて事業主が負担する掛金を変えられないということを聞きかじった覚えがございまして、これがどうなのか。ここもちょっと、記載からはそのようには読めなかったので、それはどちらが正しいのか。私は単に聞きかじっただけなので、あるいは記憶違いかもしれませんけれども、そこをちょっと教えていただけたらなと思っています。
 
○神野部会長
いいですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず御質問に答えると、職種等に応じて階層化することは可能ですので、研究職の方は幾らとか、そういう形は可能になっています。
 
○金子委員
例えば、課長職だとかによって変えることも可能だということですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
資格ではないので、だめです。
 
○金子委員
企業型では標準的なパターンだと思いますが、そういう標準的なパターンについては、iDeCoプラスでも認めてあげてもいいのかなという気がしています。何かちょっとそれを認めることによって一部の加入者が著しく不利益を被るというようなことが想定されているならば、別だとは思うのですけれども、それを踏まえてもそんなことないというのだったら、一般の企業型DCで行えているようなことについては認めてあげると一層その普及に弾みがつくのかなと思いました。
もう一つ、DCの話ではなくて、資料のリスク分担型の企業年金についてです。51ページのケースは御丁寧に御説明いただいたので、誰しも感じたのではないかと思うのですけれども、合併時の対応に当たって確かにおかしいなと。これが移行時であれば問題にならないような、同意をとらなくていいようなものが、合併時にどちらかの企業が加入者の個別同意をとっていくのはちょっと酷なのかなと思っています。そもそものところに立ち返り、移行時の基準ラインを例えば超えているのであれば不要にするだとかいうことは検討してもいいのかなと思いました。
以上でございます。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
コメントはいいですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
金子委員が御指摘のとおり、企業型の普通のDCについては掛金を階層化するのは、ごくごく普通にやられていますので、iDeCoプラスでもそのような取組ができるかどうかというのは、事務負担の問題等もあるかもしれませんが、検討課題の一つと思いました。
さきほどの金子委員の御発言にありました、中小企業の定義は、先ほど井戸委員に御回答したとおり、一般的に300人というのが一般のラインで置かれています。資料の8ページの赤囲みで表記をさせていただいますが、300人未満の部分の実施率が特に落ちていると我々も認識をしている部分ですが、今の簡易型のDC、iDeCoプラスについては、税務当局との調整もあって100人以下となっておりますので、この部分は引き続き検討をしていくべき点かと思っております。
 
○神野部会長
小林委員、どうぞ。
 
○小林委員
私からは3点申し上げます。
まず1点目は、iDeCoプラスについてです。先般のヒアリングの際にも要望いたしましたが、企業型DCを実施している経団連会員企業の従業員からもiDeCoへの加入を希望する声が上がっています。iDeCoについては、iDeCoプラスを実施できる企業の人数要件や、企業型DC加入者のiDeCo加入要件見直しも、重要な課題であると思います。加えて、先ほどより意見が出ているように、本人及び事業主の事務負担軽減等を一体で御検討いただき、個人の自助努力の支援をさらに拡充するとともに、雇用や働き方の変化を踏まえた柔軟な対応が可能となるように、環境整備をお願いいたします。
2点目ですが、リスク分担型の企業年金における給付減額についてです。今日御説明いただいた資料では、企業年金の合併を例に挙げていただきましたが、複数事業主で制度を運営するような場合で、順次制度移行を進めていくケースや、あるいは制度内の事業主間で合併や再編が起こる場合も、同様の課題がしばしば起こり得ると認識しております。
今後、検討を進めていただく際には、そうした合併以外のケースも視野に入れていただきたいと思います。
また、53ページにある定年延長に伴う確定給付企業年金の給付減額についてですが、同意取得手続だけでなく、減額の判定基準についても緩和を御検討いただきたいと思います。これまでも申し上げていますが、企業にとって、企業年金は、従業員に対する報酬・福利厚生制度の一つであり、定年延長等、前提となる雇用のあり方や制度が大幅に変わる場合には、当然、各社における人事処遇制度全体のあり方をトータルとして労使で議論して、見直すことになるかと思います。
基本的に、60歳以降の雇用と企業年金は、一体的に表裏一体のものとして考えるべきで、企業によっては、定年を引き上げても退職時の支給額はそのまま維持することを選択する場合もあるのではないかと思います。雇用と企業年金を複眼的に考えなければならない企業の努力や選択が、阻害されないように御配慮をいただきたいと思います。
最後に税制の関係ですが、資料の61ページ目以降に記載のある特別法人税については、企業年金・個人年金の普及促進の観点から、繰り返しとなりますが、改めて廃止をお願いしたいと思います。
資料の最終ページで引用されている平成31年度税制改正の基本的な考え方の中に、諸外国の制度も参考に包括的な見直しを進めると記載があります。また、前回部会で穴埋め型の議論もあり、税制については今後も議論されていくと思いますが、その際は、確定拠出の枠組みだけではなく、水準の議論もセットで行う必要があると思います。例えば、諸外国では掛金の限度額の水準が日本とは大きく違っているなど、前提が異なる中で、枠組みだけを議論することは避けるべきではないかと思います。
私からは以上です。
 
○神野部会長
特にコメントはいいですか。
ほかにいかがでございますか。どうぞ。
 
○小川委員(代理出席 安達様)
小川の代理で出席させていただいております、年金数理人会の安達でございます。私のほうから3点ほどコメントさせていただければと思ってございます。
まず1点目でございますけれども、これは先ほど金子委員からも御報告がございましたが、51ページ目のリスク分担型の改善の点でございます。この51ページに記載があるとおりでございまして、企業年金を持つ企業同士の合併におきましては、どうしても両社の財政状況が全く同一であるということは普通あり得ませんので、財政状況が総体的に良好な企業年金のほうが従前よりもどうしても若干悪化してしまって、給付減額と判定されてしまうということで、この資料の記載のとおりだと認識してございます。もちろん受給権保護には十分留意が必要でございますけれども、ここの資料にありますように、ケース1のように従前より悪化するものの、なお財政状況が良好と判断できるような場合につきましては、この減額判定の取り扱いを緩和することも考えられるのではないかということで、まさに金子委員と同じ考えでございます。
また、資料の1行目に「事業所の追加時を含む」とございますけれども、一方の企業が企業年金を持たない場合の合併についても同様に考えることができるのではないかと思ってございますので、御検討を今後していただければと認識してございます。
続きまして2点目、53ページ、これは先ほど小林委員から御指摘ありましたけれども、同じように、今度はDBの改善のところでございますが、今後本格化すると思われる定年延長の取り扱いということでございまして、これもまさに小林委員におっしゃっていただいたとおりだと思っております。定年延長に伴って支給総額が減額していないような場合につきましては、減額の定義を変える余地というものすら、少しあるのではないかと考えている次第でございます。
3点目でございますけれども、最後、ちょっとテクニカルな話にもなってしまいますが、57ページ、当会のほうで前の3月19日のヒアリングのときにも提案させていただいている内容、これもDBの改善についてでございます。上段の箱の1行目に、DBの給付はあらかじめ規約に具体水準を規定することに加えまして、ここに記載のとおりで改定のルールを定めることもできるようになってございます。例えば、今日の資料でも前のほうにございましたけれども、キャッシュバランスプラン等では、国債の利回り等で再評価する仕組みをあらかじめ規約に定めておきますと、将来の金利リスクを一定抑制することが可能になる。このような仕組みが既に導入されているということでございます。
一方で、終身年金でございますけれども、将来の金利リスクに加えまして、やはり死亡率リスクというのも大きい仕組みになっているということでございまして、将来の死亡率のところで給付を調整する仕組みも認めていただけるような、こういったものを導入するような仕組みを入れていただきますと、一定死亡リスクも抑制することができるのではないかと考えてございます。
このような仕組みを導入することで、終身年金が普及する可能性、これはあくまで可能性だとは思いますけれども、こういったものが高まるのではないかということで、ぜひともこういったものも御検討いただければということでございます。
以上、3点でございます。ありがとうございました。
 
○神野部会長ありがとうございます。
伊藤委員、どうぞ。
 
○伊藤委員
相変わらず今回もまだクリアな意見が言える状況になっていないものですから、幾つかの問題意識を言わせていただこうというところです。
まず、今回、普及の議論ですけれども、資料1「ヒアリング等における主な意見」の7ページの上のほうに部会委員ということで2つ目の○のところに書いてくださっているように、給付の十分性と制度の普及の間でトレードオフがあるということを認識して進める必要がある。まさにそのとおりだと思っていて、今日は普及ということですけれども、資料2の7ページを見ると、給付水準が下がってきているということが見てとれます。こういう状況にあって、さらに普及・拡大ということを考えて不安定な要素を入れることになると、公的年金の補完機能が強く求められる中でその機能が不十分になるおそれがあるというのがまず1点です。
あと、22ページの簡易型DCですけれども、これは実績がないということで、中退共とすみ分けが不十分ということなのですが、必ずしもそう読むのですかね。23ページで見ると100人以下のところが少ないというのは確かですけれども、中退共のほうは50人以下がすごく多くて、DCのほうは51人以上のところはそれなりに増えているということで、これをどのように評価するかなというところでありますが、やはり中退共が選択されているというのは合理的な選択が行われているのだろうと思います。補助金つきだし、簡単だし、投資教育は要らないし、手数料は安いし、当然なのではと思っています。51人以上のところがだんだん増えてきているところですので、時間をかけてもう少し評価をしていけばいいのではないかと思います。
それから、43ページ、リスク分担型のところで、御説明の言葉尻を捉えるような感じになってしまいますけれども、リスク分担型が9件しかないとおっしゃっていましたが、企業年金の選択は自由ですし、労使自治で決めていくわけです。私たち連合としては、リスク分担型については、一定の企業側の負担を超えた部分は加入者のほうが給付でリスクをとるということが、退職給付の性格上課題が大きいと認識しているから、そこは当該労使で十分考えてくださいねと申し上げているということもありまして、少ないと評価することには違和感があります。
34ページについても、DCとDBを比較して、労使のどちらかにリスクが偏る構造となっているというような説明をたびたびされるのですけれども、DBとDCの制度は性格を異にするものとしてつくられたわけです。39ページの提案もございますけれども、DBとDCを曖昧にし、境をなくしていくことが世界の潮流といった説明もあるのかもしれませんが、加入者にとっては、性格が別の制度だと理解してきているので、混乱をさせないようにしてもらいたいと思っております。
26ページ、企業型DCの加入者資格ですけれども、「一定の資格」について内訳を4つ書いてあるのですが、これらについての選択状況を資料として提示していただくことはできないでしょうかというのがお願いです。というのは、希望する者というのを選ぶことは公的年金補完機能となかなか相入れないのではないかと思っていまして、その点について現状を教えていただきたいと思います。
54ページ、個別同意の現状につきまして資料を示していただいていますけれども、これらの同意書面については企業、労使にとってもかなり大変だというところはあろうと思いますし、これは、行政にも提出されているということで、効率化が図れる方法が何かあればというふうには問題意識を持ちました。ただ、何より考慮すべきは、真意に基づく個別の同意かということだと思っています。その意味で、給付減額というのは本当に受給者・加入者に影響が大きいですから内容を十分理解して個別同意しているかということには、現状においても課題があるのではないかと思っています。十分な説明を行った上で加入者による自署・押印、あるいはそれに準じた方法があり得るのかを検討していくということだと思っています。
最後、定年延長のところですけれども、これは政府の政策の方向性として整合的に考えて欲しいと思っています。やはり今、政府はワークロンガーを求めていると思います。それなのに定年延長期間の部分について十分に退職給付のポイントを積み増さないということを想定して考えるのは安上がり雇用をするようなもので、ちょっと都合よ過ぎると思いますので、そういった雇用労働の求められている方向性と整合的に検討していく必要があると思っています。
長くなって済みません。
 
○神野部会長
御説明について疑問が出されたことについて、コメントがあれば。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、リスク分担型企業年金ですが、導入実績は9件にとどまるという御説明をしてしまいまして、中立的に説明するよう気をつけたいと思います。
ただ、資料に出している合併時・事業所追加時の給付減額の個別同意の取扱いについては、移行時と取扱いがイコールフィッティングになっていないと、実際導入をしようとしている企業からの指摘も来ております。従前の取扱いを単に弾力化して、不安定な形にしていこうと考えて提案しているわけではないということは御理解をいただければと思います。
DCの「一定の資格」について、4つの資格の内訳はどうかというお話がありました。次回以降、どこまで用意できるか検討させていただければと思います。
また、個別同意の自署・押印の話ですが、一般に、労働条件の変更については、労働法規にのっとって、労使当事者間の個別の同意を得ることが原則になっていると理解をしています。そして、この個別の合意については文書でなされているのが一般的であると承知しています。これまで私どもは加入者の3分の2以上の自署・押印した文書を提出していただくことで、個別同意がなされてきたことを確認してきましたが、その自署・押印が真正なものであるか、さらにまた伊藤委員御指摘のとおり労働者の合意が真意に基づいたものかまでを確認できるわけではありません。給付減額の個別同意については、使用者において、文書や電子手続など客観的に確認可能な手段で得ていただくとしても、私どもが本当に確認したいのは、給付減額について労働者にどういうプロセスの中で、どういう説明を行っていただき、3分の2以上の同意を得たかということです。このプロセスについては、現在、労使協議の経緯書を提出していただくことで確認をさせていただいています。3分の2以上の合意を得たことについても、例えば労使でそれをクリアしたことを確認の上、その確認文書を提出いただくことでも、我々、確認可能かと思っておりまして、現行の取扱いについて改善の余地があると思っていますので、引き続き議論をいただければと思っています。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
それでは、臼杵委員、どうぞ。
 
○臼杵委員
ありがとうございます。私からは4点なのですけれども、感想と質問でございます。
1つ目は、51ページ以降のさまざまな現行の手続の改善については、おおむね他の委員の皆様から出たお話と共通の認識でございます。53ページ、定年延長の際の給付減額のところも、もちろんきちんと年金額だけではなくて賃金等も含めた定年延長の条件についての説明と労使合意があることが前提ではありますけれども、例えば60歳のところで291.9を仮に受け取ったとして、そこから今の金融情勢で普通に65歳まで、なかなか303まで増えることはないということも考えると、こういう場合は必ずしも給付減額の手続に乗せなくてもいいのかなと思ったりもしております。
2つ目ですけれども、これは質問なのでまた後で御回答いただければと思いますが、年金のバイアウトです。60ページ、61ページあたりですけれども、具体的に先ほどもおっしゃったように企業年金連合会の通算企業年金に移すとか、あるいは過去分も含めてDCに移行するなどの方法がある中で、どういう場合に実際にバイアウトを、例えばもしかすると閉鎖型年金で受給者分ということなのかもしれませんけれども、終了時の加入者が一時金を受け取ることもできるということまで考えると、どこまで、どういう場合にニーズが実際にあるのか。事務局にお伺いするのがいいのかどうかよくわからないですけれども、もしお考えがあればお伺いしたいというのが2点目です。
3点目はコメントですけれども、特法税です。64ページに税制の表が出ていますけれども、なかなか難しいのは、特法税です。いわゆるEETという税制が諸外国で標準だと。それにあわせて特法税を廃止する。もちろん私はそれは廃止すべきだと思っているのですけれども、多分、給付のところできちんと税金がとれないと、今の状況ですと実質的にEEEになっているのではないかというのが税当局から出てくる話で、そのときに退職所得控除をもう少し見直す必要があるのかなと思ったりもしています。
最後ですけれども、この資料の表題自体が「企業年金の普及・拡大について」ということで、確かに適年が廃止されて、中小企業中心に加入率は大分減ってきていると思います。そのときにどうやってそれをもう一回直していくかということなのですが、この問題の一つの側面は、退職金そのものがなくなっているとか減っているとかいう状況があって、そこをどうするか、です。次に退職金を事業主がやる気があれば、それはそれで年金制度に来るのか、中退に行くのか。中退に行っても、先ほど伊藤委員からも御指摘があったように、中退はそれで評価してもいいのではないかと。企業年金にはやはり退職金の積み立てをするという機能がずっとあったので、その部分を中退に受け継ぐことは、レベルの問題はあるかもしれませんけれども、例の賃確法の積み立ての促進、努力義務とかいう観点から見ても、そこはそれで評価してもいいのではないかと思います。
だから、退職金を普及させるという話と、退職金を事業主が持つという意思を持ったときに、それをどの制度で受けるかという話と分けて考えてもいいのかなというのが最後の意見ということになります。
以上です。
 
○神野部会長
とりあえずバイアウト。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
バイアウトについて御質問がありました。バイアウトですが、運用市場の変化や長寿化といったリスクを保険会社に移転することを目的とするもので、基本的に確定給付企業年金の実施者と生命保険会社との間で結ばれる年金保険契約の内容は、年金バイアウト前の給付が維持されるものと考えています。そういう意味で、うちの企業ではDBを閉じるが、企年連に渡して違う給付にするのではなくて、従前の給付を保証するという目的のために、一つやり得るものと思います。
ただ、この年金バイアウトを実施する場合の各種課題がありまして、まず、保険会社に非課税で資産を移換できるような税制上の措置も必要でしょうし、保険会社が支給する年金給付・一時金についてもDBと同様の給付という位置づけを制度として担保しなければいけません。あとは、バイアウト・プレミアムの算出基準等をどのように考えるのかといった点や、保険会社の選定基準、保険会社の受託者責任など、各種課題があるものと思っています。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
どうぞ。
 
○臼杵委員
済みません。1点、揚げ足をとるようで恐縮なのですけれども、iDeCoプラスというのは企業年金なのですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金の定義というのは、非常に難しくて、森戸先生の御著書にも、事業主が従業員の老後の所得確保のために講じるものが企業年金だというふうに書いてあったかと記憶しています。そう広義になってくると、中退共も含めてですし、iDeCoプラスというものも手法の一つなのだろうと思います。
ただ、いわゆる企業年金と普通言われているのは、適格退職年金、厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型DC、この4つの外部積立て型でやられているものだと思っています。
 
○神野部会長
よろしいですか。
どうぞ。
 
○細田委員(代理出席 鶴岡様)
細田委員の代理で参りました、日本商工会議所の鶴岡でございます。
前回、細田委員からも御発言がありましたけれども、そもそもの話で恐縮でございますが、中小企業にとって年金という形で、会社をやめた人の面倒を見続けるということは事務的にも大きな負担でありまして、従業員が退職される際に一時金を支払いましたら、もうそれで従業員と会社という関係は一旦区切りたいというのが本音でございます。
また、未曽有の人手不足の折、防衛的賃上げを迫られている中で、公的年金の保険料でさえ中小企業にとっては大きな負担となっているのが現状でございます。そのような中で企業年金を導入する中小企業を増やしたいということであれば、先ほど来、多くの委員の皆様から御指摘がありますとおり、まずは導入に係る手続を徹底的に簡素化していただく必要があるかなと考えております。
また、資料2の62ページ以降にあります特別法人税については、企業年金の持続性、健全性を著しく損ない、とりわけ中小企業に対する企業年金の普及・拡大という目指すべき政策の方向性に反するものであるということで、撤廃すべきであると考えております。
私からは以上です。
 
○神野部会長
渡邊委員、どうぞ。
 
○渡邊委員
私のほうからもコメントさせていただきたいと思いますが、企業年金を導入する際に、アンケート結果では「手続き上の負担」というものが第2位ですとか第3位に来るということで、上位に挙げられています。この「手続き上の負担」を軽減すれば普及が図られるのではないかという観点から、こういった対応がとられていますという御説明をいただいていたかと思います。ただ、そのときの大きな負担を感じている手続上の具体的な内容は何なのかというところがやはり問題になってくるように思います。というのは、ここの部分を軽減してほしいと考えているところが実は軽減されていないということになりますと、いつまでたっても手続上の負担があるということですので、なかなか導入に結びつかないと思われます。
ですので、もし仮に今、アンケート調査の結果などから、具体的にどの部分に負担を感じているのか。例えば労使の合意を得るといったようなところに負担を感じているのか、投資教育を決めるところに負担を感じているのか、行政上の手続に負担を感じているのか、いろいろな場面で負担を感じるところがあるかと思うのですが、特にどこを問題にしているのかというところがわかれば、もう少し効果的に軽減負担というところにつながっていくのではないかと思いました。
もう一つ、年金制度を導入する障害として「財政的負担」というものがトップに挙がっておりますので、やはりこちらに関しても対応策を検討する必要があるかと思っています。その「財政的負担」といったものに関して、補助金の支給などが諸外国の例で見られるということが御説明の中にございましたが、そういったものを考えていくことも必要になってくるのではないかと。
諸外国の比較の中で、30ページ以降、アメリカなどの例がございますが、ここでは個人年金に対する取り扱いと企業年金に対する取り扱いが混在しておりますので、どちらの視点から、どういった支援をしていくといったところの整理をもう少し気にかけていただければと思いました。
さらに、制度を導入するというところに関して申し上げますと、恐らく制度を十分に理解していないからこそ選択されていないのではないかということが懸念されます。制度がいろいろ用意されてきますと、たくさんの説明が必要になってきます。なかには、理解できていないからこそ導入に踏み切れないという視点もあるだろうと。そうしますと、広報活動のあり方といいますか、制度内容の情報提供のあり方といったようなものも検討課題として浮上すると思いました。
以上でございます。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
ほか、お二人のオブザーバーの方、どうぞ御遠慮なさらずに。
 
○宮園企業年金連合会理事長
幾つか出ております意見とも重なりますけれども、2点申し上げます。
1つはiDeCoプラスでございますけれども、やはり個人の自助努力を支援する仕組みとして有効である可能性を秘めていると思います。資金拠出という金銭面からの支援にとどまらず、投資教育の面でも支援が期待できますので、これについてはいろいろな形で要件緩和をお願いしたいと思います。とりわけ従業員数の規模要件につきましては、なくてもいいのではないかと私は思うのですけれども、少なくとも中退共の要件に合わせた300名というラインはクリアしていただきたい。
また、DCにつきましては、企業の加入者への投資教育の負担感が重いというアンケート調査の結果が先ほど出ておりましたが、企業年金連合会では、法律の規定に基づいて事業主からの委託を受けて、DC継続投資教育事業を実施しておりますので、もう少し私どもも認知度を高めてまいりたいと思っております。
もう一点は、特別法人税の件でございますけれども、いろいろ御意見が出ております。課税理論的にはいろいろな議論があろうかと思いますけれども、企業年金をはじめ、私的年金に対しますます期待が高まっている中で、企業年金の普及に水を差すというか、私は衰退につながるのではないかと懸念しております。よもや普及に逆行するような措置がとられることがあってはならないと考えておりますので、私どもからも改めて撤廃を要望しておきたいと思っております。
以上でございます。
 
○神野部会長
どうぞ。
 
○松下国民年金基金連合会理事長
国民年金基金連合会の松下でございます。
本日、委員の皆さんから、特にiDeCoプラスの事務の効率化等についての御意見を賜っておりますけれども、私どもとしても問題認識としては非常に重要に受けとめております。
御案内のとおり、iDeCoプラスの事務につきましては、一般のiDeCoで行います加入者の手続に加えまして、事業主側の掛金に関する手続が必要になります。具体的には制度の実施や事業主掛金の額に関する従業員側の了解を示す文章、それから、事業主が各従業員に対してどの月に幾ら負担するのか。こういうものを示す文書を徴求しまして、これを2部作成していただいて、私どもが取りまとめて全国の地方厚生局のほうに送付するという形になります。
当連合会では、その管轄の地方厚生局から要件適合の連絡を受けて、加入者掛金と事業主掛金の限度額のチェック、銀行口座からの引き落とし、こういった手続を行うという形になっております。
現状、私どもとしても、通常のiDeCoでは従業員の加入申込書の提出を受けてから登録事業所番号を付番するといったような形でやっておりますけれども、iDeCoプラスにつきましては、事業主掛金がある本制度については、従業員からの加入申し出がない場合でも先だって事業主登録を行うといったような事務手続の円滑化のための施策を行ってきております。
ただ、書類の提出に関しましては、記入例、記入要領を公式サイトのほうにアップしておりますけれども、私どもとしてはできるだけ書類の不備をなくしていくという取り組みも必要と考えておりまして、ここは皆様方の御意見を伺いながら着手してまいりたいと考えております。
届出の書類の中には、連合会での事務処理に必要になるもののほかに、厚生労働省で書式を定めて地方厚生局に提出するもの、また、あるいは加入者御自身の加入申し出とあわせて手続を行うものと、いろいろな時間的な手続上のステップを踏んでということもございますので、こういう全体の事務フローの中でどこの領域を、先ほど電子化というお話がございましたが、電子化の領域をどういう形で整理していくかということも含めて対応をしていきたいと考えております。
それから、iDeCo全般につきましては、平成28年の前回の法改正から、運営管理機関である金融機関の業界団体で構成されております確定拠出年金普及・推進協議会の事務局に当連合会がなっておりまして、こういう普及活動に加えて、事務処理の簡素化、利便性の向上といったようなところについてもいろいろな御意見を聴取しているところでございます。現在までに100を超えます事務改善の要望をいただいておりまして、先ほど渡邊委員からもお話がございましたように、いろいろなジャンルに御要望の中身を分類してどう対応していくかということを検討しているところでございます。
引き続き、厚労省とも連携をさせていただきながら、今日お話がございましたような一層の効率化に向けて注力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
 
○神野部会長
どうぞ。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
1点よろしいでしょうか。臼杵委員からも、企業年金の定義というので、iDeCoプラスをどう考えるかとありましたが、今まさに御発言があったように、事業主掛金がある制度を国基連が取り扱ってくれていること、ここに大きな悩みがあるのだろうなと思っています。渡邊委員からも広報のアプローチの仕方というようなお話がありましたが、iDeCoプラスは導入に当たって、労使合意の上、事業主が実施を決断していただいたら、事業主は国基連に手続をしていただくという形になります。国基連は先の改正で国民年金基金のみならずiDeCoの広報業務も担うことが位置づけられて、御説明がありました普及推進協議会で議論いただいているところでありますが、iDeCoプラスは企業年金を実施していない事業主へのアプローチが欠かせないという形になっていまして、国基連は法人の性格上、そのような事業主にアプローチするツールが実は乏しいのが実態でもあります。
一方、企業年金連合会は、事業主との接点がありますが、企業年金を実施していない事業主へのDB又はDCの導入支援は行っていますが、iDeCoプラスの導入支援は行う立場にないと、このような状況になっていまして、iDeCoプラスが企業年金なのか個人年金なのかという議論がありましたが、国民年金基金連合会と企業年金連合会のますますの連携が必要になる分野だと承知しています。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
白波瀬委員、どうぞ。
 
○白波瀬委員
御説明を大変ありがとうございました。
私は余りテクニカルなところではついていけない部分もあるのですけれども、そもそも論のところで1点質問があります。規模別ということで井戸委員から先ほど御意見があったのですけれども、やはり業種によって規模の分布が違うのではないかということです。業種によって中小等の企業規模分布が異なると、カテゴリーを分けるラインも違ってくるのではないかという気がします。一括して300人未満とかいっても、そこの中で中小企業の分布は偏ります。そのあたりの実態がどうなのかというのはちょっと知りたいところです。
つまり、規模別にいろいろ統計を出していただいているのですけれども、その状況そのものが、例えば業種によって違ったりすることがあるのかどうか、を教えてくださいますか。一応これは全体のところで規模別の分布を出していただいているのですけれども、業種内分布が見えにくいかなと。業種によって平均的な事業主年齢に違いがありますので、そのあたりの違いがなければよいのですが、実際は違っていますので所属する人々の生活ニーズも違います。そのあたりの実態がわかりにくいかなと感じました。
それはどういうことかというと、制度をつくる際に余り細かい制度設計のところで多様な選択肢を入れ込むのはよくないと思うのです。ただ、企業年金の拡大と考えたときに、あと公的年金の補完機能と考えたときに、その補完機能そのものの中身や程度が、業種別や年齢、ライフステージによってちょっと違っているのではないか。つまり、企業年金と公的年金の関係にあっての補完について一つのモデルをつくれるのかどうかというのは少しそもそも論のところで考えてもいいかなと思っています。確かに中小、零細企業はとても大変な上に、もう会社を辞めた後まで面倒みろというのは大変だという声も理解できます。ただ、企業としてもマイナスのことばかりではないと思いますので、そのあたり含め、そもそも論の議論は重要になってくるのかなと思います。意識調査の結果について渡邊委員から御意見があったのですが、まさしく、例えば少子化などでどうして子供を産まないのですかという意識結果の解釈とも似ていて、そのあたりは細かく、分析していただいてもいいかなと思いました。
以上です。
 
○神野部会長
どうぞ。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
退職給付制度の実施状況については、厚生労働省がやっています就労条件総合調査をベースに統計をとっていますので、どこまでできるか、特別集計も必要になるとは思うのですが、検討したいと思います。
御指摘のとおり、中小企業の定義は中小企業基本法でも業種によって違っていますが、ただ余りきめ細かく考え過ぎると制度はいたずらに複雑になる、このトレードオフの関係をどう考えていくかというのが課題になると思います。
ただし、DBの簡易型基準については、中退共より大きな水準という意味で500人と設定している中で、DCの簡易型基準は100人と、中退共の300人より下に設定しているというところの矛盾をどう考えるのかは議論があるのではないかと思います。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。森戸委員、どうぞ。
 
○森戸部会長代理
部会長が最後まで私のほうを向いてくれないので、いつも最後で、本当は目標は大江さんより先にしゃべることなのですけれども、済みません、別にまとめになるようなことは言いませんが、二、三コメントしたいと思います。
1つ目は、先ほどちょうどiDeCoプラスは企業年金なのかという話がありましたが、私が本を書いたときにiDeCoプラスはなかったので、ではどうだろうと今考えたのですけれども、ただ、要するにそこがポイントでして、要は企業年金かどうか定義すること自体に余り意味がなくなっているというか、企業年金ではないみたいなものにでも企業年金っぽいものがついているよねみたいになっているので、まさにこれは次から議論していくのでしょうけれども、もちろん一定の線引きなり法的なベースはあるのだけれども、企業年金なのか私的年金なのかとか、その定義はどうだとかいうことが、少しこの境界線が曖昧になってきている。いずれにしても制度は全体として考えなければいけないよねということを示唆している問題かなと非常に思いました。それが1点です。
2点目は、今日はいろいろな議論が出て、それから事務局の資料を含め、非常に重要なポイントが多くて、かつ皆さんの御意見も基本的には賛成できる点が多かったのですが、1つ思ったのは、きょうは中退共の話が結構出てきました。これはすぐに法改正とかいう話ではなくて、今後考えていかなければいけない話なのだと思うのですが、私もこの長い御用学者人生の中で、何が一番お役所の人が嫌がるかというと、縄張りを侵すような話はすごく嫌うのですね。だから、ここで余り中退共がとか言うと、想像するに、中退共のセクションの人がそのうち私のところに説明に来そうな気がするのですけれども、それは置いておいて、ただ、でも、逆に言うと、私みたいな人が言わないとこういうことは議論にならないから言わなければいけないと思うのです。
やはり中退共の位置づけも含めて、中退共は企業年金とは考えてこなかったかもしれないけれども、退職金だと思ってきたけれども、今日の話の中でもちょいちょい退職給付とか退職金という言葉の中で出てきて、それから、実際にポータビリティーを担ってもらったりしているわけで、結構制度が相互乗り入れしてきているのですね。
そういう中で何となく、でも、それは別の制度なのでとやってきましたけれども、もちろんそれぞれ趣旨があって別途成立しているのだけれども、やはり議論するときに、例えば中退共の制度なども含めて、それは結局、退職金制度も含めて一緒に議論しなければいけないということだと思うのです。臼杵委員とか伊藤委員が少しコメントされたことにもかかわるのですが、中退共の制度も含めて、結局退職金も含めて、私的年金、退職金、企業年金、自助努力、そういうものを総合的に全体的に議論しなければいけないのだなということを一番感じました。それが2点目です。
3点目は、急に細かくなるのですが、これは結構皆さんの話に出てきました、53ページにある定年延長に伴う給付減額という話です。これは非常に趣旨はわかって、それから、別にこういうことを検討することに大反対ということではないのですが、ただ、考えていくと非常に興味深い議論に行きつくのです。つまり、労働法的に考えると、定年延長するときに、伊藤委員は割と厳しいことをおっしゃったけれども、しかし、定年延長するかわりに、そのまま給料を伸ばすわけにはいかないから少し中高年の給料を抑えるとか、退職金カーブを寝かせるとか、そういうことは当然あるわけで、それも労使合意で普通はやるわけです。そういうことをある意味、労働条件の柔軟な変更とセットに定年延長、雇用の延長を図っていこうねということをこれまで実際に企業もやってきたし、判例などもそういうのは合理性がありますよということを言ってきたわけですね。
ですから、労働法上できることを可能にするのは当然だろうといえば、こういうことを検討しなければいけないのですけれども、他方で企業年金の世界では、これまで給付減額というのは給付現価が減ることはだめですよという、ある意味、それは労働法上、労使合意でできる話とは別に企業年金では、一言で言えば受給権保護という概念をつくって、それは例えばこういう給付減額基準で考えるのですということでやってきたのですね。なので、こういう方向で検討することは大事なのだけれども、やはりこれまでの企業年金が原則としてきた受給権保護のルールというものに、ある意味、労働法的な労使合意でもうちょっと柔軟にやるというのをどのぐらい入れられるのか、どういう理屈で入れるのかという話にかかわる、実は法的には非常に重要な大きな話だと思うので、これを検討する上でも理屈をちゃんと、実際上こういう感じですからいいじゃないですか、ではなくて、やはり一定の理屈のもとにやっていかないと、結局、企業年金法としての規制の意味が余りなくなってしまうかなという気がするのです。決して、こういう方向に否定的という趣旨ではないのですが、法的な説明を考えていかなければいけないなと思ったということでございます。
以上です。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
引き続き、各個別論点にかかわる議論は続けてまいりますので、何かございましたらそのときにでも御発言いただければと思います。
そこで、一応、今日の議事(1)についてはこの辺で切り上げさせていただいて、議事(2)「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」、これは事務局のほうから御報告いただけると思いますので、報告事項でございますが、よろしくお願いいたします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
資料3をお開きください。「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況について」御報告いたします。
厚生年金基金の特例解散については、当部会の下に専門委員会が置かれており、森戸部会長代理に専門委員会の委員長をしていただいています。平成30年4月から平成31年3月までの昨年度1年間の専門委員会の開催状況について御報告いたします。
2の部分を御覧いただきまして、この間、専門委員会は6回開催し、1件の特例解散を扱ったほかは、納付計画の変更について御審議をいただきました。
資料3からは離れますが、先ほど資料2でも御説明しましたが、厚生年金基金については平成26年4月から5年間、特例的な解散を認め、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設けてきました。この特例的な取扱いは既にこの3月末で期限を迎えましたので、今後、森戸部会長代理にやっていただいていますこの専門委員会の役割は、納付計画の変更の妥当性の審議を引き続き行っていただくことと、残り8つになりました厚生年金基金の財政状況のモニタリングを引き続きやっていただくことになります。
簡単ではありますが、以上です。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
ただいまの事務局からの御報告について、御質問がございましたら承っておきますが、ございませんか。
それでは、御承知おきいただければと存じます。
では、ありがとうございました。以上で本日予定しておりました議事は全て終了いたしましたので、事務局のほうから今後の予定等々について御連絡いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
次回の部会の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で正式な御案内をお送りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○神野部会長
ほかに御発言がなければ、これにて第5回の「企業年金・個人年金部会」を終了させていただきたいと思います。
最後まで生産的な御議論を賜りました上に、ちょうど時間どおりに終わることができまして、議事運営に御協力いただきましたこと、深く感謝申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。