第12回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和元年6月12日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

(1)座長の選出について
(2)がん診療提供体制について
(3)がんゲノム医療中核拠点病院等の整備指針について

議事

 
 
○事務局(片岡) それでは、定刻となりましたので、ただいまより第12回「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
厚生労働省健康局がん・疾病対策課の片岡と申します。
開始に先立ちまして、事務局を代表して、厚生労働省大臣官房審議官の佐原より御挨拶申し上げます。
○大臣官房審議官(がん対策担当) 皆様、おはようございます。大臣官房審議官の佐原でございます。
検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。
初めに、構成員の皆様方には、日ごろより厚生労働行政にいろいろと御指導いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
現在、第3期のがん対策推進基本計画に基づきまして、ゲノム医療でありますとか、あるいは小児・AYA世代のがん診療の充実などに取り組んでおるところでございます。
こうした診療体制のあり方を実現するために、がんの拠点病院制度を推進してまいりました。具体的には、平成30年7月には拠点病院の整備指針の見直し、31年2月に小児がん拠点病院の指定に関する検討会を、そして、3月にはがん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会を開催しまして、4月からは新たな指針に基づいた指定を行いました。
本日は、これらにつきまして御報告をさせていただきたいと思います。
加えて、6月1日から遺伝子パネル検査が保険収載をされまして、いよいよがんゲノム医療が実装段階に入りました。これにより、医療提供体制の整備が非常に重要と考えております。
こうした中、本会議の下に設けられましたがんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループにおきまして、5月27日にゲノム医療拠点病院の指定要件でありますとか、これらの病院と中核拠点病院あるいは連携病院との連携体制のあり方などについて、基本的な方向性が整理されたところでございます。
本日の会議では、これらの議論を受けまして、がんゲノム医療の提供体制について御議論をいただきたいと思います。構成員の先生方におかれましては、どうぞがん対策の推進に向けて忌憚のない御意見をいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局(片岡) 引き続き、座長が選任されるまでの間、進行を務めさせていただきます。
それでは、構成員の御紹介をさせていただきます。
天野慎介構成員です。
荒木暁子構成員です。
有賀悦子構成員です。
家原知子構成員です。
大西洋構成員です。
北川雄光構成員です。
川上純一構成員です。
郡山千早構成員です。
小松本悟構成員です。
木幡美子構成員です。
清水千佳子構成員です。
鈴木直構成員です。
鶴田憲一構成員です。
藤也寸志構成員です。
西田俊朗構成員です。
花出正美構成員です。
堀部敬三構成員です。
松原謙二構成員です。
三好綾構成員です。
事務局からの出席者については、座席表を御参照ください。
佐原審議官は、公務のため、途中で退席させていただきます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
まず、座席表と議事次第。
資料1 開催要綱
資料2-1 がん診療提供体制の方向性及び現状について
資料2-2 小児がん拠点病院の選定の方針について
資料3-1 がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件の見直しについての考え方(案)
資料3-1別添 がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件について(案)
資料3-2 がんゲノム医療の提供体制について(案)
参考資料1 がん診療連携拠点病院等の整備について
参考資料2 小児がん拠点病院等の整備について
参考資料3 がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について
資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして、撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう、御協力をお願いいたします。
それでは、議題(1)「座長の選出について」に移りたいと思います。
本検討会は、資料1の開催要綱の3の(2)にございますとおり、構成員の互選による座長を置くこととしております。
御推薦がございましたら、お願い申し上げます。
松原先生、どうぞ。
○松原構成員 日本医師会の副会長の松原でございます。
慶應義塾大学の外科の先生で、消化器外科を中心に幅広くがん診療に見識のある北川先生を御推薦申し上げます。
○事務局(片岡) ほかにいかがでしょうか。
それでは、北川構成員にお願いすることでよろしいでしょうか。
(拍手起こる)
○事務局(片岡) 全員一致のようですので、北川構成員に本検討会の座長をお願いしたいと思います。
北川座長、座席の移動をよろしくお願いいたします。
(北川構成員、座長席に移動)
○北川座長 ただいま座長に御指名いただきました、北川でございます。
私、現在、日本癌治療学会の理事長として、ここにいらっしゃる構成員の多くの皆様にお世話になっております。
私の恩師、北島政樹名誉教授がこの座長を務めさせていただいたということもございますので、頑張ってやってまいりたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、引き続き議事を進めさせていただきたいと思います。
議題(2)「がん診療提供体制について」に移りたいと思います。
本議題につきましては、まず、資料2を使いまして、事務局のほうから概要の御説明をいただいて、コメント、議論等をしていただきたいと思います。
それでは、事務局のほう、よろしくお願いします。
○事務局(片岡) それでは、資料2について説明させていただきます。
まずは、本検討会の会議体の再編と、議論していただく所掌範囲について説明いたします。
資料2-1のスライド2枚目をごらんください。
これまでは、本検討会の下に成人のがん診療連携拠点病院等の指定要件の見直しに関するワーキンググループがございました。さらに、その下にがんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するサブワーキンググループがございました。したがって、がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件については手続が煩雑となっていました。
また、小児がん拠点病院の指定要件については、小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会という別の会議で議論されておりました。
しかし、第3期基本計画において、AYA世代への支援を明記し、小児から成人まで一貫した議論が必要であること、また、成人、小児、がんゲノムの拠点病院制度間で整合性を持った制度設定をしていく必要性から、今回よりワーキンググループを再編し、本検討会が制度間の整合性を含め統括する親会議として位置づけることにいたしました。
また、本年3月に、がんとの共生のあり方に関する検討会が組織されたこともあり、本検討会では、第3期がん対策推進基本計画の2本目の柱である、がん医療の分野の諸課題について御議論していただきたいと存じます。
続いて、指定検討会の選定方針と指定結果について報告させていただきます。
まずは、資料2-1のスライド3枚目をごらんください。
がん診療連携拠点病院等について、前回の検討会を踏まえ、昨年7月31日に整備指針の見直しが行われました。
次に、スライド4枚目をごらんください。
今回から、地域がん診療連携拠点病院の必須要件に加えて、一定の要件を満たし、診療機能が高いと判断された場合には「高度型」として指定をしております。
また、昨年の本検討会では、指定期間中に指定要件を充足しないことが確認された病院について、準地域がん診療連携拠点病院と仮称をつけておりましたが、整備指針においては「特例型」と整理いたしました。特例型は本年度以降に指定されている病院に対して適用することとしておりますので、現在この類型に属する病院はありません。次回の指定検討の際に、特例型への指定見直しを運用していくことになります。
これらの拠点病院の類型をまとめたものが、5枚目のスライドになります。
スライド6~8枚目は、整備指針をわかりやすく書き下した、選考の方針をアルゴリズムで示したものになります。
今回の指定検討会の結果については、スライド9枚目をごらんください。
がん診療連携拠点病院を合計392施設、拠点病院とグループ指定を受けることで指定される地域がん診療病院を36施設指定しております。
先般の指定の検討会で、2件保留されている案件がございます。
1つは、1カ所の都道府県がん診療連携拠点病院の指定についてで、目下、都道府県と資料のやりとりも含め、精査を進めております。
2点目は、6県10医療圏の病院について、がん診療連携拠点病院としての申請がありましたが、要件を満たさず指定不可となる病院がございました。一方で、このままでは拠点病院等のない空白医療圏が発生することが懸念されたため、地域がん診療病院への申請し直しについて検討会でお認めいただき、5月末に都道府県から資料の提出がございましたので、こちらも精査しており、今後、検討会持ち回り開催の準備をしているところです。
スライド10と11枚目は、前回のがん診療提供体制のあり方に関する検討会において御承認いただいているものですが、既指定病院が移転・分離・統合した際の方針について再度提示させていただくものでございます。
次は、小児がん拠点病院の選定方針と指定結果について報告させていただきます。
これまでの経緯として、平成30年7月に小児がん拠点病院の整備指針の見直しがなされました。見直しのポイントとしては、「小児がん診療・支援のさらなるネットワーク化」「AYA世代への対応の強化」「医療安全の推進」の3つに重点を置いております。
指定検討会での選定方針については、資料2-2をごらんください。
資料2-2、下段の四角囲いにあるように、書面評価を行った21医療機関のうち、9番目までの医療機関については、小児がん拠点病院として指定すること。書面評価において10番目から17番目までの医療機関については、より詳細な検討が必要と考えられるため、ヒアリングの対象とし、書面評価及びヒアリングを踏まえ、小児がん拠点として指定する医療機関を選定すること。また、整備指針にあるように、地域バランスも考慮して選定すること。
これらの方針に従って選定した結果、資料2-1の13枚目のスライドで示すように、今回新たに15の小児がん拠点病院を指定しました。
次の14枚目のスライドは、地域ブロック協議会と連携病院について説明するものです。
地域ブロック協議会には、小児がん拠点病院、今回の整備指針から加わった小児がん連携病院、図には示しておりませんが、各都道府県の担当者に参画していただきます。
地域ブロック協議会では、地域の小児がん計画書の策定、小児がん連携病院の要件及び連携病院の指定について議論していただきます。
なお、地域ブロック協議会及び連携病院の具体的な取り扱いについては、今後発出する予定の課長通知で改めて御連絡いたします。
また、15枚目のスライドをごらんいただきますと、連携病院には3つの類型を定めています。
1つ目は、一般的な小児がんについて診療をしていただく病院。
2つ目は、例えば脳腫瘍など特定のがん種等について診療をしていただく病院。
3つ目は、小児がん患者の長期フォローアップ体制を連携していただく病院です。
ごらんのように指定の目安を示していますが、地域で弾力的に運用していただく予定です。
続いて、がんゲノム中核拠点病院等の指定についての御報告になります。
スライド16枚目をごらんください。
医療提供体制として、現在は中核拠点病院と連携病院がございますが、この後で議論していただく予定の拠点病院という類型を新たに設けたいと考えております。
スライド17、18枚目をごらんいただきますと、11カ所の中核拠点病院と156カ所の連携拠点病院を指定しております。
最後のスライドは、先般保険収載された遺伝子パネルの位置づけについての情報共有になります。
標準治療がある固形がんの患者さんについては、標準治療の終了後にがんゲノム医療、すなわち遺伝子パネル検査及びその結果に基づく薬物療法を受けていただくという治療の流れになります。ただし、標準治療のない固形がんの患者さんについては、診断後すぐに遺伝子パネル検査を受けていただくことが可能です。
以上で資料2の説明を終わります。
○北川座長 ありがとうございました。
事務局よりこのがん診療提供体制の方向性に関する議論を整理していただきました。
特にスライドの2番目にありますように、今までと大きく体制が変わりまして、このがん診療提供体制のあり方に関する検討会に、がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ、がんゲノム医療中核拠点病院等の指定に関するワーキンググループ、小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループという3つのものが設置されて、ここで皆さんが情報共有できることになります。今後、何らかの変更あるいは新しい手続は比較的簡素に決定していけるということでよろしいですか。
○事務局(片岡) はい。そのとおりでございます。
○北川座長 ありがとうございます。
この構成員の皆様の中に、それぞれこの検討会の座長をお務めいただいた構成員がいらっしゃいますので、まずその構成員にコメントをいただきたいと思います。
まずは、がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会において座長を務められました藤構成員、コメントがありましたらよろしくお願いします。
○藤構成員 がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会の座長を務めさせていただきました。
ことしの3月7日に検討会が開かれました。先ほど事務局のほうから案内がございましたように、地域がん診療連携拠点病院として申請があったけれども、指定を不可とした施設が幾つかございます。これはがん医療の均てん化ということから考えると、その地域地域で事情はわかるのですが、それに逆行することになります。その一方で、拠点病院の施設間の格差が出てきていること、集約化などの問題も出てきているということも含めまして、4、5、6ページにございます条件に合わせてきっちりと判断をして、幾つか指定不可となったところがあるということでございます。
もう一つ、医療安全の問題で指定の取り消しになっておりました群馬大学の再指定の議論がございました。3月7日の検討会では、いろいろまだ不備があるような感じということもございまして、座長預かりということでその場の議論はおさめております。それ以降、この検討会の中でいろいろ資料を集めたり、県のほうとの議論をしたりということで、現在、もうちょっと検討を進めているというところでございます。
以上でございます。
○北川座長 藤構成員、ありがとうございます。
これも御報告事項でございますので、もう一つの報告を受けて、その後それぞれ議論をしたいと思います。
続いて、小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会において座長を務められました堀部構成員、コメントがございましたら御報告をお願いいたします。
○堀部構成員 ありがとうございます。
小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会の座長を務めさせていただきました、堀部でございます。
今、事務局から御説明がありました資料の12枚目に要約されていますが、今回、新たに第3期がん対策推進基本計画にAYA世代のがん対策が入ったことをうけて、その中心的役割を小児がん拠点病院が担うことになりました。資料12枚目の真ん中にありますように、AYA世代発症のがん患者への医療の提供・連携体制の整備が小児がん拠点病院に課せられたことが大きいポイントです。
しかし、実際のところ、AYA世代の患者さんの大多数は成人診療科で診療を受けていますので、その点において、がん診療連携拠点病院での位置づけが重要です。これについては、参考資料1のがん診療連携拠点病院等の整備に関する指針の中の地域がん診療連携拠点病院の指定要件においては、AYA世代がん患者の診療状況や希望の確認や相談体制が求められており、がん治療そのものについては一言も出てきていません。そのような中、このあり方に関する検討会が、AYA世代がん医療についても包括的に検討できる場となることを期待しております。
もう一点、小児がん拠点病院については、今回も新たに15の拠点病院が指定されましたが、拠点病院だけでは、一定の集約化は図れたものの、すべての小児がん患者の診療を包含することは困難です。そのため、患者さんの利便性も考慮して、各地域で拠点病院が中心となってネットワーク化を図り、包括的な診療体制を構築することが望ましいとの考えから、今回、連携病院が指定されることになりました。
地域ごとに協議会を一層充実させて、小児がん診療に強みのある病院を指定して拠点病院の診療を補完する形で相互連携体制の構築を図り、オールジャパンの小児がんの診療体制をめざすことが検討会で議論されました。今後、第3期がん対策の中でそのような診療体制の構築が進むことを期待したいと思います。
 
以上です。
○北川座長 堀部構成員、ありがとうございました。
今回のこの検討会の仕組みの中で、成人と小児、それをつなぐAYA世代というところがしっかり整合性を持ち始めたという御報告だったと思います。
先ほどの藤構成員の御報告並びに堀部構成員の御報告につきまして、何か御議論、御発言がありましたら。
天野構成員、よろしくお願いします。
○天野構成員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
私からは2点ございます。
まず1点目、先ほど藤先生からも御説明いただいた点でございますが、今回拠点病院の指定要件を定めるに当たり、施設間格差があることを是正する目的並びに均てん化の維持という観点から、今回の拠点病院の指定要件が定められたものと理解しております。
ただ一方で、先ほども御指摘があったように、指定を外れる拠点病院等が出てきている現状があるわけでございます。
例えば、私は沖縄県がん診療連携協議会の外部委員を拝命しておりますが、沖縄県の例を挙げますと、本島の医療圏があり、また、僻地や離島の医療圏があるわけでございますが、僻地や離島の医療圏等においては、かねてより、例えば専門の看護師や認定の看護師さんなどを、年単位で予算をかけつつ人材を育成して拠点を維持してきたという実情があるわけでございます。
例えば、先ほどお示しいただいた8枚目のスライドになりますが、経過措置項目ということで1年間の経過措置項目が設けられているわけでございますが、人材の育成ということに関して言うと、なかなか1年では厳しいという意見が現場から出ていると理解しておりまして、そういった要件を満たさない中で、特例型、もしくはそもそも拠点を外れてしまう病院が出てくるということが予想されているわけですが、そうなってきますと、例えば、現在、拠点病院等に対して機能強化事業費などが予算として支給されていますが、拠点を外れればそういった予算措置もなくなる。そうすると、いわゆる負のスパイラルに陥ってしまいまして、人材の確保が継続できなくなって、さらに診療提供体制や相談支援体制の維持が困難になるという可能性が出てくるわけでございます。
そうなってしまうと、そもそも医療の均てん化並びに質の維持、向上を目的としていたにもかかわらず、拠点を外れたことによって診療の質や相談支援の質が下がってしまいかねない状況があると理解しております。
なので、今回、経過措置項目という形でこれが設けられているわけでございますが、1点お願い申し上げたいのが、拠点を外れた病院がもしあれば、なぜ外れたのかということの調査であるとか、もしくは、拠点は外れていないけれども、現在、拠点となっている病院において、どういったことが現在の指定要件で問題となっているのかということについて、ぜひ調査をお願いできないかと考えております。まず1点目でございます。
2点目でございます。小児がんの診療提供体制についてでございますが、先ほど御説明いただいた14スライド目の中で、小児がん中央機関があり、そして、地域ブロック協議会の中で小児がん拠点病院が指定されるスキームになっていると伺いました。
現在、小児がんを診療している施設はおよそ150程度あるのではないかと承知しておりますが、2,000人から2,500人の患者さんを150程度の施設で診療しているということになると、均てん化の維持ということはもちろん患者や家族にとってとても大切ですが、一方で、診療の質の維持、向上であるとか集約化という観点からは、いまだ道半ばであるのではないかと考えます。
そうなった場合、それぞれの地域ブロック協議会に委ねられる形で小児がんの連携病院が指定されることになりますと、質のばらつきが出るのではないかということを危惧しておりまして、例えば、日本小児血液・がん学会では、小児血液・がん専門医研修施設として107カ所が現在指定されていますが、そういった学会指定要件などの縛りを設けることによって、小児がんの中央機関並びに小児がんの拠点病院のみならず、その連携病院についても質の維持、向上が必要ではないかと考えております。
先般公表されました院内がん登録のデータにおきましても、およそ100程度の施設で2年間の小児がんの症例数が1例程度という病院が100施設程度あるという報告がありましたので、そういった施設で治療を継続することが果たして医療者並びに治療を受ける患者や家族にとっていいのかという議論も必要だと思いますので、その点も十分御考慮いただければと思います。
私からは以上でございます。
○北川座長 ありがとうございました。
今、天野構成員から重要な御指摘が大きく2点ございました。
まず1点目は、地域がん診療拠点病院の中で、指定要件を満たさない、特にかなり厳しい地域の中で、人材育成がネックとなっているところに関して、猶予が1年間だけでは十分な人材育成ができないため、負のスパイラルに陥ってしまう恐れがあるというご指摘です。もう少し長い目でサポートしないとがん診療提供機能が落ちていってしまう地域が出てきてしまうのではないかというご指摘でございました。
まず、藤構成員、何か今の論点に関して御意見はございますか。
○藤構成員 御指摘の点はまさにそのとおりだと思います。ただ、地域によって人の移動がしやすいところとしにくいところももちろんございます。離島であったり、でも、同じ県内で人の移動は可能であろうと判断した上でその指定を外すというようなこともあったりするのだと思います。
今、天野構成員がおっしゃったような、人の育成が1年では済まないという点は非常に重要なことだと思っております。ただ、特例型になってもすぐ外れるということではございませんし、ことし1年の猶予期間を設けて来年特例型になるということですので、来年ですぐ指定不可になるということではないと思っております。
ただ、そういう論点は非常に重要なのかなとは思います。
以上です。
○北川座長 ありがとうございます。
どういう要件が満たされずに指定を失っていっているのかというのは調査が必要であると考えます。ぜひ調査をお願いしたいところですが、事務局のほうでこの辺は何かコメントはございますか。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。
まさに本年3月に行われた指定の検討会も、病院に現況報告及び申請書という形でかなり多い項目を御記載いただいておりますので、その中でどれが要件を満たさなかったというのはこちらのほうで整理させていただきたいと思います。
その上で、今年は、経過措置1年といった病院が幾つかございますので、それらの病院における指定要件の充足状況というのも見させていただきたいと思っておりますので、その中で調べていきたいと考えております。
○北川座長 ありがとうございました。
三好構成員、お願いします。
○三好構成員 ありがとうございます。
天野構成員の御意見に重ねてということなのですが、きょう、私は鹿児島県の立場でも来ていると思うのですけれども、鹿児島も実際にかなり拠点病院が県立病院を中心に落ちました。現場のお声として、相談支援センターの体制であるとか、緩和ケアチームから少し離れて兼任のナースが出てきたとかという私たち患者にとって困るような事態も実際に出てきております。
なので、天野委員がおっしゃったみたいにきちんと調査をしていただいて、1年間で復帰できるところは復帰していただきたいと思うのですが、難しい場合も、そういった地方の声をきちんと聞いていただきたいという重ねてのお願いです。
○北川座長 小松本構成員、どうぞ。
○小松本構成員 小松本ですが、藤先生が座長をしている審査委員会の委員をしている者でございますけれども、今、天野構成員と三好構成員の御指摘のとおり、拠点病院を外れた地域があることは確かでございます。
ですけれども、今回のものについては、みんなが提出したところが納得いく審査がされたということで、例えばスライド3のように、がんの医療のさらなる充実、連携、医療安全、指定に関する課題の整理等で全部スコアリングして数字化したもので、全部それより上になったものを認定すれば、みんなが一応納得するのではないかということです。
それで、先ほど6県10医療圏で空白地帯が出たというところがありましたけれども、実際にその地区のところで見てみると、経過措置として1年の経過措置へとしました。人的な要因のものが多かったことは確かです。
そうすると、その地域のところを見てみますと、例えば患者さんの動きだけを見て緩和のところが不十分だということになると、緩和のところは別の病院のところに行って、治療は申請したところでやっているけれども、緩和はこちらで行っているというようなところで、患者さんの動きとしてはその医療圏の中ではうまく連携が動いているということが分かりました。そこで、あえて経過措置をとって再度申請してもらうとか、先ほど事務局からあったように、今回、地域がん診療病院の再指定というような基準も設けたということです。患者の動きからすると納得がいくし、今回はスコアリングして明確化したということで、実際の患者の動きとしては不利益は出ていないようでございます。
○北川座長 小松本構成員は、この検討会の構成員でもいらっしゃって、今回は本当に公平性、客観性をまず重視してしっかりとした到達目標を設定したということと、また一方では、地域におけるサポートというのも、先ほど天野構成員から御指摘がありましたけれども、満たせなかった要件をどこがサポートしていくのか。国なのか、あるいはそこの地域なのかというところも一つの大きな問題かと思います。
もう一点、天野構成員が御指摘されたのは、少しこの逆の観点から、小児のほうの拠点ではむしろまだ集約化が進んでいないのではないか。その要件について、もう少し、ある意味では厳しい要件を課して集約化を推進したほうが質が上がるのではないかということも一方で御指摘をいただきました。
この点も含めて、もし御意見がありましたらどうぞ。
家原構成員、お願いします。
○家原構成員 家原でございます。ありがとうございます。
小児がん拠点病院の次の課題としまして、連携病院を指定していくということでございますが、15ページにございますように、天野構成員がおっしゃられたように、マル1、マル2にある病院というのは、治療を行う病院を想定していると思われるのです。ここにつきましては、私も天野構成員と同意見でございまして、年間1例しか見ていないような多数の病院がここに該当するのではないかという問題が出てくきます。
一方、マル3で示してあります部分はフォローアップを目的としております。そうしますと求められる機能が違いますので、連携病院に関しましては、成人の連携病院のほうでも一般型とか高度型など、患者様に見える形で指定されていると思うのですが、そういった分類を行うことが必要なのではないかと思われます。
それから、天野構成員がおっしゃられたように、地域ブロックだけではなく、どこかの機関が総括して施設の質の担保をすることが必要です。先ほどお話のありましたような、学会の施設認定も一つですが、何らかの機関が担保しないと、一定の質を保つということはできないのではないかと案じております。
以上でございます。
○北川座長 ありがとうございます。
ただいまの家原構成員の御指摘について、堀部構成員、何かコメントはございますか。
○堀部構成員 小児がん連携病院については、検討会においても、今、御指摘があった、特にマル2の特定のがん種等についての診療を行う連携病院について議論しました。特に問題になったのは脳腫瘍でありまして、最初の小児がん拠点病院の指定要件では、診療実績に求められた脳・脊髄腫瘍は2例程度以上であり、小児脳腫瘍の十分な診療実績は問われませんでした。今回その数値要件は外されましたが、実際のところ、拠点病院以外で脳腫瘍を専門にしている施設が幾つかございます。
骨軟部腫瘍についても、同様に、小児がん拠点病院以外、特に年齢がAYA世代のところも多いということもあって、がんセンター等で精力的に診療されています。このような特定のがん種に強みのある病院を連携病院として専門性を含めて旗を立てることになりました。長期フォローアップについても同様です。単に連携病院として指定するだけでなく、きちんと患者さんに見える形にすることが重要であるという認識だったと思います。
もう一つは、地域の小児がん診療を担う連携病院ですが、どの程度小児がん診療施設を指定するかに関しては、まだ議論が詰まっていません。確かに、各地域の協議会レベルで指定することになっていますが、全国的に最低ラインの基準を設けることになっていますので、そのコンセンサスを作りながら一定の集約化を図る必要があると考えます。
○北川座長 ありがとうございます。
ここには簡単に記載されていますが、それぞれの特徴は必ず国民皆様に提示して、連携病院をつくっていくということ。それから、地域ブロック協議会ごとの差異はまだ多少あるとも重要です。今後もそこは改善していけるという御見解ですか。
○堀部構成員 検討会の議論では、既に協議会活動がしっかりされている地域と、地域全体としての活動がほとんどなく拠点病院が地域全体の小児がん診療を必ずしも把握できていない地域があり、地域差が大きいという現状認識のもとに、今後は、拠点病院が中心になって、地域ブロックの小児がん医療の実態を把握し、それらの情報を中央機関が集約する形が望ましいと思いますが、先ほど天野構成員のご意見にありましたように、研修施設を認定する学会とも連携しながら進めていくことが肝要であると思います。
○北川座長 ありがとうございます。
いずれにしましても、この2つの大きな検討会につきましては、一定の進捗を御報告いただきましたし、また、今後の課題についても非常に貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
がん診療提供体制のあり方に関する検討会としましては、今般6月から保険収載になりましたがんゲノム医療に関する提供体制を考えていくことが喫緊の課題となっています。特に、今後認定を行うがんゲノム医療中核拠点病院の整備指針についてここで議論したいと思います。
まず、この報告を受けまして、本検討会としての合意を目指したいと思います。
最初に資料3を使いまして、事務局からこれまでの議論の内容を御説明よろしくお願いします。
○事務局(安藤) 事務局でございます。
では、お手元に資料3-1及び3-2を御用意ください。
資料3-2はがんゲノム医療の提供体制についてまとめたスライド、資料3-1は指定要件の見直しについての考え方でございます。
まず、資料3-2から御説明申し上げます。
2ページ目、中核拠点病院等の連携体制について示しております。
一番左側の医療提供体制については、連携病院はエキスパートパネルを自施設で開催できる中核拠点または拠点病院と原則1カ所と連携いたします。これは、責任の所在を明確化するために、1カ所と連携していただきますが、小児がんなど、その領域の診療経験が十分にある別の中核拠点、または拠点病院にエキスパートパネルを相談しなければならない場合も想定しておりますので、現場の柔軟な応用という視点から原則1カ所という形で記載しております。
そして、人材育成と治験・先進医療についてでございますが、いずれも中核拠点病院で中心的な役割を担っていただくという観点では同様です。人材育成については、特定の中核拠点病院と連携して、緊密な連携体制が必要であろうと考えますが、一方で、治験や先進医療は、実施している治験や先進医療の内容が病院によって異なってくる可能性もございますので、特定の1カ所に連携するというよりは、全体的な連携をとりつつ中核拠点病院が主導となって進めていくものと考えております。
続いて、3ページ目でございます。
2ページ目と同様の趣旨でございますが、診療の流れを示したものでございます。新設されます拠点病院は、エキスパートパネルを自施設で実施するという点で中核拠点病院と同様で、連携病院は中核拠点または拠点病院のエキスパートパネルに御参加いただけます。
一方で、治験・先進医療、人材育成については、中核拠点病院が主導となって行うこととしております。
4ページ目に移ります。
中核拠点病院等の指定期間についてでございます。
中核拠点病院については、現行の整備指針では2回目以降は指定期間を4年としておりますが、拠点病院との連携体制の観点から同時に見直されるべきであるということ、また、近年のゲノム医療の進歩が目覚ましいということも踏まえまして、2回目の2020年4月以降の指定については、中核拠点病院は2年、拠点病院はこの秋にも指定した場合は2022年4月までのおおむね2年半の指定期間ということで検討しております。
この指定期間の変更については、ワーキンググループの御指示もあり、11の中核拠点病院に連絡し御意見を求めました。現在、異論はいただいておりません。
以上が資料3-2の説明でございます。
続いて、資料3-1でございます。
こちらは、ワーキンググループでの議論を受けまして、指定要件の見直しについての考え方をまとめたものでございます。簡単に御説明申し上げます。
まず1ページ目、「I 指定要件について」の1でございます。現行の中核拠点及び連携病院については、指定要件の明確化及び実態に合わせた修正を行ってはどうかというものでございます。
具体的には、がんゲノム情報管理センターに登録すべき情報について明確化いたしました。また、小児がん症例については、小児がんに専門的な知識を有し、エキスパートパネルに参加したことがある者が1名以上含まれていることを要件として追加してはどうかと考えております。
続いて、2、今回新設いたします拠点病院の指定要件の考え方でございます。今し方説明申し上げました資料3-2のとおりでございます。
ただし、おめくりいただきまして2ページ目でございます。拠点病院の指定に当たりましては、下記事項を考慮するものと考えております。
1ポツ目、治験・先進医療の実績については、小児がん症例の絶対数が少ないことを考慮すること。
3ポツ目、臨床検査室及び病理検査室の第三者認定が必要でございますが、これには経過措置期間を設けること。
4ポツ目、地域や小児がん症例の対応も考慮することが望ましいとの御意見がございました。
続いて、「3 がんゲノム医療中核拠点病院等の適切な連携体制について」でございます。
医療提供体制に関しては、連携病院は連携する原則1カ所の中核拠点病院または拠点病院のエキスパートパネルに参加しますが、3ページ目にございます●2つに示すような事例などにつきましては、オンライン参加が可能などの運用上の配慮を行う必要があると取りまとめております。
続きまして、「II 指定期間及び指定の手続きについて」の「1 指定期間について」は先ほどの資料3-2のとおりでございます。
「2 指定の手続きについて」でございますが、1ポツ目、連携体制の構築の観点から、拠点病院は申請に当たり、中核拠点病院と協議すること。
2ポツ目、現況報告書は、連携病院分を拠点もしくは中核拠点病院に取りまとめていただいて提出していただくこと。
また、3ポツ目、連携病院が要件を欠くと判断された場合、その選定を取りまとめることができる規定を明文化することを挙げております。
最後に、「III その他」でございます。
1ポツ目、今後、造血器腫瘍を対象とした遺伝子パネルについても整備を進めるべきで、特に造血器腫瘍は思春期・若年成人といったAYA世代に多いという特徴等を踏まえて体制を検討すべきであるということ。
2ポツ目、ゲノム医療に係る相談支援体制については、今後、がんとの共生のあり方に関する検討会において議論を深め、さらに充実を図るべきということ。
下から2つ目、遺伝カウンセリング体制の整備が重要であることなどが議論されました。
これらの考え方に基づいて、がんゲノム医療中核拠点病院等の整備指針の改定に係る対照表が資料3-1別添でございます。こちらは後ほどご覧いただければと存じます。
本検討会で審議いただきたいことは、資料3-1及び3-1別添について、修正の要否や、それを踏まえて検討会として御承認いただけるかという点でございます。
事務局からは以上でございます。
○北川座長 御説明ありがとうございました。
がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件ということで、最終的に資料3-1について、この検討会で修正や追加が必要かということを本日ここで御審議いただきたいと思いますが、このワーキンググループの座長をお務めになりました西田構成員から、まずコメント等がありましたら御報告をお願いしたいと思います。
○西田構成員 ありがとうございます。西田でございます。
先ほど、開会のときに佐原審議官がおっしゃいましたように、昨年の暮れにパネルが承認され、実際に保険点数がこの6月について、いよいよゲノム診療がパネルを使ってできるようになりました。それに伴って、先ほど御説明がありましたように、昨年の2月に中核病院が11病院選定され、その後、4月に100病院の連携病院、その後半年おきに追加になって、現在156病院だと思います。
1つの中核病院が抱える連携病院は非常に多くなってきました。ある程度均てん化もしていかないといけませんし、人材も育成していかなければいけません。そういうことで、ちょうど真ん中に拠点病院というところを置くのが一番適切ではないかということで、実際のゲノム医療を実地で提供する上では、こういった3つの大きな中核病院、拠点病院、連携病院という体制をつくっていかなければいけないということで、今回拠点病院の要件を決めさせていただきました。
その中で最も重視したのが、やはり患者さんの安全をきちんと守るということが重要だということで、診療実績に関してはある程度厳格化して提案させていただいております。ただ、余り厳格化し過ぎますと、例えば先ほどありましたように、小児の領域あるいは希少がんの領域というのはなかなか厳しいものがございますので、その辺は少し運用でやっていただくのが一番いいのではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○北川座長 ありがとうございました。
11のがんゲノム医療中核拠点病院だけではエキスパートパネルを全て必要な患者さんに施行できないという御指摘がまずございました。当初、標準治療を終えたあとで比較的全身状態のいい患者さんということで、四、五千という数が想定されていたかと思いますが、今、それが数倍、2万から3万というところが想定されるという理解でよろしいですね。西田構成員。
○西田構成員 まだ実質どの程度になるかというのは、現実に始まってみないとわからないのですけれども、希望される方は非常に多いと思います。実際に、まず検査ができること、それから、検査が目的はではないので、その後の医療がどう提供できるかということも考えなければいけないので、北川座長がおっしゃったような体制が必要ではないかなと考えています。
○北川座長 ありがとうございます。
そういった観点から、がんゲノム医療拠点病院が必要になってくる。一方で、その医療体制はほぼ中核拠点病院と同等の機能を備えていくべきであると。人材育成と治験、開発、先進医療などについては中核拠点病院が担っていきますが、ほかの診療についてはほぼ同等の要件を求めていきましょうというコンセプトでございます。
きょうは、この点につきまして、皆様の御意見を伺って、これを大筋でお認めいただけるか、あるいは何らかの修正が必要かということで御議論いただきたいと思いますが、構成員の皆様から何か御意見はございますでしょうか。
それではまず、三好構成員からお願いします。
○三好構成員 ありがとうございます。
こちらのゲノムのワーキングのほうにも委員で参加しておりましたので、重ねてという形になると思いますが、意見を言わせていただきます。
3つあるのですが、まず1点目は、実際にこのゲノムのワーキングのいろいろな動向を見られた難治がんの患者さんからの声として、今、パネル検査のほうが標準治療のない固形がんもしくは希少がんということでかなり限定されて患者さんを受けられるという状況になっているのですけれども、治療がもうないという患者さんたちというのは、体調もなかなかすぐれなかったり、時期が待てなかったりというお声が届いております。
なので、恐らく医療費の問題であったりとか、エキスパートパネルの人手不足もありますので、すぐには難しいとは思うのですが、できれば初期治療からこのパネル検査が受けられるような体制を先々はぜひ望みたいという声が難治がんの患者さんから届いておりますのが1点目です。
2点目は、資料3-1の4ページ目、その他の部分になります。こちらの2つ目から4つ目に関しては、私がワーキングのほうでお伝えさせていただいた御意見だと承知しているのですけれども、こちらに書かれていることは今回指定要件のほうには入らなかったのですが、私たち患者にとってはとても大事な部分だと思っておりますので、重ねて言わせてください。
まず、ゲノム医療に関する相談支援体制なのですが、アクセスのしやすい窓口をぜひつくっていただきたいということをずっと申しておりました。今、全てが相談支援センターのほうにまずはとなっているところが大きいかと思うのですけれども、相談支援センターもかなりいろいろな分野の相談窓口になっておりますので、できるだけ早くこの窓口をきちんとつくっていただきたいということが重ねてです。
次に、遺伝子パネル検査に関しての遺伝カウンセリングの問題なのですけれども、私自身も遺伝カウンセラーさんのカウンセリングを実際に受けた立場としましては、専門家の先生方がいらっしゃるのでよいだろうという指定要件になってはいるのですが、遺伝カウンセラーさんの皆さんが、例えば家族への配慮であったりとか、私自身の心の移ろいであったり、心配であったりというところを大変担ってくださると私自身も実感しておりますので、今はまだ手が足りないということで、言葉には入りませんでしたけれども、今後こちらの体制も引き続き整えていただきたいと思います。
以上です。
○北川座長 ありがとうございました。
それでは、松原構成員も御意見がおありのようなので、まず伺って。
○松原構成員 遺伝子パネル検査は、診療報酬の問題で私ども随分議論させていただいているのですが、最終的には必要な方には必要なことができるようにしなければならないと思っています。単なるお金の話だけではなくて、将来を見通して、日本国民が幸せに暮らせるためにはどうあるべきなのか。そこから見れば、なるべく多くのところで適切な対応ができるのが当然であるということ考えております。
その点に立って、先ほどの三好構成員のお話を聞きますと、まだまだ人材不足や寄り添えるような体制になっていない。そこのところを充実していかねばならないわけであります。私ども、もう一点気になっているのは、すべての組織の中で一つを完成させると、関東のある大学のように大変問題となったところがございます。手術の適応が十分でなかったのではないかというような思いがあります。
そういったことがないようにするには、なるべく第三者の目を拠点の中に入れていただき、それを条件にしていただければ、必ず誰かが外から見るのだという状況であれば、ガバナンスの問題もかなりしっかりしてまいります。
ただ、誰かが見ればそれで全て解決するわけではありません。どのように見るかということについては、十分に検討していかなければならないのですが、国民にとって非常に大きな問題であるがんの治療という点においては、ぜひその仕組みの中で第三者の目が十分に入るような条件にしていただきたいと思います。
以上です。
○北川座長 ありがとうございました。
三好構成員も松原構成員もともに、将来はもう少し広い範囲でこのがんゲノム医療が適用できるようにという御意見だったと思いますが、まずは現在の適用を、一方でしっかりと支える体制をつくるというところから始めていきたいと皆様思っているのではないかと思います。
その中で、相談支援体制、カウンセリングなど、質を担保するような要件を将来的にはしっかり入れていくべきだと。また、松原構成員は、それを担保するガバナンス、監視体制というと少し厳しい表現になりますけれども、そういったものもつくっていくべきだという御意見でございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、家原構成員からどうぞ。
○家原構成員 ありがとうございます。
先ほど御解説いただきました資料3-1の中で、特に拠点病院の指定に関しまして、小児がん症例の対応を考慮しということを書いていただきましたこと、非常にありがたく存じます。
特に小児がんは希少がんが多うございますので、標準治療がなく、診断時からパネルを行う症例も出てくるかと思いますので、そういった中で非常に重要な視点を書いていただいて、ありがたく存じます。
一方で、1点気にかかる点がございましたので御指摘させていただきます。
資料3-1のIの1のところでございます。下段のほうに、「エキスパートパネルにおいて、小児がん症例を検討する場合には、小児がんについて専門的な知識を有し、エキスパートパネルに参加したことのある者が1名以上」と書かれております。
この文言は、資料3-1別添の1枚めくったところを見ますと、【診療従事者】のところに書いてある文言かと思うのですが、こちらでは、例えばがん薬物療法のところでは、専門的な知識及び技能を有する医師と書かれております。その次の遺伝医学に関しましても、専門的な知識及び技能を有する医師という形で書かれておりまして、小児がんだけがエキスパートパネルに参加したことがある者となっているところに少し違和感を覚えました。
私はこのところは、上と同様で、専門的な知識及び技能を有する医師でよいのではないかと。恐らく、薬物療法に関しましては薬物療法専門医等を想定されているのではないかなと考えますし、遺伝に関しましても、そういった専門職を想定しているのではないかと考えるのですが、小児がん症例を検討する場合にも同様の書きぶりでおさめられるのはいかがかなと。小児血液・学会の専門医等もございますので、そこのところはいかがでしょうかという質問でございます。
○北川座長 これは個別重要な御指摘でございますが、「者」でなく「医師」にすべきか。一方、そうすると要件はかなり厳しくなると思いますが、西田構成員、この辺は何か御議論はありますか。
○西田構成員 この御意見は小児がんの専門医から出た御意見でございまして、実を申しますと、今、御指摘がありましたように、小児がんはエキスパートパネルに参加したことが必須であるべきかどうかというと、私自身は、座長としては、それほどこだわりはございません。
と言いますのは、エキスパートパネルを経験されている先生は現時点ではそうたくさんいないと思うのです。ですから、小児がんの専門的な知識を持っている人であっても十分ではないかなと思います。
○北川座長 これは「者」から「医師」に書きかえると問題はございますか。「参加したことがある者」という表現が少し、ということですね。実際に、これが「医師」となると支障が出ますでしょうか。「医師」でも構いませんか。
○西田構成員 専門医でも構わないと思います。
○北川座長 「医師」でも大丈夫ですか。
○西田構成員 はい。
○北川座長 これは事務局のほうで、後で検討をお願いします。
どうぞ。
○西田構成員 今の件はそういうふうに事務局と調整させていただければ結構です。
それから、先ほど三好構成員からあった話ですけれども、難治がんなどでできるだけファーストラインに入れていただきたいと言うことに関して。先ほどお話がありましたように、標準治療がない場合には、基本的にファーストラインから、最初から入ります。標準治療がある場合は、基本的に標準治療を優先すべきであると私どもは考えています。
なぜならば、現在、パネル診断をやって、実際に薬に結びつくのは、我々の成績からいくと約13%です。その13%の約60%がインベスティゲーショナル・ドラッグです。残りの30%が適応外使用、実際に標準治療に当たるのは10%ですので、インベスティゲーショナル・ドラッグというのはまだエビデンスがある薬ではございません。それをいきなり推奨するというのは非常に難しゅうございますから、まず標準治療をやっていただいて、その後に遺伝子情報に基づいてやるというのが現段階ではいいのではないかと思います。これが、エビデンスが蓄積してくれば、当然前のほうに持ってきて当たり前かなと私自身は考えております。
○北川座長 ありがとうございます。
まさに西田構成員がおっしゃったように、今回、小児がん、希少がんにこのがんゲノム医療は大きな光を当てた。標準治療がない疾患については一つの道が開けたのですが、一方では、施行できる標準治療がしっかりある患者さんが、標準治療を行わずにパネル検査を受けることによって、治療までに時間を費やしたり、むしろエビデンスのない治療に入ってしまうことのマイナス面も出てきてしまいます。将来もっともっとがんゲノム医療が発展してくれば、恐らく理想的な状態になると思うのですけれども、そういった観点を御理解いただければということでございました。
三好構成員、何かございますか。
○三好構成員 私の伝え方が少し誤解を招いてしまいました。
今、西田構成員がおっしゃったことは理解していた上で発言をさせていただきました。治療がない患者さんたちがファーストラインではできるということは承知しております。失礼いたしました。
○北川座長 天野構成員、御意見がありましたね。どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
今、西田構成員から御説明いただいた点に関連してですが、いわゆる再発・難治の方々が対象になるということで、現場では、先進医療等においても、検査中に患者さんが間に合わず亡くなられてしまうということが実際に生じている現状があります。
今、ゲノム医療提供体制の整備に向けて、関係の医療者の方々が最大限に尽力いただいていることは十二分に理解している上であえて申し上げますが、そういうふうな状況があるということを十分に御理解いただいた上で、提供体制のさらなるスピードアップをお願いできればということがまずあります。
私からは加えて2点意見がございます。
1点目でございます。資料3-1別添の8ページ目、「医療情報の利活用や治験情報の提供等について患者等にとってわかりやすくアクセスしやすい窓口を有している」の部分でございます。先ほど三好構成員から御指摘いただいた点と重複しますが、重ねて申し上げます。この中で、中核拠点病院または拠点病院、連携病院、いずれも2ポツ目については、「病院内のがん相談支援センターにおいて、がんゲノム医療に関する情報をがん患者・家族に提供できる体制が整備されている」という文言になっていて、この3つの病院いずれの類型においてもこういった相談支援体制が充実していることが必要なのだということを示していただいていると思います。
これ自体は大変ありがたいことでありますし、そう目指すべきだというのは理解しているのですが、一方で、現実を申し上げますと、これはがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議でも同じ意見を申し上げたのですが、例えば、現状、がんゲノム医療中核拠点病院を受診している患者さんの例を出しますが、報道等で先進医療を通じてゲノム医療が行われているということを確認した上で、主治医に自分は受けられるのかと聞いたら、あなたは無理ですと言われて説明が終わったと。その患者さんは、同じ院内の医療中核拠点病院の相談支援センターに相談しに行ったところ、主治医がそう言うのであれば無理ですと言われて相談が終わったという状況があります。
現実問題、ゲノム医療について本当に患者さんが納得するように主治医の先生が診療時間の中で説明するとなると、非常に多くの時間を要することが予想されますし、また、恐らく窓口というのは、相談支援センターとここに記載がありますが、相談支援センターは主に心理、社会的な支援になれている看護師の方やソーシャルワーカーや心理士の方々が配置されている現状で、ゲノム医療を本気で相談しようと思ったときに、現実問題として、相談支援センターでは非常に困難ではないかと感じます。
なので、目指すべき方向性としてここで3つの類型においてそれぞれ書いていただいているのは大変ありがたいのですが、例えば本気で患者さんがゲノム医療にアクセスし、未承認薬や適応外薬、もしくは治験の情報について情報を得るには、現状の相談支援センターでは相談が困難です。
なので、重要なことは、例えば、治験に関する相談窓口では、場合によっては医師やCRCさんといった専門の医療職の方がいらっしゃるわけです。そういったところに確実につながることができないと、患者さんがゲノム医療で検査を受けても結局お薬にはつながらない。未承認薬や適応外薬、治験の情報を得ることができないということになりますので、一般的なゲノム医療に関する情報提供は相談支援センターで対応可能かと思いますし、そういった研修も行われていると思うのですが、本当にゲノム医療にアクセスしている患者さんが相談する窓口は、相談支援センターだけでは対応が困難であることは予想されますので、院内の臨床試験等に係る専門の相談窓口に確実につなぐことができる体制を整備していただくことが必要だと考えます。以上が1点目でございます。
2点目、資料3-1の本文のほうの4ページ目、その他の部分で、ゲノム情報は非常に機微な情報であるので、適切に管理する必要があるということが指摘されています。今回は指定要件を検討する場ですので、その他ということに関して申し上げるのが適切かどうかはわかりませんが、とても大切なことだと思うので、あえてこの場で申し上げることをお許しいただきたいのですが、現在パネル検査が行われていますが、今後、報道等では、来年度以降全ゲノム検査を用いて、患者さんの情報を集約し、10万人程度のゲノムバンクをつくっていく予定があるという報道がありました。
そうなってきますと、遺伝性腫瘍の患者さんであるとか、または遺伝子変異陽性の未発症者の方に対する保護というのはもちろんのこと、がん以外のさまざまな疾病であるとか、その発症リスクについても情報が集約される可能性があるわけでございまして、このことについては、かねてより患者団体からも繰り返し要望しているところではございますが、例えば米国における遺伝子情報差別禁止法、GINA法のような法体制による患者さんの社会的不利益からの擁護は不可欠です。
そういったことをなくしてゲノム医療を推進すると、例えば遺伝子パネル検査であれば、特定の遺伝子変異しか見ていないのだからそういった問題は生じづらいという御意見もあると承知しておりますが、今後全ゲノム解析まで進むのであれば、そういったことに対する法的な擁護が不可欠になってくると思いますので、ゲノム医療提供体制を推進するその両輪として、そういったことについて現在議連でも議論いただいていると承知しておりますが、場合によっては各法などで御検討いただくことも含めて、ぜひ検討いただきたいと願っております。
私からは以上でございます。
○北川座長 天野構成員から大変重要な御指摘がございました。
スピードアップにつきましては、恐らく今のパネル検査の保険適用のところで、標準的治療がなくなった段階ではなくて、なくなることが見込まれるという形で少し前もってパネル検査を行えるような配慮がなされていると私は認識しておりますが、この点も重要な点だと思います。
まさに2番目の相談支援センターの機能がこうした専門的なところまでできるかというのは、現時点ではなかなかそこまでできないと思われます。実際には、恐らく担当医がさまざまな治験情報ですとか治療に関する情報を提供しなければならない。そういった意味では、きょう御審議いただいている中核拠点病院あるいは拠点病院の機能というのは、我々が予想している以上にさまざまな機能が必要なのかなという御指摘でございました。
最後の御指摘は、まさにこのゲノム医療がどんどん進んでいく上では必須のことでございます。ゲノム情報に関して、患者さんが不利益をこうむらないような、米国のGINA法のようなものの制定が必要であるという御提言でございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、藤構成員からどうぞ。
○藤構成員 実際、座長のほうから今後2万から3万の患者さんが想定されるということでございました。実際にこの指定要件は非常に厳しいものがございます。そういうことを考えますと、三好構成員が言われたようなスピード感というのは当然大切なわけで、ある程度の数の拠点を指定しないといけないという現実はあるということはわかりますが、実際に現実を見たときに、この指定要件をクリアできる病院がどのくらいあるかという面も考えていかないといけないとは思います。
もちろん、数をこなすために指定要件を下げるという感覚ではいけないとは思うのですけれども、そのあたりは、実際の数とかというのは想定できないとは思いますが、大体そういうことが可能なのかどうか。これをクリアできる病院が実際にありそうなのかというようなイメージというのはついておるのでしょうか。
○北川座長 この辺は、西田構成員から御発言をいただければと思います。
○西田構成員 御存じのように、中核と連携病院の申請がございますので、その辺のデータを見ると、大体おおむねの見込みよりは少し多目の病院が的確になるであろうと推察しています。ただ、地域性を考慮しなければいけないので、どうしても関東圏とか近畿圏とか、患者さんが多いところは要件を満たす病院が多うございます。
一方で、沖縄とは申しませんけれども、地方はなかなか厳しいものがございますので、その辺を合わせると、今、想定している30から40の間に拠点病院の数に落ちるのではないかなと考えております。
○北川座長 ありがとうございます。
そういった見通しであるということでございます。
それでは、堀部構成員、御意見をどうぞ。
○堀部構成員 私から2つ確認をしたい点があります。
1つは、資料3-1の2のところで、先ほど家原構成員の御発言にもありましたように、小児がんに関して御配慮いただいて非常にありがたく存じますが、2ページ目に、拠点病院の指定にあたって下記の事項を考慮するとして、中核拠点病院と同等の実績があることが望ましいと書かれていますが、ただし書きのところに、小児症例を専門とする医療機関が指定を受ける際には、絶対数が少ないことを考慮し、実績を評価するとあります。先ほど西田構成員は運用でとおっしゃられたと思いますが、これについて、資料3-1別添の7ページに具体的な指定要件の内容が書かれています。
ここを拝見すると、がんゲノム医療拠点病院における診療実績は過去3年間の間に合計100人以上と書かれていますので、これは小児を専門とする施設では現実的でない数値と思われます。一方、その右側のがんゲノム医療連携病院のところでは、小児を専門に扱う施設の場合のただし書きが書かれています。
真ん中のがんゲノム医療拠点病院のところにもこのようなただし書きを付す予定はないでしょうか、先ほどの運用の仕方についてもう少し具体的なお話を伺いたいと思います。
 
○北川座長 西田構成員、いかがでしょうか。
○西田構成員 小児の拠点病院の中には、完全に小児だけを専門としている病院と、小児も専門的に見ている病院、要は大学病院と両方ございます。だから、両方合わせることができて、なおかつ小児だけを見ている病院も入れるようにすればいいのかなと思います。
先ほど堀部先生から御指摘がありました点に関しましては、小児しか見ていない病院に関しては、100ではちょっと厳しいと正直思っております。ただ、100を切っても、全く治験の経験がない病院を本当に入れていいのかということになりますので、やはりある程度の数、その数は全体を見ながら運用でカバーしていただくのがいいのではないかと思います。
と申しますのは、今後その数は変わっていくはずなのです。現時点の数が来年同じということは全くないはずで、来年はさらにふえると思いますので、ぜひその辺は運用でカバーしていただくのが一番現実的ではないかなと思っております。
○北川座長 ありがとうございます。
ここに書いてありますように、中核拠点病院は100人以上登録した実績がある。そして、拠点病院のほうは、100人以上登録した実績があることが望ましいとなっていますので、そこに一定の違いがあると。そこが例えば小児の専門病院であればそこを少し緩和するという運用で対応していただける、文言的にはカバーされていると理解いたしました。
堀部構成員、どうぞ。
○堀部構成員 今の点につきましては、その100人という数字が、小児がんの世界になると、ワンオーダー以下のスケールになり、四、五十人はあるだろうとはならないので、その点について小児がんの希少性を勘案していただきたいと思います。
もう一点、別の視点ですが、資料3-1の4ページ目に、小児期、AYA期の悪性腫瘍においては造血器腫瘍の占める割合が相対的に高いということで、固形がんと同じ医療提供体制でよいかどうかについても検討すべきであると記載していただいていますが、とりわけ、急性白血病は診断時にかなり急を要しますし、診断時のゲノム情報をもって治療選択、層別化がなされている現状がありますので、そのような場合にエキスパートパネルの開催の必要性を含めて、早い段階でご議論いただきたいと思います。
現在、私どもを含めて造血器腫瘍パネルの開発を進めているところではありますが、恐らく2年ぐらいの先には保険収載を目指したパネル検査が登場してくる可能性があると思いますので、その前にこの課題についてきちんと検討していただきたいと思います。その辺の検討の進め方のテンポ感について確認させていただきたいと思います。
 
○北川座長 造血器腫瘍についてはかなり特殊な状況があるので、将来的にはそこを勘案した制度づくりにしてということですね。貴重な御意見です。
西田構成員、何かコメントはございますか。
○西田構成員 特に、白血病はさっき御指摘がありましたように、非常に急ぎます。1週間おくれると予後が変わってしまいますので、その辺に関しては、1つはエキスパートパネルのこともあるのですけれども、解析のスピードも上げないといけないと思っています。解析結果が出たら翌日に検討できるような体制をつくっていくというのが一番望ましいのではないかなと。
もちろん、今、ひもづけられている遺伝子変異が出た場合はいいのですけれども、そうでない場合はやはりエキスパートパネルで検討していただかなければいけないと思いますので、それを迅速に、PDCAサイクルと言うのですか、オーダーサイクル(OODA)を回すということが重要ではないかなと考えております。
○北川座長 貴重な御意見、ありがとうございました。
ほかに構成員から御意見はございますでしょうか。
清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 今までの議論を十分に把握していない中での発言となることをお許しください。
乳がんを診療している立場から意見を申し上げたいと思います。パネル診療が浸透しますと、天野さんからも御指摘がありましたように、遺伝性腫瘍のリスクを負った方々がより多く見つかってくるものと認識しております。その中で、乳がんや卵巣がんなどでは予防的な卵巣・卵管切除、あるいは予防的な乳房切除のような治療のオプションが提案されるべきであるということはガイドラインにも記載されるようになってきております。
そうしますと、パネル検査で当事者の方の治療ということのほかに、カウンセリングについてはこの指定要件の中には書かれてはいるのですが、予防的な治療は受けたいという方も中には出られるのではないかと思います。
十分には知らないところではあるのですが、国内では日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構JOHBOCと呼ばれている団体が、その中で予防的な治療ができる施設、検査、カウンセリングまでができる施設、検診のみを担う施設というように施設を整理されておりますが、そういった流れの中で、この拠点病院でもそういった機能を担うような病院が整理されていくのか、そのあたりをもし御存じでしたら教えていただければと思います。
○北川座長 ありがとうございます。
先ほど天野構成員のコメントにもありましたように、全ゲノム解析の時代になりますと、全ての遺伝性疾患にカウンセリングあるいはフォローアップ体制が必要であるということは言うまでもないのですが、まず課題となるのはHBOCですよね。非常に高頻度で出てくる可能性があるのでここをどうするかと、御専門の立場からの貴重な御指摘だと思います。
この辺、西田構成員、何かコメントはございますか。
○西田構成員 先ほど御指摘があったことは非常に重要で、多分1カ所だけで解決できるとは限らない。必ずしもそういった専門家、非常に才能に恵まれた人がいるところばかりではないので、そういったものをつなぐネットワークをつくっていくことが今後は重要ではないかなと思います。情報のネットワークをつくるということがまず第一に重要だと思います。
もう一つ、天野構成員から御指摘が2つあったと思います。情報提供のあり方の中で2つ、1つは臨床研究の情報をどう提供するか。それから、患者さんにゲノム医療とはどういうものかとちゃんと説明できるかということなのですけれども、まず、後者のほうに関しては、我々のほうでもそうなのですが、国立がん研究センターでも医療者のがんゲノム医療に対してもっとリテラシーを上げなければいけないと。例えば、がんセンターに勤めている医療者が全部がんゲノム医療に関して十分熟知しているかというと、必ずしもそうではないのが現状です。ですから、一般病院に行けばもっとそうであろうと思いますので、まず医療者に対して十分な情報提供をしていく。それぞれの病院がそういった機能を持つことが必要です。それは中核を中心にやっていかなければいけないと思っています。
それと同時に、こういった臨床試験があるというのは、これからC-CATがそういう情報を出す予定になっていますけれども、今、OngoingのClinical studyを患者さんが見られる、あるいは医療者が見られるようなところをきちんとつくっていかなければいけないと思っていますし、それは近々にできるのではないかと期待しております。
以上です。
○北川座長 ありがとうございます。
まず、患者さんへの支援の前に医療者の人材育成というのが前提にあると。これはまさに中核拠点病院のミッションの一つであると理解しています。
今、もう一つ重要な御指摘がありましたが、C-CATの機能としては、通常のパネル検査のアノテーションを出すのでしょうけれども、それに加えて、治験情報とかさまざまな実際の治療に結びつく情報もお出しになるという理解でよろしいですか。
○西田構成員 一応そういう構想で人材を集めて間野先生にやっていただいていると私自身は理解しております。
○北川座長 まさにそこが一番重要なところで、治療につながる情報をいかに現場の専門医、患者さんに伝えるかというのはC-CATの大きなミッションの一つかなとも思います。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、松原構成員、よろしくお願いします。
○松原構成員 今の件に関してなのですが、最近の患者さんというのは、情報を得られるために、インターネットを見られます。インターネットというのは、海外にはエビデンスが欠けているものがかなりあって、患者さんはみんな非常に不安になります。
そのときに、先ほどおっしゃっていた相談窓口で対応できるかといったら、それは十分ではありませんが、今、おっしゃっていた、医療職をみんなで教育したら、どれだけの信頼性を持っているかについては、恐らく患者さんは質問をしたときにはわかると思います。、いろいろなことが説明できるような状況をつくっていくことによって患者さんも安心すると思います。ぜひ先ほどおっしゃったことは、推進していただきたいと思います。
もう一つ、先ほどいろいろな遺伝子の問題を言われたのですけれども、乳がんの話もそうですが、私も社会保障審議会の分科会でよく議論しているのは、マイナンバーカードを用いていけば、いろいろなことがわかると言う方々がいらっしゃるのですが、ところが、私どもからすると、全遺伝子検査というのは本当にすぐそばに来ています。全遺伝子検査がわかれば、当然その方がどんな病気になるかも予想がつく日が近いところにやってきます。そこで、変えられない一つの名前としてマイナンバーをつけたものを使うと、これは大変個人的に危険なことになります。
私どもがよく主張しているのは、別の番号にして、政府の責任で厳重に管理していただきたいと。全世界の中で、普通の個人番号を医療番号として使っているところというのは、アイスランド、あるいはエストニアなど、非常に特殊な国であります。アイスランドは国民が24万人しかございませんし、エストニアはロシアのすぐ横であります。
そういったことも考えて、全遺伝子が一つの番号にくっついたとき、どんなに国民にとって危険かということを理解しながら、これを進めていただきたい。私ども日本医師会は常にそれを申し上げております。政治家の方々には早く使えれば便利ではないかと思われている方々がいらっしゃいますが、医療の専門家としては、そこのところをぜひ押さえていただきたい。
これは、この会とは少し違うのですが、今、遺伝子の怖さについての話が出ましたので、つけ加えました。
最後に、拠点病院は国民の目から見て、やはりふえたほうがいいと思います。今回のように、中核病院プラス拠点病院をふやして、そこが適切に運用できるという議論をされているということについては、敬意を表すると同時に、ぜひ進めていただきたいと思っております。
以上です。
○北川座長 貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
がん情報の問題につきましては、がん対策推進協議会でも非常に問題になっていますので、ここは全体として取り組むべき課題だと思いますが、少なくとも今回この仕組みにおいては、この3つの種類の病院でしかがんゲノム医療は提供しないわけですから、そういった意味では国民にはわかりやすくなると思いますし、一定のルールができてよりわかりやすい体制になると望んでおります。
それでは、花出構成員、どうぞ。
○花出構成員 ありがとうございます。
資料3-1の別添の8ページで、重ねてがん相談支援センターに関することになるのですけれども、がん相談支援センターなのですが、幸いなことに、私の勤めている病院では看護職はがん看護専門看護師となっておりますが、福祉職である医療ソーシャルワーカーしかいない病院があるのが現状でございます。
この整備指針なのですけれども、恐らく、ゲノムの拠点病院に関する指定要件と、がん診療連携拠点病院の整備指針がばらばらにされて動いてしまうことが懸念されますので、例えばなのですが、がん診療連携拠点病院の整備について参考資料1として配付されているのですけれども、その13ページには「患者からの相談に対し、必要に応じて院内の医療従事者が対応できるように、相談支援センターと院内の医療従事者が協働すること」と明記されておりまして、全てを相談支援センターというわけではなくて、院内医療者と協働というところがゲノム拠点のほうの文言からも読み取れるようにしてあるといいのではないかなと感じました。
以上になります。
○北川座長 花出構成員、ありがとうございます。
がん診療拠点病院の要件の中の相談支援センターの要件と、今回のがんゲノム医療中核拠点病院の整合性について、西田構成員、いかがですか。
○西田構成員 御指摘ありがとうございます。
実は、ゲノム拠点と申しますのは、がん拠点が前提条件となっております。ですから、当然の話として、ソーシャルワーカーの方が受けたときに、それで対応できなければ、院内のネットワークの中でつなぐというのが前提ですし、例えば、希少がんであれば自分のところでなければ他病院につなぐということが基本になっていますので、ここはいちいち書かなくてもそれは当然のこととして運用していただくという理解をしていただくほうがいいかなと思います。
○北川座長 ありがとうございます。
花出構成員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、郡山構成員、お願いします。
○郡山構成員 ありがとうございます。
資料3-2のスライド2枚目と3枚目にありますけれども、医療提供体制とかで中核拠点病院と拠点病院が一つの枠組みで捉えられておりますが、既に現在中核拠点病院の下に連携病院が組まれておりますけれども、例えばこれから先、今から新設される拠点病院のバランスを考えて、現在、これは必ずしもブロックごとではないですよね。なので、そういった地域のバランスというのを考えて、この組み合わせというものを、指定要件を考えるときに再編成という可能性があるのかというのがまず1点質問です。
もう一つありまして、先ほどから相談支援センターの話とか、がん情報のリテラシーのお話がありましたけれども、私、鹿児島ですけれども、鹿児島でのつい最近の議論を聞いておりますと、地方の先生方、このがんゲノム医療に関してかなり混乱しております。できるだけそういった情報を隅々まで行き渡らせていけるような支援をお願いしたいと思います。
以上です。
○北川座長 ありがとうございます。
私ども中核拠点病院である慶應の連携に郡山構成員の所属される鹿児島大学附属病院になっていただいているのです。今後、中核拠点病院と連携病院の地域性についても検討しなければなりませんね。現在は11の中核拠点病院にそれまでのいろいろな関係から地域は余り配慮せずに連携が組まれています。ここに拠点病院が加わることで、今後は地域ブロック別にするのか、あるいは全国ネットワークも可とするのか、その辺はいかがでしょうか。
○西田構成員 ここはすごく強制するわけではないのですけれども、患者さんの移動を考えたら、やはり地域性を考えて、それぞれが自主的にやっていただくのが一番いいのかなと思っています。
それから、スライド3でゲノム中核と拠点を一緒に囲んでいるのは、がんゲノム医療というのは、先ほどから申し上げていますように、1年、2年、3年たつと結構変わります。変わっていく中で、それぞれの病院が勝手に進化して、質の担保が別々になってしまうと非常にまずいということで、現在、御存じのように、がんゲノム医療中核拠点病院の会議あるいは運営会議がございます。そこでの情報を十分に拠点病院にもシェアしてもらおうということで、ここを赤枠で囲っていると御理解いただければいいかなと。つまり、日進月歩は常に拠点病院、中核拠点病院の中でシェアして均てん化していきたいと考えています。
それぞれの連携に関しては、自主的に、やはり患者さんの移動を考えて選んでいただくのが現実的ではないかなと考えております。
○北川座長 現在も複数の中核拠点病院へ連携は許容されています。今後は患者さんの利便性の観点からも自然にブロック化されていくのではないかというお考えですね。
○西田構成員 そういうふうになっていってほしいと思いますし、そうなるのではないかなと思います。
ただし、先ほどありました小児のような領域に関しては、さすがにちょっと距離を置かないとできない場合もございます。だから、小児の場合は複数になる場合もございますし、それは許容しなければいけない。
疾患ごとに少し考えて、コモンキャンサーと、それから、さっき言ったように小児は少し違うかなと思います。
○北川座長 ほか、よろしいでしょうか。
きょうの議論の最終的な結論は、この指定要件に関しまして、この検討会として大筋でお認めいただけるかどうかということで、今の御意見を集約しますと、一部、資料3-1別添の中で、「者」とするか「医師」とするかというような文言の御指摘がありましたし、相談支援センターの機能に関しましては、ここに書かれている内容を読み取ると、これからも充実させることはもちろんとして、現在の地域がん診療連携拠点病院の機能を前提として書き込まれているのでこの記載で妥当であると考えます。また、小児あるいは希少疾患に対する対応としては、ここに書かれている内容はそこをある程度配慮して、運用で柔軟に対応できる内容になっていると理解させていただきました。
ということで、細かな点を事務局と詰めさせていただくということで、もし構成員の方々の中で御異論がなければ、本日の重要な議題でございますこのがんゲノム医療拠点病院等の指定要件については、コンセンサスをいただいたと理解しておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○北川座長 それでは、3番目の議題が終了いたしました。
続きまして、事務局のほうから何か連絡、追加事項はございますでしょうか。
○事務局(片岡) 事務局からは特にございません。
○北川座長 よろしいでしょうか。
ということで、きょうはこの「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の中で、大きな3つの柱になりましたがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの御報告と皆様の今後への課題、また、小児拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの御報告とこれからの課題をお示しいただきましたし、がんゲノム医療が保険診療で行われるに当たり、これをどう国民の皆様に適切に提供するかというところで、必要な体制としてがんゲノム医療拠点病院の指定要件に関する大筋の案をここでお認めいただいたということでございます。
よろしいでしょうか。
松原構成員、どうぞ。
○松原構成員 一番最初に申し上げた、第三者の目を入れる、評価を入れるということをぜひ座長先生に御検討いただきたいと思います。
○北川座長 第三者の目ということで、そこをしっかりと今後の体制の中で検討いただきたいと思います。遺伝子の情報、個人情報の面も含めて、どうやってそこを担保していくかということだと思いますけれども、ありがとうございます。
では、事務局からお願いします。
○事務局(片岡) 事務局です。失礼します。
そういう意味では、今、松原構成員の御指摘の内容ですけれども、資料3-1の別添の一番上のほうで、特に今回のがんゲノムの医療に関しては、その検体処理等で臨床検査室、病理検査室の役割が大事と認識しておりますので、この点、第三者評価を受けたということを要件に入れさせていただいておるということを御報告させていただきます。
○北川座長 ありがとうございます。
医療機関としての検査機能もそうですけれども、もう少し大きな幅広い面での体制としてガバナンスをきかせていくと。松原構成員、そういうことですね。わかりました。ありがとうございます。
それでは、構成員の皆様から追加の御意見はありますか。
有賀構成員、どうぞ。
○有賀構成員 有賀でございます。ありがとうございます。
今回この検討会の冒頭で、がんとの共生のあり方に関する検討会が立ち上がっているという御報告がございました。このがんとの共生のあり方に関する検討会は、基本的に第3番目の柱として、緩和医療や情報提供のあり方が話し合われると説明を受けております。
当検討会でも、先ほど来、ゲノムに関する情報提供や相談のあり方について、多数の議論が含まれておりました。また一方で、このがんとの共生のあり方に関する検討会の中では、緩和医療に関して、がん診療連携拠点病院の実地調査も議論が進んでいます。非常に細分化され、部分的に物が進んでいたり、全体像がなかなか見えなくなったり、複雑化していくのではないかということを本日の議論を聞いていて懸念いたしました。
その点につきまして、今後この検討会の方向性におきまして、他の検討会との連携、協力体制や情報の共有などを積極的に実施していただきたいと感じております。よろしくお願いいたします。
○北川座長 有賀構成員の貴重な御指摘です。
今回、これまでと体制が変わって、小児・AYAに関しては成人と一緒に議論が進んだ。一方、まだ横にはがんとの共生という別の検討会があって、そこで議論していて調査を行うことと、私どもが今、調査をしようとしていることが重複したり、ずれたりすると困ると。
事務局、何か御意見はございますか。
○事務局(片岡) 御指摘ありがとうございます。
まさにそういった相談支援の視点とかはこの検討会と連動していく必要があると思っておりますので、その点は事務局で十分に資料の共有、御報告をさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。
○北川座長 大変貴重な御指摘でございました。
ほかにはどうですか。
鶴田構成員、どうぞ。
○鶴田構成員 この拠点病院の体制を変えるに当たって、今、医療機関は経営とかを含めて非常に厳しい状況にありますので、何らかの病院に対する支援策というのは考えておられるかどうかをお聞きしたいと思います。
○北川座長 いかがでしょうか。事務局から。
○がん対策推進官 事務局でございます。
鶴田構成員の御指摘のとおり、今、中核拠点病院にも補助金を出させていただいておりますが、拠点病院にも、若干額は異なる予定でございますが、一定の額を支出することを検討しております。
先ほど来、数について幾つか御指摘がございましたので、事実関係を申し上げると、現在の見通しとしては、約30程度拠点病院を選定させていただければと思っております。先ほど御議論の中で四、五千という数字もございましたが、これは中核拠点病院に昨年の冬ごろお伺いして、どれぐらいエキスパートパネルを開催し、件数を診ていただけるかという数でございます。
一方で、このパネル検査を求められる方、正確な数字はなかなか積算が難しゅうございますが、現に西田構成員がおっしゃっていただいたとおり、万の単位で発生することを想定しておりますので、単純計算ではございますが、中核11と拠点病院30程度でおおよそ2万、3万あたりをカバーできるようにしていきたいというのが事務局の考えでございます。
○北川座長 この辺はきょう議論がありましたように、相談支援あるいはカウンセリングといった人的な配置をして機能を整えるには、それなりの経済的な支援が必要であるというのが鶴田構成員の御趣旨かと思いますが、その辺も考慮していただきたいということでございます。
大西構成員、どうぞ。
○大西構成員 大西です。ありがとうございます。
1つ戻りまして、(2)のがん診療提供体制の現状についてよろしいでしょうか。
実は、私の所属する地域において、新しい見直しにおいて1つがん診療連携拠点病院の看板をおろした施設があるのですが、先ほどの御発言にもあったのですけれども、特に人的な、人件費の面で、人を雇うというところでかなり無理をして頑張ってきたのですが、実際に生の声を聞きますと、今の御発言にあったのですけれども、いわゆる機能強化費とか補助金等がそれに見合わないといいますか、努力した分のインセンティブがなかなかなくてということをちょっと嘆き気味に、多分正直な声として聞いています。
こういう部分の補助金的な部分の見直し、本来は補助金をもらうために看板を掲げるものではないので、その病院の機能に見合った医療を行い、地域の患者さんに信頼のおける医療をわかりやすく提供するというのが目的だと思いますので、本来その病院の機能に見合った提供をすることが正しいので、看板をおろすこと自体は仕方がない部分もあるかと思うのですが、その分の補助金等も見直す機会がありましたらというのが現場の声としてあったことを御報告いたします。
○北川座長 この辺は私の答えるべきことではないので、事務局にお答えしていただきたいのですが、支援の主体となるのは国なのか地方なのかといろいろな御意見がございます。これはいかがでしょうか。負のスパイラルに入らないためには、どのような支援体制が必要でしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
非常に貴重な御指摘、ありがとうございます。
我々も制度設計をさせていただく中で、この拠点病院制度は一定の質を担保した病院にきちんと名乗っていただくべきだということを検討会でも御指摘いただき、まず質の担保ということを第一に考えて今般の指定をさせていただきました。
その中で、天野構成員から先ほど御指摘いただいたとおり、その結果、強化事業費が使えないであるとか、日本の財政事情が厳しい中で十分な補助金が確保できていないのではないかという御指摘もあろうかと思いますが、我々も最大限できる中でやっていきたいと思っておりますので、引き続き御指導いただければと思っております。
○北川座長 ありがとうございました。
きょうは本当に皆様から貴重な御意見、また、幅広い今後の展望に関する御意見もいただけましたので、大変ありがとうございました。
それでは、今後の予定、見通しにつきまして、事務局からよろしくお願いします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。事務局でございます。
本日は、本当にお忙しい中、お集まりいただきまして、御議論ありがとうございました。
今回、おおむね要件をお認めいただいたということで、最後、座長とも御相談する事項が幾つか残っておりますが、それを早急に確定させていただいた後の流れでございます。
資料3-2の一番後ろの4枚目のスライドでございます。
こちらに書かせていただいているとおり、既に遺伝子パネル検査が保険収載されましたので、これからこの検査を実施される方がふえてくることを想定しております。したがいまして、我々もがんゲノム医療拠点病院は、かなり早期に指定をしたいと考えておりまして、4枚目のスライドに書いてあるのは最速スケジュールを引いた場合でございます。9月を目指して今後の手続を進めさせていただきたいと思います。
具体的には、整備指針を正式な局長通知、参考資料3にあるものの改訂版を発出させていただくとともに、拠点病院の公募を早速開始させていただきたいと考えております。それを踏まえて、一定の公募期間を経た後、指定の検討会を開いて、早ければ9月にということで考えている次第でございます。
事務局からは以上でございます。
○北川座長 よろしいでしょうか。
本日、この指定要件につきまして、大筋で整備指針をお認めいただきましたので、微修正につきましては座長と事務局に一任いただいたということで、本日の検討会を終了させていただきたいと思います。
お忙しい中、御参加いただきまして、ありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

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