令和元年6月26日 第4回障害児入所施設の在り方に関する検討会(議事録)

日時

令和元年6月26日(水)
15:00~18:00

場所

中央労働委員会会館 7階 講堂

出席者

構成員

議題

  1. (1)      ヒアリング
    1. 1.独立行政法人  国立病院機構
    2. 2.一般財団法人  全国重症児者デイサービスネットワーク
    3. 3.一般財団法人  全日本ろうあ連盟
    4. 4.社会福祉法人  日本盲人会連合
    5. 5.社会福祉法人  全国社会福祉協議会 全国乳児福祉協議会
    6. 6.社会福祉法人  全国社会福祉協議会 全国児童養護施設協議会
  2. (2) 障害児入所施設の課題整理
  3. (3) その他

第4回 障害児入所施設の在り方に関する検討会 議事録

 
○山口障害児・発達障害者支援室長 それでは、時間になりましたので、これより第4回「障害児入所施設の在り方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の構成員の出欠の状況でございますが、全ての構成員の皆様に御出席いただく予定となっております。ただ、朝貝構成員、木実谷構成員については、おくれてお見えになる予定でございます。
本会議は、資料・議事ともに原則公開としておりまして、議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載予定となっております。
それでは、カメラ等の撮影はここまででお願いいたします。
以降の司会は、柏女座長、よろしくお願いいたします。

○柏女座長 それでは、皆さん、こんにちは。梅雨の谷間のひどく暑い日にお集まりいただきまして、御遠方からの方もいらっしゃると思います、お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。第4回の検討会をこれから開始させていただきたいと思います。
きょうも全員出席ということで、非常に出席率のいい、熱のこもった会議になっていることを感謝申し上げたいと思います。きょうは3時間の長丁場になります。途中、一回ちょっと休憩をとって進めていければと思います。ヒアリングをきょうもさせていただきます。本当に熱い中、お集まりをいただきましたヒアリング対象の団体の方々に心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。御報告をこれからいただきますけれども、どうぞ終わった後も、最後に委員間での協議の場がございますので、もしもお時間が許すならば、最後まで残っていただきまして、我々の意見交換などもお聞きいただいたり、場合によって御質問が最後にあるかもしれませんので、可能な団体の方は最後まで御協力をいただければありがたく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
会議に入ります前に、私から、きのうの内閣府の子ども・子育て会議のことを御紹介させていただきたいと思います。既に御案内の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、きのうの内閣府の子ども・子育て会議では、これから来年の3月に向けて、都道府県と市町村が策定する第2期の子ども・子育て支援の事業計画の策定のための国の指針の概要が示されて、御意見をいただくということがございました。その中で、国で報告されました指針の改定案の中に障害児関係に関する3点の変更点、今の第1期計画のための指針から変更することについて3点のお話がございましたので、ちょっと御紹介させていただきます。この会でこれまで出ていた意見なども反映させていただいており、私としては感謝しているところでございます。
1点目は、障害児福祉計画の中で、障害児のためだけの計画をつくるのではなく、子ども・子育て支援のための特定教育保育施設で、どのくらい障害を持った子たちを受け入れていくか、その定量的な計画を立て、そして確保策を定めると障害児福祉計画に書いてありますけれども、それを受けて、子ども・子育て関係の指針でも、障害児について、地域の中で子ども・子育て支援の利用ニーズを把握し、そして確保策なども書いてほしいと加筆することが1点目です。
それから、2点目は、医療的なケアが必要な子供たちの支援のための総合的な支援体制をどうつくっていくのか、それについてしっかりと市町村計画、都道府県計画について盛り込んでほしいということが2点目になります。
それから、3点目は、この検討会に直接関係することですけれども、障害児入所施設については、これまでは小規模グループケアの推進や身近な地域での支援の提供、本体施設の専門機能強化を進めることが望ましいという書きぶりだったわけですけれども、第2期計画については、望ましいという表現をより強くして、必要であるという表現に変えることを考えているという御報告がございました。
全てのことについて私も賛成しましたので、意見書は別に用意していたのですけれども、それが入っておりましたので、特にその分については意見は申し上げませんでした。
以上、御報告させていただきます。また、事務局の方に御尽力いただきましたことに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それでは、本日は、前回から引き続き関係団体からのヒアリングと課題の整理を議論していきたいと思います。
進め方について、事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口障害児・発達障害者支援室長 初めに、本日の議事の進め方ですが、まず各団体様よりヒアリングを行います。1団体10分程度で御説明いただきまして、その後、各構成員の皆様から10分程度、御質問の時間とさせていただきます。御発言、質疑、それぞれ時間がまいりましたら、事務局より合図をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。全ヒアリング終了後、全体の質問の時間をとっておりますので、先ほど座長からもございましたけれども、ヒアリングが終了した団体の皆様も、お時間が許す限りで結構でございますので、可能でしたら残っていただければと思います。その後、休憩を挟みまして課題の整理の議論に移りたいと思います。
続きまして、本日、お越しいただいております関係団体の皆様を御紹介させていただきます。
独立行政法人国立病院機構医療部長、渡辺真俊様。
医療課長、松本千寿様。
一般社団法人全国重症児者デイサービスネットワーク代表理事、鈴木由夫様。
事務局、伊藤毅様。
一般財団法人全日本ろうあ連盟副理事長、長谷川芳弘様。
理事、石橋大吾様。
社会福祉法人日本盲人会連合副会長、及川清隆様。
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国乳児福祉協議会副会長、横川哲様。
制度対策研究委員長、都留和光様。
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会副会長、安河内慎二様。
制度政策部長、伊達直利様。
以上の6団体の方々においでいただいております。ありがとうございます。
説明は以上です。

○柏女座長 ありがとうございます。
それでは、これから早速、ヒアリングに入っていきたいと思います。
まず最初に、国立病院機構様、よろしくお願いいたします。

○国立病院機構(渡辺氏) 国立病院機構医療部長、渡辺と申します。
機会を与えていただきましてありがとうございます。御説明をさせていただければと思います。
当方からは5~6枚のスライドを用意してございますので、早速ですが、御説明に入らせていただきたいと思います。
2ページ目になりますが、機構の概要でございます。平成16年の4月に国立病院機構法を根拠法として設立された中期目標管理法人でございまして、もともとは戦前の陸海軍病院、国立療養所等の流れがあるところでございます。
活動目的でございますけれども、我がほうは、主に3本柱と言ってございますけれども、医療の提供、調査研究、そして教育研修という3本柱を鋭意進めているところになります。全国で141の病院が現在ございまして、1つの法人として運営しております。機構本部は駒沢公園の隣、東京医療センターの敷地内にあって、きょうはそこからやってきてございます。特に全国的なネットワークを活用しながら、他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのあるセーフティーネット分野の医療ですとか、災害等の国の危機管理に際して求められる医療などを着実に実施しておるところでございます。
病院数は全国で141病院、全都道府県にございます。全部の運営病床数が約5万床という規模になっているというところで御説明させていただきます。
次の2枚につきましては、視点-1というところでございます。現状的なところにつきまして、少しお話を進めさせていただければと思ってございます。重症心身障害、筋ジストスフィーをはじめとする神経・筋疾患、他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのあるセーフティーネット分野の医療につきまして、在宅支援の視点も持ちつつ、高い専門性を生かして、我が国における中心的な役割を果たしていくこととしているということでございます。病床規模で、重心の障害病床で言いますと、我がほうは8,000床ほどあるところでございます。ここには書いていないのですけれども、141病院のうち73病院が重症心身障害の医療を何がしかの形で携わっている、提供させていただいているというものでございまして、この8,000床は重心の調べ、守る会の調べによりますと、全国の病床2万1000のうちの36.8%と、ざっと病床規模はそのぐらいのものということで御理解いただければと思います。
医療だけではなく、長期療養患者のQOLの向上を図るため、入院、食事、排せつ等の日常生活のケアに係るサービスの提供の強化にも努めているところでございます。
また、在宅療養の支援ということで、通所事業、訪問看護、短期入所事業の推進に努めているところです。
視点-1の2枚目に移らせていただきますけれども、現状の続きになります。強度行動障害を伴って他の施設や在宅での福祉サービス利用が困難な児を積極的に受け入れてございまして、この関係では、機構本部で研修も年2回ほど実施してございます。そのうち1回は機構内外から、外からも医療スタッフが参加しているところでございます。内容的には、多職種チームによる医療をさらに推進していくために、サンプル事例に基づくグループワークの実施等々もプログラムに組み入れて実施しているところでございます。
2つ目のポツでございますけれども、NICUを有する病院と連携し、在宅に復帰することが困難な患者等を受け入れる、後方支援と言ってございますけれども、そういったことも進めてございます。
それと、障害者虐待の対応も頑張ってやってございまして、各施設が対応マニュアルを整備して対応してございます。それに加えるような形になりますけれども、本部におきましては、「障害者虐待防止対策セミナー」等の研修も行っているところでございます。
もう一点、ここに書いていないのですけれども、NHO、国立病院機構の病院間医療安全相互チェックという取り組みをしてございまして、5~6年やっているのですけれども、今年度からはこのセーフティーネット系にも焦点を当てて、病院間でチェックしていくという取り組みも進めているところでございます。
視点-2になりますが、もう一枚めくっていただきまして、最後の参考資料からお話をさせていただければと思います。グラフ、図が2つ出ているかと思いますけれども、これの説明から進めさせていただきます。
左上は、我がほうの中国四国グループ管内の重症心身障害施設連絡協議会からのものでございますけれども、呼吸器の使用状況で、毎年、その人数も割合もふえているのを年次推移として挙げさせていただいているものでございます。平成27年から5年間です。
それと、右下につきましては、運動の状況でございますけれども、年代別に見て、運動がどの程度できていらっしゃるかを見たものでございます。端的に言いますと、青の部分が寝返り不可でございまして、若年者と高齢者におきまして寝返り不可の割合が高くなっている状況でもあるところでございます。運動機能が低下いたしますと骨密度が低下し、骨粗しょう症等によります骨折のリスクが増大するので、それに対する対応もしっかりしていかなくてはいけないという現状がある中で、日々医療の提供を行っているところで御理解いただければと思います。
一つ戻っていただきまして、最後に課題を挙げさせていただいてございます。主に医療面では、今、申し上げましたような医療的ケアの必要度が上昇してございますので、そういったことに対応していかないといけないということ。それと、入所者が高齢化してございますので、高齢化に伴う合併症も出てきます。そういったものに対する医療ニーズの増加がございます。それに伴って、看護師、医療スタッフの精神的・肉体的負担が増加している。重症心身障害を専門とする医師の不足と高齢化もあろうかと思ってございます。
一方、生活面では、患者家族の高齢化、不在があったり、2ポツ目ですけれども、福祉介護職員の人材確保も鋭意進めていますけれども、これも課題かなと思っています。用法的になろうかと思うのですけれども、この処遇改善のところで言ってございますのは、我がほう、国立病院機構におきましては、今、福祉介護職員の処遇改善加算の対象外になっているようでございまして、他の施設と同様の御配慮をお願いできればと思ってございます。
最後、その他でございますけれども、ちょっと視点は変わりますが、国立病院機構では、災害時にもしっかり対応できる組織を目指していくことになってございますけれども、重症心身障害児者等の場合におきましても、その特性と個別性を踏まえて、しっかり対応していくというところで、具体的には、ガイドラインの整備、避難・広域搬送、ライフラインの確保などを進めていっているところでございますけれども、何分にもノウハウが十分でない部分もございますので、本省の皆様方のお力添えをいただければと思ってございます。
最後に、サービスの質を維持していくための十分な診療報酬、障害報酬の手当がやはり必要でございますので、このあたりもよろしくお願いできればというところでございます。
視点-3につきましても説明してくださいというお話でございましたけれども、視点-3に関しまして、入所施設に期待することでございますけれども、当方は入所施設当事者でございますので、頑張ってやっていくというところで、視点-3につきましてのコメントはなしとさせていただければと思います。
説明は以上です。

○柏女座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について御質問等がございましたら、挙手をお願いしたいと思います。
水津さん、お願いします。

○水津構成員 守る会の水津でございます。
児者一貫を恒久的に認めていただいたことの条件として、日中活動の充実が掲げられたと思うのです。これに対して具体的に、国立病院ではどういう取り組みをしようとしておられるかということと、もう一つ、在宅支援で短期入所、あるいは通所事業をさらに充実させますとおっしゃったのですけれども、現在、地域別にかなり差があるのですけれども、国立病院のうちで、通所事業をやっておるところは非常に少ないということで、我々、守る会の親の会としては、ぜひ公法人立の施設並みに通所事業をやっていただきたいと考えていますので、その辺、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
それと、もう一つ、実態はどうかわかりませんけれども、我々、親の会では、公法人立に比べると、やはり国立はQOLがちょっと落ちますねという話があるわけです。私はたまたま広島にいるので、中国四国グループと打ち合わせをさせてもらって、先般もちょっとお願いしたのですけれども、やはり重症児病棟への職員の配置をぜひお願いしたいと。それによってQOLも向上するのではないかと思っていますので、今後、具体的に検討いただけたらと思っております。よろしくお願いします。

○柏女座長 御質問と御要望がありましたけれども、何か御意見あれば。

○国立病院機構(渡辺氏) 2点目にいただいたところにつきまして、少し申し述べさせていただきたいと思いますけれども、放課後等デイサービスは28施設でやってございます。児童発達支援につきましては32病院でやってございます。訪問看護ステーションは、ほかの疾患も入れると13病院でやっているのですけれども、重心に取り組んでいるところもある。あと、短期入所事業は73病院でやっているということで、在宅療養支援につきましても、徐々にではありますけれども、やり始めていっているところでございますので、そのトレンドは続いていくのではないかと思います。
それと、長期療養患者のQOLの向上を図るための日常生活ケアの部分に関しましては、今、具体的なところはあれなのですが、この資料にありますようなところで、入浴介助、食事、排せつ等の日常生活のケアに係る提供を鋭意やっていると承知しているところでございます。
それと、3点目に言われました病棟へのスタッフ配置につきましては、御要望として受けとめさせていただきます。ありがとうございます。

○水津構成員 ありがとうございました。よろしくお願いします。

○柏女座長 ほかにはいかがでしょうか。では、菊池さんと市川さん。

○菊池構成員 三重大学の菊池と申します。ありがとうございました。
スライドの5ページ目に障害児入所施設全般に関しての課題ということで生活面の話がございました。先ほどの御報告にありましたように、医療的ケアを要する、いわゆる超重度障害児と言われる子供さんたち、学齢期の子供さんたちの生活となりますと、要は、学校になかなか通えないと思うので、隣接しているような特別支援学校から病院内訪問という形で、学校の先生方が子供のベッドサイドにやってきて教育を行っていると思うのですけれども、単なる介護だけではなくて、教育との連携といいますか、そうしたところもぜひ考えていただきたいなと。要は、子供の一生涯の発達を見ていった場合に、教育の部分と医療の部分が、現在、どういう形で両輪をもって進んでいるのかというところを考えていただきたいところと、もしわかっていれば現在の状況等、少し御教示いただければと思います。よろしくお願いします。

○国立病院機構(渡辺氏) 教育の観点でございますけれども、病院に視察とかに行く際に、私などの感じでは、学校と連携しながらやっていますですとか、あと、私がこの間行った某病院では、実際に先生が来てくださって、ベッドサイドで丁寧に教えたりもしているところでございますので、そのあたり、私などは結構取り組みをしているのではないかと思いますけれども、先生おっしゃるような視点も非常に重要でございますので、今後、そういったことを踏まえて対応していきたいと思います。

○菊池構成員 看護師が持っている子供に関する印象を学校の先生にお伝えしたり、あるいは学校の先生が教育を行う中で、子供の反応の様子を捉えて、それを看護師にフィードバックというところで、どんなに障害が重くても、そうした関係の中で育っていくということは必ずあると思うので、生活面というところの、子供の発達という視点からもぜひ御検討いただければありがたいかなと思いました。
以上です。

○柏女座長 ありがとうございました。
市川さん、お願いいたします。

○市川構成員 自閉症協会の市川でございます。
視点-1のところで強度行動障害のお話が出ていたので教えていただきたいのですけれども、ここには9病院が強度行動障害医療を専門に行っていると書いてあるのですけれども、私が記憶している限りでは、者が中心だったと。児も入院で預かって対応されていると理解してよろしいのでしょうか。

○国立病院機構(渡辺氏) 私が現在知っている範囲内なのですけれども、当然、者も扱っていますし、児も両方扱っているということで、もしかしたら、外から見られますと、者を扱っている割合のほうが多いと見られることはあるのではないかと思います。

○市川構成員 児の専門病棟は、9つ全部についているとは記憶していないのですけれども。1つか2つはついていたかと思うのですけれど。

○国立病院機構(渡辺氏) 手持ちの資料ではそこは言い切れないので、ちょっと確認。

○市川構成員 外来では対応されているのかなと思います。どうもありがとうございました。

○柏女座長 では、石橋さん、お願いします。

○石橋構成員 どうもありがとうございます。全肢連の石橋と申します。
視点-1のところの、言葉尻を捉えるかもしれませんけれども、今、市川先生からも出ていました強度行動障害のところの、「積極的に受け入れている。」という表現がありますけれども、どういうルートで受け入れられているのかを1つお聞きしたい。
それから、その次の段落のところで、在宅にということは、親のもとに返すことが困難という、この困難性はどういう事由なのかなと。
それから、視点-2のところで、生活面のところの成年後見と身元引受人とは同列ではないのではないかと思うのです。身元引受人がいなくても、成年後見は成年後見で単独で対応できるのではないかと、私自身がそう感じているものですから、ここは多分、イコールではないですね。そこのところをちょっとお聞きしたいなと思って質問させていただきました。

○国立病院機構(渡辺氏) 2点目はおっしゃるとおりと思いますので、どういう修文ができるか等々、検討してみたいと思います。
1点目は、行動障害の積極的な受け入れで、私たちの理解している範囲ですけれども、地域のそういった施設から連携もしてございますし、あと、この下のほうにありますNICUを有する病院等々から連携して来ている場合も、地域によっていろいろなところと思いますけれども、もし宮野前先生、何か御指摘がありましたら。

○柏女座長 宮野前さん、お願いいたします。

○宮野前構成員 3月まで国立病院機構に勤務していた小児科医として、現場の人間としてお答えさせていただきたいのですけれども、今までいろいろ御質問あったのですが、まず最初に、公法人立との差ということを言われました。昔は1国2制度と、もう30年ぐらい前、やゆされていたのですけれども、今は決してそんなことはないと、それは自信を持って言えると思っています。特に人の配置に関しては、昔、公法人の施設は1対1、利用者1人に対して現場のスタッフが1人ということでしたが、特に総合支援法が入って療養介護事業が始まりまして、療養介護スタッフも導入して、いわゆる福祉職としての指導室のスタッフの充実も図られてきたと。ですから、当院の場合は、現場利用者1人に対して、現場スタッフがほぼ1になっています。病院機構の73施設、ほぼそういった状態になってきていると思います。ただ、かなり施設間の差があるのは事実だろうと思います。そのあたりを強調しておきたいと思います。
それから、先ほど行動障害のことが出ていたのですが、特に療養介護事業が始まったときに、いわゆる強度行動障害の方が重心なのかどうかということが、都道府県によって判断がまちまちになっていて、今、いろいろな医療的な対応が必要だということで、徐々に同じような認識になってきていますけれども、では、どこから紹介があるかという話なのですが、これは公立も同じだろうと思いますが、正直言いまして、そういった施設、特に重心の施設はついの住みかになっているというのが現実としてあるわけですね。先ほども質問ありましたけれども、帰宅、復帰することが困難というのは、例えば、ポストNICUの子供さんたちも来られるというのは、本当に医療ニーズが高くて、とてもではないけれども、御家庭で見ていくのは難しい、特に地域資源が非常に少ない地域はそうですね。あとは、前の3回目のときにもいろいろな意見が出ていましたけれども、家族力が本当に低下している方で、しかも医療的ニーズの高い方が自然的に重心の児の医療型のところに来られているという現実もあるということです。
あと、総合支援法になって、療養介護が始まって、特に児のほうの日中活動、社会参加に関しては、教育との連携は、学校の先生方は非常に熱心ですので、私たちの病院に関して言うと、病棟の舞台裏を見てもらうような形で、常に学校の先生が入ってきてくださっていますし、卒業後もいろいろな行事にも声をかけてくださいますし、病棟の行事にも学校の先生が参加していただくように、できるだけ広く社会参加ではないですけれども、子供たち、利用者たちが社会との接点をふやすような取り組みを、各施設で今、頑張ってやっていると思います。そういう意味で、療育指導室のスタッフ、福祉職としての専門性も非常に高まってきていると自負していると、私が言うのも変な話なのですが、思っていますので、そのあたりも元職員として紹介させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○柏女座長 ありがとうございます。補足的に御説明いただきました。石橋さん、よろしいですか。

○石橋構成員 はい。

○柏女座長 では、手短に。

○田村副座長 済みません。視点-1の2ポツのところで、NICUの後方支援の現状を、数値で、どこかのエリアをとっていただいてもいいのですが、そのエリアの中で、NICUから退院してくる子供のうちのどれぐらいを療養所できちんと受けとめているのかというのが1点。
そういう子供たちを受けとめて、ずっとそのまま入院しているのか、あるいは実態として家に帰っているということがあるのかないのか、どこを目標にして受けとめているのか、今の実態などを聞かせていただけると、と思います。

○国立病院機構(渡辺氏) 数値について、あるのですけれども、誤解を招いてしまうかもしれないので取り扱いは慎重にしていただければと思うのですけれども、24病院で、障害だけでなくて、とにかくNICUから受けた人というので統計をとっていますと、4万という数字があるのですね。平成30年度、24病院で延べ4万人が回ってきているという数値もあるところで、それは重心の方々ではなくても、障害にならなくても、病気でNHOの病院に来ていることもあるということでございますので、かなりやりとりはしているという認識で受けていただければと思ってございます。

○田村副座長 NICUから出て受けとめた人の現状というか、入ったままになっているのか、何かしら目標を持って、自宅に帰っていただけるような支援体制をつくっているのか、どちらなのか。

○国立病院機構(渡辺氏) それは個別ですね。状況がよければ帰っていただくことも鋭意していますし、無理な人は無理、本当にそれはケースによるところで。

○田村副座長 実際に帰っている人もいらっしゃるのですか。

○国立病院機構(渡辺氏) はい。

○柏女座長 お願いいたします。

○宮野前構成員 数年前の協議会の調査では、新規入所者は1年間に大体250人、要は、2%ぐらいの方が、公法人立もそうなのですけれども、死亡退院されているのですね。ただ、10歳未満でいきますと、大体100人おられたら8人弱の方が亡くなられていると、そういった現実。だから、一般の人口、0歳から10歳、非常に大ざっぱですけれども、500倍以上の死亡率なのですね。そういった形で、ポストNICUの方たちは非常にフラジャイルな方たちで、死亡退院も多いということ。逆に、退院すると、その後に来られる方の統計もとっているのですが、重心の病棟ができた当初は在宅の方がほとんどだったのが、現在、この数年のうち、NICUから直接来られる方、それから、ほかの診療科、小児科とか、脳外科とか、在宅に戻れない、医療機会の高い方たちは大体4割ぐらい占めていたと思います。そういう意味では、確実にそういった医療ニーズの高まりが、病院機構から、公法人立も同じだろうと思いますけれども、在宅に戻れない、地域の支援が足りないところの障害を持った子供たちが重心の施設に多数来られているという現実があると考えていただいたらよいと思います。

○柏女座長 よろしいでしょうか。

○田村副座長 はい。

○柏女座長 それでは、まだ御質問もあるかもしれませんけれども、時間も過ぎておりますので、これで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。お世話になりました。
それでは、続きまして、全国重症児者デイサービスネットワーク様、よろしくお願いいたします。

○全国重症児者デイサービスネットワーク(鈴木氏) ただいま御紹介いただきました全国重症児者デイサービスネットワークの代表理事をしております鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、私どもの団体について簡単に御説明させていただきますと、この団体が設立されたのは、まだ5年たっていません。平成26年11月4日に団体が設立されました。
私どもの活動目的は、“どんなに重い障害を持っていても、住み慣れた地域であたりまえに暮らせる社会”を目指しております。対象は重症心身障害児及び医療的ケア児ということで、全ての事業所が「児童発達支援」または「放課後等デイサービス」、あるいはその複合施設を営んでいるという団体です。定員5名の小さな事業所が、本当に小さな小さな事業所だからこそ、全ての団体がつながり合い、支え合い、助け合うということで、重症児者が全国どの地域でも安心して生活できるよう支援することを目的としております。
私どもはどんな組織かといいますと、全国大会を年1回開催するとともに、全国を6つのブロックに分け、その傘下に地域支部を形成し、会員間の交流とともに、昨年度は全国規模の研修を25回開催して、延べ1,000名以上の参加者があり、今年度以降も研修を継続する予定です。
会員数は、ことしの3月現在では235であったのですが、昨日、もう一度総点検して、280事業所となっております。
視点-1として、発達支援機能となっています。これも皆さんの趣旨からは違っているのかもしれないのですけれども、私どもの考え方は、「どんなに重い障害を持っていても、住み慣れた地域であたりまえに暮らせる社会」を目指していますので、重症児デイサービスの日中活動から、最終的にはグループホームや関連事業をつくり出していき、地域生活の実現をつくることを当初からの目的としております。そのために団体名は何回も変更しておりまして、現在は重症児者デイサービスネットワーク、大人も包括するという形で名前を変えております。
では何であなた方は重症児デイサービスをやるのですかということはよく聞かれます。その理由は、重症心身障害児にしても、医療的ケア児にしても、コミュニケーションは非常に困難です。自分から何かを要求したり、自分から積極的に動くことが困難な方が比較的多い。そういう方に対する支援、その方々に対しては、スタッフをいかに研修し、育成するか、教育していくかが非常に問題だと思っております。そのためにはデイサービスからやっていくしかないという考えに立っております。
事業内容としては、基本的には1人の利用児者に原則1人のスタッフがつくマンツーマンを目指しております。1歳の子でも、0歳児でもマンツーマンでやっております。マンツーマンをやることにより、より家庭に近い生活環境をつくることで、個々に配慮した支援を行っている次第です。
自立支援機能としては、デイサービス、先ほど言いましたように、地域生活の中核に置くことで、デイサービスで育成した人財を、グループホームや、短期入所などの夜間系事業、あるいはグループホームの補完的な支援である居宅介護要員として配置することが可能で、より利用児者との密接な支援が可能になると思っております。
ただ、私どものような小さな1法人や事業所単位での地域生活実現は明らかに困難であり、地域の訪問看護、居宅介護、医療機関との地域連携が当初より不可欠であると我々は考えております。当然に相談支援機能もこの中に生み出すこととなっております。
社会的養護機能としては、もともと定員5名の小さな事業所なのですけれども、全ての事業所に看護師も配置しております。それから、理学療法士や作業療法士などの訓練担当職員、更に、保育士・児童支援員などがいるため、被虐待児童や施設入所児童などの日中の対応も可能であるけれども、親にかわる法的な裏づけが必要になると思っております。
地域支援機能は、家族の出産、病気、経済的な問題が起きたときの中長期の支援が必要な短期入所を補完する制度が必要だと思っております。私が所属している社会福祉法人ふれ愛名古屋も、ことしの4月1日に医療型の短期入所、訪問診療所をつくっております。
それから、視点-2に入りまして、障害児入所全般に関して課題と感じることについて、きのうもお母さん方と少しお話してきたのですが、重症児者の家族、特にお母さんに、何が一番悩みですかと聞くと、自分が亡き後、我が子の面倒を誰が見るのか、その一言に尽きます。この話になると、多くのお母さんは泣かれながらお話しされます。残念ながら、多くのお母さんの場合は、若い方ほど入所施設に対する期待は余り大きくありません。むしろ地域生活を望んでいる方が非常に多いと思っております。
しかし、重症児、特に医療的ケア児が在宅で地域生活を送るためのバックアップ機能として、医療型、あるいは障害児入所施設は不可欠です。同時にバックアップ機能として考えていけば、一定の入所枠を今後も確保する必要があるのではないかと思っております。現実に昨年も、私が関与している法人だけでも3名のお母さんが亡くなられました。そのうち1名は、まだ若くしてお母さんが亡くなられた。そうなると、どうやって在宅を維持するのか、非常に難しい問題が出てきています。そのためにもやはり入所施設の連携は必要であると、私どもは強く感じているところです。
視点-3、障害児入所施設に期待することなのですけれども、私どもはもともと福祉という世界から入ってきております。しかし、医療的ケア児が毎年、毎年、非常に重症化し、そして数がふえております。福祉という従来の世界で重症児支援を行うことは非常に難しいと思っています。私ども自身も、福祉から医療、その複合化、新しい福祉と医療の融合化した形での支援をつくらざるを得ないと、その方向を目指しております。
医療型障害児の入所施設にお願いしたいのは、私ども、そんな形でやっておりますけれども、非常に難しい点としては、医療に対して特化した人財が、我々のデイサービスの中核にはいません。人財を育成し、教育するための社会資源として、いろいろなコーディネート、バックアップ、教育研修、そんなものをぜひ短期入所の医療型の障害児入院施設にはお願いしたい。我々自身、そんな形で、これからまだまだふえる、そして重度化する重症児に対しての支援と、近い将来、その子たちが住みなれた地域で暮らしていけるという立証をしていきたいと思っております。
以上でございます。

○柏女座長 ありがとうございました。
それでは、今の御説明に対して御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。
お願いいたします。

○木実谷構成員 日本重症心身障害福祉協会で医療型の入所施設をやっている立場から、今、鈴木様のお話、すごく感銘を受けながら聞いていました。この入所施設は非常に大事であると。在宅を頑張る上でも、最後の砦であると、お母さん、お父さん方が言ってくださっていますから、何年か前に内閣府がつくったあれで、13人の専門委員の方々が、入所施設は人権侵害の施設であると言われて、我々のような仕事をしている者、学校の先生まで含めて、非常に精神的にショックを受けました。私たちは人権侵害のことを応援してやっていると見られているのかということで、非常にがっかりしていました。その13人の委員の方のほとんどが人権侵害、1人だけ、そうとは言えないと言ってくださったように思っています。措置権者である堂本知事までが人権侵害だと、あのとき、言ってらっしゃったと思いますので、人権侵害の施設に措置していたのかと言いたいぐらいでした。そういうことで、我々の重心を中心とした、医療の重い方々にとっては入所施設は絶対に守っていかなくてはいけないことだと思っておりますので、今の鈴木様の御発言は非常に同感いたしますし、ますます意を強くいたしまして、ありがとうございました。

○柏女座長 ありがとうございます。貴重な御意見として受け取らせていただきます。
ほかに御質問の方、いらっしゃいますでしょうか。では、有村さん、菊池さんですね。

○有村構成員 日本社会事業大学の有村と申します。
貴重な情報提供ありがとうございました。1点お伺いしたいのが、社会的養護機能のところでございまして、ここで親にかわる法的な裏づけが必要とおっしゃっていただいたと思うのです。4枚目のスライドですね。具体的に、親にかわる法的な裏づけというものが、私の頭の中で考えると幾つかのパターンが想定できたので、中身として想定されているものを教えていただければと思った次第でございます。よろしくお願いします。

○全国重症児者デイサービスネットワーク(鈴木氏) 特に私どもが強く感じているのは、我々が今、御支援させていただいているのは、本当に1歳児から始まるような重度の医療的ケア児から始まりまして、だんだん、だんだん、下に行けば行くほど重度化しているのですけれども、成年になっている方もお見えになり、そうすると、やはり法的な成年後見制度問題や法的なものを考えれば考えるほど、どういう形で、我々が事業を行っていく上で、あるいは虐待指導とか入所指導、親にかわる法的な裏づけというのが、我々自身がどうつくっていくのか、あるいは考えていくのかが、実は非常に曖昧であるなと思っております。
具体的なケースでいくと、比較的高齢な成人の方に対して、親自身が高齢化して、例えば、認知症であるとか、金銭管理機能を失ってしまう。我々がそれをやるには成年後見人という制度をとらざるを得ない。残念ながら我々も、ちっちゃな子供からやりまして、そこまで法的に至っていないのが現状なのです。そうすると、比較的高齢になった方々に対しては、法的行為がないままにやらざるを得ないし、成年後見制度もまだまだ十分に行き渡っていないと思うのですね。これは現状だと思うのです。そのような現実の一つ一つを見ていくと、我々自身がどこまでやれるか、これからまたぜひ厚生労働省の皆さんとも相談しながら進めていきたいとは思っております。

○柏女座長 よろしいでしょうか。では、菊池さん、お願いします。

○菊池構成員 三重大学の菊池です。どうもありがとうございました。
1つ教えていただきたいというか、お伺いしたいのですけれども、先ほど重症児施設、入所施設との連携という形でお話をされておりましたが、子供たちの支援をしていく上では、そうしたデイサービスの通所と入所のほかに、あとは、どう行政をうまく巻き込んでいくかということがすごく大事になってくると思うのですけれども、何かしら団体さんのほうで、行政を巻き込んでうまくいっているよといった具体的な事例などがあったら教えていただけるとうれしいなと思いました。

○全国重症児者デイサービスネットワーク(鈴木氏) まず、国の行政と地方行政に分かれてくると思うのですが、我々としては地方行政に対して、どういう形で協業体制をつくるかというのが1つ、現在、大きな課題です。
ただ、1つ、成功した例だけお話しします。それは、先ほども例にございましたように、例えば、重度の子に関しては、訪問学級というのが現在行われているのは御承知のとおりだと思います。訪問学級は週に数回、学校の先生が家に来ていただくという制度です。ところが、我々のデイの中に、人工呼吸器がついた子が1日に数名来るという事業所がありまして、そこが訪問学級の問題に関して、こう考えたのですね。何かというと、こうすれば、お母さんが働きに行けない。訪問学級の先生を家で待っていなければいけない。それと、もっと大きな問題は、訪問級では子供同士の育ち合いがない。そこで、お願いしまして、実はことしできるのですけれども、デイサービスの施設の中に訪問学級の分校をつくることを御認可いただきました。それによって、重度の医療的ケア児にしても、子供の中での育ち合いも可能になってくる。これが今つくっている例です。こういうのも、地方の行政、文部科学省初め厚生労働省の皆さんに本当にいろいろ御相談させていただきながら進めた一つの例でございます。

○菊池構成員 ありがとうございます。私も全く同感で、訪問教育だと、学校の先生が家庭を訪問して、個別の状況という形になりますから、今おっしゃったように子供同士の育ち合いがないのですね。だから、そうした形でやっていっていただけるなら、子供たちにとってはすごく大きな刺激になるだろうなと思います。また、そのときに、そういう仕組みを回していく上で、どなたがキーパーソンになっているか、教えていただけますか。

○全国重症児者デイサービスネットワーク(鈴木氏) 私どもの団体の特徴として、重症児のデイは日本にまだまだ圧倒的に少ないのです。私の考えとして、誰につくってもらうべきかということで、最近はいろいろな問題のある事業者が参入する例も多いので、一番いいのは親につくってもらう。お母さんにつくってもらうのが、間違いなく、子供にとって100%いいと思っているのです。現実に私どもの団体の6割は非営利法人です。25%はお母さんが代表者の法人なのです。今言いましたケースは、重症児の気管切開2人のお母さんがつくりました。

○菊池構成員 ありがとうございました。

○柏女座長 ありがとうございました。

○田村副座長 手短にいきます。実際にデイサービスを使われている重症児の方々の支援計画というか、サービス等利用計画がどういう状況になっているのか、セルフプランでそれが実行に移されているのか、相談支援事業所を介して、外のつなぐ機能としっかりつながりながら、いわゆるデイサービスにつながっているのか、そのあたりの現状を少し教えてください。

○全国重症児者デイサービスネットワーク(鈴木氏) 現状を言いますと、徐々に徐々にセルフプランからマネジメントできている方向に動きつつあります。ただ、重症児の個別支援計画、あるいは支援計画そのものが、重症児のいろいろなインフラがないと立てられないのですね。デイだけ、居宅だけ、あとは訪問診療、あるいは訪問看護だけというような個別の問題ではなくて、その地域に合わせたインフラというものを知らなければいけない。この人材をどう育てるか。本来の目的に沿った形でやるためには、やはり重症児にある程度特化した人材の育成がないと、きちんとした支援計画はできないのではないかと思っております。非常に、まだまだおくれていると思っています。

○柏女座長 よろしいでしょうか。では、米山さん、お願いいたします。

○米山構成員 米山です。ありがとうございました。
1つお伺いしたいのは、視点-2のところに家族の悩みと、それから、子供が地域で生活を送るためのバックアップ機能ということでの入所施設ということであるのですが、この団体で、成人になった自立支援機能ということで、医療的ケアのあるグループホームだとか、今、在宅レスパイトといったことも始めている地域もあると思うのですけれども、いわゆる医療的ケアのあるグループホームが、今、どのくらい、全国でなり、調べられているところで、数があるかがもしわかれば。かなりふえてきている、どうでございましょうか。

○全国重症児者デイサービスネットワーク(鈴木氏) グループホームですか。医療的ケアといっても、どこまでの医療的ケアかと思うのです。極端な形、胃ろうであるとか、喀痰吸引だけだったらば簡単なのですけれども、今の多くの小さなお子さんのように、呼吸器がついた人のグループホームがどれだけあるかというのは、非常に少ないと思います。私が知っている限りでは1桁あるかないかだと思っています。安全・安心に、かつきちんとやっているところは本当に1桁あるかないか。私ども自身も、グループホームをつくりたいと願っております。残念ながら、グループホームをやるためには人材育成は極めて難しい。夜間系というのは事故が非常に高いです。何故なら食事の介護、支援、それから、もう一つは入浴支援、さらに寝ているときに死亡するケースが非常に高い。そうすると、夜間には支援になれた介護のスタッフと看護師、そして医師との連携も不可欠です。私たちはそれを現在つくっているところです。それはノウハウとして、我々自身、やったときには全国に展開して皆さんに御教示させていただく予定です。

○米山構成員 今、見守り機能ということで、AIを使いながらということで、多分、入所施設も、より個室化といいますか、小規模化が進んでいて、そういったところもどんどん使えると、ますますいいなと思います。
もう一つ、最後にコメントで、東大で医療的ケアの必要な子の親御さんたちのレスパイトということで調査報告があって、1カ月で60時間の学校外のレスパイトがあるなしで御家族のQOLが違うということが出ているので、そういう意味で、レスパイトというのは在宅の方の支援には本当に必要だなと思いますし、入所施設の機能として機能できるというのが望ましいなと思っています。ありがとうございました。

○柏女座長 それでは、最後に市川さん、お願いします。

○市川構成員 先ほどの木実谷構成員の発言を伺っていて、コメントです。強度行動障害を持っている方は、恐らく発達障害、知的障害、器質障害等だと思うのですが、こういう方についても最後の砦をつくっておく必要があると思います。障害種によって、何が何でも入院してはいけないという考え方は成立しないと思っています。過去に狭い地域では必要時の入院システムを取り入れて、うまくいっていたこともあります。障害種の特徴に配慮してというか、困っているところはきちんと対応しないとまずいと思っています。

○柏女座長 それでは、ありがとうございました。とても、なるほどと思わされ、かつ貴重なお取り組みを実践されていらっしゃるなと、感銘を持って伺わせていただきました。ありがとうございました。
それでは、続きまして、全日本ろうあ連盟様、よろしくお願いいたします。

○全日本ろうあ連盟(長谷川氏) 一般財団法人全日本ろうあ連盟につきまして発言の機会をいただきまして感謝申し上げます。ありがとうございます。
まず、全日本ろうあ連盟の団体の状況について簡単に御紹介申し上げます。
1947年5月25日創立、現在まで72年という長きにわたり運動を続けてまいりました。障害者団体の中では一番古い団体やに思います。戦前まで長い間、ろう者の暮らし、生活は非常に困難で、差別も偏見も非常に強いという時代でした。昔は音声言語という社会が主流の中で、聞こえない者にとっては非常に大きな制約が2つありました。1つはコミュニケーション障害、2つ目は情報が入らないという情報障害、これが非常に大きな壁になっておりまして、その中で人権が奪われていたという、そういった歴史がありました。
その中で、活動の目的としては、手話通訳の制度を確立していこうという取り組みをずっとしてまいりました。手話に対する理解の普及は現在広まりつつあります。もう一つ、聞こえなくても社会参加が可能である環境整備。その中で自立というものが確立できる。他者に頼らず、自分の力で自己決定、自己判断、そして学び活動していくという取り組みを目指してきました。
会員は全国で47都道府県の組織を持っておりまして、会員数は1万9000人近くになります。実は先週の日曜日、第67回になりますが、全国ろうあ者大会が宮城県で開催されました。参加者3,276名、非常に多くの方々が一堂に介して、大会宣言、決議などを行ったわけですけれども、その中に新しく特別決議が出されました。これは、ろうの乳幼児が手話言語を獲得・習得できる機会の保証を目指す、新生児聴覚スクリーニング検査における環境整備を求める特別決議というものが出されました。これは何かと申しますと、最近、人工内耳の手術が非常にふえております。これはリスクがあると言えます。人工内耳をつければ聞こえるようになる。それがゴールで、その後、どのようなケアをするのか、それが非常に不透明な状況なのですね。実際に具体的な成功、失敗例の説明も全くない。その中で、人工内耳ではなく、例えば、補聴器や手話、口話や身振りや、筆談もあり、さまざまな選択肢、選択ができる環境をつくることが重要であり、また親に対する説明をする。保護者がいろいろ選択の判断を考えて決定するといったプロセスが重要なのですね。その中での特別決議という意味がありました。
視点-1、2、3については石橋のほうで。

○全日本ろうあ連盟(石橋氏) 障害児入所施設の在り方に関する意見という形になりますが、まず、視点-1、我々、全日本ろうあ連盟につながる施設というのは特にないのですけれども、全国47都道府県を見ても、実際にアンケートをとりました。関係ある施設は10施設と、非常に少ないのですね。5施設から回答がありまして、それを少しまとめたものがあります。施設の目的は当然、聞こえない、聞こえにくい子供たちを収容している施設です。子供たちはさまざまなコミュニケーション手段があるわけです。生まれつきろう者の場合、聞こえない場合、手話言語をつくってコミュニケーションする。また、途中で、大きくなって聞こえなくなった、聞こえにくくなった場合に口話などを利用する、あるいは口形を見ながら、視覚的な情報をとりながらというコミュニケーションもあるでしょう。また、聞こえなくて見えない、盲ろうの子供たちの場合、さまざまな、それに合った、触手話ですとか、指点字などのコミュニケーションもあり、聴覚障害児といってもさまざまです。一番大切なのは、子供たち同士の集団活動、これが非常に重要な考え方になります。
視点-2になります。実際にアンケート、10施設、本当に少ない施設だったのですけれども、ろう者を対象とする施設は本当に少ないのです。入所が必要な子供たちが、自分の地域の身近なところで、自分に合う、真にかなう、見合う施設がないということで、結局、聞こえる子供たちの施設に入るという例が非常に多いですね。そこでの十分な支援が行き渡らない。ですから、一人一人に見合った支援、またニーズに合った支援が非常に重要になりますので、専門スタッフ、手話言語がなかなか獲得できないスタッフの中では、コミュニケーションも厳しい状況です。施設の中の孤立化というものが、結局、出てきてしまう。この社会はやはり音声言語社会とも言えます。音声言語が当たり前の情報コミュニケーションの中での社会になっております。ですから、その中で聞こえない、見えない人たち、特に聞こえない人たち、音声言語のアクセスが全くできないという環境にあります。つまり、情報が入ってこない。周りのほかの子供たちについていくだけで精いっぱい、でも情報が入ってこない。また、見えない、聞こえない子供たちは、見える情報もない、聞こえないですから、二重の障害になってしまう。ですから、配慮というものが手厚くされるべきです。
先ほど説明がありましたけれども、人工内耳の話ですが、人工内耳の装着児がふえています。実際に施設の中のスタッフで、人工内耳に対応する正しい知識を持っているスタッフがなかなか難しいというか、配置ができないということもあるので、人工内耳に関するケアが、また財政的な支援体制が十分でないという中からの問題も出てきています。
この場で出すことがふさわしいかどうか、ちょっとわかりませんけれども、厚生労働省で障害者総合支援法があります。その中で地域生活支援事業という枠組みに移動支援が位置づけられています。実際に聞こえない子供たちは対象外となってしまっています。例えば、ろう学校に通学する、あるいは特別支援学校に通学する、入所施設に通所する、そのときに移動支援が使えない。親の負担が非常に重くなってしまう。これが現状として出ています。
視点-3になります。私どもが障害児入所施設に期待することですが、当然のことながら、聞こえる子供たちと同じようにコミュニケーションができる環境を目指したいと思っています。それぞれの子供たちが選択できる言語の中でコミュニケーションができる環境、情報にアクセスできる環境整備が必要だと願っています。施設が本当に全国にわずかしかないという状況の中で、聞こえなくても、聞こえづらくても、見えなくても、安心してその人らしく暮らしができる入所施設を求めたいと思っています。例えば、手話ができるスタッフ、聞こえても聞こえなくても、子供たちにきちっと、障害特性を理解して接することができるスタッフの配置が重要です。また、施設の中に視覚的な情報の表示も必要になってきます。特に災害、あるいは避難所においてパトライトがありますね。ああいうものはハード面に必要な支援ということもあります。聞こえない子供たちにとって一番大切なのは、社会モデルの存在です。つまり、同じ当事者であるロールモデル。大人になって、将来の自分の姿を映し出せるような大人の姿がロールモデルの環境です。これが重要だと感じております。また、見えなくて、あるいは知的障害を持った、あるいは身体障害を持った、聴覚障害の子供たちもいます。それに合った支援、配慮が重要です。先ほどの団体からの御発言がありましたけれども、特に聞こえない、聞こえにくい子供、さらに知的障害を持った子供、親亡き後、子供たちをどのように考えれば、これは非常に大きな、重要な、深刻な問題となっております。
最後に、長谷川から。

○全日本ろうあ連盟(長谷川氏) 先ほど、視点-1、2、3についての説明を申し上げましたが、ページ6になりますか、国・行政に対して要望したいことがあります。3点。
1つは、皆さん御存じのように、今まで医学モデルという考え方が中心でしたが、そうではなく、やはり社会モデルへの転換、障害児入所施設と成人聴覚障害者、当事者の関係団体との緊密なネットワーク、連携というもの、社会モデルをどのように進めていくかという共有化が必要です。
また、聞こえない子供、盲ろうの子供たちが受け入れられる施設をさらにふやしていく必要があると思います。手話言語等、コミュニケーションが可能な環境整備もしっかりと構築していくこと。先ほど石橋が申し上げましたが、聞こえない子供たちの入所施設はやはり少ないのですね。本当にわずかです。では、聞こえない乳幼児を放置していいのか。そうではないはずです。ですから、手話言語をきちっと身につけ、日本語も学ぶ環境というもの、子供たちの教育環境も生活環境も保証していくことが重要です。
それから、聞こえない子供たちに対する親のコミュニケーションを円滑に行うための親支援も非常に重要になります。これも担保していくことが重要です。
以上です。ありがとうございました。

○柏女座長 ありがとうございました。
それでは、今の御説明について御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。
小出さんと濱崎さん。

○小出構成員 育成会の小出でございます。
私、聴覚障害の方の入所施設は余りよく知らないですけれども、ただ、学校教育を受けるために、学校数が少ないものですから、ろう学校等の寄宿舎は存じているのですけれども、先ほど全国で10カ所の入所施設があるということなのですけれども、そのうち5カ所が児童で、どういう形でそこに入られるかをお聞きしたいなと思いまして。

○柏女座長 お願いしてよろしいでしょうか。

○全日本ろうあ連盟(石橋氏) 入所の方法なのですけれども、具体的に役所の窓口などに相談して、そこを経由してという形になるのではないかと思っています。または、特別支援学校、あるいはろう学校、全国に若干100ぐらいの数ですけれども、全て寄宿舎があるわけではないのですね。一部の寄宿舎がある学校もあり、それは文部科学省の中での、教育委員会の中でしょうか、寄宿舎という位置づけになっている。入所施設は、私、鳥取からまいりましたけれども、鳥取の場合は、前はろう学校の隣に厚生労働省の管轄のセキセン学園というのがありまして、入所施設だったのですね。それが子供が減少したために廃止されてしまったという経過もあります。そのために寄宿舎もなくなってしまったということです。隣の盲学校にある寄宿舎を借りて入ったという状況も鳥取県の例としてありました。先ほどの御質問のお答えになるかどうかわかりませんけれども、役所を経由してと思っていますが、十分なお答えになっていなくて申しわけありません。

○小出構成員 ありがとうございます。入所経路はどこも一緒だと思いますけれども、主には学校に併設する寄宿舎という認識でよろしいのでしょうか。

○全日本ろうあ連盟(石橋氏) そうですね。基本的に今の全国のろう学校にある寄宿舎が多いと思います。逆に寄宿舎がないところに入所施設、あるいは家庭の御事情で、あるいはいろいろな何らかの事情で家庭生活が難しい場合には、その施設に入るという話も聞いております。

○柏女座長 濱崎さんは当事者でもありますので、少し補足的に説明もしていただきながら御質問をお願いいたします。

○濱崎構成員 全国盲ろう難聴児施設協議会から来ております濱崎久美子と申します。
私どもの団体は、対象は子供なのですけれども、盲とろうという、視覚と聴覚の感覚障害の通所施設が集まってできている小さな団体です。
今の話で、ちょっと補足ですけれども、寄宿舎は、通学困難な子供のために文部科学省が置いているということで、入所施設等は厚生労働省の管轄ですね。大きな違いは、寄宿舎は月から金までは開いているのですけれども、金曜日の夜から月曜日の朝までは自宅に帰らなくてはいけない。つまり閉鎖されるという違いがあります。
それはよそ様のことで、私のほうでお伺いしたり、お話ししたいのは、今、お話がありましたように、聴覚障害の方は手話が中心といいますか、手話が母語になるといいますか、目で見る言語が中心なのです。これは世界中、どこを探しても、聴覚障害者以外は全部、どの部族も音声言語だという点では、本当に1つだけという珍しい言語体系を持っています。
それから、手話には書き言葉がないのですね。ですから、全部、国で、日本ですと日本手話に、日本語の音声言語の書き言葉を習得して使う。それはどこの国でもそういう状況でございます。
それから、人工内耳が今、大変進歩してきていまして、生後1年以内ぐらいで手術をすれば、ほぼ聞こえる子供さんと同じような言語発達をすることが割と常識になっておりますけれども、だからといって、聞こえる人になるわけではない。人工内耳をつけても、どんなに高度な補聴器をつけても、聞こえない人であることには変わりはないことが1つですね。
それから、聞こえないお子さんたちは、家族の中で、そのお子さんだけ聞こえないというケースがほとんど、90%以上なのですね。だから、御家族みんな聞こえない中に生まれるお子さんは非常に少なくて、言語環境としては、音声言語の中に1人だけ、あるいはきょうだい2人だけ視覚言語のお子さんが生まれると、そういう背景がございます。
私が日本ろうあ連盟に御質問したいのは、1つは、手話が言語であると、日本でもあちこちで条例等で認められてきておりますけれども、手話を言語というならば、言語が発達するといいますか、どんどんよくなっていくためには、手話を使う人たちの中でどんどん使われることで磨かれて言語の質が上がっていくということだと思うのですけれども、そのことに対して、日本ろうあ連盟ではどんなふうにお考えになっているか。その方法といいますか、質を上げるためにどんなふうに考えているかが1点目の質問です。
それから、2点目は、先ほど申し上げましたけれども、聴覚障害のお子さんに最新の人工内耳の手術を施して、それが成功したとしても、またデジタルの補聴器をつけて訓練をしていったにしても、聞こえることにはならないわけですね。だから、聞こえない人であるということの障害受容と、それをもとにしたアイデンティティーの確立が非常に社会生活をするのに大事だと思っているのですけれども、それはどこでどのようにするのが望ましいと考えていらっしゃるのか、この2点について御質問したいと思います。よろしくお願いします。

○全日本ろうあ連盟(長谷川氏) 聞こえる人の場合には、子供が生まれて、音声言語の環境の中で育つ。そして自然に日本語というものを獲得・習得できるという環境にあるわけです。日本語を獲得した上で、例えば、幼稚園、小学校というふうに学歴に入って、そして国語、算数という学科を学んでいくというプロセスを経るわけです。しかし、聞こえない子供たち、ろう児の場合は、昔は口話教育というものがありましたけれども、やはりわからないのです。聞こえませんので。ですから、幼稚部、小学部ということで、ろう学校に入って、口話で学んで、学科も学んでいくのですが、なかなかそこが十分に身につきにくいというものがあります。先輩の皆様は、その中で読み書きがなかなか難しい、厳しいということもあります。学科の理解がわからない、英語も、社会、理科、そういったものも十分に習得できないという状況があります。ですから、本当に早期の段階から手話言語というものを獲得し、その上で、手話で日本語を学び、さらにそれに基づいて国語、数学などの学科を学ぶ。そうすると、聞こえる人と対等の知識を得られるのではないか。そういう意味で、手話言語の獲得環境をつくることが非常に重要であると私は理解しております。

○全日本ろうあ連盟(石橋氏) 石橋です。
一番大切なことですが、ろう者同士の手話言語集団が大事なのです。お互いにろう者自身で自分のアイデンティティーを持ち、そしてそのアイデンティティーを醸成する。手話言語を通してみずからのアイデンティティーが確立されるわけです。聞こえる世界の中で、ろう者が一人でいた場合、自己肯定感がなかなか難しいのです。確立しづらいということで、アイデンティティーが醸成できないということにもなります。ですから、今、濱崎先生がおっしゃったように、ろう者同士の集団社会というものが非常に重要であると考えております。
それから、もう一点、自己内耳の件ですが、先生がおっしゃったように、聞こえる人にはならないのです。聞こえる人と同じようにはならない。ただ、社会の中の見方は、聞こえる人になれると、聞こえるという見方が多いのですね。聞こえるから、しゃべれるから、手話言語は要らないという見方がどうもふえておりますが、決してそうではありません。人工内耳に対する正しい理解、見解をさらに世の中に広げていく必要があると思っています。

○全日本ろうあ連盟(長谷川氏) 長谷川です。
最近、人工内耳の手術後、大人になっていく子供たちが、手話を習得する人たちもふえているのですね。人工内耳は100%聞こえる人のようにはならないのです。ですから、全日本ろうあ連盟に1万9000人近くの会員がおりますが、人工内耳の方も何人かいます。やはり手話が必要なのです。人工内耳であっても手話が必要です。成年部の人たちも、人工内耳装着であっても手話で話して、みずからのアイデンティティー、伸び伸びとその人らしく生きて、自由にコミュニケーションができるという環境、手話言語が非常に重要であるということを申し上げたいと思います。

○柏女座長 ありがとうございました。
時間も大幅に過ぎておりますので。

○濱崎構成員 済みません、一言だけ。申しわけありません。

○柏女座長 どうぞ、お願いいたします。

○濱崎構成員 ありがとうございました。入所施設は、今、言われたように、手話という言語環境を保証して育てていく、それから、言語の質を上げていく、そういうものは備えている。それから、これからさらに必要なものは備えていくように改善はしていけると思うのですね。ただ、不足しているのは、親御さんとしての対応はできないということになります。施設の職員が対応しますのでね。でも、それらはぜひ活用して、有能なといいますか、しっかりした聴覚障害の大人を育てていく役に立ちたいと思っているわけです。
それから、学校教育とか、私どもの施設についても、どんどん大人の団体として入っていただいて、将来はそちらにみんな行くわけですから、ぜひそういう活用をしていただきたいと考えております。どうもありがとうございました。

○柏女座長 では、米山さん。短くお願いします。

○米山構成員 済みません、濱崎さんにちょっと追加なのですが、入所施設の調査を平成28年、平成29年でしたときに、10施設の盲ろうの施設ですが、そこでの虐待を受けて入所している方たちが35%、数で言うと190人中の67人ということで、35%で、虐待を受けた年齢が3歳から4歳なのですね。入所平均年齢は7歳というデータが出ていますが、社会的養護の必要なお子さんたちに対して、お考えを1つだけお伺いしたいと思います。

○全日本ろうあ連盟(長谷川氏) やはりコミュニケーションというものです。手話でスムーズにコミュニケーションできる指導員が絶対に必要だと感じております。手話ができないとお互いにストレスを抱えてしまい、そして虐待にもつながっていく可能性があるかもしれません。ですから、コミュニケーションができる環境、スムーズにコミュニケーションができる、その中で子供たちは指導員ともスムーズに意思疎通ができる。そうすると、これは虐待につながらない、一つの防止策かもわかりません。

○全日本ろうあ連盟(石橋氏) 石橋です。
もう一つ、子供たちだけのコミュニケーションではなくて、親子のコミュニケーションなのです。親も手話言語を習得するサポートが必要です。

○米山構成員 ありがとうございました。

○柏女座長 ありがとうございました。これで全日本ろうあ連盟様のヒアリングを終了させていただきたいと思います。お世話さまでした。
それでは、続きまして、日本盲人会連合様、よろしくお願いいたします。

○日本盲人会連合(及川氏) 日本盲人会連合の副会長を仰せつかっております、岩手県から来ました及川清隆といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
実は、この「障害児入所施設の在り方に関する検討委員会」のヒアリングにお誘いをいただいたときに、非常にうれしく思いました。それは、私たちの団体は昭和23年から、昨年で70周年を迎えたのですが、この間、この点について視点を当てたことはなかったとは言いませんけれども、余り深く考えてきませんでした。
団体のあらましについては資料を見ていただくことといたしまして、平成28年に岩手県で、私があるきっかけで視覚障害者の児童の育つ姿をずっと見てきた中で、ずっと志していたことが1つありまして、1つは、重複視覚障害者、視覚と他の障害を重複している障害児に視点を当てた行政施策と、それを支援する社会資源をきちっとしていかなければだめだなと強く思って、岩手県でまずやろうと思いました。大きい団体はなかなか小回りがききませんので、まず、モデル的に岩手からやろうということで、大学教授の先生、県、盛岡市の方を委員に招聘いたしまして、3年間論議してきました。その中でも、本当にその委員会が機能するのか、結果を出せるのかという論議もありましたけれども、私は、どんな小さな数字であろうと、一つの社会の縮図なのだから、この委員会を、委員会の名称は視覚障害児童者の社会自立の環境支援をする検討委員会を立ち上げて、宮城教育大学の教授に委員長をお願いして、専門的な視点での助言をいただきながら、そういう検討委員会を開いて、3年間にわたって私に意見答申をいただきました。その結果をこれから事務局の木村に読んでいただきますが、幾つか衝撃だったことをお話しさせていただきます。
1つは、盲学校、いわゆる特別視覚支援学校に入学する入園児、幼稚部に入ってくるわけですけれども、この子供たちが食事のとり方がわからない。簡単に言うと犬食いするのだそうです。それを学校の先生方がどう教育するか、非常に悩んだということを仄聞したことがあります。つまりは、子供というのは視覚から入ってくる情報を模倣するわけですけれども、模倣する手段を持っていない視覚障害者は、育ちの中で日常の生活動作がなかなか獲得できない、そういう現状があるのだろうなと推察してお聞きしていました。
そして、小さな数字ではございますけれども、私たちは、障害児については全くデータを持ち合わせていません。入所施設、いろいろあるかもしれませんけれども、あちこちに散りばめられていて、なかなか実態をつかめないというのが現状です。今後、日盲連では、厚生労働省や県、自治体と、その実態をまず把握して、実態を把握しないまま行政施策が打たれることはありませんので、まず実態を把握して、父母、子供のニーズをまず把握する、そして私たち自身もその実態を把握して、どういう法整備をするかとか、そういうことを今後訴えていきたいなと、今、会長と話しておるところでございます。
それでは、検討委員会で出された意見と、私たちの61の加盟団体の、ある県での施設の実態を数字化したもの、あるいは意見をいただいたものをここに提案していただきましたので、木村から代読させていただきます。

○日本盲人会連合(木村氏) 事務局の木村です。
表紙をおめくりいただきまして、まず団体の概要です。こちらは資料のとおりになりますので、割愛させていただきます。
そして、おめくりいただきまして、「障害児入所施設の在り方に関する意見等1」です。「視点-1 障害児入所施設の4つの機能から、ヒアリング団体の所管する施設・事業所との関係等について」です。大きく「障害児入所施設での支援の効果」とタイトルがあります。
まず「(1)現状整理」。視覚障害児の支援・療育等に対応できる障害児入所施設は全国的に少ない。
2点目、現実的には家族による支援が必要になっている。
そして矢印を挟んで1ポツ目、施設等での支援が行われるのであれば、支援を希望する声もある。これは資料01、後半に資料が載せられております。
そして、支援の実例が少ないため、視覚障害児にとっての効果がわかりづらいとの声もあるという意見がありました。
そして「(2)課題」です。障害児入所施設における視覚障害児の支援・療育の効果を整理すべきではないかと考えております。
おめくりいただきまして、意見の2です。こちらは「視点-2 障害児入所施設全般に関して課題と感じることについて」です。こちらでは、「視覚障害児の特性に応じた支援」について意見を述べたいと思います。
まず「(1)現状整理」です。視覚障害児は、全盲・弱視など、見え方が異なることから、支援内容が多岐にわたっています。
2ポツ目、近年、視覚障害と他の障害(知的、聴覚、身体等)を持つ視覚障害児=重複視覚障害児がふえており、支援内容はさらに複雑になっております。
その上で、矢印を挟んで、1ポツ目、視覚障害児の支援は、他の障害児への支援と比べると支援方法が大きく異なることから、障害児入所施設等で積極的な支援が行われていないのではないか。
そして、2ポツ目、視覚障害児の親や家族は、支援が行われていない背景に不安を抱いている。これは資料02で参考資料を載せております。
その上で「(2)課題」です。視覚障害児の個別特性に応じた支援を行うべきではないかと考えております。1つ目、個別特性に応じるために、職員等の育成が必要ではないか。2つ目、個別特性に応じられる職員等の配置に対する助成等が必要ではないかと考えております。
おめくりいただきまして、意見の3です。「視点-3 障害児入所施設に期待することについて」です。こちらは及川から指摘がありました「重複視覚障害児への支援」について意見を述べたいと思います。
まず「(1)現状整理」です。重複視覚障害児は、視覚障害単体の障害児より支援が複雑になっている。
2ポツ目、重複視覚障害児を育てる親や家族の負担は大きいとなっております。
そのため、矢印を挟んで1ポツ目、重複視覚障害児は、障害児支援の「谷間」で何も支援が受けられていないのではないかと考えております。
2ポツ目、重複視覚障害児を持つ親や家族は、国や障害児支援施設等にさらなる支援を求めていることがわかっております。
これを踏まえると、重複視覚障害児に対する的確な支援をもっと行ってほしいという意見があると考えております。
その上で、「(2)課題」です。まず、調査等を通して課題整理を行う必要があるのではないか。そして、整理した内容をもとに支援に対するガイドライン等を作成する必要があるのではないか。
この2点を通して、重複視覚障害児に対する的確な支援を行ってほしいと考えております。
おめくりいただいて、これ以降、参考資料1・2となりまして、岩手県で行った重複障害児に関する調査資料から抜粋した資料を掲載しております。
事務局からは以上です。

○日本盲人会連合(及川氏) このような状況から、私たち自身も、どう課題を整理して、どういう調査項目を掲げてやるか、アンケート調査もしました。アンケート調査は、厚生労働省が出している障害者日常生活調査そのものをずばり出して、家族や児童・生徒にアンケートをとりました。その結果、アンケートでは見えてこない、わからない、推しはかれないという家族の方には直接聞き取りもしました。聞き取りをすると生の声が出てきます。1つは、選択しようがないから、仕方なく家族で見ている。できれば地域で暮らしたい。地域で暮らすけれども、専門性のないところに預けたくない、入れたくないというのが概括的な意見でした。このようなことから、私たち視覚障害者自身も、支援の谷間になっているこのような児童、それから、社会に自立したときの施設のあり方とか、支援のあり方を今後検討していきたいと思っておりますので、皆様方の御指導と御助言をいただける、きょうはとてもいい機会だと思っております。
以上です。よろしくお願いいたします。

○柏女座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明について御質問等ございましたら、お願いします。
濱崎さんと朝貝さんのお2人ですね。

○濱崎構成員 全国盲ろう難聴児施設協議会の濱崎でございます。いろいろありがとうございました。
私どもの施設協議会で把握している状況としては、施設に入所しているお子さんの場合、単体といいますか、視覚障害だけのお子さんは、その施設から通常の学校等に通って、そして就職していく。ただ、就職の幅は非常に狭いということはあります。一番問題になっているのは、今、お話がありましたように、聴覚も同じですけれども、聴覚・視覚とか、聴覚・知的とかという重複障害のお子さん方の対応がとても大変だということで、聴覚と知的等よりも、盲・ろうの場合とか、盲と知的の場合のほうが大変ということが課題でございます。そんなところが現状なのですけれども、今、お話あったようなことを踏まえて、今後、私どもの協議会でも検討していく、方法についてもしていくということでよろしいでしょうか。ほかに何か御要望がありましたら。

○柏女座長 どうぞ。

○日本盲人会連合(及川氏) 実は、岩手県の検討委員会をやったときに、県にもお願いしました。市町村に実態調査をしてほしいと。担当課で検討したところ、担当課ではそれは難しいということで、住所だけ教えるので、アンケート用紙は送付してください。残念なことに、市町村からは無回答でした。本当にこれについてはショックでした。私たちは、これは厚生労働省、あるいは各団体の皆さんのお力をかりないと何ともならないなというのが結論でした。そこで、何とかこの課題をクリアするように、日盲連で努力しなさいということも答申書に書かれました。そういうことで、きょうのような機会をいただいたことはとても幸甚だと思っております。
以上です。

○柏女座長 よろしいでしょうか。では、朝貝さん、お願いいたします。

○朝貝構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の朝貝といいます。
視点-1の課題の2のところで、障害児童入所施設における視覚障害児の支援・療育の効果を整理すべきではないかと書いていただいて、我々も同じような考えを持っていますので、ありがたいなと感じました。今までもいろいろな団体からいろいろな障害のことが出ていますけれども、私は視覚障害児だけではなくて、障害全般において支援・療育の効果を整理すべきではないかと考えています。それは、地域で生活していても、必要な時期に必要な量と質の支援を受けて、子供の持つ能力を最大限伸ばせる療育を標準化していかないと利用もできないわけなので、ぜひ、我々も含めてやっていかなくてはいけないことだと考えています。

○柏女座長 御意見ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
そのほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、日本盲人会連合様のヒアリングを終了とさせていただきたいと思います。貴重な御提言ありがとうございました。
それでは、続きまして、全国乳児福祉協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国乳児福祉協議会(都留氏) ただいま紹介にあずかりました全国乳児福祉協議会 制度対策研究委員長の都留と申します。どうぞよろしくお願いします。きょうは、副会長の横川と2人でまいりました。こういった機会をいただき、ありがとうございます。
最初に、全国乳児福祉協議会の概況の部分ですけれども、現在、142カ所の乳児院が全国にあります。平成10年には114カ所でしたけれども、出生数の減少が進んでいる中で、乳児院の数はふえているという現状があることをまず知っていただきたいと思います。乳児院における障害児の入所等に関する実態について、私たちの委員会で話をしてきたことをまとめましたので、報告したいと思います。
視点-1のところを見ていただきたいと思います。参考資料等は皆さんのほうで見ていただきながらになりますけれども、全国の乳児院の入所児童の50.5%は病虚弱児であるということです。医師が常勤する医療型乳児院と、その他多くの乳児院では子どもの状態像が異なります。医療型乳児院では、より多くの医療的ケア児等を受け入れております。その他の乳児院でも、施設内では嘱託医や看護師を中心に、また外部の病院への通院、入院、障害児医療関係機関への訪問などの連携のもとで対応しております。
障害児は2.4%と少ないのですが、これは乳幼児であることから、具体的な障害名の診断が行われる以前の状況であることが考えられます。乳児院への入所理由は、虐待が39.4%で、平成24年度以降の調査では第1位が虐待となっております。家族の精神疾患が第2位となっております。家族の疾病が5.8%と続いておりまして、子どもの身体・心理・社会面の発達に与える影響は大きく、障害の診断・認定は時期的にまだなされないものの、障害の疑いのある乳幼児、発達が気になる乳幼児は相当数受け入れていると思います。虐待の中でも、ネグレクトの一環で、子どもがお母さんの胎内にいるときに、妊婦健診を未受診であるとか、そういった流れの中で飛び込み出産、子どもが入所してくることがありますが、胎内環境の悪さも十分想像ができるところになります。本検討会第1回資料によると、福祉型障害児入所施設の入所児童年齢は0歳・1歳が0人、2歳が2人とわずかであることからも、0歳から2歳の障害のある、疑われる乳幼児のうちの相当数は家庭とともに乳児院で養育しているのではないかと私たちは考えております。
「新しい社会的養育ビジョン」等で、乳児院にはケアニーズの高い乳幼児への対応が求められていますが、こうした意味で、乳児院では既に手厚い支援の必要な子どもに対応していると私たちは考えております。
障害があり、社会的養護の必要な乳幼児を、児童相談所がどのように障害児入所施設や乳児院、その他の入所等につなげているかについて、明確な判断基準は見受けられず、各地の社会資源の状況により対応されていると考えられます。障害児入所施設に入所する際に、退所に至るまでの支援の方向性を関係者間で協議し、明確にする必要性を感じております。
児童相談所は親のアセスメントを行いますが、障害等の確定診断のない乳幼児のアセスメントは難しく、乳幼児のアセスメント、また親子関係のアセスメントは乳児院が担っている現状があります。乳児院の平均入所月齢は3カ月になります。乳児で病院に入院しているときに家庭で生活ができないと言われれば、お子さんは乳児院に入所してくるという実態があります。その中で、障害を持っているお子さんとの関係で、親御さんが障害を受容できないというところでの入所もありますし、医療機関との連携で一般の乳児院は障害児に対応しているという実態があります。
視点-2になりますが、障害児入所施設の支援の質の向上と、施設数の抜本的な拡充が必要であると私たちは考えております。
乳児院では、どのような乳幼児も受け入れ、障害の有無よりも、乳幼児期の発達や、乳幼児がみずからの生活を獲得していくプロセスに着目し、多様な専門職の協働により、個別的な養育やアタッチメント形成に取り組んでいます。
乳幼児は障害児入所施設に比べ人員配置基準が手厚いですが、それでも「新しい社会的養育ビジョン」等が求める高機能化や小規模化を加速させるためには、職員配置の抜本的な改善が不可欠であり、具体的には、子ども1人対職員3人の配置を要望しています。障害児入所施設は、その配置基準からも、乳幼児期の丁寧な専門的ケアへの対応は非常に難しいと考えられ、現場では相当な苦労をされていると推察されます。
配置基準を大幅に改善し、4つの機能の充実を図っていただきたいです。特に障害に関する専門性のさらなる向上とともに、アタッチメントの発現が遅れる場合の受けとめや、家族・家庭養育の支援、また市町村や児童相談所などとの連携は強化が必要であると考えます。
乳児院が家庭養育を推進し、家庭復帰や里親委託が退所理由の半数以上を占める中で、手厚い専門的支援の必要なケースは他の施設への移管が検討されます。その多くは児童養護施設への移管であり、障害児入所施設への移管は、福祉型が1.5%、医療型が0.9%にとどまっていますが、児童養護施設では対応が難しい障害や発達課題のある子どもがふえていると私たちは考えております。社会的養護の受け皿として、乳幼児や児童養護施設、里親・ファミリーホーム等とともに、障害児入所施設も大幅な拡充が望まれます。
視点-3ですけれども、障害児入所施設に期待することについて、PT・OT・STなど、障害児療育の専門職に乳児院を訪問いただき、障害のある・疑われる子どもの養育に関する助言を受けることは大変有効であります。そのための一つとして、平成28年児童福祉法改正により、保育所等訪問支援の対象施設に乳児院が加わっていますが、保育所等訪問支援への積極的な関与をいただきたいと考えております。
乳児院における保育所等訪問支援の利用が伸びていない現状は、ここに書いているとおり、保護者が市町村に申請する必要があることが挙げられます。精神疾患があったり、居住地を転々としている親も多かったり、そうした親の申請には相当な支援が必要となると思います。
また、乳児院は児童相談所・都道府県とのつながりは強いものの、市町村とは日常的なかかわりの薄い施設も多くあります。市町村への申請も乳児院における利用の促進につながっていない一因と考えられます。
その他として3点挙げております。
障害福祉施策と家庭福祉施策など、各種施策のさらなる連携が必要であると考えます。
医療的ケアの必要な乳幼児について、家庭養育が難しい、障害者手帳を取得していないために障害児入所施設が難しい、病院でも受け入れが難しく、常勤医師のいない乳児院で受け入れたというケースもあります。知的・発達に障害はないが、医療的ケア対応が必要なケースを乳児院が受け入れていることもあります。
制度の狭間を生じさせず、子どもにとっての最善の利益が保障され、子どもありきの切れ目のない支援が提供される施策をお願いしたいと考えております。
私からは以上になります。

○柏女座長 ありがとうございました。ポイントを絞ってお話をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、今の説明につきまして、御質問ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、相澤さん、お願いします。

○相澤構成員 御説明ありがとうございました。大分大学の相澤でございます。
特に乳幼児の障害はなかなか判断がしにくいということでございますけれども、乳児院でも小規模化高機能化をしていくということで取り組んでおられると思います。もし、障害の乳幼児を受け入れるグループホームをつくるとするならば、どのようなモデル的なグループホームをつくるべきなのか、あるべきグループホームの姿がありましたら、ぜひ教えていただいたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

○柏女座長 お願いします。

○全国乳児福祉協議会(都留氏) より少ない人数に専門的な職員がかかわることになると思います。私の施設は東京ですけれども、今、3歳以上のお子さんたち4人を集めてグループホームに近いような形で養育しております。そこに看護師であるとか、作業療法士、あとは月に1回の小児科の精神科医等を入れながらカンファレンスを行い、養育しております。そこに地域の障害児がまだまだ絡んでいません。そこへの通所も定期的に受け入れられる体制ができれば、恐らく乳児からでも、6歳、7歳ぐらいまでの間は対応できると思っております。
以上です。

○全国乳児福祉協議会(横川氏) 制度対策研究委員長の都留は東京都の乳児院で、私は郡部の中津川という岐阜県に施設があります。実際に今、障害を抱えた子どもは、病院受診するにしても、片道2時間以上かけて愛知県大府市の愛知小児保健医療総合センターまで通い受診するという状況になっています。そのため、全然人手が足りないということで、近隣の市町村にいろいろ相談に行っているのですけれども、総合病院でも、重い障害のある子どものケアはなかなか難しいという返答が多いです。地元の保健センターの保健師にも相談して、一生懸命、親身になってくれていますけれども、まだまだ市町村連携については十分な手厚さになっていないので、今の状況で「新しい社会的養育ビジョン」が言っている小規模化、地域分散化といった考え方で見切り発車をするのは非常に危険な部分があります。嘱託医の充実に加えて、バックアップしてくださる医療機関が明確になっていくという方向を考えないと、乳児院における障害のある子どもさん、病弱児の比率が年々、どんどん伸びているという状況がありますので、全乳協としてはとても危惧しているところです。職員の配置基準の抜本的な改善が必要ということに加えて、療育をどう取り入れていくかというところが大きな課題だと思っております。

○相澤構成員 どうもありがとうございました。もう一点、乳児院では早くから家庭環境調整の取り組みをなされておられて、家庭復帰ケースも50%ぐらいだと聞いております。障害のある方がいらっしゃるわけでございまして、そういう点での家庭環境調整とか、障害受容とか、そういうことについて、留意点とか、対応のポイントみたいなことがありましたら教えていただけたらありがたいなと思います。

○全国乳児福祉協議会(横川氏) 今、特に心がけているのが、措置をしている児童相談所の福祉司に子どもの状況をよく理解してもらうことです。面会の場面を児童相談所の方に自分の目で見てもらいたいです。実際に保護者が障害を抱えた子どもさんにどのぐらい目が行くのか、どのぐらい気持ちが向いているのか、逆にどのぐらい気持ちが向いていないのかというところをなるべく自分の目で見てほしいということで要請しています。ただ、今、児童相談所も大変忙しい状況で、「おっしゃっていることはわかるけれども、時間がなかなかとれない」と言われることもあるので、今、各乳児院が面会記録をかなり細かく書いています。かなり細かく書いた面会記録をもとに児童相談所に相談することで、児童相談所が具体的に意識できることを考えているという状況です。
あと、保護者自身を受け入れていかなければいけません。障害受容していただくためには、保護者がその乳児院の中で、自分も大事にされている、とても重きを置かれているという気持ちになっていただかないと、様々なことが難しくなるので、まず、保護者の心のかたさをやわらげるような取り組みを具体化しています。家庭支援専門相談員も複数配置が欲しいですし、面会・交流室も多くしていきたいということで、乳児院は短絡的に小規模化を進めるということではなくて、それらのバックアップ機能が担えるような、本体施設の充実を狙っていきたいと思っております。

○柏女座長 では、北川さん、それから、米山さん、お願いします。

○北川構成員 ありがとうございました。今のお話を聞いていても、障害のあるお子さんの受容ができない場合に乳児院を利用するお母さんたちなどにも丁寧にサポートなさっていることがわかりました。
質問ですけれども、乳児院の中には、今はお母さんたちへの支援、家庭の支援でしたけれども、里親などの支援もかなり先進的にやられていると聞きますけれども、障害児入所施設に期待するものとして、もし障害児入所施設が里親支援などの可能性があるとしたら、どのような方向性でそのようなことを考えていったらいいのかということを教えていただけましたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

○全国乳児福祉協議会(都留氏) 障害関係施設は、障害に関するより専門的な部分や経験をお持ちであり、里親さんたちのことも十分にケアできるだろうと思っております。具体的には、いろいろなサロン等を開くとか、地域の中に施設を開いていく機会を定期的に持てると思っています。私たちが地域の里親さんたちに子どもをつなげていくときに、もちろん乳児院等が活用されることは大事ですけれども、地域の中に障害児等をサポートできるような施設があることも、委託を進めていく中で重要ですので、ぜひそこは障害関係施設も乳児院も協力、連携して進めるということを望みたいと思います。

○北川構成員 ありがとうございました。

○柏女座長 よろしいでしょうか。では、お願いします。

○米山構成員 ありがとうございます。米山です。
先ほど参考になった障害児入所施設の調査をしたものなのですけれども、そこの中で、福祉型の入所施設の場合に、人員配置の基準で言うと、今、児童養護施設については4対1ですけれども、障害児施設は、福祉型では4.3対1なのですね。ただ、実質は2から2.5対1でみんな配置をしていて、いろいろ持ち出したりしながらなのですが、参考資料5のところにも書いてあるように、そういう配置をしながら、家庭支援相談だとか、心理療法担当という、基準がないのですけれども、そういうものを実際ケアしながらやっているみたいなことがありますが、全乳協では、今、実質では、職員配置はどのくらいの割合で、先ほど言った1といいますか、1.3、いろいろありますが、実際にはどのくらいという数があったら教えてください。

○全国乳児福祉協議会(横山氏) 年齢によっても違うのですけれども、今のところ、0歳、1歳については1.3対1、2歳児については2対1、3歳以上については4対1です。職員の配置が潤っている場合には3対1という状況もあるというのが今の職員配置の状況です。

○柏女座長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
では、有村さん、お願いします。

○有村構成員 日本社会事業大学、有村と申します。貴重な情報提供ありがとうございます。
今のお話に関連してちょっとお伺いしたいのですが、視点-2のところに述べておられます、具体的に子供1人対職員3人の配置を要望ということなのですけれども、最初聞いたときに考えたのは、複数の交代を考えると、職員が必ず1対1でついている状態が理想ということが根拠でよろしいのでしょうか。具体的なところでの御検討とか、状況の客観的な検討をされた情報がありましたら、それもお伺いできればと思った次第でございます。

○全国乳児福祉協議会(横川氏) 今おっしゃっていただいたように、1対1を保障するためには、1対3の職員配置が必要という状況だということがあります。また、乳児院の特性として夜勤体制ですので、先ほどの小規模化の話もそうですけれども、常時複数対応を考えないと、夜間の緊急時の対応はどうしても遅れてしまうので、そうしたことで要望させてもらっているという状況です。

○柏女座長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。お世話になりました。
それでは、長い間お待たせして申しわけございませんでした。全国児童養護施設協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国児童養護施設協議会(伊達氏) 今日はこういう場をお与えいただきまして、どうもありがとうございました。全国児童養護施設協議会から、私どもの考えを少し述べさせていただきたいと思います。
資料は6ですけれども、資料に沿って説明を進めていきたいと思います。既に児童養護施設については報道等でかなり皆さんご存じではないかと思いますので、内容については大幅に割愛させていただきます。現在、全国に605施設ございます。このところ、毎年何施設か増える傾向にございます。
ヒアリングの内容として、まず視点-1で出ておりました「障害児入所施設の4つの機能から、ヒアリング団体の所管する施設・事業所との関係等について」、お話をさせていただきたいと思います。
障害児入所施設では、発達支援機能、自立支援機能、社会的養護機能、地域支援機能という4つについて、どう施設の機能を整理していったらいいかということでいろいろ検討されているようです。実は、私ども児童養護施設も、この4つの機能について、どう整理したり、統合したり、重層化したり、そういうものを取り込んでいくかは大変重要な課題だと思っておりまして、現在もそういう話を内部では続けております。ただ、この中で書きましたように、基本的な立場としては、子供の状態像の違いにかかわらず、子供が発達途上の存在であるとの認識に立ち、社会が発達支援を行うという視点で事業を進めております。
それから、児童福祉施設として、地域や家庭における養育機能の低下、被虐待等による分離・保護後の養育課題などに対応する視点に立つことが重要だと考えています。
3番目ですが、子供一人一人の特性、例えば、障害の状況ですとか、支援開始時の違いですとか、そういうことに応じた適切な移行過程を大切にしていきたいと思っております。養育・支援に取り組むことによって、後から大きな違いになってあらわれてまいりますので、そういうことを考えながら、自立した地域生活への移行に向けて、連続的、継続的な支援により子供たちを養育していきたいと考えております。
障害児の施設では、「一定目的を持った短期入所よりも、長い期間の入所の制度的な裏づけを検討することも必要」ではないかという御意見が出ていたように思いますが、実は、今、新しい社会的養育新ビジョンの中で、児童養護施設はむしろ入所期間を短期にしていったほうがいいのではないかという方向も打ち出されております。ただ、これは本当にケース・バイ・ケースでして、時間をかけてようやく児童養護施設で安定した生活を送れる状態になったという子がいる一方、それこそ遅い子は15歳過ぎ、あるいは高校3年生になって入ってくるという子もおります。退所後を見据えた本当の意味の支援の継続性を考えたときには、児童養護施設の中で安定した生活を送れる状態にすることをベースにしながら、その上で、その後のアフターケアが必要になってくるのではないかという考え方をとっておりますので、そういうことに議論を集中して、今、新しいやり方を検討しております。
ふたつめの○ですけれども、児童養護施設では障害のある児童、障害の疑いがある児童を多く受け入れており、できる限り小規模の養育環境で個別の養育に取り組んでおります。
障害のある児童の受け入れはこのところ増加傾向にありまして、参考資料1にありますように、平成25年度の調査では、入所児童の28.5%に達しております。また、障害者手帳は持っていないものの、児童相談所から障害の疑いがあると言われて入所してきた子供の割合は、資料2にあるように78.3%にも上っております。
続いて本会の調査によれば、児童養護施設に入所する中学生のうち、16.2%が中学校で特別支援学級に通っております。2.3%は特別支援学校の中学部に在籍しております。中学校卒業後の進学先として、いわゆる高校全入を進めているわけですけれども、その中で特別支援学校の高等部に進む子供が16.4%を占めております。
そして、入所している子供の中で、高等学校を卒業した後、つまり18歳に達した後の生活の場をグループホームに求めるケースが結構高い割合で出てきております。現在は12.5%になっております。また、16.5%となっている措置継続の児童の中にも、相当数の障害児が含まれるのではないかと考えております。参考資料5に載っております。
次に、視点-2ということで、「障害児入所施設全般に関して課題と感じることについて」、お話をさせていただきます。
児童のニーズや抱える課題によって、児童養護施設や児童自立支援施設、あるいは障害児入所施設などが設置されておりますけれども、急増する児童虐待への対応から、児童相談所では受け入れ先の確保が優先され、措置先を決定するときの判断基準が非常に曖昧になっているとともに、結果として各施設の、いわゆる種別の役割分担が不明確になっているのではないかという点を指摘しておきたいと思っております。
次に、本来、個々の児童のニーズの視点に立ち、各施設種別の持つ強みと専門性を活かすような取り組みが望まれます。質・量ともに障害児入所施設を含む社会的養護の十分な受け皿を整えた上で、子供のニーズに応じて児童養護施設と障害児入所施設間の移行も積極的に取り組まれるべきではないかと考えています。
障害児を含む多様なニーズを持つ子供たちを、限られた人員配置によって家庭的環境で個別的養育を実施するには限界があります。こうした点からも、障害児入所施設を必要とする子供たちのニーズに十分応え得るような体制の人的・物的な整備が必要であると考えております。
障害者施策においては、グループホームなどによる地域生活への移行がこれまで進められてまいりました。障害児入所施設においても、地域化、あるいはケア単位の小規模化という取り組みが今後ますます必要になってくるのではないかと考えております。
次に、視点-3ということで、「障害児入所施設に期待することについて」お話しさせていただきます。
児童養護施設における障害児の比率は高まっております。児童養護施設の職員は与えられた制度的条件のもと障害児の支援に当たっておりますけれども、障害対応を含めて、養育の中ではさまざまな困難を抱えています。どのような課題かと言うと、職員の支援や見守りを常に必要とすることや、周囲とのトラブル対応に関するものが多いほか、進学や就職の支援に関する困難も報告されております。参考資料6をご覧いただきたいと思います。
こうした課題に対応するため、保育所等訪問支援の活用などにより、障害児入所施設の専門職による障害児支援技術の共有化が期待されるところだと思います。
また、進路支援や退所後の生活、例えば、グループホームへの移行などについてですけれども、障害児入所施設での今までの経験の蓄積や、それに対する対応のノウハウも児童養護施設でも学びながら、子供たちのアフターケアに活かしていくことが必要ではないかと考えております。
児童養護施設をはじめ社会的養護の子供の受け皿は不足しておりまして、特に障害のある子供たちの生活の場として、今後、障害児入所施設の拡充・機能強化が望まれると私どもは考えております。
最後に、その他ということで、2点だけお話しさせていただきます。
障害児入所施設の在り方に関する検討会の中で、家庭支援専門相談員の配置・拡充ということが出ておりましたけれども、社会的養護施設におけるソーシャルワークの重要性を考えるときに、家庭支援専門相談員の配置・拡充は非常に重要な課題だと思っております。そういうことを考えますと、障害児入所施設においても、社会的養護機能、地域支援機能等を発揮していくに当たって、家庭支援専門相談員の役割はどんどん大きくなっているのではないかと考えておりますので、これは関係機関にぜひ障害児入所施設、あるいは社会的養護関係の施設からきちんと声を上げていくべき課題かとも考えております。
中学生・高校生になってから社会的養護につながる児童も多く、自立までの時間が限られる中で、退所後の受け皿の確保は大変大きな問題となっています。退所後の児童の中で、特に障害のある児童については、障害者施策とも連携し、グループホーム等の円滑な利用を推進していただきたいと考えております。
以上、全国児童養護施設協議会からお話をさせていただきました。ありがとうございました。

○柏女座長 ありがとうございました。
それでは、委員の方から、小出さん、北川さん、原口さん、お願いいたします。

○小出構成員 育成会の小出です。
児童養護施設の中で、特別支援教育を受けている学級、それから、学校ということで、両方合わせますと18.5%いるという現状がありますけれども、この子たちが児童養護施設の中で生活するというのもありますけれども、児童入所施設へ移行ということは現実問題あると思うのですけれども、児童養護施設の中で障害児が生活していることについては、どういうお考えでしょうか。

○全国児童養護施設協議会(伊達氏) 現実的に手が足りないという状況の中で、障害のあるお子さんに対して、果たして十分な、その特性に合わせた支援が行われているのかどうかを考えると、決していい状態ではないだろうと思っています。そこのところをどう埋めていくかということは本当に大きな課題だと考えております。ただ、例えば、児童相談所を通して、このお子さんは大変重い障害を抱えていらっしゃるから、専門施設に移行させていきたいというお話をしても、なかなか移行先が見つからない。あるいはそのときにケースワーカーが動けないということが現実的な状況になっております。

○全国児童養護施設協議会(安河内氏) 私は全国児童養護施設協議会副会長の安河内といいます。今の件は確かにおっしゃるとおりなのですね。
典型的な例、よくある例が、小学校の中学年、低学年までは、知的障害の子供が地域の中に溶け込んで、クラスの中でも割と溶け込むのですね。授業内容が初歩的レベルだからだと思います。ところが中学校になると、少しこの子は違うなと周りから思われる。やはり知的にあるいは発達に課題があることから、中学校になると5段階評価が入ってきたりして、周りの友達から敬遠されていじめの対象になる。そうすると、本人はものすごく悩むのですね。自分は一体何なのだろうと。小学校のときに仲よくしておった子供が、中学校になって、Aちゃん、Bちゃんが自分と一緒におらんようになったと。そのときになって初めて、自分は他の子と違うのではないかと考えるわけです。我々職員も、学校でそういう状況が起こって初めて、ちょっと調べようかということになります。精神科の医者とか、医療センターにみてもらい、知的発達に遅れがあることがわかって初めて、その時点になって障害児者の施設を検討することがあります。
私は長崎なのですが、長崎は割とそういうところが充実していて、そのような子供を受け入れてくれる先があります。ところが、今度、そういう受け入れ先に行くと、その子は逆に知的なレベルがみんなよりも高いのです。だから、自分の障害のレベルが分からなくなり、自分自身に葛藤を設けて、その子が中学生だとすると、高校に行くときも、自分は特別支援学校には行かない、普通学校に行きたいとか、そういうことで悩んでいる例は、私の施設はもちろん何回かありますし、ほかの施設でも、少なくとも長崎では何件か聞くのですね。
それで私は、できるだけ早くその子の特性を見きわめて、その子に合った施設を選ぶというのがすごく大事だと思います。ここで言うと語弊があるかもしれませんが、それを一番しなければいけないのは、もちろん家族もそうですけれども、家族はそういうのはなかなか目が向きませんから、児童相談所にそういうことを見てもらいたいと思うのです。私も児童相談所の現状はわかっています。最近は虐待案件が非常に多くて、ケースワーカーの方がそれどころではないというのがよくあるのですね。そういう意味では、そういうすき間のケースが、特に最近増えています。

○小出構成員 補足ありがとうございました。了解しました。

○柏女座長 では、北川さんかな。次が原口さんですね。あと青木さん。

○北川構成員 ありがとうございました。養護施設とか、社会的養護の施設が、児童福祉法の改正とか、社会的養育のビジョンなどでどんどん、子供の最善の利益は何なのかというところで変化している中で、障害児入所はどうあるべきなのかということで、この検討会の開催に至ったと思うのですけれども、今、お話聞いていて、数字では把握しておりましたけれども、障害のある子がたくさん児童養護施設で暮らしているということで、いい悪いは別として、インクルーシブという観点に立ったら、それはもしかしたらいいことなのかもしれないですけれども、スタッフの方とか、子供自身も、加算もない中、困り感を抱えているという実態をお話ししていただいて、よかったかなと思います。今後のことをもっといろいろ考えていかなければいけないとは思うのですけれども、今の時点で障害児入所に対して、もっと拡充と機能強化が望まれるというところが視点-3のところにあったと思うのですけれども、この辺をもう少し教えていただけたらありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○全国児童養護施設協議会(伊達氏) 社会的養護の場合に、どちらに籍を置くかというのは本当に偶然のたまものみたいなところがあると思うのです。ですから、児童養護施設に、後で障害があるとわかる子供が入る確率は非常に高いわけですし、逆に障害児施設の中でも、この子だったら児童養護施設で何とかなるのではないかというお子さんがいる可能性もあるかと思います。こうした判断は、従来考えられた特性ということで進められているわけではなくて、虐待を受けたので、どこかに入所させなければならないというところから始まっていますので、このアセスメントを含めて、子ども達を養育している現場の職員にとってみると、自分らに何ができるのだろうという戸惑いが非常に大きくなりつつあるのではないかと思っています。
そういう意味では、児童養護施設にそういうお子さんが入ったときに、我々が障害児の施設に、例えば、行ったり来たりみたいなことを含めて、ある時期支援をお願いするとか、あるいは日中どちらかで支援するとか、重層化といいますか、両方で自分の得意なものを持ち寄って連携しながらやることができると、少し見えてくるものがあるのかなと思います。それぞれの機能の中で、何かきちんとしたものを今の時点でつくり出していくというのは非常に難しいのかもしれないなと、児童養護施設側とすれば、そう考えています。○柏女座長 かなり時間が押しておりまして、このままだとかなり延長しなければならない事態に陥るので、今、3人ほど手が挙がっていますけれども、どうしてもという方がいらっしゃったらば、お1人だけでもお願いできればと思います。よろしいですか。

○原口構成員 原口と申します。
では、1点だけ。今の質問にも少し関連するかと思うのですけれども、視点-2のところで、子供のニーズに応じて児童養護施設と障害児入所施設間の移行も積極的に取り組まれるべきではないかというところがあったのですけれども、これを積極的に取り組んでいく上で、必要だとお考えになっていることがもしありましたら、実例などもあったら教えていただければと思います。

○全国児童養護施設協議会(伊達氏) このところ、児童養護施設から障害児入所施設に移っているケースはほとんどないのかなと思っています。そういう意味では、将来的な希望みたいなもので書かせていただいたのですけれども、子供の状態像を考えたときに、その子供に合った入所施設の機能がないとまずいところがありますから、そういう意味では連携してやりとりをしていくことが今の段階においては必要なのかなと書かせてもらいました。

○柏女座長 よろしいでしょうか。御協力いただきましてありがとうございます。
それでは、全国児童養護施設協議会様のヒアリングを終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○全国児童養護施設協議会(伊達氏) ありがとうございました。

○柏女座長 それでは、ここで5分ほど休憩をとらせていただきたいと思います。個別に追加の御意見をいただくことも考えたのですけれども、時間が押しておりますので、ここで5分間休憩させていただきまして、その後、実は次回からワーキンググループという形になりますので、分かれて議論することになりますので、それぞれの議論にどんなことを期待したいかをぜひ頂戴しておきたいと思いますので、その意見交換の時間に充てさせていただきたいと思います。
では、5分間休憩して、40分から再開とさせていただきます。
 
(休 憩)
 
○柏女座長 議事を再開させていただきたいと思います。
その前にお諮りさせていただきたいのですが、ちょっとヒアリングの時間が押しましたので、可能であれば、10分ないし15分ほど延長させていただきまして、御予定のある方もいらっしゃるかと思いますけれども、それくらい延長させていただいて、それぞれのワーキングに対しての御要望、こんな意見をしてほしいとか、こんな点に注意して議論してほしいとか、そういう相互のやりとりをぜひきょうはやっていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局より資料7の障害児入所施設の課題整理(案)について説明をお願いいたします。

○山口障害児・発達障害者支援室長 それでは、資料7の「障害児入所施設課題整理(案)」をごらんいただきたいと思います。
まず、全体のつくりですけれども、福祉型と医療型について、それぞれ整理しております。福祉型が9ページまで、10ページ以降が医療型の課題整理となっております。先ほど座長からもございましたけれども、今回、全体としては、一旦ここで区切りがありまして、それぞれワーキングに入っていきますので、福祉型ワーキングに参加される方については、福祉型はメンバーになっていますので、そこで議論いただければいいと思うのですけれども、福祉型の人は医療型のテーマについて、医療型に入っている方は福祉型について御意見があれば、ここで言っていただくといいかなと思いますので、そういった視点で見ていただければと思います。
まず1ページ目ですけれども、福祉型の課題整理としまして、これまでの議論をもとに整理しております。「1.発達支援機能」の課題の1つ目として、より家庭的な雰囲気での支援の推進ということで、そのための方策として、施設の小規模化、地域化の推進、里親、ファミリーホーム、グループホームの活用・連携強化としております。
2ページ目ですけれども、課題の2つ目として、専門的機能の高度化について、例えば、愛着障害、知的・発達障害等の重複障害への対応、強度行動障害児への対応といったことを挙げております。
3ページ目は「自立支援機能」でございますけれども、課題として、円滑に地域に移行していくための支援のあり方について、1つ目のポツでは、都道府県・市町村や児童相談所、相談支援など障害福祉サービスとの連携強化・仕組みづくり。2つ目は、対象に向けた支援の強化、地域生活への移行に対する促進策等について記載しております。
2ページ飛びまして5ページですけれども、2つ目の課題といたしまして、いわゆるみなし措置の加齢児問題ですね。18歳以上の入所者に対応するためのみなし規定のあり方についてどう考えるかとしております。
6ページになりますけれども、「社会的養護機能」ということで、社会的養護を必要とする障害児が多く入所している現状を踏まえて、社会的養護機能についてどう考えるか。例えば、被虐待児への支援を行うための専門性の確保であったり、社会的養護分野への支援と連携強化についてどう考えるかといったことを挙げております。
7ページ目は「地域支援機能」といたしまして、福祉型の障害児入所施設の地域支援機能についてどう考えるかとしております。
8ページ目以降は「その他」として、これは医療型との共通課題となりますけれども、1つ目として、入所時の措置と契約のあり方についてどう考えるか。2つ目として、人員配置や人材育成についてどう考えるか。そして、次のページになりますけれども、3つ目、名称についてどう考えるかとしております。
それから、10ページ目以降は医療型の課題整理としております。「発達支援機能」として、まず、対象者は一般的に状態安定のための支援が日常的に必要不可欠であるが、それとともに成長・発達のための支援をどのように考えるか。いわば医療的な支援が日常的に必要になっている中で、福祉的な支援についてどうするかということで、インクルーシブの推進、あるいは日中活動も含めた暮らし全体のあり方、医療的ケア児等への専門的支援の強化、施設の小規模化等の推進としております。
11ページ目は医療型の「自立支援機能」ですけれども、医療型については、療養介護との児者一貫となっておりますので、そういった仕組みの中で、成人移行期における支援のあり方をどう考えるか。移行する際の支援のあり方、あるいは都道府県等との連携強化の仕組み。
そして、2ですけれども、児者一貫の仕組みの中で、役割・機能をどう考えていくか。有期有目的支援のあり方、あるいは受け入れが難しい障害児者のセーフティーネットとしての役割としております。
1枚飛びまして13ページになりますけれども、医療型の「社会的養護機能」ということで、これも社会養護を必要とする障害児が多く入所している現状を踏まえ、その機能についてどう考えるか。被虐待児やその家族への支援を適切に行うための専門性、あるいは児童相談所や教育との連携強化としております。
14ページ目は「地域支援機能」ですが、医療型については、この地域支援機能について、家族のレスパイト機能としての短期入所の確保、あるいはNICU退院後における在宅生活を支えるための短期入所、有期有目的支援のあり方、そして医療的ケア児に対する短期入所の確保、在宅で生活する子供、家族への支援を行っている事業所へのバックアップ機能としております。
15ページ目、「その他」ということで、先ほどの福祉型と共通になりますが、入所時の措置と契約のあり方、人員配置や人材育成、そして名称ということで、同様に挙げております。
説明は以上です。よろしくお願いします。

○柏女座長 ありがとうございました。
それでは、課題の整理に関して、皆様方から御意見ございましたら、お願いしたいと思います。
では、相澤さん、お願いします。

○相澤構成員 改正児童福祉法案が6月19日に成立しましたけれども、その法案の附則に検討事項として児童の意見表明の確保をどうしていくのか検討するということが盛り込まれましたね。やはり障害児の方々にも、その確保をどうするかということが極めて重要だと思いますので、どこの項目に入れたらいいのか、新たに権利擁護機能みたいな項目を設けたらいいのかわかりませんが、医療型であっても、福祉型であっても、児童の意思表明の確保についてきちっと議論をするべきだと思います。
以上です。

○柏女座長 ありがとうございます。
ワーキングで、両方で検討していくための検討の視点として置いておくことはとても大事なことだと思います。全体を通じてそれを入れておくことは大事なことだと思います。ありがとうございました。
そのほかにはいかがでしょう。どうぞ、お願いします。森岡さん。

○盛岡構成員 失礼します。きょうのヒアリングでもございましたけれども、乳児院とか養護施設、それから、障害者入所施設との連携というところが、我々自治体ではなかなか行き届いていないところであると思いますので、そういったところの議論を十分していくというところでお願いできたらと思っております。

○柏女座長 ありがとうございます。とても大事な点だと思います。
ほかはいかがでしょうか。では、米山さん、青木さん、有村さん。

○米山構成員 医療型の入所施設のあり方の中で、やはり障害の多様化というのがあって、先ほどの医療的ケア児、重症心身障害が約半数くらいだと思いますし、超えていると思うのですが、その医療的ケア児もあるのですが、いわゆる難病だとか、まだ病院に入院して、なかなか施設へ入れないという、肢体不自由でない方々も、統計、たしか小児医会か何かから出ていたと思うのですが、そういう方々の入所についてどうあるべきかというのはぜひ検討していただけるといいのではないかと思いました。

○柏女座長 では、青木さん、お願いします。

○青木構成員 青木です。
今の私の立場は、社会的養護、児童自立支援施設の施設長をしておりますが、社会的養護とか、障害児支援とか、分類支援などと言っている状態ではないという意味では、連携が大事だというのは今までのヒアリングの中でどなたも言っていたとおりです。ただ、厚生労働省の立場として、平成20年とか平成26年の障害児支援の見直しのときに、社会的養護の視点はそのときにはなかった。今回、社会的養護の視点を入れてもらったというのは、とても大事な視点だと思いますね。ですから、これからワーキングで話をしていくときに、虐待だけではなく、例えば、貧困の問題だとか、措置と契約の話だとか、いろいろなことが絡んでくると思いますので、こういった社会的養護の視点をよろしくお願いします。あと、もう一つお願いしたいのは、人材育成、とりわけお医者さんの問題です。これは医療型であろうが、福祉型であろうが、とにかくお医者さんの問題は、施設単体で物が解決できるような問題ではないので、特にお医者さんの問題については全体で議論していただけるような、それも国、つまり、厚労省内や関係省庁等を交えての議論に広げていっていただけたらなと思っています。
以上です。

○柏女座長 ありがとうございました。
次は有村さん。

○有村構成員 検討において、難しいところがあるのかとは思うのですけれども、海外で、特に子供の虐待関係の、北米の1990年代を反省して、例えば、2000年代に書かれている論文などを見ると、子供の虐待と支援を両方でやってしまうと緊急対応に人材がとられてしまうために、支援が十分に確保できないと指摘する文献はかなり多いわけです。今回のヒアリングでも、児童相談所に相談するのだけれども、大変だという御意見は出ていたと思うのです。そういった意味で、社会的養護の機能だったり、支援の部分であったりとか、きちんと相談機能であったりとか、家庭を支援する機能を確保するという意味では、専門性を持っている機関は大変重要なのかなと思っておりまして、その部分については、施設に関しての議論が多いのかもしれませんけれども、検討しておく必要があるのかなということで意見をさせていただきました。

○柏女座長 ありがとうございます。これも大切な視点なのだろうと思います。児童相談所のことなどはかなりたくさん意見が出ておりましたし、相談支援専門員の方々からは、要するに、入所施設への入り方を市町村に委譲したほうがいいのではないかといった意見も出ておりました。そういう意味では、障害児が入所施設にどう入っていくのか、そしてそこからどう出ていくのかという議論もとても大事なのかなと思いました。
ほかにはどうでしょうか。どうぞ、北川さん。

○北川構成員 どちらのワーキングも入所単独だけで成り立たないと思いますので、どうほかの機関とネットワークを組んで、地域の子供も含めて支援していって、また、その中で入所の役割が逆に明確になっていくのではないかという視点がもう一つと、いろいろな団体のヒアリングも聞いていまして、障害児というところに重きを置きがちですけれども、障害があるけれども、子供なのだという、子供の育ちをどう支えていくかという視点もお互いのワーキングで忘れないように進めていけたらいいのではないかと思いました。

○柏女座長 小出さん、お願いします。

○小出構成員 育成会の小出です。
特に知的障害というのは、ずっと昔から、制度ができる前から、よく考えてみると、施設処遇をされてきた。障害そのものがですね。あるときは養護という感じできました。あるときはそこで教育をしたという、学校に行けずにということで児童入所施設が役割を果たしてきた。今は地域状況によって違いますけれども、1つ、家庭的な雰囲気の支援が望ましい。今、北川さんが言われましたけれども、障害があってもなくても、子供たちの育ちということを見ると、入所施設の中で家庭的な雰囲気とか、それはあり得ないのですね。ですから、家族、子供としての育ちというものはどういうものかということを、そこへ視点を当てていただきたいなと。入所施設そのものではなくてですね。きょう、医療型とか、乳児院の人たちとか、聞きますと、本当にそういうところは必要不可欠だなということはよく認識しておりますけれども、私ども育成会としてはそういうふうに望みたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○柏女座長 ありがとうございました。では、どうぞ。

○石橋構成員 全肢連の石橋ですけれども、施設に入るというところの過程と、今度は入所した後、年齢制限があるとすると、そこから出るところの議論もきちんとしなければいけないのではないかと思います。といいますのは、それぞれの施設の、ある自治体の要綱には、自立に向けた作業、カリキュラムをつくりなさいよと書いてある自治体もあるわけですから、そういうお話はある意味では見えなかったと私は感じております。
また、入所されている施設で学校教育への取り組みが、どうも都道府県の教育委員会によって違いがあるようだと。要は、院内教育で済ませている県もあれば、特別支援学校なり、普通学校に通学させるという、普通の考え方を持っておられるところもあるということで、教育との連携という意味合いでも、そういうものもきちんとしてあげなければ、子供が育たないのではないかと思いますし、もともと虐待ということがベースにあるとしたら、これは親に対して、あなたが育てるのだよという気にさせる。そうしなかったら、結局、施設を渡り歩くという形になってしまうのではないかと感じました。そういう教育との連携も含めて考えていただければありがたいなと思います。

○柏女座長 ありがとうございます。
では、菊池さん、お願いします。

○菊池構成員 教育との関連で少しお話をさせていただきますが、人材育成といいますか、先ほどヒアリングの中で、視覚障害のある方とか、あるいは聴覚障害がある方々に対する支援のあり方として、実際、そうしたスキルを持っている方々がどうしても施設においては少ないというお話がございました。教育のほうに目を転じてみますと、特別支援教育においては、障害の5領域に関係するような特別支援学校の免許を出しておるわけなのですけれども、実際のところ、視覚や聴覚の免許を出す大学は極めて少ないのですね。知的障害、病弱、肢体不自由に関係するような3領域の免許を出すところは、全国各大学、大体どこの都道府県にもあるのですけれども、視覚や聴覚に関係するような免許を出せる大学は非常に少ない。教育ですらそういう状況ですから、福祉のほうにおいて、そうした知識を持っている方々は恐らく少ないと思うのですね。そこの人材育成であるとか、あるいは教育との連携をどのように図っていくかというところに、特別支援教育において視覚や聴覚の免許を持っている、先ほど岩手の視覚障害の団体の方々が宮城教育大学の先生と連携したというお話がございましたけれども、そうしたところをどう活用していくかというところで人材育成を図っていくかという視点はぜひ検討していただきたいと考えております。
以上です。

○柏女座長 ありがとうございます。
では、市川さん、お願いします。

○市川構成員 私は発達障害とか知的障害を中心に見ている人間です。重心だと医療、福祉がうまく連携しているように見えるのですけれども、我々の分野では対立構造になっていると思います。社会モデルと医学モデルとかいう話が出てきます。頑張って我々の分野の医師は医学モデルで診療をしていません。それにもかかわらず、「医療関係者は医学モデルでけしからん」という論理が出てくるたびに、福祉に興味を持つ医師が減っていくように思います。知的、発達障害で難しいのは強度行動障害の問題と老齢化の問題なのですね。両方とも医療を使わなければいけない問題なので、ぜひ医療と福祉の連携というスローガンを出していただきたいと思っております。

○柏女座長 ありがとうございます。ヒアリングの中でも、医療型とか福祉型とかやめてほしいという意見もありましたけれども、そうした視点も大事なのかなと思いました。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ、お願いいたします。

○宮野前構成員 私は重心の施設に勤めてきた人間として、重心の施設はついの住みかになっている、これでいいのだろうかという思いが常にありまして、重心に関して言いますと児者一貫ということで、単純に言いますと、行政の方たちにしてみると、一旦重心の施設に入ると、それでもう完結したという思いが強いみたいで、それ以降の関与がほとんどない。それは支援の専門員の方にしても、重心の施設はそういった中でも全部してもらえるものだという思いがあって、一旦入ってしまうと、地域に戻るとか、あるいはグループホームを親御さんが考えたときにどうすればいいのか、そのあたりが完全にシャットアウトされているような現状がありますので、先ほど質問ありましたけれども、ポストNICUの方が入所されて、地域に戻るときにどうなのかということも、施設によっては取り組んでいるところがあるのですが、こういったオフィシャルな場で方向性をしっかり出していただくことで、随分現場が変わってくるのと違うかなと思いますので、そういった視点も入れていただきたいということ。
それから、先ほど医師の問題が出ましたけれども、障害医療という大きな取り組みというのか、医学教育の中でほとんどないのですね。看護のほうは、障害者看護という一つのエンティティがあるみたいですけれども、残念ながら医学教育の中ではそういったものがない。今、後期研修、専門医をとるため、小児科は全国で170カ所ぐらい基幹病院になっているわけですけれども、そのプログラムの中で、例えば、重症心身障害児者の施設で研修するとか、そういったものを持っているところはほとんどないわけですね。そういう意味で、病院機構などは自前でというか、ほかの科の研修をとっていますので、その中でいろいろ、重心の施設、あるいは筋ジストロフィーの施設、いわゆるセーフティーネット分野のところも、特に初期研修の場合、どんな診療科に進もうとも、障害を持った方々を見る機会はあるわけですので、そういったのをぜひやっていただきたいなということ。
それから、先ほど言いました、医学教育の中で特に後期研修、小児科の専門医を育てる中で、厚生労働省としてきちっと障害児医療というエンティティをつくっていただいて、そのプログラムの中に加えていただくような方向も出していただければ、将来、重症児医療、あるいは発達障害の医療を担う医師の育成にもつながると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○柏女座長 ありがとうございます。
どうぞ。

○市川構成員 今の意見、大賛成なのですが、私は逆に福祉スタッフの養成の過程にも医療が入ってきていただけると、現場でうまくいくのではないかと思っておりまして、ぜひその視点も厚生労働省の方で持っていただけるとありがたいと思います。

○柏女座長 養成の視点というのは大事なところだろうと思います。両方ともワーキングでも大事なところだと思います。
では、原口さん、お願いします。

○原口構成員 議論をしていく上で具体的な役割というか、具体的な機能が視点としてあるというのは非常に大事なところだと思うのですけれども、もとに戻って見ると、この検討会は入所施設のあり方ということなので、入所施設とは一体何なのだろうというところの定義と言っていいんでしょうか、理念と言っていいのか、ちょっと抽象的な言葉になってしまうかもしれないのですが、具体的な役割や機能を具体的に検討することが前提として、一体何なのだろう、あり方としてどういうことなのだろうということを忘れないようにして検討していくことが重要かなと感じています。
もう一点が、いろいろなヒアリングやいろいろな情報がこれまで出てきた中で、さまざまな数値的なデータなどもこの検討会を通して出てきた部分もあったと思いますので、これからまだまだ、きょうもヒアリングであったと思うのですけれども、実態がわからないという状態が実はこの領域は多いのではないかと思いますので、足りない情報が一体何なのかということなどもあわせて検討していく必要があるのかなと感じています。

○柏女座長 ありがとうございました。とても大切な御視点、もとに戻って考えるという大事なことを御意見としていただいたかと思います。なかったデータということで言えば、きょうの資料の中にも寄宿舎の関係で8,000人ぐらいのお子さんが入所しているみたいなこともデータとしては載っていますので、そういうものも大事かなとは思いました。
ほかはどうでしょうか。では、有村さん、お願いいたします。

○有村構成員 ありがとうございます。日本社会事業大学の有村でございます。
1点、ちょっとお話ししておきたいことがありまして、タイムスタディー等で実際の実践の現場の状況は把握されているわけなのですけれども、これは児童養護施設で3年前にとらせていただいたもので、危機的な場面、つまり人が足りなくなる場面と職員が認識した場面に合わせて見てみると、1人のお子さんに振り回されて全体が崩れてしまったりとか、構造的に危機場面での人の不足が考えられると思います。日常を見るタイムスタディーと、別に危機的な場面でどう動いていって職員配置していくのか、危機的な場面をどうするかというのも含めての職員配置などは、やはりあり方としては、配置だけではありませんけれども、動きとか、機能みたいなところは検討がなされるべきなのかなと思って、追加で発言させていただきました。

○柏女座長 ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。では、北川さん、お願いします。

○北川構成員 一旦入所に入ったとしても、やはり家族を支えていくという視点を忘れないように検討していただけたらと思います。

○柏女座長 そのとおりですね。ありがとうございます。
では、相澤さん。

○相澤構成員 今の視点で言いますと、例えば、障害児者と介護の共生型サービスといったものが今、進められていますね。いわゆる包括ケアシステム強化法などが成立したことで。そういう意味では、保護者の方の状態と児の状態を踏まえながら一緒に共生型サービスで提供するような、そういうことも時間があればぜひ検討していただくとありがたいなと思います。

○柏女座長 ありがとうございます。
そろそろ御意見も出てきたようですので、私からも最後に意見と、それから、まとめをさせていただきたいと思います。
私としては、座長、副座長として一番心配なのは、2つのワーキングに分かれてしまって、それが別の方向に行ってしまったらどうしようというのが一番心配なところなのですけれども、そういう意味で、先ほどの原口さんの御意見の障害児入所施設は一体何のためにあるのかということ、それが拡大していってふえていくことは本当にいいことなのかどうかとか、そういうことも視点にちゃんと置いておかないとだめなのかなと思いました。4つの機能がということが基本にありますので、そんなに議論は離れていくことはないとは思いますけれども、医療型、福祉型、それぞれで重点の置き方の濃淡は当然ありますので、そこらについては優秀な事務局が調整をしながら、お互いに、こっちでこんな意見がありましたとかいうことをやっていただきながら、修正、情報提供等もしていただけるのかなと思いました。
それから、大事にしておかなければいけないのは、今、ちょっと相澤さんもお話がありましたけれども、障害児支援が目指すところの方向性を間違えないようにしないといけないということだと思うのですね。いわばインクルーシブな社会、そして地域共生型社会をつくっていくという、そのために障害児入所施設がどのようなバックアップができるのか。広報支援ということも言われましたけれども、そうした役割ができるのかという視点から考えていかないと、入所施設だけが肥大化していってしまうことは決してあってはならないと思います。
また、障害児入所施設の社会との関係ですね。市町村の関与の問題とか、あるいはそこに入ってくるときの方法とか、出ていくときのあり方とか、そうしたことも考えておかないといけないのだろうと思います。
3番目が、それぞれの専門機能を強化するというところもとても大事なところですけれども、専門機能を強化して、そこに特化した施設群をつくっていくと、人口減少社会の中で、それらの施設は、いわば少ない数で全国に点在することになってしまう。そうなると、ノーマライゼーション、あるいはインクルーシブな社会という点ではどうなのだろうかという逆の問題も生じてきたりすることになりますので、このバランスもあわせて考えていかなければいけないのかなと思いました。
さらに4点目は、他の施設種別、今回も児童養護施設や乳児院、さらには里親やファミリーホーム等々の社会的養護関係の入所関係のサービスとどう関係を取り結ぶのか、あるいはそもそも再編はできないのかといったような、他の施設種別との関係も抜きには考えられないかなと思います。
あとは成人との関係ですね。障害児入所施設に子供たちがなかなか入れないというのは、加齢児がいることも大きな要因の一つであって、その加齢児の方々をどうやって地域社会の中で、あるいは障害者のサービスの中でうまく生活をしていただくかという、そこも考えていかないとならないし、障害児入所施設が児者転換をしてしまって、障害者入所施設がどんどん少なくなってしまう。その結果、児童養護施設に障害児が入ってきてしまうといったような、ぐるぐると相互関連の中で回っている状況がありますので、これらもどう考えていくのかなということも視野に入れていく必要があるのではないかということも考えました。
いろいろなことが出てくると思いますけれども、全て実現することはできませんけれども、こんな問題があるのだと、残された問題があるのだということは、入所施設の検討会の報告書を出したときにも、検討できなかったことも全て書き込んで、次の課題として、次のステップとして残していければいいかなと思います。皆様方の御意見をたくさん頂戴いたしまして、これからこの課題の整理をもとに、少しグループに分かれて御議論していただく形になるかと思います。
それでは、事務局から今後のことについてお願いしたいと思います。

○山口障害児・発達障害者支援室長 きょうは長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。次回より、福祉型、医療型に分かれましてのワーキンググループになります。日程等、詳細については別途お知らせいたします。
それでは、本日はお忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。本日はこれで終了いたします。

○柏女座長 それでは、これで終了とさせていただきます。私の不手際で時間を10分ほど超過してしまいまして申しわけございませんでした。


                                                                                  〈了〉