2019年5月14日 第52回中央最低賃金審議会 議事録

労働基準局賃金課

日時

令和元年5月14日(火) 17:00~17:46

場所

厚生労働省省議室(9階)

出席者

【公益代表委員】
    仁田会長、戎野委員、鹿住委員、藤村委員、松浦委員
【労働者代表委員】
    伊藤委員、小原委員、冨田委員、永井委員、新沼委員、平野委員
【使用者代表委員】
    秋田委員、佐久間委員、中西委員、正木委員、増田委員
【事務局】
    坂口労働基準局長、田中大臣官房審議官、五百旗頭賃金課長、瀧ヶ平主任中央賃金指導官、宮﨑統計専門官

議題

賃金改定状況調査の実施等について

議事

 
○仁田会長
 それでは、ただいまから、第52回「中央最低賃金審議会」を開催いたします。本日、中窪委員、橋本委員が御欠席でございます。
 本日の議題でございますが、賃金改定状況調査の実施等についてでございます。それでは、まず、議題について、事務局から御説明をお願いいたしたいと思います。

○五百旗頭賃金課長
 御説明の前に一言御挨拶を申し上げたいと思います。4月8日付で賃金課長を拝命いたしました五百旗頭と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料1に基づきまして御説明をさしあげます。本審議会での最低賃金の目安の議論に当たって参考資料の一つとして提出しています賃金改定状況調査は、統計法上の一般統計調査に該当いたしますが、このたび総務省統計委員会の指示により、各省でその適切な実施についての自己点検が進められていますところ、その過程で後ほど御説明をいたします2点に対応するため、今年度の賃金改定状況調査の実施方法を見直したいと考えております。
 まず、1.(1)の平成30年賃金改定状況調査の実施方法の概要でございます。賃金改定状況調査につきましては、これまで目安制度のあり方に関する全員協議会において、公労使の委員の皆様に調査方法等について御議論をいただき、それに基づいて調査を実施してまいりました。主な点を御説明いたしますと、イの集計事業所及び集計労働者数につきましては、常用労働者が30人未満の企業に属する民営事業所から一定の方法で抽出した約2万事業所へ調査票を発送し、合計約4,000事業所の回答を集計しております。また、エ、調査事業所数の割合につきましては、各産業間の割合は、製造業:卸業,小売業:宿泊業,飲食サービス業:医療,福祉:その他のサービス業の事業所数の比率をおおむね6:3:1:1:2としております。事業所規模別の構成比は、規模1~9人、10~29人の事業所数の比率がおおむね製造業では2:1、その他の産業では3:1としております。
 2ページをごらんください。一般統計調査の自己点検の結果、まず1つ目として、調査対象事業所数について、調査計画と調査実務で齟齬が生じていたこと。2つ目として、一部の集計表について復元を行わずに集計していたことの2点を把握いたしました。
 これを踏まえました具体的な見直し内容ですが、1つ目は、2.(1)にあります調査対象事業所数についてでございます。調査対象事業所数について、調査計画では約1万事業所とされておりましたが、調査実務では約4,000事業所の調査票回収を確保するために約2万事業所へ送付しておりまして、調査計画と実務に齟齬が生じておりました。そのため、調査計画を調査実務に近づける変更を行うとともに、総務省の御指摘であった回答者の負担を軽減する観点から、調査対象事業所数を約1万6000事業所へ変更いたします。これに伴いまして、調査対象事業所数が減少しても集計事業所数が不足することがないように、1つ目といたしまして、集計事業所数をこれまで目安制度のあり方に関する全員協議会で合意されていました産業計・事業所規模計の比率で選定することを改めまして、調査結果の集計期限までに回収できた調査票を全て集計すること。2つ目としまして、調査票の回収状況によりまして集計事業所数が約4,000事業所を下回るおそれがある場合には督促を実施することの対策を講じたいと考えております。なお、集計事業所の産業別・事業所規模別の割合が過去の調査における集計事業所の割合に近くなるよう、調査票を発送する約1万6000事業所について、審議会で合意されていました産業別・事業所規模別の比率で調査対象事業所数を割り振って発送するようにいたします。
 なお、ただいま御説明いたしました今年度調査の実施方法は、総務省より今年度調査に限るものとして承認を得た方法となっています。そのため、来年度以降の調査につきましては、総務省からの御指摘事項や今年度調査の実施状況を踏まえながら、この審議会において御意見をいただきながら、検討を進めていきたいと考えております。
 続きまして、集計方法の復元について御説明いたします。3ページの(2)をごらんください。まず現状ですが、賃金改定状況調査では、業種や地域などにより抽出率が異なっておりますが、労働者の賃金上昇率について集計しました第4表、参考5については復元を行っていました一方で、これらの集計表以外については復元をしておらず、恐らく長期間にわたって単純集計を行ってまいったものでございます。こうした取り扱いの背景には、本調査がその年の春闘の結果を踏まえた賃金改定の状況を速やかに最低賃金の審議に反映するために、非常に短期間で調査集計を行わなければならないものであるという点にあったものと推測をいたしております。いずれにいたしましても、平成30年調査について復元いたしました再集計値を見てみますと、資料に一覧で記載しております数値となります。なお、御参考までに、復元方法の例を4ページの参考2に、また、再集計値の全体データを別添に記載しておりますので、必要に応じて御参照ください。
 それでは、3ページの一覧のほうを御説明いたします。一覧の(1)は単純集計値、つまり復元前の公表値になります。(2)は、このたび復元再集計をした数値でございます。ここでは、第1表から第3表及び参考1から4のうち、主な集計項目としまして、全体的な状況が把握できる、産業計・ランク計の集計値をピックアップして表でまとめています。一番右の「(2)-(1)」と表記しておりますところが集計値の差になります。例えば第1表では、単純集計値では賃金引き上げ事業所割合が44.8%でしたが、復元すると43.9%と0.9ポイントの違いが出ています。ただ、この数値の変動によって大きなトレンドまで変わるというものではない状況と考えております。また、第2表以下の数値をごらんいただきましても、こちらに掲げておりますような変動値でございまして、集計値に大きな変動があるものではないと考えております。なお、労働者の賃金上昇率について集計しました第4表及び参考5につきましては、過去から復元して集計を行っていましたので、このたびの再集計の対象とはなっていません。
 なお、参考1表から3表のうち、再集計によって最も変動が大きかった項目を次のページの参考1に記載しております。第1表の中の「宿泊業,飲食サービス業・Dランクの賃金改定予定事業所割合」で6.2ポイントの変動がございました。集計対象事業所数が少ない項目ほど、復元することによって復元倍率の大きな事業所の回答の影響を受けやすいものでございますが、この項目では、集計対象事業所数が78と全体の4,029と比べて少なく、ほかの項目に比べますと、復元により変動が生じたものと考えています。ただし、この項目では、6ポイント集計値に変動が生じてはおりますが、母集団全体の3%のみを占める「宿泊業,飲食サービス業・Dランク」という限られた産業の状況でございまして、全体的な賃金改定実施状況についての評価に影響を与えるものではないと考えています。
 最後に3ページにお戻りいただきまして、ウ、今後の対応についてでございます。既に復元集計を行いますことは、技術的な面から比較的容易な状況になっておりますし、また、統計調査の結果精度に関する関心も高まっております。今年度以降は、統計的により適切な方法である復元を行った集計値を公表する形で本調査を実施することといたします。事務局からの御説明は以上でございます。

○仁田会長
 どうもありがとうございました。それでは、以下、御議論いただきたいと存じますが、事務局の説明におきまして主な内容が2つございました。一つは、調査対象事業所数の変更と今年度調査の実施に関するものでございました。もう一つは、集計の際の母集団への復元の有無に関するものでございました。
 1番目の問題につきましては、この調査は統計法に基づく一般統計調査でございまして、総務省の承認を受けた調査計画に基づいて実施する必要があるわけなのですけれども、調査対象事業所数が調査計画に記載された事業所数を大幅に超える形で実施していたということでございました。この点について、目安全員協議会で議論をしてまいったわけですけれども、そこで合意いたしました集計対象事業所数、約4,000の回収数を確保するためにとった措置であったという御説明をいただいたところでございます。
 また、2番目の復元集計の点については、その統計技術的な問題でありますけれども、この調査の第1表から4表まであるわけですが、そのうち4表については復元集計をしておって、第1表から3表については復元しない形でそのまま集計結果を出すという形で、長らくそういう形でのデータの利用と公表を行っていたという説明がございました。また、平成30年調査につきまして、1表から3表について、復元による再集計を行ったらどうなるかということでその結果を示していただいております。
 というわけで、本日御審議いただくべき事柄は2点ございますけれども、私が考えますには、事務局の説明順とはちょっと異なりますけれども、過去におけるデータの取り扱いの問題である母集団復元の有無に関する問題をまず取り上げて、調査計画との調査数、標本数の相互の点については、本年度以後の調査の内容にかかわってまいりますので、その後に議論させていただいてはどうかと思っております。それでよろしゅうございましょうか。
 それでは、復元集計の件でございますけれども、事務局から丁寧に説明をしていただいたわけですが、本調査の集計において第4表のみ復元集計を行って、第1表から3表については復元集計しないという取り扱いを行ってきたということでございます。いつからそうやってきたのか、さかのぼればこれは大分昔からやっている調査ですので、大変かと思うのですけれども、私が知る限りはずっとそういうやり方でやり、また、目安全員協議会でそのような認識でおったと思います。このように一部のみ復元集計を行うことにつきましては、現在の視点から見ると非常に疑問に感じられる向きもあるかと思います。ただ、この調査は大体5月下旬から始めて、7月中旬には目安小委員会で結果を報告しなければいけない。非常にタイトなスケジュールでやっていただいております。これは目安審議に使うということでやむを得ないことであるわけなのですけれども、そういう調査の特性で、この調査を始めた当時は手で集計したりしていたわけですので、現在のように簡単に復元作業の操作ができるような技術的環境が整っていなかったのではないかと思います。そのようなことで、最賃審議において最も重視されてまいりました第4表については復元集計を行って、第1表から3表については単純にそのまま実数を集計したというやり方をとったことは、当時の集計作業の資源配分の考え方といたしましては、ある程度理解し得るものであったのではないかと私も思います。その後も状況が大分変わってきてからも、第1表から3表について、そういう集計の仕方を続けてきたわけでありますが、これについてはこの調査を目安審議に使うということで、統計の継続性を重視するという観点が非常に重視されてきたものでありますので、そういう事情があったといたしますと、これまでのそういうやり方が間違いであったとは、我々の立場としては言えないのではないかとも思います。ただ、既に先ほど申しましたように復元を行うための技術的環境は大幅に改善されておりますし、統計調査の結果精度への関心も高まり、また、一般統計でありまして、当審議会以外の方が利用することもあろうかと思いますので、今後は各集計表について復元を行って、データ集計結果を公表するというのが事務局からの御説明であったと理解いたします。また、事務局からの御説明によりますと、第1表から3表につきまして、平成30年調査における復元後の数値と復元以前の数値との比較対照をやった作業から、少なくとも産業計・ランク計の大きな集計値において大きな変動は生じていないという御報告もあったところでございます。当審議会としては、最賃の審議、その中でも目安を提示していくということが重要な課題であるわけでございますけれども、最賃審議において第4表が非常に重要であるということで、この労働者の賃金上昇率に係る表については、過去から一貫して復元集計がされておったということ。
 2点目として、これは審議会のメンバーの方は御承知のところでございますけれども、最低賃金額の目安額及び実際の引き上げ額は、特定の調査結果の指標によって自動的に決定されるというものではありませんで、さまざまなデータ、春闘の賃上げ結果ですとか名目GDPの成長率、消費者物価指数や有効求人倍率など、実にさまざまなデータや要素を総合的に勘案した上で、公労使で種々その時々の事情を勘案しながら審議し、決定してきておるものだということでございます。このようなことを勘案いたしますと、本日御説明がありました賃金改定状況調査の第1表から3表における復元前後の数値の差異が、これまでの最低賃金の目安額ですとか実際の賃金引き上げ額の議論に何らかの影響を与えるようなレベルのものではないと考える次第でございます。しかしながら、近年、統計調査の結果精度には世の中の関心も高まっておりますし、統計に基づく政策立案を進める動きもございます。また、当審議会以外のユーザーの方のニーズもあろうかと思います。そういうことですので、統計の継続性は重要でありますので、それに留意しつつも、統計調査の結果精度をより高める方向での対応も重要になってきているのではないかと考える次第でございます。事務局には、この調査は基準局賃金課のほうで実施していただいているわけなのですけれども、そのような観点に今後十分配意していただいて、進めていっていただければと思います。
 私の所感も含めて、やや事務局の説明に敷衍して発言させていただきました。そこで、皆さんからの御意見等がございますれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。では、お願いします。

○冨田委員
 事務局からの御説明に加えて、今、仁田会長から会長としてのお受けとめの御発言もいただきまして、ありがとうございました。
 まず、3月の労働条件分科会最低賃金部会でも申し上げさせていただきましたが、調査計画に合わせた形での調査が、長年にわたりこの賃金改定状況調査でも実施がされていなかったということに関しましては、大変遺憾であると申し上げさせていただきたいと思います。繰り返しになりますが、本調査に限らず、調査全体の信頼回復に資する速やかな体制の整備をこの場でも重ねてお願い申し上げたいと思います。それから、復元の観点につきまして、先ほど仁田会長からお考えが示されたわけですが、会長の御意向は重く受けとめたいと思います。以上です。

○仁田会長
 使用者はいかがでしょう。

○佐久間委員
 ありがとうございます。私も、今の冨田委員の御発言のとおり、同意見でございます。やはり今、19の指標に沿って、事務局から提出いただきました信頼のあるデータをもとに、公労使がそれぞれの観点から同じ表をもとに議論をしていく、また、審議をしていくという観点になっていますので、正確なデータの提供をお願いしたいと思っています。
 19の指標ですけれども、先ほど仁田会長も言われましたとおり、これで数字がすぐ決まるわけではない。その中で審議を通していくわけですから、一つの材料として検討していく有効なデータだと思います。よろしくお願いしたいと思います。例えば、最後の付票の数字のところで労働者の構成比率等々を見まして、これは一例ですけれども、男女別の労働者数の比率、これは男女しかなくても、復元あり、復元なしによって男女が逆転してしまうとか、55.9が復元なしの場合、男性の比率、30年度ですけれども、女性が44.1とか、再集計値、復元では48.4が男性と、こういう2者のものでも復元なしと復元あり、これのもとをそれなりに検討しなければいけない。数字を見ていかなければいけないという、やはり継続性の問題とか、一気に数字を変えてしまったときの怖さもありますので、公労使、そして、事務局がお互いに留意をしながら、検討の材料として、これからも提示をしていただきたいと思います。以上でございます。

○仁田会長
 事務局のほうから何か追加的に説明することはありますか。よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。公益委員の皆さん。では、会長代理として一言。

○藤村委員
 公益委員の一人として、会長代理という立場もございますので、一言意見を申し上げたいと思います。
 私も先ほど仁田会長がおっしゃったような意見と同意見に思っております。第4表を中心にしてずっと議論がなされてきて、それは復元がなされていたと。そうはいっても4表だけで全て決まるわけではない。1表から3表を参考にしながら、その時々の事情を勘案して最終的に目安を出して、これを公労使で決めてきたという事情がございます。ですから、復元を実施していなかったことによって、これまでの議論が大きくゆがむという状況にはなかったと思います。もちろん精度の高い調査結果を出すことが必要で、そこは今後ぜひやっていただきたいと思うのですが、過去の審議において、今回の復元されていなかったことが直ちに非常に大きな問題を発生させていたということには当たらないと思いますので、仁田会長がおまとめになったようなことで私もいいと思います。以上です。

○仁田会長
 ほかの委員の方、復元の問題はよろしゅうございますか。
 それでは、一通り御意見をお出しいただきました。私が第1の論点といたしました賃金改定状況調査の第1表から3表について、復元を実施していなかったということの取り扱いといたしましては、繰り返しとなりますけれども、第4表の重要性を踏まえて一貫して復元集計をした、その結果を使用していたということ。また、最低賃金の目安額、あるいは実際の引き上げ額につきましては、特定の数値、指標によって決まるようなものではなくて、様々なデータを考慮しつつ、公労使で審議して決める、そういうプロセスを経たものであるということを確認いたしまして、その1表から3表について復元を実施していなかったということが過去の最低賃金審議において、最低賃金の実際の引き上げ額、目安額について議論に影響を与えることはないということで整理をしておきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは、後回しといたしました調査対象事業所数の見直し等の今年度の調査について意見交換をいたしたいと思います。説明は先ほど課長のほうからしていただきましたので、御意見等があればお出しいただきたいと思います。どうぞ。

○正木委員
 賃金改定状況調査の調査方法、集計方法の変更自体はやむを得ないものだと考えております。しかしながら、景気が曲がり角にあると言われている今般の情勢の中で、本年度の方法による調査結果と、昨年度までの調査結果とを比較対照するときに、どこまでが調査集計方法の変更の影響なのか、あるいは景気動向の影響なのか、その判断が非常に難しいと考えられます。先ほどの御説明ですと、本年度の方法も暫定的なもので、来年度以降の調査についてさらに検討するということであれば、来年度にまた統計上の違いが生じるということになります。仁田会長の最初のお話にもございましたとおり、調査については正確性とともに継続性も非常に大切です。調査の継続性を担保するためにどのような工夫ができるのか。これは厚労省さんだけではなかなか難しいということでございますので、総務省さんとしっかり協議をしていただいて、我々が判断しやすいようなデータになるようにお願いいたします。

○仁田会長
 とりあえず御意見をお出しいただいて、どうぞ。

○冨田委員
 ありがとうございます。意見を1点と要望を2点申し上げさせていただきます。
 まず、今年度の調査の実施方法の変更についてでございます。冒頭御説明いただきましたとおり、本調査は目安に関する全員協議会の議論を経て実施を確認したものでありますので、本来、調査のあり方を見直すのであれば、しっかりと公労使三者の場で議論を深めた上で結論を出すべきだと思ってございます。しかしながら、本調査が目安審議の参考資料の一つであり、本年の目安審議の円滑な運営をしていくという観点から見れば、今年度に限って緊急的な対応を行う必要性については、労働側としても一定の理解を示したいと思います。なお、今、正木委員からもご発言がありましたが、少なからず調査の継続性という観点がどのようになるのかという点に、我々労側としても非常に関心を持っておりまして、今回変更された調査の結果と従来の調査の結果の変化点などについては、目安審議の場で何かしらのきちんとした説明がなされることを要望したいと思います。
 それから、来年度以降の調査についてでありますが、先ほど、来年度以降の調査については総務省からの指摘事項や今年度の調査の実施状況を踏まえて引き続き検討していくとの御説明をいただきましたけれども、その検討に当たって要望を申し上げておきたいと思います。労側は、この賃金改定状況調査につきましては従前から課題認識を持っていますので、この調査の内容について検討の場が設けられるということであるならば、総務省からの指摘事項の検討にとどまらない場にしていただきたいということを要望として申し上げさせていただきたいと思います。以上でございます。

○仁田会長
 ほかにはいかがでございましょう。どうぞ。

○鹿住委員
 先ほどから議論に上っております、継続性も重要なのですが、統計の正確性について皆様方、非常に御関心が高いかと思われます。もちろんこの調査の実施につきましては、公労使の合意に基づいて決められているということを伺っておりますが、申しわけございません。私自身、いつこれが決められたのかというのは存じ上げないので、例えば業種別の抽出割合、比率というのも、昨今、事業所数がかなり減ってきております。業種によっては以前よりもかなり数が減っている事業所もございますので、やはりいつかの時点である程度、実態に合わせて見直しをする必要があるのかなと思います。幾ら復元いたしましても、先ほどのデータが大きく違っていたところに示されますように、サンプル数がかなり少ないと、復元しても誤差が非常に大きくなってくる可能性がございますので、やはりその辺は少し見直しをして、正確性を期するという方向性も大事なのかなと。それもおっしゃるように、もちろん協議の上で決めていくべきことではあるかと思いますけれども、そういった観点も必要かなと思います。以上です。

○仁田会長
 どうもありがとうございました。何か事務局のほうから追加で説明することはございますか。

○五百旗頭賃金課長
 いろいろな御意見ありがとうございます。重ねて御説明をするものではございませんけれども、ただいまさまざまいただきました御意見、非常に重く受けとめて、今後の検討を進めていきたいと思っております。特に調査の正確性、継続性という観点から、次の目安審議での御審議をいただく際に十分参考となるような御説明をすることや、技術的な見直しをやる際に、より正確な統計調査となるような見直しをしっかりやっていくようにといった点など、種々しっかり受けとめてまいりたいと思います。今後の検討のやり方などにつきましては、公労使の委員の皆様の御意見を伺いながら、また御相談をしながら考えてまいりたいと思っております。以上でございます。

○仁田会長
 それでは、種々御意見をいただきましたけれども、今年度の賃金改定状況調査は間もなく始めなければいけないわけなのですが、それの実施の方法について、従来とやや変更点があるということでございますが、その結果が、目安審議の観点からいいますと、継続性ということが非常に重要になってまいりますので、その辺のことについては今年度調査の結果の提示の仕方等において十分、御配慮をいただく必要があろうかと思います。
 また、来年度の調査に向けて、なお引き続き検討すべきことがあるということでございますので、それについては適切な手続を踏まえて慎重に進めていただければよろしいかなと思います。7月には今年の目安審議を行うということを想定して、この賃金改定状況調査を短期間で速やかに、かつ確実に実施していただくということが第一に必要になるわけでございますけれども、種々検討すべき点があるということでございますので、それについてはしっかりと検討していただいて、その結果についてはまた改めて御報告をいただくということにしていただきたいと思います。
 本日予定しておりました議題は以上2点でございます。他に何かございますでしょうか。どうぞ。

○冨田委員
 ありがとうございます。事務局に1点要望させていただきたいと思います。
 今ほど、今年の調査の実施については会長のほうからまとめていただいたわけなのですが、この調査自体は中央最低賃金審議会だけではなくて、地方最低賃金審議会の参考資料の一つともなっていると理解をしていますので、今回の経過やこの調査に至るさまざまなことにつきましては、地方審議会においても丁寧な説明をいただきますようにお願いをしたいと思います。私どもも、各地の労側委員とはしっかりと連携をとってまいりたいと思いますが、各地方審議会の場においても丁寧な説明がなされるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

○仁田会長
 その点は、私からもぜひよろしくお願いしたいと思います。労使はそれぞれちゃんとチャンネルがあって情報が伝わるのですが、公益にはそれがございませんので、ぜひ事務局のほうからきちんと会長さんや皆さんにお伝えいただいて、不安が生じないように適切な措置をお願いしたいと思います。それでは、よろしければ、以上をもちまして。どうぞ。

○五百旗頭賃金課長
 御意見ありがとうございました。ただいまいただきました御意向を踏まえまして、しっかり地方の審議会の関係者の皆様に丁寧な御説明をやってまいりたいと思っております。

○仁田会長
 それでは、以上をもちまして、第52回「中央最低賃金審議会」を終了いたします。本日の議事録の署名でございますけれども、永井委員と増田委員にお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。