第73回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 
第73回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

1.日時:平成30年12月7日(金) 14:00~15:11
 
2.場所:AP虎ノ門貸会議室C+Dルーム(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 岩村 正彦
○慶應義塾大学名誉教授 大前 和幸
○京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
○大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉

(労働者代表委員)
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 坪田 英明
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○全日本海員組合中央執行委員政策局長 立川 博行
○UAゼンセン(日本介護クラフトユニオン特任中央執行委員) 浜田 紀子
○日本労働組合総連合会総合労働局長 村上 陽子
 
(使用者代表委員)
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 明石 祐二
○東京海上日動メディカルサービス株式会社企画部担当部長 砂原 和仁
○新日鐵住金株式会社人事労政部部長 山内 幸治
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○セコム株式会社人事部特命担当次長 二宮 美保
  
  
4.議題
(1)平成31年度予算概算要求等について
(2)分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議結果について
(3)労働政策基本部会報告書について
(4)その他
 
5.議 事
○荒木部会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第73回労災保険部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の酒向委員、使用者代表の秋田委員が御欠席であります。なお、使用者代表の砂原委員、労働者代表の坪田委員、村上委員は遅れて到着されるという連絡を受けております。そうしますと、出席者が16名となる予定で、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席ということになりますので、定足数を満たしていることを報告いたします。本日の労災保険部会ですが、タブレットによるペーパーレス開催となります。事務局から何か説明があればお願いします。
○労災管理課長 今回はタブレットを使い、ペーパーレスの開催としております。タブレットですが、11月の労災保険部会で使用したものと同じものです。使用方法につきましては、色刷りの操作説明書を置いておりますけれども、これを御覧いただければと思います。また、御不明な点等ございましたら、近くに職員がおりますので、お気軽にお申し付けいただければと思っています。以上です。
○荒木部会長 カメラ撮りは、ここまでということでお願いします。
それでは、本日の議題に入ります。第1の議題は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件となります。事務局から説明をお願いいたします。
○労働保険徴収課長 それでは、説明を申し上げます。タブレットの資料1に省令案の要綱を記載しておりまして、2ページ目、これに従って説明します。まず、今般の改正の背景です。これは記載していませんが、現在、政府全体で事業者の方の生産性向上の後押しをするということで、行政コストの削減をする取組を進めています。その中で、電子申請につきましても利用の促進を図るということで、今現在も継続しています。いわゆる事務処理の効率化という点で、電子申請につきまして、より一層の利用促進を図るということで、今回の改正を行うものです。
具体的にどのようなことをやるかですが、要綱を見ますと第1です。対象となりますのは第1の1、右から3行目ですけれども、対象となる事業者の方は、資本金の額が1億円を超える法人等の各事業者です。この方々につきましては、労働保険料の申告の関係、特に主な手続となっておりますけれども、概算保険料、増加概算保険料、確定保険料の申告につきまして電子申請によって行うという中身です。
それで第2で、現在もそうですけれども、申告のときには石綿による健康被害救済法に基づく一般拠出金、これも同時に申告していますので、併せて各申告時にこれもしていただくことを記載しています。
加えてこの省令ですが、平成32年4月1日から施行することにしています。なお、この措置につきましては厚生年金、健康保険、雇用保険等の、いわゆる社会保険につきましても主な手続について、また、税の一部につきましても同様の措置を講ずることなると聞いております。簡単ではございますけれども、概要について説明申し上げました。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
資料1につきましては、特段御意見等はないということでよろしいでしょうか。それでは、特段御意見がないということですので、諮問のあった件につきましては、当部会としては妥当と認め、労働条件分科会会長宛てに報告するということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、事務局に報告(案)を用意してもらっておりますので、これを配布していただき、その後読み上げをお願いします。
(報告案文配布)
○労災管理課長 それでは、案を読み上げます。「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について。平成30年12月7日付け厚生労働省発基1207第4号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。以上です。
なお、この報告書(案)ですが、労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。労働条件分科会の運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっております。もし、御承認いただけるということでしたら、この報告は実質的には労働政策審議会会長への報告ということになります。したがいまして、労働政策審議会から厚生労働大臣宛の答申となることを申し添えておきます。以上です。
○荒木部会長 ただいま配布して読み上げられた内容で、労働政策審議会会長宛てに報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛てに答申を行うということにしたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○荒木部会長 ありがとうございました。では、そのように取り計らうことといたします。
それでは第2の議題、労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件も、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件となります。事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 それでは、資料2、参考2-1につきまして説明します。まず、内容について説明します。参考2-1です。労働基準法施行規則の一部を改正する省令(案)の概要です。今回の省令改正ですが、一言で申し上げますと、業務上疾病に係る例示列挙を追加するというものです。改正の趣旨ですが、労働基準法第75条第1項におきまして、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合には、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならないという災害補償責任の規定がございます。そして、同条第2項におきまして、業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定めることとされております。具体的には、労働基準法施行規則第35条に書いてありますが、別表第1の2に掲げる疾病ということで範囲が決められております。別表第1の2において疾病の範囲が決まっているということで、例示列挙もなされているということです。
今般、業務上の疾病の範囲につきまして、新たな医学的知見の公表等の状況、あるいは労働災害の発生状況等を踏まえまして、平成30年10月から「労働基準法施行規則第35条専門検討会」で検討を行いました。その結果、平成30年11月22日に検討会の報告書が取りまとめられたことから、この報告を踏まえ、労基則別表第1の2につきまして改正を行うといったものです。
Ⅱ改正の内容は、別表第1の2の疾病に「オルト-トルイジンにさらされる業務による膀胱がん」を追加するということです。
公布日は、平成31年3月下旬予定、施行日は公布日となっております。
資料2、労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)です。2ページ目、業務上の疾病の追加ということで、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる業務上の疾病に、オルト-トルイジンにさらされる業務による膀胱がんを追加するものとすること、ということで加えたいと思っています。残りの資料につきまして、補償課長から説明申し上げます。
○補償課長 それでは、労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書について説明します。資料としては、参考2-2、参考2-3ですけれども、参考2-2で概要を説明します。まず、検討会の開催経緯・目的ですが、「労働基準法施行規則第35条専門検討会」は、厚生労働省の大臣官房審議官が参集した医学の専門的知識を有する者によって構成された検討会で、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる業務上疾病の範囲について、昭和53年以降開催し検討を行っているものです。今回の開催に当たりましては、前回の専門検討会が開催された平成25年度以降の新たな医学的知見を踏まえ、別表第1の2に新たに追加すべき疾病があるか否かの検討を行い、11月に報告書が取りまとめられました。
今回の専門検討会で検討しました疾病ですが、3つあります。1つ目は、労災請求のあった個別事案の業務上外を検討した医学専門家等による検討会において、業務と疾病との因果関係についての考え方が示された疾病。2つ目ですが、労働基準法施行規則別表第1の2の各号に規定する包括救済規定に該当した疾病。3つ目として、行政当局において情報収集を行った化学物質による疾病の3つの疾病です。
まずは3つのうちの1つ目の労災請求のあった個別事案の業務上外を検討した医学専門家等による検討会において、業務と疾病との因果関係についての考え方が示された疾病について説明します。平成28年1月に染料・顔料の中間体を製造する化学工場で働いていた複数の労働者が、業務により取り扱ったオルト-トルイジンにばく露したことにより、膀胱がんを発症したとして労災請求がなされました。これを契機として、同年6月に、医学専門家をはじめ、化学、労働衛生工学の専門家に御参集を頂き、業務と膀胱がん発症との因果関係について検討を頂きました。
この個別事案の検討会の報告書は、平成28年12月に取りまとめられ、オルト-トルイジンへのばく露が有力な原因となって膀胱がんを発症した可能性が高いとの結論が得られ、労災請求はいずれも業務上であるということで、保険給付の支給決定を行ったところです。平成29年度末時点で11件の労災認定が行われております。
検討結果の右側ですが、専門検討会における結論を記載しております。「オルト-トルイジンによる膀胱がん」を別表第1の2に追加することが適当であるという結論をいただいております。
2つ目ですが、包括救済規定に該当した疾病ということで、前回検討いただいた以降、平成24年度から平成28年度において、別表第1の2の各号に規定する包括救済規定に該当するとして認められた疾病ということになります。
これらの疾病の検討結果ですが、現時点において別表に追加する必要のある疾病はないものの、理美容師のシャンプー液等の使用による接触性皮膚炎に関しては、認定事例も多いことから、新たに化学物質による疾病に関する分科会を設置して検討を行うことが妥当という結論です。
最後に3つ目ですが、行政当局において情報収集を行った化学物質による疾病についてです。行政当局としては、大臣告示に規定されている168の化学物質について、新たな症状又は障害に関する情報収集を行い、今回の専門検討会に報告したところです。
検討結果ですが、行政当局で収集を行った疾病に加え、大臣告示に規定されていない化学物質による疾病についても、同様に、化学物質による疾病に関する分科会において、検討を行うことが妥当との結論を頂きました。
以上の結論を受けまして、「オルト-トルイジンによる膀胱がん」を、別表第1の2に追加するため、今回、労災保険部会に諮問させていただいたものです。なお、残り2つの疾病につきましては、専門検討会での結論に基づき、化学物質による疾病に関する分科会を設置するための準備を進めることとしております。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして御質問、御意見等があれば、お願いいたします。
特段ございませんでしょうか。それでは、本件につきましては、本日の議論としては以上としまして、事務局においては、次回、労働基準法第113条に基づく公聴会での意見を報告いただきたいと思います。その上で、当該諮問案件について再度御議論いただき、当部会としての報告をまとめたいと考えます。よろしいでしょうか。
それでは、第3の議題に移ります。第3の議題は、社会復帰促進等事業に係る平成29年度成果目標の実績評価についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、社会復帰促進等事業に係る平成29年度成果目標の実績評価について御説明いたします。資料は結構ありますが、資料3に連なるものをピックアップしながら御説明したいと思います。社会復帰促進等事業については、従前よりPDCAサイクルで目標管理をしております。平成30年7月17日の労災保険部会において、平成29年度の成果目標の達成状況、平成30年度の成果目標について御議論いただきました。C評価の事業、これはアウトカム目標を達成していない事業なのですが、原則的に事業の内容の見直しや廃止を行うというものです。
あるいはB評価の事業です。これは、アウトカム目標は達成しているのですが、アウトプット目標が未達成で、予算減額等の見直しが必要といったものです。このC評価やB評価の事業について、その原因や見直しの方向性などを御議論いただきました。今回は、その方向性が概算要求へ反映できているかどうか、あるいは前回の御議論で具体的にはお示ししませんでしたが、平成31年度に拡充を考え、概算要求している内容について御説明していきたいと思っております。併せて、社会復帰促進等事業も含めた労災保険財政の概況についても御説明、御報告したいと思っております。
部会に先立ち、社会復帰促進等事業に関する検討会が開催されましたが、その際の資料を使って御説明したいと思います。参考3の資料1となっておりますが、平成30年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会 主な論点をご覧ください。今回の御報告事項の1点目として、平成29年度の成果目標について、前回の積み残しが14事業ありました。これは独立行政法人関係の事業が多かったわけですが、結果的にはC評価はなし、B評価は1、残りの13についてはAだったということです。B評価だった1事業は、独立行政法人労働者健康安全機構運営費の中の労災病院の運営でした。具体的には、ホームページへのアクセス件数が、目標に達成しなかったということで、コンテンツの内容や利用者目線に立ったホームページの掲載方法の改善を行っていきたいということで、見直しをしようと考えているところです。
議題(2)は、B評価・C評価の事業についてです。まず、C評価の事業は4つあります。この4つの事業については、前回7月にお示しした内容と同様の見直しをしているということですので、今回、詳しい説明は省略いたします。B評価の事業は、予算等の減額を行うことになっております。ただし、この中で4つの事業については増額をしております。このうち、一番上に書いてあります29-26-1という事業は、東電福島第一原発緊急作業従事者の被ばく管理対策等です。これについては委託事業が未完だったということで、この積み残し分を平成31年度に実施するので、予算が若干増加しているということです。
また、職場における受動喫煙対策事業については、健康増進法の改正が成立したことをもって、今後の需要が見込まれるということで若干の増額要求となっております。その下のメンタルヘルスの事業、働き方・休み方の見直しの各種事業については、後ほど、拡充事業の中で御説明したいと思います。B評価で原則どおり、予算の減額等を行っているものは5事業です。これも原則どおりということで、詳しい説明は省略いたします。
それでは、拡充事業について御説明いたします。参考3の資料4です。社会復帰促進等事業における主な拡充(平成31年度予算要求)という資料です。1ページ目にメニューが8つ並んでおり、それぞれ現在、社会復帰促進等事業において柱立てになっている事業の名称です。今回、大きな柱立てをして新規要求はしておらず、これまでの柱立ての中で拡充要求をしています。
それでは、1ページ目から御説明いたします。各事業について、主に平成31年度より新たに実施したい内容を御説明したいと思います。1番目の事業は、産業保健活動の支援の強化です。この事業は、(独)労働者健康安全機構において、メンタルヘルスや治療と職業生活の両立支援、ストレスチェックなどについて、研修の実施や小規模事業場に対する訪問指導や窓口相談等の実施、労働者に対する相談などを実施している事業です。
平成31年度より新たに実施したい内容は2つあります。①産業保健育成事業。産業保健総合支援センターにおける産業医の資質向上研修などをはじめとして、産業保健スタッフや事業者に対する産業保健活動に関する新たな研修等を実施する。②小規模事業場等における産業保健活動への支援事業。産業保健総合支援センターや地域窓口において、事業場からの相談及び事業場への訪問回数を増やす等により、支援を強化していきたいということです。これが拡充内容です。1つ目の事業については以上です。
2つ目の拡充事業は3ページ目で、職場におけるメンタルヘルス対策の促進です。これはメンタルヘルスのポータルサイトの運営やシンポジウムの開催をやっております。平成31年度より新たに実施したい内容は、まず、いわゆる電話相談やメール相談に加え、SNS等を活用した相談体制も整備していくことを考えております。加えて、前回の7月に御説明しなかった内容だと思いますが拡充策です。1つ目として、特定業種におけるメンタルヘルス対策強化の検討です。これは業種、例えばIT産業や飲食業など、こういった業種に特有の背景、要因を分析した上で、効果的なメンタルヘルス対策の取組手法を検討することを考えております。
2つ目として、企業における健康増進の取組によるメンタルヘルス対策等を実施していくということです。これは「第13次労働災害防止計画」において、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」の見直しが言及されております。この指針の見直しを実施していくとともに、運動実践の取組等を積極的に実施している先進企業をモデル企業として、好事例を収集し、事例集を作成することを新たにやっていきたいと思っております。以上が2つ目の事業です。
少しページを飛んで5ページ、3つ目はハラスメント対策の総合的な対応です。平成31年度より新たに実施したい内容ですが、今までパワーハラスメント対策は労災勘定で、セクハラやマタハラについては雇用勘定でということで、勘定が分かれていたのですが、これを統合して両勘定で、基本的に折半でやっていこうというのが1つ目の、今回の見直しです。勘定区分を変えるとともに、新しく「ハラスメント撲滅月間」を設定し、集中的に周知広報していく。あるいは、ハラスメントに特化してフリーダイヤルやメールより相談窓口を設置することを考えているところです。あくまでも総合的にハラスメント対策を実施するということです。以上が3つ目です。
4つ目の拡充策は、7ページ目で、伐木等作業安全対策推進事業です。平成31年度より新たに実施したい内容は、林業において労働災害の6割以上が伐木等作業中の労働災害ということで、これらを防止するために、①安全担当者を養成するためのカリキュラムや教材を開発する。②安全担当者講師養成のための研修を全国の7か所程度でやっていく。このようなことを新たに実施していきたいと思っております。
次の拡充事業は、9ページ目で、機械等の災害防止対策費の中で拡充していくというものです。平成31年度より新たに実施したい内容の所にありますが、Ⅰは平成31年3月1日から移動式クレーンの構造規格が変わり、また、平成31年2月1日からは安全帯の構造規格が変わるということです。これらの安全規格が変わるわけですが、早期に既存の機械等を買い換えていただきたいということで、その費用の一部を補助するといった間接保助金を創設しようと考えております。Ⅱは今後AIなどを使って自律的に作業を行う機械がどんどん入って来ることになりますので、人と機械の安全な協働の方策を検討していきたいと考えております。これらが拡充策です。
次の拡充策は、12ページで、荷役作業における陸上荷物運送事業の労働災害防止対策費です。平成31年より実施したい内容は、「荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく荷主等の取組を促進するために、安全衛生指導等を実施することが1つ目です。2つ目の拡充策として、荷主、行政機関、陸運事業者による協議会を開催し、関係者によって課題の抽出や解決を図っていく、荷役ガイドラインの定着を図っていくことを考えているところです。
次の拡充策は、14ページで、大規模店舗・多店舗企業等に対する安全管理の支援です。これについて、平成31年度より新たに実施したい内容は、業界の自主的な取組を図るという観点から、安全衛生委員会等をモデル的に構築していきたいと考えているところです。
拡充策の最後の16ページは、中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業等です。これはいろいろな事業が入っている所で、平成31年度より新たに実施したい内容は、①~④まであります。①は「働き方改革」関連法の施行に向けて、しっかり周知・啓発をやっていくという事業です。
②の事業は、19ページの参考資料を御覧ください。働き方改革推進支援センターの事業です。この事業については、今年から行っていますが、どのように拡充するかについては20ページを御覧ください。現在、47都道府県に設置している専門家の配置などを行い、電話や来所による窓口支援、あるいは派遣型専門家による企業訪問などを実施しているということです。従来からの取組ももちろん実施するわけですが、商工団体や市区町村と連携して、派遣型専門家の派遣を調整していくことを新規に実施していきたいと思っております。
また、下の派遣型専門家の派遣ですが、これは本省で一括契約をして、業務内容としては20ページ右下に書いてありますように、センターの求めに応じて、都道府県域を超えて、企業に訪問して、コンサルティングを実施する。あるいは、商工団体や市区町村へ派遣していき、アウトリーチ型の取組をしっかり行っていきたいということです。このようなことを考えておりますので、かなりの増額要求となっております。
このままページを進めていただき、21ページは、拡充事業のもう1つの柱の③ですが、時間外労働等改善助成金の拡充です。これについても予算額の増額を行っておりますが、この拡充内容は、いろいろなコースに分かれております。一番下の団体推進コースについて、予算額の増額要求をしております。それから、内容的には、勤務間インターバル導入コースの上限額を2倍に引き上げる。あるいは職場意識改善コースというコースですが、この支給要件について、追加することを考えているところです。
それから、拡充事業の働き方改革関連の最後の④は、年次有給休暇の取得促進等に向けた働き方・休み方の見直しの推進で、22ページです。新しい所に下線を引いておりますが、ボランティア休暇について、企業の好事例など事例集を作成する。あるいは、そのようなボランティア休暇等、労働者の地域活動を行いやすい環境整備に努めている企業を表彰するなども実施していきたいと考えているところです。拡充事業については以上です。
次に、社会復帰促進等事業を含めた保険財政について概況を申し上げたいと思います。まず、参考3、資料5の社会復帰促進等事業費の推移の所です。平成17年度~平成31年度要求までの社会復帰促進等事業の予算額の推移が掲載されております。全体的に見ますと減少傾向ですが、最近は働き方改革関連予算などが増えているということで、若干増という状況になっております。色分けしておりますが、いわゆる未払賃金の立替払事業、これは景気の動向によって非常に上下するわけですが、これが灰色の所の額です。白い所が未払賃金立替払事業分を除いた社会復帰促進等事業の予算です。
次に、その未払賃金立替払事業の状況です。これも先ほど申し上げましたように、やはり景気の動向に非常に左右されるということですが、最近の傾向としては、減少傾向にあるということです。リーマンショック近辺であれば、200億円か300億円ということですが、現在は、立替払額は100億円を切っている状況になっております。
次は労災保険経済の概況です。平成27年から平成29年までは決算額と、今年度は予算額と、来年度は要求額となっております。保険財政については、平成30年度、平成31年度の収入が減っておりますが、これは保険料率が下がったからということです。支出の所は平成27年度から平成29年度まで、特に保険給付費は、それほど顕著な変化はないということです。一番下の積立金は、平成29年度の決算では7兆9千億円余で、責任準備金が大体7兆6千億円程度ですので、現在、3千億円ぐらいの余裕がある状況です。
社会復帰促進等事業の検討会で、どのような御意見があったかについては資料3になります。平成30年11月27日に行われました社会復帰促進等事業に関する検討会での主な御意見を掲載しております。目標設定や評価の在り方、あるいは個別事業、これは拡充事業がほとんどでしたが、拡充事業についての御意見と労災保険経済概況についての御意見を頂いております。御参考にしていただければと思います。長くなりましたが説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見があればお願いします。
○立川委員 参考3の資料4、その4番目の伐木等の作業安全対策推進事業について、お伺いします。これまでの事業に加えて、平成31年度より林業における労災防止に向けた実施内容として、安全担当者を作って、その方々へのカリキュラム・教材の作成や、安全担当者講師育成のための研修の実施が新たに加えられています。なぜ加えられたかということは書かれていますが、基本的な安全作業が行われていないということが原因であるということで評価されていると思います。労働者の安全を高めていくという上では、非常に重要な案件であると理解しています。
それで、私は個人的には林業関係のことはよく分かりませんので、その関係で少しお伺いしておきたいと思います。まず、事業場が3,913事業場で、10名以上の事業場が1,217事業場ということですが、全体としての伐木作業に従事する方々はどのくらいおられるのか、というのが第1点目です。
それから、基本的な安全作業が行われずに、死傷者数の千人率が非常に高いとのことで、例示として、全産業では2.2で、林業関係では31.2という数字がこの中で資料として出てきています。そうしますと、事業場の大きさによって発生率と言いますか、死傷率は違うものなのか、近似したものなのか、ということが1つ。例えば9名以上の事業場はどのくらい、10名以下はどのくらい、ということです。
あと、安全担当者の養成のための研修ということですが、研修修了者、カリキュラムが終わった方々が、例えば講師になるなど、どういったプロセスで実際の事業場への研修をおこなっていくのか。例えば担当者の教材を作る人がいて、その担当者と講師の違いは、どのような形で現れてくるのか。全体として7か所を50人規模でやって350人の講習を開くということですが、これは参加された方々がみんな講師になるということか。それとも、その中で何らかの試験があって、選任されていくのか。その辺について、少し教えていただけませんか。
○荒木部会長 それでは、事務局からお願いします。
○事務局 安全衛生部安全課建設安全対策室よりお答えします。まず1点目、伐木作業に従事する人数ですが、おおよそ5万人程度と把握しています。2点目、事業場の規模によって、災害発生率の違いがあるのではないかという部分ですが、全体では御指摘のとおり死傷年千人率、平成28年は31.2という数字ですが、同年におきまして、事業場規模9人以下、事業場規模10人以上の災害発生率の統計を見てみますと、事業場規模9人以下では77.6、事業場規模10人以上では28.2という値が出ています。このように、ほかの業種でも同様ですが、事業場規模が小さい所におきまして、労働災害発生率が高いという傾向にあります。
3点目ですが、本事業を通じまして、どういうプロセスで実際の事業場への安全対策活動の向上に、反映させていくかというプロセスの部分ですが、本事業におきましては、原則、各事業場の安全担当者、いわゆる安全教育の担当される方を対象に、事業場での講師として養成を図ることとしています。
また、資料としましては、基本的にはその方が現場の事業場の安全研修、安全教育で使えるようなものを準備しまして、実際の現場での活用を踏まえた講習を行うことにしています。また、そういった講義を受けられた方におかれましては、事業場にお戻りいただきまして、事業場の中で安全対策の周知、御説明、それによって伐木作業における安全対策の、現場での活用の促進を図っていきたいと考えています。以上です。
○荒木部会長 立川委員、よろしいでしょうか。
○立川委員 関連して。今のお話で、非常に大きな差があるというのはよく分かりました。9人以下の事業場では77.6、10人以上では28.2ということで、非常に大きな差があり、この差を解消していかなければいけないというのは、よく分かります。では、9人以下の事業場がなぜこんなに高いのかというのは、1つ問題になるかと思います。今のお話にありました安全担当者が、9人の所でも各事業場にいるという前提でよろしいのですか。
○事務局 法令上の安全管理体制の義務付けにつきましては、事業場規模が10人以上である場合ですが、一方で安全管理というのは、小さな事業場であっても必要ですので、基本的にはそういった担当者の方はいると理解しています。
○立川委員 そうしますと、この研修であるとかカリキュラム、講習会、これはどの辺の事業場がターゲットになるのでしょうか。事業場規模が9人以下の所では、なかなか参加が難しいのではないかという気がするのですが、そういう意味での配慮は何かなされるのでしょうか。
○事務局 まず、御指摘のとおり事業場規模が小さい所が、非常に労働災害発生率が高いということでして、本事業においても非常に重要な対象と認識しています。また、一方で事業場規模10人以上の部分につきましては、安全管理担当としての、例えば安全衛生推進者等の選任が義務付けられているところですので、まず本事業の進め方としましては、こういった10人以上の規模の、法令で義務付けのある部分、こちらの方を対象に研修を行いまして、そういった方にある意味でモデル的に、業界内で御活躍を頂きまして、そういった状況を踏まえまして、本来一番ターゲットとしたい部分、こういった事業場規模が小さい所の方の講習会の参加勧奨を図りまして、あまねく事業場の方に安全対策を周知していきたいと考えています。
○立川委員 おそらく、10名以上の事業場からは出やすいという環境があるかと思います。そういう面では、その方々によく知っていただいて、安全対策を推進していただくというのは非常に重要な件だと思います。
ところが、こういう方々が、9名以下の事業場に行って講習をする、お話をするというのは、事業場が異なれば難しいという環境もあろうかと思います。そういった意味では、9名以下の事業場の方々の安全対策を積極的に進められるような、何か方策を持って対応していただければと思います。そうしませんと、この77.6というのはなかなか減っていかないのではないかと思いますので、その辺りも是非力を入れてやっていただきたいと思います。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○田久委員 同じように参考資料3の資料4、既存の不適合機械等更新支援ということで、これは要望でもあります。1つはここの②、上から2つ目にもありますように、資力の乏しい中小企業等においての支援ということで書かれていると思われますが、実際、そういった意味では事業主でもあり、労働者でもある、そういった一人親方に対する、こういったところの観点は是非入れて、要綱等も含めて検討していただきたいなと思っています。
やはり今、新たに建設工事従事者の安全と健康を守ると、この法案の中でも、一人親方というのはかなり重点に置かれている部分がありますから、そういった点も含めて是非、こういった補助事業の関係での要綱などで、少しそういった観点を持って進めていただきたいなということで、要望です。
○荒木部会長 ありがとうございました。事務局からいかがですか。
○安全課長補佐 要綱についてはこれから検討していくところですが、一人親方を入れるかどうか、今日頂いた意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。
○荒木部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○浜田委員 同じ資料の中の、7番目の事業、大規模店舗・多店舗企業等に対する安全管理の支援という事業について。こちらも要望になるかと思いますが、第三次産業で労災が増えているということは共通の理解で、これまで、昨年までの社会福祉施設等における腰痛予防事業に加えて、今回は小売、流通部門でも事業を展開していくということは、大変評価に値することだと思っています。さらにという意味では、ショッピングモールや商業施設が各地にありますが、こういった場所はほとんどが、少人数のテナントさんがたくさん集まって営業していることが多くなっております。資料に記載があります、自主的安全衛生管理活動の活性化も必要なのですが、総括安全衛生管理者であるとか、例えば建設現場に見られる元方安全衛生管理者のような人を設定できる仕組みについても、是非検討していただきたいと思っています。以上です。
○荒木部会長 今の点について、いかがでしょうか。
○安全課長補佐 来年度、この事業を実施していく上では、今頂いた意見も踏まえて事業の中身等を、考えていきたいと思います。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○坪田委員 9ページのⅡ技術革新に対応した機械等の安全対策の推進、事業番号44機械等の災害防止対策費に関連して、少し要望を申し上げたいと思います。技術革新によりまして、自動倉庫であったり自律作業機械の導入に対応した機械等の安全対策の推進は、今後も必要性がどんどん増してくるのではないかと思われ、人と機械が安全な協働の方策、安全基準、規格等が必要になってくるわけですが、その策定する場合において、自動化することによって災害が増えれば元も子もありませんので、厚生労働省のみならず、ほかの関係省庁と綿密に連携したり、海外の知見等も取り入れたりすることで、災害が減るような形で、積極的に施策を進めてもらいたいと思います。よろしくお願いします。以上です。
○荒木部会長 事務局からいかがですか。
○安全課長補佐 来年度につきましては、この事業でまず実態を調べるということで、やらせていただきたいと思います。まず実態を調べるに当たっては、メーカー団体との連携を十分に図っていきたいと思っています。その上で、各省との連携が必要な場合には、必要に応じて各省庁とも連携を図りながら進めていきたいと考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○村上委員 2点ありまして、1つは意見です。平成30年11月27日開催の社会復帰促進等事業に関する検討会の主な御意見の資料の中で、中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業等に関しまして、使用者側委員の方からボランティア休暇の問題が指摘されています。ボランティア休暇の導入自体を否定するものではありませんが、年次有給休暇の5日間の取得の義務付けの部分について、周知をするということについては私どもとしても同じような意見を持っています。
今、来年4月施行の労働基準法改正について、私どもとしても様々な取組を行っているのですが、この5日の年休の部分について、まだきちんと知られていない所もありますし、この制度に対して少し誤解があるような所もあります。計画年休などで取得させることでも大丈夫だということも知られていないといったこともあるので、その辺りの周知は是非お願いしたいと思っています。
また、ボランティア休暇というのも良いことだと思うのですが、ただ、強制的にということではなく労働者が自発的に取る、という話ですので、これについては余り「ボランティア休暇を取らなくてはいけない」という話にならないようにしていただきたいと思っています。これが1点、意見です。
2点目は、社会復帰促進等事業に関する平成29年度成果目標の実績評価及び平成30年度成果目標の資料の128ページ、事業番号51番の外国人技能実習機構に対する交付金の安全衛生確保等事業について、質問をさせていただきます。こちらは128ページの下のほうの、平成29年度目標達成の理由のところで、「実地検査を行うに当たり、事前に労働基準監督署から提供を受けた情報等を確認し、問題点を把握した上で実施」となっていますが、この点について、事前の情報というのはどのような内容のもので、どの時点で提供されているのか、また、労働災害を含んで、問題が発生してから対応されているのか、その辺りについてまず教えていただきたいと思います。
○荒木部会長 それでは、事務局からよろしくお願いします。
○事務局 労働条件政策課の粟村と申します。まず、村上委員からの1点目、ありがとうございます。年次有給休暇の周知につきましては、先ほども出ていた働き方改革推進支援センター、あるいは労働局、当然のごとくですが、ここはもとより今後、メディア等を使った周知、こういうことを活用しながら全国津々浦々に届くように、また、センターのアウトリーチ型の支援といったようなものも含めまして、しっかりと周知していきたいと考えています。
○事務局 海外人材育成担当参事官室の三姓と申します。外国人技能実習機構に対する交付金の中での、平成29年度の事業について、この実地調査ですが、外国人技能実習法自体が昨年の平成29年11月に法律が施行されまして、それに基づいて外国人技能実習機構の活動が始まったわけですが、当然ながら、その時点でそういった情報などの収集もまだない中で、現実的には事前に労働基準監督署から死傷病報告等の情報を頂きまして、それを基に技能実習生を受け入れている企業に対して、実地検査を行ったということです。
○村上委員 ありがとうございました。それで、129ページには平成30年度の目標に関して、考え方が書かれていますが、今のご説明のように、基本的には労働基準監督署に提出された死傷病報告で、技能実習生に関わるものが全て機構に報告され、それに基づいて、全件検査に行かれ、その実地検査件数500件、そしてこの目標件数は年間に提出される技能実習生に係る死傷病報告件数を参考に、ということであれば、技能実習生の死傷病報告は大体これぐらいだろうということで考えられている、という理解でよろしいのでしょうか。
○事務局 まず、平成30年度の計画につきましては、死傷病報告の中で技能実習生の数がこれぐらいかどうかは、今後またよく分析させていただこうと思いまして、もう少し大きいかもとは思っていますが、その中の内容を吟味させていただいて、従来から繰り返し同じ事案だったり、新たな傾向の所だったり、これから年々やっていけば重なるところなども出てくると思いますので、そういったことで優先順位をつけて、現実的には500件程度を目標でいきたいと考えています。
○村上委員 もう1つ、機構にお伺いするような話かもしれませんが、機構自体は実地検査を行う中で、様々な事案を積み重ねていくと思うのですが、機構自体が「この事業場はかなり指導したほうがいい」といったことを把握する仕組みはあるのでしょうか。基本的には監督署から来る情報だけを基に行くのか、それとも、機構自体がいろいろな情報を収集するような仕組みになっているのか、ということをお伺いしたいと思います。
○事務局 まず、この場は、労災保険部会でありますが、外国人技能実習機構の交付金につきましては、一般会計等の支出もありますので、それら全てを含めて、外国人技能実習機構全体の活動として回答させていただきたいと思います。
まず、外国人技能実習機構におきましては監理団体と、実際に受け入れる実習実施者と呼ばれる受入企業ですね。こういった対象がありますので、基本的に監理団体は1年に1回、実習実施者については3年に1回の頻度で、必ず実地検査を行うことをまず目標としています。当然ながら、その中には重点化するものとか、緊急性のあるものもありますが、一方で技能実習生の保護の観点から母国語相談など、外国人技能実習生から相談を受け付けることも機構で行っています。こういった中で相談があったもの、そのほかに技能実習機構では新しい法律に基づいて、監理団体を許可制にする、技能実習計画を認定制にするといったことで、必ず受け入れるに当たっては、それなりの書類等の審査もさせていただいていますので、そういう審査の中で疑義があったもの、そういったいろいろなものを活用しながら、それにプラスして入国管理局や労働基準監督署の情報も収集しながら、優先順位をつけてやっていきたいと考えています。基本的には3年で実習実施者も全て回らせていただきますし、毎年、監理団体の実地検査も活動させていただこうと思っています。当然ながらその一環で、こういった観点もしっかり見ていきたいと考えています。
○村上委員 この事業と機構で連携して、技能実習生のところで労災、あるいは労災かくしが起こらないように、是非指導いただきたいと思っています。
また、関連してもう1つ。新しい在留資格を創設した後の外国人労働者が来年度以降、増加していくのではないかという予測があるわけですが、それに関しては何らか予算措置、もう概算要求はされておりますが、来年度予算の中で何か考えられているのか、ということについても教えていただければと思います。
○荒木部会長 では、事務局からお願いします。
○事務局 監督官の城と申します。現在、外国人労働者の方からの相談というのは、こういった相談が多い全国34か所の労働局、労働基準監督署におきまして、外国人労働者相談コーナーを設けて、6言語で相談に対応しているところです。また、来訪できない外国人労働者の方については、相談ダイヤルを設けまして、6言語で対応しています。 こういった体制の下で、現在、年間約1万件程度、相談を受け付けているところですが、相談できる曜日等が限定されている言語もありますので、来年度についてはこういった相談体制を充実させていこうということで、検討させていただいているところです。
○安全課長補佐 労働災害防止は、非常に重要な課題ですので、今の御指摘を踏まえまして、さらなる安全対策の充実について検討してまいりたいと考えています。
○荒木部会長 それでは、ほかにいかがでしょうか。
○岩村委員 今の村上委員の質問の点は大変重要なところで、恐らく法律がまだ通っていませんから、仮に通ってということになると、外国人労働者で日本に来て働く人の数が増える。それは逆に言うと、今まで外国人労働者の方を使っていない事業主の方が使うようになるということでもあるので、したがいまして、やはり日本人を相手にしての安全衛生対策とは全然違うものだというのを、新規に外国人労働者を雇う事業主にきちんと周知をして、必要な対応をとってもらうことが肝要だと思います。
例えば、かつて私も技能実習生が入っている事業所に見に行ったりしましたが、やはり危険があるということ自体を認識してもらうために、既にやっておられるとは思いますが、文字ではなくて絵とか、そういったものを使うとか、そういうことがどうしても必要になる。それは、今まで外国人を雇って使っている事業主はよく分かっていると思いますが、これからという事業主たちは多分、その点が余り理解できていない可能性が非常に高いので、そういった点で是非、安全衛生面、特に労働災害の防止という観点から、徹底した周知や指導というのを是非お願いしたいと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。それでは、ただいまの件については以上ということにいたします。次の議題ということになりますが、第4の議題はその他ということになっています。事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 それでは、資料4です。これは、これまで第70~72回の3回の労災保険部会におきまして、委員の皆様から頂きました、副業・兼業に係る御意見ということです。公益委員、労側委員、使側委員からということで分けて載せています。我々はこれらの御意見も踏まえまして、次回の労災保険部会でしっかり論点を提示してまいりたいと考えているところです。以上です。
○荒木部会長 副業・兼業については労働時間の関係もありまして、海外の調査にも行ってまいりましたので、その点も含めてまた御議論に供したいと考えています。ほかにはいかがでしょうか。特段ほかになければ、本日予定した議題は以上となります。それでは、本日の部会は以上で終了とさせていただきます。
本日の議事録の署名委員は、労働者代表の浜田委員、使用者代表の砂原委員にお願いします。お忙しい中、御参集いただきありがとうございました。