第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

平成31年2月20日(水)14:00~16:00

場所

中央労働委員会会館 講堂(7階)

議題

(1)肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)に係る予防接種法施行令の一部を改正する政令案のパブリックコメントについて
(2)風しんの追加的対策に係る政省令の公布について
(3)その他

議事

 

○友永室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催いたします。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意願います。

 続いて、委員の出欠状況について報告いたします。中野委員、中山委員、山中委員の3名から御欠席の連絡を受けております。また、多屋委員は少し遅れるとの連絡を受けております。現在、委員12名のうち8名に出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により本日の会議は成立することを報告いたします。それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。

 続いて、資料の確認をいたします。お手元のタブレットには、番号01の議事次第から番号11の利益相反関係ファイルを格納しております。不足の資料等がありましたら事務局にお申し出をお願いいたします。それでは、ここからの進行は倉根部会長にお願いいたします。

○倉根部会長 皆様、こんにちは。本日もまたよろしくお願いいたします。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告をお願いします。

○友永室長補佐 審議参加の取扱いについて報告いたします。本日、御出席の委員から予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、資料作成への関与について御申告いただきました。各委員からの申告内容については、資料11の「第30回基本方針部会利益相反関係書類」を御確認いただければと思います。本日の出席委員の申し出状況及び本日の議事内容から「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員はいらっしゃいません。以上です。

○倉根部会長 それでは、審議に入ります。議題1、肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)に係る予防接種法施行令の一部を改正する政令案のパブリックコメントについて、まず、資料1-1について事務局から説明をお願いします。

○長谷川予防接種室長 それでは、資料1「予防接種法施行令の一部を改正する政令案の概要について」に関して説明いたします。

 1番、改正の概要です。高齢者の肺炎球菌感染症については、今年の110日の基本方針部会において5年間の経過措置をお認めいただいております。事務局からは65100歳の5歳刻みを対象として提案申し上げたところです。その後、パブリックコメントを掛け、国民の皆様から意見を頂いております。本日、委員の先生方に机上配布でパブリックコメントをお示ししております。その中の1つ目ですが、国民の方から100歳以上の者にも機会を与えるべきではないかとの御意見を頂いております。

 こちらは、前回の経過措置の際、初年度に関して100歳以上が対象となっておりました。今回の経過措置に関しても、前回の初年度の扱いと同様、改めて100歳以上を含めて対象とするかどうか先生方の御意見をお聞きしたいと思い、本日お諮りする次第です。

 改正の概要の一番下です。平成31年度中においては、下線部に書いてありますが、平成30年度末に100歳以上の者に対しても、肺炎球菌感染症に係る定期接種を行うということで、事務局から提案を申し上げたいと思います。以上です。

○倉根部会長 パブリックコメントで頂いた御意見の中にそういうものがあり、また、事務局としても、これは適切、それに基づいてと言いますか、そういう御意見も頂いて政令案の概要についての改正を提出していくということですが、委員の皆様から何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。御意見がないということは、この改正でよろしいのではないかということでしょうか。

 それでは、ここについては審議事項として承認したいと思います。ありがとうございました。次に、議題2に入ります。議題2は、風しんの追加的対策に係る政省令の公布についてです。資料2-1について事務局から説明をお願いします。

○長谷川予防接種室長 資料2-1及び資料2-2を用いて説明いたします。風しんに関する追加的対策について、感染症部会とともに本部会においても御議論いただいたところです。こちらは平成301213日の合同部会においてお示ししたものです。1、実施の枠組です。まず、(1)抗体保有率の低い世代の男性に対する予防接種・抗体検査の実施ですが、(2)追加的対策の対象者として、196242日から197941日までに生まれた男性とするということで、委員の先生方から御意見を頂いたところです。資料2-2ですが、予防接種法施行令を21日付けで公布しておりますので報告申し上げます。事務局からは以上です。

○倉根部会長 ここの議題については報告事項ということですが、御質問、御意見ございますか。

○坂元委員 21日に施行令が出され、各市町村で準備に入っているところです。そこで、自分の市町村においては、始められるところは始めてくださいとのことですが、今回は全国的な広域接種も可能にするというお話が出ていて、その辺りを、今、厚生労働省で調整していると伺っております。例えば、市町村がクーポンを個別配布して、そのクーポンを対象者が持っていけば住所地のない市町村でも受けられるというような制度を整えていくというお話だったと思います。

 多くの市町村から、その辺りに関して説明や具体的な通知はいつ頃くるのだろうかとの質問が出ております。お忙しいと思いますが、できれば、市町村への説明会みたいなものをやっていただければ非常に有り難いと思います。その辺りについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○倉根部会長 事務局、いかがでしょうか。

○賀登室長補佐 お答えいたします。坂元委員のおっしゃるとおり、今般、風しん対策に関しては男性の3956歳を対象にしていることから、前例のない対応でスピーディーに対応しなければいけないということで、市町村を越えた広域的な対応が可能になるように前例のない対応について取り組んでおります。それを実施する際には、市町村や都道府県との連携は非常に大切なことだと思いますので、ミスコミュニケーションのないようにしっかり連携させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○倉根部会長 坂元委員、よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問ございますか。特になければ、坂元委員から御質問がありましたけれども説明を伺い、各委員が了解と言いますか、説明いただいたということになります。

 それでは、少し早いのですが、資料3について説明をお願いします。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 資料3について説明いたします。ファイルの資料3をお開きください。今回、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン(DPT-IPV)という4種混合のワクチンについて、1つ問題が出ましたので報告いたします。

 本ワクチンについては、生後3か月から90か月までの間にある方を対象にした定期接種を実施しているワクチンです。この4種混合のうち、不活化ポリオワクチンの原液に関しては、BIKEN社という阪大微生物病研究会の関係の会社が製造し、その原液を用いた最終製品は阪大微生物病研究会とKMバイオロジクス社で製造販売しているものです。

 この2社の製品が関係するものですが、不活化ポリオワクチンを作る段階で抗原量の規格を設定する必要があります。これは原液並びに最終製品の両方で行います。抗原量に関して、製造ロットごとに規格試験を実施して抗原量を確認するということになっております。原液に関しては、医薬品医療機器法で原薬等登録原簿(MF)の中に登録され、その中で規格も設定されており、これはマスターファイルとも呼んでいるのでMFと書いてあります。規格を設定しているものです。

 ついては、125日にBIKEN社から第一報がありました。どういうことかと申し上げると、不活化ポリオワクチンの原液の抗原量を測るために試薬を用いて検量線を引いていくわけですが、過去の事例ですが、201312月から20154月までの間、この調整した試薬に関して、マスターファイル(MF)で自ら定めた規格よりも若干下回るものを使ってしまったと、11.92DU/mLが下限のところ11.6DU/mLであったというものです。

 実はBIKEN社ですが、不活化ポリオワクチンの原液については、もともと日本ポリオ研究所の時代に作っていたもので、その後、BIKEN社と合併されたわけです。当時、原液を製造していた日本ポリオ研究所の品質管理の責任者については、2013年当時に調整した試薬が、自ら登録したマスターファイルの規格を下回っていることは認識していたのだけれども、原液の規格試験に用いても測定値に影響がないということを品質管理課で確認して使用可能と判断していた。実際にこれは自ら登録したマスターファイルの規格よりも下回っていたということですが、現場では使用可能と判断してしまったということです。

 これについて、試薬の調整が適切かを確認する指標であるウイルス含量は、若干上回っていたということですが、ウイルス含量に関しては原液の規格試験には影響がない値と考え、使う部分がないということで規格の範囲内か否かは確認しなかったということです。実は今回、BIKEN社において、マスターファイル変更登録をするという作業をしている段階で、過去にこういうことがあったということに気付き、その上で、昨年の1221日に現在の会社としては、こういうことをやっていたということを認知したというものです。

 マスターファイルの規格を下回る試薬で抗原量を算出した原液を用いたものについては既に有効期限を超えています。2ページの頭にありますが、テトラビックとクアトロバックについては、ここに書いている時期に出荷された7ロットと20ロットとありますが、どちらも期限は切れているというものです。

 抗原量に関しては、原液だけではなく最終製品でも確認を行っております。テトラビックの7ロット、クアトロバックの9ロットについては、最終製品で抗原量を算出する際には、規格内の試薬を入手して用いていたということです。クアトロバックの皮下注シリンジの11ロットに関しては、最終製品で抗原量を算出する際にも先ほどのBIKEN社の、当時は日本ポリオ研究所ですが、その原液の算出時と同じ試薬を用いていたという御報告がありました。

 これに関して、これが最終製品の品質、有効性及び安全性にどのような影響を与えるのかということについて、私どもの局内及び関係の専門家の先生方にも御意見を伺いました。

 結論から申し上げると、当然、規格内の試薬を用いたものについては問題ないわけですが、規格を下回る試薬を用いて抗原量を測定した結果への影響について、私どももそうですが、国立感染症研究所の専門家の先生、国立医薬品食品衛生研究所の専門家の先生の2名から御意見を伺いました。どちらの先生からも、これは規格を下回っていたのだけれども、あくまで、その標準品そのものを比較するわけではなく、その試薬は、まず、検量線を引いていくために使う試薬で、この直線性を持つ検量線を設定するためのものです。

 つまり、検量線を引くのは、シグモイドカーブの中の直線性がない所で測ってしまうと、きちんと測れないということもあり、直線性を持っている部分で測れているということを確認するための検量線をきちんと引けているのかということでやるように使いますので、この標準品そのものと比較してやるというよりは検量線を引くために使うということもあり、この直線性の妥当性の確認が取れている範囲内で若干、規格が一部ずれていたとしても、その範囲内であれば不活化ポリオワクチンの原液の規格試験に用いても測定値に影響は生じていなかったと考えられるという御意見を頂いております。

 こういう御意見を踏まえ、私どもとしても、当該試薬を用いて試験された原液及び最終製品についても、抗原量の規格を満たしており、品質、有効性及び安全性には、結果としては問題ないと考えられるというところです。ただ、やはり、今回の問題について、自ら登録した原薬等登録原簿(MF)の規格を下回っていても使えるのだと、必要な手続を取らずに大丈夫だというようなことを品質管理課内のみで、一部の部署で処理していたことについて、管理監督を徹底しなかったということに関しては、誠に不適切な事例と考えているところです。そのため、私どもとしては、なぜこういうことに至ったのかという原因の究明と再発防止を行うこと、また、類似事例はないのかということについての確認が必要です。

 そういう意味で、厚労省からBIKEN社に対して、原因究明と再発防止策の策定を指示するとともに、阪大微生物病研究会、KMバイオロジクス社に対しても、原因究明と再発防止策の徹底や策定を指示して、各社が製造販売する製品で同様の事案がないかを確認するように指示したところです。

 このように指示したところ、阪大微生物病研究会から、徹底していろいろ調べていただいたのだと思います。理事長が自らお話しされたとも聞いておりますけれども、そういう上でいろいろ調べたところ、これは阪大微生物病研究会のみからですが、自社が製造販売する定期接種に係るワクチンについて、次の御報告がありました。これは24日に第一報を頂き、その後、引き続いて頂きました。

 3ページです。これについては、試験には当然、無菌性の担保がいるわけですが、無菌試験やマイコプラズマ否定試験において、これは当然、各製造工程の試験の実施が必要な段階で行っているわけですが、一部の工程の試験について、必要な事前確認と書いてあります。これは、具体的には、無菌性の場合には適合性試験、マイコプラズマ否定試験の場合にはマイコプラズマ発育阻止活性試験と言いますが、当然、その検体の中に細菌やマイコプラズマの発育を阻害するような物質が含まれていると無菌性やマイコプラズマの増殖が見られないということで試験が成り立たないということもあり、そういうことを事前に確認した上で、無菌試験やマイコプラズマ否定試験をやるということが生物学的製剤基準でも求められておりますが、そういうことがされていないものがあったということです。

 こういうことに対しては、私どもの局内でも、よく議論し、また、このような手法は外部の専門家から見てどうなのかということで、これについても国立感染症研究所及び国立医薬品食品衛生研究所の専門家の先生にもお聞きしたところ、市場流通品の品質には問題ないという御意見を頂いております。なぜかというと、先ほど申し上げたように、無菌試験やマイコプラズマ否定試験では、製造工程の幾つかの過程において行われておりますが、無菌試験については、1つ水痘、こちらのほうは水痘抗原もやっているのですね。最終製品の無菌試験も設定されているわけですが、最終製品の無菌試験の段階では、先ほど申し上げた適合性試験の事前確認が適切に行われていることが確認できております。

 それから、マイコプラズマ否定試験においては、水痘抗原以外については、最終製品でやるわけではなく、製造工程で一番最下流の工程の試験ではマイコプラズマ発育阻止活性試験が行われ、ここには事前確認と書いてありますが、これについては行われているということです。この対象になったのは、阪大微生物病研究会で製造販売している※3に書いてある13品目のワクチンです。一部、マイコプラズマ否定試験において、現在、再試験をやっているのが水痘抗原ですが、それについてこういう状況があったということです。

 先ほどの専門家の御意見もあったわけですが、最終製品の無菌試験と最下流の段階にあるマイコプラズマ否定試験について、阪大微生物病研究会からはそういう御報告を頂きましたが、私どもも確認をすべきであろうということで、その試験検査記録を取り寄せて、個々のロットごと、今、有効期限内の大体300ロットくらいのものがありますが、それについて一つ一つ、写しの結果ですが、当時の検査記録を取り寄せて確認したところ、確かにそのようにやられていたことを確認しております。

 加えて申し上げると、なぜ各工程ごとに、このような無菌の試験やマイコプラズマ否定試験をやっているかというと、先生方はよく御存じだと思いますが、ワクチンは、種ウイルスであったり、種の細胞の段階であったり、それから順に培養を掛けてやっていくわけですが、各製造の工程ごとに、その段階で品質がきちんと確保されているかということを確認して、最終製品の品質を作り込んでいくということで製造工程が適切に行われていることを段階を追って確認するために行っているわけです。

 先ほども申し上げたように、最終の段階で無菌試験やマイコプラズマの否定がきちんとなされていれば、市場にある製品としては品質的には、製造管理としては当然必要な工程ですが、最終段階でそれをきちんと確認できるということであれば、ここで専門家のおっしゃっている市場流通品の品質については問題がないと判断するということについては、私どももそう思っているところです。しかも、最終段階の試験検査の記録も確認させていただいたということもあり、当然、今回の事案については、決められた製造工程中の試験を適切に行っていなかったということについては大変遺憾であり、私どもも強く阪大微生物病研究会には申し上げなければいけないことではあります。

 では、市場にある製品について、例えば、回収するとか使用の差止めをするということが必要なのかどうかということに関しては、今申し上げたことを私どもなりに考えると、そこまでの措置は必要ないであろうということが私どもの見解です。

 そういうことで、厚労省からは阪大微生物病研究会に対して、未実施である事前確認の実施や原因究明及び再発防止策の策定の指示、また一部、事実確認中のものもありますので、その事実確認及び再発防止策の策定について実施するように求めていきたいと思っているところです。説明は以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。ただいま、磯部課長から説明を頂きましたが、何か御質問はございますか。私から1つ伺ってよろしいですか。これ、恐らく各プロセスごとに全てSOPがきっと存在していて、実施するところは11つチェックしていく。仮に何か問題があったときにはこういうルートで上に上げるなり、あるいはそれを解決していくという部分も、恐らく会社ごとにちゃんと決まっているはずだと思います。その様式は会社ごとに違うかもしれませんけれども。そうすると、そこのプロセスの記載はきちんとあったんだろうけれども、そこが十分に機能していなかったか、あるいは無視されていたという状況になるわけでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 後者のほうの議論ですね。

○倉根部会長 ええ。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 阪大微生物病研究会に対しましては、2か所の製造場所がございます。この2か所とも、私どもはPMDAのほうにおきまして、ほぼ毎年一度、実地調査をさせていただいているのが現状でございます。そういう中では、今回、申し上げたような細かい試験の個々のものがどうかというよりは、今、倉根先生からお話を頂きましたように、全体としての品質管理マネジメントが適切にされているかというのがGMPの根幹ですので、そういったところの手順と、それがちゃんと機能しているのかについては、毎回、全体も見ますし、幾つかテーマも決めて、この部分はどうか、あの部分はどうかということを見てきています。一部、軽度の不備の指摘はさせていただいていますが、品質管理マネジメントシステムが不適切だという大きなものについては、見つけられていないのが現状でございます。

○倉根部会長 私だけ質問していますが、必ず回しますので。もう1つ、両方に共通するところですけれども、国立感染症研究所と国立医薬品食品衛生研究所の専門家から、こういう意見があったと。これをパッと読むと、この2つの研究所の専門家が、こういう言い方はあれですけど、品質には問題がないと考えると。だから問題がないということではないと思うのですね。恐らく国立感染症研究所あるいは国立医薬品食品衛生研究所が依頼されている、あるいは求められているのは、科学的に見てどう考えるかということの御質問だと思います。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 おっしゃるとおりです。

○倉根部会長 なので、国立感染症研究所あるいは国立医薬品食品衛生研究所の専門家が御墨付を与えているのではなく、科学的にはこういうふうに考えられるけれども、最終的には監視指導・麻薬対策課なり、あるいは医薬・生活衛生局がどういうふうに判断されるかということだと思いますが、そこはいかがでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 説明が足りずに大変申し訳ないと思います。私どもの医薬・生活衛生局が責任を持っている仕事でございまして、一義的には私ども監視指導・麻薬対策課、あと関係課もございます。その中で、この問題についてどう考えるのかというのが一義的に考える部分でございます。ただ、私どもがこういうようなことで考えますということだけで、皆様方の御納得を得られるかということもございましたので、外部の科学者ですね。正しくおっしゃる国立感染症研究所の組織的な見解ということではなく、ここに書いてございます国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所には、このような品質に関する専門の先生方が多くおられることもあります。その科学者としての御意見、研究者としての御意見を伺うには、ここの専門家の先生がいいということで、外部の一専門家として御意見を伺ったということです。それは、我々の判断が外部の専門家から見てどうなのかを判断する上でも有意義だと思いまして、私どもとしてはそのように判断してお聞きしたということでございます。

○倉根部会長 ほかに何か御質問はございますか。脇田委員、どうぞ。

○脇田委員 質問と言いますか、この国内で流通しているワクチンに関しましては、国立感染症研究所において全て国家検定を行って合格しているものであります。我々の所では、今、国家検定はSLP審査と実際の試験ということでやらせていただいています。一部の製造工程のことに関しても、SLPにある範囲ではそこを審査するということでやらせていただいています。というわけですので、必ずしもそこに全ての製造工程が書いてあるわけではありませんから、そこにないものに関しては、我々もなかなか、これが間違っているという指摘は、国家検定ではできないということになります。ですので、このような事例に関しては製造工程、必要な工程試験等をきちんとやっていただいて、正しく承認書どおりに作っていただいたものを、我々が審査しないと、我々の結果が合格と全て出ていますけれども、こういった事態が生じることになりますので、医薬品審査管理課、そして本省ですね。それからPMDAのほうで、しっかりとGMP査察等を通して指導していただきたいと考えています。

 それから、今回の事例に関しましては、私のほうでも担当している職員と品質保証・管理部、そして検定専門官等とディスカッションをしております。それで、ここに書いてありますコメントどおりで、最終的な製品の品質に関しては安全性、有効性は確保されていると考えていますが、ただ、例えばマイコプラズマ否定試験に関して申し上げますと、最終製品の試験と工程における試験においては完全に同じものではないわけですから、やはり製造工程できちんと試験をやっていただくことが必要でしょうし、どういうことで、そういう事態になったかを検証していただくことが重要であるというコメントも、そのディスカッションの中では出てきていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○倉根部会長 ほかに御意見、伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 大変細かく製造工程まで見ていらっしゃって、監視指導・麻薬対策課長の力量だろうと思うところですが、一方で、私どもが使っているワクチンは国内で製造しているものだけではない。国内の製造業者にはSOPも含めて大変厳しくやられていますけれども、国外で製造されたものも同様の形で、査察とか工程管理も含めてされているのかどうか教えていただけますか。

○倉根部会長 それでは、課長、どうぞ。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 GMPの査察の問題に関しては、私どものPMDAの品質管理部という所で見ていますが、確か30数名ぐらいの人員でやらせていただいています。海外の製造所についても、私はPMDA所管ですので、当然、その中でやっていますが、いつも我々が言っているリスクベースということで、非常に問題があるのではないかと思うような製造所を中心に入っているところがございます。あと、特に欧米の先進国の場合に関しては、先般、EUとは「日欧MRA」を結びまして、EU当局できちっと見てもらった結果を我々が頂く代わりに我々の実地調査は免除するということもやっていますが、各国当局ともいろいろ連携する中で、どの製造所に入って行くのかを決めてやっています。当然、必要なものについて私どもとしては、特にワクチンは健康な方に打つものですので実地調査も含めてやっていくということですが、どこに何件ぐらい行っているかというのは、今、手元に数字がありませんけれども、海外のものについても工程管理は我々の基準に合うことが前提になってきますので、当然、それは試験もされていると思いますし、必要な我々のGMP調査も同じようにさせていただくこともございます。また、先ほど脇田委員からもお話がございましたが、同じようにSLPを出して検定を受けることもございますし、同じ条件でやらせていただく。ただ、GMP調査について、先ほど申し上げた海外の規制当局との関係で、そういうことができている場合については、一部、我々のほうが実地調査を免除し、その国の規制当局のものを受け入れることを含めて、少しさせていただいているという形です。

○伊藤委員 基本的には我が国の中でやっている調査と、ほぼ同じ基準で海外でも製造がされていると認識していいということなのですね。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 そのように理解していただければ結構かと思います。

○倉根部会長 ほかに、いかがでしょうか。釜萢委員、どうぞ。

○釜萢委員 確認をさせていただきたいと思いますが、今回の事例について3ページの所に、報告のあったワクチンに関する不備があったことについて、国立感染症研究所及び医薬品食品衛生研究所の専門家から、こういう意見があったということですが、まず国家検定は、このワクチンは国家検定を受けているわけですね。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 そのとおりです。

○釜萢委員 国家検定の結果について、今回のことが分かった上で国家検定が覆されるものではないということですね。ですから、最終的にどこが責任をとるかというところになるので、私どもとしては、国家検定をきちんと受けて、満足したものが市場に流通しているというふうに理解しているので、そこについては特に結果を変更する必要はないということで、よろしいですね。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 そのとおりでございます。

○釜萢委員 もう1点は、今、課長から御説明があった中で、これは2ページに書いてありますけれども、対応として、厚生労働省からBIKEN社に対し、原因究明及び再発防止策の策定を指示したということです。他の製品についても同様の事案がないか確認するように指示したということで、これについては今後、大体、どのくらいの期間で報告をお受けになり、また、その結果について、どのように私どもにお示しいただくのかについて教えてください。

○倉根部会長 課長、お願いします。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 今の原因の究明と再発防止策については、3月初旬には報告を頂きたいということでお話を申し上げているのが現状です。あと、もう1つの御質問は。

○釜萢委員 今回の基本方針部会が、また次回、少し先になると思いますけれども、こういう事例については、しっかりと、こういうような改善策が打たれましたということを御報告いただく機会があったらいいなと思っています。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 その辺りは、事務局をしていただいている健康局のほうとも御相談させていただきまして、必要な御連絡が先生方にできるようにまた考えてみたいと思います。

○釜萢委員 よろしくお願いします。

○倉根部会長 ほかに御意見、いかがでしょうか。私からもう1つ質問していいですか。これは当然、GMP査察のときに細かくチェックはされているところだと思いますが、これはGMP査察で見逃したということなのでしょうか。それとも、これは見えなかった部分であるということになるのでしょうか。どちらか分かりませんけれども、GMP上では違反であるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 見逃したという言われ方は。

○倉根部会長 そういう言い方は非常に失礼な言い方かもしれませんが、見えなかったと。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 先ほど簡単に申し上げたのですが、GMPの査察というのは定期的に、特にこのようなワクチンをやられる所については、毎年のように実地調査に入っているのが現状ですけれども、先ほど申し上げたように、一番はマネジメントシステムなのです。つまり、このようなものの製造管理、品質管理が、きちんと手順書を決めて手順書どおりにされていて、もし手順書どおりやれなかったとか結果が違った場合に、どういう処理をするかをかなり細かくいろいろ規定して、それを実際に担当する方々にきちんと教育し、それがなされるようにする。その結果については必ず記録に残す。記録についても、1回記録して間違えたら後で消しゴムで直すようなことでなく、それを直すようなことがあれば何をもって直すのかを、全部、一連のシステムの中にきちっと入れてやっていくことをメインに見させていただいています。

 そういう意味でいきますと、個々の試験で特に今回の最初の事案は試薬の規格の問題です。後の問題は無菌試験、マイコプラズマ試験の問題ですけれども、11個の試験についてもピックアップして、かなり細かく見ることは当然ありますけれども、主眼が、まず全体の骨の部分をきちっと見ることを前提に、ずっとやってきていることもあり、細かい試験の設定だけではないですが、このような個々の試験の設定について、どうなのかについては、すべからく見ているということではございません。ですから、大きいところを見てどうなのかということですが、ただ、こういったことで事案が出てくると、我々のGMP調査というものも、今まではある程度マネジメントシステム中心に見てきているけれども、こういったものもどんなふうに見ていったらいいのか。また、こういうような形で御報告してしまって皆さんに御心配を与えてしまうような形でなく、早い段階できちっと見つけて対処していくサイクルを、どうやったら回せるのかについては、私どもの大きな課題だと思っていますので、その点についてはGMP調査についても、今後、どのようにやることが一番適切なのかについては、外国のやり方も含めて、もう一度いろいろ考えて問題点をきちんとピックアップし、必要な指摘ができるような形でやっていきたいと私としては思っています。

○倉根部会長 ほか、いかがでしょううか。脇田委員、どうぞ。

○脇田委員 1つだけ確認させていただきたいのですが、今、倉根先生から最初のほうで質問があった、SOPどおりにちゃんとできていたのかというところで、もしこれらがSOPどおりできていなければ、多分、逸脱として報告が上がってきて対処されているというところで、それは磯部課長が説明されたとおりだと思います。ということは、SOPの設定が不適切だったかもしれないということもあるかと思いますので、その辺りの原因をしっかりと調査していただいて、また御報告していただくのが必要かなと考えています。よろしくお願いいたします。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 分かりました。

○倉根部会長 ほか、いかがでしょうか。私からもう1つ御質問も含めてですが、例えばマイコプラズマ否定試験についても幾つかの過程でやっていると。1回だけはなく、プロセスを踏んでやっているというのは他の試験もそうかもしれませんが、2回やるには2回やるだけの理由があるはずだと思います。だから、最終製品を見れば品質等が分かる、あるいは最終で通れば品質は確保されているというのが、どちらかというと以前の国家検定の考え方であったと思います。それでは見えない部分があるということで、製造工程全てを見るわけにいかないけれども、製造工程もきちんと見るということで今の検定システムが出来上がっているのだろうと思います。2回やる、あるいは3回やるという試験には、それなりの意義があるのだということも考えて、これは各メーカーなり製造所の教育なのかもしれないなと思いました。

 今回、まだ完全に解明されたわけではないと思いますが、製造の担当者の方が、なぜ大丈夫だと思ったか、そこだと思います。結果としては大丈夫だったかもしれないけれども、なぜ大丈夫だと思ったのか。なぜ問題があったときにそこで止まらなかったか。そこが非常に大きな問題なのではないかと思います。もちろん、人も代わりますので教育ということも必要だろうし、そこも是非、担当者を問い詰めるというのではなく、なぜそういうことになってしまったかというのを、是非、きちんと解明していただければと思います。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 私も全くそのとおりだと思います。ワクチンだけでなく、すべからく医薬品というものは、各工程ごとに必要な試験をやりながら品質を高めていくのが基本だと思いますし、それの先駆けと言いますか、言ってみれば過去からずっとやってきたのが、多分、このワクチンの分野だと思いますし、そういった考え方が生物学的製剤基準にも反映されているのだろうと思います。そういった流れがある中で、このようなワクチンをずっと古くからやっておられるメーカーの担当の方が、そういったものについてこういったことを起こしてしまったのは、本当になぜなのかと、私も強い疑問がありますので、その点については担当者を問い詰めるというのではなく、どうしてそういうような考え方にいくのかについては、よく聞いた上で、こういったワクチンの品質管理、製造管理をどう考えていくのかに、またつなげていきたいなと思っています。

○倉根部会長 ほかに御意見、いかがでしょうか。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 私も、よく分かっていないのですが、原液と最終製品に関しては当然のこととして試験をするのだろうと思いますが、複数回しなければいけない理由があるのか。製造工程の改善などで、今後、そういう製造工程で必要がない、例えばオーバースペックの品質管理を解消したいという話が出たときは、それはそれで、当局としてお認めになるのでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 確かに伊藤先生がおっしゃったように原液の段階、それから最終製品の段階があるのですが、実は多くの場合、マイコプラズマにしても無菌性にしてもやっているのがマスターセルバンク、ワーキングセルバンク、ウイルスの種シードのシードロットウイルス、それからワーキングシード、こういった一番のもとになる部分、そこから取って培養していくわけですが、もとがおかしいと、一体何なのかとなります。そういった段階で試験をやる部分について、実は先ほどの適合性の事前の確認が抜けていたということです。そういった部分でやることについては、これから我々もその分野の専門家の先生方との意見交換だと思いますけれども、それなりに意味はあるのだろうと私は思っています。

 ただ、それはそういうことをしても、また他の工程でもいろいろ求めているところもありますので、そういった点についてどうなのかということについては、他の国の基準もいろいろ調べたり、またこの分野の製造管理、品質管理の専門家の先生方ともいろいろ意見交換しながら、より良いものにどうやってしていけばいいのか。当然、ものはどんどん新しくなるし、こういった管理の仕方も変わっていきますので、そういったものにきちんとキャッチアップして国際整合も視野に入れつつ、考えていかなければいけない問題だと思っています。

○倉根部会長 ほか、よろしいでしょうか。ございますか。それでは、今日は監視指導・麻薬対策課からの御説明を頂き、それに対して委員の先生方から質問もあり御意見もありというところですので、今、出た質問等に対して是非、答えが分かるようにお調べいただければと思います。よろしくお願いします。次にいきたいと思いますが、次は資料4について事務局から御説明をお願いします。室長、お願いします。

○長谷川予防接種室長 資料4でございます。参考資料3は昨年1213日の本部会においてお示ししたものです。私どもで再確認しましたら数値に関して誤りがあることが判明いたしました。具体的には、調査の概要部分の一番下の三角印です。保護者が里帰りをしている場合についての数値が、この資料では、1,633自治体となっていますが、もともとの数字は1,632でした。また、数字の誤りが複数ございました。申し上げますと、スライド番号7番から14番にかけて、自治体の数の誤りと、それに伴ってパーセンテージの誤りがございましたので、今回、修正しております。なお、前回、誤った数値をこの部会にお示ししましたことにつきまして改めてお詫び申し上げるとともに、今後、このようなことがないように再確認をしてまいりたいと思います。以上でございます。

○倉根部会長 ありがとうございます。数値の訂正という報告ですが、御質問はございますか。そうすると、数値の訂正はあるけれども、傾向と言いますか内容としては変わらないということですね。

○長谷川予防接種室長 はい。

○倉根部会長 よろしいですか。それでは次にいきたいと思います。長谷川室長、どうぞ。

○長谷川予防接種室長 参考資料2につきまして説明させていただければと思います。こちらは通知()ということで掲載していますが、昨日付けで()が取れたものを発出しています。MRワクチンの流通に関しまして自治体に対する協力依頼ということで通知を発出させていただきました。

 風しんについては、7都府県を中心にMRワクチンを重点的に供給するということで、これまで御報告させていただいておりました。今般、21日に政省令が改正されて定期接種化されていくということで、感染の拡大している7都府県に限らず、全国的にMRワクチンのニーズが惹起されることになりますので、ワクチンをどのように円滑に供給していくかについて通知を発出させていただいたものです。

 2ページから具体的な記載になっています。現在、MRワクチンは、7都府県に対しては基本的に小児の定期接種用に出荷実績の100%分、さらに、それに追加する形で80%分を目安にワクチンを7都府県に対して送っている状況です。後ほどもう少し御説明させていただきますけれども、ワクチンは追加の増産をメーカーに協力依頼させていただいていて、そういったものが徐々に届きつつあります。2月から4月までの間は、7都府県以外の所に対しては小児の100%を維持しつつ、さらに、そこに20%上乗せで追加供給し、メーカーと連携して対応させていただきたいと考えています。

 2.が、MRワクチンの発注時の基本的事項等です。3ページの下の別添1の青い表が、発注のときに添付頂きたいという表です。こちらをベースにしながらワクチンの発注をして頂き、医療機関に協力願いたいと考えています。また、その発注を受けた卸では、この中身を確認しながら、随時、納品してくださいというお願いです。

 3.が、MRワクチンの円滑な供給体制の整備ということで記載しています。メーカーに増産依頼をしています。この春以降、随時、一定量のワクチンが追加供給される予定で、秋以降には、継続的に追加供給される見込みです。定期接種の第5期分の実施であったり、妊娠を希望される女性がワクチンを打ちたいとか、麻しんの患者さんの発生状況に応じて、一時的又は地域的にMRワクチンの需給の逼迫が起こることを想定し、平時から対応を考えておいたほうがいいのではないか、ということで、この後の記載をしています。

 もし医療機関においてワクチンを発注しても届かないときには、都道府県のほうに御相談くださいということをお願いしています。卸から都道府県に1週間に1回、自分の所で持っている在庫量を定期的に御報告いただくことで、都道府県も医療機関から相談があったときに、その情報を基にしながら適切に対処できるようにすることを関係者にお願いしています。これらが(1)から(5)に記載されています。

 (6)は、もし一時的、地域的に逼迫したような場合には、納品する順番や、接種する順番の考え方をお知らせしたいということで記載しています。小児の定期接種を最優先にさせていただく。次に、妊娠を希望されている方とか妊婦の御家族の方に、そして、麻しんの対応として任意接種をしたい医療関係者等に、風しんとか麻しんの発生状況に応じて優先にすることを基本的な考え方として、卸が医療機関に納入する際、または医療機関から患者さん、対象者の方に接種する際の配慮事項として周知しています。

○倉根部会長 説明ありがとうございました。ただいま参考資料2についての説明でしたが、何か質問、御意見ございますでしょうか。

○伊藤委員 大変努力をされていて、足りなくならなければいいなと思う半面、東京都内にあるナショナルセンターでも医師向けのMRワクチンが発注しても入ってこないということを昨日聞いたところです。やはり大変なのだろうなと思っています。日本脳炎のワクチンのときに確かに不足の問題があって、厚生労働省で公正取引委員会と協議して、独占禁止法の問題をクリアして医療機関に納入しているワクチンをトラッキングして、どこにどれぐらい入っているかがわかるシステムを作って、供給不足、過剰発注がないような努力をされたと記憶しています。今回も、自分たちの行動が適切ではないかもしれないというのは言いたくはないのですが、同様のシステム、監視カメラと同じような話をお考えになる予定はないのでしょうか。

○賀登室長補佐 事務局でございます。日本脳炎のときは、基本的に小児の定期接種という土俵のニーズの部分は変わらないかと思うのですけれども、今回は39歳から56歳の新しいニーズを惹起している点が大きく違うところですので、これまでの医療機関、購入されていた所にそこに引き続きワクチンを供給するというよりも、新しい医療機関なり、新しい分のニーズが今回新たに出てくるというところに、いかに対応できるかという課題ですので、日本脳炎の例は今回は使いづらい例ではないかとかんがえています。過剰発注になるのではないかということに関しては、先ほどの別添1の発注書には、見込みということで書いておりますので、そういったところは一定程度抑制できるのではないかと考えております。

○倉根部会長 ほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。

○坂元委員 この発注書というのは、問屋さんに配られて、それで医療機関から注文があったときには、この発注書に書いてくださいというような、そういう流れでやっているのでしょうか。

○賀登室長補佐 そのとおりでございます。医療機関にも、この発注書を出してくださいというお知らせは都道府県なりから市町村経由で行くことにもなりますし、実際の現場で発注するとなったときには、卸さんを経由して物が入ってくるというのが今の実情ですので、そのときに卸さんから医療機関に、発注書を使ってくださいとアナウンスしていただくことになります。

○倉根部会長 ほかにいかがでしょうか。

○宮﨑委員 幾つかあるのですが、1つは現在7都府県ですか、少し優先的にワクチンを配布するということですけれども、今これは風しんをベースにした都府県ですか。

○倉根部会長 そうですね。

○宮﨑委員 今、麻しんが増えてきているので、そういう状況を見ると、麻しんも含めて他の優先県が出てくるかどうかというのが1つ。2番目は、今、優先順位のことが出ていましたけれども、(6)に、小児の定期接種をベースにしながらハイリスクの所を優先的にと書いてあるのですが、今般新しく出てきた成人男性の定期接種がここの文書の中に明確な形で入ってこないので、では成人男性の定期接種はどこに置くのかという疑問というか、質問もくるのではないかと思うのですが、いかがですか。

○倉根部会長 事務局どうぞ。

○賀登室長補佐 事務局でございます。最初に麻しんの関係ですが、このワクチン自体は麻しん、風しんの混合ワクチンですので、どちらにも使えるというものです。小児の定期接種の実績を100%に考えておりまして、それに対する何パーセントということなので、大体その小児人口の比率に応じたものが都道府県別に送られることになります。あとはそのワクチンを誰に使うかがポイントになりますが、その際に風しんの対策として使うというような選択肢もありますし、麻しんの患者さんが出たので急遽、医療関係者に打ちたいというような話もあるかと思います。

○宮﨑委員 いや、そういうことではなくて、今7都府県というのは、風しん流行が目立っている所を指定してあるわけでしょう。

○賀登室長補佐 はい。

○宮﨑委員 でもここに含まれない都道府県で、麻しんの流行が大きくなったときには、7都府県ではなくて、8910都道府県が優先的に配付される対象になるのかどうかということが1つ。それから先ほどの成人の男性の定期接種の優先順位の位置が(6)でよく分からないという、2つについてもう1回お答えください。

○倉根部会長 事務局、お願いします。

○賀登室長補佐 失礼いたしました。事務局でございます。麻しんの感染の発生状況に応じて、そういった地域を特定するというようなやり方もあるかと思いますが、今どこの地域でどうだというところまで見解はできておりませんので、広く全国にワクチンを届けるということも考えております。

 もう1点が第5期の大人の定期接種化した所の部分について、まず基本的に概念として重複するのが妊娠希望女性、妊婦周りの男性というところと、今回その対象には39歳から56歳というところは一定程度重複があり、そういう意味で妊婦周りの御家族というところにも第5期の定期接種という文言が入っていますが、そちらに入れております。そういった風しんや麻しんとかの感染状況が、もう既に落ち着いているというようなときには、当然のことながら今回第5期の定期接種の部分が優先すべきものだと考えております。

○宮﨑委員 麻しんも風しんも落ち着いてない、既に平時でないと、私は思っているものですからね、既に。だから、これから状況を見ながら考えると言われるけれども、もう既にいろいろ火が着き始めているところで、そういう重点的に20%ではなくて、もっとたくさん投入すべき都道府県がきっと出てくるのではないかと思って申し上げたところです。

○多屋委員 今の宮﨑委員の御意見とも重なるのですけれども、これですと、第5期の定期接種の対象者は妊婦の同居家族で風しんの抗体価が低いことが判明した者に対する第5期接種と読めるので、誤解を招くのではないだろうかと思いました。先ほど宮﨑先生もおっしゃったように第5期の定期接種の記載がここにないと思ったのです。この人たちだけが第5期の定期接種だという誤解を招かないように出されていますでしょうかというのが1つです。

 あともう1つは、麻しんの現状は今、非常に心配な状況であると思っていますが、幸い風しんの患者さんが多い地域と重なっているので、ワクチンは結構、潤沢に届けられているのかもしれないのですが、これが他の場所になってくると、なるべく早めに対応を検討していただきたいなと思います。

○倉根部会長 事務局、どうぞ。

○賀登室長補佐 事務局でございます。まず、第5期の定期接種という言葉ですが、もう先生も重々御存じのとおり、39歳から56歳の方で、かつ抗体価が低いというような、抗体価検査が基準値というような話も散々させていただいておりますが、そちらのようなものですので誤解はないかなと、まず考えています。あとは、この通知の対応ですけれども、取りあえず出させていただきましたけれども、これでずっとこの先、この一点張りというようなことは考えておりません。状況に応じて随時、フレキシブルに対応する必要があると思いますので、その際にはまた、よく御相談させていただきたいと考えております。

○倉根部会長 ほかは、いかがでしょうか。

○釜萢委員 今、説明いただいた賀登補佐には大変今、頑張っていただいているところで、エールを送る意味も込めてなのですが、この文章は宮﨑委員、多屋委員が言われるように普通に読むと、今の箇所の「妊娠を希望する女性及び妊婦の同居家族で風しんの抗体価が低いことが判明した者に対する第5期」となっています。だから、これはお二人の委員が指摘されるように読まれるだろうなと思うのです。だから今後、これはもう発出されていますから、今後の流行の状況によって麻しん等も含めて緊急の対策が必要になるだろうと私は予測しております。

 一方で、先ほど室長から御説明があったように、MRワクチンの増産は、増産を始めてからやはり1年とか1年半後とか、増産の成果が出てくるまでに時間的な差があるので、これは今後のことを考えると、なかなか流行の予測は難しいから、今回の第5期の接種にかかわらず、MRのワクチンの一定程度の増産というのは是非、国の施策としてやっておかなければいけないだろうと思うのです。流行が仮に起こらなかった場合には、ワクチンが余りますので、その場合に国としてどう責任を取るかを含めての対策を講じなければいけない。これはもう前々から申し上げているのですが、なかなか予算がないので、これは厚労省の責任ではないかもしれないけれども、その辺りのところを財政当局に理解を得る努力は引き続きやっていただかなければいけないなと思います。前の麻しんの流行のときには、例えば関空とか、スポットで必要なMRワクチンを別枠で供出したというか、そこに運び入れたということがあります。今回はそこまではなっていないのですが、あえて具体的な名前を挙げると、例えばアベノハルカスでの流行等に対して特段のそこに数百本程度のオーダーでいいと思うのですが、そういう形の緊急的なMRワクチンの接種というようなこともできるような体制を取っておくべきで、そのためのワクチンの確保というのは、やはり別枠で常に危機管理としてやっておく必要があるだろうと思います。これは是非、御検討いただきたいと思います。

 第5期の新たな接種については、これはワクチンの増産の様子を見ながら、対象年齢を3年間でこれをやるということになっているので、今後クーポン券の発送をどの年齢からやるかという調整は可能だろうと思いますから、そこはなるべく混乱が起きないようにやるということがあります。一方で、流行が起こっている地域に対して優先的に多くのワクチンを供給するという方針については、宮﨑委員がおっしゃるように、もうちょっと緊急対応ができるだけのワクチンを確保しておかないといけないだろうなという危機感を持っているので、あえて申し上げます。

○倉根部会長 今、釜萢委員からの御意見ですが、事務局いかがでしょうか。

○賀登室長補佐 先生から御指摘いただいておりますが、特に増産したときの予算等については、先生がおっしゃるとおり関係者もいらっしゃるので、鋭意、努力は続けたいと考えております。

○坂元委員 この文章の書き方で、多分一般の方が読まれる場合と自治体の職員が読まれる場合を分けて考えると、これを自治体の職員が読むと思われるので、自治体の職員にとってはそんなに不自然で誤解を受ける書き方ではないと思います。最初に定義をしてから書くということで、自治体の文章は大体こういう書き方をしていると思います。「以下、何々とする」といったらもう役所的な発想で、「ああ、そうか」というように取るのです。これが自治体の職員以外の場合は両委員が御指摘のように、若干そういう誤解をするのかなというように思います。これは発出先は自治体なので、自治体の職員であれば、自治体の職員が一般的ではないのかもしれませんけれども、自治体の職員であれば多分そういう捉え方をするだろうな思います。自治体の文書も一般にこういう書き方をしますので、特に問題ないかなとちょっと考えました。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。

○宮﨑委員 先生方の御意見を聞いて改めて通知文を読み直して、分かりやすい文章になっていると思いました。もう1つは、供給体制の整備のところで、今春以降は随時、一定量のワクチンが追加供給される見込みであり、秋以降は継続的にワクチンが追加供給される見込みであるということなのですけれども、これもなかなか分かりにくい文章なので、もう少しイメージが分かるような解説をしていただければと思うのです。

○賀登室長補佐 すみません。定量的なことではなく、定性的な表現になっておりまして、分かりにくいという御指摘はごもっともかと思います。ただ一方で、メーカーさんと協力していただいていることとして、ワクチンを少しでも早く、多く市場に出すためにどうすればいいかということを今も引き続き協力していただいておりまして、国立感染症研究所にも実は大変御協力いただいております。そういったことでいろいろな関係者がおりますのと、努力を続けているということで、なかなか定量的なことを今の段階で書きづらいということがありまして、御理解いただきたいと思います。

○倉根部会長 ありがとうございました。それでは室長どうぞ。

○長谷川予防接種室長 先生方におかれましては様々な御意見ありがとうございます。感染状況が刻々と変化する中で、ワクチン各社には相当御努力いただき、最大限の増産をいただいておるところですが、一方でワクチン量は現段階においても限りがございます。今後随時、増産分が市場に出てくると考えておりますが、状況は刻々と変わっておりますので、今後も局内、結核感染症課とも連携しながら、状況を見守り、対応していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○倉根部会長 それでは今の室長の発言をもちまして、この部分についても終了としたいと思います。本日の議題としては以上ですが、その他事務局からございますか。

○友永室長補佐 次回の開催については、追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上でございます。

○倉根部会長 それでは、第30回予防接種基本方針部会をこれで終了としたいと思います。ありがとうございました。