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第1回社会福祉法人の事業展開等に関する検討会 議事録
日時
平成31年4月19日(金) 10:00~12:00
場所
TKP新橋カンファレンスセンター新館 ホール11C(11階)
出席者
構成員(敬称略・五十音順)
・神田 浩之 京都府健康福祉部地域福祉推進課長
・久木元 司 日本知的障害者福祉協会社会福祉法人経営の在り方検討委員会委員長
・ 柴 毅 日本公認会計士協会常務理事
・田中 滋(座長) 埼玉県立大学理事長
・千葉 正展 独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターシニアリサーチャー
・原田 正樹 日本福祉大学副学長
・藤井 賢一郎 上智大学総合人間科学部准教授
・松原 由美 早稲田大学人間科学学術院准教授
・松山 幸弘 一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
・宮田 裕司 全国社会福祉法人経営者協議会地域共生社会推進委員会副委員長
・本永 史郎 全国老人福祉施設協議会総務・組織委員会社会福祉法人改革対策本部長
議題
(1)社会福祉法人制度の現状について
(2)今後の進め方について
(2)今後の進め方について
議事
○高坂福祉基盤課長補佐 皆様、おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまより、第1回「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
初めに、構成員の皆様の御紹介に入らせていただきます。
まず、本日御出席の構成員を五十音順で御紹介させていただきます。
神田浩之構成員でございます。
○神田構成員 京都府の神田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○高坂福祉基盤課長補佐 久木元司構成員でございます。
○久木元構成員 日本知的障害者福祉協会の久木元でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 柴毅構成員でございます。
○柴構成員 日本公認会計士協会の柴でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 田中滋構成員でございます。
○田中構成員 埼玉県立大学の田中でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 千葉正展構成員でございます。
○千葉構成員 福祉医療機構の千葉でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 原田正樹構成員でございます。
○原田構成員 日本福祉大学の原田と申します。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 藤井賢一郎構成員でございます。
○藤井構成員 上智大学の藤井と申します。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 松原由美構成員でございます。
○松原構成員 早稲田大学の松原です。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 宮田裕司構成員でございます。
○宮田構成員 全国社会福祉法人経営者協議会の宮田でございます。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 本永史郎構成員でございます。
○本永構成員 全国老人福祉施設協議会の本永と申します。よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 なお、松山幸弘構成員は、遅れて御出席予定です。
また、本日は、塚本秀一構成員から御欠席の連絡をいただいております。
事務局からの出席者につきましては、お手元座席図のとおりとなっておりますので、紹介にかえさせていただきます。
それでは、本検討会の開催に当たりまして、谷内社会・援護局長より御挨拶を申し上げます。
○谷内社会・援護局長 社会・援護局長の谷内でございます。社会福祉法人の事業展開等に関する検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
出席者の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、心から御礼申し上げます。
社会福祉法人は、平成28年の社会福祉法人制度改革によりまして、経営組織のガバナンス強化、事業運営の透明性向上、地域における公益的な取組を実施する責務規定の創設などの改革を進めてまいりました。
また、人口減少や急速な高齢化、地域社会の脆弱化等、社会構造が変化し、国民の抱える福祉ニーズも多様化、複雑化している中で、社会福祉法人には既存の社会福祉事業にとどまらず、地域共生社会の構築に向けた重要な担い手といたしまして、包括的で切れ目のない支援などへの期待が高まっております。
一方、我が国の人口動態を見ますと、皆様御承知のとおり、2040年に向けまして生産年齢人口の減少が加速するなど、中長期的に人手不足などの問題が更に深刻化するおそれもあります。
こうしたことを踏まえながら、社会福祉法人が人口減少社会の中で、地域におけます福祉ニーズを確保しながら多様化、複雑化する福祉ニーズへ応えていくためには、組織運営に関しまして、柔軟かつ効率化していく必要があると考えております。
その一環といたしまして、本検討会では、社会福祉法人の協働化、大規模化に向けた取組の方向性などにつきまして、整理することを目的として開催するものでございます。
皆様におかれましては、今後の社会福祉法人の事業展開等につきまして、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
○高坂福祉基盤課長補佐 続きまして、資料の確認でございます。
厚生労働省では、審議会、検討会、各種会議等におけるペーパーレス化の取組を推進しております。本検討会につきましても、原則としてペーパーレスで実施することとしており、お手元のタブレットにて資料の御説明をさせていただきます。
先ほど、開始前に、事務局からタブレットの取扱方法を御説明させていただきましたが、会議中、操作方法等に御不明点等がございましたら、挙手にて事務局職員をお呼びいただければと存じます。
次に、本検討会の座長の選出について御説明いたします。
資料1の開催要綱をごらんください。
資料1の「3.構成員等」の(2)におきまして、「構成員のうち1人を座長として厚生労働省社会・援護局長が指名する」との規定を踏まえまして、埼玉県立大学の田中滋理事長に座長をお願いできればと存じます。
早速ではありますが、田中座長から、一言、御挨拶をお願い申し上げます。
○田中座長 座長に指名いただきました田中でございます。
構成員の皆様方の協力を得て、円滑な議事進行に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 ありがとうございます。
それでは、ここからの議事運営につきまして、田中座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々はこれで御退出をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○田中座長 早速ですが、議事に入ります。
初めに、「社会福祉法人制度の現状について」を議題として取り上げます。
事務局より資料の説明をお願いします。
○朝川総務課長 総務課長です。
資料3をお開きいただければと思います。
資料3の3ページ目ですけれども、社会福祉法人制度の概要を改めて申し上げるまでもございませんが、社会福祉法人は、社会福祉法の規定に基づいて、所轄庁の認可を受けて設立される法人でございます。
「3.運営」を見ていただきますと、「社会福祉法人は、その非営利性・公益性に鑑みて、運営にあたって強い公的規制を受ける一方で、税制優遇措置や補助金の交付を受けている」ということです。
公的規制としましては、原則不動産の自己所有でありますとか、解散時の残余財産は最終的には国庫等に帰属することになっております。
また、支援措置としては、法人税の非課税でありますとか、施設整備費の補助といったものがございます。
次に、4ページ目は、社会福祉法人数の推移のグラフでございますけれども、近年は微増の傾向でございまして、現在は2万838ということで、2万法人を少し超えている状況でございます。
5ページ目、6ページ目は、法人の所在地別の状況をお示ししているものでございます。
7ページ目の下の「1-4.設立認可からの経過期間別法人数」を見ていただきますと、山が2つございます。30年から50年ぐらいのところに大きい山がございますのと、あとは10年から20年ぐらいのところにも大きな山が1つあるということでございます。
次に、8ページ目は、「サービス活動収益」の規模別の法人割合でございますけれども、最も法人数が多いのは、収益1億円から2億円未満のところが約4分の1で、26.5%を占めてございます。
また、真ん中のほうに四角で囲ってございますけれども、平均は約5億円という状況でございます。
9ページ目は、現況報告書の集約結果に基づいて、サービス活動増減差額率の分布をグラフにお示ししているものでございます。全国平均ですと2.67%で、中央値は2.39%で、分布は図のようになっているということでございます。
次に、10ページ目は、分野別の法人の状況を参考に挙げてございます。少し傾向がございますが、保育のところは、公立の保育所が結構ございますので行政が3割ぐらい、社会福祉法人が半分ぐらいを占めています。障害と介護の分野は、社会福祉法人はそれぞれ29.3%と26.0%でございます。
以上、社会福祉法人に関する基本的なデータを見ていただきました。
11ページ目は、この検討会で御議論いただく大きい社会の背景として、2025年以降の人口構造の変化、社会の変化といったものを参考に挙げさせていただいております。
左下の棒グラフを見ていただきますと、2015年が実績値で、右側の2025年、2040年の2つが推計値でございますが、下から2つ目の緑色のところが生産年齢人口に当たる部分ですけれども、2025年から既に減少が始まっているわけですけれども、2025年以降のところではかなり急激に減少していくことが見込まれるわけでございます。そういう中で、社会福祉サービスのしっかりとした維持をいかに図っていくかという大きい課題があるということでございます。
12ページ目は、地域別の少子化、高齢化の状況を図で見たものでございます。15歳未満人口を見ますと、かなりのところがブルーになっておりますので、減少が既に大きく始まっているのが見てとれます。
一方、右側の75歳以上につきましては、まだ都市部はこれから増加していくということでございますけれども、地方においては既に減少が始まっている地域も結構あることが見てとれるかと思います。
次に、13ページ目からは、前回行いました社会福祉法人制度改革の実施状況について、資料をおつけしております。
14ページ目が前回の改革の内容でございまして、柱は5つございます。
1つは、経営組織のガバナンス強化。
2つ目は、事業運営の透明性の向上。
3つ目は、財務規律の強化。
4つ目は、地域における公益的な取組を実施する責務。
5つ目は、行政の関与の在り方ということで、比較的大きな制度改正が平成28年の法改正で行われているということでございます。
その一部の実施状況について資料をつけてございます。
15ページ目は、社会福祉充実財産を有効活用するということで、いろいろな積立、将来の建替費用であるとかそういったものを控除していった後に出てきた残額、これについては一番下にございますように、第1順位から第3順位の、社会福祉事業、地域公益事業、公益事業という順番で、計画的に充てていっていただく枠組みになってございます。
16ページ目は、その実績値ですけれども、16ページ目の左下に全国の社会福祉法人の社会福祉充実財産を足し上げたものが4,939億円という状況でございます。
また、右側に4番ということで表を掲げてございますけれども、充実財産が生じた法人についての計画の内容がどういったものになっているかをお示しさせていただいております。
また、17ページ目でございますが、これは全ての社会福祉法人に係るものでございますが、「地域における公益的な取組」につきまして、責務規定が創設されておりまして、地域における福祉サービスを社会福祉法人の責務としてしっかり取り組んでいくといったことになってございます。
18ページ目は、実際どういったことに取り組まれているかを例示としてお示ししたものでございます。
次に、19ページ目から、社会福祉法人の事業展開の現状の資料をおつけしております。
20ページ目は、社会福祉法人の事業展開です。このグラフの見方ですけれども、下のほうに小さい字で書いてございますが、複数の事業をやっているところは紫色で、赤い枠で囲ってございます。
あとは、高齢、児童、障害の種別で色がついてございますが、収益が5億円未満のところは単独の事業かつ児童の関係の事業が多いのが見てとれます。
また、大規模な収益20億円以上のところは、複数の事業を実施していることが見てとれます。
次に、21ページ目は、社会福祉法人の法人合併の現状で、平成20年度以降の推移を表で掲げてございます。基本的には年間10件から20件程度という状況でございます。冒頭に見ていただきましたとおり、社会福祉法人は全部を合計しますと2万強の法人数がございます中でのこういった数字でございます。
また、これらの法人につきまして、近年に合併したところについて、少し合併の種別とか理由をアンケート調査した結果が22ページ目でございます。
左側の表ですが、どんな理由で合併したのかということについてお伺いしますと、一番多いのは「業績不振法人の救済のため」です。次が「人的資源の効率化、合理化のため」となってございます。
また、上の真ん中の表ですが、どんな種別で行われているかにつきましては、基本的には高齢も障害も児童も同じぐらいの感じになってございます。
23ページ目は参考でございますが、この検討会を開くのに先立ちまして、私ども事務局のほうでヒアリングを幾つか実施させていただいている概要をお示しさせていただいています。
【ヒアリング対象】は、合併経験のある社会福祉法人、監査法人、コンサルティング会社、福祉医療機構、あとは所轄庁にもお伺いをしているところでございます。
【主な指摘のあった内容】としましては、○の2つ目の、法人間の連携について取組を進めることが有意義であるという御意見です。
3つ目は、後継者不足や経営難の中で一定の合併ニーズがある一方で、所轄庁が合併の手続に疎い。
あるいは、合併等の際の会計処理に一部不明点があるため、明確化してほしい。
さらに、まずは合同研修であるとか人事交流というところから取り組むのが望ましいのではないか。
さらに、社会福祉法人は株式会社とは違うので、相手先を見つけることが難しいという御意見もございました。
次に、24ページ目は、法人の協働化、大規模化といったことを考えていくに当たって、必ずしも合併という手法ばかりではございませんで、むしろ合併は例外的な取り扱いになってございます。
一方で、地域では、いろいろな取組を協働で進めることが近年求められるようになってきております。そういう取組を進めるための予算事業を近年実施し始めております。これが「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」でございまして、行いますのは地域貢献です。前回の社会福祉法人改革で、社会福祉法人に責務として課されております地域貢献の取組。実施する意欲があっても職員体制の脆弱性であるとか、単独で取組づらいという場合もありますので、そこは地域でネットワークを組んでいただいて、お取組を進めていただくことも有効であろうというのが一つの趣旨でございます。
下の図の右側にありますとおり、2つの事業の取組を進めていこうというものでございます。
➀は、各法人の強みを活かしながら地域貢献のための事業を協働して実施していくというものです。
あわせて➁でございますけれども、社会福祉法人は、近年、人材確保が非常に難しい状況にございますけれども、福祉・介護人材の確保・定着に向けた連携を推進する。そういった取組を推進しようというものでございます。
26ページ、27ページ、28ページ目は、この予算事業で取り組んでいただいている実例を幾つか整理してお示しさせていただいております。
例えばということで、26ページ目の1つ目の例は、山形県の特養の施設長の連絡会が運営されているネットワークでございます。左側の協働事業につきましては、防災のネットワークでありますとか、生活困窮者、障がい者への中間的就労でありますとか、あるいは刑務所出所者への一次生活支援です。4つ目は地域住民の買い物支援といったものを協働で取り組んでいこうというものでございます。
また、右側の「人材確保・定着のための事業」を見ますと、介護の魅力発信でありますとか、合同研修会の実施でありますとか、そういった取組を進めておられるということでございます。
27ページ、28ページ目は、同様に他の事例をお示ししております。
29ページ目、30ページ目は、政策としてこの検討会で議論を進めていっていただく上で、大きい流れとして地域包括ケアシステムの構築が進められているということです。
30ページ目は、近年、「地域共生社会」ということで、それを政策的にも強力に進めていこうということで、御紹介をしているものでございます。
31ページ目、32ページ目は、この検討会における議論にかかわる厚生労働省、政府側の取組でございます。2040年を展望して政策を大きく3つの柱で進めていこうということで、厚生労働省が今、取り組んでございます。
その中の右側の「医療・福祉サービス改革」の中に、経営の大規模化・協働化を医療法人、社会福祉法人について検討していこうということを位置づけてございます。
33ページ目です。関連する参考の制度としまして、医療法人につきましては、地域医療連携推進法人制度が既に制度化されて実施に移されているということで、参考に資料をおつけしております。下のほうに、参加する個々の法人、医療法人、公益法人云々とありますけれども、ここに社会福祉法人も参画できますけれども、これらの法人が参画する法人をつくって、法人の形は維持しながら法人間の連携をより強めるという枠組みが制度的につくられていて、34ページから38ページにかけてが実際に設立されている事例でございます。御参照いただければと思います。
今まで御説明してきたことを受けまして、この検討会で検討していただきたい主な事項として、事務局のほうで整理させていただいたものが40ページ目、41ページ目でございます。
40ページ目は<現状認識等>でございます。社会福祉法人につきましては、平成28年の社会福祉法の改正で、冒頭のほうで見ていただきましたとおり、経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上等の改革を行っております。これまでのところ、関係者の皆様の御協力によりまして、おおむね順調に施行されてきていると認識してございます。
一方、我が国の人口動態を見ますと、既に減少に転じている生産年齢人口は、2025年以降さらに減少が加速するなど、2040年に向けて、現役世代の減少が大きな課題となってまいります。そういう中で中長期的に、人手不足などの問題がさらに深刻化するおそれもあるということでございます。
3つ目は、このような人口減少あるいは急速な高齢化、地域社会の脆弱化という社会構造の変化の中で、社会福祉法人が法人の責務として、既存の制度では対応が難しいような地域ニーズといったものを積極的に把握し、対応していっていただくといったことが求められてございますので、今後とも、地域における公益的な取組をより一層進めていくことが期待されてございます。
さらに近年は、地域包括ケアシステムの構築、地域共生社会の実現といったところで、法人間で連携しながらサービス提供していくといったことが求められてもいるということでございます。
以上を踏まえますと、人手不足などの問題が深刻化することが見込まれる中、地域における福祉サービスを確保するとともに、社会福祉法人が地域共生社会の実現に向けた取組等をより一層進めていくために、次ページの取組についてどのように考えるかということで、議論を深めていただきたいということでございます。
<全体の方向性>としては、41ページ目にまずは書かせていただいております。こういう人手不足あるいは多様な福祉ニーズへの対応、地域包括ケアシステムの構築、地域共生社会の実現といった課題に取り組んでいくために、経営の協働化あるいは大規模化といったことを取組やすくしていくことが有効ではないかというのが一つでございます。
そのため、先ほども御紹介しましたような予算事業の取組を現在進めておりますので、これをさらに有効に進めていくために、御意見を賜ればと思います。
また、より具体的な論点としましては、社会福祉法人の協働化、大規模化といったことを取り組む上で、一つの方策であります合併や事業譲渡といったことを活用する場合の話でございますけれども、任意の仕組みでございますので、活用しやすくなるような取組として3つ掲げてございます。
先ほど、ヒアリングの結果を簡単に見ていただきましたが、その中で、合併の手続に所轄庁側も少し疎いところがあるということに関しましては、希望法人向けのガイドラインの策定を進めていく。
2つ目として、相手方を見つけることが難しいということにつきましては、マッチング支援も考えていかなければいけない。
3つ目として、会計処理に不明な点があるという点に関しましては、会計専門家のお力をかりて、別の専門的な検討会で整理していくといったことを進めてはどうかというものでございます。
最後の3つ目でございますが、後半のほうで参考に少し資料を入れておりましたけれども、法人間の連携を図っていくときの一つの方策として、医療側では地域医療連携推進法人という制度が設けられております。これに社会福祉法人も参画することは可能ではございますが、あくまでも主は医療法人でございますので、社会福祉法人が主体となった連携法人制度といったものがあったほうがよいかどうか。よい場合にはどういうことを留意して制度設計をしたらよいかといったことを議論していただければと思ってございます。
41ページ目に掲げておりますのは例示でございますので、それ以外の点も含めて議論を深めていただければと思います。
説明は以上でございます。
○田中座長 説明ありがとうございました。
早速ですが、意見交換に入ります。事務局で40ページ、41ページにまとめた検討が必要な事項がありますので、これにのっとって進めてまいります。
実際には2つに分けるのは難しいかもしれませんが、一応分けて、40ページの<現状認識等>と41ページの<全体の方向性>までを先に議論し、その後に<具体的方策>に移るという手順でまいります。実際にはまじってしまっても仕方がないです。
初めに、もし資料等で質問があれば結構ですし、<現状認識等>並びに<全体の方向性>についての御意見があればお願いいたします。どなたからでもどうぞ。
松山構成員。
○松山構成員 松山でございます。
事務局に質問なのですけれども、資料の20ページに、「単独事業(高齢)」「単独事業(児童)」「単独事業(障害)」「複数事業」というふうに、きちんと社福の中身を見てデータをつくられているのですけれども、これをつくられるのであれば、財務データの全体平均値も施設種類ごと、ぜいたくを言えば都道府県別にデータをつくっていただけないかと思います。それを見ると、全体平均値とは別の姿が見えてくると思います。
もう一つは、社会福祉充実計画の財源について、5000億円弱の数字が出ていましたけれども、実は一番お金がたまっているのは社会福祉協議会でありまして、これは2016年のデータを集計すると、1,842の協議会で借金除きの金融資産が6000億を超えているのです。
これは後で議論になると思うのですけれども、地域で連携の仕組みを社福でつくるというときに、もともと業界団体である協議会にあるお金も使えるような仕組みをつくる必要があるのではないかと私は思います。
今はそれぞれ積み立て目的が明確になっているのですけれども、そのお金は寄附とか自治体からの補助金が原資ではないかと思うのです。それをもう少し今後の改革のために使うような議論も、後でしていただければ非常に助かるなというところです。
あと、ちょっと不思議に思ったのですけれども、23ページにヒアリング結果ということで、「株式会社のM&Aと異なり、社会福祉法人は買い手を見つけることが困難」とあるのですけれども、そもそも社会福祉法人は売買の対象にはならないですよね。この感覚がちょっとよくわからないという意見です。
○田中座長 意見でよろしいですか。
○松山構成員 事務局に答えていただければ助かります。
○田中座長 では、答えられる部分についてお願いします。
○朝川総務課長 ありがとうございます。
まず、冒頭におっしゃっていただきました、財務データをよりいろいろな形で分析をしたらという点につきましては、これは松山構成員が御専門でやっていらっしゃるところでもございますので、よく御相談しながら取り扱いを考えていきたいと思います。
また、社協の活用の点につきましては、これもまたこの場で議論を深めていただければと思います。
最後の点は、表現が我々のあれというよりも、ヒアリングのときにそういう意見があったということで書いてございますが、おっしゃりますとおり、社会福祉法人は別に売買するものではございませんので、ふさわしくない用語であると思います。
○田中座長 質問及び40ページ及び41ページの上までのところで何かあればお願いします。
千葉構成員、お願いします。
○千葉構成員 全体的に社会福祉法人の置かれている現状とか、期待されているものが非常によくわかった内容でございます。
1、2点確認をしたいことと、今あったやりとりの中で気になった点をお話ししたいと思います。
まず、1点は、この全体の検討の狙いを私が言葉で整理している中でいうと、今後いろいろな意味で社会が変化していく中で、例えば担い手としての人手も厳しいという供給制約がある。なおかつ一方では、共生社会とか包括ケアシステムというような、要は、地域をさらにより深掘りして、地域住民のための活動をしていかないといけないということがある中で、それをいかに円滑にして、また効果的に動かすかという問題の解決策をどう考えるかと捉えたので、それでいいかというのが一つです。
そのときに気になってくるのが規模の話です。例えば、よくこの下のほうでも例で合併とかがあるのですが、必ずしもその方策が位置づけとしてそれだけっぽく聞こえてしまう。たまには協働化という言葉が見えてきているのですが、私としては必ずしも合併とかが全ての方策というか、ソリューションにはなり得ないだろうというのを一つ感じます。
また、私自身も福祉医療機構でいろいろデータ分析をしてきた中で感じているのは、大規模化ということについて、幾つか世の中の方々の一般の論調で違和感を感じる点があります。特に法人が1法人1施設は非効率だと、かつてよく言われたのですが、一方で、法人の中の施設数がふえれば効率化するのかというところについて、多少疑問を感じているところであります。
今まで我々が分析してきた中でいうと、規模で影響するのは社会福祉事業の場合、一つ一つの施設の定員数が大きくなるか小さいままでいるかというところでは、ある程度の傾向は見てとれます。しかし、例えば小さい施設をいっぱい持っていても、非効率なものをいっぱい抱えて、結局全体をまとめれば効率化するかというのは、今までデータ分析をした経験上、余り見出せていません。
そういう意味では、例えば経済的な収支差額、増減差額という形で、法人が有している施設数がそういうものに影響しているとはどうも考えにくいので、注意深く読んでみると、この検討の目的が社会全体の経済的な支出を節約するという目的は余り見てとれなかったので、それはそれでいいのだろうということで確認したいのです。
むしろそれよりも、やった活動の効果とか、または自分は保育しかやっていない、介護しかやっていないけれども、例えば障害の方が来たらどうするとか、生活保護の人をどうするというときに、いろいろな法人が手を組みながらやっていくという活動が、いろいろな社会ニーズ、特に今、複雑化した8050問題とかいろいろな問題を言われていますが、そういうものに対するいいソリューションになるのではないかということです。
そういう側面で、今の制度で例えば昨年度来、予算化して連携のネットワーク事業を進めていらっしゃるとか、そういうことを含めたときに、連携が今、やっと緒についたと思うのですが、それがうまくいかないとか進まないことが仮にあったとするのであれば、それが何なのかというのを今後考えていくべきではないのかなと思っています。
それから、最後、これは松山先生のお話のところで気になったのですけれども、社会福祉協議会の件は、先生の書かれた新聞の記事を拝読して、おっしゃることは大体理解したつもりなのですが、多分、社会福祉協議会の実施している事業の特性に根ざしたところがあるのではないかと感じます。社協の場合に、大きく2つの金融資産を有する要因のある事業を実施していることを考えていく必要があると思います。
1つは、地域の福祉資金貸付事業です。これの関係で、要は、低所得者、困窮者に対する貸し付けということで貸付債権、いわゆる資産があるということです。
2つ目は何かというと、退職共済制度の県のバージョンで、県社協等が実施しているものです。あれも退職共済掛金の積立資産が法人の中に存在していますから、純金融資産という意味では非常に多額のものが存在することになります。それはある断面での資産という形態をとっていたとしても、必ずしも今回の話の俎上にのるものなのかどうかということも含めて、今後分析されるということですから、お考えいただいたほうがいいのかなと私は思いました。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
質問の部分についてお答えください。
○朝川総務課長 まず、冒頭でこの検討会での議論の捉え方ということでおっしゃっていただいたのは、まさにそのとおりでございます。その後の話も含めて申し上げますと、法人そのものを大規模化することがこの検討会での直接の目的かと言われると、そういうことではなくて、むしろまさにおっしゃいますように、地域のニーズがこれからいろいろな複雑化、多様化していく、あるいはそういうユーザーサイドから見て、サービスあるいは福祉がより多く提供されるためには、どう法人が協働していっていただいたり、連携していっていただいたり、場合によっては大規模化を図っていっていただいたりということを考えていきたいということでございます。
したがって、マクロで見た財政的な費用の効率化は、結果として出てくればそれはそれでいいことかもしれませんが、それを直接目的としているということでは決してなくて、社会福祉法人が今後、人材確保が非常に難しくなっていく中での人材確保の仕方であるとか、あるいはその地域で地域包括ケアで本当は連携をしていかなければいけないのだけれども、連携が進みにくいということであれば、連携を促進するためにはどういうことを考えたらいいのかといったことを念頭に置いて議論をしていただければと思います。
社協の点につきましては、分析をする必要があると思いますが、少なくとも今あるお金の議論はともかくとしましても、社協は社会福祉法人を会員とする組織であって、そもそもいろいろな社会福祉法人が連携していくときに一つの核となって、あるいは最近の言葉で言えばプラットフォームとなって取組を進めていっていただくのは重要なことだと思いますので、この検討会には法人側の方々にも御参画いただいておりますので、いろいろな取組を今後御紹介いただきながら、社協の取組も進めていく議論が深まればいいように思います。
○田中座長 松山構成員。
○松山構成員 千葉構成員からの御指摘なのですけれども、私が2016年の数字で社会福祉協議会の純金融資産が6056億円と言うのは、まず、退職金の積立金は入っていません。それは当然除いています。
それから、その他の施設経営をしている社福の金融資産を計算するときも、退職金関係は全部除いて計算しています。
それから、貸付金の事業があるから積立金があるとおっしゃったのですけれども、私は社協の財表を全部細かく見て、勘定科目を一つ一つチェックしながら集計していますので、私の記憶では、貸付金事業のための積立資産はごく一部だと認識しています。私は別に社協の今の状態を批判しているわけではなくて、そこに財源があるのだったら、もっと活用したら役割が高まるのではないかという提案であります。
もう一つ、大規模化の議論をおっしゃっていたのですけれども、まず、私が感じているのは、生産性向上というときに何を見るかというと、そこにいる職員のレベルというか、人が育成されているかを見ているのです。さまざまなタイプの社会福祉法人と今までに議論させていただいたのですけれども、規模の大きなところの職員の方はレベルが相当高いのです。御自分で勉強して、問題を見つけてそれを解決していくという訓練を受けている。それに対して、1法人1施設というか規模の小さいところは、オーナーの意向が強くて、人が育っているとはちょっと思えないです。
それから、社福協議会で私が念頭に置いているのは大阪府の社協です。あそこで生活支援事業をやられていて、かなりの成果を出されているのですけれども、やはり財源が足りない。私は、国からの補助金の付与を考えるときに、そういう頑張るところに流れるようなことをしてあげれば、現場の方も助かるのではないかという趣旨で申し上げております。
以上です。
○田中座長 藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 3点です。
今、議論されている社協の件ですが、まず退職金の話は恐らく違う話をされているのではないか。個々の社協の退職給与引当金と、都道府県社協が退職手当共済事業のための会計処理との違いがあるのではないか。
それから、松山構成員がおっしゃっているように、社協の貸借対照表には一般の社会福祉法人にはない、比較的大きな金額の基金が積まれていることがある。そして、それは、私が知る限り、もともとは目的があって積まれていた基金であったものが、いわば宙に浮いたといいますか、社協側が自由に使えるといったタイプのものではない、「塩漬け」になっているものがあります。これらの「基金」をこの機会に検討して、積極的に使えるものを使っていけばよいのではないか、この点では、私も、千葉構成員と松山構成員と同じ意見です。ただ、これは細かく一つ一つ社協の方に聞かないと、基金の名称からしてさまざまなものがついていまして、さまざまな経緯がございます。単純な財務分析では実態は把握できないと思われます。
あと2点なのですが、先ほど、朝川総務課長が整理いただいたように、共生社会に向けてどのような連携とか規模の拡大とかを図っていくかということで、目的は共生社会で、方法が協働、連携、合併といったことかと思うのです。共生社会といった場合なのですけれども、現状認識のところに書いておられる、人口減少社会で高齢化が進むということなのですが、先ほど、松山構成員から、都道府県別に見ると大分違う姿が見えるということでしたけれども、もう一つは、地方と都市、それから中央と都市でかなり違った様子が見えてまいります。
ざっと試算してみたのですけれども、2010年から2015年の間に、国調で高齢者数すら減っている自治体が220余り、ここには485の社会福祉法人がございます。当該自治体の人口規模に照らし合わせると、大体人口2,000人に1つぐらい社会福祉法人があることになります。日本全国でみますと、社会福祉法人が2万法人で人口1億2000万余りですから、人口6,000人に対して1つの社会福祉法人です。つまり、高齢者すら減ってきているという地域においては、3倍程度の頻度で社会福祉法人が存在していることになります。当該地域では、共生社会云々に加えて人口減少がかなり厳しい段階まで来ている中で社会福祉法人が期待される役割が異なるのではないか。あらゆる地域に社会福祉法人を作ってきたことを、ナショナルミニマムとしてどのように活躍してもらうかということが期待できるのではないか。
また、今ほど社協の話が出ましたけれども、220余りの自治体の485法人のうち、当然のことながら1市町村に必ず1社協があるので、この485のうち229が社協なのです。私がある県に先日お邪魔したときに、そこは人口減少、高齢者すら減ってくる市町村が多い県なのですけれども、ほぼ全ての社協がいわゆる「事業型社協」で、介護であるとか保育とかをやっておられました。おそらく、一般の社会福祉法人が担いきれない部分を、社協が対応せざるを得なくなっている面もあるのだろうと思われます。こうした状況における社会福祉法人の話と、例えば中規模の10万、20万ぐらい、あるいは中核市、あるいは大都市における像は多分違うのだろうと思います。
2010年から2015年の間に高齢者数も減っているというのは、2040年になりますと、かなりの市町村で、先ほど図を見せていただいたように、より一般的な姿になりますし、いかに縮むかということをあわせて、いかにナショナルミニマムを社会福祉法人が担っていくかということになりますので、今回、喫緊の議論ではないのかもしれないのですけれども、そこに向けた議論、検討、イメージが必要なのではないかということが2点目です。
3番目なのですけれども、先ほど、千葉構成員から効率化のお話がございまして、私も全く同様に、一つ一つの特養が、1施設1法人が2つになったからといって効率化するという単純なものではないと思います。要らないことを言いますと、厚生労働省が厚生と労働が一体になって果たして効率化したかというような問題と同じでございます。
ただ、一つ言えますことは、今の時代、こうしたことでこういう議論がされていて、社会福祉法人でこういう期待がある、ではこうやっていこうといったような戦略を考えたり、頭を使う。あるいは松山構成員のおっしゃったような人材育成のシステムということになりますと、一つはヘッドクオーターにきちんと人を、現業のケアをやっていない、現業の社会福祉事業をやっていなくて、戦略とか間接的な部分を担う人たちにある程度の人材を置いておかなくてはいけないという意味の規模の拡大は恐らくあるのだろうと思うのです。サービスそのものは、規模を拡大して効率化するタイプのものではないと思うのです。
そのときに、ざっくり言いますと、医療とか介護はヘッドクオーターのコストに売上高の10%もとっているところは珍しくて、5%ぐらいだと思うのです。ここら辺は松山構成員のほうが詳しいと思います。そうすると、売上高1億円ぐらいのところでヘッドクオーターに5%ということになると500万円で、1人が現業につかないでいられるぐらいのコストでございまして、これでは今後変わりゆく時代において、社会福祉法人にさまざまな期待をお願いするといっても、今、目の前のことをやるのに精いっぱいということになるだろうという意味で、協働化というスタイルになってくるのだろうと思います。
ただし、その先に、今回ではなかったとしても、効率化、社会保障給付というものをいかにふやしていかないかという圧力はあろうかと思いますので、その話はあくまで手段であって目的ではないというのはよくわかりましたけれども、そこへの道筋を見える形で検討事項として残しておくことが必要かと思っています。
以上です。
○田中座長 いずれも貴重な論点をありがとうございました。
特に2番目の人口減少地区の話はここに出ていない別の観点でした。
本永構成員、お願いします。
○本永構成員 同じく16ページの資料のところで、充実計画の策定状況の話です。ここで充実財産の総額4,939億円が注目されていますけれども、実は見るべきところはその上の表の、充実残額がないところが9割あるというところです。効率化の話はここの9割の話だと思うのです。9割も充実残額が出ない法人がある。そこのところにおいても、24条2項における、「地域における公益的な取組」を義務的にやらなければいけない。そのために、財源がないにもかかわらずそれを行わなければならないというので、単独法人では難しいので、協働化して小規模の法人でもプラットフォーム化してやりましょうというのが今回の一つの論点なのかなと思います。
それから、4,939億円は総額ベースでありますけれども、「社会福祉充実計画」そのものが、それぞれ個々の法人がそれぞれの地域においてみずからの財源を使って地域に返していくということですから、総額を寄せ集めてどこかで投下するという話ではないので、総額ベースというよりは、残っている法人がどれぐらいの割合であるのとか、どこのエリアにあるのかというほうが重要な論点のような気はします。
もう一点は、効率化の話のところで、確かに1つが2つになったからといって効率化するということではないというところですけれども、その部分においても、冒頭のところにも書いてあるように、人材を獲得することが難しいことが前提にあるとするならば、少ない人数でより効率的に仕事をこなしていくことを目途として、それの障壁となっているものは何かというところを取り除いていくことで、例えば2つ、3つの法人が事業で1つのものを使うことができるようにしていく。そのことがこの会の一つの具体的な目的なのではないかと思うのです。
そこの部分の論点として、合併というのは最終的な手段ですけれども、2つ、3つの法人が例えば事業の一部を協働化するという方法で、人件費等の固定費をいかに削減していくことができるか。費用の部分だけではなくて、今まで各法人に3人ずつ置いていたものが、3つの法人で6人でできるようにするにはどうしたらいいか。そのことが大事な論点だと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 全国経営協の宮田でございます。
先ほど、松山構成員から大阪の例を出していただきましたけれども、私は実は大阪でございまして、ちょっと紹介させていただきますと、大阪のしあわせネットワークは、もともとは平成16年度から取り組んでおりまして、大阪府社協が核になって、当初は大阪府老人施設部会の会員施設が拠出金を出して、制度にのらないところについての援助をしてきました。
平成27年度から大阪府の全種別での取組になりました。平成29年度の実績で申しますと、1年間の拠出額は総額で1億7325万1500円です。実際に使った金額が1億5048万1000円です。資金的に大変ということではなくて、この間、大分いろいろな規制緩和をしていただいたのですが、施設の職員を実際のソーシャルワークに出していくときに専任規定とかその辺の規制があると、専属の要員として別に1人雇わないといけないということが非常に阻害要因になっていたので、その辺をしっかりと今回規制緩和していただいて、非常に有効に動けるようになったということです。
全国経営協といたしましても、こういった取組を全国で推進していこうということで、今年度の実績で言うと、47都道府県中42都道府県で、都道府県の社協が中心となって社会福祉法人間の連携による地域における公益的取組の推進を行っているということで、進めていっているわけではあります。
この先、地域共生社会を展望するとき、もちろん社会福祉法人が中核になっていかないといけないことが期待されているわけでありますけれども、その中で、まずは我々としては、しっかりと現行の社会福祉法人がしっかりと協働していくところから始めることが一番効果的なのだろうと思っております。
また、先ほど松山構成員から、大規模な法人ほど職員の質が高いという御指摘があったのですが、私は必ずしもそうは思っていなくて、小さい法人というのは、おっしゃるようにそこのトップの意向が反映しやすいので、非常に優秀なトップがおりますとそこの職員は非常に優秀になりますし、振り幅が大きいのだろうと思うのです。組織が大きくなっていけば、そこの振れ幅が、一定のところに収束するのだろうと思いますので、必ずしも小さいところが人材の質が低いのだということにはならないと思います。
以上です。
○田中座長 御指摘ありがとうございました。
久木元構成員、お願いします。
○久木元構成員 宮田構成員からも大阪の法人連携の取組の話がありました。私は地元が鹿児島でございますが、鹿児島県においても鹿児島県社会福祉法人経営者協議会が主体となり、生活困窮者のレスキュー事業「かごしまおもいやりネッワーク事業」が、昨年7月からスタートを致しました。社会福祉法人の複数間法人連携により多様な福祉課題に対応する活動を行う目的で、85の法人に参画いただいております。私も鹿児島県社会福祉法人経営者協議会の会長として、今ネットワーク化での活動推進に鋭意努力しております。
この法人間連携事業の次の目標としては、災害支援のネットワークづくりにも活かせないかと考えております。さらなる方向性としては、市町村社協、県社協も参画いただいておりますので、地域における法人間連携事業活動、つまり、各市町村圏域におけるネットワークの構築にも取組を拡げていきたいと考えているところでございます。
ただ、先ほども申し上げました通り、県内に500以上の法人がある中で、今、85法人の参画ということでございます。1年目スタートしたばかりということもありますけれども全ての法人に参画いただいている状況ではございません。このように全国で始まりつつある社会福祉法人の複数法人間連携・ネットワークによる事業活動の取組に対して、国としても後押しをしていただけないものかと思います。この連携の輪を拡げていただくような政策を是非お願いしたいと思っています。これらの取組が地域の様々な活動へと大きく拡がっていき、国が目指す地域共生社会の実現に繋がっていくのではないかと私自身も期待をしているところです。
合併とか統合という話がございますけれども、数がまだそんなに多くないというのは、まだそれ程ニーズがないということかもしれません。法人格を持つ組織でありますから、それぞれの思いが合致しなければ、合併や統合という話にはならないのではないかと考えております。理念の共有が図られる場合にはそういうケースもあるかもしれませんけれども、現段階ではネットワーク化の推進の方が現実的なのではないかと考えてます。
○田中座長 ありがとうございます。
松原構成員、お願いします。
○松原構成員 日本のほとんどの企業が中小企業あり、中小企業でピリっと光る企業があること、かつ大企業もかつては中小企業から事業をスタートしたことを考えると、規模と職員レベルは関係がないと思います。
この検討会の認識としましては、規模が大きいところのほうが職員レベルが高いから大きくなりましょうではなくて、職員レベルと規模は関係ない。ただ、一方で規模が大きいと教育面などいろいろ便利なところもあるでしょう。また、規模等によるメリットについて合併という方法もあるし、先ほどから話の出ている連携という方法もあるでしょうし、それらの実現に向けて、今、ネックになるところがあるのであれば、福祉制度の目的に沿っている限りそれは変えていけるのではないかという趣旨だと理解しております。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
原田構成員、お願いします。
○原田構成員 今、先生方のお話を聞きながら、共通する部分が多々あるわけですけれども、地域共生社会を具体的に展開しようとしましたら、より身近なところでの小規模多機能化と、ゼロ歳から100歳の包括的支援をどう展開できるか。それをするための財政基盤がないとなかなかできないという現状の中で、今回、法人のあり方をどう考えていくかというところが一つの理念と方向性ということで議論がいただけるといいなと思うのですけれども、同時に、それをしていくためのさまざまな規制緩和であるとか制度の見直しみたいなところも、必要があれば議論ができたらいいなと思っているところが一つです。
もう一つが、実際のところ、施設経営から法人経営へという形で時代が変わってきたときに、よく法人の皆さんがおっしゃるのは、きょうは理事長さんたちがたくさんいらっしゃるわけですけれども、法人マネジメントができる職員がいるかどうか。そういう意味では、従来の施設管理という視点ではなくて、法人の経営ができる職員養成みたいな、これは藤井先生が御専門のところですけれども、そこのところをあわせて議論していかなければ、法人経営の担い手というところが定かではないということです。
それから、法人規模が大きいから、小さいから職員のレベルがというのは、今、皆さんがおっしゃったとおり決めつけてはいけないと思うのですが、大きい法人のほうが研修に出やすいとか、研修の機会が多いというのも、これは事実だと思うのです。小さい法人だと人手がないので、研修にも出られないようなとても厳しい状況があるという中で、そういう意味では、資質向上という意味でも、ある一定の枠組みをきちんと確保していかなければいけないという論点もあるのではないかと思っております。
○田中座長 ありがとうございました。
施設管理と法人経営の違いですね。
柴構成員、お願いします。
○柴構成員 私は違った観念で事務局にお願いなのですけれども、地域包括のケアシステム、ヘルスケアとかという話で、地域連携推進法人という制度が田中座長がやられた検討会で出されて法案が通ったという中で、なかなか難しい制度なのかなと思いつつ、きょう見たところ10個の法人ができているという意味での成功例があるわけですけれども、なぜその10個の法人が立ち上がることができたのか、その成功の原因は何なのかということです。局が違うのでちょっと難しいのかもしれないですけれども。
それと、できたけれどもその後はどうなるのかということです。本当にこの目的に照らした協働ができているのかどうかということです。
それとももう一つは、10個できているのですけれども、先ほどの一覧を見ていだたければわかるように、社会福祉法人が参画している数は極めて少ないのかなという印象を持っていまして、そこには入りづらい、あるいは何らかの規制があって入れないような状況がもしかしたらあるのではないかと思っておりまして、そこら辺の分析を進めていただけると、こちらのほうの福祉のエリアでも、あるいは合わせたエリアで、もっとよりよいものを検討することができるのではないかと思っております。よろしくお願いします。
○田中座長 既に具体的な方策について皆さんが踏み込んでいらっしゃいます。41ページの下のほうの<具体的方策>のところには、事務局から具体的方策が幾つか出ています。希望法人向けのガイドライン策定、希望法人向けマッチング支援の拡充、会計専門家による検討、最後に、今、言われた地域連携法人のあり方です。こういう具体的な話が出ていますが、こういう具体的なことに関する意見交換を行いたいと存じます。今までの大きい話よりも個別具体的な御意見があればお願いします。もちろん質問でも結構です。
藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 3点並んでいるものに1つずつあります。
1番目の合併等の手続に疎いという話は、そもそも地方分権で所轄官庁が市、特別区に移ったわけですけれども、区、市がいまだに設立等にすら慣れていない面があります。合併の手続に疎いだけではなくて、それ以前の部分に疎い状況がございますので、ガイドラインも必要だと思いますが、都道府県がきちんと関わることも重要ではないかと思います。
それから、2番目の用語の行政用語の「等」だと思うのですが、先ほど来出ていますように、今のところ合併というよりは事業譲渡を選択肢として見据えるべきで、救済型の合併というのは最後の手段であると私は思うのです。そうならないようにどういう形でやっていくか。特に、先ほど申し上げましたような人口減少地域、そうでなくても地方部に行きますと、特養の定員を減らしていかなければいけないということになっているときに、例えばそれを事業譲渡したときに、同じ形の特養をやるときに人材も確保できないということになりますと、サ高住にして定員を減らして引き受けるとか、そういったような受け方があるのだろうと思うのです。ですから、相手方を見つけるとともに、譲渡も「等」に明確に書いていただきたいといいますか、「等」にするよりは「合併・譲渡等」ぐらいに書いていただきたいという意見です。それから、譲渡の際に、今、申し上げた技術的な問題が結構潜んでいるのではないかというが2番目です。
それから、3番目の会計処理に不明点があるというのが具体的に何かということにもよるのですけれども、公認会計士協会で「非営利組織の財務報告の在り方に関する論点整理」というものを平成27年に出しておられ、その中に「のれん」の処理について言及されておりました。
昨今、グローバル化する営利法人のガバナンス、コンプライアンスの改革が行われる中で、会計の適切性やどう開示していくかという観点で改革が行われてきた。公益法人制度改革をみても、社会福祉法人制度改革をみても、この営利法人の改革に、非営利法人がキャッチアップしていくという面があったように思います。企業会計に引き寄せられていくことが正しいとは私は思っていませんが、企業会計にキャッチアップすべきという考え方に反論できる材料を、非営利法人が持ち合わせているとも言い難い。
実際にガバナンスに関して言いますと、法改正というのは明らかにアメリカ型のガバナンスのいいところを取り入れている部分があると思います。ただし、非営利法人というのは営利法人と違いまして、国によって非常に制度が違う。アメリカとの比較で言いますと、松山構成員が以前におっしゃっておりましたけれども、ノンプロフィットの団体の許認可というのは、日本でいう国税庁に当たる内国歳入庁がやっておられまして、要するに、税に当たる部分だけを、公益事業をやっていたら非営利で認めるという、極めてシンプルかつとりやすいというタイプの住民主体型といいますか、政府を信用しない型のものだろうと思うのです。
それに対して、日本における非営利法人というのは、欧米等ではないというふうに言われるぐらい、行政の強いかかわりのもとに生まれている非営利法人でございまして、行政が強くかかわっているから非課税であるという強い守税意識のもとにでき上がっているものですから、どうしてもアメリカのグローバルな会計に寄せていくことに関しては危惧を持ちます。
話が長くなりましたが、「のれん」ということに関して言いますと、のれんというのは形になっていないブランド等の無形財産を評価するということになりますので、一部の事業を譲渡してのれんをもらって、そののれんをもとに地域共生型の事業をやるという話であれば、すばらしい話になると思うのですけれども、社会福祉法人をやめようと思っているときに、のれんというものを活用して一旦社会福祉法人にお金を入れて、それを退職資金という名目で、いわば持ち分があるかのように渡すということが例えばできたりすると、松山構成員がおっしゃったように、現に社会福祉法人は売買できないはずなのですけれども、そういった形で現のオーナーに高額な退職金を払うという事実があるわけでございます。
会計というのはあくまで手段だと思うのですけれども、会計でより円滑化するとなりますと、社会福祉法人を非課税にするというのが地方税法上に明確に位置づけられているようなものはいいのですけれども、法人事業税、いわゆる法人税というのは、税制の通知1本で何とか、特に介護系は非課税になっているという状態ですから、いつ課税になってもしようがない。
先ほど、財源がないところで地方共生社会をなぜ社会福祉法人が担うという時に、社会福祉法人は、税制、法人所得税、法人事業税あるいは固定資産税制を優遇されている、それがまさに担える根拠であるという考え方で私はおります。それが明示されているわけではないですけれども。
この厚労省の構成員会は、課税か非課税かを議論するところではないとはいえ、会計の検討をなさるときに十分留意していただきたいのは、非営利法人の会計というのはおのずとグローバル化しにくい部分があり、なおかつ会計のあり方を変えることが、日本において非課税の疑いを持たせるという可能性もあるということですから、単に技術的な観点以外からではなくて、十分御検討いただくようにお願いしたいと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 41ページの<具体的方策>のところです。
希望する法人においてということを書いていただいていて、ここは非常に重要な点だろうと思います。つまり、それは法人の主体性で希望すればということで、その前提で所轄庁が合併等の手続をとる。これは実際にうちの会員の中でもありまして、北関東のほうにある法人で、そこは障害系が主体の法人なのですが、東京の障害の小さい事業を事業譲渡を受けようということで話がついたそうですが、そこの所轄庁は、前例がないということで事業譲渡の手続きにかなり苦労されたようです。希望する法人においてそういうことが円滑に行えるようなガイドラインとかマニュアルはしっかりやっていただきたいと思います。
2つ目の〇の社会福祉法人の連携法人制度については、我々としてはまだまだ検討すべき項目が多いと考えています。社会福祉法人は持ち分権がないわけでありますし、出資ができないのが大前提になっておりますので、それを連携法人ということでどこでグリップするかというのは非常に難しい。医療法人のような形ではいかないだろうと思います。それをやったところで、一緒になるときはいいのですが、何かがあって分かれるときにグリップがないわけですから、非常に問題が出てくるだろうということを考えると、これは慎重に検討していかないといけないのではないかという気がしております。
以上です。
○田中座長 御指摘ありがとうございます。
千葉構成員、どうぞ。
○千葉構成員 私も今までの議論とほぼ似たようなところでございます。具体的な方策については、まずは希望する法人において、あくまで法人自治が前提で、それを第三者である行政等が強権発動しながら統合していくのだというのはあり得ないだろうし、実際にそういうことを考えるべきでもないのだろうと思っております。
その中で、細かいところを幾つか見てまいりますと、例えばガイドラインの策定というところは、今の宮田構成員の話なんかを聞いていても感じるのが、行政が疎いとここに書いてありますが、やはり無理ですよね。例えば一般市の場合だと、本当に10とか20も法人があればいいというところに合併なんて毎年起きるわけではなくて、何十年に一遍起きるかどうか。そもそも今までに市ができて以来、そんな事案をやったことはないみたいな。多分先ほどの合併が年10件、20件というのは、いってもそんなものではないのかなと思うので、そこは前例がないといって尻込みするのは非常によくわかることでもあります。
逆に言うと、そういうところの情報提供をガイドラインというものを通してやるのか、いろいろ別の手段でやるのかはあると思うのですが、何でもかんでもだめというよりは、こういうやり方があるとか、希望してきている法人のことをよく聞きながら、例えば先行事例としてこんなことがあったというのを当てはめながら指導できるようなツールがあってもいいのかなという意味でのガイドライン。これがあるのかなと思います。
それから、相手方を見つけるマッチングというところでありますが、これを誰がやるのかというときに非常に問題になると思います。特に所轄庁が第一義的に多分あると思うのですが、所轄庁の場合というのは、あくまでも県庁が所轄庁である場合は別なのでしょうけれども、市だと市を超えての法人の連携、マッチングというのは権限上できにくいのではないかと思うので、そこはある程度行政区域を超えた、またはオールジャパンを見られるような主体が絡んでみるのもいいのではないかという感じはしています。そういうことで何かいい手があったらいいなというのを検討できたらいいなと感じているところであります。
それから、会計処理については専門的なお話で、いろいろなことをやり出したら切りがないのだろうと思うのですが、例えば私の属しているところでいうと、政策融資していますので、例えば返済が滞ってしまって、ほかの法人に事業を引き受けていただくという事業譲渡もあります。いわゆる債務引き受けをやっていただくのですが、そういうときに何か縛りになっているものがないのかとか、逆にそういうところで譲渡するときに、ほかの債権者がびっくりして駆けつけてきて取り立て騒ぎになってしまうみたいなことがあったりですとか、普通の企業と同じ列でやられてしまうようなケースもあろうかと思うので、その辺は違うのだということをしっかり示していく必要があります。これは会計の話というよりは、むしろガイドラインの話なのかもしれないです。
あとは、事業譲渡をするときにそれをどういう価値で評価するのか。単なる簿価上のものをやりとりするだけでいいのか、例えばデューデリジェンスのような多少事業価値みたいなものまでを加味したもの、そこが多分先ほど藤井構成員のおっしゃったような、のれんという話につながると思うのですが、そういうものまでをどこまで加味するのかしないのか。法人丸ごとでいったときは、買い手というのがそもそもなくて代金を受け取る相手もいないので、単に財産の登記簿上の甲区欄の所有権者がかわるだけでいいのでしょうけれども、法人の一部を切り取ってほかの法人に移すときは、事業の価値というものが多分出てくるのだろうと思います。
あわせて、それは会計上の価値ではないのかもしれないのですが、最近よくM&Aの話で耳にしたのが、いわゆる資産とか事業の価値だけでなく、労務デューデリジェンスなんて話を聞いたことがたしかあったのですが、いわゆる労働債務等の評価とか、または就業規則の不一致みたいなところにあるあつれきとか、それに伴って生じる見えないコストみたいなものです。これを会計で認識すべきかどうかはちょっとあるのですけれども、そういういろいろと立ちはだかってくるものもあるかと思います。
そういう意味では、その辺を考えるべきかなというのが、まず、上の○のほうの3点でございます。
最後に、2点目の連携法人のほうです。
これは連携法人ありきと考えるものでもないのだろうと思うのですが、逆に複数法人が手を携えてやろうとしているときに、先ほどの話でも、人員配置基準とか設備構造基準とか、または連携のために使う場を法人が提供したときに、それが補助金を受けていたときの目的外流用云々の話とか、いろいろ制度的な制約があって動きにくいという話もあるでしょう。
あとは、初期のころの大阪府社協さんで御苦労されたというのは、会費をどうするかというのがあったと思うのです。そういう意味では、法人外に資金が流出してはならないという現在のたてつけの中で、どこまでそれを連携という形の中で認めていくのか。逆に言うと、それを認めるための、法人よりも1つ外側の枠として何か考えるべきなのかどうかということも、一つのアイデアとしては考えておく射程に置いてもいいのかなという気がしています。
以上です。
○田中座長 いずれも貴重な御指摘をありがとうございました。
松山構成員、どうぞ。
○松山構成員 41ページのところに、希望する法人においてと書かれていて、今、それが議論されていましたけれども、社会福祉法人の地域連携もしくはグループ化を促進する仕組みができたときにもっとも喜ぶのは、既に規模が大きくなっているところです。特に病院経営もしている社会福祉法人に実は非常にグループ化のニーズがあるのです。なぜならば、規模の大きなところは、既に経営がおかしくなった社会福祉法人を救済のためにグループの中に入れてあげて支えていたりしているのですが、それを支えるときに、資金調達とか人材育成のところで自由にはできないという問題がある。そこをもし今度、厚労省さんのほうで検討なさる新しい仕組みの中で、より自由に一生懸命やるところが活動できるような仕組みをつくってくだされば、相当効果があるだろうと思います。一方、グループ化について今何も考えていないところは、よほど困らない限りどうするかというのは考えないと思います。
それから、地域医療連携推進法人の中で、全国のモデルになるのは山形の日本海ヘルスケアネットだと思います。あそこに社会福祉法人の経営者が参加することを決めるときの経緯とかも、私はよく知っていますけれども、何が重要かというと、地域住民の患者情報の共有なのです。それに賛同できるかどうかが一番のポイントです。それができなかったら、地域全体の地域包括ケアの効率化はできないということです。それに賛同して入ってくるわけです。
それと、私は以前から申し上げているのですけれども、実は地域包括ケアの主役は医療法人ではなくて社福だと思います。
以上です。
○田中座長 神田構成員、お願いします。
○神田構成員 41ページの<具体的方策>で、特に1つ目の○のところなのですけれども、私もまだ経験は浅いのですが、いろいろ法人経営の方と話もしたりする中で、合併の手続に疎いという1つ目のポツのところですが、年間10件程度という中で、ほぼどこの法人さんもまずイメージがしづらい。合併といったって、それはどうなのと。手続なんかはガイドラインをつくればいいのでしょうけれども、合併してどんなにいいことがあったのと。もちろんよくないことも含めて、具体的にこういうことがよかった、悪かったということをお伝えすることなんかも必要なのではないかと思うところです。
2つ目のポツです。これは千葉構成員からございました、合併の相手方を見つけることが困難だという点につきましても、これも現実問題として、まだ年間10件という中で、マッチング支援といったシステム、仕組みをつくるのはまだ現時点では時期尚早ではないかなと思います。
それから、当然、1つの所轄庁で、例えば市であれば1つの市で解決するようなことができないとなると、おのずから県庁、私のところは府ですけれども、そうしたところや、あるいは施設協、経営協等と連携した形で、個別具体の相談ということにきっとなるのだろう。
23ページのところにもヒアリングで、社会福祉法人のこれまでの歴史ですとか経緯ですとか、それぞれの成り立ち、理念とかが大きく違いますので、単純にシステム上でやれるものではきっとない。人の心のひだだったり、そうしたことで微妙なニュアンスとかも含めたことでの合併となるのではないかと思うので、そのあたりのケアは必要ではないかと感じた次第です。
私はたまたま以前に、平成の大合併、市町村合併ですけれども、そうしたことに少し携わったことがございまして、これも理念とかデータでは合併したほうがいいに違いないといったところでも、結局、最後はその首長以下、人の気持ちが合わなかったとか、あるいは住民の気質だとかが本当に大きく影響して、うまくいかなかったところも多々あります。成功した例ももちろんございます。そういったあたりの観点からの検討も必要ではないかなと感じた次第です。
以上です。
○田中座長 御指摘ありがとうございました。
柴構成員、どうぞ。
○柴構成員 合併の会計処理についてですけれども、ここでの議論を受けて、会計専門家による検討会のほうで整理していくということなのですけれども、先ほどの藤井構成員のお話で、平成27年に我々は非営利会計基準の論点整理というものを出したのですけれども、実はその際に深入りしたことは書いていないのです。
非営利組織の中には、社福と社福の合併というのであれば、それは比較的議論が簡単なのですけれども、社福と医療とか社福と農協という異なった組織間の合併の際には、持ち分があるところとないところがあるので、そういった際にはのれんも生じるのではないかという意味で書いているということです。
それと、実は社福と社福は無償で合併するわけですけれども、資産超過であれば負ののれんだと。債務超過であれば資産側にのれんが立つということが実は起こり得るのです。そういう議論を今後進めていかなければいけないのかなと思っています。
おっしゃるとおり、理事長に退職金を払うような話は、私ども会計の検討のほうでは論外の話になってくるのかなと思っていますが、そういう御意見もあったということは、きちんと検討会のメンバーの方にはお伝えしたいなと思っています。
この検討会のほうで、実は今、私が一番悩んでいるというか、社福と社福だけの合併の検討をすればいいのかどうかについては、また御議論いただければと思います。社福と一般の株式会社ですね。社福が一般の株式会社を吸収合併するとか、そういったことまで考える必要があるのかどうかということを、今、一番悩んでいるところです。
○田中座長 原田構成員、お願いします。
○原田構成員 <具体的な方策>のところで、今のお話をお聞きしながら、協働化と大規模化と2つあるのですけれども、どちらかというとこの資料で示されている点は今、ありました合併や譲渡を含めた大規模化のような議論が中心になると思うのです。
もう一方で、その前段階の協働化というところの論点だとか、先ほど出てまいりました人手不足の中での人材確保や研修のあり方や、あるいは協働事業をするときの支出の仕方とか、この協働化の論点あるいは具体的な方策みたいなのもあわせて議論いただくと、ここのところがもう少し膨らんでくるのかなと思いました。
○田中座長 ありがとうございます。
協働化の手段の一つが連携法人であって、連携法人が上位目的ではないですね。連携法人は手段ですからね。ありがとうございます。
久木元構成員、お願いします。
○久木元構成員 希望法人向けのガイドラインの策定についてですが、ガイドライン策定の前提として、所轄庁においても合併事例も少ないが故に、まだ認識が薄いということもあるのだろうと思います。社会福祉法人側から見ても、先ほど、神田構成員のほうからもお話がありましたように、合併によるメリットは何があるのか、わからないということもあるのだろうと思います。例えば、高いレベルでのサービスの質の標準化が図られるであるとか、あるいはスケールを活かしたキャリアパスの構築ができるというような具体的な事例があるのであれば、ここは是非とも出していただきたいと思います。また、逆にデメリットも当然あるのだろうと思いますので、先行事例の法人のいろいろな中身について、我々も少し知り得る情報があれば知りたいと考えているところでございます。
希望法人向けのマッチング支援については、先ほども申し上げましたように、あくまでも誰かに言われて一緒になるという話ではないと思っております。法人の意思のもと、お互いの法人で合併が必要だということであれば進めていくものだと考えております。しっかりとここのところは確認しておかなければなりません。
会計処理につきましては、現行の枠組みの中でも法人合併について、少ないながらも事例があるわけございまして、現行制度においても、法人合併ができないということではないと思います。ただ、これまでに、合併したいのにそれがやり辛かったとか、できなかったいう何らかの障壁があった事案が、もしあるのであれば、ここは少し中身について我々も知り得るところは知っていかなければいけないと考えております。
先ほど来、合併等の会計処理上のご意見が出ておりますが、社会福祉法人は、非営利法人で、持ち分権のない法人であると同時に、極めて公益性の高い法人でありますから、法人が売買されているのではないかという誤解が生じることがないような会計処理でなければなりません。このことは、しっかり踏まえて対応していかなければいけないと考えております。
○田中座長 藤井構成員、先にお願いします。
○藤井構成員 私がちょっと不適切な、そういうことが一般に行われているかのようなことを申し上げて本当に申しわけなかったです。柴構成員、本当に申しわけございません。そういう意図ではございません。
現にそういうことが一部で起きていることは事実で、私が聞いた話では、のれんがないからたくさん払えないのだということを聞いたことも事実でございます。実務的に求めに応じたような、社会福祉法人が今後の地域共生型社会の中で活躍してもらうための会計制度をつくったというものが、結果として悪い形で活用しやすくなっている。そして、社会福祉法人の非営利性に疑いが持たれることがないような御検討をしていただきたいという意味でございますので、よろしくお願いいたします。
特に、今、柴構成員がおっしゃったことで、非営利法人以外にも協同組合を一元的にお話しになったのと思うのですけれども、欧州の学者ですと、ノンプロフィットオーガニゼーションはアメリカ唯一の概念であると言う人もおりまして、欧州ではノンプロフィットオーガニゼーションというよりは第三セクターということで、むしろ協同組合、これは持ち分の一部があったり、課税されたりするものも含めて、ガバナンスが参加型であることを強調したようなものを社会セクターあるいは第三セクターと言っておりまして、ノンプロフィットオーガニゼーションはアメリカ型の概念だろうというのが一つの考え方のようでございます。それに基づいて、FSB概念書とかができているというたてつけでございます。
日本では、アメリカ型の話はある程度受けつつなのですが、最も日本が違いますのは、柴構成員もおっしゃっていたように、法律ごとに法人ができ上がるという奇妙な制度をつくりまして、非営利法人が山ほどある。数えた方がいらっしゃって、数百あるらしいのですけれども、そういう状況の中で柴構成員のおっしゃっている、持ち分がある医療法人のようなものもあれば、社会福祉法人のように税制に関して優遇されている分だけ極めて厳しいものがあるというものでございまして、恐らくこれは日本独自の考え方でやっていかなければいけないということでございます。
アメリカ型のものを、会計の専門家とすればグローバルなものに寄せられていくということだと思うのですけれども、これだけは国税庁が気持ちを変えてくれない限り、非常にローカルな頭でやらなければいけないということを強調させていただきたいなということでございます。
もう2点あります。
ちょっとマイナーな話になるのですけれども、今後、多分重要になってくるのが、特定技能がこの4月1日から始まりまして、5年間で6万人という上限がございますが、本格的に外国人を受け入れていく。特定技能の場合は、勤務先を問わないということでございますから、連携する意味はそんなにないのですけれども、例えば技能実習であった場合には、勤務先が指定されるわけでございますから、そこがなくなると帰らなければいけないといったことで、連携する何かの規制緩和があればうまくいくかもしれません。
さらに言いますと、より長期に外国人の方を福祉、介護で使っていこうといったときに、地域の中で外国人の方と共生していこうという仕組みをいかにつくっていくかという話になると思います。そのときに、保育はちょっと違うかもしれませんが、介護であるとか福祉であるとかの担い手ということになりますと、社会福祉法人が旗を振って外国人の受け入れというもののベースをつくっていくという発想はあり得るのではないかと思いますので、外国人を受け入れるという観点から、社会福祉法人が協働化していくというもので、何かハードルになるものはないかということを御検討いただきたいと思います。
最後1点なのですが、地域医療連携推進法人ですけれども、松山構成員がおっしゃったように、医療の中で患者情報を共有する。なぜならば医療のサービスはかなり動くといいますか、北海道から東京の病院を受けることもありますし、それは極論にしても、大病院で手術を受けて、地域のかかりつけ医にかかるといったような連携はあるがゆえに、情報を共有することは重要ですし、機能共有と情報共有ということでこの連携が非常に重要になってくると思うのですが、社会福祉法人同士で今のケアマネジメントシステム以外で、新たにそういった連携をしていって機能分担、役割分担をするというニーズは余りないのだろうと思うのです。
ただ、これが医療を含めたときに、地域全体の地域包括ケアシステムの中で、松山構成員がおっしゃるような社会福祉法人をベースとして、医療も入ってくるようなものというイメージはあり得ると思うのです。その際、今の地域医療連携推進法人が、御説明があったようにどうしても医療が中心になっている。そこを社会福祉法人等々が、特に地方部に行きますと大規模な医療法人がないようなところもございますので、そういったところで社会福祉法人が中心になってこういったものがつくれないかという発想になるのではないかと聞いておりました。
要は、どのような連携を見るのか。何の目的で連携があり得るのかというものを外して連携ありきという話ではないと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
本永構成員、どうぞ。
○本永構成員 41ページのところで論点として整理がされていますけれども、ここの<全体の方向性>というところの頭で、人手不足などの問題が深刻化する中で、地域包括ケアを構築あるいは地域共生社会の実現に向けてという、これが前提ですよね。これが前提という中で、<具体的方策>の中で示されているのは、いわゆる合併によるものというところで、これはなぜ社会福祉法人の合併がこんなに少ないのかというヒアリングに対しての回答なので、論点としてこれしか出ないというのは明らかにそうですけれども、より多くの影響を及ぼすのは、協働化、効率化の話だと思います。
論点の中心は協働化、効率化のところにあるべきであって、先ほどもお話をしましたけれども、協働化あるいは効率化をするための事業の協働化であったり、経営の一部協働化というものについて、障壁となっているものを明らかにし、それをどう取り除いていくかというところの中で、短期間の中でそこを見きわめるのは非常に困難かと思いますけれども、そこをしていかないと、実際により多くの法人が協働して動くことができないという現状は変わらないということになると思います。論点としてはそうなのかと思います。
地域医療連携推進法人の例が挙げてありますけれども、実際にきょうお示しいただいている資料の中でも、運営方針はわかりますけれども、この運営方針の中で何をしているのかが全くわからないので、ここでとりあえずこういう方針でやりましょうねと。それで何をしたのというがわからないと。ただ形だけつくりましたになっているのか、本当に集まって何かをしているのかというのがわからないので、それがある程度の形が見えてこないと、社会福祉法人のほうで同じような仕組みをつくってもいいかどうかということの検討をするのは難しいのかなと思います。
○田中座長 宮田構成員、どうぞ。
○宮田構成員 同じく、原田構成員がおっしゃっていたように、協働の論点が非常に重要だろうと思っております。先ほど申し上げたように、職員の配置基準であるとか設備の基準であるとかをしっかりと効果的、効率的にやっていけるようなことをやっていただかないと、仮に法人が合併して複数法人になったところで、事業所ごとに配置基準ががっちり決まっているわけですから、そこは余り効率化ができないわけでありますので、そこをしっかりと見ていただきたいです。
例えば、今、大きい問題は、処遇改善がそれぞれの種別で行われています。介護は介護、障害は障害、保育は保育。複数法人、複数種別をやっている法人は、それぞれにロックがかかっているわけで、法人としての人事のあり方、給与体系とかが組み立てにくいわけです。その辺も含めた議論も同時にして頂き、法人単位でしっかりと効果的な施策が打てるような見直しができればありがたいなと思っております。
以上です。
○田中座長 松山構成員、お願いします。
○松山構成員 社会福祉法人の協働化というものが最も効果を発揮する場面は、私は、公立病院を核にした地域医療連携推進法人と組んだときだと思います。その典型が日本海ヘルスケアネットなのですけれども、その場合は別に合併とか個々の社会福祉法人の経営の独立性を侵害することはないのです。
要するに、地域包括ケアを本当に全体最適で行うときに、社福の役割は非常に大きいわけで、それを進めるときに急性期医療を担っているその地域の中核病院、公立病院と組むことで、恐らく、地域住民から見て相当従来と違った姿が見えるのではないか。
そういう意味で、ここで私がこんなことを言うのも問題があるかもわかりませんけれども、今、地域医療連携推進法人が幾つかできていますけれども、本当に成功するのは山形の日本海ヘルスケアネットだと私は思っています。それは何をやるかというのが明確になっていて、それを一つ一つ今、実行していますし、かつ県と市の協力が非常に強いです。そういう体制をつくれるかどうかです。そこへ参加すれば、社会福祉法人の方は、仮に人口が減る中でも自分たちの役割を新たに見つけていくことができます。だから、皆さんが参加していったのだと思います。
○田中座長 ほかにはよろしゅうございますか。
藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 ここに書いている、社会福祉事業や地域における公益的な取り組み等を推進していくための社福が主体となった連携法人ということになりますと、今は社会福祉法上には、社会福祉協議会というのが社団的な役割として参加というものを明確にうたわれておりますので、社会福祉協議会の役割とか位置づけが、現にさっき宮田構成員がおっしゃっていただいた、大阪府ではまさに社会福祉協議会がそういう役割をとったわけでございますので、そことの整理が必要なのではないかと思います。
以上です。
○田中座長 皆さんのおかげで、41ページに関する論点が、ここに書いてあることよりももうちょっと深まった気がいたします。ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
よろしければ、次に、「今後の進め方について」を議題として取り上げます。
事務局より資料の説明をお願いします。
○朝川総務課長 資料4をごらんいただければと思います。
本日もたくさん論点を出していただきましたので、それを咀嚼しながらではございますけれども、この検討会が主にやりたいことは、単に社会福祉事業の協働化とかを進めていくということではなくてでもないのですけれども、社会福祉法人が事業展開をしていく上で協働化とか、連携とかでもいいのですけれども、進めていく上でどうしていくのかというところに少し焦点を当てていただけると、議論がかみ合いやすいかなと思います。
その上で、本永構成員、宮田構成員が出していただいたような、それぞれの個別制度でいろいろな課題があるというお話がありましたので、それは具体的に出していただくとより検討が進みやすいと思います。
そういうことで本日が第1回でございますけれども、第2回は、より議論がまた深まりますように、関係者からもヒアリングをさせていただきながら、引き続き議論を進めていきたいと思っています。
一回、夏前ぐらいに論点整理まではしておきたいと思っておりまして、第3回ぐらいに、1回、2回で出てまいりました議論を論点整理の形で整理をさせていただきたいと思っています。
その後は、もし制度的に何か対応が必要なものが出てくれば、さらに秋以降に議論をしていただくということにもなってくるかと思いますし、マニュアルづくりみたいなものであれば、それはこの検討会でというよりも、我々がしっかりやっていくということになるでしょうし、そういうふうに進めていけたらと思っております。
○田中座長 ありがとうございました。
説明のあった資料4について、御質問、御意見があればお願いいたします。
ないようですね。ほかに、さかのぼって全体について何か御発言はございますか。
ないようでしたら、予定の時間より少し早いですが、本日の議論についてはここまでとさせていただきます。
次回開催について、事務局から説明をお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 ありがとうございました。
既に御案内申し上げておりますが、次回は5月15日水曜日の17時からの開催を予定しております。会場については、決まり次第、追って御連絡させていただきたいと存じます。
以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
それでは、これにて本日の議論を終了いたします。
御多忙の中、お集まりいただき、かつ活発、建設的な御意見をどうもありがとうございました。
照会先
社会・援護局福祉基盤課
(代表電話) 03-5253-1111(内線2871)