第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

平成31年1月10日(木)14:00~16:00

場所

中央合同庁舎5号館 専用22会議室(18階)

議題

(1)肺炎球肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)について
(2)その他

議事

 

○賀登予防接種室長補佐 それでは、定刻を少し回っておりますので、第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催いたします。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意願います。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。脇田委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員12名のうち、10名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意願います。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元のタブレットには、番号01の議事次第から番号09の利益相反関係ファイルを保存しております。不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。ここからの進行は、倉根部会長にお願いいたします。

○倉根部会長 こんにちは。本日はよろしくお願いします。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について、報告をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規定に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、資料作成への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については、資料09の第27回基本方針部会利益相反関係書類で御確認をよろしくお願いいたします。

 本日の審議事項に関するワクチンは、肺炎球菌ワクチンとなっております。製造販売業者はMSD株式会社です。中野委員より、MSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取りについて申告を頂いておりますので、「部会に出席し、意見を述べることはできるが、肺炎球菌ワクチンに関わる議決には加わらない」に該当いたします。なお、このほか、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員はいらっしゃいません。以上でございます。

○倉根部会長 審議に入ります。まず議題1「肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)ついて」です。議題1の資料1-1について、事務局から説明をお願いいたします。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長の磯部です。よろしくお願いします。それでは、資料1-1の御説明をさせていただきます。肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)についてという資料です。本件に関しては、前回、1213日の本部会において、今回提供しているMSD社について、問題がある事項があったということで御報告をさせていただき、私どもとしては速やかに立入検査などを行い、事実関係の確認や、そのほかにも問題がないのかどうかということについての確認をさせていただくと申し上げたところです。それについての御報告を本日させていただきます。

 問題の点ですが、このニューモバックスに関する有効成分量を検定する、定量化するための試薬について、有効期間が承認書上は2年であったが、実際には3年に延長されていた、その承認の手続を取っていなかったという問題でした。

 2.の所を御覧いただきたいのですが、東京にありますMSD国内法人の本社の立入検査をこの部会があった13日の朝方から行い、17日には埼玉県の妻沼工場の立入検査を行ったところです。今回の試薬に関する有効期間の延長の手続が済んでいない状況下で、その手続が済んでいない期間外の試薬を用いて規格試験を行ったこと、これは手続を取っていなかったという意味で、不適切な事例だったわけです。13日と17日の立入検査で、ニューモバックス以外のワクチン、ヘプタバックス、ロタテック、ガーダシルがありますけれども、それについて(2)から記載をさせていただいています。担当官が、製造方法や試験方法の実際と、承認書に記載されている内容との相違がないかどうかを、現地に行きまして、つまびらかに確認をさせていただきました。また、MSDの米国本社とのやり取りなども全部確認をしてまいりましたけれども、今回あったような事例、手続を行っていなかったなどの問題のある事例は確認されなかったということです。

 本件、ニューモバックスの試薬の延長手続を取っていなかったということに関しての事実関係が立入検査の中で確認できましたので報告申し上げますと、この試薬はアメリカの本社から妻沼工場に納入されます。試薬の有効期間が既に2年から3年に変わっていたということに関しましては、妻沼工場のほうで先に気付いていました。それを確認をしたところ、昨年の23日に既に気付いていたということですが、この試薬の有効期限はもともと承認書に記載されている事項であって、変わるのであれば、承認書の変更をしなければならないというようなことに工場のほうでは気付いていなかった、認識がなかったということは確認をしています。また、妻沼工場と東京本社との間での意思疎通が十分でなかったということで、本社サイドでは、これを昨年の914日に気付いたということですが、その際に、一部変更承認申請の手続の必要性は会社としては認識していたれども、その手続を取らず、この1210日に至ってしまったというのを事実関係として確認しています。当然その手続を取っていなければ、出荷を止めるなどの手続も発生した可能性もありますが、そういった十分な認識に至っていなかったということです。

 そのほか、ワクチン以外のものについてもないのかということについては、一部不備事項がありましたが、そういったことも含めまして、今回、このような事態に至りましたので、私どもとしては、こういった問題点の指摘、それを改善するための指導について文書にまとめまして、年末、1227日に実施をして、最終的にはその改善報告を今、待っているというところです。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの状況、厚労省としての対応の御報告がありましたけれども、私から1つ質問してよろしいですか。(3)の所で、工場で有効期限が承認書に記載されていることに関する十分な認識がなかったという説明なのですが、各プロセスを工場としてやっていくときに、社内の管理マニュアルというか、恐らく何月何日にこれはできていて、実はこれは何月何日、何年なら何年だというのが、通常記載されていると思うのですね。そのときに気付かなかったというのは、その管理マニュアルなりSOPなりにその記載がなかったのか、記載があったけれども整合性を見るのを忘れた、見逃がしたのか、そこら辺はどういうところなのですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 実際に見たところ、製品標準書というのがあります。GMP上そろえておいて、どういう製品のスペックになっているかを決めて、製造所に備えていく文書でございます。その中には記載があったと。つまり、この試薬の有効期間についても記録はあったのだけれども、それが違って、実際に物が届きますので、有効期間がどうなっているのか、それを見れば分かるわけですが、それと事実が違うのだけれども、十分な認識がなく、またそれが承認事項であることについて、実際の担当者がよく分かっていなかったと。つまり、書類上は製品標準書に書いてあって、違うものが届いたらどういう手続を取らなければいけないのかは当然ルールとしてはあったのですが、実際に動かす担当者の認識がなかったので、手続が取れなかったということでございます。

○倉根部会長 そういう理解ですね。そうすると、教育というか、そこの部分の問題もあったという話になるのでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 おっしゃるとおりでございまして、工場で、担当者にも承認書の内容、製品標準書の内容、もし違っているものが入ってしまった場合の対応について、徹底した教育をしていただく必要があるということで、それについても適切な指導をさせていただいたところです。

 あと、問題としては、そういう意味で担当者が犯してしまったということもあるのですが、今回の場合は、MSDのアメリカ法人、それから、日本でいけば妻沼工場、国内本社のほう、これとの情報共有だとか、何の手続を取らないといけないかとか、そういったことについての情報共有、実際に何かあったときの対応ということについての周知、教育が十分でなかったということが問題点ですので、その点は十分我々としても、指導させていただいているということです。

○倉根部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。

○釜萢委員 今、課長さんから御説明いただいて、きちっと文章で指導をして、厚労省としては、しっかり対応していただいているところまでは分かったのですが、この当該の会社がそれに対してどのように改善をし、実際にそれがどうなったかというところが、まだ返事がなかったようなお話がありましたけれども、その辺りはいかがなのでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 年末年始をはさんだこともありまして、私どもも会社のほうに、今回の問題点の認識、それから、今後の対策をまとめていただく必要があるということで、本日までに出してくれということで、やらせていただいています。ある程度、状況を聞いていますが、会社のほうも重く受け止めておりまして、外部の弁護士の方などを入れた第三者組織も作り、外部委員会も作って、徹底した原因究明、対策を外部の目を入れてやるということです。詳細は後ほど文書で頂けると思いますけれども、概略としては、そのように聞いています。

○倉根部会長 よろしいですか。

○釜萢委員 年末ですし、まだ時間が足りないということかもしれませんが、会社として非常に重大な事例と認識しているのであれば、本日の部会が開催される日は分かっているわけですから、それまでに何らかの誠意ある回答を示してもらって当然かなというふうに私は感じます。これはちょっと今後の指導を引き続きお願いするしかないのかなと思います。

○倉根部会長 ほかにいかがでしょうか。それでは、各委員におかれては、ただいまの資料1-1については、まだプロセスが進んでいる部分はあるわけですが、御了解いただくということで、よろしいですか。

 それでは次に、資料1-2につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○黒崎予防接種室長補佐 事務局より説明を申し上げます。資料1-2、肺炎球菌ワクチン(PPSV23)の経過措置についてという資料です。12ページに関しては、1031日開催の基本方針部会の資料と重なる部分ですが、一通り説明をさせていただきます。

 今後の経過措置に関しては、平成305月から9月までの小委員会において、肺炎球菌ワクチンの再接種に関して検討を行い、この委員会において、5年の経過措置については基本方針部会で議論すべき議論であるとされ、これを受けて、1031日の第24回予防接種基本方針部会において、経過措置の今後の在り方について御議論を頂いたところでした。

 2ページです。現行の接種対象者については、そこに書いてあるとおりですけれども、肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)に関しては、65歳の者と60歳以上65歳未満の者であって、それぞれここに記載のある厚生労働省令に定めるものという疾患をお持ちの方ということになっています。この経過措置として、65歳、70歳、75歳、100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者ということで運用してまいりまして、今年度がその最終年度に当たるものです。接種率の推移は、平成28年度までの数字ですけれども、そちらにお示ししたとおりです。

 3ページは、10月の基本方針部会でのそれぞれの視点というものを御提示したものです。主な意見としては、まずマル1の接種率の視点という観点からは、B類疾病なので集団免疫ではないことから、接種率の目標を定めるのは難しいかもしれないが、40%というのはやはり低いのではないかといった御意見であったり、目標を定めるのは難しいと思うが、接種率向上の仕組みが必要なのではないか。経過措置を継続するというのも1つの案としてあるのではないか。また、65歳以上はいつでも接種できるとする案もあるのではないかといった御意見を頂きました。

 マル2の制度の周知に関する視点としては、接種率をどう上げるのかが課題であり、関係機関等との連携も含め、しっかりと周知啓発に取り組むべきではないかといった御意見や、特定がん検診でも、全員に通知してもなかなか受検していただけないということを経験しているため、きめ細かな対応が必要ではないかといった御意見を頂戴いたしました。マル3の接種記録の保存状況の視点に関しては、接種記録の保存に関して、肺炎球菌ワクチンに限らず議論すべきではないかといった御意見を頂戴いたしました。

 以上のような意見を勘案いたしまして、これまで接種を受けていない方への接種機会を提供するためにワクチンの需給バランス等も勘案しつつ、2019年度以降も5年間にわたって、65歳、70歳、75歳以降100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者を定期接種の対象者とする、ということで御審議いただければと思います。現行の制度を延長するという感じになります。

 上記のような措置をとるに当たっては、接種率向上のために周知啓発に取り組み、接種記録の在り方については、肺炎球菌ワクチンに限らず、ほかの医療記録等の関係も踏まえて今後丁寧に検討を行うことが必要であると考えていますが、まずは肺炎球菌ワクチンの定期接種に必要な範囲での保存期間の延長を念頭に検討することとさせていただければと考えています。事務局からは以上です。

○倉根部会長 ただいま、事務局から説明がありましたが、この件に関して御意見あるいは御質問はございますか。

○多屋委員 対応方針案でこれから5年間、経過措置が続くということかと思うのですけれども、そもそもB類疾病は国の積極的勧奨がなく、本人には受けるように努める義務がないワクチンだと思いますので、接種率を高くするのが具体的には難しいのかなと感じます。5年たったときに、低かったらまた延長になるのか?というのは、どのように考えたら良い?、どこまで上がっていれば終わりにするのかということです。

 それから、肺炎球菌ワクチンの再接種については、1回目よりは接種局所の腫脹等が頻度としては高くなることがあります。前回の部会で示された自治体の方へのアンケートで、予防接種記録を5年を限定として保管されている所が結構な割合であったので、今回受けていない方にもう一回受けていただく機会を設けていただくというのは、国民目線でいえば非常に有り難い制度なのですが、記録が残っていなければ再接種できてしまうというようになってしまいますので、自治体の皆様においては予防接種の記録を5年で切ってしまわずに残していただいて、受けていない方にもう一度のチャンスというようにしていただきたいなと思いました。

 最後に、接種率が低いということで、高齢者の方にもう一回チャンスを与えるキャッチアップの制度だと思うのですが、小児のA類疾病のワクチンにもなかなか接種率が上がらないワクチンもあるものですから、もしこれを良い前例にしていただけるのであれば、子供たちのワクチンについても何か検討の機会を頂けると有り難いなと、ちょっと3点思いました。以上です。

○倉根部会長 ただいま、多屋委員から3点の御質問、御意見がありましたけれども、課長、お手を挙げておられます。

○武井健康課長 健康課長です。重要なポイントについて御指摘いただき、ありがとうございます。2番目に頂いた保存の関係がほかのものにも関連してきますので、そちらから先にお答えさせていただきます。やはり5年を超えて延長をして、きちんと記録をたどれること、過去の経緯も踏まえた上での対応が重要になると思いますので、延長していただくように我々からもしっかり周知していきたいと考えております。

 周知をしていく中で、どうやって接種率を上げていくかは前回も先生方から御意見を頂いて、例えば地域包括支援センター等と連携しながら情報発信をしてはどうかという御意見を頂いたところです。こうした御意見は非常に重要かと思いますので、今後、高齢者の方々に定期接種の制度とかワクチンの有効性等について情報を届ける際に、先生から頂いた御指摘を踏まえて、関係部局とも密接に連携しながら、周知とか情報発信等についてもしっかり対応してまいりたいと考えております。

 最後に頂いたA類のキャッチアップですけれども、これからまたいろいろ御議論いただくタイミングもあろうかと思いますので、今日は事務局でしっかり受け止めさせていただければと思います。ありがとうございました。

○倉根部会長 ほかにいかがでしょうか。

○坂元委員 予防接種台帳なのですが、自治体によって多分、保管期間というのは様々な取決めをしていると私は思います。行政文書は一般的に5年が標準なところですが、これは昔の紙ベースの保存の際に保存する場所がなくなってしまうので、逆に5年過ぎたら廃棄してもいいという意味での5年だったと思うのです。ところが今、電子媒体になっていると、あえて廃棄しなければならないほど、容量的にそんなに場所を取るわけではないので、そのまま保存しておけるということもあると思います。予防接種というのは、記録的には長期間保存しておいたほうが何か起こった時に後で振り返るときに非常にメリットになるだろうということですが、今のところ予防接種の記録の保存期間を学術的等としての価値の一方、もちろん中には個人情報なので、そんなに長期間持ってほしくないという方もいらっしゃると思うのです。この辺はやはり、別途予防接種の台帳の保管期間の在り方というのは、一回この場でもなくて、どこかの場でしっかり議論しておいたほうがいい問題ではないかと思います。これは意見です。

○倉根部会長 ただいまの御意見に対して、事務局から何かコメントはございますか。

○武井健康課長 台帳の保存期間は、確かに自治体で異なっているところはあるのですけれども、今後の予防接種の対策を考えていく上で、しっかりとそのデータをうまく活用していくことは非常に重要な点であると我々も認識しております。今、予防接種法の見直しが既にキックオフされましたけれども、これは今回の肺炎球菌だけに限らず、ほかの予防接種に関しても共通する課題だと思われますので、今後、先生の意見を踏まえながら検討していく論点になってくるかと考えております。

○池田委員 こうした機会を更に延長してということは、基本的にこの対応方針の考え方はよろしいと思うのですけれども、接種率を上げるということであるとか、あるいは高齢者の方により接種の機会を与えるという点では、主な意見の中にも書いてある、5年に1回ではなくいつでも接種できると、そういった方法も有効ではないかと考えられるかと思います。65歳以上をいつでも全員というのは、ワクチンの需給とかあるいは財源の問題からなかなか難しいかもしれませんけれども、例えば80歳以上とか、100歳以上は現状ではいつでも受けられる形になっていますが、これを80歳以上とするというようなことが可能かどうかということは、検討の余地があるかなと思います。

 男性の生命表の新しいものを見ると、80歳の方は5年すると4分の1以上の方が亡くなられていますし、85歳の方ですと半分ぐらいの方が亡くなられています。90歳ですと3分の2ぐらいの方が亡くなられるということなので、そういった高齢の方にはできるだけ早く接種していただける機会を与えるということも、検討の余地があるのではないかと思います。

○倉根部会長 ただいま御意見を頂きましたけれども、事務局、どうぞ。

○黒崎予防接種室長補佐 池田先生、的確な御指摘をありがとうございました。80歳以上の方にしてということは検討の余地があると考えていますけれども、65歳、70歳、75歳という形でこれまできたところもありますので、制度の時期のこともあって自治体の準備等もありますので、今のところ、できれば同じような仕組みで再度行わせていただいて、周知のほうでしっかりとやっていく方法でやらせていただければと考えているところです。

○倉根部会長 ほかに御意見はいかがでしょうか。

○宮﨑委員 5年前に受け損なった方々にもう一回チャンスをということで、そのことはよろしいかと思います。今日は自治体の方が出てこられていますので、成人の接種対象を決めるときに、単純な年齢ではなくて年度になっていますよね。これはそちらのほうがよいのか、あるいはシンプルな年齢のほうがよいのか、現場的にはどうなのだろうといつも思っているのですが、いかがでしょうか。

○坂元委員 前回の制度を作るときに、これは政令指定都市のデータだったのですが、20あった政令指定都市にどちらがよいかという意見調整というか、当時はまだどちらにするか分からなかったので意見を聞いたところ、圧倒的多数の政令指定都市が該当年齢になったときのほうがよい、つまり今までどおりですね、そのほうがやりやすいという回答だったと思います。でも、結果としては年度で決まったということなのです。いわゆる他の定期接種は年齢でやっているので、年度でやるというのはなじみがなかったということなのですが、この肺炎球菌の予防接種は全例に個人通知を出しているところが多いので、恐らくその辺は年度ということで混乱が起こることは余りないのではないかなと思っています。以上です。

○倉根部会長 ほかはいかがでしょうか。

○磯部委員 磯部です。経過措置等についての問題は、特に意見はないのですけれども、接種記録の保存の話も出ていて、これは肺炎球菌ワクチンに限らず議論すべきではないかということは前回コメントさせていただいて、坂元先生も今御指摘になったので、改めてこの点について是非ほかの場所で今後、しっかり議論をしていただければと考えているところです。その際に、5年で廃棄してしまうと、再接種とかという多屋先生がおっしゃったような問題もあるということとは別に、自治体によって保存しているかいないかということによって、接種した人が不合理な異なる取扱いをされてはやはりおかしいのではないかという問題意識を持つべきだろうということを、繰り返しコメントしておきたいと思います。

 例えば、B型肝炎給付金等については、今はお医者さんの意見書があれば必ずしも母子手帳や予防接種台帳の記録が提出できなくても申請ができる運用になっていると理解していますけれども、やはり自分がいつ何を受けたかといったことは、いつでもたどれるように、その記録は本人がアクセスできるようにしておくというのが長い目で見れば望ましい仕組みなのではないかと思うのです。その際、たまたま引っ越してしまったから、もうマイナポータルでここから先はアクセスできませんとかでは、やはり不合理だと思うので、是非そこは関連制度との整合性も含めて、幅広い視点でしっかり議論していただければなと考えております。以上、コメントまでです。

○倉根部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。そうしますと、ただいま各委員から幾つかの御質問あるいは御意見も出ましたけれども、今回の内容については皆さん同意であると考えてよろしいかと思いますので、ワクチンの供給等も考えると、やはり2019年度以降5年間においても、現行の経過措置を引き続き行っていくということをこの委員会の結論として、これをもって基本方針部会の結論としたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○倉根部会長 そういうことで、結論としたいと思います。了承したいと思います。ありがとうございました。

 続いて、報告事項にまいります。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○黒崎予防接種室長補佐 資料2、長期療養特例の実施状況についてです。長期療養特例については、免疫機能の異常など、長期にわたり療養を必要とする疾患等により、接種対象年齢の間に定期接種を受けられなかった方が当該事由が消滅してから2年以内に接種をすれば、定期接種として接種を受けることができるよう、予防接種法施行令に特例措置が設けられているものです。特例措置が適用される要件は、接種の対象年齢の間に疾患による予防接種不適当要因が生じ、接種期間が十分に確保できず、特別な事情により予防接種を受けることができなかったと認められる場合であって、当該特別の事情が解消された後2年以内(高齢者の肺炎球菌感染症については1)に接種した場合は、定期の予防接種として取り扱うというものです。特別の事情と申しますのは、長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったことや、臓器の移植を受けた後、免疫の機能を抑制する治療を受けたこと、医学的知見に基づき、1又は2に準ずると認められるものがあります。

 今回、平成294月から平成303月末までに、厚生労働省へ報告があった長期療養特例の実施状況1,706件について取りまとめた結果は、以下のとおりです。疾病の分類別に申しますと、膠原病が288件、悪性新生物が278件、慢性心疾患が269件等となっています。ワクチンの種類別に申しますと、MRワクチンが570件、BCG366件、水痘ワクチンが300件等となっています。

 次ページに書いてありますのが平成25年度から平成28年度にかけての推移ですけれども、平成25年度は合計708件であったものが平成28年度には1,352件となっています。今回、平成29年度に関しては1,706件ということで、年々増えていっている状況があると考えています。事務局からは以上です。

○倉根部会長 こういう報告ですが、御意見、御質問はございますか。私からちょっといいですか。実際にこのように報告されてくる、あるいはこの制度で接種を受けた人が、本来受ける権利があると言うと変ですが、受けてもよい状況の人のうちのどのぐらいのパーセントなのかというのは、なかなか出すのが難しいのでしょうね。

○黒崎予防接種室長補佐 それぞれの対象年齢の間に、どれぐらいどの疾患の頻度があったかということについては綿密に調べる必要がありますけれども、長期にわたってその疾患に関わっている方等を正確に把握するのがなかなか難しい状況もありますので、長期療養特例を使える人のうち、どれぐらいの人が受けていたかという正確な数字を出すのは、なかなか難しいものかなと考えています。

○倉根部会長 ほかに御質問、御意見はございますか。報告として、こういう報告を頂いたということであります。それでは、ここについても終了ということです。そうしますと、本日の議事は以上ですが、事務局から何かありますか。

○賀登予防接種室長補佐 特にございませんが、次回の開催については、追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上です。

○倉根部会長 それでは、第27回の予防接種基本方針部会は、これをもって終了といたします。予定より早く終わりました。御協力ありがとうございました。それでは終了といたします。