2019年2月22日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

平成31年2月22日(金)16:00~

場所

TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター ホール3A(8階)

出席者

出席委員(16名)五十音順


欠席委員(4名)  (注)◎部会長 ○部会長代理

 
行政機関出席者
 
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 矢守隆夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻より少し早いのですが、先生方がおそろいになられましたので、ただいまより薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出席状況ですが、中野委員、山口委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日、現在のところ当部会委員数20名のうち、16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 また、部会を開始する前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨の御申告を頂いております。毎回ではございますが、委員の皆様に都度都度の書面の御提出を頂いておりますが、何卒御理解、御協力を頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、以降の進行を清田部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 皆さん、こんにちは。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上には議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料21-3をあらかじめお送りしております。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の医薬品部会では前回と同様に、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を、審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。この他、資料22「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を机上に配布し、またタブレット内には資料23として、各審議品目に係る「専門協議の専門委員リスト」、資料24として「競合品目・競合企業リスト」を格納しております。また、当日配布資料として、「腫瘍特異的T細胞輸注療法について」を配布し、またタブレット内にもPDFファイルを格納しております。加えて、前回までと同様に、各議題の対象品目について、製剤の見本を机上に置いております。こちらは会議終了後に回収いたしますので、机上に置いたままとしていただきますようお願いいたします。
 それでは、机上のタブレットの操作方法について簡単に御説明させていただきます。タブレットを縦にしていただき、画面下の丸いボタンを2回押してください。画面が表示されましたら、議題ごとにフォルダが表示されておりますので、「審議議題1」をタッチしてください。議題1の資料一覧が表示され、御覧になりたい資料名をタッチしていただくと、資料が表示されます。ほかの資料を御確認いただく場合には、左上の青字「審議議題1」をタッチしていただくと、資料一覧が再度表示されます。また、ほかの議題を御確認いただく場合には、左上の「マイプライベートファイル」をタッチしていただくと、再び議題ごとのフォルダが表示されますので、必要に応じてフォルダをタッチして御覧いただくようにお願いいたします。なお、タブレットの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストを資料24に沿って御報告いたします。資料24の1ページを御覧ください。デュピクセント皮下注300mgシリンジですが、本品目は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mLです。本品目は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。アクテムラ点滴静注用80mg他2規格です。本品目は、「腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 4ページを御覧ください。テリルジー100エリプタ14吸入用他1規格です。本品目は「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の寛解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページを御覧ください。医薬品スマイラフ錠50mg他1規格です。本品目は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。6ページを御覧ください。ビクタルビ配合錠です。本品目は「HIV-1感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページを御覧ください。ラビピュール筋注用です。本品目は「狂犬病の予防及び発病阻止」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。8ページを御覧ください。リサイオ点滴静注液100mgです。本品目は「小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 9ページを御覧ください。リツキサン点滴静注100mg他1規格です。本品目は「CD20陽性の慢性リンパ性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。10ページを御覧ください。ニンテダニブエタンスルホン酸塩です。本品目は「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。ございませんようでしたら、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申出状況につきまして、御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1のデュピクセント、退室委員は南委員、議決には参加しない委員は亀田委員、清田委員、島田委員です。議題2のスキリージは、退室委員は亀田委員、南委員、議決には参加しない委員はなしです。議題3のアクテムラは退室委員なし、議決には参加しない委員は亀田委員、南委員です。議題4のテリルジーは退室委員はなし、議決には参加しない委員は亀田委員、長島委員、南委員です。議題5のスマイラフは、退室委員は亀田委員、議決には参加しない委員は清田委員、南委員です。議題6のビクタルビは退室委員は菊池委員、議決には参加しない委員は亀田委員です。議題7のラビピュールは退室委員、議決には参加しない委員はともになしです。議題9のリサイオは退室委員なし、議決には参加しない委員は川崎委員です。議題10のリツキサンは退室委員は亀田委員、南委員、議決には参加しない委員はなしです。議題11のニンテダニブは退室委員なし、議決には参加しない委員は亀田委員、清田委員、長島委員、南委員です。以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとして、議題に入りたいと思います。
 本日は審議事項が11議題、報告事項は9議題、その他に1議題ということで、たくさんあります。頑張って早く終わるようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、審議事項の議題1に移ります。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題1及び議題2の審議の間は別室で御待機いただくことにいたします。
                                 (南委員 退室)
○清田部会長 それでは、議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、デュピクセント皮下注300mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料1のフォルダをお開きいただきまして、次のページの一番上、「資料1審査報告書PDF」を御覧ください。本剤の有効成分であるデュピルマブ(遺伝子組換え)はインターロイキン(以下、「IL」)-4受容体、及びIL-13受容体を構成するIL-4受容体αサブユニットに対するモノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対して承認されております。今般、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の気管支喘息に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。なお、気管支喘息に係る効能・効果では、本剤は2018年10月に米国で承認されております。
 本申請の専門委員として、資料23に記載されている6名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。有効性につきまして、審査報告書の15ページの表14を御覧ください。中用量又は高用量の吸入ステロイド薬と、その他の長期管理薬を併用してもコントロール不良の喘息患者を対象とした国際共同第III相試験であるEFC13579試験成績より説明いたします。
 審査報告書の15ページの表14の最下段にある“プラセボ群との比”に示すとおり、主要評価項目の1つである「投与52週後までの年間重度喘息増悪発現率」において、本剤200mg群及び本剤300mg群のいずれもプラセボ群に対して統計学的な有意差が認められております。また、同ページの表15の最下段の“プラセボ群との差”に示しますとおり、もう1つの主要評価項目である「投与12週後の気管支拡張薬投与前のFEV1のベースラインからの変化量」についても、本剤200mg群及び本剤300mg群のいずれもプラセボ群に対して統計学的な有意差が認められていることから、プラセボに対する本剤200mg及び本剤300mgの優越性が検証されております。同ページの表16及び表17に、日本人患者の部分集団解析結果を示しておりますが、先ほどの全体集団とおおむね同様の成績が得られております。以上より、機構は本剤の気管支喘息に対する有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書の23ページ、表28を御覧ください。この表は、喘息患者と既承認疾患のアトピー性皮膚炎患者を対象とした本剤の臨床試験において認められた有害事象の発現状況を示しております。患者背景、ばく露期間、併用薬、各事象の定義、集計方法等が試験間で異なるため、直接の比較には限界はありますが、現時点では、アトピー性皮膚炎患者における安全性プロファイルと比較して、次に申し上げる好酸球増加症を除き、喘息患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されていないと判断しております。好酸球増加症については、24ページの7.R.3.2項の「好酸球増加症」の項に記載しております。内容を要約すると、喘息患者を対象とした臨床試験において、好酸球性肺炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症といった臨床症状と関連のある好酸球増加症が認められており、第III相試験で除外されたベースライン時の血中好酸球数が1,500/μL以上の患者に本剤を投与した際の影響は明らかではないことなどから、好酸球増加症を添付文書において新たに注意喚起する必要があると考えております。以上を踏まえて、既承認効能・効果と同様の安全対策に加え、好酸球増加症等に関する製造販売後の調査等から収集した情報を臨床現場へ適切に情報提供する必要があると判断いたしました。
 用法・用量については、審査報告書の29ページの7.R.6項の「用法・用量について」に記載しております。内容を要約すると、国際共同第III相試験のEFC13579試験では、全体集団における200mg群と300mg群の有効性の成績は同程度でしたが、当該試験において喘息増悪の中でもより重篤度の高い「緊急外来の受診又は入院に至った喘息増悪」では、200mg群と比較して300mg群で発現率が低い傾向が認められていること、日本人部分集団における喘息増悪に対する有効性は200mg群よりも300mg群で高い傾向が認められていること、また、経口ステロイドを使用してもコントロール不良の喘息患者を対象とした海外第III相試験において、本剤300mg投与により経口ステロイドの減量効果が認められていることなどを踏まえ、本剤の用量は300mgとすることが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は新効能及び新用量医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は、既に付与されている再審査期間の期限である平成38年1月18日までとすることが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 200mgでもいいところを300mgだというところの根拠をおっしゃっていますが、200mgでも十分で、剤形が300mgのものしかないから300mgでやってしまおうと取られると言われたらどうしますか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の31ページを御覧ください。上の所からポツを書いていますが、こちらの3点目を御覧ください。本剤は喘息増悪を抑える薬剤ですが、喘息増悪は死亡を含めて重大な転帰に至るおそれがあります。そのため、この重篤度の高い喘息増悪を可能な限り抑えることが望ましいと考えております。目の前にいる患者さんに、喘息増悪に対して200mgで効くのか300mgで効くのかというのは、結局後ろ向きに振り返って判断することは可能であっても、前向きに判断することは現状では難しいと判断しております。そのため、先ほど申し上げた用法・用量の設定根拠から、300mgを投与することが適切であると考えております。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○菊池委員 そこの科学性が少し弱いのではないかという思いですが、それ以上はないでしょうから結構です。
 あと、中等量のICSとか、その辺は呼吸器内科からいったら当たり前の量であって、幾つになるというのはバチッと言えますか。これは議論があるところだと思うのですけれども、何ミリ、何回だったらそれが重篤で中等量を超えているのか、そういうことは。簡単に。
○医薬品医療機器総合機構 ICSの用量に関してはガイドラインで、製剤によって中等量が幾つというのが決められているものがありますので、そちらを参考に決めて判断していただこうと考えております。
○菊池委員 それはもう、呼吸器の先生からしたら当たり前ということなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘のとおりです。
○菊池委員 分かりました。あと、(本日の議題の)ほかの製剤でも今回出てきますが、今はおっしゃらなかったのですが、ADA(の発現)が少ない量(低容量)よりも多いほう(高用量)で出ないとか、そういうような、抗体ができることが多い(高用量の)ほうが少ないような感じの傾向があるようですが、そこら辺の意味とか意義とかは何かあるのでしょうか。それができていると効果が落ちるのかとか、その辺の指標は私は全然分からないので、どういうものなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ADAが発現した場合には効果が減弱するというところは、臨床試験成績からも認められているところです。特に、高抗体価のADAが発現する場合には、そのような傾向が認められておりまして、そういった患者には漫然と投与しないというのは別途注意喚起をしておりますので、ADAが発現したからといっても、効果があればそのまま続けていただくというところです。ただ、200mgのほうでADAの発現が多いとか、300mgのほうで少ないのかという点については、ADAの発現例数自体がそれほど多くはないので、なかなか結論を得るのは難しい状況ではないかと考えております。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、島田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私に関しましても同様の取扱いです。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。事務局から、引き続き御説明があります。よろしくお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題1、デュピクセント皮下注300mgシリンジの効能・効果追加に伴い、最適使用推進ガイドラインの案を作成していますので、御説明いたします。タブレット中の一番下のフォルダの「その他議題」の中にある資料21-1「デュピルマブ喘息最適使用ガイドライン(案)」というPDFファイルをお開きください。
 平成29年9月に発出した通知の「最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」に基づいて、新規作用機序であるなど、革新性が高く有効性や安全性のプロファイルが既存の医薬品と異なる医薬品については、当該医薬品を真に必要とする患者や使用する医療機関の要件を示し、最適な使用を進めていただくために、最適使用推進ガイドラインを個別医薬品ごとに、承認に合わせて作成することとしております。当該通知に準じて、今回は先ほど御審議いただいたデュピルマブの最適使用推進ガイドラインの案を作成しましたので、御説明いたします。
 資料21-1の2ページの目次を御覧ください。全体の構成については、既に発出されている本剤のアトピー性皮膚炎に対する効能やその他の薬剤と同様の構成としております。次のページの1ポツの「はじめに」についても、既存のガイドラインと同様の記載としておりますが、今回の対象疾患は気管支喘息であるため、関係学会として最後の段落に記載しているとおり、日本アレルギー学会、日本呼吸器学会、日本小児アレルギー学会、日本小児科学会及び日本臨床内科医会の5団体に御協力いただきまして、御推薦いただいた専門家からの御意見を踏まえ、本ガイドライン案の作成を行っております。
 続いて、下のページ番号で4ページには「本剤の特徴、及び作用機序」を、続いて5ページ以降には本剤の臨床試験の概要を記載しており、先ほどの審議の際の説明のとおり、国際共同第III相試験の結果等について、記載しております。内容は先ほどの説明と重複いたしますので、恐縮ですが割愛させていただきます。
 続いて、10ページからです。10ページには本剤を適切に使用していただくために必要な施設の要件を記載しております。具体的にはマル1からマル3の要件を満たす施設において使用していただくべきとしております。1つ目のポツは、気管支喘息の病態、経過と予後、診断、治療を熟知し、気管支喘息の診断及び治療に精通する医師として、下に記載しているとおり、一定期間の臨床研修を受けた医師が治療の責任者として配置されていること。2つ目のポツは、本剤に課せられた製造販売後調査等について適切に実施できる施設であること。その下にいきましてマル2です。製薬企業等から提供される情報の管理や有害事象が発生した場合の適切な対応等、院内における医薬品情報の管理、活用の体制が整っていること。マル3合併症や副作用への対応として、合併する他のアレルギー疾患を有する患者に投与する場合に担当する医師と連携する体制が整っていること。また2つ目のポツについては、アナフィラキシー等の副作用に対して、当該施設又は近隣施設の専門性を有する医師と連携して適切な処置ができる体制が整っていること。以上のマル1からマル3の3点を施設の要件としております。
 12ページを御覧ください。5.「投与対象となる患者」について記載しております。今回は、用法・用量の対象年齢に小児が含まれていることもありまして、それぞれ診療ガイドラインが異なることから、投与対象患者についても成人と小児で別に記載しております。まず成人の患者選択の要件については、1.喘息予防・管理ガイドラインを参考に、気管支喘息の確定診断がなされていること。2.中用量又は高用量のICSとその他の長期管理薬を併用してもコントロール不良で、かつ全身性ステロイド薬の投与などが必要となる喘息増悪を年に1回以上来す場合としております。また、中用量ICSから切替えを行う場合は、医師によりICSを当該用量以上に増量することが副作用等により困難であると判断された場合に限るとしております。
 続いて、その下の小児患者についてです。1.小児気管支喘息治療・管理ガイドラインを参考に、確定診断がなされていること。2.中用量又は高用量のICSとその他の長期管理薬を併用してもコントロール不良で、全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪を年に1回以上来す場合の両方の条件を満たす患者としております。
 更にその下、「患者選択について(成人・小児共通)」という見出しの部分を御覧ください。臨床試験の結果から、血中好酸球数などの2型炎症に関連するバイオマーカーが高い場合には、本剤の有効性が大きい傾向がある一方、低い場合には本剤の有効性が十分に得られない可能性が示唆されているため、本剤の治療開始に当たっては、当該バイオマーカーを1つ以上測定し、その値と臨床成績を考慮した上で投与することを求めております。
 また、その下には本剤の投与継続の取扱いについて記載しております。本剤の臨床試験における有効性評価期間を踏まえ、投与開始後1年程度を目安に効果の確認を行い、効果が認められない場合には漫然と投与を続けないようにすることとしております。その次の最後の13ページですが、こちらは投与に際して留意すべき事項として、添付文書の「使用上の注意」の「重要な基本的注意」などに記載された主な注意事項について、入念的に本ガイドラインにおいても記載をしております。本ガイドラインは、本日頂いた御意見を踏まえつつ引き続き検討を行い、本剤の効能追加の承認日に通知として発出する予定としております。また、別途、中医協にも御報告するとともに、発出の際には本ガイドラインの保険請求上の取扱いについて保険局より留意事項通知が発出される予定です。以上、簡単ではございますが、本剤のガイドラインの現在の案について御説明いたしました。御意見、御質問がございましたらよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、このガイドラインにつきまして、委員の先生方から御質問等がございましたら頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 毎回聞いていると思いますが、添付文書とこのガイドラインの位置付けというのは、添付文書のほうが上なのですか。
○事務局 添付文書は法律上添付が義務付けられ定義がされたた使用上の注意となりますので、位置付けとしては法律上明確化されている添付文書のほうが、直接比較するのは難しいと思うのですが、正式なものという扱いになると思います。
○菊池委員 そしたら、やはり添付文書の警告の所に、「重症の喘息に精通した人がやるべき」という一文言がないと、下で言っているガイドラインのほうが偉そうなことを言っていると思いました。事務局の方だけではなくて、審議官もお答えになるほうがいいかもしれません。
○審議官 先生のおっしゃっている点はよく検討させていただきたいと思いますが、基本的にこの最適使用推進ガイドラインに書かれていることは、特に新薬として新たに承認して医療現場でお使いいただく際に、できるだけ有効性と安全性をきちんと確保するために、通常の承認や添付文書の中に書くこと以上にプラクティカルな、事細かなことを分かりやすく書くというような目的で書き込んでいるという部分がかなりあります。
 ですから、得られている臨床試験の成績がこうであるとか、そういったことも含めてガイドラインの中にいろいろ書き込んでいるという作りになっています。
 ただ、このガイドラインをきちんと守って使っていただく場合に、医療保険は保険給付の対象にしますという点では、別の意味でこのガイドラインは拘束力があるというように解されております。この審議会における議論は、あくまでもこの内容が、この薬が患者に対して適切に使われるような内容として必要なことが書き込まれているかどうかということで御覧いただいているというのが趣旨だと考えています。
 そういう意味では、添付文書に書いている内容よりもかなり踏み込んだことや細かなことが書かれているのが、このガイドラインにはよく見られます。ただ、それが実際に添付文書の中にどうしても書かなければいけないことなのかどうかと言うと、むしろ添付文書の中にそこまで書くのにちょっと無理があるようなことをこちらには書いているケースがよくありますので、先生がおっしゃったような、実際にどのぐらい重症の患者を診ることに、どのぐらい慣れている臨床の先生においてお使いいただきたいかということを、具体的に添付文書に書くというのが難しいところがあるかなと思います。
 しかし、御指摘の点は、どのようなことができるかということについては、もう少し検討させていただきたいと考えています。
○清田部会長 御理解いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、御了解いただけたものといたします。それでは、議題2に移ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題2の審議の間は別室で御待機いただくことにいたします。
                                (亀田委員 退室)
○清田部会長 それでは、議題2について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mLの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。ダブレットの資料2のフォルダをお開きいただき、一番上にあります「審査報告書」を御覧ください。
 本剤の有効成分であるリサンキズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン23p19サブユニットに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、今般、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症に関する効能・効果で製造販売承認申請されました。
 本申請の専門委員として、資料23に記載されております9名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。有効性について、審査報告書25ページ、表30を御覧ください。中等症から重症の局面型皮疹を有する尋常性乾癬及び関節症性乾癬患者を対象とした国内第II/III相試験であるM16-004試験成績より説明いたします。皮膚症状について、主要評価項目である投与16週時の全身の皮膚症状をスコア化したPASIスコアがベースラインから90%以上減少した患者の割合である「PASI90達成率」において、プラセボに対する本剤75mg及び本剤150mgの優越性が検証されております。
 関節症状に対する有効性について御説明いたします。審査報告書35ページを御覧ください。審査報告書35ページ、表45の上から2行目、投与16週時のACR20改善率に示すとおり、M16-004試験に組み入れられた関節症性乾癬患者及びM16-002試験の対象である活動性関節症性乾癬患者のいずれにおいても、プラセボ群と比較して本剤投与群で改善傾向が認められており、関節症状についても本剤の有効性は期待できると考えております。
 膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症について御説明いたします。審査報告書36ページを御覧ください。7.R.1.3「GPP及びEPに対する有効性について」の項に記載させていただいております。要約いたしますと、両病型は、いずれも患者数が非常に限られていることから、検証的試験を実施することは困難でありますが、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症を対象とした国内臨床試験では、主要評価項目とした投与16週時の全般改善度が「わずかに改善」以上を全例で達成し、また、36ページ、表46にありますように、いずれの病型についても大部分の被験者でPASI90が達成されていることを踏まえ、膿疱性患癬及び乾癬性紅皮症に対しても、本剤による一定の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性について御説明いたします。審査報告書37ページ、表47を御覧ください。表47は、本剤の臨床試験における安全性の概略を示しております。また、同ページの表48では、国内外4試験でのプラセボ対照併合集団において発現した主な有害事象、次のページにある表49では、国内外6試験併合集団において発現した主な有害事象を示しております。発現した主な有害事象としては上咽頭炎、上気道感染などが認められております。また、本剤の薬理作用等から懸念される有害事象についての検討を審査報告書39ページ以降に記載しております。こちらに記載しておりますとおり、乾癬患者において本剤の安全性上の重大な懸念は示されていないことから、既承認の生物製剤と同様の安全対策を講じることで、既存治療で効果不十分な乾癬患者における本剤の安全性は許容可能であると考えております。
 用法・用量について御説明いたします。審査報告書33ページ、表41を御覧ください。表41に示しますように、表41の下の段の辺りにありますPASI90達成率及びPASI100達成率の項を御覧ください。こちらに示しますように、投与16週以前の時点では、PASI90達成率及びPASI100達成率のいずれも本剤150mg群の成績が本剤75mgを上回る傾向が認められていること等から、本剤の通常用量は150mgとすることが適切であると判断いたしました。
 一方、審査報告書54ページの図4を御覧ください。そこに示しますとおり、最終的な有効性評価項目の成績は75mg群と150mg群で、主に28週以降に同程度となることから、本剤についての十分な知識と乾癬治療の十分な知識・経験を持つ医師が患者の状態を総合的に判断して投与量を75mgとすることの選択肢を設定することは可能と判断いたしました。
 以上より、本剤の用法・用量は、審査報告書55ページの下段に示しますように、「通常、成人にはリサンキズマブ(遺伝子組換え)として、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる。」と設定することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を承りたいと思います。いかがですか。
○菊池委員 どなたもおっしゃらないので。75mgで効きますよねと言われたら、これは効いてしまいますよね。そこは150mgではなかったら効かなかったというのが臨床成績で見えませんし、そこはどうなのでしょうか。75mgにしていいではなくて、75mgで効いているのがあるというほうが正しくないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 75mgにおいて主要評価項目で同程度の成績ということは、ご指摘のとおりですが、投与開始からの立ち上がり部分では150mgのほうが良い成績が得られております。
○菊池委員 こう見ても、臨床的にそこの意義があるかどうかについては、そこはなかなかどうなのでしょうというぐらいの値だと思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 あと、もう1点だけ御説明させていただきたいと思います。審査報告書46ページを御覧ください。審査報告書46ページの表56では、投与16週時の有効性を記載しております。こちらでは左側に75mg群、右側に150mg群の成績を記載しておりますが、主に体重が高い被験者では、75mg群で有効性が低下する傾向が認められております。乾癬の患者は健康成人と比べると体重が高い傾向もあるという報告もあることから、通常用量としては150mgが適切と考えております。また、本剤は乾癬治療の知識と経験をかなり豊富にお持ちになる医師が処方することになりますので、患者の状態に応じて、75mgの投与も選択可能とすることでよいと考えております。
○清田部会長 75mgから始めてもいいということですよね。そういう話ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 ご理解のとおりです。
○清田部会長 そこら辺は前の薬とは違ってフレキシビリティーがあるという解釈でよろしいかと思います。ほかに御質問、御意見はありますか。
○川崎委員 承認申請書の8ページの定量試験は、UV法になっており、タンパク質含量は○回繰り返し測定したときの平均値とし、○回繰り返し測定したときの相対標準偏差が○○%以下のとき試験は有効とすると、n=○で標準偏差を求めることになっています。これはばらつきが大きいために設定されたと思いますが、それならばn数を増やしてはいかがかと思いました。
○清田部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 ○回測定というところで標準偏差を出しているということについては、審査の中で理由を確認しておりませんでした。確認をして、必要ならば適切に対応したいと思います。
○清田部会長 この件に関しては後ほどということでよろしいですか。ほかに御質問はありますか。大丈夫ですか。
○医薬品医療機器総合機構 一応確認はしますが、当該試験の分析法バリデーションは適切に実施されており、精度が出ているので問題はなかったと考えたのですが、もう一度よく詳細を確認したいと思います。
○川崎委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいですか。
○菊池委員 すごい些末なことですが、どうして同効薬のところで、私も普段は添付文書をそれぞれ見るのですが、これ(この品目)は添付文書だけポンと出していて、割と雑な感じがするのですが、今までのほかの薬はこうなってなくて、ずらずら並んだふうになっていますが、これは頂いた所では添付文書をボンと丸投げみたいですが、私は実はこうなっているほうが好きなのですが、どうなのでしょうか。これは機構として。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。こちらの類似薬の資料の記載については、タブレットでの閲覧が始まるということも踏まえ、添付文書を記載する形も取り入れる形で、今、記載の方法の変更を検討しているところですので、できましたら、今後についてはこのような記載で統一をさせていただきたいと考えております。
○清田部会長 よろしいですか。ありがとうございます。そうしましたら、川崎先生の御質問に関する宿題は後日お答えすることにして、ここまでで議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されている亀田委員、南委員をお呼びいただきたいと思います。よろしくお願いします。
                            (亀田委員、南委員 入室)
○清田部会長 それでは議題3に移ります。議題3について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、アクテムラ点滴静注用80mg他の製造販売承認の可否等に関する審査内容の説明の前に、追加効能・効果にある腫瘍特異的T細胞輸注療法等について、機構、再生医療製品等審査部より御説明いたします。
 それでは、お手元のタブレットの「マイプライベートファイル」まで戻っていただき、一番上に当日配布、「腫瘍特異的T細胞輸注療法についてPDF」というファイルがありますので、それをお開きいただくか、お手元に人の絵が入った一枚紙が、タブレットと全く同じものですが、白黒で印刷したものがありますので、そちらをお開きください。2つ絵がありますが、この度アクテムラの説明に関しては、まず、上の絵を御覧ください。
 腫瘍特異的T細胞輸注療法とは、患者由来のがん特異性を有しないT細胞を取り出し、体外で遺伝子組換え等の処理を行ってがん細胞を攻撃しやすくする能力を付与し、これを患者の体内に戻して白血病等の治療を行う治療法の1つとなります。
 キムリア点滴静注は、患者の末梢血から取り出したT細胞に、体外でB細胞性急性リンパ芽球性リンパ腫やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の表面抗原であるCD19を特異的に認識するようにキメラ抗原受容体遺伝子を導入し、当該T細胞が腫瘍細胞を捉え、攻撃できるようにしたものであり、本年2月20日に開催された再生医療等製品・生物由来技術部会にて承認して差し支えないとされ、薬事・食品衛生審議会に報告することとされています。
 腫瘍特異的T細胞輸注療法では、体内に戻されたT細胞の増加がピークに達する数週間以内に、標的細胞からインターロイキン-6等のサイトカインが過剰に放出されることにより、サイトカイン放出症候群(以下「CRS」と略す)が高頻度に認められます。CRSの発現が認められた患者の一部では、重度の血圧低下や急性呼吸窮迫症候群、多臓器不全等の非常に重篤な状態となり、死亡に至る患者も認められております。そのため、腫瘍特異的T細胞輸注療法の施行に当たっては、発現したCRSに対する治療も必要とされております。
○医薬品医療機器総合機構 続いて、タブレットの資料3のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。本剤の有効成分であるトシリズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-6受容体に対するモノクローナル抗体です。本邦では、キャッスルマン病、関節リウマチ等に関する効能・効果で承認されております。今般、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うCRSに係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。海外では、CRSに関する効能・効果は、米国で2017年8月、欧州で2018年8月にそれぞれ承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料23に記載されております4名の委員を指名いたしております。
 主な審査内容について、臨床成績を中心に簡潔に御説明いたします。審査報告書6ページ、表4を御覧ください。有効性について、キムリア点滴静注投与後に発現したCRSに対して、表4に示したアルゴリズムに従い本剤を投与し、得られた成績から御説明いたします。
 審査報告書7ページを御覧ください。再発又は難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病患者を対象とした、キムリア点滴静注の国際共同第II相試験において、本剤投与に至った初回のCRSにおける、本剤投与開始からCRS回復までの期間におけるカプランマイヤー推定値は図1、初回CRS発現日からCRS回復までの期間におけるカプランマイヤー推定値を図2に示しております。本剤投与に至った初回のCRSにおいて、本剤投与28例全例でCRSの回復が認められております。
 次に、審査報告書9ページを御覧ください。再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象とした、キムリア点滴静注の国際共同第II相試験において、本剤投与に至った初回のCRSにおける、本剤投与開始からCRS回復までの期間におけるカプランマイヤー推定値は図3、初回CRS発現日からCRS回復までの期間におけるカプランマイヤー推定値を図4にそれぞれ示しております。また、本剤の投与に至った初回のCRSにおいて、本剤投与16例のうち、疾患進行による死亡1例を除く15例にCRSの回復が認められております。
 審査報告書15ページ、第2パラグラフ目を御覧ください。「追加登録された症例」で始まる箇所になりますが、追加登録期間において追加登録された症例を含めた日本人集団の成績をこちらに記載しております。本剤が投与された日本人B細胞性急性リンパ芽球性白血病患者4例、日本人のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者2例のいずれもCRSからの回復が認められ、CRSからの回復までの期間等において、全体集団と明らかに異なる傾向は認められておりません。
 審査報告書15ページ後半から16ページを御覧ください。ここにお示ししております国内外の診療ガイドラインや次のページ、審査報告書17ページの表16、こちらにお示ししております公表文献等において、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うCRSに対する治療薬として本剤が記載されている使用実態を踏まえ、実施された臨床試験から本剤のCRSに対する有効性を評価することに限界はありますが、本剤の腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うCRSに対する有効性について、一定の期待はできると判断いたしました。
 審査報告書12ページ、表10を御覧ください。こちらには2つの国際共同試験において認められた主な有害事象を示しております。キムリア点滴静注の有効性及び安全性の検討を目的とする試験結果から、本剤の安全性を評価するということには限界がありますが、本剤投与例とキムリア点滴静注投与全例の安全性プロファイルに明らかな違いは示唆されておりませんで、既承認効能・効果と同様の安全対策を引き続き実施するとともに、本剤の十分な知識と腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うCRSの治療の知識・経験を持つ医師により使用されるということを前提に、安全性は許容可能と判断しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断いたしております。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 少し分かりづらいかもしれませんが、キムリアは再生医療のほうで既に承認されております。それにまつわる薬の承認はこの部会でやるということで御理解いただきたいと思いますが、御質問がありましたら承りたいと思いますが、いかがですか。
○菊池委員 日本人に投与されるのは、これは全部で6例ですか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○菊池委員 その人たちの体重は、30kgを超えているのですか、超えていないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。
○菊池委員 また別の方が考えていていただきたいのですが、これは30kgに満たない(患者さんの)ほうが(体重あたりの投与量が)多い用量がいく薬ですよね。そういうことで、例えば29kgの人に投与する量と40kgの人に投与する量だったら、40kgの人のほうがまだ少ない量という、その理屈は何なのでしょうかというのも聞きたいのですが。例えば、日本人全員が30kg以上だったら、安全性のことを考えると30kg以上だけの話にすればいいのではないかと思ったので、そう伺った次第です。
○医薬品医療機器総合機構 1点目、30kg以下の患者さんがいたのかというところですが、今回実施された2つの臨床試験において、リンパ腫を対象とした臨床試験で2例、白血病を対象とした臨床試験で2例が30kg以下の患者さんとなっております。
○菊池委員 その4人には(体重あたり)12mgをやっている(投与された)わけですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 30kgより少ないのに多い量をプロキロあたり投与して、例えば40kgの人に投与する量は29kgに投与する量よりも多分少ないと思うのです。それはどうしてなのですか。それで効く理屈が、少ない量なのに、体重が多かったら多い量が必要な気がしますが、それはどうなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。本剤アクテムラのCRSに対する使用は、海外での臨床研究等も行われており、その際に海外のアクテムラの承認用法・用量が体重30kg以上の場合に8mg/kg、30kg未満の場合には12mg/kgということで、それを参考にして決め打ちで使っていたということがあり、先生がおっしゃるように体重が多い方のほうを多くするといった、用法・用量を探索するような臨床試験は行われておらず、他効能ではありますが承認されている用法・用量で効果があったから変更しなかったというところになります。
○菊池委員 多分答えがないから、意地悪な質問だと自分でも思っているのですが、でも、本当に30kg前後のところでの理論的な意味が全くないような気がして、29.5kgと30kgだったら、逆にそこで用量が変わってしまいますよね。だから、そこのなぜというのがすごく疑問に思いますが、多分資料もないでしょうから、そういう治験だったので、それでやって、そのとおりというのであれば、それしかないですから。実際に日本人の対象でも、両方の体重の人がいて、それなりの結果が出ているというのであれば問題はありませんが、どなたも疑問に思っていないのだったら、いつもと同じですが、誰も言わなかったらすんなり通ってしまえばまたあれですが、今日も長丁場のところをここで1人で言っているのは、いつも言っているように何かこの薬であったら、一蓮托生で、こちらの委員のほうが痛い目にあうのではないかという恐怖心からなので、すみません。
○清田部会長 ありがとうございます。よくフィーリングは共有できると思いますので、そこら辺も御理解いただきながら審議したいと思います。ほかに御質問、御意見は。
○南委員 先ほど御紹介いただいた表10ですが、CRS(サイトカインリリースシンドローム)が起きれば、私は本剤を使うべきだと思っていたのですが、これを見ると、使っていない人が結構いらっしゃるようです。使っていない人でのサイトカインリリース症候群の予後や転帰は、使用していない人と比較してどうだったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 比較はしておりませんが、今回の2試験では、CRSは全例で回復が認めらております。つまり、本剤の投与しなかった軽症の患者と本剤を投与した重症の患者のいずれもCRS自体は回復しております。
○南委員 重症度をそろえて回復するまでの期間などを比較するとどうでしょうか。例えばグレード3、4同士で比べてみても、本剤を使用していない人が15例ぐらいいるようです。使用の有無によりサイトカインリリース症候群の期間に差があるかどうかは気にはなるのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 グレード3と4での期間の比較はしておりません。
○南委員 グレード3と4の比較ではなくて、グレード3、4において使用した人と使用しなかった人の比較はどうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御指摘ありがとうございます。この申請は特殊で、申請者である中外製薬は、比較試験でもないことからアクテムラを使用した患者さんの情報しか入手できないので、今、先生がおっしゃったところは、キムリア側のほうでの解析は可能かと思いますが、中外製薬にアクテムラ非投与例の情報がなかなか集められないところで、あくまでキムリア全投与例との比較というぐらいしかできなかったことになります。大変申し訳ありません。
○南委員 ただ、現場とすれば非常に興味があります。ただ、データをまとめにくいということは理解しました。
○清田部会長 ということで御理解いただけますか。ありがとうございます。ほかによろしいですか。ありがとうございます。それでは、議決に移りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として薬事分科会に報告します。それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、テリルジー100エリプタ14吸入用他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットの資料4のフォルダを開き、一番上の「審査報告書」のファイルをお開きください。
 まず審査報告書3ページを御覧ください。こちらに本申請の概要を示しています。本剤は吸入ステロイド薬(以下、「ICS」)であるフルチカゾンフランカルボン酸エステル、長時間作用性抗コリン薬(以下、「LAMA」)であるウメクリジニウム臭化物、及び長時間作用性β刺激薬(以下、「LABA」)であるビランテロールトリフェニル酢酸塩を有効成分とする吸入配合剤であり、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)に対する治療薬として承認申請がなされたものです。
 安定期のCOPDの薬物治療において、作用機序の異なるICS、LAMA及びLABAの併用は臨床現場に汎用されておりますが、こちらの3剤を配合した医薬品は本邦において承認されておらず、3剤併用療法が必要な場合には、複数の吸入器による投与が行われています。本剤はICS、LAMA及びLABAを配合し、1つの吸入器での投与を可能とすること、さらに投与回数を1日1回とすることにより、服薬アドヒアランスや患者の利便性の向上に寄与することを目的として開発されました。
 本申請の専門委員として、資料23に記載されております5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容につきまして、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。まず審査報告書12ページの表10を御覧ください。有効性につきまして、呼吸機能の低下及び増悪歴を有するCOPD患者を対象とした、国際共同第III相試験であるCTT116855試験の有効性の主要評価項目である「投与52週までの中等度又は重度のCOPD増悪の年間発現率」につきまして、表10の一番下の行にお示ししましたとおり、対照群である、表中ではFF/VIと記載しておりますが、フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ビランテロールトリフェニル酢酸塩配合吸入剤群と、表中ではUMEC/VIと記載しておりますが、ウメクリジニウム臭化物・ビランテロールトリフェニル酢酸塩配合吸入剤群の2つの2剤配合群に対して、本剤群は統計学的に有意に優越性が確認されております。
 また、同ページ下の表11を御覧ください。表11は日本人COPD患者の部分集団解析結果を示しています。先ほどと同様に、それぞれの2剤配合群に対して、本剤群では「投与52週までの中等度又は重度のCOPD増悪の年間発現率」が抑制される傾向が示されています。以上より、機構は本剤のCOPDに対する有効性は示されていると判断いたしました。
 次に安全性につきまして、審査報告書の19ページ、表22を御覧ください。国際共同第III相試験における有害事象の発現状況を示しています。こちらでは、2剤又は3剤を併用した対照群と比較して、有害事象の発現状況を上回るものではなく、既承認薬と同等の安全対策を講じることが適当と判断しています。製造販売後の情報収集等については、以下のように考えています。まず審査報告書の20ページ、表23を御覧ください。この表にお示ししておりますとおり、本剤群に限らないのですが、日本人COPD患者では、肺炎の発現率が全体集団より高い傾向が示唆されています。続いて審査報告書21ページの表24を御覧ください。表24にお示ししたとおり、加齢とともに肺炎の発現傾向が高くなる傾向が認められています。以上を踏まえまして、製造販売後の調査等におきまして、本剤の使用実態下における肺炎の発現状況等の情報を収集し、新たな情報が得られた場合には、臨床現場へ適宜情報提供する必要があると判断しています。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年とすることが適当と判断しています。また、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか、ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、長島委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、議題5に移りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題5の審議の間は別室で御待機いただくことといたします。よろしくお願いします。
                                (亀田委員 退室)
○清田部会長 それでは議題5につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、スマイラフ錠50mg及び同錠100mgの製造販売承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より説明いたします。タブレットの資料5のフォルダを開きまして、「審査報告書」のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるペフィシチニブは、ヤヌスキナーゼ(以下、「JAK」)を阻害し、自己免疫疾患と関連するサイトカインのシグナル伝達を阻害する作用を有しています。今般、関節リウマチ(以下、「RA」)に関する効能・効果で製造販売承認申請されております。なお、海外では現在、韓国及び台湾にて申請中です。
 本申請の専門委員としては、資料23に記載されております10名の委員を指名いたしております。
 主な審査内容につきまして、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。審査報告書の38ページ、表37を御覧ください。こちらには既存の抗リウマチ薬で効果不十分なRA患者を対象とした、国際共同第III相試験の成績を示しています。主要評価項目である投与12週後のACR20%改善率は、表37の左から2番目、3番目の列にお示ししているとおり、本剤100mg群及び150mg群はいずれも、プラセボに対する優越性が示されています。また、次に審査報告書の38ページ、表38を御覧ください。こちらの表にお示ししているとおり、日本人部分集団につきましても全体集団と概ね類似した傾向が認められています。
 次に審査報告書42ページの表43と、その下の表44を御覧ください。こちらはMTXで効果不十分なRA患者を対象とした、国内第III相試験の成績を示しています。主要評価項目である投与12週後のACR20%改善率を表43に、また、もう1つの主要評価項目である投与28週後のmTSSの変化量を表44に示しています。それぞれ左から2番目、3番目の列にお示ししておりますとおり、本剤100mg群及び150mg群は、いずれもプラセボに対する優越性がそれぞれ示されています。以上のことから、日本人RA患者における臨床症状及び関節の構造的損傷の進行抑制に対する本剤の有効性は示されていると判断しました。
 続いて審査報告書の53ページ、表60を御覧ください。こちらには国内及び海外の臨床試験において認められた主な有害事象をお示ししています。主な有害事象としては、上咽頭炎、血中クレアチンホスホキナーゼの増加、帯状疱疹などが認められています。ここにお示しした臨床試験における有害事象の発現状況に加えまして、本剤の薬理作用等を踏まえた検討の結果、既存治療で効果不十分なRA患者における本剤の安全性は許容可能と考えておりますが、本剤投与時には、RAに対して使用されております既承認のJAK阻害剤及び生物製剤と同程度のリスクを有すると考えられることから、RAに対する薬物治療の知識と経験を持つ医師による使用を前提とする等、既承認のJAK阻害剤や生物製剤と同様の安全対策を講じることが適切と判断しています。
 効能・効果は、提出された臨床試験成績及び本剤と同じ位置付けで既に臨床現場で使用されている類薬を踏まえまして、申請効能・効果である「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」として差し支えないと判断しました。
また、近年のRA治療におきましては、可能な限り速やかに臨床症状を鎮静化させて寛解導入するということが推奨されており、主要評価項目や他の評価項目、評価時期において、100mgよりも150mgでいずれも高い有効性を示唆する傾向が示されています。 一方、現時点でのデータからは、いずれの用量も安全性は許容可能であるものの、臨床検査値等の変動等で用量依存性が示唆されていることから、潜在的な安全性リスクも考慮し、用法・用量は「通常、成人にはペフィシチニブとして150mgを1日1回食後に経口投与する。なお、患者の状態に応じて1回100mgを投与できる」と設定することが適切と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 これはMTXを使った人で、(MTXが)効かなかった人だけが対象になっていますよね。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。今回、第III相の臨床試験が2つ実施されています。審査報告書35ページの表34を御覧ください。一方の国際共同第III相試験はMTXを含む抗リウマチ薬で効果不十分なRA患者を対象とし、もう一方の国内第III相試験は、MTXで効果が不十分なRA患者を対象として検証されております。
○菊池委員 そうすると、いわゆる生物製剤を使った人に対しても、この薬は使えるのですか。それで効かなかった人に対してというか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書49ページの表54に、ベースライン時の背景因子別の部分集団解析の結果をお示ししています。この中で下から3項目め、生物製剤の前治療歴の所に、生物製剤を使った患者さんと使っていない患者さんでの有効性の比較をお示ししています。限られた例数ではありますが、どちらの集団でも一定の有効性は期待できると考えています。
○菊池委員 分かりました。MTXだけではなくて、(生物製剤を)使った後にも(本剤を)使って(投与して)いいという解釈なのですね。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘のとおりです。
○菊池委員 分かりました。添付文書上にはどこかに書いてあったと思うのですが、「MTXをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても・・・」とか書いてあったと思うのですが、そういう解釈なのですね。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘のとおりです。
○菊池委員 分かりました。あと、今日は用量にこだわって、あれなのですが、これも少ない量でも効きそうですし、むしろこの前の部会のときも会ったのでコラーゲンの先生に聞きましたが、コラーゲンだったら最初にどかんとやって下げるというほうが理屈には合っていて、自分たちはそちらのほうをやりたいということを個人的にはおっしゃっていたのですが、これはそういう解釈でいいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘のとおりです。審査報告書にも記載しておりますように、近年のRA治療においては、可能な限り速やかに、寛解や低疾患活動性に到達することを目指した治療をすることが推奨されております。
○菊池委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか、ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様です。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。別室で待機されている亀田委員をお呼びいただきたいと思います。
                                (亀田委員 入室)
○清田部会長 議題6について、菊池委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題6の審議の間は別室で御待機いただくことにいたします。
                                (菊池委員 退室)
○清田部会長 それでは、議題6に移りたいと思います。議題6につきまして、機構より概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ビクタルビ配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットの資料6のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。審査報告書冒頭に、本申請の概略を示しています。
 ビクタルビ配合錠(以下、「本剤」)はHIV-1感染症に対する治療薬として、新規有効成分でありインテグラーゼ阻害剤であるビクテグラビルナトリウム並びに既承認の核酸系逆転写酵素阻害剤であるエムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を有効成分として含有する配合剤です。本邦では、エムトリシタビン又はテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する抗HIV薬として、デシコビ配合錠、オデフシィ配合錠、ゲンボイヤ配合錠などが承認されています。本剤は抗HIV薬として、米国及び欧州で、それぞれ2018年2月及び2018年6月に承認されています。
 本申請の専門委員として、資料23にお示しした6名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明します。まず有効性について、審査報告書45ページの表44を御覧ください。こちらの表は、未治療のHIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験2試験における有効性を示しています。表の一番左列の2行目、「HIV-1 RNA量が50copies/mL未満の被験者の割合」と記載の行を御覧ください。主要評価項目である、投与開始後48週時におけるHIV-1 RNA量が50copies/mL未満の被験者の割合を示しており、各試験での対照レジメンに対する本剤の非劣性が示されています。
 次に審査報告書47ページの表46を御覧ください。こちらの表は、抗HIV療法により、ウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験2試験における有効性を示しています。表の一番左列の2行目、「ウイルス学的失敗例の割合」と記載の行を御覧ください。主要評価項目である投与開始後48週時におけるウイルス学的失敗例の割合を示しており、各試験で継続レジメンに対する本剤の非劣性が示されています。以上の試験成績を踏まえ、未治療又は抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
 次に、安全性について、審査報告書50ページの表49を御覧ください。こちらの表は、先ほど説明した海外第III相試験4試験での有害事象の発現状況を示しています。これらの試験での安全性について評価した結果、既承認のテノホビル アラフェナミドフマル酸塩やエムトリシタビン含有製剤と同様の注意喚起などを行った上で、HIV-1感染症患者に対する本剤の安全性は許容可能と判断しました。なお、日本人患者に本剤を投与した際の有効性及び安全性情報は得られていないこと等を踏まえ、製造販売後には、本剤の全投与症例を対象とした使用成績調査を実施する予定としています。
 以上の審査を踏まえ、機構は審査報告書57ページに記載している承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本品目は本申請に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていること、新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断しています。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体ビクテグラビルナトリウムは毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 以前にも申し上げたことがあると思うのですが、有効性に関しては非劣性、決して優れているわけではない。それから今回は、毒性のプロファイルもまとめたデータでは同じ、ということは、この薬は本当に要るのかという疑問を持ちます。論旨の展開から、有効性も変わらないし、安全性も一緒、今までの薬よりどこがいいのか、承認する薬のメリットは何かと考えた時に、一つ一つの毒性のプロファイルが違うため、例えば肝障害で困っている人にはこの薬が使いやすいとか、何か良い面を言っていただいたほうが良いと思います。要するにどういう場面で使用できるかとか、そういう特徴を是非紹介していただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。今回、類薬であるドルテグラビルと比較した試験を実施しているのですが、安全性についても特段大きな違いはない、個別の安全性プロファイルとしても、大差は認められていません。有効性についても同様ところです。何が良いのかと言われますと、機構としては選択肢の1つになると考えています。
○清田部会長 まあ、いいではないかという感じのようです。手駒が1つ増える、武器をもう1つ持つという感じの理解かなと、私も先ほどの説明を受けて思いました。いかがでしょうか。
○登美委員 相互作用のところで、リファンピシンやカルマバゼピンなどとの併用は禁忌になっているということで、その原因としてはPgpの誘導作用があるということですが、添付文書の相互作用の初めの所で、P糖タンパクやBCRPの基質であることは明確に書かれていないのです。多分、非臨床というか細胞を使った解析では、基質であろうということは示されているので、添付文書の書き方としての話なのですが、テノホビルはPgp及びBCRPの基質であると書いてあるので、ビクテグラビルもPgp、BCRP、CYP3A4及びUGT1A1の基質であると言ったほうが、その後を読みやすいかな、理解しやすいかなと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。再度、詳細を確認して、必要に応じて適切に対応させていただきます。
○清田部会長 表現ですよね。
○登美委員 添付文書に基質であるということを明確に書いたほうがいいだろうということです。
○清田部会長 これは後日確認させていただいて、御提案に沿うかどうかお答えいただけるのですよね。
○審議役 御指摘、ありがとうございます。事実関係を確認して、それをどのように記載するかというのは、先生方とまた相談をして、その結果を座長のほうに報告するということでいかがでしょうか。
○清田部会長 では、そのようにさせていただきます。
○島田委員 今のではなくて、先ほどの南先生のお話が、まだ不明確なような気がしたので、これは耐性ウイルスの発現が、恐らく違ってくるのではないですか。有効性や副作用の率は同じでも、だからその薬が必要だと、新しい組合せの薬が必要だということではなかったのですか。そうすると、そういう薬が必要であるということになると思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。耐性ウイルスについてもin vitroの薬理の試験で検討しておりまして、結果については審査報告書の7ページと8ページにお示ししています。
 インテグラーゼ阻害剤が今まで3剤あるのですが、ドルテグラビル以外、エルビテグラビルやラルテグラビルに耐性を示すものに対しては、ビクテグラビルも抗ウイルス活性が維持されている、期待されるというデータは得られているのですが、そちらは既に承認されているドルテグラビルにも同様です。ドルテグラビルもラルテグラビルの耐性変異株に対して抗ウイルス活性が維持されているというデータなので、ビクテグラビルとドルテグラビルの比較としては、大きな差はないだろうという機構の判断になっています。
○島田委員 だから、なぜ必要かという南先生の意見に、あなたは答えていないのです。
○審議役 明確な答にはなりませんが、正に先生がおっしゃっているように、HIV治療においては耐性ウイルスの出現が問題であり、耐性ウイルスへの対応を常に考えておかなければいけないという状況があります。従いまして、耐性ウイルスに対してやはり幾つかの選択肢を持っていくということが、治療上も重要だということで、臨床成績上は明確な差はないのですが、こういうものも世に出していくことが重要だということです。
○清田部会長 という理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
○審議官 1点、補足をさせていただきたいのですが、これは1剤にして1錠飲めばいい形の配合剤にしているというところも、要するに患者さんの治療はずっと続くので、薬物治療をずっと継続するために1剤化をして、1錠を1日1回飲むという形に集約化するというのが、今はHIV治療の基本になってきているので、ただ、患者さんそれぞれの治療の経過の中で、どの薬を組み合わせるかというのが、幾つかパターンがそれぞれの経過を踏んで併用されている組合せが、いろいろなパターンが生じているということもあります。
 そうした中で、よく使われる組合せのものを1剤化した製品というのを開発してくるというのが、最近こういった製品の開発が多くて、この部会における審議においても、既存のレジメンと直接比べると余り変わらないのだけれども、こういう組合せのものも必要なのですという形で、御審議いただいているというのが実態です。
 ですから、こういう組合せの処方をお使いになっている患者さんが実際にいるということが、実は大事なところで、その患者さんたちの治療をずっと継続するために1剤化した、1回1錠飲めばいい、そういう製剤が必要とされているというところから、こういう製品の開発がされて出てきている。これを御審議いただいているということだと思いますが、多分、南先生はそこをはっきりしろとおっしゃっているのだと思います。
○南委員 それを先に言っていただければ良かったと思います。
○審議官 そのようなことで御理解いただければと思います。
○清田部会長 それでは、今度から先にそれをおっしゃっていただくように。
○島田委員 質問にちゃんと最初に答えればいいんです。
○清田部会長 ありがとうございます。では、プレゼンの仕方はそのように変えていただければと思います。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されている菊池委員をお呼びいただきたいと思います。
                                (菊池委員 入室)
○清田部会長 それでは、議題7及び議題8に移ります。議題7及び議題8につきまして、機構から概要を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7の医薬品ラビピュール筋注用の製造販売承認の可否等、及び議題8の生物学的製剤基準の一部改正について、機構より御説明いたします。タブレットの資料7番のフォルダをお開きいただき、一番上のほうにあります「審査報告書」のファィルをお開きください。
 審査報告書の冒頭に本申請の概略を記しております。本剤は狂犬病ウイルスを不活化した全粒子抗原を有効成分とする狂犬病ウイルスワクチンです。ページ下部に記載してあります2ページをお開きください。1.「起源又は発見の経緯」を記しております。こちらに疾患の概略などを記載しております。狂犬病は特異的な治療法はなく、発症すればほぼ全員が死に至る感染症です。ですので、ウイルスばく露前の免疫賦与及びウイルスばく露後の発病阻止を目的とした狂犬病ワクチンが必要です。国内では、狂犬病の予防を目的とした既承認の現行ワクチンが存在するものの、恒常的な供給不足が続いていることから、日本感染症学会などの14学会から、本剤の早期導入を求める要望書が厚生労働大臣に提出されており、今般、本剤の製造販売承認申請が行われました。本剤につきましては、海外では1984年にドイツで承認されたのを皮切りに、現在、74の国・地域で広く承認されております。
 本申請の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料23にお示ししております6名の委員となります。
 それでは内容のほうに入っていきたいと思います。本剤にはばく露前免疫を目的とした接種及びばく露後免疫を目的とした接種の2種類の用途があり、前者のばく露前免疫は主に海外渡航前のトラベラーズワクチンとして、後者のばく露後免疫は狂犬病の疑いがある動物に接触した後に接種されることが想定されます。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。15ページ、表の18を御覧ください。ばく露前免疫の有効性を評価した内容となります。国内第III相試験において、健康成人を対象に本剤と既承認の現行ワクチンについて3回接種後の中和抗体保有率を比較した結果です。ばく露前免疫においては、中和抗体価が0.5IU/mL以上あれば狂犬病を予防できるとされております。ですので、この試験においては、中和抗体価が0.5IU/mL以上となった被験者の割合で示される中和抗体保有率を指標として評価されました。表の左の列を御覧ください。中和抗体保有率は、本剤群においては99.0%、既承認の現行ワクチンでは98.1%でした。一番右の列を御覧いただきたいのですが、中和抗体保有率の差を示しております。本剤群と現行ワクチン群の中和抗体保有率の差の両側95%信頼区間の下限値は、事前に既定された本試験での達成基準を上回っており、本剤の現行ワクチンに対する非劣性が検証されました。
 続いて23ページです。表の30を御覧ください。ばく露後免疫の有効性の評価として、複数の海外臨床試験が行われております。狂犬病の疑いがある動物に接触した者を対象に本剤を、表の中ではZagreb法と示しておりますが、こちらは4回接種となります、4回接種又は6回接種した結果、狂犬病の発症例は認められませんでした。
 続いて28ページです。表の33の一番下の段落の所を御覧ください。5回接種については、海外臨床試験において、4回接種における免疫原性と違いがないことが示されており、さらに文献情報でございますが、狂犬病の疑いがある動物に接触した者に本剤を5回接種した結果、狂犬病の発症例はなかったことが文献において報告されております。以上より、機構は、本剤のばく露前免疫及びばく露後免疫における有効性は期待できると判断いたしました。
 続いて26ページ、2段落目を御覧ください。本剤の忍容性・安全性については、ⅰ~ⅲに記載しましたとおり、提出された資料から、国内及び海外の臨床試験において発現したGrade3又は重度と判定された特定局所反応等の事例はいずれも回復が確認されており、また、未回復の重篤な副反応や、本剤との因果関係があるとされた死亡例は認められておりませんでした。以上のことから、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 続いて34ページです。こちらに「総合評価」を示しております。以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断いたしました。また、本剤の承認に伴い、議題8の生物学的製剤基準の一部改正において、「乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン」の医薬品各条について、資料8番にお示しした内容に改正することを予定しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。品目に関する説明は以上となります。
○清田部会長 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 最後に、本日、欠席の中野委員から事前に御意見を頂いておりますので、概要を御紹介いたします。本剤と現行ワクチンの一般名は同一のものとなっておりまして、現行ワクチンの販売名が一般名に即した名称であるため、臨床現場で本剤と現行ワクチンとの誤認が生じないか、という御懸念が委員のほうから挙がりました。頂いた御意見を踏まえ、容器や包装の表示を工夫すること、配布資材などの各種媒体を用いて周知すること等の対応を行うことで中野委員の御了解を頂いております。また、それらの対応について検討するよう、既に本剤の申請者及び現行ワクチンの製造販売業者に要請しております。機構からの説明は以上となります。議題7及び議題8について、御審議くださいますようお願い申し上げます。
○清田部会長 それでは議題7につきまして、御質問、御意見がございますでしょうか。
○大隈委員 幾つか確認させていただきたいのですけれども、これまで狂犬病ワクチンというのは供給不足が続いておりましたけれども、本製剤の承認、販売によりまして、その不足が解消される見込みがあるのかどうかというのと、あと、現行のワクチンの使用が制限されていて、海外帰国者のばく露後免疫に優先的に使用することを求める旨の注意喚起をされていると思いますけれども、それがこの本製剤の承認、販売によって不要になるのかというのを教えていただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。事務局から御回答をお願いします。
○事務局 事務局からお答えさせていただきます。既存の現行のワクチンの供給が不足しているということもあって今回の申請に至ったわけですけれども、今後、具体的にどのぐらい販売できるのかとか、その辺りはちょっと申し訳ありません、供給を所管している健康局のほうでしっかり管理していくことになろうかと思います。製造販売業者から聞いている限りでは、なるべく需要に見合うよう努力していくというお話は聞いていますけれども、供給制限をどうしていくかとか、具体的にどのぐらいの数になっていくかというのは今後、しっかり検討されるよう製造販売業者や、担当する健康局のほうに伝えさせていただきたいと思います。
○大隈委員 分かりました。追加でよろしいでしょうか。あとは用法についてなのですけれども、ばく露前免疫についてはよろしいかと思いますが、ばく露後の免疫につきましては4回から6回投与となっていると思いますけれども、一見、幅がありますが、どうでしょう。臨床の現場で、何回打てばいいのかというのは判断に迷うケースもあるかもしれないと思うのですけれども、その場合、何て言いますか、基準というか、目安というか何か、回数にそういったものはありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。接種スケジュールについては、4、5、6と複数ありますので、こちらについては添付文書の用法・用量に関連する接種上の注意においてWHOの推奨も参考にするよう記載しております。具体的な推奨内容については情報提供資材において参考情報として記載しております。4回と5、6回のほうで少し違いがありまして、4回のほうが用法の具体的な所を見ていただければ分かりますとおり、初回の接種日に2か所に接種することになっております。5、6回のほうは初回接種日が1か所の接種になります。本剤のばく露後免疫に関しましては、おそらく狂犬病清浄国の日本では1回目、そのまま何も処置しないで帰ってきてしまう方もおられるかと思いますが、現地の医療機関、その国の規制に従って接種されますので、まず、2か所打ちのほうが選択されますと、必然的に4回接種となります。1か所打ちが現地で行われた場合は、5、6回のどちらかとなるかと思います。5、6回をどう選ぶのかというところは臨床現場の先生方の御判断になるかと思いますが、この5、6回がなぜあるのかというのはWHOによる推奨内容の変遷に伴って起こっておりますので、トラベラーズクリニックに勤務されている先生はその辺のところは重々御承知かと思いますので、どちらを選ぶかというのは現場の方の判断になるかと思います。なるべく情報提供資材であったり、渡航医学会のほうの情報提供を頂ければと思っております。
○大隈委員 WHOが推奨しているのは5回ということでよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 昨年の4月にWHOの報告書が改訂されまして、それまでは4回と5回が並列というか、5回が任意で4回は推奨するみたいな形だったのですけれども、現在では4回接種、筋肉内接種に関しましては4回のみが記されております。まだ、そこについては知見が浅いため、5回と4回、世界的に両方使われていることが多いようなのですけれども、今後は4回のほうに主流が流れていく可能性はあると考えています。
○大隈委員 現行のワクチンが6回打ちかと思うので、それを御使用になった先生方がそういったことを考慮されることもあるのかもしれないなと思いながら。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。はい。
○大隈委員 拝聴しました。それからすみません。生物基についてよろしいですか。
○清田部会長 どうぞ。
○大隈委員 生物基の中で、ウイルス浮遊液の試験で、マイコプラズマ否定試験というのがありますが、よろしいですか。一応、これまでは一般試験法はマイコプラズマ否定試験を準用ということになっていましたけれども、これと、そこに追記されている部分のどちらかを選ぶということになりますよね、これは。
○医薬品医療機器総合機構 はい。おっしゃるとおりです。
○大隈委員 本製剤では、一般試験法では難しいのでこういった追記になっているかと思うのですけれども、それでよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。その理解で正しいです。
○大隈委員 その場合、培地性能指標、菌種の発育を確認したとかですね。マイコプラズマ発育阻止活性があるとか、観察するときとか、文言はあるのですけれども、これは一般試験法のほうでは結構詳しく書いてあって、こちらには書かれてないのですが、こういう場合はどういうふうに解釈したらよろしいですか。
○事務局 すみません。事務局のほうからお答えさせていただきます。今回の本剤ではマイコプラズマ試験の(2)の方法を採るというところなのですけれども、それにあたって、その試験が妥当な試験なのかということを事前に確認するための試験についてどうなのかということで御質問いただいたと思うのですけれども、そこについては当然のことながら実施されるべきものと思いますので、基準の中でそこまでを規定する必要はないのではないかというところでこのようにさせていただいているところです。
○大隈委員 分かりました。一般試験法にある文言がちょっとないので、そういったところがちょっと気になりました。
○清田部会長 よろしいですか。補足はないですね。ほかに御質問ございますでしょうか。
○菊池委員 これ、高齢者、妊婦ときたら小児のことを書かなきゃいけないと思うのですが、小児についてはどうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 小児についても国内試験で、小児を対象に試験が実施されておりまして。
○菊池委員 それは6歳までですよね。6歳以下に対してのただし書は必要ないですか。
○医薬品医療機器総合機構 海外ではもう少し低年齢のほうを対象にしたデータがあるのですけれども、国内はちょっと組入れが難しくて、そこになってしまっています。
○菊池委員 いや。前から私が言っている添付文書の統一性がここで欠けているような気がして、ですからその高齢者、妊婦ときたら小児のことも、ここは抜けているので、何かそれが意図があるのですかということで、当然ですけれども、子供がかまれたりもするでしょうから、そこの配慮が必要なんじゃないでしょうか。現行のワクチンでは通っているのですか。私は不案内なのであれですけれども。
○ワクチン等審査部長 すみません、機構よりお答えいたします。現行のワクチンのほうでも小児の項は特に立っておりません。当然、必要に応じて接種すべき状況になれば、せざるを得ない状況かと思いますので、その現場の判断で小児なり小さいお子さんでも打つということで、もうそこでの御考慮にお任せすることになるかと思います。
○菊池委員 いつも申し上げているように、これは全体なのですけれども、添付文書の統一性ということが取れてないということに対して文句を言っているわけであって、この薬もそうですけれども、ほかのも抜けてたりするのがあるので、そういうことの統一性をしっかりやってほしいというのが。特にワクチンですから、国家検定のラベルを付けてピカピカのホログラムというか、何か付いたやつで出すでしょうから、そういった管理が厳重であろうかと思った次第です。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。今後、ほかのワクチンも含めまして、添付文書の記載については検討していきます。
○清田部会長 結局、6歳以下でも打てるということですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。特に制限は設けません。
○清田部会長 それをここに明記する必要はないとお考えなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○清田部会長 だそうです。ほかに御意見ございますでしょうか。
○川崎委員 生物学的製剤基準ですが、先ほど、中野委員から現行ワクチンと名称が同一なので混乱するかもしれないというご意見がありましたが、名称が同じことは生物学的製剤基準にも影響が及んでいると思いました。現行ワクチンと今回のワクチンの共通部分しか基準に記載されないため、現行ワクチンで記載されていたpH試験ですとか、タンパク質窒素含量試験、有効期間などが、今回は承認書に従うような書き方に変更され、品質に関する情報が減ったと思うのです。このようなケースは、1つにまとめずにそれぞれについて規格を記載するとか、あるいは名称を別にするというような対応もあると思うのですが、いかがでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。今回の現行ワクチンと、今般のラビピュールは株等が若干異なるところもございますけれども、製造方法等ほぼ類似しているというところもありまして、これまでの考え方も踏まえて、同じ条に収載させていただいたというところで御理解いただければと思っております。
○川崎委員 医薬品の品質を国民に伝えるということを考えると、情報がなくなっているというのは、目的と逆行しているのではないかと思った次第です。それと関連して、本剤には原薬試験として、○○○○○タンパク質の含量試験が設定されていますが、この含量試験は生物学的製剤基準の方には載っていません。既存薬には含量試験がなく、本剤のほうに含量試験が設定されたので生物学的製剤基準に載せなかったと予想しますが、このようなケースは含量試験も載せたほうがよかったのではないでしょうか。
○事務局 御質問、ありがとうございます。今、おっしゃられたのは糖タンパク質の含量試験のことかと思うのですけれども、製造工程で今回、ラビピュールのほうで糖タンパク質の含量試験が行われていると。一方、現行品ではそこの要求がされていないというところは事実かと思うのですけれども、それを承認書で求められているところをどこまで基準に反映するかというのは、また別の問題かと思っております。今回、基準において小分製品で、力価試験を実施しておりまして、それを基準で定めておりますので、製造過程での試験についてまで基準で定める必要はないと考えて、このようにさせていただいたところでございます。
○川崎委員 力価とタンパク質含量とは別と思いますし、国際標準品を用いて国際単位を出していますので、国際化ということも考慮して、このような定量試験を設定した場合は載せるということも、今後検討いただきたいと思いました。以上です。
○事務局 分かりました。既収載品でやられてないものを基準でどこまで求めるかというところもありますけれども、頂いた御意見について、今後参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 それではよろしくお願いいたします。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○ワクチン等審査部長 すみません。先ほど菊池委員から御質問いただきました子供の接種につきまして補足させていただきます。通常、添付文書の後ろのほうに、高齢者の項、それから妊婦等との並びで小児、乳幼児の項が立っていることが多いと思いますので、その点についての御指摘かと思いまして、この狂犬病ワクチンについては小児の項は特に立っておりませんという御説明をいたしました。改めて御説明しますと、現行のワクチンのほうでは用法・用量の中で、子供の場合にも大人と同量を注射するというふうにはっきりと記載しておりまして、特に注意喚起はなされていないという状況です。今回、御審議いただいておりますラビピュールにつきましては、特に小児に関する記載がないという状況ですので、委員の御意見を申請者のほうに伝えまして、何かしら記載が必要かどうかということについても検討させていただこうと思います。
○清田部会長 ということでよろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。 まず、議題7につきまして議決に入りたいと思います。承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 次に議題8についての議決に入ります。これにつきましては改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは議題9に移ります。議題9につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料9-1及び9-2、医薬品リサイオ点滴静注液100mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明させていただきます。タブレットを御覧になる際には資料9のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるチオテパは、エチレンイミン系のアルキル化剤であり、腫瘍細胞のDNAをアルキル化し、DNA合成を阻害することにより腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。本邦においてチオテパを含有する注射剤が1959年に「白血病等の自覚的並びに他覚的症状の緩解」の効能・効果で承認されておりましたが、原薬の安定供給が困難になったことから、2010年に承認整理されております。
 今般、本剤は、「小児固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療」を効能・効果として承認申請されました。また、本剤は平成24年3月に開催されました第11回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性に係る基準に該当すると判断され、同年4月に厚生労働省から開発企業の募集が行われております。平成30年10月時点において、本剤とは異なる処方のチオテパを含有する注射剤が小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療に係る効能・効果で35の国又は地域で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料23にございますとおり6名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I相試験であるDA901012試験成績が提出されました。有効性については、審査報告書15ページの表6を御覧ください。自家造血幹細胞移植(以下、「HSCT」)施行予定の小児悪性固形腫瘍患者等を対象としたDA901012試験において、HSCT施行100日後の生存率等の結果が得られました。
 次に、審査報告書16ページ、上から1行目以降を御覧ください。小児悪性固形腫瘍における自家HSCTの前治療として、国内の診療ガイドラインでは本剤を含む大量化学療法を行った際の治療成績が記載され、また、海外の教科書では治療選択肢の1つとして、本剤を含む大量化学療法が記載されております。
 また、審査報告書17ページの表7を御覧ください。日本人の小児悪性固形腫瘍患者に対する自家HSCTの前治療として、本剤の臨床的有用性を検討した公表論文が複数報告されており、本邦において一定の使用実績が蓄積されております。先ほど御説明したDA901012試験は本剤投与時の薬物動態を検討することを主要な目的として実施されていること等から、試験結果の解釈には限界があるものの、国内外の教科書及び診療ガイドラインの記載に加えて、本邦において一定の使用実績が蓄積されていること等を考慮すると、小児悪性固形腫瘍における自家HSCTの前治療として本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性については、審査報告書32ページの下から7行目以降を御覧ください。本剤使用時に特に注意すべき有害事象として、感染症、胃腸障害、骨髄抑制、腎機能障害、出血、肺水腫・浮腫、体液貯留、皮膚障害、血栓性微小血管症、肝中心静脈閉塞症、類洞閉塞症候群及び二次性悪性腫瘍が認められております。これらの有害事象については、小児悪性固形腫瘍の治療及びHSCTの施行に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御意見、御質問を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○川上部会長代理 添付文書の最後の所、4ページに、取扱上の注意で、発がん性を有して揮発性もあるということですので、「調製時には手袋、マスク、防護眼鏡を着用し、十分注意すること」とあるのですが、手袋、マスク、防護眼鏡の着用を記す以上に、例えば閉鎖式薬剤移送システムを使うとか、外部排気型の安全キャビネットの中で行うとか、むしろそういうことを言わないといけないのではないかと思うのですが、このような注意喚起はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきまして、ありがとうございます。今、先生から御指摘いただいた点につきましては、こちらで検討させていただきまして適切な注意喚起になるように対応したいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。ありがとうございます。川崎委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは議題10に移ります。南委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づきまして、議題10の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。
                                 (南委員 退室)
○清田部会長 議題10につきまして機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題10、資料10、医薬品リツキサン点滴静注100mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。タブレットを御覧になる際には資料10のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるリツキシマブ(遺伝子組換え)は、抗CD20モノクローナル抗体であり、ヒト成熟B細胞に発現しているCD20と結合し、補体依存性細胞傷害作用等を介して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は、「CD20陽性の慢性リンパ性白血病」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成30年3月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。また、平成24年3月に開催された第11回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を踏まえて、同年4月に厚生労働省から申請者に対して慢性リンパ性白血病に対する開発要請がなされております。平成30年11月時点におきまして、本剤は慢性リンパ性白血病に係る効能・効果にて、122の国又は地域で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料23にございますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、慢性リンパ性白血病患者のうち、未治療のCD20陽性患者を対象とした海外第III相試験であるCLL8試験、再発又は難治性のCD20陽性患者を対象とした海外第III相試験であるREACH試験が提出されました。
 有効性につきましては、審査報告書8ページの表3及び図1を御覧ください。未治療患者を対象としたCLL8試験におきまして、フルダラビンとシクロホスファミドとの併用投与に対して本剤を上乗せすることにより、主要評価項目とされた無増悪生存期間の優越性が示されました。
 また、審査報告書10ページの表4及び図2を御覧ください。再発又は難治性の患者を対象としたREACH試験においても、フルダラビンとシクロホスファミドとの併用投与に対して本剤を上乗せすることにより、無増悪生存期間の優越性が示されました。以上の結果等から、慢性リンパ性白血病患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性について、審査報告書15ページを御覧ください。15ページの本文、下から6行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象は既承認の効能・効果と同様であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「CD20陽性の慢性リンパ性白血病」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は慢性リンパ性白血病に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対して再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。ないようですので議決に入らせていただきます。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されています南委員をお呼びいただきます。
                                 (南委員 入室)
○清田部会長 いよいよ最後の議題11ですね。皆さん、大分疲れて御質問も少なくなってきているようです。議題11の概要につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題11、資料11、ニンテダニブエタンスルホン酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料11のフォルダを開いていただきまして、上から2つ目にございます2.「事前評価報告書」のPDFファイルをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者は、「日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社」、予定される効能・効果は、「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」です。
 まず、1ページの「対象患者数」について御説明いたします。平成29年度の全身性強皮症の特定医療費受給者証交付件数は2万7,423人であり、また、全身性強皮症患者のうち50%~60%において何らかの間質性変化が検出されるとの報告より、本邦における全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の患者数は多くても約1万7,000人と推定されます。以上より対象患者数の基準を満たしているものと考えております。
 次に2ページ、2.「医療上の必要性」について御説明いたします。全身性強皮症を伴う間質性肺疾患は、全身性強皮症の死因として最も多く、末期まで進行した場合には肺移植以外での機能回復が不可能であるため、肺機能障害が進行する前に適切な治療介入を行うことが重要とされております。本邦では、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対してはシクロホスファミド治療後に維持療法としてアザチオプリンが投与されており、必要に応じて副腎皮質ステロイドが併用されておりますが、これらの薬剤は、安全性上又は有効性上の懸念が示されております。本剤は低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、増殖因子等を介したシグナル伝達系を阻害することで、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の症状に対して改善効果が示されております。以上より医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、3ページ中段の「開発の可能性」について御説明いたします。全身性強皮症に伴う間質性肺疾患患者を対象とした国際共同第III相試験が実施されており、病態進行に伴う努力肺活量の減少を抑制することが示されています。また、現在、長期継続投与試験が実施中であり、長期投与時の安全性及び有効性に関する検討が行われております。以上より、開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。長島委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私につきましても同様の取扱いです。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは報告事項に移ります。報告事項につきまして事務局からの御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より報告事項について御報告いたします。初めに、報告事項議題1~5、医薬品フルダラ静注用50mg、ペプシド注100mg、キロサイドN注400mg、エンドキサン100mg、トレアキシン点滴静注用25mg他の製造販売承認事項一部変更承認について、議題1~5についてまとめて御報告いたします。
 先ほどの審議議題アクテムラの審議の際に御説明いたしました当日配布資料、A4横置きの1枚紙を御覧ください。こちらの2ページ、紙資料ですと裏側にございます、「キムリアの前処置について」と記載されたページを御覧いただければと思います。キムリアの投与の際には、キムリアの生着、増殖促進のために患者のリンパ球の除去を目的として、キムリア投与前に細胞傷害性抗悪性腫瘍剤による前処置が行われます。具体的には当日配布資料の中段に記載しておりますように、キムリアの投与予定日の1週間以内の末梢血リンパ球数が1,000/μL以上の場合には、シクロホスファミド、フルダラビン、シタラビン、エトポシド及びベンダムスチンを疾患及び患者の状態に応じて使い分けて前処置を行うこととなります。
 今般、シクロホスファミド、フルダラビン、シタラビン、エトポシド及びベンダムスチンについては、腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。これらの薬剤はキムリアの前処置として投与することから、キムリアと合わせて機構において審査を行い、それぞれ、資料12-1から資料16-2の審査報告書に記載のとおり、承認して差し支えないと判断いたしました。なお、先ほどもお話のありましたとおり、一昨日に開催されました再生医療等製品・生物由来技術部会におきまして、キムリアについて、前処置薬の使用を含めて御審議を頂いており、承認して差し支えないと判断を頂いております。
 続きまして、報告事項議題6、医薬品点滴静注用ホスカビル注24mg/mLの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。タブレット中の下から2番目のフォルダ、報告事項のフォルダをお開きいただきまして、資料17、「審査報告書」という名前のファイルをお開きいただければと思います。1ページに本申請の概略を記載しております。
 本剤はホスカルネットナトリウム水和物を有効成分とする製剤であり、現在は、後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎及び造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症及びサイトメガロウイルス感染症に関する効能・効果で承認されております。本剤については医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎に関する公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成30年11月8日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、クリニジェン株式会社より造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、議題7、リウマトレックスカプセル2mgの製造販売承認事項一部変更承認申請について、御説明いたします。先ほどと同じ報告議題のフォルダ中、資料18の審査報告書のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるメトトレキサートは、葉酸代謝拮抗薬であり、関節リウマチ及び関節症状を伴う若年性特発性関節炎の効能・効果で承認されております。本剤については医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に係る公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成30年11月8日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、ファイザー株式会社から、資料に記載した効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 次に、報告事項議題8、資料19、医療用医薬品の承認条件について御説明いたします。同じ報告議題フォルダの資料19のファイルをお開きください。資料の2ページ、「承認条件に係る評価報告書」のページを御覧ください。今回は、エベロリムスを有効成分とする医薬品アフィニトール錠2.5mg他の承認条件に係る御報告となります。
 本剤は、平成24年11月に「結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫及び結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫」の効能・効果が承認され、その際、4ページに示しております承認条件が付されております。この度、ノバルティスファーマ株式会社から医薬品の使用条件の設定に対する考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されましたので、御報告いたします。なお、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫及び結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫以外の効能・効果に対する同様の承認条件については、平成30年4月に申請された再審査において評価されております。
 4ページ、2.「提出された資料の概要(1)製造販売後に実施された追加のリスク最小化活動『医薬品の使用条件の設定』の1)」を御覧ください。承認取得者は、承認条件に基づきマル1~マル4の「医薬品の使用条件の設定」を行い、実施しました。
 続いて、6ページ、III.「総合評価」の欄を御覧ください。こちらに記載のとおり、機構は、提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断しております。以上を踏まえまして承認条件は満たされたものと判断しております。
 続きまして、報告事項議題9、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料番号は、引き続き20-1~20-5です。これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。
 資料20-1は、有効成分名はタラポルフィンナトリウム、販売名は注射用レザフィリン100mgのもの、資料20-2は、有効成分名はエルロチニブ塩酸塩、販売名はタルセバ錠25mg、同錠100mg及び同錠150mgのもの、資料20-3は、有効成分名はソラフェニブ トシル酸塩、販売名はネクサバール錠200mgのもの、資料20-4は、有効成分名はトリアムシノロンアセトニド、販売名はマキュエイド眼注用40mgのもの、資料20-5は、有効成分名はエベロリムス、販売名はアフィニトール錠5mg及び同錠2.5mgのものです。これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。長くなりましたが、報告事項に関する事務局からの御説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問等がございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項の議題1~議題9につきましては御確認いただいたものといたします。
 それでは、その他の事項の議題1に移ります。その他の事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他の議題といたしまして、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定を行いましたので、御説明させていただきます。資料21-2の2ページを御覧いただければと思います。「その他の議題」というフォルダの中にございます2つ目のファイルになります。資料21-2の2ページに「最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」という通知をお示ししております。こちら、平成29年9月付けの最適使用推進ガイドラインの取扱いに関する通知において、最適使用推進ガイドラインの対象医薬品や作成の手続等をお示ししておりますが、1.「対象医薬品の選定の考え方」に記載されているような最適使用推進ガイドラインの作成対象となる医薬品を選定した場合には、2.の記載のとおり、直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告をすることとしておりまして、今回、2つの品目についてガイドラインの対象とすることといたしましたので、御報告いたします。
 この資料の1ページにお戻りいただきまして、1つ目の品目といたしまして、中外製薬株式会社よりテセントリク点滴静注について、治癒切除不能な小細胞肺がん及びPD-L1陽性の手術不能又は再発乳がんに対する効能・効果及び用法・用量の追加に係る一部変更承認申請がなされたことから、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定いたしました。
 続いて、フォルダにお戻りいただきまして次のファイル、資料21-3をお開きください。資料21-3の1ページに記載しておりますとおり、2つ目の品目としまして、今般、ノバルティスファーマ株式会社よりゾレア皮下注用、一般名オマリズマブ(遺伝子組換え)について、記載のとおり、花粉症の効能・効果の追加に係る一部変更承認申請がなされたことから、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定いたしました。今、御説明いたしました両品目ともに、今後、関係学会等にガイドライン(案)の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う部会において、改めてガイドライン(案)を御説明することとなります。御説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本議題につきましては御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は4月19日(金)午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
 

 

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)