2019年2月21日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

平成31年2月21日(木)16:00~

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール1A

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人3名

欠席委員(4名)

行政機関出席者

 宮本真司(医薬・生活衛生局長)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 磯部総一郎(監視・指導麻薬対策課長)
 矢守隆夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日、初めに、新しく当部会の委員になられました方々を御紹介させていただきたいと思います。お二人いらっしゃいます。お一人が、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野教授の飯島一誠委員です。もうお一方、本日は御欠席ですが、慶應義塾大学薬学部臨床薬物動態講座教授の大谷壽一委員です。
本日の委員の御出席状況ですが、大谷委員、佐藤委員、代田委員、山田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、石川委員は少し御到着が遅れているようでございますが、本日、現在のところ、当部会委員数21名のうち、16名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
また、本日は審議事項議題1に関しまして、参考人の先生方をお招きしております。東京女子医科大学の大澤真木子先生、慶應義塾大学の武内俊樹先生、埼玉県立精神医療センターの和田清先生のお三方でございます。この参考人の先生方には、議題1の審議の際に入室をしていただく予定にしております。
続きまして、部会を開始する前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告を申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様には会議の開催の都度、書面を御提出いただくなど御負担をおかけしておりますが、何とぞ引き続きの御理解、御協力をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、杉部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○杉部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布してございます。議事次第に記載されております資料1-2~15-5をあらかじめお送りしてございます。会議のペーパーレス化に向けた取組としまして、本日の医薬品部会では、前回と同様に、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を、審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。なお、議題1関連の資料1-2、1-3及び1-5については、紙資料も机上に配布しておりますのでどちらでも御確認いただけます。資料1-4「意見募集の結果」につきましては、あらかじめお送りした資料に訂正がございましたので、訂正後の資料を机上に配布し、また、タブレット内にも格納してございます。このほか、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を机上に配布し、また、タブレット内には、資料17として、各審議品目に係る専門協議の「専門委員リスト」を、資料18として、「競合品目・競合企業リスト」を格納しております。また、当日配布資料として「ビバンセカプセルの審査報告書の訂正」を机上に配布し、また、タブレット内にも格納してございます。また、当日配布参考資料として「ビバンセカプセルに関する要望書」を机上に配布しております。加えて、前回までと同様に、各議題の対象の品目について、製剤の見本を机上に置かせていただいております。こちらは会議終了後に回収いたしますので机上に置いたままとしていただきますよう、お願いいたします。
それでは、机上のタブレットの操作方法について、御説明を簡単にさせていただきたいと存じます。タブレットを縦にしていただきまして、画面下の丸いボタンを2回押してください。画面が表示されましたら、議題ごとにフォルダが表示されておりますので、「審議議題1」をタッチしてください。議題1の資料一覧が表示され、御覧になりたい資料名をタッチしていただくと資料が表示されます。他の資料を御確認いただく場合には、左上の青字「審議議題1」をタッチしていただくと資料一覧が再度表示されます。また、他の議題を御確認いただく場合には、左上のマイプライベートファイルをタッチしていただくと、再び議題ごとのフォルダが表示されますので、必要に応じてフォルダをタッチして御覧いただくようにお願いいたします。なお、タブレットの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料18)について御報告させていただきます。資料18の1ページを御覧ください。「ビバンセカプセル20mg他1規格」でございますが、本品目は「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。「ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL他2規格」でございますが、本品目は「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。「ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL他2規格」でございますが、本品目は「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページを御覧ください。「アセレンド注100μg」でございますが、本品目は「低セレン血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
5ページを御覧ください。「フォシーガ錠5mg他1規格」でございますが、本品目は「1型糖尿病」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。「レブコビ筋注2.4mg」でございますが、本品目は「アデノシンデアミナーゼ欠損症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
7ページを御覧ください。「ロスーゼット配合錠LD他1規格」でございますが、本品目は「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページを御覧ください。「オノアクト点滴静注用50mg他1規格」でございますが、本品目は「生命に危険のある心室細動、血行動態不安定な心室頻拍で難治性かつ緊急を要する場合」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
9ページを御覧ください。「ビンダケルカプセル20mg」でございますが、本品目は「トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
10ページを御覧ください。「evinacumab」でございますが、本品目は「家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
11ページを御覧ください。「リスジプラム」でございますが、本品目は「脊髄性筋萎縮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。特になさそうなので、それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものと考えさせていただきます。それでは、委員からの申し出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりでございます。議題1「ビバンセ」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、平石委員です。議題2「ピリヴィジェン」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員、武田委員です。議題4「ハイゼントラ」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員、武田委員です。議題5「アセレンド」、退室委員、議決には参加しない委員は共になし。議題6「フォシーガ」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、武田委員、平石委員です。議題7「レブコビ」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員です。議題8「ロスーゼット」、退室委員なし、議決には参加しない委員は武田委員です。議題9「オノアクト」、退室委員は杉委員、議決には参加しない委員はなし。議題10「ビンダケル」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、武田委員です。議題11「evinacumab」、退室委員、議決には参加しない委員は共になし。議題12「リスジプラム」、退室委員なし、議決には参加しない委員は飯島委員、大賀委員、武田委員です。以上でございます。
○杉部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますか。よろしければ皆さんに御確認いただいたものとしたいと思います。ただいまの利益相反に関連して、議題9につきましては、私は審議に加わることはできないという立場になっておりますので、議題9につきましては、隣におられる奥田部会長代理に座長を務めていただきたいと考えております。御意見等はございませんでしょうか。では、こういう形で進めさせていただきます。奥田先生、よろしくお願いいたします。それでは、議題9につきましては、奥田部会長代理に行っていただくことにいたします。
本日は、審議事項が12議題、報告事項は3議題となっておりまして、かなり数が多いということでございます。議題1については、前回もお出でいただいた参考人の先生方が御到着後に審議を始めたいと思います。このため、参考人の先生方が御到着になるまでは、議題2以降を先に審議したいと思います。参考人の先生方がお出でになるのは大体5時ぐらいだろうと理解してございます。それでは、審議事項の議題2、3及び4に移ります。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2~4、資料2~4、医薬品ピリヴィジェン10%点滴静注及び医薬品ハイゼントラ20%皮下注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本申請の効能・効果である慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(以下、「CIDP」と略称させていただきます)は、2か月以上にわたって進行性又は再発性に発現する運動性・感覚性の症状を特徴とした、自己免疫が介在すると考えられる後天性の脱髄性ニューロパチーです。ピリヴィジェン及びハイゼントラについては、いずれもCIDPに係る人免疫グロブリン製剤の申請であることから、まとめて御説明いたします。
それではまず、議題2のピリヴィジェンについて御説明いたします。本剤は静脈内投与製剤です。タブレットの資料2のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。本剤は2018年1月現在、CIDPに係る効能・効果では、米国、欧州等36の国又は地域で承認されております。本邦では20○○年○月から臨床試験が開始され、今般、CIDP患者に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料17に記載されている6名の委員を指名しております。臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。
本臨床試験成績を踏まえた本剤の有効性については、審査報告書14ページ上から15行目、「7.R.1 本剤の開発計画について」を御覧ください。既に複数のプラセボ対照試験において、他の製造方法による静注用人免疫グロブリン製剤(以下、(IVIG製剤」)の有効性及び安全性が確認されていること、また、本邦のガイドラインにおいてもCIDPの治療においてIVIGの使用が推奨されており、既承認のIVIG製剤が存在することを踏まえ、海外第III相試験(3001試験)の成績及び国内外におけるIVIG製剤の使用経験も含めて評価を行いました。
急性期治療及び維持療法に係る有効性について、それぞれ説明させていただきます。急性期治療に係る有効性については、審査報告書18ページ上から4行目、「7.R.3.1 急性期治療における有効性について」を御覧ください。国際共同第III相試験(3003試験)において投与4週目に調整INCATスコアで1ポイント以上減少した被験者の割合は49.8%でした。本剤の海外第III相試験(3001試験)で32.1%であったこと、及び他のIVIG製剤を用いた臨床試験(ICE試験)において、投与6週目における調整INCATスコアで1ポイント以上減少した被験者の割合は54.2%であったことを踏まえると、急性期治療の有効性は期待できるものと考えております。
また、維持療法に係る有効性については、審査報告書19ページ表13を御覧ください。国際共同第III相試験(3003試験)の再安定化期間において13週目までに調整INCATスコアで1ポイント以上減少した被験者の割合は72.9%であり、海外第III相試験(3001試験)、及び他のIVIG製剤を用いた2つの試験において、投与25週目における調整INCATスコアで1ポイント以上減少した被験者の割合は、それぞれ64.3%、54.2%及び77.6%であり、大きな差異は認められなかったことも踏まえると、維持療法の有効性についても期待できるものと考えております。以上を踏まえ、急性期治療及び維持療法のいずれに対しても、本剤の有効性は示唆されたと判断いたしました。
次に、安全性ですが、審査報告書23ページの表16を御覧ください。本剤の臨床試験において溶血関連の有害事象が認められ、海外第III相試験(3001試験)では重篤な有害事象が認められました。その後の製造工程の変更により、海外製造販売後安全性情報では溶血関連の有害事象の発現割合が低下しておりますが、本剤に由来するリスクとして添付文書において注意喚起を行うことが適切と判断しております。また、他の人免疫グロブリン製剤と同様に、アナフィラキシー、無菌性髄膜炎、血栓塞栓症、急性腎障害、肺水腫及び血小板減少症については、添付文書において注意喚起を行うことが適切と判断しております。
なお、添付文書の記載について、1点修正がございます。「重要な基本的注意」の項(3)のうち、「特に小児等に」で始まる部分について、本効能における投与対象は原則として成人となることから、削除いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、特定生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しています。また、本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準に、議題3、資料3にお示しした基準の追加を予定しております。併せて御審議くださいますよう、よろしくお願いいたします。
なお、本日の審議に先立ち、本剤は新規の血液製剤であることから、品質評価に関するコメントを頂くために、医薬品第二部会の委員である国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室室長の大隈和先生、及び横浜市立大学生命医科学研究科創薬再生科学研究室教授の川崎ナナ先生にも御意見をお伺いしております。大隈和先生からは、品目及び生物学的製剤基準について、特段、御意見がない旨、御連絡いただいております。また、川崎ナナ先生から、品目の品質に関する御質問に加え、議題3の生物学的製剤基準に関する御質問を併せて頂戴しておりまして、それらの御質問については事前に御説明させていただき、御確認いただいております。
いただいた主な御質問と回答を紹介させていただきます。まず、ピリヴィジェンの品質について、「原材料は生物由来原料基準に従っているということですが、HTLV-1やCMV感染リスクはいかがでしょうか。国内献血ではないのでHTLV-1は問題ないということでしょうか」、という御質問を頂きました。本剤の製造工程におけるウイルスクリアランス試験の結果、HTLV-1のモデルウイルスであるHIV-1及びCMVと同様にヘルペスウイルス属に属するPRVの総クリアランス指数が、それぞれ9.78以上、16.64以上であることが示され、HTLV-1やCMVが原血漿に存在していたとしても、最終製剤からは十分に除去されていると考える旨を回答し、御了承いただいております。
次に、生物学的製剤基準について、「エンドトキシンの規格が○○○○○○○○○○○○0.69EUに変更されるようですが、既存薬の規格が○○○○○○○に変更になる妥当性は判断できません」、という御意見を頂きました。○○○○○○○○○○○ため、生物学的製剤基準は0.5から0.69に変更となりますが、既存薬の承認書では○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○変更にはならない旨を回答し、御了承いただいております。
続きまして、議題4のハイゼントラについて御説明いたします。本剤は皮下投与製剤です。タブレットの資料4のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。本申請はCIDPの維持療法に係る効能追加であり、本剤は2018年8月現在、CIDPに係る効能・効果では、米国、欧州等7の国又は地域で承認されております。本邦では20○年○月からCIDPに係る臨床試験が開始され、今般、CIDP患者に対する有効性及び安全性が確認されたとして製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料17に記載されている5名の委員を指名しております。臨床試験成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。
まず、有効性ですが、審査報告書8ページの表5を御覧ください。CIDP患者を対象として実施された国際共同第III相試験(3003試験)において、主要評価項目であるCIDP再発又はその他の理由により試験を中止した被験者の割合について、本剤200及び400mg/kg群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
次に、安全性ですが、審査報告書12ページの表9を御覧ください。CIDP患者を対象とした国際共同第III相試験(3003試験)及び国際共同長期投与試験(3004試験)、並びに既承認の無又は低ガンマグロブリン血症患者を対象とした、臨床試験における有害事象の発現状況を記載しております。注射部位紅斑、注射部位腫脹等の有害事象が認められましたが、CIDP患者と無又は低ガンマグロブリン血症患者における有害事象の発現プロファイルは大きく異なりませんでした。なお、本剤のCIDPに係る用量は、既承認の効能・効果である無又は低ガンマグロブリン血症に係る用量よりも高いことを踏まえ、注射部位反応について添付文書において注意喚起を行うこと、アナフィラキシー、無菌性髄膜炎、血栓塞栓症については既承認の効能・効果と同様に注意喚起を行うことが適切と判断しております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能医薬品及び新用量医薬品であり、今回追加される効能・効果に対する再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会には報告を予定しています。説明は以上です。御審議の程よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございます。ちょっと分かりにくかったかもしれませんが、議題2、4を同時にしていただきました。議題2については静脈注射ですね。議題4については皮下注を取り上げております。対象疾患は同じなものですから同一で説明をしていただいたわけでございます。何か委員の先生方から御質問がございますでしょうか。これは、それぞれの議題ごとに議決も行いたいと思いますので、まず御質問がある場合には、よろしくお願いいたします。
○岡委員 議題3も一緒でよろしいですか。
○杉部会長 一緒で結構です。
○岡委員 3の改正後の1条を見ますと、「わずかに白濁した液剤」というのが追加されていると思いますが、白濁と言ってしまうと、他の理由で品質が悪くなって白濁しても含まれてしまうような気がします。議題2のほうの添付文書ですと「わずかに○○している」と書かれていて、白濁と言うと広く含んでしまうような印象がありますけれども、それは大丈夫なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。白濁と記載されているという件ですが、本剤の規格の中で免疫グロブリンG重合物否定試験という規格を設定しておりまして、凝集体等の規格については管理をしているところでございます。また、臨床試験においても特に問題は現時点で認められておりませんので、現在の規格で安全性上の大きな問題があるとは考えておりません。
○岡委員 そういう意味ではなくて、性状と言ったときに「わずかに白濁した液剤である」と書いてしまうと、保管の間に品質が変わったり、いろいろな理由で変わっても、それはここに含まれてしまうのではないでしょうかという疑問です。添付文書のほうでは○○と書かれていますが、白濁にわざわざ変えられた理由は何でしょうということです。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。これまで、pH4処理酸性人免疫グロブリンにつきましては、この製剤の承認前に別の製剤が紐付いておりまして、そちらにつきましては、これまで白濁という性状の要件はなかったところです。今回、申請されましたピリヴィジェンにつきましては、性状の所に白濁することも良しとする性状になっておりまして、それを踏まえまして生物学的製剤基準の一番下の基準といたしましては、既承認の製剤とこの剤と共に適合するように、こちらの基準を書き換えているところでございます。しかしながら、先ほどの既存の製剤につきまして、白濁というものが認められるのではないかということになるかと思いますが、そちらにつきましては○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○でございます。このようなことで回答になっておりますでしょうか。
○岡委員 大丈夫なら結構です。
○杉部会長 岡先生、よろしいですか。ありがとうございました。でも、白濁と言うと気になりますね。そのほか、特にございますか。
○大賀委員 議題2のピリヴィジェンについて、これの効能又は効果、適応疾患として、CIDPの筋力低下の改善と運動機能低下の進行抑制になっていますけれども、先ほどの話で溶血ということが治験のときに問題になった話がありました。現在、改善されてその割合は減ったという御説明があって、その割合というのは、この薬はこの疾患にだけ適応になっていますが、そのほかにITPとか川崎病、無又は低ガンマグロブリン血症で使うことがあります。それらの疾患で他の製剤と比べたときよりも、溶血の起こる頻度が高かったということでしょうか。そして改善されてから、それがあまり変わらなくなったというふうに理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。ピリヴィジェンについては国内では今回、CIDPに係る効能・効果で承認申請されたのみであり、海外に関しても他に無又は低ガンマグロブリン血症など、少し効能が付け加わっている程度ですので、使用されている効能・効果の範囲はそこまで広くはない製剤となっています。他に本邦でもグロブリン製剤が幾つかございまして、CIDPの適応のあるものが2つございますけれども、こちらに関しては、ご指摘の川崎病や他の疾患も含めた効能となっています。
溶血関連の有害事象の発現については、これらの製剤を直接比較したようなデータはございませんが、製造販売後の情報に関しては国内のCIDPの適応を持っているグロブリン製剤2つと、今回承認申請されているピリヴィジェン、こちらは海外を含めた製造販売後の情報ですけれども、これらの有害事象の発現状況を数値として見ますと、大きく変わらない結果となっております。
○杉部会長 よろしいでしょうか。そのほか何かございますか。それでは、それぞれ議題ごとに議決を行いたいと思います。
まず、議題2について議決に入ります。この議題2につきましては、大賀委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。議題2について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
次に、議題3について議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、この改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
次の議題4について議決に入ります。これも大賀委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。それでは、議題4について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
次は、議題5に移りたいと思います。よろしいでしょうか。機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題5、資料5、医薬品アセレンド注100μgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
低セレン血症に対する治療法は、セレン補充が基本となりますが、本邦においてセレン補充を目的とする注射用セレン製剤は承認されておらず、院内製剤等で治療が行われています。本剤は、亜セレン酸ナトリウムを有効成分とする注射剤です。本剤は、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を経て、2010年5月に厚生労働省から開発要請がなされ、開発に至りました。今般、低セレン血症患者を対象とした国内臨床試験により、当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、亜セレン酸ナトリウム注射剤は2018年10月時点において、セレン欠乏症の治療薬として、英仏独等、海外17か国で承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料17に示します専門委員を指名しています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性に関しては、審査報告書別紙19ページの表15を御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目である「投与4週後の血清セレン濃度の変化量」は5.70μg/dLであり、投与4週後の血清セレン濃度は投与前と比較し有意に増加しました。続いて、審査報告書別紙20ページの表18を御覧ください。国内長期投与試験において、本剤投与4週以降も血清セレン濃度は基準値の範囲内に維持される傾向が認められました。以上より、機構は、本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性に関しては、審査報告書別紙21ページの表19を御覧ください。国内長期投与試験における有害事象の発現状況を示しています。「医療機器関連感染」、「ウイルス性上気道感染」、「発熱」等が比較的多くみられたものの、ほとんどが本剤との因果関係は否定され、2例以上に認められた副作用は「倦怠感」2例のみでした。以上より、低セレン血症患者における有害事象の発現状況に臨床上問題となる傾向は特段認められなかったことから、機構は、本剤の安全性は許容可能と考えました。ただし、添付文書において、本剤投与中は過量投与に注意し、血清セレン濃度を確認し同一用量を漫然と投与しないことを注意喚起するとともに、製造販売後調査等においてセレン過剰症の発現状況について情報収集する必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、低セレン血症に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。
機構からの説明は以上になります。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 どうもありがとうございました。低セレン血症についてのお薬です。委員の先生方から、何か御質問、御意見はありますか。大丈夫ですかね。特に御質問もなく、こういう患者さんがいれば必要な薬ということになると思いますが、よろしゅうございますか。それでは議決に入りたいと思います。委員の先生から特になければ承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御異議がないようですので、この薬の承認を可として薬事分科会に報告をさせていただきます。
議題6に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。議題6について、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題6、資料6、医薬品フォシーガ錠5mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。タブレットの資料6のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
本剤の適応対象として一変申請された1型糖尿病は、膵β細胞の破壊により内因性のインスリンを十分に産生できないことから、基本治療としてインスリン療法が行われていますが、インスリン療法のみでは推奨される血糖コントロールを達成できない1型糖尿病患者も多く、また、インスリン投与に伴った低血糖症状も多く認められています。本剤は、インスリン非依存的に血糖降下作用を発現するSGLT2阻害薬であり、2014年3月に「2型糖尿病」を効能・効果として本邦で承認されています。今般、インスリン療法下で血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象に、本剤を併用投与する開発が行われました。なお、本剤は、20○年○月現在、1型糖尿病における適応に対して海外のいずれの国・地域においても承認されておらず、米国及び欧州において審査中です。本邦では、SGLT2阻害薬のうち、1型糖尿病の効能・効果を有する薬剤としては昨年の12月に御審議いただきましたスーグラ錠に続き2剤目となります。本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書別紙の10ページ上段にある表6を御覧ください。インスリン療法下で血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象に、本剤を併用投与する国際共同第III相試験が実施されました。主要評価項目であるベースラインから投与24週時までのHbA1c変化量について、いずれの本剤群においてもプラセボ群に対して有意な低下が認められました。長期投与時の有効性については、審査報告書の11ページの中ほどにある図1を御覧ください。いずれの本剤群においても、投与52週間にわたりベースラインからのHbA1cの低下が認められ、効果の持続性が確認されています。
安全性については、審査報告書の25ページの下段にある「機構は、」から始まる段落を御覧ください。本剤の安全性については、低血糖やケトアシドーシスの個別の事象について検討した結果から、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
以上のとおり、機構での審査の結果、「1型糖尿病」を効能・効果とし、1型糖尿病に対する本剤の用法・用量として、2型糖尿病と同様の用法・用量にインスリン製剤との併用下で本剤を投与する旨を明記することで、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
本剤は、新効能及び新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から、何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○森委員 安全性情報に関する確認ですが、糖尿病性ケトアシドーシスの発症頻度について、もう少し詳細に教えていただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。糖尿病性ケトアシドーシスについては、審査報告書の28ページからを御覧ください。28ページの中ほどにある表27に、臨床試験での糖尿病性ケトアシドーシスの発現状況をお示ししております。プラセボ群と比較して、本剤5mg群、本剤10mg群ともに糖尿病性ケトアシドーシスの発現割合が高いですが、本剤5mg群と本剤10mg群では発現割合に違いは認められておりません。多くの患者さんで糖尿病性ケトアシドーシスの標準的な治療が行われ、いずれの事象についても全ての患者さんで回復を確認しています。
○森委員 発症頻度の増加の割合に関することを、もう少し確認したいのですけれども、プラセボと比較してどの程度増加するというふうに分かっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 1型糖尿病のプラセボ群との比較の御説明でよろしいでしょうか。
○森委員 プラセボ比較で結構です。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。プラセボ群では大体1%前後に対して、本剤群では4%ほどの発現割合でした。日本人集団についても、全集団と同程度の発現割合でした。
○森委員 糖尿病性ケトアシドーシスは、1型糖尿病の患者さんではインスリンの内因性分泌が非常に少なくなっているので、インスリン強化治療を行ってインスリン補充をしているのですが、何らかの事情でインスリンの注射が抜けてしまった場合や忘れた場合、ないしはシックデイといって、風邪をひいたり腸炎にかかって食事摂取ができないときにインスリン注射の量が過少であったりすると、しばしば起こります。またときには、アルコール摂取がトリガーになって起こる場合もあります。ケトアシドーシスはいわゆるケトーシスとは全く違う次元の有害事象で、生命の危険が伴う、特に1型糖尿病の方には最も重い副作用として知られています。
注意していただきたい点は、通常のインスリン治療をされている1型糖尿病患者さんでは、ケトアシドーシスの発症時にはほとんど血糖値が高血糖を呈するので、血糖値が上昇していて、かつ、ケトン体が増加しているという状況から、比較的患者さんも血糖測定をしているうちに気が付きやすいのですけれども、今回のダパグリフロジンや前回のイプラグリフロジンもそうですけれども、SGLT2阻害薬を服用されている方は、ケトアシドーシスを発症している際の血糖値が250を超えていない、いわゆる正常血糖ケトアシドーシスという状態が起こりやすいことが、専門家の中で、今、大変問題になっています。この場合は、通常、患者さんが血糖測定をしていても、200ぐらいの血糖値というのはしばしば出るものですので、ケトアシドーシスを起こしているかどうかは、血糖測定だけではなかなか知りえないということで、この病態になっていることが、なかなか気が付かれにくいおそれがあると懸念をしています。そのケトアシドーシスが、4倍以上の発生率で起こっていると推定されていて、特にこのダパグリフロジンの臨床試験では、プラセボとの比較でかなり発生状況が多いということを非常に懸念しています。
もう1つ、日本国内の問題ですが、患者さんが血糖の測定をすることは、自己測定として保険収載がされていて、インスリン治療の方はほぼ保険診療の中でインスリン自己測定ができる環境ですが、実は尿中のケトン体や血液中のケトン体をモニタリングするということが、保険診療で患者さんの自己測定が認められていません。したがって、今回の安全性に関する機構からのアセスメントでも、報告書の30ページの上から11行目を御参照いただきたいと思いますが、もちろん機構の方も十分そのリスクを御存じでいらっしゃるので、今後の発症を抑えるために、添付文書や様々な資材を用いてケトアシドーシスの症状やその発現する可能性があること、そして、「ケトン体自己測定の方法とケトン体自己測定を要する状況に関して説明」という記載があるのですが、これが現状では保険診療の中でカバーされていないという国内の問題点があります。学会を挙げてということではないですが、1型糖尿病の診療をされている糖尿病専門医の先生方からは、このSGLT2阻害薬の1型糖尿病への適応拡大について、正常血糖ケトアシドーシスの発生が大きく増えるのではないかと、大変懸念をしています。なおかつ、ケトン体のモニタリングが、現行ではカバーされていないといったことですので、可能であればその対応を同時にお進めいただいて、より安全な形でこの薬剤が、1型糖尿病の方に享受していただけるような環境を是非ともお願いしたいと思っています。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。機構で何か案がありますか。
○審議役 機構から御説明します。先生の御指摘の点は、添付文書に、高血糖にならない場合でもケトアシドーシスがあるということで注意喚起は今してあります。先生のもう1点の御指摘は、保険上の対応ができるようにというお話だったかと思います。それについては、この部会などでは、なかなか保険のことについては対応できないということがありますので、こういう御意見があったということを保険サイド、担当のほうにもお伝えするということで、いかがでしょうか。
○森委員 このケトアシドーシスの発症が、SGLT2阻害薬の服用を併用されてから起こるタイミングが特に一定の期間だと決まっていないのです。服用開始すぐではなくて、少したった後でも比較的コンスタントに発生しているようですので、しばらくの間だけ注意していれば大丈夫というものではないという点も、専門家の大きく懸念している点です。
現在、発売されている血糖自己測定器の中には、患者さんが自己ケトン測定をするファンクションが付いている機種も販売されていますが、ケトン体を測定する試験紙は別のものが必要で、保険でカバーされていません。したがって、インターネット等で通信販売で御自身で購入されている方もいるといった現状です。これらのことは、従来の糖尿病治療の中では、それほど大きな問題点なく臨床で過ごしていた点ですが、1型糖尿病の患者さんにSGLT2阻害薬の併用が認められることになる、しかも前回のイプラグリフロジンの場合は、ケトーシスの発生頻度は増えていましたが、ケトアシドーシスが発生した事例は認められていません。今回のダパグリフロジンの場合は、それが4倍の頻度で発生しており、その問題は確実に大きいものだと考えています。御連絡を頂くということは、全くそのとおりですが、有効な措置がタイムリーな形で行われるということが不可欠だと考えています。迅速な御対応を求めます。是非とも関係部署の方々に強く働き掛けいただき、御対応いだだければと願っています。
○杉部会長 ありがとうございました。機構は、それでよろしいですか。
○医薬品審査管理課長 審査管理課ですが、先生の今の御意見は担当部署にも伝えますし、また学会の先生方とも、御意見を頂きながら厚生労働省として前に進めるべく取り組みたいと思います。どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○杉部会長 貴重な御意見をありがとうございました。そのほか先生方、何かございますか。なければ、この1型糖尿病の適応とする、この議題6についてですが、議決に入りたいと思います。なお、大森委員、武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。森先生、よろしいですか。この注意喚起をするということになりますが。
○森委員 注意喚起というのは、どちら様にでしょうか。
その厚生労働省の中で、御担当なさっている方々に情報提供していただき、迅速な御対応をしていただくことをお願いするという御判断でしょうか。
○杉部会長 そういうことですね。
○森委員 それは是非ともお願いしたいと思っています。そちらを何とぞお願いいたします。
○杉部会長 よろしいでしょうか。では、そういうことで、是非よろしくお願い申し上げます。本議題について承認を可として、これを報告したいと思います。
まだ参考人の先生がいらっしゃっていませんので、議題7について、機構から概要の説明をよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題7、医薬品レブコビ筋注2.4mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。タブレットの資料7-1及び7-2のフォルダをお開きいただき、「審査報告書」のファイルをお開きください。本剤は、大腸菌より産生される遺伝子組換えアデノシンデアミナーゼ類縁体にPEGを共有結合させた修飾タンパクであるエラペグアデマーゼ(遺伝子組換え)を有効成分とし、アデノシンデアミナーゼ欠損症に対する酵素補充療法として用いられる治療薬です。アデノシンデアミナーゼ欠損症は、プリン代謝経路の酵素であるアデノシンデアミナーゼ(以下、ADA)の欠損により、ADAの基質であるデオキシアデノシンヌクレオチド(以下、dAXP)等が細胞内に蓄積することにより、主に免疫細胞に対する障害を引き起こし、進行性の免疫不全を呈する疾患です。本邦においては、米国で既にADA欠損症に関する適応で承認を取得している製剤である、ウシ腸から抽出したADAにPEGを修飾した修飾タンパク質を含有する製剤であるADAGENが、2012年3月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと判断されましたが、その後、遺伝子組換え技術を用いた本剤の開発が海外で進行していることが明らかとなったことから、2014年1月の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において本剤の開発を優先するよう要望が切り替えられました。本剤は、ADA欠損症を予定する効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されており、また、2018年12月現在、米国において承認されております。本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門員として指名しております。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性については、審査報告書の別紙17ページ、表18を御覧ください。ADA欠損症患者を対象とした国内第III相試験が実施され、本剤を4例に投与した結果、ADAの基質である赤血球中dAXPトラフ値及び血中dAXPトラフ値は、いずれの患者においてもベースラインから低下する結果が得られました。続いて、同ページ下の表19を御覧ください。酵素活性である血漿中ADA活性トラフ値及び血清中ADA活性トラフ値についても、本剤投与によりベースライン時に比較して上昇する結果が得られました。なお、ADA欠損症患者を対象とした海外第III相試験も実施され、国内第III相試験と同様の結果が得られております。
安全性について、審査報告書18ページの表20を御覧ください。国内第III相試験において、4例中4例に表に示す有害事象が発現しましたが、いずれの事象も本剤との因果関係は否定され、認められた有害事象の発現状況に一定の傾向は認められませんでした。また、海外第III相試験においても、本剤の安全性について特段の懸念を示す結果は認められませんでした。なお、国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後は全症例を対象に製造販売後調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件を付すことが適当と判断しております。
以上のとおり、機構での審査の結果、「アデノシンデアミナーゼ欠損症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であり、再審査期間は10年とすることが適切であり、原体及び製剤は劇薬及び毒薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から何か御意見、御質問ございますか。よろしいですか。これも必要な薬ということになると思います。特に御質問がなかったら議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。大賀先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。それでは、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告をさせていただきます。
ただいま、参考人の先生方がお出でになられましたので、これから議題1に戻りたいと思います。
                                  (参考人入室)
○杉部会長 前回もお出でいただきましたが、東京女子医科大学の大澤真木子先生、慶應義塾大学の武内俊樹先生、埼玉県立精神医療センターの和田清先生、お三人を参考人として再度お呼びしております。
それでは、議題1について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、議題1について御説明いたします。本品目は、昨年12月3日に開催されました本部会において、一度御審議いただき、その際、承認の方向で進めること、及び本剤の流通管理策についてパブリックコメントを実施し、その後の部会で改めて承認の可否について議決を行うことについて御了承いただいておりました。その後、昨年12月から本年1月にかけて流通管理策に関するパブリックコメントを実施しましたので、本日は、その結果を御報告するとともに、改めて本品目の承認について御審議をお願いしたいと考えております。それではまず、関連する資料について御紹介します。タブレットの議題1のフォルダをお開きいただきますと、前回御説明しました審査報告書や申請資料に関するファイルに加えて、下に流通管理策に関する資料を格納しております。このうち、資料1-2「ビバンセカプセル適正流通管理策(案)の概要」と、資料1-3「ビバンセカプセル適正流通管理策(案)」の2点については、昨年の前回部会時の資料と同様に、予定する流通管理策の内容について記載をしております。資料1-4「意見募集の結果について」と、資料1-5「意見一覧」については、パブリックコメントの結果となっておりますので、こちらを用いて御説明いたします。なお、この会の冒頭の御紹介のとおり、これらの資料につきましては、紙媒体も配布しておりますので、見やすいほうを御覧ください。
資料1-4の意見募集の結果をお開きください。資料1-4の1ページ目の冒頭の「1.パブリックコメントの結果の概要」です。昨年12月6日から本年1月4日までの約1か月間に意見の募集を行い、計148件の意見を頂きました。意見の内容について大まかに分類しますと、表のとおり、流通管理策に関する御意見として、マル1本剤の承認に反対、承認する場合には管理をより厳しくすべきとする御意見が19件、マル2管理をより厳しくすべきとする御意見が16件、マル3管理が厳しすぎるとする御意見が1件でした。また、パブリックコメントの対象である流通管理策に関するもの以外の御意見として、マル4本剤の承認に反対するものが110件、これには、小児AD/HDに対する薬物治療自体に反対されているものなども含まれます。また、マル5本剤の承認に賛成するものが1件、マル6成人向けの用法・用量の開発を要望するものが1件で、合計148件でした。
「2.主要な御意見」には、意見の内容ごとに分類して、御意見の概要と、それに対する事務局の考え方を記載しております。本日は全ての御意見を御紹介することは難しいですが、主なものについて簡単に御紹介します。1番は、流通管理は厳重に行い、徹底した管理のもとに置かれるべきとするもの。逆に、2ページの2番は、類似薬に比べて段違いの厳しさで実務上も煩雑になるとの全体的な御意見です。また、3番以降は、本剤の使用制限に関する御意見です。3番は入院施設に限定するべき、4番は十分な鑑別診断等を経ていない段階での投与を禁止するべき、5番は他の薬で効果が無かった場合に限定するべきといった御意見を頂いております。
それぞれの御意見に対する事務局の考え方としては、右側の欄のとおり、外来患者に対しても治療機会が提供される必要があると考えていること、鑑別診断については、確立した診断基準に基づき慎重に診断を行い、基準を満たす場合にのみ投与するよう注意喚起が行われること、本剤の使用経験が蓄積されるまでの間は、ほかのADHD治療薬で効果不十分な場合に限定する予定であることなどを記載しております。
7番からは、適正流通管理委員会に関する御意見です。7番は委員会の構成メンバーに麻薬取締官を含めるようにするべき、8番は委員会の委員となる医師の過去の製薬会社とのつながりを閲覧できるようにするべき、10番では、委員会と行政機関が連携して適切な指導等ができるようにするべきといった御意見を頂いております。これらに対しては、適正流通管理委員会には行政担当者が同席することを予定しており、必要な連携を取っていくこととしていること、委員の利益相反が適切に管理されていることが確認される予定としていることなどを記載しております。
11番からは、医師の登録等の要件についての御意見です。11番は問題があった登録医や登録機関に対して迅速で強い罰則を与え、資質の無い医師に資格を与えないようにすべきというもの、12番から16番までは、登録医師を更に限定するべきといった御意見で、関連学会の役員等であること、大学病院に限定すること、治験参加医師のみとすることなどが提案されております。これらについては、治験参加医師や大学病院以外でも診断治療や本剤の管理を適切に実施できる医療機関は存在すると考えられること、医師の登録に当たっては、症例報告等により適切なADHD治療を行うことができる医師であることを確認すること、流通管理策からの逸脱があった場合には、流通管理委員会の意見も踏まえ、登録取消しを含む措置が取られることになるなどを、対応する考え方として記載をしております。
4ページ、19番以降は、患者同意や説明等に関するものです。19番は患者及び保護者に対して、本剤が「覚せい剤原料」であることや、譲渡等をすることが禁止されていることを理解させるべき、20番は副作用や薬物治療以外の解決策も説明した上で同意を取るべきといった御意見、また、23番では患者の住民票と紐付けられる形での確認を行うべきとする御意見などがありました。これらに対する考え方としては、患者等への説明資料において、本剤が「覚せい剤原料」であり譲渡等をした場合には罰せられる可能性があることなどを記載していること、容易に理解できるような資料とするよう申請者に指示していること、患者の登録に当たっては、同意の取得や本人確認を行うことなどを記載しております。
24番からは、本剤の流通管理に関する「その他」の御意見をまとめております、24番は本薬の処方量を医療機関ごとに集計してフィードバックしてはどうかというもの、25番は登録患者の管理について、行政機関への届出を義務付けるべきというもの、26番は残薬管理のための窓口を設置するべきというもの、28番は薬物治療は最後の手段として行うべきであることなどを改めて周知すべきといったものでした。これらに対しては、本剤の医療機関ごとの納入量については、流通管理委員会にて随時確認を行うこととしていること、覚せい剤取締法違反が疑われる場合などは、登録に係る情報を行政機関が求めることができること、本剤の廃棄方法の詳細については患者向け説明資料に記載予定であること、診療ガイドライン等では、薬物治療は環境調整等の心理社会的治療が効果不十分な場合や患者の状態が深刻な場合に併せて実施すべき選択肢とされており、医師の登録に当たっては、症例報告等により適切なADHD治療を行うことができることが確認されることなどを記載しております。
最後に、2.その他の御意見です。今回のパブリックコメントの対象外となりますが、流通管理に関するもの以外の御意見について御紹介します。1番は、本剤の承認に反対する御意見です。主な理由としては、本剤が覚せい剤原料であり危険なため、コンサータも厳重な流通管理がされているが、それでも不正が発生しているため、ADHDの治療に医薬品は不用なため、現在、ADHDの診断・治療が適切に行われていないためといった理由によるものでした。また、2番は逆に、本剤の承認に賛成する御意見もありました。これらの御意見に関しては、右側の欄のとおりです。本剤の有効性については、国内外で実施された臨床試験において認められており、安全性についても既存の中枢刺激薬と大きく異なるものではなく、本剤による乱用・依存性についても、小児AD/HD患者を対象として用法・用量を遵守し、依存性形成の可能性について慎重に検討しながら使用する限りは、臨床的に大きな問題となる可能性は高くないことなどから、本剤を承認して差し支えないと考えているとしております。また、不適正使用の防止については、これまで御説明してきました流通管理策を徹底することにより、適切な使用を推進できると考えております。
3番以降の御意見では、本剤の成人向け用法・用量の開発を要望するものや、診療報酬の加算を求めるもの、ビバンセカプセルに限定した副作用の補償制度や相談窓口の設置を求めるものでした。以上が資料1-4の御説明になります。
このほか、資料1-5、紙媒体ではA3サイズの大きい資料としておりますが、こちらにて148件の御意見全てを記載した資料も御用意しております。こちらも必要に応じて御参照いただければと思います。
なお、最後に、資料の修正について御報告いたします。当日配布資料として、A4横置きの1枚紙、「ビバンセカプセル20mg、同カプセル30mg審査報告書の訂正」というタイトルの資料をお配りしております。こちらに記載のとおり、審査報告書に記載された承認条件の文言について、今回、実施予定の患者の登録に対応する記載が不足していたため、追記する修正をさせていただく予定としておりますので、併せて御報告します。長くなりまして申し訳ありません。事務局からの御説明は以上です。
○杉部会長 本日は、大澤先生、武内先生、和田先生、遠いところ、また、お忙しい中をお出でいただきまして、ありがとうございます。本日は、監視指導として、麻薬対策課長にもお出でいただきまして、ありがとうございます。
最初に、本議題について、今も話題になっておりました流通管理策について、先生方の御意見をまず伺っていきたいと思います。大澤先生から、よろしいでしょうか。
○大澤参考人 今回、示されております流通管理策(案)を拝見すると、やはりいろいろな意味でハードルが高くなっておりますし、この方法でよろしいのではないか、適正なのではないかと私自身は考えております。
○杉部会長 ありがとうございます。武内先生はいかがでしょうか。
○武内参考人 私は今回、今までのコンサータ等に比べて、一段厳しい規制の体制にされるということも含めて適切ではないかと考えております。
○杉部会長 ありがとうございます。和田先生は流通にかなりお詳しいと思いますが、御意見をよろしくお願いいたします。
○和田参考人 基本的には、必要な患者さんに必要な薬がきちんと処方されるというのは大原則だと思いますが、その過程の中で付随する流通問題は、今回の場合にはこれまでになく、いろいろな意味できちんと対策がなされていることを考えていいかと思います。前回も言いましたが、いわゆる代諾者自身による不正使用とか、横流し、これは若干、個人的には、まだいかがなものかという気がしないでもありませんが、トータルに見た場合には、これまでにない対策を講じられているようですから、処方される先生方はハードルが高く、処方しづらいと思いますけれども、最初は、やはり入口はガチッと固めて、今後の様子を見ながら、また再度考えていくということもあり得るのかなといったことを思いながら、今回のはこれでよろしいのではないかと思っております。
○杉部会長 ありがとうございます。今日、御参加の委員の先生方から、何か御意見はありますでしょうか。
○堀委員 堀と申します。今の流通経路のことについて、一般市民の子供を持つ母親の立場から質問があります。例えば、7、8歳辺りの小学生に対してもこれが使えると思いますが、その場合、7、8歳ぐらいの子は医師よりこの薬の効用とか、どのように使ったら不正使用されるのかと言われても、多分、分からないと思うのですね。となると、それの使い方の責任所在というのは母親になると思うのです。今、流通経路の中においては、確かに薬が流通をするときに身分証明を示すという形になりますけれども、もし家族のところで、つまり母親がその薬をもらった場合、例えば今いろいろなDVとか、家族間の中でも子供と母親とか父親に対して、いろいろな問題が起こっていると思いますが、もしインターネットで母親が転売とかするとすぐに外部からでも分かると思いますけれども、母親から、例えば家族間で使ってしまうとか、不正使用として母親が使ってしまうとか、つまりそれが子供に使われずに、身内間やほかのところで使われてしまうといったことは、この流通システムにおいて阻止されるのでしょうか。お尋ねいたします。
○杉部会長 これは事務局から、どうぞ。
○事務局 御質問ありがとうございます。事務局より、お答えさせていただきます。本剤は覚せい剤原料に指定されておりますので、覚せい剤取締法において、患者さん御本人以外への譲渡・譲受ですとか、患者さん御本人以外の方が使用されること自体が法律上禁止されておりまして、罰則も規定されておりますので、それによって防がれるものと考えております。
○堀委員 例えば、それをお子さんが使ったかどうかというのは、すみません、素人なので分からないのですけれども、その薬を実際に使ったかどうかというのは、次回、患者さんが病院に行ったときに、確実にそのお子さんがこの薬を使ったかどうかというのは分かるのでしょうか。先生方にお尋ねしたいのですが。
○杉部会長 大澤先生、いかがでしょうか。
○大澤参考人 一般的には、その服用の状況は、例えば保護者の方が薬を用意されて、お子さん自身が保護者の目の前で服用するというのが一般的な状況だと思います。中学生や高校生になってくると、そこまでの管理は少し難しいという可能性はあると思いますが、7、8歳と先ほどおっしゃっていたような年齢のお子さんは、当然、保護者の方の管理下にあると思います。
○杉部会長 武内先生、いかがでしょうか。
○武内参考人 私も同じぐらいの年齢のカットオフがあるのではないかと。要するに、中高生になると自分で管理という感じで、小学生の低学年とかであれば、親が管理という感じになるかなと思いますが。
○杉部会長 これは事務局、適応は小児ということで。
○事務局 お答えさせていただきます。適応は小児のADHDということで、年齢としては6歳以上という適応になる予定です。
○堀委員 と言いますのは、今、いろいろな薬を頂いても、一般市民的な考えですけれども、例えば皮膚の炎症剤にしても、湿布薬にしても、薬にしても、結局、お医者さんが出すよと言ったら、それは要らないですと、なかなか患者の立場からは言えないのが事実だと思います。そうすると、もらっておけばいいやと、という考えで、処方された薬をもらってる人もいると思います。今回はそうではなくて、わざわざお子さんのことが心配で母親もお子さんと一緒にいらっしゃっているということなのですが、もしこれが覚せい剤原料だということが母親とかが分かった時点において、そのような母親がいないことをこの日本の国では望むのですけれども、それを、身内間の中で子どもに使わずに自分たちが使ってしまうということがあった場合、それは家族間の中なので表に出ないので、先ほどの覚せい剤取締法違反ということは外に出るから分かるのであって、身内だけで行っていた場合は、そこは何かすごく心配です。確かに、このお薬によってADHDの症状が少しでもそのお子さんが落ち着くのであれば、母親の立場からは使いたいという気持ちは分かるのですが、そういう親ばかりではないのかなと思ったので、そこが一つ懸念だったもので、すみません、素朴な質問をさせていただきました。
○杉部会長 ありがとうございます。流通については、家族又は患者さんの手に渡るまでのところは厳しく言っているという感じはしますが。和田先生、これはどういうものでしょうか。あとは個人の責任という形になるのでしょうか。
○和田参考人 基本的には個人の責任ということになってしまうのでしょうけれども、できる限りそれに対して、起こり得る可能性のあることは、あらかじめ対策が講じられるのであれば講じる。そういう考え方でやるしかないのかと思います。
○杉部会長 ありがとうございます。麻薬について何かありますか。
○監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課長でございます。確かに今の問題、頂いた御意見は難しい問題だと思います。先ほど申し上げたとおり、覚せい剤取締法では、本人以外に渡したら、家族であっても法律違反なのはそのとおりなのですが、そういった場合にどうやったら気付けるかということかと思います。特に家庭内の問題だということになってきますと、実際にお子さんが確実にADHDの診断で、このお子さんが服用していないのではないかということをどうやって気付いて、実際それが、ただ処方だけを同じように出されるようなことにどうやって気付いていくのかということかと思います。現実には、患者登録する際、同意を取る際には、これが覚せい剤原料であるといったことに注意してくださいということで、同意を取っていくわけですが、その辺は医師や薬剤師、周りでよく見ていくしかないというのが、現実的ではないのかなと思っております。
○杉部会長 ありがとうございます。
○長島委員 いわゆる横流しとか、家族が使ってしまうことの把握が難しいというのは、前回も御指摘になられたと思いますが、これは不正使用される場合の用量の問題で、不自然に大量に、頻回に薬をもらいに来るとか、量的に異常に多いとか、そういう形で医師のほうがある程度把握することは可能でしょうか。
○杉部会長 大澤先生、どうぞ。
○大澤参考人 今の御質問は、患者さんがお薬の処方を希望して来院される回数で把握できるかということですね。
○長島委員 薬剤として使うよりも、不正使用するためには、ある程度量をかなりたくさん飲まないと、不正使用の効果が出ないのではないかと思うので、量がたくさん必要になれば、本来必要なよりも、例えば、こまめにもらいに来るといった傾向が見られる可能性があるのではないかと思います。そういう形で、例えば、不自然なことがあるということで把握することは可能かどうかという点です。
○杉部会長 これについては、事務局のほうからお答えがあるようです。
○事務局 事務局より、お答えさせていただきます。本剤に関して言えば、患者登録とともに、毎回の処方量についてもシステム上把握することにしておりますので、いつ、どの患者さんに、どれぐらいの量を出したかということも含めて、システム上管理をしていくことになりますので、頻回に来院されたりとか、重ねて処方を受けようとするようなことがあれば、システム上、把握することが可能です。
○長島委員 覚せい剤としての効果が出る場合は、何錠分ぐらいが必要になるのか、通常の薬剤としてよりも数倍とか、かなり多くなるというようなことを、和田先生、何かその辺りお分かりでしょうか。
○和田参考人 簡単に結論から言うと、そういう量というのは、基本的に個人差が相当あって、答えようがないということになってきます。飲んだか飲まないか、要するに、体内に入れたか入れないか、これは、やはり尿検査をするしかないと思います。
○杉部会長 機構からどうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、一つお答えさせていただきます。本剤に関して、臨床薬理試験において、本剤はどれぐらいの量を投与したときに依存性のリスクがあるかということに関して検討が行われております。本剤、リスデキサンフェタミンに関しては、1日当たり70mgが最高の用法・用量となっております。臨床用量を投与したときに、同じ量に相当するd-アンフェタミンそのものとの依存性リスクがどうかというところを検討したのですが、臨床用量を投与されている場合においては、依存性リスクはd-アンフェタミンそのものほど高くはないということが示されております。ただ、臨床用量よりも多く、○○mgを投与してしまった場合には、依存性のリスクがあるということが示されております。
○杉部会長 今のことで。どうぞ、先に。
○奥田部会長代理 堀先生の質問に関連して、恐らくもう1つそういったリスクとして、不正に使ってしまった場合、もっと欲しいというときに、同じ先生の所にもう一回行くというのは行きづらいので、通常といっていいのかどうか分かりませんが、通常ですと、ほかの先生の所にお子さんを連れて行って、また処方してもらうというリスクがある。確か、それについては何か一元管理されていて、そこは防げるようになっているという理解をしていたのですが、そこのところはどうなっていますか。
○杉部会長 その説明は事務局からお願いします。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。正に御指摘いただきましたとおり、お一人の患者さんが複数の医療機関から重複して処方を受けてしまうリスク、これを防ぐために、今回のビバンセの流通管理制度の中では患者登録まで求めることにしまして、患者さんごとに御登録いただいて、IDカードを発行させていただき、同じ患者さんについてはどの病院に行っても同じシステム上で管理されることになりますので、複数の医療機関を回って複数の医薬品を手に入れることは、本剤についてはシステム上できないように管理される予定でございます。
○長島委員 あと、実際の診察のときに、なるべくお子さんだけと接する時間を作っていただいて、そこでお子さんだけに、「きちんと飲んでいますか」ということを確認していただくぐらいが現実的な対応かとも思いますが、いかがでしょうか。
○杉部会長 武内先生、どうぞ。
○武内参考人 親御さんをランダムに尿検査をするのは実際の診療では現実には難しいと思います。今、先生に御指摘いただいたように、御本人にきちんと確認するという、それは診療の基本なので、それを徹底するということかと思います。
○杉部会長 専門医の間では、そういうことが共通の認識としてあるということで理解させてもらってよろしいのでしょうか。
○武内参考人 よろしいと思います。
○杉部会長 ほかに先生方から何かありますか。
○平石委員 平石でございます。昨年12月の本部会で、この薬品が検討されたということですが、そのときに私は欠席しておりまして、情報が不足しているのかもしれません。資料1-4の6ページですが、先ほど和田先生も少しお話されたわけですが、その他の御意見の所の1番の4行目に、「コンサータも厳重な流通管理がされているが、それでも不正が発生しているため。」ということがあるようですが、もし可能であれば、どういった内容であるのかということと、こういった不正が行われた場合の罰則規定と、もう1つは、コンサータの流通システムよりもビバンセの流通システムが再発予防のために改善された点があれば、お教えいただきたいと思います。
○杉部会長 対策課長、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課長でございます。この事案は、刑事事件になっております。昨年1月に、私どもの麻取部で医師を逮捕した事例があります。この件においては、何があったかというと、ADHDでもない患者さんをADHDだと診断し、その方に保険診療の中で、コンサータを交付して、それを自分に戻させて、自分でも使用していたという事例です。それについては、今、公判中ですが、その際に私どもが逮捕した罪状としては、向精神薬の営利目的の譲渡ということで、法律上は5年以下の懲役ということになっています。
この事案を受けまして、私どもとしては、コンサータについて、現在の流通管理のやり方について見直す必要があるのではないかということで、この薬剤の製造販売承認を持っているヤンセンファーマとは、長く議論を重ねているところです。
問題なのは、その医師の適格性の問題、それから、ADHDという診断が付かない一般の方に投与してしまうということで患者登録の問題といったこと。実は医師の適格性、一定の要件は当然あるのですが、それが不十分だったのではないかということと、患者登録についてコンサータはやっておりませんでした。今回、ビバンセの議論でも患者登録の議論があり、この議論をまた踏まえまして、私どもとしては、コンサータについても医師要件の厳格化、また、その更新制の導入、それから、患者登録についても検討する必要があるだろうということで、ビバンセの審議の結果を踏まえて検討させていただこうと思っております。
ただ、1つ問題があるのは、小児科学会からも御意見を頂いておりますが、現在、使われている患者さんたちがおられます。それは使っておられる医師、それから、患者さんもありまして、その医師の登録の見直しとか、それから、患者さんたちの同意を取るとか、それを進めていくためには一定の時間は必要であろうということで、やるにしても、一気にやるというよりは、一定の経過措置なども考えながら、スムーズな移行ということを考えていくことを、考えております。
○平石委員 どうもありがとうございました。
○杉部会長 平石先生、よろしいでしょうか。
○平石委員 はい。
○杉部会長 ありがとうございます。やはり麻薬対策のほうからは厳密な対策が行われるということで、このビバンセだけでなくて、コンサータについても、今後、見直しが進むということです。同等の管理下に置くということでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 はい。一応、私どもとしては、今回のビバンセの御意見で、今回、これが流通管理の基準が決まりましたら、それをベースに基本的には同様の内容を求めていきたいと考えております。
○杉部会長 ありがとうございます。和田先生からは特にどうでしょうか、流通についてお詳しいですが。
○和田参考人 冒頭にも言わせていただきましたが、若干、一部、特に代諾者、保護者、その問題はどうかなと思うことはありますが、とにかく今回はコンサータの委員会以上に、今、麻薬課長が説明されたように、厳格化されていますし、そういう意味では現在のこの提出された案で、大体は大丈夫ではなかろうかと考えています。
○杉部会長 ありがとうございます。最後に、また大澤先生、武内先生にもお聞きしたいのですが、この薬は必要とする子供がいるという認識でよろしいのでしょうか。
○大澤参考人 私自身は治験には参加してはおりませんけれども、実際に治験のデータを拝見しますと、やはりそういう患者さんがいらっしゃると感じます。また、今まである別の薬剤を使っている患者さんたちで、私自身、カウンセリングと今までの薬剤だけではうまくいかないなと思っている方もいらっしゃいますので、それを考えると、やはり必要だと思います。
○杉部会長 ありがとうございます。武内先生、いかがでしょうか。
○武内参考人 今、大澤先生がお話されたように、今の治療でなかなか治るのは難しいADHDの患者さんがいらっしゃることは事実で、ですので、医学的には必要な薬だと考えます。
○杉部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○堀委員 再び、堀でございます。今、大澤先生、武内先生がおっしゃっていたと思いますが、資料1-4の2ページの5の部分ですが、「他の薬で効果がなかった場合に限り使えるようにするべき。」の所で、「本剤の使用経験が蓄積されるまでの間は、本剤の使用を他のADHD治療薬で効果不十分な場合に限定し、」と書いてあります。本当にすごく素朴な質問ですが、今までの薬よりも、やはりビバンセはいいと、効果があるとお二人はおっしゃったと思いますが、具体的にどのようなところが今までの薬と違ってビバンセがいいのか教えていただきたいと思います。多分、それを具体的に一般市民が分かれば、今までの治療薬ではなく、ビバンセの重要性が分かるのではないかなと思います。私たち一般国民、全然医療とは関係ない人間にとってみると、結局、他のADHDの治療薬の効用もみんな同じように思えて、それだったら、ビバンセでなくていいではないかと思ってしまうところがあるのです。ビバンセではないような他の薬を使えばいいのに、なぜ、あえてビバンセなのか。それがやはり知りたいところで、それをもっと広めていただければ患者も納得をするのではないかと思うので、具体的に、すみません、個人情報で伝えることができないこともあるかと思いますが、教えていただけたら幸いです。
○杉部会長 そのことについては、機構から説明があると思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。本剤に関しては、日本だけではなく海外で臨床試験も行われておりまして、本剤以外の薬剤、メチルフェニデートとか、アトモキセチンを対照とした臨床試験も行われております。
アトモキセチンに関しては、メチルフェニデートに対して効果不十分な患者さんを対象として、本剤を投与した群と、アトモキセチンを投与した群において、対照試験を行っておりまして、有効性の評価項目に関して、アトモキセチン群よりも有効性が認められたというデータも得られております。
メチルフェニデートに関しても、こちらは他の薬剤が効果不十分な患者に対して厳密な比較はされていませんが、本剤とメチルフェニデートの有効性を検討した試験において、有効性は遜色なかったことが示されております。
特に、アトモキセチンに関しては、対照とした試験でアトモキセチンよりも有効性が示されたというデータも得られておりますので、その面でも本剤の有用性があるのではないかと考えております。
○杉部会長 堀先生、いかがですか。
○堀委員 薬剤とかを言われても、全く分かりませんので、ごめんなさい。申し訳ありませんけれども、今のお話を伺うと、結局、患者さんにとって、ある薬剤は使えるけれども、要するに、その効用がないものに関しては、このビバンセは効用があると考えていいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおり、薬剤の1つに関して効果がなかった患者さんを対象として実施した試験においても有効性が示されているというデータがあるということです。
○堀委員 というと、先ほどの資料1-4の2ページ目の5の部分ですが、とすると、最初からビバンセをするのではなく、まず、それほど副作用というか、ビバンセ以外から使ってみて、もし、それが駄目だった場合において、主治医の先生、専門医の先生方の判断で、最終的にビバンセを使うという形でいくと判断してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりの使い方が想定されると思います。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。
○杉部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。
○大森委員 今の指摘について、前回、確か添付文書の欄外か、脚注でしたかに、「コンサータを使用して効果が不十分な例に使う」というようなことが書き込まれると伺っておりましたが、今日、現在ので見ましても、出ていないようなのですが、これから加わるのですか。
○医薬品審査管理課長 承認条件で、今、御議論のあった、当面の間は、他の薬剤を使って、その後に必要があればこれを、というようなことを規定しようと思っております。承認条件として、今日、もし御了解が頂ければ、承認とともにその承認条件を添付文書に記載して、添付文書が最終的に出来上がるという流れになります。そういうことで、先ほどの承認条件を幾つか書く予定ですが、それらが、今、空欄になっている添付文書の所に書き込まれると御理解いただければと思います。
○大森委員 やはり適正な患者さんに届けるということが非常に重要になってくるので、当面の間は、既に治療歴があってうまくいかない人ということに絞っておくことは、乱用防止という意味でも、適正な使用という点でも、役立つかなと考えています。
○杉部会長 では、よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○川上委員 教えていただきたいのですが、その添付文書への加筆についてです。例えば「適正流通管理策に沿った使用をすること」と書かれれば、その内容を余り細かく書かなくても良いような気もしました。具体的には、添付文書案の1ページ目の「警告」の2番、2ページ目の「使用上の注意」の2.の(12)、3ページ目の8.の「適用上の注意」の薬剤交付時の(2)。これらはほぼ当たり前のことなので、適正流通管理策の中のポイントとなるのは分かるのですが、添付文書にそこまで書くのか少し疑問に思いました。例えば、コンサータや、他の麻薬製剤にはこういったことは書いていないと思います。適正に管理しようとのお考えは分かりますけれども、個々の薬剤にこういう内容を書くことも少し疑問に思ったので、お考えを伺えればと思った次第です。
○杉部会長 どうもありがとうございます。何か機構のほうからありますか。事務局からありますか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。今回のビバンセカプセルの添付文書については、基本的に、コンサータ、類似薬の添付文書をベースに記載させていただいておりまして、コンサータのほうでも流通管理を実施していますが、重ねて管理の主たる部分、重要な部分については、添付文書においても重ねて情報提供、注意喚起をさせていただくという形で作らせていただいておりますので、ビバンセも同じような形で、今回、添付文書の作成をさせていただいた次第です。
○川上委員 分かりました。今、私が具体的に申した3つの点は、コンサータの添付文書に書いていないことかと思います。「警告」の2番、「使用上の注意」の2.の「重要な基本的注意」の(12)、3ページの8.の「適用上の注意」の薬剤交付時の(2)です。逆に言うと、本剤に書くのであれば、他の薬剤も同じように添付文書を並びで改訂される方向なのでしょうか。
○杉部会長 これについては、いかがですか。
○事務局 大変失礼いたしました。私の説明が誤っておりまして、申し訳ございませんでした。ただ、本剤特有の管理を行う部分については、コンサータにない記載をさせていただいている部分もあるのですが、御指摘のとおり、他剤でも注意喚起をしたほうが望ましい事項がありましたら、そちらについても、他剤への追記も必要に応じて検討させていただきたいと考えております。
○杉部会長 ほかにいかがでしょうか。
○岡委員 資料1-4で説明していただいた中の26番ですが、残薬管理で、回答のほうは「廃棄する場合は」と限定されています。これは、ですから、患者さんが廃棄したいと言ってきた場合のことだと思うのですが、むしろ残薬で問題になるのは、ちょっとずつ貯めていって、あとで別の使い方をするとかということだと思います。まず残薬があるというのをどうやって確認するのかということと、残薬があれば、次の処方を出す前に積極的に回収するべきだと思います。その辺はどうなのでしょうか。
○杉部会長 こういうのは法律的にはいかがでしょうか、課長としては。
○監視指導・麻薬対策課長 岡先生、ありがとうございます。今のところの残薬について、ここでは結構微妙な書き方をさせていただいております。覚せい剤原料の医薬品について、現在の法律では、薬局や医療機関が引き取ることが事実上できないというのが現状です。医療用麻薬に関しては、例えばそれが要らなくなったり、患者さんが亡くなったりした場合には、薬局、医療機関の窓口でもって廃棄すると。それで実際にどれだけ使ったかもまた確認できるわけで、それのほうが管理としては有用なのですが、現状では、できないということがあります。ただ、そうはいっても、患者さん独自で廃棄してくださいというのもどうかと思うものですから、このような、残薬があるのかどうかについては、服薬指導の中で御説明もしていただいて、薬が合う合わないということもありますので、持参の上、本人が廃棄をするという形を取らせていただけないかということを申し上げております。
そういったものについては、これは管理が難しい薬ですので、そういったことをよく患者さんに御納得いただいた上で使っていくということを徹底していくということで、今の残薬の場合、一律にどうするかということよりは、その辺をきちんと管理するということをやっていくのが現実的ではないかということで、このような記載をさせていただいております。
○杉部会長 事務局から。
○事務局 事務局より、追加で補足の説明をさせていただきます。本剤、ビバンセの流通管理においては、医師の処方に当たっての注意事項の中で、診察時には患者の飲み忘れ等による残薬状況を確認していただくこと、また、その残薬がある場合には、残薬量を確認して、記録をして、次回の処方を減らすなどの適切な処置を行っていただくようにお願いしておりまして、このような措置も併せて行うことで残薬の管理を行っていくこととしております。
○杉部会長 ありがとうございます。専門医のほうからは、特に何かありますでしょうか。大澤先生はいかがですか。
○大澤参考人 特にございません。
○杉部会長 武内先生はいかがですか。
○武内参考人 私も特にございません。
○杉部会長 大分議論は出尽したと思いますが、ほかの先生方は大丈夫でしょうか。だいぶ長い時間、流通管理を踏まえまして、これを検討していただきました。これについて、第1号の議案ですが、承認の可否のほうに移りたいと思います。今、先生方がお話になったこと、それから、今、提供された事案などを踏まえて、また御検討いただければと思います。議決に入りたいと思います。それから、大森先生、平石先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことといたします。
それでは、本議題について、流通管理を実施することを条件として、承認を可としてよろしいでしょうか。多くの先生方が可ということで、これを承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。今後、事務局からも厳重な管理を、また、よろしくお願いしたいと思います。
○事務局 事務局から、本議題に関して補足の御説明をさせていただきます。今回、実施しましたパブリックコメントの結果については、本日御説明しました資料1-4を基に、事務局で必要な修正を行った上で、本剤の承認に併せて公表させていただく予定としております。御報告させていただきます。
○杉部会長 どうもありがとうございました。それでは、参考人で来ていただいた大澤先生、武内先生、和田先生、本当にありがとうございました。
                                 (参考人退室)
○杉部会長 それでは、次の議題8に進みます。皆様、大変お疲れのところとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、機構から御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8-1及び8-2、医薬品ロスーゼット配合錠LD及び同配合錠HDについて、機構より説明させていただきます。紙資料を御覧の方は、資料8-1の審査報告書をお開きください。タブレットですと資料8-1及び8-2のフォルダを開き、一番上にあります審査報告書PDFをお開きください。審査報告書の2ページを御覧ください。
本剤は、HMG-CoA還元酵素阻害剤であるロスバスタチンカルシウム、及び小腸のコレステロールトランスポーター阻害剤であるエゼチミブを有効成分とする配合剤です。両有効成分は、いずれも国内外で承認され、異なる作用機序で血中LDL-Cを低下させる医薬品として広く臨床で併用されております。今般、国内臨床試験成績を基に、ロスバスタチン2.5mg又は5mgとエゼチミブ10mgを配合するLD錠及びHD錠が「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」を効能・効果として製造販売承認申請されました。なお、2018年11月現在、海外には本剤が承認されている国又は地域はございません。本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料17に記載されております4名の委員を指名いたしました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書別紙9ページ以降を御覧ください。高コレステロール血症患者を対象として、審査報告書10ページの表5に示す、各用量の単剤投与時と2成分併用投与時のLDL-C低下作用を比較する二重盲検比較試験が実施されました。その結果、有効性の主要評価項目である投与開始後12週時のLDL-Cのベースラインからの変化率について、いずれの併用群においても対応する用量の各単剤に対する優越性が示され、また、併用時のLDL-C低下効果で、ロスバスタチン5mgとエゼチミブ10mg併用群がロスバスタチン2.5mgとエゼチミブ10mg併用群よりも上回ることが示唆されました。
続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書11ページの表6を御覧ください。第III相試験において、併用投与群で各単剤投与群と比べ特に発現率が高くなる有害事象は認められませんでした。また、各単剤で懸念される有害事象である筋肉関連、肝臓関連、過敏症関連及び末梢性ニューロパチー関連の有害事象の発現状況についても、併用投与によるリスクの増加は認められませんでした。これらの結果から、本剤の安全性は、臨床的に許容可能であり、本剤の添付文書において、両単剤と同様の注意喚起を行うことが妥当と判断しました。
本剤の配合意義について、審査報告書13ページの7.R.1の項を御覧ください。スタチンとエゼチミブの併用は、国内外の動脈硬化性疾患治療ガイドライン等で推奨されている併用療法の一つであり、ロスバスタチンに2.5又は5mgとエゼチミブ10mgは本邦の医療現場で既に広く併用されていること、提出された本剤の臨床試験成績から、これら2成分の同時投与での効果に臨床的意義があると判断できることから、この2成分を投与する際の選択肢の一つとして配合剤という形で医療現場に提供することに意義はあると判断しました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に対し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、新医療用配合剤に該当し、再審査期間は4年と設定することが妥当適切と判断しております。生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬及び毒薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。この件について、先生方のほうから何か御質問、御意見、ございますでしょうか。もう既に発売されて使用されている薬で、これの合剤ということですので、大きな特段の問題はないと思いますが、いかがでしょうか。では時間も迫っておりますので、議決に入りたいと思います。
○森委員 確認事項で1点です。この合剤を使用されている方が、効果不十分な場合には、ロスバスタチンを追加して、最大用量まで使用してよいという判断でよろしかったでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのような御理解で結構です。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思いますが、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。それでは本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それでは承認を可とします。
○長島委員 すみません、内容ではなくて、資料の作り方ですが、次回から、紙の資料に通し番号を入れて、タブレットと一致させてください。ずれがありますので。
○杉部会長 分かりました。そのようなことは可能ですね。別の案件の件でもズレてはおりましたので、事務局のほうからどうぞ。
○事務局 お答えさせていただきます。ページ番号がずれておりまして、分かりずらくて大変申し訳ございませんでした。次回から統一した記載となるようにさせていただきます。
○杉部会長 ありがとうございます。それではこれを可として、薬事分科会に報告させていただきます。それでは議題9に移りますが、利益相反に関する申出、私の申出なのですが、議題9について、退室いたします。それでは奥田先生、どうぞよろしくお願い申し上げます。
                                 (杉部会長退室)
○奥田部会長代理 それでは議題9について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医薬機器総合機構 議題9、資料9、医薬品オノアクト点滴静注用の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。タブレットの資料9のフォルダを開き、審査報告書をお開きください。御参照いただくページについては申し訳ございませんが、報告書下部にありますページ番号で申し上げさせていただきます。審査報告書の3ページを御覧ください。本剤の有効成分でありますランジオロール塩酸塩は、短時間作用型アドレナリンβ1受容体遮断薬です。本剤は、本邦において2002年に「手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置:心房細動、心房粗動、洞性頻脈」を効能・効果として承認され、その後、2006年、2013年にも頻脈性不整脈に係る効能・効果で追加承認されております。海外では2018年12月現在、本剤が承認されている国または地域はございません。
今般、国内臨床試験成績に基づき、「生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:心室細動、血行動態不安定な心室頻拍」係る効能・効果及び用法・用量を追加する承認申請が行われました。なお、本剤は、申請効能・効果について希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の審査に関しまして、専門委員として資料17に記載されております委員を指名いたしました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について、審査報告書別紙の5ページ中段を御覧ください。国内において、アミオダロン塩酸塩等のIII群抗不整脈薬を投与しても、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発する患者29例を対象とした非盲検非対照試験が実施されました。本剤の用法・用量は、1μg/kg/minで開始して漸増し、原則1~10μg/kg/minの範囲で調整することとされましたが、心室性不整脈の再発が認められた場合等には最大40μg/kg/minまで増量可能とされました。主要評価項目とされた、有効性評価期間(漸増期終了後48時間)内に心室性不整脈の再発がなかった被験者の割合は77.78%であり、95%信頼区間の下限が事前に規定された閾値有効率(20%)を上回ったこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書別紙の5ページの表2を御覧ください。臨床試験では、既承認の効能・効果でも認められた血圧低下、徐脈及び心不全に関連する有害事象の発現は認めましたが、臨床的に問題となる新たな懸念は示されておらず、認められた有効性を考慮すると、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。以上より、対象疾患が致死性不整脈であり、既存薬を投与しても効果不十分な場合に更なる治療選択肢が存在することは重要であること等から、本剤を既存薬とは異なる作用機序を有する新たな治療選択肢として臨床現場に提供する意義はあると判断いたしました。
製造販売後の情報収集については、審査報告書別紙14ページの表5を御覧ください。製造販売後調査を実施し、使用実態下での血圧低下、徐脈、心不全の発現状況に加え、臨床試験での投与経験が限られていた10μg/kg/minを超える高用量投与時の本剤の安全性及び有効性等に関する情報を収集する予定です。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本品目は希少疾病用医薬品であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見、コメントをお願いいたします。いかがでしょうか。生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合ということで、効能追加の申請ですが。
○赤羽委員 1点確認をさせていただきます。添付文書の効能・効果のところにも、難治性かつ緊急を要する不整脈というふうになっているのですが、実際には緊急の場合には、難治性であるかどうかを確認できないことも多々あるかと思うのですが、そういった意味で、一応このようには書いてありますが、実際には使用してよいということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。「緊急を要する」という表現を使っておりますが、市販後も含めて、今回の適応の対象として考えている患者様は、該当するような致死性の懸念のある不整脈が繰り返し発現して、薬剤で介入してもなかなか止まらないというような病態を有する方を想定しております。なので、緊急ということであっても、一連の経過等は把握されている中で、本剤が選択されることが通常かと思っております。
○赤羽委員 分かりました。ありがとうございます。
○奥田部会長代理 他にいかがでしょうか。もし追加で御発言、コメントがないようでしたら、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは杉先生をお呼びください。
                                 (杉部会長入室)
○杉部会長 奥田先生、どうもありがとうございました。
それでは、議題10に移ります。議題10について、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題10、資料10、医薬品ビンダケルカプセル20mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットの資料10のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。御参照いただくページ数については、報告書の下部のページ数で御案内いたします。審査報告書の別紙3ページを御覧ください。
トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、生体内でサイロキシン及びレチノール-レチノール結合タンパク質複合体の輸送を担うトランスサイレチン(以下、「TTR」)由来のアミロイドの組織沈着を病因とするアミロイドーシスの一種であり、主に心筋にアミロイドが沈着して機能障害を生じる希少疾患です。TTRには野生型と変異型が存在することが知られていますが、トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、TTRの遺伝子変異の有無にかかわらず、心不全症状や伝導異常を呈することが知られ、多くの患者が心突然死、うっ血性心不全、心筋梗塞等により死亡に至る疾患です。本剤の有効成分であるタファミジスメグルミンは、TTRの4量体に結合し単量体への解離を抑制し安定化することで、TTRの変性及びアミロイド線維形成を抑制する薬剤です。
本剤は、本邦において、トランスサイレチン型心アミロイドーシスと同様に、TTR由来のアミロイドの組織沈着を病因とする「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の進行抑制」を効能・効果として2013年に承認されています。海外では、欧州で2011年に家族性アミロイドポリニューロパチーに係る適応で承認されており、2018年11月時点で41か国で承認されています。
今般、国際共同第III相試験成績等に基づき、「トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する承認申請が行われました。トランスサイレチン型心アミロイドーシスの適応では、本剤は、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、日本と同じく2018年11月に米国で、20○年○月に○○で承認申請がなされていますが、いずれの国又は地域でも承認されていません。申請の効能・効果について、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の審査に関して、専門委員として資料17に記載されている委員を指名いたしました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書の別紙18ページの表13を御覧ください。国際共同第III相試験として、日本人を含む野生型及び変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者を対象とした二重盲検比較試験が実施され、プラセボ、本剤20mg又は80mgが1日1回30か月間経口投与されました。主要評価項目は、死因を問わない死亡及び心血管事象に関連する入院頻度の複合エンドポイントとされ、本剤2用量の併合群とプラセボ群との比較を行う計画とされました。その結果、本剤併合群とプラセボ群との間に有意差が認められました。また、日本人集団での有効性は審査報告書の別紙18ページの表14に示したように、症例数が非常に限られていたために検討に限界があるものの、プラセボ群と比較して本剤の併合群で心血管事象に関連する入院頻度は低く、また、次ページの表15に示すように、他の副次評価項目からも本剤の有効性が示唆されたこと等から、日本人集団においても全体集団と同様に本剤の有効性は期待できると判断いたしました。以上より、本剤の有効性は示されていると判断いたしました。
続いて、安全性について説明いたします。審査報告書の別紙20ページの表16を御覧ください。臨床試験では、プラセボ群に比べ本剤群で臨床的に問題となるような有害事象の増加は認められませんでした。また、次ページの表17に示すように、日本人集団の有害事象発現状況は全体集団と比べて大きな相違は認められませんでした。審査報告書の別紙29ページに示すように、既承認時に注意が必要とされた有害事象として、肝障害、過敏症反応、感染症等の発現状況も確認し、既承認時と比較して新たな懸念事項や用量依存的に増加する有害事象はなく、認められた有効性を考慮すると、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
続いて、用法・用量について説明いたします。審査報告書の別紙34ページを御覧ください。臨床試験における本剤の用量別の有効性について確認した結果、主要評価項目を含む有効性の結果に用量間で大きな違いはなく、いずれの用量でも臨床的に意味のある有効性が期待できると判断いたしました。一方で、探索的評価項目であるNT-proBNP等の心臓バイオマーカーやTTR安定化を指標とした薬力学的作用について、本剤80mgで20mgよりも良好な結果が得られていること、安全性に用量間で大きな違いが認められないこと、対象疾患が進行性の致死性疾患であり、各患者において有効性がより期待できる用量を適用することが妥当と考えられたことから、通常用量を1日1回80mgとすることが適切と判断いたしました。
製造販売後の情報収集については、審査報告書の別紙41ページの表27を御覧ください。全投与症例を対象とした製造販売後調査を実施し、使用実態下での肝毒性、過敏症反応、感染症等の発現状況や、臨床試験で日本人の組入れがなかった変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者への投与時の情報を収集することを承認条件とすることが適切と判断しております。
なお、トランスサイレチンアミロイドーシスについては、その診断基準が広く浸透しているものではなく、当初、企業の作成する医療従事者向け資材において、診断基準及び臨床試験における選択基準等について情報提供することを想定しておりましたが、現在、添付文書においても、臨床試験における選択基準をより明確に情報提供することを検討しております。本日、提示している添付文書に当該案が反映されていないことをお詫び申し上げます。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。まれな疾患であるアミロイドーシスに対する薬ですが、先生方から何か御意見、御質問ございますか。
○長島委員 紙では28ページ、PDFでは30ページの下3分の1くらいの所で、試験に組み入れられた日本人の病型が全て野生型であったということは単なる偶然なのかという点。もう1点は、次のページの上3分の1の所で、日本人の変異型も対象に加えることは妥当と機構は判断するが、その考察の妥当性については、「専門協議の議論も踏まえて、最終的に判断したい」とあります。専門協議の報告書の中にはここについての言及がないようなのですが、これはどのように議論されたのかということ。
もう1点は、用量の問題で20mgと80mgです。紙では37ページ、PDFでは39ページですが、20mgと80mgの両方有効であったけれども以下の理由で80mgが妥当と機構は判断したと。ただし、これは専門協議の議論も踏まえて、最終的に判断したいとあるのですが、やはり、専門協議の報告書の中で20mgと80mgについてどのように議論したのかという言及がないということなので、これについて教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございました。まず、野生型と変異型に関してですが、国際共同治験として実施した結果、審査報告書の別紙の17ページにおいて、全体として野生型が全441例中335例で変異型が106例組み入れられております。全世界的に変異型の患者は少数ですが、日本においては特にこれまでに孤発例の報告が数例ある程度ということですので、この規模での臨床試験を実施したところ、変異型の患者が結果として入らなかったということかと思います。
専門協議を踏まえた議論の結果ですが、審査報告書の別紙39ページを御覧ください。少し分かりにくい所に記載してあり申し訳ございません。「1.審査内容」に、専門協議にて専門委員の先生から御同意いただいた内容についてまとめて記載しております。失礼いたしました。今の病型による有効性については、1.1の「7.R.2 有効性について」の項で幾つか項立てをして議論させていただいたもののうち、心不全の重症度別の有効性に係る内容以外については支持していただいたという所に包含して記載しておりました。分かりづらくて申し訳ございません。
○長島委員 今の説明について、分からなかったのでもう一度お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の別紙39ページの1.1項の冒頭の所です。審査報告(1)に記載した「7.R.2 有効性について」及び「7.R.4 効能・効果及び投与対象について」の内容のうち、心不全の重症度別の有効性に係る内容については、御指摘があり、専門協議で議論をさせていただいたところですが、その他、先ほど御指摘いただいた病型別の有効性を含めて、専門協議において機構の結論を委員の先生方に御支持いただいている状況です。
○長島委員 それは包括されていると。
○医薬品医療機器総合機構 少し分かりづらい記載で申し訳ございません。
○長島委員 分かりづらいのではなくて、ここには包括して書いたので、変異型に関してはここには書いていないということですよね。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。支持していただいたという結果のみを記載させていただいたところです。
○長島委員 機構の考え方として、ここで、このことに関して、最終的に専門協議のことを踏まえて判断するとわざわざ書いてあるのだから、ここの項目についてきちんと支持されたと書くべきではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 記載の仕方について、今後、参考にさせていただきます。御意見ありがとうございました。
○杉部会長 よろしいでしょうか。
○長島委員 もう1点、20mgと80mgの用量についてお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 失礼しました。まとめて先に説明してしまうと、こちらも分かりづらい記載で申し訳ございませんが、用法・用量についても、39ページ、「1.審査内容」の2段落目の所で、審査報告(1)に記載した「7.R.5 用法・用量について」に関する機構の判断については、専門委員の先生に御支持を頂きましたので、その結果について記載させていただいております。
○長島委員 20mgと80mgは薬剤として選ぶときにかなりの違いになるので、ここはきちんと、こういう議論をして80mgが妥当になったと書くべきではないかと思います。用量を決めるというのはかなり大きなことなので、そこに全く触れずに包括してやるというのは少し問題ではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。最終的な重要なポイントについて結論を明記していなかった点を、まず、お詫び申し上げます。今回の専門協議の議論の内容という点について、私どもの判断と同じでない議論内容があった場合、特記している心不全の重症度と有効性の関係のように、それぞれ追加で対応を行った場合、あるいは特別な議論があった場合などは、個別に明記するようにさせていただいております。今回の専門協議においては、用法・用量に関する機構の判断について、特段大きな異論、御指摘等を頂かず、ご同意いただいたので、申し訳ありませんが、こういう記載でまとめさせていただきました。
○長島委員 機構のほうで、ここに関しての最終的な判断は専門協議でとわざわざ書いているのだから、きちんとこの点について議論してくださいと提示して、その内容を書くべきだと。特に用量に関してはかなり根本的な問題なので、そこはしっかりやっていただく必要があると思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。今後、留意いたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。御指摘はごもっともです。聞くと書いた以上、その回答がどうであったかということを明記すると、特に重要なポイントについてはそのとおりですので、今後、きちんと受けるような形で記載するように注意したいと思います。どうもすみませんでした。
○長島委員 よろしくお願いします。
○杉部会長 そのほかに何かございますか。
○森委員 この疾患は、日本では比較的頻度の高い変異型が知られていると基本的に認識していました。今回の審査に用いられた有効性に関する検討で、比較的頻度の高い変異の症例はどの程度含まれていたのかを確認、つまり、V30Mの方はどのくらい含まれていたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。今、御指摘いただいたV30M変異は、遺伝性のトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーで多く知られている変異型かと思います。アミロイドポリニューロパチーは神経にアミロイドが沈着して症状として出てくるもので、今回の心アミロイドーシスに関しては心臓に蓄積して心臓に症状が出てくるものです。
家族性のアミロイドポリニューロパチーの方で心症状を合併している方もいらっしゃいますけれども、今回の臨床試験においては、当該変異型を有して、かつ、心症状を有して臨床試験に入られた日本人はいなかったということになります。
○森委員 そこは、有効性を判断する上でのデザイン上、特に大きな問題ではなかったと理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○森委員 ありがとうございました。
○杉部会長 そのほか何かございますか。特段の御意見がないようでしたら、議決に入ります。議題10については、大森委員、武田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題11に移ります。事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題11、資料11、evinacumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局よりご説明いたします。タブレットの資料11のフォルダをお開きいただき、事前評価報告書のファイルをお開きいただいて1ページをご覧ください。申請者は、「株式会社Integrated Development Associates」、予定される効能・効果は「家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)」となります。
まず、対象者数についてご説明いたします。家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(以下、「HoFH」)は、低比重リポタンパク(以下、「LDL」)受容体遺伝子等の対立遺伝子の双方に変異が存在する結果として、肝臓でのLDLの代謝が低下し、高低比重リポタンパクコレステロール(以下、「LDL-C」)血症を呈する疾患です。本邦において、指定難病とされており、平成28年度の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は202人です。以上より、指定難病の要件を満たしています。
次に1ページの下段を御覧ください。「医療上の必要性」についてご説明いたします。HoFH患者では、冠動脈疾患の発症予防のために若年期からLDL-Cを低下させるための薬物療法等が必要となりますが、既存の治療法を実施しても十分なLDL-C低下効果が得られない患者もいることから、現時点でHoFH患者に対する治療法が十分とはいえません。Evinacumabは、ヒトangiopoietin-like protein3に結合する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体であり、非臨床試験の結果等からLDL受容体を介さずにLDL-Cを低下させると考えられたことから、LDL受容体が活性をほとんど示さないHoFH患者に対して有効な新規作用機序の薬剤として期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、2ページの下段からの「開発の可能性」についてご説明いたします。海外では、HoFH患者を対象に第II相試験が実施され、有効性の主要評価項目である投与開始後4週時のLDL-Cのベースラインからの平均変化率は、全体集団で-49.2%、LDL受容体が活性を示さない集団で-37.3%であり、いずれの症例でも忍容性に問題は認められませんでした。本邦では、LDL-C高値の日本人及び白人被験者を対象とした第I相試験の結果等を踏まえ、HoFH患者を対象とした国際共同第III相試験への日本からの参加が可能と判断され、現在、当該試験が実施中です。以上より、開発の可能性は高いと考えられます。よって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○杉部会長 この希少疾病用の医薬品について、何か御意見ございますか。
○長島委員 ホモ接合体は非常にまれですが、ヘテロはそれほどまれではないので、ヘテロを含めてしまうと希少という条件を満たさなくなると思いますが、この薬剤は、将来的にもホモ接合体だけを対象にしているということで、よろしいのでしょうか。
○事務局 今回の効能・効果は、家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)です。御指摘のとおり、ヘテロに関しては今後様々な状況が考えられるとは思います。
○長島委員 様々な状況が考えられるとしてしまった場合に、本来は希少だからということである特別な条件を与えているものが、将来的には希少でないものまで対象になるというと、希少という位置付けというか意義が疑わしくなってしまうと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長 お薬の開発に当たって、ホモの部分について開発を行うということで患者数が少ない。それについて、オーファンということでのいろいろなインセンティブ等、優先審査などを行政としても用意するというものです。次に、患者数の多い分野について開発があった際には、その扱いがオーファンの要件に該当すればオーファンの取扱いになりますが、患者数がそれに該当しない分野について2つ目の開発としてきた場合には、その申請については、オーファンという扱いではなくて、例えば、優先審査にも該当せず12か月という形になります。一応、申請ごとに対応していくということを基本としております。
○長島委員 開発のためのいろいろな良い条件が、結果的にオーファンでないものにも使われるという可能性がある薬剤の場合は、今後もしもこういう可能性があるのであれば、少し考えておかなければいけないかと思いますので、是非、御検討をお願いいたします。もう1点は、LDL受容体が活性を示さないという条件が付いていますが、このことは現時点で保険適用されている検査で確認できるのでしょうか。
○杉部会長 事務局はどうでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えします。LDL受容体の活性が、保険適用の検査で確認できるかどうかという御指摘について、今、情報を持ち合わせておりませんので、確認させていただきます。
○長島委員 これは、この薬を使う条件ではないのですか。
○事務局 今回については、希少疾病用医薬品として指定するか否かというところですので、今後、実際に申請がきたら審査の過程で使用条件等については細かく吟味させていただくことになろうかと思います。
○長島委員 実際に市場に出る場合、これが保険収載の検査でできないとなると困るということなので、その点も含めて御検討をお願いいたします。
○事務局 御指摘いただき、ありがとうございました。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほかに何か御意見ございますか。かなり制約のある薬と理解していいと思います。特になければ、本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。指定を可として薬事分科会に報告いたします。
議題12に移ります。議題12について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題12、資料12、リスジプラムを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。資料12のフォルダを開いていただき、2.「評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の1ページの中段を御覧ください。申請者は「中外製薬株式会社」、予定される効能・効果は「脊髄性筋萎縮症」です。
まず、1ページの対象患者数について説明いたします。脊髄性筋萎縮症は指定難病に指定されております。また、平成28年度に脊髄性筋萎縮症に対して特定医療費受給者証の交付を受けた件数は855件でした。以上より、対象患者数の基準を満たしているものと考えております。
次に、2.「医療上の必要性」について説明いたします。脊髄性筋萎縮症は、運動神経細胞の変性によって起こる神経原性の筋萎縮症であり、筋力低下を特徴とする常染色体劣性神経筋疾患です。2ページです。脊髄性筋萎縮症は、発症年齢と重症度によりI~IV型に分類され、重症の場合、生涯座位を保持することができず、人口呼吸管理を行わない場合には致死的な疾患となります。本邦では、脊髄性筋萎縮症に対する薬剤として、ヌシネルセンナトリウムが承認されておりますが、ヌシネルセンナトリウムは髄腔内投与製剤であり、腰椎穿刺後症候群や感染症等のリスクがあることや、重度の脊柱変性を有する患者等においては髄腔内投与が困難となる場合があります。
本剤は、SMN2 mRNA前駆体から完全長SMN2 mRNAへのスプライシングを促進し、機能性SMNタンパクを増加させることで、脊髄性筋萎縮症に対する有効性を示すと考えられている経口投与製剤であるため、髄腔内投与が困難な患者へも投与が可能です。また、髄腔内投与に伴う合併症の懸念がないことから、既存薬であるヌシネルセンナトリウムと比較して高い安全性が期待されます。以上より、医療上の必要は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性」について説明いたします。I型の脊髄性筋萎縮症患者を対象とした国際共同第II/III相試験が実施中であり、本剤により病態の進行が抑制される可能性が示唆されております。また、II及びIII型の脊髄性筋萎縮症患者を対象とした国際共同第第II/III相試験も実施中であり、本剤投与前後で運動機能評価指標の改善が認められております。以上より、開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 ただいまの説明に対して、何か御意見、御検討ございますか。これも希少疾患のお薬ですが、よろしいでしょうか。それでは、希少疾患の指定としての議決に入ります。飯島委員、大賀委員、武田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、報告事項について事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは、報告事項をまとめて報告いたします。初めに、報告事項議題1、医薬品イノラス配合経腸用液の製造販売承認について報告いたします。資料13を御覧ください。本剤は、既承認の経腸栄養剤の組成を基本とし、近年の国内外における栄養学的知見等を踏まえてカルニチン及びコリンを配合した上で、900kcalの投与で日本人の食事摂取基準(2015年版)におけるビタミン及び微量元素の1日の推奨量又は目安量をほぼ充足できるよう設計された類似処方医療用配合剤です。
今般、経腸栄養による栄養管理を必要とする患者を対象とした臨床試験成績等に基づき、イーエヌ大塚製薬株式会社より製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を既承認の経腸栄養剤と同様に、手術後患者の栄養保持、特に長期にわたり経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に関する効能・効果で承認して差し支えないと判断いたしました。
続いて、報告事項議題2、医薬品ラフェンタテープの製造販売承認について報告いたします。資料14を御覧ください。本剤はフェンタニルを有効成分とする経皮吸収型製剤です。今般、日本臓器製薬株式会社より新剤形医薬品として、「非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る)」の効能・効果にて、本剤の製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
続いて、報告事項議題3「医療用医薬品の再審査結果について」報告いたします。資料は15-1~15-5で、これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますのでまとめて報告いたします。資料15-1は、有効成分名は「トリアムシノロンアセトニド」、販売名は「マキュエイド眼注用40mg」、資料15-2は、有効成分名は「イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)」、販売名は「エラプレース点滴静注液6mg」、資料15-3は、有効成分名は「シタグリプチンリン酸塩水和物」、販売名は「ジャヌビア錠25mgほか3規格、及び、グラクティブ25mgほか3規格」、資料15-4は、有効成分名は「トピラマート」、販売名は「トピナ錠50mgほか3規格」、資料15-5は、有効成分名は「フェンタニル」、販売名は「ワンデュロパッチ0.84mgほか4規格」です。
これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項に関する事務局からの説明は以上です。
○杉部会長 今の報告に関して何か御意見ございますか。これは報告なので、今回、特に御意見がなければ議題1~3については御確認いただいたということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。本日の議題は、以上のとおりです。事務局から何かありますか。
○事務局 次回の部会は、4月26日(金)の午後5時から開催の予定ですのでよろしくお願いいたします。
○杉部会長 本日は、長くなりまして、先生方には大変お疲れのところありがとうございました。薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を終了いたします。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)