2019年4月24日 第10回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

日時

平成31年4月24日(水) 17:00~19:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14B
東京都港区赤坂2丁目14-27 国際新赤坂ビル 東館14階

議題

  1. (1)高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))のパブコメ結果について
  2. (2)その他

議事


○課長補佐 開会に先立ち、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既にお配りしている注意事項をお守りください。また、本日の検討会は従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係などの方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。
ただいまから、第10回高齢者医薬品適正使用検討会を開会いたします。御出席の構成員の先生方、参考人の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、構成員19名のところ現在16名の先生方に御出席いただき検討会を開催しておりますが、遅れて到着される3名の先生方を合わせると全員の先生方が御出席されます。
また、本日はパブリックコメントの結果を踏まえた指針の取りまとめを予定しており、高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成WGの構成員である8名の先生方に参考人として御出席いただいております。御所属については先生方の机にお配りしている出席者名簿を御参照ください。御紹介の際は割愛させていただき、順にお名前を御紹介いたします。大木一正先生、大野能之先生、桑田美代子先生、清水惠一郎先生、髙瀬義昌先生、まだ到着されていませんが仲井培雄先生、永井尚美先生、浜田将太先生、本日は御出席いただきありがとうございます。
それでは、これ以降は議事に入ります。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。以降の進行は、印南座長にお願いしたいと存じます。印南先生、宜しくお願いいたします。

(カメラ退室)

○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。初めに事務局から資料の確認をお願いします。
○課長補佐 それでは、配布資料の確認をいたします。お手元にお配りした資料の一番上に議事次第と配布資料一覧、開催要綱、出席者名簿、座席表です。順に確認いたします。資料1「高齢者の療養環境別の多剤服用の実態調査」、資料2-1「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))(案)」、指針には、別添として薬効群ごとの表と事例集、A3の別表3が付いております。続いて、資料2-2「『高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))』(案)お寄せいただいたご意見の概要とご意見に対する考え方」、資料3「本年度の高齢者事業について(案)」、机上配布資料1「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」としてオレンジ色の冊子、机上配布資料2「パブリックコメント結果に対するWG構成員からの意見」です。なお、机上配布資料1については、会議終了後、机上に残したままにしていただけますと幸いです。資料は以上です。不足等がある場合はお申し付けください。
○印南座長 よろしいでしょうか。それでは、議事次第に沿って議事を進めます。議題1は「高齢者の療養環境別の多剤服用の実態調査」についてです。平成30年度の厚生労働省の委託事業として、患者の療養環境ごとのポリファーマシーの実態について調査を実施し、今回取りまとめた指針に結果を反映しております。この調査結果について、調査研究を行われましたWG構成員でもある浜田参考人より説明をお願いします。
○浜田参考人 よろしくお願いいたします。医療経済研究機構の浜田と申します。今、御紹介がありましたように、私からは高齢者の療養環境別の多剤服用の実態調査の結果を紹介いたします。また、この場をお借りして、調査に御協力いただきました関係者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。
2枚目のスライドです。こちらは総論編で示されている図です。保険薬局で調剤された1か月当たりの薬剤種類数を年齢層ごとに示したものです。療養環境としては、基本的には外来を示していると考えてよいと思います。例えば、75歳以上の約4分の1は7種類以上、4割は5種類以上の薬剤が処方されています。
続いて、こちらは各論編の案で示されている図です。先ほどの図と異なる点としては、65歳以上に絞っており、経年変化を示しています。65歳以上を高齢者とすると、3分の1以上の高齢者が5種類以上の薬剤処方を受けていることが分かります。また、この5年間で薬剤種類数の分布に若干の変化はあるものの大きな変化はないとされています。また、PIMsについては後ほど改めてお示しいたしますが、外来の高齢者の約4分の1に見られ、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬やNSAIDsの処方が多かったという別の研究結果も報告されております。
各論編の療養環境の区分について確認します。大きく3つに分けられており、多剤服用の現状もこの区分に従ってまとめられております。マル1の外来については、先ほどお示ししたデータがあります。一方、あまり多剤服用の現状が分かっていない療養環境、マル1の中では在宅医療を受けている患者や特養入所者、マル2マル3という療養環境にある患者の薬剤処方実態に今回は焦点を当てて調査を行っております。
ここからスライド2枚にわたり高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015に基づく、高齢者に特に慎重な投与を要する薬物(以下PIMsとします)を示しております。今回の調査では、この全てを網羅できているわけではなく、表の右端の列にチェックが入っているものを調査対象としております。この表にある全ての薬剤が全ての高齢者に対してPIMsとなるわけではなく、右から2番目の列にあるように対象となる患者群が限定的なものもあります。今回の調査では、これらの併存疾患や既往歴などの情報が十分に得られないということもあったので、チェックが入ったもののみを対象としています。
次のスライドもPIMsの続きです。今回の調査では、よく使われるPIMsを特定することを目的として調査しています。評価対象としていない一番右の列で横線になっているPIMsのうち、もし先生方の御経験上、これは多いのではないかということがございましたら、後ほど御助言いただけましたら幸いです。
検討内容について説明いたします。まず、レセプトデータを用いて在宅療養患者及び特養入所者における薬剤使用実態を調査しました。元データは、本調査に御協力いただけました一市町村のレセプトデータを用いています。少し前のデータですが、利用可能であった直近のデータとして2014年10月の1か月間の薬剤処方について評価しました。対象者は、継続的に在宅医療を受けている、若しくは特養に入所している75歳以上の高齢者としております。検討項目はスライドに示したとおり、薬剤種類数とPIMsについてです。
在宅療養患者は全部で1,211人、特養入所者は925人が対象となりました。年齢を見てみると、85歳以上が3分の2で女性が8割という構成でした。
薬剤種類数ですが、平均薬剤種類数は在宅療養患者で6.5種類、特養入所者では4.9種類でした。このようにデータを横並びに示しているのですが、異なる療養環境で直接的な比較をするという意図ではなくて、データが見やすいように示しています。また、多剤服用の目安として、6種類以上の処方を受けている患者の割合を計算してみると、それぞれ60%と41%でした。また、グラフを御覧いただいて分かるように、薬剤種類数にばらつきが多いということも確認いただければと思います。
次に、調査対象としたPIMsの処方があった患者について示します。その割合は、それぞれ在宅療養患者で58%、特養入所者で48%でした。よく使われていたPIMsは、在宅療養患者と特養入所者で共通する部分が多く、睡眠薬/抗不安薬や利尿薬が約20%と特に多く、続いてH2ブロッカー等が多いという結果でした。また、グラフの一番下ですけれども、必ずしも認知症患者に使われているかどうかは確認できておりませんが、抗精神病薬の処方も約10%に見られていました。
ここまでの結果をまとめております。上のまとめはスライドに示したとおりです。本調査の注意点としては、一市町村のデータに基づく調査であり、日本全体を代表したものであるかどうか、一致するかどうかは不明です。
続いて、日本慢性期医療協会に御協力いただき、その会員病院へ調査した結果を紹介いたします。少し調査の背景を説明いたします。ここで評価対象とした療養環境、回復期リハ、地域包括ケア、医療療養、介護療養ですが、それらの療養環境では一部の薬剤を除いて処方薬が入院料等に包括評価になっており、処方薬が基本的には出来高算定されないということで、先ほどのようにレセプトデータを用いた評価では、処方の全体像を把握することができないという特徴があります。そこで、今回はなるべく多くの病院からデータを御提供いただくように調査を考えて、質問紙調査と各病院で処方が分かるデータをハードコピーして郵送していただくという形で調査を行いました。
全体の回収率は22%ですが、この1,045病院全てが今回対象とした全ての病床を持っているわけではありません。対象者としては、30日以上入院した65歳以上の患者としています。また、調査の負担を考慮して、処方データとして退院日から遡って最大6か月前までの薬剤処方についてデータを集めています。また、調査対象者は、各病院、各病床当たり、最大3人までとして調査しています。検討項目は、先ほどと同様に薬剤種類数とPIMsについてです。より詳細ですが、回復期リハ病棟と地域包括ケア病床の調査方法を示しています。評価時点は3点で、入院時、入院1か月時、退院時です。薬剤処方の評価期間は7日間で、これは評価期間中に切り替えた薬剤を重複してカウントしたり、頓服指示がデータ上では明確でない薬剤がこの期間に入り込んだりすることを防ぐため、比較的短い日数にしています。
結果です。回復期リハの対象者は250人、地域包括ケアは177人が対象となりました。年齢を見てみると、85歳以上が半数、女性が6割という構成でした。
また、療養環境の移行として、入院経路と退院先を示しております。左側の図ですが、回復期リハの入院経路は病院(急性期)からが大半を占めており、退院先は自宅が半数以上、その他、介護保険施設や居住系施設も比較的多いという結果でした。右側の図ですが、地域包括ケアの入院経路は病院(急性期)と自宅が同じくらい多く、退院先は自宅が半分、居住系施設と介護保険施設も比較的多いという形でした。
平均薬剤種類数は、回復期リハでは入院時6.9種類から、その後は6.6種類に若干減っていました。地域包括ケアでは入院時6.8種類で、その後あまり変化はないという結果でした。また、多剤服用の目安として6種類以上の処方を受けている患者の割合を見てみると約60%という結果でした。
調査対象としたPIMsの処方があった患者は、回復期リハで50%台半ば、地域包括ケアで約3分の2でした。回復期リハでは、入院時にはNSAIDsが一番多かったのですが、入院後に減少傾向が見られています。また、睡眠薬/抗不安薬の処方も多く見られ、続いて利尿薬等となっています。右側の図ですが、地域包括ケアでは利尿薬と睡眠薬/抗不安薬が同程度で多く、NSAIDsも比較的多いという結果でした。また、先ほどと同様に認知症患者かどうかを確認できておりませんが、抗精神病薬の処方も約10%に見られています。
ここまでの結果のまとめを示します。結果は繰り返しになるので割愛いたします。本調査の注意点としては、対象者数が比較的少数で結果の精度があまり高くない可能性があり、また、今回の調査票の送付先・回答の有無、今回は日本慢性期医療協会の会員病院で、回答率も20%程度ということで、送付先や回答の有無により日本全体を代表した結果であるかは不明な点があります。もう1点、今回、処方の変化を把握する、入院後の変化を把握するということを目的としており、1か月以上入院している人を対象としました。ただ、特に地域包括ケア病床は入院期間が短い患者も多くいらっしゃるので、そのような患者は含まれていないということは注意点かと思います。
続いて、医療療養病床と介護療養型医療施設の調査方法を示します。評価時点は4点です。入院時、入院1か月時、スライドにミスがありますが入院3か月時、6か月以上入院中の処方を横断的に検討しています。先ほどと同様に薬剤処方の評価期間は7日間としております。ここで(A)、(B)と分けておりますが、(A)、(B)で異なる集団で評価しています。今回、調査の負担を考慮して、退院日から最大6か月遡って処方データを集めました。入院時からの処方変化を見ようと思うと、入院期間が6か月未満の人に限られるということで(A)という集団、また、実際には、この2つの療養環境では長く入院される方も多いので、6か月以上入院されている方の処方を把握するために(B)という集団でも評価を行っています。
結果のスライドです。医療療養で入院期間が6か月未満の患者は299人、6か月以上入院中の患者は119人が対象となりました。年齢を見てみると85歳以上が約6割、性別を見ると女性が6割ぐらいという結果でした。
療養環境の移行を示します。左の図の(A)の患者では、入院経路としては病院(急性期)からが約半数、自宅や病院(急性期以外)も比較的多い。退院先としては半数弱が死亡退院で、自宅や介護保険施設も比較的多いという状況でした。右の(B)ですが、6か月以上入院して退院された方で見てみると、特に死亡退院が多くなっているという特徴が見られました。
次に、薬剤種類数について示します。入院時の平均薬剤種類数は5.8種類で、その後、減少傾向が見られています。入院後は約5種類程度となっていました。多剤服用の目安として6種類以上の処方割合を見てみると40~50%でした。
PIMsについて見てみると、調査対象としたPIMsの処方があった患者は約半数でした。よく使われていたPIMsは、利尿薬、睡眠薬/抗不安薬が多く、続いて、H2ブロッカーなどの処方が見られました。また、これまでと同様ですが、抗精神病薬の処方も10%くらいに見られています。
ここからは最後の療養環境です。介護療養型医療施設の入所者は、入所期間が6か月未満の患者は44人、6か月以上入所中の患者は41人が対象となりました。年齢を見てみると85歳以上、女性が約6割でした。ここからは対象者数が少なくなってしまうので精度の高い値ではないかもしれませんけれども、それを念頭に御覧いただけたらと思います。
療養環境の移行を示します。入所期間が6か月未満の方で見てみると、病院(急性期)からは半数、病院(急性期以外)からが4分の1と多いことが分かります。退院先としては、半数が死亡退院で4分の1が介護保険施設という状況でした。6か月以上入所中の人で見てみると、こちらも先ほどの医療療養と同じような傾向ですけれども、特に死亡退院が多いという特徴が見られています。
薬剤種類数の結果を示します。平均薬剤種類数は入院時で4種類程度でした。多剤服用の目安として6種類以上の処方を受けている患者の割合は30%程度でした。
続いて、PIMsについてです。調査対象としたPIMsの処方があった患者は約40%、よく使われていたPIMsとしては、利尿薬、睡眠薬/抗不安薬、H2ブロッカーなどでした。
ここまでのまとめを示します。本調査の注意点としては、先ほど回復期リハと地域包括ケアのまとめで示したものは、同様に注意すべきだと思います。それらに加えて、実際にこれらの療養環境では、入院期間、入所期間が6か月を超えるような人も多いのですが、そういう方の入院や入所から退院や退所までを全期間調査できたものではないこと、また、一番下ですけれども、今回主に内服薬を調査対象としておりますが、入院中、入所中に内服が難しくなったり注射薬に切り替えたりということもあり得ますので、その辺りも含めて一緒に考慮すべき必要があるかと思います。
最後のスライドです。全体のまとめとして、まず、1点目としては、今回の調査で様々な療養環境における多剤処方の実態について、症例数が少ないなどもありますが、一定の傾向を把握することができたのではと考えております。ただ、調査対象が異なると少し異なる結果が出るかもしれません。今回は日本慢性期医療協会に御協力いただきましたが、会員でない施設、今回御回答を頂けなかった施設、また、レセプトデータについてはほかの地域でも同様かとか、それらの違いが出てくる可能性もあるかと思っています。
2点目としては、今回の調査は既存のデータを用いたものであり、臨床情報や処方期間等について十分考慮できていません。これまでの検討会の御議論にもありましたように、処方内容が個々人に合っているかどうかということが重要なので、処方の適切性評価は今後の検討課題であると考えています。私からの報告は以上です。ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。指針への記載内容については、続く議題2で御議論いただくものとして、ただいま浜田参考人に御発表いただきました内容に関して、質問等がございましたらお願いいたします。
○城守構成員 どうもお疲れさまでございました。今回のこの調査ですが、最初のこの調査は一市町村のデータということで、N数も、まあまあ比較的まだ多いかなという形は見て取れるのですが、その次以降の日慢協さんのデータを使われての資料ですけれども、大体1施設1~2名の対象抽出ということで、おそらく施設においての偏りというものがないような形で考慮されたのだろうとは思うのですが、逆にその施設から1、2名ないしは3名となると、抽出の条件とか、どういう形で抽出をされたのかによって、データがかなり影響を受けるというか、全く違うデータになる可能性がありますよね。その辺りの解釈はどうなっているのかをちょっとお聞かせ願えればと思います。
○浜田参考人 ありがとうございました。先生御指摘の点は、確かに今回の結果の外挿性という点で日本全体に当てはまるかと見ると、問題になってくるところかと思います。少しだけ御説明させていただきますと、スライド12枚目に各病院での患者の選び方について、少しですが注意書きをしておりまして、各病院から1~3名選ぶ場合に、退院日、若しくは転棟日が10月31日に近いほうから最大3人というように選んでくださいということで、あまり恣意的にはならないように工夫はしています。ただ、それぞれ集めた数人分のデータを、例えば病院によって入院期間や患者さんの入れ替り状況が違うと思いますので、そのような重み付けは今回はできていないので、集計結果としては、そのような形で行ったということで見ていただければと思います。
○城守構成員 ありがとうございます。その結果として、述べておられますように、基本的には日本全体を表すものではないということですけれども、今回調べた結果はこうであったと、そういう記載というか、表現のほうが良いかなと思います。
○印南座長 樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 ありがとうございました。大変単純な質問ですけれども、スライド10の所に、今もお話のありました在宅療養患者と特養入所者との薬剤数の違いが出ておりますけれども、これはやはり特養にお入りになると、薬の管理というか、必要かどうかの仕分けが厳しくなるからでしょうか、結構薬剤の数が在宅と特養とで違いますけれども、この違いの理由はどのようにお考えでしょうか。
○浜田参考人 御質問ありがとうございます。スライド10枚目で、結果は左右で示しておりますが、基本的に在宅療養されている方と特養に入られている方は健康状態も違いますし、生活環境も違います。薬物療法の必要性も違ってくるかと思います。指針の案にもありますように、療養環境が違うことによって健康状態や生活環境は異なってくるので、直接的な比較はできないと考えています。ですので、御質問がありましたように、特養に入ったから薬剤の管理が厳しくなっているというようには読めないデータと考えております。
○樋口構成員 ありがとうございます。
○山中構成員 今の浜田先生からの御説明に賛同です。在宅医療の対象者の中には、比較的治療が必要な人も含まれているように思います。特養に入っている方は大部分が比較的安定している方なので、そもそも病気が違うというところが大きいのではないかと思っております。ですので、欄としては左側と右側で並んでいますけれども、同じようには比べられないと私も思っております。
○印南座長 美原構成員、お願いします。
○美原構成員 今のお話ですが、これは私はきっとそうだろうと。私の考えはこうです。特養に入っていますと、お医者さんはその特養の契約しているお医者さんだけが入ってくるケースが多くて、1名の医療者が診ているわけです。在宅においては、いろいろなお医者さんが入ってきて、それぞれから出ている可能性が多いのではないかなと、このデータを見たときにはそのように感じました。むしろ、その患者さんの病態というよりも、どのような形で医療者が関わっているかというほうが、より大きく影響しているのではないかなと。それは何もエビデンスはないのですが、そういう印象を持ちました。
○秋下座長代理 その流れで発言させていただきます。私ども以前に、今の介護付きホーム、当時の特定施設でのデータを、老健事業で解析しましたところ、担当している医師が1人だと大体6種類ぐらいまで、2人だと7種類以上になる率が高いということで、複数の医師が関わっていたことが多剤服用の一番大きな要因であったということをまとめさせていただいております。ですので、美原構成員がおっしゃったとおりではないかと思いますし、もう1つ、特養と比べればということですけれども、山中構成員がおっしゃったようなことももちろん関わっているとは思います。
○浜田参考人 在宅医療に関わっていらっしゃる医師や医療機関の数等についてはレセプトデータでも把握できるので、今後検討していきたいと思います。ありがとうございました。
○印南座長 ほかに御質問等はありますでしょうか。
○池端構成員 2つ目の療養環境の施設ですけれども、先ほど城守構成員がおっしゃったように、確かにこのN数等で全体を語るのは非常に厳しいかと思うのですけれども、以前、私どもの協会が前回、前々回のデータとして、ここで最初にお示ししたデータがあると思います。うろ覚えですけれども、印象としてはあまり大きな違いがないかなということがあるので、そこと合わせて見ると少し言えるところも出てくるかなと思うので、また御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○浜田参考人 池端先生が以前御提示いただいたデータと、薬剤種類数についてはほとんど違いはないというデータになっております。
○印南座長 ほかに御質問、御意見等、お願いします。
○大井構成員 薬剤師の関わり、要するに在宅療養と特養、薬剤師が処方に対する関わりというのはどの程度あったのかというところが、データとしては今日はお示しになっていないのですが、もし分かれば教えてください。
○浜田参考人 薬剤師の関わりについてはレセプトデータ等で検討はできます。検討する際には医療保険で薬剤師さんが入っている場合と介護保険が入っている場合、特に多分介護で入っている方のほうが多いのではないかと思うのですけれども、医療と介護を合わせて検討できればと思います。ありがとうございます。
○秋下座長代理 最初のレセプトデータの解析をされた一市町村が、日本を代表するデータなのかということを考えたときに、その一市町村がどのような一市町村なのか、多分実名は挙げられないと思いますが、ある程度のプロフィール、例えば人口規模がどのぐらいであるとか、都市部の市町村なのか、あるいは地方の、僻地であったりするのかというような、特性が多少分かるような情報を付けていただけると、もう少し解釈しやすいかなと思いました。
○浜田参考人 今回御協力いただいた市町村ですが、首都圏の中規模都市、人口40万人ぐらいの都市になります。後期高齢者3~4万人程度の都市で、今回研究に御協力いただいているということもありますし、結構こういう研究協力にも活発な地域ではあります。
○秋下座長代理 そのような情報を、少し報告書に書き加えておいていただけると大変参考になるかと思います。ありがとうございました。
○印南座長 ほかはいかがでしょうか。
○溝神構成員 少し教えていただきたいのですが、今回幾つかの環境別で患者を分けてPIMsに関して解析をされているかと思うのです。種類数は今回記載があるのですけれども、処方の割合として、例えば循環器系の薬がどれぐらいとかというような基本的なバックグラウンドとして、もともと差があって、こういう在宅療養患者とか特養の入所患者の所でPIMsに差が付いているのかどうかというのはいかがでしょうか。
○浜田参考人 今回評価していない部分はできていないので、また何かの機会に追加解析等をして出せればと思います。
○溝神構成員 もしかすると、そういう処方全体の割合に少し差があったりする可能性もあるので、そういったところを調べていただくと、背景としてより分かりやすくなるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○浜田参考人 ありがとうございます。
○城守構成員 今回、療養環境別に実態調査をされたのは初めてだろうと思うのですけれども、今後、年次、こういう実態調査をおそらく同じ客体を中心としてということになろうと思いますが、経年的に調査をしていかれると、もう何年も前からポリファーマシーの話は出ておりますし、少しずつ、多剤というものがよくないという認識も、療養環境が違っても多くの職種の方が認識をされるという状態になりつつあると思われます。そういう状況において、どこまで薬剤の服用量が変化するのかどうかということを一定程度調べられると、おそらく指数関数的なデータになるのではないかと私は思うのですが、どこかで、プラトーとは申しませんが、一定程度のラインで推移すると。と言うのは、おそらく御高齢になられると、もちろん客体の年齢をある程度合わせておかないと駄目だろうと思いますけれども。疾患を1つ持たれる、2つ持たれる、3つ持たれることによって、投与される内服薬ないしはその処方薬が変わってくると、そして増えてくると。先ほども少しお話がありましたように、在宅では、1人のドクターが診ているよりも2人のドクターが診ているほうが処方が多いと。当たり前ですよね。おそらく違う疾患があるから、それにお薬が増えると。ただやはり、飲み合わせであるとか、ないしは同じようなお薬が出ているかどうかということをチェックするというのが、かかりつけ医を中心としたドクターのチェックの役割ということになると思いますので、その辺りも調査項目とかに入れて、ちょっと追跡調査をされると見えてくるのではないかと思いますので、御検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。
○浜田参考人 先生がおっしゃるとおり、もう一歩踏み込んだ調査をしたほうが見えてくる部分が多いと思いますので、今後検討できればと思います。ありがとうございます。
○印南座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議題1を終了いたします。
議題2は、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))のパブリックコメント結果について」です。前回、1月25日の本検討会で御審議いただいた後、3月8日から4月7日にかけてパブリックコメント手続を行いました。本日はそれに伴う指針の修正等について御確認いただきたいと思います。これにつきまして事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは、パブリックコメントを踏まえて修正を行った部分について説明させていただきます。指針案につきましては3月8日から4月7日までパブリックコメント募集を行い、その結果11件の御意見を頂いております。資料2-1及び2-2を御用意ください。
パブリックコメントを受けて修正した部分は大きく2点ございます。まず、1点目は本文11ページ5行目、第1部の療養環境を説明した部分です。資料2-2のパブリックコメント7番目になりますが、看護職員の配置により記載を修正する御意見ですけれども、この部分につきましては、看護職員の配置で切り分けた記載ではないので、第1部の表題に合わせる形へ記載を改めております。
2点目は、資料2-1の別添、別表1、Nの骨粗鬆症治療薬の「高齢者の特性を考慮した薬剤選択」の4段落目の部分になります。資料2-2パブリックコメントの5番目の御意見になりますが、こちらの御意見を受けて、ほかの薬剤への切り替えが「必須である」から「考慮すること」、「リスクがあるため避ける」から、「避けることが望ましい」へ改めております。
パブリックコメント以外に、そのほか全体の記載の誤記や言い回しを分かりやすくするなどの修正も行っております。主な点について御説明いたします。本文の4ページ目の21行目ですが、ACPの定義に沿い、「人生の最終段階における」という言葉を補っております。また、25ページ目の7行目、「処方を夕食後1回にまとめ」という記載になっておりましたが、3回分の処方薬をまとめて1回で服用するという誤解を生じる懸念がありましたので、「夕食後1回に変更し」と改めております。同じく25ページの表7、右側のカラムの「薬剤に関する記述内容」の表現にばらつきがありましたので統一をしております。また、別添、別表1、Mの認知症治療薬の1行目ですが、ドネペジルの後発品にはレビー小体型認知症の適応はありませんので、この部分だけ商品名の「アリセプト」へ改めています。
また、議題1にて浜田参考人より御発表いただきました厚生労働省の委託事業の調査結果を盛り込むものとしていた部分、本文の3ページ及び4ページ目になりますが、「はじめに」の第2部、第3部の療養環境でよく使われるPIMsについての記載を盛り込みました。これに伴って、本文後ろの31ページ目以降の参考文献の要約部分にも内容を反映しております。主な修正部分については以上になります。
○印南座長 ありがとうございます。「はじめに」の(2)患者の療養環境ごとの多剤服用の現状、マル2急性期後の回復期・慢性期の入院医療の後段部分につきましては、議題1にて浜田参考人に御発表いただきました平成30年度の調査事業の結果を盛り込んで記載しています。今回初めて構成員の先生方に御覧いただくものになりますので、御確認をお願いいたします。また、パブリックコメント内容に対して、本日参考人として御出席いただいているWG構成員の先生方より、机上配布資料2のとおり事前に御意見を頂いております。パブリックコメント結果を受けた修正箇所と併せて御確認いただければと思います。いかがでしょうか。
まずは、参考人として御参加いただいているWGの先生方からの御意見について、それぞれの先生から御紹介いただきたいと思います。清水先生、お願いいたします。
○清水参考人 配布資料にございます1です。私のところ、最初にこの2行だけの文章で、3は御意見のとおりで、かかりつけ医の留意点とは別に別表がございまして、入院、入所から退院、退所までの多職種協働による薬剤調整で部門別に述べられております。このときに薬剤師を含めて、関連職種の留意点は再度、分かりやすく整理してもよろしいかと思いますという、この2行、お送りしたのですが、分りにくいので、もう少し細かく言ってほしいという御意見の内容ということで加筆いたしました。内容としては、処方の確認・見直しの基本的な考え方が11ページに記載され、13ページにかかりつけ医の留意点が挙げられております。しかしながら、14ページにはかかりつけ薬剤師が図示されているものの、その留意点に関する記載がございません。そして、15ページに至り、看護・介護職のモニタリング支援が記述されております。そこでは施設長、あるいは経営者の役割が言及されております。そこで、医師が配置されていない療養環境における医薬品の適正使用の場面において、薬剤師さんが在宅や施設におもむき、積極的にモニタリングしていくことが、介護報酬請求上も求められております。これを居宅療療管理指導と申します。これを明記すべきでありますということで、こちらに御提案しました。
この本文の修正案、回答修正案がございます。形として右を御覧ください。「薬剤師の留意点が分かりやすくなるよう、15ページの11行目に『例えば薬剤師が居宅等を訪問してモニタリングを行うなど、』を追記した」という格好になります。そうすると、最後の成文といたしましては、修正後、「外来・在宅医療においては、医師をはじめとする多職種にとって処方変更後の効果や薬物有害事象を詳細にモニタリングすることが難しいため、特に減量・中止は、症状悪化に備えて緩徐に実施することが求められる。また、患者本人が薬を管理しなければならないことが多いため」、次に、これ、加筆していただきました。「例えば薬剤師が居宅等を訪問してモニタリングを行うなど、服薬アドヒアランスを確認しつつ、効果と薬物有害事象の評価を行うことが重要となる」と。あとは、文章はそのとおりでございます。ですから多くのメンバーが、多職種がチェックするという場合で、かかりつけ医は当然おるのですが、その中で、先ほどのお話にもありましたように、複数のかかりつけ医がいる場合に、お互い同士、なかなかチェックしにくい。A先生が出したものをB先生、言いにくいということがあれば、やはり薬剤師さんがこういう形で関与するのもいいと。それを成文化してほしいということでコメントを述べました。以上です。
○印南座長 ただいまの御意見と本文修正案につきまして、いかがでしょうか。御意見等あればお願いしたいと思います。
○島田構成員 今の清水参考人のお話、そこまで書き込んでいただけるということは、薬剤師としては、非常に明文化されて、はっきりしてよろしいかと思っております。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
○城守構成員 医師がいないという施設も確かにあるのは事実ですので、そこにおいて薬剤師さんがモニタリングを行うということは、ここにも書いてありますように、確かに介護報酬上求められているというのはございます。ですから「例えば、薬剤師が居宅等を訪問してモニタリングを行うなど、服薬アドヒアランス等を確認しつつ、効果と薬物有害事象の評価」までしていただくというのは少し行き過ぎかなと思うのです。ですので、薬物の有害事象の情報収集を行い、そして、かかりつけ医と連絡して対処をするという形でないと、この評価ということになると、どこまでそこを突っ込んでいくのかという話にもなりますので、書きぶりとしてはこういうふうに書かれるのでしたら、「薬物有害事象の情報収集を行い、かかりつけ医に連絡する」、ないしは「連携を取り」とか、そういう形のほうがよろしいのではないでしょうか。
○清水参考人 1つ、よろしいですか。ただいまの御意見は正にそのとおりなのですが、私の発言は下線を引いた部分を足すということを述べておりますので、最後の「効果と薬物事象の評価を行う」、そこが重要となるということは私が言っているわけではないのです。これは前からの文章の残りなので、その辺を御理解ください。
○城守構成員 了解いたしました。
○印南座長 いかがでしょうか。その他の先生方、いかがでしょうか。
○秋下座長代理 よろしいでしょうか。城守構成員のおっしゃることももっともであり、どういう書きぶりにするのかなということもですが、これはこのまま生かすとしたら、挿入する箇所を、「効果と薬物有害事象の評価を行うことが重要となる」の後ろに持ってくるというのであれば、そこに掛からないのであまり問題が起きないのかなと思うのですが。「評価を行うことが重要となる。それに際しては、例えば、薬剤師が居宅等を訪問してモニタリングを行うことも求められる」とか。そういうふうにしておけば、曖昧になりますけれども、明確にそこの評価がどうなのとはならないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○城守構成員 「例えば」という文言、後ろに付けるとしても、基本的にはそれが主語になりますのでね。ですから、こういう文言を入れるということになれば、この「評価」という文言以下を、やはり、少し修正をされたほうがよろしいかなと思います。
○清水参考人 よろしいでしょうか。私、パブコメで言った者の責任として、今、おっしゃったこの評価というより確認という言葉、「評価」を「確認」という言葉はどうなのですかね。同じことですかね、評価と。文言に対してということなので、やはり薬剤師さんはすごく大事で、かかりつけ薬剤師という言葉もありますし、お医者さんが、例えば長い間処方しても、居宅療養管理指導で訪問薬剤師さんが行ったときに、またお医者さんとは違った見方もしていただけるので、そういう意味では是非、入ってもいいのだろうと。ただ、評価が、というのでしたら、確認とか何か別の言葉だと思うのですが、これは事務局に考えていただいたらどうかと私は思います。
○印南座長 確認したいのですが、まず、修正しないという御意見の方はいらっしゃらないということですか。何らかの形で追加、追記したり修正することはOKだと了解してよろしいでしょうか。その上で、あとは表現の問題ということになると思いますが、ほかに今、頂いた御意見以外に、あるいはこういうのはいかがかとか、そういうのがあればこの段階で出していただければ、それを踏まえて事務局のほうは修正できると思うのですが。
では、事務局のほうからお願いします。
○課長補佐 ここの部分、当初は主語が医師・薬剤師であったので、評価という形で、医師も入った形での書きぶりで、すっと入っていたのですけれども、間に薬剤師が主語の記載を入れたことで、分かりにくくなってしまっている部分があるのかと思います。先生方の御意見を拝聴させていただいて、例えば、この部分は元のまま、「効果と薬物有害事象の評価を行うことが重要となる」。「その際に例えば、薬剤師が居宅等を訪問してモニタリングを行う等情報収集を行い、かかりつけ医と連携を取ることが求められる」とか、そういったような形ではいかがでしょうか。
○城守構成員 結構です。
○課長補佐 ありがとうございます。
○島田構成員 あまりマイルドにし過ぎて、せっかくの御発言が消えないように、そこのところを是非ともよろしくお願いいたします。
○池端構成員 これを言うと、また蒸し返しになるかもしれませんけれども、もし、今のマイルドな言い方をするのであれば、在宅医療をやっている立場だと、当然訪問看護師もそういうことをやっていることになってしまうのかなという気がするのです。ただ、そこを入れてしまうと、また話がややこしくはなると思うので、少しそういう印象を持ちましたということだけにしておきます。
○印南座長 微妙ですけれども。ほかに御意見はいかがでしょうか。
○美原構成員 実は私たちの病院で、入院患者さんが入ってきたときに減薬をして、その後、外来にお返しした。それがどのくらい、ずっと維持されているかという調査をしたのです。数はそれほど多くないのですが、そうすると開業医の先生にお返ししたり、自分の病院で診たりすることがあるのですが、どういう患者さんが薬が増えてしまうかというと、やはり病院から手が離れてしまう患者さんです。開業医さんが1つのクリニックで診ていたら、それはそれで維持されているのですが、やはり幾つかの医療機関が入ると、また薬が元に戻ってしまうのです。
では、元に戻らないようにするのは誰がするのだろうかといったときに、やはり今ここに書いてあるかかりつけ薬剤師の方だろうと思うのです。かかりつけ薬剤師は、ここに訪問という言葉があるのです。訪問ではなくて、1つのかかりつけ薬剤師がいたら、そこの所でしっかりと診ていただけるほうがいいのかもしれないと思います。
というのは、例えば別の整形外科の先生が出しているお薬を、消化器内科の先生が、「これは要らないよね」となかなか言いにくいこともありますし、トータルで診ていただけるような、ある意味では公平なと言うと語弊があるかもしれないですが、全体的に薬物療法の専門家として、かかりつけ薬剤師がきっちりできるようなことを考えた場合に、もしかしたら、ここであえて訪問という言葉も入れないで、かかりつけ薬剤師としたほうがいいかもしれないと思いました。以上です。
○印南座長 表現上は訪問薬剤師とは書いていなくて、「訪問して」と書いてあるのですが、そこはカットして。
○美原構成員 訪問するというと、薬剤師がおうちに行くというイメージがありますよね。
○印南座長 そうです。
○美原構成員 患者さんは調剤薬局に行って、いろいろ説明を受けたり、指導を受けたりするわけですね。ですから訪問ということが、すごくハードルが高くなってしまうのではないかと思うのです。ちょうどクリニックに患者さんが受診するように、かかりつけ薬剤師の所に調剤をお願いするわけですね。そのときに、しっかり薬剤師が専門性を発揮していただけるのならば、何も訪問という言葉がなくてもいいのではないかというのが私の意見です。以上です。
○印南座長 つまりここで言えば、「訪問して」という言葉を削除すれば、モニタリングするだけでいいということですね。その場合、薬剤師という言葉の前に、「かかりつけ」という。
○美原構成員 私がどんなことを思っているかというと、かかりつけ薬剤師というのがどのくらい機能しているか分からないのですが、少なくとも、自分の経験というか、私の病院の前には、いわゆる門前薬局、門前の調剤薬局があるわけですが、そことの関係が非常に良くて、そこからいろいろな情報が病院にフィードバックされるような体制があるのです。それが私自身は、非常にうまくいっていると思っているのです。
でも、門前薬局ではないほかの調剤薬局からも、時には連絡があるわけです。ただ、ちょうどドクターショッピングをするように、薬局ショッピングを患者さんがしてしまうと、うまくないかもしれないなと思うのですが、恐らく患者さんが自分のかかりつけ薬剤師はここですということをしっかりと認識するようになれば、この問題の解決に大きく結びつくのではないかと思っています。以上です。
○印南座長 この点に関して、ほかに御意見はありますか。島田構成員、お願いします。
○島田構成員 今の美原構成員のおっしゃるとおりでありまして、現在は患者さんのおうちに行って薬の状況だけを見るという物理的な行為だけではなくて、服薬期間を通して、患者さんの全体的な状況を私たちもチェックしていく、フォローしていくという仕事に移っておりますので、1薬局の中だけの業務ということではなくて全体的な薬剤師のフォローということが「かかりつけ」であるとご理解いただきたい。
あとは事務局にお任せすることになると思うのですが、やはり今おっしゃったように、それぞれの先生方の、専門の、御自身の出された医薬品に対する評価というのは、もちろんしっかりしたものだと思いますが、我々の場合は他の医療機関や他の処方箋を全体的に見た上での評価という言葉を使っていただけると、さらに私たちの仕事が明確になると思いますので、そこのところを御一考いただければと思います。
○印南座長 城守構成員、お願いします。
○城守構成員 今、病院で入院をしているときには、薬剤の管理がしっかりできるが、退院をした後、またいろいろな医療機関にかかられることによって、薬剤の管理が悪くなるということは、確かに見聞きもします。
ただ、実は病院でも大きな病院ですと、その病院内においていろいろと他科を受診されたり、結果的に病院の中で多剤併用ということも、よく起こるという事実もあります。ですので、これは基本的に病院であろうが、地域であろうが、病院であれば入院をしている主治医、地域であれば基本的にはかかりつけ医というのが、薬剤の総合的な管理をすると。これは、確かに科が違うことによって、それぞれ分からなかったり遠慮したりすることもあるとは思うのですが、そのときは直接ドクター同士が調整をしたり、薬剤師さんの御意見も聞きながら、処方を調整していくということが基本になろうと思います。
ですから、薬剤管理をするのがかかりつけ薬剤師さんであるというのは、これはどう考えてもおかしいですよね。本来はドクターが主になって、総合的な処方をして、そこに薬剤師さんとしての情報と知識を活用させていただいて、それは連携でいいと思うのです。ですが、どちらが主になってやるかというと、やはり基本は、その人の身体を全て診ているかかりつけ医ということであろうと思うので、そこは誤解があるのかなと思ったりします。
ですから、そこはしっかりと明記をしていただいたほうがいいかなと思いますし、現実問題として、かかりつけ薬剤師さんが機能しているのかどうかということになると、機能していないですよね。ですので、その文章を入れることによって機能させるというのは、方法としては一見ありそうに思いますが、機能していないものに関して、その人に責任を持たせるというのはあまりにも無責任ですから、やはりそこは注意をしていただきたいと思います。以上です。
○印南座長 島田構成員、どうぞ。
○島田構成員 まだ、かかりつけ薬剤師というのは数的に、地域から要求されている分までには達していないのは、そうかもしれませんが、機能していないということはないと思いますので、そこのところは誤解がないように御理解いただきたいと思っています。
○秋下座長代理 この検討会で、総論編のときからも、ずっとこの点は確認をしながら進めてきたことなのですが、関係の諸団体の代表の方がおられますので、そこの確認ということですが、かかりつけ医というのは一般用語で、かかりつけ薬剤師というのは制度上の言葉であるということがあるので、かかりつけ薬剤師という言葉を使う場合には、かなり制度と紐付けされていないとまずいだろうということで、総論編でも使うのを避けてきたという経緯があります。
そういう意味では、14ページの絵の中に、かかりつけ薬剤師というのが、かかりつけ医と横に並んで入っていて、少し誤解を受けやすいかなと思いながら、今の議論をお聞きしましたので、もしかしたら絵の中の表現等も少し変えつつ、本文のほうの表記についても検討するということは必要なのかなと思います。
○医薬安全対策課長 いろいろな御意見を伺った中で、15ページの10~12行目の「また」から始まる文章について今は議論していると思うのですが、この文章はかなり重要だと思っていまして、結果的に患者さんを中心に置きますと、やはり「効果と薬物有害事象の評価を行うことが重要」、これはどうしても語っておくべきことかなと思います。
問題は、これに対して、例えば医師や薬剤師、誰が関わるかといったところについて書けばいいのだと思っていますので、今、御意見として頂いていたのは、「例えば」ということで、「薬剤師が居宅等を訪問してモニタリングを行う」などということがありますので、その文章を確認しつつ、前に入れつつも、その手前に更に「医師との連携の下」という言葉が入ると、ともに医師と薬剤師が協力し合って、正に患者さんに対して効果と有害事象の評価を行うこと、それが極めて重要だということを語っている文章になるのではないかと思いましたが、そういうのはあり得るのでしょうか。ということに触れさせていただきました。
○島田構成員 決して、評価ということに対して処方医の先生と対決するつもりでは全然ありませんので、そこを御理解いただければということと、それと今、この絵の中でかかりつけ薬剤師を削るというお話だったのですが、確かに制度上は診療報酬にかかりつけ薬剤師というのは明記はされましたが、そもそも我々はこのように明記をされなくても、現場ではかかりつけの薬剤師というつもりで動いていることには間違いがないので、ここで、もしこの絵の中から「かかりつけ」を取ってしまうと、取った意味がまた分からなくなってしまうと思いますので、ここは是非かかりつけ薬剤師という絵のままで、つまり診療報酬がどのように変わろうが、このかかりつけ薬剤師であるべきという思いは我々全員思っておりますので、是非ともこれは書き残していただければと思っております。
○平井構成員 議論を聞いていると、医薬品医療機器制度部会での議論の繰り返しみたいな感じがするのですが、医師・薬剤師も含む多職種が連携して、患者さんの治療、モニタリングにあたるというのも、これも定着していることというか大前提なので、ことさら書かなければいけないのかなと、私は個人的に思ったのですが、誤解を避けるのであれば、文言を足したらいいのかなと思いますし、また制度部会のほうで取りまとめもありましたから、それとの整合性なども考えながら、文章を考えていただいたらいいのではないかなと思った次第です。
○印南座長 ほかに御意見は。
○清水参考人 そもそも言い出した者として、こんな大きい話になるとは思わなかったのですが、制度部会では、かかりつけ医で訪問診療をやって、在宅をやって、あるいは特養に行っているような、そういう医者の立場として、目に見える図を考えながら話をしたわけで、僅か上の2行を私は言っただけなのです。
それが大きく膨らんで、大変なことになってしまって。ですから、「例えば」という、この「例えば」が、ある意味では少し薄まっていいのかなと思ったのですが、というのは、私は在宅もかなりやっておりまして、隣の髙瀬先生もそうなのですが、やはり私は処方しても、同じ薬が出ているかどうか分からないことがあるのです。
今はジェネリックという問題があって、非常に困るのです。例えばアムロジピンなんていうお薬は、それに対して38~60ぐらいの薬があって、それが本当に出て、薬効がどうかなんていうことがあって、それを見ていただくのは薬剤師さんなのです。訪問看護師さんもそうなのですが、そういう意味を含めて、やはりこれから期待を含めて、こういう文章を作らせていただいたので、これからエールを送って頑張っていただきたいということもありますので、看護師さんは看護師さんで本当に頑張っていらっしゃいます。言わずもがなです。ですから、そういう意味であまりここの所だけについてやっていただかなくても、みんなで頑張ろうみたいな具合でいいかなと、個人的には思います。よろしくお願いします。
○課長補佐 それでは、先ほど私から提案させていただいたものでは、美原先生の意見を考慮すると、「居宅等訪問」という文言までは入れないほうがいいでしょうか。
○美原構成員 お任せします。
○課長補佐 分かりました。先生方の御意見を踏まえて、事務局で持ち帰らせていただいて、ここで提示できなくて申し訳ないのですが、よろしいでしょうか。
1点、島田先生から御意見があったのですが、かかりつけ薬剤師の表記については、確かに14ページの図にはかかりつけ薬剤師という形で文言を入れているのですが、昨年来この指針を整理してきたときに、この議論を実施してきていまして、かかりつけ薬剤師という制度というか、その存在が本当に浸透しているのかというところも十分議論した結果として、指針にはかかりつけ薬剤師ではなくて薬剤師という形で、記載をするという整理を実施し、本文中は全て、薬剤師という文言になっています。そういったことを考慮すると、ここの図だけかかりつけ薬剤師という記載があると、ここの図に何か意味があるのかというところもございますので、その辺りの御意見を是非お伺いしたいところです。
○秋下座長代理 その点については、これも不自然な感じにはなってしまうのですが、「の」を入れると全く問題はなくなるのですが、ただ、逆にそうするとかかりつけ医の隣にあって、何でここに「の」が入っているんだと、やはり不思議に思う方が多いのかなと、なかなか難しいですね。
○島田構成員 そういう御意見も十分理解はできるところですが、しかし、これからいろいろポリファーマシーということで、正に情報の一元化というのは、患者さんにそれぞれいろいろな診療をされても、処方箋をかかりつけの薬局や薬剤師に持ち込むという、そういう方針の上でも、これはそういう一元化の方向性からいっても、ここにかかりつけ薬剤師と書いていただいたほうが、この制度部会で書かれている意味により合うのではないかと私たちは思うのです。
ここで、ただ薬剤師と書いてしまうと、単なる職業としての薬剤師という読み方に。本文中は前後の文章で意味を汲み取ればいいのでしょうけれど、こちらの絵の中に書いてあるとすれば、本来、薬剤師の機能も意味をする書き方というのは、とても意味を持つものではないかと思います。薬剤師の機能も、ここでかかりつけ薬剤師と書くことで一元化を実現する者というニュアンスを表現しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○印南座長 薬剤師さんそのものを削ってしまうというのは、案としてはなくて、このまま「かかりつけ薬剤師」で残すか、「かかりつけの」で残すか、あるいは単に「薬剤師」と書くか。本文とは、そちらのほうが一番適合性が高いのですが。
○島田構成員 「かかりつけ薬剤師」がよろしいかと。「の」の議論もどこかで出たことがあると思うのですが、「の」は少し違うのではないかと思います。
○城守構成員 本文中と合わないのは駄目ですよ。
○池端構成員 (島田構成員の)お気持ちはよく分かるのですが、本文に1回も出ていないのが絵に出てくるというのは、どうしても整合性が取れないので、ここはみんなが理解しているということで「薬剤師」としていただかないと、これは難しいかなと。流れもありますので、そう思います。見逃したのは私たちも悪いのですが、私はそう思います。
○印南座長 ということで、よろしいでしょうか。絵についてはそれで、あとは文章のほうですので、これは事務局のほうで修正版を出させていただきまして、事務局から構成員の皆様に御確認をお願いして、最終的な取りまとめは私に一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにこの部分以外で、記述に関して何か御意見等があればお願いします。
○池端構成員 意見ではないのですが、情報提供をさせていただきたいと思います。私の随行の者から連絡があって、一番最初におっしゃったアルツハイマー認知症の別添1のレビー小体型には、アリセプトしか通っていないのでこれに変えたということだったのですが、3月末日でジェネリックの5社ぐらいが通っているのです。
全部は通っていないので、これでいいとは思うのですが、そういう問合せがあったときに、全部ではないからこうしたということが分かるようにしておくか、その辺ももう1回調べていただいたほうがいいと思います。
○課長補佐 では、こちらで調べさせていただいて、適切な表現に修正をさせていただきます。
○印南座長 ほかにはよろしいですか。
○城守構成員 4ページの9行目かな。「8割以上の医師が利用開始時に薬物治療の見直しを行うという調査結果もある」という記載があるのですが、この7を見ますと、最後の34ページです。一番下の右の所ですが、「利用開始時に薬の見直しをほぼ必ず見直すと回答したのは42.1%、場合によっては見直すと回答したのが40%」ですので、ここの記載はどちらかというと「8割以上の」と書かれるとすれば、「8割以上の医師が利用開始時に薬物治療の見直しを「検討する」という調査結果もある」としたほうが無難かなと思うのですが、いかがでしょうか。
○印南座長 ただいまの御提案につきまして、ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは異議なしということで、そのように事務局のほうで修正させていただきます。
ほかになければ、これをもって指針(各論編(療養環境別))に関する議論は終了します。構成員の皆様方には、昨年より長期間にわたり御尽力いただき、大変お疲れさまでした。事務局から今後の指針の取扱い、周知などについて説明をお願いします。
○課長補佐 最終版の指針につきましては、まず今日御指摘いただいた点を事務局で修正し、再度先生方に御確認をいただく機会を設けたいと思います。御確認の後に、最終的にフィックスした指針につきましては、速やかに関連団体、都道府県経由で全国の医療機関、薬局等に周知させていただく予定です。以上です。
○印南座長 承知しました。それでは、議題2を終了します。議題3「その他」として、事務局より今年度の事業について説明があると伺っていますので、お願いします。
○事務局 それでは、資料3の1枚紙を御覧ください。本年度の高齢者事業について説明します。本年度はこちらに記載している3つの事業、大規模調査、好事例集の作成、啓発資料の作成を行うことを予定しています。1.の多剤処方に対する取組状況に関する大規模調査・分析では、病床数100床以上の全医療機関、こちらは約5,000件となりますが、こちらを対象に、当該指針等の活用状況や、処方薬の減量・中止の実施状況等を調査しまして、医療現場におけるポリファーマシー対策の実態を把握することで、指針の評価や更なる検討課題の抽出に活用できればと考えております。
2.の地域でのポリファーマシー対策に関する好事例集の作成では、各地で実施されているポリファーマシー対策を推進するための取組事例から好事例を選定しまして、横展開するための事例集を作成したいと考えております。事例数としましては、地方での事例も含みまして、5件以上を予定しております。
また、3.の国民向けの啓発資料等の作成についてですが、本検討会でも患者・国民向けの啓発の重要性については、御指摘いただいた点でもありまして、これに対応するための事業です。
これらの事業の今後のスケジュールにつきましては、資料の下段の表を御覧ください。事業のうち大規模調査と事例集につきましては、調査の計画・実施・取りまとめを含めまして、1年程度の期間をかけて実施しまして、来年の3月頃に本検討会で御報告できればと考えております。啓発資料につきましては、夏頃までを目処に最終化できればと考えております。具体的な調査の内容を含めまして、途中経過については本検討会や、必要に応じてWGのほうにも報告させていただきながら、進めさせていただきたいと考えております。資料3の説明については以上です。
○印南座長 ただいま事務局より説明のありました高齢者事業について、もし御意見があればお願いします。
○北澤構成員 国民向け啓発資料等を作成するというお話で、大変重要なことだと思います。ただ、こういった啓発というのは、ポスターやリーフレットを作って配ればできるというものでもないと思います。是非それをどうやって使うのかということも含めて、御提案いただければと思っております。よろしくお願いします。
○課長補佐 ありがとうございます。そういった周知の仕方についても重要な課題だと考えておりまして、関連の団体、例えば日本薬剤師会さんだったりとか、既に薬の情報提供や周知活動を行っている協議会等の関連団体と連携を取りながら、国民向けなのであまり国のカチッとしたものではないほうがいいのではないかといったことも念頭に置きながら、案を作成していき、さらには周知の方法を検討してまいりたいと考えています。その方法等については、本検討会の先生方の御意見も是非お聞きできればと思っていますので、よろしくお願いします。
○島田構成員 重ねて、薬剤師会のほうも、各薬局、地域でもって、国民に対してこういった資料を十分使っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○荒井構成員 業界団体のほうですが、日本製薬団体連合会の参加団体であります日本製薬工業協会、いわゆる製薬協ですが、2019年度の政策提言の中にポリファーマシーを盛り込んでおりまして、くすりの適正使用協議会と共同で、このポリファーマシーに関して患者さんなどへの普及活動を行っていくことを、今年度の取組としております。
○印南座長 ほかにはありませんか。
○池端構成員 この啓発の話ですが、この検討会とは全く別の流れとして、国保連合会がヘルスアップ事業として、こういうポリファーマシーとか薬剤削減という流れで、いろいろな事業を展開しようとしているのですが、どうも、私が県医師会の仕事をしていると、そこで削減ありきの話が出てしまっているので、そこをもう少し同じ母体として、やはり国ということを考えると、こういう真っ当でないとは言いませんが、そういう事業と少し整合性を持ちながら展開していただけたらいいなと思うので、どうもそこが急に外部委託して、(そこの)薬剤師が患者さんの所へ行って、そして適切ではないということを言って帰っていくという事業をやっているので、ちょっと気になった所があったもので、その辺とも少し、連合会ともお話していただけるといいかなと思いました。
○印南座長 御意見を頂きました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。では、ありがとうございました。ほかに事務局のほうから連絡事項はありますか。
○課長補佐 繰り返しになりますが、高齢者の指針ということで、昨年度に引き続き本年度は各論編について、先生方には多大なる御尽力をいただきまして、誠にありがとうございます。まだ療養環境編は、今日で取りまとめというわけではないですが、大枠が取りまとめられましたので、感謝申し上げます。
次回の検討会は、日程調整の上、改めて事務局より連絡させていただきます。なお、本日の議事録については後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いします。修正を御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いします。事務局からは以上になります。
○印南座長 それでは、これで閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
(了)