技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第30回)議事要旨

                          人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 平成31年2月13日(水) 15:00~16:40

○場所 厚生労働省 共用第9会議室(20階)

○出席者
  岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課、外務省領事局外国人課
  外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (コンクリート製品製造関係)全国コンクリート製品協会、経済産業省
 
○議題
 (1)コンクリート製品製造職種の追加について
 (2)技能実習評価試験の適正性、公平性等の確認について

○議事
 1 コンクリート製品製造職種の追加について
 ○ 全国コンクリート製品協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 実習内容や試験の評価項目が送出国のニーズに合ったものなのか明確に説明すべきとの指摘に対し、
  モンゴル等の状況について聞き取り調査等を行い、まとめた。送出国では、屋外でのコンクリート製品製造作業
  が多いが、製造工程そのものに大きな違いはなく、作業に当たり配慮すべき点は日本と同じだった。送出国
  では、製品のばらつきが多く、耐久性など製品性能に対する懸念があった。要求仕様に合った製品を安定的に
  製造できる技能者が必要とされ、そういった人材の育成が求められていた。
  要求仕様に合った製品を安定的に製造することは、日本が得意とするところである。きちんと習得できるよう、
  実習生を体系的、段階的に育成する。必須業務に関して試験を行うことで、送出国のニーズに合った技術を評価
  することが可能と考えている。
 ・ クレーン作業に係る安全衛生に関する技術・知識など送出国の作業環境を把握した上で必要な知識や技能を
  習得させるべきとの指摘に対しては、クレーンについて、調査結果によると、取り扱うコンクリート製造製品が
  重量物である場合には、送出国でも、使用されており、資格者が取り扱うことも同じであった。
  しかし、クレーン操作を日本で習得する要望はそれほど高くなかった。安全衛生業務は、1号から徹底して実習
  を行うが、クレーン操作は関連業務と位置付ける。技能実習でクレーンを使う作業がある場合には、技能講習、
  特別教育等は必須となる。
 ・ 1号の受入実績は、当協会等の調査で98名であったので、業界全体で310名程度と推定している。
  1年間でどの程度の技能が習得されているかだが、一連の工程の作業の全てをきちんとやるところまでは
  行きつかないというのが実情である。今後、移行対象職種に追加された場合には、1号から3号までの実習に
  より体系的、段階的に実習を行う。
 ・ 技能実習各号の「目標」について、もう少しブレイクダウンして、細かい項目でどういう作業ができること
  とするのか具体的に整理すべき、との指摘に対しては、1号の目標は、コンクリート製品製造で基本となる未だ
  固まらないコンクリートの取扱いに関連した基礎的な作業ができること、2号の目標は、成形準備作業から
  仕上げ(手直し)作業までの一連の一般的な作業ができること、3号の目標は、一連の作業に加えて作業管理
  までの実践的な作業ができること、と整理した。
 ・ 技能実習各号の「備考」に記載した「コンクリートの成形作業」の各号の難易度等の差異を明確にすべき
  との指摘に対しては、1号から3号までになるに従い、無筋に限るなど範囲を限定するものから、限定が
  なくなっていくということで、技術の差を設けている。
 ・ 3号の実習内容のうち「作業管理(不具合の対応等)」について、不具合製品を「廃棄処分するか」、
  「手直しをして出荷できるか」まで判断させるか、「上司に報告する」までとするか、また、生産性の問題も
  含めて判断させるか、明確にすべきとの指摘があった。これについて、3号の実習内容を、作業者として
  不具合製品を出さないための作業中の判断に限ると整理した。この趣旨を明確にするため、項目の名称も
  「作業管理(不具合製品発生の防止等)」と変更した。また、不具合製品が出た場合の対応として、これを
  廃棄するか、手直しをして出荷できるかの判断は、その責任者が行うこととし、生産性の管理は実習内容
  に含めないこととした。
 
 ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)クレーンの運転の業務は関連業務に位置付けられているが、実技試験には出題されないという理解
   で良いか。
  説明者)実技試験には出題しない。
  委員)1号の実習生が働いている現場で、クレーンが必須の装置となっているところと、手で持ち運びできる
   程度の型枠の作業が大部分のところとの比率はどの程度となっているか。
  説明者)日本の場合、クレーンを使うところが比較的多いが、それでも概ね1割程度である。
  委員)クレーンの操作が製品の品質上の出来栄えに影響することはないのか。
  説明者)製品の良し悪しは、脱型したときに金型がきれいに外れるかどうかが大きなウエイトを占めるが、
   クレーンの操作によって不良品が出るということは随分少ないと考えられる。
  委員)クレーンの運転の業務、玉掛けの業務等の資格が必要な業務は、技能実習及び試験の対象か否か
   について、再度、確認し、明確にしていただきたい。
  説明者)御指摘について明確にしたい。
  委員)クレーン操作の資格を実習生は取得できるのか。
  説明者)全国に何ヵ所か外国語で講習を行う機関があり、実習生はこれらの機関で資格取得していると
   聞いている。
  委員)クレーンの運転等の資格取得について、受入事業場に対する指導や技能講習等を外国語で行う講習
   機関との連携を検討されたらどうか。
  説明者)連携について検討したい。
 
 ○ 検討の結果、コンクリート製品製造職種(コンクリート製品製造作業)について、次回以降、引き続き、
  議論が行われることになった。
  
 2 技能実習評価試験の適正性・公正性等の確認について
 〇 事務局より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 「技能実習評価試験の認定基準確認表」について、今回、人材開発統括官が定める職種追加の事務取扱
  要領への位置付けを明確にし、今後、正式に活用を図っていく。そして、業界団体から、専門家会議における、
  職種の概要(追加方針)の説明時に、職種の要件、試験実施機関の要件の適合状況を記載した「職種追加の
  確認表(1)」を、審査基準案、試験基準案の説明時に、評価システムの要件の適合状況を記載した「職種追加
  の確認表(2)」を、それぞれ、提出していただき、説明することを求める。
   現在、試行試験の際には、外国人技能実習機構が立ち会って、実施状況を確認している。今後、機構は、同
  実施状況を「試行試験実施状況確認表」により確認し、同確認表を専門家会議の配布資料とする。
   これまで、委員の皆様方に、その都度、お気付きの点を御指摘いただいていたが、これらの様式を整備する
  ことで、あらかじめ課題を洗い出しておき、事務局も事前に確認することで、専門家会議の効率的な運営に
  つなげていきたい。
 ・ 認定してから毎年度、各試験実施機関に対し、試験事務に係る収支状況について、自主点検を行って
  いただき、「技能実習評価試験受検料報告書」を外国人技能実習機構に報告していただく。報告内容は、
  厚生労働省も共有しながら、必要な確認や指導につなげていきたい。
 ・ 認定してから3年経過後、以降3年ごとに、試験の実施結果について専門家会議に報告いただくとともに、
  試験の運営状況について「技能実習評価試験運営状況自主点検表」により自主点検を行っていただき、
  その結果を専門家会議に報告していただく。
 
 〇 事務局からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)「職種追加の確認表(1)」の「職種の要件」のうち、「移行対象職種への追加について、業所管省庁
   が、次の各号のいずれかに該当することを確認の上、同意していること」の「その他特段の問題が生じない
   と考えられること」はどのようなことが考えられるのか、具体的事項を例示しておくべき。
     同様に、同確認表の「試験実施機関の要件」のうち、「当該職種に関する専門的な知見を有すること」
   や「試験業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって試験業務に不公正が生じる
   おそれがないこと」もどのようなことが考えられるのか、具体的事項を例示しておくべき。
     さらに、「監理団体又は実習実施者の要請に応じ適切な時期(随時)に試験の実施が可能であること」
   は、どういう場合に試験の実施が可能でなければならないのか、多くの人が妥当と思うことができているか
   を、誰でも評価できるような記述が必要である。
   事務局)御指摘いただいた点は、試験実施機関が記載に当たり留意すべき事項として例示したい。
 
 〇 検討の結果、技能実習評価試験の適正性・公正性等の確認について座長一任とされた。
 
(以上)