技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第28回) 議事要旨

                            人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 平成30年12月10日(月)10:00~12:00

○場所 厚生労働省 共用第9会議室

○出席者
  大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、下村委員、高野委員、冨高委員、
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
  公益財団法人国際研修協力機構
  (そう菜製造業関係)一般社団法人日本惣菜協会、農林水産省
  (コンクリート製品製造関係)全国コンクリート製品協会、経済産業省
 
○議題
 1 そう菜製造業職種の3号整備について
 2 コンクリート製品製造職種の追加について
 3 その他
 
○議事
 1 そう菜製造業職種の3号整備について
 ○ 第26回専門家会議における指摘事項への対応について、日本惣菜協会より概ね以下のとおり説明が
  あった。
 ・ 前回の専門家会議で評価のバラツキを防ぐための方策について指摘事項があったことを踏まえ、試験
  監督者によって評価に差が出ないよう、試験監督者用の採点マニュアルを初級の段階から作成し、同
  マニュアルをもとに技能評価の判定を行うとともに、試験監督者に対し年に複数回の合同研修を実施する
  ことで評価の均一化を担保する。上級の実技試験の採点についても、試験監督者用の採点マニュアルで、
  作業単位ごとに具体的な評価基準を示すこととし、同評価基準の作成段階で、試験監督者が試行評価を
  行い、評価にバラツキが無いか事前確認を行うこととする。なお、試験監督者の任命については、「惣菜
  製造業技能評価試験実施規程(技能実習生向け)内規」に基づき、知識、技量等を有していると考え
  られる者の中から指名することとする。
 ・ 実技試験の採点について、試験監督者の個人的評価となりがちで、評価にばらつきが出るのではないか
  との指摘があった。この指摘を踏まえ、試験監督者用のマニュアルに限度見本を入れ込み、試験監督者
  によって差が出ないようにする。
 ・ 実技試験の採点基準について、加点方式で各項目が複数選択されるものとランク方式でいずれかの項目
  が選択されるものが同じABC表記となっており、試験監督者が採点時に誤解を生じやすいため、表記方法
  を見直すべきではないかとの指摘があった。これを踏まえ、実技試験の採点基準について、加点方式とランク
  方式で表記方法を変更し、試験監督者が採点時に誤解しないようにした。
 ・ HACCPシステムに基づく基準逸脱是正措置は、プロセスが重視されるべきであるが、現在の採点基準
  ではプロセスを正しく理解して作業できたかどうかについて採点に反映されないことから、プロセスが評価
  できるように更に細分化した方がよいのではないかとの指摘があった。また、現在の採点基準では、是正措置
  の設定が偶然うまくいった受検者も採点が高くなり不適切ではないかとの指摘があった。これらの指摘を
  踏まえ、実技試験の採点基準についてはプロセス毎に更に細分化し、また、是正措置を設定した理由について
  実習生に口頭で説明させることにより、偶然性による加点を排除することとする。
 ・ 実技試験について、同一の調理作業においても、実技試験のパターンは複数用意し、ランダムに出題すべき
  ではないかとの指摘があった。この指摘を踏まえ、実技試験のパターンは複数用意し、ランダムに出題すること
  とする。
 ・ 試験基準(実技試験)の「2.調理作業」の「【2】非加熱調理」において、「2)調理に応じて大量製造用
  調理機械・器具等の取り扱いができること。」とあるが、実際の試験では大型の調理機器を取り扱わないので、
  「~の取り扱いに対応できること」のように文言訂正が必要ではないかとの指摘があった。この指摘を踏まえ、
  「【1】加熱調理」「【2】非加熱調理」ともに、「2)調理に応じて大量製造用調理機械・器具等の取り扱い
  に対応できること。」に変更する。
 ・ 大型の調理機器であれば当然知っておくべき技術的な知識で実技試験では評価できない部分を学科試験等
  の問題に入れるべきではないかとの指摘があった。この指摘を踏まえ、実技試験の判断等試験により問うこと
  とする。
 ・ 試験基準(学科試験)の「4.そう菜加工作業による製造製品」の「【1】加熱調理による製造」の揚げ物の例
  として記載されている「(かき揚げ、天ぷら・・)」については、どちらも天ぷらなので、「(から揚げ、
  天ぷら・・)」と記載する方が良いのではないかとの指摘があった。この指摘を踏まえ、「かき揚げ」を
  「唐揚げ」に変更する。
 
 ○ 続いて、非加熱調理作業について、同団体より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 非加熱調理作業の是正措置は、野菜の殺菌を想定しており、野菜の殺菌液の濃度が、大変重要なポイント
  になっている。
 ・ そのため、非加熱調理作業の実技試験における評価基準では、標準作業書どおりに調整作業ができたか、
  是正措置を行う判断ができたか、適切に是正措置を選択できたか、是正措置の設定を記録した後に作業を
  行い、設定を変更しなかったか、打切り時間内に管理基準を満たすことができたか等を確認することとする。
 
 〇 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)試験監督者によって評価に差が出ないようにすべき。
  説明者)対応について検討する。
  委員)試験監督者用の採点基準の温度や濃度、時間などについて、許容できる範囲(上限・下限)を明確
   に記しておくべき。
  説明者)対応について明確化する。
  委員)安全管理に関する点について学科・実技の採点項目に入れるか、判断等試験などに入れてはどうか。
  説明者)御指摘を踏まえて検討したい。
 
 〇 検討の結果、そう菜製造業職種(そう菜加工作業)については、次回以降、引き続き議論が行われること
  となった。
 
 2 コンクリート製品製造職種の追加について
 ○ コンクリート製品製造職種の追加について、全国コンクリート製品協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 国内生産量については、公共事業減少等により漸減傾向が続いたが底を打った模様。国内労働者数に
  ついても、同様の傾向。
 ・ 事業所数は全国で1,500余り。
 ・ 製品の例としては、日本標準商品分類の細分類1722を対象とするが、その中の細々分類「生コンクリート
  (レディミクスト・コンクリート)は、作業が異なるため対象外としている。
 ・ 作業工程は、型枠組替、鉄筋加工等作業、成形準備作業、コンクリートの製造作業、コンクリートの成形
  作業、養生作業、脱型作業、仕上げ作業、製品保管作業、製品検査となっている。
 ・ 送出国の実習ニーズとしては、開発途上国においても、多くの製品が実際に使用されているが、日本と
  異なり、製品の使用の割合が日本より多いという印象である。ただ、公式統計がないため、どのぐらい
  使われているのかは把握できていない。また、開発途上国では、寸法管理、仕上げなど製造工程の不適切さ
  が製品に出ている。実際の製品の事例を見ると、欠け・ひび割れ、不均質さなど、製造工程の不具合が推察
  される。
 ・ 全国コンクリート製品協会は、全国団体で、東京に事務所があり、現時点で正会員が120、賛助会員が29
  である。
 ・ 実習内容について、基本的には、基礎的なところ、重要なところから始めて、段階的に実習を行いたいと
  考えている。
 ・ 1号では基礎的な成形準備作業及びコンクリートの成形作業を必須業務とする。成形準備作業では、型枠
  の清掃、剥離剤の塗布、型枠の組立を行う。コンクリートの成形作業では、打込み・締固め、表面仕上げを
  行う。
 ・ 2号では一般的な成形準備作業、コンクリートの成形作業、脱型作業、仕上げ(手直し)作業を必須業務と
  する。1号に加えて、成形準備作業ではインサート類の取付け(1組まで)及び鉄筋の配置(シングルまで)を
  新たに行い、脱型作業では型枠取外し、製品取出し、転置を行い、仕上げ(手直し)作業ではバリ取り、
  気泡の手直しを行う。
 ・ 3号では実践的な成形準備作業、コンクリートの成形作業、脱型作業、仕上げ(手直し)作業及び作業管理
  (不具合の対応等)を必須業務とする。2号に加えて、成形準備作業では限定を付けないインサート類の
  取付け、鉄筋配置を新たに行い、仕上げ(手直し)作業では外観・形状等のチェック、角欠けの手直しを新た
  に行う。
 
 ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)コンクリート製品製造に係る開発途上国の状況について、実習内容や試験の評価項目が送出国のニーズ
   にあったものなのか、明確に説明すること。例えば、日本と送出国では作業環境が大きく異なるようで
   あるが、日本において工場内での実習内容を通じて身に付けた技術は送出国でも必要とされるのか。また、
   送出国のニーズにあった技術は試験で評価することは可能なのか。クレーン作業に係る安全衛生に関する
   技術・知識など、送出国の作業環境を把握した上で必要な知識や技能を習得させるべき。
  説明者)対応について検討する。
  委員)1号技能実習生について、現在、コンクリート製品業界の推定で、何名くらいか。1年間でどの程度の
   技能が習得されているのか。
  説明者)確認する。
  委員)技能実習各号の「目標」について、もう少しブレイクダウンして、細かい項目でどういう作業ができる
   こととするのか具体的に整理すること。例えば、1号の場合、成形準備作業、コンクリートの成形作業との
   記載があるが、「目標」の「コンクリート製品製造作業ができる」というのは、どのような作業ができること
   なのか。
  説明者)御指摘について、整理する。
  委員)技能実習各号の「備考」に記載していた「【2】コンクリートの成形作業」の各号の難易度等の差異を
   明確にすること。
  説明者)御指摘について明確化する。
  委員)3号の実習内容のうち「作業管理(不具合の対応等)」について、不具合製品を「廃棄処分するか」
   もしくは「手直しをして出荷できるか」まで判断させるのか、あるいは、「(上司に)報告する」までとする
   のか、生産性の問題も含めて判断させるのか、明確にすること。
  説明者)御指摘について明確化する。
 
 ○ 検討の結果、コンクリート製品製造職種(コンクリート製品製造作業)について、厚生労働省、法務省に
  おいて、省令の改正案に係るパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能実習評価
  試験案等について引き続き議論が行われることとなった。
 
 3 その他
 ○ 技能実習評価試験の適正性、公平性等の確認について、事務局より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 新たな技能実習制度の施行から一定期間が経過し、今後も制度を適正に運営するためには、技能実習生が
  技能実習で身に付けた技能等を技能実習評価試験で適切に評価することが求められている。前回の専門家
  会議での委員からの御発言も、このような趣旨と認識している。
 ・ 対応の案として、3点ある。1点目は、専門家会議の配布資料に留めている「技能実習評価試験の認定基準
  確認表」を職種追加の事務取扱要領の別添資料とし、試験実施機関に対し確認表の内容を専門家会議で説明
  することを求める。2点目は、全国型・地域限定型職種の試験実施機関に対し、3年に1回、試験の実施状況の
  自主点検を行い、その結果の専門家会議への報告を求める。なお、現在、社内検定型の試験については、毎年、
  試験の結果等について報告を求めている。3点目は、全国型・地域限定型職種の試験実施機関に対し、毎年度、
  受検の収支均衡の自主点検を行い、5月末までの技能実習評価試験実施状況報告書とあわせて、その結果の
  外国人技能実習機構への報告を求める。
 ・ 今後の進め方として、来年1月末の専門家会議において具体的な事務取扱要領の改正案や自主点検表等を
  御議論いただきたい、2月以降、試験実施機関に対し結論が出たものについて周知を開始し、専門家会議で技能
  実習評価試験の認定基準確認表に基づく議論を開始する、4月以降は専門家会議で自主点検結果に基づく議論
  を開始し、5月末までには受検料の収支均衡の自主点検結果を外国人技能実習機構に報告することとしたい。
 
 ○ 事務局からの説明に対し、概ね以下のような意見があった。
  委員)技能実習評価試験の認定基準確認表について、試験実施機関が適切に確認できるよう、判定条件が分かる
   ような要件の記述について検討していただきたい。
  事務局)御指摘を踏まえて検討したい。

(以上)