第2回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(議事録)

日時

平成31年2月26日(火) 15:00~17:00

場所

厚生労働省 共用第9会議室(20階)

議事

○地域就労支援室長補佐 それでは、時間になりましたので、ただいまから、第2回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会を開催させていただきたいと思います。
参集者の皆様方には、本日、御多忙のところ御参集いただき、ありがとうございます。
本日は、清家委員が御欠席となっております。
第1回目に御欠席であった参集者の方を御紹介させていただきます。
松戸公共職業安定所統括職業指導官の宇佐見委員です。
○宇佐見委員 宇佐見と申します。よろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐 それでは、これからの議事進行につきまして、朝日座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 朝日でございます。きょうは、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題に早速入ってまいりたいと思います。
本日は、就労パスポートの記載事項と指標について、12月の第1回検討会での議論を踏まえた改訂案と、就労パスポートの活用ガイドラインの案につきまして議論してまいりたいと思います。
まず、議題1「就労パスポートの記載事項と指標の改訂案について」でございますが、事務局から御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長 それでは、事務局から御説明いたします。
資料につきましては、タブレットのほうで資料1-1を御覧いただきたいと思います。「就労パスポート様式(案)の主な修正点」でございます。よろしければ、お手元に資料1-2ということで就労パスポートの修正版を紙で御用意しておりますので、こちらと両方御覧いただきながら、説明させていただきたいと思っております。
まず、就労パスポート様式の主な修正点でございます。構成と項目と指標に分けて記載しております。
まず、構成につきましては、前回「6 労働条件に関する希望」にあった働き方の希望につきまして、「3 体調管理と希望する働き方」に統合しております。
資料1-2を御覧いただきますと、「3 体調管理と希望する働き方」ということで、2ページ上の「希望する働き方」の部分につきましては、前回6にあったところから前に持ってきております。これによりまして、「1 職務経験」から「3 体調管理と希望する働き方」までの中で配慮に関する御本人の希望をまとめて伝えやすくなっております。
また、就職前の段階では、1~3までを部分的に活用することを可能としております。一方、前回も御議論がございましたけれども、この後の項目「4 コミュニケーション面」と「5 作業遂行面」につきましては、実際の職場などでの取り組み状況をもとに記載したほうが、より客観性を高めるという御意見もございましたので、就職前には企業に提示しないで、就職後の職場における作業やコミュニケーションの様子に基づいて作成していくことも可能としております。
次に、「参考:支援機関」欄を追加したということでございますが、こちらは様式の4ページの一番下でございます。御本人が利用している支援機関と支援の内容につきまして記載できるようにいたしました。
次に、項目の主な修正点でございますが、資料1-2の1ページ、「1 職務経験」は変えておりませんが、「2 仕事上のセールスポイント」ということで、1項目にまとめましてアピールしたい点に絞って記載しやすくしております。
「3 体調管理と希望する働き方」でございますが、1ページ下の「通院のための休暇」と「服薬管理のための配慮」、それぞれ通院、服薬管理のために必要な配慮を記載する項目にいたしました。
次に、2ページの「4 コミュニケーション面」でございますけれども、レベルの異なる記載が混在していた項目を整理し、記載が難しい項目については削除しております。
それから、指標につきましては、前回「複数」などといった曖昧な表現がございましたので、これを「2つ以上の」と修正したところでございます。
以上が、事務局案でございます。これに加えまして資料1-3を御覧いただきたいのですけれども、就労パスポート様式案につきまして、眞保委員から御提案がございましたので、朝日座長とも御相談いたしまして、事務局から御説明させていただきます。
4ページを御覧いただきたいと思うのですが、「就職後の自己チェック」という項目を新たに設けております。こちらにつきましては、障害のある方御本人が就職後の一定のタイミングで「4 コミュニケーション面」と「5 作業遂行面」につきまして、振り返りを行える仕組みを様式の中に設けてはどうかといった御意見をいただきまして追加いたしました。
チェック時期として就職1か月後、3か月後、6か月後、1年後としまして、「変化したと感じる項目」という欄を右に設けております。変化したと感じる項目につきましては、番号を書いていただくことにしまして、「4 コミュニケーション面」と「5 作業遂行面」の各項目に番号を付しております。その変化したと感じる項目の番号を記載していただいて、企業や支援機関の担当者と一緒に振り返りをしていただいたらどうかといったことで御提案がございましたので、御紹介させていただきました。
以上でございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。資料1-1、資料1-2及び資料1-3に基づいて御説明いただきましたが、眞保委員から何か補足などございましたら、必要に応じてお願いいたします。
○眞保委員 ありがとうございます。特に補足ということではないのですけれども、趣旨としましては、案で出てきたものは大変整理されて書きやすくなったなという印象はあるのですけれども、よく考えてみますと、かなり入り口のマッチングに特化した内容になったのかなと感じました。就職時のマッチングというのは非常に大事なことなのですけれども、定着ということを考えますと、就職後、振り返るきっかけのようなものがあると、御本人も振り返りやすいですし、支援機関も介入がしやすいのではないかと。ただ、どうしても紙幅の関係もありますので、なかなかうまいようにはいかないのですけれども、とりあえず最低限ということで入れさせていただきました。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
事務局の御説明、眞保委員からの補足、いずれも次の議題2の資料説明と連動してくる部分もあろうかと思いますけれども、この段階で何か質問されたい委員の方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
それでは、議題2を事務局から御説明いただいて、その後、意見交換の時間を十分にとりたいと思いますので、その際に適宜おまとめいただいて御質問いただければと思います。それでは、議題2「就労パスポートの活用ガイドラインについて」に移りたいと思います。議題2について、事務局から御説明をお願いします。
○地域就労支援室長 それでは、御説明いたします。資料につきましては、資料2-1~2-4までございまして、資料2-1が支援機関向けガイドライン素案の概要、資料2-2が企業向けガイドライン素案の概要となっております。資料2-3と資料2-4が、各ガイドライン本体の素案となっておりますが、本日は時間の都合で資料2-1と資料2-2によって説明させていただきます。
まず、資料2-1「支援機関向け就労パスポート活用ガイドライン(素案)概要」の1ページ目を御覧いただきたいと思います。
「はじめに」ということで就労パスポート作成の経緯、趣旨を記載しました後、まず「1 目的」を記載しております。こちらにつきましては、前回も御議論いただいた内容と重なっていると思いますけれども、「1-1 情報共有と活用の必要性」ということで、就労支援においては情報共有が重要となっていて、その際に就労パスポートが活用できるということを記載しております。
「1-2 他の支援ツールや支援策との関係」につきましては、既存の支援ツールを代替するものではなく、より情報共有をしやすくするものであるということで、共有した情報を活用して職場環境整備や定着支援を実施することによって職場定着を促進できると整理しております。
次に、「1-3 合理的配慮の申し出」ということで、御本人が希望する合理的配慮を整理して、企業へ伝達する際に就労パスポートをもとにポイントを絞ったサポートができる。以上3つを就労パスポートの目的ということで整理いたしました。
次に「2 利活用のメリット」ということで、御本人、企業、支援機関それぞれにとってのメリットを記載しております。
「2-1 本人にとってのメリット」につきましては、自分自身の特徴の理解を深められることや、自分の特徴や希望を企業にわかりやすく伝える伝達手段として役立つことなどが考えられると思います。
「2-2 企業にとってのメリット」としては、御本人の特徴を把握してスムーズな雇い入れや職場適応につなげられることや、御本人の変化に早期に対応でき、職場定着に役立てることができることなどを記載しております。
「2-3 支援機関にとってのメリット」としましては、企業に御本人の特徴や希望を伝達するツールとして活用できること、また、御本人の課題が具体化できて支援のポイントがつかみやすくなることなどを記載しております。
次に「3 利活用上のルール等」でございますが、「3-1 対象」といたしましては、多様な障害特性のある精神障害、発達障害、高次脳機能障害のある方々としております。ただ、ほかの障害のある方も御本人の希望があれば活用可能ということで整理しております。
「3-2 作成と活用の主体」でございますが、まず就労パスポートの作成の主体は御本人でありまして、御本人の気づきや理解に基づいた内容で、就労支援機関の担当者が支援しながら作成するということでございます。
また、就労パスポートの活用につきましては、就労パスポートの保管、必要な場合の更新、企業への提供も御本人が主体となって行い、支援機関が説明を支援すると整理いたしました。
2ページ目、「3 利活用上のルール等」の続きでございます。
「3-3 作成・利活用にあたっての留意点」として5点記載しております。
1点目は、支援者はアセスメントなどを通して御本人の特徴を把握したうえで支援するということでございまして、就労パスポートの作成を支援する支援機関は、アセスメントを行って、それに基づいて御本人の気づきを促し、御本人の理解を深めるように支援することが必要となるとまとめております。
次に「固定化された枠にとらわれるものではない」と書いておりますけれども、御本人の特徴は一人ひとり異なるために、様式の全ての項目に記載することや順番どおり作成するといったことは必須としないとまとめております。
3点目でございますが、就労パスポートは一度作成したら終わりではなく、更新するものであるということでございます。御本人の特徴や希望される配慮は自己理解が進んだり、就職後の職場環境の変化などによって変わることがあるということで、一度作成した後も振り返りをし、更新することで、御本人の現状に合ったものとなるのではないかと整理しております。
次に、4点目でございますが、ほかの就労支援策と組み合わせて活用するということでございます。就労パスポートの活用のみで支援の効果が上がるというわけではございませんので、共有した情報を活用したうえで、御本人に合わせた支援策を実施することによって、御本人の職場定着が促進されるものであるということを記載しております。
最後に、就労パスポートについては就労可否の判断に用いるものではないということでございます。就労パスポートは御本人の就労の可否や就労可能性を評価するためのものではなく、就労の可否を判断する際に就労パスポートの作成や提示を必須とすることや、所持していないからといって不利な取り扱いをするということは適当ではないとしております。
次に「4 適切な情報管理・情報共有のための留意点」でございます。
まず「4-1 説明と同意」ということでございます。就労パスポートの利活用に当たりましては、取得した情報を支援機関が御本人の希望に沿った就労支援に活用していくということを御本人が理解できるように説明して、御本人の同意を得るというインフォームド・コンセントを適切に実施する必要があります。
また「4-2 就労パスポートの記載情報の管理」につきましては、個人情報となるために、支援機関が写しを取得する場合には、個人情報保護法に基づきまして、適正に管理する必要がある旨、記載しているところでございます。
続きまして、3ページ目でございます。「5 構成、記載要領」におきましては、就労パスポートの項目一覧を記載するとともに、それぞれの項目につきまして記載例を挙げております。先ほども申し上げましたけれども、様式の項目の「4 コミュニケーション面」及び「5 作業遂行面」につきましては、就職前には企業に提示せず、就職後の職場における作業遂行などに基づいて作成していくことができる旨もこちらに記載しているところでございます。
「6 支援機関における作成支援の標準的な流れ」でございます。支援機関におきましては、就労パスポートの作成支援をするということで標準的な流れをこちらに記載しております。
「6-1 本人に対する説明、活用に関する意向確認」ということでございますが、まず、就労パスポートの趣旨などについて説明するということで、支援機関は就労パスポートの趣旨、メリット、作成、管理の主体等々、御本人が理解できるように丁寧に説明するということを記載しております。それから、就労パスポートをどのように活用したいか、御本人の意向を確認するということでございます。
「6-2 支援機関でのアセスメント・支援を活用して作成」ということで、3点記載しております。1点目は、御本人の気づきを促して深めるための支援ということで、御本人の気づき・理解に基づいて就労パスポートを主体的に作成していけるように、支援者は御本人の気づきを促す、あるいは気づきを深めるための支援を行うということでございます。
2点目としまして、実際の体験や支援者などの意見をもとにして、就労パスポートの内容についての客観性を高めることが大切であることを記載しています。
3点目でございますが、御本人が記載を望まない項目は無記載でもよいということ。ただし、その場合には、記載を望まない項目について御本人が何を納得されていないのかなどにつきまして、支援者の方が可能な範囲でその理由を把握しておくのがよいのではないかと整理しております。
次に「6-3 さらなる取組の実施、実施結果のふり返り、就労パスポートの更新」について記載しております。就労パスポートの更新時のやりとりにつきましては、御本人から更新の希望があった場合、あるいは周囲が更新の必要性を感じた場合に、御本人と話し合って就労パスポートの更新を支援機関が支援するといったことになるかと思います。
更新した就労パスポート、また更新前の就労パスポートそれぞれの取り扱いにつきましては、更新版の写しを支援者や企業と共有するかどうか、また、更新前の写しを支援者や企業に渡していた場合には、更新版のみ保管・共有して、更新前の写しは回収・廃棄するのか、あるいは更新版と更新前の写しを両方とも保管・共有するかについては、御本人の意向によるということで整理しております。
次に、4ページ目でございますけれども、「7 作成した就労パスポートの活用例」を記載することとしております。こちらにつきましては、来年度の就労パスポート試行後のガイドラインでは活用事例を記載したいと考えておりますが、現段階では就労パスポートを活用する際の留意点としまして、就職活動段階と就職してから職場定着をする段階に分けて活用例を記載しております。
最後に「8 Q&A」ということで3問ございますけれども、作成した就労パスポートを就職前に企業に見せると、採否の検討において不利にならないか。また、障害を開示せずに就職したい人から、企業への提示は考えていないが就労パスポートは作成したいという希望が挙げられたときにどう対応したらいいか。また、支援機関のサポートを受けなくても自分1人で就労パスポートを作成できるという方には、どのように対応すればいいかという3つの問に対する答えを掲載しております。
このほか「9 添付資料」といたしましては、就労パスポートの様式を掲載するとともに、本日の検討会ではまだお出しできておりませんが、今後、御本人向けの案内リーフレット、あるいはもう少し厚めの記載の手引きのようなものを作成しようと考えておりますので、それを添付したいと考えています。また、情報取得と情報共有に関する同意書のモデル例についても掲載を考えているところでございます。
以上が、資料2-1「支援機関向け就労パスポート活用ガイドライン(素案)概要」の説明でございます。
次に、資料2-2「企業向け就労パスポート活用ガイドライン(素案)概要」を御覧いただきたいと思います。支援機関向けのガイドライン素案におきましては、御本人の就労パスポートの作成を支援機関が支援する役割がございましたので、作成支援の流れも掲載しているところでございますが、企業向けの活用ガイドライン素案におきましては、主に就労パスポートの活用面に重点を置いた記載としております。
まず「はじめに」から「1 目的」、「2 利活用のメリット」、「3 構成、記載内容」につきましては、支援機関向けのガイドラインの内容から、企業向けに修正して抜粋しているといった形でつくっております。
次に、2ページ目を御覧いただきたいと思います。「4 提供された就労パスポートの活用例」を記載しておりますが、特に企業の場合には、就職後に就労パスポートを更新するケースが考えられますので、「4-2 採用時~雇用継続段階」で更新時の流れと留意点について記載しております。
まず、就労パスポートの更新時のやりとりということで、御本人から更新の希望があった場合、あるいは周囲が更新の必要性を感じた場合の、話し合いにおける基本的視点を掲載しております。
次に、就労パスポートの更新時の留意点でございますが、まずは御本人の実感や納得感を尊重するということ。それから、御本人が記載を望まない項目は無記載でもよい旨、記載しているところでございます。
最後に、更新した就労パスポート、更新前の就労パスポートそれぞれの取り扱いにつきましては、先ほど支援機関向けガイドライン素案のところで御紹介したとおりでございますけれども、更新版の写しを企業と共有するかどうか、あるいは更新前の写しを企業に渡していた場合に、更新版のみ保管・共有するのか、あるいは両方とも保管・共有するのかについては、御本人の意向によるということで整理しております。
次に「5 利活用上の留意点」でございます。こちらも支援機関向けガイドライン素案に記載したものと共通しているところでございますけれども、採用の可否の判断に用いるものではないということや、他の就労支援策と組み合わせて活用するということ、そして、適切な情報管理・情報共有のための留意点につきまして、支援機関向けのガイドラインの内容に沿った形で記載しているところでございます。
添付資料といたしましても、就労パスポートの様式と情報取得・情報共有に関する同意書を掲載するということで考えているところでございます。
以上でございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。支援機関向け就労パスポート活用ガイドライン、それから、企業向け就労パスポート活用ガイドライン、それぞれの素案の概要ということで基本的な考え方と枠組みを御説明いただきました。
それでは、ただいまの事務局の御説明を踏まえまして、就労パスポートの記載項目と指標の改訂案及び活用ガイドラインの素案について、それぞれ委員の皆様方から御意見をちょうだいしたいと思います。
先ほど2つが関連すると申し上げたとおりなのですけれども、一応便宜的に最初の議題であります就労パスポートの記載項目と指標の改訂案を中心にまず御意見をちょうだいして、その後、活用ガイドラインについて進めてまいりたいと思います。
それでは、議題1にありました記載項目と指標の改訂案につきまして、委員の皆様からどうぞ御意見・御質問をいただければと思います。
では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 この中で何度か「既存の支援ツールを代替するものではない」と出てきていますが、どういう位置づけで就労パスポートを使うのか。というのは、私もいろいろ調べてみたら、ほかのところでもいろいろなツールが使われているという話を伺いまして、そうすると、現在つくられようとしているものは、どういう位置づけになるのか。まとめて一本にするのか、あるいは、今までどおり、複数ある中の一つなのか、どういう扱いを考えていらっしゃるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。関連する御意見はありますか。
中川委員、お願いします。
○中川委員 今の栗原委員の意見に関連したことで、前回の委員会でも発言させていただいたのですが、現在、情報共有シートやK-STEP、SPISという、いわゆる病状管理をしてうまく就労が継続できることに資するいろいろな指標が、今いろいろなところで使われ出したばかりなのです。この前、私がある就労支援機関に行ったときに、そういうものにやっと慣れてきたのに、さらにまた就労パスポートをつくるのですかと聞かれました。基本的に違うものなのですが、現場はかなり混乱しております。就労パスポートだけで言えば、他のツールとの関連をわざわざ説明することはないと思うのですが、現場サイドに立つとそういう整理はどうしても必要になってくると思います。一応、私の整理としては、いわゆるケアマネジメントなどで言いますと、就労パスポートはアセスメントになります。情報共有シートなどは、日々体調を管理しながら就労を続けていくというところで、いわゆるモニタリングになります。そのあたりの違いについてはっきり書かないと、「また同じもの」という反応が返ってくると考えます。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
この点については、事務局からいかがですか。
○地域就労支援室長 御意見いただきました支援ツールなのですけれども、確かに今いろいろな支援機関で支援ツールが使われている現状については認識しております。ただ、いろいろな支援機関が増えてきておりますので、これからどういうツールを使って支援をしようかと考えていらっしゃる支援機関におかれましては、ぜひこの就労パスポートを使っていただければというのがあるのですが、現在既に支援ツールを自ら使っている機関におかれましては、それをやめて就労パスポートに変えてくださいとまでは申し上げられないと思います。ただ、情報を受け取る側の企業や情報を共有する支援機関を考えますと、共通の支援ツールのほうがわかりやすいということもございますので、支援ツールの中身につきまして、この就労パスポートの様式に内容を移していただき、そのうえで支援機関同士あるいは企業に対して共有できるような様式として使っていただくことができればいいのではないかと考えているところでございます。
そういう意味では、中川委員からの御指摘にもございましたけれども、こちらの就労パスポートの趣旨やどう使っていきたいか、内容の書き方につきましては、就労パスポートの作成を手伝っていただく支援機関の方、また、御活用いただきたい企業の方それぞれにしっかりと説明をしていく必要があると考えておりますので、来年度、様式が固まってから説明会をきちんと全国で行っていきたいと考えております。
○朝日座長 両委員、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
ということは、共通の支援ツールなのか、あるいは既存の支援ツールにとってかわるものなのか、それぞれの地域や機関、御本人の置かれた状況の中で活用が選ばれていくということだと思いますけれども、両委員からの御意見のベースになっているのは、これまでの支援ツールと何が違って、何を目指すものか、それこそ誰もが共通して理解できるような説明ぶりがきっと求められるのだろうと感じました。
ほかにはいかがでしょうか。倉知委員、お願いします。
○倉知委員 私の理解では、これは企業に対して、精神障害のある方がわかりやすい自己紹介書かなと思っています。要するに、企業とマッチングするときに使うものと理解しているのですが、そこが多分今までの支援ツールと少し違うと理解していますが、事務局としてはどうなのでしょうか。
○地域就労支援室長 ガイドラインのところでも御説明したのですが、まさに倉知委員がおっしゃいますようにマッチングのときにも使うと思うのですが、私どもで想定しているのは、職場実習前や採用面接時などの採用前に加えまして、採用時あるいは雇用継続段階の職場定着時にもあわせて使っていく支援ツールということで考えております。そういう意味では一度作成した就労パスポートにつきましても、実際に御本人が就職した後、職場で働く中で変わっていく部分については更新していくといったことで考えておりますし、また、転職した場合にはそれも御本人の希望があればということですけれども、引き続き新しい職場でも提示して、職場定着に役立てていくというように考えております。
○朝日座長 倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 雇用した後は企業と障害のある方が一緒にいるわけですから、情報共有というのはそんなに難しくなく日常的にできるものではないかと。それを具体的に理解する意味で、こういうものがあったいいのかなという気はするのですけれども、むしろ転職するときや、新たに職場実習をするときに企業の方にわかってもらうとか、メインとしては企業の方にちゃんとわかってもらう、御本人自身のことを知ってもらうということが一番大きいのかなと思うのですが。
○地域就労支援室長 そのあたりも実際、来年度試行実施する中で、「こういうときに使うのがいいですね」といった企業や支援機関、御本人の御意見をぜひ伺いまして、その先の活用の仕方の参考にしていきたいと思っています。
○朝日座長 成澤委員、お願いします。
○成澤委員 良品計画の成澤です。
今のお話を伺いまして、企業にとっては今までの情報共有シートと違うところは、何よりも御本人が自分で書いて、そこに支援機関の担当者が支援しながら作成するというところがすごく大きなポイントだと思っております。面接のときに御本人が大量の自己紹介文を書いてくることがありますけれども、そこには第三者的な視点が書かれていないことがありますので、こういった就労パスポートがあると支援機関の人もかかわって書いてくれたということがわかるので、企業にとってはとても安心でもありますし、職場定着につなげるためには、この就労パスポートは既存のものとは大きく違うと私はとらえております。
○朝日座長 ありがとうございます。
倉知委員からは、第1回検討会で「就労パスポート」ではなくて「自己紹介書」のような名称のほうが、目的に合致するのではないかという御意見もありました。この検討会は「就労パスポートの検討会」で始まっておりますので、当然この名称で全ての資料が統一されているわけですけれども、今お話がありました、そもそもの既存ツールと何が違うか、何を目的としているのか、このあたりをさらに今いただいた御意見も踏まえて詰めていただけるとよいのではないかと思いました。
ほかに、今そもそも論のところで御意見をちょうだいしましたけれども、記載項目と指標の改訂案の部分については、いかがでしょうか。眞保委員から御指摘いただきました、時間経過とともに少し振り返りをするような項目も挿入する御提案がありましたけれども、そのあたりも含めまして御意見をちょうだいできればと思います。いかがでしょうか。
高橋委員、お願いします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。
前回、私が確認させていただいた、就労パスポートの対象である「精神障害者等」の「等」はどの方かについて、精神障害、発達障害、高次脳機能障害のある方たちが主で、ほかの障害の方も活用可能と整理していただいたので、前回よりは理解が進みました。ただ、主な方たちの中でも、情報の整理が苦手な方たちも結構いらっしゃるのではないかという見方をすると、ガイドラインに就労パスポートの書き方の例なども書いていただいていますが、文章で回答する項目が多く、就労パスポートの対象者にとって記述が難しいと考えられます。私自身も支援を直接しておりますので、御本人が就労パスポートを書くにしても、支援機関が作成支援を行うとしても、就労パスポートを活用するにはハードルが高いという印象を持っていますので、対象者についてもう少し整理が必要ではないかと思っています。
また、ほかの障害の方たちも活用可能ということであれば、例えば、前回御確認させていただいたように、知的障害のある方ならなおさら作成が難しくなる場合もありますので、次の段階でというようなことも大きくスケジュールとしてとらえておくと、御本人たちにとって安心感があるのではないかと思います。
2つ目は、活用という点においては皆さんが発言されているとおり、複数の支援ツールを使うとなることで、現場が「何個もつくらなければいけない」というような負担を感じてしまうことのないように、就労パスポートの目的の整理というのは非常に重要と考えます。就労パスポートは更新なども行うということであれば、就労パスポートの対象者を受け入れる企業の視点が重要な観点になってくると思います。せっかく作成するのであれば有効に使っていただくというのが非常に大事だと思っています。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
高橋委員がおっしゃったハードルの高さというのは、様式で見ると、それぞれの項目なのか、あるいは項目に対する回答の部分、例えば、自由記述が多いとか、チェックマークの数が多いのか少ないのかわかりませんけれども、そういうことなのか、それらを両方含めた様式全体のハードルの高さなのか、このあたりはいかがですか。
○高橋委員 今、幾つか挙げていただいたものがそのままなのですけれども、自由記述については書かなくてもいいところは書かなくてもいいという説明がありますので、あってもよいと思います。ただ、一つひとつの項目、例えば、「他者との共同作業」の欄に選択肢が4つ書いてありますが、文字が多いと結構情報が多く見えるので、全ての文末に書いてある「対応できる」をうまくカットするというやり方だけでも選択しやすくなると見ております。
そのほかにも、ガイドラインにある記入例などを見ると、文章で書かれているものが多分にあり、文章を書くにも難しいのではないかととらえていますので、朝日先生がおっしゃったようなことを全て感じております。
○朝日座長 ありがとうございます。
例えば、「休憩のとり方」で特に希望がなければ、そこにわざわざチェックしなくても、希望があるところだけを、その他を含めて書いてもらえばよいということですよね。
○高橋委員 そうですね。
○朝日座長 ほかにいかがでしょうか。では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 前回も同じことを聞いたのですけれども、項目をずっと見ていますと、障害のある方が対象になっているわけですから、障害者手帳を持たれている方が対象にならないとあまり意味がないと思うのですが、いかがでしょうか。障害者手帳をお持ちではない方も就労パスポートにかかわるとなれば、障害者手帳の代替になればなおいいと、この前お話ししましたけれども、そうしないと企業としても、障害者手帳はお持ちでないけれども、就労パスポートを見てこういう配慮をしてほしいというような話になるわけで、就労というのが難しくなるのではないかと。例えば、就労パスポートを出さなくてもいいという話になっていますが、出さないと余計後で問題が発生するのではないかという気がしております。
○朝日座長 このあたりについては、事務局いかがですか。
○地域就労支援室長 いろいろと難しい御質問だったとは思うのですけれども、栗原委員も御承知のとおり、今回の就労パスポートについては障害者手帳所持者のみということではなくて、広く精神障害のある方を中心に対象とさせていただくものでございます。就職するに当たってその方のセールスポイントもそうですけれども、このような配慮をしていただければ働けますといった情報を提供していただくことによって、企業の方がその方の採用を考えるに当たっても、その後の職場定着をどうしていくかというのがイメージしやすくなるのではないかといったことで、第一歩として作成を考えているものでございます。実際に運用が始まる中でいろいろと課題も出てくると思いますので、それぞれ検討してまいりたいと思いますが、いずれにしても、この就労パスポートをつくることによって1人でも多くの精神障害のある方が安心して働けることに少しでも寄与すればいいなという思いで、まずはつくってみたいと考えているところでございます。
○朝日座長 栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 例えば、今、民間企業の法定雇用率が2.2%、平成33年4月より前に2.3%に上がるという話もありますし、要は50人以上の会社は障害のある方を雇用しなければいけないという義務も出てまいります。そうしますと、そういう段階において、せっかくつくる就労パスポートがうまく生きないのは非常にもったいないという危惧がありまして、そういう言い方を何度もさせていただいているわけです。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
前回も話題になりましたように、就労パスポートを障害者雇用率のカウントに直接用いるというところでは、やや次元が違う部分があるということだと思うのですけれども、その一方で、具体的にこういう作業を通して、障害のある御本人は自分の状況に直面し、また、企業さんとしては、その方を雇用したり、継続して雇用していくための課題を明らかにしていく。そのやりとりの中で、障害者手帳を持っていない方が障害者手帳を取得して、支援を活用しながら働くことが望ましいのではないかということになると、そういう動きにもなるかもしれない。そういう意味では、直接的な結果としてはなかなかすぐにあらわれにくい部分かもしれませんけれども、現実の仕事をする場面で何が課題かを御本人も確認し、職場もそれを理解していく。そのための一つのツールかと理解しております。
ほかにはいかがでしょうか。高橋委員、お願いします。
○高橋委員 今の栗原委員のご発言と類似していますが、1人でも多くの方のマッチングや職場定着という趣旨でとらえて、御本人の気づきからすると、例えば、自己紹介書などであれば、コミュニケーションツールとして前向きにとらえた場合、書きたいところは書くし、書きたくないところは書かないという選択肢もあるのであれば、欄としてはあってもいい項目もあるのではないかと思います。例えば、定着支援が進まない要因の1つに環境要因があるとすると、御家族との関係や実はここに書かれていないことも影響が大きい場合があると思います。仮に御本人がこれに近い状況にあって、御本人が他者に理解してほしいのだという場合にチェック項目ぐらいあると、コミュニケーションツールということで、それに関して関係者が話題を膨らませるという活用の仕方があると思います。私も支援をしている中で環境要因が結構大きいと感じる場合があるので、項目によっては、全員が共通して理解して、かつ、御本人が伝えたいという場合はあってもよいかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
関連する御発言、倉知委員、お願いします。
○倉知委員 私は、項目的にはすごくすっきりしていて、これ以上増えたら書きづらくなるかと思いますし、これ以上減ったらわからなくなってしまうので、ちょうどいい量かなと思っています。
ただ、先ほど朝日座長がおっしゃったように、名称だけはあまり賛成していません。要するにこの名称だと目的が何かわからなくなってしまうのかなと思っています。
もう一つ、眞保委員の御意見は、私自身は活用の必要性は感じていないのですけれども、必要な人が使うのであれば、これぐらいの量ならあってもいいのかなと思いました。
○朝日座長 ありがとうございます。
成澤委員、お願いします。
○成澤委員 様式について、項目は今、倉知委員がおっしゃっていたようにすごくすっきりしているのですけれども、企業としてこれだけは追加してもらいたいことがあります。就労パスポートは、御本人が書き、支援機関の人がそれを助けるというものなので、支援機関の人のコメントが1行でもあるとよいと思っています。最後のところに「参考:支援機関」という欄がありますけれども、就労パスポートをつくったときに、どなたが支援して一緒に書いたのかということが一言あれば、企業としてはその支援機関の人と連絡・連携がとれるということがあるので、そういった記載ができるとよいと感じております。
○朝日座長 ありがとうございます。
では、中川委員、お願いします。
○中川委員 まず、細かい点なのですが、就労パスポートの「3 体調管理と希望する働き方」の中に「通院のための休暇」という欄があります。これは、就職前だと休暇が必要かどうか判断できない。例えば、就職するときに週4日勤務を希望しても、勤務する曜日がまだ決まっていないという段階では、休暇が必要かどうかがわかりませんので、まずは、通院をしているか、していないかが項目としてあって、通院している場合は曜日や頻度、時間帯を書くようにしたほうが、むしろ現実的かなと思います。
それと、眞保委員から追加のモニタリングのとして、就職後1、3、6か月後の振り返り欄について提案がありました。これは非常にいい欄だと思います。多分ここに記載することが増えてきたということは、就職のときと状況が変わってきたことになり、就労パスポートの更新作業に入っていくのではないかと思います。
それから、ガイドライン素案の概要の2ページ目に「4-1 説明と同意」という言葉があります。もちろんこれは大切なインフォームド・コンセントですが、言葉として少し古くなっているというか、かたいという感じがいたします。今、精神科では「共同意思決定」という、支援者と当事者の方がお互いに話し合って、共通の場に同意した合意をつくっていこうという言葉がむしろ一般的になっています。インフォームド・コンセントは「説明をし、同意してもらう」という一方向的な感じがあります。むしろお互いに共同して、どこまでその情報を共有するのかということを決めていくという意味では、そういう言葉を使ってもいいのかなと思いました。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 そもそも論になってしまうと思うのですけれども、就労パスポートは、対象となる障害のある方、企業の方、支援機関の方との共通ツールのようなものであり、御本人と相互理解するためのツールでもあるため、ちょうどその中間点に位置しているツールかと思います。なおかつ、どちらかというと御本人の方に少し振れているというツールとして考えると、企業側からはもう少し書き込んでほしいという意見もあるかもしれないし、支援機関側からはもう少し簡単にしてほしいという意見もあるかもしれません。立場によっていろいろな意見があるというのは、先ほどからお話しを聞いていて思ったのですけれども、内容的にはこれで良いのではないかと思います。難しくて書きづらい項目があるならば、語彙を少し変えてわかりやくする。また、御本人が書きたくなければ書かないということで良いのではないかと思っています。私は、就労パスポートがこの3つの関係者の中間点に位置するものであるととらえています。
それから、眞保委員が提案された振り返りの欄は、大事なことではないかと思っています。企業の御担当者や上司の方との面談や、そこに支援機関の方も関わっていくことで、御本人の自己理解や意識づけも変わってくるということを考えると、やはり振り返りの欄はあったほうがいいのかと思っています。
あとは、倉知委員のおっしゃるとおり、私も就労パスポートという名称にはまだまだ違和感があると感じているところです。
以上です。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
では、小幡委員、お願いします。
○小幡委員 全国精神保健福祉会連合会の小幡です。
就労パスポートは御本人が書いていくということが明確になっている中で、御本人の気づきとかもあるのですけれども、私としては御本人がリカバリーをしていく過程の中でここが位置づけられているのだというとらえ方がちゃんとできると。企業とマッチングするためだけではなくて、自分が働いていく姿をどうとらえ直すかという部分が重要になってくると思うので、名称についてはリカバリーファイルのようなイメージです。ただ、佐保委員がおっしゃったように、項目についてはいろいろなバランスを考えて、何を取捨選択するかを考えていくと、本当にまとまりがなくなっていくかなと思います。また、今の時代にこれを紙媒体でやるのかといったら、そうでもないと思いますので、作成していくときに必要な項目だけがちゃんと取捨選択できるようになって、自分が選ばなかった項目については出てこないということもしていけば書きやすくなると思います。あとは、眞保委員から提案された形式がこれで決まりというわけではないと思いますけれども、例えば、振り返りをするときに参照する項目が4-1-2とかではなく、全部A、B、C、D、Eというようにわかりやすくしておいて、それを書けば読み込まなくてもわかるという工夫はあったほうがいいかなと思っています。
ただし、導入の部分では、倉知委員や中川委員がおっしゃっているように、最初はマッチングのウエートが相当大きいと思います。このときに企業さんにとってもほかのツールとの差というか、メリットが明らかでなければ埋没していってしまうのかなと。もちろん定着の部分を見据えていますといっても、定着段階での課題は就職後にいろいろな経験を積む中で見えてくることだと思います。定着に関することは眞保委員から提案された振り返り欄がありますが、もう少しマッチングの部分について整理がかなうのであれば整理していくとよいと思います。
あとは、成澤委員も言われましたけれども、私もさっき言ったリカバリーをしていくときに、もちろん自分自身でつくっていくということが前提でありながらも、どういう方と相談し、どういう背景を知っている方と情報共有できてきたのかというのは、情報を整理していく中でも必要だと思います。たとえは違いますけれども、ずっと見てくれていた精神科医が書いてくれた診断書と、診断書を書いてもらうためだけに行った精神科医が書いた診断書では、おのずと信憑性も変わってくるのと一緒で、就労パスポートの作成を支援した人は、ハローワークに行ってたまたま窓口となった人なのか、これまでその方の積み重ねや背景を一定程度わかっている人なのかが、記載するかどうかは別としても伝わるような内容はあったほうがいいのかなとは感じます。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
本日は御欠席ですけれども、清家委員からは今のお話にも関連して、支援が前提となって今こういうことができている、あるいは課題であるという表現が大事ではないかという御指摘もありました。
先ほど来、今の様式で言うと4ページの「参考:支援機関」というところですけれども、就労パスポートを三者がバランスよく共通ツールとして使うということが前提になりますが、先ほど支援機関の方が1行くらいコメントをという御意見もありました。そのあたりが御本人のリカバリーにとってどういう意味を持つか。それが企業とのマッチングやその後の定着においてどのように生きてくるのか。例えば、仮にネガティブなことだけがずっと残って、それが自己紹介としていつもついてくるとなると、それは変えていけばいいのかもしれませんけれども、このあたりの項目と三者が共通して使うというところをどういう方向に持っていくかというのが、今お出しいただいた意見の集約になるのかなと思います。
支援機関として何かコメントを書くことの可否やそのあたりの使い勝手について、吉岡委員か宇佐見委員に、もし何か御意見があれば伺いたいと思います。
○吉岡委員 東京障害者職業センター多摩支所の吉岡です。
支援機関と御本人と企業で共有するという中で、私もいろいろなことを想定しながら皆様のお話を聞いていました。例えば、この就労パスポートを作成するという目的で初めて支援機関を訪れた方と、これまで長きにわたって就労支援を継続して、苦しいときも、つらいときも常に支援をしながら続けてきたという状況において就労パスポートをつくるときなどです。御本人と支援機関との関係性がまだ浅い場合は、内容について十分に保証が、そもそも保証するものでもないのかもしれませんけれども、支援機関が客観性などをきちんと認識したうえで作成を支援したかどうかについては、多少自信のないケースも出てくるかなと思いながらお聞きしていました。
支援機関名や担当者を書くことは、連絡先として機能するという趣旨としてよくわかるのですけれども、支援機関がここに書くことで何かを保証するような点については注意が必要なのかなと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
宇佐見委員は、ハローワークのお立場で何かございますか。
○宇佐見委員 ハローワーク松戸の宇佐見です。
ハローワークとしては、支援機関として就労パスポートを作成する立場と、ほかの支援機関さんがつくられた就労パスポートをもとにマッチングに向けて職業紹介するという2つの立場が考えられますが、今の段階で予想できるのは圧倒的に後者だと思います。お一人お一人の方に深く寄り添い支援してこの就労パスポートをつくるとなると、現状で対応できるのは、おそらく精神障害者雇用トータルサポーターや発達障害者雇用トータルサポーターになると思います。
あと、ハローワークにいらっしゃる方は、1~2回の窓口の御利用で求人応募する方が圧倒的に多いので、そこまでの浅いかかわりで支援機関がコメントを残すとなるとなかなか難しいと思います。また、トータルサポーターが支援している方についても、御本人の同意が得られて記載する内容ならいいのですけれども、例えば、これまでのあっせんした職場でのトラブルや、他の支援機関や医療機関からいただいた情報など、本来伝えるべきものではあるのですけれども、御本人の同意を得られないものは当然書けません。その不十分な状況で果たして責任を持った就労パスポートと言えるかどうかとなるとなかなか難しいので、御本人が記載するという原則のほうがよいのかなと感じております。
○朝日座長 ありがとうございました。
ほかに記載項目と指標の改訂案につきまして何かございますか。では、眞保委員、お願いします。
○眞保委員 法政大学の眞保です。 前回の会議で、全国の環境を見た場合、どちらかというと最初の第一歩、マッチングの部分が非常に重要なので、そこにウエートを置いたほうがいいという意見を申し上げたと思います。一方で、改訂していくという原則がガイドラインにございました。先ほどリカバリーというお話があったのですけれども、障害の有無にかかわらず、仕事という場面では人は成長して変わっていくというのが、私がこれまで見てきた実感です。今後フォーマットに関しては御意見をいただきながら、試行しながら変えていいただければいいと思うのですけれども、ある程度経過も見るという趣旨があるならば、成長して変わっていくということをご本人も期待しつつ振り返られる仕掛けをシートの中には入れておく必要があるのではないかと思っています。
私自身が今、支援を実践する中で、私がつくったシートでは、支援機関と三者で話したコメントを入れるような形になっています。ただ、それは今お話がたくさん出ましたように、かかわりがずっとある中で支援をし作成しているシートという前提です。就労パスポートの場合は全国でハローワークも使っていくということなのですけれども、今のハローワークの状況を考えますと、本当にいろいろな方が来ていて、私どものところでもハローワークさんから支援を依頼されます。要するに、支援機関をまだ利用されていない方や、病院から退院されて御自身で療養されてきた方等がハローワークにいらっしゃった場合、何か御自身を振り返るきっかけやツールがないと、ハローワークとしても支援の入り口がないというのが現状です。
たくさん支援が入っていたり、支援機関があったり、企業さんも精神障害の方に理解がある地域でしたらいいのですけれども、まだ本当に第一歩という場合は、就労パスポートを示すことで、精神障害の方と働くうえではこういうことに配慮が必要だとか、まず項目を学ぶというところからもすごく必要な部分があると思います。手厚い支援を受けてとか、手厚い配慮が行われている企業で使うといった前提を抜きに、本当に第一歩からという視点も必要ではないかと思っています。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
振り返りますと、そもそもの既存ツールとの違いや、活用方法などについて、根本的な御意見もいただきましたけれども、事務局から御提案いただきました記載項目と指標の改訂については、細かい表現の工夫、さらなるわかりやすさといったものは必要だということを前提にしながらも、基本的には次の試行に向けていくたたき台としては、こういう項目構成でよろしいのではないかという理解をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
これできょう決まりというわけではありませんので、次の試行に向けた記載項目と指標の改訂案について確認させていただきました。
また、眞保委員からも御発言いただきましたが、振り返り部分もまだ様式はさらなる工夫をしていただくかもしれませんけれども、それを含めて、特に最初の段階のツールとしての有効性を高めていくということで理解させていただきたいと思います。
それでは、時間の関係もありますので、次にガイドラインの案を中心に御意見をいただければと思います。もちろん今御議論いただいた部分も関連がありますので、多少行きつ戻りつでも結構かと思いますが、一応ガイドラインに焦点を当てて御意見・御質問をいただければと思います。
では、宇佐見委員、お願いします。
○宇佐見委員 先ほども少し触れましたけれども、ハローワークで求人のマッチングや情報提供で活用することが多くなりそうだという考えの話になります。様式はこのままでよろしいのですが、「1 職務経験」についてです。ハローワークで求人情報を検索してあっせんする際に、その方の過去の就労状況などの情報があると助かります。例えば、障害が発生した後に就職していたとき、もしくは支援機関に通所していたときに、どのくらいの時間を通勤や通所にかけていたのか、働いていた時間、訓練を受けていた時間が一日何時間で週何回通われていたのか、その辺の情報があると、求人をあっせんする際、例えば、松戸から都内まで満員電車の通勤が大丈夫なのかというところで、都内の支援機関に通っていたら、その辺は少し安心してあっせんできます。フルタイム勤務を希望している方について、これまではパートとか支援機関の訓練も短時間で、しかも時々休みもあったなどという情報があると、そこは少し考え直して支援機関ともう一度相談してくださいということもできますので、記載要領で少しその辺も触れるとか、記入例に加えていただければと考えております。
○朝日座長 ありがとうございます。
具体的な就労パスポート案の項目で言うと、「1 職務経験」のところですか。職務経験で受障前のものも含み、その期間を入れてということでしょうか。
○宇佐見委員 受障後だけで大丈夫だと思います。受障後でどのくらいの就労や訓練の実績があったか。
○朝日座長 それが記載された就労パスポートを見ると、特に支援機関にとって大変役に立つということですね。そうすると、記載要領の「1 職務経験」のところは、資料でいうと9ページにありますけれども、記載例として「企業」「就労移行支援事業所」とありますが、そこの職務内容というよりは、通勤の状況や、就労移行支援事業を活用してきたときのもう少し詳しい状況がイメージできる記載要領だといいのではないかという御意見ですね。ありがとうございます。
では、眞保委員、お願いします。
○眞保委員 今のことに関連して、おっしゃることは非常に重要だということはわかるのですけれども、一方で書きぶりをちょっと注意する必要があるかと。精神障害のある方は職歴のところがなかなか書けなかったり、空白になってしまったり、そこのハードルをお持ちの方がいらっしゃるので、そういうことを前提として支援機関がうまく引き出せたりすればいいのですけれども、就労パスポートに書くかどうかというところが、会社にもよるし、非常に難しいところですね。お気持ちは非常によくわかるのですけれども。
あと、受障前は必要ないとおっしゃいますが、私どもは受障前も、例えば40歳とか50歳の方の場合は、実は20歳代のころにお勤めしていて、1つの会社でしっかりと働いてから病気になられた方もいらっしゃって、そういう方は社会人の基礎ができています。働く上で御本人の潜在能力であり、実はそこも重視しているのですけれども、書くかどうかというのもいろいろあろうかと思います。
ガイドラインは公開されますよね。
○朝日座長 もちろんそうです。
○眞保委員 ですから、マニュアルにするときに、そのあたりのことを取りこんで作成する必要があるのではないでしょうか。
○朝日座長 御本人が自分の状況について、自分の経過・経歴を振り返って、そこで記していくということと、支援機関がそこから何を読み取り、どのような支援をして具体的なマッチングや定着につなげていくか、この共同作業の部分が非常に大事だと。ただ、ガイドラインということで微妙なところは、そこまで明示してしまうと、全てそう書かなければいけないのではないかという例になってしまうと。本当はそうではなくて例なので、置かれた状況や御本人との関係性の中で規定されていけばよいのですけれども、ガイドラインで統一したものを出すと、とかく支援機関の中ではそういうふうに書かなくてはいけないのだと思うところがあるかもしれないという御懸念でございますね。重要性と実際のこれを活用するうえでの御懸念ということになろうかと思います。これはどちらがいいかの結論をきょう出すわけではありませんので、どんどん御意見をちょうだいできればと思います。
倉知委員、お願いします。
○倉知委員 先ほどまでの議論で、これがどう使われていくのかかなり共通理解できたと思うのですが、支援機関向けガイドラインの目的を見るとずれてくるような気がするのです。支援機関同士が共通理解をするために使うと目的にはあるように見えていて、利活用のメリットはすごくわかりやすく書いてあるのですが、目的を見ると、支援機関同士が一定のルールで情報共有することが重要だと書いてあるので、目的はもっと違うのかなと思ったのです。このあたりはいかがでしょうか。
○朝日座長 では、これは事務局からお願いします。
倉知委員からの御発言は、要は、ガイドラインを見ると支援機関同士で共有するような感じになってしまう。特に御本人が主体でつくっていくので、それに向き合うときに支援機関としてはどういう支援や助言ができるかが主軸になるべきではないかと。その先の支援機関間の情報共有みたいなところが出過ぎてしまっているのではないかということですよね。
○倉知委員 目的の1-1がまさにそうなっているので、ちょっと気になりました。
○朝日座長 いかがでしょうか。
○地域支援就労室長 御指摘ありがとうございます。1-1の前にまず、御本人と支援機関との関係があると思います。これだと確かに支援機関同士の情報共有と読めてしまうので、このあたりは次回に書き方を工夫したいと思います。
○朝日座長 吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 2点、事務局に確認させていただければと思います。資料2-3の4ページ、「3-2 作成と活用の主体」に、「作成の主体は障害者本人で、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所等の就労支援機関の担当者が支援しながら作成します。」とありますけれども、私ども地域障害者職業センターも、実際にナビゲーションブック等の作成の支援を行っていますので、就労パスポートの作成支援もできますということを御確認いただければというのが1点です。
もう1点確認したいのですけれども、就労パスポートを作成するのは御本人で、資料2-3の6ページには「就労の可否の判断に用いるものではない」と書いてあります。御本人が主体で就労パスポートをつくるときに、情報をどこまで書こうかと悩んでいる方については、「就労の可否には使いません」ということが書かれていれば非常に作成しやすくなるというのがある反面、事業主向けに内容をどう担保していくのかというのが非常に気になるところです。事務局から、就労パスポートの趣旨等の説明会を今後全国で実施していきたいというお話もありましたけれども、実際、御本人が主体的に自分の情報をいろいろと開示することが、ひいては事業主にとっても非常にメリットのあるということをどう理解してもらうのかについて、現時点で何かお考えがあれば教えていただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
では、2点、事務局からお願いします。
○地域就労支援室長 1点目の、地域センターが就労パスポート作成の支援機関の中に入っていなかったことにつきましては、次回入れさせていただきます。
次に、6ページの就労の可否の判断のところでございますけれども、このあたりは確かに企業の方に使っていただくためには、「これをしてはいけません」というばかりではなく、「このようなメリットがあります」というところもあわせてお伝えしていかないと、なかなか使っていただけないかなということもございます。ですので、企業側の皆様がこの就労パスポートにどんなことを期待されているのかといった率直な御意見もよく聞いて、また御本人の意見ももちろんでございますけれども、お互いの就労パスポートに対するニーズをよく聞いて考えていきたいと思っております。
○朝日座長 吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 例えば、現状でも企業の皆様方に、いろいろと障害者雇用について御理解をいただける場というのが、例えば、障害者職業生活相談員資格認定講習や、精神・発達障害者しごとサポーター養成講座などがありますが、こういった場でも採用に関する話の中で、就労パスポートの考え方のようなところを自然な形で伝えられるのではないかと思いましたので、意見として挙げさせていただきます。
○朝日座長 ありがとうございます。
小幡委員、よろしくお願いします。
○小幡委員 今の2つのお話にも関連するかもしれないのですけれども、そもそも、もし御本人がこの就労パスポートを望まなかったときにはこうしましょうという部分も14ページに書いてあるかと思います。ただ、これを言ってしまうと何のための就労パスポートかというのはあると思うのですが、気づきやリカバリーを御本人がちゃんと自覚していくことを促すということであれば、就労パスポートをつくろうが、つくるまいが、この過程は1回経るということがあって、その結果、自分が望まないことは書かなくてもいいこともあるし、書いてもいいと。最終的にはつくったのだけれども、やはり使いたくないというときには使わなくてもいいことが選べるというようなガイドラインの流れにしていくことが、支援をしていく側にも必要かなと。そうでないと、就労パスポートをつくることがある意味説得的になってしまって、それがクリアできない人はこのマッチングやいろいろな振り返り、気づきについては支援できませんよというようにミスリードしてしまうことはないかなと少し思いました。
そういった意味では、例えば、障害者差別解消法などは障害当事者の方が意思表示したときに合理的配慮等について対応策がとれるようになっていますけれども、知的障害や精神障害のある方の中で自らそれを発信することがなかなかできない人は、正直なところ法の網からもれてしまう。そのときにこの就労パスポートでやりとりされた情報が、実は企業にとっても、その人に対する合理的配慮などを促す内容にもなるのだというようなものが伝われば、単純に履歴書や自己紹介状を書くのとは違って意味があるものになると思いますし、そういうものですよというメッセージが読み取れるような順番でガイドラインを書いていただいたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
この点につきましては、何かございますか。例えば、就労の可否というテーマにそれぞれ三者、すなわち、御本人、企業、支援機関が向き合っていくわけですけれども、そのときに就労の可否ということだけでひとり歩きしてしまうと、それぞれの立場に有利なように判断して進めがちになります。そうではなくて、例えば仕事をしていくうえでこういう課題があるとか、それを御本人が表出し、支援機関がそれにアドバイスをし、企業はそれに対してどういう配慮ができるか。三者がそれをツールとして建設的に向き合っていくことが非常に大事だと思います。
先ほどから私も気になっていたのは、御本人向けには案内リーフレット等記載事例をこれから御検討いただくということなのですけれども、この3つが同じスタンスで、今の就労の可否であれば、その問題に対して三者がきちんと記載の段階あるいは理解の段階で考え方を共有できるかどうかというのがすごく大事ということです。ですので、御本人がまさに自分のために活用していく手引きになる部分を御本人向けにそろえていただくことが大事で、それを3つ並べてみると、今御指摘の問題において、おのずとどういう対応が必要なのかがわかってくるのかなという感じがしました。
ほかにいかがでしょうか。では、中川委員、お願いします。
○中川委員 すみません、何回もこだわるようですが、2ページの「1-2 他の支援ツールや支援策との関係」について、ここを読んでもあまり具体的なことが書かれておらず、少しわかりにくくなっていると感じます。「そのようなツールによって把握された情報をより整理しやすくすることで」というところも、ちょっと違うと思うんです。そもそも目的が違うわけですから、目的の違いを書くべきだと思います。
それから、就労が定着するためには多機関が連携して支援するということが基本だと思いますが、医療機関との連携がここに全然出てこないわけです。非常に微妙な問題があります。というのは、医療機関に作成の中で何か役割を持たせるということは、医療機関にとっては過剰な負担になって反発があります。逆に、主治医が全然知らないところで支援者がつくり上げて、存在自体を知らなかったということになったら、それはそれで問題だと思います。障害と疾病が共存しているということですので、どこかで医療機関との相談や連携という言葉が1つぐらい出てくるといいかなと思いました。
以上でございます。
○朝日座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○成澤委員 ただいま、中川先生がおっしゃった医療機関の件ですけれども、精神障害の方は特に波があるので、入社した最初の頃は大丈夫でも、1~3年すると、やはり医療機関との連携というのはとても重要になってくると思います。就労パスポートに通院先の病院の名前まで書くことはよくないことなのかもれしませんけれども、御本人が書くことが別に問題がないのであれば、相談する機関の最後に「支援機関及び医療機関」欄があると、企業にとってとても役に立つと思います。
あとは、医師は今どのように就労に対して思っていますかというコメントなどを面接のときに結構聞いたりするので、そういったことが何かしらメインにはならなくても少し参考として欲しいと思いました。
○朝日座長 宇佐見委員どうぞ。
○宇佐見委員 全く同感で、ハローワーク松戸も医療機関との連携による就労支援モデル事業を実施していて、今、5医療機関と連携しているのですが、積極的にかかわっていただけたところもあれば、最初はすごく嫌がられながら協定を結んだというケースもあるのですけれども、結果的には積極的に就職支援していただけるようになっています。私も医療機関を訪問すると、デイケアを利用されている方はすごく若い方が多くて、そこは医療機関のほうも病気を治すだけではなくて、就職までつなげるのが今求められているものという認識があるかと思います。
それと、医療機関の中でも積極的なところは、仕事終わりで何か困り事とかあったらデイケアに寄ってくださいと積極的に声をかけているみたいですので、支援機関の欄や同意書に医療機関を記入していただくのは、できれば必須ぐらいの感じだと思います。そこで、企業さんが御本人の何か調子が悪そうな状況を感じたら、支援機関に問い合わせをして、支援機関が医療機関に確認するという方法もあるのですけれども、企業さんから直に医療機関に問い合わせる体制や、もしくは医療機関が、仕事が終わってナイトケアにいらっしゃって何か調子が悪いなと思ったら、直接企業さんに様子を問い合わせるぐらいの関係性ができると、すごくスピーディーな対応ができるのかなと感じております。
○朝日座長 ありがとうございました。医療機関の関係に関しての御意見が続きました。
ほかにはいかがでしょうか。高橋委員、お願いします。
○高橋委員 もともと就労ということがテーマかもしれませんが、もう少し広く就労パスポートの目的を考えると、御本人らしく生きるというところにベースがあった上で働くということになりますから、そういったところも含めて関係機関が御本人を真ん中に連携して、支援していく、寄り添っていくというのが大前提というとらえ方をして、この後意見を述べさせていただきたいと思います。
私どもも先ほど中川委員が発言されたように、福祉の支援機関としては、例えば、障害者総合支援法から成るさまざまな事業というのは、現在、御本人の意思決定支援というのが非常に重要であるという考え方がもともとあり、寄り添っていくというところが大前提にあるので、支援機関のガイドラインの大前提にもともとありますよというニュアンスもあっていいのではないかと思います。
また、清家委員が所属されている就業・生活支援センター等のいろいろな事業所などとどうやっていこうかというのは、例えば、就労定着支援事業などもこういった機能としては御本人を真ん中にした連携が必要であり、現在連携している医療機関もそうですけれども、東京都の社会保険労務士会が現在、連携をとって勉強会などを実施しています。そうすると、例えば、御本人を真ん中に書かれたツールから人と人がハブになり、連携を生むきっかけがこのツールになるかもしれません。したがって、信頼関係から成る人が文脈も御本人の思いも読みとって連携していく、つなげていくというような理念みたいなものがガイドラインのトップにあると、就労パスポートを実際に活用する場面では、各支援機関が御本人の思いを共有することで連携につながり、結果的には目指す御本人らしく生きていくというところを支える役が生まれてくると考えます。したがって、生活も支える人たちも含めて支援者が連携するような理念を打ち出していただけると、ガイドラインはよりいいかなと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
さらにいかがでしょうか。今の部分は、関係機関が連携しましょうというだけではなくて、この就労パスポートを真ん中に置いたときに、実際にその連携がどのような形で展開していくか、展開していってほしいか、そういう理念的なところも含めて、きちんと最初に位置づけるべきではないかということだと思います。
そうなると、就労パスポートは御本人を真ん中にしながら、今度、自分が置かれた状況に連携していく1人のチームメンバーとして御本人は何をするのですかというところも、就労パスポートの活用を考えていくうえでは大事な要素かなという気がいたします。 ほかにはいかがでしょうか。柿島委員、この間の議論などを踏まえて何かお感じのことがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
○柿島委員 就労のマッチングへの支援に特化したほうが使いやすいのではないかという御意見と、リカバリーやその後の継続的な職場定着への支援というところとどちらも重要だなと思ってお話を伺っていたのですけれども、個人的に考えたこととしては、この仮称「就労パスポート」の役割として、就職後のどのあたりまでフォローしていくのかというのがあると、より具体的な活用のイメージが定まってくるのかなと考えました。眞保委員の提出いただいた資料ですと、就職後大体1年後ぐらいまでを見据えた記入欄がありましたが、就労パスポートで支える定着支援の期間として、就職から1年後ぐらいまでを見ていくのか、それとも5年、10年というところまでこのフォームで支えていくのか、それによってもフォームのあり方が違ってくるのかなと思います。今後、このフォームを実際に試行期間で使われると思いますので、そういったところも踏まえて、この就労パスポートの様式だけでどこまで支えていくのか、あるいはほかの様式やツールなどにつないでいくのかというところは、検討しても良いのではないかと思いました。
以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
根本の就労パスポートの位置づけにかかわる御発言と、今の柿島委員の御発言の中で私も感じていたのが更新です。更新たるものは何か、結局今のスキームで言いますと、今あるものを更新したければ、それはそれで一旦終了して、必要に応じてコピーをとっておいて、新しい様式で変わらないところはあるかもしれませんけれども、更新された内容は最新の就労パスポートとしてキープされることになります。そうなりますと、先ほど眞保委員がおっしゃったような1年後までの振り返りも、3か月で更新してしまうと、そこからまた1年後みたいな形での作業になっていくと思います。ですから、特に御本人が作成していくときに、それを更新するというのはどういう意味合いと、どういう方法がいいのかといったところも御本人向けのリーフレットなり記載例であると、更新の意味合いがきちんと生かされてくるのかなという気がいたしました。
ほかはいかがでしょうか。倉知委員、お願いします。
○倉知委員 今の更新の話なのですけれども、実際に働き始めたら、企業の方も御本人も毎日顔を合わせるわけですね。あえて更新しようとするかなと。現実的に、あえてこのツールを用いての振り返りはやらないような気がしています。毎日顔を合わせ、時々面談して「こうだね」と話すことはやるかと思いますが、あえてツールを使ってやるでしょうか。栗原委員どうでしょうか。私は、現実的にあってもいいのですけれども、使わないような気がするのですが。
○栗原委員 やらないですね。そう思います。私も、障害者手帳のように定期的な期限を決めて更新するほうが間違いないのかなという気もしないでもないですが、うまくいっている場合、御本人に任せたら多分やらないと思います。
○朝日座長 眞保委員どうぞ。
○眞保委員 お二方のおっしゃることはよくわかっているのですけれども、支援が入っていればそうなるという印象です。実は私どもは今、毎日の流れを見るツールを開発中で、グラフの自動化ですとかエクセルで使えるような形でつくっているところなのです。何でそれをつくるかというと、日々の流れを見て、御本人が落ち込んだりしたことがそのツールでわかったときに、職場の支援者がタイミングよく声をかけることが非常に重要で、その瞬間を逃さないという意味で使っています。日々の流れの中でタイミングよくというのは、3か月後ではないですし、半年後でもないです。そういういろいろな支援をやっている人たちが職場にいればいいのですけれども、まだ精神障害の方を1回も雇用したことがない、あるいは働いたこともないという場合は、自分自身の仕事ぶりや、できるようになっていること、できなくなってしまったことも含めて、こういうこともあるという、どちらかというと一つのサインといいますか、そういうことを表明するものとしては意味があるのではないかということで提案しました。自分自身がぴったり3か月後何とかとやっているかというと、本当はちょっと違うのですけれども、全体の今の精神障害の雇用をしていこうという企業の姿勢を考えますと、まず御本人も振り返りが必要で、変わっていくということのサインを示しておきたいなと思っています。
○朝日座長 倉知委員、お願いします。
○倉知委員 今のことはとてもよくわかるんです。それをこのツールでやるかということなんです。目的を広げていけば何でもやってしまうのですけれども、ますますわからなくなってしまうので、ここは目的を絞っていかないと、まさに今あるツールと混ざってしまうのではないかと思ったのです。私が聞きたかったのは、このツールでやりますかということなんです。そこまでこのツールでカバーせよと思わないほうが、明確になって使いやすいのではないかと思ったのです。
○眞保委員 そうすると、どうしても入り口という形になりますね。そこもやはり合意ですよね。私自身も今の全体的な状況を考えると、最初の一歩、雇用していただくといいますか、企業さんにも理解していただきたいし、御本人にも働くことをわかっていただきたいですし、支援機関も実際のところ本当に支援力はまちまちですので、そういったことも含めて入り口だけで使っていくのというのだったら、最後の部分は必要ないです。でも、ある意味そうしたこともしていくのだというサインを出すかどうかということと、リカバリーの考え方というのもあるということを出していくかどうかですね。その辺どちらにするかだと思います。
○朝日座長 今の御意見などを踏まえると、そもそもの就労パスポートのターゲットは何か、そして、先ほどから御指摘いただいているように、他のツールや他の取り組みとの違いは何かという性格づけを明確にしたうえで、これを活用していくということに尽きるのだと思います。そのような観点で試行することによってわかる部分もあるかもしれませんし、この作業を前進させていただいて、今いただいた部分について、さらに検討を深めていただければということにさせていただきたいと思います。
それでは、まだ御意見はあろうかと思いますけれども、本日はこのあたりで終了させていただきたいと思います。
繰り返しになりますけれども、各委員からの御意見を踏まえて、就労パスポートの記載項目と指標及び活用ガイドラインについては、再度事務局で整理していただき、次の検討会には改訂案を御報告していただくことにしたいと思います。
それでは、次回以降の日程等について、あるいはきょうの全体的なコメントでも結構でございますので、事務局からお願いしたいと思います。
○地域就労支援室長 本日は、たくさんの御意見ありがとうございました。本日いただいた御意見を踏まえてまた検討させていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
次回開催は来年度になりますけれども、5月を予定しております。また、日程調整後、再度御連絡をさしあげたいと思っております。
○朝日座長 この点について、よろしいでしょうか。
栗原委員どうぞ。
○栗原委員 第1回目が12月で、間が2か月あいて今回、そしてまた何か月かあいて5月というと、就労パスポートを早期に使うのであれば、なるべく開催までの期間を短くしていただいたほうが。事務局がまとめるのは大変だということをわかったうえであえて言わせていただいているのですけれども、そのほうが取り組みやすいと思うのですが、いかがでしょうか。
○朝日座長 では、地域就労支援室長、お願いいたします。
○地域就労支援室長 できるだけ早期にという御意見をいただきましたので、そのあたりも踏まえまして。ただ、いずれにしても年度明けにさせていただきたいとは思いますので、また御相談させていただきたいと思います。
○朝日座長 よろしいでしょうか。
○栗原委員 はい。
○朝日座長 それでは、ほかになければ、以上をもちまして本日の検討会を終了させていただきます。本日はお忙しい中、まことにありがとうございました。御出席いただいた方、傍聴いただいた方も、まことにありがとうございました。