平成30年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

平成31年3月15日(金)13:30~14:21

場所

中央合同庁舎第5号館11階 共用第8会議室

議題

  1. 平成30年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績について
  2. 平成31年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について
  3. リスク評価対象物質・案件選定の考え方について
  4. その他

議事

 
○増岡化学物質評価室長補佐 定刻となりましたので、ただ今から第2回平成30年度のリスク評価企画検討会を開催いたします。本日は、大変お忙しい中を御参集いただきましてありがとうございます。また、委員の出席状況ですが、本日は全員出席となっております。
それでは、以後の議事進行は大前座長にお願いいたします。
○大前座長 本日は第2回の企画検討会です。よろしくお願いいたします。
最初に事務局から、本日の議事予定及び資料の確認をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 本日はペーパーレス開催ということで、タブレットを使わせていただいております。お配りした段階で本日の資料一覧が見える状況になっていると思いますので、該当する資料をタッチしていただくとその資料が開きます。拡大・縮小につきましては2本の指で開いたり閉じたりしていただければできますし、ページの方も指でなぞっていただきますと上下に動くようになっております。もし御不明の点等あれば事務局の方におっしゃっていただければと思います。皆様、これまでにもお使いになっていると思いますので、説明は簡単に終わらせていただきます。
議事次第、資料一覧とある資料をお開きいただければと思います。
まず議事次第でございますが、本日の議事は3つ御用意しております。1つ目が「平成30年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績について」、2つ目が「平成31年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について」、3つ目が「リスク評価対象物質・案件選定の考え方について」となっております。
次のページにまいりまして、配布資料一覧でございます。配布資料は、資料4つと参考資料が2つあります。議題1に関するものとして、資料1-1「平成30年度のリスク評価の実績」、資料1-2「平成30年度の化学物質のリスク評価について」。議題2に関するものとしまして、資料2「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成31年度)(案)」。そして、資料3「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方(案)」となっております。また参考資料としまして、参考資料1「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成30年度)」、参考資料2「今後の発がん性試験の予定について」を添付しております。
以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。議事1「平成30年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 それでは資料1-1を御覧いただきたいと思います。
平成30年度のリスク評価の実績になります。
1つ目として、各検討会における主な検討実績になります。(1)が企画検討会、本検討会ですが、第1回目を平成30年9月3日に開催しております。こちらでは「有害物ばく露作業報告対象物質の選定について」ということで、平成32年報告となります。平成31年1月から12月の間に対象物質を取り扱ったものについて、平成32年に報告をいただきますが、その対象物質ということになります。こちらにつきましては、企画検討会の検討を踏まえ、先般告示を発出、アスファルト以下7物質を指定しております。
次に、第2回、本日の企画検討会では、先ほど御案内いたしました3つの議題について検討する予定にしております。
(2)リスク評価検討会です。こちらは平成30年9月10日、10月15日、12月6日及び平成31年1月10日に検討会を開催し、ここで平成29年度ばく露実態調査対象9物質の初期リスク評価を行っております。こちらにつきましては、追って報告書にまとめて公表することを予定しております。
ここで、資料1-2を御覧いただきたいと思います。ばく露実態調査対象9物質の評価結果が資料1-2にまとめられております。お示しした9物質につきましては、初期リスク評価を行いました。その中で1,2-酸化ブチレンにつきましては、リスクが高いという評価となり、今後詳細リスク評価に進むことを予定しております。また、経皮ばく露の勧告がある物質であるということから、詳細リスク評価に当たっては、経皮ばく露の評価を含めた評価を行う予定にしております。それ以外の8物質につきましては、経気道ばく露によるリスクはいずれも低いというものでしたが、そのうちの3つ、ビフェニル、ジフェニルアミン、レソルシノールの3物質につきましては、経皮吸収についての勧告がある物質ですので、経皮ばく露に関するリスク評価を行った上で、全体としてのリスクを決定することにしております。
また、残りの5物質、ノルマル-オクタン、酢酸イソプロピル、ジメチルアミン、ビニルトルエン、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートですが、こちらにつきましては経気道によるばく露は低く、かつ、経皮吸収による勧告もないという物質ですので、この5物質については初期リスク評価で終了ということになります。
また、一番下の囲みの中に記載しておりますが、今回リスク評価を行った物質につきましては、評価結果を公表しますと同時に、合わせて指導通達ということで事業者にリスクアセスメントを行い、その結果に基づく措置を講ずることを求めることなどを内容とする通達を発出する予定にしております。その下に書いておりますのは、今回のリスク評価の検討あるいはそれに基づく措置の検討の中でとりまとめ、懸案になったものにつきまして、(1)検討を中断した酸化チタンについては、粉じん障害の防止の観点から、また、(2)1-ブロモプロパンについては、リスク評価は行っておりませんが、ばく露調査の結果、ばく露が大きい実態があったということを踏まえ、注意喚起の観点から、それぞれ指導通達を発出する予定にしております。
それでは、資料1-1に戻っていただきます。2ページの(ア)、(イ)、(ウ)は先ほどの資料1-2で御説明した内容と同じですので省略させていただきます。そのあと、【有害性評価小検討会】です。こちらは、平成30年8月10日、9月10日、11月5日、12月10日、12月17日、及び、平成31年1月15日に開催し、以下の検討を行っております。1つ目、「ア 国が行う有害性調査(がん原性試験)に関する検討」として、がん原性試験を実施したメタクリル酸ブチルについて試験結果の評価を行っていただき、がん原性指針の対象とすべきか否かについて御検討いただいたところです。その結果、「発がん性については判断できず、がん原性指針の対象とする必要はないが、リスク評価の対象とすべき」とされております。
次に、「イ リスク評価に係る有害性評価及び評価値の検討」として、平成29年度にばく露実態調査を終えた対象物質のうち、評価値が未設定であった19物質について検討を行いました。この19物質は、先ほど初期リスク評価を行った9物質のほかに、アジピン酸及び特別有機溶剤9物質につきましても評価値の設定等について検討を行っていただきました。
次のページにまいりまして、【発がん性評価ワーキンググループ】です。平成30年9月3日、平成31年3月7日に開催し、以下の検討を行いました。
「ア 既存の情報による発がん性評価」として、こちらは平成22年度一般化学物質製造数量等届出のあった物質のうち、化審法スクリーニング評価において年間製造・輸入数量の全国合計が10トン以下であった物質のうち、国際がん研究機関において発がん性分類がなされていないが、発がん性試験等が実施されているもの、あるいは、IARCの発がん性分類が3又はEU等他の機関において同等の評価であるが、発がん性試験情報の公表が評価後と考えられる物質として、61物質を選定しています。このうち36物質につきましては平成29年度に評価を行っておりました。残り25物質につきまして、本年度に評価を行っていただいたというものです。その結果、IARCの発がん性分類1~2Bに相当すると評価された物質はありませんが、14物質につきましては、評価保留という判断をいただいております。
次に、「イ 中期発がん性試験の評価等」ですが、こちらは平成30年度に6物質を対象としてラット肝中期発がん性試験を実施しております。こちらの評価を行っていただきましたが、いずれも陰性との判断となりました。
次に、「ウ 遺伝子改変動物を用いた発がん性試験(投与)期間の可変化」です。現在遺伝子改変マウスを用いた発がん性試験を行っており、基本的に6か月という投与期間を設けております。こちらを試験の状況に応じて、最大9か月まで延長可能とすることについて検討をいただき、ワーキンググループの場において了承されたところでございます。
次のページにまいりまして、【遺伝毒性評価ワーキンググループ】です。こちらは本年2月28日に開催し、以下の検討を行いました。
「ア 微生物を用いた変異原性試験の評価等」ということで、こちらのエームス試験につきましては、平成28年度までに実施した文献調査に基づく遺伝毒性評価の結果、「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」、「遺伝毒性の有無の判断困難」とされた物質、構造活性相関による予測において「+」の判定となった物質の中から、試料の入手性等にも考慮しつつ物質を選定しております。平成30年度は、15物質の試験を行っており、その評価をしていただきました。結果として、2物質について「強い遺伝毒性あり」との判断をいただいたところです。
次に、「イ 非遺伝毒性物質の発がん性スクリーニング試験(Bhas42細胞を用いる形質転換試験)の評価等」です。こちらは、形質転換試験についてのもので、文献調査に基づく遺伝毒性評価の結果、「遺伝毒性なし」とされた物質、構造活性相関による予測において「-」と判定された物質の中から、適切な溶媒の有無等試験の可能性等も考慮して物質を選定しております。平成30年度は、16物質を対象に形質転換試験を実施しておりますが、それを評価いただいた結果、8物質について陽性であるとの判断をいただいたところです。
「ウ 平成31年度の微生物を用いた変異原性試験の対象物質の選定」では、選定基準におきまして、平成30年の場合と同様の選定を行っておりますので、説明は割愛いたしますが、平成31年度の試験対象物質について検討いただき、17物質を選定したところです。
次に、「エ 平成31年度の形質転換試験の対象物質の選定」は、こちらも選定基準におきましては、平成30年度と同様のものですので割愛します。平成31年度の試験対象物質について検討いただき、20物質を選定したところです。
次に、「オ 変異原性指針対象物質(バットオレンジ7)の再評価」ということで、こちらの物質につきましては、平成28年度のワーキンググループにおきまして「強い遺伝毒性あり」と評価をいただき、変異原性指針の対象として指定されていたところですが、新たなエームス試験等の結果があり、これも合わせて再評価を行ったものです。結果としては「遺伝毒性なし」ということで評価を改めるに至りました。
次に、【ばく露評価小検討会】です。こちらは、平成30年8月2日、9月13日、11月12日、12月25日に開催し、以下の検討を行いました。
「ア ばく露実態調査結果の検討」ということで、平成29年度にばく露実態調査を行った、初期評価10物質(初期リスク評価を行った9物質及びアジピン酸)に係る調査結果について検討を行っていただきました。検討の結果、アジピン酸については粉体が十分に補集されているか、サンプラーの検証が必要とされ、改めてその検証を行った上で評価をするということになりました。残りの9物質については、先ほど申し上げましたように初期リスク評価を行ったということになります。
次に、「イ 測定分析法の検討」です。ばく露実態調査を行うに当たり、測定分析法の検討を行っております。本年度は、以下の11物質について検討を行いました。そのうち、ii)2-イミダゾリジンチオンにつきましては、5Mの水酸化ナトリウム水溶液を使うということが不適切ではないか、また、xi)ジチオリン酸O,O-ジエチル-S-(2-エチルチオエチル)については、十分な感度が得られなかったことから、継続検討とされました。残りの9物質につきましては、測定分析方法として検討いただき、これで測定できるだろうという結論をいただいたところでございます。
また、ウでございますが、こちらはばく露実態調査を行うに当たり、実際に現地に入る前に書面でアンケート調査を行っており、「経皮ばく露に係る実態調査事前調査票について検討を行った。」ということです。
次のページにいきまして、「2 リスク評価にかかる情報提供等の推進」でございます。(1)意見交換会ということで、意見交換会(リスクコミュニケーション)を実施しております。こちらは3回実施しており、第1回が2月22日に東京、第2回が3月1日に大阪で開催し、3回目につきましては、3月18日に東京で開催予定としております。今年度のテーマとしては、「化学物質のリスク評価結果と個人サンプラーを用いた作業環境測定等に関する意見交換会」とさせていただきました。基調講演は3つあり、1つは「平成30年度リスク評価の結果について」ということで、リスク評価をした9物質についてその結果を報告いただくという内容です。第1回、第2回、第3回の意見交換会では、それぞれ大前先生、宮川先生、名古屋先生に基調講演をお願いしております。
2つ目の基調講演に「個人サンプラーを用いた作業環境測定」、3つ目の基調講演に「ラベル・SDSリスクアセスメント制度」を行い、基調講演ののち、それぞれ3つのテーマについて意見交換会を開催しております。コーディネーターは堀口先生にお願いしております。またパネリストは講演者のほか、行政の方からも出席しております。参加人数につきましては、第1回は50人、第2回は71人、第3回はまだ見込み数でございますが58人となっております。
次のページにまいります。(2)パブリックコメントです。2つあります。1つ目は、「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価候補物質及び案件についての意見募集(6月~7月)」ということで、9月の企画検討会の際にリスク評価の候補、ばく露作業報告の対象物質でもありますが、こちらの選定を行っていただきました。その選定を行うに当たっては、あらかじめパブリックコメントで意見募集を行い、提案いただいた物質も含めて検討を行っております。
2つ目が、「労働安全衛生規則第95条の6の規定に基づき厚生労働大臣が定める物等の一部を改正する件(案)」ということで、こちらは、ばく露作業報告の対象物質について、その指定をするに当たってパブリックコメントで意見を求めたものでございます。いただいた意見を踏まえて、すでに昨年告知をしていた物質を改めて対象物質として指定したところでございます。
最後に、(3)リーフレット関係です。ただ今申し上げましたばく露作業報告につきましては、事業者向け周知用のパンフレットを毎年作成しており、平成32年度報告版につきましても、間もなく刷り上がるという状況です。今後、都道府県労働局、監督署等を通じて広報していくことになっております。
以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
平成30年度の実績につきまして、何か御意見あるいは御質問いかがでしょうか。
○堀口委員 御報告ありがとうございました。
リスクコミュニケーションを今回残すところ1回で、第2回まで終了したところですが、今回基調講演が3演題になっております。約10年間、意見交換会をやってきておりますが、これまで2演題でやってきたものが3演題になりました。それも結構多岐にわたるテーマになっており、想像以上の御質問をいただいたところでございます。
各々につきましては、例えばリスク評価の仕組みについてまだ御存じでない方がいらして御質問があったり、ラベル・SDSについては昨年まで厚生労働省の方でもかなり情報提供をされてきたと認識しておりますが、まだ各自解釈できておらずに御質問がきたり、という状況になっておりました。したがって、「リスク評価をやってきているからもうみんな慣れているかもしれないよね」とは思わず、やはりベーシックなところは、これからもずっと言っていかなければならないだろうということと、3演題にした場合の時間が少し厳しかった(短い)です。事前にどこにテーマを絞るかというようなことについては、この検討会で先生方の御意見を伺う等して、次年度以降を開催していければよいと考えます。よろしくお願いいたします。
○大前座長 ありがとうございました。リスクコミュニケーションを平成31年度以降どのように開催するかという点は、2番目の議題のところでお話ししますのでよろしくお願いいたします。
その他にいかがでしょうか。
○石井委員 平成30年度の化学物質のリスク評価について御説明いただきました。この中で「経皮吸収あり・なし」というのが、初めて1つの判断基準になったと認識しています。その際の「経皮吸収あり・なし」というのが、「勧告あり・なし」で判断されているということですが、「あり」のときには確かに経皮吸収があるのでそういう判断はあると思います。一方で、「なし」の場合に、さらに情報を集める等、評価されるということは今後なされるのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
○大前座長 いかがでしょうか。なかなか難しい質問ですが。
○川名化学物質評価室長 とりあえず現時点におきましては、いろいろ情報を調べ、経皮勧告の有無を指標にせざるを得ないところがございます。今後も情報を収集していく中で、そういうものが新たに見つかってくれば対象にしていくということになろうかと思っております。また、いろいろなところで経皮吸収に関する研究も行われていると思いますので、そういった情報も活用しながら、経皮吸収についてどのように取り組んでいくのか、我々としてもさらに考えていきたいと思っております。
○石井委員 ありがとうございます。さらに追加ですが、今まで評価されたものについて経皮吸収の観点から調べるということはされているのでしょうか。
○川名化学物質評価室長 これまでリスク評価を行ってきた物質の中にも、例えば初期リスク評価を終了した物質であっても経皮勧告吸収があるものについては、改めて経皮の観点から評価を行うことにしております。
○大前座長 よろしいでしょうか。
他にいかがでしょうか。
バッドオレンジ7については、最初は「強い遺伝毒性あり」という評価であったものが、全くなしに変わってしまったのは何か理由があったのですか。
○川名化学物質評価室長 こちらにつきましては、変異原性指針を出したあとに、業界の方からも新たなエームス試験の情報や、エームス試験以外の情報についても提供がございました。それぞれの文献につきまして遺伝毒性ワーキンググループにおいて検討いただき、新しいエームス試験が陰性であること、また、エームス試験より少し上位になりますが、哺乳類を使った試験においても陰性であるということ。また、コメントとしてありましたのは、以前の「強い遺伝毒性あり」という評価に使った文献において、その物質の純度の情報が不明であるということ、新しいものには純度も少し書いてありましたが、そのような理由から新しい情報に重きを置いて「なし」と判断してもよいのではないかという結論をいただいたということでございます。
○大前座長 昔のデータの純度の問題、安定剤か何かわかりませんが、それが効いたのだろうということですね。
その他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、平成30年度の実績につきましてはこれまでとして、議事2「平成31年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 それでは資料2を御覧いただきたいと思います。
「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(案)(平成31年度)」です。柱書きの部分は割愛させていただき、「1 各検討会におけるリスク評価」(1)化学物質のリスク評価に係る企画検討会からです。i)リスク評価に係る方針の策定ということで、平成32年度のリスク評価の方針の策定を平成31年度末に行っていただくということで予定を考えております。
続いて、ii)リスク評価対象物質の選定ということで、今年度は平成32年報告対象を選んでいただきましたが、平成31年度は、平成33年の報告対象物質について新たにリスク評価の対象とするものを選定いただくということになります。
iii)スクリーニングとして行う中期発がん性試験の候補物質の選定については、中期発がん性試験の対象物質につきまして、企画検討会において候補物質を選定いただいた上で、発がん性評価ワーキンググループの方で決定いただいているところでございます。こちらには、「平成31年度・32年度」と書いておりますが、平成31年度の候補物質の選定につきましては、今年度できませんでしたので来年度の早い段階で選定するということで記載しております。また、平成32年度の候補物質は、さらに次の年度の対象物質でございますが、こちらも可能であれば平成31年度末を目処に選定を行うことができればということで記載しております。
iv)リスクコミュニケーションの推進ですが、リスクコミュニケーションにつきましては、この企画検討会の中で行うという形で位置付けておりますが、来年度もリスクコミュニケーションを実施したいと考えており、この進め方につきましても検討していくということでございます。
v)は、労働安全衛生法施行令別表第9に追加する化学物質等の検討を行うということです。この施行令別表第9というのがラベル・SDSあるいはリスクアセスメントの対象物質となっているわけですが、必要に応じてこうした物質の追加についても検討を行っていくということを考えております。
(2)化学物質のリスク評価検討会です。こちらはばく露実態調査を実施し、初期評価と詳細評価の対象物質の中からリスク評価を行って評価結果を報告にまとめるということです。経皮につきましても、現在、経皮にかかるリスク評価ということでばく露調査なども進めているところですが、それを踏まえリスク評価を進めるということを記載しております。
その中で2つの小検討会、「有害性評価小検討会」と「ばく露評価小検討会」がありますが、それぞれ実施事項を記載しております。
i)が有害性評価小検討会です。こちらは国内外の疫学、毒性等にかかる情報をもとに、リスク評価を行う物質の有害性評価を行うとともに、リスク評価に用いる評価値について検討を行っていただくものです。また、この有害性評価小検討会の下には2つワーキンググループ「発がん性評価ワーキンググループ」と「遺伝毒性評価ワーキンググループ」を設けております。また、こちらのワーキンググループにおきましては、発がん性に重点を置いた化学物質の有害性評価の加速化を図るため、(ア)既存の情報(知見)に基づく発がん性の評価を行うとともに、(イ)各種の発がん性スクリーニング試験(ラット肝中期発がん性試験、遺伝子改変動物による発がん性試験、微生物を用いる変異原性試験(エームス試験)、Bhas42細胞を用いる形質転換試験)の対象物質の選定と試験結果の評価を行うということにしております。
ii)ばく露評価小検討会ですが、こちらはガイドラインがあり、ガイドラインに基づいてばく露実態調査を行っております。また、経皮吸収につきましても現在進めておりますが、平成30年度までにばく露実態調査を終了したものの中から、このばく露評価小検討会において、ばく露の評価を行っていただくことになります。また、測定分析法についての検討もこのばく露評価小検討会でさせていただくことになっております。
次に、(3)化学物質の健康障害防止措置に係る検討会ということで、リスク評価検討会等で評価を行ったものなど、その後行政においてどのような措置につなげていくのかという観点から措置について検討を行っていただくものです。こちらの措置検討会におきましては、リスクが高い化学物質、作業などについて関係事業者、保護具メーカー等からもヒアリングを行うなどして、最新の技術開発動向や規制の導入に当たって考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な健康障害防止措置の導入を目指すための検討を行うことで、平成31年度におきましては、今後とりまとめを予定しておりますリスク評価の報告書を踏まえ、必要に応じ物質ごとに措置の検討を行い、その結果につきましては、検討結果報告にとりまとめるということになります。
また、健康障害のリスクが高いと認められる化学物質に係るばく露防止措置や、労働者への健康障害のリスクが高いと認められる化学物質に係る作業環境中の濃度の測定及び評価の基準についても検討を行います。かつては管理濃度検討会でやっておりましたが、現在は措置検討会に統一されておりますので、措置検討会において検討を行っていくということにしております。
また、有害性評価小検討会において、がん原性指針の対象にするか否かについて検討を行っていただいておりますが、必要に応じ、こうしたがん原性指針に関連する技術的検討についても、この措置検討会において行っていただくということにしております。
次に、「2 リスク評価に係るリスクコミュニケーションの推進」です。こちらについても、「規制措置の導入に際して、パブリックコメントを通じて、国民の意見を積極的に募集するとともに、リスク評価の節目に意見交換会を実施し、意見交換会を行うこととする。また、パンフレットの作成やホームページの掲載などを通じて、国民にわかりやすい情報提供に努める。このほか、ばく露実態調査のために策定された測定・分析方法についても、積極的に情報提供し、事業者自らのリスク管理の導入を支援する。」
とさせていただいております。
補足ですが、例年、リスクコミュニケーションの進め方につきましても、年度末の企画検討会でお諮りする場合が多いのですが、今年度は準備が間に合わなかったという点もあり、リスクコミュニケーションの進め方の詳細につきましては、来年度の早い段階で、企画検討会において御検討いただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
先ほど、堀口先生から提議いただいたリスクコミュニケーションについては、後日検討するということですので、よろしくお願いいたします。
その他、平成31年度の方針につきまして、何か御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。
方針とは直接関係ないのですが、中期発がんでなかなかポジティブな結果が得られていないという現状があります。あれは何らかの原因といいますか、とにかくこれがあるだろうと思ってやってみたら残念ながらなかったというのがほとんどですが、共通の何らかの要因があるわけではないということですよね。
○川名化学物質評価室長 そのように理解しております。
○大前座長 本年度はそれをお願いするわけですが、なかなか難しいですね。
その他いかがでしょうか。我々の検討会、リスク評価の検討会あるいは小検討会が2つあります。それと措置検討会と、それぞれ記載がございますが、概ね今までとあまり変わっていないと思います、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、議事3「リスク評価対象物質・案件選定の考え方について」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 それでは資料3を御覧ください。「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方について」です。実は、こちらは昨年度末の企画検討会において、基本的な考え方についてまとめていただいた内容と基本的に同様の内容になっております。今年度の9月に実施した対象物質の選定におきましても、基本的にこの考え方を踏まえて選定を行っていただいたところです。内容的には変わっておりませんが、毎年、その年度の方針ということで考え方をお示ししていましたが、単純に平成31年度限りということではなく、今後もこの考え方を基本にして進めていくという観点から御検討いただいたものであり、今後についても基本的にはこの考え方でよいかということをお諮りする趣旨で今回議題に挙げさせていただいております。
資料の方ですが、1 リスク評価対象物質・案件の選定については、IARCの発がん性の指標の高いグループ、1→2A→2Bの順に物質を選定するとともに、それ以外の生殖毒性、神経毒性といった他の有害性のある物質についても選定してきたということで、基本的な考え方につきましては、今後もハザードの高い物質を優先的に選定する原則は変更する必要がないと考えております。ただし、過去に選定した物質につきましては、測定方法の確立が困難なものがあり、あるいは、ばく露実態調査の対象事業場が確保できないといったようなこともありましたので、こうした点も踏まえて見直す必要があるのではないかということで整理しているものです。
2のところで、それを踏まえ、今後の選定に当たっては、
(1)優先順位は、発がん性については、IARCグループ1、2A、2Bの順とし、発がん性の次に生殖毒性その他の毒性の高い物質を優先する。
(2)測定手法の開発について、(1)の優先度の高い物質順に委託事業等であらかじめ実施し、開発が困難な物質については選定を猶予する。
(3)再告示してもばく露作業報告対象事業場がなく、打ち切りとなったものが、かなりの頻度で見られることから、(1)のリストの同じグループの中では一定程度の数量又は広い用途があるものを優先する。
(4)モデルSDSがない等有害性情報が不足している物質についても選定を猶予する。
ということです。有害性の観点からの優先度のほかに、実際のばく露実態調査の実行可能性を踏まえ選定を行っていくということで整理しているものです。
なお書きのところですが、
「国際機関における発がん性評価等の変更があった場合、がん等の重篤な健康障害を生じさせた化学物質に関する情報が得られた場合、生産量・輸入量が急増・急減している場合等については、優先順位を適時変更することとする。
さらに、過去にリスクが低いと評価された化学物質のうち、経皮吸収の勧告のあるものについては、再リスク評価を行うことも含め出された結論に従って取り扱うこととする。
また、必要に応じ、有害物ばく露作業報告を省略することができるものとする。(木材粉じん、溶接ヒューム、ナノマテリアなど)」
としております。
基本的には、昨年末に決めていただいたものと同内容でございますが、改めて今後これでやっていくということで御了承いただければということでございます。よろしくお願いいたします。
○大前座長 ありがとうございました。
リスク評価対象物質をどのように決めるか、ある意味非常に重要な考え方なわけです。何か御意見御質問いかがでしょうか。
○吉田委員 化審法でやはりリスク評価が行われています。スクリーニング評価で懸念がある物質が優先評価化学物質として選択され、それに対してリスク評価1、なおそれで懸念があればリスク評価の2という段階で3省でリスク評価が行われておりますので、そうした中でより詳細なリスク評価の対象となっているような物質については、やはり目配りしていただき、評価の選定に当たる際に考慮していただければと思いました。
○大前座長 ありがとうございました。
化審法の物質に関しても少し目配りしてくださいという御意見でしたが、何かコメントはありますか。
○川名化学物質評価室長 化審法も有害性のランク等、いろいろとつけており、さらにばく露クラスということでまさにハザードを考慮し、さらに化審法でいうばく露といいますと環境中のばく露、環境系のヒトへの影響ということで少し違うところも出てくるかもしれませんが、そういった情報はやはり十分活用して我々も優先順位を考えていく必要があると思っております。
一方で、発がん性評価ワーキンググループや、遺伝毒性評価ワーキンググループで取り上げる物質というのも、まさに化審法の製造・輸入数量といった情報も活用しているところがございます。そのように、このリスク評価全体として化審法の情報を十分に活用していきたいと考えております。
○大前座長 その他、いかがでしょうか。
最近のリスク初期評価値を作る際、出てきた問題ですが、キシリジンというタイトルでリスク評価をしてくださいというものが出てきたのですが、キシリジンには異性体があります。その中の2,6置換体は、非常にクリアな発がん性を示す試験結果が出されており、IARCもそのような評価をしているのですが、2,4置換体、2,5置換体に関しては、IARCの評価と、その他の機関の評価が異なっております。IARCではまだ載っていなかったというようなことがありますので、場合によっては他の公的な機関の評価も見て、IARCでは取っていないが、他の機関は取っているようなことがあれば、そうしたことを少し考えていただきたいということが1点と、キシリジン全異性体を含んだ形で評価すると異性体間で評価結果が異なり困るので、できれば、評価する物質を異性体別に、化学物質を一つ一つにして欲しいということが2つ目です。キシレンのように、異性体間で毒性が変わらないものであればよいですが、キシリジンですと毒性が変わってしまうという点がありますので、その辺りの物質の単体を分けることができれば分けていただきたいと思います。
それから昨日でしたか、ベリリウムの場合は、合金ということで合金のデータはほとんどないけれども、合金だけのデータですかね。というのもありますので、異性体を含めざるを得ない場合と、分けた方がよい場合とがありますので、その辺りはぜひ考慮していただきたいと思います。実際に評価しているサイドからの現実的な悩みのようなものですが。
その他いかがでしょうか。
今までは、発がんが第1順位、生殖毒性が第2順位、それから神経毒性が第3順位というイメージで歴史的にはきましたが、その他、こういう毒性は入れた方がよいとか、そういうような御意見はございますか。
なかなか治らないとか、あるいは次世代への影響とか、そちらの方も重大に考えるべき影響だということからこうした順番になっておりますが。よろしいでしょうか。
○川名化学物質評価室長 先ほど大前先生から異性体の扱いとか、我々でもなかなかわからないところもたくさんございますので、特に有害性の関係の委員の皆様には、いろいろと御相談させていただきながら、その辺りは考えていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○宮川委員 直ちに来年度ということではなく、少し先のこととして考えていただきたいのは、今、変異原性は発がん性に関するスクリーニングという観点から見ていただいていると思います。生殖毒性との絡みで、生殖細胞変異原性というかたちでGHSの表示ではエンドポイントが設けられていて、生殖細胞に影響して次世代に影響を及ぼすような可能性があるものを抜き出すという分類作業が行われております。そういう観点から、変異原性の専門家の方が集まって議論していただくときに、生殖細胞に対する遺伝毒性、突然変異作用があるか否かということを見ていただいて、将来その観点から生殖毒性試験をする前の段階として、関連する毒性として変異原性、遺伝毒性の情報を整理していただくと、予防的な観点からは有効ではないかと思います。直ちに来年からということではなく、その辺りをできれば専門家の方に検討していただき、そちらから評価すべきものがピックアップできるのであれば、そうしたことをしていただくのもよいかと思います。
○大前座長 ありがとうございました。
その他にいかがでしょうか。基本的には資料3の状態でよいが、いくつか将来的に、あるいは近々考えていただきたいことは、今御意見が出たようなことであるということでございます。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
では、本日の議事3点が終わりましたので、その他につきまして、事務局からお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 今年度の検討会につきましては、この企画検討会をもって評価関係の検討会は終了ということになります。
中期試験の対象物質につきましては、次年度の企画検討会で選定の上、発がん性ワーキンググループにおいて決定したいと考えております。現時点では6月頃に開催できればと考えておりますが、追ってまた日程調整等はさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○川名化学物質評価室長 なるべく早い段階で、6月といっても遅くではなく、早い段階で、できれば5月の終わりくらいにはやりたいと考えております。
それから、物質を決めてから委託にかけなくてはならないことになりますので、そうしたスケジュールを考えますとどうしてもそのくらい、事務局としても頑張って開催させていただかなくてはならないというような事情がございますので、追って調整の作業をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大前座長 そういうことでございます。10連休が終わったあと、5月後半から6月の前半くらい、できれば5月の後半くらいで開催するという室長のお話でしたが、そのくらいを目処に本委員会がまた開催されるということです。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の企画検討会は閉会といたします。ありがとうございました。