平成30年度第3回化学物質のリスク評価検討会 議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

平成31年1月10日(木)14:30~15:37

場所

労働委員会会館6階612会議室

議題

  1. 平成30 年度初期評価対象物質のリスク評価について
    1. ビニルトルエン
    2. メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネート
  2. その他
    1. 1-ブロモプロパンのばく露実態調査結果について(報告)
    2. 今後の日程

議事

 
○増岡化学物質評価室長補佐 定刻となりましたので、ただ今より化学物質のリスク評価検討会を開催いたします。
 まず委員の出席状況ですが、本日は、内山委員、小嶋委員、清水委員、高田委員、吉成委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、本日は特別参集者として圓藤委員に御参加いただいております。なお、同じく特別参集者の櫻井委員におかれましては、本日は欠席と御連絡をいただいております。
 また、本日は、中央労働災害防止協会(以下、「中災防」という)よりオブザーバーとして御参加いただいております。
 それでは、以下の議事進行を座長の名古屋先生にお願いいたします。
○名古屋座長 委員会を始めたいと思います。
 事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 それではタブレット端末を御覧いただきたいと思います。
 まず資料1-1は、「ビニルトルエンのリスク評価書(案)」となります。また、こちらに別添1~別添4のファイルを添付しており、別添1が「有害性総合評価表」、別添2が「有害性評価書」、別添3が「ばく露作業報告集計表」、別添4が「測定分析表」となっております。また、資料1-2、ファイル名としては「水添MDI」と書いておりますが、「メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートのリスク評価書(案)」、また、資料1-1と同様に別添1~別添4をそれぞれ添付しております。
 次に、資料2は、「1-ブロモプロパンのばく露実態調査結果」となります。そして資料3として「今後の予定について」、また、委員限りで非公開でございますが、本日の対象物質であるビニルトルエン、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネート、また、1-ブロモプロパンそれぞれについてばく露調査の集計表を参考資料として添付しております。
 以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 まず、ばく露実態調査対象物質リスク評価について、ビニルトルエンの説明をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 それでは資料1-1を御覧ください。
 まず表紙をめくっていただきまして、「1 物理化学的性質」でございます。
 「(1)化学物質の基本情報」の、名称、別名、化学式、構造式、分子量、CAS番号等は記載のとおりとなっております。また、本物質につきましては、労働安全衛生法施行令別表第9に収載の物質となっております。
 次のページです。「(2)物理的化学的性状」でございます。外観は特徴的な臭気のある無色の液体、比重が0.90~0.92(水=1)、沸点が170~173℃、蒸気圧が0.15 kPa(20℃)、蒸気密度が4.1(空気=1)、融点が-77℃、引火点が45~53℃、発火点が489~515℃、溶解性は25℃の水100 gに対して0.0089 gなどとなっております。
 「(3)生産・輸入量、使用量、用途、製造・輸入数量」については情報がありませんでした。用途につきましては、塗料用改質剤、絶縁強化剤、医薬品、農薬中間体となっております。製造・輸入者については、2ページ、40、41行目に記載のとおりでございます。
 次に、「2 有害性評価の結果」でございます。
 「(1)発がん性」です。「ヒトに対する発がん性は判断できない」となります。こちらの根拠は、ビニルトルエンの発がん性に関してヒトの知見はなく、ラット、マウスを用いた吸入試験では発がん性を示唆する結果は得られていないということから、判断できないとなっております。また、各機関における評価区分は、51行目以下に記載のとおりとなっております。
 次のページにまいりまして、「(2)発がん性以外の有害性」でございます。
 急性毒性につきましては、ラットの吸入、経口、経皮、また、マウスの吸入、経口、経皮、ウサギの経皮についてそれぞれ3ページ、70行目以下に記載のとおりの値が得られております。
 次に、皮膚刺激性/腐食性でございます。こちらは、ヒトで400 ppmより高い濃度で皮膚への刺激性があり、また、ウサギを用いた試験において中程度の刺激性がみられたということから、「あり」としております。
 次に、眼に対する重篤な損傷性/刺激性ですが、ヒトで400 ppmで眼に刺激を感じ、また、ウサギの眼に対する試験の結果、軽度の刺激性がみられたということから「あり」としております。
 次のページにまいります。皮膚感作性は、スチレンの皮膚アレルギー患者において、ビニルトルエンの3つの異性体全てに交差反応がみられ、また、モルモットを用いたmaximization試験で陰性結果が報告されていることから、結論としては「判断できない」としております。
 呼吸器感作性については、調査した範囲では報告は得られませんでした。
 次に、反復投与毒性ですが、こちらは、LOAELを10 ppmとしております。こちらにつきましては、マウスを用いた103週の吸入ばく露試験が行われており、その中で25 ppm群の雌及び10 ppm群の雌雄が生存率は対照群と差はなかったが、両ばく露群で鼻腔粘膜の炎症性変化の発生数が増加したという影響がみられており、LOAELについては10 ppmと判断されております。また、こちらのLOAELからNOAELへの変換、あるいは労働補正等を行った結果、評価レベルとしましては、4ページ、121行目の式から0.075 ppmと求められております。
 次に、生殖毒性です。モルモットを用いた吸入ばく露試験で奇形がみられたとの報告や、ラットを用いた腹腔内投与試験で胚の死亡が増加したとの報告、さらに経口投与試験で母動物の体重抑制や胎児の体重減少の報告があるものの、明確な生殖毒性を示す情報が少ないということから「判断できない」としております。
 5ページにまいりまして、遺伝毒性でございます。こちらは、in vitroでネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験はS9 mix添加の有無に関わらず陰性、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験も陰性。一方、マウスリンパ腫L5178Y細胞を用いたTK試験でS9非添加の最高濃度で陽性、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験もS9非添加で陽性、ビニルトルエンのメタ体及びパラ体もヒトリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、in vivoではマウス小核試験は陽性、ショウジョウバエの伴性劣性致死突然変異試験は陰性。これらを考慮し、結論としては「判断できない」としております。
 神経毒性です。こちらは、ヒトにおいて、400 ppmより高い濃度の長期ばく露で中枢神経系を抑制します。また、ラットを用いた吸入試験において、知覚及び運動神経伝導速度の低下、軸索の変性がみられているということから「あり」としております。また、LOAELは50 ppmです。こちらは、Wistarラットを用いた15週間の吸入試験で、100 ppm以上の群で軸索の変性を示す電気泳動の変化、及び軸索タンパクの変化がみられ、一方、50 ppm群ではこれらの変化はみられなかったということから、NOAELを50 ppmとしております。また、こちらの値から不確実係数等を考慮し、評価レベルとして、5ページ、164行目の式から3.75 ppmという値が求められております。
 次は、「(3)許容濃度等」です。
 まずACGIHにつきましては、1981年にTLV-TWAとして50 ppmが勧告されております。根拠につきましては、スチレンとの類似性を踏まえて勧告されたというものであり、これらの勧告は、ばく露労働者における粘膜と眼の刺激を最小化し、臭いによる不快感を減少させるとされております。また、ラットでみられた軸索たんぱくの変性ですが、ビニルトルエンと同程度の濃度のスチレンを吸入したラットでみられた軸索たんぱくの変性よりも顕著であること、また、スチレンのTLV-TWAが20 ppm、また、短時間ばく露の方は40 ppmに改訂された根拠の1つがスチレンの職業ばく露における神経学的変化の報告であったことから、ビニルトルエンのTLVをスチレンとの類似性に基づいて再検討中とされております。
 日本産業衛生学会(以下、「産衛学会」という)は、許容濃度の設定はございません。
 また、ドイツのDFG MAKは、2016年に20 ppmが勧告されております。こちらは、マウスにおける2年間の吸入試験で最低濃度10 ppmで呼吸器上皮における炎症及び過形成及び肺又は細気管支における炎症、また、ラットの100 ppmにおいて、嗅覚器官及び気道上皮における嚢胞及び過形成をもたらすという結果が得られています。また、スチレンに関して記述されるように、ヒトはラット及びマウスよりも鼻への影響に対して感受性が低く、これらの種差はビニルトルエンについても想定されるとされています。ラットにおける局所的影響についての、ビニルトルエンのLOAEC 100 ppmに基づいて、NAEC 33 ppmを算出、ヒトの鼻はラットに対しはるかに敏感ではないので、この場合、NAECは2で除算されず、したがってNAEC 33 ppmからのより安全側のアプローチにより、ビニルトルエン(すべての異性体)のMAK 20 ppmが得られるとされています。
 そのほか、NIOSH REL、OSHA PEL、UK HSE、OARSにおける許容濃度等の設定につきましては、7ページ、209行目以下に記載のとおりでございます。
 次に、(4)評価値ですが、一次評価値につきましては、反復投与毒性の評価レベルから0.075 ppmとしております。
 また、二次評価値は、ドイツのDFGが2016年に勧告している20 ppmを採用し、二次評価値としております。
 それでは、次の「3 ばく露実態評価」でございます。
 「(1)有害物ばく露作業報告の提出状況」でございます。13事業場から計23作業について報告がございました。主な用途は、「他の製剤等の原料」、「対象物の製造」、主な作業の種類は、「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」、「ろ過、混合、撹拌、混練又は加熱の作業」、「吹付けの作業」となっております。
 年間製造・取扱量は、「500kg未満」が13%、「500kg以上1t未満」が9%、「1t以上10t未満」が61%、「10t以上100t未満」が4%、「100t以上1000t未満」が4%、「1000t以上」が9%となっております。作業1回当たりの製造・取扱量は、「1kg未満又は1L未満」が17%、「1kg以上1t未満又は1L以上1kL未満」が83%、「1t以上又は1kL以上」は0%でした。また、作業従事労働者数は「5人未満」が87%、「5人以上10人未満」が13%、「10人以上20人未満」と「20人以上」は0%でした。
 さらに、1日当たりの作業時間は、「15分未満」が22%、「15分以上30分未満」が22%、「30分以上1時間未満」が13%、「1時間以上3時間未満」が39%、「3時間以上5時間未満」が4%、「5時間以上」は0%でした。発散抑制措置として、密閉化設備が17%、局所排気装置が83%、プッシュプルは0%で、全体換気装置が13%の作業でそれぞれ設置されておりました。
 続きまして、「(2)ばく露実態調査結果」でございます。有害ばく露作業報告のあった13事業場のうち、平成29年度に5事業場を選定してばく露実態調査が行われております。対象事業場におきましては、製造・取扱作業に従事する8人について個人ばく露測定を行ったほか、2単位作業場について作業環境測定のA測定、16地点についてスポット測定を実施しております。
 測定分析方法は、8ページ、251行目以下に記載のとおりでございます。
 対象事業場における作業の概要ですが、主な用途としては「他の製剤等の原料」です。また、ばく露の可能性のある主な作業は「投入」、「製品の缶詰」、「タンクの洗浄」、「混練した製品の移し替え」、「製品の秤量」の作業で、1回当たり4分から70分間の作業となっておりました。また、作業環境は、一部を除いて屋内で行われているものでございまして、ばく露防止対策としては58.8%の作業で局所排気装置が設置され、76.4%の作業で呼吸用保護具が使用されておりました。
 次は、測定結果でございます。8人の労働者に対し実施し、定量下限値未満の3データを除き、5データを評価データとして採用しております。個人ばく露の最大値につきましては、8時間TWAの最大値で、投入、製品の缶詰、タンクの洗浄作業中に測定された0.41 ppmとなっております。また、この5データを用いて区間推定を行ったところ、区間推定上側限界値(信頼率90%、上側5%)が1.9 ppmということになり、ばく露評価ガイドラインの規定から、ばく露の最大値はこちらの1.9 ppmになりますが、二次評価値20 ppmを下回る値となっております。
 「4 リスクの判定及び今後の対応」は、「以上のことから、ビニルトルエンの製造・取扱事業所においては、最大ばく露量1.9ppm(区間推定上側限界値)は二次評価値20 ppmを下回っており、経気道からのばく露によるリスクは低いと考えられる。また、当該物質について、日本産業衛生学会又はACGIH等による経皮吸収の勧告はなされていない。なお、当該物質は、労働安全衛生法においてリスクアセスメントの実施が義務付けられているが、神経毒性及び反復投与毒性を有することから、事業者は、その製造・取扱作業に従事する労働者等を対象としてリスクアセスメントに基づくリスク低減措置を講ずることが必要である。」とまとめております。
 以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
 経皮吸収もありませんし、二次評価値に比べてばく露の最大値が著しく小さいということから、従来の基準から判断しますと初期リスク評価で終わる物質だと思います。何かお気づきの点等はございますか。
○大前委員 3ページの85行目ですが、「ヒトで400 ppmより高い濃度で皮膚への刺激」とありますが、この「皮膚」の前に「眼・上気道・」を加えて「眼・上気道・皮膚への刺激」としてください。
○名古屋座長 追加ですね、よろしくお願いいたします。
○圓藤(吟)委員 この物質はオルト、メタ、パラの異性体がありますが、動物実験の記載で、2箇所ほど異性体の記載がありますが、オルト体がほとんどゼロで、メタ体が約70%で、パラ体が約30%と書いてあります。2箇所ともそのようになっているのですが、一般に市販されているこの物質は、同じように70%と30%の割合になっているのか確認をしていただきたいと思います。
○名古屋座長 現場で扱っている材料の比率ですが、これは中災防さんにお聞きしてよいのでしょうか。
○中災防 現場での確認では、メタ、パラの異性体の含有率/比率は全く出てきておりません。ただ、分析手法を検討する上で標準液を購入いたしますと、メタ・パラの混合物でなければ販売しておりませんので、この異性体を含めたもの全てをビニルトルエンということで分析しております。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
○圓藤(吟)委員 それに関連しますが、資料の別添4の精度のところで添加量として「p-ビニルトルエン」となっています。今のお話では、メタ体とパラ体の混合物としての試薬であるのか、パラ体としての試薬なのか、あるいはパラ体であってもメタ体であっても同じような波形になることで同一と考え、測定の上では区別をする必要はないのかという点の確認が必要かと思います。
○中災防 有害性については、私どもの方ではわからないのですが、分析においてはo-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエンをリテンションタイムとGC/MS、イオンで分離して、全てのものについて分析するという形で総和の量を御報告させていただいております。
○圓藤(吟)委員 総和でしたらそれで結構ですが、この文章ではそのように読み取れないので、備考欄で結構ですから、今おっしゃったようなことを付け加えたらいかがかと思います。そして、そのうちのp-ビニルトルエンのときのデータをこういう形で表示したということであれば分かります。その辺を付け加えていただければ正確と思います。
○鷹屋委員 今のお話ですと、添加回収で入れた物質の異性体比が分かっていなければ、回収率は出したとしても3つの異性体の総和として出るだけで、例えば今の表現ですと、総和で入れているけれどもパラに関しては回収率がいくらだという表現になって、もしそうだとしたら、それを知るためには、入れている物質のオルト、メタ、パラの異性体混合比が既知でなければできないと思います。どちらでしょうか。私もどちらか明確にすればよいと思います。
○中災防 標準液についてのオルト、メタ、パラの混合比率についてのデータはないのですが、脱着率及び回収率については各々オルト、メタ、パラで確認しているという状況になっております。ここでは分析手法としてp-ビニルトルエンのデータしか出しておりませんが、オルト、メタ、パラ各々について直線範囲、定量下限値、変動、回収率を全て出しておりますので、そのあたりを精度のところでどのように記載するかという点については、後日検討させていただき、厚生労働省様に御報告いたします。
○名古屋座長 それでよろしいでしょうか。
○鷹屋委員 はい。
○圓藤(吟)委員 はい。
○名古屋座長 ありがとうございます。
 他にありますでしょうか。
 資料1、11ページ、ばく露実態調査集計表のところで聞きしたいところがあります。測定位置の幾何平均値(※2)があり、8時間TWAの平均値(※3)があり、それから最大値(※4)があります。一番上の行はよいのですよね。平均値(0.118)があり、8時間TWAに直すと小さくなる(0.082)と、その平均値のうち高い値(最大)があって0.410でよいのですが、その下の行を見ると平均値が0.071で、8時間TWAの平均値が0.034で、最大値が0.034となっていますが、こういうことはないのではないかと思います。最大値が平均値よりは高くないとおかしいのではないかと思いますので、その点だけ検討していただけるとありがたいと思います。
○増岡化学物質評価室長補佐 わかりました。確認をした上で修正いたします。
○名古屋座長 よろしくお願いいたします。
○原委員 教えていただきたいのですが、反復投与毒性、4ページの104行目からのところ、具体的には110行目ですが、この「25 ppm群の雄の生存率は対照群に比し有意に高かった」というのは正しい結果でしょうか。生存率が低くなるので評価をしているはずだと思うのですが、この辺がよくわからないのですがいかがでしょうか。109行目あたりの体重減少の話から生存率に変わっていて、生存率で対照群に対して優位に高かったというのは、25 ppmにばく露された方が、生存率は優位に高くなるということで、考え方としてはあり得ないように思うのですが、いかがでしょうか。
○大前委員 資料1-1の別添2の評価書の159、160行目のところ、これはNTPの情報ですが、ここにこのように書いてありますので、この実験は偶然こうだったということになるかと思います。
○名古屋座長 資料ではそうなっているということですね。
○大前委員 偶然でしょうが、そういうこともあり得るということですね。
○原委員 間違って記載しているわけではなくて、あり得るということですね。わかりました。
○圓藤(陽)委員 先ほど名古屋先生がおっしゃった11ページ、「2 その他」のスポット測定のところが2点測定されていることになっているのですが、数値が入っていません。これはどうしてでしょうか。
○名古屋座長 そうですね、平均値と最大値が入っていません。もし測定値がないようでしたら「2」を消しておけば済むことですが、もしあるのであれば数字を書いてください。それも併せて、後で確認しておいてください。よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それではこの物質につきましては、初期リスク評価で終了ということでまとめさせていただきたいと思います。
 では、次にいきたいと思います。メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネート(以下、「水添MDI」という)です。よろしくお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 では資料1-2を御覧ください。
 1ページ目、「1 物理化学的性質」でございます。
 「(1)化学物質の基本情報」です。名称、別名、化学式、構造式、分子量、CAS番号については記載のとおりでございます。また、本物質は労働安全衛生法施行令別表第9に収載の物質であるほか、毒劇法において毒物の指定を受けております。
 「(2)物理的化学的性状」でございます。外観はわずかに黄色で催涙性の臭いを有する液体、密度は25℃で1.07 g/cm3、沸点が167~168℃(2×106Pa)、蒸気圧が2.13×10-6 kPa、引火点が200℃、発火点が225℃、溶解性は加水分解されるなどとなっております。
「(3)生産・輸入量、使用量、用途」ですが、製造・輸入数量は、平成28年度のデータで1,000トン、用途はポリウレタン樹脂原料、製造業者については、調査した範囲では情報は得られませんでした。
 次に、「2 有害性評価の結果」でございます。
 まず、「(1)発がん性」ですが、こちらは「報告なし」、各機関の区分についても「情報なし」となっております。
 「(2)発がん性以外の有害性」です。
 急性毒性は、ラットの吸入、経口、ウサギの経皮につきまして、記載のとおりの値が得られております。
 皮膚刺激性/腐食性ですが、ウサギに対する液体試料と固体試料を用いた試験において、軽度の刺激性が認められたということから「あり」としております。
 また、眼に対する重篤な損傷性/刺激性につきましても、ウサギの両眼結膜に液体試料、固体試料を点眼したところ、軽度の刺激作用が認められたということから「あり」とされております。
 次に、皮膚感作性ですが、ポリウレタン工場におけるアレルギー性皮膚炎の発生が報告されているということや、マウスの耳介腫脹テスト、局所リンパ節試験で皮膚感作性が認められていることから「あり」としております。
 呼吸器感作性は、モルモットの吸入ばく露試験で軽度の遅延型アレルギー反応を認めており、弱い呼吸器感作性があったとの報告もありますが、ヒトでの知見はないということから「判断できない」としております。
 次に、反復投与毒性ですが、こちらは、NOAEL=1 mg/m3です。Wistarラットを用いた4週間の鼻部吸入ばく露試験において1 mg/m3では異常を認めなかったが、6 mg/m3で鼻汁などの毒性評価の境界領域の反応を示し、高濃度の36 mg/m3では、呼吸器刺激症状と肺に明確な炎症が認められたということから、呼吸刺激性に対するNOAELは1 mg/m3とされております。また、このNOAELから不確実係数を考慮し、3ページ、94行目の式から評価レベルを求めますと0.0007 ppmという値が求められております。
 生殖毒性ですが、妊娠前の投与による呼吸器系への影響が認められる濃度で受胎率が低下しているが、催奇形性試験ではほとんど影響がみられていないということから、生殖毒性ありとは判断できないとしております。
 次に、遺伝毒性ですが、細菌を用いた復帰突然変異試験と哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験とも結果は陰性であったが、in vitroの報告は少なく、in vivoの報告もないことから結論としては「判断できない」としております。
 神経毒性でございます。ラットに20 ppm、5時間の吸入ばく露により死亡がみられ、これらのラットでは振戦と痙攣を伴う激しい呼吸器刺激性、肺の重度のうっ血と水腫がみられました。これを踏まえて、特定標的臓器毒性(単回ばく露)で、中枢神経系、呼吸器で区分1とされています。しかしながら、この症状は、致死量(LC50=295~434 mg/m3(27.4~40.4 ppm相当))に近い量のばく露であり、神経毒性によるものとは判断できないとされ、結論としては「判断できない」としております。
 次に、「(3)許容濃度等」でございます。ACGIHが1988年にTLV-TWAとして0.005 ppmを勧告しております。こちらはトルエンジイソシアネート(TDI)の毒性データを基に基準値を設定しております。TDIとその水酸化物は動物試験で膵臓や肝臓に腫瘍誘発能を持っており、TLV-TWAは0.005 ppmです。こちらの水添MDIに十分な知見が認められるまでは暫定値としてこのTDIのTLV-TWAの0.005 ppmを採用しております。
 なお、4ページの下に注としまして、TDIのTLV-TWAは、2016年に0.001 ppmに引き下げられておりますので、その提案理由を参考として記載しています。
 また、産衛学会においては許容濃度の設定はされておりません。
 その他、DFG MAK、NIOSH REL、OSHA PEL、UK HSE、OARS等についての許容濃度等の設定の状況は、5ページ、150行目以下に記載のとおりとなっております。
 「(4)評価値」でございます。一次評価値につきましては、動物試験より反復投与毒性で評価レベルを求めておりますが、二次評価値の1/10以上の値になっておりますので、設定は「なし」ということになります。
 二次評価値につきましては、ACGIHが勧告しているTLV-TWAを二次評価値として採用し、0.005 ppmとしております。
 次に、「3 ばく露実態評価」でございます。
 「(1)有害物ばく露作業報告の提出状況」です。43事業場から52作業について報告がございました。主な用途は「他の製剤等の原料」、「触媒又は添加剤」、「建材の原料」、「溶剤、希釈又は溶媒」で、主な作業の種類としては「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「成型、加工又は発泡の作業」、「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」、「充填又は袋詰めの作業」となっております。
 対象物の年間製造・取扱量は「500kg未満」が8%、「500kg以上1t未満」が10%、「1t以上10t未満」が37%、「10t以上100t未満」が31%、「100t以上1000t未満」が10%、「1000t以上」が6%となっております。作業1回当たりの製造・取扱量は、「1kg未満又は1L未満」が10%、「1kg以上1t未満又は1L以上1kL未満」が77%、「1t以上又は1kL以上」が14%となっております。
 また、作業従事労働者数ですが、「5人未満」が69%、「5人以上10人未満」が25%、「10人以上20人未満」が2%、「20人以上」が4%でした。
 1日当たりの作業時間につきましては、「15分未満」が33%、「15分以上30分未満」が17%、「30分以上1時間未満」が12%、「1時間以上3時間未満」が31%、「3時間以上5時間未満」が6%、「5時間以上」が2%となっております。発散抑制措置としましては、密閉化設備が15%、局所排気装置が73%、プッシュプルが4%、全体換気装置が25%の作業で措置されておりました。
 「(2)ばく露実態調査結果」でございます。有害ばく露作業報告のあった43事業場のうち、平成29年度に8事業場を選定して、ばく露実態調査を行っております。また、製造・取扱作業に従事する13人について個人ばく露測定を、2単位作業場につきまして作業環境測定のA測定を、14地点についてスポット測定をそれぞれ実施しております。
 測定分析方法は、6ページ、211行目以下に記載のとおりでございます。
 対象事業場における作業の概要ですが、用途としては「他の製剤等の原料」、「触媒又は添加剤」、「溶剤、希釈又は溶媒」、また、ばく露の可能性のある主な作業は「原料タンクへの投入・金型注入」、「計量・巻き付け・切り替え・主剤補充(対象物質は樹脂の主剤に含まれ、混合してロールにガラス繊維等を巻き付ける)」等の作業で、1回当たり5分から44分間の作業となっております。
 また、作業は全てが屋内作業で、ばく露防止対策としては52.4%の作業で局所排気装置が設置され、42.9%の作業で呼吸用保護具が使用されておりました。
 次は、測定結果でございます。個人ばく露測定は、13測定を行ったうち、9データが定量下限値未満であったので、4データを評価データとして採用しております。また、個人ばく露測定の結果から、8時間TWAの最大値は、ウレタン製造工程における原料タンクへの投入及び金型への注入作業中に測定された0.00023 ppmでございました。なお、こちらはデータ数が5未満のためにKS検定ができず、対数正規分布への適合は確認できませんでしたが、この4データを用いて区間推定を行ったところ、上側限界値(信頼率90%、上側5%)として0.0014 ppmが得られ、こちらがばく露の最大値ということになりますが、二次評価値0.005 ppmを下回る値となっております。
 次に、「4 リスクの判定及び今後の対応」でございます。「以上のことから、水添MDIの製造・取扱事業所においては、最大ばく露量0.0014ppm(区間推定上側限界値)は二次評価値0.005ppmを下回っており、経気道からのばく露によるリスクは低いと考えられる。また、当該物質について、日本産業衛生学会又はACGIH等による経皮吸収の勧告はなされていない。なお、当該物質は、労働安全衛生法においてリスクアセスメントの実施が義務付けられているが、皮膚感作性及び反復投与毒性を有することから、事業者は、その製造・取扱作業に従事する労働者等を対象としてリスクアセスメントに基づくリスク低減措置を講ずることが必要である。」とまとめております。
 以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございます。
 この物質につきましても、二次評価値に比べてばく露濃度の最大値が低いので、一般的には初期リスク評価で終わることになりますが、質問等何かありますでしょうか。
○宮川委員 4ページ、124行目、神経毒性のところですが、20 ppm、5時間で死亡とあり、振戦、痙攣、呼吸器刺激性、肺のうっ血等があるとの記載があり、これはACGIHです。その後で、「これを踏まえ、モデルSDSでは……」という言葉がありますが、モデルSDSの趣旨は、我々が今作っているような有害性評価書やACGIHの提案理由書、産衛学会の提案理由書などを参照し、それらの記載内容をSDSに反映させるために作っています。したがって、リスク評価書でそのモデルSDSを引用してしまうと、相互に引用し合うことになってしまいますので適当ではないと思います。モデルSDSの記載内容については、原則、本文でも、有害性評価表でも、有害性評価書でも使わないで済ますのが本来の趣旨だと思いますので、この2番目の文章、128行目の「しかしながら、」までを消していただいて、「これらの症状は、致死量に近い量のばく露であり、神経毒性によるものと判断できない」というふうにしていただくのがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○名古屋座長 修正ということですね、わかりました。
 よろしくお願いいたします。
○大前委員 6ページ、212行目、分析法のサンプリングに関する質問です。1-(2-ピリジル)ピペラジンを使って、含浸したフィルタを使っていますが、この状態でサンプリングすればガス状の水添MDIも、あるいはミストか粒子かはわかりませんが、そうした水添MDIも全部この上で反応すると考えてよろしいのでしょうか。このサンプリングの捕集率といいますか、そういう類いのものはいかがでしょうか。
○名古屋座長 中災防さん、よろしくお願いいたします。
○中災防 参考資料として、OSHA法を使ってやっており、そこに書かれていたサンプラーを最初にチョイスするという形で検討しています。使い方として、実は液体として取り扱っているということが現場調査をして初めて分かったような物質です。最初の標準液のところでは結晶又は薄片という形で標準物質があるということでしたので、当初、それで検討したという経緯はあります。
 このような経緯ですので、この方法で蒸気まで大丈夫かということについては、私どもの方ではよくわからないという状況です。海外のOSHA法を参考にしたということになります。
○名古屋座長 たぶん、CASもその方法で行っているのでしょうから仕方がないですね。
 他にありますでしょうか。
先ほど、ビニルトルエンの際にも議論したばく露実態調査集計表のところ、ここでは、9ページになりますが、その表中「4 溶剤、希釈又は溶媒としての使用」に関する計算値が違うような気がします。ばく露の幾何平均値(※2)に比べて8時間TWAの平均値(※3)が大きいということはおそらくないと思います。時間荷重平均なので値は小さくなると思います。また、最大値(※4)もその8時間TWAの平均値と同値なので、ここについても確認いただきたいと思います。
○川名化学物質評価室長 先ほどのビニルトルエンも含めて、先生方にしかお配りしていない資料に関する記載も含みますので細かいことまではお話はできませんが、「ばく露プロファイル」を御覧いただけるとどういう状況かがお分かりになるかと思います。
 ビニルトルエンでは、問題になっている2点の0.071と0.034の関係について見てみますと、測定は2点あるのですが、一方が0.071で、他方が0.031よりも小さい値になっています。そのようなことで、平均値は0.071という数字が出ており、8時間TWAに直すと0.034になります。要するに、測定値は2点ありますが1つが0.031よりも小さいので、それを計算に入れていないということになります。
 それから、先ほどのビニルトルエンのスポット2点についても、2点測定しているのですが、その値が両方とも0.446よりも小さい値になっているということから、これは「-」で表記するのが正しいのかという点はありますが、実際の数字はそうなっています。
○名古屋座長 普通に考えているのとは違う、データのばらつきが大きいところからそういう結果になっているということですね。
○川名化学物質評価室長 はい。ある数字よりも小さいということしか分からないので、計算に考慮できないという、そういうケースが生じ得るということです。
○名古屋座長 わかりました。ありがとうございます。
 他にお気づきの点はないでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、若干の修正がありましたが、この物質も初期リスク評価で終了ということにしたいと思います。
 ありがとうございました。
 次に、報告案件ということで、1-ブロモプロパンのばく露の実態調査結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 1-ブロモプロパンにつきましては、まだ有害性評価を終えておらず、二次評価値が定まっていないという状況でございます。ただ、ばく露調査の方は既に終えておりますので、本日は,その結果について御報告をさせていただきたいと考えております。
 それでは、資料2「1-ブロモプロパンのばく露実態調査結果」を御覧ください。
 まず、「1 物理化学的性質」です。
 「(1)化学物質の基本情報」ですが、名称、別名、化学式、構造式、分子量、CAS番号は記載のとおりでございます。また、労働安全衛生法施行令別表第9に収載の物質となっております。
 「(2)物理的化学的性状」でございますが、外観は無色の液体で、比重が1.35(水=1)、沸点71.0℃、蒸気圧が13.3 kPa(18℃)、蒸気密度4.3(空気=1)、融点-110℃、引火点-10℃、発火点490℃、爆発限界(空気中)が4.6~7.8 vol%、溶解性は20℃の水1Lに対して2.5 gなどとなっております。
 「(3)生産・輸入量、使用量、用途」でございますが、製造・輸入数量は平成28年度のデータで4,000トン、用途は医薬・農薬中間体、蒸気洗浄用溶剤で、製造・輸入業者につきましては、20、21行目に記載のとおりでございます。
 「2 ばく露実態評価」でございます。
 「(1)有害物ばく露作業報告の提出状況」でございます。228事業場から294作業について報告がありました。主な用途は、「洗浄」、「他の製剤等の原料」、「溶剤、希釈又は溶媒」、主な作業の種類は、「洗浄、払しょく、浸漬又は脱脂の作業」、「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「充填又は袋詰めの作業」となっております。
 対象物質の年間製造・取扱量は「500kg未満」が11%、「500kg以上1t未満」が24%、「1t以上10t未満」が49%、「10t以上100t未満」が14%、「100t以上1000t未満」が1%、「1000t以上」が1%となっており、作業1回当たりの製造・取扱量は、「1kg未満又は1L未満」が27%、「1kg以上1t未満又は1L以上1kL未満」が66%、「1t以上又は1kL以上」が8%となっております。
 また、作業従事労働者数は「5人未満」が70%、「5人以上10人未満」が17%、「10人以上20人未満」が8%、「20人以上」が5%となっております。
 1日当たりの作業時間は「15分未満」が27%、「15分以上30分未満」が10%、「30分以上1時間未満」が16%、「1時間以上3時間未満」が20%、「3時間以上5時間未満」が10%、「5時間以上」が16%となっております。
 発散抑制措置については、密閉化設備が27%、局所排気装置が75%、プッシュプルが1%、全体換気装置が22%の作業でそれぞれ設置されておりました。
 次に、「(2)ばく露実態調査結果」でございます。報告のあった228事業場のうち、平成29年度に10事業場を選定してばく露実態調査を行っております。対象事業場において、製造・取扱作業に従事する15人について個人ばく露を測定、11単位作業場について作業環境測定のA測定、28地点についてスポット測定をそれぞれ行っております。
 測定分析法は、2ページ、49行目以下に記載のとおりでございます。
 次は、対象事業場における作業の概要です。用途としては「洗浄」、「他の製剤等の原料」となっております。また、ばく露の可能性のある主な作業は、「洗浄」、「原料仕込み・添加剤等投入」などの作業で、1回当たり1~120分間の作業となっております。また、調査をした作業は、全て屋内で行われておりました。ばく露防止対策としましては、82.9%の作業で局所排気装置が設置され、67.6%の作業で呼吸用保護具が使用されておりました。
 次に、測定結果でございます。個人ばく露測定を15人に対して実施して、全てを評価データとして採用しております。個人ばく露の8時間TWAの最大値は、金属製品の洗浄及び対象物質の小分け・液補充作業中に測定された14 ppmとなっております。また、全15データでの区間推定上側限界値(信頼率90%、上側5%)は42 ppmとなり、この42 ppmがばく露の最大値になります。
 また、スポット測定の実測全データ内の最大値は78.9 ppmでございまして、これは蒸気洗浄後の回収洗浄液をタンクより抜き出し充填する作業で測定されたもので、1回の作業時間は2分間、1日に2~3回程度の作業であるということです。また、A測定の最大値は洗浄機を用いた金属部品洗浄作業場で実施したデータで、こちらは75.4 ppmとなっております。
 5ページ、こちらは用途ごとに分類したばく露結果を集計したものを記載しており、ほとんどが洗浄を目的とした使用ということになっていますが、こちらで見てみますと、個人ばく露測定結果は、最大で14.000 ppm、スポット測定の最大値が64.452 ppm、A測定の最大値は75.598 ppmという値が得られております。
 以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
 評価値が出ていないということです。ACGIHのTLV-TWAが0.1ppmで、産衛学会が0.5 ppmですから、多分この辺の数値を考えられているのではないかと思います。二次評価値は、これから出てくるということでよろしいですね。
○増岡化学物質評価室長補佐 二次評価値につきましては、有害性についていろいろな調査をした上で決定したいと考えております。
 先ほどの説明の補足ですが、今申し上げましたように、まだ二次評価値は決まっていない状況です。ただ、個人ばく露測定の結果を見ますと、かなり高いばく露があるという状況もみてとれますので、こうしたばく露の結果を踏まえ、今後行政としても対応を考えていくことが必要になってくるかと思います。そのようなことから、今回、この場をお借りして報告をさせていただくことにしました。
○名古屋座長 ありがとうございました。結果は出ていますが、評価値が出てからリスク評価の判断をするということだと思います。いずれにしても、今回の報告は高いばく露量だということですね
○川名化学物質評価室長 高いばく露量であるということもありますし、何らかの注意喚起も必要ではないかと考えます。また、取扱事業場も多いので補足的なばく露調査も検討する必要があると考えているところでございます。そのあたりにつきましては、またあらためて個別に御相談するということになるかもしれませんが、先生方の御意見も伺いながら対応を検討してまいりたいと考えております。
○名古屋座長 よくわかりました。事業場が228箇所と結構多く、ばく露も高いということですからかなり重要な物質になってくるということで中間報告になったのだと思います。
○大前委員 ばく露とは全く関係ないのですが、この中の製造業者について、一般的には製造業者とはこの物質を造っている業者というイメージがあります。例えば以前我々が経験したのはアルシンで、このアルシンの場合は日本では造っておらず全量輸入して、それをユーザーである会社が適当な濃度にブレンドして販売しているというケースがありました。そういう場合も製造業者に入れるという考え方でよろしいのでしょうか。おそらく、ここに記載のある3社は、それほど大きな会社ではないと思うので、本物質を製造しているとは思えないのですが。
○増岡化学物質評価室長補佐 そうですね、採ったデータの中にそういったものも含まれてしまっているのではないかとは思います。
○大前委員 今まで、そのようなことは全く気が付かなかったので、過去のリスク評価書で取り上げた製造業者の中にも製造はしていなくてブレンドをしている業者はおそらくたくさん入っていたと思います。そのうちどこかで整理をしていただきたいと思います。
○川名化学物質評価室長 ここに記載された製造業者・輸入業者は、出版されているある本から引用しているものです。一方、ばく露作業報告の方については、500kg以上の取扱いのあるところを出してくださいとなっておりますので、そちらの報告の方ではここに書いていないところであっても、その基準以上に達しているのであれば、当然含まれてくるものだと考えております。ただ、公表できるような製造業者・輸入業者の記述としてはこの程度だということを御理解いただきたいと思います。
○鷹屋委員 2ページ、36行目以下の1日当りの作業時間で、今までの例ですと、ばく露濃度が高い作業でも作業時間が短いとか、回数が少ないというケースがありましたが、これは5時間以上扱っているのが16%と非常に多く、かつ、今回のデータは比較的短い作業の測定だけで、8時間TWAにしても結構高い濃度が出ています。長時間扱っているような作業のところは、予備調査でばく露のリスクが少ないと判断されたのでしょうか、それとも入れなかったのでしょうか。もし、入れなかったとすると、8時間TWAにしてもさらに高いばく露のデータが出てくるかもしれませんから、もし追加の調査をされるのであれば、その辺りも御考慮いただければと思います。
○川名化学物質評価室長 その辺も考慮しながら検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○名古屋座長 取り扱っている物質量も多く、事業場も多いということで、慎重にならざるを得ないということかと思います。
 他によろしいでしょうか。
 では、これは報告ということで終わりたいと思います。
 審議は終わりましたが、その他、事務局から何かありますでしょうか。
○増岡化学物質評価室長補佐 では、資料3「今後の予定について」を御覧ください。従前、委員の皆様方には日程の調整を進めさせていただいており、1月24日に開催ということで記載しておりますが、こちらの開催については見送りという方向にさせていただきたいと思っております。1月21日のばく露評価小検討会、及び、1月24日の本リスク評価検討会では、特別有機溶剤について検討いただくことを予定しておりましたが、行政としましても、もう少し整理をした上で検討いただくべきと考えているところでございます。したがいまして、ここには記載がございませんが、1月21日のばく露小検討会、また、1月24日の本リスク評価検討会については開催を見送らせていただきたいと考えております。申し訳ございません。
○名古屋座長 ありがとうございます。
 資料がたくさんあって、なかなかまとまらずに難しいと思います。21日のばく露評価小検討会と24日の合同のリスク評価検討会は中止となりました。
 これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。