平成30年度第1回化学物質のリスク評価検討会 議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

平成30年10月15日(月)13:30~14:47

場所

労働委員会会館612会議室

議題

  1. 平成30年度初期評価対象物質のリスク評価について
    1. ビフェニル
    2. 1,2-酸化ブチレン
    3. レソルシノール
    4. オクタン(ノルマル-オクタンに限る。)
  2. その他
     

議事

 
○増岡化学物質評価室長補佐 定刻となりましたので、ただ今より平成30年度第1回化学物質のリスク評価検討会を開催いたします。委員、参集者の皆様におかれましては、本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、委員の出席状況ですが、本日は内山委員、原委員、吉成委員から所用により欠席との御連絡をいただいております。
 また、特別参集者といたしまして、櫻井委員、圓藤委員に御参加をいただいております。
 それでは以下、議事の進行を座長の名古屋先生にお願いいたします。
○名古屋座長 それでは委員会を始めたいと思います。
 事務局から資料の確認等よろしくお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補佐 それでは資料の確認でございますが、それに先立ちまして本日はペーパーレス開催にさせていただいております。既に委員の皆様方は操作されていることと思いますが、タブレット端末の操作につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 机上にタブレット端末とスタイラスペンというペン型のもの、それから「操作説明書」として表裏1枚のカラーコピーの用紙を配布しております。
 皆様、既に電源を入れられて資料一覧などが出てくるページは御覧になられていると思いますが、タブレット端末の操作方法について4点ほど説明いたします。
 1つ目が表示資料の切り替えです。本日は、複数資料がございます。画面上に一覧が出ているかと思いますが、そのうち、見たい資料を指かあるいはペンでタッチしていただきますと該当する資料が開きます。また、一覧の方に戻るには、画面左上の「マイプライベートファイル」というところがございますので、そちらをタッチしていただくと一覧に戻ります。そこからまた改めて見たい資料を選んでいただくことができます。
 表示操作のうち、ページをめくる操作ですが、どれか1つ資料を開いていただきたいと思います。そのページをめくっていただくには、指を画面上に置いていただき、上下に払うように動かしますと、ページが上下に動きます。また、下の方にアイコンがあり、それを扱うと資料の先頭ページにいったり、1ページ単位でめくったり、あるいは戻ることも可能となっております。こちらの方はお手元の「操作方法」の中にアイコンの説明がございますので御覧いただければと思います。
 表示の拡大・縮小ですが、こちらは画面上に指を2本置いていただきまして、その置いた状態で指の間隔を開くようにすると拡大、その逆に閉じるように動かしていただくと縮小となっております。文字が細かいなどということがございましたら適宜、拡大・縮小をして見やすい大きさにしていただくことが可能です。
 資料の内容についての検索も可能になっております。下の方に虫メガネのアイコンがありますが、それをタップしていただきますと入力画面とキーボードが画面に表示されますので、そこで入力していただきますと文字検索ができます。検索のところに、右側に左向き・右向きの>、<のような記号がございますが、それを押していただくと、検索で該当する次の文字列、あるいは1つ前の文字列というふうに移動していただくことができます。
 タブレット端末につきましては、縦置き、横置きのいずれも可能になっておりまして、それぞれ画面が回転して資料の上の方が画面の上にくるようになりますので、こちらは見やすいようにセットしていただければと思います。
 説明としては以上となりますが、操作にあたって御不明の点等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 では、タブレット端末の操作方法については以上でございます。続きまして資料の確認です。配布しているものの中に議事次第と配布資料の一覧を記載した資料がございます。こちらを開いていただきますと、1ページ目に議事次第が出てきます。その次に配布資料一覧となっております。本日は、初期リスク評価書について御審議いただきますので、資料1-1~1-4に、それぞれビフェニル、1,2-酸化ブチレン、レソルシノール、ノルマル-オクタンについての初期リスク評価書(案)を付けております。また、資料2として「今後の予定について」、また、参考資料1として「ばく露実態調査対象物質の評価値について」、参考資料2、こちらは非公開となっておりますが「ばく露実態調査集計表」、参考資料3「経皮吸収に関する評価方法について(暫定)」、参考資料4「これまでのリスク評価の進行状況」を添付しております。
 タブレット端末のファイルの一覧のところで過不足なく保存されているか御確認いただければと思います。もし漏れ等ございましたら事務局までお申し付けください。
 資料の方はよろしいでしょうか。
 では、いったんお戻しいたします。
○名古屋座長 それでは本日の審議に入りたいと思います。
議題1は、ばく露実態調査対象物質リスク評価についてということで、ビフェニルから説明願います。
○増岡化学物質評価室長補佐 それでは資料1-1、ビフェニルのリスク評価書を開いてください。
 表紙があり、その後から記載に沿って順次説明させていただきたいと思います。
 まず「1 物理化学的性質」です。
名称はビフェニル、別名、化学式、構造式、分子量、CAS番号につきましては記載のとおりとなっております。また、この物質につきましては、労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる物質ということで、ラベルやSDSあるいはリスクアセスメントの対象物質になっております。
 またビフェニルについては、15行目に「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質」とありますが、いわゆるがん原性指針の対象物質ということにもなっております。
 次に、物理化学的性状ですが、外観は特徴的臭気のある白色の結晶又は薄片ということで、比重1.04(水=1)、沸点256℃、蒸気圧が25℃で1.19Pa、蒸気密度が5.3(空気=1)、融点70℃、溶解性が20℃の水100mLに対して0.0004gなどとなっております。
 また、生産・輸入量、使用量、用途でございますが、平成25年度で1,000t以上2,000t未満、また用途につきましては熱媒体及びその原料、染色助剤、防かび剤、合成樹脂などとして使われております。
 次に「2 有害性評価の結果」です。
 発がん性につきましては、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とされております。根拠につきましては、「ビフェニルの経口投与によりF344ラットの雄に膀胱の移行上皮がん、移行上皮乳頭腫、扁平上皮がん及び扁平上皮乳頭腫が認められたことから、雄ラットに膀胱がんを誘発すると考えられた。また、BDF1マウスでは、雌に肝臓の肝細胞がんと幹細胞腺腫の発生率が有意に増加したことから、雄マウスに肝細胞がんを誘発すると考えられた。」ということでございます。
 また、各評価区分につきましては、IARC、日本産業衛生学会(以下、「産衛学会」という)、EU CLP、NTP 13th、ACGIHについては情報がなく、DFGにつきましては3-Bということで評価されております。閾値の有無につきましては、遺伝毒性を根拠として「判断できない」となっております。遺伝毒性につきましては後ほど御説明申し上げます。
 発がん性以外の有害性ですが、急性毒性につきましては、データの読み上げは省略させていただきますが、P.2の中程以下のような半数致死量等のデータがあります。
 皮膚刺激性/腐食性でございますが、こちらにつきましては「なし」ということです。
 眼に対する重篤な損傷性/刺激性につきましては、ウサギで軽度の刺激性を示したということで「あり」とされております。
 また、皮膚感作性につきましては「なし」、呼吸器感作性につきましても調査の範囲内で報告は得られておりません。
 また、反復投与毒性ですが、先日の有害性評価小検討会におきまして、こちらの反復投与毒性に関する記載につきましては、バイオアッセイ研究センターのラットを対象とした混餌投与試験に基づく記載とすべきであるということで御指摘をいただいておりますので、そちらに改めており、BMDL10/HEDが13.9mg/kg体重/日となっております。評価レベルは、不確実係数、種差等を考慮して93行目に記載の計算式により求めております。
 次の生殖毒性につきましては、「判断できない」となっております。
また、遺伝毒性につきましても「判断できない」ということです。先ほど発がん性の閾値につきまして「判断できない」としましたが、その根拠としてはこの遺伝毒性について判断できないということから、そのようにさせていただきました。
 神経毒性につきましては「あり」ということです。こちらにつきましては作業場の実際のばく露の状態からLOAELを0.6mg/m3にしております。こちらから、不確実係数、根拠LOAELからNOAELへの変換、あるいはその評価レベルの算出につきましては、資料1-1、P.4の126行目に示した計算式のとおりとなります。
 次に許容濃度でございます。ACGIHが0.2ppmを1968年に勧告しております。産衛学会につきましては情報なしとしているほか、DFG MAKは設定なし、NIOSH RELとOSHA PELにつきましてはいずれも0.2ppmを勧告しております。
 評価値でございます。一次評価値につきましては、発がん性を示す可能性があるが遺伝毒性が判断できず、閾値の判断ができないということから、「一次評価値なし」としております。なお、一次評価値の意味につきましては、P.4下の※欄に記載したとおりでございます。
 二次評価値でございますが、こちらはACGIHの勧告を採用し、0.2ppmとしております。
 引き続きまして、「3 ばく露実態評価」でございます。
平成28年に33事業場から計68作業について有害物ばく露作業報告が提出されております。対象物の主な用途は「他の製剤等の原料としての使用」、「対象物の製造」などで、作業の種類は、「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」、「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」などとなっております。年間製造・取扱量は、「500kg未満」が25%、「500kg以上1t末満」が7%、「1t以上l0t末満」が25%、「10t以上100t末満」が12%、「100t以上1,000t未満」が19%、「1,000t以上」が12%となっております。また、作業1回当たりの製造・取扱量は、「1kg未満又は1L末満」が53%、「1kg以上1t末満又は1L以上1kL未満」が37%、「1t以上又は1kL以上」が10%でした。また、従事労働者数につきましては、「5人末満」が66%、「5人以上10人未満」が17%、「10人以上20人未満」が7%、「20人以上」が10%となっております。さらに、1日当たりの作業時間でございますが、「15分未満」が57%、「15分以上30分未満」が12%、「30分以上1時間未満」が7%、「1時間以上3時間未満」が12%、「3時間以上5時間末満」が9%、「5時間以上」が3%となっております。また、発散抑制措置につきましては、密閉化装置が設置されているのが17%、局所排気装置の設置が25%、全体換気装置の設置が14%となっております。
 「(2) ばく露実態調査結果」でございます。報告のあった33事業場のうち7事業場を選定してばく露実態調査を実施しました。労働者11人について個人ばく露測定を行うとともに、12地点についてスポット測定を行いました。ばく露測定結果につきましては、ガイドラインに基づき8時間加重平均(TWA)濃度を算定しております。
 測定分析方法につきましては、サンプリングがInertSep Slim-J AERO SDBを用いて捕集、分析法としてはガスクロマトグラフ質量分析法となっております。
 対象事業場における作業の概要でございますが、主な用途としては「他の製剤等の原料として使用」であって、主な作業としては「サンプリング」「部品交換」「油の比重測定」などの作業で、1回当たり数分から数十分の作業が多くを占めております。また、作業環境は、調査した作業の全てが屋外で行われておりまして、ばく露防止対策は7%の作業で局所排気装置が設置され、67%の作業で呼吸用保護具が使用されておりました。
 測定結果ですが、11人に対して定量下限値以上の濃度であった10データを評価データとして採用しました。個人ばく露測定の結果から、8時間TWAの最大値は、製品充填及び微調整の作業中に測定された0.0032ppmでした。また、信頼率90%で区間推定した上限値(上側5%)は、0.0027ppmということで、ばく露の最大値は個人ばく露の最大値の0.0032ppmであって、二次評価値の0.2ppmを下回っております。また、スポット測定の実測データは、最大で油の比重測定作業の0.06347ppmであり、1回の作業時間は各約5分、一月に各約1回の作業となっております。
 次のページの4が結論にあたる部分で、「リスクの判定及び今後の対応」となります。これまでの結果から、「ビフェニルの製造・取扱事業所においては、最大ばく露量0.0032ppm(個人ばく露実測データの最大値(TWA値))は二次評価値0.2ppmを下回っており、経気道からのばく露によるリスクは低いと考えられる。しかしながら、当該物質は、ヒトに対しておそらく発がん性があり、かつ、経皮吸収が指摘されている物質であることから、経皮ばく露に係るリスク評価を実施して、経皮吸収に関する知見や保護具の使用等のデータを積み重ねた上で、当該物質についてのリスクを確定させるべきである。」となります。資料中(資料1-1、237行目)、経皮吸収のところに※印を付けさせていただいております。先日のばく露小検討会の際にも、こちらは確認いただいた部分ですが、ドイツのDFGによって経皮吸収の勧告がなされており、経皮吸収が指摘されている物質ということで整理をさせていただいております。「なお、当該物質は、ヒトに対しておそらく発がん性があり、経皮吸収があるほか、神経毒性及び反復投与毒性がある物質であることから、事業者はリスクアセスメン卜を行い、その製造・取扱作業に従事する労働者等を対象として自主的なリスク管理を行うことが必要である。」ということでまとめさせていただいております。
 長くなりましたが、以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。ビフェニルにつきまして、御意見等ありますでしょうか。
○圓藤(陽)委員 誤字の指摘をさせていただきます。神経毒性のところ、121行目の「作業場の平均期中濃度」の「期中」を「気中」に直してください。それだけです。
○増岡化学物質評価室長補佐 ありがとうございます。修正いたします。
○名古屋座長 他にありますでしょうか。
○宮川委員 質問ですが、有害性評価小検討会のときに気付けばよかったのですが、許容濃度はACGIHで、「粉じんの吸入による鼻腔、気道、肺等の障がい」と書いてあります。今回、このばく露実態報告などを見ていて、結果が全てppmで書いてあります。ということは、実際のばく露は蒸気の気体のばく露だったということなのでしょうか。その場合、もともとの粉じんの許容濃度との関係が少し気になりました。
○名古屋座長 中災防(中央労働災害防止協会)さん、この濃度の表記についてはどうでしょうか。
○中災防 実際の調査につきましては、私どものやったところでは粉を取り扱っているところがなく、蒸気でのばく露実態調査だけになっております。基本的にはコールタールピッチというものに入っている、それから熱伝導媒体で使われているところが主でしたので、調査はそういうところで実施させていただきました。以上です。
○名古屋座長 ちょっとよくわからなかったので質問ですが、例えば取扱量のところ、167行目のところに年間取扱量「500kg未満」と書いてあります。報告書は「500kg以上」となっていますが、ここに「未満」が出てくる理由は何かあるのでしょうか。
○増岡化学物質評価室長補佐 おそらく500kg未満でも提出してきた事業場があるというだけだと思います。
○名古屋座長 わかりました。
○櫻井委員 188行目のところに「サンプリングはInertSep Slim-J AERO SDBというのを用いて」とあります。こういう固体で蒸気を発生するものに対して使うのが便利だということで、ナフタレンなどで効果を発揮したというようなことですが、それは固体と両方をサンプリングできるという意味なのか、逆に固体がそこにあっても蒸気の方だけをうまくサンプリングするという意味なのか、どちらなのかを教えていただきたいのですが。
○中災防 こちらは固相カートリッジですので、フィルタは付いていないタイプのものです。今回は粒子状物質が対象になっていなかったといいますか、たまたま作業場の方で粒子状のものを扱っていなかったので、ガスだけ採取すればよかったので大丈夫だということです。
 ただ、粒子状物質があると取れることは取れますが、100%は取れないので、そういった場合にはフィルタが必要になります。フィルタは別途つけられるようにはしてあります。
○櫻井委員 今回は粒子状のビフェニルの発生は考えられないという判断でこうなっているわけですね。
○中災防 はい、そうです。
○櫻井委員 わかりました。
○名古屋座長 これが規制対象物質になるのか否かはわかりませんが、もしなった場合、ガスではなく粒子があった際にはここのサンプリングの標準分析を少し変えなければならないのではないでしょうか。要するに粒子も取れるし、ガスも取れるというように分析方法の別添1のところを変えるということですね。はい、ありがとうございます。
○圓藤(陽)委員 33事業場のうちで、粉体で取り扱っているところは皆無だったということなのでしょうか、それともたまたま今回の事業場において粉体使用がなかったということでしょうか。
○中災防 はい、取扱事業場で「結晶状、粉状で取り扱っている状態があります」という回答があった事業場が3事業場ございました。その内の2事業場につきましては、私どもの方で調査したところ、取り扱いがないということがわかりましたので調査はできませんでした。残りの1事業場については、調査日程が調整できなかったという状況です。常に取り扱っている物質ではないものですから、調査自体の調整ができなかったということになります。
○宮川委員 最後の結論部分の242行目ですが、「事業者はリスクアセスメントを行い……」とあって、たしかにそのとおりだと思いますが、今回のような物質ですと粉体なのかガスなのか状態によってサンプリングなどがけっこう難しいところがあると思いますので、余計なことかもしれませんが、なるべくそういうところに便利な情報を行政としては発信していただくのがよろしいかと思います。
○名古屋座長 ありがとうございました。
 ビフェニルにつきましては、今のところはばく露だけの話ですが、経皮吸収がありますので、この報告は中間報告で止めておいて、経皮ばく露が出てきたときにあわせて評価するということでよろしいのですね。
○増岡化学物質評価室長補佐 はい、そのようにしたいと思います。
○名古屋座長 初期リスク評価の結果が出る前に事業場に教えて、こういうのがあるので注意してくださいということだと思います。そこは多分書いていただけると思いますのでよろしくお願いいたします
 では、修正等は漢字の誤字しかありませんでしたので、本評価のとおりということにします。最終的には、経皮吸収のある物質であるということから本評価は中間報告と位置付け、経皮ばく露に係るリスク評価を行って、後でもう一度結論を出すということでよろしいでしょうか。
 では、次に移りたいと思います。
○増岡化学物質評価室長補佐 では資料1-2、1,2-酸化ブチレンになります。こちらの資料を開いていただきたいと思います。こちらも順次項目に沿って御説明申し上げます。
 表紙の後からですが、まず、「1 物理化学的性質」でございます。「(1)化学物質の基本情報」で、名称、別名、化学式、構造式については記載のとおりでございます。分子量、CAS番号も記載のとおりでございます。 この物質につきましては、先ほど申しました安全衛生法施行令別表9の対象物質となっております。
 次に「(2)物理化学的性状」です。外観は特徴的な臭気のある無色の液体、比重は0.83(水=1)、沸点63.3℃、蒸気圧が20℃で18.8Pa、蒸気密度が2.2(空気=1)、融点が-130℃、溶解性は、25℃の水100mLに対して9.5gなどとなっております。
 生産・輸入量、使用量、用途については、製造・輸入量が平成25年度のデータで617t、トリクロロエタンの安定剤、塩ビコンパウントの特殊溶剤、医薬品・農薬・界面活性剤の原料等として使われております。
 「2 有害性評価の結果」でございます。
 「(1)発がん性」でありますが、「ヒトに対する発がん性が疑われる」ということで、「IARCはヒトではデータはないが、実験動物で発がん性の限定的な証拠があるとし、ヒトに対する発がんの可能性がある」としています。DFGは動物実験の結果及び遺伝毒性の結果から、ヒトに発がんが予想されるとしています。また、各評価区分ですが、IARCが2B、産衛学会が第2群B、EUが2、NTP、ACGIHは情報なしで、DFGが区分2ということで設定をそれぞれしております。閾値の有無につきましては、後ほど御説明いたします遺伝毒性の判断を根拠に、「なし」と判断をされています。
 「(2)発がん性以外の有害性」ということで、急性毒性につきましては、ラット、マウス、ウサギについてそれぞれ掲げるような半数致死量等のデータがあります。
 次に皮膚刺激性/腐食性でございますが、こちらもヒトに対して刺激性があり、皮膚に赤みを生じるというようなことから、「あり」とされております。
 眼に対する重篤な損傷性/刺激性につきましても、ヒトに対する影響あるいはその動物試験の結果等から、これも「あり」とされています。
 皮膚感作性ですが、こちらにつきましては「なし」と、また、呼吸器感作性につきましても、調査の範囲では「報告なし」となっております。
 それから、反復投与毒性ですが、こちらはマウスに対する102週の吸入ばく露の試験の結果から、LOAELが50ppmとされております。こちらから評価レベルは、資料1-2、93行以下に記載のような計算式を用い、0.38ppmと算出しております。
 次の生殖毒性ですが、こちらにつきましても情報が少ないというところで、「判断できない」と結論付けております。
 遺伝毒性でございますが、こちらについてはin vitroあるいはin vivoの試験の結果を踏まえ、遺伝毒性「あり」と結論をしております。
 神経毒性でございますが、こちらもヒトに対する影響、また、動物試験の結果から「あり」ということで結論しております。
 「(3)許容濃度等」でございますが、ACGIH TLV-TWA、産衛学会、DFG MAK、NIOSH REL、OSHA PEL、英国につきましては、いずれも「設定なし」となっておりますが、米国のAIHAにおきましては、発がんリスクを最小限に抑えて気道刺激の可能性に対する適切な防止策を提供する濃度ということで、2ppmを設定しております。設定に当たっては類似した酸化エチレン、あるいは酸化プロピレン等の許容濃度等も考慮しつつ決定されています。また、許容濃度以外にDFGにつきましては、「H」とありますが、経皮吸収が勧告されておりますので、これも併せて考慮する必要があるということになっております。
 「(4)評価値」でございます。一次評価値につきましては、発がん性を示す可能性があり、遺伝毒性があり、閾値がない場合で、生涯過剰発がんの10-4レベルに相当するばく露濃度が設定できないということで、「なし」としております。また、二次評価値につきましては、ACGIH、産衛学会は勧告がありませんが、先ほど申しましたように、米国のAIHAにおいて勧告がなされていますので、これを採用して2ppmとしております。
 次に「3 ばく露実態評価」です。
「(1)有害物ばく露作業報告の提出状況」は、平成28年に17事業場、24作業について報告がありました。主な用途は、「他の製剤等の原料として使用」、「洗浄を目的とした使用」で、作業の種類は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」、「洗浄、払しょく、浸漬又は脱脂の作業」などでありました。対象物質の年間製造・取扱量は「500kg未満」が21%、「500kg以上1t未満」が4%、「1t以上10t未満」が29%、「10t以上100t未満」が29%、「100t以上1,000t未満」が17%、「1,000t以上」が0%でした。作業1回当たりの取扱量は「1kg未満又は1L未満」が17%、「1kg以上1t未満又は1L以上1kL未満」が56%、「1t以上又は1kL以上」が28%となっております。労働者数は「5人未満」が67%、「5人以上10人未満」11%、「10人以上20人未満」11%、「20人以上」11%です。また、作業時間は「15分未満」50%、「15分以上30分未満」22%、「30分以上1時間未満」17%、「1時間以上3時間未満」6%、「3時間以上5時間未満」6%、「5時間以上」0%となっております。また、発散抑制措置として、密閉化装置が設置されている作業が5%、局所排気装置が設置されている作業が45%となっております。
 次に「(2)ばく露実態調査結果」でございます。報告のあった17事業場中5事業場に対して調査を実施しております。また、取扱作業等に従事した10人について個人ばく露測定を行うほか、4単位作業場について作業環境測定のA測定に対応する測定、また、8地点についてはスポット測定を実施しております。
 測定分析方法はサンプリングが球状活性炭管でガステック社製のものを用いて捕集し、ガスクロマトグラフ質量分析法で脱着については二硫化炭素、1時間放置ということで実施しております。
 対象事業場における作業の概要ですが、主な用途は、「他の製剤等の原料として使用」、「洗浄を目的とした使用」です。主な作業としては「充填」、「原料投入」、「仕込み」、「洗浄」等の作業で1回当たり5分から1時間程度の作業が多くを占めております。また、作業環境は、調査した作業ではローリーからの受入れ作業などを除くと、多くが屋内で行われておりまして、62%の作業で局所排気装置が設置され、同じく62%の作業で呼吸用保護具が使用されています。
 次は、測定結果です。10人の測定をしておりますが、就業中に及ぶばく露実態調査が実施できなかったタンクローリー運転手を除き、9人分のデータを評価データとして採用しています。個人ばく露測定の結果からTWAの最大値は製品充填、微調整の作業中に測定された1.1ppmで、また、推定値の最大が2.5ppmとなっております。このことから、区間推定上側限界値の2.5ppmが最大ばく露ということになり、二次評価値の2ppmを上回っております。なお、スポット測定の実測データは、最大で原料投入作業の18.014ppm、1回の作業時間は各5分~10分、月に各8日の作業となっておりました。
 以上を踏まえまして、次のページ(P.8)、「4 リスクの判定及び今後の対応」ですが、「以上の事から、1,2-酸化ブチレンの製造・取扱事業場においては、最大ばく露量2.5ppm(区間推定上側限界値)が二次評価値(2ppm)を上回ると判定されたことから、さらに詳細なリスク評価を行い、ばく露の高い要因等を明らかにする必要がある。詳細リスク評価の際には、二次評価値を上回ると思われる作業(対象物質の投入、仕込み作業)等について、当該作業工程に共通した問題かをより詳細に分析するとともに、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性があるかどうかを確認する必要がある。また、当該物質はヒトに対して発がん性が疑われ、かつ、経皮吸収が指摘されている物質であることから、経皮吸収に関する知見や保護具の使用等作業実態のデータを積み重ねた上で、当該物質についてのリスク評価を確定させるべきである。(※DFGによる勧告がなされている。日本産業衛生学会又はACGIHによる経皮吸収の勧告はなされていない。) なお、詳細なリスク評価の実施に関わらず、当該物質はヒトに対して発がん性が疑われ、経皮吸収があるほか、遺伝毒性及び神経毒性のある物質であることから、事業者はリスクアセスメントを行い、当該事業に従事する労働者等を対象として自主的なリスク管理を行うことが必要である。」
とまとめさせていただいております。
 以上でございます。
○名古屋座長 どうもありがとうございました。
 ばく露濃度のところを見ますと、推定値が二次評価値を超えており、そのまま詳細リスク評価を行うということで、今までどおりの流れになると思いますが、何か質問等ありますでしょうか。
○津田委員 発がん性の評価のところですが、このとおりでよいのですが、2Bの評価になっているので明示された方がよいと思います。
○名古屋座長 34行あたりでしょうか。「ヒトに対する発がん性が疑われる」という中で、2Bがありますので、このあたりだと思います。
 あと1つお願いするとすれば、資料1-2、P.29別添4の分析のところに「許容濃度等」と書いてありますが、数値の記載がどこにもありません。せっかくAIHAの2ppmがありますので、これは入れておいた方がよいのではないかと思います。29ページの最後のところになると思いますが、許容濃度はOSHAなど全部「-」となっていますが、2次評価値がきちんとあるので、年度と一緒に入れておかれた方が、それが後々もしかしたら管理濃度になる可能性がありますので、入れておいてあげた方がよいのではないかと思いました。
○増岡化学物質評価室長補 わかりました。
○大前委員 この個人ばく露測定ですが、最大値を示した1.1ppmの方は、主成分の入ったタンクに安定剤の1つとして対象物質を投入したという作業です。秤量済みが1回で5分間の作業で、これを8時間に延ばすと1.1ということですね。したがって、これは短時間作業なので、今度詳細評価にいくときは、できれば短時間ではなく、8時間とはいいませんが、もっと長い時間作業をしているようなところの個人ばく露を測っていただければよいと思います。そういう測定の可能なところがあればということですが。
○名古屋座長 わかりました。
○宮川委員 細かいことですが、266行のところにあるばく露推定の表ですが、下から2つ目の(参考)の書き方について、「対数変換9データでの区間推定上側限界値」というのは、意味がわかりにくいと思います。高い方からいくつか取ってくるということをここにいつも書くことになっていて、これは、普通は10なのでしょうか。データが10ないので9を書いたと、それが見た人がわかるような表現の工夫があるとよいと思いました。
○名古屋座長 その辺のところ、よろしくお願いいたします。
 そうしましたら、ここの最後のところの「今後の対応」に書いてありますように、詳細リスク評価にいったときに、今までのところも当然ですが、また同等な作業の中で高いところを測定結果の中に入れて、反映していただければと思います。
 結果的には、リスクが高いことから詳細リスク評価を行いますが、経皮吸収のある物質ですから、詳細評価に伴って経皮吸収に対する評価も入れたいと思いますので、その辺の調査もよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、次に進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補 それでは資料1-3を開いてください。レソルシノールでございます。こちらも項目に沿って御説明申し上げます。
 まず、「1 物理化学的性質」の「(1)化学物質の基本情報」ですが、名称、別名、化学式、構造式、分子量、CAS番号につきましては、記載のとおりです。この物質も労働安全衛生法施行令別表第9の対象物質になっております。
 次に、「(2)物理化学的性状」ですが、外観は白色の結晶で、空気や光にばく露したり、鉄に接触するとピンクになります。比重は1.28(水=1)、沸点は277.5℃、蒸気圧は25℃で0.00065hPa、また、融点は110℃、溶解性は20℃の水100mLに対して140gなどとなっております。
 また、製造・輸入量はレソルシノール及びその塩として、2013年のデータですが、47.8t、また、ジヒドロキシベンゼンとして平成25年度のデータでは10,000tなどとなっております。また、用途につきましてはゴム・タイヤ用接着剤、染料、分析用試薬、木材接着剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などとなっております。また、製造業者につきましては、調査した範囲では住友化学、オキシデンタル・ケミカル(輸入)といった製造・輸入業者がありました。
 次に「2 有害性評価の結果」でございます。発がん性につきましては、動物試験において発がん性の証拠はみられておりません。また、各評価区分は、IARCがグループ3、あとは産衛学会、EU CLP、NTP 13thは情報なし、ACGIHはA4という評価をしており、このようにヒトへの影響(疫学調査及び事例)について、調査した範囲では報告は得られていないということから、ヒトに対する発がん性は判断できないとしました。
 発がん性以外の有害性でございます。ラットの吸入毒性、経口毒性、また、ウサギの経皮毒性について半数致死量等のデータがあります。
 皮膚刺激性/腐食性ですが、こちらはタイヤ工場で働く作業員の症状というところから「あり」としております。
 また、眼に対する重篤な損傷性/刺激性につきましても、ウサギに対する試験結果などから「あり」としております。
 皮膚感作性につきましては、パッチテストの結果、あるいは実験動物の結果から陽性ということで「あり」としております。
 なお、呼吸器感作性につきましては、調査した範囲内では報告は得られておりません。
 反復投与毒性につきましては、ラットに対しての強制経口投与試験の結果からNOAELを50mg/kg体重/日としております。ここから83行目の計算式によって評価レベルとして6.7ppmを算出しております。なお、こちらのレソルシノールの反復投与毒性につきましては、文中を見ていただきますと、76行目のところですが、雄につきましてはLOAELが112mg/kg体重/日とあり、こちらを採用する必要があるのかどうかという点の確認につき、先日の有害性評価小検討会におきまして御指摘のあったところでございます。こちらは元文献も確認し、座長の大前先生や御指摘いただいた江馬先生にも御確認をさせていただきました。その結果、急性影響の繰り返しで量・影響関係も不明確であり、また、雄のNOAELがLOAELの10分の1とは考えにくいという点から、こちらにつきましては、原案どおりNOAELの50mg/kg体重/日という値を採用することでまとめさせていただいております。
 次に生殖毒性ですが、こちらは「なし」となっております。また、遺伝毒性につきましても、in vitroあるいはin vivoの結果を踏まえて「なし」ということで結論付けられております。
 神経毒性につきましては、ヒトに対しての健康影響が報告されていることを踏まえ「あり」としております。
 次に「(3)許容濃度等」でございます。ACGIHにおきましてTLV-TWAで10ppm、短時間ばく露(TLV-STEL)で20ppmをそれぞれ勧告しております。産衛学会につきましては特に設定はなし、DFGについても設定はありませんでした。NIOSHにつきましてはACGIHと同様、TWAとして10ppm、短時間ばく露(ST)として20ppmを勧告しております。OSHAは特に勧告はございませんでした。また、イギリスのHSEですが、こちらにつきましても8-hrTWA10ppm、短時間ばく露(ST)20ppmという勧告がありましたが、これに加え、経皮吸収(Sk)を2007年に勧告しておりましたので、こちらをあらためて記載しております。
 「(4)評価値」でございます。一次評価値につきましては、動物試験より導き出された評価レベルが二次評価値の10分の1以上ということで、先ほど御説明した反復投与毒性ですが、これが二次評価値で採用した10ppmの10分の1、1ppmを超えていたというところから、評価値は「なし」となっております。
 二次評価値につきましてはACGIHが勧告している10ppmを採用しております。
 次に「3 ばく露実態評価」でございます。
平成28年に62事業場、114作業について報告がありました。主な用途は「他の製剤等の原料としての使用」、「触媒又は添加剤としての使用」で、作業の種類は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「ろ過、混合、攪拌、混錬又は加熱の作業」、「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」等となっております。年間製造・取扱量は「500kg未満」が19%、「500kg以上1t未満」8%、「1t以上10t未満」40%、「10t以上100t未満」26%、「100t以上1,000t未満」6%、「1,000t以上」0%でした。また、作業1回当たりの製造・取扱量は、「1kg未満又は1L末満」が21%、「1kg以上1t末満又は1L以上1kL未満」が67%、「1t以上又は1kL以上」が13%でした。また、作業従事労働者数につきましては、「5人末満」が68%、「5人以上10人未満」が16%、「10人以上20人未満」が14%、「20人以上」が3%となっております。また、1日当たりの作業時間ですが、「15分未満」が28%、「15分以上30分未満」が16%、「30分以上1時間未満」が23%、「1時間以上3時間未満」が22%、「3時間以上5時間末満」が4%、「5時間以上」が7%となっております。発散抑制措置は密閉化装置が6%、局所排気装置が64%、全体換気装置が22%で設置されています。
 ばく露実態調査は、作業報告のあった62事業場のうち8事業場を選定し、調査を実施しました。製造・取扱作業に従事する12人について個人ばく露測定を行い、4単位作業場について作業環境測定のA測定を、14点についてスポット測定を実施しております。
 測定分析方法はサンプリングとしてNOBIAS RP-SG1WA、また、分析方法として高速液体クロマトグラフ法を用いております。
 対象事業場における作業でございますが、「他の製剤等の原料としての使用」が主なもので、ばく露の可能性のある主な作業は「投入」、「計量・秤量」等の作業で、1回当たり数分から数十分の作業が大半を占めています。また、調査した作業のほとんどが屋内で行われており、ばく露防止対策は80%の作業で局所排気装置が設置され、80%の作業で呼吸用保護具が使用されています。
 測定結果は、12人の労働者のうち、定量下限値以上の濃度である4データを評価データとして採用しております。個人ばく露の測定の結果から8時間TWAの最大値は0.012ppmで、こちらは投入作業中に測定されたものです。また、推定値の最大値が0.025ppmとなっております。このことから、ばく露最大値は推定値の0.025ppmとなりまして、二次評価値を大きく下回っております。また、スポット測定の実測データは最大で原料投入作業の0.477ppmで、1回の作業時間は各30分、1年に各280日の作業となっておりました。
 P.7、「4 リスクの判定及び今後の対応」については、
「以上の事から、レソルシノールの製造・取扱事業所においては、最大ばく露量0.025ppm(区間推定上側限界値)は二次評価値10 ppmを下回っており、経気道からのばく露によるリスクは低いと考えられる。しかしながら、当該物質は、経皮吸収が指摘されている物質であることから、経皮ばく露に係るリスク評価を実施して、経皮吸収に関する知見や保護具等のデータを積み重ねた上で、当該物質についてのリスクを確定させるべきである。(※英国安全衛生庁による経皮吸収の勧告がなされている。日本産業衛生学会又はACGIHによる経皮吸収の勧告はなされていない。)当該物質は、神経毒性及び反復投与毒性がある物質であり、経皮吸収が指摘されていることから、事業者はリスクアセスメントを行い、その製造・取扱作業に従事する労働者等を対象として自主的なリスク管理を行うことが必要である。」としております。
 以上でございます。
○名古屋座長 どうもありがとうございました。
 従来ですと、二次評価値が10ppmで最大が0.012ですから初期リスク評価で終わる物質なのですが、ビフェニルと同様に経皮吸収があるということなので、経皮ばく露の結果を待ってということになるかと思います。
 質問等ありますでしょうか。
○宮川委員 先ほどと同じですが、これも全部測定結果がppm表示ですが、粉体を投入する作業等の中で実際にガス体での吸入だったのか、粉体の方はどうなっているのかというのが気になりますので、いかがでしょうか。
○中災防 このレソルシノールのサンプラーですが、いちばん最後のページにあるかと思いますが、NOBIAS PR-SG1WAというものは、固相カートリッジの前にガラス繊維フィルタが付けられておりますので、粒子状のものも一緒に捕集されてしまうというものでございます。脱着するときは両方まとめてなので、それぞれで分析ができないのですが、そういった両方を含んだ結果というものでございます。
○宮川委員 そうだとしますと、結果の記載のときにppmという体積・体積でもっての記載ではなく、本来であればmg/Lで表示をした方が正確なことが伝わるような気がしますが、いかがでしょうか。換算をしなければいけなくなると思いますが、4.5倍にすればよいのだと思います。
○名古屋座長 ここの表記は、NIOSHみたいに10ppm(45kg/m3)というかたちで2つ表記しておけば大丈夫ではないかと思います。表記だけの問題だと思います。
○中災防 ではそのようにいたします。
○鷹屋委員 ばく露小検討会のときも聞いたのですが、本筋の話ではありませんが、製造・輸入量がレソルシノールであれば47.8tで、ジヒドロキシベンゼンとして10,000tとありますが、少々の違いであればよいのですが、これだけケタが違うというのは、これは私の推測ですが、ジヒドロキシベンゼンはカテコールとヒドロキノンの方が多いということだと思います。そこだけ確認していただければと思います。ですから、表記が違って50tしか認識されていないのか、ジヒドロキシベンゼンという統計だとカテコール、ヒドロキノンも併せて、おそらくヒドロキノンの方の使用量がはるかに多いのだと思いますが、ヒドロキノンとカテコールの使用量・輸入量も調べていただいて、おそらくこのレソルシノールとしては50tだけ使われているのだろうということだけは確認されておかないと、50tと10,000tでは関係する労働者の数が大きく違ってくる可能性がありますので、そこだけは確認していただければと思います。
○名古屋座長 これは輸入量とそのところも関係してくるということですね。
○鷹屋委員 はい。
○名古屋座長 そうですね、わかりました。では、それを調べて記入していただければと思います。
○増岡化学物質評価室長補 可能な範囲で調べます。
○名古屋座長 他によろしいでしょうか。
 これはビフェニルと同じように、本来的には初期リスク評価で終わるのですが、経皮吸収がある物質ということで、今回の評価は中間報告と位置付けて、経皮ばく露によるリスク評価が出たときにもう一度検討するということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。
 最後の物質をお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補 それでは資料1-4、ノルマル-オクタンでございます。こちらも資料に沿って御説明申し上げます。
 まず「1 物理化学的性質」ですが、「(1)化学物質の基本情報」として名称、別名、化学式、構造式、分子量、CAS番号につきましては記載のとおりでございます。また、この物質も労働安全衛生法施行令別表第9の対象物質となっております。
 「(2)物理化学的性状」でございますが、外観は特徴的臭気のある無色の液体、比重0.70(水=1)、沸点126℃、蒸気圧が25℃で1.33Pa、蒸気密度が3.94(空気=1)、融点-56.8℃、溶解性については水に対して「溶けない」となっております。
 生産・輸入量等は、平成26年度のデータで6,000t、用途としては有機合成及び共沸蒸留の溶剤として用いられるとなっております。
 「2 有害性評価の結果」ですが、発がん性につきましては、調査した範囲では充分な報告はなく、ヒトに対する発がん性は「判断できない」としております。
 また、各評価区分につきましては、IARC、産衛学会、EU CLP、NTP 14th、ACGIH、DFGいずれも「情報なし」となっております。
 発がん性以外の有害性です。急性毒性については、ラットに対する吸入毒性、経口毒性、また、マウスに対する吸入毒性について半数致死量等のデータがあります。
 皮膚刺激性/腐食性につきましては、ヒトに対する影響というところで「あり」としております。
 眼に対する重篤な損傷性/刺激性につきましても、ヒトに対してあるということで、これも「あり」としております。
 また、皮膚感作性、呼吸器感作性につきましては、いずれも報告がありません。
 反復投与毒性ですが、こちらはラットを対象とした吸入ばく露試験の結果を踏まえ、NOAELを7.48mg/Lとしております。評価値につきましては、この値から、73行目の計算式を使って120ppmと算出しております。
 次に生殖毒性につきましては、調査した範囲では報告を得られないということから、「判断できない」となっております。また、遺伝毒性につきましては、細菌を用いた復帰突然変異試験で1件の陰性がありましたが、in vivo試験及びヒトにおける報告がないということから「判断できない」と結論付けられております。
 神経毒性につきましては、ヒト、マウスに対する麻酔作用、マウスにおける神経毒性の報告、また、マウスに対する吸入ばく露試験の結果を踏まえ、NOAELを2,000ppmとされております。この結果から、評価レベルにつきましては、96行目の計算式によって100ppmと算出されております。
 次に「(3)許容濃度等」でございます。ACGIH TLV-TWA及び産衛学会はいずれも300ppmを勧告しております。その他、DFGは500ppm、NIOSH RELが75ppm(天井値として385ppm)、またOSHA PELにつきましては300ppm(TWA)、短時間ばく露(STEL)で375ppmをそれぞれ勧告しております。
 「(4)評価値」につきましては、一次評価値は、動物試験より導き出された評価レベルが二次評価値の10分の1以上のため、「なし」としております。また、二次評価値につきましては、産衛学会及びACGIHが勧告している値ということで300ppmを採用しております。
 次に「3 ばく露実態評価」です。
ばく露作業報告につきましては、平成28年に107事業場、273事業について報告がありました。主な用途は「他の製剤等の原料としての使用」、「対象物の製造」、作業は、「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」、「充填又は袋詰めの作業」、「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「保守、点検、分解、組立又は修理の作業」などとなっております。対象物質の年間製造・取扱量は、「500kg未満」が20%、「500kg以上1t末満」が6%、「1t以上l0t末満」が17%、「l0t以上l00t末満」が16%、「100t以上1,000t未満」が18%、「1,000t以上」が22%です。また、作業1回当たりの製造・取扱量は、「1kg未満又は1L末満」が44%、「1kg以上1t末満又は1L以上1kL未満」が37%、「1t以上又は1kL以上」が19%でした。また、当該作業従事労働者数は、「5人末満」が54%、「5人以上10人未満」が19%、「10人以上20人未満」が5%、「20人以上」が22%となっております。また、1日当たりの作業時間ですが、「15分未満」が61%、「15分以上30分未満」が5%、「30分以上1時間未満」が9%、「1時間以上3時間未満」が13%、「3時間以上5時間末満」が11%、「5時間以上」が1%となっております。発散抑制措置につきましては、密閉化装置が27%、局所排気装置が32%、全体換気装置が11%設置されております。
 「(2)ばく露実態調査結果」でございます。107事業場のうち5事業場に対して実態調査を実施し、対象事業場については、従事する作業者14人について個人ばく露を測定し、16地点についてスポット測定を行っております。
 測定分析方法につきましては、サンプリングが球状活性炭管を用いて捕集、分析法は固体捕集管で採取し、溶媒抽出法により分析を行っております。
 対象事業場における作業の概要でございますが、主な用途としては「他の製剤等の原料としての使用」、「溶剤希釈又は溶媒」、「洗浄」、「接着」でございます。主な作業は「洗浄」、「ガソリン塗布」、「原料投入」、「ゴム糊小分け」等の作業で、1回当たり5秒から数十分の作業が多くを占めておりました。なお、ガソリン塗布につきましては1回当たり5秒程度の作業を1日に300から450回行われるということでございます。また、作業環境は、調査した作業のほとんどが屋内で行われており、ばく露防止対策としては50%の作業で局所排気装置が、50%の作業で呼吸用保護具が使用されております。
 測定結果ですが、14人の労働者に対して測定を実施し、定量下限値未満の2データと、午前中のみのばく露調査となった1データを除き、11データを採用しております。測定の結果から、8時間TWAの最大値は、部品洗浄の作業中に測定された0.79ppm、また、信頼率90%で区間推定した上限値(上側5%)は1.6ppmとなっております。このことから、ばく露の最大値はこの区間推定上側限界値の1.6ppmとなりますが、二次評価値を大きく下回っております。また、スポット測定の実測データは、最大で原料投入作業の1.680ppmであり、1回の作業時間は約10分、1日に2回の作業となっておりました。
 P.7、「4 リスクの判定及び今後の対応」につきましては、「以上の事から、ノルマル-オクタンの製造・取扱事業所においては、最大ばく露量1.6 ppm(区間推定上側限界値)は二次評価値 300 ppmを下回っており、経気道からのばく露によるリスクは低いと考えられる。また、当該物質について、日本産業衛生学会又は ACGIHによる経皮吸収の勧告はなされていない。
当該物質は、神経毒性及び反復投与毒性がある物質であり、事業者はリスクアセスメントを行い、その製造・取扱作業に従事する労働者等を対象として自主的なリスク管理を行うことが必要である。」とまとめております。
 以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
 ばく露最大値が二次評価値に対して著しく小さいので問題はないと思いますが、質問等ありますでしょうか。
○圓藤(陽)委員 このオクタンはガソリンの中の1成分としてオクタンがあって、その濃度を測ったということでしょうか。
○中災防 ノルマル-オクタンについては、オクタンの中でもノルマル-オクタンを測定したということです。一番取扱いが多かったのは、やはり今おっしゃられたように、ガソリン、あるいはゴム揮発油として使っているところでした。ガソリン中のオクタンは、イソオクタンが一番多いのですが、今回は、イソオクタンではなくノルマル-オクタンだけを対象にして測定しております。
 今回の調査で一番ノルマル-オクタンの含有率が高かっただろうと思われている事業場はC事業場です。ここがゴム揮発油に含まれるというかたちで、「オクタン」ということでしたが、使用していました。SDSではオクタン45%含有という表示があったということになっております。
 ということで、混合物の中の1つの物質を測定したということになります。以上です。
○圓藤(陽)委員 ガソリンとしてやったらどのぐらいになるのでしょうか。トータルとしてですが。
○中災防 ガソリンとしてC8とかC5のという測定の仕方がございますが、今回はガソリンとしては分析しておりませんので、申し訳ございませんがそこはわかりません。
○圓藤(陽)委員 ピークでいったら、相当多くのピークが出てくると思うのですが。
○中災防 そうです。いろいろなピークが出てきて、その中のノルマル-オクタン1つだけを対象に分析しております。
○圓藤(陽)委員 ありがとうございました。
○大前委員 おそらくどちらかが間違いなのですが、P.1の蒸気圧の値が1.33Pa(25℃)になっていますが、いちばん最後のページ(P.24別添4)では、1,880Pa(25℃)になっています。どちらかが間違っていると思いますから修正してください。おそらく前が間違っていると思います。
○増岡化学物質評価室長補 申し訳ございません。確認して、修正いたします。
○名古屋座長 数値が違いますので、修正等よろしくお願いいたします。
○宮川委員 この物質についてはこれでよろしいかと思いますが、先ほど圓藤先生からありましたように、ガソリンとして混合物でばく露している場合、特に似たような物質が混ざっている場合、ターゲットとなるエンドポイントが同じようなところに影響があるとすると、一般的には混合物のときの許容濃度を考えなければいけないことになっております。「これで大丈夫だったのだ」という誤った安心を与えないようにするために、「実態の作業としては混合ばく露なのでそれについては注意が必要だ」という注意をどこかに一言でもよいので書いておいていただくと、一般に対する説明としてよろしいのではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
○増岡化学物質評価室長補 わかりました。御指摘の点を踏まえまして記載方法を考えるとともに、通常このような評価書を取りまとめますと、関係業界団体等を通じて管理の要請も行っておりますので、そういった中で、そういった注意も必要であるということを書けるのかという点も併せて考えたいと思います。
○名古屋座長 よろしくお願いいたします。エチルベンゼンも入っていますから。
 他にありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、従来どおり、ばく露濃度が低いということと、それから二次評価値が著しく小さいということ、それから経皮吸収はありませんので、ノルマル-オクタンは初期リスク評価で終わるということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。
 そうしましたら4物質終わりまして、ビフェニルとレソルシノールにつきましては、経皮ばく露は低いのですが、経皮吸収があるということですので、本結果では中間報告と位置付けて経皮ばく露のリスク評価と併せて再評価するということだと思います。それから1,2-酸化ブチレンにつきましては、詳細リスク評価に行きますが、経皮吸収がありますので、それを併せて調査していただきたいと思います。それから、最後のノルマル-オクタンは初期リスク評価で終了ということになります。
 何か他に質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、これで議題の方は終わりましたが、「その他」について事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○増岡化学物質評価室長補 「その他」として資料2に「今後の予定」ということで付けさせていただいております。資料2を御覧ください。
 本日、4物質につきましてリスク評価を行っていただきましたが、本年度はまだ17物質ほど予定しておりますので、こちらにつきまして、まず第2回目として12月6日、第3回目として、年末で恐縮でございますが、12月27日ということで委員の先生方とは日程調整をさせていただいたところでございます。また、第4回は、現在調整中で未定ではございますが、予備日という位置付けで1月をめどに日程を調整させていただきたいと思っております。
 また、今回、リスク評価検討会に先立ちまして、各小検討会、ばく露評価と有害性評価、それぞれにつきましても、現在、委員の皆様方には日程の調整を進めさせていただいているところでございますので、併せてお願い申し上げます。
 今後の予定としては以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。年末でなかなか大変な時期だと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日のリスク評価検討会を閉会させていただきます。本日はありがとうございました。