第6回 副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会(議事録)

労働基準局監督課

日時

平成31年4月16日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館18階)

議題

・現行制度の課題の整理2
・その他

議事

 

○岸田監督課長補佐
 守島座長が、電車の遅れで少し到着が遅れていらっしゃいますので、資料の御説明から先に始めさせていただければと思います。
 定刻になりましたので、ただいまより第6回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところをお集まりいただき、まことにありがとうございます。
 本日は、小畑委員と島貫委員が御欠席です。
 本日は、前回に引き続き、現行制度の課題の整理をしていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず、資料について御説明をさせていただきます。今回の検討会もペーパーレスで行わせていただきます。まず、資料の御確認をお願いいたします。
 資料1として「現行制度の課題の整理マル2」、参考資料1として「現行制度の課題の整理マル1」、参考資料2として「副業・兼業の促進に関するガイドラインのパンフレットの抜粋」がございます。
 その他、座席表が入っております。
 うまく見られないなどございましたら、事務局までお申しつけください。
 次に、資料の内容について御説明をさせていただきます。
 本日御議論いただきたい資料は資料1になりますけれども、前回の現行制度の課題の整理の続きでございますので、まず、参考資料1をごらんいただきまして、少し前回の振りかえりをした後に、今回の資料について御説明させていただければと思います。
 まずは参考資料1でございますが、現行制度の課題の整理のマル1です。こちらは前回の第5回の検討会の検討事項でございました。前回の資料に、それぞれ四角の囲いが追加されてございまして、そこに先生方の前回の主な御意見を追記した形の資料になっております。
 それ以外のところにつきましては、前回の資料そのままとなっております。
 前回御議論いただきました事項につきましては、まず(1)の「副業・兼業先の労働時間の把握方法について」で、それぞれ課題について御議論いただきました。
 まず、マル1ですが、自己申告で労働時間を把握する場合でございますけれども、こちらは先生方から、事務量が膨大だとか、膨大なコストになるのではないかというような御意見をいただいているところでございます。
 続きまして、企業としては自己申告が正しいかどうかわからないという課題についてですけれども、先生方の御意見としては、まず1つ目のポツのところで「電子機器などの利用により、客観的な労働時間が把握できることもあるが、しっかりと労働時間をモニタリングして把握していくことになると、それに伴い生じるストレスの問題や私的領域への介入といった課題も出てくるのではないか」というような御意見もございました。
 次のポツですけれども、下から3行目ですが、「使用者側からの圧力などによって労働時間を少なく申告せざるを得ない状況になっている場合には問題があるので、そういった状況が起きない形で法整備していく必要がある」というような御指摘もございました。
 次に2ページ目の上から2つ目のポツですが、「客観的な把握を貫徹しようとすると、相当私的な領域について法が介入することになり、非常に過剰な規制となるのではないか」というような御指摘もございました。
 次の現行制度の課題のところですが、自己申告を労働者の方が望まない場合についてでございます。それに関して、前回の先生方の御意見といたしましては、上から3つ目のポツですが、「公法上、申告義務を課すことも私生活について把握を要請する点で、ある程度の介入となり得るが、技術的な形で客観的に把握するケースと比べると、その介入の程度は低いものとして位置づけられるのではないか」ですとか、一番下のポツの下から2行目の最後のあたりからですが、「自己申告を基本とした考え方も参考になるのではないか」というような御意見もございました。
 続いて3ページでは、マル2で「使用者間で、労働者の労働時間数などの情報をやりとりする場合についてどう考えるか」ですが、先生方の全体の御意見としては、使用者間のやりとりはなかなか難しいのではないかというような御意見があったかと思います。
 続きまして、4ページでは割増賃金について御議論いただきました。アの「割増賃金の趣旨について」でございますけれども、割増賃金については両面があるということで、通算して割増賃金がもらえることは、収入を得たい労働者にとってメリットになることと、一方で、使用者としては通算して法定労働時間を超える者は雇わないということで、副業・兼業をして収入を得たい労働者の雇用をかえって阻害するデメリットになるのではないかというような課題についてです。
 前回の御意見としては、真ん中のポツですが、「収入を得たい労働者にとってメリットとなることは、労働基準法の趣旨とは違うものだと思うので、事実上のメリットを尊重すべきなのか、あるいは法の趣旨に立ち戻るべきなのかは検討の余地があるのではないか」というような御意見をいただきました。
 また、次の課題の「別の使用者の下で働く場合に、労働時間を通算して割増賃金の支払い義務があることが、時間外労働の抑制装置たり得るのかということについて、どう考えるか」ですが、下の2ポツ目のところで、「同じ企業の中でこれからさらに働くと割増賃金が発生する状況で、初めて割増賃金が長時間労働の抑制装置になり得るのではないか。また、他の企業で働いた時間を後で申告されて割増賃金を払うように言われたとしても、自社で法定労働時間を超過して働いてもらっていない企業からすると納得感がないのではないか」ということです。
 そして、次のところですが、「例えば、同じ使用者との間で複数の異なる労働契約を締結する場合や、同一の使用者の複数事業場で働く場合については労働時間通算ということをしていかないと法の潜脱になってしまうので、当然通算は必要になってくるのではないか」というような御意見がございました。
 少し飛ばしまして、5ページでイの割増賃金の算定方法です。課題の「労働契約の先後での判断について、実際の労働時間と合っていないことがあることについて、どう考えるか」ですけれども、御意見といたしましては「現行の解釈通達の前提として、契約の先後で決まることなどもあって、必ずしも時間外労働の抑制装置とはなっていない面もあるのではないか」がございました。
 また、次のポツですが、「割増賃金の趣旨の一つとして、その日に8時間以上働いた重い労働の負担に対する対価、報酬があるが、契約をどちらが先に締結したかということとその日に8時間を超えた重い労働を負ったことが符合しないため、契約の先後で考えることを貫徹すると、割増賃金制度からすると不合理な結果を生じることもあるのではないか」というような御指摘もいただきました。
 次の6ページでございますが、「日々、副業・兼業先の労働時間数の把握を行う必要があることについて、どう考えるか」についてです。こちらについては次の1ポツ目ですが「現行制度が非常に複雑であること、つまり月当たりざっくりした労働時間を把握すれば良いわけではなく、一日一日の労働時間を把握しないとどちらが割増賃金を負担するかを判断できない今の仕組みを前提として、一日一日の判断をしながら割増賃金を通算していくのは、現実的ではないのではないか」というような御指摘がございました。
 (3)の健康管理につきまして、課題としては「副業・兼業をしている者に対する特別の健康確保対策はとられていないことについて、どう考えるか」でございます。先生方の御意見としては、7ページの一番上でございますが「日本は諸外国とは状況が違うことを前提に、健康管理との関係で新たに労働時間を通算するような仕組みを設けていく方向性が考えられるのではないか」というようなものがございました。
 少し飛ばしまして4ポツ目でございますけれども、「どちらがどれだけ健康の問題に影響しているか判断がつく場合もあると思うが、判断がつかないことがかなり想定される。健康管理の観点から労働者を守るために、事業者なり本人にフィードバックするときにどういう判断をするのかは非常に困難になるだろうということが予測される。そこをどう整理するかを考えなくてはいけない」という御意見がございました。
 次のポツですが、「雇用・非雇用を含めた労働時間を自己申告等によって把握し、一定時間を超える場合には指導を行う仕組みとすることが考えられるのではないか。ただし、指導するとしても、自社の部分については措置を講ずることができるが、副業先の使用者に対してコントロールを及ぼす権限はないことから、労働者に対してアドバイスをする程度にとどまるのではないか」という御意見がございました。
 最後の8ページですけれども、「医師の面接指導について、例えば副業を自己申告したら実施するということは、今の制度の趣旨とも合っているし、基本的には自己申告ベースの中でできるだけ本人が自分の健康を守るために積極的に使ってもらう仕組みを用意することは今の枠組みの中でもできるのではないか。ただし、その結果として、産業医という立場で副業・兼業を止めることができるのかなどについてはよく整理する必要があり、そうしないと非常に動きにくい制度になってしまうのではないか」というような御意見がございました。
 時間の関係で全ては御紹介できませんでしたが、前回はそういった御議論をされているところでございます。
 それを踏まえまして資料1、本日の検討事項でございます。現行制度の課題の整理マル2について、御説明したいと思います。こちらの検討課題につきましては、今御説明しました、前回御議論いただいた事項の中では、御議論いただいていなかった事項を新たに追加して、今回、御議論をしていただく事項とさせていただきたいと思います。
 まず(1)といたしまして「副業・兼業を行う労働者の保護に当たっての留意事項」でございます。まず、「裁判例では」とございますが、参考資料2のところで「副業・兼業に関する裁判例」がございますので、そちらが御参考でございます。裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、労務提供上の支障がある場合等とされておりますけれども、ただ一方で、企業の中で就業規則で何らかの規制がされていることが多い現状がございますので、そういったことについてどう考えていくかというのが1つ目でございます。
 2つ目でございますが、使用者に通算した労働時間の管理を厳格に求めることとすると、上記の、自分のところ以外は基本自由だと言っているような裁判例に照らして、合理性がどこまで認められるのかというのが2つ目でございます。
 そして、3つ目といたしまして、副業・兼業にはマル1のとおり「企業内だけでは身につけられない幅広い経験を身につけ、生産性の向上やイノベーションを進めるようなもの」と、マル2のような収入面からのもの、例えばバイトの掛け持ちなどというような二極化しているものがございます。そういったことがございますけれども、使用者の労働時間管理や健康管理の観点から、両者は同一に取り扱うべきであるのか、それとも差を設けるべきであるのかについて、御議論いただければと思います。
 そして(1)の最後の○ですが、副業・兼業には雇用のものと非雇用のものとございますけれども、それぞれ労働時間管理や健康管理の観点で取り扱いに差を設けるべきかどうかでございます。
 続きまして(2)の上限規制を遵守するに当たっての課題でございます。上限規制を遵守するためには、少なくとも通算した労働時間が上限規制を超えそうな労働者については、日々厳密に労働時間把握を行う必要性が生じますが、これについてどう考えていくか。
 次の○ですが、上限規制のために労働時間を把握する場合、自己申告を基本とすることについて、どう考えるか。
 次の○ですが、労働者からの自己申告を求める場合、その客観性についてどう考えていくべきかということです。
 最後の○ですが、使用者が労働者の副業・兼業の事実を知らない場合ですとか、労働者からの適切な自己申告が得られない場合について、どう考えていくか。
 本日は、これらについて御議論いただければと思っております。
 守島先生、よろしくお願いいたします。
 
○守島座長
 ありがとうございました。
 これは順番にやっていったほうがよろしいですか。ランダムでも大丈夫ですか。
 どの点からでも構わないので、御意見をいただければと思います。
 松浦委員、どうぞ。
 
○松浦委員
 御説明ありがとうございました。
 ランダムということで、途中の3つ目の○の、副業の内容によって差を設けるべきか、同一にすべきかという論点ですけれども、恐らく内容によって差を設けるのは、実務的になかなか難しいのではないかと感じました。たとえば生産性の向上だとかイノベーションにつながるかどうかは判断が難しいでしょう。外形的に把握できるものでないと、区分の基準にはなり得ないというか、なりにくいのかなという気がいたしております。
 一つのやり方としては、労働時間の上限規制の対応として、通算した労働時間の把握がある程度行えることを前提にすれば、通算した労働時間が長いか短いかで、分けることは可能かもしれません。1つの企業でフルタイムかパートタイムかという分け方もあるのかもしれないのですけれども、そうすると、パートタイムで何件も掛け持ちで副業している場合には、やはり健康リスクは高まってきてしまって、抜け穴が生じてしまうので、そういう意味では、通算の労働時間が長いか短いかということが1つの基準になり得るのかなと考えております。
 
○守島座長
 ありがとうございます。石﨑委員、お願いいたします。
 
○石﨑委員
 今、松浦委員から御意見があったところですけれども、私もこの点に関しては、区別は難しいと思っております。生産性向上に資するような兼業と、収入面からの兼業で区別するのだとすると、恐らく後者のほうが要保護性が高いといったような趣旨での御提案なのかなとも思ったのですが、生産性向上やイノベーションを進めるような兼業についても収入目的で従事されている方もいらっしゃると思います。
 また、主な動機は収入面であるけれども、それに従事することでいろいろなスキルの獲得であるとか、そういったポジティブな効果を持つ兼業もあるかと思いますので、実務上、この区別は困難であると私も考えています。
 区別があり得るとすれば、副業・兼業が本当に労働者自身の意思に基づいて行われている兼業なのか、それとも実は使用者の一定の影響下のもとで行われている兼業なのかといった形での区別があり得るかなと思うところでして、極端なケースは1つの使用者との間で複数契約を締結するような場合ですけれども、それ以外にもある使用者と別の使用者の間で何らかの協定とかを結んで、出向元と出向先で両方働くという形での兼業であるといったケースか、全く使用者が関知しないところで労働者が自ら望んで行う兼業なのかという区別はあり得るかなと思っているところです。
 
○守島座長
 ありがとうございます。水島委員、お願いします。
 
○水島委員
 今の点についてですが、生産性向上に資する兼業と収入面からの兼業とでは属性が異なるところがあると考えますので、この論点が提示されたことは非常に意味があると思っております。
 生産性向上に資する兼業に対して、規制を強くかけることは、副業・兼業を妨げる方向に働くと思います。
 (2)の1つ目の○にあるように、日々厳密に労働時間把握を行うようなことを仮にやるとしたら、使用者に非常に負担がかかるだけでなく、生産性向上に資する兼業を考える労働者も、そのような管理がもしされるのであれば、あえて副業・兼業をしなくなるのではないか。退職して別のところで働くとか、自営されるとか、そうなってしまうのではないかと思います。
 他方、収入面からの兼業は、石﨑委員もおっしゃったように、副業・兼業を余儀なくされる方々であって、まさに労働時間管理や健康管理が必要と思います。ただ、そうは言うものの、両者の兼業をどのように切り分けるかは、大変難しい問題でありまして、極端なことを言うと、一定以上の年収の生産性向上に資する兼業にはこうした規制をかけなくてよいとか、そのようなことも思うのですけれども、これは非常に難しいと思います。
 両者を同一に取り扱わないことについて、私は理由はあると思うのですが、実際に差を設けるのはかなり困難ではないかというのが私の結論です。
 済みません。長くなりました。
 
○守島座長
 ありがとうございます。荒木委員、どうぞ。
 
○荒木委員
 先ほどの参考資料1の4ページの最後のポツなのですけれども、例えば同じ使用者との間で複数の異なる労働契約を締結する場合とか、同一使用者の複数事業で働く場合に通算は必然的だということが書いてあります。ここは別の使用者のもとで働く場合の話なので、ここに書く場合には書き方に注意した方がいいと思います。石﨑先生が言われたように、別の使用者、別の事業場ということを悪用する場合に一定の規制が必要だということは、恐らく共通の理解があると思いますが、そういう例外的な場合を除いて考えた場合にどうかということが議論となるのだろうと思います。
 そうすると、参考資料1の4ページの一番下は「例えば」というよりも、「別の使用者のもとで働く場合とは異なり」とか、何かそういう注釈を入れていただいた方が、誤解を招かないかなと思います。
 先ほど議論になっていたのは、出向関係などのように実質的に同一使用者の強制力のもとに行われるような場合は、むしろ全く別の使用者との間での副業・兼業とは違う、そういう場合についてはどうするかという趣旨でおっしゃったと思いますので、そういう議論だということで整理しておくことが必要だと思います。
 もう一つは、8時間、40時間を超えて「労働させてはならない」のは、通常であれば同一使用者のもとで強制される労働を想定しておりますが、副業・兼業するかどうかは基本的には本人の判断で、副業・兼業しなさいと命じられることは、よっぽど例外的な場合でなければ、普通は想定されないだろうと思います。そこは違うということは踏まえるべきだと思います。
 それが(1)の4番目の○にかかわってきますけれども、副業・兼業の場合には雇用のものと非雇用のものがあるということで、非雇用での副業・兼業を労働法制は規制できるかというと、恐らくこれは困難だろうと思います。以前に議論したこともありますけれども、本当に国民の健康を守る観点から、独立自営者も含めて何時間以上稼働してはいけないという規制をするということであったら別論ですが、それはやはり国民の自由を、労働関係に限って労働法制は規制していると思いますので、それ以外のことまで規制するのかという問題につながっていくと思います。
 あくまで雇用・雇用の場合について労働法制はどこまで規制するのかということであって、非雇用については原則及ばないと考えることになるのではないか。そして雇用・雇用の場合に、先ほど言ったように、これは同一使用者の場合とは相当状況が異なることも踏まえる必要があるだろうと考えております。
 
○守島座長
 ありがとうございます。石﨑先生、お願いします。
 
○石﨑委員
 補足いただきまして、ありがとうございました。
 また別の論点になりまして、最初の○の「裁判例では」という部分ですけれども、確かに裁判例は労働者が労働時間以外の時間を使うのは労働者の自由で、制限できるのは例外的な労務提供上の支障がある場合に限られるということを述べているのですが、裁判例を理解するときには、その事案との関係でこういった判断が示されているということを理解することが重要と考えております。
 つまり具体的な事案との関係で、会社の就業規則の規定を直接適用することはできないといったようなことが、特に解雇とか、労働契約終了の場面で判断がされているところからしますと、兼業・副業それ自体について就業規則である程度抽象的な形で、何らかの制限がされていること自体は、直ちにそれが公序に反して違法・無効だとか、そういったことまでは裁判例は言っていないことになります。もちろん労働者の自由を制限していることで望ましくないとはしましても、それが直ちに裁判例に照らしても違法・無効になるということではないのかなと思っております。
 また、2番目の○のうち、「通算した労働時間の管理を厳格に求めることは」というところについて、お伺いしたいのですが、これは法令が使用者に求めることということでしょうか。使用者が労働者との関係で労働時間の管理を厳格に求める規定を置くことも、使用者の裁量の範囲に含まれるかと思うのですが、2番目の合理性がどこまで認められるかというのは、国が使用者に対して求めることについての合理性の問題ということですか。
 
○岸田監督課長補佐
 そうです。
 
○石﨑委員
 そうでしたか。
 この点に関しては、この裁判例からすると、自由が原則なはずなので、これを求めることが適切ではないという問題意識になるのでしょうか。
 
○岸田監督課長補佐
 裁判例の解釈のお話がございましたけれども、一方で労働時間以外の時間を労働者がどのように利用するかは自由だ、自由にさせなさいというようなことを言っておきながら、もう一方で自由にさせなければいけない時間まで含めて厳格に管理することを求めるのは、使用者に対して少し背反するようなことを求めるように感じられるところではありますけれども、それについてどう考えていくべきか、御意見を賜れればと思います。
 
○石﨑委員
 わかりました。この点に関しては、また後のところでも議論になると思いますが、そういった通算した労働時間の管理を厳格に求めることが強行法規の要請であると解するのであれば、裁判例には抵触しないことになるかなと理解しております。
 
○守島座長
 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。
 今の点について言えば、就業規則で規制される理由というか、なぜそこで規制しているのかまで踏み込まないと、多分この判断はなかなかできないのだろうなと思うのです。経営側が何らかの形で秘密を守るであるとか、情報漏洩を忌避するであるとか、そのような意図から職業によっては完全に副業・兼業ができないケースもあり得るとは思うのです。
 その場合、そこまで禁止をしてしまうと、経営側にとってはある意味では自分の経営に対するマイナス面は出てくるわけなので、就業規則の中身まで本当に踏み込んで議論ができるかというと、それもちょっと難しいように思いますので、そういう意味では就業規則で規制されていることについてどう考えるかという意味で言うと、それは必要な場合もあるし、必要でない場合もあるだろうというのが私の意見です。
 荒木委員、どうぞ。
 
○荒木委員
 (1)の最初の○と2つ目の○が、原則と例外が両方あるので少し整理したほうがいいと思うのです。最初の○は、そもそも副業・兼業を規制できるかという話で、例えば競業関係に立つ就業とか、あるいは副業・兼業をすることが本業をすることの妨げとなるような場合については、副業・兼業自体を就業規則で規制してもよいのだけれども、そういう本業に支障があるような場合を除いては、副業・兼業は本来規制できないという話だと思います。
 そうすると、次の○はそういう例外的に規制できる場合を除いては、副業・兼業は本来本人の自由であろう、本人の自由であるところに、労働時間規制として通算をして厳格な管理をするのは、自由にできると言いながら自由にできなくなってしまうではないかと、それが矛盾しているので、そういう規制をすることが合理的なのでしょうかというのが恐らく問いかけだったと思います。
 ここでこれを規制すると決めてしまえば規制しますということなのですが、そもそもそういう規制をすることが合理的か、妥当なことかが問われていると思いますので、その点については先ほどいろいろ言いましたけれども、本来、副業・兼業は、今契約を締結する使用者との関係からいろいろと制約されるべきではないという裁判例が出てきている。
 そういう中で、本人が副業・兼業をしたいときにどこまで規制をするのか。規制をするときの一つの根拠は、使用者は違っても長時間労働がその人の健康を破壊するのではないかという懸念があるという観点から、どこまでの規制が妥当なのかというあたりを議論していかなければいけないのだと思います。
 
○守島座長
 石﨑さん、どうぞ。
 
○石﨑委員
 今の点についてなのですけれども、2番目の点について、私はこの「上記の裁判例に照らし」というところが気になったので、その意味では求めることもあり得るのではないかということを先ほど申し上げたのです。労働時間の管理を厳格に求めることは、それによって時間を把握して、長時間労働にならないという目的から、そういったことが提案されていると思うのですが、私個人の考えとしましては、2番目の論点にもつながってくるかもしれませんが、実は厳格に求めれば求めるほど、労働者のほうは兼業の時間を自己申告しないとか、あるいは兼業それ自体を申告せずに闇で働くといったようなこともふえてくる可能性があることも考えますと、余り厳格に求め過ぎてしまうと、兼業の把握もできない。健康保護のためのいろいろな対応をとろうとしても、それもできないということで、かえって労働者の健康保護に資さない結果になるのではないかと考えております。そのような観点から、労働時間管理を厳格に求めることについては疑問を持っているところです。
 
○守島座長
 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。
 水島委員、お願いします。
 
○水島委員
 (1)の4番目ですけれども、私も雇用と非雇用では差をつけざるを得ないと思っています。ただ、雇用の保護を図れば図るほど、非雇用化が進むことを懸念します。副業・兼業先には雇用のものと非雇用のものもあることも踏まえた上で、どれだけ労働者を保護すべきであるのか。雇用の非雇用化に進まないような、そうしたことも含めて検討が必要ではないかと考えます。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかにどなたかございますか。
 松浦委員、お願いします。
 
○松浦委員
 (1)の1番についてですが、モデル就業規則だと副業・兼業は、条件つきの制限・禁止となっています。労務提供に支障がある、企業秘密が漏洩する、信頼関係が破壊される、競業等の条件に、具体的に社員がどういう行動をとった場合に該当するのかが、現場の運用の中ではっきりしないのではないでしょうか。この点が、副業・兼業の普及の阻害要因の一つになっているのかもしれません。
 ただ、だからといって、それを例えば行政解釈だとか、あるいはガイドラインだとかで決められる話ではなくて、現場の労使の話し合いの中で具体的にこういう行動がこの条件に該当するのだと考えてもらうしかないので、規定の面では政策的に手を出す余地があまり残されていないように思います。
 もう一つ(1)の4つ目の○に関する補足です。例えば健康確保という観点から規制にグラデーションをつけるとすると、基準は通算した労働時間で区分するしかないのではないかというお話を先ほどさせていただいたのですけれども、非雇用の場合は労働時間管理がなされないので、そもそもそういう対象から外れてしまうことになります。それがいいのか悪いのかは別途議論が必要ですが、非雇用については、少なくとも今の制度のもとでは労働時間を把握ができないという限界はあります。
 
○守島座長
 ほかに何かございますでしょうか。
 ちょっと1つだけ、私が教えていただきたいところがあるのですけれども、この1番の3番目の○のマル1とマル2は、何が違うという想定をされているのですか。
 
○岸田監督課長補佐
 いろいろあろうかと思いますけれども、これまで検討会の中で収入が二極化しているというようなお話がございましたので、一つはその側面があるのではないかと思っています。本当にお金のため、生活のために掛け持ち、複数就業せざるを得ない方々がいらっしゃる一方で、生活のためではないのだけれども、プラスアルファの能力だとか、いろいろなものの兼ね合いで働いている方がいらっしゃるということで、まず収入面の二極化をイメージはしています。
 
○守島座長
 わかりました。
 表現の問題だけかもしれないので、別にそんなに重要なポイントではないのかもしれませんけれども、生産性とかイノベーションを求めるのは個人の場合もありますけれども、主に企業であって、本人が求めるのは今おっしゃったような能力の活用であるとか、スキルアップであるとか、そのような話だと思うのです。
 それがなぜ必要かと言うと、もちろん内的にそういうことを望む場合もあるし、それによって収入が高くなる場合もあると思うのですけれども、そうなってくるとマル1とマル2は、いずれにしてもやはりセルフインタレストですからそんなに違いはないのかなと思うのです。表現の問題になってしまうかもしれませんけれども、このマル1とマル2を両方同一に扱うかという意味では、私はマル1とマル2は、少なくともこの文章から読む限りでは違いはないので、違いをつけるべきではないという結論になります。
 
○富田総務課長
 事務局から補足ですけれども、このマル1とマル2の部分で書かせていただいている趣旨の一つとしては、よく政府部内のいろいろな検討会などでは副業・兼業を促進するべきかどうかが議論されておりまして、そのときにマル1のような、守島座長がおっしゃっているように、これはどちらかと言うと企業側のことしか書いてないですけれども、個人も能力アップが図れて、企業にとってもプラスになるような副業は促進するべきであって、マル2のようなやむを得ず収入確保のために副業をやっているようなものについては、促進の対象としてよいのかということを踏まえて、ちょっとここは労働時間管理の観点から書きました。
 座長がおっしゃっているように、健康確保の観点からすると分けるものではないのですけれども、別の観点からマル1とマル2と分けて議論するべきではないかという御指摘があったので、ちょっとわかりにくいのですけれども、こういうことも含めて書かせていただいたということで、補足でございます。
 
○守島座長
 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。
 荒木委員、どうぞ。
 
○荒木委員
 これまでの議論の経緯でお聞きしたいのですけれども、マル1のようなものは促進すべきだと、それは一つわかるのです。マル2を促進するべきという議論はないかもしれませんけれども、マル2も労働者本人としては収入のためにやりたいと言うのですけれども、マル1はどんどんやらせるけれども、マル2はそんなにやらせなくてよい、むしろ規制すべきだと、そういった議論がなされているのでしょうか。
 
○富田総務課長
 明確にそこまで踏み込んだ御議論はないと承知しております。例えば促進するべきという議論におきましては、1つ目の論点にもつながるのでしょうけれども、就業規則でこういうのは認めてはいいのではないかと書くような議論もあろうかと思います。
 マル2については、促進するという観点からよりも、どちらかと言うと、本当は働きたいのだけれども、障害になっていることはあるのかとか、就業規則で必要以上に規制がかかっていて、収入面からもやりたくてもできないということがあるかもしれませんけれども、どちらかと言うとマル2については、障害があるから解除しましょうかぐらいの議論であって、積極的に促進すべきものではないという形の御議論ではないかと思っております。
 
○守島座長
 松浦委員、どうぞ。
 
○松浦委員
 今の御議論を聞いて少し混乱してきたので、改めて確認したいのですけれども、副業・兼業をするかどうかは、基本的にはあくまでも労働者の自由であると、ただし、企業に実害を及ぼすような条件に該当する場合については、企業が禁止・制限できるのが大前提というか、一番大枠としてある。そうだとすると、その逆もしかりで、例えば企業が生産性向上だとかイノベーションに資するような副業・兼業を促進したいと考えたとしても、企業が期待と異なる副業・兼業をやる自由は労働者のほうにある。つまり、禁止・制限にしても、促進にしても、企業はもちろんのこと、政策としてもできることは限られるということです。
 ですから、あくまでも副業は個人の自由領域に属するのだという前提で考えたときに、確かにイノベーションに資するものは認めるという企業もあるようですけれども、それが例えば裁判になったときにイノベーションに貢献しないような副業をやったことで労働者が負けるのかというと、必ずしもそうではないと思いますので、どちらにしてもやはり自由だということが大前提になるとすると、禁止も促進も両方とも限界はあるのかなと考えております。
 ただし、このマル1生産性の向上やイノベーションを進めるようなもの、マル2収入面からのもの、のような観点については、両者を区分するのはなかなか難しいとは思うのですが、例えばマル1のような副業をイメージして規制を考えるのか、マル2のような副業をイメージして規制を考えるのかによって、多分規制の考え方は相当変わってくる気がします。マル1とマル2の両面があって、むしろ圧倒的多数がマル2である実態を踏まえた上で、規制を検討していく必要があると思いますので、論点の提示という意味では重要なポイントになると思います。
 
○守島座長
 ほかにどなたかございますか。
 書き方にこだわってしまうのですけれども、松浦さんが言われたことを前提とすると、企業のイノベーションという話になると、今のようなちょっと複雑な議論が出てくるように思うのですが、人生100年時代でスキルアップをして、スキルのリプレースメントを人間はやっていかないと幸せに生きられないのだという、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういうような視点から政策判断としてある程度副業を促進することは、多分政府のポジションとしてはあり得るのかなと思います。
 そのようなコンテクストで捉えるのであれば、促進というか、そういうことがいいのだよと言ってあげるタイプの政策を展開することも全く意味がないことではないように思います。
 ほかにどなたかございますか。パネルの見え方もあって上ばかりに議論が集中してしまっているのですけれども、下もあります。
 松浦委員、どうぞ。
 
○松浦委員
 まず、質問というか、確認なのですけれども、労働時間の上限規制がこの4月から入って、その上限規制を守るために通算した労働時間を把握することについては、それはもうやることは所与のものだと考えていいのですよね。ですから、やり方を議論している段階だと思っていいのでしょうか。
 
○岸田監督課長補佐
 現行制度を前提とすれば、通算して上限規制は適用されることにはなります。ただ、それを施行していくに当たっての課題について御議論いただければと思いますし、その御議論の結果として、制度としてどうなっていくのか。通算に当たって何か仕組みが必要なのかとか、そういったことも含めて御議論いただければと思っています。
 
○松浦委員
 ありがとうございます。
 
○守島座長
 富田さん、お願いします。
 
○富田総務課長
 補足いたしますと、一応、上限は労働時間を通算するのは行政解釈でございます。ただ、この検討会の中で、諸外国の事例とか御紹介いただいている中で、諸外国では特に割増賃金のところとかは通算していないという御議論もございましたので、私どものスタンスとしては、行政解釈としては通算なのですけれども、そのような方針でこのまま続けていっていいのかどうかについても、そこは議論を排除するものではないと思っております。
 
○守島座長
 荒木さん、お願いします。
 
○荒木委員
 使用者が違う場合に労働時間を通算することは所与のものかという御質問があったのですけれども、法律上は何も書いてないです。昭和22年に労基法を施行したときに行政解釈が出て、使用者が違っても通算するという行政としての解釈が示されただけです。非常に極端なことを言いますと、その行政解釈が裁判に行って誤っていると判断されることはあり得ないではなくて、厚労省の通達なども、例えば労災関係で出しているものが最高裁で否定されて、それで行政解釈が覆ったことはたくさんあるわけで、あくまで行政としては通算するという解釈をこれまでしてきているということで、そのことも含めて恐らくここでは議論しているのだと思います。
 外国の点も出ましたので、もう一つ考えておくべきは(2)の最初の○ですけれども、もし日本で通算するとして、上限規制との関係で時間管理を厳格にやるとすると、日々厳密に労働時間の把握を行う必要が生ずる。ヨーロッパの多くの国は、週労働時間は規制しているけれども、1日については規制していない国も少なくないです。それを日本の場合は、週40時間のみならず1日8時間も規制していますので、毎日毎日1日8時間を超える法定時間外労働がなされたか否かを把握しなければいけなくなることになります。
 かつ、昭和22年に労基法ができて、その当時に通達が出されたときには変形労働時間制は1種類しかなかったのです。それに対して今はフレックスタイムとか、日々労働時間が変わるようなさまざまな労働時間制度も許容するようになってきています。当時の通達は、そういうことを想定した通達ではありません。現在の制度の下で一日一日時間外労働が生じているか否かを厳格に把握して、それはやっていけない、やってよろしいと管理をすることは、およそ現実的ではありませんし、そのことも含めてどこまで通算するのかという問題があります。
 それから、御指摘があったように、今回海外調査に行きましたところ、ヨーロッパでは健康確保のための週労働時間規制などについて通算するという建前はあります。実際はそれを取り締まってはいないのですが、本人が申告したり、別の要因からわかった場合にはそこに戻るけれども、現実には厳格に規制はしていない状況でありました。
 もう一つ、健康問題とは違う割増賃金規制については、今回3カ国に調査に行きましたが、いずれの国でもそれは健康の問題ではなくて賃金の払い方の問題であるから、これは使用者単位であって、通算はしないということで共通をしておりました。その点も、日本はこれまで長時間労働の規制と割増賃金規制をセットで考えてきたわけですけれども、少なくともヨーロッパではそうなっていないことも踏まえて、どうするかを考えるべきだろうと思います。
 
○守島座長
 ほかにどなたかございますか。石﨑委員、お願いします。
 
○石﨑委員
 この○の中、4番目の点についてですけれども、仮に上限規制について通算することを前提に考えた場合でも、労働者の副業・兼業の事実を使用者が把握し得ないようなケースについては、責任を問えないのではないかという問題意識からの御提案と読みました。
 この点、確かに労基法の刑罰規定との関係では、使用者が認識していない場合については、故意がないことになるので、責任は問えないことになるかと思うのですけれども、上限を超える時間外労働命令をできるか、あるいは労働者の側から言えば上限を超えるような就労命令を拒否できるかという私法上の効力との関係で言いますと、使用者が知らなかったとしても、現実に上限を超えている場合には命令できない、あるいは労働者が拒否できるという帰結もあり得るのかなと思うところであります。
 そうすると、使用者としては、ある日突然労働者に残業命令しようと思ったらできなくなっている。兼業のせいで労働時間が超過してしまって、残業を命じられない状況になってしまっているということも起こり得るところでして、逆にそれを避けたいと思えば、日々厳密に管理をするとか、あるいはあらかじめ兼業・副業できる時間を就業規則で制限していくような対応をとらざるを得ないのかなと思っているところです。つまり、そのような制限をかけて上限を超えて働いた労働者については、そもそも兼業制限違反なので、それに対してサンクションを科すといったようなことになってくるのかなと思っているところであります。
 そういったことを考えていきますと、先ほど最後のほうで議論になりましたように、兼業・副業を促進するかは別としても、労働者が兼業・副業を自由にすることの妨げになるものを除いていくという観点からしますと、実はこの上限規制を通算することは、必ずしも望ましい結果にならないのではないかと私としては考えているところであります。
 また、先ほど別の機会にも申し上げたように、健康管理との関係でも、実はこの上限規制の通算、適用をやっていくことが本当にいいのか考える必要があると思っています。
 
○守島座長
 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。
 水島さん、どうぞ。
 
○水島委員
 自己申告のところが、まだ発言がないようですので、(2)の2つ目の○ですけれども、私は労働者の自己申告によらざるを得ないと思っております。そうなりますと、3つ目の○の客観性については、特に上限規制を労働時間を通算して厳しくやるのであれば、労働者からの自己申告の客観性をきっちり求めるものでなければならないと思います。
 労働時間が決まっているのであれば、労働契約書の提示が考えられますし、決まっていないような場合でしたら、まずは(客観性が担保されない)自己申告にならざるを得ませんが、後から時間数がある程度把握できるような給与明細等の提示が必要になるのかなと思います。
 以上です。
 
○守島座長
 ありがとうございます。荒木さん、お願いします。
 
○荒木委員
 通算の根本の問題についてどうするかという議論は一つあるのですけれども、労基法ができてから今日まで、一応行政としては通算をする建前で来ている状況がございます。そして今、我々がここで問題としているのは、恐らく雇用と雇用の副業・兼業になります。雇用と自営であれば、自営のところは恐らく規制はしないのですけれども、雇用と雇用の場合に完全に何らの規制もしないのかということは、健康確保の問題の議論になり得ると思います。雇用と雇用では、そこでまた指揮命令下に入って残業をせざるを得ないような状況があるのかもしれません。
 そういうさまざまな事情があることを考えますと、ある意味ではソフトランディングかもしれませんけれども、本人が雇用と雇用の副業を申告した場合には、その場合の対処を考えることは別の選択肢としてはあり得るところで、ここは政策的にとり得る一つのオプションと考えることができるのではないかと思います。
 
○守島座長
 ありがとうございます。
 ちょっと法律の先生方に私はお伺いしたいのですが、先ほど水島委員の御発言の中で、後で給与明細とかを提出させるという議論があったのですけれども、もともと雇用されていない時間の使い方はあなたの自由ですというのが大原則といったときに、そこで何をしているのかに関する証明、給与明細であるとか、そういうものを求めることは、個人情報になるのかどうかわかりませんが、法律的に可能なのですか。
 
○水島委員
 私は本来望ましくないと思います。要は通算をして上限規制を遵守する、徹底するということであれば労働者に求めざるを得ないのではないかということです。ですから、本当に通算をして上限規制をかけることが必要なのかという、その議論に立ち戻ると思います。
 
○守島座長
 もう一回戻ってくるわけですね。
 
○水島委員
 はい。
 
○守島座長
 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。
 荒木委員、どうぞ。
 
○荒木委員
 雇用・雇用の副業・兼業の場合に、本人が自分は副業を雇用としてやっていますと申告した場合、自分は完全に自分の判断で働くということだと、健康を害するかもしれないので、一定の保護のもとで副業・兼業をしたいということで、自らが申告した場合にはパターナリズムかもしれないけれども、一定の規制を及ぼすのがよいかということが問題になっているのだと思います。
 その場合には、今の個人情報の点についても、個人情報の保護については自分は放棄する形で、つまり、一定の個人情報の保護については自分はもう主張しないけれど健康確保のための保護は望むということを本人が言ってきた場合には、それに対応することは一つのオプションとしてはあるかもしれません。
 
○守島座長
 わかりました。ほかにどなたかございますか。
 武林委員、どうぞ。
 
○武林委員
 今の点をいろいろ伺っていて思ったのですが、雇用・雇用の場合に自己申告によって、ある場合によって通算するなり考える。健康確保とつなげることだと思うのですが、健康確保の観点からすると、これまでも整理をしていただいたように、2つの雇用を超えるのは、基本的には助言というベースで本人にフィードバックすることはできたとしても、事業者を超えて勧告ということが現行上ほぼ難しいと思うのです。
 そうすると、何のための申告か、そこに実効性があるのかを考えると、パターナリスティックに時間の管理をやることにどういう整合性があるのか、考え方を少し整理していただいたほうがいいのかなという気がします。
 
○守島座長
 ありがとうございます。お答えになりますか。
 
○荒木委員
 大変難しい問題と思うのです。自己申告があった場合に、労働時間の上限規制をどうかけていくか、これはいろいろなシミュレーションをしてみないといけないのですけれども、なかなか難しいところはあると思います。
 そもそも最初の所定労働時間からして、一定の上限を超えるような働き方をしますと言ってきた場合には、それは法律上できませんというのが一番シンプルなことになります。非雇用であればそれは規制しないのだけれども、雇用プラス雇用の場合には、そういう雇用での労働をやったらそれは健康を害するから、そういう雇用を私はやることにしましたと言ってきても、極端に言うと、国が把握した場合にはそれは許容されない働き方ですと言って規制をすることになると思いますが、そういうパターナリズムがいいかどうかも1個の論点にはなります。
 
○武林委員
 よくわかりました。私の質問の1つは、健康管理という名のもとに、例えば産業医がそこに対して何かをやるのは非常に難しいだろうと。つまり、上限時間が決まっていて、それに対して事業者側が副業や兼業を認めるか、認めないかという議論はあり得ると思うのですけれども、健康確保の中に産業医側が何かを判断して、それに基づいて、本人の副業や兼業を止めさせるのはできません。もしそれをやるのであれば、完全に時間の範囲の中で、ある程度明確なやり方で規制をしていかないと、そんなに簡単ではないのではないかという趣旨でございます。
 
○守島座長
 荒木委員、どうぞ。
 
○荒木委員
 おっしゃるとおりだと思います。契約関係が2つ走っている場合に、一方の産業医が他方の労働をもっと制限したほうがいいのではないかとか、そういったことが実際にできるかというと、大変難しいだろうと思います。
 それに関係するかどうか自分ではまだよくわかっていませんが、フランスで判例になった事案がありまして、最初は判明していなかったのですけれども、ある時点で副業・兼業をやっていて2カ所で働いていることがわかったときに、一方の使用者が、これは通算すると労働時間の上限を超えているから違法だというので、一方的に契約を解約、つまり解雇した。
 これについてフランスの最高裁は、一方の使用者が労働時間規制違反だからといって勝手に解雇するのはよろしくない。労働者自身にどちらの就業を調整して、労働時間規制の範囲内におさめるべきかを選ばせるべきだと判示しました。労働者に聞くことなく一方的に労働時間規制違反だからといって解雇するのは違法だとした判決です。
 そういうことで、もし規制を及ぼすとしたときも、それをどうやって労働時間の上限内におさめるかというときに、本人の意思をどこまで尊重するかという問題も生じてきますので、それはまた実際どこまで可能なのかも難しい問題として残るかもしれません。
 
○守島座長
 松浦委員、お願いします。
 
○松浦委員
 上限規制についての議論と割増賃金についての議論は、私はやはり分ける必要があると思います。少なくとも上限規制については、厳格な運用は普及を阻害しかねないという懸念はあるものの、健康確保という観点から設けられた上限規制の趣旨からすると、副業・兼業の労働時間を少なくとも雇用・雇用の関係で把握しないわけにはいかないのでしょう。
 そうすると、上限規制について、通算労働時間をどのように、なるべく負担のない形で把握していくかということが議論になってくるわけですが、一つのやり方は、日々厳密にというのを副業・兼業との通算の場合にはもう少し長いタームで見ることができるようにするような特例的な運用を認めるとか、あるいは、先ほど石﨑委員がおっしゃったときになるほどと思ったのですけれども、あらかじめ副業・兼業をできる時間の上限を就業規則の中に定めておいて、やるのだったらその範囲でご本人の裁量でやってくださいというような形にするのが、副業をしたい、そんなに厳密に管理されたくないと思っている人にとっては、現実的に一番やりやすい方法なのかもしれません。
 また、現状を前提にすると、労働時間の把握は自己申告が原則になると思うのですが、最初のほうの研究会で申し上げたように記憶しているのですがHRテックが進んで、複数事業所での労働時間管理が技術的にできるようになる可能性はあるので、状況に応じて検討・見直しを行うことも必要かと思います。現状を前提とした上限規制への対応としては、今までの御意見の中では、私はやはり、今モデル就業規則の中では4つ条件が入っていますけれども、それに加えて通算した労働時間が少なくとも上限を超えない範囲で働いていることを追加するのも、一つの案としてあると思いました。
 もう一つ、割増賃金については、私も長時間労働を抑制する意味の実効性の観点からはやや疑問を持っておりますし、また、学説を含む法律的観点からもどうなのかというところもございます。さらに言うと、時代の要請だとか社会的観点もございますので、さまざまな観点から検討し、今の取り扱いを見直す余地はあるのではないかと考えております。
 さらに、ここでは労働時間の通算という観点から副業・兼業について議論がなされているわけですけれども、ここ以外の場で行われている、副業・兼業の社会保険の取り扱い等に関する議論についても、関連制度との整合性という観点から整理しておいたほうがいいと考えております。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかの方、いかがですか。
 松浦委員か、もしかしたら石﨑委員にお伺いしたほうがいいのかもしれませんけれども、就業規則の中でリミットを設けるときに、そのリミットは法律の上限と一緒になるイメージなのですか。それとも企業の意図であるとか意思によって、必要性によって法律よりも少なくすることができるという、それが法律的に可能なのかという問題もあるのでしょうが、その辺はどうお考えですか。
 
○石﨑委員
 現行の状況で言いますと、リミットよりも短い時間を設定することも、それは直ちに不合理だと判断されていないと思っております。つまり上限を超えるとだめだということではなくて、ある程度短めに設定することも、極端に短い場合はまた別かもしれませんが、上限ぎりぎりではなく制限する形も就業規則上は許容されると理解しております。そういった意味で、使用者が兼業抑制的に動くことはありうると思いますし、先ほどの発言はそうした趣旨から申し上げたものです。
 
○守島座長
 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。
 荒木先生、お願いします。
 
○荒木委員
 現在雇用している使用者によって、副業・兼業できる条件を定めておくという議論なのですけれども、その場合の上限は、今、石﨑委員も示唆されたように二つあると思います。一つは今回労基法上の上限規制で、単月の時間外労働は100時間、複数月平均で80時間という過労死認定基準をもとにしたような絶対的な労働時間の上限を超えるような副業は許容できないとして上限が設定されるという考え方が一つあります。
 もう一つは、きょうの資料の(1)の最初の○にあるように、これ以上ほかで働くと、自分の本業にさわるという形で、企業が独自に設定する上限もあり得るところで、これはもっと低いレベルかもしれません。
 そうしますと、後者のような上限は本来、今、働いている使用者との契約がどこまで副業・兼業の自由を縛れるのかという問題になってきて、先ほどフランスの例を言いましたけれども、実は副業・兼業の働きのほうが自分の将来にとっては有望である人にとっては、むしろ上限も本業のほうを減らしていって、もっと副業のほうを膨らませていきたいというようなことが、場合によってはあるかもしれません。
 そうしたときに、本業の使用者が最初から副業の上限を設定してよいのかもあわせて考えないといけないのだろうなと思いました。
 
○守島座長
 ありがとうございます。松浦委員、お願いします。
 
○松浦委員
 本業もしくは副業先の企業で条件つき就業規則を設けて、その条件として労働時間の上限を設けるときには、副業先の労働時間というよりは、副業・兼業先と通算した労働時間の上限を設定することで、ある程度本業と副業の調整が本人の中ででき得る余地はあるのではないかというのが、今のお話を聞いていて思ったことです。
 もう一つ、御指摘のとおり、上限と言っても法律上何段階かあるので、どこの段階で上限を設定するのかは非常に悩ましい問題なのですが、例えばそこについて労使で合意した上限時間であれば、就業規則に盛り込めるような仕組みがとれるのかどうか。今はもちろんないわけですけれども、恐らく使用者側が勝手に上限設定するよりは、少なくとも法律に抵触しないぎりぎりの範囲なのか、あるいは一番厳しい範囲なのかという、上限の範囲の中でどこに設定するのかというのは、やはり労使で話し合うような仕組みを設けることができれば、望ましいのではないかと素人考えで恐縮なのですけれども、今の御議論を聞いて思いました。
 
○守島座長
 石﨑委員、どうぞ。
 
○石﨑委員
 確かに、私も労使で合意した上限ならばという気はするのですけれども、ただ、現在の前提が、使用者が就業規則で一方的に上限を設定することも可能というのが現状だとしますと、労使で合意しなければ上限を入れられないように、ある意味新たな規制を設ける形になるかと思うので、そこはなかなか難しいのではないかと思います。
 難しいと思う理由は、一番最初の議論に戻ってくることにはなると思うのですが、結局、裁判では兼業は原則自由とは言うものの、それは個々の事案の中で判断されているにすぎない状況がありますので、兼業をどれぐらい認めるかという点に関する規制を新たに設けることになると、ハードルがやや高くなるのかなと思いながら伺っておりました。
 あと、通算した時間を制限する方法も、確かにそのようにしてくれれば、ある意味、そこでいろいろな調整の余地が出てくるのかなと思いますが、現状としては副業時間を制限しているケースのほうが多いのかなという気がしますので、そこをどうしていくのがいいのかが考えどころなのかなと思っております。
 
○松浦委員
 そもそも残業時間は36協定で決められるわけだと思いますので、36協定の中に、例えば副業・兼業先と通算してここまでというものも含めて協定化できないのかと。思いつきで申しわけないのですけれども、そういうことができれば、通算の上限規制に対する対応も就業規則上でできる余地があるんではないかと思ったのです。
 
○石﨑委員
 恐らく今、36協定で締結されている時間が、通算した合計の上限時間ということになっているのではないかと思うのですが、それに加えて制限を加えるかという議論でしょうか。
 
○松浦委員
 副業・兼業先も含めて、その時間以内にしてくださいということになるのですかね。
 
○石﨑委員
 現行法の通算するという理解で立つと、その部分はそういうことになっていると理解していますが。
 
○水島委員
 現行の36協定は事業所ごとで、通算はしていないと理解していますが、それでよろしいですか。
 
○黒澤労働条件政策課長
 今、御指摘がありましたとおり、上限規制はいろいろございますけれども、通算をされますのは法律でいきますと36条の6項の2号と3号。つまり先ほど荒木先生からお話がございましたように、休日を含めて月100時間、あるいは休日を含めて2~6カ月の平均で80時間という、いわゆる36協定であっても超えることができない実労働時間規制の部分、ここが通算の対象になります。
 現行法の解釈としては、この36協定に関しては、あくまでもそこの事業場の労使における上限でありますので、例えば36協定の時間数が通算をされるような考え方はとっていないところでございます。
 
○守島座長
 ありがとうございます。
 
○松浦委員
 36協定の時間数を通算するということではなく、36協定の上限時間に副業・兼業の労働時間も含めてカウントするという意味です。
 
○守島座長
 言っている意味は多分おわかりだと思うのですけれども、その解釈というか、それが可能なのかという問題です。
 
○富田総務課長
 ちょっと整理して申し上げますと、今、黒澤課長が申し上げましたとおり、現行の労働基準法の解釈としては、事業場ことに36協定を締結しますから、労使で決める上限はあくまでも当該事業場における上限である。
 松浦先生がおっしゃっているのは恐らく立法論だと思っておりまして、それを超えて36協定でほかの事業場も含めて上限を決めることは可能なのかどうかという、現行法の36協定の射程には入っていないのですけれども、追加でそういう規制することは可能かという論点ではないかと理解しております。
 
○黒澤労働条件政策課長
 1点だけ補足させていただくと、今、総務課長から説明を申し上げたとおりでございますけれども、現行法の36協定自体はあくまでも使用者が法定労働時間を超えて労働時間を延長させるため、その免罰効を発生させるために必要なものでありますので、もとよりその労働者が使用者以外のところで働くことに関しては全く関係がない制度でございます。
 仮に現行の36協定の仕組みの中で、ほかの会社で働くのであれば何時間までということを書くとすると、それは現行法における36協定における時間数を書くことの意味とは全く別な、いわば36協定に附款というのか条件というのか別なものが何か、例えば健康確保なりが加わっているような体裁になるのであろうと思います。
 そういたしますと、そこに書いてあるものは、先ほどの免罰効との関係もないことになりますし、そういった規定自体が有効かどうかも、もちろんその意思形成の中で判断されることになると思いますが、いずれにしても現行法においては、36協定において労使が時間数を定めて、そこまで延長できるところとは全く別なものとしての制度設計という御議論になるのではないのかなと考えてございます。
 
○松浦委員
 わかりました。
 
○守島座長
 荒木委員、どうぞ。
 
○荒木委員
 関連して質問なのですけれども、本業のところで1日8時間、週40時間働いている人が、別のところで副業を始める場合には、通算しますと、副業では1時間働くことも法定時間外労働になります。その場合は、36協定はどのように結ぶと理解されているのでしょうか。
 
○黒澤労働条件政策課長
 副業の場合、現在ですと、Aという事業場とBという事業場で働いていれば、それぞれの事業場でもし法定労働時間を超えることになりますと、当然Aのほうでも36協定が結ばれていて、その範囲内でAの指揮命令のもとで働きますし、BにおいてはBの36協定の範囲内において、その指揮命令の中で働くことが基本でございます。
 
○荒木委員
 Bで初めて契約を締結して働き始めるときに、Bで36協定が必要になりますというのは一つ理屈としてはあると思うのですけれども、そのときにAでも、自分の労働者がBで働くに当たって、Aでも36協定が必要となるのでしょうか。
 
○岸田監督課長補佐
 現行の解釈では、御指摘の例でありますと、Aでは残業させない限りにおいては36協定は不要だと思っております。
 
○荒木委員
 今のは非常にシンプルな例なので、Aでの8時間、40時間働いているときに、新たにBで働いたときに、Bでの労働が法定労働時間を超える労働になるので、Bで36協定を結びなさいということになりますが、現場の労使からすると、そうなのですかと恐らくびっくりするような話ではないかとは思いますけれども、理屈的にそうなのだと思うのです。
 今のは働き始めると直ちに法定時間外労働が生ずるという例でしたけれども、そうではなくて、契約を締結して働いている過程で、あるときには法定時間外労働が発生し得る、通常の所定労働時間だけでは法定時間外労働はないのだけれども、フレックスタイムであったり、あるいは変形制をとったりと、そのたびにどちらで36協定を結ぶのかということになりそうですが、これまではともかく通算することになっているという行政解釈でした。
 そこのところを具体的に行政としても、こういう場合にはこちらで36協定を結ばないと労基法違反になりますという整理までは恐らくなされていないように思っているのですけれども、そこはいかがでしょうか。すなわちフレックスタイムのときはどうか。変形制のときはどうか。変形制もいろいろなタイプがありますけれども、そのたびにこういう場合にはこちらで36協定を結びなさいというのは整理できているのでしょうか。
 
○黒澤労働条件政策課長
 承知している範囲で申し上げますと、副業・兼業の場合にどこが時間外労働に当たるのかという考え方は示されているわけでございますけれども、それを超えまして、例えばこういった労働時間制度で副業をしている場合には、このように締結されるべきであるといったものは、私が承知する限りでは特段見た覚えはございません。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかにどなたかございますか。よろしいですか。
 最後にちょっとお伺いをしたいのです。これも石﨑先生にお伺いしたほうがいいかもしれませんけれども、一番最後のポイントです。つまり、企業に対して自己申告は得られなくて知らなかった場合に、それで違反してしまった場合に責任が問われるのかという問題と、あとは労働者がうそを申告した場合についてどうするかという議論はあり得るのですか。
 石﨑さんに個人的に聞きたいわけではないですけれども、もしお答えいただければ。
 
○石﨑委員
 労働者がうそをついた場合に法的にどうなるかという話で言いますと、恐らくそれは懲戒の対象になるのかとか、そういう話につながってくるとは思います。ここも仮に上限規制を通算してということを前提に考えていきますと、上限規制を本来は使用者が管理してそれを遵守するようにしないといけないことは刑事罰で担保されておりますので、それに違反するような状況を労働者がつくり出したとなると、そこは労働者が企業秩序を乱したことになると思います。それで解雇まで認められるべきなのかはまた議論があるかもしれません。
 
○守島座長
 程度の問題はあると思います。
 
○石﨑委員
 いずれにしても、そういった契約上のサンクションの対象にはなり得ると思います。
 
○守島座長
 わかりました。そうなると、これもある意味では副業・兼業の抑制的に働く一種の要因になるのかなとちょっと思いますけれどもね。
 
○石﨑委員
 はい。
 
○守島座長
 ありがとうございました。ほかにどなたかございますか。よろしいですか。
 それでは、定刻より少し早いですけれども、本日の議論はこれまでにさせていただきたいと思います。皆様方、活発な御議論をありがとうございました。
 次回の日程について、事務局よりお願いいたします。
 
○岸田監督課長補佐
 次回の日程につきましては、決まり次第、先生方に場所も含めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○守島座長
 ありがとうございます。
 これにて第6回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」を終了いたしたいと思います。
 本日はお忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。