第1回フグの処理者の認定基準に関する検討会 議事録

日時

平成31年4月26日(金)13:00~15:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館ホール11A

議題

(1)座長の選出
(2)検討会の開催趣旨
(3)フグ処理者認定の現状
(4)今後の検討の進め方
(5)その他

議事

 

○HACCP国内対策専門官(事務局)
それでは、定刻になりましたので、これから「フグ処理者の認定基準に関する検討会」を開会いたします。
座長が選出されるまでの間、進行を務めさせていただきます医薬・生活衛生局食品監視安全課の浦上と申します。よろしくお願いいたします。
まず、開会に当たりまして、宮嵜生活衛生・食品安全審議官から御挨拶を申し上げます。

○生活衛生・食品安全審議官(事務局)
検討会の開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
本日は、お忙しい中、フグの処理者の認定基準に関する検討会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
また、日ごろより厚生労働省の食品衛生行政に格別の御理解と御協力をいただいておりますことをこの場をおかりして御礼申し上げる次第でございます。
さて、フグの処理者につきましては、厚生省通知によりまして、有毒部位の確実な除去等ができると都道府県知事等が認める者に限って行うこととしており、各都道府県において条例等を整備し、関係事業者の皆様が安全性確保に取り組んでいただいているところでございまして、フグの処理者が関係する食中毒はほとんど発生しておりません。
一方、現行の制度におきまして、フグの処理を行える者の認定制度が都道府県ごとに異なるため、都道府県等の間でのフグ処理者の資格の受け入れが進んでいない現状がございます。また、輸出に際して、フグ処理者の認定に国の関与がないため、輸出先国の理解が得られない場合があるなどの課題もございます。
これらの課題に対応するために制度的に国の関与を明確にし、フグ処理者の技術水準の全国的な平準化を図る必要があると考え、フグ処理者を認定する際の認定基準に関する検討会を開催することといたしました。
本検討会では、食品衛生上のリスク、現場の実情、さらに制度を運用する都道府県等の事情等を勘案しつつ、認定基準等の具体的な内容について御議論いただければと考えております。本検討会の構成員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門のお立場から忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
簡単ではございますが、検討会冒頭に当たりましての挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
ありがとうございました。
それでは、検討会冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○HACCP国内対策専門官(事務局)
続きまして、構成員の御紹介をさせていただきます。構成員の名簿につきましては、議事次第のファイルの3ページ目の構成員のページを御覧いただければと存じます。
まず、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長の朝倉様でございます。

○朝倉委員
朝倉でございます。よろしくお願いいたします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
一般社団法人全国ふぐ連盟代表理事会長の亀井様は本日御欠席のため、当連盟副会長の真貴田様に参考人として御出席いただいております。

○真貴田参考人
真貴田でございます。よろしくどうぞお願いいたします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
北里大学海洋生命科学部教授の佐藤様でございます。

○佐藤委員
佐藤です。よろしくお願いします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
山口県環境生活部生活衛生課課長の白銀様でございます。

○白銀委員
白銀です。どうぞよろしくお願いします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所水産物応用開発研究センター長の鈴木様でございます。

○鈴木委員
鈴木です。よろしくお願いします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
東京都福祉保健局健康安全部食品危機管理担当課長の永渕様は本日御欠席のため、統括課長代理の衣笠様に参考人として御出席いただいております。

○衣笠参考人
衣笠と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
大阪府健康医療部食の安全推進課課長補佐の西岡様でございます。

○西岡委員
西岡でございます。どうぞよろしくお願いします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
独立行政法人国立科学博物館名誉研究員の松浦様でございます。

○松浦委員
松浦と申します。よろしくお願いします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。
まず、先ほど御挨拶申し上げました生活衛生・食品安全審議官の宮嵜でございます。

○生活衛生・食品安全審議官(事務局)
改めまして、よろしくお願い申し上げます。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
続きまして、食品監視安全課長の道野でございます。

○食品監視安全課長(事務局)
よろしくお願いいたします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
ありがとうございました。
続きまして、座長の選出を行いたいと思います。どなたか座長に御推薦いただける構成員の先生はいらっしゃいますでしょうか。鈴木先生、お願いします。

○鈴木委員
中央水研の鈴木です。座長につきましては、食品の衛生管理に造詣が非常に深くて、なおかつ薬事・食品衛生審議会など厚労省の行政に豊かな経験をお持ちの朝倉先生が適任だと思いますので、推薦させていただきます。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
ありがとうございます。
ただいま朝倉先生を御推薦いただきましたが、皆様、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○HACCP国内対策専門官(事務局)
ありがとうございました。
御賛同いただけたようでございますので、朝倉先生に座長をお願いいたします。朝倉先生、座長席への移動をお願いします。

○朝倉座長
それでは、御指名いただきましたので、座長を務めさせていただきます。皆様方の活発な御議論、御意見等踏まえまして、最終的にこの検討会がよりよい結論を出していけるように取りまとめさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。座って議事を進めさせていただきたいと思います。
それでは、本日、タブレットということでございますが、念のため、まず事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
それでは、配付資料の確認をいたします。
本日は、ペーパーレスでの開催とさせていただいておりまして、昨日の16時に厚生労働省のホームページに会議資料を掲載させていただいております。
御用意している資料といたしましては、議事次第、座席表、資料といたしまして「第1回フグ処理者の認定基準に関する検討会」、参考資料1といたしまして「開催要領」、参考資料2といたしまして「フグの衛生確保について」の局長通知、参考資料3といたしまして「フグの衛生確保について」の課長通知でございます。参考資料4といたしまして、フグ処理に関する調査結果マル1、参考資料5といたしまして、フグ処理に関する調査結果マル2を御用意しております。資料の不備等がございましたら事務局までお申し付けください。

○朝倉座長
ありがとうございました。
もし何かございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、なければ議事に入りたいと思います。まず、本検討会の開催趣旨等につきまして、事務局より御説明願います。

○食品監視安全課長(事務局)
それでは、資料に基づいて、今、座長から御指示がありました本検討会の開催趣旨等について御説明いたします。
まず、今回の検討会開催の背景でありますが、先ほど審議官から御挨拶いたしましたとおり、フグ処理者の認定基準に関して最近さまざまな議論があるということがございまして、その辺につきまして資料に基づいて御説明しながら、現行制度等についても御説明したいと思います。
資料の2ページの背景ということで、現行のフグの漁獲量、生産量から始まって、フグ中毒の現状についてまず御説明したいと思います。
3ページの漁獲量、生産量で申しますと、海面漁業につきましては、御承知の方も多いかと思いますけれども、安定的にというような数字ではありませんが、割と波がありながら推移しているということでございます。海面養殖につきましては、海面漁業よりも安定した水準で推移しているということでございまして、2017年につきましては8000トン余りという数値になっております。全体の供給量としては、海面漁業、海面養殖、国産については過去15年ぐらいで見ると漸減しているという状況であります。
続きまして、4ページです。水産庁の統計でも、近年、我が国のフグの漁獲量は南日本が減少し、北日本が増加している、そういう状況がございます。数字としては2004年から2006年、2014年から2016年ということで、それぞれ3年ごとの平均漁獲量の数字を比較したものです。上半分が増加している地域でありまして、主として北日本ということであります。一方で、減少している地域が下半分でありまして、主として南日本、日本海側が一部ですが、そういった状況にあります。
次に、大きな供給元として輸入があります。輸入に関しては、5ページは2012年から2018年にかけての数字でありますが、これを御覧いただきますと、2015年は少し増加傾向がありますが、全般には漸減傾向ではないかと思います。
安全性の問題ということで6ページがフグによる食中毒の発生状況です。審議官の御挨拶の中でもありましたとおり、営業施設を原因としたフグによる食中毒は近年非常に少ないというのが実態であります。平成15年から30年までの数字をお示ししておりますけれども、フグ食中毒の全体の数も、波はございますが、減少傾向です。再掲のところに家庭で発生した件数、その割合ということで数字を記載させていただいております。この傾向につきましては、事件数、患者数ともに同様な傾向が見られるということですし、過去3年間については死亡者も報告されていない、そういった状況であります。
また、営業施設で発生しているフグ中毒についてもお客さんから有毒部位の提供を求められてというケースが含まれているということで、数少ない中でもそういったケースが含まれているという状況です。
本検討会の開催の経緯で申しますと、8ページの現行制度における課題を御覧いただきたいと思います。課題1として、フグ処理者を認めるための講習会の受講や試験の受験等の手続、これらの受講や受験の要件、さらには必要な知識や技術が都道府県等によって異なっているということがあります。そういったことで都道府県間でのフグ処理者の資格の受け入れが進んでいないという現状があります。後でもう少し詳しいデータもお示しいたします。
課題2ですが、農林水産物や食品の輸出の促進は政府を挙げて進めている施策であるわけです。フグについても輸出できないかということで、輸出先国との協議も私どものほうで取り組んでいるわけでありますが、現在の日本の仕組みのままで輸出しようということで協議するケースが基本になるわけですが、実際には国の関与がないということについて相手国側としてはなかなか納得してもらえないということがあります。さらに、都道府県等ごとに異なる制度である、そういったことも含めて輸出先国の理解が得られない。
先ほど申し上げたとおり、フグによる食中毒が決して増えている状況ではないということで、国内的な安全性について目の前に問題があるということではないわけです。ただ一方で、人の移動、特に労働市場の流動化、そういった社会的な状況が変わってきているということ、それから、輸出という観点で国と国とで食品の安全についての協議をしていく、そういった観点を踏まえると、制度的に国の関与を明確にしてフグ処理者の技術水準の全国的な平準化を考えていかなければならない、そういった状況にあるということがこの資料です。
現在、私どもで取り組んでいることについて触れさせていただきますと、9ページですが、昨年6月に食品衛生法の改正をいたしまして、その改正を受けて、食品衛生管理に関する技術検討会を設置し、特に食品等事業者が実施すべき管理運営基準を今回省令化するという作業に取り組んでおります。その中で、国の関与ということでフグ処理者についても規定を設けるという方向で検討を進めているところであります。
現在の規定の案としては、食品衛生責任者、言ってみれば衛生管理の責任者を設置するということが一つあるわけですが、もう一つ、食品を取り扱う者の要件として、(7)にありますように、フグの処理を行う施設にあってはフグの種類の鑑別に関する知識、有毒部位を除去する技術等を有する都道府県知事等が認める者が自らまたはその立ち会いのもとでフグの処理を行うことという規定を設けるということであります。
国の衛生管理基準を今回定めるに当たりまして、都道府県知事等が認定する際の認定基準についてもこれを機に整理できればという趣旨であります。内容的には、必要なフグの種類の鑑別に関する知識、有毒部位を除去する技術、細かく言うともっとあると思いますが、こういったものを整理していきたいということであります。
ここに米印で書いていますが、今、専ら申し上げたのはソフトのほうの基準の話でありまして、営業許可基準、施設基準と我々は呼んでおりますけれども、別途、施設基準においてもフグ処理を行う施設の要件というものを、国の基準、これは自治体が条例を定めるときの参酌基準を今回並行して検討しているわけですが、そこにおいても施設の要件について検討しているという状況があります。
今、この検討会の趣旨や、改正食品衛生法に基づいて政省令の検討の中でのフグの関係規定について御説明したわけですが、現在の制度がどのようになっているか、11ページ以降の内容になります。
制度の概要といたしましては、2番目にありますように、食品衛生法に基づいて食べることができるフグの種類、その部位、漁獲海域等を通知で定めております。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございます。
制度の概要の前の部分、背景、検討会設置の経緯、開催趣旨、これに関するところで御質問等、先生方からございませんでしょうか。鈴木先生、お願いします。

○鈴木委員
風邪ぎみで声が余り出ないので済みません。道野課長からわかりやすい説明をしていただいて感謝申し上げます。
ちょっと思ったのですが、5ページ目のフグによる食中毒の発生状況のところで、先ほど課長がおっしゃったように、ほとんどが家庭の中で起きている。フグの中毒自体がそれほど多くないので、リスクとしてはそれほど緊急性の高いものではないということです。おっしゃるとおりだと思いますが、ただ、その一方で、例えば平成20年だと3割ぐらいが家庭外で起きています。これはある意味、非常に大きな問題であるというふうに捉える必要もあるように思います。それで質問というか、確認をしたいのですが、家庭外で起きている食中毒は、いわゆる調理師資格を持っていない方が調理したフグで起きているのか、あるいは調理師資格をお持ちの方が調理したフグでこういった中毒が起きているのか、その辺のところの細かい情報があれば今後この検討会で認定基準を考えていくときに非常に有益な事例になると思うので、もしその辺の細かい事例があったら、事務局のできる範囲で構いませんので、提示していただけると大変助かります。

○食品監視安全課長(事務局)
御質問、ありがとうございます。
今、手元に詳細な資料がございませんが、家庭で発生した件数、「家庭で」と書いていますけれども、営業施設以外でと受けとめていただければ結構かと思います。通常の例としては、個人で釣って持って帰ってきたフグを自ら調理して食べたり、譲り渡して、もらったフグを調理して食べたりというようなケースが大宗であります。もちろん細かな例外はあると思われますが、私どもの受けとめとしてもそういったケースが大部分だと理解しております。

○鈴木委員
そうしますと、調理師資格を持った方が調理したフグではほとんど中毒事例は起きていないと認識してよろしいのでしょうか。

○食品監視安全課長(事務局)
例外的なものとして、こういうふうに書くとほとんどがそうだと見えるのですが、この記載自体は、レアなケースとして、営業施設で発生しているフグ中毒は有資格者の方がお客さんにどうしてもと求められてというケースがまれにあります。家庭で起きているものについては資格のない方が自ら調理して食されるということがほとんどであります。

○鈴木委員
わかりました。ありがとうございます。

○朝倉座長
ほか、いかがでしょうか。
私のほうから一つ教えていただきたいのですが、4ページ目のフグの都道府県別漁獲量の推移のところで、2004年から2006年に比して2014年から2016年では漁獲量が北のほうで増えて南のほうで減っているといった傾向が示されています。これは魚そのものが北上しているということなのか、それとも、とらなかったところがとるようになった、いずれなのでしょうか。そういったところ、先生方の中からかもしれませんが、水産関係、鈴木先生、いかがでしょうか。

○鈴木委員
難しいところだと思いますが、ただ最近、東京湾でフグがとれるようになって、それはある意味、ふやしていこうとして努力している自治体もありますので、そういうところもあるのではないかと思います。

○朝倉座長
ありがとうございます。
ただ、消費地という点では、やはり首都圏や関西圏、いわゆる人がたくさんいるダウンタウンでたくさん消費されているところには大きな変化はないということなのでしょうか。
松浦先生、お願いします。

○松浦委員
今の同じ資料に関してですが、フグと書いてあるので、いわゆるフグ科の魚全般を指しているのではないかと思います。トラフグ属だけではなくてサバフグ属も入っていると思いますが、もうちょっと細かいデータで見る必要があるのではないか。どういうフグの漁獲量が増えているか。
もう一つは、北と南もちょっと問題があって、北のほうに島根県がありますが、南のほうに鳥取県、隣り合っている県があるので、これは南北ではないのではないかというのが気になります。
もう一つは、ほかの県、例えば静岡県などは昔、地元で消費しなくて下関へ送っていたようですが、最近は地元で消費しているらしいですね。どれぐらい増えているのかわかりませんが、全体的にフグ食をしていなかった北のほうに広がっているというのは私自身も認識しています。例えば山形県は昔、食べていなかったと思いますが、北海道は3桁のトン数があるので群を抜いていますけれども、フグを提供している店がどれぐらいあるのか、その辺が気になります。都道府県によって違いがあるとは思いますが、実際とれているものと消費しているものがどれぐらい相関があるのか、あるいはそうではないのか。
フグの種類で見たときにこの数値がどういうふうになっているのかというのが一番気になります。サバフグ属は簡単に言えば熱帯性のフグで、分布の一番北の端っこが日本です。トラフグ属は温帯のフグなので、極東ロシアにもいます。マフグは一番北の種類で、食べるフグですが、そういった中身をもう少し見ておく必要がある。ただ、漁獲統計の場合、そこまで農水省のほうから上がってきているのかどうかもわからないのですが、わかる範囲で結構ですので、後日御説明いただけるとありがたいです。

○朝倉座長
お願いします。

○食品監視安全課長(事務局)
種類別の統計があるかどうか水産庁に問い合わせて確認させていただきたいと思います。
消費に関しては、昨年から今年にかけて特に北日本、北海道、青森を含めまして、実際に漁獲量は増えているけれども、地元で消費されているのかということで、消費量を衛生部局で調べるのは難しいのですが、私どものほうで、例えばきょうまさに議題になるフグの取扱者の数が増えているか、取り扱っている店の数が増えているかを照会しますと、実はそんなに数字に動きはないというふうに各県の回答が返ってきております。私どもとしては、結局とれるところはどこでも消費地に戻ってきている、現状ではそういう動きなのだろうと考えております。以前は地域性が高い食品ということになっていたフグ食ですが、今後どうなっていくか、まだわからない部分もあると思っています。

○朝倉座長
ありがとうございます。
水産庁等の情報がおわかりでしたら、また次回以降お示しいただければと思います。
それでは、時間もございますので、次のところに進みたいと思います。続きまして、先ほどの制度の現状等について事務局より御説明をお願いいたします。

○食品監視安全課長(事務局)
それでは、制度の概要ということで11ページから御説明したいと思います。
先ほどとちょっと重複いたしますが、2ポツ目のところにございますように、食品衛生法に基づき、食べることができるフグの種類、その部位、漁獲海域等を昭和58年に当時の厚生省通知で示しているところであります。
一方で、都道府県におかれては、こういった通知を踏まえながら、条例もしくは要綱といったものでフグに関する規制を定めておられる状況であります。
こういったルールのもとで、国内ではフグ処理の技術や知識を持っていると知事等が認めたフグ処理者が調理してフグを消費者に提供しているという状況であります。
食品衛生法に基づいてとはどういう趣旨かというのが12ページでありまして、食品衛生法第6条に有毒・有害食品等について販売禁止の規定があります。赤字で書いていますのがそれの例外でありまして「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの」が原則なのですが、ただし書きで「人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りではない」となっています。こうしておかないと、例えばテトロドトキシンがちょっとでも入っていたら法律違反になってしまうわけであります。
その場合というのが、食品衛生法施行規則第1条に書いてありますように「自然に食品又は添加物に含まれ又は附着しているものであって、その程度又は処理により一般に人の健康を損なうおそれがないと認められる場合」で、例外的に、テトロドトキシンを持っているフグが該当するような取り扱いをこの通知で定めているという仕組みになっているわけであります。
具体的には13ページの昭和58年の局長通知に書いていますように、別表1の中で、処理等により健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類と部位が決められているわけであります。
14ページですけれども、たしか平成の初めのころだったと思いますが、ナシフグの筋肉部位からテトロドトキシン検出されて、一時、食用禁止になったことがあったわけです。皮からの移行が原因ということがわかって、皮を漁獲後迅速に除去する仕組みができている地域についてはナシフグの流通を認めるというような例外的な取り扱いが示されたものであります。
さらに、15ページは「フグの衛生確保について」ということで、フグ処理を行う者及び施設、有毒部位を除去する際の遵守事項が細かく定められているわけです。まとめて言いますと、フグの処理は有毒部位の確実な除去等ができると都道府県知事等が認める者に限って行うこととなっているわけであります。
時間の関係もございますので、規定の詳細については割愛させていただきますが、通知で示して、都道府県のほうで条例もしくは要綱等、法的効果のあるルールで事業者を規制するというたてつけになっているということであります。絵であらわすと、16ページにございますように、こういった形で法律の解釈、取り扱いを示して自治体のほうで条例や要綱等を制定し、監視指導するということであります。
続きまして、17ページ以降が都道府県におけるフグ処理者の認定手続等であります。
47都道府県において実際にどういった形でフグ処理に関する規定を設置しているかということであります。ここにありますように、フグ処理者については、条例で定めているところが26、要綱で定めているところが20、規則で定めているところが1という状況になっております。条例は議会をクリアする必要がありますが、要綱については行政側で制定するというので、そういった位置づけが異なっていますけれども、処理施設についても同様に、条例で20、要綱、規則、細則、通知、なしというのもありますが、こういった形で規定しているということであります。
続きまして、19ページは47都道府県におけるフグ処理者を認める際の要件です。講習会で認めているところ、試験をやって免許を出しているところ、それぞれあるわけですが、ここに示していますのは、講習会や試験を受ける際に受けさせてもらえる人ということで、その要件が定められている状況について記載しています。
まず、左側から方法ということで、先ほどから申し上げているとおり、講習会もしくは試験ということで、真ん中から上が講習会関係、下が試験ということで整理をしています。それぞれ、学科、実技、両方あるところ、学科のみのところも若干ありますけれども、認定の手続としてかなりバリエーションがあるということです。
その中身を見ていくと、受講・受験の要件に実務経験や調理師免許であったり、要件を設定していなかったり、それぞれの自治体においてかなりバリエーションがあります。ただ、実務経験などはいいのですが、要件についてもかなりばらつきがあります。実務経験についても1年だったり2年だったり、場所によっては要件を設けていないというところもあります。こうした形で講習会と試験でまず違いますし、その中身もかなり違う。さらに、前提となる受講・受験の要件もかなりバリエーションがあると見ていただければいいかと思います。
20ページは、主な自治体におけるフグ処理者を認める際の要件です。本日この検討会の構成員になっていただいている東京都、大阪府、山口県の概要的なものですが、恐らく東京都の試験と山口県の試験も全部が同じというわけではないのだろうと思います。
処理を認める方法に関しては、東京都と山口県は試験、大阪府の場合は講習会としています。
受講・受験の要件についても、大阪府は設けていませんが、東京都と山口県についてはそれぞれ実務経験2年以上、3年以上、東京都についてはさらに調理師免許を求めているということであります。
それから、この検討会の開催趣旨の中でも申し上げたように、他の自治体で認められたフグ処理者がなかなか受け入れてもらえないという実態があるわけでございますが、その中で、東京都におかれては講習会を受講した上で受け入れ可能、自治体のライセンスというのが埼玉以下ということになるわけです。その他の資格については試験が必要ということです。大阪府については、資格発行で受け入れが可とされているところが福島県以下です。個別に確認というのが青森県以下、さらに講習会の受講が必要というのが北海道以下となっています。山口県につきましては、資格発行で受け入れ可が東京都以下、その他は試験が必要といったルールになっています。
21ページについては東京都の例ですが、先ほどから申し上げているような受験資格の要件が定められています。この中で調理師免許の関係やフグの取り扱いの従事歴といったことが記載されています。試験内容につきましては、学科試験が90分で30問、さらに実技試験ということで、実技試験についてはフグの種類の鑑別、フグの内臓の識別及び毒性の鑑別、要は、どのフグのどの部位が食べられるか食べられないか、先ほど通知の説明のところで表にありましたが、ああいったものが実際に鑑別できるのかという知識を問う。それから、処理技術で有毒部位の除去、ちり材料の調理、皮引き、刺身というような実技の試験が設けられています。
次に、フグの輸出のところに移ります。
検討会の趣旨の中の2つ目、昨今、フグの輸出が取り沙汰されているわけですけれども、23ページにありますように、現在、特に香港、台湾は日本からの農林水産物の輸出が非常に多い輸出先でございます。香港、台湾、さらにEPAが発効したEU等、そういった地域でありますが、どこも大体、フグはやはり毒魚でありまして、基本的には輸入、販売等が禁止されている状況にあります。したがいまして、フグの輸出といっても丸ではなくて身欠きフグの形態で輸出するということで二国間協議をやって、日本のそういった仕組みを説明していくわけです。
ここにありますように、輸出先国によってはフグに関して食べるのかというところから始まるわけですが、国内制度が当然ないわけです。フグ自体、食べてはいけない魚と位置づけられているわけです。例えば日本から身欠きフグを輸入するとしても、それが高価で取引されると、その国の近海産の有毒フグが出回ってしまうのではないか、そういった衛生当局の懸念があります。さらには、先ほど申し上げたような国が関与していないといいますか、地方自治体の規制中心の現在の制度に関して理解が得られないという要素もあります。
現状、フグの輸出が可能な地域はここに挙げている国でありまして、マレーシア、米国、ロシア、シンガポールです。香港や台湾は協議中となっています。ただ、ここに輸出できるとは書いていますが、例えば米国などは、備考にありますように、特定の団体が限定された回数だけ輸出できるということになっていて、自由に貿易できるという状況ではありませんので、御注意いただければと思います。また、ロシアについても輸出は可能ですけれども、実績はわずかにあるというのが正しい表現かと考えています。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございます。
それでは、御意見、御質問等をお受けしたいと思いますが、幾つかのカテゴリー別に分けていったほうがいいかと思います。
まず、制度の現状の部分、10ページからについて御意見、御質問、いかがでしょうか。関係法令の御説明が主体となっている箇所かと思います。具体的な衛生確保ということについての通知であったり、そうした内容を非常にわかりやすくまとめていただいていると思いますが、どうでしょうか。
では、後でさかのぼりでも結構ですので、次に行きたいと思います。都道府県等におけるフグ処理者の認定手続等についての箇所、17ページからですが、こちらについていかがでしょうか。特に、今回、委員として御参加いただいている3つの自治体の先生方からもいろいろ御意見が出てくるといいと思いますが、いかがですか。白銀委員、お願いします。

○白銀委員
意見というわけではないのですが、御説明だけさせていただきます。補足でございますけれども、先ほど道野課長さんのほうからよくそこまで御存じですねと思えるほどの内容の御説明だったので、余り言うことはないのですが、私ども山口県としましては、フグ処理者を認める際の要件の制度設計に当たりましては、消費地というよりも生産地というところに着目して、フグの調理師という名称にはなっておりませんで「ふぐ処理師」という名称になっております。といいますのは、最終的に刺身を引いて盛りつけるところまでを求めていない、そういう制度設計になっています。有毒部位を除去した、いわゆる身欠きフグの状態までできる能力を持っている人を「ふぐ処理師」と考えています。補足でございます。

○朝倉座長
ありがとうございます。
まさに生産地ならではの制度設計かと思いますが、ほか、東京都さんとか、このあたりのところはいかがでしょうか。

○衣笠参考人
東京都ですが、東京都は山口県とちょっと違っていて、資格名称としては「ふぐ調理師」という名前です。試験の内容も御紹介いただきましたけれども、実際にはちり材の処理まであるというところもありますが、消費地でありますので、そういった目線で処理のほかに調理の部分まで資格の中に入っている形になっております。内容としては、21ページに書いていただいたような試験の内容を実施しておりますので、これに相違ないというものです。

○朝倉座長
ありがとうございます。
では、お願いいたします。

○西岡委員
大阪府です。
大阪府は「ふぐ処理登録者」、登録制度を講習会形式で実施しております。フグの処理は、これは山口県さんと一緒で有毒部位の除去ができるということです。それをメーンに考えておりますので、調理の技術ということについては一切触れておりません。また、大阪府は消費地で、水揚げ地ではございませんので、基本的には表示されたフグを購入して、購入したフグの有毒部位がどこかというのを確認する程度です。魚種の鑑別というところは基本的には生産地で行われてきて、種別不明なフグは流通していないという食品衛生法のもとでの制度となっておりますので、講習会での実施で特に問題なくやっておりますし、資格発行というのはあくまでも大阪府にフグ処理者として登録するという意味合いでございます。
以上でございます。

○朝倉座長 ありがとうございます。
では、続けて真貴田参考人、お願いします。

○真貴田参考人 東京都の補足でございますが、昭和24年、全国に先駆けて東京都のフグの試験が始まった。調理師の免許を持ってフグ屋さんで2年間働かないと受ける資格がない。戦後間もなく食糧難で食べるものがなくて、食べるものは配給制というときに、北のほうからいろんなフグが入ってきて、そういうのは別に配給制ではないので、たやすく買えて食べて、素人料理で物すごい方が亡くなった。事故が起きた。我々の先代、東京都のふぐ連盟は昭和4年に発足しておりますが、東京の料理屋がこれでは大変だということで、昭和24年にフグの試験が全国に先駆けて始まったということで、ものすごく難しいのです。
我々が記憶しているのは、1000人ぐらい受けて200人受かればいいかなという非常に難しい試験だったので、ほかのいろんな県が東京都と同じでは大変だということで少しずつ変更して、鹿児島などは東京都と共有可になっていますが、実技試験が40分、そのぐらい少しは簡単にしないと受からないのです。そういう感じです。でも、厳しいのはほとんど一緒でございますので、東京都と共有化しているということでずっとやってきたのですが、御存じのように平成24年10月1日から規制緩和ということで除毒済みのフグならば誰が使ってもいいと、東京都に関してですけれども、調理師の免許を持っていなくてもフグが売れるようになったのです。大変心配していたのですが、今のところ事故が起きておりませんので、ほっとしております。
今回、厚労省さんが全国統一に近いように決めましょうということで、除毒作業ができて種類鑑別、後から出てくると思いますが、交雑種が多くなって危険だと思いますので、ぜひうまく全国に共通するような試験制度というか、決まりができればいいなと思っています。そうすれば、外国の方も日本のフグは安心だと思って輸出ももっとたやすくできるのではないか、そういうふうに思っているところでございます。
以上です。

○朝倉座長
恐らく今後の方針にかかるようなところをいろいろ御提示いただいたと思います。確かに自治体によって向いている相手がそもそも違う。地理的な違いであったり、最後に真貴田参考人がおっしゃったように歴史的なところ、そうしたところもそれぞれの地域でやはり違いもあるということかと思います。そうした中での一つの統一的なものはやはり考えていかなければいけないという現状も輸出等を考えた際には当然出てくるお話かと思います。
この辺のところ、講習会の詳細等については、参考資料等では御説明とかございますでしょうか。たしか参考資料で自治体間の受け入れ等に関してリストみたいなものもあったかと記憶していますけれども、よろしいでしょうか。

○食品監視安全課長(事務局)
関係の参考資料は、参考資料4と5になります。参考資料4がこれまた細かい資料になるのですが、受講・受験資格と実務経験年数を以前調査した際に各自治体でどういうふうに定めたかということについて整理したもの、これは今年の4月時点でアップデートしたものであります。こういったように各自治体によってかなりばらばらで、試験(学科+実技)となっていても内容は必ずしも一緒ではないとか、講習会(学科+実技)と書いてあっても必ずしもそのカテゴリーに入っているものの内容が類似しているかというとそうでもないものもありますので、一括りになるというふうに御覧いただくのが正しい理解につながるかどうかというのは事務局としてもなかなか難しいと思っています。ただ、整理は一応する必要がありますので、私どものほうでおおむねこういうふうにカテゴライズできるのではないかということで整理した資料だと受けとめていただければよろしいかと思います。
右端の「同等以上を認める他自治体のフグ処理者の取扱い」は、ここの自治体の処理資格は認めますという際の手続をどうしているか、届け出のみというところから、受験の資格を新たに内容を確認して与えるというケースもあります。それぞれの自治体によってやり方が異なっているケースもあるということであります。
次の参考資料5でありますが、相互にフグ処理者の資格の受け入れをやっている、やっていないという表です。これは非常に細かい資料ですので、タブレットの機能をフルに活用して見ていただかないとちょっとわかりにくいのですが、グレーになっているところは個別に確認を行って判断しているというふうにしておりますし、二重丸については資格を有していればいい、新たな手続は要りませんというところもあります。また、追加的に講習会を受講してもらう、受験してもらう、そういったことは要らないが、自らの自治体のライセンスに交換するというか、改めて発行するということはしている。講習会だけは受けてくださいとか、空欄のところについては一からチャレンジしてください、そういう取り扱いになっていまして、これを全自治体で縦横で並べるとこういった表になるということであります。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございます。
非常に膨大な情報をうまく一つにまとめていただいたと思います。参考資料5で、例えば空欄になっている箇所というのは試験を改めて受ける必要がある、そういう意味でよろしいのですか。

○食品監視安全課長(事務局)
はい。

○朝倉座長
確かに、要件等、実務経験の必要性、講習会なのか試験なのか、はたまた制度そのものの根拠が何であるのかといった点で参考資料4のほうは表としておまとめいただいています。ただ一方で、試験の内容であったり講習の内容あったりについても違いは当然あるかと思いますので、そういった情報がどこまで収集可能かという点は、事務局で恐らくお調べされていらっしゃると思ったりもしますが、東京都さんのほうは、今回、御提示いただいておりますけれども、試験等に関して公開されていらっしゃるということでしょうか。

○衣笠参考人
多分これはホームページからということで、今、本年度の試験の要綱が出ておりますので、それを見ていただいたかと思います。

○朝倉座長
ありがとうございます。

○真貴田参考人
済みません。ちょっといいですか。

○朝倉座長
はい。

○真貴田参考人
先ほど言うのを忘れたのですが、先ほど申し上げました規制緩和になりまして、その後、フグの試験を受ける方が年々減っています。ということは、試験を受けなくても処理済みのフグを使えば、調理師の免許、フグの免許はなくても売れるように東京都の場合はなってしまったので、昔、1000人ぐらい受けていたのが今は300人を切っているという現状でございます。やはりそうだと思います。東京都の場合は、丸を使いたかったら受けなければいけないということなのです。我々、昔、試験委員もさせていただきましたが、はっきり言って年々易しくなっています。昔だったら絶対受からないのが今は大体合格になってきた。そうしないと無理だと思います。
以上でございます。

○朝倉座長
ありがとうございます。
調理のところまで入れるか入れないかというところで試験のレベルも大きく変わるということなのですかね。
ほか、御質問、御意見、あるいは御提言も含めて、佐藤先生、お願いします。

○佐藤委員
ずっと伺っていまして、意見を言うにはまだ早い段階ですが、東北、北海道が生産量が多いというのは、昔はとれていたのでしょうけれども、廃棄して海に放り投げたり、魚かすにして出したりということが緩かったのでしょうね。それをやられていたのが最近は基準がだんだん厳しくなってきて、捨てるに捨てられないという状況があって、具体的な名前を出すのは差し控えますが、ある魚市場で多いときには1日にトン単位で揚がる。しかし、毒の強いのを知っているから地元の人間はそれは食べ物ではないというか、自分たちが扱ってはいけないものだと、それでどうなっているかというと、恐らく山口県だと思いますが、他県の方が見にきて、我々が処理するからそれを鮮度のいい状態で送れと。
ところが、さっきナシフグの話もありましたが、皮の毒性がすごく強いフグが2~3種類あって、ちょっとでも鮮度が落ちると肉に移るような結果が出ています。結果として肉が強毒レベルになったりする。どれぐらいの時間で鮮度が落ちるかわかりませんが、やはり現地で処理しないとまずいというのは最近よく感じています。では、彼らがそれができるかというと自信がないのです。種の判別、その他が自分たちではできない。例えば、全部一つのトロ箱に入れて、これはみんなクサフグだと言うのを私が見ると4種類ぐらいまじっている。そういう状況なので、処理されたものが送られてくる大阪や東京は簡単でもいいかもしれないけれども、生産されて、出荷しようとしている県はやはり結構厳しい資格認定が必要なのかなとむしろ思う次第です。
以上です。

○朝倉座長
貴重な御意見、ありがとうございます。
生産現場においては、鑑別、処理の方法、大きく分けてその2点についての詳細な制度が必要という御意見だったと理解します。まさにおっしゃるとおりかと思います。
いかがでしょうか。ほかに関連する御意見、違うことでも結構ですけれども、せっかくの機会ですので、よろしいでしょうか。
それでは、続いてフグの輸出に関連するところですが、ここについていかがでしょうか。
減少しています業界の関係性かもしれないので真貴田参考人にお聞きしたいのですけれども、輸出ということについては、いろいろな業者さんが当然いらっしゃると思いますが、業界としては促進したいという御意向はかなり強いということですか。

○真貴田参考人
そうですね。我々は昔から下関とお付き合いしておりますが、あちらの方がおっしゃるのが、やはり国がある程度認めないと送れないそうです。ですから、その辺が一番大事なところかなと思っております。

○朝倉座長
国と国との取り決めが成り立たないと輸出ができないということですね。

○真貴田参考人
そういうことですね。

○朝倉座長
特にないでしょうか。お願いします。

○西岡委員
大阪府ですけれども、先ほどの他府県との比較のところで少し補足させていただきます。大阪府は、ほとんどのところは登録することで認めているのが現状でございます。個別の判断というものに関しましては、他自治体の講習会等の内容が我々が基本とする食品衛生学やフグの知識、その辺が大阪府と同等かどうかということも判断しておりますし、実技、トラフグを1匹丸ごと調理していただいて有毒部分と可食部分を分けるという講習をやっておりますので、フグを実際にさばいているかどうか、これも判断基準にしております。5つの自治体につきまして受講を求めているのは、フグを処理する行為を確認されていないということで除外という形にさせていただいております。そういうところを詳しく確認しながら、大阪府で認めるか認めないかということをやって、今、こういう形になっているところでございます。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございます。
やはり実技試験そのもの、実際に手を動かす場合とそうでない場合があるということですね。このあたり、山口県さんはいかがですか。ちょっと戻ってしまいますが。

○白銀委員
山口県では、他県の資格を認める、認めない、その点につきましては、今、大阪府さんがおっしゃったのと同じ考え方で、山口県の制度と同等以上のものであれば受け入れを認めるという考え方でございます。基本、学科試験、実技試験、両方を課しています。実技試験においても種類鑑別、臓器鑑別、フグの処理、この3つの行為を課しているところを受け入れしているという考え方が基本になっております。他県で制度を変えたところについては改めて検討させていただくという方針で進めております。
以上です。

○朝倉座長
東京都さんの実技試験についてはいかがですか。

○衣笠参考人
東京都の通常の「ふぐ調理師」の試験ということでしょうか。

○朝倉座長
はい。

○衣笠参考人
こちらに書かれておりますが、実技試験は種類鑑別ということで現物の5種類のフグを確認していただくということと、実際にトラフグを1尾、処理していただいて、内臓の識別がちゃんとできるか、有毒部位の部分がわかっているか、毒性がわかるか、食べられるか食べられないかということがわかっているか、実際に有毒部位をきちっと除去できるかという項目と、調理の部分ももちろん見るということで、刺身まで調理していただいて、合わせて20分という試験をやっております。

○朝倉座長
ありがとうございます。
実技試験というところも平準化をやるに当たっては一つの大きな問題になってくるのかもしれませんね。それに当たって、生産地での鑑別等も含めた形とするのか、あるいはおっしゃったような除毒を終わったものだけを取り扱う形にするのか、そういったところでも仕分けが必要になるのか、そのいずれを対象とするのかということになるのでしょうか。
ただ、輸出の観点でいうと、今、インバウンド消費も増えていく状況にあって、今後も増えていくということは当然想定できるものでしょうから、そうしたところにも適応していくためには平準化についての整理がやはり必要なのだろうと思います。
それでは、御説明自体は事務局から幾つかの観点でいただきました。これらを踏まえた上で、今後の進め方について事務局から御説明いただけますか。

○食品監視安全課長(事務局)
それでは、今後の進め方、24ページ以降、資料に基づいて御説明いたします。
冒頭、申し上げたような検討事項ということで、フグ処理者になるための講習会の受講または試験の受験資格、フグ処理者を認定する際に求める要件というのが大きな論点なのかと考えています。
前者につきましては、具体的な例が出ていますが、調理師免許が本当に必要なのか、もちろん食品衛生の関係、そういった知識に関しては調理師免許をお持ちの方は既に持っていらっしゃるわけです。そういった意味で、調理師免許があることが最も望ましいわけですが、同等の知識を持っている方もいらっしゃるわけですので、そういった人たちをどう認めていくのかという観点もあるのではないかと考えております。
また、実務経験についても、余りぶっつけでやる人はいないと思いますが、調理師なりフグ処理師なりの免許というのは、免許を持っておられる方の監督下での処理も認められているわけですので、そういった意味で実務経験を十分積んだ方が最終的に資格を取って監督者にもなれるようになるというたてつけになってくると思います。そういう観点での実務経験というのが論点になるのだろうと考えております。
それから、後者のほうは、試験の中身になるわけでありまして、ここにありますように、今、議論もございましたが、学科、要するに知識ということと実際の実技です。学科につきましては、先ほど申し上げたような食品衛生ということもあれば、ここにありますような鑑別、解剖学、フグ毒、そういったこともあると思います。一方で、実際に実技としてそういった技術を持っているのか、知識がちゃんと処理に反映されているのかという観点で、種類の鑑別、有毒部位の除去、特に毒性のある部位を他を汚染することなく的確に除去していくことも重要になってくると思います。こういった点について御議論いただければと思います。
先ほどのところでちょっと補足させていただきますと、各県で他県の資格の受け入れに関しては、従前から技術者の方が移動するに当たって非常に不便だということがあって、国のほうからも受け入れについて積極的に検討いただきたいということを自治体のほうにお願いしています。そういったことで、言ってみれば資格付与の試験や講習会、知識・技術の同等性ということを各県に検討いただいてああいう形になってきているわけですが、それだけではなかなか難しい部分が出てきたということもあって今回の検討につながっていることを若干補足させていただければと思います。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございます。
今後、検討するべき事項ということでまとめていただいています。大きく分けて、講習会の受講や試験に当たっての受験資格、内容について、また今後御議論いただくべきかと思いますが、今回、各自治体の状況についての資料をいただいておりますので、こうしたことを持ち帰って判断していただき、次回に向けて御意見等いただける形がいいのかなと思っています。
また、フグ処理者を認定する際に求める要件は、御議論の中では除毒に関する処理、鑑別等、ここにかかわるような学科、実技の科目、そうした内容についても要点として盛り込んでいただいているかと思いますので、これに不足するものとか、あるいは必ずしも必要ではないのではないか、そうした御意見についてもまた次回以降にいただきたいと思っています。

○食品監視安全課長(事務局)
座長から次回以降ということでお話がありましたが、26ページを御覧いただきますと、今回はフグ処理者認定の現状ということを非常にあらあらではございましたけれども、御説明させていただきました。非常にいろんな要素があるということも御理解いただけたと思いますし、こういったものを踏まえて今後の検討のベースにしていただければということであります。
2回目につきましては、5月下旬、1か月後ぐらいに開催する予定にしております。内容としては、関係者の方々から制度の現状のもっと詳細な内容についてヒアリングしたり、また、検討の方向性についても関係の方々から御要望、御質問等を受けるということも含めてやっていきたいと考えています。そういう中で、評価基準、技術的な基準ということになりますので、そういったものも事務局のほうで整理したものをお示しするというのが第2回であります。
第3回はその1か月後でございまして、評価基準の検討をさらに詳細にしていただいた上で、可能であれば基準案を取りまとめていきたいというスケジュールで考えています。
その途中でさまざまな論点が追加された場合には、もちろん事務局の思うとおりにいかないというのは十分想定されるところではありますけれども、私どもとしてはこれぐらいのスケジュールで進めさせていただければありがたい、そういうものでございます。

○朝倉座長
御説明、ありがとうございます。

○真貴田参考人
ちょっといいですか。

○朝倉座長
はい。

○真貴田参考人
私、次回、来られないかもしれませんので、フグ処理者を認定する際に求める要件、ここのところで先ほど佐藤先生もおっしゃったように種類鑑別が非常に難しくなってくると思います。これから、交雑種、ハーフ、その次のクオーターとか、いろんな要素が出てくると思います。勉強している先生方もいらっしゃるので、例えばマフグとトラフグの交雑種はこういうもので、本物はこっちですよと、そういう写真とかあれば非常に勉強になると思います。
私、思うのは、漁師さんがいっぱいフグをとる。その中に絶対そういうものが入っているわけです。そのとき、これはゴマフグである、これはショウサイフグとまざっている、そういうのを見比べる画像があれば、先ほど来出ている家庭での事故、釣りをして食べたとか、このフグは食べてはいけませんというのを厚労省からでもホームページでどんどん発信していただければ、これからそういうのは少なくなると思っているところです。
次回、会長が来ると思いますが、私、今回だけだと思いますので、一言、申しわけございません。そのようなことをしていただければと思います。現物を見ないとわからないではないですか。口で言ってもわからない。画像があれば一番いいと思います。漁師さんがとって、厚労省のほうに受け口があったら、そういうのをどんどんまとめて、専門家が見ればすぐわかる。そう思いますね。これからまざってくるでしょう。ハーフだけではなくてクオーターになると余計ややこしくなります。どれだけの毒素があるか、未知の世界ですからね。

○佐藤委員
これは松浦先生のほうがお詳しいですけれども、写真、画像だけではなくて、もちろん画像は大事なのですが、実際にさわってみないと、とげのあるなしというのが種判別の根拠になりますし、見かけはコモンフグに見えるけれども、とげがないからとか、ショウサイフグとのハイブリッドとか何とかというのがありますから、やはり写真プラス何かアルファが必要かなと思います。

○真貴田参考人
ということでございます。

○朝倉座長
貴重な御意見ですね。ありがとうございます。
松浦先生。

○松浦委員
交雑種というのは見ただけではなかなか難しいです。片方の親をこれだろうと推測することはできるのですが、例えばトラフグとマフグの雑種というのは日本海でほかの雑種と比べれば多く出ます。そうすると、トラフグでもないし、マフグでもない変なフグという第一印象を私たちが見た場合、持つわけです。どちらの色彩パターンが強く出ているかによって、恐らくこれはトラフグに何かがかかった。Xはわからないです。ただし、片方の親はよくわかる。例えばシマフグの雑種だとヒレが黄色なのですが、全部のヒレが黄色というのはトラフグ属ではシマフグしかいないので、シマフグが片方だと簡単にわかるわけです。でも、お父さんかお母さんのどっちかがよくわからない。これを正確に知ろうと思ったら、遺伝子レベルの研究に頼らざるを得ないのですけれども、残念ながら両親種がぴしっと決まることは、今のDNAの解析方法でも必ずしもそうなるとは限らないそうですから、非常に難しいです。
ただ、これはトラフグである、これはマフグである、あるいはヒガンフグであると、ちゃんとした種を鑑別できるかどうかというのが一番重要です。基本的に今の厚労省の基準でも、要するに両親種がはっきりわかっている場合、例えばマフグとトラフグの雑種であれば皮は食べることができません。トラフグは食べることができますけれども、マフグは毒ですので、片方が有毒部位を持っている場合は、雑種の場合、もう片方の親で食べることができてもそこはだめということになっています。
ですから、基本的に怪しいフグは流通に乗せないということが一番重要だろうと思います。そういった点では、さっき東北の例を佐藤先生が紹介してくださったのですが、現地でどれだけきちんとはねることができるかというのがとても重要だと思います。この魚種鑑別で、交雑種のことを当然、気にしなければいけないのですが、これをすぱっと一発で現場で、あるいはラボへ持って帰ってもそう短時間では答えが出ない場合もあるので、今、申し上げたように、怪しいものは回さないというのを基準にしておかなければいけないのではないかということが一つあります。
そういう意味では、データベースをつくる。遺伝子レベルとか、こういう色彩を持った、あるいはとげがこういうところにあったフグはこういう遺伝的な特徴を持っているというのを蓄積していく必要があるのではないかと思います。
それと関連して、輸出とも絡むことですが、御紹介しておきたいのは、10年ぐらい前にワシントンD.C、正確に言うとバージニアか、向こうの食品衛生研究所の魚類を担当している人から、日本の周りのフグのDNAを手に入れたいので組織片を送ってくれないかと頼まれたことがあります。なぜかというと、中国のある業者がアメリカにペット向けの飼料として凍結の魚を送ったのですが、それがフグだったのです。ラベルは別の魚になっていたのですが、その業者はインチキなことをやって、結構、事件になりました。協力したのですが、その2年後ぐらいに私は国立自然博物館に行ったのですけれども、調べているとき、国立自然博物館の知り合いが衛生研究所の食品衛生担当者で、私が来ているというので、見てもらいたいものがあると持ってきてくれたのが、中国から輸入してアンコウとラベルはなっているが、どうも怪しいというので、見たらドクサバフグでした。中国という国がいいかげんなのではなくて、その業者がいいかげんだったと思います。
そういう意味で、向こうはDNAの情報を当時から蓄積していっています。すし屋でインチキなものが出回っていることもあるわけです。すしを持ってきて解析すればすぐわかりますから、そういうことを向こうではやっています。
当然、日本でもフグだけではなくてキノコとかいろんなものがあると思いますが、食品になるもので種によって有毒、あるいは下手をすると雑種でそういうものが出てくるおそれのあるものが現実にいますので、ずっと今後のことを考えるとどこかでデータをためておく必要があるのではないか。担当するとしたら厚労省か農水省になると思いますが、やはり国としてきちっと考えなければいけないのではないか。
特に輸出を考える場合、見た目だけではなくてDNAも調べているのだろうということを絶対言われると思います。バーコード・オブ・ライフといって、動物の場合、CO1ですが、それで種を鑑別しようということをカナダとアメリカでずっと進めているわけです。さっき申し上げた向こうでの遺伝子というのは、当面、CO1を使っているのですが、もちろん一遍解析すればいろんなものがわかりますので、そこは考えておく必要があるのではないか。この検討会の課題の中におさまらないかもしれませんが、非常に重要な関連はあると思います。

○朝倉座長
さまざまな御意見、ありがとうございます。
この先、将来的な展望に向かってのさまざまな貴重な御意見をいただいたと思っています。松浦先生もおっしゃったように、やはり怪しいものは排除するというのが健康被害を未然に防ぐ趣旨から一番現実的なところも踏まえますと、そうした対策を行うためにはどうすればいいか、そのための資料あるいは関連する問題、そうしたところにつながると思っています。一方で、所管がどこなのかということは別として、そうした科学的な観点から食の安全を世界規模で担保していくためにはどうするべきかという御意見もいただいたと認識しています。ありがとうございます。
時間的なものも迫っていますが、本日はさまざまな御意見、活発な形でいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局からほかに何かございますか。

○HACCP国内対策専門官(事務局)
ありがとうございました。
次回の開催でございますけれども、5月下旬ごろを予定しております。日程につきましては、先生方の御都合を確認させていただいた上で、改めて御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○朝倉座長
長時間にわたりまして御議論いただき、ありがとうございました。また、日程調整につきましても、お忙しいかと思いますが、引き続き御協力いただければと思います。
それでは、本日はこれで終会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


 

照会先

医薬・生活衛生局 食品監視安全課

電話:03(5253)1111(内線4244、4271)