技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第29回)議事要旨

                                人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 平成30年12月25日(火)15:00~17:00

○場所 厚生労働省 専用第21会議室

○出席者
  大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
  公益財団法人国際研修協力機構
  (そう菜製造業関係)一般社団法人日本惣菜協会、農林水産省
  (漁船漁業職種関係)大日本水産会、水産庁
  (宿泊職種関係)宿泊業技能試験センター、観光庁
 
○議題
  1 そう菜製造業職種の3号整備について
  2 漁船漁業職種の試験基準等の変更について
  3 宿泊職種の追加について

○議事
  1 そう菜製造業職種の3号整備について
  ○ 第28回専門家会議における指摘事項への対応について、日本惣菜協会より概ね以下のとおり説明が
   あった。
  ・ 試験監督者によって評価に差が出ないようにすべきとの指摘を踏まえ、試験監督者用に、年に複数回
   の合同研修を行い、レベルの平準化を行うことで、評価に差が出ないようにすることとした。
  ・ 試験監督者用の採点基準の温度や濃度、時間などについて、許容できる範囲(上限・下限)を明確に
   記しておくべきとの指摘を踏まえ、試験監督者のマニュアルについて、事前に試験監督者で試験を行った
   うえで、品質管理基準の許容できる範囲を記載することとした。
  ・ 安全管理に関する点について学科・実技の採点項目に入れるか、判断等試験などに入れてはどうかとの
   指摘を踏まえ、安全管理に関する点については実技試験の採点項目に加え、判断等試験に関連する問題
   を出題することとした。
 
  ○ また、同団体から試行試験の結果について報告があった。その中で、加熱調理において、標準作業書で
   品質基準を満たす結果となり、是正措置を必要としなかった例が1件あったこと、さらに、試験監督者に
   よって色・食味の評価にばらつきがあったので、評価の平準化の必要性について再認識した、との報告が
   なされた。
 
  ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
   委員)試験において、是正措置をたまたま必要としないこととなった場合の採点や試験の評価をどうするか
     について、検討すること。
   説明者)御指摘について、検討する。
 
  ○ 検討の結果、そう菜製造業職種(そう菜製造作業)の3号整備について、了承された。
 
  2 漁船漁業職種の試験基準等の変更について
  ○ 漁船漁業職種(延縄漁業作業)の試験基準等の変更について、大日本水産会より概ね以下のとおり説明が
   あった。
  ・ 漁業界独自の監理体制として、農林水産省において「漁業技能実習事業協議会」を設立している。協議会
   では、「労働組合による実習生の保護」と「担当中央漁業団体による監理体制の構築」の確認が取れた実習
   実施者に「漁業技能実習事業協議会証明書」を発行している。実習実施者はこの証明書を添付することで、
   技能実習計画の認定申請が可能となっている。
  ・ 監理団体(漁協)は漁法ごとに中央漁業団体に所属して指導を受けることとなっている。
  ・ 延縄は水平に延ばされた「幹縄」にエサの付いた「枝縄・ハリス」が取り付けられたものを基本構造として
   いる。まぐろ延縄やきんめだい底立延縄など、漁獲対象種に合わせて漁具の設置水深が異なっている。
  ・ あかむつ底延縄は、沿岸の海底付近に延縄漁具を設置し、アカムツ等を漁獲する漁法であり、幹縄8km、
   枝縄を30m間隔で200本ほど取付け、一つの枝縄にハリスを3~4本ほど取付けるもので、幹縄の最初と
   終わりに旗竿(ブイ)を付け、アンカーを打つ。投縄後、縄待をせず最初の投縄位置へ戻り、揚げ縄を行う。
  ・ 今回の変更は、あかむつ底延縄を延縄漁業作業に追加することに伴い、審査基準(製品の例)にアカムツ、
   キダイ、アラの魚種追加をして、船の装備上、設備の使用有無が分かれる「ラジオブイの保守・管理作業」を
   「ラジオブイの保守・管理作業(船の装備に応じて)」と変更するものである。これは、あかむつ底延縄に
   ついて、延縄漁具を入れた後に、魚を一定期間待つという縄待ちがなく、仕掛け終わったら元の位置に
   戻って、回収するため、遠くからブイの位置を知る必要がなく、ラジオブイを使用することがないためで
   ある。
  ・ 更に、「鮫をドレスにする作業」を「鮫をドレスにする作業(漁獲物に応じて選択)」と変更する。ドレス
   とは魚の頭と内臓を除去することで、近海のあかむつ底延縄では、鮫がかかることは少なく、ドレスにする
   作業を行わないためである。
  ・ 従前、新規に魚種を追加する度に試験基準を変更することが必要になっていたが、漁業界独自の監理体制
   が制度化されたことから、試験基準の「魚種名」の記載を「漁法名」の記載に変更する。
 
  ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
   委員)今回の追加は、漁船漁業職種(延縄漁業作業)に新しい魚種の追加を認めるものとなるが、例えば
     ラジオブイの保守・管理など特定魚種では行わない作業が発生しうることになる。選択になった部分は
     試験には出さないなど、対象魚種の違いにより試験が不公平なものとならないよう注意すること。
   説明者)注意することとしたい。
 
  ○ 検討の結果、漁船漁業職種(延縄漁業作業)の試験基準等の変更について、了承された。
 
  3 宿泊職種の追加について
  ○ 宿泊職種の追加について、宿泊業技能試験センターより概ね以下のとおり説明があった。
  ・ 宿泊施設の類型を網羅的に示した上で、実習生を受け入れる施設の線引きを明確化すべきとの指摘があり、
   対応した。本技能実習の対象は、旅館業法第2条で定める旅館業(「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」
   「下宿営業」)のうち、「旅館・ホテル営業」の施設で、風営法で定める店舗型性風俗店を除いた施設と
   した。
  ・ ホテル、旅館の都道府県別の客室数の資料について、調査の名称、調査年等の出典を明らかにすべきとの
   指摘があった。これを踏まえ、当該資料に出典を記載した。
  ・ 宿泊施設の作業を洗い出した上で、各作業に付随する「~ができること」という技能を具体的に示すべき、
   さらに、必須の作業と選択する作業に区分し、一覧表を作成すべきとの指摘があった。これを踏まえ、宿泊業
   における作業内容を洗い出し、必須業務、関連業務、周辺業務に区分し、更に宿泊の施設の形態(ビジネス
   ホテル、シティホテル、リゾートホテル、旅館)の4つの分野に分け整理した。
  ・ 実習生を受け入れる宿泊施設の規模についても考慮すべきであり、仮に施設規模で線引きしない場合、その
   大小によって実習生の経験値が異なってしまうが、実習場所によって実習生に有利・不利が生じてはならない
   との指摘があったが、整理表から規模による作業内容の違いはないと判断できたため、受入施設の線引きは
   行わないこととした。
  ・ 「実習内容(必須業務)」の1号と2号の関係を再整理すべきとの指摘を踏まえ、1号実習では、全ての
   作業を補助作業とし、2号実習では、チェックイン・チェックアウト作業補助を新しく追加し、その他の業務
   に関しては、主体的に作業ができるようにすると整理した。
  ・ 消毒など施設の「衛生管理」が労働者の安全確保などの「安全衛生業務」に含まれるという説明は不適切
   ではないかとの指摘を踏まえ、「安全衛生業務」から「衛生管理」を取り出し、「衛生管理」を必須業務に
   入れ込んだ。
  ・ 安全衛生業務の「雇入れ時等の安全衛生教育」のみ使用者が主語となっているので、記載方法を再検討
   すべきとの指摘を踏まえ、「雇入れ時等の安全衛生教育の受講」に修正した。
  ・ 「接客に必要とされる日本語能力を3年目の実習修了時までに身に付ける」とあるが、何を目的としたもの
   なのか明らかにすべきとの指摘を踏まえ、目的を明確にした。
  ・ 宿泊業の接客で必要となる日本語能力について記載した。具体的には日本人上司から技能の修得を受ける
   際や日本で接客業務に従事する際に必要となり、3年間の技能実習を通じて実習内容に比したものを身に
   付けることが求められる。なお、実習生の日本語能力の向上は、自国での宿泊業での日本人旅行客の利便性
   が高まり、日本人旅行客数の増加も期待できる。
  ・ 実習生が夜勤を含めて指導者がいない状態で1人で業務を行うことがないようにすべきとの指摘があった。
   これを踏まえ、「ナイトフロント・夜警など深夜の業務」を移行対象職種・作業とはならない業務例に追加
   した。
  ・ おもてなしの精神を試験することは困難との指摘を踏まえ、「おもてなし」の精神については試験で測る
   ことはせず、業務マニュアルに記載されており、かつ、試験監督者が定量的に評価できる項目で試験を実施
   する。
  ・ 「開発途上国においても標準的なサービスは提供されている」とあるが、どのような評価基準で見て、どの
   ような項目が日本と比較して低いのか明らかにすべきとの指摘があった。これを踏まえ、職種追加を希望し
   ているベトナムとミャンマーの実態等を把握した上で、日本との比較におけるサービスレベルを明らかにし、
   その結果も参考に実習内容を整理した。
  ・ 現在すでに受け入れている1号実習生は何人程度いて、どこで、どのような業務を行っているのか、可能な
   限り実態を把握すべき、その上で、課題があるとすれば、職種追加することで解決できるのか整理すべきとの
   指摘があった。これを踏まえ、1号実習生の現状(人数、施設、業務内容等)と課題を整理した。
    受入施設に対する調査により把握した課題として、1年間の実習では、食事の提供、フロントでの接客等の
   基礎的な技能等しか実習生は修得することが出来ておらず、宿泊業における接客、利用客の安全確保、
   衛生管理、安全衛生の技能を総合的かつ系統的に修得するには実習期間が不十分との課題があった。
 
  ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
   委員)送出国の現状及び課題について、一部の極端な事例や人員を配置する経営者側に問題のある事例
    にとどまっており不十分であるため、送出国の一般的な状況を把握すべき。
   説明者)一般的な状況を把握する。
   委員)送出国の課題と実習内容が一致していない。送出国と日本の差を埋めるために必要な技術・力量を
    実習で付与するという本来の目的を踏まえ、課題のリストアップを再度行うべき。
   説明者)御指摘について対応する。
   委員)リストアップする送出国の課題を踏まえ、受入施設の類型・規模に関わらず必ず実習を行わなければ
    ならない項目、必ずしも行わなくてもよい項目について再度整理し、作業の分類表や実習内容を再確認
    すべき。
   説明者)御指摘について対応する。
   委員)必須業務について、1号と2号の差や1号、2号それぞれで求められる水準、3年かけて修得する内容
    かどうか等を明確にすべき。
   説明者)御指摘について明確にしたい。
   委員)1号ではチェックイン・チェックアウト作業が外れているが、小規模のビジネスホテルではこれを外す
    と他に作業があるのか、整理すべき。
   説明者)御指摘について整理する。
   委員)安全衛生業務は1号と2号で差がないのかも整理すべき。
   説明者)御指摘について検討する。
   委員)規模や施設の形態によっては、例えば、傘の貸し出しなど必ずしも全ての施設で実施されない作業
    もあるので、どの受入施設でも必ず実習が行われ、試験で確認する必要がある項目かどうかも整理すべき。
   説明者)再度確認の上で、整理したい。
 
  ○ 検討の結果、宿泊職種(接客・衛生管理作業)については、次回以降、引き続き議論が行われることと
   なった。
 
                                                               (以上)