第3回非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

平成31年4月18日(木)14時~16時

場所

厚生労働省 3階 共用第6会議室

議事

 

○石上がん・疾病対策課長補佐 ただいまより、第3回非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。まず、本日の出席状況について報告いたします。本日は全構成員の御出席を頂いております。なお構成員の交替がございます。林修一郎構成員におかれましては、4月1日付けで異動となられたため、全国衛生部長会の鶴田憲一会長に構成員をお願いしております。鶴田構成員、よろしくお願いいたします。
 続いて、資料の御確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料1「循環器病の診療情報を把握する体制について(案)」、資料2「循環器病の診療情報を把握する対象について(案)」、資料3「登録項目案」、資料4「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会報告書骨子案」、参考資料1~3となっております。また構成員のお手元には、第1回及び第2回検討会の資料を配布させていただいております。資料に不足、落丁等がありましたら事務局までお申し出ください。
 以上をもちまして、カメラを収めていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。これからの進行は永井座長にお願いいたします。
○永井座長 それでは、よろしくお願いいたします。前回は救急医療現場での診療情報の活用の在り方を含めて、循環器病の診療情報を把握する目的と情報の集め方、また対象疾患と必要な項目の考え方について御議論を頂きました。本日はまず、循環器病の診療情報を把握する体制と対象、項目について御議論いただき、その後で検討会報告書の骨子案について御議論いただきたいと思います。
 では議題1、循環器病の診療情報を把握する体制と対象及び項目について、資料1~3を御説明いただきます。事務局、よろしくお願いいたします。
○安井がん・疾病対策課長補佐 お手元に資料1を御用意ください。スライド2を御覧ください。第1回、第2回の議論を踏まえた論点案として、1.診療情報を把握する対象施設、収集・維持管理する主体、利活用する主体について、2.利用目的を踏まえた診療情報の取扱いについてを挙げております。
 スライド3を御覧ください。まず、1つ目の論点についてです。診療情報を把握する施設として学会関連施設やカテーテル治療実施施設などとすることについては、前回おおむね御了解いただいたところです。まずは、学会関連施設を対象としてはどうか。具体的なカテーテル治療施設等の例として、将来的には医療計画で脳卒中や心血管疾患について各機能を担う医療機関として記載されている施設等も対象としてはどうかとしております。
 収集・維持管理する主体として、前回までの議論を踏まえ、公共性の高い診療情報の管理は、公的な機関が行う必要があるのではないか。診療情報の収集には、学会等の協力も必要ではないか。さらに公共性、透明性という観点、脳卒中も心血管疾患も取り扱っている点で、今までの学会と連携した取組の実績も含めて、国立循環器病研究センターを中心とした方法も考えられるのではないかとしております。
 利活用する主体として、第1回、第2回検討会で都道府県等地方自治体と、研究者や関連学会等が連携し、診療実態の把握や医療施策に利活用している例や、急性期医療へ診療情報のネットワークを活用している地域の取組例を示していただきました。国、地方自治体、医療機関、研究者等が診療情報を利活用する主体として想定されるのではないか、研究者や関連学会等の診療情報活用の在り方について、また医療施策のほか、急性期医療現場での活用を含めた地方自治体との連携の在り方についても検討すべきではないかとしております。
 スライド4は、2つ目の論点で、利用目的を踏まえた診療情報の取扱いについて主な御意見をまとめています。個人情報保護法に基づく整理の必要性について、情報を利用できる施設等や、その利用目的の範囲の設定が必要ではないかといった御意見を、丸山構成員や山本晴子構成員から頂きました。また顕名での情報収集については、最終的に患者が恩恵を受けられるよう、顕名で情報を収集するほうがよいのではないか、循環器病の疾患特性を踏まえ、その事象と把握するために顕名での情報収集が必要ではないかといった御意見を、永井座長をはじめ複数の構成員から頂きました。データベース管理方法については、今村構成員から一旦匿名化されたものをつなぎ合わせることは技術的に困難であるため、利活用の際に必要に応じて匿名化するほうがよいのではないか、山本隆一構成員から、単一の顕名の情報として管理するほうが、セキュリティ上のリスクを減らせるのではないかといった御意見を頂きました。
 スライド5は、個人情報保護法第23条を抜粋しております。第1項に、「次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」とあり、顕名情報については原則事前の同意が必要です。第2項はオプトアウトについてですが、「要配慮個人情報を除く」とあり、要配慮個人情報に当たる診療情報はオプトアウトの対象にならないため、第23条第1項の規定に基づき、あらかじめ本人の同意が必要と考えられます。
 スライド6は、利用目的と同意取得について整理したものです。1)急性期医療への活用においては、顕名で診療情報を収集し、他の医療機関等が閲覧し、活用できるようにすることが必要ではないか。そのため顕名の診療情報を循環器病情報センター(仮称)に収集し、急性期医療に活用するために他の医療機関に提供することについて同意が必要ではないかとしています。2)公衆衛生への活用においては、同一人物の判別等、データベースの正確性担保のため顕名で診療情報を収集することが必要ではないか。データベースに集まった診療情報を公衆衛生へ活用する際には、匿名で可能なのではないか。そのため、顕名の診療情報を循環器病情報センター(仮称)に収集し、匿名で公衆衛生で活用することについて同意が必要ではないかと考えています。3)については前回までの御議論のとおり、項目や情報収集方法等について、今後検討が必要なものと整理しています。下の四角で囲んだ部分ですが、同意取得が必要であるため、同意を得られた範囲での収集となりますが、急性期医療への活用のため、同一人物の判別等データベースの正確性担保のため、顕名で診療情報を収集するのがよいのではないかとしております。
 スライド7に、診療情報の流れのイメージを示します。急性期医療への活用については、患者さんが搬送された際の超急性期だけでなく、入院期間中に必要な情報を念頭に置いて考えています。中央の下向き矢印ですが、循環器病情報センター(仮称)に収集されることについて、同意を得た顕名の診療情報を収集します。同意については急性期入院の入院期間中に本取組の概要を説明し、循環器病に関する診療情報を本人を直接特定できる形で収集することや、その目的、利用する主体について説明し同意取得することをイメージしております。その具体的な内容は、本日の御議論を踏まえて検討が必要と考えています。右に進み、匿名化処理の上、地方自治体等において、公衆衛生へ活用されると考えています。また急性期医療への活用及び公衆衛生の活用目的に収集したこれらの診療情報について、適切な同意・審査を行った上であれば、学術研究等のためにも活用され得ると考えています。急性期医療への活用については、右側の破線で囲んでいる部分に記載していますように、地域に根ざした取組から、全国での取組に一体化するなど、試行を経て検討する必要があるのではないか。地域に根ざした取組を進めるためには、医療施設や関連団体等の協力が必要ではないかと考えております。また、登録項目等の妥当性についても、試行等を経て引き続き検討する必要があるのではないかと考えております。
 スライド8は今後の予定(案)です。今年の夏頃をめどに報告書を取りまとめ、2020年度以降、準備や試行をへて診療情報の把握や活用の開始を目指したいと考えています。
 次に、お手元に資料2、3を御用意ください。前回、登録する疾患の範囲や項目案については、学会等有識者と相談の上、今回提示させていただくことになっておりましたので、学会等有識者と相談の上、資料を準備いたしました。資料2、スライド2を御覧ください。前回の御議論で基本的に循環器病による急性期入院について把握する。診療情報を把握する対象疾患は、まずは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性心筋梗塞、大動脈解離、心不全を基本としますが、具体的に対象とする診断名や診断基準については項目案と併せて検討が必要とされたところです。スライド3~5に前回議論に上がった脳梗塞、急性冠症候群、心不全について対象とする範囲、診療情報を把握する際の留意点(案)を例として示しております。
 併せて、資料3を御覧ください。前回の御議論で基本とする対象疾患として示された6つの疾患について、登録項目案を示しております。前回、脳梗塞、急性心筋梗塞で示した登録項目案と同様の様式で6疾患について作成し、提示しております。以上でございます。
○永井座長 それでは御議論いただきますが、まず、本日の資料1のスライド3に、診療情報を把握する対象施設、診療情報を収集、維持管理する主体、診療情報を利活用する主体。スライド6、7には、診療情報の取扱いや今後の進め方について意見が集約されております。一方、資料2、3については、関連の学会に意見を頂いたものということですが、引き続き調整の必要な内容もあるかと思いますので、幅広く御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
○羽鳥構成員 患者情報を顕名で取り扱うというのは、患者さんの命を救うためにとても大事なことだと思います。資料の実際の登録項目案にもありますが、これから何年も時間を掛けてデータを収集するので、医療等ID、あるいはマイナンバーを活用する、ひも付けがきちんとできる欄をあらかじめ作ることも大事ではないかということを提案したいと思います。
○永井座長 すぐに使うわけではないけれども、欄を置いておくという御意見ですね。
○山本(晴)構成員 こういう形で全国的なデータベースが整理されるということは、非常に喜ばしいことだと思いますし、顕名で集める若しくは羽鳥先生がおっしゃったように、将来的には医療版のマイナンバー、そういう形でひも付けできるようにしていくことにつながると思いますので、望ましいとは思います。ちょっと私は利用目的の所で、なぜ1番目が急性期医療なのかなというのが一番気になっていて、本来こういう取組は、循環器のいろいろな研究者が今までこういう全国的な公的なデータがないから、皆が自主的に取り組んで一生懸命大きなデータベースを作ろうとして頑張っていたのだと思うのです。
 その中で、当然急性期医療に活用されたり、今までの診療の状況を見たりといろいろな目的で使われていました。それでも足りないのは、できるだけ全数というか悉皆的に集めて、公衆衛生に役立たせようというのがどちらかというとアカデミアの願いだと思うのですが、なぜか知らないけれども急性期医療が目の前に立っていて、本当は一番莫大な医療費を要していて、将来ともにまだまだ伸びていきそうな医療資源を今後どうやって適正にしていくかというところの行政的な計画にもものすごく役立つはずのものが、何かちょっと目的がわい小化されているような気がして仕方がないのです。そのために法律の裏付けもないので、全部患者さんの同意を取ってデータを集めてという形になります。結局これは、アカデミアが今まで自主的にやっていたことのデータベースを全国的に準備するというだけのことになっていて、それはそれでものすごく大きなことなのですが、結局は努力義務という名前で医療現場の自主努力に任せられる形に落ち着いてしまうのは、せっかくデータベースを準備するのであれば、ちょっともったいない気はいたします。
○永井座長 今の点、いかがでしょうか。私自身は、第一歩と捉えているので、もちろん、これからどんどん拡張していくということはあると思います。ただ、そのときに研究者が研究しやすいということだけではなくて、やはり国民にとってメリットがあるということを見せないといけないと思うのです。そういうことをまずは急性期でお示しして、社会から支援されるようになったときにどんどん予算も付くのではないかという気はしますが。
○山本(晴)構成員 今これをどうこうというよりは、報告書を作るときに将来的な展望として、やはりそこは是非とも入れていただきたいなと思います。
○永井座長 井上構成員、患者さんの立場からいかがでしょうか。
○井上構成員 この御議論が開始されるに当たって、まずは私ども患者が常々不安に思っていること、例えば急に症状が出たらどうしようか、慣れない出先で倒れてしまったらどうなるのか、そういう思いを常に抱えているものですから、急性期医療への活用が第1番目に掲げられたことで、これまでの不安等も軽減されると思いつつ、この御議論の行方を追っております。山本先生のおっしゃるように、さらに広がり深まっていくのだと思いますが、ここでこの御議論から開始されることはとても有り難く、患者として心強いことだと思っておりました。
○永井座長 どうもありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○安井がん・疾病対策課長補佐 事務局から少しだけ補足させていただきます。目的の所で目の前の話と将来像を含めたものが混じってしまっていることに関しては、おわび申し上げます。少し先の資料になってしまいますが、資料4で診療情報を活用する目的という所に関して、急性期に特化したものではないという形で示させていただいている部分もあります。その辺り、議論は少し混ざっていますけれども、将来像を見据えての検討会での議論ということでお願いしたいと思っております。
○鶴田構成員 私は行政の立場から、がん対策に携わってきた立場からお話させていただきたいと思います。前回の第1回、第2回の議論で、がんと循環器は違うということは理解した上で発言します。がん対策は対がん10か年総合戦略をずっと進めて来まして、その当時のがん登録に関しては院内がん登録とがん全体の地域がん登録と2通りあったと思います。この検討会で検討している内容は、急性期医療の活用はどちらかというと院内がん登録と対応するものであるし、公衆衛生への活用はがん全体の地域がん登録と対応するものかなと思います。病気をずっとフォローして個人へ情報を還元するという観点からは国で一括して集めるほうが良いのか?患者さんは二次医療圏内で診療を受けることが多く、三次医療圏を超えて診療を受ける疾患というのは、心移植関係ぐらいのブロックレベルの話かなと思います。従って、そういう個人の情報を急性期医療で使う場合の集め方は、どこで活用するのか、コストベネフィットを考えてどこまで集めるかについて、大きな検討すべき課題があるかなと思います。
 公衆衛生の立場から考えると、地域保健法は今、地域医療計画等で循環器の対策をそれぞれ書くようになっています。各都道府県が循環器対策としてどういう項目を入れているか、国が示した部分にプラスアルファーで県が記載した部分と、今後、そのプラスアルファーで示した部分をどこまで拡大して記載するかという観点で、どの情報が必要かを少し調べられた上でデータを集められるのも1つの方法かなと思います。
○永井座長 いかがですか。
○今村構成員 顕名で集めることそのものは賛成なのですが、集めるときにドクターが記入されるときの記入者負担という問題を、もう少し軽減を考えてはいかがかなと思っています。JROAD、JASPECTだとDPCの情報を一緒に出してもらっていて、DPCの情報で取れる部分はここに記入しなくてよいというようなことをすれば、記入項目自身は大分減ると思います。実際にそうやって集めている実績があるので、そのルールを是非活用させてもらって、そこと併存できる形でこのレジストリーを作ったほうがよいと思います。ですから、本人の同意を得ることになると思いますので、診療情報と併せて同意を得ることを最初にしてもらえば、DPCを出してもらったらかなりの部分を書かなくてよいというように持っていけたら、記入者負担が大分減ると思います。それによってデータの集まる率も高くなると思うので、その辺は是非御考慮いただければと思います。
○永井座長 それは、同意とかデータの連結性等は問題ないのでしょうか。
○今村構成員 細かく集めれば集めるほど、同意が得られにくくなるという問題はあると思うのですが。
○永井座長 特にデータの突合、突き合わせですね。DPCデータと顕名であれば問題ないと。
○今村構成員 それは問題ないと思いますし、将来的にはマイナンバーだけではなくて、次世代医療法の中でも統一IDを作れるようにしていると思うので、そこでつなぐことができれば将来的な顕名の問題もかなり解決するとは思いますが、今の段階ではまだできていないわけで顕名で集める必要があって、顕名で集める以上は、DPCもやはり同意が必要だと思います。そこまで踏み込んで同意を得てデータを集めておけば、記入者負担という面からも大分楽になると思います。データ量が多くなるというメリットがあるので、この方針を是非考えてもらえればと思います。
○永井座長 これは多分、テクニカルにいろいろな問題があると思いますので、また事務局でも検討していただいて、次回に御回答いただければと思います。
○宮本構成員 今村先生の言われたことは非常に大事なことで、日本脳卒中学会、日本循環器学会でもよく相談しています。例えば日本脳卒中学会も関係しているJASPECT、脳卒中のDPCの登録ですけれども、それだけでは情報が不足するので、現在はDPCのデータをプリセットして、それに対して加えて手入力をしてデータを集めているわけです。そして、いろいろなエビデンスを作っていこうということになって、恐らくJROADもそのようになっていくと思います。
 そうなると、アカデミアとすれば今回の手入力の項目に自分たちが登録事業をやっていく項目を付け加えてくだされば、DPCプラス手入力でこの検討会で検討している登録事業の内容も全部含まれるし、アカデミアとしても自分たちがやっていきたい研究登録が全てできるということで、両者のwin-win関係ができるのではないかと思います。是非、今村先生が言われた方向を御検討いただければ、良い公衆衛生的なデータができると思いますので、よろしくお願いいたします。
○小川構成員 これは昨日よりもう少し前ですかね、届いたもので、一応、一昨日から昨日にかけてDPCの循環器のデータを集めていますので、脳も心臓も調べてみました。心臓でいうと半分ぐらい、脳でいうともう少しの部分がほとんどDPCのデータに入っています。ですから、宮本先生の御意見も分かるのですが、今村先生がおっしゃったように、初めからこの項目を全部入れるのは理想なのですが、ある程度確実に症例を拾うという意味では、今あるDPCのデータを使ってまず第1段階をやってみて、それから項目を加えていくほうが医師の負担という意味ではかなり軽減されるのではないかなと思います。
○宮本構成員 それは誤解で、DPCのデータをまず使ってもらって、手入力を増やすのであれば自分たちがやることになる手入力の項目も入れてほしいということです。
○小川構成員 ですから、それは次の段階でしたらどうかなと思います。
○宮本構成員 でも、一応手入力という話になっていますよね。
○小川構成員 いや、これはまだ決定ではないと思います。
○宮本構成員 決定ではないけれども。
○永井座長 入れ方は手入力で。
○宮本構成員 やはり路線としては、手入力のようです。手入力をするのだったらそういう方向でいってもらったほうがよいと。DPCだけでいけるのだったらそれが一番よいのですが。
○永井座長 いかがでしょうか。
○丸山がん対策推進官 事務局です。資料3のような登録項目の所で詳しく御説明していないところが申し訳ないところです。細かく※の3に書いてありますように、NDB、介護DB、DPC等で収集できる項目は今後、省略の可能性ありというのは、資料1の最後のページで、これはかなり順調にいった場合の今後の予定ということで御提案させていただいているものですが、この中で、やはり全て手入力ではなくて、今村構成員がおっしゃったような記入者負担を踏まえて、どういう集め方が現場にとって一番良いものかを踏まえていきたいと事務局としては考えております。これをおしなべて、手入力とかというものを今の時点で決めたとか、そういうことではなくて、集め方も含め今後、検証させていただきたいと思っております。
○小川構成員 理想を言えばそうなのですが、やはり初めから全部手入力でやらせるというのは、非常に抵抗があるのではないかと思うのです。よく施策を見ていますと、期間ごとに前のを捨てて次の新しいことをやっているのですけれども、せっかくあるものは使って次に足していくという方法が現実的ではないかなと私は思っております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○山本(晴)構成員 公衆衛生的に考えると、悉皆性もある程度考えないといけないと思いますけれども、DPCで集めるとなるとDPC病院しか集められないということになるのですが、それで循環器、脳卒中の患者さんの何割程度がカバーできるのかというのも一応見ておいていただく必要はあるのではないかなと思います。例えば、医療計画的にDPC病院に循環器の患者の急性期を集めるのだということであればそれでよいのかもしれませんが、恐らく患者数というか、現状の医療体制ではそうはなっていないと思います。ただ大きな病院に来た人だけのデータを集めるというのは、急性期の非常に濃厚な治療の結果というか、成果を見るには良いことだと思うのですが、一方で悉皆的に、例えば日本全国でどういう地域でもきちんとした治療を受けられているのかということを調べようと思ったら、それだけではちょっと足りないのではないかと思います。
○小松本構成員 先ほど次の議論になると、フォーマットが記入できやすいということで、回収率が一番高いもので必要最小限で利活用できるフォーマットにしたと思うのです。ですから、これで回収率を高める。あと、DPCデータをここに自動的に入れるというのは、いろいろな病院でソフトが違いますので、それを自動的にここにプリントアウトするのは基本的に費用も掛かるし、システムも掛かるので、それは無理ではないかと思います。ですので、院内がん登録と同じように、ネット上でそのサイトを開いて、そこでドクターないし診療情報管理士がDPCデータから見て、それをこちらにインプットする形のほうが、現実的だと思います。病院はやはりがん登録と同じような形でやられたほうが収集が高まるのではないかなという感じは受けます。
○永井座長 まずは、ある程度誰かが手で入力する。でも、恐らく拠点病院、大学病院等は近々電子カルテのデータが自動的に移るようになると思いますね。
○小松本構成員 そうですね。ですから、そのソフトが病院、病院でできるかどうかというのは難しいと思うのです。
○永井座長 そうですね、全てではなかなか難しいという状況ですね。
○今村構成員 手入力かDPCかという話で、私は全体をするのだったら手入力で始めざるを得ないと思います。先ほどの山本構成員からの御指摘のように、DPCが全部カバーしているかといったら、心カテのほうはある程度カバーしていますけれども、脳卒中でいうとtPAをやっている病院は、DPCでいうと多分半分ぐらいではないかと思うのです。ですから、カバーしていないということを考えれば手入力にならざるを得ないのです。その上でDPCを集めてどうするかと申し上げているのは、やはりDPCのものを全部移さなければいけない手間があるので、DPCの情報を出してもらったら半分ぐらい集めたところで後から記入するというようなことをしてもらえると、記入量としては半分以下になります。ですから、DPCを添付してくる所は自主的に添付していただいて、それによって記入者負担が減ると。それによって集まってくる情報も増えるというやり方を採ったら、お互い良い関係で情報が集められるのではないかなという趣旨で、DPCのデータを集めることをお勧めしています。
○横田構成員 前回、救急の立場で外傷登録の例をお話させていただきました。それについては前回の資料にもあるのですけれども、私の個人的な印象だと今回の登録項目は、この程度であれば皆さん入れていただけると思います。ただ、第2回目のときに申し上げたのは、登録することの施設としてのメリットというのを日本救急学会では工夫しているということです。1つは学会の認定だとか、あるいは自分たちの施設が学会全体でどの程度のクオリティーの位置になっているかというのがリアルタイムに分かるという工夫をしています。
 例えば、専門医を取るときに、データバンクに入力したことも評価されるというような工夫を実はしています。専攻医の今回のプログラムにも外傷データ登録を入れています。そんなことで、日本脳卒中学会の理事長宮本先生からの施設認定とかに、このような登録を例えば義務として、あるいはメリットを付けるというような工夫はあり得るのかなと思って聞いていました。
 それから、この入力は今、手入力とおっしゃっているのですが、データ入力に関しては小松本先生が言われるようにWeb登録を想定しているという理解でよろしいのですか。
○丸山がん対策推進官 事務局です。そこも1つの選択肢だとは思っていますが、必ずしもそこに限定して議論を進めているわけではありません。
○横田構成員 Web登録だと誤送信がないので、手間もかなり省略できますし、登録項目を可能な場合はプルダウン方式にするとかなり効率も上がるので、そういった工夫も必要なのかなと思いました。
○永井座長 いろいろな論点があろうかと思うのですが、幾つかまとめていきたいと思います。まず、データを集める対象の施設についてはどうお考えでしょうか。専門医とか認定医の申請のシステムに持っていくというやり方もあると思いますし、拠点病院であるとか、この辺について御意見を頂けますでしょうか。学会の関連施設なのか医療計画で重要な役割を担うと考えられる施設にお願いするか。
○小川構成員 脳卒中は宮本先生にお聞きしてもらいたいのですが、循環器に関しては循環器専門医研修施設、研修関連施設が1,300ありまして、先ほどおっしゃいましたように、そこのデータを供給することによって専門病院の認定を交換条件とはいかないのですけれども、そういう条件になっていますので、循環器は全部で一応1,300あります。
○永井座長 1,300の病院で大丈夫だろうと。
○小川構成員 そろいます。
○永井座長 脳卒中はいかがでしょうか。
○宮本構成員 脳卒中学会は教育研修病院が806あるのですが、もちろんこういう登録に協力することになっているわけです。それ以外に、今年度はtPAの治療についての均てん化ということで一次脳卒中センターを認定いたします。これも全国で二次医療圏ごとの調査が終わっていて、10都道府県で1つ、あるいは2つの空白地域がありますが、それ以外は均てん化できる見込みですので、恐らく1,000を超える脳卒中センターが認定されると思います。登録事業に参加することが義務化されますが、先ほど今村先生から言われたように、手入力の負担をできるだけ減らしてほしい、手入力をするのであれば、学会として手入力しなければならない項目も加えていただくと、学会での入力と登録事業での入力が同時にできることになります。できるだけ簡便にしていただきたいというのが私たちの願いです。
○永井座長 小川先生、先ほどの循環器の1,300というのは、離島も含めているのですか。もう大体全国カバーはしているということですか。
○小川構成員 はい。循環器専門医研修施設、それから研修関連施設というので、循環器専門医がいる病院になっていますので、それは離島でもカバーしています。ただ、専門医がいない病院と言われますとちょっと難しいのですが。
○永井座長 つまり今回の議論は循環器疾患全体の診療体制に資するというのがあるものですから、学術的な視点だけではないのだと思うのです。ですから、医療提供体制に必要なデータをきちんと返さないといけないわけですね。
○小川構成員 急性期の医療100%とは言えませんけれども、心筋梗塞に関してはほぼ100%その病院に入っていますので、それが限度だと思うのですが。
○永井座長 例えば小笠原の父島でどうなのかとか。
○小川構成員 それは、ちょっとそこまでは、そこに専門医がいるかは私たちは分からないのですが。
○永井座長 どうなのでしょうか。事務局、どこまで地域に還元するデータが必要かですね。
○佐々木課長 永井座長に地域の2つの意味を御指摘いただいたと思います。実臨床の面と医療計画を含めた行政的なサポートをするという意味です。恐らく、どこまでのカバー率かと聞かれると、当然、100%を目指すということになるのでしょうけれども、例えば、我が国の二次医療圏の数が400弱であることを考えると、1,300という数は1,000を超えるということで直感的に結構な数だと思っています。
 その上で、実際に点をプロットしていったときに、たまたま空白二次医療圏が3つくらいあるような動線データを用いたときに、例えば、2時間以上、3時間半以上動線の空白の部分があるかというのは事後的には確認が必要だと思いますけれども、まず、永井座長が御指摘のどれくらいまでカバーするかということは、一義的には二次医療圏をイメージしているということ、それを検証する際には、実際に時間の動線データ等もプロットして最終的な検証をしたいということ、今、ファーストインプレッションで恐縮ですが、1,300という数で言うと、カバー率はかなりだという印象を持っているということ、この3点をお答えしたいと思います。
○永井座長 もちろん、1,300を基本にするのですが、空白地帯があれば専門医がいない病院にもお願いしておくとか、そういう体制でよいのではないかと思います。
○小川構成員 それと、かなり転送されていますので、転送された先は、大体、専門医がいる病院もあると思いますので、かなり減るのではないかと思います。
○宮本構成員 脳卒中は空白地域にはテレストロークセンターを整備する予定です。そうなると、脳卒中センターがない地域でも登録対象になると思います。
○永井座長 その点をお考えいただきたいと思います。例えば、今回、急性心不全は入るのですね。そうすると、これは専門医のいない所でも中山間地域などではかなり発生していますので、専門医のいる病院に準ずるということでうまく対応いただければと思います。ほかに何かございますか。
○小川構成員 今の話題から少し逸れてもよろしいでしょうか。
○永井座長 はい。
○小川構成員 これは昨日からずっといろいろな方に相談して意見をお聞きしたのですけれども、先生がおっしゃった急性冠症候群についてです。急性心筋梗塞は間違いなく分かるのです。それと、ST上昇型の心筋梗塞も分かるのです。ここに書いてありますが、昨日お話したのですけれども、不安定狭心症という所に3つ書いてあります。これはブラウンワルドの30年前の定義なのです。これを今使うのは問題もありますし、ブラウンワルド自身もこの定義について少し問題視している論文もあります。
○永井座長 今はどうなっていますか。急性冠症候群という概念はありますね。
○小川構成員 あるのですけれども、トロポニンを測るようになると。
○永井座長 それは患者さんは分からないし、救急隊も分からないのです。
○小川構成員 いえいえ、要するに、ドクターの心筋梗塞の診断のことを言っているのですけれども。
○永井座長 それはトロポニンTのデータを得ればよいのです。医療体制を作るときには、急性冠症候群をカバーして体制を作らなければいけないわけです。
○小川構成員 急性冠症候群と言いますと、その中で不安定狭心症の定義の問題があります。
○永井座長 だから、そこの定義を工夫していただければよいので。
○小川構成員 ですから、今日もいろいろ話したのですが、3月に急性冠症候群のガイドラインを横浜市大の木村先生が作っているのですけれども、彼とも相談したのですが、やはり、トロポニンTの上昇を定義に入れると不安定狭心症が、かなり心筋梗塞となってきます。
○永井座長 例えば、心筋梗塞。
○小川構成員 要するに、トロポニンTが少しでも上昇している症例を入れますと急性心筋梗塞になります。
○永井座長 心筋梗塞と分かるのは病院に入ってからなので。
○小川構成員 ですから、先生、不安定狭心症の診断の難しさを言っているのです。
○永井座長 入る前に、患者さんがどのように医療を受けるかという視点に立てば幅広に取らないと体制は作れないのです。
○小川構成員 でも、先生。
○永井座長 何が学術的に正解かではないのです。
○小川構成員 学術的にではなくて、先生、診断がこのトロポニンTを用いた国際基準の定義を用いますと、不安定狭心症の診断が急性心筋梗塞になるのです。
○永井座長 だから、定義は工夫をすればよいのです。
○小川構成員 でも、これで私が言いたいのは。
○永井座長 これは決まったものではなくて、今、事務局が出してきている案なのです。
○小川構成員 私は、これでは絶対に。
○永井座長 提案していただければよいのです。
○小川構成員 ですから、トロポニンTが上がらない不安定狭心症はほとんど、何て言いますか、救急の対象としてはなっていないので。
○永井座長 いや、それはなっていますよ先生。CKが上がらない、トロポニンが上がらない胸痛で三枝病変はたくさんあるわけです。
○小川構成員 いや、トロポニン、それは一応調べていただいて、本当の不安定狭心症でトロポニンTが上がらないのはほとんどないです。ですから。
○永井座長 そういうことはないです。私の経験で全くそういうことはない。
○小川構成員 でも、先生、それを言いますと。
○永井座長 厳密に線を引くことは医療を誤る可能性があるのです。
○小川構成員 でも、先生、それを言いますと定義ができなくなってしまいます。
○永井座長 だから、そこはここでどういう人を対象とするか定義すればいいのです。急性冠症候群の定義を述べればいいのです。
○小川構成員 だから。
○永井座長 急性心筋梗塞かどうかにこだわる必要はないということです。これは有名な話で、なぜ急性冠症候群という概念ができたかというと、それまでの狭心症と心筋梗塞に分けると判断を誤り患者さんが死ぬことがあるということです。急性冠症候群という幅広の概念を作るようになったわけです。それは現実的には非常に正しい対応なのですが、外れることはたくさんあり、そこは患者は分からない、最初に見た医者も分からない、後になって分かることなのです。それをもって、アプリオリに定義付けるということは危ないということです。
○小川構成員 私は、むしろ、逆に先生のように広く取ってしまうと定義があやふやになって。
○永井座長 救急体制はどうするのですか。心筋梗塞だけに対応する救急体制であってはならないわけです。
○小川構成員 もちろん、そうです。
○永井座長 今、ここは医療の提供をどうするかという問題です。
○小川構成員 ですから、医療の提供も含めて診断をきちんとしておかないと誤るのではないでしょうか。
○永井座長 それは、トロポニンの数字をデータとして入れればよいのではないでしょうか。
○小川構成員 そうです。私はそれを言いたかったのです。
○永井座長 項目の話であって、カテゴリーとしては急性冠症候群のほうがよいでしょう。
○小川構成員 でも、先生、2000年からトロポニンTが上がるとユニバーサルデフィニションではもう心筋梗塞になっているのです。
○永井座長 それは急性冠症候群か部分集合としての急性心筋梗塞なのです。
○小川構成員 いや、先生、トロポニンTが上がると心筋梗塞なのです。
○永井座長 今は急性冠症候群の中に入れないのですか。
○小川構成員 急性冠症候群の中でトロポニンTが上がると急性心筋梗塞という定義。
○永井座長 そこをあえてアプリオリに定義付ける必要はないのです。
○小川構成員 でも、定義付けておかないと、私は集まらない、実際に書くドクターの気分になると書けないと思うのです。
○永井座長 そうでしょうか。それも変な話だと思います。全然そのようなことはないと思います。
○小川構成員 急性冠症候群と、むしろ、羽鳥構成員にお聞きしたいのですが、現場でどう対応するかなのです。急性心筋梗塞と分かるのは発症してから何時間もたってからなのです。
○羽鳥構成員 診療所に来ればトロポニンTでもFABPでも測りますけれども、その症状だけで病院に送らなければいけない人は、確かに測らずに。
○永井座長 ですから、患者さんの立場に立ったら、そのようなことは分からないのです。どのように救急体制を作るか、医療体制を作るか。
○小川構成員 しかし、定義は慎重にしないと、この定義では少し難しい。
○永井座長 そこは、先生が提案なさればよいのです。
○小川構成員 はい。
○永井座長 これは、あくまでも何のためのデータかというと、国民のためのデータ、あるいは医療提供体制をどう作るかというデータであり、学術的に厳密にどうかという議論をすると、今までの歴史はいかに誤っていたかということがたくさん出てくるのです。そういう意味でデータを集めないと、結局、先ほど最初にお話したように患者さんのため、国民の支持は得られなくなってくるのです。いかに患者さんにとって良い提供体制を作るかという問題なのだということなのです。
 むしろ、井上構成員はそれをお分かりだと思うのです。自分の胸が痛いときに、トロポニンが上がっているかどうかということは分からないわけです。大事なのは、胸が痛いという人たちにいかに医療を提供するかということが非常に重要なポイントなのです。これは正に医学の歴史なのです。だから、ここは幅広に取ったほうがよい、厳密には学術的にはそうです。学術でやると間違えるということがあるということです。そういうことは、検査項目を1つ入れてもらえば十分カバーできるわけです。
○小川構成員 それだったら、トロポニンTの上昇を持ってくるのだったらまず間違いない。
○永井座長 それこそDPCデータに入っているわけでしょう。あるいは、項目に入れてもいいと思うのです。
○小川構成員 トロポニンは、まだ入っていない。
○永井座長 入っていない。
○小川構成員 はい。
○永井座長 そうしたら、項目に入れればよいではないですか。
○小川構成員 トロポニンは入っていないでしょうか。
○今村構成員 入っていないと思います。
○永井座長 だけれども、救急体制としては、胸が痛い、緊急状態だと言っている患者さんのためにどう備えるかです。そのデータを取らなければいけないのです。その中で、トロポニンが上がっている人は何パーセントなのかということを後で調べればよい話です。
○小川構成員 私は記録する立場から言っているのです。
○永井座長 トロポニンが上がっていないから入れる気がないというのなら、それはどうかと思います。
○小川構成員 でも、パーセントはほとんどない、ものすごく少ないです。
○永井座長 そのようなことはないと思います。
○小川構成員 今日、ガイドラインを作った彼とも話したのですが、これをやると、かなり入れるほうは迷うのではないかという話もあったので。
○永井座長 でも、幅広に入れてくださいでよいではないですか。
○小川構成員 幅広に入れるにしても、それは定義を決めたらいいと思うのです。
○永井座長 ほとんどないのならば、数パーセント増えたくらいで減ってしまうというのもおかしいし、どうもよく分からないのです。いずれにしても、余り学術的に厳密にならないほうがいいということなのです。これは医療に資するデータをどう集めるかなのです。よろしいでしょうか。
○羽鳥構成員 今回、脳について3つ、循環器について3つということですが、これは将来の話でいいと思うのですけれども、例えば、脳卒中と心臓病に関係する心房細動が大きな問題ではないかと思います。心房細動は国民の医療に対する影響が大きいので、将来的な項目として心房細動を1つ入れてほしいと思います。いわゆる、脳卒中を起こしても大きな脳梗塞を起こすということもあるので、7つ目の項目として将来のために入れてほしいということです。
 もう1つは、今回は急性疾患に着目してということですが、最後に出てくる心不全などは、地域の開業医の先生たちの所にも来るので、心不全については、体重の測定をするとか、もう少し現場の先生が入力しやすい項目も新たに追加してほしいということです。この2点をお願いしたいと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○山本(晴)構成員 心房細動については、確かにすごく重要だと思うのですが、そうなってくると、急性期の病院から範囲が更に広がってしまうような気がするのです。
○羽鳥構成員 分かりました。現在、急性期病院の現場ではPCIとかそういうカテーテル検査よりも、むしろ、数としてはアブレーションカテーテルのほうが件数は多いです。そういう意味では、現場の先生たちにとって心房細動の項目がないと、DPC病院であっても循環器の項目から抜け落ちるのが多いのではないかということもあり、急性期だけでも結構ですから、心房細動も1つ項目に考えていただけたらと思います。
○山本(晴)構成員 入れるのであれば、どういう対象にするかは少し切り出していく必要があるかと。ですから、全て対象にということになると大変なことになるので、例えば、おっしゃったようにアブレーション治療を要したAFとか、何か限定が必要かと思いました。
 繰り返しになりますが、現場で手入力ないしWebに入力するとして、医師本人が入れるのではなくて、そのほうがいいかもしれませんが、やはり診療情報管理士とかコメディカルがある程度きちんと入れられるような体制を取っていただかないと、特に大きな病院はいいのですが、DPCから外れているような病院で、例えば、脳卒中で言うと、急性期の脳血管内治療まで提供しているような病院は、ほとんど脳血管内治療のスタッフがほぼ毎日、全部オンコールで付いているような所で、少数でものすごく大量の患者さんを治療しているというのが現状です。そこに更にこれの登録をするとなると、1日1日は数人かもしれませんが、そこの病院に勤めている限りずっとこれをやらないといけないと考えると、やるほうは軽く絶望しますよね。先ほどインセンティブのお話もありましたし、続けていくためには持続可能な体制にも目を配っていただきたいと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○丸山がん対策推進官 構成員の先生方のお手元には第1回の資料もありますが、資料8の6ページの当初の御提案のときに、まず、医療計画に定める6疾病から始めさせていただき、羽鳥構成員の御指摘のとおり、今後、拡張性を持った上でこのデータベースを設計するのだという御提案をさせていただいている次第です。その趣旨で、まず、最初の船出は6疾患でスタートさせていただくものの、羽鳥構成員の御指摘は今後の検討課題として報告書等に明記すべきと理解させていただきました。
○安井がん・疾病対策課長補佐 先ほど御指摘いただいた心房細動については、今のところ検査・治療内容等という所に含めています。資料3の登録項目案の所に、各疾患に関わるものとして心房細動の有り無しというところをまず拾えたらということで項目案に入れさせていただいており、可能なところから情報を集めていけたらと思っております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○鶴田構成員 これは、まだ確定ではない中でお聞きします。永井座長と小川構成員のお話を聞いていて、急性冠症候群は、例えば、心筋梗塞の分類があり、下のほうにバイオマーカーがあり、トロポニンが陽性だったら心筋梗塞で、トロポニンが陰性だったら不安定狭心症だとすると、チェックではなくてトロポニンの所を高いか、低いかの有無という形で書けばいいのでしょうか。
○永井座長 そうです。上がっているかどうかで十分だと思います。
○鶴田構成員 チェックの欄を有無にするとか、それで解決する話であれば修正すれば良いと思います。
○永井座長 いわゆる異型狭心症が結構あるのです。ST上昇型のスパズムです。これも多くの場合は問題ないのでしょうけれども、中には亡くなる人もいます。そういう意味では私は幅広に調査し、トロポニンが上がっていたかどうかで学術的には心筋梗塞だったかどうかを後で分類する。そうしたら、ある程度、行政的にも対応できると思うのです。
○小川構成員 それに関して、ガイドラインに書いてあるのですが、2回以上測るようになっていますので、2回以上測れば大体、ほとんど。
○永井座長 全ての施設が2回測ってくれるのでしょうか。
○鶴田構成員 このアンケートというか、調査票を四角にするのか、有無にするのかという提案をしました。
○永井座長 データの書き方ですね。
○鶴田構成員 はい。
○永井座長 でも、それを2回測らなければいけないのですか。
○鶴田構成員 そこは知りません。
○小川構成員 あくまでも記載するほうからいって、不安定狭心症で胸痛があり病院に来たと広く取るのならそれでもいいのです。それが本当の急性冠症候群ではないではないかということが結構あります。そのときにそれでいいのかということを少し疑問に思ったのです。
○永井座長 そこを含めて定義付けないといけないわけです。捉える対象は、全部、心筋梗塞である必要はないのです。先ほどの異形狭心症、これは急性ですし、中には亡くなるので、そういう人を除外してよいわけではない。そういう意味で急性冠症候群をきちんと定義すればよいのです。トロポニンが上がっていても上がっていなくてもよいのですが、ただ、上がっていると言うためには2回測らないといけないとなると、本当に現場で対応できるのかという話になります。
○小川構成員 ほとんど1回ですが、疑問がある場合はそういう方法で確実に把握できる。
○永井座長 そこは学術にこだわり過ぎだと思うのです。
○小川構成員 私は主に記載する医者として言っています。でも、あくまでもどのように書けばいいのだと言われると、皆さん結構迷う。
○永井座長 書き方について、学会と相談しましょうという議論をしているわけです。
○小川構成員 学会か何かでいい回答がなかなかなかったという話なので、少し疑問はありますが書くほうは非常に困るという事を申し上げたかったのです。
○宮本構成員 確かに医療体制の整備に資するためのデータを取るということは大事なことです。もう一方で、公衆衛生学的に正確なデータを取るということも大事です。
 今回は原案を示されて、脳卒中学会でも登録に関する委員会では見てきたのですけれども、まだ理事も一般会員も皆知らないわけです。ロードマップには登録内容の更なる検討と書いていますので、こういうところはもう少し学会でもませていただいたほうが、先ほどの話も学会員が登録しやすいように学会としてはこのように考えるというような形で、またキャッチボールさせていただくのがいいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○永井座長 脳卒中の場合、TIAはどういう扱いになるのですか。
○宮本構成員 TIAは国際的に定義が変わり、24時間以内に症状がなくなってもMRIで所見があれば脳梗塞と扱うようになります。現在、脳卒中学会でTIAの診断の手引を作っておりますので、基本的にはその手引に基づいた内容をこれに入れ込んでいくということになると思います。
○永井座長 つまり、症状が消えても脳梗塞だということであれば、幅広に取っているのだと思います。正に、急性冠症候群の場合もそうなので、その中で、急性心筋梗塞は検査で片付く話であればその項目を入れればよいのだと思います。
○小川構成員 一番分かりやすいのはそうだと思うのです。少しでもトロポニンtが上がれば心筋梗塞だというのであれば、皆さん書けると思います。
○永井座長 書き方のテクニカルな問題だと思うのです。山本構成員、何か御意見ございますか。
○山本(晴)構成員 狭心症とTIAについては、患者さんの訴える症状で判断するという少し特異な症候群なので、検査とどうつなげていくかということで歴史的に皆困っているところです。特にめまいをTIAに入れるかどうかということがあります。実際、一部のめまいはTIAで一部のめまいはTIAではないのです。そこについては、現場で判断していただくしかないので、恐らく、手引の中でも記載に非常に苦労するところがあると思います。
 データベースは、例えば、1つしか選べないようにするのか、それとも、おっしゃっていたような測ったのか測っていないのかを確実に書かせるのか、あるいは、選択制にするのか複数入れるのかというような、実際にどう作り込むかというところはすごく重要です。結局、そこが曖昧だとせっかく作った入れ物に入れたデータが役に立たなくなるので、項目が決まった先は、具体的にどういう形でデータベースを構成するかというところは、テクニカルにきちんと検討していただきたいと思います。
○永井座長 先ほどのトロポニンは、上昇しているかしていないかをチェックするというのはどうなのでしょうか。
○小川構成員 そうです。それでいいのです。
○永井座長 それでよいわけでしょう。
○小川構成員 上昇したら心筋梗塞ですから、全部、心筋梗塞になってしまう。
○永井座長 それでよいのです。
○小川構成員 そうしたら、STEMI、NSTEMIで全部入りますから、それだったら何も苦労はないのです。上昇しないもので書けと言ったら、皆さんはものすごく苦労されると思うのです。
○永井座長 御説明がよく分かりません。
○小川構成員 任せてもいいですけどね。あくまでも自分で記載する場合に、どのように記載するのだろうと思ったものですから、トロポニンが上がったときには全く問題ないのですけれども。
○永井座長 まず、疾患の定義があり、それに従って入るものを書いていただく。そして、項目によって後で整理する。別に迷う必要は全然ないと思います。もし迷うようであれば、項目立てが悪いのです。それは、多分、脳卒中も同じだと思います。脳卒中は迷わないのですか。そういう問題。
○山本(晴)構成員 迷いますよ。
○宮本構成員 症状的には迷いますけれども、手引に沿ってやったらそれほど迷わないようにできると思います。
○永井座長 そのように作っていただきたいという。
○宮本構成員 分からない所は仕方がないですよね。
○山本(晴)構成員 こういうレジストリーを作ったときに重要なのは、どう入れるかというマニュアルを一緒に整備することで、しかも、こういう全国的な疾病の診断治療に関わるマニュアルになるので、スタンダードな治療ガイドラインときちんと合致した内容でマニュアルが作られるというところがすごく重要になると思います。逆に言うと、マニュアルに沿って入れていくことで、全国的に循環器に関する医療の質を一定化していくという副次的な効果があると思います。
○永井座長 ありがとうございました。少し議論を急ぎたいのですが、このデータをどこが管理するかということについて御意見を頂きたいのです。もちろん、学会やNPOを作るとか、そもそも国循があるではないかということなのですが、いかがでしょうか。
○宮本構成員 法律に国立循環器病研究センターと関係する学術団体等と書かれていますので、国立循環器病研究センターに情報を集めるのが一番妥当なのではないかと思います。先ほどもお話がありましたが、学会としての登録事業をやっていますので、しっかり二次利用できる形を作っていただくということが大事かと思います。
○永井座長 これは、当然、予算が付くという前提で国循にお願いするということなのでしょうか。予算は付かないけれども頑張ってやってくれと言っているのでしょうか。
○佐々木課長 スケジュール的には、まず、どれくらいの業務負荷になるのかという整理をした上で、最終的な整理をしたいと思っております。
○今村構成員 国循ということであれば、より公的な機関でやっていただくほうがいいと思うのですけれども、実際、データの集め方で、データセンターの業務負荷が全然変わってくるということがあります。記入者側にものすごく苦労してもらえばセンターの事務は減るのです。記入者負担を減らそうと思うとセンターの業務が増える。
 先ほど、DPCのデータを集めてはどうかと提案しました。DPCのデータを集めてここを書かなくていいようにするということは、そのデータ処理はセンターでするということなので、その分の事務処理はセンターに負荷が乗ってきます。ですから、先ほどマニュアルを作っていくという話と、センターでどれだけ記入者負担を減らすためのデータ処理をするかということは、天秤に掛かってくる話だと思います。
 例えば、DPCもデータとして集められるレベルがあると思うのですが、一番細かいのはE・Fファイルと言われているもので飲んでいる薬も全部分かります。飲んでいる薬が全部分かれば、例えば、脳梗塞とかの中に糖尿病が入っていますが、本当の糖尿病の診断でなくてよければ、糖尿病の薬を飲んでいる人はそこから拾うことができるのです。そうすると、書かなくてよくなります。でも、それは本当の糖尿病ではありませんが、どちらを取るかということを記入者負担との天秤の中で決めていく必要がある。
 それは集めるセンターがそのデータ処理をしていただくという天秤にもなるので、様子を見ながら項目を決めていく、集めるデータを決めていくというステップが必要だと思います。より循環器に詳しい所がセンターとして動いて、そこの記入者負担を軽減するのか、その分センターに負荷が掛かるのかということを議論できる体制が重要だと思います。
○小川構成員 幸い新しいセンターも出来上がりましたし、法律が出来る前から建物は出来ていたのですが、スペース的には確保しています。今、脳卒中学会、循環器学会のデータ、DPCのデータを集めていますので、項目を全部やれと言われると先生がおっしゃったように難しいのですが、DPCに入っている項目を集めろと言われるのであればすぐに、すぐにと簡単にとは言い切れませんけれども、できる準備はしております。
○永井座長 ありがとうございました。その方向だろうと思います。今度は活用する主体について、もちろん、研究者、国、自治体があると思うのですが、民間は入らないということを前提にしているのでしょうか。つまり、いずれ維持費の問題が出てくると思うのですが、これをヘルスケア産業界が使えるのかどうか、そこはどういう議論になっていますか。
○丸山がん対策推進官 資料1の7枚目に記載のとおり、現時点では公衆衛生の活用として、国、地方自治体、学術研究等への活用ということで研究者等を想定して、事務局として資料を作成しております。企業等ということであれば、正に、この検討会でその是非についても御議論いただきたいと考えております。あとは他医療機関です。
○永井座長 何の医療機関ですか。
○丸山がん対策推進官 他の医療機関でこの情報を活用するということです。申し訳ありませんでした。
○永井座長 他医療機関ですね。これは当事者ですから、国、自治体、医療機関、研究者まではよろしいと思うのです。ヘルスケア産業界はどうかということについて、御意見をお願いいたします。
○山本(晴)構成員 今、ストロークデータバンクが国循にありますけれども、それが国循にくる前に脳卒中協会にあったときに、幾つか製薬企業の求めに応じてデータを提供している例はあると思います。ただ、それは個別データではなくて集計データで出しているはずです。集計データであれば個情法は掛かってこないので、集計データのレベルであれば出すことは可能だと思います。
 今後、リアルワールドデータの使い方が変わっていくと思いますけれども、これまでの多くの製薬企業が求めていたものは、例えば、どの辺りの地方にどのくらいの年代でどのくらいの重症度でどういう、何と言うか、ある一定の複数の基準を決めたときに、そういう患者さんが何人くらいいるかというようなことを知りたいというのは結構ありました。そういうことについては、集計データを提供することで対応は可能かと思います。
○永井座長 それは、共同研究契約を結んで提供を受けるという。
○山本(晴)構成員 そういう形、そこはデータが格納される国循で施設で適切に決める必要があると思います。
○永井座長 つまり、これは予算があるうちはよいのですが、運営費交付金が減ってきて国循が音を上げる状況があり得るわけです。これは国循のために主体をどう考えるかですね。
○小川構成員 先生のおっしゃるとおりで、今から準備しておくべきと思います。今、私は大まかな項目だけ見たのですが、例えば、退院時処方等が全部分かりますし、協力できる範囲で協力していろいろ良い関係を作っていけば、予算も確保できるのではないでしょうか。そうしておかなければ、多分、これは続かないと思います。
○永井座長 是非、そこをデザインしておいていただくということですね。ただ、そうなると、今後は患者さんへの同意の問題が出てきます。研究目的ならよいけれども、たとえデータ集計にしても産業で使うのは私はという方も出てくるかもしれません。そのときの同意の頂き方であるとか、あるいは、最初の顕名で頂くことについて等、同意について少し御意見をお願いいたします。
○丸山構成員 望ましくは、その患者の希望に個別に対応するのが患者の希望に応じるという点では手厚いかと思います。現実の運用を考えると、急性期医療への活用、公衆衛生への活用、学術研究等への活用、今、山本構成員がおっしゃった集計データを企業に提供することもあり得るというのも含めて、それら全てについて同意いただくというような一括した扱いとならざるを得ないかと思います。
○永井座長 しっかり書いて説明させていただき、オプトアウトできるという対応でしょうか。
○丸山構成員 個別にここは困るから除くということに対応できるシステムを作るのは結構大変、あるいは、間違いが起こるので、資料1の7枚目のこれらの目的プラス集計データの産業利用も含めて了解いただける方のデータを集め、了解いただけない方は、同意の取り方にもよるのですが、さほど多くはいらっしゃらないと思いますので、その部分については悉皆性は諦めるというような扱いが制度の構築としては望ましい、プラクティカブルなやり方ではないかと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○山本(隆)構成員 産業利用という広い書き方よりは、医療は産業がないとできない分野ですから、創薬、医療機器、治療法の開発に産業部分が入ってくるのは当たり前で、そういう意味では、医療の発展に寄与する産業利用と限定しておくほうがいいと思います。例えば、他業者を蹴落とすためにこのデータが欲しいみたいな利用は、どこかで審査をしてはじいておかないと、恐らく、同意していただけない患者さんが増えると思うのです。
 難しいですが、顕名で集めている以上は、後になってからの同意の撤回は不可能ではないので、それも一応制度としては作っておいたほうがいいと思います。その場合、微妙な利用目的が出たときには、それを一定期間公表した上で患者さんの拒否機会を持っていただくと言いますか、一定期間の間に申し出ていただければあなたのデータは削除します、この利用目的には使いませんみたいなことができると一番スマートだという気がします。
○宮本構成員 重症すぎてすぐに亡くなる方で家族がそのときにいないとか代諾者もいないという方は、ある一定程度いらっしゃいますので、何らかの形でそういうデータを取っておかないと、最重症型が抜けてしまうデータベースになると少し思いました。
 あと、少し話の観点が違うのですが、学会の二次利用、企業の二次利用ということについては、やはり、入れるのは基本的には学会のセンター施設なり研修施設ですので、企業に学会とは関係なく二次利用されるようでは困るので、国循からデータを出されるときに何らかの形で学会も関与できるような形にしていただくと有り難いと思います。
○横田構成員 宮本先生が今言われたことに全く賛成です。恐らく重症、最重症例は全国に289の救命救急センターに搬送されるケースが多いと思うのです。その中で、先ほどあったDPCの議論というのは、二次利用はどのような扱いで対応しているのかというのを事務局に教えてほしいのです。
○丸山がん対策推進官 事務局です。私もそこまで詳しくないところで恐縮なのですが、現時点では、DPCデータ、国が集めたものについて利用申請の窓口を設定して、そこに申請、事前相談をして、審査を経た上で提供ということ、大枠はそうと理解しております。
○横田構成員 同じような考え方をこれに持ち込むということはできないのでしょうか。
○丸山がん対策推進官 いや、それは横田構成員が御指摘のとおり、宮本先生も御指摘のとおり、資料1の7の下のほうの点線で「適切な同意、審査を経たうえで」と※で書かせていただいたのは、そういった一定の審査が必要だろうという認識の下に書かせていただいております。
○宮島構成員 私は医療界にいる者ではないので一般の感覚で申し上げますけれども、同意のところはできるだけ緻密にというか、同意しにくいという意味での細かさというわけではなくて、特に企業利用に関して、きっちりした歯止めのある文面で書いたほうがいいのではないかと思います。つまり、どんな形で企業に使われるか分からないというような状況は、一般の人たちから見るとかなり抵抗感があり、かつ、現実がどうかは別として、そこのところに個人情報に厳しい方々が食い付くような状況になりますと、制度そのものが順調に育たないというようなことになりますので、スタートの段階のところで特に同意あるいは国民の感覚ということは慎重に考えたほうがいいと思います。そこは、山本先生の座長でいらっしゃる<会議で>私もこの6、7年、ずっと議論してきたところですけれども、相当注意が必要だと思います。
 スタートのところで、やはり将来は相当広く、本当に一般の病院で行うということを前提に進めたほうがいいのですけれども、逆にこれが健全にスタートするためには、最初は少し狭めにというか、堅めにというところでということであれば、皆さんがおっしゃるように、その学会と関係した、いわゆる信頼ある施設で信頼ある先生たちの中でというようなことが、まずはスタートではいいと思います。
 お医者さんたちがこの記入に関して面倒だということを余りおっしゃらないので本当に有り難いと思うのですけれども、私たちの理解では、お医者さんは本当に今、大変で、しかも医療とは別の雑務がすごく増えて、このアンケートも、このアンケートも、これも書くかというようなことを内心思う方が現場にいらっしゃるのではないかと私は思います。いろいろなアンケートを仕事でもしますと、相手が面倒だとちょっとでも思うアンケートになると、どんどん内容が悪くなるというか、相当雑になってしまってデータの質が悪くなるので、それは私が口に出すことではないですけれども、その負担のところとその負担に対する事務的な手当てのところと、どこまでが受け入れられて、どこ以上だと本当に嫌になってしまうかというようなところは、正に専門家の方々の中で考えていただけるとうれしいです。
 さらに、顕名のところですけれども、一般の感覚で言うと、まずは顕名で進めるということに賛成です。加えて、医療IDの今後の発展に期待したいです。と言いますのは、いわゆるすごい専門家の大きな病院に行ったときには、一般の人は、一種、諦めもあるので「はい、データももう全部いいです、もう役に立つならいいです」と余りうるさいことは言わないと思うのですけれども、将来広がって、ちょっとしたことでも掛かるようなお医者さんの所でもこれをやるということになると、皆さんはきっと意外と細かいところが気になります。健康診断だって、自分の名前と身長、体重が書いてあるのがそこにポンと置いてあるだけでも一般の人は気になるわけですよね。だから、将来のIDの形になったときに、IDを使えば名前を書かなくてもいいような形になると、大分、安心感は増すと思いますので、それは、その進行をちゃんと待ちながら、もちろん、ちゃんと使えるデータで人が間違えないレベルまでそのIDが進むということを前提に、将来的には顕名でなくてもできるような形だといいかなと思います。
 そして、何より一般の人の理解が進むためには、一定の成果といいますか、こんなふうに役に立つんだよということをいかに御説明いただくかということが大事だと思います。もちろんそれは、研究発表を通じてとか、いろいろな形があると思うのですけれども、自分のデータを差し出すということがどういうメリットになるのかということがちゃんと分かっていれば健全に支持を得られると思いますし、そこは今ひとつよく見えないのだけれども、何かよく分からないけれども、どこかの病院から個人宛にダイレクトメールが来ましたみたいな経験につながってしまいますと、一気にそこは悪くなってしまうというのが普通の人の感情かと思いますので、その範囲、出し方、同意の仕方、あるいは、特にルール上、それを破った場合の罰則とか、そこのチェックの在り方をちゃんと示しながら進めるのがいいのではないかと思います。
○永井座長 ありがとうございます。
○今村構成員 同意を包括的に取っていくことは賛成で、緻密な議論が必要だと思います。これは今までの同意とちょっと違うなと思うのは、顕名で返すということと匿名で返すということの2つの部分があると思うのです。ですから、同意の取り方も包括的に、顕名で返すケースも同意しますし、匿名で返すケースも同意しますというような一文で本当に済むのかということがあるかなと思います。
 そこで、今度は顕名で返すというケースをもう少ししっかりと詰めておかないと、緊急事態に返すということは確認する術もない状態でその顕名情報を返すということになりますので、このような状況で顕名で返すのですよということをある程度明確にしていただいた上で、その顕名に対してはこういう状況のときに返しますというような。
○永井座長 返すというのはどういう。
○今村構成員 緊急事態の問合せのときに「何々さんの情報を」ということをもらうわけですから、実はそれは緊急ではなかったというような話もあっては困るわけで。そうすると、どのようなシチュエーションのときに顕名で返して、それ以外の公衆衛生的なことに関しては匿名で企業も使うかもしれませんよというような包括的な同意という、そういう2ステップが必要な同意なのかなと感じます。その中で特に顕名で直接返すというケースに関しては、もう少し返し方を詰めておかないと同意の取り方も難しいのではないかと思いますので、その辺の議論は必要だと思います。
○永井座長 データの使い方というところにも関わってくると思いますね。
○今村構成員 そうです。
○永井座長 先ほどの産業界にしても、データの分析ということと公表、公告とか、みんな意味が違いますね。その辺もしっかり詰める必要があるのではないかと思います。
○丸山構成員 ですから、ですからということはないのですが、同意書も重要なのですけれども、同意書の前提となる、どういう目的で、どういう仕組みの活用のためにその情報を提供することを認めるのかという、資料1の7枚目のこの仕組みを文章にして、あるいは絵も入れて分かりやすい説明文書を作ると、それが適切な同意を得る前提になるかなというような感じがいたします。
○井上構成員 丸山先生のおっしゃったとおりで、患者は、同意書を提出するということに関しましては自分のためにほかならない行為であるというように確信しておりますので、現場の先生方は煩雑な作業があって、その御苦労と申しますか、それは察するに余りあるところですが、是非丁寧な御説明の上で同意書を得るという方策をお考えいただきたいと思っております。それは現場だけではなくて、行政、学会ほか様々な媒体を駆使して十分な啓発活動を行い、実施に向かっていっていただきたいと思います。患者としては匿名よりも顕名であったほうがスピード感があって、それも大切なことと思っております。
 きちんと御説明いただければそれを納得の上で同意書を書くということになろうと思いますので、まずは、その御説明をおろそかにせずに、丁寧にやっていただきたいとは思います。
○永井座長 そうしましたら、事務局のほうでこの7枚目の絵をもう少し文書化して、集め方から使い方、使う目的に応じたいろいろなレギュレーション、チェック機構、このように少し書き出していただくということで、次回、検討いただきましょうか、それに合わせてひな形のようなものを出していただいても良いと思うのですが。
○小松本構成員 今の議論はデータの利活用ということで、それが公衆衛生的に資するかどうかという話だと思うのですけれども、もう1つ。例えばここの6枚目のスライドの一番上のほうを見ると、脳梗塞の場合には再発抑止で、またその方が別の医療機関に掛かったときに、その前のデータを知りたいというような時、急性期医療のときの診療情報を顕名で収集し、また、その患者さんが別の医療機関に掛かったときに他の医療機関が閲覧できるようにすることが必要ではないかと、そういう意味合いだと私は理解しているのですが、それでよろしいわけですよね。
○安井がん・疾病対策課長補佐 はい、今までの議論で急性期医療のことを御議論いただいていましたので、そういったところが主なところかと思っておりますが、本日、羽鳥先生などから、もう少し広い目でということもありましたので、そこは今後、拡張性を持たせるとか、検討していきたい部分だと思っております。
○小松本構成員 もう1つよろしいでしょうか。
○永井座長 どうぞ。
○小松本構成員 データの記入のことなのですが、このデータ記入が負担になるかというところを先ほど山本構成員が言っておられたのですが、実際的な場で私どもがこれを見ると、これを入れる際、受持ちの医師ないし診療情報管理士でも1つのデータシートを入れるのに2、3分掛からないと思うのですよね。だから、今、実際的にはそんなに負担が掛からないと私は考えます。
 それで、実際の現場で入れる場合には、国立循環器病センターでデータを一括管理するということですから、例えばWeb入力ができて、そこの中でデジタルデータとしてそこに入れたら、ビッグデータでいろいろ処理できるような形にしたほうが、実際の現場の場合にそのほうがいいと思うのです。それが途中で、1回、何かフォーマットに入れて、それをまたそちらに送って、こちらがまた手入力で何か入れるというようになると、また大変なことにもなるので、そこのところをがん登録と同じような形にされるとかなり労力が少なく済むのではないかと思います。実際的に入れる側の診療情報管理士、先生方も実際的にそのまま見て入れられたほうが全然負担になりません。彼らはタイプすることが負担にならないので、将来、そのような形にしていただければいいかなと思います。
○永井座長 マニュアルが結構重要になるのですよね。先ほどの小川先生との話もそうなのですけれども、どこまで拾うかということは、かなりしっかり対象を決めて、現実的に対応可能で、何でもかんでも無限に広がらないようにしないといけないと思います。
○小松本構成員 だから実際的に、このぐらいの形、量ならば、入れるのにそんなに負担にならないし、回収率も高くなるとは思います。
○永井座長 対象というのはその疾患の定義ですね。
○小松本構成員 そうですね。
○永井座長 これはしっかり決めて。
○小松本構成員 はい、もちろんそうだと思います。
○永井座長 確かに幅広くなり過ぎないということも重要だと思うのです、疑い症例まで全部入れるかみたいなことがないような対応。
○宮本構成員 ただいまの御意見ですが、24-7で血管内治療をやっている施設においては、なかなか多数の人数はいないのですよね。例えば2人でずっとカバーしている、ほとんど寝ていないような状況もあり、必ずしも小松本先生がおっしゃったように、このぐらいだったら2、3分で入るから大丈夫ということにはならない。それは、やはり血管障害とそれ以外の疾患の違いだと思います。
 先ほど宮島先生がおっしゃったのですけれども、私たちも学会を代表して来ていますけれども、後ろには不満がいっぱいあります。私たちはその不満に対して「頑張って入力してくれ」と言いながら、検討会では「現場がしんどいですよ」と言っているわけで、結構きわどい立場にあります。やはりそれは考えていただきたいと思います。
○羽鳥構成員 小松本先生がおっしゃったのと私も同じ意見ですけれども、入れるためには、横田先生がおっしゃったように、やはりWeb入力で間違いをなくして数分で入れられるような仕組みを作ってあげる。先ほど丸山さんが、まだWebのことを考えていないような雰囲気が漂っているけれども、これは、スタートするときには、やはり確実にWebでやる気持ちで設計していかないと入らないのではないかと思います。
 あと、がんの場合だと、診療登録士の方たちが入れるとDPCの加点になりますよね。だからそういう仕組みにもしていただきたいと思います、脳卒中、あるいは循環器病も入れたら、何らかの形でDPC上点数が加点されるようなメリットをみせることも大事です。
 急性期の病院情報が開業医にもみれるようにというのは有り難いのですけれども、開業の場合でも手足の麻痺で初診で来られるような方もおられるので、何か工夫して現場の先生たちも見に行くことができるようなクラウドのシステムにしていただければもっと応用範囲が広がるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山本(晴)構成員 がん登録がもう何年もたって、確か昨年ぐらいだったと思うのですけれども、結構、新聞に大々的に、このがんの5年生存率は幾らでした、このがんの5年生存率は幾らでしたというのがワーッと記事になったときがあったと思うのです。私はあれを見たときに、最初は、いや、たかが5年生存率と思ったのですけれども、でも、よく考えると、やはり各種のがんの5年生存率というのは、結局、海外のデータで言われていたり、ある限定された対象の患者さんで言われていたりして、日本全国でこういう方たちがどのぐらいの5年生存率でしたということは余りなかったと思います。あと、確かに、一般市民から考えたら、普通の人たちが研究データにアクセスするわけではないので、それこそ、ホームページに書いてあって本当かなと思ったようなことが、初めてがん登録で、日本の中では今現状こうですよということが出てきたというのは、ああ、これが確かな1つの自分たちの判断指標なのだなというのが提供できたというのはすごく大きなことだったと思うのです。なので、学術的にそんなに意味がないような、だからアカデミアの側ではそれほど重要と思っていないことであっても、一般的には余り知られていないこと、あるいは、循環器だと実際には患者さんはどのぐらいいらっしゃるのだろうとか、どのぐらいの重症度の方がどのぐらいを占めているんだとか、年齢的には、例えばかなり若い人からいたんだよとか、そういうことが一般的なマスコミとかニュースを通して全国的に知られるようになるということはすごく大きなことなのではないのかなとちょっと思いました。
○永井座長 ありがとうございます。もう1つ御議論いただきたいのはパイロットスタディについてですが、いかがでしょうか。いきなり全面展開というのは難しいわけですから、限られた施設でまずパイロットスタディをやっていただくと、ここはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 そういたしますと、資料1の3ページの診療情報を把握する対象施設、診療情報を収集・維持管理する主体、診療情報を利活用する主体について、資料1の3ページ、基本的にはこういう形でよろしいでしょうか。また、診療情報の取扱いとして利用目的を踏まえて同意を得て顕名で診療情報を収集する、また、パイロットスタディを行う。登録内容については、更に御議論を頂くというところかと思います。また、資料2及び3についても、大体、議論は出てきたかと思うのですが、まだ、いろいろ詰めないといけないところもありますので、次回に向けて御提案を頂ければと思います。特に登録項目とか対象疾患の定義の仕方の辺はまだまだ議論が必要だと思いますので最新のガイドライン等も反映して決めていきたいと思いますし、特にマニュアルが重要になってくるということです。いかがでしょうか。よろしければ、また事務局で整理させていただき、次回、検討したいと思います。
 それでは、これまでのところを踏まえて、検討会報告書の骨子案について事務局から説明をお願いいたします。
○安井がん・疾病対策課長補佐 お手元に資料4を御用意ください。「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会報告書骨子案」です。1.「循環器病の診療情報の把握・活用に関する現状と課題について」、2.「目的と情報の集め方について」、ここまでは第1回、第2回検討会で主に御議論いただいた項目と考えております。3.「循環器病の診療情報の把握・活用を行う対象疾患と必要な項目について」、このうち大きな考え方については、第1回、第2回で御議論いただき、今回、対象疾患の範囲、必要な項目案を提示させていただき、御議論いただきました。4.「循環器病の診療情報の把握・活用方法(体制)について」、5.「循環器病の診療情報の把握・活用に向けて」については、本日、御議論いただいた項目になります。以上です。
○永井座長 ありがとうございます。ただいまの骨子案について御発言を頂けますでしょうか。
○宮島構成員 全く単純に見え方だけかもしれませんけれども、多分、この情報の管理とかをちゃんと考えていますよというような見え方があったほうがいいのかなと思います。多分似たようなことは、項目があろうがなかろうが入るのだと思いながら、例えば6とかに、単に活用しようとしているだけではなくて、情報の管理の在り方、あるいはそのようなものを1つ、項目として立てますと、ちゃんとやっているのだなと思っていただけるのではないかと思います。
○永井座長 そうですね。同意についてもそうですね。これも、何か項目を立てておいていただけると有り難いと思います。
○今村構成員 記入者負担についても考えているということも、私は見えるようにしたほうがいいと思います。実際に記入する人はすごく不安だと思いますし、できる限り記入者負担を減らすための努力をしますということが表面に出てくるような形にしておかないと、実際、記入してくれない可能性がやはりあるわけで、どこまで協力してもらえるかということを今後、模索する意味でも、もう少し表面に書けたら有り難いかなと思います。
○小川構成員 私も、宮島構成員、宮本構成員、今、今村構成員がおっしゃったとおり、これは項目が少ないと言われれば少ないのですけれども、実際、宮本構成員がおっしゃったように、急性期の病院でこれを全部書くというのは非常に難しいと思います。それでなくても学会にいろいろな登録があって、いろいろな登録をやっているのです。同じことを何回も書くのだ、何回も書くのだという不満がものすごく多いのです。それがものすごく負担になっているので、できましたら、何か1つ項目があれば必要な項目に削っていただくか、それか、しつこいですけれども、DPCにあるような項目は、それが全部あればそれをそのまま使う、もしなければ、DPCに入っていない病院だけその項目を埋めるというようなことが現実的ではないかと思います。これでも私はやはり多いと思います。
○永井座長 特に基本情報などは電子カルテにも入っているわけですよね。これをそのまま転送できるような仕組みの開発は何とかしてもらえないかと思いますが、いかがでしょうか。
○今村構成員 記入段階で転送するのはなかなか難しいので、DPCに参加している所は、E・Fファイルを添付して送ってもらったら記入しなくていいというやり方が一番単純だと思うのです。ですから、DPCの情報を提供できる所、できない所で、できない所は記入者負担が多くて、できる所は記入者負担が減るというようなことをしないと。それを入力するときのシステムにE・Fファイルを読み込んで、事前に読み込むとなるとものすごく大きなシステムの改修が必要になってくるし、その負担だと、多分、現実的には無理だと思うので、これを記入して、DPCの病院が記入しなければいけない所は限定して、そのE・Fファイルを付けてもらうというようなことができれば、記入者負担は大分減るのではないかと思います。
○永井座長 それを後で統合して1つのデータベースにするということですね。
○今村構成員 そうです、ここの基本情報は空白で送ってもらって、E・Fファイルが来たら、今度はセンターのほうでDPC情報からそれを拾ってここに記入してデータベース化するという、そのような段取りかなと思います。
○丸山構成員 先ほど横田先生がおっしゃった、非常に重症で死亡退院をなさった方についてどう考えたらいいかということで、同意の取り方なのですが。本当に短時間で亡くなってしまう方について同意をどなたから求めるかということになると、遺族ということになると思うのですが、遺族の方に説明してこのスキームについて同意を頂くというのは難しいかなと思い、そうすると、一方では死者の情報は個人情報でなくなりますので、先ほどの個情法23条の要件は直接には適用されないということになり、その場合は、ではオプトアウトで良いことにするか、それとも、やはり死者と生者をそのような要件で区別するのは市民感情に合致しないかという辺り、それと、亡くなった方については後の急性期医療に活用するというのがなくなるので、その辺り、どう考えるのか、結構難しいところがあるのではないかと、ちょっと疑問提起だけですけれども、そのような辺りを考えておりました。
○横田構成員 そこは正に先ほど宮本先生も御指摘された部分だと思うのですが、現場の感覚で言いますと、特に救命センターでは約半数の方が家族その場面にいない、あるいは御本人の意思を表明することができない状態で来院されます。同時に御家族もいらっしゃらないケースが多いのです。実際、御家族もいないという患者さんが非常に多くなっているという現状があります。ですから、正に宮本先生がおっしゃったように、そういう場合の登録がどうなるのか、できないのかできるのかというところは、是非丸山先生にお知恵を拝借して、共有できればいいのかなと思います。
例えば今の外傷登録では、いわゆる包括同意というようなシステムを取っているので、そういう場合でも実は登録しているという施設がほとんどだと思うのですけれども、それが循環器にも適用できるのかできないのかという部分も含めて教えていただきたいと思います。
○丸山構成員 入院の期間がある程度以上ある患者の方については、本人やご家族などに説明の上納得いただいて、同意書を書いていただくという対応が望ましいですし、今日までの議論も同意を得るということを前提にして進められたと思うのです。しかし、入院後まもなく亡くなった方の扱いを違えるのが認められるのかどうかは本当に難しいところだと思います。
○山本(隆)構成員 個人情報保護法を本当に四角に解釈すると亡くなった方は対象外ですから、そういう意味では、同意なしで扱っても別に法律には触れないことにはなりますが、かつてから、やはりそれは市民感情に合わない、病院では生と死は連続して存在するので、亡くなったから急に扱いが変わるというのはやはりあり得ない話だろうということはよく言われる話です。
 次世代医療基盤法を作ったときも、結局、死者の情報も対象に含めましたが、生前に通知されていて、オプトアウトされていない場合だけが対象です。すでに亡くなっている場合は、やはり通知できないので、通知できない以上はオプトアウトもできないので利用できないという結論に、今のところなっています。したがって、現状でどうすればいいかと言われたら、私見で言うなら、やはり利用できないとしか言いようがないと思うのです。
 ただ、そうは言うものの、そのままですと救急救命センターだと半数ぐらいが落ちてしまうというようなことになり、それで本当に循環器疾患に関して全ての医療リソースの検討ができるのかと言うと、やはり難しいと思います。とりうる策としては、まずは死者の情報を集めないということでスタートして、それが必要であるということを明確にした上で、やはり制度的な裏付けが要るのではないかと思うのです。そうしないと、いろいろなところで耐えられないというところが出てくるのだろうと私は思います。最初から制度整備をすると大変でしょうから、このデータベースの価値がすごく高くなって、なおかつこれを完全にするためには、別に法律でなくても省令でも構わないと思うので、そういったところで個人情報保護法をオーバーライドする制度的な整備をしたほうが、いろいろな意味でみんなが納得しやすいという気はします。
○山本(晴)構成員 よろしいでしょうか。
○永井座長 はい、そろそろ手短にお願いします。
○山本(晴)構成員 制度的に難しいというか、法律的なその裏付けがないというのは分かるのですが、公衆衛生的に考えると、循環器で重篤な疾患であればあるほど実態よりも良い見せ掛けのデータになってしまって、それが医療の進歩につながるかと言うと、つながらないという。やはり、亡くなった方には返せませんけれども、生きている者にとっては逆に余り利益に資さないというところに至ってくるので、そこは明確に、そういう問題があるということはやはり出しておくべきだと思います。
○今村構成員 よろしいですか。
○永井座長 はい。では、最後にしていただけますか。
○今村構成員 死亡に関して同じように顕名情報の同意とかを取ることはできないと思うのですけれども、急に死亡された場合には、正にオプトアウトとして、登録して良い範囲のことに限定して登録してもらうという選択肢がまだあるのではないかと思うのです。来て亡くなったという白紙の情報だけでもものすごく重要なので、それを完全匿名で出すことそのものはオプトアウトでできるように思うので、同意が取れなかったケースで、情報としてこの中にどこまで登録できるかというのは別立てで考えたらいいと思うのです。同じレベルで集めるためには、多分、制度改正が必要なのですけれども、来て亡くなりましたと完全に匿名という形だったら、オプトアウトで良いように私は思うのです。
○永井座長 これは、なかなか大変な議論で、是非、またお考えを事務局にお寄せいただけますでしょうか。今日のところはこの辺までにして、是非、意見を寄せていただいて、それをまた事務局で整理いただき、次回、報告書案を御提示いただくことにしたいと思います。長時間、ありがとうございました。今後の予定等について事務局から説明をお願いいたします。
○石上がん・疾病対策課長補佐 構成員の皆様、ありがとうございました。次回の検討会の日程ですが、決定次第、御案内申し上げます。
 なお、机上配布資料につきましては、お持ち帰りにならないように御注意をお願いいたします。ペットボトルのお水はお持ち帰りください。事務局からは以上です。
○永井座長 それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。