2019年3月7日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

平成31年3月7日(木)13:00~
 

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名
 

欠席委員(6名)
 
行政機関出席者
 
 中井清人(医療機器審査管理課長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 

議事

○医療機器審査管理課長 それでは少し定刻を過ぎましたけれども、ただいまより薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催させていただきます。お忙しいところ、どうもありがとうございます。現時点では委員23名中、16名御出席いただきましたので定足数に達していることを御報告申し上げます。最初に、本年1月25日付けで薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われ、それに伴い、本部会の委員についても新しく委員の任命が行われたところでございます。つきましては、タブレットにございます医療機器・体外診断薬部会委員名簿のファイルに則しまして、先生方を私の方から御紹介申し上げます。新任の先生方におかれましては、恐縮ですが一言、御挨拶をお願い申し上げます。今回、新たに8名の先生方に新しく部会委員として御就任いただいてございます。まず、国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室、室長の大隈和先生でございます。

○大隈委員 大隈です。どうぞよろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 東京大学大学院情報学環教授の大島まり先生です。

○大島委員 大島です。よろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 神戸大学医学部附属病院臨床研究推進センター、センター長の永井洋士先生です。

○永井委員 永井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 日本大学医学部視覚科学系眼科学分野主任教授の山上聡先生です。

○山上委員 山上でございます。よろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 また、本日欠席でありますけれども、国立大学法人浜松医科大学学長の今野弘之先生、国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部長の斎藤嘉朗先生、東京農工大学大学院工学研究院教授の清水昭伸先生、日本医科大学大学院医学研究科脳神経外科学大学院教授の森田明夫先生に、部会委員として御就任いただいております。

 退任した先生方についても御紹介申し上げます。荒川義弘先生、石井明子先生、塩川芳昭先生、正田良介先生、寺崎浩子先生、濱口功先生、村上輝夫先生については御退任されたことを報告申し上げます。

 改めまして、本日の審議は参考人として2人の先生方にお越しいただいておりますので御紹介申し上げます。議題2及び3につきまして、国家公務員共済組合連合会虎の門病院臨床腫瘍科部長の高野利実先生にお越しいただいてございます。

○高野参考人 よろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 また、議題4につきまして、医療法人財団順和会山王病院・山王メディカルセンター血管病センター、センター長の宮田哲朗先生にお越しいただいております。

○宮田参考人 宮田です。よろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 続きまして、部会長の選出について御説明申し上げます。委員の改選に伴いまして、1月25日に開催された薬事分科会におきまして、各部会の部会長の選出が行われました。この医療機器・体外診断薬部会につきましては、荒井保明先生が改めて部会長として選出されておりますので御報告申し上げます。先生、一言、御挨拶をお願いいたします。

○荒井部会長 改めて、国立がん研究センター荒井保明と申します。引き続き、この部会で座長、まとめ役をさせていただきます。昨年も申し上げておりますが、言うまでもなく、医療機器・体外診断薬に関しましては、この部会が最終の関所といいますか、正に国民に安全、かつよい医療を提供するための役割を担っている場所です。ただ、機器というと10年前までは比較的単純だったのですが、今やソフトウェアあり、AIあり、AIというのは勝手に学習して変わってしまうこともある代物ですし、さらに最近ですと、ゲノム解析のソフト等も絡んできており、非常に複雑になってきております。御専門の方々ばかりですが、時には御専門の知識から先に更に一歩踏み込んで、それが世の中にどのような影響を及ぼすかというところまで含めて御議論を頂き、よりよい判断をしていきたいと考えております。これまでの考え方を踏襲するだけでなく、場合によっては新たな発想で、どういう取組をしいくべきかまでを含めて議論をし、できるだけ簡潔かつ速やかに適切な判断を下し、よい医療、よい機器を早く提供するという役割を担いたいと思います。是非、よろしく御協力ください。お願いいたします。

○医療機器審査管理課長 荒井部会長、ありがとうございました。次に、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会に属する委員のうち、部会長があらかじめ指定する者がその職務を代理するとされており、部会長代理については部会長から御指名いただくことになっております。それでは部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 部会長代理につきましては引き続き、一色高明委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

○医療機器審査管理課長 それでは、一色委員、部会長代理席に御移動のほどお願いいたします。続きまして、事務局より運営方法について特に御留意いただきたい事項などについて、御説明を申し上げたいと思います。

○事務局 それでは改めまして、本部会への御参加に当たっての留意事項を3点ほど御説明させていただきます。第1に、守秘義務の関係でございます。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきまして漏らすことのないようお願い申し上げます。第2に、薬事に関する企業等との関係でございます。関係資料といたしまして、タブレットの参考資料のフォルダに参考資料1、薬事分科会規程と、参考資料2、薬事分科会における確認事項を格納してあります。このうち、参考資料1の薬事分科会規程の6ページを御覧ください。薬事分科会規程の第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに概当する場合、また任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 第3に、分科会の審議事項でございます。タブレットに戻っていただきまして、参考資料2の薬事分科会における確認事項の8ページを御覧ください。医療機器という見出しの表の右側、「部会」、「分科会」と書かれておりますが、区分ごとに印が付いております。○が審議、△が報告、▲が文書配布による報告、×については審議・報告はなしとなっております。基本的にはこれに基づき、部会、分科会において御審議をお願いしております。

 参考資料1の薬事分科会規程の5ページを御覧ください。第7条におきまして、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない」と定めております。先ほどの表に記載しております事項以外にも、このただし書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることとなります。委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただきますようよろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 それでは続きまして、部会を開始する前に、事務局により所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定してございます。今回、全ての委員の先生方より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告申し上げます。先生方におかれましては、その会議の都度、確認させていただきます。お手数ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○事務局 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開といたします。それではこれより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 タブレットの操作方法につきましては、お手元のタブレットの右側にタブレットの操作方法が書かれた1枚紙を配布させていただいておりますので、適宜それを御参照いただくか、もし、分からない点がございましたら事務局の者に申し付けいただければと思います。配布資料に関しましては、お手元のタブレットに全て格納させていただいておりますが、タブレットの右側にタブレットの操作資料と議事次第、座席表を配布させていただいておりますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。それでは以降の進行につきまして、荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御質問はございますか。よろしいでしょうか。毎回、申し上げておりますけれども、このタブレットというのがくせ者で、こういう所で分からない時に手を挙げるというのは勇気のいることで、案外できないのですが、この部会は、委員の皆様の専門の知識あるいは考え方をお伺いする場です。遠慮なく、「ちょっと待ってくれ、分からないぞ」とおっしゃってください。これは私からのお願いです。

 それでは、特に御質問がなければ、これから議題に入らせていただきます。議題1、「医療機器及び体外診断用医薬品の認証基準及び承認基準の改正について」を始めさせていただきます。では、事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題1につきまして、事務局から御説明いたします。本議題では、医療機器及び体外診断用医薬品の承認基準及び認証基準の改正について、御報告させていただきます。お手元のタブレットの資料1-1を御覧ください。今回の改正の概要をまとめたものとなります。個別の詳細については当該ファイルの資料1-2から資料1-4に記載しておりますが、全体像について資料1-1に基づいて御説明いたします。

 今回の改正内容は、コンタクトレンズ承認基準の改正、輸液ポンプ用輸液セット等基準等の認証基準の改正、体外診断用医薬品の認証基準の改正の3点となります。

 まず、コンタクトレンズ承認基準の改正についてですが、1ページの資料1-1、上段1ポツの下に主な改正内容を記載しております。ここに記載したとおり、非視力補正用コンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの要求事項に差がないことから、当該2つの技術基準を統合したというのが主な改正点となります。対応する国際規格(ISO)で削除されたプリズム誤差に関する要求事項については、国際整合の観点から本基準案においても削除しておりますが、ほかの要求事項については従前と変更はありません。技術基準案の詳細は、ページ数で3ページから資料1-2がございまして、そこに記載させていただいたとおりですが、パブコメを既に実施しており、内容を大きく変更するような意見は頂いていないということを申し添えます。

 次に輸液ポンプ用輸液セット等基準等の改正についてですが、25ページから始まる資料1-3を御覧ください。交換輸血用輸血セット等基準、輸液ポンプ用輸液セット等基準、静脈ライン用フィルタの3点につきまして、医療機器認証基準告示で引用するJIS規格が、対応するISO規格の改定に伴って改定・細分化されたことによって、医療機器認証基準告示で新JIS規格を引用することが困難となったことから、当該告示を改正するものになります。今回の改正では、告示において従前のJIS規格で規定されていた主要評価項目を定め、その詳細事項は医薬・生活衛生局長が定める通知において定める予定です。なお、要求事項は従前から変更はありません。また、3月5日よりパブコメを実施中であるということを申し添えます。

 最後に、体外診断用医薬品の認証基準の改正についてですが、35ページの資料1-4を御覧ください。資料の一番下にございます抗ミュラー管ホルモンキットですが、こちらを新たに認証へ移行する改正を予定しております。この体外診断用医薬品は、従前は大臣承認を必要としておりましたが、承認前例などを踏まえ、認証機関による認証で問題ないと判断しましたので、認証に移行するための必要な告示改正を予定しております。なお、本件については既にパブコメを実施しており、特段の御意見を頂いていないということを申し添えます。説明は以上となります。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは今の説明の内容につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等ございますか。よろしいですか。ありがとうございます。特に御意見がなければ、これで議題1を終了とさせていただきます。ここから先は非公開となりますので、傍聴の方々には御退席いただきたいと思います。

○医療機器審査管理課長 それでは、準備が整いましたので部会を再開いたします。今回、議題2と3につきまして、併用して使用する医療機器であることから、併せて御審議いただきますのでよろしくお願いいたします。

○事務局 続いて、本部会の利益相反について御報告いたします。資料6の競合品目・競合企業リスト等一覧を御覧ください。まず1ページ、Paxman Scalp Coolingキャップですが、固形がんに対する薬物療法を受ける患者の脱毛抑制を目的として頭皮を冷却するキャップであり、同様の効果、効能等を有する製品として、資料に掲げる品目を競合品目として選定いたしております。

 2ページのPaxman Scalp CoolingシステムOrbisですが、先ほどのキャップとともに用いる電子制御式冷却装置として同様の効能、効果等を有する製品として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページのVenaSealクロージャーシステムですが、下肢表在静脈本幹の一次性静脈瘤に注入することにより血流逆流を治療する血管内塞栓促進用補綴材として同様の効能、効果等を有する製品として、資料に掲げる品目を競合品目とし選定しております。その他、一般的名称に係る影響企業のリストが、4ページから10ページまでそれぞれございますが、時間の関係で説明は割愛させていただきます。

 本日の審議事項に係る競合企業として、この資料6に示す企業について委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況を伺いましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明につきまして、特に御質問、御意見はよろしいですか。よろしければ、これから議題に入らせていただきます。まずは議題2、「医療機器「Paxman Scalp Coolingキャップ」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」、それと議題3、「医療機器「Paxman Scalp CoolingシステムOrbis」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」を始めさせていただきます。本議題につきましては、先ほど御紹介いただきました高野先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それでは機構の方から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、Paxman Scalp Coolingキャップ、議題3、Paxman Scalp CoolingシステムOrbisについて、総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、先ほど紹介のございました高野利実先生、それから独立行政法人国立病院機構熊本医療センターの山本春風委員、2名の専門委員の御意見を頂きました。

 資料2、Paxman Scalp Coolingキャップ等の製造販売承認の可否等についてのフォルダを開いていただき、資料2-2、審査報告書を御覧ください。初めに品目の概要を御説明いたします。審査報告書5ページ、審議品目の概要を御覧ください。Paxman Scalp CoolingシステムOrbisを以下「冷却装置」、Paxman Scalp Coolingキャップを以下「キャップ」と言い、冷却装置とキャップを合わせて「本品」といたします。本品は固形がんに対する薬物療法を受ける患者の脱毛抑制を目的として、頭皮を冷却する冷却療法用具及び装置です。冷却装置の内部で、約-4.0℃に冷却したギ酸カリウム等から構成されるクーラントをキャップ内に一定の速度で循環させることで、継続的に患者頭皮を冷却します。

 審査報告書6ページ、図1及び図2にお示ししたとおり、冷却装置はキャップ1個を接続するOrbis1と、キャップ2個を接続して2名同時に使用可能なOrbis2から構成されます。また、キャップはシリコン製で、形状は欧米人向けに開発されたUタイプ1st及び日本人向けに開発されたJタイプ1stの2タイプ、サイズは各々に対してS//Lの3サイズで構成されます。なお、キャップには、キャップの保護と結露を防ぐことを目的として、キャップの上から装着するキャップカバーも含まれます。本日サンプル品を御用意してありますので、併せて御覧ください。本品は、頭皮表面温度の冷却目標値を19℃以下として、抗悪性腫瘍剤投与開始30分前から冷却を始め、投与中及び投与終了後90分以上まで冷却します。

 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。審査報告書6ページ、開発の経緯を御覧ください。がん患者に対する薬物療法に用いられる抗悪性腫瘍剤の副作用として、脱毛があります。抗がん剤治療に伴う脱毛は、毛包での細胞分裂が薬剤による阻害を受け、毛球が萎縮し毛髪が脱け落ちる、又は薬剤により毛幹が細くなり、貧弱になった部分で毛髪が切れ落ちるという機序で生じることが報告されています。本邦における脱毛への対策は、ウイッグ又は帽子着用が主なものとなっております。

 一方で1970年代以降、世界各国で頭皮冷却法による脱毛抑制に関する研究が数多く行われてきました。脱毛抑制の作用機序としては、in vitro研究やヒトを対象とした臨床研究の結果から、毛細血管収縮による毛包への抗悪性腫瘍剤の分布量の減少、及び毛包細胞の代謝活性低下に伴う抗悪性腫瘍剤による毛包細胞への障害の抑制と考えられています。

 これまでの頭皮冷却法は、氷嚢や保冷剤を応用した冷却方法であったため、冷却温度を一定に維持することが困難であり、そのため脱毛抑制効果も不十分でした。このような背景を踏まえ、英国Paxman Coolers社により、頭部に装着したキャップに冷却液を連続循環させることで、継続的な冷却を可能とする頭皮冷却装置が開発されました。本品は、2000年に初代モデルがCEマークを取得、その後、改良を経て、本品となる現行モデルを使用した米国臨床試験に基づき、2017年4月に乳がん患者を適応として510()を取得し、後2018年6月に文献成績に基づき、その他の固形がんへも適応が拡大されています。

 次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書9ページから11ページに記載しております。審査の結果、これら非臨床試験について、特段の問題は認められませんでした。

 次に、本品の臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書13ページ中段以降に記載しております。本品の臨床試験の試験成績に関する資料として、国内で実施された臨床試験(以下、HOPE試験といいます)の成績が、添付資料として提出されました。また、そのほか米国で実施された臨床試験、本品及び初代を含む前世代モデルに関する文献調査結果、オランダ市販後レジストリに関する解析報告が参考資料として提出されました。

 主な臨床成績として、国内臨床試験であるHOPE試験について御説明いたします。本試験は、乳がん患者の抗悪性腫瘍剤投与に伴う脱毛抑制効果及び安全性の評価を目的として、ステージI/II期の女性乳がん患者を対象とし、前向き多施設共同非盲検群間比較試験が実施されました。有効性主要評価項目は、薬物療法第4クール投与後3週時点の非脱毛率と設定されました。評価方法は、頭部画像に基づく正面、後ろ、右、左、真上の5方向の脱毛評価の最悪判定を評価データとして採用いたしました。また脱毛評価は2名の独立判定医師が行い、両医師ともに非脱毛と判定が一致した症例のみを非脱毛例と判定いたしました。

 ここでタブレットの資料2のフォルダの資料2-3、主要評価時の頭部写真一覧を御覧ください。こちらが主要評価判定に用いた全被験者の頭部画像一覧です。被験者識別番号の欄に、本品群又は無処置群のいずれに該当するかをお示ししております。判定時の欄のベースラインは薬物療法実施前、第4クール投与3週後とは薬物療法終了時の主要評価時を意味し、被験者ごとに薬物療法実施前後の5方向の頭部画像を比較してお示ししております。判定欄にあります「脱毛」又は「非脱毛」が、当該患者の判定結果になります。例えば、今、御覧いただいております資料2ページの「○○○○○○(本品群)」と、3ページの「○○○○○○(無処置群)」の各被験者の画像を見比べていただきますと、本品群と無処置群では脱毛の程度、頭髪の残存に著しく差があることがお分かりいただけるかと存じます。

 それでは再びタブレットを戻っていただきまして、資料2-2、審査報告書を御覧ください。16ページ表4に非脱毛率の結果をお示ししております。非脱毛率は、本品群で26.7%、無処置群で0%と、本品群で有意に高い非脱毛率が示されました。また、審査報告書18ページ、表8を御覧ください。主な副次評価項目である医師及び被験者による5段階評価の非脱毛率と、薬物療法終了12週後の毛量評価の結果から、無処置群と比較して、本品群で有意な頭髪残存が示されるとともに、有意な脱毛回復が認められました。

 続いて、安全性評価につきまして御説明いたします。審査報告書20ページ、表11を御覧ください。主要な有害事象として、冷却中の頭痛及び悪心、ストラップ締め付けによる顎の痛み、寒気による不快感、額の痛み、浮動性めまい等が高頻度で認められましたが、いずれの事象も薬物療法終了後に回復に至りました。重篤な有害事象は認められませんでした。

 このHOPE試験のほかに、米国臨床試験(以下、SCALP試験といいます)の成績が参考資料として提出されております。審査報告書22ページを御覧ください。SCALP試験は米国GCPに準拠して、HOPE試験と同様に乳がん患者を対象に非盲検群間比較試験が実施されました。審査報告書24ページ、表16を御覧ください。有効性主要評価項目である非脱毛率は、本品群53.1%、無処置群0%と、本品群で有意に高い非脱毛率が示されました。なお、HOPE試験及びSCALP試験の非脱毛率の差分の分析結果につきましては、後ほど御説明申し上げます。また、安全性評価につきましては、審査報告書25ページ、表19にお示ししておりますが、ストラップ締め付けによる顎の痛み以外は、HOPE試験と同様の結果でした。

 審査報告書26ページを御覧ください。このほか、乳がんを含め固形がん全般におけるがん種や、複数のレジメンに対する本品の脱毛抑制に対する有効性及び安全性についてお示ししておりますが、文献調査結果及びオランダ市販後レジストリに関する解析報告において、HOPE試験と同等以上の脱毛抑制効果が示されております。また、安全性についてもHOPE試験と同様の有害事象の報告のみであったことから、本品の有効性及び安全性について、特段の問題がないことを確認いたしました。

 次に、本品の審査における主な3つの論点について御説明いたします。審査報告書37ページを御覧ください。まず1つ目の論点は、本品の有効性についてです。本品の臨床成績に関する資料として提出されたHOPE試験成績、及びSCALP試験成績から、本品群の非脱毛率が無処置群の非脱毛率を有意に上回ることが示されました。また、HOPE試験の結果、本品群が無処置群に対して有意な頭髪残存を示すとともに、有意な脱毛回復を認めたことから、本品の有効性は示されていると判断いたしました。

 なお、HOPE試験の非脱毛率は、SCALP試験の非脱毛率を下回っておりますが、この要因として次の2つが考えられました。1つ目の要因としては、評価手順の違いです。HOPE試験では、独立判定医師2名の最悪評価を採用したのに対し、SCALP試験では独立判定者1名による評価でした。審査報告書37ページ、表30を御覧ください。そのため、HOPE試験についてSCALP試験の判定方法と同様に判定医師ごとに評価したところ、SCALP試験との結果に統計的な差は認められませんでした。また、2つ目の要因としては、キャップのフィッティング性です。HOPE試験では欧米人向けのキャップを使用しておりましたが、欧米人と日本人では頭部形状が異なることが報告されており、キャップの密着性が不十分であったために、効果が減弱したと考えられました。審査報告書20ページ、表11にHOPE試験の有害事象の結果を、審査報告書25ページ、表19SCALP試験の有害事象の結果をお示ししておりますが、HOPE試験ではストラップ締め付けによる顎の痛みは、最も高率の75%発現した一方で、SCALP試験では当該有害事象の発現率は0.7%と対照的な結果でした。しかしながら、本申請には日本人向けに形状改良された構成品も含まれており、HOPE試験と同等以上の有効性及び安全性が見込まれると考えられます。以上の見解につきましては、専門協議においても支持されております。

 2つ目の論点は、レジメン及びがん種を限定しない適応とすることの妥当性についてです。審査報告書39ページを御覧ください。提出された参考資料において、固定がん全般における本品の脱毛抑制効果が示されました。また、細胞毒性を有する抗悪性腫瘍剤については、各々の細胞増殖阻害機序により脱毛の程度は異なる可能性はあるものの、各代表薬剤の副作用には脱毛が報告されており、脱毛を合併する可能性を有していることは明らかであること。薬効作用による脱毛の機序と、それに対する本品の作用機序に鑑みれば、脱毛を合併する可能性のある抗悪性腫瘍剤に対し、脱毛抑制が期待できること。本品を使用することに伴う有害事象は臨床上許容可能であること。現状では代替の脱毛抑制手段がなく、本品併用による治療効果の減弱等のデメリットがないことを踏まえれば、国内に導入する意義はあると考えられること。これらから、レジメン及びがん種を限定しない適応とすることは妥当と判断いたしました。

 3つ目の論点は、製造販売後安全対策についてです。審査報告書42ページを御覧ください。国内外の臨床試験及び海外臨床成績でも報告された有害事象は、いずれも臨床上許容可能であり、また寒冷刺激により副作用が高率で発現するオキサリプラチンとの併用注意を含め、本品の使用上における注意喚起についても、添付文書において適切に情報提供が図られました。本品の使用に際しては、抗悪性腫瘍剤の副作用を理解した上で患者の状態に応じて適切に使用されるのであれば、本品の使用に特段問題を生じる可能性は低いと考えられました。このことから総合機構は、実施医・実施施設要件及び適正使用指針の策定は不要であり、当該要件の遵守を求める承認条件の付与も不要と判断いたしました。また、海外において、臨床使用実績は十分にあり、使用成績評価を実施したとしても新たに得られる知見は少ないと考えられることから、総合機構は使用成績評価の指定は不要と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、審査報告書45ページに記載した使用目的により、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことは適切と判断いたしました。前述のとおり、本品の使用成績調査の指定は不要と判断し、また、本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では、報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございます。今のスピードでも画面だけで追い掛けていくのは結構つらいですね。やはり紙がないとつらいというのは、すみません、年寄りの発言かもしれませんけれども、お許しください。

 それでは、まず初めに、参考人としてお越しいただいております高野先生から、御発言を頂けますでしょうか。

○高野参考人 虎の門病院臨床腫瘍科の高野と申します。腫瘍内科医をしております。がんの薬物療法を主に担当している医者でございます。今、日本国民の2人に1人以上は、今後、生きているうちにがんになるともいわれております。そのがんの患者さんの多くは、がん薬物療法を受けるということになります。がん薬物療法の中には、今、分子標的薬など脱毛の比較的少ないような薬物療法もありますが、まだ、やはり殺細胞性の抗がん剤、従来型の抗がん剤とも呼ばれますが、そういったものを使っている患者さんが数多くおられるということです。

 抗がん剤の三大副作用というものがありまして、1つ目が脱毛、2つ目が白血球減少、3つ目が吐き気です。脱毛は命に関わるわけではありませんけれども、患者さんの気持ちに対しては極めて大きな影響をもたらすものです。一方、白血球減少は命に関わる副作用、吐き気は身体的に非常につらい副作用ということで、その三大副作用が患者さんを苦しめております。一方で、それでもそういった抗がん剤をやるというのは、それを上回るベネフィットがあるからということであり、ベネフィットが証明されている抗がん剤は患者さんのためということでやっているわけです。白血球減少や吐き気に関しましては、かなり薬物療法が進歩しておりまして、支持療法ということもありますが、それを使うことによって多くの患者さんの苦しみを和らげることができておりますが、唯一、脱毛はまだ手付かずの状態でした。

 私は腫瘍内科医として、近い将来、脱毛のない時代を作りたい、がん患者さんが脱毛で苦しむことがない時代を作りたいということで、1つは脱毛のない薬でがんが治せるような、そんな時代を作りたいということを切望してきたわけですが、残念ながら、まだそこには至っておりません。やはり脱毛は避けられない、そういうお薬を患者さんと相談しながら、ぎりぎりの思いでそういった抗がん剤を使っているというのが現場の感覚です。中には、「私はもう髪の毛がないぐらいなら、死んじゃった方がいい」と本気で思って、その薬を使えば命が延びるというような抗がん剤も、あえて使わないというような、そういう判断をされる患者さんもいるということです。

 ですので、脱毛が避けることができれば、それは多くの患者さんにとって、よりベネフィットを高めることができるというのは間違いないことでありまして、脱毛のない抗がん剤、薬物療法をどんどん作っていくというのも私の使命と思っておりますが、それに加えて、今、御説明いただきましたような頭皮冷却装置、こういったもので抗がん剤を使いながらも脱毛を避けることができれば、これは非常に多くの患者さんにとって福音であるということです。また、これからがんになるかもしれない皆さんを含めて、多くの国民にとっても福音であると思っております。

 今回、示された臨床試験というのは、非常に症例数が少ないものです。国内のHOPE試験というものは、30例、16例といった程度のものですので、この症例数で全てを語り尽くすのは難しいわけですが、先ほど御覧いただきましたように、写真を見る限りは、多くの患者さんに脱毛抑制の効果がもたらされているかなと思います。臨床試験のエンドボイントの設定等で、少し解釈が微妙になるかなというところは幾つかあるのではないかと、私も専門協議の際には申し上げたところですが、こういったものが今まで全くなかった医療現場において、脱毛の抑制が少なくとも20数%の人には確実に得られると。恐らくそれ以上の方にもベネフィットがあり、こういう品目が現場に届けられるというのは非常に大きな意味を持っているということで、患者さんにとっても、我々医療者にとっても、待望する医療機器であると申し上げたいと思います。

 この先、これが実際にここで承認されたとしても、保険適用の問題や費用の問題など、多々問題があるというのは認識しておりますけれども、やはり、これを必要としている患者さんがいるというのは、現場でひしひしと感じているところですので、そのことも御理解いただいた上で御審議いただければと思います。私からは以上です。

○荒井部会長 高野先生、ありがとうございます。それでは委員の皆様から、御意見、御質問はいかがでしょうか。

○長島委員 実際には、これは海外では、どのぐらいの患者さんに使われているのかという点と日本で承認された場合には、どの程度の患者さんに使われることを想定されているのか。あるいは、高野参考人が期待する、実際にはこういう患者さんが特に使うといいのではないかということを想定されているのか、この3点を教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございました。総合機構よりお答え申し上げます。申請者の方に確認したところ、欧州、特にオランダではかなり普及していて、脱毛を来すような抗がん剤を投与する患者さんの8割9割が使っていらっしゃると伺っております。また、国内で本品を必要とする患者さんの数、実施の症例数としては、大体8,500例ぐらいはいらっしゃるとはお伺いしております。

○高野参考人 特に必要とする患者さんですけれども、脱毛を来し得る抗がん剤を使う患者さん全てとなるかとは思いますが、中には、特に男性の方で、余り脱毛を気にされないような方もいらっしゃるとは思いますので、やはりその患者さんの希望に応じてということかと思います。私は乳がんを主に専門にしているということもありますので、若い女性で、その要望は特に高いのではないかとは思っております。

○長島委員 このような循環装置を使わないようなもの、ごく簡略な冷却のもので、それでは全く効果がないのか、それとも一定程度の効果があるというような成績は出ているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答え申し上げます。本品は一定に循環させることで、頭皮の温度を19℃。要はターゲットとしている毛包細胞が存在する環境というのは22℃ぐらい、これぐらいにすると、脱毛抑制する血管収縮や代謝活性の低下というところに効果があるそうなのです。それを得るために、これまで凍らせたペットボトルであるとか氷嚢というのを載せたのですが、やはりそれでは一定の効果が得られませんでした。それで、本品の冒頭でも御説明申し上げましたが、1970年代からずっと研究はなされてきていて、本品のほかに欧州ではもう1つ、ディグニキャップ(DigniCap)という製品がありますが、それにつきましても同様なコンセプトです。19℃以下を目標として、被って一定循環させて冷却するというものが、やはり製品化されています。まだ本邦には導入はもちろんされていませんけれども、そういった状況です。

○長島委員 海外では、例えばそれは健康保険の対象になっているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 確認できている範囲ではありますが、米国の方では、やはり保険はなく、全額自己負担でやっていらっしゃると伺っております。

○荒井部会長 そのほか御質問、御意見はいかがでしょうか。

○一色部会長代理 今の御質問と少し関連すると思いますが、この試験は除外基準がかなり沢山あって行われています。実際上、使えない患者さんというのは、どういう患者さんなのかというのが分かりましたら教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 やはり頭皮を冷却することで、そこに抗がん剤を行かなくするということは、現状では、これは欧米でも一律に禁忌としているのですが、血液のがんである白血病や血液学的な悪性疾患については、禁忌にしております。頭皮への転移も懸念されるので、今回の治験では、非常に色々な条件を設定して、米国の方でも初発の乳がん患者さんで、頭皮転移が微小でも存在しない患者さんを対象として、評価を行いました。5年後の頭皮転移もないということは、米国の臨床試験でも確認しております。

○荒井部会長 そのほかの御意見、いかがですか。

○小西委員 私は女性のがんを受け持っていて、特に期待をしているのです。確かに以前は、こういう冷やすものが流行ったのですが、余り効果がなさそうだというので、今はもう全くやめている状況なので、とても期待感があります。ナチュラルコースについて是非、教えていただきたいのですけれども、薬物療法終了時というのは、6コースか何か、化学療法が終了した時点ですよね。その時点からずっとどういう状況になっているのか、ただ単に遅らせているだけではないかという疑いもあるのですけれども、明らかにボトムを上げているかどうかという経過が知りたいのですが、いかがでしょうか。化学療法が終了した時点から、例えば1か月後というのは評価されているかどうか。

○医薬品医療機器総合機構 4クールを今回、投与しておりまして、その3週後をプライマリーの評価としております。その後、1か月、2か月、3か月後の非脱毛の状況を評価しております。

○小西委員 それはいずれも有意差をもってよかったのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね、審査報告書の39ページの図5を御覧いただけますでしょうか。こちらが脱毛の回復の様子の過程をお示ししたもので、左から1か月後、2か月後、3か月後と御覧いただければと思いますけれども、本品群の方が有意に脱毛の回復が認められることがお分かりいただけるかと存じます。

○小西委員 ここはいずれも有意差が出ていますか。

○医薬品医療機器総合機構 38ページの表31を御覧いただけますでしょうか。

○荒井部会長 今の御質問は、その3つのポイントで、全部有意差がありますかという確認だと思います。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。有意差の確認という意味では、両群での有意差としては。

○荒井部会長 これ、nが小さいので、多分。

○医薬品医療機器総合機構 12週後の有意差だけを確認している状況です。

○荒井部会長 そうですね。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。

○荒井部会長 分かりました。小西委員の一番の御懸念は、たまたま最初の判断の時はいいけれど、後は結局、蓋を開けたら、しばらくたったら元の木阿弥じゃないかということではないよね、という確認だと思います。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございませんでした。失礼いたしました。

○荒井部会長 その他、御質問いかがでしょうか。

○永井委員 1つ教えてください。米国のSCALP試験は通常のランダム化比較試験として行われている一方、日本のHOPE試験は、単群の臨床試験で、本製品を使用する患者群をまず全て登録し、その後、対照群の患者を登録するという形で行われています。これは、本製品が効くだろうということで、倫理的な問題でそのようにデザインされたと思うのですが、使用群が終了した時点において、既に米国では中間解析による有効性中止という決定がなされています。その後に、あえて日本で対照群を更に追加し、半年間も治験期間を延ばす必要があったのかが少し疑問なのです。ひょっとしたら、その時点で日本でも、しかるべき手順を取って中間解析を行った上で、議論してもよかったのではないかなと思うのですが、その辺りの事情を教えていただけたらと思います。

○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおり米国の臨床試験を、本来であれば添付できたはずなのですけれども、フォローアップ5年ということもあって、米国での臨床試験を終了するには少し時間が掛かるということ。あとは国内での先生方の要望が強かったので、とにかくすぐに国内で臨床試験を実施して、本邦での申請に備えるようにということで、このような国内での治験をすることに至ったと伺っております。

○永井委員 それはそうなのですが、もう明らかに使用群が有利ということで、治験の途中で既に有効性中止になっているわけなのです。その時点で治験計画を変更して、この製品より早く世に出すという議論があってもよかったのではないかと思ったのです。

○荒井部会長 高野先生、試験は結構、エントリーが早かったのですか。

○高野参考人 私はこの試験には関わってはいないのですけれども、この試験のデザインの相談を受けた時には、私はRCTでやるべきだとは申し上げた気がしますが、こういった形になったというのも理解できます。今の委員の御質問は、対照群の評価を省略して、もっと早くこの審議に掛けるべきではなかったかということでしょうか。

○永井委員 対照群のデータ以外でということですが。

○高野参考人 そうですね。

○永井委員 明らかに効くことが分かった中で、シークエンシャルなデザインなので、対照群を省略できたのかなと思いました。

○高野参考人 そうかもしれません。今は現場では一切この機器は使っておりません。私も使ったことはありませんので。現場では、この対照群と同じような患者さんがまだたくさんおられるので、その評価はきちんとして、これも含めこういうふうにやっていくと。

○齋藤()委員 実際に持ってみると結構重かったのですが、この機器は臥位で使うのか、あるいは座位で使うのかを教えてください。座位で使用した場合、フィッティングが悪いと重みのために顎関節などに障害が生じるのでしょうか。

 日本人の頭部の形状に適合させることで、恐らく、これまで認められた多くの顎関節障害はかなり少なくなると思います。今後、様々な化学療法を受ける患者さんに使われるというお話ですので、使用頻度が高まるものと考えます。形状の適合以外に重量の問題など、今後改善すべき点について、どのように検討されているかについてお聞かせください。

○医薬品医療機器総合機構 形状については、今、おっしゃられましたとおり、日本人向けの形状のキャップが今回は全品に含まれておりますので、恐らく先ほども申し上げましたとおり、欧米では全くそういった有害事象はありませんので、顎の痛みについて低減することというのは、期待できるかと考えております。

 本件ではアンケート調査なども取っておりますけれども、重さについては特にコメントはありません。おっしゃられたように座って使うようなのですけれども、海外でもかなりの数が使われておりますが、重さについて何か要望があるかというと、その点につきましては、特にはないように伺っております。

○荒井部会長 私から1つ、これは高野先生に伺った方がいいのかもしれませんが、先ほど長島委員から御指摘いただいたような、実際にこれがどういう保険上の扱いになるかという部分です。デリケートではあると思いますが、いわゆる乱用されることを懸念しています。明らかに脱毛が出る抗がん剤と、例えば古い薬ですが5-FUのような、抜けない人はほとんど抜けないけれど、結構抜ける人もいるという境界領域の薬の場合に、適切な使い方をして欲しいと思う訳です。これをやると脱毛を防止すると声高に謳うことで、みだりに使われてしまうようなことが起こると怖いなということを考えしまうのですが、いかがですか。

○高野参考人 特に保険適用の議論はこの後になるのかもしれませんが、保険適用になった場合は、そういうことは十分懸念されるべきものだと思います。自費でやる分においては、ある程度その方の判断というのは許されるのかなとも思うのです。もし保険適用ということになった場合は、ガイドライン等で整備する必要があると思います。

○荒井部会長 そうですね。

○高野参考人 例えば、制吐剤やG-CSFなどは、リスクがどれぐらいの場合に使うべきかというのはガイドラインで決められておりまして、添付文書では細かく決められておりませんけれども、学会等でそういったガイドラインを制定して、こういう人には使うべきというような一定の指針は出す必要があるのかなと思っております。

○荒井部会長 総合機構の方から発言はいいですか。この部会自体は保険に収載するどうこうということを議論する部会ではありませんので、そこは深くは立ち入れませんけれども、ここでの承認は、常にその後の保険や診療報酬体制への影響を伴っています。今、高野参考人からも御意見ありましたように、必要があれば学会等でのガイドライン制定を提言するなど、適正に使用されるための対応をいつも心掛けなくてはいけないかなということで伺わせていただきました。

 そのほか御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。特に追加はありませんか。特に御意見がありませんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。2つあります。医療機器「Paxman Scalp Coolingキャップ」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価も不要としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 また、医療機器「Paxman Scalp CoolingシステムOrbis」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。同じく、使用成績評価も不要としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会の方で報告をさせていただきます。これで議題2と3を終了したことになりますので、高野先生、どうもありがとうございました。

 それでは、引き続き議題4、「医療機器「VenaSealクロージャーシステム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」を始めます。本議題については参考人として、先ほど御紹介いただきました宮田先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それでは、機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より説明いたします。本審査に当たり、愛知医科大学の石橋宏之先生、日本医科大学武蔵小杉病院の田島廣之先生、本議題の参考人であります宮田哲郎先生の3名の専門委員から御意見を頂戴いたしました。

 それでは、VenaSealクロージャーシステムのフォルダを開いていただき、資料3-2の審査報告書をお開きください。初めに、品目の概要について御説明いたします。審査報告書6ページの図1を御覧ください。本品は、n-ブチル--シアノアクリレート、以下「nBCA」と呼びますが、nBCAを主成分とする接着材と、接着材を血管内へ注入するためのデリバリーカテーテル及びディスペンサガンからなるシステムです。nBCAはいわゆる瞬間接着剤であり、外科等他の領域における医療用接着材としても使用されている成分です。本品は、下肢の皮膚に近い静脈に生じる静脈瘤に対し、デリバリーカテーテルを介して接着材を注入し、血管を接着・閉塞することで、疾患の原因である血液の逆流を遮断するのに使用されます。

 本品を用いた治療の概要を御説明いたします。本品の特徴を御理解いただくために、動画を用いて御説明させていただきます。前方のスクリーンを御覧ください。それでは、投影させていただきます。まず、ガイドワイヤを標的の静脈に挿入し、ガイドワイヤに沿ってイントロデューサを挿入します。カテーテルの先端は、接着材が深部静脈内に移動しないよう、深部静脈との接合部と5cmの間隔を空けて配置します。次に、超音波画像で確認しながらプローブで病変の中枢端を圧迫し、1cm間隔で2回接着材を注入します。そして、カテーテルの先端を3cm離して用手にて3分間圧迫を行い、接着材を硬化させます。このようにして、深部静脈へ接着材が流入しないよう、病変の中枢端の接着を確実に行います。以後は、接着材を3cmごとに1回注入し、30秒間圧迫する手技を繰り返すことで、病変全体の接着を行います。病変全体の接着が終了したら、カテーテルを抜去して手技が終了いたします。動画は以上です。

 次に、開発の経緯を説明いたします。審査報告書に戻り、8ページ上段、()開発の経緯を御覧ください。慢性静脈疾患は、下肢静脈の還流障害による静脈圧の上昇により引き起こされる静脈瘤に代表される病態の総称で、重症例における浮腫や潰瘍等の症状も含まれる疾患です。以降、まとめて「下肢静脈瘤」と呼びます。8ページの図3です。下肢静脈は大きく3種類に分類され、深在筋膜上に位置する表在静脈、深在筋膜より深い位置を走行する深部静脈、及び表在静脈と深部静脈をつなぐ穿通枝が存在します。これらの静脈の静脈弁及び腓腹部の筋肉の収縮による筋ポンプ作用によって、下肢の血流は重力に逆らって心臓へと還流されています。一方、静脈弁が機能不全となったり、筋ポンプ作用が十分に機能しない場合、あるいは深部静脈が血栓等により閉塞した場合には、静脈の還流機能が損なわれ、静脈圧が亢進し、結果として表在静脈が瘤化します。

 下肢静脈瘤の既存治療について、審査報告書9ページ中段を御覧ください。下肢静脈瘤の治療としては、弾性包帯や弾性ストッキングによる圧迫療法が第一選択とされ、筋ポンプ作用の補助が行われます。一方、静脈瘤による易疲労感、疼痛、浮腫等の症状が伴う重症の症例に対しては、表2に示す侵襲的治療によって逆流の遮断が行われます。現在、表在静脈である大伏在静脈及び小伏在静脈の本幹の病変においては、経カテーテル的にレーザー又は高周波による熱で血管内を焼灼し血管を収縮、血流を遮断する血管内焼灼術が主として実施されています。

 血管内焼灼術の特徴として、熱焼灼に起因する熱傷を低減するために、TLA麻酔と呼ばれる局所麻酔の実施が必須となっています。TLA麻酔は、治療を行う静脈の周囲全域にわたって施行する必要があることから、複数回の穿刺に伴う疼痛や、術後の斑状出血の発現等がデメリットとなっております。一方、本品は、接着材の物理的作用によって血管を閉塞することから治療に熱を用いないため、血管内焼灼術と臨床的位置付けは同等ですが、TLA麻酔が不要な製品として開発されました。したがって、血管内焼灼術と比較し、熱による障害がないこと、基本的には1度の穿刺により手技が完了することから、TLA麻酔による術中術後の合併症が回避できることが、本品のメリットとなります。

 続いて、審査報告書10ページ下段から次ページの表4にかけて、()外国における使用状況を御覧ください。本品は、米国において2015年、欧州において2011年に許認可を取得しており、現在までに○○○○○本の販売実績があります。本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。審査報告書21ページ上段、VeClose試験の概略を御覧ください。米国の10施設において、多施設共同前向き無作為化比較試験として、VeClose試験が実施されました。本試験は、下肢の表在静脈のうち、血管径3~12mmの大伏在静脈に血液の逆流を有し、静脈瘤に起因する臨床症状を有する患者が登録されました。また、対照機器として、血管内焼灼術のうち高周波焼灼術に用いられる既承認品である「エンドヴィーナスクロージャーシステム」が設定され、222例が無作為化されました。

 本試験の結果について御説明いたします。審査報告書23ページの下段、()試験結果を御覧ください。本試験においては、有効性に関する主要評価項目として、「術後3か月の標的静脈の完全閉鎖」が設定されました。結果として、本品群の達成率は99.1%、対照群の達成率は95.6%であり、本品群の対照群に対する非劣性が検証されました。また、安全性については、全患者が術後6か月経過した時点で収集された有害事象を基に評価が行われました。審査報告書24ページの表12です。接着材の飛散により発生が想定される重篤な有害事象である深部静脈血栓症、肺塞栓症については1例も報告はなく、カテーテルの血管内への挿入及び静脈の閉塞に起因する静脈炎及び血栓性静脈炎を含め、その他の有害事象についても発生率に統計学的な有意差は認められませんでした。

 本品の審査における主な4つの論点について説明いたします。1つ目の論点は、埋植医療機器である本品の安全性についてです。審査報告書26ページの上段、2)安全性についてを御覧ください。本試験にて発生した静脈炎又は血栓性静脈炎に関しては、本品群の発生率が点推定値にて対照群より高い結果でしたが、発生率に有意差は認められず、表15に示すとおり、重症度及び処置の内容についても本品群と対照群で同程度でした。さらに、半数近くの患者においては処置なし、残りの患者においても、主に日常診療で行われる投薬治療により1か月以内で回復し、その後、最終フォローアップまで再発は生じていませんでした。以上を踏まえ、総合機構は、本品に十分な安全性が認められると判断いたしました。しかし、静脈炎の発生状況等に関しては、後述する使用成績評価においても確認することといたしました。

 2つ目の論点は、本品の長期成績についてです。審査報告書26ページ下段から次ページにかけて、3)長期成績についてを御覧ください。総合機構は、本品の特徴を踏まえ、本品の長期成績のうち、特に血管閉塞性能及び深部静脈血栓症、肺塞栓症等の有害事象に関して評価を行う必要があると考えました。参考資料として提出された、本試験の術後3年までのフォローアップ結果をまとめた最終報告書の成績を確認したところ、病変の完全閉鎖率については、3年時点で本品群が94.4%、対照群が91.9%であり、両群の成績は同等でした。また、術後3年までに本品群において深部静脈血栓症、肺塞栓症の発生は認められず、その他の静脈炎を含む有害事象の発生率についても、術後6か月までと同様に、本品群と対照群の間に有意差は認められませんでした。以上から、本品の長期成績についても臨床上、許容可能と判断しております。

 3つ目の論点は、小伏在静脈に対する本品の有効性及び安全性についてです。審査報告書27ページ、4)本試験の対象範囲外の血管(小伏在静脈)に対する有効性及び安全性についてを御覧ください。本品の対象となる下肢表在静脈である大伏在静脈及び小伏在静脈のうち、本試験においては、大腿部からすねにかけて走行する大伏在静脈に病変を有する患者のみが対象とされていたことから、総合機構は、ふくらはぎ周辺にある小伏在静脈における本品の有効性及び安全性について確認いたしました。有効性に関しては、小伏在静脈における本品の送達及び接着材の注入手技の難易度は、大伏在静脈と大きく変わるものではなく、接着性能へ影響を及ぼすと考えられる血管径についても、小伏在静脈は大伏在静脈より細いことから、本試験に組み入れられた血管径の範囲において有効性への懸念は少ないと考えております。

 一方、安全性に関しては、腓腹神経等の下肢神経に近接する小伏在静脈に本品を使用した際の神経障害への影響、及び実臨床において大伏在静脈及び小伏在静脈を同時に治療した際の接着材の使用量の2点について検討を行いました。1点目の神経障害への影響について、本品における治療においては、静脈の閉塞のため超音波プローブ等による血管圧迫を行いますが、静脈瘤の診断や経過観察時にも超音波検査として同等の手技が行われており、既存治療である血管内焼灼術においても一般的に実施されています。したがって、本品の手技には熱を用いないことも踏まえ、本品による神経障害のリスクは血管内焼灼術を上回らないと考えられます。2点目の接着材の使用量については、大伏在静脈・小伏在静脈全長を治療する場合を過酷な条件として仮定した、接着材の使用量に関する毒性学的検討から、接着材の毒性学的リスクは臨床上、許容されると考えられます。

 審査報告書28ページの最上部、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。以上を踏まえ、総合機構は、大伏在静脈のみを対象とした臨床試験成績をもって、小伏在静脈を含めた有効性及び安全性を評価することは可能と判断いたしました。また、本品の使用目的の記載については、審査報告書28ページの下段から次ページにかけて、()本品の使用目的についてを御覧ください。本品の臨床的位置付け及び対象血管である大伏在静脈と小伏在静脈については、血管内焼灼術と同等であることから、使用目的についても既承認品と同様に、「大伏在静脈及び小伏在静脈の一次性静脈瘤」である旨を明記することが妥当と判断いたしました。なお、小伏在静脈に関する海外臨床成績は限られていることから、小伏在静脈を含めた本邦における臨床成績を使用成績評価において確認することとし、必要に応じてリスク低減措置を講ずることが重要と判断しております。

 4つ目の論点は、市販後安全対策及び使用成績評価についてです。審査報告書30ページの表17の下、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。総合機構は、本品の特徴である接着材の注入手技や用手による圧迫・接着に関して、定められた使用方法を遵守する重要性について、座学及びハンズオンにて重点的にトレーニングを行う申請者のトレーニング案は妥当であると判断しております。また、本品の使用に際しては、臨床的位置付けが同等である血管内焼灼術と同様に、下肢静脈瘤治療に対する経験や知識を有する医師によって、一連の手技の実施体制及び有害事象等が生じた際の緊急時の体制が整った施設にて本品が使用されることが重要であると考えております。この点については、血管内焼灼術において関連学会により運営される「下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会」により策定された「下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準」を、本品に対しても準用することが申請者より説明されています。総合機構は、専門協議における議論を踏まえ、申請者の方針を受入れ可能と判断しておりますが、トレーニングの受講を含む実施医及び施設の基準に関しては、本品の市販後の有効性及び安全性の確保のために重要であることから、実施医及び施設基準に関する承認条件を付すことが妥当と判断いたしました。

 最後に、使用成績評価について、審査報告書31ページの表18を御覧ください。総合機構は、先ほど御説明した安全対策の充足性、及び小伏在静脈を対象に含めた本邦の導入初期の臨床成績を確認することを目的として、使用成績評価を実施する必要があると判断いたしました。症例数設定については、添付資料として提出されたVeClose試験における本品群の症例数108例と同規模である100例を予定症例数と設定し、そのうち小伏在静脈の最低症例数を50症例と設定しております。また、評価期間については、長期的な有効性及び安全性も確認する必要があると考える一方、VeClose試験において主要な有害事象は術後1年までに発生し、術後1年以降に機器又は手技関連の有害事象は発生していないことを踏まえ、観察期間1年として販売準備期間6か月、症例登録期間12か月、解析期間6か月と想定し、計3年間とすることが妥当と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、参考人としてお越しいただいている宮田先生から、追加の御発言を頂けますか。

○宮田参考人 私は現在、血管外科医として静脈瘤の治療に携わっている立場として、参考人の意見を述べさせていただきたいと思います。今、大方の説明でしたけれども、一次性の下肢静脈瘤というのは、下肢の表在静脈の弁不全が原因となって起きる病気で、立ち仕事の人、出産経験のある女性、高齢者などに多く見られております。病因として、はっきりしたものは特定されていませんけれども、ずっと立っているという生活状況に加え、何らかのホルモンや遺伝の影響もあるのではないかと言われている疾患です。決して珍しい病気ではなく、我が国ではコホート研究などが一部なされているところから推測しますと、数百万人の患者さんがいると推測されています。

 中でも今回話題になった大伏在静脈、小伏在静脈というのは、表在静脈の中で非常に太い静脈で、その弁不全が原因となる下肢静脈瘤の場合は、下肢の静脈圧を上昇させた結果、下肢の浮腫や浮腫に伴うだるさ、特に夜などによく起こるこむらがえり、ひどくなりますと皮膚の湿疹などが起きてきます。これが更に重症になってきますと、皮膚の潰瘍などを形成するに至るという状況です。幸い、この病気自体は良性疾患で、生命予後に影響することはほとんどない疾患ですけれども、下肢の血液うっ滞症状があるために、生活の質をかなり低下させてしまいます。そのため、そういった静脈瘤があるだけでなく、下肢のうっ滞症状がある場合に治療適応としています。

 治療の基本は、弾性ストッキングという圧を加えるストッキングによって足に血がたまらないようにするのですけれども、弁不全が治るわけではないので、ストッキングを取ってしまいますと、また元に戻ります。そこで、症状が強い方の場合は根本治療を検討します。根本治療として昔から、弁不全を生じた大伏在静脈、小伏在静脈を抜去するストリッピング手術というのが、多数行われてきました。ほかに深部静脈を含めて、静脈はたくさんありますから、その静脈を除去しても問題ないと診断されている場合は、抜去しても問題は起きません。最近では、今の説明にもありましたように、少しでも負担が少ない治療ということで、カテーテル治療が行われるようになってきました。カテーテルを大小の伏在静脈の中に入れて、中から伏在静脈を焼いて閉塞させるという治療で、2011年からはレーザーによる焼灼術、2014年からは高周波による焼灼術が保険診療となってきております。

 どれくらい患者さんがいらっしゃるか、治療対象になっているかですけれども、現在、外科学会では、外科が行っている手術を全部登録するというシステムを行っています。「National Clinical Database」と申します。今公表されているのはまだ古いデータですが、そのデータの集計によりますと、2013年において日本では約36,000下肢の治療が行われており、その段階でストリッピング術は46%でした。この段階では、高周波による焼灼術は保険収載されていないのでレーザーによる焼灼術ですが、血管内焼灼術は約39%という数字でした。これからかなり日にちがたっているわけですので、当然低侵襲が主流になっております。これは正確な数字ではありませんけれども、臨床現場における印象では大体7、8割が、血管内焼灼術で治療をしているという印象を持っております。

 一方、当然ながら血管内焼灼術にも問題点が幾つかあります。そのまま穿刺して静脈を焼きますと、静脈の周りには知覚神経があるものですから激しい疼痛があるので、血管の周囲にやや薄めた局所麻酔剤を注入して、疼痛を取る必要があります。そのために大腿部に6か所ぐらい針を刺し、エコーガイド下に伏在静脈の周りに麻酔剤を浸潤させます。穿刺に伴う痛みがあるために、局所麻酔で行う場合もありますが、多くの施設では全身麻酔の一種である静脈麻酔を用いて、患者さんに眠ってもらっている間に穿刺するというのが多く行われている方法です。もう一点の問題点は、解剖学的に、場所によっては静脈に並走してある程度太い神経が走行しております。知覚神経もありますし、場所によっては運動神経もあります。熱で焼灼するために、その熱で併走している神経が損傷されるリスクを持っているので、焼灼範囲は十分に注意して決めているのが現状です。

 そういう現状を踏まえて我々臨床現場では、本製品であるVenaSealクロージャーシステムに対して期待を持っております。これは先ほども説明がありましたように、現在の血管内焼灼術と同様に、カテーテルにおける低侵襲治療であることは同じです。ただ、静脈を閉じるに当たっては焼くわけでなく、接着材によって詰める、閉じることになるために、疼痛が発生せず、静脈周囲に何箇所も穿刺する麻酔が不要になるという点であります。そのためにカテーテルの穿刺部1か所に局所麻酔を行って穿刺すれば治療が行えるというメリットを持っています。また、静脈を焼く場合と異なり、周囲に走行する神経が熱の影響で損傷するリスクはほとんどありませんので、ゼロとは申しませんけれども、並走する神経の損傷という合併症がかなり減ることが期待されます。今、実際に欧米で先行して使用されている状況を見ても、今言ったことは十分本邦でも実現できるのではないかと思っております。これが、本邦へこの製品を投入することへ大きな期待を持っている理由です。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問はいかがでしょうか。

○長島委員 9ページの表に、本品及び既存の侵襲的治療の比較というのが載っております。この従来のものと比べて、実際に本品が販売されている欧米においては、使い分けはどうなっているのか。例えば、焼灼等との置換えになっているのかということと、今後、日本ではどうなるかということを、宮田先生にも御意見を伺いたいと思います。まず、欧米での実際はどうでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず総合機構から御説明いたします。欧米では焼灼術全体との比較の数字がないのですけれども、本品と高周波焼灼術に関しては同じ企業がやっていて、今のシェアとしては高周波が8割、本品が2割ということでした。本品の方が歴史が少し浅いのと、先生方によっては好みで高周波を使われる方もいるのではないかと思いますが、基本的にどちらでなければ治療できないという患者さんはいないと認識しており、徐々に本品のメリットによって、本品に置き換わる症例が増えてくるのではないかと想定しております。宮田先生、いかがでしょうか。

○宮田参考人 私も同様に考えています。我が国においてこれが導入された場合の使い分けというのは、閉塞させる静脈のサイズの違いぐらいではないかという気がしています。現在、適応条件としてレーザーの場合は最大径20mmまで、高周波の場合は18mmまでとなっており、この製品は治験をベースにして、12mmというサイズになっております。様々な静脈瘤でサイズが変わってきますので、使い分けというのはここにくるのではないかと思います。これは接着材の使用量とも関係してきますけれども、導入された後、その辺りがどういうように学会で議論されて変わっていくかということは、まだ予測が付かないところです。

○長島委員 もう一点です。従来の方法に比べて比較的容易であるということで、経験が少ない医師が参入して適応が甘くなってしまうという心配があるのです。ただ、これらは条件のところで施設や医師の要件を付けるということでいいと思うのですが、例えば接着材を入れる時に、中枢側を手で圧迫して行かないようにするという場合、もしもそれが十分圧迫できなくて中枢側に接着材が流れてしまった場合には、どのようなリスクがあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 そのような場合に考えられるリスクとしては、1つは深部静脈血栓症です。表在静脈ではなく深部静脈が詰まってしまって還流ができない、もう少し悪くなった際には肺までそれが飛んで、肺塞栓になるということは想定されます。しかし、中枢側をしっかり圧迫して本品を入れるということに関しては、重点的にトレーニングが行われており、その内容を踏まえた臨床試験でも深部静脈血栓症と肺塞栓の発生率は0%でしたので、本邦でも同じトレーニングを行うことで、当該リスクの低減化は図られていると考えております。

○長島委員 そういうリスクには、やはり施設や医師の条件を厳しくするのと、学会等でもしっかり指針なり、ガイドラインを作っていただけると有り難いと思います。

○小西委員 血管内に異物を入れるということには根源的な恐れがあって、本当にいいのかなという気がして怖いのです。先ほどお話がありましたように、色々な手技の中でこの物質、接着材が血管内にあちこち行って、接着材の持つ毒性というものが人体に影響を与えないのかどうかというのが、まず一番心配なのです。接着がうまくいった場合にも、接着材が血管に触れている所もあるわけですから、それが溶けていくのかどうかといった長期的な影響や接着材そのものの人体への影響というのが一番心配なのです。いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 その点に関しては、こちらもかなり気にして審査を行ってきました。まず、接着材の材料の一般的なこととしては、本品に使われているnBCAと同じ成分として、胃静脈瘤用の適応でヒストアクリルという製品が既に使われております。市販されてから5年以上、10年相当使用されている例もあるようですけれども、文献報告等で接着材の毒性に起因した慢性的な有害事象等の報告はありません。

 本品に関しては、審査報告書の15ページ等を参照いただければと思います。生物学的安全性試験に関しては、14ページの表7に記載されている項目を行っております。特に「○○○○○○○」と記載されたもので2試験、亜急性・亜慢性、全身毒性、慢性毒性試験の2試験は、ヒストアクリルを対象検体として○○○に埋植し、○○○までの評価を行っておりますが、ヒストアクリル同様、全身性の問題となる所見はありませんでした。

 あとは先ほど申し上げたように、臨床試験における3年までの使用においても、長期安全性の懸念されるデータは得られておりません。また、本品は欧州では約7年の市販後実績がありますが、同様にnBCAの毒性に起因すると考えられる有害事象の報告も得られておりません。

○小西委員 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○医薬品医療機器総合機構 物質の動態的なところに関しては、○○○○○○○○○○○○するということは、試験によって示されているのですけれども、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○いきますので、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○いきます。そう考えた時に、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○のではないかと考えております。

○小西委員 血中に○○○○○○○○○○○○というデータはありますか。○○○○○されているのかどうか。

○医薬品医療機器総合機構 本品を使用した動態のデータはないのですけれども、本品が○○○○○○○○○○○○○○○○に関しては、文献に基づいて毒性学的な評価を行っており、生体へのばく露量は問題ないと評価されております。

○小西委員 本邦における臨床試験の成績はいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本品は、本邦における臨床試験の成績としてはまだありません。外国で行われた試験を本邦の評価として受け入れるに当たり、医療環境差と民族的要因が試験の成績に影響がないということを確認しております。本品においては、審査報告書の28ページを御覧いただけますか。まず医療環境差として、静脈瘤を含んだ慢性静脈疾患の分類としては、国内外でCEAP分類を共通で採用しております。治療方針についても、基本的に同等となっております。民族的要因に関しても、下肢静脈の解剖に関して民族的な差分はありません。また、血管内治療の対象となる血管径についても同等で、これに関しても民族的な差分は想定されないと考えております。接着材が物理的に付くかということに関しても、民族的な差分は想定されません。以上を踏まえ、本品の評価に当たり、海外試験を用いて本邦における評価を行うことは可能と判断いたしました。ただし、差分になる接着材注入手技については、やはりトレーニングが。

○荒井部会長 小西委員の質問は合併症、副作用に注目して、そちらの方で臨床試験の報告がないかということで、国内でないとすれば、海外はどうかという部分ですよね。

○小西委員 はい。

○医薬品医療機器総合機構 そういった本邦での報告はありません。

○荒井部会長 海外の臨床試験からも、そこのところについて特に拾い上げられるような副作用の報告はないという答えでいいですか。

○医薬品医療機器総合機構 ありません。

○荒井部会長 そのほかに何か御質問はありますか。私から1つ。本日出なかった添付文書のところで、n-ブチル--シアノアクリレートの過敏症がないことについてです。私自身もnBCAは実はかなり頻繁に使っているのですが、この過敏症は見たことがありません。過敏症がないということが禁忌条件ということだと、過敏症のある人は駄目ということですよね。例えば皮膚にチョンと垂らして反応をみるような試験をするのかというと、普通はそこまでしていませんし、そんな試験があるのかも知りません。でも、添付文書上に「絶対禁忌」という書き方をされていれば、今の小西委員の意見ともダブるのですが、血管の中に入れてしまって、過敏症がありましたでは、かなり具合が悪い。この辺は検討した方がいいのではないと思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 本品を使った時のアレルギーに関する報告については、ほとんどありませんが、一遍だけ報告があります。その審査レポートでは、蕁麻疹が出たというのがありましたが、それは抗ヒスタミン剤で軽快しているということでした。ヒストアクリルに関する添付文書にも、アレルギー関係の問題は記載されておりません。それでお答えになっていますか。

○荒井部会長 医療現場からすると、添付文書にこういう書き方がされていると、仮にこれを使った後に合併症が起きたとか、何か起こった時に、アレルギーではなかったのか、アレルギーがあるかないかを調べたのかと、と問い詰められることになります。ちょっと微妙な部分で、今ここで即答していただく必要はありませんが、添付文書上で、こういう人に使っては駄目ですよというくだりは、医薬品でも年がら年中出てきます。しかし、一度副作用が発生すれば、それを調べる行為をしたかどうかが問われることになります。臨床現場としては重大な懸念であり、ここは是非一度検討しておいてください。

○医薬品医療機器総合機構 製品との関係、対応ですね。

○荒井部会長 そうですね。お願いします。

○小西委員 11ページを開けていただきたいと思います。海外における有害事象の発生状況ということで、死亡3例は関係なかったということですけれども、幾つか肺塞栓症やアレルギー反応も結構数が多いわけです。これはやはりこの物質に対するアレルギーということでよろしいでしょうか。どんな状況で発生しているのかというのを知りたいのです。

○医薬品医療機器総合機構 アレルギー反応に関する、細かい転帰に関しての情報は上がってきておりませんので、明確なお答えはできないのですが、本品によるアレルギー反応も含まれている情報と考えております。

○荒井部会長 この発生率、頻度は非常にまれであるというように解釈されていらっしゃるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 この数字については、特段問題になってくるような大きい数字ではないと考えております。

○医薬品医療機器総合機構 追加で少し申し上げます。文献的なところで報告されているのは、血管炎という形での報告が多く見られました。血管内に本品を入れますので、それに関連するものではないかと考えております。

○小西委員 一遍入れたらずっと持続しているので。私たちは、ワクチンの慢性疼痛などで苦労しておりますが、そういう後遺症が長く残るといったことに関してはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 添付資料のVeClose試験で発生した静脈炎と有害事象に関しては、大半が1か月以内で回復し、その後に特に再発等は生じておりませんでしたので、そういった懸念は低いかと考えております。

○永井委員 安全性の御質問が続いていて、それにも関連するのですが、日本の臨床試験成績がないということで、PMSが大事になってくるかと思うのです。その点で今後、機構からメーカーに指導していただきたいことに1点気付きました。審査報告書にはほとんど書いてないのですが、PMSの基本計画を見ますと、1年間フォローアップできない患者さんは、安全性の解析対象から除外すると書いてあります。考えてみますと、何か問題があるからこそフォローアップできない場合が多々ありますし、実際に治験の時も、スタディーオフとなる、すなわち、追跡不能となる症例が14%出ています。ですから実際のリアルワールドだと、もっとそれが増えてくる可能性もある。100例なら100例でいいのでしょうけれども、その2点の理由で解析可能な集団としてPMSを計画していただくべきだと思います。

○医薬品医療機器総合機構 どうも御指摘ありがとうございます。その点はこれから精査し、最終的な計画案として作っていきますので、頂いた御意見を参考に話を詰めさせていただきたいと思います。

○荒井部会長 大変重要な御指摘かと思います。ありがとうございます。そのほかに御意見はいかがでしょうか。

○一色部会長代理 診療報酬の規定にかかわる話かもしれませんが、現在レーザーでの治療を行うのは1本の静脈当たり1回と決められていると思います。この接着材を使った治療は、レーザー焼灼を行った後の症例には行わないというように、現時点ではお考えですか。また逆に、接着材を使ってうまくいかなかった症例にレーザーをやるということはあるのでしょうか。行われる可能性があるのではないかと思っての御質問です。

○荒井部会長 宮田先生、いかがでしょうか。要するに、先行した治療でうまくいかなかった時に、別の治療法としてこれを使う、レーザーを先行してnBCAを使う、あるいはnBCAでやってうまくいかなかったから、今度レーザーを追加するというのが、臨床的には結構あり得る話ですか。

○宮田参考人 確かにあり得る話で、色々な選択肢は残しておいた方がいいかと思います。恐らくこの手技どおりきちんとやると、99%の閉塞率を出しているので、再発はないと思いますけれども、臨床現場ではそれが不十分になるということも十分考えられます。その時に、もし残った部分で、nBCAを使った後でレーザーが適応になるような状況であれば、患者さんにとってはそういう選択肢も残った方が、非常にいいという印象を持っております。

○一色部会長代理 レーザー焼灼は静脈1本当たり1回縛りになっていますね。術後に再発してしまった場合、現実に臨床的にはどういう対応をされているのですか。

○宮田参考人 再発の仕方には色々ありますが、大伏在静脈の治療の後で、枝として本来は太くなかった副伏在静脈が、数年たって新たに拡張してくるという場合など、本当は、レーザーの使用は1本という規定ではありますけれども、それがある程度の長さにわたってレーザー焼灼の対象になる血管である場合は、レーザー焼灼を行っております。逆に蛇行が非常に強く、その対象にならない場合は、従来どおり局所を切開してそれを結紮するというやり方になります。ですから、再発の仕方によって色々対処法が異なってくるというのが現状です。

○荒井部会長 そのほかに御意見はよろしいですか。それでは、議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「VenaSealクロージャーシステム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価には期間を3年として指定することとしてよろしいでしょうか。内容については先ほどの御意見をまた御検討ください。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件についても分科会にて報告をさせていただきます。それでは、これで議題4を終了いたします。宮田先生、どうも長時間ありがとうございました。

 引き続き議題5に入らせていただきます。議題5、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」を始めさせていただきます。まずは事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題5について説明させていただきます。議題5につきましては、資料4に基づいて説明いたしますので、御用意をお願いいたします。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があって、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するか、その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて御審議いただいております。今回は医療機器の承認に際して一般的名称の新設が必要なものが7品目あります。1つずつ説明をさせていただきます。

 まず、資料4-1、1ページを御覧ください。新設する一般的名称()についてですが、新設する一般的名称は、「マウス抗体使用冠動脈ステント」となっております。定義に関しては、「拡張して冠血管の内側に留まる支持構造で、その開存性を維持するために用いるステントで、マウス抗体を含有するものをいう。本器具はカテーテルによって閉塞部に送達することができる。バルーンカテーテルの膨張、又は自己拡張により、本器具は拡張して血管を支持する。カテーテルを抜去すると、ステントは永久インプラントとしてその位置に留まる」となっています。この一般的名称を付与する品目に関しては、3ページに概要がございます。詳細は割愛させていただきますが、御覧になっていただければと思います。本品はクラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えています。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。

 続いて、資料4-2を御覧ください。4ページになります。新設予定の一般的名称は、「遺伝子変異解析システム(がんゲノムプロファイリング検査用)」です。定義は、「生体由来の試料から得られた遺伝子変異情報を基に、がんゲノムプロファイリング検査を行うために使用される遺伝子変異解析システムをいう。DNAシークエンサー、シークエンシングサンプル調製試薬及び解析プログラムより構成され、テンプレート調製試薬等を構成品として含む場合もある」となっています。こちらも、後ろに品目概要がございます。本品はクラスIIIの高度管理医療機器に指定されるべきと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、保守点検を行う必要のある医療機器ですので、必要であると考えております。

 続いて、資料4-3、7ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、「医薬品投与用長期的使用胃瘻チューブ」です。定義は、「長期的使用を目的として、投与量、投与速度等に適切な管理が必要な医薬品を投与するために、胃、十二指腸又は空腸に外科的に配置する中空の器具をいう」となっております。本品に関しては、クラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えており、特定保守管理医療機器の指定については、保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要であると考えております。8ページに品目概要がございます。

 続いて、9ページの資料4-4を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「医薬品経腸投与ポンプ」です。定義は、「投与量、投与速度等に適切な管理が必要な医薬品を胃、十二指腸又は空腸に投与するために用いる携帯可能なポンプをいう」となっております。本品はクラスIIIの高度管理医療機器に指定されるべきと考えており、また、保守点検を行う必要のある医療機器ですので、特定保守管理医療機器の指定が必要であると考えております。9ページに品目概要がございます。

 資料4-5にいかせていただきます。12ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、「乾式低温殺菌装置」となっております。定義は、温水を使用せず、通常62℃以上の適切な温度で30分間以上加温することにより、ほとんどの感染物質を死滅させる小型の加温装置をいう。この方法が適しているのは完全に滅菌する必要のないものに限られる」となっております。本品はクラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、保守管理を行う必要のある医療機器ではないため、不要であると考えております。品目概要は13ページに記載されております。

 続いて14ページの資料4-6を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「赤血球沈降速度測定器具」です。定義は、「全血試料中の赤血球の沈降(沈むこと)速度を手動で測定する器具をいう。赤血球沈降速度(ESR)とも呼ばれる」となっております。本品はクラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えていて、また特定保守管理医療機器の指定については、保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要であると考えております。15ページに品目概要がございます。

 最後に16ページの資料4-7を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「口腔・嚥下機能訓練器具」です。定義は、「医師の指導の下、口腔や嚥下の機能の低下に対し使用するリハビリテーション用非能動型器具をいう」となっております。本品はクラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えていて、特定保守管理医療機器の指定については、保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要であると考えております。17ページに品目概要がございます。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございました。7品目とかなり種類は多いのですが、今の説明について、御意見、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。一通り全部順番を追って確認させていただきますので、もし何かございましたら、御発言ください。

 それでは、議決を行います。「マウス抗体使用冠動脈ステント」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。次に、「遺伝子変異解析システム」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。よろしいですか。次にいきます。「医薬品投与長期使用胃瘻用チューブ」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。次に、「医薬品用経腸投与ポンプ」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。次に、「乾式低温殺菌装置」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。「赤血球沈降速度測定器具」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。最後に、「口腔・嚥下機能訓練器具」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は、本部会での審議の結果を次の薬事分科会にて文書報告をさせていただきます。これで議題5を終了いたします。

 続きまして、最後の議題6に入らせていただきます。議題6、「部会報告品目について」、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題6、「部会報告品目について」、資料5に沿って御説明いたします。横向きの資料となっております。平成3010月から平成3012月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、認証基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。医療機器は全部で57品目ございますが、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。また、体外診断用医薬品6品目は、17ページから記載しており、新規検査項目や、コンパニオン診断薬・新規の使用目的の追加等の重要なものについては、備考欄に内容を記載させていただいておりますが、こちらも詳細については割愛させていただきます。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの議題6につきましての資料ですが、既に御存じだと思いますが、特に御質問等ございますか。よろしいですか。それでは、これで議題6を終了させていただきます。

 以上をもちまして、本日予定しておりました議題は全て終了いたしました。事務局から御連絡はございますか。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。次回の部会につきましては、4月25日木曜日の15時からの開催を予定しております。連絡事項は以上になります。

○荒井部会長 ありがとうございます。特に御発言よろしいですね。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。長時間どうもありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 

再生医療等製品審査管理室 室長 田中(内線4226)