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第11回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録
厚生労働省健康局がん・疾病対策課
日時
平成31年3月28日(木)17:00~19:00
場所
田中田村町ビル・貸会議室 8階8E会議室
議事
- ○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより第11回アレルギー対策疾患推進協議会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は事務局を務めます厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐の貝沼と申します。協議会の会長が決まるまでの間、議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、はじめに会の開催に当たりまして、健康局長の宇都宮より御挨拶を申し上げます。
○宇都宮健康局長 皆さん、こんにちは。健康局長の宇都宮です。よろしくお願いいたします。本日は年度末の大変お忙しいところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は第11回の協議会ということですが、14人の先生方が新しい先生になられ、また、会長も代わられるということで、本日は一言御挨拶をさせていただきます。日頃よりアレルギー疾患をはじめ、健康政策の推進に御協力・御尽力を頂いておりますことを、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。
さて、先生方御存じのように、アレルギー疾患は国民の2人に1人が掛かっているとも言われております。そういう中で、平成27年にアレルギー対策基本法が成立・公布され、平成29年にはアレルギー対策の基本指針が告示されたということでございます。これを踏まえ、我々としてもアレルギー対策を進めているわけでございますけれども、昨年の10月にはウェブサイトのアレルギーポータルというものを開設いたしまして、今年の1月には免疫アレルギー疾患研究の10か年戦略というものを新たに策定したところでございます。また、今年度については、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院の整理を本格的に進めるというところでございます。
本日の議題といたしましては、初めての先生方も多いということで、こういった取組などについて御紹介させていただいて、自由に御議論いただきたいと考えているところでございます。是非、忌憚のない御意見を交わしていただいて、今後のアレルギー対策の推進に向けて実りある議論となりますことを祈念いたしまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 なお、宇都宮局長はほかの公務のため退席させていただきます。続きまして、委員の皆様方を御紹介させていただきます。お手元の委員名簿に沿って名前を読み上げさせていただきますので、恐縮ですが、お名前を呼ばれた際に御起立いただき、一言御挨拶を頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。なお、御所属等につきましては、委員名簿の記載をもって代えさせていただきます。浅野明美委員です。
○浅野明美委員 今回初めて参加させていただきます。茨城県で小学校の養護教諭をしております。いろいろと勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 浅野浩一郎委員です。
○浅野浩一郎委員 東海大学で成人のアレルギー疾患の診療に携わっております浅野です。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 海老澤元宏委員です。
○海老澤委員 国立病院機構相模原病院臨床研究センターで、副臨床研究センター長をしております海老澤です。前回に引き続きまして、また、よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 岡本美孝委員です。
○岡本委員 岡本です。千葉大学耳鼻咽喉科でアレルギー性鼻炎中心に、臨床、診療、研究を行っております。また継続ですが、よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 加藤則人委員です。
○加藤委員 京都医大皮膚科の加藤と申します。アトピー性皮膚炎を専門にしております。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 桐谷利惠委員です。
○桐谷委員 初めまして、よろしくお願いいたします。NPO法人千葉アレルギーネットワークからまいりました。患者会という枠で来ているのですけれども、理事長が千葉大病院の下条先生ということで、お医者さんや看護師さん、栄養士さんなどそういった方もメンバーに多いような会となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 迫和子委員です。
○迫委員 日本栄養士会専務理事の迫でございます。よろしくお願いいたします。日本栄養士会は栄養士と管理栄養士から成る5万人の会員を擁する組織でございます。専門職能団体として、アレルギーの患者さんをどう支えていくことができるか、人材育成等々もスタートしておりますので、またいろいろと御助言いただきながら進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 佐藤真奈美委員です。
○佐藤委員 公益社団法人日本歯科医師会学術担当理事をしております佐藤真奈美と申します。代表で参加させていただいております。私自身花粉症でして、マスクを掛けさせて参加させていただくことになります。申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 田野成美委員です。
○田野委員 よろしくお願いします。大阪狭山食物アレルギー・アトピーサークル「Smile・Smile」の田野成美と申します。産前産後のアレルギー疾患予防に向けた保健センターとのスキンケア講習会、教育委員会・消防署との連携など、行政と一緒に市民協働をしながら活動を行っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 東田有智委員です。
○東田委員 来週の4月1日から、近畿大学医学部附属病院が近畿大学病院ということに替わりまして、そこの院長をしております。呼吸器内科専門で、現在、日本アレルギー学会の理事長をしております東田です。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 中澤よう子委員です。
○中澤委員 神奈川県の医務監をしております中澤と申します。全国衛生部長会のほうからまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 新田裕史委員です。
○新田委員 国立環境研究所でフェローをしております新田でございます。前回に引き続いてここに来させていただいております。環境と健康に関わる疫学研究を専門としております。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 服部佳苗委員です。
○服部委員 神奈川県を中心に活動しております患者会ピアサポートF.A.cafe代表の服部と申します。保護者は、たくさん勉強の場や仲間と出会う場があるのですが、子どもはそうではありません。そこで食物アレルギーの子供たちが、お互い仲間に出会い、共に学べる場というのを提供することに特に力を入れております。「キッズチャレンジ」という企画名で、様々な子供たちを主役にしたアレルギーに関する勉強会を行っております。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 藤澤隆夫委員です。
○藤澤委員 国立病院機構三重病院で小児科を診療しております。小児アレルギー学会の理事長もさせていただいています。また、三重病院としましては、三重県の地域の拠点病院をさせていただいております。よろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 松本吉郎委員です。
○松本吉郎委員 日本医師会の松本でございます。日本医師会では主に医療保険、それから医師の働き方改革、外国人医療等を担当しております。もともとの診療科は、専門が皮膚科と形成外科と社会医学系でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 松本健治委員です。
○松本健治委員 国立成育医療研究センターの松本と申します。私はもともと小児科医なのですが、14年前から基礎研究のほうをずっとやっております。本年度の研究の10か年戦略の策定にも参加させていただきました。この会にはおそらく基礎の人間ということと、それから成育の代表ということで参加させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 南砂委員です。
○南委員 読売新聞東京本社の南でございます。よろしくお願いいたします。新聞という立場で、医学・医療等を取材をしてきた体験から参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 本日は参考人として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構免疫アレルギー疾患実用化研究分野プログラムスーパーバイザーの西間三馨先生に御出席いただいております。
○西間参考人 西間です。研究については10か年戦略が出ましたので、後ほど説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 委員の皆様、ありがとうございました。なお、18時頃に南委員は退室される予定と伺っております。朝倉委員からは遅れて御出席される旨、御連絡を頂戴しております。また、荒木田美香子委員、矢上晶子委員より、本日は御欠席との御連絡を頂いております。続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。健康局がん・疾病課の佐々木です。同じく、川名です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料の御確認をお願いいたします。まず、議事次第、座席表、アレルギー疾患対策推進協議会議員名簿とありまして、その次に資料1、対策推進協議会について、資料2、アレルギー疾患対策の取組について、資料3としまして、西間三馨参考人の提出資料を準備しております。また、参考資料1~6がありますので、適宜御参照ください。以上です。資料に不足・落丁等がありましたら、事務局までお申し出ください。以上をもちまして、カメラを収めていただきますよう、御協力よろしくお願いいたします。
それでは、議題2「会長選任及び会長代理指名」に移ります。参考資料3を御参照願います。本協議会の運用を定めたアレルギー疾患対策推進協議会令第3条において、「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する」こととされており、また、「会長は、会務を総理し、協議会を代表する」「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」と定められております。本日は委員の皆様方が新たに選任されて初めての協議会となりますので、本規定に基づきまして委員の互選により会長を選任させていただきたいと思いますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。
○加藤委員 アレルギー医療の専門家であり、また、日本アレルギー学会理事長でもあり、幅広い御見識を持っておられます東田有智先生がふさわしいと思います。いかがでしょうか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 ただいま、東田委員の御推薦がございましたが、そのほかいかがでしょうか。それでは東田委員に本協議会の座長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(拍手)
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。全員一致のようですので、東田委員に本協議会の会長をお願いいたします。それでは会長席にお移りいただきまして、今後の議事運営をお願いいたします。
(東田委員、会長席へ移動)
○東田会長 改めまして近畿大学の東田でございます。微力ですけれども、頑張っていきたいと思いますが、今、この拠点病院ですら、まだ完全に決められていない状況で、推進協議会というこの会の名前のとおり、是非とも推進していきたいと思いますので、皆様、御協力をよろしくお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございました。それでは、この後の進行は東田会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○東田会長 それでは議事に移ります。まず、会長代理の指名をさせていただきたいと思いますけれども、恐れ入りますが岡本委員にお受けいただきたいと思います。いかがでしょうか。
(拍手)
○東田会長 ありがとうございます。岡本委員、よろしくお願いいたします。それでは議題に入ります。議題3「アレルギー疾患対策推進協議会について」に移りたいと思います。資料1の説明を事務局よりお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは皆様、資料1をお手元に御準備ください。まず、こちらのほうではアレルギー疾患対策推進協議会につきまして、その位置付けを御紹介したいと思います。まず1ページ目、厚生労働省におけるアレルギー疾患に関するこれまでの取組について、簡単に御紹介したいと思います。これまで厚生労働省としては、昭和47年から小児ぜん息治療の研究事業を実施しました。その後、アレルギーに対する総合的な研究事業、病因及び病態の解明、治療法の研究の推進などをしてきましたが、平成12年にリウマチ・アレルギー疾患に関する高度専門医療機関として、国立相模原病院に臨床研究センターが開設されました。その後の平成17年と平成23年を見ていただきたいのですが、この両年で厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ・アレルギー対策委員会を開催し、それぞれ報告書を取りまとめ、それぞれの対策の方向性について定めてきました。そうした中、平成26年6月にアレルギー疾患対策基本法が成立しております。
2ページ目です。このアレルギー疾患対策基本法は平成27年12月に施行されました。この基本法の中で規定されている疾患は、上に書いてあります気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーの6疾患です。左の図を見ていただきたいのですが、このアレルギー疾患対策推進協議会の役割として、アレルギー疾患対策基本指針の策定に対して意見出しをしていただく場、協議していただく場ということで位置付けられております。
3ページですが、アレルギー疾患対策基本指針は平成29年3月に告示されました。この第1期のメンバーで第1回から第9回、平成28年2月から平成28年12月にかけて協議会を開催し、アレルギー疾患対策の基本指針についての議論を行い取りまとめられた案に対してのパブリックコメントを踏まえ、平成29年3月21日に厚生労働大臣告示を行っております。このアレルギー疾患対策基本指針は基本理念として、生活の仕方や生活環境の改善、アレルギー疾患に係る医療の質の向上及び提供体制の整備、また、生活の質の維持向上のための支援を受けることができる体制の整備、研究の推進、研究等の成果の普及・活用・発展というのを掲げており、アレルギー疾患を有する者が安心して生活できる社会の構築を目指し、国や地方公共団体が取り組むべき方向性を示しているものです。以上です。
○東田会長 アレルギー疾患対策基本法の成立から、このアレルギー疾患対策推進協議会の位置付けについて、また、アレルギー疾患対策基本指針について御説明いただきました。質問、御意見ございましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。これはもともと決まっていることなので、よろしいですか。
続きまして、議題4「アレルギー疾患対策の取組について」に移りたいと思います。資料2、3について御説明いただいた後に議論していきたいと思います。まず、資料2の説明を事務局よりお願いいたします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 それでは、お手元に資料2を御準備ください。「アレルギー疾患対策の取組について」ということで御説明いたします。まず1ページ目です。こちらは少し繰り返しになりますので割愛しますが、基本指針の構成を示しております。5部からなっており、基本的な事項、啓発や知識の普及、医療提供体制、研究調査、その他の推進する事項ということでまとめられております。
次の2ページを御確認ください。こちらでは経済財政運営と改革の基本方針の記載がなされたことを示しております。今年度、平成30年6月15日に示された「経済財政運営と改革の基本方針2018」の中で、アレルギー疾患対策基本指針に基づき、アレルギー疾患の重症化の予防や症状の軽減に向けた対策を推進するということが明記されました。
それに伴い3ページですが、この方針に基づき対策の推進の指標を作るということで、赤でくくった所ですが、KPI第1階層として、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院を設置した都道府県の数、都道府県が実施する患者、市民への啓発事業及び医療従事者等への研修事業を実施した都道府県の数、中心拠点病院で実施していく研修に参加した累積の医師の数、こうしたものを指標として取組の状況について調査していきたいと考えております。さらにこれらを踏まえ、第2階層として、食物によるアナフィラキシーショックの死亡者数をゼロにするという方向性を示しました。
次の4ページ目です。昨日、予算が成立しておりますが、資料作成段階では案でしたので案のままで失礼いたします。平成31年度リウマチ・アレルギー疾患対策予算については、平成31年度の6.8億円から総額で8.1億円の増額を行うことができました。この予算の枠組みとしては、5つの大きな枠です。1つはアレルギー情報センター事業、次にアレルギー疾患医療提供体制整備事業、アレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業、リウマチ・アレルギー特別対策事業、最後は研究費です。これらについて順に御紹介していきたいと思います。
まず5ページ、アレルギーセンター事業ですが、来年度4,100万円の予算を頂戴しております。こちらは背景にあるように、従前より補助事業として実施してきましたが、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針に基づき、国として必要な対応を行う必要があるということで、下の赤字ですが、「最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウェブサイトの整備などを通じ、情報提供の充実を図る」と示されています。
次の6ページですが、「アレルギーポータル」について御紹介したいと思います。先ほど申しました基本指針のプランに従い、このアレルギーポータルというものを昨年10月19日にウェブオープンをいたしました。こちらは厚生労働省の補助事業として、日本アレルギー学会のほうで運営をしていただいております。主なコンテンツとしては、アレルギー疾患に関する説明やアレルギーの対策、主として治療に関すること、また、災害時の対応や、先ほど東田先生から御紹介いただいた拠点病院などの医療機関の情報、患者さん向けの冊子や医療従事者向けのガイドラインなど、あとは日本の取組について紹介をしているところです。
続いて7ページ、アレルギー疾患医療提供体制整備事業です。こちらは医療提供体制の中で、下の事業スキームを見ていただければと思いますが、中心拠点病院と定めております成育医療研究センターと国立病院機構相模原病院に対しての事業です。事業の内容としては、真ん中の➀~➃ですが、診療連携ネットワークの構築や診断等支援、アレルギー疾患に係る医師に対する研修支援、一般国民からのアレルギーに関する相談事業と示しました。
8ページに書いてあるように、この中心拠点病院における研修プログラムとしては、研修にはA、B、C、様々なレベルの研修があると思いますが、まずはそのアレルギー疾患医療の普及を進めるということを目的に、その中で目標レベルBの都道府県拠点病院で実践するアレルギー診療の基礎を学ぶということで、内科と小児科のプログラムをこれから展開していくところです。2週間程度で疾患別に習得できるような内容を御準備していただいているところです。
9ページ目ですが、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会の報告書の概要説明です。平成29年7月にアレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会の報告書がまとまり、現在、都道府県のほうでその整備を進めていただいているところです。アレルギー疾患の患者さんは非常に数が多くいらっしゃいますので、この地域レベルでの診療所や一般病院にたくさん掛かられます。その中での診療レベルの底上げ、標準化を推進するために、この都道府県アレルギー疾患医療拠点病院には御活躍いただくことが重要となってくるかなと考えており、そうした内容について示しているものです。
続いて10ページですが、平成31年1月1日現在での都道府県の拠点病院の選定状況を示しました。この時点では、17府県39施設が拠点病院として既に選定されております。
次に11ページですが、こちらはアレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業です。平成31年度の予算も3,100万円です。事業の目的としては、これまで説明してきた拠点病院があり、都道府県はアレルギー疾患に係る医療提供体制を検討することとされていますが、医療提供体制は各地域で状況が多様であり、標準的な体制が現状は存在しないと考えています。そのため、この当該モデル事業を実施することで、各都道府県が行うアレルギー医療提供体制構築の一助となればということで展開しているところです。モデルの事業としては、事業実施イメージの中に書いておりますように、拠点病院内や関係する医療機関内での患者相談の対応や、アレルギーに係る医療従事者育成のための研修、一般病院への診療支援を実施する際に支援を行うとしています。
12ページに現在行っていただいているモデル事業の主な取組を示しました。今年度は公募件数が6件に対し、採択したのが3件、山梨大学医学部附属病院、国立病院機構三重病院、千葉大学医学部附属病院の3施設を選定しております。山梨大学医学部附属病院では、病院内に新たにアレルギーセンターを設置し、基礎医学系講座も関与した体制を構築していただいています。特に(3)の2ポツ目で示した行政と連携した調査研究の実施など、非常に良い取組がなされていたと考えられます。国立病院機構三重病院のほうでは、三重大学医学部附属病院も都道府県の拠点病院として指定を受けており、2施設が連携をした体制を構築していただいております。さらに千葉大学医学部附属病院では、病院内にアレルギーセンターを設置し、専属の小児アレルギーエデュケーター(PAE)を配置し、連絡体制などを整備していると報告を頂戴しているところです。
次に13ページのリウマチ・アレルギー特別対策事業について御紹介いたします。この特別対策事業の事業内容ですが、➀としてアレルギー疾患医療連絡協議会の開催、これは都道府県で開催していただくものです。➁は医療従事者、保健師・助産師、福祉施設従事者向け研修及びエピペン講習会の実施、➂患者カードの配布の促進並びに患者の自己管理等正しい知識の普及啓発事業の実施、➃地域のぜん息患者並びにリウマチ及びアレルギー系疾患患者の実態把握を目的とした分析調査の実施ということで、これらに使っていただく予算です。都道府県や政令指定都市、中核市に対して、2分の1補助の予算です。
次の14ページ目です。この特別対策事業を使っていただいた研修の例を示しました。愛知県さんのほうでは、愛知県アレルギー疾患医療拠点病院と連携し、アレルギー疾患に関する様々な情報を行う講演会や、人材育成のための研修を実施されておられます。医療従事者だけではなく、患者さんや御家族向けの講演会や、学校や児童福祉施設などの教職員、保育士、幼稚園教諭、保健師向けの研修会など、対象を様々に向けて開催していることを御紹介したいと感じたところです。
次に15ページから、基本指針4にあります研究に関するところを御紹介したいと思います。この基本指針の中で、今後、取組が必要な事項として、研究戦略の策定ということで、国は疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究の中長期的な戦略の策定について検討を行うと示されました。これを基に、本年1月23日に免疫アレルギー疾患研究10か年戦略を策定したところです。
次の16ページです。こちらでは免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の位置付けを御紹介しております。基本法と基本指針に基づき、免疫アレルギー疾患に対して安心して生活できる社会の構築ということを目標に掲げています。特に医療の均てん化や発症予防・重症化予防及び症状の軽減、生活の質の維持向上といったことにターゲットを絞り、平成29年7月に発出した医療提供体制の在り方に関する報告書と、今回の免疫アレルギー疾患研究10か年戦略を2つの大きな柱として連携していくことで、こうしたものが取り組まれていくのではないかと考えているところです。
研究10か年戦略の全体像が17ページです。免疫アレルギー疾患は、多くは慢性の経過をたどり、改善や悪化を繰り返すことがあるために、長期にわたり生活の質を著しく損なうことや、一方でアナフィラキシーや一部の薬剤アレルギーなど、突然の増悪により致死的な転機をたどる場合もあります。こうした疾患に対して、10年後に目指すビジョンとして、産学官民の連携と患者の参画に基づいて、免疫アレルギー疾患に対して「発症予防・重症化予防によるQOL改善」と「防ぎ得る死の根絶」のために、「疾患活動性や生活満足度の見える化」や「病態の見える化に基づく層別化医療及び予防的・先制的医療の実現」を通じて、ライフステージに応じて安心して生活できる社会を構築すると示しました。このビジョンの実現に必要とされる3つの目標と戦略について、本態解明と社会の構築と疾患特性という観点から示しているものです。
ここまでが私ども、がん・疾病対策課のほうで、今年度に取り組んできた内容ですが、最後に厚労省内の保育課のほうで取り組んでおります保育所におけるアレルギー対応ガイドラインの見直し、また19ページには、関係省庁で行われていますアレルギー疾患対策に係る取組について示しました。参考資料5のほうに、それぞれの内容について、少し細かく詳しく、関係省庁から頂戴した資料を付けましたので参考にしていただければと思います。私のほうからは以上です。
○東田会長 ありがとうございました。続いて、資料3の説明を西間参考人よりお願いします。
○西間参考人 それでは、資料3に基づいて説明を簡単にいたします。日本医療研究開発機構というのは、略語でAMEDと言うのですが、その中に、免疫アレルギー領域の研究のグループがあります。下段にありますが、アレルギー疾患対策基本法等の政策と連携した研究開発の推進ということで、領域は大きくアレルギー疾患と免疫疾患に分けられます。免疫疾患というのは、関節リウマチとか自己免疫疾患でして、今日はそれの説明は割愛させていただきます。
2ページ、最近の免疫アレルギー領域の研究状況です。基本法ができた時、基本指針ができた時、平成33年に見直し、という時系列で言いますと、AMEDは基本法ができる前後の頃からこの組織が作られました。この法律ができたのでAMEDができたわけではないのですが、ちょうど軌を一にして、研究については、正に重なり合うところで動いています。下に事業の進捗管理体制があります。プログラムスーパーバイザーと5人のプログラムオフィサーで形成されておりまして、フェアな、そして厳格な研究審査をしていくことをモットーにしております。
4ページです。実際、どういうことをやっているかということですが、右側に薬事承認、そして左側に診療の質向上と並べておりますが、そこでどの程度のことがやられているかというと、アレルギー疾患領域は、診療の質に近い研究が6課題で、病態解明が7課題、それから医薬品の研究では3課題ということになっております。代表的な成果では、委員の方々も耳にしたことがあると思いますが、アレルギーマーチ関連です。アレルギーというのは、行進曲のように生まれたときから又は生まれる前から動き始めて亡くなるまで、ずっと病気がいろいろな形で出たり入ったりすることを称してアレルギーマーチと言うのですが、それを最初の出始めのところでブロックできないかということで、成育医療研究センターを中心に研究が進められて、画期的なデータが出たわけです。乳児期からのアトピー性皮膚炎を治療すると、今、一番困っている食物アレルギーの中の卵アレルギーの予防ができるというデータが出たわけで、今、更に広げて、長期に研究が進められております。
それから病態解明では、アトピー性皮膚炎は皮膚バリアの破壊というか障害が大きなものであることが分かってきましたが、更にその構造の解明が進んでおりまして、薬事承認に行った薬ももう出始めているということです。
5ページ下にアレルギー性の気道炎症とありますが、アレルギーは組織線維化というのが非常に難治化と関係がありまして、それに対しての取っ掛かりが今、できたところです。
6ページです。もちろん、厚生労働省だけがこのアレルギーの研究をしているわけではありませんで、例えば、ほかの所ではどういうことをやられているかということで具体例を出してみました。これは第10期の環境保健調査研究でして、環境省の下の機構でのぜん息の研究です。ぜん息については、平成26年から平成30年で臨床的な研究がずっと進められておりますから、それとの交流も当然のことながらあるわけです。8ページの免疫アレルギー疾患の研究10か年戦略は、先ほどある程度説明されましたから、9ページの「AMED研究課題と10か年戦略」についてですが、これがどこに当たるかを、研究戦略の1、2、3がここだと枠で囲っておりますが、これではちょっと分かりませんので、10ページを開いてください。
10ページ、この法律の中に出ている病気がどのようになっているかということです。例えば、食物アレルギーは戦略1、2、3のどれに当たって、診療の質に関する研究か、それとも基礎的な研究かというところで、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜん息などについて色分けをしております。これで分かりますように、AMEDの研究課題というのは、正にこの法律の中にしっかりと組み込まれている中身でもあります。したがいまして、AMEDの研究課題と10か年研究戦略というのが、車の両輪となるということで、AMEDの中では位置付けられて進められているわけです。
12ページの図です。今後は、研究戦略1、2、3をベースに、医療の均てん化、発症予防、重症化予防及び症状の軽減、生活の質の維持向上というもので、最終的には免疫アレルギー疾患に対して安心して生活できる社会の構築というものを、この法律の中で作り上げていくべきであるということで、この協議会は非常に重要な位置にあると思われます。左の下に、今日は余り説明がありませんでしたが、アレルギー疾患の医療提供体制は重要です。これから拠点病院が47都道府県でできてくると、それが大きな実戦部隊というか、中核の組織になっていくのではないかと考えております。簡単ですが、説明を終わります。
○東田会長 ありがとうございました。今の資料2、資料3の御報告を踏まえまして、このアレルギー疾患対策の取組について議論をしたいと思います。それでは、委員の皆様方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。御発言をお願いします。それでは、この医療提供体制についてというところからでしたら、まずそのモデル事業の藤澤委員の所、三重県はいかがですか。状況をちょっと報告していただけますか。
○藤澤委員 三重県では、三重大学附属病院と共同でやっております。1つの所では全て完結しないということで、この2つの病院でやっています。それと、重点に置きましたのは、県内のアレルギー診療ネットワークというものを作りまして、三重県医師会と共同でアレルギー診療をされる先生方を登録しまして、県民の皆さんにそれら医療機関へのアクセス経路だけでなく、この先生はどういうことができるのかを分かりやすく発信するという試みをしました。一方で、先生方の診療の質が重要ですので、医師への研修ということで、ウェブのプログラムを、1本15分ぐらいですが、当面8本作りまして、長いプログラムは見ていただけませんので、結膜アレルギーについて重要なポイント15分、診療ではこのレベルまでは見て、より重症な例は拠点病院に送りましょうという形のプログラムを作りました。今後は、そのプログラムをちゃんと視聴された方がネットワークの登録を継続できるようにしていきます。
それから、オンライン病診連携の試みも始めました。三重県は縦に非常に長い県で、ほとんどの医療機関が北部のほうに集まっていますので、南部の医療過疎地というのは、なかなか患者さんはアクセスが難しいという問題があります。それで、そういう所をつなぐためにオンライン診療のシステムを使います。通常は医療機関と患者さんという関係なのですが、医療機関同士をこのシステムで繋ぎ、その中に患者さんも入っていただいて、患者さんの顔を見ながら、そこの診療所の先生と私たちがディスカッションをやっております。さらに、三重県アレルギー相談センターという電話相談も始めました。週2回PAEの方が電話を受け付けて、県民からの相談を受け付け、それを専門医につなぎまして適切な回答をすることをやっております。以上です。
○東田会長 ありがとうございます。まだ1年足らずだと思いますが、手応えというか、それはどうなのですか。
○藤澤委員 ネットワークについては、医師会の先生方には非常に反響がありまして、今度このようなことをやりますからと医師会にお願いをしまして、賛同される先生と言ったら続々と手を挙げられる先生がありました。ただし、どの先生がどのレベルの診療をされるかというのはちょっと分かりにくいところもありますので、ガイドラインのリストを出しまして、私はこのガイドラインに沿った診療をしますと、そのような宣言をしていただいて、基本的にはガイドラインに基づいた医療をしていただく形でやっております。
○東田会長 ありがとうございます。今の藤澤委員の話についてはいかがですか。どなたか御質問、コメントございますか。よろしいですか。そうしたら、もう1つのモデル事業の千葉大学の岡本委員、お願いします。
○岡本委員 千葉大学では、千葉大学病院が千葉県の拠点病院になっておりましたが、千葉県のアレルギー対策連絡協議会と非常に親密な連携を取りながら、従来ありました千葉大学病院の中のアレルギーセンターの中に専属のPAEの人を特任で雇用して、できるだけ各科縦断的でなく横断的な結び付きができるようにコントローし、連絡が取りあえるような形で活動を開始しています。患者さんからは、電話相談あるいはメールによる相談の受付を開始しています。また、既に市民公開講座や県内の医師向けの研修を、内科、小児科、耳鼻科、皮膚科、眼科と関連する全科の専門医が参加して、講演会を行い、診療の質の向上を目指しています。さらに、千葉県とタイアップして、禁煙の問題も含めた対策や、患者さんが患者さん向けの講習会に参加しやすくできるか、あるいは、医師に医師向け講習会への参加をどう向上させていくかについて検討して、来年度の実際の活動計画を作り、これから本格的に活動が進んでいくという段階です。
○東田会長 ありがとうございます。いかがでしょうか、どなたか。岡本先生、他の病院との連携はどうなっていますか。
○岡本委員 もちろん、連絡協議会の中にも県内のいくつかの病院が参加しています。さらに、かかりつけ医と拠点病院の間に、いわゆる地域で核になるいくつかの病院をどう選定ピックアップしていくかを進めているところです。ある程度、これまでの診療実績調査を基にピックアップしていこうという方向になっています。
○東田会長 ありがとうございます。このお二人の話に対して、どなたか御意見ございますか。
○加藤委員 お二人の委員にお伺いしたいのです。アレルギー診療の均てん化ということで言うと、かかりつけ医の先生方に、いかにアレルギー疾患を診ていただくかということがとても重要だと思うのですが、地域の医師会等の連携した研修会での手応えは、いかがでしたでしょうか。
○藤澤委員 当初は、研修会を三重県の各地域へ私たちが出向いてやるつもりだったのですが、来られる先生というのはやはり限られた方になってしまって、来られる先生は大丈夫で、来られない先生のほうがやはり問題になることが多いのです。それで、ウェブで15分で見ることができる、内科、小児科、耳鼻科、皮膚科、がん科に対して2つずつ10個作りまして、それは必ず見てくださいと。最初はそれは言いませんで、今後、義務化をしまして、毎年新しいプログラムをこれから作っていきたいと思います。私たちの県の専門科の先生方に講演をお願いしたら、非常に良いプログラムになりました。15分で重要点をよくまとめてくださっています。今後の医療レベルの均てん化はそのような形で図っていけたらと考えております。
○岡本委員 先生がおっしゃるように、千葉でも医師会とタイアップして講演会を、最近行ったのですが、参加者数は多くはありませんでした。ただ、医師会の担当理事の先生に一緒に参加していただいて、こういう講習会の情報をどう広げていくかということを議論し、参加しやすいようブロックに分けての実施、開催の周知を図るといったことを各ブロックで更に進めていくことになっています。
○東田会長 ありがとうございます。
○松本吉郎委員 岡本先生にお聞きしたいのは、食物経口負荷試験の県内連携ということです。この辺は、まず千葉県の中で、経口負荷試験ができる病院がどの程度あるかということと、施設があるかということと、これについて一般医がどれだけ連携していくかというのを、もう少し詳しくお聞きしたいと思うのです。
○岡本委員 既に調査は行っています。アンケート調査で、主にアレルギー専門医、あるいは、いわゆるアレルギーの専門医でなくてもアレルギーをかなり診療されている医師を中心に、どのようなアレルギー検査ができるのか、どのくらいの検査数をやっておられるのかということを調査をしています。食物負荷試験の実施は数施設の病院ですが、ただ、それをどう公表していくかについてはもう少し議論が必要だと思っています。あくまでも、限られた対象の医師たちだけ、あるいは医療機関だけを公表していくことにも課題があると思うのです。ただ実態は、アンケート調査ですがある程度は把握できているのではないかと思っています。診療所の医師でも、確かに重症の患者さんを診ている、あるいは、食物負荷を行っている医師はいらっしゃいます。アレルギー学会のアレルギー専門医の資格を有する県内の診療所の調査では回答のあった42施設で8診療所で少なくとも1例以上の重症の食物アレルギーの患者さんの診療を行っているという結果でした。できればそういう内容を地域の人にどう周知していくかは、これからの検討課題だと思っております。
○松本吉郎委員 ありがとうございます。
○東田会長 ほかにいかがですか。
○迫委員 日本栄養士会の迫です。岡本先生にお伺いしたいのです。研修会の実施の所に専門的な栄養士の育成ということで、「NPOとの連携」ということが記載されているわけです。日本栄養士会では、給食管理分野等の栄養士の育成をもう既にスタートさせておりますので、この専門的な栄養士の育成について、どのように進められているのか、また、課題がどのようなところにあるのかを教えていただければと存じます。
○岡本委員 協議会には、もちろん、千葉県の栄養士会の代表の方にいつも参加していただいて教育についてのご意見を伺っています。また、大学病院でも、臨床栄養部が小児科と食物アレルギーについて勉強会を開催したり、あるいは患者さんへの説明パンフレットを作ったりと対策の準備はしていると伺っています。
○東田会長 よろしいでしょうか。ほかに何か。
○松本吉郎委員 藤澤先生にお聞きしたいのです。災害時の情報というのに非常に興味を持っていますが、どのような情報で、どのような支援をされているのか、詳しく教えていただければと思います。
○藤澤委員 「アレルギーポータルみえ」というウェブサイトを作りまして、そこの中には、災害の情報を提供するページがあって、各自治体が出している現状については、ハザードマップが全部見られるようにして、今度は、各自治体に調査をしまして、備蓄の状況、アレルギーの対応食品に関する備蓄の状況をそこに載せていこうとしています。今現在、調査中ですのでまだ載っていませんが、有事にはそこを見に行けばいいということです。それから、FacebookとTwitterもホームページとつないでいます。ホームページまで見に行く方は少ないので、主なニュースはFacebook、Twitterで発信して、特にここで重点にしたいのは、災害が起こったときにそれを総動員したいと考えて、そこの準備をしているところです。
○東田会長 よろしいですか。ほかは。
○佐藤委員 日本歯科医師会の佐藤です。すばらしいモデル事業を御発表いただきましてありがとうございました。藤澤先生にお聞きしたいのです。先ほど、医師会と連携して研修会開催とかなさっているということでした。ガイドラインのリストを何個か作っていただいて、その中で地域の先生方が、自分はこのガイドラインを選ぶということで進めていらっしゃるとお聞きしましたが、例えば、具体的にガイドラインがどれくらいあるかと、恐らく非常に、私の勝手なイメージですが、たくさん多岐にわたる症状がありますとガイドラインを作ること自体が大変なのではないかと思いまして、どのような形になっているか教えていただければと思います。
○藤澤委員 ガイドラインは、日本アレルギー学会とか日本小児アレルギー学会、耳鼻科学会、皮膚科学会とかがもう既に出されています。そのエスタブリッシュされたガイドラインのリストを出しまして、ネットワークに登録をされたい先生方というふうに募集をして、その募集の応募用紙の中にガイドラインのリストがありますので、そこに丸を打っていただきます。私はこのガイドラインに準拠してやりますと。宣言されたからには読んでくださいよという意味もありまして、それで持っていないとかということですと困りますので、そこに丸を打ったからには、少なくとも手元に置いていただいて、必要なときには参照いただけるようにしたいのです。ガイドラインは、ですから既にもう確立したものを、最新のガイドラインを載せております。
○佐藤委員 ありがとうございました。
○東田会長 ほかは何かありますか。
○服部委員 先生方への質問です。この「地域の医師等に対するアレルギー疾患研修会の実施」という内容が挙げられています。しかし私たちが実際に初めて母になったとき、出産したときというのは、医療につながる前に誰と一番話したかなと思うと、保健所の保健師さんであったりとか、助産師さんがすごく頼りになる存在だったのです。そういった職種の方々への研修なども、実際には行われているのでしょうか。
○岡本委員 それも準備中です。特にPAEの方に協力をお願いして、間もなく始まるところだと思います。
○藤澤委員 三重県では、まだそこは具体的に着手していませんが、ちょうど厚労省の特別研究事業で「小児のアレルギー疾患保健指導の手引」というものが、この3月に、もう今は印刷されて、各都道府県に配布されていると思いますが、これはQ&A方式になっていまして、保健師さんが保健指導をするときに、よくお母さんから聞かれるような質問がずっと並んでいて、こういうときにはどう答えますかというようなものです。だから、保健師さんも全てのアレルギー疾患について精通しているわけではないので、そうやって質問を受けたときに、適切な答えが返せるようなパンフレットが出来ましたので、それが全国に配られると思いますから、これから良くなるのではないかと思っています。
○服部委員 ありがとうございます。
○東田会長 ほかはいかがですか。ちょうど今日は、国の拠点病院の先生方がお二人もいらっしゃっていますから、今の相模原と成育センターの状況を国の拠点病院として、先生のどちらか。
○海老澤委員 相模原病院の海老澤です。今、B研修のほうを成育医療センターと一緒に募集を開始することを何とか今年度中に始められたところで、既に少し申込み希望の方もありまして、実際には多分来年度からということになると思います。あと、もともと我々が取り組んでいる食物経口負荷試験の全国の実施状況の把握とか、情報発信とか、そういったことは引き続き継続していきたいと思っています。それから、うちの病院はリウマチがあるものですから、今まで日本アレルギー学会のほうでやっていただいていたような相談事業を、どのような形で今後、相模原病院あるいは中心拠点病院で進めていくかということに関して、現在検討しているところです。
あと、成人と小児を併せて研修ができるような体制作りというのも、トータルアラジストを目指して、是非構築していきたいなと考えています。
○東田会長 ありがとうございます。
○松本健治委員 成育のほうですが、既に昨年の8月から毎月1回、勉強会というのを始めています。成育免疫アレルギー寺子屋勉強会と申しまして、これは初学者というか先生に、特にアレルギー疾患の基礎的な病態をしっかり理解していただきたいということです。もちろん、治療に関してはガイドラインが中心になりますが、ガイドラインをより深く理解するためには、基礎的なメカニズムの理解が必要だということで、毎月行っています。成育外部からの参加者が、多いときで30名ぐらい、少ないときも10名近くが参加してくださっていまして、参加者は医師だけではなくて栄養士さん、あるいは開業の先生、薬剤師さんなどにも参加いただいております。こういう事業を、これからもずっと続けていきたいと考えています。
○東田会長 ありがとうございます。中央の拠点病院の今のお話に、どなたか御質問、コメントはありますか。よろしいですか。そしたら、もう1つの情報センターの事業ということで、ポータルサイトを御覧になって何か御意見があると思うのですが、いかがですか。患者さんの立場からというか、家族の立場から。
○田野委員 ポータルサイトは、すごく有り難く、たくさんの情報を入手することができるサイトです。ポータルサイトの存在を知っている人にとってはすごく有り難いですが、まだまだ認知がされていません。サークルとして、広めていく手段がホームページ・ブログ・SNSなどになってきます。もっとたくさんのアレルギー疾患患者に情報提供をできればと思っておりますが、何か具体的に広める方法などを教えていただけたらと思います。今後どのように広めていくことが、私たち患者会の手段としていいのかなど、携帯やパソコンなどを持っている方でないと広まりません。
口頭でも保健センターや学校等の行政に伝えに行くことはできても、行動範囲が限られ地域情報の格差もでてきます。是非、今後どのような広め方を考えておられるのか、教えていただけると有り難いです。
○東田会長 それは貝沼さんからお願いします。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 事務局です。このアレルギーポータルの情報提供につきましては、サイトオープン時に都道府県の各担当部局のほうにも情報提供していまして、先ほどの医療提供体制の中でも示していました都道府県の協議会といった中で様々な委員が集まってこられると思います。そうした所から横展開をして、広めていっていただきたいなというのが、一番感じているところです。
今後の広め方につきましては、様々な意見を頂戴しながら検討していく必要があるのかなと感じておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○東田会長 よろしいですか。昨日、大阪で拠点病院の会があったのですが、ちょうどこのポータルサイトの話が出て、こういうポータルサイトのポスターか何かはないですかということでした。いろいろな所に貼っておいたら、こういうのがあるのかというのが分かりやすいという御意見を頂いたのです。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 先日、私が学会などでこういった御紹介をさせていただいたときでしたが、QRコードみたいなものを使って、そうすると今は簡単に講演会場で読み取れたりできますので、そういったことも1つの方法かもしれません。
また、先ほど田野さんが言われましたように、そういったデバイスを持たれていない方に対しても、適切な情報提供が必要になってくると思いますので、その点についても検討していきたいと思います。
○東田会長 お願いします。何かほかに、このポータルサイトについて御意見はありますか。
○浅野明美委員 養護教諭なのですが、学校現場でこういった情報があると本当に助かるなということで、本当にお恥ずかしいのですが、今回この機会でサイトがあるということが分かりました。実際に見させていただいて、本当に困っている方がこういった情報を得られたり、私たち養護教諭や教育現場の者が情報を得るというのは、保護者に情報提供したり、子供たちにそういう話ができるということで、本当に助かるなと思いました。
先ほど来、相談ということがありましたが、相談の前にこういったものが見られれば、相談も大分限られたもの、重篤なものになるかと思いますので、こういったものがもっと広く活用されればいいなと思いました。
やはり情報がなかなか伝わらないというところがありますので、先ほどお話されましたポスターとか、何かリーフレットのようなものとか、とにかくこういったものがありますよということが広く伝わるような方法を、そちらに予算を掛けていただけるといいのかなと思いましたので、よろしくお願いしたいと思います。
○東田会長 ということで、まだまだ余り広がりがないように思います。アンケートを取ってもそのように感じます。だから、委員の方々も含めて、アレルギーに携わる人にもう少し広めてもらったらと。動き出したら本当に動くと思うのですけどね。まだ御存じない方がかなりいらっしゃるので、確かにそうですよね、何か目に付くものがあればと思います。よろしくお願いします。ほかに何かありますか。
○海老澤委員 「アレルギーポータル」と検索エンジンに入れると一番上に出てくるのですが、「アレルギー情報」や「アレルギー」と入れると、まだなかなか出てこないですよね。だから、どうすると検索エンジンで上に行くのかというところが、多分いろいろなやり方があると思うのですが、何かそういうので「アレルギー」と入れたら真っ先にそこが出てきてくれたりとか、「アレルギー情報」と入れてすぐそこが出てくるようなことが、何かできるといいかなと思いました。
○東田会長 いかに簡単にすぐ開けるかというところの構築をしたらいいのでしょうけどね。ほかに何か御意見はありますか。
○田野委員 ポータルサイトは、大人だけではなく子供たちも携帯を使いこなし情報を調べると思います。保護者の立場からは、子供たちが見て分かりやすく、子供向けの教育教材やDVDなども作成していただきたい。また、厚生労働省としても発表しポータルサイトにも一緒に入れていただけるとすごく有り難いのです。以前、テレビ局の食物アレルギーの教育向けの番組のお手伝いをさせてもらいましたが、子供たちに分かりやすく作成をすることで先生方や子供たちの理解が深まり、理解が広がりました。是非、子供たちに分かりやすく作成していただけるとすごく助かります。
○東田会長 ありがとうございます、確かにそうですよね。大阪は今度、親子教室みたいなものをやろうかということを考えているのですよね。ほかに何か御意見はありますか。
○新田委員 今のお話と関連するのですが、ポータルサイトは重要だと思うのですが、やはり情報提供というと、今はいろいろなメディアがあると思いますので、そこを幅広く、例えば今、子供さんのお話が出ましたが、最近の子供さんはテレビよりもYouTubeみたいな動画サイトのほうをよく見ているというのもありますので、そういう状況を踏まえて、情報提供の手段も幅広く検討していく必要があるのかなと思います。
○東田会長 ありがとうございます。そのとおりですよね。ほかはいかがですか。そしたら、相談体制という点について、御意見はありますか。
○加藤委員 先ほど藤澤委員と岡本委員からは、PAEにメール相談等をしていただいているということですが、そのPAEの数はそんなに多くないので、今後、各都道府県の拠点病院、1つの病院にPAEが少なくとも1人ずついるという状況には、恐らくならないと思うのです。では、そのときに誰が相談事業をするのか。確かアレルギー・リウマチ相談事業でしたか、そういうところとリンクすることもあり得るのでしょうか。あるいは相談事業は各都道府県の拠点病院がすべきことという理解でしょうか。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 御質問いただいたのはリウマチ・アレルギー相談員養成研修会のことかと思いまして、こちらもアレルギー情報センター事業の中で、日本アレルギー学会さんのほうで取り組んでいただいている事業ですが、そもそもの対象者が基本的には自治体の関係者ということもあります。ですので、そうした中で自治体に関係するような、先ほどの保健師さんに自治体の中で御質問があれば、相談に乗っていただけるのかと思うのですが、先ほどの話の、病院の中での相談という観点につきましては、少し本事業とは位置付けが違うのかなと考えているところです。
また、そもそも論なのですが、やはり医療というものは、医師に受診するものということが重要な点ですので、そうしたところの足掛かりになっていただければと思います。
○東田会長 よろしいですか。PAEというのは、まだ400人ぐらいでしたね。かなり少ない、試験がかなり難しいと伺っています。PAEは小児アレルギーエデュケーターということで、アレルギーインストラクターみたいな形でもっと増やそうという、日本アレルギー学会、小児臨床アレルギー学会と今後それを進めていこうというところまで来ているのです。
○藤澤委員 今、PAEというのは小児に限っていることと、それから非常に高度な技能・知識を持たれている方でありまして、なかなかそこまでのレベルに到達するのは難しいということで、数が増えないということですが、もう少し取りやすい資格というのをこれから作っていこうということで、日本アレルギー学会が中心になって、今、認定機構を設立する動きをされていると思いますので、ここ2、3年のうちには第1回の認定者が出ることを期待しているわけです。
○東田会長 やはりそういう資格を取るというのは、病院側としては保険点数が付かないと、どうしてもそういうことを病院が補助できない、しないという状況がありますよね。しかし実績を作らないと、保険点数は恐らく付かないでしょうし、とにかく動かすしかないですが、今のエデュケーターは本当に合格率が低いのです。専門医より難しいという話を聞いています。
○藤澤委員 60%ぐらいです。
○田野委員 エデュケーターさんにはすごくお世話になり、患者は助けていただいています。専門のエデュケーターさんに出会う事ができない患者も多くいます。更にアレルギー疾患の医療提供の格差をなくすためにも、医療関係者の学校教育カリキュラムの中に、アレルギー疾患治療に必要な疾患教育というのは、今後入っていくのでしょうか。専門医、エデュケーターさんだけでなく、医療関係者の基本の疾患教育をしていただけるとアレルギー疾患医療提供の地域格差などがなくなり患者は更に救われます。
○迫委員 日本栄養士会では地域の中で活動している管理栄養士・栄養士の人材育成を進めています。特に患者さんが最初に困るのが、保育所での給食であるとか、小学校の給食なのです。その給食運営の中で、今まで除去やお弁当持参と、そういう形で対応していたものが、いろいろな所できちんと対応されるようになってきています。しかし、そこに事故が起こったり、様々な問題が起こってくるのです。
そこで私ども日本栄養士会は、食物アレルギー栄養士、これは特に給食管理分野にまず限定した形で育成を始めました。第1回目の研修会を既に開催して、認定試験も行ったところです。150人が東京で受講し、試験を受けて、合格はまだ発表しておりませんので、数は申し上げられませんが、ほとんどの方が受験されていらっしゃいます。研修会は保育所、学校、行政の栄養士が多いですが、他職種の方も参加は自由という形で行いました。資格の付与については栄養士会の資格ですので、栄養士に限定なのですが、受講はほかの方々でも大丈夫です。特に調理師であるとか、保育士や教員であるとか、そういう方にも一緒に受講していただきたいのです。だから、保育所ごと、学校ごとのセットで来てほしいというお声掛けをしているところです。
今年度は東京で行いまして、8月には名古屋で行う予定です。全国各地で要望があります。食物アレルギーに関わる給食管理分野の栄養士の養成の第1段階をそういう形で進めております。第2段階は栄養指導分野を管理栄養士の業務として、これも研修を付加して認定をする予定で、これが来年度スタートします。
それから、拠点病院への人の配置ということでは、先ほどのPAEも含めて、専門管理栄養士という認定を今後考えていくということで、アレルギー学会さんとそれぞれ連携して、御協力いただきながら進めているところです。
○東田会長 ありがとうございます、難しいですね。余り試験が難しすぎても、しかしある程度のレベルは必要だし、今はとにかくそういう方を増やさないといけない段階で、この落としどころが難しいですね。
今のエデュケーターは難しい、かなり高度なものだと思います。そこまでいくと、やはり受ける人も少なくなるでしょうね。
○海老澤委員 栄養士さんの卒前教育において、私は少し大学とかに行って、学生さん向けに食物アレルギーの最近の常識を講義してくれと言われて、何箇所か行っているのですが、学生が使っている教科書などの情報が大分古くて、なかなかアップデートされていないというのも実態としてあるみたいです。
卒前教育で、実際に現場に出ていなくて、そういう人に食物アレルギーの正しい知識を教えてあげたいと思って行って、先生方もそれを期待して私を呼んでやっているのですが、やはり現場に出ないと、なかなか熱心に勉強しないという実態はあるのかなと思います。ただ、今から何年前ぐらいの常識が書いてあるのかなという教科書なども結構あるので、その辺はやはり卒前教育の段階から少し是正していく必要があるのかなとは思います。
○東田会長 ありがとうございます。ほかはいかがですか。
○岡本委員 先ほどのPAEの問題ですが、確かに専門知識も豊富で、かつモチベーションも非常に高い方が多いので、例えばいろいろなコーディネートをお願いするとか、患者さんとの電話対応もしていただくとか、学校や保育所との連絡などにも活躍していただいて非常に信頼できます。問題は例えば病院で雇用するとなると、非常にハードルが高くなることです。例えば千葉大病院にも何人かいらっしゃるのですが、勤務体制は必ずしもアレルギーに常に関わっているかというと、そんなことはなくて、今回はモデル事業になったこともあって、他施設で勤務されていたのですが参加を希望された方がいらっしゃいました。ただし看護師の資格で雇用するわけではないので、給料も下がってしまうし、今回は特殊なケースとも言えます。現状では実際はなかなか難しい状況ではないかなと思います。
看護師さんの中では、各種認定専門看護師資格とか、非常にモチベーションの高い方が多いですし、特にPAEの方は本当に素晴らしい人が多いと思いますが、現状ではいろいろな制約があり、ハードルが高いと思います。
○東田会長 インセンティブは付いていないのですね。
○岡本委員 付いていません。
○東田会長 夜勤がないということですか。
○岡本委員 はい。
○東田会長 問題はここなんですよね。
○岡本委員 特任の教員という形で来ていただいています。
○東田会長 これからいろいろセンター化になって、各種病院がそうでしょう。そこに専門ナースを付けないといけないけれども、コストが掛かる。だから結局、保険点数が上乗せにならないと、病院側としては置きにくいという、そういうことになってしまうのですね。ほかはいかがでしょうか。何かありますか。
○藤澤委員 PAEのことをもう一度。やはり岡本先生もおっしゃったように、病院ではなかなか配置しにくいという問題があります。せっかく資格をとられても成人や全然違う歯科や外科の病棟へ配属せざるをえないということも起こります。病院の管理者側としてはやむを得ず、順番に回ってもらうしかないという事情になります。しかし、プライマリーケアの先生方の所であれば、ずっとできるわけですので、プライマリーケアの先生方の所で活躍していただく。そうすると、その先生方はポイントだけ患者さんに説明すれば、あとはPAEの方が指導されるので、非常に診療がうまくいくのではないかと思うのですが、そういう仕組み作りも考えてもいいのではないかなと思いました。
○東田会長 ありがとうございます。ほかはよろしいですか。そしたら、先ほど西間参考人から研究について出ました。これについて、どなたかありますか。
○松本健治委員 これはお願いという形ですが、基礎研究をやっている人間としましては、どうしても中心拠点病院の先生方には臨床検体を集めていただきたいという希望があります。特に基礎研究をやるために重要な検体というのは、豊富な臨床情報が付いていると、例えばアレルギー疾患は全て症候群ですので、いろいろな病系、フェノタイプがあると思うのです。ですから、きちんとしたフェノタイプ情報があるような検体であり、かつ、できる限り長期に追跡したような、そういうサンプルがありますと、疾患の対策法案で定められたような臨床研究を推進するために、非常に有益だろうという気持ちがあります。
ですので、倫理の上でそういう研究に提出することを、初めから患者さんに許可を取ったような余剰検体、このために採取する必要はありませんので、そういう余剰検体を集めるようなシステムというのを、是非とも構築していただければ、研究が推進できるのではないかなと思います。
○東田会長 結構難しいですね。
○西間参考人 それは、日本では不可能だと思います。例えばつい最近の論文でも、イギリス、ヨーロッパでは、それこそ過去10年前のところからずっと追い掛けて、定期的に調査もして、かつ、採血もできる人はして、それのきちんとした研究プロトコールを出せばそれに載れるというシステムができていますが、日本はそれが将来的にもかなり難しいということです。だから、もしもこの中でやるとすれば、拠点病院が完全に決まった段階で、拠点病院についてはそれだけのデューティを科して、施設間、地域間較差は当然あってバイアスはかかるのだけれど、拠点病院についてはそういう患者群、フィールドを作るということを条件にすべきだと思います。
○松本健治委員 ありがとうございます。私も先生の御意見に賛同であります。
○西間参考人 そうすれば、それをベースの研究計画を出したら採択できるのではないかと思います。
○松本健治委員 特に検体に関しては、どの研究に使ってもいいようなという倫理を通して、研究の検体を集めるというのは、現在かなり難しい、ハードルが高いです。バイオバンクなどですと、それは可能なのですが、普通の臨床検体というのはかなり難しいとことです。ですので、それはバイオバンクなどとも協働しながら行っていく。今は無理と言われましたが、是非ともこの無理を実現していただくということが、特に日本人の検体は遺伝的な背景というのが、非常に外国と違いまして単一というか、非常に近いというものがありますので、そういう意味でも日本人の検体というものの優位性というのがありますから、そういう面で進めていただきたいと思います。
○東田会長 ありがとうございます。
○南委員 すみません。私も初めて参加させていただいたので、余りに範囲も広くて、どういう意見を言ったらいいか考えていました。昨今、疾患ごとに基本法というのが次々とできるのですが、結局、がん対策基本法などを見ても、大きな予算が付いて、その予算が浮揚力になって、患者の立場でやってほしいことなどがどんどんできるようになるという傾向があります。基本法ができたことで患者さんに恩恵があるというのは大変良いことだとは思うのですが、原資も限られている中で、基本法という法律ができて、是非やってほしいことの1つは、やはり研究ではないかという気がするのです。というのは、アレルギー疾患といいますが、このアレルギー免疫領域というのは、ここにくくられた疾患に限らない、もうほとんどの生体のメカニズムに関与していると言われるような大きなテーマなのです。くくられた疾患に限られたことしかできませんといった縛りがあると、研究は進みにくいのではないかというような危惧もあります。せっかく基本法ができたので、研究がきちんと進むように、何かそういうことを優先的に考えていただきたいなと思いました。的外れかもしれませんが、お先に失礼するので一言言わせていただきました。
○東田会長 ありがとうございます。先生、この予算、研究にはかなりの部分が付いているはずですよね。この予算全体から見ると、研究に対しては。
○西間参考人 参考人がしゃべってもいいですか。
○東田会長 はい、どうぞ。
○西間参考人 この法律を作るときに、確かに疾病を幾つか決めなければならないということで実際の具体的病名を出したのですが、そこをよく読んでもらうと、「等」ということと、抗原があって、それに対していろいろな反応するということで、記載されていない疾病名は法令に今後定めていけば、それは可能であるという読み取りができます。今まで研究でこの法律の中に入っていないからこれは駄目だと、最初から門前払いにするという事例は、多分起きていないと思うのです。かなりフレキシブルにそれは取っているはずです。ただ、確かにあの中にはっきりと病名が載ってもらったほうがいいですけど、あと何行か書かないといけないですね。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 すみません、事務局からです。少し研究戦略に関する紹介が不十分だったのですが、基本法では確かに6疾患を規定しておりますが、今回策定しました研究10か年戦略の中においては、この研究での対象とする疾患は6疾患には限らず、様々なアレルギー疾患に取り組んでいこうということで記載しております。
そして、この研究戦略の紹介が少し不十分だったのですが、例えば研究戦略2の(3)のような臨床研究の基盤を構築しましょうとか、そういった点は、先ほど松本委員や西間参考人からお話がありましたが、これから設置されていく拠点病院のネットワークを使って、どのような研究をしていくことが大事なのかといったことも記載していますし、更には松本委員がおっしゃった臨床検体を集めていくことで情報をきちんと網羅していくということも、戦略1の中の本態解明の中で研究をしているところです。
正に1月23日に出たところですので、これから研究を組み立てていって、戦略内に示した10年後のビジョンを実現させていくのかというところです。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
○東田会長 ありがとうございました。はい、どうぞ。
○服部委員 患者側の立場から、今お話を伺っていて思ったのですが、研究というのは、医療や治療という分野だけに限定されるものなのでしょうか。私たち患者、子供たちは、普通に学校や園生活を送っています。そうすると、やはり子供たちにとっては、社会、ほかの子供たちとの関わり合いというのがとても大きな課題になってくるのです。特に、この時期は進学や新入学で環境が変わるので、どうやって学校に説明しようかというのは、かなりのストレスとして多くの保護者が抱えています。なので、もし予算的に可能であれば、社会啓発、学校への働き掛けといった領域においても、今後の研究の検討材料に入れていただければ有り難いなと思います。
○東田会長 これには全て含まれているのです。
○貝沼がん・疾病対策課長補佐 服部委員ありがとうございます。そちらについては資料2の17ページを見ていただければと思うのですが、こちらの「ビジョンの実現に必要とされる3つの目標と戦略」の戦略2が特にそうかと思うのですが、アレルギー研究の効果的な推進と社会の構築に関する横断研究という中で、目標2ですが、国民一人一人の貢献を重要視し、国内外の産学官民のあらゆる力を結集して、国際的な研究開発を進められる仕組み作りを行い、かつ患者を含む国民が参画する研究成果の社会への効果的な還元を目指すという中で、特に(2)の文章の中、ちょっと長くなるので割愛しますが読んでいただきますと、患者様が今どのような点で困っているのか、そういったところをきちんと拾い上げて、そういったものに対して対策していきましょうということを記載させていただきました。
○東田会長 研究というと、何か基礎研究というイメージがあると思うのですが、全てが含まれていますので。はい、どうぞ。
○田野委員 ずっと関わられていた西間先生にお伺いしたいのですが、研究の中で患者の生活の向上の施策は、優先順位的にどういうことが必要であるかをお伺いしたいのですが。
○西間参考人 残念ながら、私が担当している研究は3つぐらいの分野があるのですが、その中で田野さんが言われるようなテーマは環境再生保全機構の研究ではあるのですが、あちらはぜん息だけなのです。だから、アレルギー全部で、今、言われたようなことで研究プロジェクトを作って、もちろんその中には当然患者さんも入るし行政も入るしという、そういうプロジェクトが進んでいるのは、私の知る限りではまだないのです。だから、それは当然この中で議論していただければ、そういう形で研究の募集とかということも出てくるのではないかと思います。また、拠点病院にそれを振り分けるとか、中央拠点がそれはやるのでしょうけれども、そういうことは当然できる組織にこれはなっていると思います。
○東田会長 よろしいですか。はい、どうぞ。
○浅野浩一郎委員 今回、私も免疫アレルギー疾患研究10か年戦略を立てる際に協力者として参加させていただきました。そこでお願いしたのが、どうしてもアレルギーというと小児アレルギー疾患が強調されますが、成人、特に高齢者のアレルギーも看過できないという点です。そこで10か年戦略の戦略3に、ライフステージ等の特性に注目した重点研究という形で、小児から高齢者までカバーできるような形で入れていただきました。ただ、実際のアレルギー対策推進事業になると、やはり小児に重点が置かれており、私が委員として加わっております神奈川県の推進協議会でも、ほとんどが小児アレルギーを対象とした議論となっておりました。成人アレルギーの場合は小児アレルギーとはアプローチの仕方が少し違い、また患者数も多いので、そういったところにも目を向けていくということが必要だと考えています。
○東田会長 ありがとうございました。本当に正にそうですね。はい、どうぞ。
○佐藤委員 先ほどの貝沼課長補佐さんからの御説明にもありましたとおり、アレルギー疾患対策基本法の中に6つのアレルギー疾患がうたわれておりますが、それ以外のアレルギーに関しても研究していただくというお言葉をお聞きしまして、非常に歯科の立場として安堵しているわけです。例えば、歯科金属アレルギーですとか、樹脂、詰め物によく使われますレジンアレルギーですとか、いわゆる歯科でよく使われます材料から発するのではないかと思われるアレルギーが、近年非常に多くなってきていると聞いておりますので、その中で、この基本法の中でうたわれていなくても、是非、研究ですとかを進めていただければ非常に有り難く思っております。
また、歯科では、平成28年度の診療報酬改定において、金属に依存しない材質のものでのかぶせ物ということも導入されているようになっていますので、また、いろいろお願いしたいところです。
○東田会長 貴重な御意見をありがとうございます。よろしいでしょうか。活発な討論をありがとうございました。今日はこれで予定した議事は終わりたいと思いますが、まだ何かございましたら、よろしいですか。以上で、本日の協議会を終了したいと思います。長くなりましたが、委員の皆様ありがとうございました。