第3回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 議事録

日時

平成31年4月17日(金)10:00~11:57

 

場所

全国都市会館 第1会議室

議題

  1. 妊産婦に対する保健(プレゼンテーション)
  2. 妊産婦の医療や健康管理等に関する調査について
  3. その他
     

議事

 

○五十嵐座長 それでは、第3回「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」を開催したいと思います。
きょうは、朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。
初めに、構成員に交代がございましたので、御紹介したいと思います。
下関市保健部長の福本構成員が異動されまして、後任として九十九部長が構成員として着任されております。一言お願いいたします。
○九十九構成員 九十九でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 それから、本日は、下関市保健部の秋本次長、茨城県保健福祉部の木庭部長に参考人としてお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、構成員の出欠状況と資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○鹿沼課長 構成員の出欠状況でございますが、野口構成員から御欠席との連絡をいただいております。また、そのほかの構成員の皆様には御出席をいただいております。
資料についてでございますが、資料1から5につきましては、本日お話をいただきます構成員の先生方、参考人の先生方からそれぞれ御提出のあった資料でございます。
資料6、資料7はそれぞれ事務局からでございますが、資料6につきましては「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」が取りまとまりましたので、その結果概要でございます。また、参考資料3にその調査票をつけております。
資料7につきましては、前回お求めのありました「医療用医薬品の添付文書等の記載要領の見直しについて」という資料でございます。
なお、参考資料でございますが、参考資料1につきましては、検討会の進め方について示した資料、参考資料2につきましては、前回の検討会であった主な御意見をまとめさせていただいております。
事務局からの御案内は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
何か問題とかはありますか。よろしいですね。
では、早速、議事に入りたいと思います。
前回、第2回の検討会では、妊産婦の医療に関することを中心に御議論いただきました。きょうは、保健に関することを中心に御議論いただきたいと思います。
妊産婦に対する保健福祉などにかかわっている方や、それから、このたび厚労省が行いました妊産婦の方へのアンケートから見えてくるものなど、現状についてお話をいただきます。その後、意見交換をしたいと考えています。
話の進め方としては、初めに、妊産婦に対する支援に関して、戸矢崎構成員、秋本参考人、鈴木構成員から御説明いただいて、一旦意見交換をしたいと思います。その後、中西構成員、木庭参考人、青木参考人から説明をいただきまして、再度意見交換をしたいと思います。その後、まとめて全体の意見交換にしたいと思っております。きょうはそのような方針で行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、早速ですが、戸矢崎構成員からお話をいただきたいと思います。お一人7分ぐらいを目安にお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○戸矢崎構成員 それでは、資料1をごらんください。「横浜市の母子保健の取組について」御紹介したいと思います。
2枚目になりますが、こちらは厚労省の資料の抜粋でございます。妊娠期から出産、産後の支援として、今回は子育て世代包括支援センター、医療との連携、産後ケア事業に絞り、現状を御紹介したいと思います。
3枚目になります。
横浜市の現状でございますが、年間約2万9000人という出生数になります。35歳以上の出産が、3人に1人という現状です。30代の女性の就労率も年々ふえておりまして、7割弱という状況です。
次に、支援体制ですが、支援体制の特色は、母子保健、児童福祉、教育分野の一部を「こども家庭支援課」という課に集約しております。そのため、保健師、助産師、社会福祉職等の複数の専門職が一つの課に配置されています。
複雑な課題に多職種による対応が可能という点と、また、制度利用の状況など、家庭に関するさまざまな情報が集約しやすいという点が特色として挙げられると思います。
次をごらんください。まず、子育て世代包括支援センターの取り組みについて、御紹介いたします。
以前から看護職による母子保健手帳の交付、妊娠届け出と申しますが、届け出時に面談を行っていました。今回、「母子保健コーディネーター」という名称で看護職を増員いたしまして、初回の面談と相談体制の強化に取り組んでおります。
次のページをごらんください。
母子保健コーディネーターは、妊娠届け出から主に産後4か月までのかかわりを担います。その後は地区担当の保健師がかかわるという体制になっております。
母子保健手帳をお渡しする際に、1人当たり約20分から30分ほど、心配なことの相談から、出産前に家族と赤ちゃんを迎える準備で話し合うポイント、妊娠週数で利用可能な行政サービスについて相互で確認いたしまして、個別のカレンダーを作成しています。
次のページをごらんください。
横浜市内のある区の妊娠届け出時のアンケートの分析の一部をこれから御紹介したいと思います。
この区では、妊娠初期の妊娠11週以内で、全体の95%に当たる妊婦の方が母子健康手帳の手続に来所されていました。約5人に1人は入籍予定・未入籍の状態、または、妊娠が判明し、その後パートナーに当たる方と連絡が取れないなど、そういった状況でございました。
次のページをごらんください。
妊娠を確認した医療機関が出産病院とは限らないため、5人に1人が出産病院の予約はこれからという状態でした。この区では妊婦の10人に1人が外国につながる妊婦であり、外国につながる妊婦の4人に1人が母国への帰国、もしくは日本での出産病院はまだ決まっていないという状態でした。
実際、相談事を分析しましたが、相談内容としては、自身の体調の不安はもちろんですが、経済的な不安を抱える内容もあります。出産費用の工面状況などを詳しく伺い、助産制度などによる支援も妊娠届け出の当初から視野に入れて、社会福祉職につなげることもさせていただいております。
ちなみに、この区では年間助産制度は20件前後の利用者がいます。
次のページをごらんください。
実際、母子保健コーディネーターがかかわった事例を4事例ほど、具体的な支援の内容も含めて表示しました。
実際、虐待の恐れが考えられる妊婦、一般的には「特定妊婦」と申しますが、特定妊婦を除き、母子保健コーディネーター及び助産師が体調も伺いながら、積極的にこちらから連絡や必要時に訪問をするというアプローチをしております。
このA区の妊婦の特性を4分類に分けて、実際の取り組みを表にさせていただきました。今回は外国につながる妊婦についての取り組みということも触れたいと思います。
次頁で、参考に支援の例を挙げさせていただいております。
年々、外国につながる妊婦は増加傾向です。その支援は課題の一つであり、行政のみの対応には限界を感じています。そのため、ノウハウを持つ関係機関との協働を模索しております。
外国版の母子健康手帳の利用のほか、日本の子育ての流れをイメージしていただくために、子育てチャートというものを利用しています。
次のページに、子育てチャートのサンプルを表示しております。
こちらは、「かながわ国際交流財団」が作成されているもので、小学校入学までの子供の成長に沿った日本の子育てをイメージしていただく内容になっています。この表を見せながら、母子健康手帳はここだよとか、これからこんなことをやるよということを易しい日本語で説明しています。
このチャートのほかに、母子健康手帳の使い方、母子訪問について動画による紹介もあります。後ほど、ユーチューブなどをごらんになっていただくと、よろしいかと思います。
また、区の独自の取り組みといたしましては、乳幼児健康診査に通訳の方を配置しております。親子が来所しやすい、相談しやすい環境づくりというものを区で独自として取り組んでいます。
次、14枚目になります。
これは、子育て世代包括支援センターとしての相談の体系を強化し、妊娠届け出からの支援状況を数値化したものでございます。
面談後、妊娠期から出産後の支援で、養育上の負担が想定され、より支援が必要なことを判断する指標として、妊娠期アセスメントシートというものを活用させていただいております。可能性も含めて、リスクとして考えられる妊婦の支援を母子保健コーディネーター、助産師、保健師で協議いたします。
また、状況確認だけではなく、体調管理など、医療機関も含めて多機関調整や、経過を追う必要性のある妊婦を「ハイリスク妊婦」という形で分類いたしまして、抽出しております。今回はそのような状況の方が4人に1人該当するという状態でした。
なお、かかわり続けると、成育歴とか家族関係など詳細な養育環境がわかります。把握した状況を踏まえまして、児童虐待のリスクの有無を精査し、ハイリスク妊婦から特定妊婦に取り扱いを切りかえることもあります。
特定妊婦にいたしますと、実際、頻回のかかわりを行うということになります。なので、妊娠期から子育てまで切れ目のない支援として、母子の健康を守るかかわりと児童虐待を防ぐかかわりを同時にしているという状況でございます。
医療との連携の実際ということで御紹介したいと思います。
平成30年度の診療報酬改定をきっかけに取り組みを始めています。対象者は、妊婦健診など外来受診に、助産師が精神疾患の既往や通院をしている妊婦さんを院内の精神科につなげ、行政機関との情報共有のもと、支援することの了解を得られた妊婦さんということになっています。
なお、妊婦自身には1カ月3,000円の自己負担が生じるため、自己負担に見合う医療及び行政からの継続的なかかわりが、子育て支援として実感できるか否かというところがポイントと思います。
次をご覧ください。
この取り組みが始まった直後、医療と行政の双方が気になる妊婦として捉えていた方の支援の実際を紹介しております。
特に妊娠後期に精神科の主治医から、産後、子育て不安がより強くなる可能性と、母が2人の子供の養育に耐えられるか疑問であるというアドバイスをいただきました。
前もってヘルパー派遣の調整に着手できたこと。出産直後に院内との面談を行い、母の不安や養育力の確認をする必要性から、自宅ではなく助産所で産後母子ケアの利用をすすめ、複数の支援体制で事前に調整いたしました。産婦の状況変化に対応するということが事前にできた事案でございます。
この取り組みは、医療機関においては、当然のことながら産科と精神科の医師の連携、また、妊産婦への丁寧な対応が可能な助産師・看護師の人員体制の確保、カンファレンスの実施に向けた(事務も含めた)組織的な後方支援の有無が大きく左右すると思います。
行政側の課題は、出産病院が限定される地域では、この手法は効果が期待できると思います。ただし、都市部のように出産病院が多数、または広域に点在する場合は、全ての医療機関で行うということは困難なため、連携先の医療機関の絞り込むことが必要と考えます。
次のページをごらんください。
先ほど事例でも触れた産後母子ケアの事業のことです。こちらは、親族から養育の支援が得られない、心身の不安定さから養育不安が強くあり、養育者だけでは育児が困難だというような状態を行政側が判断した方が利用できるものです。
デイケアは1日2,000円、ショートステイは1泊2日で6,000円の自己負担が生じます。
母の心身の休息、マンツーマンでの授乳の手技を経験するなどのサービス内容がありますが、母自身の養育力を助産師の視点でアセスメントしていただき、その後の支援策にもつなげているという事業です。デイケア、ショートステイともに、年々利用者は増加しておりまして、産後の重要な支援の一つだと感じてます。
最近、始まった訪問型母乳相談が最後になります。
こちらは、横浜市助産師会への委託による訪問型の母乳相談です。利用者の負担額は1回4,000円です。事業を開始したばかりですが、直近の平成31年2月の時点では826人、1,110回の利用です。こちらも利用者が増加しております。
最後に、支援のニーズの高まりと多様な背景・課題を持つ妊産婦の支援のあり方といたしまして、支援ニーズのタイミングを逃がさない、または単発のかかわりではなく、妊産婦自身が変化を感じられる継続的なかかわりをすること。
2つ目は、支援者側が多様な課題を抱えた妊産婦に即した複数の対応策や手段を持つことではないかと思っております。
説明は以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、秋本参考人、お願いいたします。
○秋本参考人 初めまして。秋本でございます。よろしくお願いいたします。
資料2をごらんください。
まず、スライドの2ページでございます。「下関市の概要」をお示ししております。
平成17年に中核市となり、その後、人口の減少に伴い出生数も徐々に減少し、平成29年の出生数は1,668人と過去最少となっております。合計特殊出生率で見ますと、全国のレベルとほぼ同様に推移をしております。
右側には、妊産婦に係る保健分野の関連施策の取り組み状況を経年的にお示ししております。
次の3ページです。本市の周産期医療体制の整備状況です。
表中にもお示ししておりますとおり、産科・産婦人科を標榜していても、分娩を取り扱う医療機関が5年前と比べ3割減少しております。また、それに加えまして、地域医療を支えてくださっている診療所の産婦人科医師の年齢が50歳代以上であり、医師の高齢化が進んでいる現状がございます。
次に、4ページでございます。「母子保健事業の流れと医療機関との連携」について、関連施策を実施場所ごとにイメージ図にしております。
本市は圏域が広域ですが、日常生活圏域を目安に8保健センターを設置していることが特徴であります。
また、この保健センター全てに子育て世代包括支援センターの機能を持たせ、全ての母子の状況を身近なところで把握し、必要な支援等をコーディネートできる体制を昨年度よりとっております。
医療機関との連携は必須であり、表中にありますように、中段の産婦人科からはピンク色のまる1の母子等要支援者に対する連絡票を、下段の小児科からは、ブルーのところになりますけれども、まる2の外来患者連絡票を活用して情報共有に努めております。
詳細については、後ほど説明いたします。
なお、このイメージ図は、産婦人科と小児科を中心に情報共有の流れを図示したものでございますが、妊婦歯科検診や幼児の健診時には市の歯科医師会の御協力を多分に得ております。
本市では妊婦歯科検診を個別の医療機関に委託をしておりません。保健センターでの集団検診の形で実施しておりますので、受診者の割合は12.3%と低い値ではありますが、来所時に保健師との関係性をつくることができたり、その後の相談支援に効果的につなぐことができるという利点はございます。
また、市の薬剤師会とは日ごろより連携はとれているのですが、こと妊産婦に対する具体的なかかわりは正直ございません。今回の検討会で運用のコツのようなものを模索できたらと思います。
続きまして、5ページは、先ほど説明いたしました「まる1母子等要支援者連絡票」についてです。
主に産婦人科医療機関から市に対する情報提供の際に利用されるものでございます。情報提供の内容としましては、例のとおりでございます。
続きまして、6ページ目に大まかな内容を整理しております。
医療機関別内訳では、連絡票の活用は対象者の2割弱でありますが、そのうちの約6割が地域周産期母子医療センター(NICU)からのものでございました。
また、内容別内訳を見ますと、児の医学的リスクに比べ、養育環境に関することなど社会的なリスクを抱えているケースが増加しております。
この情報提供書は紙媒体で、繁忙な医療機関の現場では大変な作業と推察いたしますが、早期支援には大変有用で、妊娠中から医療機関との協力・連携をできることが、その後の支援を非常に左右するように感じております。
続きまして、7ページには「まる2外来患者連絡票」をお示ししております。
これは主に小児科から市に対する情報提供でございます。内容といたしましては、例に示しております。
次の8ページの中段に月例・年齢別内訳を示しております。本市では、後ほど説明します産後ケア事業を平成28年10月から開始しておりますが、これまで情報提供の多かった新生児から生後1~2カ月児の情報提供が、この産後ケア事業の開始後より徐々に減少してきております。
因果関係を詳細に分析したわけではございませんが、出産後の不安解消に産後ケア事業が有効に働いているのではないかと推察しております。今年度からは、産褥期の不安の解消のさらなる取り組みとして、産婦健康診査事業を全産婦に実施しております。
続きまして、9ページは【医療機関との連携】として産後ケア事業の現状についてお示ししております。
本市では、病院等の空きベッドを活用し、宿泊による休養や育児支援を行う宿泊型と、個別の支援を行える病院等において、日中、来所した利用者に対して実施するデイサービス型の事業を行っております。
利用者には好評で、不安解消には有用であると考えますが、宿泊型につきましては、空きベッドのある医療機関の調整に苦慮する場合もあります。産後ケア事業の運用状況から見て、産後に子育てのサポートをしてくれる人がいるか、いないかが重要な鍵と感じております。
10ページには【子育て支援部門との連携】として、山口県の取り組むやまぐち版ネウボラについて、イメージ図をお示ししています。
フィンランドの総合的なサポート支援を意味する「ネウボラ」を引用し、全県で相談支援体制を推進するものです。こども家庭部局の所管する地域子育て支援拠点とも連携し、地域で安心して子育てができる環境づくりに取り組んでいるところでございます。
続きまして、11ページをごらんください。「妊産婦の現状」をまとめております。
1つ目に、妊産婦の生活基盤の脆弱化の問題を挙げております。核家族化、地域との関係の希薄化等により、児が健康であるにもかかわらず、不安を抱えている妊産婦がふえている傾向にあります。
2つ目に、心の問題を抱えた妊産婦の増加によりメンタルヘルスケアの需要が高まっており、養育環境の調整が必要な家庭が増加しております。
以上のことから、妊娠・出産・子育てをトータルに社会全体で支援し、不安を軽減することで、安心して子育てのできる仕組みが必要であり、そのためにも伴走型の寄り添う支援が必要となります。また、産科・小児科だけではなく、他の診療領域、特に精神科との連携拡充が重要となります。
12ページに、課題として整理をしてみました。この中でも、今後、メンタルヘルスケアに対応する精神科領域との連携の構築が重要と感じております。
今後は、以下にありますように、本市の特徴を生かしまして、関係機関の皆様と協力して、下関市で子供を産み育てたいと思っていただけるよう今後も課題に取り組んでまいりたいと考えます。
最後のページに、ハイリスク家庭の問題で最終的な課題とされる児童虐待防止体制の本市の体制を示しております。他部局、他機関との連携・協調がさらに強固なものでなくてはならないものですので、資料提供いたしました。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、鈴木構成員から御説明をお願いいたします。
○鈴木構成員 よろしくお願いします。資料3でございます。
私は「妊産婦のメンタルヘルスケアに関連した社会的ハイリスク妊産婦(特定妊婦)に対する産婦人科施設における多職種連携」というテーマでプレゼンテーションをさせていただきたいと思っております。
2ページ目をごらんください。
近年、妊産婦のメンタルヘルスケアが注目されております。ここに出しましたのは、毎年、日本産婦人科医会が報告しております「母体安全への提言」の2014年版でございます。前の年までは産後出血や脳出血などがメーンに取り上げられておりましたけれども、この年の序文に「最近ショッキングなデータが出つつあります」としまして、大阪におけるデータから、これまで把握されてきた出血などの妊産婦死亡数の約2倍の頻度で、妊産婦が自殺しているかもしれないということが推定されました。
3ページ目をごらんください。
これは主に周産期の鬱病と関連した自殺の報告例と自殺のプロセスを示しております。
左下にありますように、全国に外挿しますと、大阪市のデータから、毎年60人から80人の女性が妊娠中から分娩後1年以内に自殺していることになります。
右下にありますように、大きなライフイベントに対しまして支援が十分でないと、人は鬱状態になってしまって、それが加速した場合に自殺などに至ってしまうということが言われております。
4ページ目をごらんください。
その認識を確信させたのが、この東京のデータでございます。10年間の東京の妊産婦の自殺数が63人になりまして、これがこれまで報告されてきました妊産婦死亡の約1.5倍の頻度であることが改めて示されました。
妊産婦の自殺の時期には2つのピークがあります。最初のピークは妊娠初期で、これは予期せぬ妊娠や望まない妊娠をした場合などで、妊娠に対します不安などが原因となることが多いとされております。
もう一つのピークは産後3~4カ月目で、これは1カ月健診が終了して日常生活に戻って、育児の負担等が強くなってくる時期に相当すると言われております。
5ページ目をごらんください。
まず、なぜ産婦人科における妊産婦のメンタルヘルスケアが鬱病を中心に語られるかということなのですけれども、実は双極性障害や統合失調症のほうが治療が不十分でありますと、自殺率が高いことがわかっております。
しかし、その頻度は低く、また、精神科による薬物療法等が必須でございます。治療がしっかりしていれば自殺には至らないということもわかっており、そのためには、こういった疾患で問題になるのは、妊娠や授乳をきっかけとして薬を自己中断してしまったりすることと言われております。
一方、鬱病におきましては、ライフイベントを契機として誰でも高頻度で発症します。そして、その特徴として、日常生活に支障を来さない軽症例が多く、精神科へコンサルトしなくても、産婦人科を中心とした多職種連携による適切な支援によって、その多くは重症化や発症を予防できることがわかっております。
自殺や虐待はあくまでも究極のアウトカムで、基本は健やかな親子関係の支援なのですけれども、産婦人科としましては、このような妊産婦に対しまして、社会的ハイリスクとして包括的に支援するほうが取り組みやすいと考えております。
6ページ目をごらんください。
これは精神科と一緒に実施しました東京の精神疾患合併妊娠の診療の3年前の状況でございます。
実はその多くが少数の大病院に紹介されて、大病院のスタッフの大きな負担となっていることがわかりました。産婦人科は精神疾患の重症度がわからないということ、そして、精神科は薬の胎児や新生児への影響がわからないということから、たとえ軽症例であっても、大病院に紹介されてしまうというのが現状でございました。
しかし、メンタルヘルスに問題を抱えている女性は、育児期もさまざまな問題を抱えることが多いということもございますので、可能な限り自宅近くの施設で妊娠・分娩管理、産褥管理をしたほうがいいと言われております。そのためにどうすればよいかということがテーマになってくると考えています。
7ページ目でございます。
これは、鬱病を初めとしましたメンタルヘルスに問題を抱える妊産婦の特徴を示しております。
まず、何よりも彼女たちは、自分から支援を求めてきたりすることはございません。時には自分の症状に気づいていないこともございます。
そして、先ほどお話ししましたように、発症頻度が高く、また、リスクの高い時期もわかっております。さらに、リスク因子もある程度判明しておりまして、妊産婦様は定期的に通ってくれるという特徴がございます。そのために、効果的な時期にエビデンスの高い支援を実施することも可能になってきます。
そのために、右側にありますように、医療側から積極的にアプローチして、特定の時期にハイリスクアプローチをすることがポイントになってくると考えております。
8ページ目をお願いします。
これはイギリスのガイドラインにあります方法を用いて、当院の妊婦さんに各妊娠期と産後1カ月に鬱症状があるかどうかのスクリーニングを行いました結果でございます。
「あり」と「なし」に分かれておりますけれども、鬱というのは、妊娠というライフイベントやつわりなどにより、妊娠初期に最も頻度が高くなります。支援などによってだんだん少なくなりますけれども、産後は育児などの新しいイベントによりまして、また頻度が高くなってきます。
一人一人を見てみますと、産後の鬱の方は妊娠期から鬱がある女性に多くて、それらの女性が抱えているリスク要因を支援することが重要だと思っております。また、妊娠中に問題を認めなかった方でも、育児に問題がありますと産後鬱が発症することがございますので、産後、改めてスクリーニングして、支援を行うことが重要だと考えております。
9ページ目をごらんください。
これは日本産婦人科医会の「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」からの抜粋ですけれども、最終的な産後鬱を予防するために、図のように行政と協働した多職種で切れ目なく支援をすることが進められております。
次の10ページ目をごらんください。
そのため、日本産婦人科医会では、全国で看護職を中心にアプローチに関します研修会を開催しております。
その効果につきましては、右下のように検証中でございますが、何よりもメンタルヘルスケアにつきましては、喫緊の課題でございますので、検証結果はまだなのですけれども、研修会の全国展開に努めているのが実情でございます。
11ページ目をごらんください。
これはうちの病院ですけど、右下は当院の多職種支援チームでございます。メンバーは、助産師と臨床心理士、ソーシャルワーカー、医療事務で、それぞれの得意の分野をサポートしております。
精神科につきましては、周辺のクリニックなどに文書で協力を呼びかけまして、了解が得られた施設におきましては、ともに管理している妊産婦さんに問題が上がったときに、ミーティングに加わっていただいて協議しております。ただ、クリニックが多いので、夜間は当院の助産師が対応しているのが実情でございます。それでも翌日診てもらえるという安心感によりまして、対応できているのが実情でございます。
12ページ目をごらんください。
これは当院で使用しております社会的ハイリスク妊産婦に対しますチェックシートと、院内の月別の報告用シートでございます。このチェックシートを用いまして、必要な支援を探って、それを行っているのが実情でございます。
特に社会的リスクの高い方には、同じ人間がサポートしたほうが効果がありますので、右上に「プライマリー」とありますけれども、主治医と同じようにプライマリー助産師をつけて、一貫した支援を心がけております。
13ページ目をごらんください。
これが一昨年度1年間の要支援妊婦248人の状況でございます。最も多かったのは経済的問題を抱えた方で、2番目は精神疾患やそういった既往のある方でございました。
最終的に2人が母子生活支援施設(シェルター)に行きまして、6人が乳児院、5人が養子縁組になりましたけれども、それらを含めまして、多職種で支援を行ったのが実情でございます。
次が最後のスライドになります。
上の枠内に、とある妊産婦に対して行いました支援例を示しました。これらの支援の重要性につきましては、コンセンサスが得られていると考えております。
しかし、これらにかかわっておりますスタッフに関しましては、メンタル面を含めまして非常に大変な仕事でありますが、現在は非常にやる気のあるスタッフの気持ちに頼っている部分もあるのが実情でございます。
そのため、こういった支援を継続できるような体制を維持するためには、かかわるスタッフへのヘルスケアとかインセンティブなどへの考慮が今後問われてくるのではないかと思っております。
こういったことを含めまして、今後、協議していただければと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
ここまでお三方からお話を伺いました。横浜と下関の妊産婦の方々への保健に関する取り組みと、そして、日本産婦人科医会の鈴木先生から、妊産婦のメンタルヘルスケアの重要性、あるいは取り組みについてお話をいただいたところですけれども、何か御意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○中井座長代理 中井でございます。
最初の横浜市の取り組みのところで、外国人向けの子育てチャートというのが非常にわかりやすいアニメーションみたいになっていて、それから、下関の中でもそういう連携の体制のイメージ図が含まれておったと思うのですけれども、あれは外国人向けだけではなくて、日本人向けにも御検討いただいたほうが、今、サービスが非常に多様化していて、もちろん窓口は子育て世代包括支援センターとかで一本化はされているものの、やはりいろいろ多種のサービスがありますから、その辺はまとめていただいて、そういうところに鈴木先生が発表されたようなメンタルの部分というのも組み込んでいくと、わかりやすいのではないかなと感じました。
以上です。
○戸矢崎構成員 御意見ありがとうございます。
外国人向けの子育てチャートではないのですが、日本人の方は子育て世代包括支援センターで相談の初回時に出産以前から出産後、子育て期までの流れを、カレンダーという形で簡単にまとめたものをお渡しさせていただいております。日本人向けには別のものをツールとして使っております。
ただ、医療との連携の部分というところは、取り組み始めたばかりのため、その関連性や体系は整理していきたいと思います。
御意見ありがとうございました。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
戸矢崎構成員にまず御質問をさせていただいた後、少し意見を述べさせていただきたいのですが、スライド15ページの「ハイリスク妊産婦連携指導カンファレンス モデル事業」を非常に興味深く聞かせていただきました。このような体制があれば、地域にもつながるなということを実感しました。
そこで質問なのですが、こちらは精神疾患を合併した妊産婦ということですけれども、実践している助産師等の声からは、境界域の妊産婦への対応にも非常に苦慮しているというようなことがあります。そのような症例についても、このカンファレンスで共有されるのかということをお伺いしてもよろしいでしょうか。
○戸矢崎構成員 御質問ありがとうございます。
実際、こちらの対象になるか、ならないか微妙な方は多いと思います。このカンファレンスの中では取り扱いは対象外になります。ただ、やはり気になる方の情報は、この会議の中でも、行政側も共有し、内容によっては行政側で状況確認をします。必要な場合には、要保護児童対策地域協議会の対象か否か協議し、特定妊婦に取り扱いを変更させていただきます。
特定妊婦になりますと、本人の同意がなくても、関係機関同士で支援の方向性を協議するということが可能となります。横浜市は、同じ課内で要対協の機能を持つ体制となっており円滑な取り扱いが可能となっていると思います。
ただ、医療機関に取り扱いの流れや機能を事前に説明していかないと、情報の共有がスムーズにいかない部分があるかと思いますので、今後も心していきたいと思っています。
御質問どうもありがとうございました。
○井本構成員 ありがとうございました。よくわかりました。
鈴木構成員からも御説明があったように、医療機関側では助産師や保健師が保健指導を通して妊産婦からいろいろな情報を聞き取り、妊娠期から子育て期までつながるような支援をしております。
ということは、医療機関側も、行政側も手厚くそういった体制を持てるような人員の配置・確保ですとか、体制づくりがとても重要だと考えております。それがシームレスに妊産婦を支援していける体制につながると考えております。
医療機関側の状況を申し上げますと、外来に助産師がなかなか配置されていない施設も実はございます。国が進めております院内助産・助産師外来も、推進状況は、例えば助産師外来に関して言えば、6割に満たない状況でありますので、手厚く支援していく体制は助産師外来に求められていることだと思いますので、ぜひ今後は推進をしていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。健保連の松本です。
戸矢崎構成員に質問させていただきたいのですが、平成30年度診療報酬改定で新設された「ハイリスク妊産婦連携指導料1」1,000点については、ご説明にもありましたように、自己負担が3,000円かかります。この世代は可処分所得の多い世代ではないものですから、自己負担3,000円を払っても、なおかつ満足するような指導を受けたと患者が感じてもらえるような工夫を何かされているかどうかという質問が1点。
また、訪問型の母乳相談事業は自己負担が4,000円とおっしゃいましたが、先ほどの3,000円よりもっと自己負担が多いので、こちらの事業についてもどういう工夫をなさっているのかということもお聞かせ願いたいと思います。
それと、秋本構成員からは産後ケア事業の御説明がありましたが、これも自己負担がどうなっているのかとお教え願いたいと思います。
それと、鈴木構成員に御質問させていただきたいと思います。産後の産婦さんにとって非常に大変なことは、夜泣きや母乳の不足感等があるかと思いますが、確かに自分の子供や、自分の長女の子供を見ていますと、大変なのは、母乳が足りずに粉ミルクを調整しないといけないというときに、母親も大変ですし、パートナーも仕事から帰って、夜、つくらなければいけないときかと思います。
そういうときに、調整せずに済む災害のときに脚光を浴びた「液体ミルク」という、日本で認められていなくて、やっと認められるようになりましたが、実際、役立つかどうかについて、感触をお聞かせ願えればと思います。
以上3名の構成員の方にご質問です。
○五十嵐座長 それでは、最初に、戸矢崎構成員からお願いします。
○戸矢崎構成員 ハイリスク妊娠のカンファレンスのことですね。
まず、工夫点では、妊婦にとって、自分を担当する(地区担当の)保健師が誰ということがわかる。この人に、ちょっとしたことでも聞けるというような、フェース・トゥ・フェースの関係性を作るきっかけができることがあげられると思います。
自分から関係性をつくることが難しい方は、訪問や電話などで頻回に関わることを通じて実感を得ているのではないかなと思います。
2つ目の御質問の訪問型母子相談事業ですが、事業を始めたばかりなので、利用者負担の評価は、これからと思っています。
ただし、兄弟がおり、産後間もない時期に、赤ちゃんを連れて外出が困難な状況では、家庭に訪問していただく。マンツーマンで母乳のこととか授乳の仕方を教えていただける点で、利用者にとって「非常に助かった」との声を聞いています。
直近では、里帰りをされて横浜に戻ってきた際に、「誰に相談していいのかわからない」という状況でこちらの事業を知って利用し、「大変助かった」という声も聞いております。
以上です。
○五十嵐座長 では、秋本参考人から、どうぞお願いします。
○秋本参考人 これは下関市の産後ケア事業の自己負担でよろしいでしょうか。
宿泊型につきましては、現在、1泊2日で自己負担が4,320円となっております。泊数を超えれば、また1日プラスアルファがございます。
現在は利用はないのですけれども、日帰り型というのもございまして、日帰り型の場合は1,080円となっております。
以上でございます。
○五十嵐座長 では、鈴木先生。
○鈴木構成員 液体ミルクにつきましてですけれども、先日、五十嵐先生に座長をしていただきました授乳・離乳支援のガイドラインに、液体ミルクに関するコメントが支援者側に伝わるような形で入っておりますので、今後、支援という形でも加わってくると思います。
そして、先生がおっしゃっていますように、産婦様の悩みというのは、授乳だけではなくて多岐にわたっておりますので、それを考えますと、いろいろな職種の方が加わっていくのがやはり重要だと考えております。ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○中島構成員 中島です。
先ほどの件で戸矢崎構成員にお伺いしたいのですが、ハイリスク妊産婦に関する連携指導のモデル事業なのですが、これはやはり自己負担プラス情報提供の同意というのがあって、特定妊婦と違って、これに参加すれば、先ほどおっしゃったように、しっかりいろいろフェース・トゥ・フェースの関係が築けるとか、満足度はあるかもしれませんが、やはり寄り添うということ、イコール、何か監視されているとか、虐待予備軍と思われているというようなことから渋る方も結構いらっしゃると、ほかの自治体でも課題として取材で伺ったのですが、実際、情報提供の同意というのはスムーズにとれるものなのか、あるいはプロの保健師さんなどで、どういう工夫をしてこの支援につなげているのかを教えていただきたいです。
○戸矢崎構成員 同意に関してですが、これは医療機関が外来時に妊婦さんにアプローチをしまして、助産師、医療相談室のケースワーカーから御説明をさせていただいているという状況でございます。まずは医療側からアプローチをしています。
同意を得られる場合もありますし、得られない場合もあります。得られない方については、やはり気になる妊婦ということで、医療機関から行政のほうに御相談がありまして、相談内容によっては「特定妊婦」として扱わせていただくこともあります。
○中島構成員 そうすると、物すごく深刻なケースは特定妊婦として台帳に載せて、同意なしで情報共有を公的にしていらっしゃると。そうでなくても、同意を得られなくても、そこは柔軟にというか、医療と保健とでやりとりをするということは実際にはあるのですか。気がかり妊婦というか。
○戸矢崎構成員 そうですね。個人情報の取り扱いとかは確かに難しい部分はあると思いますが、カンファレンスを定期的に行っていますので、まずは相談事として双方で取り扱いをさせていただいております。
○中島構成員 相談をしている中で、その中で、途中からこういったものに組み込まれるということも十分あるということですか。
○戸矢崎構成員 そうですね。医療機関が諦めず何回かアプローチをいたしまして、同意を得る場合もありますし、(カンファレンスを継続する中で)特定妊婦としての関わりが良いというような判断をさせていただくこともあります。
○中島構成員 ありがとうございます。
情報提供の共有の同意というのは難しいと思うのですが、この取り組みはすごく大事だと思うので、ぜひ進めていただきたいと思っています。
○戸矢崎構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 これは要対協案件と医療側が宣言すれば、情報の共有はしてもいいわけですか。
○戸矢崎構成員 医療側が決めるものではなく、要保護事業対策地域協議会が決めるという形になります。
○五十嵐座長 失礼しました。協議会として了解することが必要とのことでした。
○戸矢崎構成員 はい。
○五十嵐座長 協議会として要対協案件であると決定するプロセスなしに、個人情報を取り扱うことはできないと理解しました。
○戸矢崎構成員 特定妊婦ということと、あと、個別ケース検討会議という扱いで、カンファレンスを要保護事業対策協議会の会議だというシフトチェンジをしています。
○五十嵐座長 より具体的に理解できたと思います。ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
どうぞ。
○井上構成員 浜松医科大学の井上です。
秋本参考人に少し御質問したいのですけれども、外来患者連絡票や母子等要支援者連絡票の件です。
今回、産婦人科や小児科からの連絡票という位置づけになっているかと思いますが、一般の開業医さん、内科に受診されている方も多くおられるかと思いますけれども、そういったかかりつけの内科等からの連絡の手段というのは何かございますでしょうか。
○秋本参考人 ありがとうございます。
具体的な産婦さんに関するかかりつけ医からについては、こういう情報提供の決まり事というのはございませんが、診療情報提供書という形を使われるようになるかと思いますが、残念ながら、そういった形のケースの連携等の具体的な事例というのは少ないように思います。やはり窓口は、妊娠期であれば産婦人科、子育て期であれば小児科というようなところに限局されている傾向にあるかと思っております。
○井上構成員 ありがとうございます。
もし定期的にかかっている内科等があるようでしたら、そういった連絡票を一般の開業医さんにも配っておかれますと、これが活用されることがあるのではないかと思いました。
また、これは市に対する連絡票ですが、その後、市からどのような対応を妊婦さん、お子さんに対して行っているかというフィードバックですとか、今後の対応の方針について、医療機関にお知らせがあるといいのではないかと思うのです。されているかもしれませんが、ふだん診ている患者さんが市のほうでどういう対応をされているか、なかなか見えないものですから、そういった連携手段があるとよいかと思いました。
ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○牧野構成員 歯科医師会の牧野でございます。
秋本参考人にお伺いしたいのですけれども、妊婦の歯科健診は集団で1割少しということで、では、個別はどれぐらい把握していらっしゃるのか。
私どもも、もう少し妊婦歯科健診を増やしていきたいと思っているのですけれども、義務づけられていないということから、行政がやっているところも非常に少のうございまして、やっていただいていることはありがたいのですが、何か工夫等がございましたら、お教えいただけたらと思います。
○秋本参考人 ありがとうございます。
中核市の調査等を見ますと、個別医療機関に委託をされて、例えば、母子手帳の交付時に妊婦健診の受診券という形で利用されるように、その分の負担を市がされているという自治体もあるように聞いております。
そういったところは40%の健診率という報告も聞いておりますけれども、下関の場合は個別医療機関に委託をしておりませんので、どうしても1割強ぐらいの実施率になっております。自主的に歯科検診という形で開業医さんにかかられている妊婦さんは多いかと思いますけれども、公費負担制度をとっておらないという背景で、そのあたりの把握が十分できていない現状でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、鈴木先生、最後にお願いします。
○鈴木構成員 ありがとうございます。
最初に、コメントなのですが、先ほど戸矢崎構成員のご質問に対してですけども、産科医療機関としましては、結局、そういった方には、行政から必要な支援を受けるとどれだけメリットがあるかということをまず伝えて、それを軸としまして、できるだけ報告できるような形でやっております。
質問としましては、秋本参考人に対してなのですが、先日、医会のほうでも産後ケア事業につきまして話し合っておりましたところ、行政のほうで対象者を絞ることになるわけなのですけれども、医療機関がこの人は危ないのではないかというような対象者と行政のほうとで、ずれがあったりすることがありまして、医療機関が必要と思う方が支援を受けられなくて問題になることがあるのですが、どのようにコンセンサスを医療機関と行政側でつくっているかということを伺いたいと思いまして、質問させていただきました。
○秋本参考人 産後ケア事業の利用についてのお尋ねですね。
下関市の場合は行政の判断も入りますけれども、医療機関側から見て、例えばお産の後の入院中に危惧されるようなケースの場合は、御紹介がありまして、御要望、ニーズ、あと、判断を伴って連絡があった方について、今のところ、お断りをしたケースはございません。双方でリスク管理をされた中で、ベッド調整で苦慮する場合はありますけれども、何とかそのあたりは診療所の産婦人科医さんにも御協力をいただいておりますので、実施ができておる次第でございます。
○鈴木構成員 それが全国に広がればと思っております。ありがとうございました。
○五十嵐座長 活発なディスカッションをありがとうございました。時間になりましたので、次のテーマに移りたいと思います。
では、中西構成員から説明をお願いしたいと思います。
○中西構成員 たまごクラブの編集部の中西です。
本日は、ベネッセで行いましたアンケートの結果から、妊産婦がどのように情報収集をしているか、産後はどのようなサポートを利用しているか、そして、金銭的にはどのような状況かという3つのテーマについて御紹介いたします。どうぞよろしくお願いします。
2枚目に行きます。
今回の内容を要約しますと、まず、情報収集については、初産婦さんは出産や産後について、親、友人、雑誌だけでなく、インターネットやSNSからも情報を多く集めています。
次に、産後サポートについては、里帰りや手伝いに来てもらうなどで実の親を頼りにしていることが多く、配偶者によるサポートは、赤ちゃんのお世話など、家事というよりは育児によるものが多いようです。
そして、金銭的には年代による格差が大きいようで、補助金に対する受けとめ方も置かれた環境によってさまざまです。積極的な情報提供が求められていると感じております。
次のページへ行きます。妊娠中の生活や心身の状況においてのリサーチ結果を御紹介します。
赤ちゃんのことを想像したり、将来の子育てを楽しみにし、母子ともに健康状態も良好な人が多く、初産婦、経産婦とも妊娠中をポジティブに過ごせているという喜ばしい結果が出ております。
ただ、一方で、初産婦はお産や母親になることに不安を感じている人が多いということも見えてきました。
次に参ります。妊婦さんが所有している通信機器の状況を報告します。
ネットアンケートのため、若干フィルターがかかっていると思いますが、スマホを保持している人がiPhoneとAndroidを合わせて100%超えで、持っていない人が0.1%という結果です。何かしら1台は持っている。中には複数台を使いこなしているという様子がうかがえます。
5ページ目に参ります。スマートフォンで利用することが多いSNSについて、聞いてみました。
これはLINEが圧倒的な人気で、90%が「とてもよく活用している(ないと困るくらい)」と答えています。次に利用者が多かったのがインスタグラム、フェースブックとツイッターの利用状況は同程度という結果となりました。
6ページ目に参ります。妊娠中に産後のサポートについて準備していたかの調査結果です。
約6割が育児や家事のサポートを妊娠中に準備している。特に経産婦の8割以上が上の子対策をしているという結果になりました。
ただ、一方で、逆を言うと、4割近くが特に産後に向けて具体的な対策をしていないということにもなり、これはなぜなのか気になる結果です。
これについては、近年、配偶者が育児参加に積極的な態度を示すようになってきていることもあって、産後も大丈夫なのではないかと妊娠中考えてしまう人が多いのではないかと思っております。
また、これも私見なのですが、最近の妊婦さんは、インターネットの普及から、困ったことがあっても、すぐ答えを得られる環境になれているため、先のことはそのときになって、困ってから考えればいいやと思う傾向があるように感じています。そういったことも影響しているのではないかと思っております。
なお、このグラフでは、自分自身の産後ケアを対策しているという人が、初産婦、経産婦ともに半数に満たない結果となっています。これも、産後の自分の体について余り危機感を抱いていない、想像できていないということではないかと思います。
これについては、産後についての情報提供というと、どうしても赤ちゃんの育児についてのお話がメーンになりがちで、ママの心身についての情報が不足しているのではないかと、それが原因の一つではないかと思っております。今後、産後のママの心身についての情報発信は積極的に行う必要を感じております。
7ページ目に参ります。次は、妊娠中に産後の生活の情報を得るために、相談したり、利用したりしたものについてです。
配偶者、実の親、友人・知人とともに、初産婦は雑誌や書籍、ウエブサイトの先輩ママの口コミ情報などからも積極的に情報収集しているということが特徴的です。
一方で、自治体からの情報収集は1割前後と少な目な傾向でした。しかしながら、自治体が製作した子育て情報誌のところなどを見ましても、初産婦は経産婦よりは積極的に見ているという傾向がうかがえます。
8ページ目に参ります。次は、何を情報源としているかを、これはちょっと古目のデータなのですが、2010年から経年で調査したものです。
自分の母親や医師、雑誌などとあわせて、フリーペーパーやイベントなども情報源として利用されているということがうかがえます。
また、この調査が行われた2014年ごろは、パソコンの利用も目立ち、スマホは頭角をあらわしてきた程度だったのですが、現在ではスマホがもっと高いシェアを持っているのではないかと予測されます。
9枚目、10枚目は、今月初めに編集部に読者を集めてヒアリング会を開催しましたので、そこで妊婦さんからもらったフリーアンサーをまとめてみました。
行政サービスの情報をもっと知ってもらうためにはどうしたらいいと思いますかと聞いたところ、いろいろな意見が寄せられましたが、まとめてみると、妊婦さん側がある程度受け身であっても、おのずとキャッチできるような、行政側からの積極的な情報発信を求めていると感じました。
これについては、SNSやウエブサイトの有効利用、産科での接触チャンスを生かした配布物や告知の工夫などがヒントになるのではないかと思います。
続いて、11ページ目です。産後サポートの利用状況を御紹介します。
産後に里帰りをしているママは、初産婦さんで6割、経産婦さんはそれより減少傾向ですが、里帰りの期間については、大体1~2カ月という方が多いようです。
そして、12枚目に行きます。産後サポートの担い手についてです。
妊娠中の情報収集では行政サポートは少数派でしたが、実際に産後になってからの育児に関する相談では、地域の助産師さん、保健師さんのサポートを受けているという人も目立ってくる結果となっています。また、母乳育児、乳房ケアでも、産院や自治体を通して助産師さん、保健師さんがサポートの担い手となっていることがうかがえます。
13枚目に行きます。
次に、産後に受けたサポートへの満足度についてですが、サポートを受けた人は7~8割が満足しているということがわかりました。
14枚目に参りますが、産後サポートのポイントをまとめてみますと、信頼感と安心感のもと、ママが休息をとることができて、赤ちゃんのお世話に前向きになれる環境づくりが大切だと思われます。
次に、お金の事情について、15枚目に参ります。
世帯年収については、500万円に満たない層が3分の1。500~700万円台が3分の1。貯蓄については、500万円に満たない層が半数、中でも貯金なしと100万円未満を合わせると2割いて、逆に1000万円以上が1割弱という結果でした。これはパパ、ママの年代による格差も大きいように思います。
補足として、緑の吹き出し部分に厚労省発表の年代別の平均値をつけておりますが、これを見ますと、29歳以下と30歳台でかなりの開きがあり、若い夫婦が安心して子育てできるようにするためには、十分なサポート体制が今後も必要なのだと思いました。
16枚目に参ります。
こちらは妊婦健診費の合計額を聞いてみたものです。大体10万円台がトップボックスという形になっております。
続きまして、17枚目は、先ほどの質問に対して、健診費のうちどれぐらい助成されたかを聞いた結果です。ただ、こちらは出産育児一時金と同額の42万円と答えている人もいることから、正確な助成金額のデータというよりは、妊産婦は助成金でどれぐらい補助してもらえたと思っているのか、イメージしているかということをうかがい知る資料として見ていただけたらと思います。
続いて、18枚目に参ります。
入院分娩費についてですが、こちらは40~50万円が主流でした。出産育児一時金の金額42万円というのは、実情に沿った妥当なものだということができるのではないかと思います。
19枚目に参ります。医療費控除の確定申告についてです。
申告した人は約4分の1という少数派で、実はこの数字は20年前にとったデータとほぼ変わっておらず、ずっとこの状態なのだという感じです。
お金がないという人が多い割には、申告する人が少ない理由については、補助金により年間の医療費が10万円を大きく超えない場合が多いこともあって、手間の割に実際に返ってくる金額が少ないイメージがあるためではないかと思われます。
申告した場合、どれぐらいのメリットがあるのか、具体的な例を提示するなどして、さらなる積極的な情報提供がないと、申告への動機づけはなかなか難しいように感じております。
最後のページですが、行政サポートによる補助金についての読者からのフリーアンサーをまとめております。
補助金への評価は、個々の家計や住んでいる自治体のサポート状況にもよるため、評価も一様ではありませんが、望んでいるものとしては、わかりやすい支援体制と正確な情報の積極的な提供が求められているのだと感じました。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
続きまして、木庭参考人から説明をお願いいたします。
○木庭参考人 茨城県の木庭でございます。
本日は「茨城県における妊産婦の医療・保健に関する取組み」について、御説明をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
2ページ目をお開きください。
お話をさせていただく流れでございますが、まず、茨城県における周産期を取り巻く状況をデータで御説明させていただきまして、その後、本県の地域特性を踏まえた母子保健事業の取り組みを幾つかピックアップして御説明をさせていただければと思っております。
3ページ目をごらんください。まず、本県の出生数、合計特殊出生率等の推移でございます。
本県は人口290万を擁しておりまして、年間出生数はおよそ2万人と、先ほどの横浜市さんの3分の2程度のようでございますが、それでも日立や鹿島等は工業が盛んで、また、農業算出額も北海道に次いで全国2位と農業も非常に盛んな地域でございまして、かつては合計特殊出生率は全国よりも比較的高い値でございました。しかしながら、近年の傾向といたしましては、少子化の流れ、そして、合計特殊出生率の推移も全国と同様の傾向となってございます。
次の4ページをお開きください。茨城県における周産期の近年のデータでございます。
人口、出生率は先ほど申し上げたとおりでございます。周産期医療に関する指標につきましては、最近はほぼ全国の値と同様でございますが、かつては周産期死亡率等、全国より少し悪いような状況がございました。
5ページ目をお開きください。「茨城県における周産期の保健・医療の現状と課題」でございます。
まず、全国でも同じ傾向があると承知をしておりますけれども、産科の単科の医院の先生方の高齢化等によりまして、近年、産科医療機関の減少が顕著でございます。
図にあります黒丸が産科医療機関でございますけれども、さらに、その分布も偏在しているという状況がございます。
また、就業助産師さんが、人口当たり全国47位と非常に少ないという状況がございます。
ここで茨城県の特徴を1つ申し上げたいと思うのですが、茨城県は、山とか人が住めないような地理的な条件が比較的少なくて、可住地面積が全国4位と、広い県土にどこでも満遍なく人が住んでいるという状況がございます。
ですので、この黒丸がないエリアにもそれなりに人が住んでおりまして、そうしたことから、妊産婦さんにとっては、身近な地域でメンタルケアを受けられるような専門機関、あるいは母乳、育児等について、いろいろ相談できる専門家がないと感じていらっしゃる方も少なくないという特徴がございます。
そこで、本県におきましては、独自で専門職による電話相談「すこやか妊娠ほっとライン」というものを行っていたり、あるいは一番下にございますように、助産師さんが妊産婦さんに来てもらうのを待つのではなくて、ニーズのある方のところに出張して相談対応したりするような事業をしているところでございます。
また、経済的な理由で安全なお産のために必要な医療を受けられないことがないようにということで、妊産婦医療費助成事業も行っているところでございます。
6ページをごらんください。
こちらが茨城県の母子保健施策の体系図でございますけれども、国で主導して行っていただいておりますさまざまな事業の中で、先ほど申し上げたように、特に本県の地域特性を踏まえて独自で展開している事業を中心に、オレンジの丸をつけさせていただきました事業について、これから少しお時間をいただいて、御説明させていただきたいと思っております。
7ページをごらんください。
こちらが、先ほど申し上げた思いがけない妊娠、特に若年・未婚の方の妊娠など、妊娠に関するさまざまな相談を、茨城県看護協会さんに委託をして、専門スタッフが電話相談に対応するという事業を行っております。
これが始まったのが平成24年、2012年なのですが、ちょうどこの年に、右の新聞記事にございますが、つくば市でコインロッカー乳児遺体遺棄事件というのが起こりまして、望まない妊娠ですとか、経済困窮による育児困難ですとか、そういったことが特に社会問題としてクローズアップされたような社会背景がございました。
こちらの事業は多くの利用をいただいておりまして、平成30年度には424件の電話相談がありまして、このうち、関係機関、市町村等による個別支援の調整、医療機関への受診調整などにつながったケースも40件ございました。
続きまして、8ページをごらんください。
こちらは妊産婦医療費助成制度でございます。こちらにつきましては、全国の自治体で子供や重度の障害者を対象として、何らかの形で医療費の助成を行っているいわゆるマル福の制度の中に、本県ではその対象として妊産婦を加えて実施をしているものでございます。
事業内容についてでございます。
まず、主体は市町村でありまして、県では対象経費の2分の1を助成しております。
助成対象内容については、公平性を担保できるように、実施要領を定めまして市町村へお示しをしているところでございます。
対象といたしましては、妊婦及び産後1カ月強、出産された月の翌月末日の褥婦までとしておりまして、原則として産科・婦人科を標榜する医療機関で保険診療を受けた際の医療費の一部負担金に対して助成を行うというものでございます。
ただし、他の診療科につきましても、産婦人科医から妊娠の継続と安全な出産のために必要という判断があった場合には、対象とするものでございます。
自己負担金につきましては、記載のとおりでございます。
所得制限は設けておりますけれども、実際には現状として妊産婦の9割以上の方が対象になっております。
続きまして、予算でございますけれども、県負担分で約4.6億円ということで、残りの2分の1は市町村で負担をされているところです。
括弧にありますのは、ほかの小児等のマル福全体で県では76.7億円の予算でございますので、そのうちの4.6億円が妊産婦医療費助成に使われているということになります。
「(7)その他」の部分でございます。
1つ目のポツでございますけれども、本県の妊産婦さんが他県の医療機関を受診した場合には、償還払いで対応するということにしております。
次のポツにつきまして、先ほど申し上げたように、県の制度としては、原則として産婦人科医さんの御紹介というか、安全な出産のために必要という産婦人科医の判断があれば、他の診療科も対象なのですが、中には独自に全ての診療科をオーケーとしている市町村もございます。また、全国では、本県を含む4県がおおむね同様の制度を実施していると承知しております。
次の9ページでございますけれども、流れをフロー図としてお示しさせていただきました。
先ほど申し上げたとおりでございますけれども、原則として産婦人科の医療機関から、妊産婦さんに対して行われた医療について、自己負担分の一部を審査支払基金の御協力を得て、現物給付という形で給付されているという状況になります。
続きまして、10ページでございます。今度は産後のお母様のニーズに応じた支援についてでございます。
「助産師なんでも出張相談事業」は、先ほど申し上げたように、産科医療機関を退院した直後から産後3カ月未満のお母様を対象といたしまして、1回2時間程度で実費7,000円のところ、自己負担1,000円で助産師さんにお住まいの地域まで来ていただいて、主には母乳育児に関する相談を受けていただくことができる事業でございます。
こちらにつきましても大変好評をいただいておりまして、年間延べ1,500件の相談実績がございまして、特に産後間もない時期に産院に行くのがしんどいので、非常に助かるなどの声もいただいているところでございます。こうした事業を通じて、産後鬱あるいは児童虐待の予防の効果なども期待できると考えております。
続きまして、11ページでございます。こちらからは、妊娠・出産包括支援事業といたしまして、3つの取り組みを紹介させていただきたいと思います。
まず「(1)産後うつ予防の取組み」です。行政のほうで、出産後間もない時期に新生児訪問、あるいは「こんにちは赤ちゃん訪問」を実施しておりますけれども、これらの機会に、産後鬱の早期発見や支援を図るために3つの質問票を活用して対応しているところでございます。
3つの質問票は、資料に記載のとおりでございますが、一例といたしまして、次の12ページに「赤ちゃんへの気持ち質問票」というのを掲載させていただきました。
赤ちゃんをかわいく思えるかというような質問票で、点数をつけていただいて評価をするものでございますけれども、前のページに戻っていただきまして、こうした質問票を活用して、産婦さんの産後鬱等、リスクの評価をするということでございます。
そして、ある程度支援が必要となったケースにつきましては、行政と医療機関等が顔の見える関係をつくるために行っているものでございますけれども、連携会議・ケース検討会というのを開いて、妊婦健診の受診状況や行政の支援状況等の情報交換を行って、対応を検討、評価、振り返り等をしているところでございます。
また、昨年度からは精神神経科の医療機関にも参加を呼びかけて、妊産婦さんのメンタルケアの強化にも取り組んでいるところでございます。
続きまして、13ページをお開きください。
こちらも先ほどの事業と関連するものではございますけれども、特に児童相談所でSBS(乳幼児揺さぶられ症候群)の対応ケースが続いたために、平成23年度に開始した事業でございます。
こちらは、赤ちゃんは泣くのが当たり前であるということを生まれる前から知ってもらうとともに、赤ちゃんが泣いて困ったときには相談先があるということをお伝えするために、相談先を記したリーフレットを配布しているというものでございます。
こちらにつきましても、先ほどの行政と医療機関の連携等もしっかりと図りながら、児童虐待の発生予防、産後鬱の発生予防等につなげていければと考えております。
14ページの(3)、最後のスライドでございます。
こちらは全国展開されている事業でございますけれども、産婦健康診査を平成29年度より本県でも開始させていただきまして、平成31年度は44市町村のうちの43市町村で実施を予定しているところでございます。
県からは、各種事務手続の統一など、市町村における実施体制の整備を支援させていただいたり、最近、大きな問題となっております妊産婦のメンタルヘルス支援につきまして、精神科医療機関と身体科医療機関の連携強化を図るために、各種の研修会を実施しているという状況でございます。
また、これらさまざまな取り組みを通じて、最近、課題として認識しておりますのが、本県の体制の問題ではございますけれども、やはり妊産婦さんのメンタルケア、ますます増加する産後鬱に対する精神科医療のニーズに医療提供体制をどのように整備し対応していくかということは、非常に大きな課題だと考えております。
また、先ほど横浜市さんからもございましたが、外国人の妊産婦さんが非常にふえておりまして、やはり言語のこと、宗教とか習慣による違いでなかなかコミュニケーションがうまくいかないといったことも、課題として対応の必要性を感じているところでございます。
長くなりましたが、説明は以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
では、続きまして、青木構成員からお願いいたします。
○青木構成員 きょうの予定には入っていないと思いますけれども、きょうの出席に当たりまして、市の母子保健担当の保健師さんに話を聞く中で、2点ほど紹介させていただければと思う事項がありましたので、時間をいただきました。
特に都市部の自治体の特徴ということで、お話をしてみたいと思います。
1つは、妊婦健診に関連した事項で、もう一つは、自治体間の保健情報の共有に関連したものでございます。特に資料はありませんけれども、申しわけありません。
1つは、都市部の状況ということで、さいたま市については、今、出生数が年1万人強なのですけれども、そのうち市内の医療機関で出産される方は7,000人程度と見込んでおります。残りの3,000人が全て里帰り分娩ということではないと思いますけれども、妊娠期間を通じて、さいたま市内でずっと過ごされるという妊産婦さんばかりでなく複数の自治体で過ごされる方も多いというのが特徴であろうと思っております。
そうした中で、妊婦健診の話です。
1つは事務的な話でありまして、今、妊婦健診につきましては、こういう助成券を妊娠届の際にお渡しをするわけでございますが、その契約については、基本的には各市町村が医療機関と契約を結ぶということでございますけれども、多くのところで、県内については、県が医師会と契約を結んで、市町村がその制度を利用するということになっています。
ただ、県外の場合は、個々の市町村が個々の医療機関と契約を結ぶということになっていると思います。
さいたま市の場合は、埼玉県さんが大変お骨折りをいただきまして、1都5県、東京都と千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬については、埼玉県が県外の医療機関と個々に契約を結んでいただいて、集合契約の形でやっていただいて、それに各市町村が相乗りをするという形になっております。費用は市町村が負担をするということになっております。
さいたま市の場合は、対象の医療機関は去年の4月から9月の間の半年で、38都道府県、215市町村と広範囲になっています。1都6県以外の医療機関については、個々の医療機関と契約を結び、各医療機関からの実績報告に基づき、費用をお支払いするということになっています。
こうした広域での対応について、埼玉県の場合は、1都6県、人口ベースでいうと、3割ぐらいについては既に集合契約でやっていただいているということなので、どこかの主体がもう少し広げて、例えば今回の風疹の検査費用のように、全国ベースでやっていただくと、1,700の自治体でやっている事務的な負担がかなり軽減されるのではないかと考えます。
個々の自治体で事務契約を担当しているのは、事務職の方もやっておられますけれども、保健師さんが負担することも多うございますので、そうした時間が節約できれば、本来の保健業務に専念できるというメリットもあります。また、今は紙ベースでやっておりますので、例えば妊婦健診の未受診者の方というのは、ハイリスクの要因の一つと考えられますが、そうしたデータを早期に自治体でつかむのは、特に市外の場合は現実的には非常に難しいということもございます。全国ベースでシステム化して、ICTでリアルタイムで把握できるようになりますと、未受診のハイリスク妊婦に早期に対応できるというメリットもあるのではないかと考えます。
もう一点が、自治体間の保健師さんの保健情報の共有ということで、先ほど横浜市の関連でも出ておりましたけれども、例えば、妊娠中に体重管理がうまくできないので、食事の指導とかをやっていましたと。ただ、里帰り分娩で他の自治体に移っていきましたという場合に、そうした情報を里帰り先の市町村に伝えることができれば一番いいわけですが、本人が同意されればいいのですけれども、そうしたものをお願いしても、なかなか受け入れていただけないということも多々ありますので、母子手帳に記載できればいいのですが、それもなかなか難しいとなると、情報があったとしても伝え切れないということがあります。
特定妊婦や、要対協の対象になるようなものについては、情報提供できるわけですけれども、健康情報の血圧が高いとか、糖尿病がありますといったようなものについては、特定妊婦の対象にはなりにくいということもありまして、保健情報に関した自治体の母子保健担当者同士の情報共有の仕組みの検討が必要ではないかと考えます。以上です。
ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
では、お三方からの説明につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。健保連の松本です。
木庭参考人にお伺いしたいのですが、先ほど中西参考人のスライド20のところで、タクシー券を補助してくれるとありがたいとのお話があったかと存じます。木庭参考人のスライド5では、産科の医療機関がない地域があることが示されていましたが、例えば、そのようなところに住んでいる方々が受診するときに、医療機関がそばにないとなったときに、タクシー代等の交通費の一部補助をやっていらっしゃる自治体があれば、教えていただきたいと思います。
このような産科の問題などは高度化が求められていますし、マンパワーの問題もありますので、集約化を図らないといけませんが、これから先、そういう機能分化を進めていくときに保険者として、場合によっては、交通費の補助というのも考えていかなければいけないのではないかということを個人的に考えているものですから、茨城県でそういうことをお考えになっている自治体があったら、教えていただければと思います。
○木庭参考人 ありがとうございます。
茨城県の地域の事情で、なかなか身近に医療機関がないような地域での交通手段の支援ということですが、県として医療機関の受診に対する交通費の補助はしていないのですけれども、それぞれの市町村においては、対象としては、妊産婦さんだけではなくて高齢者の方がメーンではあるのですが、デマンドタクシーですとか、そういったことをやっているところはございます。
○五十嵐座長 そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○石井構成員 前半のほうから、横浜市とか下関市とか、茨城県も含めて、いろいろな対策をされている自治体があって、すごく心強いなと感じたのがまず一つありました。
いろいろ包括的に、ここにさえ相談すれば、産前から産後まで全部フォローしてくれるというのはすごくありがたいなと、心強い存在だなと思うのですけれども、私が住んでいる自治体でいうと、母子手帳をもらったときに、すごくたくさんパンフレットとかリーフレット、カードをもらって、その中に、例えば、SOSがあればこちらへ、お金で困ったらこちらへ、体の不調があったらこちらへみたいに全部ばらばらというのがすごく多くて、結局、聞いてみたいと思ったときに、どこに連絡したらいいかわからないというのが実際のところでしたので、できれば、電話でもメールでもいいから、ここにさえ連絡すれば大丈夫というようなところ、それだけ覚えていれば安心と思えるところがあれば、すごく産前、産後を過ごしやすいなと思いましたので、一意見として。
例えば、今、スマホも100%持っているのであれば、このアプリさえ落としておけば困ったときは全部答えが来るし、ここから電話もできる、ここからメールもできるみたいな形になると、すごく心強いなと思いました。
きょう聞いた自治体の皆さんはすごく意識が高いというか、すごくケアをしてくれるなと思ったのですが、私が住んでいるところを批判するわけではないのですけれども、そうでもないというか、ちょっとどうにかならないかなと思っているところもあるので、横のつながりだったり、もしかしたら国からのガイドラインみたいなものであったり、どこに住んでいる妊婦さんも安心できるような仕組み、働きかけがあったらいいなと感じました。
それで、1個質問なのですが、中西構成員の発表で、里帰り出産が結構多いなと私は思ったのですけれども、そうすると、例えば病院がかわってしまったりとか、あと、個人的に気になるのは、一番必死になっている産後1カ月、2カ月のときにパートナーと一緒に過ごさないというのが、その後の体調だったり、メンタルだったりというところでも影響があるのではないかなと思います。ちょっとこの検討会の趣旨とはずれるかもしれませんが、パートナーの人がしっかり産後も一緒に過ごせるような働き方の部分なども、大きい意味で、妊産婦のケアとして考えていけたらなと思いました。
以上です。
○五十嵐座長 御意見ありがとうございます。
では、全体を通してで結構ですので、何か御意見はございますか。
どうぞ。
○髙松構成員 薬剤師会の髙松と申します。
今、いろいろお話を聞いていて、実は中西構成員の発表された内容がすごく本音のところかなと思って、私の身近にいる人たちの話とあわせても、同感できる部分が多かったのですが、情報のとり方というのはすごく大事だと思うのです。この中でも、雑誌だとか、マスメディアの情報というのは意外と皆さんしっかり見ているし、その情報の出し方に影響を受けます。
あとは、情報というのは一方的になりますから、それをいかに相談につなげていくか。きょうの自治体の皆様方の活動を見てみると、それぞれかなり努力されている部分があって、いろいろな資源がある。そこにどうやってリンクさせていくかというのが大事かなと思うのです。
そういう意味では、様々な雑誌等もありますが、先ほどの石井構成員のお話のように、私もスマホのアプリの活用等、そうやってすぐにつながるようなシステムがあるといいかなとは思いました。
あとは、先ほどのドクターの問題、産婦人科の医師が高齢化にどんどん進んでいると。後を継ぐ婦人科の医師、小児科の医師、その辺の育成の問題もやはりすごく重要なのではないかなと思いました。
少子高齢化というのはわかっている。それに対して問題視するだけではいけないので、それをどう解決していくかというところも話し合わなければいけないのかなと感じております。
以上、意見です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
活発な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
時間も押しておりますので、次に参りたいと思います。
先月だったと思いますが、妊産婦の医療や健康管理等に関する調査項目をチェックした後に、アンケートを行ったところです。その結果が出たということで、大変迅速に対応していただきました。ありがとうございます。
それでは、その結果を事務局から説明していただきたいと思います。
○木下課長補佐 事務局でございます。
資料6が、今回の調査の結果の概要になります。また、参考資料2で今回の調査票をおつけしております。適宜、調査票も参考にしながら、ご覧いただければと思います。
まず、2ページ目に今回の調査の概要をおつけしております。
調査の目的等は説明は省かせていただきます。調査対象といたしまして、分娩を取り扱っている病院と有床診療所、それぞれ250施設、合計500施設を対象とさせていただきました。
調査の方法は、(1)の医療機関に対しまして調査案内を郵送いたしまして、それらの医療機関を受診いただいています妊産婦の方、具体的には28週以降の妊婦の方、また、産後8日以内の入院中の褥婦の方、また、産後2週間、1カ月の健診のために外来を受診された褥婦の方を対象に調査票をお渡しいただきまして、御協力いただいた結果になります。
回収状況としましては、1,916件の結果を回収することができました。
3ページにお進みください。
回答者の年齢構成をおつけしているのがQ2になります。右に行きますと、1,916名の方につきまして、出産後であるか、妊娠中であるかということで、80%の方が妊娠中、20%の方が出産後という御回答をいただいております。
4ページにお進みください。
まず、かかりつけ医がいますかというお尋ねをしているのがQ11になっております。
Q12に行っていただきますと、妊婦健診以外で病院・診療所にかかったことがありますかということをお尋ねしておりまして、13.6%の方が妊婦健診以外で産婦人科に、また、38.4%の方は妊婦健診以外で産婦人科以外の診療科にかかったという御回答をいただいております。
その回数の内訳を見ているのが次の5ページになりまして、上半分は妊婦健診以外で産婦人科にかかった回数、下半分が産婦人科以外の診療科にかかった回数をお答えいただいております。それぞれおおむね3.3回という回答をいただいておりまして、時期に関しての内訳は、ご覧のとおりになっております。
次の6ページにお進みください。
具体的にどういう理由でかかったのかというお尋ねをしているところでございます。
まず、左をご覧ください。Q14になりますが、妊婦健診以外で産婦人科にかかった理由ということで、53.1%が妊娠に直接かかわるつわり、むくみといった理由で受診されております。次に多い回答としましては、上から4番目になりますが、感染症状、さらに、その次としましては、13.5%で胃腸の症状ということがわかっております。
続きまして、右をごらんください。今度は妊婦健診以外で、さらに産婦人科以外の診療科にかかった理由をお尋ねしているところでございます。一番頻度が多かったのは、上から3番目の感染症状になっておりますが、次に多かったのが、下から3番目を見ていただきますと、歯が痛い、歯茎の腫れ・出血といった口の中の症状が2番目の理由に上がってきているところでございます。
続きまして、7枚目にお進みください。
今の6枚目と関連するところではございますが、それの症状を対応いただくような診療科の受診回数が多くなっておりまして、内科が一番多くなっていまして、2番目に歯科・口腔外科が多くなっておりまして、それに続く形で耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科の順になっているところでございます。
その医療機関を受診した理由といたしましては、妊娠前にかかったことがあったという方が6割との回答をいただいているところでございます。また、それ以外に産婦人科に相談して勧められたという方が16.2%あるところで、また、御自身の判断で専門の診療科に受診したという回答も28.7%と得られているところでございます。
8ページへお進みください。
Q19になります。産婦人科以外の診療科にかかろうとしたときに、かかろうとしたところではなくて、ほかの病院を勧められたことがありますかという設問になります。その場合、15.1%、約7人に1人の方が、自分のところではなくて、ほかの病院に行ってはどうですかということを勧められた経験があるという回答になっております。
その際、次のQ20ですが、今度は産婦人科以外の診療科にかかったときに、もともとかかっている、もしくは妊娠中ということもあって、産婦人科にもかかるように勧められましたかということで見ていきますと、82.6%は産婦人科のほうにもかかりなさいと勧められたことはなかったという回答を得ているところでございます。
9ページ目にお進みください。
その際、産婦人科以外の診療科の医師から、産婦人科の主治医に対しまして何か情報が伝えられましたかということに関しましては、下から2番目、約6割の方が特段の指示はなかったという一方で、一番上を見ていただきますと、産婦人科以外の診療科の医師から産婦人科の医師に文書等で情報を伝えてくれたという方が10%程度、文書はないけれども、口頭で説明を受けたという方が10%いらっしゃったという結果になっております。
10ページにお進みください。
産婦人科以外の診療科で診察を受けたときの感想をQ22でお尋ねしているところでございますが、87.9%の方は、気配りが不十分といったような不満は感じられていないという一方で、10%の方に関しましては、気配りが不十分というような経験をされたという結果を得られております。
その際に妊婦さん御自身がどういった気配りを求めているかというのをQ23でお尋ねしているところですが、一番多かった回答としては、8割の方が何らかの説明の文書を手渡していただいて、その説明を求めていたという結果が得られております。その次としましては、3番目になりますが、妊婦の診察に関して経験が十分にある医師の診察を求めていたり、4割の方は、診察中に母子健康手帳を見てほしかったというようなことを御回答で複数選んでいただいたところでございます。
続きまして、11ページに行きます。ここからは出産後のお話になります。
出産後の中で、まず、Q24でございますが、産婦人科以外の診療科にかかった経験としましては、1番が内科で、2番目は、診療科にかかったことがないというのを除きますと、ここでも歯科・口腔外科が頻度としては高くなっているという状況でございます。
その理由としましては、右のQ25になりますが、感染症状、また、下から3番目の口の中の症状ということが産後においても多かったという結果が得られているところでございます。また、皮膚の症状とかコンタクトレンズといったものも、それなりの頻度で受診されているというところでございます。
12枚目にお進みください。
産後の受診の際の感想を聞いているところでございますが、こちらに関しましても、多くの方は特段不十分と感じた経験はなかったという一方で、13.6%の方は何かしらの不満を感じられているという結果が得られております。
また、右のQ28を見ていただきますと、産後の場合はどういうことがということでお求めを聞いたところ、やはり文書等で説明をしてほしいということがあったのと、産後ということもありまして、授乳に関する気配りを求めているという回答が非常に多くなっている傾向が認められます。
続きまして、13ページにお進みください。
こちらは妊娠中と出産後も含めまして、薬局での対応をお尋ねしたところでございます。
こちらに関しましては、薬局に行っていないという方が5分の1程度いるところでございますが、残りの方の割合で見ますと、特段不満は感じたことがないという方が7割、気配りが足りないと感じた方が8.7%というところでございます。
また、どういうことが大切と考えるかということで1つお選びいただいている中では、62%の方が妊娠や授乳に気を配った薬の説明を求めているということが回答として得られているところでございます。
14ページにお進みください。
こちらは妊娠前の健康管理に関するお尋ねをしたところで、どういうことに気をつけていますかということをお尋ねしたところ、57.6%の方が一番多く、葉酸の積極的な摂取をされているということをお答えいただいています。
Q32で健康管理で困ったことの1番目に挙げられているのは、飲んでよい薬かどうかというところが一番上に上がってきているという結果を得られているところでございます。
続きまして、15ページにお進みください。
こちらは妊娠中の保健指導に関するお尋ねになっております。その中で、受けた保健指導に関しての満足度を聞いているところでございまして、おおむね50%の方が受けた内容に関して満足をしているというところが傾向として見られると思います。
16枚目にお進みください。
こちらは産後の健診の回数になります。産後の健診に関しましては、下にありますように、トータルで出産後の1~2週間で0.76回、1カ月健診を含んだ状態で3週から5週のときに1回、それ以降で0.46回という結果が得られております。
その中で、出産後の健康管理、御自身が困ったことは何ですかということに関しまして、一番多かったのが授乳のことで、2つ目としましては、52.7%が自分の体のこと、3つ目としましては、飲んでよい薬に関しての不安というものが見てとれたところでございます。
最後、17枚目にお進みください。
こちらは出産後の健康管理のサービスとして受けたものに関してのお尋ねになっております。
産後の健診、もしくは産婦訪問、新生児訪問に関しましては、それぞれ58.9%と49.0%ということで、実際、サービスを受けられて気に入ったというところが非常に高く見てとれている一方で、産後ケアに関しましては、そちらにありますように、利用されている方は少ないところでございますし、一定程度関心をお持ちの方が48.6%と43.4%いらっしゃる一方で、サービスも受けておらず、興味もないという方も一定程度の割合でいらっしゃるという結果が得られてございます。
概要につきましては、以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
医療とか健康管理を受けた妊産婦さんの側の気持ちが大変よくわかるアンケート結果になったと思いました。何か御質問、御意見はございますか。
どうぞ。
○中井座長代理 短時間ですばらしいデータをおまとめいただいて、どうもありがとうございました。中井でございます。
前回、私も妊産婦さんの合併症について、ここでお話しさせていただいて、およそですが、産科の合併症のある方が50%、それから、産科以外の偶発合併症、そのほかの合併症のある方が30%と、日本産婦人科学会の50数万例のデータベースの解析でお話ししたのですけれども、今回のちょうどこの結果の概要にもありますように、大体似たような数字で、風邪症状であるとか、熱ですとか、そういった産科外の疾患が3~4割のところ、これは非常に信頼度といいますか、両方が合致するもので現実なのだろうと思いました。
それを踏まえて、まず第一には、産婦人科以外の症状のものでも、やはり多くは産婦人科に来ているという点。これは先ほど来言われています医師不足であるとか、勤務負担といったものを加重するところでありますから、こういった状態の人が他の専門診療科で受診するという方向性を、ぜひまず道づけていただきたいというのが1点あります。
もう一方で、妊婦さんの声を聞きますと、10%前後ですけれども、不安を感じたというようなこともございますので、前回もお話ししたような研修の仕組み、そうしたものも必要なのではないかと思いました。
それから、これと少しずれますが、先ほど来ずっとお話しされていました保健の枠組みの中でも、今、妊婦さんの高齢化であるとか、合併症の増加であるとかのさまざまな問題、それから、社会的なリスクの増加があって、産婦人科医療に対する負担は物すごく大きくなっています。
ですから、いろいろな補助、助成といったものを検討していただくことは極めて重要なのですが、そうした際に、先ほど茨城のお話のときにもあったように、妊婦さんの負担にならないという考え方もぜひ御検討いただきたい点でありまして、全く助成とかそういったものと異なるのですけれども、医療に関しましては、いわゆる保険診療を行うわけですから、保険負担金などについても、全部の流れからすれば、かつてといいますか、つい最近まで老人の保険負担というのは、0%の時代もあったのではないかと思うのです。
きょう、審議官の方々とか局長の方とか、大変重職の方が来られていますので、この検討会だけの枠のお話ではないと思うのですけれども、妊婦さんがそもそも健診以外でかかるときの医療負担をもっと抜本的に見直していただくような仕組みなども、今後、ぜひ御検討いただければと思って少し発言させていただきました。
もちろん、先ほどの茨城県の助成、そういった保険に対するものに関しては、ぜひ全国に広げていただければいいのではないかと思いました。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
妊産婦さんは、感染症以外にも、歯科とか皮膚科にも結構受診されるようですけれども、歯科のほうからは、牧野先生、何かございますか。
○牧野構成員 前回も申し上げましたけれども、やはり治療自体にリスクがあって、一応、対症療法的なところで終わっているというところもございますので、出産後には必ずもう一度受診していただいて、その状態をチェックするということからすると、私どもからすると、もう少し受診率が上であってもよかったのではないかと思います。
今、座長代理からございましたように、ヘルスのほうの保健もそうですけれども、インシュアランスのこともですね。前回、妊婦加算というものが出たけれども、歯科では、窓口負担等を考えたら、今、歯科のほうでそれを保険に導入するのはいかがなものかということで見送ったわけですが、やはり私どもは、患者さんの体位とか、おなかが大きくなったら座っているのも大変だという状況のもとで、診療しないといけないということから考えますと、そのあたりの配慮はしているわけで、そういう妊婦加算的な点数というのは、いただきたいけれども、窓口負担を考えると、そのあたりはできないということもございましたので、そのあたり、国のほうでもう少し考えていただけたらと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○中島構成員 中島です。
気になったのは、スライド9枚目のQ21で、6割弱の方が、受診されても産婦人科以外の医師からの情報提供や指示はなかったというところです。
受診者側の意見としては、診療情報提供書というのは、必要であればですけれども、そうでなくても、この回答にあったように、自分で産婦人科の主治医に、次回の妊婦健診のときに、こういう診療を受けたことを伝えたほうがいいですよと指示されたり、母子手帳に記載されたりということがあれば、それだけで、その診療が妊産婦としての配慮を受けたということを、もちろん理解にもつながるし、自分が配慮されているということを実感できますので、ぜひこういうことを広めてほしいと思う一方で、これを広めるためには何らかのインセンティブが必要なのか、妊婦加算であれば、そこの条件としてこういうものをルール化したほうがいいのかということは受診者からはわからないので、こういうことを広めるためにどういったものが必要なのかというのを、ぜひ今後、医療者側等で話し合っていただければいいなと思いました。
以上です。
○五十嵐座長 どうぞ。
○中井座長代理 済みません。私もそこを言い忘れました。このスライド9の結果というのは結構深刻なのです。なぜかというと、口頭で説明されたというのは、他の診療科医が患者さんに説明していますから、これが産婦人科医に伝わるときはその患者さんの言葉になって出てくるので、非常に正確性がないのです。
医療面接で一番重要なのは、相手の理解度を考えて我々は説明しなければいけませんけれども、それが2段階に及びますと、かなり不正確な情報になるので、今、中島構成員がおっしゃったとおりで、診療情報提供書ですと、また仰々しいかもしれませんので、母子手帳の記載であるとか、何かそういう連絡ができるようなツールというのも御検討いただければと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。健保連の松本です。
この短期間にこういう資料をまとめていただいて、本当にありがとうございました。事務局の御苦労に感謝申し上げます。
また、回答を寄せていただいた妊産婦の2,000人弱の方に感謝申し上げます。
コメントが1つですが、今の中島構成員、中井副座長のお話と関連しますけれども、スライド10、スライド12に説明文書を渡してほしいというのが要望としてあります。
保険者としては、患者の納得感というのが非常に大事だと思いますので、その中で、こういう説明文書を渡してもらえれば、少なくとも、今、スライド9番で言われたようなところについては、これを持って見せるだけでも大分違うのではないかと。
産科とそれ以外の先生方で協働して、標準的な説明文書のような、チェック欄がついていて、説明した点や、注意点を記載したフォーマットがあれば、実際に診療に当たる先生方も非常に助かりますし、受けた患者も、文書としてもらうとちゃんと診てもらっているという納得感もありますので、ご検討いただければと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
では、時間も参りましたので、これで終了したいと思います。
続きまして、前回、構成員からお求めがありました医療用医薬品の添付文書等の記載要領の見直しに関する資料が、本日、事務局から配付されております。これについて説明をお願いいたしたいと思います。
○木下課長補佐 事務局でございます。
資料7を御用意ください。
机上のみでございますが、実際の記載例と当該する医薬品の添付文書をお配りさせていただいておりますので、そちらも参照いただければと思います。
資料7の2枚目になりますが、本年4月から、添付文書の記載要領に関しまして改正が行われたところです。改正の主な内容をまず御説明いたします。
実際に行われたのは、平成29年6月8日ということで1年半ぐらい前になりまして、こちらの適用がこの4月からということになります。4月以降、新たなものにつきましては、このルールになりますし、さかのぼって、それ以外のものにつきましても経過措置を設けて、今後、新しいルールに基づいた形に直していくというような運用になっているところでございます。
主な見直しのポイントを次につけております。まず、項目の通し番号を設定いたしまして、全ての項目に番号を付与して見やすくするということで、記載すべき内容がない場合については、欠番の扱いとしております。
2つ目になりますが「原則禁忌」「慎重投与」という記載を廃止しました。さらに加えまして「特定の背景を有する患者に関する注意」ということを設けております。ここで言う「特定の背景を有する患者」が何かというところで、3.になりますが、この中に妊婦さん、授乳婦さん、小児を位置づけまして、その中で、特定の背景を有する患者さんへの注意を別に項目として設けているところでございます。
具体的にどういう中身かというところで、3枚目にお進みください。こちらが妊婦に関する注意事項の記載ということになります。
こちらに関しましては、妊婦さんということで、胎盤の通過性とか催奇形性だけではなくて、胎児の暴露量、妊娠中の暴露期間、臨床使用経験等々を考慮した記載にするということで改められてございます。
具体的にはということで「投与しないこと」という記載があった場合につきましては、囲みの中にありますように、こういった条件だった場合は投与しないことというメルクマールのようなものも整理されておりまして、ヒトでの影響が認められるもの、または非臨床試験からヒトでの影響が懸念されるものにつきましては「投与しないこと」と記載するというルールに変わっております。
また「投与しないことが望ましい」ということに関しましては、どういうことか。さらには「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」ということにつきましては、そこにありますように、2つのそれぞれのメルクマールを定めた上で、記載をするというルールになっております。
4枚目へお進みください。こちらは授乳婦さんに対する注意事項の記載でございます。
授乳婦さんに対しましては、乳汁の移行性だけではなくて、それに加えまして、薬物の動態とか薬理作用から推察される哺乳中の児への影響等々を考慮した記載にしましょうという方針が示された上で、実際の記載としましては、そこの四角囲みに3つありますように「授乳を避けること」「授乳しないことが望ましい」「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」という記載をまず標準化した上で、それについては、どういう考え方に基づいて記載するのかというルールを決めたところでございます。
机上配付してございますものにつきましては、添付文書の古いものと新しいものを上下でおつけしているところでございます。
こちらに関しましては、先ほど御説明したとおり、従来ばらばらだったものを「特定の背景を有する患者に関する注意」というところにまとめて、Q5で妊婦、Q6で授乳婦、Q7で小児といった形でまとめて、先ほど御説明しました記載に沿った形での注意が書かれているという形で、この4月から運用が始まったところでございます。
御紹介は以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
何か御質問、御意見はございますでしょうか。
どうぞ。
○髙松構成員 この添付文書記載要領の改正に関しましては、これから各製薬会社から発行されるものに関して反映されると思うのですが、徐々にこういうことが浸透してきてはいるのですけれども、薬剤師の間でも、医師の間でも、この改正に当たっての理由づけというのは、まだ浸透していないのかなという感触も受けております。
ただ、今回の改正に当たっては、このデータを見ながら自己で判断できるような内容に振り分けられていると思いますので、この添付文書の記載方法をしっかり周知することがすごく大事だと思います。必要なときに見てすぐに判断できる形式になったというのはとてもいいことだなと思っております。
○五十嵐座長 御意見ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、そろそろ終了予定時刻になりましたので、きょうの議論はこれで終了したいと思います。
きょうは大変活発な御意見をいただきました。今後の議論の進め方につきましては、事務局と相談の上、進めさせていただきたいと思っております。
それから、前回、今回と2回にわたりまして、妊産婦に対する医療・保健の現場の取り組みについて御発表いただきました。次回以降はこれまで議論してきました点を整理して、皆さんにお示ししたいと思います。
事務局は大変ですが、資料の作成をよろしくお願いいたします。
その他、何かありましたら、事務局から御説明をお願いいたします。
○鹿沼課長 本日はどうもありがとうございました。
座長の御指示を踏まえまして、議論の整理をきちんとさせていただければと思います。
また、次回の開催日時につきましては、改めて事務局ほうから各構成員の皆様に御連絡いたします。
以上でございます。
○五十嵐座長 では、第3回の検討会をこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。