第4回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

平成31年4月22日(月)14:56~17:02

場所

AP新橋 3階ルームAAP

出席者

(委 員) 神野部会長、森戸部会長代理、伊藤委員、井戸委員、内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員(佐藤代理人)、白波瀬委員、藤澤委員、山本委員(細田代理人)、渡邊委員
(オブザーバー)松下国民年金基金連合会理事長、宮園企業年金連合会理事長
 

議題

(1)ヒアリング等における主な意見
(2)拠出時・給付時の仕組みについて
 

議事

 
議事内容
○神野部会長
それでは、定刻少し前なのですが、御出席の御予定の方々が皆様おそろいでございますので、ただいまから第4回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。
年度初めの大変お忙しい中を御出席くださいまして、伏して御礼を申し上げる次第でございます。
本日は、白波瀬委員から少し遅れて御出席との御連絡を頂戴しております。
その他の委員の皆様方の出欠状況についてでございますが、臼杵委員からは御欠席との御連絡を頂戴しております。また、小林委員からは御欠席との御連絡を頂戴しておりますけれども、小林委員の代理といたしまして日本経済団体連合会の佐藤様に御出席をいただくことになっております。それから、山本委員にかわりまして、日本商工会議所の細田様にこれから御就任をいただくことになっているのですが、本日はまだ手続の都合でもって山本委員の代理として御出席いただくという形をとらなければなりません。佐藤様と細田様の代理出席につきまして、部会の皆様の御了解を得たいと思いますので、よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」と声あり)
 
○神野部会長
それでは、そのようにさせていただきます。
また、これまでオブザーバーとして、企業年金連合会の村瀬理事長、国民年金基金連合会の永原理事長に御参加していただいておりましたけれども、このたびそれぞれ理事長の職の交代が行われましたので、御紹介いたします。
企業年金連合会の宮園理事長でいらっしゃいます。
 
○宮園企業年金連合会理事長
宮園でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○神野部会長
どうもありがとうございます。
それから、国民年金基金連合会の松下理事長でいらっしゃいます。
 
○松下国民年金基金連合会理事長
国民年金基金連合会の松下でございます。よろしくお願い申し上げます。
 
○神野部会長
こちらこそよろしくお願いいたします。
出席状況でございますが、御出席いただきました委員の方々が3分の1を超えておりますので、この会議は成立しておりますことをまず初めに御報告申し上げたいと思います。
それでは、これから議事に入らせていただきますので、カメラの方がいらっしゃれば御退室の御協力をお願いいたします。
それでは、事務局のほうから資料の確認につきまして、お願いいたします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金・個人年金課長です。本日はよろしくお願いします。
本日の資料といたしましては、資料1「ヒアリング等における主な意見」、資料2「拠出時・給付時の仕組みについて」、参考資料1として委員名簿を用意させていただいております。また、本日御欠席の臼杵委員から資料を御提出いただいておりますので、あわせて用意させていただいております。
事務局からは以上です。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、議事のほうに入りたいと思いますが、議事につきましては、お手元の議事次第にございますように「ヒアリング等における主な意見」、それから「拠出時・給付時の仕組みについて」、この2つを議題にさせていただいておりますが、後者、つまり「拠出時・給付時の仕組みについて」を本日の主要な議題とさせていただいております。
これまで第1回から第3回におきまして、委員の皆様方から、さらには関係団体の皆様方からさまざまな御意見を頂戴したところでございますが、事務局におきまして、これら頂戴いたしました御意見を整理し、さらに論点ごとにまとめていただいております。本日以降はこれを参照しながら個別の論点ごとに議論を進めてまいりたいと思っております。
本日の進め方でございますが、先ほど2つの議事を御紹介させていただきましたが、事務局のほうから資料1「ヒアリング等における主な意見」、資料2「拠出時・給付時の仕組みについて」を続けて御説明いただいて、その後に委員の皆様方から御質問、さらには御意見を頂戴したいと考えております。
それでは、事務局のほうから資料につきまして御説明をお願いいたします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
資料1をお開きください。資料1と資料2を通しで御説明申し上げます。時間の関係でかいつまんでの説明になることをお許しください。
資料1の1ページ、企業年金・個人年金部会における主な検討課題の設定に当たりまして、関係団体の皆様からヒアリングを実施しました。本資料は、ヒアリングにおける関係団体からの御意見と、これまでの部会委員からの御意見を分類した上で、事務局の責任において整理したものです。御意見を改めて整理しますと、意見が重なっている部分があり、検討課題が浮かび上がってくると思っております。
2ページ、まず総論部分ですが、「取り巻く環境の変化」として、
・高齢期の長期化、
・高齢者の就労は今後さらに拡大、
・マクロ経済スライドによる公的年金の給付水準の調整が本格化、
・そのような中、高齢期の経済基盤の充実には、企業年金制度の普及と個人の自助努力への支援が必要不可欠、
・高齢者雇用を含めて、人材の多様化、労働移動が活発化、
・企業においては、「多様な人材が、多様な働き方をする」ことを前提とした対応が必要不可欠、
・グローバルベースで競争が激化する中、企業の枠組み自体が変化、
・企業規模の大小を問わず、M&A等による事業再編が活発化している
といった御意見がありました。
「企業年金の位置付け」について、労使双方から、
・報酬・福利厚生制度の一部であること、
・退職給付由来であること、それが労働条件の一部であること
といった御発言があった一方で、部会委員から、
・日本の場合は諸外国にない特徴として、もともと退職金制度の伝統・歴史があるが、そのままでいいのか、選択を政策上迫られる
といった御意見がありました。
3ページ、「企業年金の現状」について、第1回の部会で私どもから説明した点について、各団体、委員からも同様の認識、指摘をいただきました。
「公的年金と私的年金の在り方」について、
・公的年金制度をめぐる議論の行方を十分踏まえた上で、企業年金・個人年金の在り方も議論する必要がある、
・公的年金では所得再分配を強化し、公私全体のバランスをとればよいのではないか
といった御意見がありました。
「企業年金と個人年金の在り方」について、
・これまで「積み上げ型」で考えてきたが、「穴埋め型」の制度にしていくべきであり、それがフェア、
・中小企業に無理に企業年金を持たせることが目的ではなく、一人ひとりの労働者の老後所得の確保をサポートすることが目的、
・両制度の長所を生かす
といった御意見があった一方で、
・自助努力を支援するだけでなく、企業年金そのもののカバレッジを広げていくことが必要
といった御意見がありました。
4ページ、「拠出時・給付時の仕組み」ですが、「改革の視点」として、個々人の働き方の多様化に対応できるような制度設計が必要といった御意見がありました。
「拠出時の仕組み」として、DBについて、
・加入可能年齢を75歳まで、
・加入者掛金の柔軟な拠出、所得控除額の拡大を検討、
・現在拠出限度額が設定されていないが、労使合意を前提に自由な制度設計を妨げないことが重要
といった御意見があり、DCの加入可能年齢について、
・企業型DC・iDeCoの双方において、加入可能年齢の拡大を検討、
・同一事業所要件を見直すべき
といった御意見があり、企業型DCの拠出限度額について、
・企業の退職給付制度の基幹的な役割としての制度設計を可能とする観点で、さらなる見直しが必要、
・現行の拠出限度額では、確定拠出年金を主体とした退職給付制度の構築が困難であり、引上げを検討、
・拠出限度額はできるだけ簡素化し、十分な水準とする必要、
・DB併用型の企業型DCの拠出限度額の制限、現行5.5万円の2分の1ですが、これの廃止を検討、
・給付の十分性といった観点から、公的年金とあわせてどの程度の拠出限度額が必要になるのかといった点を中長期的に議論、
・具体的な生活水準を想定した家計アプローチに基づく検討
といった御意見があり、個人型DCの拠出限度額について
・引上げを検討、
・中小企業における普及の問題、非正規における退職給付の問題がある中で、税制優遇で自助努力を支援していくことに、どういう合理性があるか
といった御意見がありました。
「給付時の仕組み」として、DBの支給開始要件について、
・支給開始年齢についても見直し、
・定年延長等の雇用延長に伴ってDBの給付設計を見直す場合、給付減額判定基準について見直し、事務手続の柔軟化や手続の簡素化
といった御意見があり、DCの受給開始可能期間について、
・加入可能年齢を引き上げても現行どおり60歳から、
・裁定請求の期限となっている70歳を引上げもしくは撤廃、
・通算加入期間10年にかかわらず、60歳から受給可能とすべき
という御意見があった一方で、
・通算加入者等期間が10年以上の場合は60歳以上75歳未満の任意の資格喪失以後75歳までの任意の時点で受け取る
といった御意見があり、DCの中途脱退について、
・要件を緩和、
・外国籍人材の雇用が増加する中、引き出し時の一定の課税(追徴課税)を条件に、中途引き出しを可能とする選択肢を検討すべき
といった御意見があった一方で、
・中途脱退を安易に認めるべきでない、
・緊急時における融資制度も考えられるのではないか
といった御意見があり、受給の形態について、
・一時金での受給を選択。法が要請する「企業年金の年金性と高齢期の安定的な所得保障を確保する」観点からは課題が大きい、
・老後のためであれば終身であるべきなのか、しかしながら終身年金を強制できるのか、もらい方の部分の議論を、
・終身年金である公的年金と役割分担、
・長生きリスクを公的年金に、
・年金でもらおうが一時金でもらおうが構わないのではないか、
・受給時の課税の見直しを検討
といった御意見がありました。
7ページから「企業年金の普及・拡大」、9ページから「個人の自助努力を支援する環境の整備」、11ページから「企業年金のガバナンスと資産運用」「その他」と続きますが、各テーマを議論する際に、その都度、ヒアリングでどのような項目、意見があったかについては、毎回御紹介をしたいと思います。
続けて、資料2をお開きください。
ヒアリングで浮かび上がった各検討課題について、順次、資料を整理していきますので、御議論をいただきたいと思います。議論の1巡目は、まずは制度の考え方、ファクト、数字をしっかり資料として出していきたいと思います。本日は、拠出時・給付時の仕組みにかかわる部分について資料を用意させていただいております。
2ページをご覧ください。企業年金・個人年金の沿革については、第1回の部会において私から説明し、ヒアリングの際も労使双方から御説明がありました。いま一度確認しますと、我が国の企業年金の源流は、この年表より前の退職一時金にあります。1950年代半ば、その一時金の支給額が増大し、費用を平準化する観点から、一部の企業で自社年金が始まり、それが1962年の適格退職年金、66年の厚生年金基金につながり、その後、確定給付企業年金、確定拠出年金に変遷してまいりました。その後の改正経緯は第1回の部会で御説明したとおりです。
3ページ、そのDB・DCの制度創設の経緯・期待されていた役割です。DBは企業の退職給付制度の中で企業のニーズに柔軟に対応できるよう設計された適格年金や厚年基金を継承した確定給付型の統一的制度として創設されました。老後の生活設計が容易であることから、長期雇用が中心となっている大企業で導入しやすいと考えられました。
DCは、米国401(k)を参考にしつつ、老後の所得確保を達成するために、貯蓄との違いを考慮した年金制度として設計・創設されました。年金資産の持ち運びが容易であることから、離転職の多い中小企業でも導入しやすい制度と考えられました。
DB・DCは、それぞれ制度創設の経緯や期待されていた役割は異なるものの、公的年金の給付と相まって、老後の所得確保の一層の充実を図る点は共通しています。
4ページ、DBの制度的特徴の考え方です。DBは、適格年金や厚年基金の移行の受け皿としての位置づけであったことから、両制度の特徴を継承しています。
掛金の拠出限度額は、適格年金・厚年基金にはなく、DBにもありません。
加入可能年齢は、適格年金は任意の年齢、厚年基金は70歳まででしたが、DBは厚年基金同様、厚生年金の適用事業所で実施されるものであり、70歳までとなっています。
支給開始要件は、適格年金は任意の年齢でしたが多くの企業で退職時に支給、厚年基金は65歳以下の規約で定める年齢となっており、DBはこれらをあわせる形で、60歳から65歳までの規約で定める年齢到達時、または規約の定めがある場合は50歳以上の退職時となっています。
年齢到達前の中途引き出しは、適格年金・厚年基金には制限がなく、DBにも制限はありません。
受給の形態は、適格年金は制限がなく、多くの企業で一時金を支給し、厚年基金は代行部分と上乗せ部分は厚生年金同様、終身年金で、加算部分は有期年金も可能となっています。DBはこれらをあわせる形で、終身・有期年金のほか、規約の定めがある場合は一時金も可能となっています。
一方、5ページはDCの制度的特徴です。DC制度の創設の検討に際して、拠出された掛金が個々の加入者の持分として明確化され、その持分について加入者が自らの選択によって自己責任で運用し、その運用の結果得られた資産額がそのまま給付額となること、加入者は預貯金や投資信託など通常の貯蓄商品から自由に選択した上で運用していく仕組みであること等から、これでは「貯蓄」と何ら変わらないのではないかという議論がありました。
こうした議論の中で、資産が老後の所得保障となることを担保するための要件を課すことで、確定給付型の「年金」と同様の税制優遇措置が認められることになりました。その要件とは具体的に緑の箱の部分の4要件で、これにより年金のような拠出・給付に近づけており、特に1の中途引き出しの原則禁止が特徴的となっています。
6ページをご覧ください。2007年7月の企業年金研究会の議論の抜粋を掲載していますが、企業年金については、「労使合意を基本とした、企業や従業員の実情及びニーズを踏まえたできる限り自由な制度」か、「公的年金との関係を重視した、従業員の老後所得保障機能をより強化した制度」か、その方向性を巡ってかねてより議論が行われてきた経緯があります。
7ページをご覧ください。前回改正の検討の際は、主に老後所得保障機能の強化の観点から議論がなされました。将来の方向性としては理解できるものの、企業年金、特にDBが現に退職金として活用され、従業員の退職後の生活にとってかかせないものになっているという現状を踏まえれば、早急な制度改革は制度の普及・拡大を阻害するということで、引き続き議論、今後の検討課題とされました。
8ページをご覧ください。前回改正では、企業年金、DB・DCの方向性については結論を見なかったわけですが、一方で、企業年金の普及・拡大、ライフコースの多様化への対応として、中小企業向け施策の充実、iDeCoの加入者範囲をこれまでの1号被保険者と企業年金のない2号被保険者から、企業年金加入者、公務員等共済加入者、3号被保険者にまで拡大等の実現がなされました。
これまでは私的年金と言えば企業年金が中心で、企業年金のない2号被保険者と1号被保険者には個人年金といったように、企業年金か個人年金かの二者択一だったわけですが、企業年金と個人年金の組み合わせにより、老後の所得確保を図ることができる環境が整備されたところであります。
9ページをご覧ください。企業年金・個人年金は税制と切っても切れない関係にありますので、政府税制調査会における議論を押さえておく必要があると思います。現在、政府税調において、老後に向けた資産形成について税制の観点から議論がなされています。同調査会において森戸教授から提案がなされました。先生御本人がいらっしゃる中、どこまで先生の真意を私どもが理解できているかがありますが、私から僣越ですがポイントを御説明させていただきます。
まず、4つの発想の転換が必要だということです。1つ目が「企業年金」から「引退後所得保障」へという発想の転換です。適年廃止、厚年基金が縮小、中小企業を中心に企業年金がない被用者が増えています。2016年改正でも中小企業向けの対応をしたものの、もっとも、引退後所得保障の確保手段が「企業年金」である必要はなく、真の政策目標は、中小企業が企業年金を持つことそれ自体ではなく、中小企業の労働者が老後所得確保のすべを持つことではないか。自助努力へのサポートでもよいはずで、国民の引退後所得保障をどう図るのかという、より広い視野が必要。
2つ目が「積み上げ型」から「穴埋め型」へという発想の転換です。年金制度は国民年金、厚生年金、企業年金と3階建てとよく言われますが、全国民について3階建てではない。自営業者であったり、中小企業の労働者、非正規労働者は2階、3階がなかったり、薄かったりする。その中で企業年金になぜ税制優遇なのか。企業年金のある方のみを優遇することは、ある意味「金持ち優遇」ではないか。なかでも確定給付型は拠出限度額がありません。他方で、企業年金とその原型たる退職金制度が日本の雇用において担ってきた役割も軽視すべきではない。日本的雇用における人事管理ツールの1つであり、企業年金・退職金の実施意欲をそぐ改革はすべきでない。
企業年金の「退職金」としての性格を完全に消し去ることは無理だが、実態として「退職金」である制度だけでは、自営業者や非正規労働者などの引退後所得保障が不十分になる。企業年金以外の枠組みにまで視野を広げるべきではないか。
そこで、「積み上げ型」から「穴埋め型」の発想転換をということですが、「積み上げ型」だと、要は積み上がらない人たちに不公平で、その厚さも違うのに、3階があるから同じ扱いというのもおかしいわけです。逆に考えて、全国民に等しくやってくる老後に、全国民一人一人が何かで備えなければいけない。そのために税制の枠を等しく与える。その枠をそれぞれが何でどう埋めていくのかの問題。ただし、低所得者だと税制優遇の枠をもらっても埋まらないかどうか。それをドイツはリースター年金の中で補助金という選択肢を採用したところです。
10ページに移っていただきまして、3つ目の「個人型DC」から「日本版IRA」「国民退職所得勘定」へという発想の転換です。この点、本日御欠席ですが、臼杵先生などから既に具体的な案として出されていますが、要約しますと、1つ目のポツ、全国民について、個人別に老後のための非課税貯蓄枠を設ける。2つ目のポツ、拠出時・運用時非課税、支給時課税のいわゆるEET型にする。3つ目のポツ、企業年金がある場合は、DB・DCへの企業の拠出額を上限額から控除し、残余がある場合は個人の所得から非課税拠出が可能。なお、DBは実際の拠出額ではなく、一定の前提を置いて数理的に計算。4つ目のポツ、拠出限度額の使い残しの枠は翌年以降への繰り越しを認める。5つ目のポツ、脱退一時金や退職一時金もロールオーバーできるようにする。ただし、クリアすべき問題として、DB掛金の換算方法、マイナンバー、引き出し要件などがあります。
最後に4つ目ですが、受給の形態です。DB法・DC法の条文には「公的年金の給付と相まって」とあり、終身年金であれば長生きリスクに対応できるが、企業年金給付の多くは一時金で、年金といっても有期年金。では、終身給付を義務づけるべきか、少なくとも誘導するべきか。しかし問題もあり、「つなぎ年金」という発想があってもいいのではないか、といった提案がなされております。
11ページ、森戸先生の御提案を受け、政府税調において委員から出された意見を財務省から提供いただいています。
・自助努力による老後の備えがますます重要、
・老後は全国民に等しく訪れる、
・働き方の多様化が進む中、国民の引退後所得保障をどう図るか、
・イギリス・カナダを参考に、非課税積立の枠を持つことを目指してはどうか、
・iDeCo、NISAなどさまざまな制度が併存しており、複雑。諸外国の共通枠管理の制度は簡素で分かりやすい、
・縦割りでなく、税制の観点から制度横断的に考えるべき、
・各制度それぞれ制度の趣旨があるほか、様々な専門的・技術的論点もあるので、時間をかけて丁寧に議論すべき
といった意見があったとのことです。
12ページ、政府税調で示された資料ですが、イギリス・カナダは企業型DBと企業型DC、個人型DCの共通の非課税枠というものがあります。一方で、フランスは、企業型DCと個人型DCの共通の枠があります。
13ページも政府税調で示された資料ですが、老後の備え等に対する自助努力(資産形成)への主な支援措置の現状として、公的年金、私的年金のほかにも、NISAや個人年金保険、マル優、財形、退職金共済などがあります。
続きまして、「拠出時の仕組み」であります。
15ページは、DBとDCの拠出・給付の仕組みの全体像です。拠出については、「掛金・拠出限度額」と「加入可能年齢」が論点としてあります。
16ページ、拠出限度額の一覧です。従来からあった拠出限度額に加えて、iDeCoの加入者範囲の拡大により赤囲みの部分が新設されました。本日は企業年金部分を中心に御議論いただきたいと思います。
17ページ、拠出限度額の考え方です。DBはあらかじめ給付の算定方式が決まっている仕組みです。給付を賄うための掛金を計算し、事業主が掛金額を拠出します。掛金は拠出時に集団、加入者全体の資産となり、この時点で資産は個人の加入者に帰属しません。資産の運用は全体で行います。受給権保護の観点から年金資産の積立基準が適用され、積立不足が生じたときは、事業主が掛金を追加拠出し、一定期間に不足分の解消を図ることが必要となります。積立上限額はあるものの、掛金に拠出限度額はなく、事業主拠出の全額が損金算入されます。
一方、DCについては、事業主又は加入者が拠出した掛金が個人別管理資産として加入者ごとに管理されます。この時点で資産は個々の加入者に帰属します。非課税の拠出限度額があり、その範囲内で事業主・加入者の拠出ができます。資産の運用は個々の加入者が行います。企業型DCの拠出限度額(現行・月額5.5万円)は、厚生年金基金の望ましい上乗せ水準を勘案して設定し、企業型DCと確定給付型を併せて実施する場合、企業型DCの拠出限度額は一律半額(現行・月額2.75万円)となっています。
掛金の論点は、下の絵の部分、1つは企業型DCの拠出限度額の水準、2つ目は確定給付型自体に拠出限度額がないこと、3点目は、確定給付型に限度額がないことに関連しますが、企業型DCと確定給付型を併せて実施するときは、確定給付型を一律2分の1に評価し、確定拠出の拠出限度額分は残り2分の1としていることの3点です。
一つ一つ考え方を整理します。18ページをご覧いただきまして、まず、企業型DCの拠出限度額、月額5.5万円についてです。第1回の部会でも説明したとおり、この5.5万円は、厚生年金基金の望ましい上乗せ水準、マクロ経済スライド調整後の公的年金と合わせて退職前給与の6割を勘案して設定しています。退職前給与の6割水準とは、※1の部分で赤字で書いてありますが、設定当時、具体的には月額35万円になります。上乗せ分としては、※2の部分ですが、2004年財政再計算結果に基づくマクロ経済スライド調整後の2050年度の公的年金額を賃金上昇率で割り戻して現在価値にすると、公的年金分が20万円で、上乗せ分が差し引きで赤字で書いてある15万円になっています。
19ページ、その退職前給与の水準ですが、足下で見ればやや増加傾向にあります。
20ページ、拠出限度額の設定に当たって具体的な生活水準を想定した家計アプローチが必要との意見もヒアリングでありましたが、35万円という給付のモデルは、高齢者世帯の消費支出・非消費支出の合計の水準を上回っています。
21ページ、こちらは民間の調査ですが、老後に求められる生活費水準として、最低日常生活費が平均22万円、ゆとりある上乗せ額が平均12.8万円、足し合わせて35万円程度となっています。
22ページ、企業型DCの掛金の算定方式ですが、8割以上が昇格・昇給に伴い掛金額が増えるタイプの設計を実施しています。
23ページ、事業主掛金の額と拠出限度額の関係について尋ねたところ、事業主掛金の一番高い者が拠出限度額と同額になる設計である企業型DCが9.2%、事業主掛金の額が拠出限度額を超えている加入者が存在する企業型DCが14.2%あります。拠出限度額を超え、差分を調整している場合の調整方法は、拠出限度額を超えた部分を前払いとして給与や賞与に加算して精算している企業型DCが64.0%、他の退職給付制度、DBなどになりますが、これらの給付に反映させて退職時に精算している企業型DCが32.6%あります。
24ページ、現行拠出限度額に係る給付水準として一つの試算を行いました。昇格・昇級に伴い掛金が上昇していくのが一般的ですので、給与のピーク時の掛金が現行拠出額である5.5万円となるよう掛金率を設定しました。具体的には7.49%となりますが、その掛金率を全ての年齢の給与に適用して40年間拠出し続けた場合、運用利回りによってもちろん結果は異なりますが、運用利回り1.5%のケースで一時金換算額約2400万円・年金月額約12万円、運用利回り2%のケースで一時金換算額約2600万円・年金月額約13万円となります。この年金払いの試算に当たっては、20年の有期年金で、毎月の受け取りとして一定の手数料も考慮して計算したものです。
25ページは昨今の退職給付水準となっています。
26ページ、続きまして、DBの話をさせていただきます。DBについては、労使合意に基づき柔軟な給付設計が可能となっています。最終給与比例方式やポイント制といった給付設計があります。給付を決めた上で、その給付と財源が等しくなるよう、集団全体で収支が均衡するよう、掛金を計算します。
27ページ、DBの掛金は、財政方式により様々な算定方式があります。財政方式の一つである「加入年齢方式」では、標準的な年齢の加入者において将来の給付と収入の現在価値が等しくなるように、将来の給付を賄うための標準掛金を設定します。この掛金率を現在の加入者及び将来の加入者に適用するため、過去勤務期間を通算する場合や実際に標準的な年齢以外の年齢で加入してきた場合には、今後または今までの標準掛金の収入のみでは過不足(過去勤務債務)が発生します。不足が生じた場合には特別掛金で償却します。
28ページ、DBの掛金には、標準掛金のほか、積立不足が生じた場合にその不足額を解消するための特別掛金、あらかじめ将来発生するリスクに対応するためのリスク対応掛金などがあります。これらの掛金も加入者集団全体に対して拠出するものであり、個々の加入者には帰属しません。
29ページ、確定給付型は拠出限度額がないわけですので、そのような確定給付型と企業型DCを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額、現在月額5.5万円の半額2.75万円としていますが、その考え方です。
厚生年金基金には代行部分に上乗せして支給する独自の給付があり、この上乗せ水準は代行給付の3割以上確保することを求めています。この上乗せ水準は各基金によってもちろん差があったわけですが、DC制度創設の検討当時、上乗せ水準の平均は代行部分の0.86に相当しました。当時の望ましい上乗せ水準は代行部分の1.7であったことから、上乗せ水準の平均は望ましい上乗せ水準の概ね2分の1に相当したことになります。
企業型DCの拠出限度額は、望ましい上乗せ水準を掛金ベースに変換することで設定しましたが、確定給付型を併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、各基金の上乗せ水準の平均が望ましい上乗せ水準の概ね2分の1であったことを踏まえ、残り部分という考え方から、企業型DCのみを実施する場合の一律半額としたわけです。このように、確定給付企業年金ごとや、ましてや加入者ごとの給付水準から算出したものではありません。
30ページをご覧いただきまして、では、DBでは全く加入者ごとの給付水準を計算していないかと言えばそうではなくて、受給権保護の観点から設けられている最低保全給付・最低積立基準額の計算に当たっては、加入者や受給者ごとに加入期間に応じた給付水準(給付額)を算出しています。
31ページは、キャッシュバランスプランです。DB制度に位置づけられていますが、DBとDC双方の特徴を併せ持つもので、両者の垣根は低くなっていますが、拠出限度額がある制度と限度額がない制度と差があります。
資料にはないですが、若干補足させていただくと、企業型DCの拠出限度額は、1つの給付水準のモデルから月額5.5万円を算出しているわけで、DBにおいても給付水準ごとに一定の算出を行えば、拠出面への評価は数理計算上可能です。それを現在はやっていないわけですが、イギリス・カナダのように国民共通の非課税積立の枠を考えたり、DBとDCの公平といった面を考えたりするときに、DBの拠出をどう評価・管理していくのか。その際には、公平を追求すれば、その分、簡素という面は失われるといったトレードオフの関係にある中で、事務処理、システム面を含めて考えていかなければいけない点かと思います。この点は、本日御欠席の臼杵委員の資料にもこのような趣旨のコメントがあるので、御紹介をさせていただきました。
32ページをご覧ください。ここからは加入可能年齢です。
DBの加入可能年齢は、厚生年金基金と同様に、厚生年金の加入期間に合わせて70歳までです。DCの加入可能年齢は、受給開始可能期間が60歳以降となっていることとの関係から、一律60歳までとされていました。その後、2011年の改正により、企業型DCについては、規約で60歳以上65歳以下の一定の年齢に達したときに資格喪失することを定めており、60歳前と同一の実施事業所で引き続き使用される加入者は、60歳以降当該規約で定める年齢に達するまで加入可能とされました。
33ページは第1回の部会にも提出した資料です。説明は省略します。
34ページ、雇用と公的年金の関係の推移につきましては、1994年から年金制度改正と高年齢者雇用安定法の改正という両者の連携により対応がなされています。1994年の年金改正以前は、60歳以降の生活は年金を中心としたものと位置づけられていましたが、1994年の改正で、年金については60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の定額部分の引き上げを開始しまして、これを受ける形で高年齢者雇用安定法も改正を行い、60歳台前半は雇用の促進を図りながら、雇用と年金を組み合わせていただくという位置づけになりました。
その後、2000年の改正では、年金については60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の今度は報酬比例部分の引き上げを開始しまして、高年齢者雇用安定法のほうは定年の引き上げなどにより高年齢者雇用確保措置の導入が努力義務化されることになりました。その後、2004年の改正で高年齢者雇用確保措置が義務化され、さらには2012年の改正で希望者全員の継続雇用が義務化されました。こうした年金、高年齢者雇用安定法の改正によって、60歳台前半については、雇用を中心とした期間という位置づけになってきていると評価できるかと思います。
このような公的年金と雇用の改革の流れの一方で、企業年金・個人年金制度においては、2011年の法改正で企業型DCの加入可能年齢などについて一部の対応が行われただけにとどまっています。
35ページは高年齢者雇用安定法の概要です。60歳未満の定年禁止、65歳までの雇用確保措置を定めています。
36ページはその施行状況です。1の(1)のグラフの部分、高年齢者雇用確保措置として、継続雇用が79.3%、定年の引き上げが18.1%、定年制の廃止が2.6%となっています。定年の引き上げのところですが、65歳定年企業は(2)を見ていただいて、16.1%となっています。66歳以上働ける制度のある企業は、ページの右の2の部分、27.6%となっています。
37ページ、我が国の60歳台の就業率は諸外国と比べて高い水準にありますが、確定拠出年金の拠出可能年齢は60歳になるまでと短くなっています。
38ページ、OECD報告書では、より確実に十分な退職所得を老後に得ることができるよう、長期間のDC拠出を奨励しています。
続きまして、「給付時の仕組み」です。
40ページの資料は15ページを再掲したものですが、給付時の仕組みについては、「支給開始要件(年齢)」、「受給開始時期の選択」、「中途引き出し」、「受給の形態」が論点としてあります。
41ページ、DBでは、従業員の老後の生活を安定させるための年金制度との位置付けから、一定の年齢に達した場合に支給を開始することを原則としています。また、制度創設時に、多くの適格退職年金が退職時に支給を行うこととしていた実態を踏まえ、労使で合意した場合には、50歳以降の退職時にも支給を開始することができるとしています。
DCでは、単なる貯蓄とは異なるという制度趣旨のもと、受給開始可能期間を設定し、60歳以上としています。また、老後の所得確保のための制度として一定期間の掛金拠出が必要であることから、短期間で支給に結びつかないよう加入等期間に応じた受給開始可能期間が設けられています。
42ページは受給開始可能期間を図解したものです。DBの支給開始要件は、1の60歳から65歳の間で規約で定める年齢に達した場合、または2の50歳以上で1の規約で定める年齢未満の規約で定める年齢以後の退職の場合で、後者の方を定めるかは任意となっています。支給開始要件に到達しても、規約の定めがあれば、繰り下げも可能となっています。繰り下げの手続を個々人でとれば65歳以降も受給可能ですが、各社の規約で決めることができる1の一律の支給開始要件は最大でも65歳までしかできません。
右側のDCは、現在、資格喪失後、60歳から70歳までの任意の時点で請求が可能です。
43ページ、DBでは、企業の退職給付制度の中で企業のニーズに柔軟に対応できるよう設計された適格退職年金や厚生年金基金の後継制度であり、退職時の支給は自由に認められるべきとの考え方から、退職等を事由として、支給開始要件到達前の中途引き出し、いわゆる中途脱退が広範に認められています。
一方、DCでは、単なる貯蓄とは異なるという制度趣旨のもと、中途引き出しは原則認められていません。この基本的な考え方は、諸外国の制度でも共通しています。アメリカ・イギリスなどでは、引き出す場合はペナルティー・タックス付きでという条件もありますが、日本の税の論理や実務に乗るかといった点も課題です。
44ページ、DC制度に対する改善点として中途引き出しの緩和を求める声がありますし、ヒアリングでも御意見をいただきました。
45ページ、公的年金における外国人脱退一時金制度の概要です。ヒアリングでは、企業型DCにおいて、外国籍の方に関して厚生年金の脱退一時金と同様の仕組みを設けることができないかといった御意見もいただきました。この点については、強制加入の厚生年金と、希望制を採り得るDCを同様に取り扱っていいのかといった点も論点になると思います。
46ページをご覧いただきまして、DBについては、労使合意に基づき柔軟な制度設計が可能とされていることから、労使が一時金の可否や年金の場合の期間を選択することができます。一時金化が認められている場合、受給権者は支給開始要件(年齢)に到達した際に年金か一時金かを選択することになります。
DCについては、受給権者が受給開始請求時に受給方法を選択します。この際、年金としての実質性を確保するため、一定の要件が設けられています。一時金化を可能にするか否かは、DBと同様に労使の判断となっています。アメリカ・イギリス・ドイツの状況を掲載していますが、イギリスはかつては年金での受給を義務づけていましたが、近年、受給方法を多様化したと承知しています。
47ページ、DB・DCともに、相当数が一時金受給を選択しています。特にDCでは、企業型・個人型ともに9割程度と、この傾向が顕著となっています。これは、我が国では退職一時金制度が先行して普及・慣行化した経緯があること、受給者にとっても退職時に多額の一時金を必要とするニーズがあること、年金と一時金に対する社会保障制度や税制の違いがあること、DCは個人の資産額が低額のケースが多く、また年金でもらう場合は振込手数料、例えばiDeCoの場合は432円がかかるなど、さまざまな要因があると指摘をされております。
48ページ、民間の調査になりますが、退職金の主な使い道を尋ねたところ、生活資金に充てる人の割合が高くなっていますが、住宅ローンの返済に充てる方も一定程度います。退職金の額が低い層ほど、消費済み、生活資金、住宅ローンの返済に充てる人の割合が高い状況にあります。
49ページ、DB・DCともに、有期年金の実施割合が高くなっています。DBの基金型は、終身年金の仕組みである厚生年金基金が移行したケースが多いことから、終身年金の割合がわずかに高く、有期年金の期間も長期化しているものと考えられます。企業型DCでは、受給権者が終身年金での受け取りを行うためには、事業主が生命保険会社から提供する終身年金受け取りの可能な商品を選択肢として設定し、受給権者がその当該商品を購入することが必要になります。
50ページはDCの受給開始時の商品選択のプロセスを図解したものになります。
51ページ、我が国のDBは、退職一時金と老齢給付一時金が同額となるように設計するとともに、年金として受け取ったとしても、退職一時金相当額が保証されるよう設計するのが一般的です。このような設計を行う場合、保証期間部分を超える終身部分の年金現価相当額は企業が負担することになりますが、平均余命の延伸に伴ってこの負担は増加します。
52ページ、公的年金は御案内のように65歳の支給を70歳まで繰り下げることができ、その場合の増額率は42%となっています。高齢期の就労期間の延伸を公的年金制度上も反映するとともに、より柔軟な受給のあり方について検討が進められていますが、これに更に充実した私的年金を組み合わせることで選択肢が生まれると思います。
53ページをご覧いただきまして、1のフル就業できているうちは公的年金を繰り下げ、引退後、増額した公的年金と私的年金を含む貯蓄の取り崩しで、長期化する高齢期の生活水準を確保できます。2の部分就業・短時間就業の際は、公的年金を部分受給し、一部を繰り下げることも制度上可能です。世帯であれば、妻だけを繰り下げるということも可能となっています。この2の際に、公的年金の代わりにまずは私的年金を充てるということができれば、公的年金を繰り下げ、または一部繰り下げということも可能となります。いずれにいたしましても、長期化する高齢期に、就労、公的年金、私的年金の3つを組み合わせていくことが大事になります。
長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
 
○神野部会長
どうもありがとうございました。
資料1につきましては、本日取り上げます個別論点が拠出時・給付時の仕組みについてでございますので、総論と拠出時・給付時の仕組みについて焦点を絞って御説明をいただいた上で、拠出時・給付時の仕組みについて、資料2に基づいて御説明を頂戴いたしました。
それでは、ただいまの御説明いただいた資料についての御質問、御意見、さらには今日の論点で取り上げております拠出時・給付時の仕組みについて、御議論を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございます。
どうぞ。
 
○小川委員
日本年金数理人会の小川でございます。よろしくお願いします。
資料2の29ページに関して少しお話をしたいと思います。大きく2つございますが、第1回の部会でもこの企業型確定拠出年金の拠出限度額については話題になったところであると思います。1点目は若干専門的な話になりますが、このページは、確定給付型を併せて実施する場合の企業型確定拠出年金の拠出限度額を非常に分かりやすく示したページだと思うのですが、簡単に言いますと、その図にございますように、望ましい上乗せの給付水準をまず算定して、そこから確定給付型の年金制度の水準を減算して、引き算して求めているという構図です。この引き算のほうについて3点ほど気づきがございます。
資料にありますように、まず1点目は、算定している母体が、本日現在ではほぼ収束してしまっている厚生年金基金を母体にして計算しているということです。これにつきましては1回目でも、厚生年金基金がなくなっていく中で今後どうやっていけばいいのかという意見が別の委員からございました。
2点目は、上に書いてありますように、算定時期そのものが確定拠出年金の創設検討時、すなわちおよそ今から20年前になると思いますので、かなり古いのではないかと思います。
それから、この0.86という計算をして、1.7の約半分ということで、一律に適用しているということでございます。
これらについて若干修正していくために幾つか考えられるのですが、まず容易に考えられるのは、現時点の確定給付企業年金でこれを計算し直すことがよろしいのではないか。それによって半分というところはきちんとエビデンスがつくということだと思っています。
それから、3点目に挙げました一律適用のところなのですが、こちらにつきましては、考え方を決めればこの4つ目の○にございますように、確定給付企業年金ごとに計算するということは不可能ではないと思うのですけれども、この5.5万円の半額というのが既に一定期間適用して、2つの企業年金制度が創設されてから時間も経っていますので、これまでどおり一律に計算するというのも一つの考え方としてよろしいのではないかと思ってございます。
ただ、これが1点目にあったように厚年基金であるとか、2点目にあったように古いということを考えれば、1回計算した場合に、一定期間で見直しが必要になってくるのではないかと思っておりまして、例えばですけれども、公的年金の財政検証のサイクルは5年に1度ですので、5年に1度データをとり直して計算すると。ただし、この比率については、大きく動かなければ、一定の枠を超えて変動しなければ従前のものを使い続けるというような緩和措置をとってこの限度額を運営していってはどうかと思います。やや専門的なのですけれども、これが1点目でございます。
最後に2点目ですけれども、これは資料を離れるのですが、この水準というのが仮に確定企業給付年金で計算できたといたしますと、そこから逆算して、これまで議論になっているDBのほうは限度額がないではないかという話。では、水準が測れるのだったらその水準から限度額を逆にとれるのではないかと考えることもできなくはないと思うのですが、私の考えといたしましては、現在、別途、国の財政検証がまさに行われているところでございますけれども、マクロ経済スライドが今後はきちんと発動されていく、本格化していく中で、公的年金の所得代替率については少しずつ下がっていくのではないかというのは、前回も出ておりますし、今回も出される可能性は高いと。そういった環境下におきましては、これまで既にかなり厚い水準の確定給付型企業年金が世の中に一定程度普及している中で、DBの限度額を新たに設けて規制していくということは、全体的な目的としては老後の所得確保ということでございますので、そういった観点からも要請に逆行するような規制というのは軽々に入れるべきではないのではないかと考えております。もちろん税の観点から、あるいは公平性の観点から十分に議論すべきことではあると思いますけれども、今申し上げたような環境下におきましては、十分によく検討して、それを考えていくことが必要ではないかと思います。
以上でございます。
 
○神野部会長
1のほうの特に技術的なコメントについて、事務局からコメントがあれば。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
企業型DCの拠出限度額ですが、確定給付型を併せて実施する場合を含めて、経緯的に見れば、厚生年金基金をモデルに設定してきています。この厚生年金基金は既に8基金になっていますので、新たな限度額を設定しようとすると、もはやこれまでの前提どおり、このモデルで計算するのはなかなか厳しいのではないかと考えています。
また、御指摘のとおり、確定給付型を併せて実施する場合の2分の1評価の部分ですが、これを考えた時期がDC制度創設時でして、その当時の厚生年金基金の状況で設定した後、見直しを行ってきていません。その後、厚生年金基金は給付減額が相次いでいますので、DBの実態を見れば当時よりおそらく給付水準は低くなっているだろうという推測はできるわけです。
小川委員からは、DB全体を一つで見るべきという御指摘だったかと思いますが、DBごとに給付水準を見ることもできますし、最低保全給付の話を本日の資料の中に入れておりますが、DBの加入者ごとにこの給付水準を見ることももちろん可能です。ただ、どのように評価し、それを管理し、また小川委員の言うようにどのような周期で見直していくか。毎年見直していくのか、5年ごとに評価し直していくのか。公平性と実務のフィージビリティー、こういう点を併せて考えていかなければいけないのではないかと思っております。
また、DBとDCを併せて実施するときのDC側の拠出限度額の評価だけに使ってはどうかという御指摘だったかと思います。そういう考え方ももちろんできると思いますし、現行がまさにそういう状況になっています。しかしながら、資料2の16ページの拠出限度額の青い箱とピンクの箱について、第1回の資料でも出させていただいているわけでありますが、DBごとに、もしくは加入者ごとに給付水準を評価し、拠出額に換算すれば、今、確定給付型の部分は白いブランクにしていますが、個々のDBごと、加入者ごとによっては、ここの額が変わってくるわけです。そうなりますと、例えば、DCの確定給付型を併せて実施しているところの限度額が2.75万円ですが、DBだけで今の全体水準の5.5万円を突き抜けているところも多分あるでしょうし、DBの拠出額がもっと薄くて、DCの青色の部分の拠出額がもっと下に来てもいい、広くなってもいいというようなDBもあるのだと思います。ここのあたりを、先ほど言いましたが、公平の論理と実務のフィージビリティーを考えていかなければなりません。また、そもそも、DBに限度額を設けるかという大きな論点もまずはあろうかと思います。
 
○神野部会長
ありがとうございます。よろしいですか。
ほかはいかがでございますか。お願いします。
 
○内田委員
労働側の内田です。私からは2点意見させていただければと思います。
企業型DCの拠出限度額についてと、中途脱退の要件についてです。まず企業型DCの拠出限度額については、ヒアリングで複数の団体様から意見があったところですが、スライドの23にありますとおり、実態として事業主の掛金が拠出限度額未満であるところが約8割と大勢を占めております。さらに、給付面から見ても、スライドの24にありますが、その試算によりますと、運用利回り1.5%で、60歳以降の受給月額が11.5万円とあります。それに2014年の財政検証によるモデル世帯の公的年金受給月額、21.8万円を加えますと33.8万円となります。この水準はスライドの21にあります老後の最低日常生活費と老後のゆとりのための上乗せ額の推移の月額の2016年の赤い囲みの下、ゆとりある老後の生活費の34.9万円と比較しても余り遜色はないと思います。このような現状を踏まえますと、拠出限度額の引き上げについては、どれだけ必然性があるといえるか、きちんと検討をすべきではないかと思います。これが1点めです。
もう一つ、中途脱退要件についてです。スライドの43に考え方がありますが、DCの年金制を担保するためには原則、中途脱退要件は不可とすることを維持すべきだと考えますが、自然災害や自身の責によらない理由などにより加入者が生活資金面で著しく急迫した場合には、ペナルティーなしでの引き出しを認めるなど明確な基準を設けるか、さらに検討をしたほうがいいのではないかと思います。
以上2点です。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
後ほど総括があればいただきますが、井戸委員、先に挙げていますので、どうぞ。
 
○井戸委員
ありがとうございます。資料の御説明もありがとうございました。
今、小川委員から拠出限度額の御説明があったので、私も拠出限度額と、給付のところ、それから1点だけ資料について御質問、この3つをお話ししたいと思います。
18ページにありますように、5.5万円という数字の根拠も分かりやすい資料でお示しいただいておりますし、あと、枠が使い切れないので穴埋め方式というのも出ていると思うのですが、ここをマッチングであるとか、iDeCoで加入できるように拠出していくという方向性に移っていくかもしれないと理解しています。そのときに、この5.5万円とか、2万3000円とか、1万2000円など、数字をしっかりお示しするのはいいのですけれども、月々の数字が覚えにくいのですね。細か過ぎる感じがします。
ちょっと大ざっぱかもしれないのですけれども、みんなが分かるように端数を切り上げる。例えば拠出なので6万円にするとか、もっと覚えやすい上限で、普及させるというのが大事だと思いますので、分かりやすい数字に端数処理でも検討していただければありがたいというのが拠出のほうでございます。
データの御質問なのですが、36ページのところに高齢者の方が何歳まで働かれるのかというデータがございます。(3)の70歳以上働ける制度のある企業の状況というのがございますが、ここのところは企業の規模がお示しないので、もし分かればお願いしたいと思います。
それから、給付のところ、50ページぐらいから全部重なってくるところかと思います。一時金を選んでいるところが多いというお話なのですけれども、退職所得控除、公的年金等控除の仕組みを最大限に活用して、税金や社会保険料の負担を軽減するというところにすごく注視されているのが少し怖いなと実感しています。注意点としましては、例えばまとまった資金を必要としないにもかかわらず、一時金のほうが得だからという形で、節税の観点からだけで一時金を受け取り、無計画に消費してしまって、生活資金が不足してしまったというような事例も目にすることが多いです。ですから、ライフプランに合わせて、安心につながるということを大前提にしていただきたいと思います。
とはいっても税金のことは気になるので、検討していただきたいなと思うのですが、受け取り時の税金がすごく難しいですね。60歳のときに一時金を受け取って、その間、前年以前に14年間退職一時金を受け取っていると、重複していた年数を引いて計算するなどがあります。DCだけは14年ルールというのがあって、それ以外は5年ルールなわけですね。そうすると、例えば小規模企業共済をしていて、iDeCoもとなると、そこら辺の調整もすごく難しい。私は原稿とかを書かせていただくことが多いのですが、何か書いているうちに混乱するくらい複雑で、多分理解ができないと思うのです。
課税の仕組みが余りにも複雑です。税金の仕組みを変えるのは時間がかかるかもしれないので、できれば厚労省さんのほうで理解できるように何かシミュレーターをつくっていただくとかして、税金はこうなんだ、社会保険料はこのぐらいになるんだ、だからこのような受け取りをしようというような、一般の方でも分かりやすい制度というのを希望しています。よろしくお願いします。
以上です。
 
○神野部会長
ちょっと質問されていただいた70歳以上の規模別等々について、あと、お二人の委員について、コメントがあればお願いします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず御質問の件ですが、36ページ、70歳以上働ける制度のある企業のところ、1つしか数字を入れていなくて大変失礼いたしました。301人以上規模の場合が20.1%、31人から300人までのいわゆる中小企業が26.5%、全体で25.8%という形になっておりまして、中小企業のほうが人手不足感があって、そのような状況になっているのではないかと思います。
また、いろいろ御指摘をいただきました。企業型DCの拠出限度額は現行で十分な水準ではないかというお話であったり、iDeCoの拠出限度額、16ページだとピンクの部分になりますが、これが複雑で分かりにくいという御指摘であったり、これはヒアリングのときにもいただいておりまして、なるべく簡素で分かりやすい制度にすべきではないかという御指摘をいただいてきたところだと思っています。
あとは、受給時、一時金であったり、年金受給であったり、その仕組みがなかなか難しいのではないかという御指摘をいただきました。もちろん税の面で様々な論理があるのだと思いますが、この部分についても簡素・中立でかつ公平な仕組みに、いろいろトレードオフの関係になる部分はあるのだと思いますが、我々も税制として求めていかなければいけない部分があるでしょうし、ライフプランの設計として受け取り時にどのようなやり方が考えられるのかというのは検討していきたいと思います。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
金子委員、どうぞ。お待たせしました。
 
○金子委員
最初に質問を1点ほどさせていただきたいと思います。
資料2の16ページ目の図なのですが、今回のDCの拠出限度額について、主に企業型を中心にそのロジックを御説明していただいたと思っているのですけれども、私は企業型も確定給付型も実施していない場合のところが気になっています。これは厚生年金保険者の半分ぐらい属している非常に重要な部分だと思っています。この部分の拠出限度額2万3000円が決まったロジックというのはどこにも書いていません。今回の趣旨ではないので次回以降説明するならそれでもいいのですけれども、もし簡潔に御説明できるようであれば、少し御説明いただきたいと思います。
 
○神野部会長
では、とりあえず今の2万3000について。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
本日は、企業型DCとDBの限度額を中心にその額の考え方を御説明させていただきました。再度iDeCoを議論する際にしっかり御説明したいと思いますが、御質問の企業年金、DC・DBを実施していない企業にお勤めの方の拠出限度額2.3万円ですが、これは企業年金を実施している企業の事業主拠出、本人拠出の実態の大半をカバーできるように設定しています。実態の大半をカバーとは具体的にどういうことかと言いますと、拠出額は高いところから低いところまであるわけですが、低い額から積み上げていきまして、累積9割の水準で設定をさせていただいておりまして、それが2.3万円ということになります。つまり、これは5.5万円の枠があっても、そこまで埋まり切っていないということの証左にもなるわけでありますが、そういう実態で設定をしているということです。
 
○神野部会長
どうぞ。
 
○金子委員
今の話なのですけれども、掛金の分布の状況を把握されているようなので、後ほどの部会で構わないので、どこかで御開示いただければと思います。
それから、今の話を伺っている中でも気がついたのですけれども、2.3万円というのは純粋に企業型と確定給付を実施していない人のケースでの累計ではなくて、企業型の年金がある人のケースでの掛金の分布を使っていらっしゃるようなのですが、そこはちょっと乱暴かなというか、もう少し丁寧に見てもいいのかなという気がしております。特に企業型も、それから確定給付年金も実施していない人の場合は数も非常に多いことですので。もう一つ考えますのは、資料2の24ページに、企業型だけ実施している企業の従業員で月額限度額5.5万円が利用できるケースで、上限を5.5万円に固定した上で給与の上昇カーブに合わせて企業型で拠出していったとしたら、そこそこの額になるということが示されています。同じような仮定をおいて先ほどの2.3万円の限度額の人に関して計算すると、望ましい額には全く達しないということを示してしまうのではないでしょうか。だとすると、先ほどの繰り返しになりますが、人数も多いですし、非常に重要な部分ですので、ここの部分については限度額を拡大だと思います。現状ではイコールフィッティングになっていないと感じますので、可能な限り限度額を上げる方向で考えていくべきではないかと思った次第です。
あと、小川委員からもございましたように、確定給付企業年金ごとに企業型DCの拠出限度額を計算するという考え方もあるとは思います。ただそうするとかなり複雑になりますので、なるべく避けたほうがいいのかなと思っています。
以上でございます。
 
○神野部会長
ありがとうございました。
大江委員、どうぞ。
 
○大江委員
拠出と給付それぞれについて少し気づいた点を申し上げたいと思います。
穴埋め方式という、枠を有効に活用するという考え方については非常に論理的で理解できるのですけれども、金子委員のお話にもあったシンプルでないと制度を広く活用してもらえないという点が気になります。
私の理解が間違っていれば御指摘いただきたいのですが、ご説明の案は実際に企業型等の拠出されている額によって、例えばiDeCoで使える枠が変わってくるというふうに理解をしました。そうすると、会社の掛金額を知っていないと自分が幾ら拠出できるのか分からないということになります。もし穴埋め方式にするのであれば、その額を個人にあらかじめ知らせて、申し込みの前のアクションをとてもシンプルして利用しやすくする工夫が必要かと思います。例えば、個人の拠出可能額をチェックする国のほうにはデータを集めるのでしょうから、それを使って、例えば毎年個人に届けている「ねんきん定期便」に、あなたの場合は幾ら拠出できますというようなことを載せてしまうといった工夫です。
それから、24ページのところで5.5万円という枠について、十分な老後資産額になるという御試算がありましたけれども、正直なかなか若いうちから金額が小さいとはいえ、老後資金をためるというのは現実的ではないと思います。若い人は老後資金の前に、住宅とか教育、といったライフイベントもありますから。そういう意味では50代近くになってからでも、例えば老後に1000万ためられるような枠というのは検討すべきではないかと思います。例えば月額6万8000円という上限ですと、10年で816万円、それに所得税、住民税10%ずつの方であれば、減税分とかを165万円オンすると、合わせて981万円という金額になります。少し利用者目線で水準についても考えることが必要かなと思います。
それから、給付について、先ほど井戸委員から、税制が複雑でというところを御指摘ございました。私はそれ以外に2点、なかなか年金受け取りがふえない理由があると思っておりまして、1つはコスト、もうひとつが選択肢が多過ぎることです。
具体的なコストをiDeCoを例にとって説明しますと、60歳になりますと国基連さんの掛金の徴収料金はなくなりますので、口座管理料として契約先により月額64円から514円を負担します。これは残高がなくなるまでずっとかかる費用です。最低と最高の間をとって300円としますと、10年で3.6万円、20年なら7.2万円という金額です。今、確定拠出年金の60歳時の平均的な残高は300万円というデータが運管協さんから出ておりますので、それに対して7万円はそれなりの額ですし、1回当たりの給付手数料は1社を除いて432円といったようなものですので、ここもそれなりの額になると思います。ですので、年金、さらに終身は経済合理的になかなか選びにくいと思いますし、ジェロントロジーの観点からも、どちらかというと公的年金のほうを繰り下げて厚くして受け取るほうが合理的で、企業年金・個人年金はつなぎというところを主軸に置くのが適当ではないかと思います。
2点目は受け取りの選択肢が複雑であるということです。確定拠出の年金で受け取るときの帳票を皆さん、ご覧になったことがありますでしょうか?非常に選択肢が多く、逆に言うと決めなければいけないことがとても多いという現状がございます。例えば、何年で受け取るとか、いつからというだけではなくて、年何回受け取るとか、取り崩しは残高に対して率なのか、額なのか、毎年それも指定するのかしないのかとか、保有する商品の売却順序とか、一時金と年金との割合をどうするのだとか、選択肢が多過ぎて決められないというところがあります。企業型においては導入のときには給付まで議論が進まずに選択肢が多いのが現状なので、できれば自分のところの他の制度に合わせてシンプルにする。iDeCoにおいても運営管理機関の情報提供能力に合わせて給付パターンをシンプルにして、先ほど井戸先生からお話があったような税金とかも比較するパターンを少なくして、メリットとデメリットが分りやすく、判断しやすいというようなところをし工夫する必要があるのかなと思います。
 
○神野部会長
事務局のほうからコメントはありますか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、金子委員の御指摘の部分でございますが、24ページの試算は御指摘のとおり給与のピーク時に5.5万円となるよう掛金率を設定して、40年拠出と仮定していますので、2.3万円の方はもちろんここまで行かないという形になります。もちろん2.3万円の枠を生涯どう使うか次第でありますけれども、給与のピーク時に2.3万円となるような拠出設計では、到底、この望ましい上乗せ水準には達しないということであります。この点、企業年金、DB・DCを実施していない企業にお勤めの方の拠出限度額を今の2.3万円から例えば5.5万円にして欲しいという要望が起きる背景の一つではないかと思っています。
また、5.5万円の拠出限度額の埋まり具合を見せて欲しいという御指摘がございました。拠出の現状につきましては、厚生労働省としては、運営管理機関の業務報告という形で報告を求めて集積をしております。集積をしているので拠出限度額を設定できるわけでありますので、iDeCoの議論をする回になるかもしれませんが、次回以降準備をさせていただいて、御議論を賜れればと思います。
また、大江委員から御指摘いただきました、穴埋め方式という森戸先生の御提案でございますが、企業型DCの拠出とiDeCoの拠出を合わせて仮に5.5万円とするのであれば、企業型DCの拠出額を本人が分からないといけないわけでありますが、これは例えば今でも企業型DCに入っていると、個人のIDをもらって運営管理機関のホームページにアクセスしてもらえば、企業型DCの拠出額というのは分かりますので、自身が残り幾らの非課税積み立て枠があるかというのは計算できるわけでありますが、見えるようにするというのも御指摘のとおりかもしれません。
あと、受給時について、確かに決めなければいけないことが多分にあるので、この際もう一時金でというふうになってしまうというのはよく聞くパターンです。選択肢はたくさんあるわけでありますが、御提案のように、企業型であれば、デフォルト設定とは言いませんが、例えばパターン化して年金を選択しやすいという工夫を労使でしてもらうというのは一つあるのではないかと思います。もちろん終身とか長期の有期を組もうとすると、御指摘のとおり管理コストがDCの場合は出てきて、それを加入者自らの負担となります。一方、DBの場合は企業が負担するので、逆に終身、長期の有期が難しいということにもなります。何らかの形で誰かがコストを負担しないといけないわけですが、パターン設定というのは一つの考え方ではないかと思いました。
 
○神野部会長
お待たせしました。伊藤委員、どうぞ。
 
○伊藤委員
ちょっと質問をさせていただきます。先ほどからの議論からすると、23ページの5.5万円のほうの拠出限度額の上に張りついている人というのは、この読み方は、14.2%というのは保険者に聞いていて、加入者に一人でも拠出限度額に達している人がいたらカウントした結果、保険者ベースで14.2%だということなのでしょうか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
規約ベースです。
 
○伊藤委員
間違いました。保険者ではなくて規約ベースですね。それで、先ほどの金子委員とのやりとりの中で、それを加入者ベースで把握することはできているのだという話ですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
はい。
 
○伊藤委員
であれば、2.3万円のほうも非常に興味深いのですけれども、5.5万円の上限の張りついている14.2%が、加入者ベースで何人かというのもぜひ出していただきたいというのが一つ意見です。
あともう一つ質問なのですけれども、47ページの資料ですが、今日改めて見てみると、受給の形態として、7割、9割が一時金選択となっています。
また、今後の私的年金の活用イメージというのが53ページにあるわけです。いろいろな充て方ができるよねというのはいいのですけれども、この実態と比較して見てしまうと、何かフィクションだよなという感じがしています。公的年金の補完機能は53ページの上2つ、1、2みたいな感じで受け取って、初めてそういう機能が果たせているということになるのではないかと思うのです。私も悩ましいのですけれども、退職給付としては労使で決定するわけですし、上限なんか定められないと思うのです。一方で、公的年金の補完機能について考え、一時金受け取りが多いということが税制優遇の根拠を失わせることにならないかと心配になるのですけれども、税務当局との間でそのような議論はないと考えてよろしいでしょうか。
済みません。言えることなのか分からないですけれども、大丈夫なら。
 
○神野部会長
いいですか、事務局。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、5.5万円の埋まり具合と言いますか、拠出の状況ですが、本日の資料は規約ベースで上限に張り付いていたり飛び出ていたりするのがこれぐらいあるというものを提出しましたが、先ほど金子委員にお答えしたとおり、加入者ごとに分かりますので、それは次回以降しっかり提出したいと思っています。
あとは、御指摘の税務当局とはいろいろ議論をさせていただいていますが、一時金でもらっても年金でもらっても、中立的な課税のあり方というのはあるべき姿ではないかというようなことは我々も言っていますし、政府税調のほうでもそういう御議論があると承知をしているところです。
 
○神野部会長
どうぞ。
 
○山本委員(代理出席 細田様)
私も、今日初参加なので、これまでのところと違うことを言ったら大変申しわけないのですけれども、自分が年金をいただける年齢になったものですから、いろいろと興味があるところではあります。ただ、企業を経営している立場からいうと、この場の議論にふさわしくない言い方になってしまうかもしれないですが、年金としてずっと企業が負担をしていくということについて、多分退職金と見合いの部分まではいいのかもしれないですけれども、それを超えてしまった場合の負担感ですとか、そのために企業側にローン的な負担が残るというのはなかなか厳しい話だなと思いながら話を伺っておりました。
私どもは中小企業ですので、大変申しわけない言い方ですけれども、退職の際に一時金を払ったら、もうそれで従業員と会社という関係は一旦区切りたいと思っています。あとは会社のOBとしての大変仲のいい関係が続くというようなところが理想なのかなと思います。
いわゆるこれは3階部分というのですか。そこに対する部分ですので、そこで余り加熱した議論をされてしまうと、我々みたいな小さいところにとってはちょっとつらい話かなという思いを持って、今、聞かせていただいておりました。
難しい言い方で、DBとかDCとか、どっちなのかなと思いながら一生懸命聞いていたのですけれども、その辺もよく分からないところがあるのですが、いずれにしても、今、アルバイトさんを含め、一生同じ会社に勤めるということはなくなってきている中で、自分で年金を積んでいくというような、ある程度生活感のしっかりとした考え方を持っているような方も減ってきてしまっているのではないかと思っています。そのことが企業年金の普及や活性化に対してはかなり問題になってくるのではないかなと。社会的な問題なのかもしれませんけれども、そちらのほうがむしろ本来は論じられてもいいのかなと感じながらお聞きしておりました。一意見と思っていただいて結構です。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
ほかにいかがですか。どうぞ。
 
○藤澤委員
藤澤です。
12ページの主要国における私的年金に係る税制のうちのカナダの部分についてコメントしたいと思います。カナダは州によって年金規制が異なりますが、2008年にトロントがあるオンタリオ州で「A Fine Balance」というレポートが公表されました。このレポートの目的は企業年金のカバレッジの減少を打開するための提言をまとめるということにありますが、そのレポートの最初に、なぜ企業年金のカバレッジが減少しているのかという現状分析が載っています。主要な要因としては2つございまして、労働組合の加入率が減少しているという点と、もう一点はDB年金が普及していた業種(公務員や製造業)で働く労働者が減少しているという点が記載されています。
ほかにも要因が幾つか挙げられていますが、過度な規制という論点もございまして、その中には税制も含まれています。カナダでは1991年に所得税法が改正されて、企業型DBについても拠出限度額が設定されるということで、企業型DB、企業型DC、個人型DCに対する拠出限度額の取り扱いがイコールのものとなり、この12ページのスライドにあるような姿になったのですが、「A Fine Balance」というレポートの中では、それをDB年金のカバレッジの減少の主要な要因とはしていないという点も記載されています。ですので、企業型DBに拠出限度額を設定するとDBのカバレッジが減少するというロジック自体は、直感的には何となく正しいような気もしますが、このレポートの中ではそう結論づけていないという点をコメントさせていただきます。
だからといって、環境の異なる日本にそのまま当てはめてもいいのかという論点はもちろんありますが、加えて、拠出限度額を超える企業への配慮はもちろん必要な点と理解していますが、ただ、仮に企業型DBに拠出限度額がないがゆえに、企業年金に関するほかの税制の議論がしにくくなるというのであれば、企業型DBはいわゆる金持ちの優遇策ではないということを明確化する意味で、拠出限度額を設定するという選択肢もなくはないと考えています。1点目はコメントです。
2点目は、先ほど来、複数の委員からコメントが出ている29ページのDBをあわせて実施する場合の企業型DCの拠出限度額の部分について、コメントと簡単な質問をさせていただきます。2分の1の水準をどうやって設定したのかという部分を29ページのスライドで先ほど御説明いただいたと認識しています。代替の手段として、選択肢としては加入者ごとに設定する手法と、DB制度ごとに設定するという2つの手法が考えられるのではないかという説明があったと認識しています。加入者ごとに設定すること自体は不可能ではないと思いますが、オペレーション等を考えるとかなりハードルが高いと考えておりまして、検討するのであれば、DB制度ごとに検討するのがよいと考えています。
ただ、ここもフィージビリティーや、公平性を追求するがゆえに複雑な拠出限度額になってもよいのかという点は議論が必要だと思っています。仮にDB制度ごとに水準を比較する場合、18ページのスライドの2分の1に相当する15万円という水準自体の年金の支払い方が分かると、DB制度ごとに現在価値を計算して2分の1よりも低いのか、高いのかを数字を使って把握することができると思っています。
過去にもしかしたら説明があったのかもしれませんが、15万円という年金の支払い方の部分について、これは終身年金なのかという点や、そもそもDBとDCを併用している企業の数や加入者数の統計があれば教えていただければと思います。
以上です。
 
○神野部会長
その統計はどうでしょうか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
カナダの私的年金に詳しい藤澤委員から貴重な御意見をいただいたと思います。
カナダの制度は海外の一つの先例ではありますが、何でも日本にそのまま当てはめれば済むという問題ではないのは御指摘のとおりだと思います。
また、森戸委員がおっしゃっていた1階、2階、3階と積み上げていくのではなくて、共通の非課税枠を設けて、それを企業年金がある人はそれで埋めて、残余がある人は個人が埋めていくというときに、埋めていく手法のDBとDCが全く違うものでいいのかというところが今日の議論の出発点と思っています。そのときにDBを個々に見ていくのか、個々人の給付水準まで見ていくのかというのは、御指摘のとおり、公平性の観点とフィージビリティーというものをよく考えていかなければいけないのだろうと受け止めます。
御質問の件でありますが、御指摘のとおりDCの拠出限度額も給付水準から掛金ベースに換算していますので、同じ土俵の上で評価すればDBの拠出額を評価できます。DCの拠出額の算定のもととなっている15万円の上乗せ年金でありますが、これは厚生年金基金をモデルにしていますので、保証期間なしの終身で設定をして考えています。例えば、24ページの試算は、20年有期年金、毎月引き落としでやっていますので、そういう意味では完全に同じ土俵になっていないというところであります。
あと、DBとDCを併用している企業数、加入者数という御質問でしたが、企業数までは規約の中身までつぶさに見て数えないといけないので、それは分からないのですが、併用型の加入者数は拠出限度額が変わるので把握可能です。DB型、つまり確定給付企業年金と厚生年金基金の平成30年3月末の加入者数が960万人いて、うち企業型DCの同時加入者、すなわち拠出限度額が2.75万円か1.55万円になっている方が390万人いらっしゃいます。960分の390ですので、約4割の方がDBとDCを併用しているという状況になっています。
 
○藤澤委員
ありがとうございます。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
佐藤様、どうぞ。
 
○小林委員(代理出席 佐藤様)
小林委員の代理でございますが、3点ほど申し上げたいと思います。
まず、この間のヒアリングでも申し上げましたとおり、経団連として、企業年金はあくまで自社の従業員の福利厚生の向上のために実施する報酬・福利厚生の一部と考えておりまして、給付形態、水準というものは、各社の人事戦略上の観点などを踏まえまして、労使合意に基づいて決定がされるものと考えております。ですので、今回の制度見直し等に当たって、先ほど人材とか人事、働き方の多様性といった環境変化のお話がございましたが、それ以外にも企業がグローバルな競争環境に身を置いているといったところも踏まえて、制度の持続可能性を向上するように検討していただきたいと考えております。
加えて、個人の自助努力の強化も重要と考えておりますので、DCについては引き続き利便性の向上をお願いしたいと思っております。特に企業型やiDeCoの同時加入といった今回の要件緩和についても、会員企業の従業員の方から多くの意見が出ているところでございますので、退職後の所得確保に向けて自分自身で努力を行う加入者からの声といったことで、十分なご理解をいただきたいと思っております。
なお、資料の11ページの掛金の拠出の上限等に関しても、イギリス・カナダの例でDB・DCといった私的年金に関して共通の枠を設けるといった考え方はありますが、わが国のDB・DCの特性や制度の成り立ちを考えれば、共通の枠を設けることが整合的な考え方であるのかどうか、違和感がございます。とりわけDBを実施する事業主にとっては、掛金に枠を設定することは規制の強化につながりますので、制度継続に影響をもたらしかねないと懸念しているところです。特に企業年金の普及といった観点からも、この点は重要な視点ですので、ご配慮いただきたいと思っております。
2点目ですが、DCについて、多様な働き方といった中で、やはり個人のポータビリティーということを考えますと、今後基幹的な位置づけになりますので、ヒアリングでもいろいろありましたとおり、拠出限度額の引き上げをお願いいたします。
最後の点ですが、高齢者の就労に伴いまして、32ページ以降に書いてございますが、加入可能年齢の引き上げを検討していただきたいと思っております。ただ、そもそも高齢期においては、健康面や就労への意欲等、個人差が大きいところもありますので、一律的な規制強化とならないように配慮お願いいたします。
以上でございます。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
どうぞ。
 
○渡邊委員
企業年金の方向性をめぐる議論ということで、資料では6ページから始まっているところかと思うのですが。拠出のあり方ですとか給付のあり方ということを考えるときに、企業年金というものをどう捉えるのかというのは、やはり大きな意味を持っているように感じております。労使の合意で自由に制度を設計できるようにするというような観点からの規制と、主に老後の所得保障のために行うのだというのでは、考え方がやはり大きく異なってくるのではないかという印象を受けております。
企業年金でいえば、従業員の老後所得保障というような感じなのですが、それを穴埋め方式だ、どんな方法でもいいから老後の所得保障のために穴埋めをしていく、国民の老後所得保障のためだというような観点からいきますと、個人年金・企業年金でルールをできるだけ共通化していって、拠出枠なども中立公平でやっていこうということになりますが、企業年金というのはあくまで企業の労働条件として捉えていくのだということになりますと、個人年金と土俵を同じにして考えるというのがそもそも難しくなるような気もしておりまして、最初の企業年金なりの捉え方をもう少し深く検討しなければいけないのではないかなと思いました。
最後の私的年金と公的年金の組み合わせのイメージというものが資料の53ページにあるかと思いますが、これも私的年金ということで、受給の実態は一時金であることが大多数にもかかわらず、ここでのイメージはやはり年金として受給していると。先ほど御指摘があったかと思いますが、これは議論として、やはりちょっと現実と乖離している部分があって、いかがなものかという気がいたしました。
以上です。
 
○神野部会長
ありがとうございました。
ありますか。どうぞ。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
ありがとうございます。
企業年金につきましては、御指摘のとおり資料の6ページ、7ページにありますように、労使合意を基本としたできる限り自由な制度か、公的年金の補完機能を強化した制度かというところは方向性が定まっていないというのは正直なところなのだろうと思います。
できる限り自由な制度にしようとすれば公平性の問題もありますし、御指摘のとおり一時金受給が多いという指摘はかねてよりある部分です。
では、公的年金の補完機能を強化して、例えば、終身年金化、有期年金化の原則みたいな形で枠をはめていこうとすれば、一方で企業年金、特にDBについては規制強化になって、撤退に拍車がかかるのではないかという声があるわけでありまして、先の改正でもここは乗り越えられなかったテーマなのだろうと思います。
そこで企業年金と個人年金を組み合わせて、企業年金を活かしつつ、まずそちらを先充てして、その残り分で、公平性の確保を個人年金、これをiDeCoと言うか、日本版IRAと言うかはありますが、この個人年金を組み合わせて対応していこうというのが森戸先生や臼杵先生の御提案なのだろうと感じています。
森戸先生、臼杵先生の御提案を横に置くとしても、先の改正の積み残しとして、例えばDBとDCのイコールフッティングですが、今日の資料の中でも23ページ、DCの限度額を超えた個人に対してDBで調整している企業もいらっしゃって、そういうのがDBとDCの共通の枠を考えたらいいのではないかという主張につながる証左の一つでありますし、資料31ページに入れていますように、キャッシュバランスプランという形を導入していて、大企業ではだいぶ進んでいるわけでありますが、DBとDCとの垣根自体が非常に低くなっています。この部分をどのように考えるか。もちろん退職金として利用されているDBという性格は大事にしなければいけない部分がありますが、公的年金の補完という機能を果たすために、退職金をいつまでも引きずった制度でいていいのかというところを決めていかなければいけない大きな点なのだろうと思っています。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
白波瀬委員、どうぞ。
 
○白波瀬委員
ごく簡単にです。大きな枠のことしか言えないのですけれども、やはりすごく気になっているのは、公平性とフィージビリティーというのをいつも使われているのですが、やはりどこの段階の公平性、何に対するフィージビリティーかというのを少し整理していただけると、今の一連の議論、方向性とかも見えてくるのではないかと思いました。今後のことなのですけれども、よろしくお願いいたします。
以上です。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
では、森戸委員。
 
○森戸部会長代理
1点質問と1点お願いと、あとちょっとコメントがあるのですけれども、1つ質問は49ページ、細かいことかもしれませんが、いつもこういうデータで思うのですけれども、実施割合と書いてあって、この終身年金を実施している割合というのは、規約にそういう選択肢がある制度という理解でよろしいかというのが質問です。つまり、それだけの人が選んでいるわけではないのですよねということ。もちろん全員終身という制度もあるのかもしれないですけれども、それが1つ質問です。
それから、お願いですが、既に金子委員などからも出たのですが、伊藤委員もおっしゃっていましたかね。要は5.5万の埋まり具合というのですか。課長もやりますとおっしゃっていましたけれども、実際上その穴埋めだとかいうことを考えていくとすれば、今、5.5万というのはどのぐらい枠を使われているのか、余らせているのかということのデータが必要かと思います。そういうのはあるとおっしゃったので、それはぜひ出していただければ、この議論に非常に役立つのではないかと思います。それがお願いです。
あと、コメントはあちこち行くかもしれませんが、幾つかありまして、私の案みたいなものを大々的に載せていただいて、何か権力に取り込まれた感がすごくして嫌なのですけれども、それともう一つ恥ずかしいのは、森戸先生の案がと言われるのですけれども、もとは臼杵さんとかいろいろな人が言っていた案なので、ちゃんと出典を書いておいてよかったなと思いました。書いていなかったら剽窃した人みたいになって非常に恥ずかしいのですけれども、でも、私が一応税調などでしゃべったことを取り上げていただいたのはありがたく思います。
伊藤委員がまさにおっしゃっていたことが非常にポイントだと思いまして、伊藤委員がというか連合側、労働側の方が、退職金はこれまで自由に労使でつくってきたものであって、しかし、その実態を見ると悩ましいとおっしゃっていただいたのが、まさにこの議論においてポイントだと思っていて、それがほかの委員がおっしゃった退職金なのか、企業年金なのか、どうしていくかという話にまさに関係あると思うのです。穴埋め型みたいなことを言うと、今まで割と自由にやれてきた、労使でつくってきた企業年金なり退職金の伝統というのですか。そういうものを壊すというか、変な規制にかけようとしているのかと見える部分はあるかもしれないのですけれども、渡邊委員もそのような観点でおっしゃったかなと思うのですが、どちらかというとむしろ逆で、外から見れば、税制の観点とかいろいろな観点から見ると、金持ち優遇とかも言われましたが、やはりフェアではなく見える部分が明らかにあるのですね。
ですから、非常に単純な論理で考えると、むしろ企業年金とか何でそんな優遇する必要があるのだとかいう議論にもなりかねないのだけれども、そうではなくて、こういう穴埋め型で全体としてフェアな形にしていけばいいのではないですかという議論をすることで、むしろこれまでの培ってきた退職金なり企業年金なりの伝統を維持しつつ、しかし、全体としてフェアな制度がつくれるのではないかという、ちょっと理想論過ぎるのかもしれないけれども、そういう考えに基づいているところもあります。
そういう全体の枠の中で考えれば、その中で企業年金は労使での自由な設計は維持していただいていいですよと。ただ、それですごくいい給付をしてしまうのだったら、その分、自助努力の枠はその人については狭まりますけれどもねという形で、全体としてフェアな形がつくれるのではないかというのが、まだまだ詰めなければいけない点はありますけれども、私が考えるところの穴埋めというイメージです。
穴埋めによるフェアなイメージというのも、究極的には恐らく公的年金の再分配がよりきつくなるとすれば、公的年金も含めた全体としてフェアな形というのも考えられるし、それが本当の意味では一番究極のパターンかもしれないですけれども、そうではなくて、一応私的年金の枠だけでフェアな穴埋めイメージを考えるのか、それとも今日出た話だと、DBのところは置いておいて、DCの中でとりあえず穴埋めイメージでフェアに考えるのか。3つぐらい段階があるのかなと思って、それぞれいろいろメリット・デメリットなり議論は詰めていかなければいけないと思いますが、いずれにしてもそういう議論が始まったということは、非常に重要なことかと思います。
もう一点だけ、もらい方の点ですね。終身をよしとするのかという話もなかなか難しい問題ですが、やはり現実に今、一時金が多い、年金でも有期だというところは無視できないし、終身というものをもう少し原則にしていくのかどうか。それ自体、議論があると思いますが、公的年金を補うのだから終身であるべきでしょうというところをもし押し出すのであれば、何かそこに公的なサポートみたいなものがないと制度としてやっていけないかなと思います。どういうサポートがあるのかというのはいろいろ議論があると思うのですけれども、そこは検討しなければいけないかなと思います。
あとはもう一点だけ、中途引き出しの点がありました。これもなかなか悩ましい問題ですが、余り最近の研究ではないですけれども、昔、アメリカの401(k)を少し勉強したときに、いわゆるペナルティー・タックスで中途引き出しがあるのだけれども、結局データとしてというのですかね。そうするとどうなるかというと、余りお金に余裕のない人が苦しくなっておろしてしまうというのが多くて、お金がある人はおろさないということです。つまり、お金のない人がペナルティーを払って、さらに自分で厳しくして、しかし引き出してしまうことが起きているということで、割とそれは中途引き出しを認めると、結局老後所得保障にはむしろつながらないというか、それこそまさに金持ち優遇ではないけれども、そちらのほうに機能してしまうのではないかという議論があったのを思い出しました。
もちろん日本でそうなるということではありませんけれども、なかなか中途引き出しの話は難しいということの一つの証拠といいますか、そういうことかなと思いました。
済みません。五月雨ですけれども、以上です。
 
○神野部会長
事務局のほうからコメントは。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、いただいた御質問、49ページの実施状況というのは規約に位置づけているかどうかということです。実際の選択の仕方は年金か一時金かぐらいしか分かっていませんが、一時金が多いという選択の実態が47ページで、49ページは規約にどうやって位置づけているかという点です。
白波瀬委員からも、もう少し何の公平を議論しているか分かるようにという指摘ですが、16ページにある拠出限度額、この今、白い部分、確定給付型はまさに拠出を評価していない部分でありますし、金子委員がおっしゃっていたように個人型月額2.3万円のところは、まさにすき間が空いているところで、ここに公平の論理があるわけです。DB・DCの拠出をどのように管理・評価して、どういう周期で見ていくのかというのは小川委員からもありましたが、そういうところを考えていかなければいけないのだろうと思います。
森戸委員から低所得者の再分配の話もありましたが、臼杵委員の資料も今日配付させていただいていますが、やはり拠出の機会平等を確保できたとしても、結果の不平等をどのように考えるのかというのは、この穴埋め方式を考える上で論点の大きな点であろうかと思います。これを例えば私的年金の枠組みで対応したのがドイツのリースター年金であったり、イギリスの給付つき税額控除のような形でありますし、例えば年金制度の中で解決しようとすれば、年金生活者給付金とか基礎年金を含めて年金局の中で考えればいいかもしれません。さらには社会保障全体とか、社会政策・税を含めて全体で見ていかなければいけないのか。こういうところを広く縦の制度に横串の視点というものを持ちながら議論していかなければいけないのだろうなと思いました。
 
○森戸部会長代理
追加で1点いいですか。今説明いただいた47ページは、年金というのは終身か有期かという区別はないのですか。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
分からないです。
 
○森戸部会長代理
それは分からないのですね。本当は大分意味が違うかなと思うから、分かったほうがいいかなというのがコメントです。
以上です。
 
○神野部会長
ほかはいかがでしょうか。
 
○宮園企業年金連合会理事長
今日初めて参加させていただきまして、あまりまだ専門的なことは申し上げられませんけれども、企業年金の方向性を考えるに当たりまして、私どもの基本的な考え方を述べさせていただきたいと思います。
先ほど佐藤さん、それから渡邊委員からもお話がありましたのと重複いたしますけれども、企業年金は企業や個人の実情に応じた任意の制度として実施されてきた沿革を持っておりますので、画一的あるいは強制的な制度にはなじまないというのがあります。
一方で、高齢期の安定した所得確保という国民的課題に応える観点から、老後に備えた資産形成のための自助努力の手段として企業年金が大変重視されてきているということも事実であります。したがいまして、労使合意を前提にした自由な制度設計という基本線を維持した上で、企業や個人が選択した場合は、十分な給付を確保できるように、拠出限度額や加入可能年齢を設定する必要があろうかと思っております。その上で、今日の論点に絞ってDB・DCの方向性について若干申し述べさせていただきたいと思います。
まず、自由な設定に委ねるという観点から、設計の選択肢を広げるという意味で、一つは厚生年金の見直しを踏まえまして加入可能年齢を今の70歳から引き上げるということを検討するのが適当だと思っております。
それから、DBについて長寿化の進展に対応するための終身年金の保証期間というのがございますけれども、これは20年から延伸するのが適当ではないかと思っております。これは企業サイドから見てもリスク対応力の強化という意味で、設計の柔軟性に資することではないかと思っております。
それから、中途引き出しや拠出限度額について御発言が幾つかございましたけれども、私のほうから申し上げておきますのは、沿革的にDBというのは退職給付制度の一環として活用されてきた経緯がございまして、例えば住宅資金ですとか多額の一時金を必要とするニーズに幅広く対応してきた実態がございますので、こうしたことも踏まえて、現行の枠組みをキープするのがよろしいのではないかと考えております。
それから、DCでありますけれども、企業を取り巻くいろいろな経済環境を踏まえて、DC化というのは大きな流れ、止められない流れだと思っております。そういう中で、老後の所得保障の大きな柱として一層の普及を図っていく必要があると思っておりますし、特に中小企業が容易に導入できるように、利用しやすくて十分な給付水準が可能となるように、改良をこれからも図っていく必要があるかと思っております。
そういう意味で、高齢期就業の拡大を踏まえた加入可能年齢を引き上げるということについて検討すべきだと思っております。また、先ほど来いろいろな委員の方から御意見が出ておりますけれども、個人型確定拠出年金の利便性の向上と一層の普及のために、被保険者区分ですとか企業年金の有無によって異なる拠出枠をよりシンプルで統一されたものとなるように、これは非常によい商品ですから、これをもっともっと普及させていくために、そういうことも検討していく必要があろうかと思っております。
また、委員の方からお話がありましたけれども、利用者から見て分かりやすくすることと、枠組みは枠組みとして、それを分かりやすく理解していただくために、アプリを使ったりといった工夫も利用者の観点から見ればあっていいのではないかなと思っております。
それから、DBとDCの間の調整というような話もございました。私は企業年金について、いろいろ自由に設計ができる中で、労使の合意の下で改良が続けられていく。それによって老後の資産が積み上げられていくこと自体はいいことだと思っておりますけれども、多々益々弁ずということで全部税制上優遇するのかという議論も出てこようかと思います。そういう意味では、公平性とは何ぞやという白波瀬委員の御意見もございましたし、こういうこともこれから議論していく必要があろうかと思います。
それから、枠につきましては、一時点といいましょうか、静的な枠と時間軸、世代によって若いときとか、あるいは受給が近くなった年齢とか、収入が増えた時点とか、そういう時間軸で柔軟に弾力的に枠を工夫する。話が一層複雑になりますけれども、そういう議論もあってよろしいのではないかなと。
いろいろ申し上げましたけれども、そんなことを考えておる次第でございます。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
松下オブザーバー、何かございますか。
 
○松下国民年金基金連合会理事長
特にございません。
 
○神野部会長
よろしいですか。
コメントはいいですか。ありましたら。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
さまざまな御指摘をいただきました。加入可能年齢の話であったり中小企業向けの話であったり、また、分かりやすい制度、さらにアプリなどを利用した利用しやすい制度を検討すべきではないかという御指摘、さらには拠出限度額を時間軸で見なければいけないという御指摘もいただきました。例えばアメリカだと高齢期の最後、駆け込みではないですが、拠出限度額が上がる制度もありますし、そういうのも含めて検討すべきだという御指摘だと受け止めました。
 
○神野部会長
ありがとうございます。
そろそろ予定の終了時間なのですけれども、何か御意見はよろしいですかね。引き続きまた次回以降も御議論頂戴いたしますので、本日はテーマを絞って御議論頂戴いたしましたが、生産的な御議論を多数頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。
予定の時間になりましたので、とりあえず打ち切らせていただいて、次回以降も議論を継続いたしますし、また、相互にさまざまな個別論点が関連いたしますので、御意見頂戴できればと思っております。
事務局のほうから何か連絡事項がありましたら、お願いいたします。
 
○吉田企業年金・個人年金課長
次回の部会の開催日時になりますが、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で正式な御案内をお送りしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○神野部会長
それでは、どうもありがとうございました。遅くまで熱心に御議論を頂戴したことに深く感謝を申し上げる次第でございます。第4回の「企業年金・個人年金部会」をこれにて終了させていただきます。
繰り返しでございますが、御多忙の折、万障繰り合わせてお集まりいただきましたことに深く感謝を申し上げる次第であります。どうもありがとうございました。