第3回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録

日時

平成31年3月15日(金)10:00~12:00

場所

田中田村町ビル 会議室8E(8階)

議題

1.精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しについて
2.精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書(案)について
3.その他

議事


○冨田障害保健係長 定刻となりましたので、ただいまより第3回「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会は公開ですが、撮影は審議前の頭撮りまでとさせていただきます。
また、傍聴される方につきましては、留意事項の遵守をお願いいたします。
初めに、委員の出欠状況についてですが、本日は、伊東構成員が欠席との御連絡をいただいております。
また、関係省庁及び関係部局から、文部科学省高等教育局医学教育課、社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室がオブザーバーとして参加しております。
撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、以降の進行は、樋口座長にお願いいたします。
○樋口座長 おはようございます。朝早くから御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題に早速入りたいと思いますけれども、初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○冨田障害保健係長 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。
最初に議事次第がございまして、
資料1 精神保健福祉士の養成の在り方等に関するこれまでの主なご意見
資料2 精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しの方向性について(報告)(2)
資料3 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討 中間報告(案)
別紙 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討 中間報告書【概要】(案)
参考資料1 柏木構成員提供資料:平成30年度障害者総合福祉推進事業「障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築及び地域共生社会の実現に向けた精神保健福祉士の役割の明確化と養成・人材育成の在り方等に関する調査」について(中間報告)(公益社団法人日本精神保健福祉士協会)
また、机上配付資料といたしまして、精神保健福祉士関係法令等をまとめた資料を置かせていただいております。過不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
以上となります。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、早速、議題1「精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しについて」に入りたいと思いますが、議事の進め方でございますけれども、前回と同様に、まず事務局から資料の説明をいただいた後に、各構成員から御意見をいただいて、議論を進めていくという形でお願いしたいと思います。
本日は2時間を予定しておりまして、議事が大きく2つあります。約1時間で前半を、後半1時間をとるという予定を組んでございます。よろしくお願いいたします。
まず、資料1についての説明を事務局からお願いいたします。
○御子柴主査 事務局でございます。資料1をお手元に御用意いただきまして、御紹介させていただきます。
資料1「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する主な意見について(2)」ということで、第1回の検討会でも事前にいただきました御意見等をまとめた資料を御提示させていただいております。それ以降にいただきました御意見について、追加ということで集約させていただいたものの御紹介でございます。
まず、表紙の下段に目次としておりますけれども、前回の第2回の検討会で、今までいただいた御意見を整理すると、このような課題と論点があろうかということで御紹介させていただきました。
柱としては4つ、本検討会の検討事項ということで、初回の会議で御紹介した1つ目が求められる役割について、2つ目が養成のあり方について、3つ目が演習・実習や教員等のあり方について、4つ目が継続教育のあり方についてということで、この4つの検討事項に対してどういった課題があるかという整理をして御紹介したものです。これらに対して追加でいただいた御意見を御紹介させていただきます。
開いていただきまして、青色の印刷になっているところでございますが、こちらが求められる役割についてということで、まず、役割の見える化に関する課題に対しては、2つ目のポツにありますとおり、ソーシャルワーカーとしてシームレスな役割が求められている一方で、精神保健福祉士ゆえに技能や専門性が発揮されるものがあるということで、その専門性を強く認識する必要があるのではないかという御意見がありました。
4つ目のポツですけれども、やはり精神保健福祉士も対人支援を行う職種ですから、養成の段階では実践的な技術が何もできなということではなく、ある程度、養成の段階で技術も到達しておくこと。現場に出る前に課題を認識するということだけではなくて、演習や実習でそういった技術を一定率到達する必要があるのではないかという御意見でした。
そのほか課題(2)としまして、多職種との連携・協働における役割の明確化についてでございますが、いろいろ対象が拡大してきておりますので、そういったことを意識した多職種連携における役割の明確化も必要ではないかという御意見でございます。
続きまして、赤色の部分です。4枚目、5枚目のスライドでございます。こちらからが養成のあり方に関する御意見ということで、1つ目のポツでは、グローバル定義における学問というところの解釈を御意見いただいたものでございます。
また、3つ目のポツとしまして、カリキュラムの見直しに当たっては、やはり精神保健福祉士としてもプロフェッショナリズムというものを意識した内容で見直しをしていくべきではないかという御意見がありました。
下段の課題(2)でございますけれども、具体的な教育内容に関する課題ということで、三障害一元化のお話があったことですとか、同じくプロフェッショナリズムのお話があったと思います。あとは依存症に関する現状の内容がまだ少ないのではないかということで、最低限の知識の記述となっておりますが、内容を盛り込む必要があろうという御意見がありました。
次のページ、6、7枚目のスライドでございます。こちらは多職種連携についてですけれども、多職種連携の中では、精神保健福祉士はやはり個別支援から地域づくりまで担う役割があるのではないかということで、そういった内容を盛り込むべきという御意見でございます。
4つ目の課題は用語や定義のお話でございますが、ソーシャルワークという言葉ですとか相談援助といった言葉についての御意見があったということと、ソーシャルワーカーという意味では、社会資源の開発とか発掘、創出、そういったところへの役割についても広がってきているということで、そういった内容を教育のほうにも盛り込むべきではないかという御意見です。
下段でございますが、5つ目の課題ということで、科目ごとの内容で、まず基礎科目についてでございます。共通科目のところで、社会福祉原論でございますけれども、そういったところの見直しの方向性について御意見をいただいたところです。また、地域福祉論について、統廃合のお伺いがワーキンググループのほうからあったかと思いますが、そこについては、地域福祉論は歴史的な背景があるということの御意見があったかと思います。
「保健医療サービス」については「ソーシャルワーク概論」という内容に組みかえていくのはどうかという御提案があったということと、こちらはワーキンググループでの御意見ですが、社会調査に関しては、「社会調査の基礎」という内容にしてはどうかという御提案がありました。
また、(5)ということで共通科目になっておりますが、引き続き原論のお話でございまして、こちらも歴史を学ぶということとか、グローバルということの定義についての御意見があったところでございます。
めくっていただきまして、実習・演習に関するところで、緑色になっておりますところです。課題(1)学習・教授方法についての御意見ということでございます。最後の5つ目のポツです。1人の学生が実習で経験できる施設は限られるので、実践的な演習や実習後のグループ演習などで学習効果を図ってはどうか、学習効果を高める取り組みが必要なのではないかという御意見があったところです。
課題(2)実習の質の担保に関する御意見ということで、単に時間をふやすことではなく、実習の質に着目する必要があろうということと、読み替え可能な部分とするものについては、可否も含めて実習の質を担保できているかの確認が十分必要ではないかという御意見です。
あと、評価に関する御意見がありました。
あとは2カ所必須について、1カ所にするという提案もあるのではないかという御意見もあったところです。
受け入れ施設のほうについても、あらかじめ実習生を評価する形が対応できないかという意見があるという情報提供があったところです。
めくっていただきまして、12枚目と13枚目のスライドで、実習指導については、より具体的な指導方法の工夫が必要ではないかという御意見があったところです。
下段の課題(4)教員等の要件やあり方に関してということで、教員要件の見直しが必要ではないかという御意見があったところでございます。
早足で申し訳ありませんが、最後めくっていただきまして、紫色の部分からが継続教育に関する御意見でございまして、前回、精神保健福祉士協会のほうから生涯学習等の研修制度の御紹介もありましたけれども、そういったところに関して、関連しますが、卒後教育でどのように教育していけるかということの中で、卒後教育、継続教育と養成段階のカリキュラムの中身との一体化したもの、あるいは一体化の中でもメリハリのある内容を検討すべきではないかという御意見があったところです。
追加の御意見に関しては、以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料1につきまして、御追加の御意見あるいは御質問がありましたら、ここは余り時間はとれませんけれども、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
もし、よろしいようでしたら、また後ほど何かございましたら出していただくことにいたしまして、続きまして、資料2「精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しの方向性について(2)」を、前回ワーキンググループで検討された内容を中心に、ワーキンググループ座長の田村構成員からお願いしたいと思います。
○田村構成員 おはようございます。田村です。
今から御報告させていただくのですけれども、参考資料1としてついております平成30年度の推進事業の調査結果、こちらのほうも今回の御報告に関連するところがございますので、先に御報告いただくとよいかと思うのですが、よろしいでしょうか。
○樋口座長 よろしくお願いいたします。
では、柏木構成員、お願いします。
○柏木構成員 おはようございます。柏木でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、本協会がこの検討会に資するために調査研究事業を行っております検討の調査報告の中間報告でございますが、報告させていただきます。
事業内容につきましては、とりあえず、構成員あるいは非構成員の方も含めまして、量的調査、質的調査、そして調査研究等に係るレビューということでやっております。
まず、量的調査Aの概要でございますが、これは養成校のほうにかけたアンケート調査でございます。238カ所のうち、回答数が145件で回答率が6割を超えるというかなりの回答率であったのではないかと思います。そして、その下の量的調査Aの結果の例でございますが、社会福祉士とのダブルライセンスをしている養成校が9割近くあるということと、あとは2段階方式であるとか並列方式、かなりダブルライセンスを考えたような養成校が多いという結果になっております。
続きまして、7ページを見ていただきまして、実習時間につきましては、ほぼ現状維持でいいというような結果が出ていたかと思います。
あと、細かいこと、いろいろなカリキュラムのことにつきましては、詳細を省かせていただきます。
続きまして、11ページの量的調査Bのほうに行っていただきたいのですが、これは現場の精神保健福祉士に対するアンケート調査でございます。6,879人に対しまして、養成校とは違い、若干回答率は悪かったのですけれども、4割弱ということで、当協会がやっているアンケートの中では恥ずかしながらかなりいい線を行っていたのではないかと思います。
Bの結果の基本属性につきましても、またご覧になってください。
本当にかいつまんで話させていただきますので、次に行かせていただきまして、質的調査の中身でございますけれども、これはインタビューをツールとして使わせていただいているのですが、まず、質的調査Aは教員を対象としております。質的調査Bは実習指導者を対象としています。資料的調査Cについては、10年以上の現場実践の経験を有する精神保健福祉士を対象としていて、質的調査Bには、ドクターであるとか看護師さんといった方に御協力いただきまして、多職種を対象とした調査をさせていただいております。それぞれのインタビューの内容につきましては、またご覧になっていただければと思います。
調査研究等に係るレビューの結果でございますが、精神保健福祉士法改正から2016年までの評価につきまして、一応の評価はしていただいているものの、まだ技能の習得などの課題が残されているとか、あるいは読み替えや免除がされた養成課程によって学生の習得する知識や技能にばらつきが生じる状況を生み出しているとかいったような評価がなされていると思います。
非常に短期間のとても限定された時間の中で調査研究をさせていただいておりますので、多少あらあらなところがあると思いますけれども、その点につきましては御寛恕いただきたいということと、これは中間報告でございますので、もう少し詳細な結果につきましては、また後日御報告させていただきます。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございます。
それでは、続いて、田村構成員からお願いできますか。
○田村構成員 ありがとうございます。
それでは、資料2で、ワーキンググループのこれまでの議論の現状について御報告をさせていただきます。
今年度の検討会が今回で最後になりますので、前回お伝えできなかったことで、なおかつこの資料にも書いていないことなのですけれども、先にワーキンググループのメンバーについて御紹介したいと思います。精神保健福祉士を養成している教員も多数入っているのですが、それ以外に精神科医や精神看護学、心理学の専門の方、ソーシャルワーカー等と連携されている法学の先生などにも入っていただいており、精神保健福祉士だけではなく多職種で今回の検討をさせていただきました。
さらに、教員は、今でも精神保健福祉の現場に携わっている者がほとんどということもありまして、教育と現場の連携を考えたときに、現場の実態もよくわかっている中で、今後どういう教育をしていく必要があるかという検討をしたことを併せて
お伝えします。
教育内容の見直しの方針について、前回も御説明しているところは省略させていただいて、資料のスライド3、4も前回と同じですので省略します。
5枚目と6枚目は、前回、御相談事項等として挙げさせていただいたものになりますけれども、上段はおおむね協議済みになります。下段は、今日も御意見をいただけるといいと思っています。
その1つは、精神保健福祉士を養成する中心的な科目を幾つか設ける、専門的なことをきちんと学べるような、そういう科目が必要であろうと私たちは考えたということがあります。その理由は、精神保健福祉士は戦後すぐぐらいから、日本で精神科の病院が多数できて、その頃に患者さんたちの社会復帰を支援するチーム医療の一員として、治療の仕上げを担うような役割として導入されたところが始まりですけれども、日本では精神科医療というのは民間主導で行われてきていて、なおかつ福祉の対象にはその当時精神障害者入っていませんでした。けれども、資格はありませんが、精神医学ソーシャルワーカーという名称で働いていた人たちは、人権擁護の意識や社会復帰の支援を担ってきた、そういった長い歴史を持っています。
一方で、精神障害のある方たちが障害者という名称はありながらも、実際に障害者としての法制度に規定されていなかったこともあって、地域生活支援を受ける体制が余りなかったことや、差別や偏見、社会的排除の対象となって、精神科病院の中に多くいたという現実があります。
そして、精神科医療の傘の下で福祉が民間中心に、特に精神科病院における民間中心の社会復帰支援が行われてきた歴史があります。そのような中で、私たちの先人の精神医学ソーシャルワーカーが、精神障害のある方々への関わりについて、精神医学の知識も持ちながら、なおかつ心に対してきちんと寄り添い、その方々が置かれている背景、社会環境や家族環境、今の時代状況などを見据えながら社会復帰支援に取り組んできた経過があります。
そういう中で、精神保健福祉士の前身となる精神医学ソーシャルワーカーが自己決定を尊重して御本人さんたちとかかわるために、特に自己決定の尊重という関わりの原則を大事にしてきた歴史もあります。これらは、歴史的事実を学ぶよりも、それがなぜ大事なのかということについて体験的に学習していただくことによって、精神保健福祉士が何を大事にしなければいけないか、倫理綱領がどうしてこういうものなのかを考える、そのための科目になっていく必要があるのではないかと考えています。ある種、日本における精神科医療や精神障害者福祉の歴史的な経緯を踏まえた中で誕生してきたのが精神保健福祉士だということですので、そこをきちんと体験的に、実感を持って学習していただくための科目が必要なのではないかと。そのよう考えた次第です。
それから、前回、御提案というか御相談させていただいた大きな2点目としては、「現代社会と福祉」「福祉行財政改革と福祉計画」「地域福祉の理論と方法」、そして、社会福祉士の専門科目であります「福祉サービスの組織と経営」、これらをどのように統廃合するかということの中で、前回、地域福祉に関しては、和気先生を中心に御意見を頂戴しまして、また、ワーキングにもお越しいただいてもう一度御意見を頂戴し、現段階でこの名称の科目を全くなくしてしまうということは、相当勇気ある決断ではないかと。先ほど資料1にもありましたが、そういった御意見等も頂戴した中で、地域福祉の、特に理論の部分に関しては、やはりこの科目名を冠した中できちんと学んでいただく必要があるのではないかと整理をし直しました。
もう一つが、下から2つ目のポツになりますけれども、「精神保健福祉の制度とサービス」「精神障害者の生活支援システム」「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」、これらについて精神保健福祉士に必要な制度論という形で再編することでどうかと考えました。障害者に関しては、今、地域では障害者総合支援法に基づき、どの障害の方も一体的な一元化した支援が展開されていますので、障害者福祉論に関して共通科目で学ぶ方法もあるかと思いますが、その内容について社会福祉士のほうの科目とも関連しますので、今回の場合は両論併記という形での報告にとどめております。
最後に4点目ですが、「精神保健福祉の相談援助の理論と展開」が現在120時間、およそ2年間で学ぶというボリュームのある科目になっていますが、これを精神保健福祉援助技術論とリハビリテーション論というふうに分離して、60時間ずつの科目にしてはどうかと考えました。ただ、リハビリテーションの考え方を、医学的なリハビリテーションに限定せず、もう少し幅の広い、精神障害のある方のリハビリテーションと考えたわけですが、更に言うと、障害者と定義されない方々に対しても、このリハビリテーションプログラムを適用して精神保健福祉士が支援している実態がありまして、このあたりをどのように整理するかがワーキングの中で区切りがつけにくいところでもありました。
ある種、精神保健福祉士と社会福祉士は、資格の成り立ちは違う形で成立していますが、実際に地域で生活している方を支援するときに同じソーシャルワークを基盤としていますので、入り口は別ですけれども、目的は一緒になっているということですとか、支援技術等に関しても共通して活用するものもありますし、もとが社会福祉学を基盤としているということで、共通する理念も持っていますので、そういう意味では非常にボーダーレスなところも出てきているかと思います。
また、支援を必要とする方々の多くがメンタルヘルスの課題も持っていることは当然ありますので、そういう意味でも、支援対象もボーダーレス化しているということがあるかと思います。
ただ、今回のカリキュラム、養成のあり方の検討においては、資格制度そのものの改正ではありませんので、精神保健福祉士法の中に規定されている精神保健福祉士の今後の養成をどのようにしていくことが望ましいのかという、そういった観点から検討してきました。そこのところをお含みおきいただきたいと思います。
次のページでは、カリキュラムの構造、それからイメージなのですけれども、ここでは一つの科目群としてきれいに整理したことをお示しすることはまだできていない状況です。無理に群分けをすることによって不自然な表現になってはいけないと考えましたし、科目群で分けるよりも、学生にとってどういう学び方が一番わかりやすいか、自分たちがどういう職種になっていくのかをイメージしやすいか、そこを前提として考えました。
スライド8では、そのイメージとして、1番目に対象となる人の心や行動をその背景も含めて捉える。バイオ・サイコ・ソーシャルという言い方をよくしますけれども、トータルに人を捉える。そして、人を取り巻く社会環境、社会構造を把握するということを幅広く理解するための科目が必要になるでしょうということです。
その上で、社会福祉の原理とか専門職としての価値や理念、また倫理や責務など、ソーシャルワーカーの基盤に関して一人一人の中にきちんとした理解を持っていただきたいということがあります。
その上で、精神保健福祉士として、どこで働こうとも、総合的・包括的に相談援助に必要な対象となる人々への理解、また支援の方法に関する知識・技術を有することになります。
その上で、各分野における支援、また、そこにおいてさまざまな多職種・多機関と連携することになりますので、それらの知識を含めて必要な相談・援助を展開するための知識と技術を要すると。
このようなことを学んできた上で、実際には、私たちは今回、4社ぐらいの出版社が出している教科書の目次構成を見ながら検討したのですけれども、教科書ではよく地域移行の事例とか、ひきこもりの事例とか、児童虐待の事例とか、認知症の事例とか、そのような形で出てくることが多いのですが、実際の利用者の方々は単一の課題だけを持っているわけではなくて、複合的にさまざまな課題を抱えながら生活していらっしゃるので、ばらばらに学んだものを総合的・包括的に自分の中に落とし込んで応用することが必要になります。そういうことをイメージできるような実習・演習によって、自分がどういう職業になっていくのかを明確にしていただきたいと、そんなふうに考えております。
それをもう少し具体的にカリキュラムの学ぶ順番としてイメージしたのが、次の9枚目のスライドになります。前回もお伝えしましたように、5番目には、学習内容を統合させて、精神保健福祉士として考えたり行動したり、相談援助を実践できる力をある程度習得することが必要であろうというふうに前回御指摘をいただきましたので、基本的なことは何とか養成の段階でもできるようになってほしいということを盛り込み、さらに、専門職としてこれから自分にどんな研さん課題があるのかを認識できるために、実習・演習の場を活用してほしいというふうにも考えております。
次をめくっていただきまして、スライドの11です。今回、科目のシラバスに関して提示させていただきますけれども、スライドで言うと13と14の2枚にわたって載っているところでありますが、これについて11のスライドで御説明させていただきます。
まず、精神保健福祉士の養成の科目案としては、現在は1,200時間となっていますので、これを守るということで、1,200時間を上限として提示しております。また、現行のカリキュラムを土台としつつ、精神保健福祉士の養成に必要な科目という観点で統廃合して再編したところがあります。これはあくまでも現段階の案ですので、今後の検討や作業の過程で変更になる部分もあるかと思われます。昨年12月に始まった検討会と1月に始まったワーキングで非常に短時間で検討してきておりますので、まだ検討が不十分なところもあるかもしれませんし、社会福祉士が共通科目をもつ資格ですので、そちらの検討状況にも鑑みながら、内容の調整を必要とするかと思っております。
本来であれば、これがもう少し早くできているとよかったかなとは思うのですが、まだそこに至っておりませんので、科目名等も含めまして、ほとんどのものを「(仮)」で科目の名称を入れております。全く科目名を提案しないと、どういう内容なのかがわかりにくいですので、一旦入れていますけれども、これがひとり歩きすることがないようにということを、私たちとしては希望しております。
実際のカリキュラムの内容について、13ページのスライドを見ていただいて、黄色になっているところが見直しの素案として主な科目の名称となります。
14ページの※のところに書いてあるのですけれども、これは単純な科目の新旧対照表ではありません。幾つかの科目を統廃合して再編しているところもありますので、一応、メーンのところに、例えば現在のカリキュラムの「現代社会と福祉」を右に見ていただくと、「社会福祉の原論」の科目と「社会福祉制度運営論」の科目というふうに仮置きしていますが、60時間のものが90時間になって一見膨らんだのかなと見えるのですけれども、実際にはその2段下の「福祉行財政と福祉計画」ですとか、「福祉サービスの組織と経営」とか、「地域福祉の理論と方法」といったものの要素を持ってきている部分もありますので、単純に一つの科目が2つになって膨らんだということでありません。そのことを御承知おきいただければと思います。
それから、今の表のところで「精神保健福祉援助演習」という科目がありますけれども、この基礎の部分に関しては、現在も社会福祉士の演習の読み替えをしている科目のため、そこは維持しつつ、その下の専門的な演習に関しては、時間をもう少し増やすことによって、より実践力や応用力をつけられるような教育ができるといいと考えております。
それでは、次にめくっていただきまして、ここからのところは全て一つの科目について2枚のスライドで、見直しの方向性の概要と科目の意義・目的、そして、その科目が何を目標にしているか、狙っているかということ、教育内容や含むべき事項について、ここは例示という記載にしていますけれども、このようなものを含むことが望ましいのではないかというのを、現在のカリキュラムの中で行われているものを取捨選択しつつ、また、必要に応じて新しいものを加えながら記述しております。
「医学・医療」に関しては、前回とそれほど大きく変わっていません。
次の「心理学と心理的支援」については、前回少し御相談をさせていただいたところでもあるのですが、その後、ワーキングで検討する中で、科目の意義・目的のところを見ていただきたいのですけれども、ソーシャルワーカーの自己覚知及び対象となる人の言動の理解において、心に関連した科学的知見を統合的に活用する、そういうことを目指す科目だという位置づけと、また、援助場面において対象となる人々及び多職種との良好な協働関係を構築することを目指した科目という位置づけにしました。
目標・狙い、含むべき事項の詳細は、ご覧のとおりです。
次の「現代社会学」も前回とそれほど大きく提案が変わっているわけではないのですが、前回よりも記述を詳細にしております。社会学の古典を勉強すべきというお話もありましたが、そういうことを背景にしつつも、実際に教育の内容として含むべき事項は、ここに挙げられているようなものと考えます。つまり、現代の社会の特性をきちんと理解することや、自分たちが生活しているこの社会はどんなものなのかということについて、人と社会との関係も含めて多角的に見ることができるようにしていくということ。それと、社会問題やその背景について理解することを中心的な科目にしています。
次が「法学概論」で、これは現在の科目に該当するものはないのですけれども、「権利擁護と成年後見制度」という科目を少し改変する形で、法学を概論的に学ぶ科目としています。
次をめくっていただきまして、「社会福祉調査の基礎」に関しては、前回の御提案と変えていません。「刑事司法制度」に関しても変えていません。
それで、この「刑事司法制度」や「社会福祉調査の基礎」については、先ほど柏木構成員から提示された資料、調査の結果を踏まえますと、結構意見一致というふうにみえるのですけれども、「社会調査の基礎」は、今は「精神保健福祉に関する制度とサービス」という科目の中に出てきていますが、この部分は他の科目で学ぶべきという意見がほかの内容に比べますと多くなっていました。
それから、「刑事司法制度」も、更生保護制度と同じように精神保健福祉士に関しては、現在、「精神保健福祉に関する制度とサービス」の中で学んでいるのですけれども、それに関しても他の科目で学ぶべきという意見がほかの科目に比べて多くありました。実際には、調査研究を踏まえて検討したという順序ではないのですけれども、結果的には意見が割と一致しているかなと思った次第です。
次にめくっていただきまして、スライド28が「社会福祉の原論を学ぶ科目」で、これが先ほども言ったように「現代社会と福祉」や「地域福祉の理論と方法」などの科目を統廃合したものの一つです。
もう一つが、のスライド32の「社会福祉運営論」となります。これらは2つとも前回御報告しているものですけれども、その中から地域福祉論に関連するところは少し抜き出す形にして、34、35のスライドで「地域福祉論」として改めて科目立てをしました。これは、地域福祉の理論と方法を区別して、地域福祉の理論の部分に焦点化した科目というふうにするという方向です。
科目の意義や目的は、社会福祉原論の科目で学習した社会福祉の歴史を踏まえて地域福祉の意義を捉え、その理念と概要を理解するといった科目となります。
次にめくっていただいて、11番からが、現在は精神保健福祉士の専門科目になっているところが中心です。「精神医学と精神科医療」も前回と大きく変えてはいませんが、精神科医療の中で精神保健福祉士が果たす役割なども認識することができるように、精神科医療の仕組みですとか、他職種がどのようなことをしているのかということをしっかり学ぶような科目立てにしています。
その次の「現代の精神保健の課題と支援」に関しても、前回とそれほど大きく変化はしていません。
めくっていただいて、スライド40ですが「精神保健福祉の原論となる科目」についても、前回とさほど変えていませんが、この科目を置く意義に関しては、先ほど御説明したとおりです。
次に14番の「精神保健福祉の制度論」に関しても、先ほど御説明したとおりです。
15番の「精神保健福祉の相談援助論」、これはIとIIに分け、30時間ずつで提示しています。相談援助論のIに関しては、精神保健福祉士だけでなく社会福祉士にも共通するソーシャルワークの概念を学ぶ内容として構成していますので、共通科目にすることができるのではないかと考えております。
一方の更に専門的に相談援助を学ぶということに関しては、相談援助論のIIのほうを設けるということになります。
17番と18番が冒頭でもお伝えしましたように、リハビリテーション論と援助技術論ということで60時間ずつの科目に分けたものになっています。全体にリハビリテーション論のほうに関しては、精神科リハビリテーション学というのが旧カリのときにあったのですけれども、それですとおさまり切らないものもあるので、精神障害のリハビリテーション論とか、精神保健福祉のリハビリテーションとか、科目名がまだ確定しませんが、内容としては、精神保健福祉士が実際の利用者の方々のリハビリテーションに携わるときにどのように行動すればいいのか、その意義と方法、あるいは関連する多職種・多機関の機能などについても学ぶ組み立てになっています。
援助技術論のほうは、リハビリテーションとは別にして、精神保健福祉の相談援助論と重複するところもあるのですけれども、より技術のところを鮮明に学ぶことができるような科目立てにしています。
19番目が前回お示しできていませんでした「精神保健福祉援助演習」です。これに関しては、基礎のほうは現在と同じ内容で社会福祉士との読み替えを考えていますので、専門の部分に関して御報告させていただきます。
この科目の意義・目的は、精神保健福祉士としてソーシャルワークを実践するために、ほかの科目で学習した知識・技術及び価値を自分の中で統合させて活用できる力の習得を目指すことと、精神保健福祉士としてのアイデンティティーを構築し、自身の専門職としての研さん課題を明確にするための科目となります。
目標・狙いまではほかの科目と同じように記述していますが、教育内容及び含むべき事項に関しては、スライド54番と55番にたくさん列記しています。例えば領域別にはこういった場所、また、課題別にはこういった課題、そして、取り上げる法制度やサービスはこのようなもの、用いる援助技術はこういったものということで、これら複数の要素を組み合わせた形での事例を用いて、精神保健福祉士として実際にそれをどのように考えて、どんな行為をしたらいいのかということが想定できるような教授法が必要になるということです。なおかつ、実際の現場を体験した後のほうがよりリアルにそれらの事例を実感できることがありますので、少なくとも30時間以上は実習の終了後に履修することが望ましいと考えています。
このあたりに関しては、実際にテキスト、また教材をどのように活用するかとか、教員の教授力が問われてくるかと思いますので、以前から話題にはなっていますが、演習担当教員、実習も含めてですが、その教員の質の確保・向上、また、そのための講習等に関しては、検討が必要ではないかと。現状のままでは不十分ではないかという意見をワーキングでは持っております。ただ、その具体の講習内容ですとか要件についての提案には、今回は至っておりません。
その次の20番の「障害者福祉論(仮)」は、仮称ですが、もし社会福祉士と共通にするのだとしたら、このような内容になるであろうかということで置いております。先ほど申し上げたように、精神保健福祉の原論の科目や制度論の科目で、障害者福祉論に関してはおおむね学ぶことが可能ですので、共通科目にする意味が薄くなってしまうところがありますが、もし共通科目としておくとしたらこういう内容になります。
精神保健福祉士が支援の対象とする方々は、圧倒的に精神障害者と言われる人たちが多いですので、精神障害に関しては、やはり濃く深く学ぶ必要があります。一方、共通科目でこれを社会福祉士の方も学んだ場合に、社会福祉士の方が別に知的障害や身体障害について深く学ぶ科目が用意されているのかどうかということが現状では把握できておりませんので、共通科目とするのがいいかどうかについても判断はできかねるのですが、一応提案という形で置かせていただいております。
もう一つが、前回も御報告しましたように「保健医療サービス」の科目です。こちらについては、精神保健福祉士としては専門科目にするよりも、学びたい方は、社会福祉士の科目かもしれませんが、選択科目として学んでいただくとよいのではないかという位置づけにさせていただきつつ、医療ソーシャルワーク概論のようなもので、こういった内容が含まれているとよいのではないだろうかという御提案として入れました。
以上が全体像の御説明になります。
先ほども申し上げましたように、これは決して決定ではないわけですけれども、検討のたたきにしていただければということで提案させていただきます。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
短期間の間にこれだけのボリュームのものをよくまとめて、このような形で報告していただきました。ありがとうございました。
それでは、この議題に関しまして、ただいまの今までにいただいた報告、それから柏木構成員からの報告も含めて、これについて御議論いただきたいと思います。御質問あるいは御意見がありましたら、どうぞ。
○中島構成員 日本社会福祉士会の中島でございます。
3点ほど思ったことがありましたので、御意見を述べさせていただきたいと思います。
1つは、これまでの議論の中で、ソーシャルワークを中心に議論がなされてきていまして、ソーシャルワークのグローバル定義ですね。国際定義を中心に議論がなされていること自体はすごくいいことだと思うのですけれども、グローバル定義の中核的な実践を考えたときに、それはやはり社会変革の促進というのが出てくると思うのです。であるならば、この社会変革の促進や、いわゆるソーシャルアクションというところが、このカリキュラムの中の一体どこら辺に入ってくるのか。まだそれが明確でないのならば、それはそれで構わないのですけれども、御意見としては、ソーシャルアクションや社会変革の促進というところの要素をきちんとわかる形で盛り込んでいただきたい。そうでなければ、最終的に精神保健福祉士や社会福祉士はソーシャルワーカーではないという話になりかねませんので、そこのところをぜひお願いしたいというところです。それが1点。
もう一つは、それと関連して、グローバル定義の中では、人々のエンパワーメントと解放ということが入ってくるわけですけれども、つまり、人々の社会的権利を守るために社会を変えていくというような流れ。社会を変えてといういくだけがいいのかわかりませんけれども、社会に関与していくということです。社会が人々の社会権利と違う方向に流れた場合は、当然、今度はそれを阻止しないといけないという要素も含まれているわけですから、社会に対する責任ある関与というところがあると思うのですが、そのように考えていきますと、これは障害の領域で言うと、社会モデルによる社会変革の促進ということになると思うのです。であるならば、障害者福祉論の中に社会モデルという要素が入ってくると思いますので、ぜひそのあたりは盛り込んでいただきたい。
特に、それは私自身の自戒の念といいますか、つまり専門職の社会的地位向上だけを言うのではなくて、人々とともに私たちはあるべきだという、そういった観点としても重要な観点だと思いますので、障害者福祉論の中に社会モデルの要素を入れていただきたいということが1点。
もう一つは、次の中間報告の中にも同じような感じになっているのですけれども、コミュニティーソーシャルワークをどのように取り扱うのか。結構、コミュニティーソーシャルワークという言葉が出てきているわけですけれども、果たしてコミュニティーソーシャルワークという考え方、理論や、そしてそういった言葉が、実際に現場の中でどこまで共通理解がなされて使われてるのかと。そこら辺のところはすごく私は疑問がありまして、いきなりこれがぽんと教育カリキュラムの中で色濃く出てくることによって、果たして現場との乖離は生じないのかと考えています。
コミュニティーソーシャルワークの考え方自体は私は賛同していますし、大事な考え方だと思っているのですけれども、これをカリキュラムの中に入れていくのかというのは、ちょっとどうなのかなと。つまり、私の勉強不足かもしれませんけれども、コミュニティーソーシャルワークというのは基本的には個人の支援ですね。ケースマネジメントとか個人の支援を通して社会環境を変えていくという形のものだと思いますけれども、そうではなくて、ソーシャルワークという観点で考えたときに、地域住民のニーズ調査とかニーズの把握を通して行政機関に対して直接働きかけるようなソーシャルワークの展開もあるわけですから、となってきますと、地域を基盤としたソーシャルワークとか地域に根差したソーシャルワークという説明のほうが現実的にも合っているのではないかと考えています。
この3点、御意見申し上げたいと思います。
○樋口座長 ありがとうございました。
田村構成員、何かございますか。
○田村構成員 ありがとうございます。
真剣に精神保健福祉士のことを考えていただいて嬉しいです。社会福祉士会として来ていただいているので、本当にありがたく思います。
まず1点目です。冒頭にも申し上げたのですが、精神障害のある方は社会福祉の対象になっていなかった歴史が長いのです。そういう中で実際に生活支援、あるいは社会復帰支援をしていくときに、実際に地域の中に資源がない。福祉の制度がありませんから資源がないわけですが、ない中で創り出していくということに関しては、精神医学ソーシャルワーカーの時代から比較的自然な発想であり、やってきたことでもありました。そこが恐らく福祉の制度の中で処遇されてきた方々と精神障害者の置かれてきた歴史の違いにあると思っていて、そのためにソーシャルワーカーとしての私たちの発想の中には、もとから意外とそれをするというのはあるのです。なので、逆にそこを強調する意味を認識していなくて、カリキュラムとして文言が余り出ていないということかなと、今お聞きしていて思いました。
ただ、ここには書き切れていないというか、精査不十分なので全部は出しておりませんが、含まれるべき事項としてより細かい資料を別途作っていて、そこにはもちろんそういった表現も入ってはいます。
それから、2つ目は何でしたか。
○中島構成員 2つ目は社会モデルです。
○田村構成員 社会モデル、これはもちろんそのとおりで、私たち精神保健福祉士は全然医学モデルではないのです。それはむしろ、医療の中に長いこと働いていたせいで、逆に医療機関にいながらも違うモデルで当事者の方々を捉えることの重要性というのが身に染みている分、これも先ほどと重なるかもしれませんが、余りそのことがここに出てきていないかと思います。ただ、これも言いわけがましく聞こえたら申しわけないのですが、詳細版の精神保健福祉論のほうには実際にはくどいほど入っています。
それと、併せてエンパワーメントというお話もあったと思うのですが、精神障害のある方は容易に社会的排除の対象になりがちだということは前回の柏木構成員のプレゼンテーションの中にもありました。しかも、長年入院生活を送っていて、もちろん精神科病院の中でも一生懸命支援はしていますが、精神科特例というものがあって、少ない人手の中で多くの方々を看ていくときに、どうしてもまだ待っていなさいねとか、もうちょっと様子を見ましょうねとか、また妄想があるから言っているのでしょうということで、私たち支援者も、また家族も、地域住民も、みんなそういう見方を精神障害者全般に対してしてきているところはあると思うのです。そういう中に置かれていると、これは研究としても報告された論文がありますが、御本人さんたちが、自分はこうしたいんだとか、こういうことを望んでいるんだということをなかなか言えなくなってしまう。そのことを私たちはよく認識した上で、でも、どうしたいのかをきちんと聞かなければいけないし、その方々が持っている力をきちんと見出し、それを強めていく発想を大事にしなければいけないことは、関わりの基本として据えています。
それをエンパワーメントアプローチというのだなとか、ストレングス視点というのだなというふうに、昔のPSWはそういう用語を後から知ったようなところがありました。それをきちんと教えていかなければいけないということは重々認識した上でカリキュラムを検討していると思うのですけれども、これも御指摘のように、もしかするとカリキュラムを見ただけではそこがなかなか伝わらないのであれば、もう少し表現の仕方を工夫する必要があるのかなと思いました。
3点目のコミュニティーソーシャルワークですか。ごめんなさい。この辺は私も不勉強なので、その用語だとそれはケースワークを地域でやるということなのかというふうに、今そうなんだと知ったというか、そうなのかなと思ったのですけれども、地域の中に資源を創っていくことと併せて、中間報告にも出てくるのですけれども、精神障害のある方たちのことも理解していただくとか、そういう方々がこれからどんどん地域社会で生活していくようになっていくわけで、その方々を迎え入れるときに資源も必要だし、また、心のバリアも取り除いていかなければいけないということもありますので、当然、普及啓発の活動などをやっていくことは重要でしょうし、また、メンタルヘルスの課題ということが昨今しきりに言われるようになったので、そのことと関連づけながら、いわゆる昔からの精神障害のある方々に対しての理解や目線といったものも、少しずつ社会のほうが変わってきているかなという気もしますし、そこへのアプローチはすごく大事なことだと思っているのです。
一例を挙げれば、寝屋川市の監禁致死事件や三田市の監禁事件みたいなものがあるように、今の時代でもやはり精神障害のある人を隠しておきたい御家族がいて、そのことに気づけない地域社会があるわけですので、そこをもっと変えていかなければいけないという発想は精神保健福祉士の中にも強くあると思います。そういったことがコミュニティーソーシャルワークという表現ではない形で、地域を基盤としたソーシャルワークですか。そういうふうに言ったほうがいいということであれば、そこはまた検討もしたいと思います。実際にこのワーキングの中で、地域福祉論をわざわざ置く必要があるのかという議論になったのは、そのあたりなのですね。自然に私たちがやっていることなので、あえてこの地域を基盤としたソーシャルワークという科目を置く必要があるのだろうかという声が一部の議論の中にあったと認識しています。
そのぐらい、いわゆるソーシャルワーカー的にやっていたことがちょっと無自覚だったのかなと、今、お話をお聞きしていて思いました。でも、ずっと無自覚のままだと大事なことが伝えられなくなってはいけないので、やはりカリキュラムの中できちんとそういうことを教えようとしている意図が明確に見えるような仕方というのはすごく大事だと改めて認識させていただいた次第です。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
では、ほかの御質問、御意見、ございましたらお願いいたします。
どうぞ。
○和気構成員 今、御意見があった3点目について、コミュニティーソーシャルワークのところはちょっと補足をしておかなければいけないなと思っています。
1つは、福祉の現場でどれだけ共有されているのかということは別として、現在、名前は「地域福祉コーディネーター」という名前を使ったりすることがありますが、市区町村社会福祉協議会に実質、コミュニティーソーシャルワーカーという方々の配置がかなり進んできているということが現実としてありますので、まずそのことを申し上げておきたいと思います。つまり、空想の世界ではなくて、現実にそれがあるということです。
では、その人たちは一体何をしているかというと、基本的には個別支援と言われているものと、地域支援と言われているものをいわば統合して活動をするということになります。つまり、それは一定のエリアを担当して、その中で、例えば一番有名なのはごみ屋敷への対応ですけれども、ごみ屋敷の人がいたら、その方への支援というのは当然するわけですが、そういう問題が、例えば地域の中でどのように広がっているのだろうかということで、地域に介入して、そういう人たちがどれ位いるのかを調査してみたり、あるいは場合によっては「当事者」を組織化したりとか、従来、ケースワークと呼ばれていたものとコミュニティーワークと呼ばれていたものが、かなり切り離された形で専門分化してきた、専門職化してきたことへのいわば反省から、地域を基盤として両方の方法を結びつけて支援していくことが非常に大事だということで、この10年から15年ほどの間、私は「地域生活支援」ということが一つのエポックになっていると思いますけれども、そういう人たち、つまりコミュニティーソーシャルワーカーと言われているような人たちによる支援が、現実に地域では必要になってきているということだと思います。
もう一つは、先ほどお話しになったコミュニティーを基盤としたソーシャルワークというのは、実は英語の文献を読めば、ほとんどの場合、コミュニティー・ベースド・ソーシャルワーク、CVSWということが書いてあります。これが正確なのですが、では、コミュニティーソーシャルワークという言葉が英語として間違っているかといえば、例えばスクールソーシャルワークとか、ファミリーソーシャルワークという言葉があるわけです。つまり、スクールという場、空間でのソーシャルワークがスクールソーシャルワーク、家族という場、空間でのソーシャルワークがファミリーソーシャルワークであるならば、コミュニティーという場、空間におけるソーシャルワークもあるだろうということで、多分使われたのが、コミュニティーソーシャルワークという言い方になります。
ただ、社会福祉の歴史を紐解いてみると、ソーシャルワークというのはコミュニティーなしで存在するものなのかと問われると、先ほど田村先生がおっしゃったのですが、もともと昔からそういうものなのでしょうと言われると、確かにその通りですということになります。ただ、改めてこの10年から15年ほどの間に、当事者(利用者)の地域生活支援が焦点になり、地域福祉論の中で再理論化されたと考えていただければいいと思っています。
繰り返しになりますけれども、「地域福祉コーディネーター」という名前で、現実に人材の配置が始まっている。そして、その人たちは、個別支援と地域支援を結びつけて、コミュニティーという「空間」でソーシャルワークを展開しているということは間違いなくありますので、どれだけ共有されているかというのは別として、現実にはそういう動きが進んでいるということは御理解いただきたいと思います。
ちょっと長くなりましたけれども、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。そろそろ時間であります。
どうぞ。では、簡潔にお願いします。
○岩上構成員 簡潔にですか。ちょっとプレッシャーがかかりましたけれども、じりつの岩上でございます。
今、和気先生がお話しになったコーディネーターというのは、いろいろな立場でいろいろなところにいらっしゃるのですけれども、そのコーディネーター同士が連携できないというのが一番の問題だと私は思っているのです。それぐらい、ソーシャルワーカーもいろいろなところにいるけれども、自分の仕事はできるけれども、ほかに同じような仕事をしている人ときちんと連携するという力が地域の現場では非常に弱い。したがって、きちんと力をつけてもらうような教育をしていかなければいけないと思います。まず一つ。
それから、田村さんがおっしゃっていた、精神保健福祉士は最後までサービスがない中で働いてきたので、本来はサービスを生み出すのを得意としていたはずだというお話がありました。私もそれに期待しています。自立支援協議会という枠組みの中で新たなものを生み出すことができるにもかかわらず、自立支援協議会が形骸化している。ということは、やはりそれだけの力量をつけてもらう教育をしてこなかったということになるのだと思います。
加えて言うならば、個別支援を通してボトムアップしていく力量と、地域をアセスメントしてトップダウンして物事を解決する。そういったことが教育の中で、もちろん、その後の現任者教育も必要になるわけですけれども、取り入れていくということを科目の中には入れていただきたい。もちろん、中島構成員がおっしゃった、社会変革というのか、良質な社会づくりに関与するというのか、そういった視点を取り入れていただきたいと思います。
もう一つは、今、コーディネーターの話をしましたけれども、個別支援の部分とやはりグループワークですね。私たちの学生時代はグループワークという科目がきちんとあって、集団援助技術を学びました。その力量がないとこの仕事はできないと思うのです。つまり、いろいろな人たちとコミュニケーションをとってやっていくこと。その位置づけがちょっとこの中を見ると、グループワークもつけ足しのようにしか見えないので、それはきちんと教育をしていただきたい。今までもしてきていないのかもしれませんけれども、そこは加えたほうがいいと思います。
終わりました。
○樋口座長 せかしてしまいまして申し訳ありません。
ほかに特に、どうしても御発言をここの段階でということがありましたら、どうぞ。
○萱間構成員 演習・実習科目についてなのですけれども、今回は演習の専門のところが詳しく出ていて、これから決めなければいけないところもいっぱいあると理解しているのですが、実習終了後に30時間以上履修するというような、それはとても効果的だと思うのですけれども、でも、90時間の固まりにして、余り要件をつけてしまうと、学校とか教員の力によって内容の開きが大きくなると思いますので、少し演習・実習の組み方は、科目を分けた上で構成を考える。固まりにしないで、中身も明確にしてという工夫が今後、必要になるのかなと思いました。
○樋口座長 どうぞ。
○田村構成員 ありがとうございます。
現在は60時間の演習で、そのうちの30時間が実習後にこのような教育を行うことというふうにシラバスに書かれているのですね。ですので、それと似たような組み立てとは思っているのですけれども、今、御指摘いただきましたように、各養成校でやりやすさも考える必要がありますので、改めて検討させていただきたいと思います。
それから、実習について先ほど御報告を特にしていなかったのですが、柏木構成員からの調査結果にもありますし、また、私たちワーキングでも話し合っていて、おおむね合意したこととして、現在の医療機関を必須とする2か所以上での実習というのが多くの意見として賛同されていますので、時間数等の大きな見直しは実習に関してはないと考えております。ただ、指導者要件や教員要件等に関しては、議論と検討の必要があると考えていることを補足させていただきます。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、よろしいでしょうか。前半の議事はこの辺にさせていただきまして、本日の第2の議題でございます「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 中間報告書(案)について」、この後、議論をしたいと思います。
なお、この中間報告書の案は、前回検討会で事務局のまとめをお願いしましたが、その素案ということでございます。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○御子柴主査 ありがとうございます。事務局でございます。
お手元に資料3「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 中間報告書(案)」と、最後に別紙といたしまして御用意しております概要の案の資料、この2つを使わせていただきます。
こちらは御紹介いただきましたとおり、これまでにいただきました御意見を事務局のほうで集約いたしまして、構成した中間報告書になります。こちらについては、先ほど御報告いただいたワーキンググループの教育内容の細かなものとは別に、精神保健福祉士に求められる役割といったところを中心に、今後の対応についての素案をビジョンとしてまとめていく役割ということになっております。
めくっていただきまして、1ページでございますが、目次をご覧ください。
初めに、検討の経緯を御紹介するような項立てになります。
2つ目としまして「精神保健福祉士を取り巻く近年の環境の変化について」でございます。
3つ目として「精神保健福祉士の役割について」で、その中については1)から4)に分けた形での項立てとなっております。
4つ目としまして「求められる役割を踏まえた今後の対応の方向性」ということで、現状の課題に対して今後どういった対応をしていくかという方向性を記載したものとなっております。
5つ目として「今後の検討について」の方針となっております。
また、参考といたしまして、こちらの検討会の構成員のお名前を載せました構成員名簿とワーキンググループの構成員名簿を御紹介しております。また、これまでのプロセスということで、検討会とワーキンググループの開催状況を最後に御紹介するといった構成となっております。
2ページ目、「はじめに」ということで、精神保健福祉士の資格の創設の経緯から始まっておりまして、その創設後の10年前の見直しの経緯を2段落目に記載させていただいております。下線が引いてありますとおり、精神保健福祉士については、精神障害者の立場に立ち、権利擁護及び主体性を尊重した相談援助により、これらの地域生活支援を行う専門職であるということが、前回の見直しで前提として改正が行われたところです。
その後、更に10年が経過して、現在として取り巻く環境が変化しているということを本検討会の開催要綱にも記載しているような内容を記述しているものが2ページから3ページ目につながっております。
3ページのところは、そういった取り巻く環境の変化を踏まえて検討を始めたということの御紹介となっております。
次に4ページでございますけれども、こちらからが「精神保健福祉士を取り巻く近年の環境の変化について」ということで、第1回の検討会で当課から御紹介した精神保健医療福祉の動向ということで、医療や福祉の動向についてを御紹介している形が前半でございます。
1段落目が、精神医療の状況ということで、総患者数の増加と特に外来患者数の増加、また、疾患別に見たところ、認知症の増加といった状況があるということと、病床数の変化、入院期間、平均在院日数の短縮、そういったところの紹介をしております。
次の段落は、平成25年の自立支援法からの障害者総合支援法の改正・施行の経緯、また26年に「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」ということでお示しした、平成16年から続いております入院医療中心から地域生活中心へという理念をもとにしております地域包括ケアシステムの構築に向けたビジョンを示した経緯が、26年の段落から29年の「これからの精神医療保健福祉のあり方に関する検討会」といった流れとして御紹介をしているものになります。
5ページのところでございますけれども、今、申し上げた地域包括ケアシステムの構築のビジョンに加えて、地域共生社会の実現にも寄与するということで、平成30年に施行された社会福祉法の紹介をしているところでございます。
同じページの下段でございますけれども、医療計画と福祉計画における動向、また、精神保健福祉士に求められている役割ですね。最後に、依存症の対策における動向を記載したということになっております。
次に6ページ目をご覧いただきますと、このような状況の変化に加えて、社会の変化といたしまして、人口構造の変化や働き方の変化、家族構造の変化といったところで、こういった変化も時代の変遷あるいはニーズの変化なども加わって、精神保健福祉士の活躍の場としましては、個人・家族、組織・集団、地域及び社会など各レベルで精神保健福祉士を取り巻く環境が年々変化している。こういった中で働きかける対象や課題がより多様化・複雑化しているといった状況にあるということを前提の経緯としてまとめたものとなっております。
以降は、そういった政策の動向等を図でお示ししているものとなっております。
7ページを飛ばしまして、8ページでございます。こちらが「精神保健福祉士の役割について」ということで記載したものです。こちらも過去の検討会でお示しした資料に記載しているものをおおむね引用したものとなっております。
1段落目が、精神保健福祉士法に規定される役割ということで、精神保健福祉士は、精神障害者の医療を受け、または精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談、そのほか助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行う者と規定されているということを前提に記載しております。
次の段落ですけれども、前述の環境の変化などによって果たしている役割というのは、精神障害者に対する援助のみならず、精神障害等によって日常生活または社会生活に支援を必要とする者、また、メンタルヘルスの課題を抱える者への援助へと拡大しているということを記載しております。
また、精神保健福祉法の目的にも定められているようなということで、障害の発生の予防や国民の精神的健康の保持・増進、福祉の増進や精神保健の向上、そういったところに対しても役割が拡大している。加えて、先ほど教育内容の話の中でもありましたが、社会における精神疾患や障害がある者への意識を変えて、偏見や差別のない社会づくりへの役割を目指しているということを記載しております。
次の段落ですが、これらに伴って精神保健福祉士の活動する場が多分野に広がっており、また、更に多職種・多機関との連携・協働の機会が増加しているということもいただいた御意見の中から記載させていただいております。
こういった状況を踏まえ、また、役割の拡大というものを視覚化したものが、次の9ページの図でございます。こちらは検討会でいただきました御意見と前回の第2回の検討会で柏木構成員のほうから御紹介いただきました、精神保健福祉士の歴史的な制度の変遷に伴う役割の拡大ということで、対象者が広がっている、かつ役割が広がってきているということを図示したものでございます。
小さい四角のところが最初に紹介いたしました、疾患・障害によって医療を受けている者。その次の四角が、日常生活または社会生活に支援を必要とする者。その次の四角でございますが、顕在的または潜在的にメンタルヘルスの課題がある者。さらには、大きい枠として国民全体ということで、そこにおいては先ほど申し上げました精神保健の保持・増進ですとか疾患・障害の予防、精神疾患や障害のある者への理解の促進、さらには偏見や差別のない社会づくり、こういったところへの働きかけということで、対象者の拡大と役割の拡大があるということです。
それらが単に政策や法律が変わったということだけではなくて、縦軸にありますとおり医療や福祉の発展があり、先ほどの施策の展開があり、また、ひいては国民・社会の意識の変化、そういったもので結果として役割も拡大してきているということがあろうかと思います。
そこに加えて、横軸に書いておりますが、ニーズが拡大してきているということも先ほどのさまざまな精神保健課題や社会の変化といったところで引き延ばされてきているというような整理をしたところでございます。
続きまして、その下段でございますが、精神保健福祉士の役割は拡大するものの、やはり価値や理念、倫理や責務といったところがもともととしてあり、そういったところが専門職としての価値づけになる重要な要素であるという御意見をいただいておりました。また、顕在的な課題のみでなく潜在的な課題を把握して、全体を俯瞰したり働きかけるというソーシャルワーカーの視点もとても重要だという御意見をいただいておりますので、そういったところを発揮することも重要な役割だとまとめたところでございます。
また、そういった基盤となる役割、不変的な役割がある一方で、先ほどのように環境の変化ですとか対象や課題の多様化・複雑化にも対応できるように、対象や課題、レベルに応じた目的・目標を意識して、柔軟かつ包括的な業務を担うといった、変化に応じた役割というものもあろうということでいただいた御意見をまとめております。
また、それらに対して、役割に応じて必要になるものということで、さまざまな機能ですとか、知識や技能といったことがその専門職としての基盤になろうということを整理しております。
10ページが、今、申し上げたようなところを図示しますと、目指すべき役割という表現が正しいかは御相談ですけれども、イメージとしてはこういった役割を整理できるのかなということで、3つの軸に分けた項目立てにしているところでございます。
次ですが、11ページをめくっていただきまして、その3つに分けた軸として1つ目が「普遍的な役割や基盤となる役割」ということで、こういったところも全く変わらないのではなくて、変化するものであるという御意見を前回いただいていたかと思いますので、普遍的ということだけではなくて、それが変化したとしても基盤となる役割ということで整理させていただいております。こちらにグローバル定義のことですとか、今までいただいた御意見の中、あるいはワーキンググループの中で整理した価値や理念、責務や倫理、そういったところを少し整理させていただいたものです。
さらに、精神保健福祉士が実践に当たって必要となる視点はどういうことなのかというのをワーキンググループで整理したものを前回御紹介したかと思いますが、それについて主な視点ということで、1番から9番ということでまとめたものが、囲ったところでございます。
先ほど教育内容の中でお話があったようなことも、こういった視点にも含まれていようかと思いますので、単純に項目ということで全てが出るわけではなく、そういった教育内容を総合すると、こういった視点が養われるような教育内容になっているかということでまとめているのが今回の見直しの趣旨でございます。
次に12ページが「変化に応じた役割」ということで、さまざま対象が広がっているということは先ほど申し上げたとおりですが、そんな中でもどういったことが対象や役割になろうかということで、まずは主な対象という視点でまとめたものが1番から6番に記載しているものです。
1つ目が、先ほどの図にあった医療を受けている者、また2つ目が日常生活や社会生活に支援を必要とする者、3番目と4番目が先ほどの3つ目の枠にありましたメンタルヘルス課題のある者で、5番目以降が先ほどの図の外側にあったところと全体に係るところですが、それらの者の周囲にいる家族、集団、組織、地域、社会、そういったところへの働きかけという意味で対象別に記載しております。
6番としましては、先ほどの社会への働きかけというところで保健の保持・増進、疾患・障害の予防、理解の促進、そういったところの結果として、差別や偏見のない社会づくりといったところが目的や行動という意味で、対象者としては国民全体という記載で整理をさせていただきました。
それ以降は変化の中でも申し上げた細かなメンタルヘルス課題を具体的に例示したものになっております。これまでも取り組んできたところはあろうかと思いますが、近年は災害被災者や犯罪被害者、また、外国人やセルフネグレクトの方々等々、多様化しているといったことは世の中の変化でもわかるとおりかと思いますが、こういった者へ多様化・複雑化しているということをまとめております。
続きまして、13ページのところでございますが、こちらが精神保健福祉士の配置・就労状況というものを、第1回のときに配置状況でお示ししておりまして、第2回の検討会では就労状況調査等を御紹介したかと思います。そういったものを図式化したものです。
図7につきましては、平成24年度の就労状況調査と27年度の就労状況調査の比較でございますので、全体の割合としては大きくは変わっていないように見えるかと思うのですけれども、医療関係の割合が少し変化しているというところと、平成27年度については、例えば障害者の就業センターといったところですとか、教育関係ですとか児童、社会福祉協議会、そういったところで少し場所、分野が多様化しているといったことがあります。
ただ、こちらについては近年、24年が過去のものとなっておりますので、事前に日本精神保健福祉士協会に10年前の状況についてお伺いしたところです。本日この報告書の中には盛り込めておりませんが、今、口頭でお伝えしますと、2009年の日本精神保健福祉士協会の構成員への所属機関別の状況調査をした結果を伺いましたところ、医療分野、病院ですとか診療所に所属している者が50%、保健・行政に携わっている者が3%、教育に携わっている者が6%、また、社会福祉施設ですとかグループホーム、老人保健施設等々の福祉関係の施設については15%弱で、全体は6,500人程度の会員に対しての調査ということでしたが、こういった割合でしたので、医療が半数、福祉の割合といったところは、10年前と比べますと多様化しているというところが、先ほど役割が拡大していると申し上げたところの裏付けとなろうかと思っております。
こういった情報も可能な限り提供いただきまして、先生方にお伺いしながら掲載できればとも考えておりますが、現状、これまでの会議で御提示した情報を掲載すると、今のような形になろうかと思っております。
14ページ以降は、医療、福祉、保健、司法、教育、産業、そういったところの実際の多分野での活動を例示したものになります。こちらについては、14ページの上段にありますとおり、あくまでも現時点における例示ですので、今後も引き続き整理が必要であると記載しておりますが、実際的にはこういったところで整理はできていようかと思いますので、こういった表現がよいか、こういった状況であると言い切ることもできるかと思いますので、もし何か適切な表現等があれば御指示をいただければと思っております。
医療については、先ほど申し上げた変化そのものですけれども、具体的に書いているところとしましては、3段落目の「そのほか」と始まっているところで、診療所と外来等での精神保健福祉士の役割として、通院患者や家族、その地域の課題に視点を置いた関わりですとか、あとは就労とか介護、住まい、そういったところへの働きかけ、また、その結果として地域包括ケアシステムの構築に向けた、こちらにもコミュニティーソーシャルワークという用語を用いておりますので、後ほど御議論いただければと思いますが、そういった展開も必要になっているということ。
また、精神科領域における高齢化や認知症の増加といったことの結果として、認知症疾患利用センターにも配置がされてきているという実態を記載しております。こういったところでは特に、入り口や出口の支援だけではなく、本人や家族のニーズを把握しながら、入院中から退院後までの継続的な支援が求められているということを記載しております。
続きまして、15ページは福祉のところについての記載ということで、過去に相談支援専門員ですとかサービス管理責任者等の配置状況、そういった配置もあるという御意見をいただいておりましたので、その紹介と、また、医療との連携による役割として、コーディネートやマネジメント、また、本人の希望を中心に据えた支援の展開を紹介しているところです。
次に、保健・行政につきましては、実際の精神保健福祉センターや保健所等の担う役割ということで、精神保健福祉相談員の規定に基づくものですとか、個別の相談に対する支援ということで、アウトリーチといった支援につなぐ役割ということを記載しております。また、家族への働きかけということも行政においては重要なポイントかと思っております。加えて、体制づくりですとか教育や普及啓発、そういった役割が求められているということを記載しております。
次に、司法の分野におきましては、医療観察法の関係ですとか、再犯防止のプログラム等の役割を御紹介しております。
続いて、教育・児童ということにおいては、スクールソーシャルワーカーということで、教員や学校、スクールカウンセラーと連携した役割も期待されていると紹介しております。
続いて、産業・労働というところにおきましては、先ほどもお伝えしたストレスチェック制度の実施者ですとか、障害者の就職サポーターとしての役割などを御紹介しております。
こういった形で多分野にわたっているという実態を、今までいただいた御意見ですとかワーキンググループのほうでいただいた御意見から整理したものとなっております。
続きまして、17ページ以降が役割に応じて必要となるものということで、こちらについては前回の検討会で御紹介させていただいた機能ですとか知識、技能、そういったところの記載ですので、説明は割愛させていただきます。
18ページは学問体系の整理ということで、ワーキンググループで教育内容を見直したりするときに整理した経緯と、前回もお示ししたグローバル定義に基づくとどういった教育内容があるかということの分類です。
加えて、生物、心理、社会モデル、バイオ・サイコ・ソーシャルという用語がよく使われているかと思いますが、そういった形で見ると、対象や行動、また環境や背景を多角的な視点で捉える必要があろうということをワーキンググループでもしておりますので、そういった視点でまとめたものが、19ページにイメージ図としてお示しした形になっております。
こちらについては、例えば前回の検討会で、科学の中には経済学、政治学等があろうという御意見もいただきましたので、そちらについては以降の具体的な内容の中に記載させていただいております。
そういったことを踏まえますと、20ページに、先ほどワーキンググループのほうで議論されたものを田村座長から御紹介いただきましたが、教育内容のイメージですとか、カリキュラム構造のイメージということでまとめられようかと思っております。
続きまして、21ページは今後求められる役割ということで、(1)から(7)まで先ほどお伝えしたような対象の拡大、役割の拡大といったことを踏まえた形でまとめたものとなっております。こちらは先ほど図示させていただきました役割の広がりというものと連動した記載にはなっておりますが、少し具体化して書いたものになっています。
続きまして、22ページからが「求められる役割を踏まえた今後の対応の方向性」ということで、前回の検討会でお示しした課題を列記したものとなっております。こちらは説明を割愛いたします。
下段のほうから「今後の対応の方向性」ということで、今までいただいた御提案を取りまとめたものになりますので、次の23ページをご覧ください。
(1)といたしまして、役割の普及、精神保健福祉士の役割が何なのかということを周知して普及することで、専門性が最大限に発揮されるのではないかという御意見でございました。
次に(2)としましては、多職種連携の中でも自分たちの役割が何なのか、何ができる専門職なのかということを明示していく必要があろうといったことで、それに対する対応を記載しておるところです。
続きまして、24ページからが養成に関する対応ということで、コアコンピテンシーに基づいた学問体系の整理とカリキュラムの構造化ということで、先に御紹介した体系整理等々を踏まえて、またカリキュラムの構造化といった観点でどういった対応があるかということを記載しております。
例えば、2つ目の段落「また」のところですが、前回の検討会で御発言いただきましたプロフェッショナリズムを意識した教育ということで、必要なものによっては重ねて繰り返し教えるべき内容があろうということと、ただ、その中で不必要な重複は省いて、精神保健福祉の専門的な内容は進化させていこうといった御意見があったかと思います。
また、先ほどの調査の結果からもアセスメント力や調整力、連携・協働力、そういったところがより重要だという調査結果も出ておりましたので、そういったことを講義中心の科目も含めて連動させながら、両方で充実させていくことが重要だということがあったかと思います。
以降は先ほどの御意見のまとめということで、資料1に紹介したものとほぼ連動しておりますし、第1回の検討会でいただいた御意見をまとめたものになっています。
続きまして、25ページからが具体的な見直しですが、こちらは先ほどワーキンググループの御報告があったかと思いますし、そこに追加の御意見等をいただきましたので、今後少し記載を整えさせてきながら、主な対応案といったところは少し修正をさせていただくことになろうかと思っております。
続きまして、26ページ(5)学習方法のあり方の見直しということで、アクティブラーニングのこと、また、先ほど調査の結果でも出ておりましたが、実習では経験できない技術、一般的な技能や相談技術ということで、前回の検討会で電話相談のお話等もありましたので、そういったところや実際の面接体験、また記録の書き方、そういったところは演習や実習等で身につける必要があろうということを記載しております。
(6)以降が演習・実習及び教員等のあり方の見直しということで、細かな内容というよりは、現状の仕組みを維持しつつ、どういった形で質を担保するかということを具体的に記載したものです。
(7)以降が卒後教育のあり方の明確化ということで、すみ分けという観点と多職種連携を意識したほかの職種の理解と自分たちの役割の理解といったところを教育内容に盛り込むべきだということを記載しており、また、継続教育の中で多分野について、あるいは段階に応じた役割について研さんしていく必要があろうということを書いております。
(8)と(7)は連動した内容になりますが、さらに継続教育という長い目で見たときにどういうことがあるかということを、主に(8)に記載しております。
今後の見直しの対応の方向性といたしましては以上になっておりまして、29ページに、今後も引き続き検討していくということを記載しております。
長くなりましたが、説明は以上となります。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、今説明がありました資料3、そして本日の議事2ということになりますが、これに関連して御質問、御追加、御意見等をいただきたいと思います。
岡本構成員、どうぞ。
○岡本構成員 資料3の13ページに精神保健福祉士の配置状況とあるのですけれども、これは2年前の統計で、日本は精神科病院が1,200病院あるのですけれども、精神保健福祉士は8,000から9,000人だったのです。ところが、2年ごとに調査しているのですけれども、ついこの間上がってきた調査では1万2000人になっている。急速に拡大しているのです。病院単体以外での附属施設も全部含めての数字なものですから、この報告にあるとおり、いろいろな形での精神保健福祉士の進出というのは進んでいるのだろうと思うのです。
会員病院からも、公募しても来ないという形で非常に枯渇感を訴えられることが多いものですから、このカリキュラムの検討や何かがあって、より魅力的になって、養成が増えることを日精協としては本当に期待しているのです。ただ単に精神科医療の出し入れだけではなくて、その後の維持や何かも全て含んでくるということで、非常に幅広い領域をカバーすることになるので、どうぞ皆さん、これを念頭に置いて議論していただければと思います。報告です。
○樋口座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
どうぞ。
○中島構成員 2点ほど、先ほど岡本構成員がおっしゃったように、やはり養成カリキュラムを考えるときに、養成する側のこともあるのですけれども、これから生まれ来るソーシャルワーカーがソーシャルワーカーであることに誇りを感じたり、醍醐味を感じていくというところも考えていかないといけないと思っていまして、そういう観点で少し申し上げさせていただきます。
ミクロ、メゾ、マクロという全ての領域に対してソーシャルワーカーはコミットメントしていくわけですけれども、この報告書を読んでみると、マクロがちょっと弱いのではないかと思うのです。この報告書の中で見ている限りのマクロというのは地域づくりまでで、そこから先の、例えば行政に対して、自治体に対してどう働きかけていくのか。恐らくいろいろな行政の法定的な事業計画というのがあると思うのです。介護保険事業計画であったりとか、そういったところの委員として参画していって、そこで人間の権利擁護に資するような発言をどんどんしていかないといけないというのが求められますし、こういった場も実はそうかもしれませんし、こういった場で出ていって発言していかないといけない。政策提言力とか、余り詳しくは言いませんけれども、場合によってはロビーイングとか、そういったところも含めてのソーシャルワークだと思っていますので、そういったマクロ領域のところを入れていく。
社会に対して働きかけていって、社会を変えていく力をソーシャルワークは持たないといけないということを、これからあまねくソーシャルワーカーにぜひ持っていただきたい。受け身になって仕事をするだけではなくて、自分たちが主体的にそういった活動をしていく担い手なのだということの自覚を持っていただきたいなというのがありますので、メーンではなくてもいいのですけれども、ぜひそういったところも含めていただきたいというのが一つ。
もう一つが、23ページの(2)の多職種との連携・協働における役割の明示というところで、一番上の精神保健福祉士以外の他職種等も広義のソーシャルワーク機能を担うということを踏まえてという書き方をしているのですけれども、他の専門職、もしくはわかりませんけれども、よくちまたでちらほら聞かれている民生委員の方や非専門職の方がソーシャルワークをやっていくみたいな話も聞いたりするのですが、そういったものが果たしてソーシャルワークと言えるのか。そもそも広義のソーシャルワークとは一体何なのだというのはすごく問題意識としてあるのです。百何年前のメアリー・リッチモンドでさえ、ソーシャルワーカーは専門職だと言っていますし、幾つか例えばソーシャルワークの機能や役割があったとしても、その一部分を担えるだけの人というのはソーシャルワーカーではないと言っているわけですね。つまり、複数の機能や役割をソーシャルワーカーの中で統合化して、それを状況に応じてどの機能を優先的に使うのか、有機的にその機能を使いこなしていく人がソーシャルワーカーだということは100年以上前から言われているのに、ソーシャルワークのカリキュラムに載っていない他職種の人であったりとか、一般の住民の方々がソーシャルワーカーの機能を担うということを、果たして、例えばこの養成カリキュラムの報告書の中にわざわざうたう必要があるのかというのがありますので、これは私としては書く必要がないのではないかと思いますので、削除していただければなと思っています。
以上2点です。
○樋口座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○岩本構成員 岩本です。
今の中島構成員のお話を聞いて2点ほど発言したいと思います。
この23ページの書きぶりは検討が必要かなと思っていますが、だんだん医療とか福祉といった問題がボーダーレス化しているということは事実で、以前は、先ほど田村先生がおっしゃったように、医療に対抗するような意味でのソーシャルワークの立場制みたいなことがあったと思うのですけれども、やはり地域移行推進の中で、医療職も非常に福祉的な視点を持ち合わせながら一緒に協働してやっていこうというふうになってきていると思うのです。なので、いわゆる排他的というか、これとこれは違うというところでの専門性の打ち出し方は、今時にあってはどうかなという思いがあります。
言葉の使い方とかソーシャルワークの定義に基づいてどのように使うかということは慎重にしなければならないと思っているのですが、いわゆる対立項で考えるということではないということ、そして、非常に重なる部分が出てくる中で、どうしていくかということ。どう協働していくということ。この点が重要なのかなと考えています。
それから、もう一つ、先ほどの御発言にもありましたけれども、マクロの視点が弱いということは、教育においてもきちんと考えていかなければならないと思っているのですけれども、社会改革というのはあくまでも手段だと思っているのです。つまり、なぜ社会改革が必要か、変えていくことが必要かとなると、これまでの精神保健福祉士の視点から見ても、目の前に非常に排除されている人がいるとか、困っている人がいると、何とかしようというところに原動力があったと思うのです。なので、手段が目的にならないように、きちんとそういうことが必要なのだということを発見するというか、人権感覚になると思うのですけれども、そういったところが根本にないとなかなか難しいなと思っています。
それと、やはり養成教育の中というのはすごく限定的ですので、だからこそ養成教育とその後をつなげていく必要性があるということだと思うのですが、まずきっちり個人の人権というものを根づかせて、だから社会改革が必要なのだと。やはりこういった文脈がすごく重要かなと思っています。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
どうぞ。
○岡﨑構成員 岡﨑でございます。
ちょっと細かい指摘になりますけれども、12ページのギャンブル等依存症という文言になっておりますけれども、1つだけ挙げるとすればアルコール等がいいのかなと思いますし、今、3つの依存症を軸にやっていますので、5ページのほうにはそのような書き方をしてありますので、よろしければ、アルコール、薬物、ギャンブルというふうに3つ書いていただいたほうがよろしいかなと思います。
それと、ひきこもりに関しては、またこれも細かい指摘ですけれども、このページのところは平仮名で、16ページのほうは漢字を使っているのですが、平仮名が標準的かなと思います。それと、高齢者のひきこもりという言い方で、この辺も私の周りでは、高齢者の場合は閉じこもりという言い方をしていて、ひきこもりというと青年期に始まった現象が続いているという認識になりますので、そういう方で高齢化した方だったら使っていいと思うのですが、閉じこもりとひきこもりという分け方をしているのではないかと思いますので、そのようにしたほうがよろしいかなと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
○岩上構成員 手短に。
○樋口座長 今度はじっくりとどうぞ。
○岩上構成員 岡本構成員や中島構成員がおっしゃった、魅力ある仕事というのがわかるのが一番いいですよね。私も最初の検討会でも言いましたけれども、本当に精神保健福祉士は魅力的な仕事なのだと思っています。それがうまく伝わって、そういった人材をつくっていくために、あるいは社会的な期待に応えるためにみたいなことがこの見直しにあるのだということがわかるといいのだと思います。
2点あるのですけれども、15ページの保健・行政の取りまとめをしてしまうとわかりにくいかなという気はします。行政は制度・政策にどう関与して、それをつくっていくかという話であって、必ずしも保健・行政の流れでくくられるものではない。保健はやはりメンタルヘルスに関与するということです。行政としては、福祉基盤づくりもありますし、保健を基点としてということもあるので、ここは整理が必要かなと思いました。
もう一点は、今回は精神保健福祉士の養成のあり方ということになっておりますが、必ず社会福祉士の養成のあり方との連動というか連携がないとこれは進まないわけなので、そういったことが必要であるということは、やはり最後のところでも書いておかないといけない。これを見た人が、中島構成員は入られていますけれども、社会福祉士の人がこれをぱっと見たときに、精神の人は自分たちのことしか考えていないのではないのかなと思います。私は、ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割についてというのを福祉部会の福祉人材確保専門委員会がまとめたのを見て、あら、この人たちはソーシャルワーカーとして精神保健福祉士を全く無視しているのだと、思いました。本当に、ちょっと今でも思っていますから。
そういうことを見られるものなので、あくまで当たり前のことであっても、この検討会の中間報告書には、今後の流れとして、社会福祉士の養成のあり方と連動してといった表記は必要かと思います。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
事務局、どうぞ。
○御子柴主査 ありがとうございます。事務局です。
今の岩上構成員からの御提案も踏まえますと、対応といたしましては、現状、24ページの下段、最後のところでございます。先ほど丁寧な説明が漏れておりましたが、「さらに、精神保健福祉士と社会福祉士の両方の資格を志す学生が習得・資格取得できるよう」ということで、共通科目や読み替えの設定に配慮するということと、社会福祉士の検討状況、こちらは「カリキュラム」が抜けていますが、カリキュラムの検討状況等も踏まえながら、それぞれの専門性について明確にするとともに、相互に調整することが望ましい。こういったところを少しリバイスしたような表現を、また最後の今後の方向性にももう一度繰り返して。
○岩上構成員 今後の検討に書いておいたほうがいい。後ろから見る人はいっぱいいますから。
○御子柴主査 そうですね。今後の方向性というところにも、追記を再度しておくということで対応させていただければと思います。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。
では、まず、萱間構成員。
○萱間構成員 2点あります。先ほどから話題になっている23ページの多職種との連携のところで1点なのですが、どの職種も、精神は特に職種の役割の重複とか共通性が多い分野だと思うので、多職種、多職種と言っているのですけれども、でも、それぞれの職種の中でやっていると、同じ言葉を使っていても限界があって、IPE(インタープロフェッショナル・エデュケーション)の必要性を言うようになっていると思うので、将来は共通教育となり得る部分でもあると思うのですが、その用語を一言入れたほうがいいと思いました。
あと、26ページから27ページにかけての実習・演習のところで、ここばかりこだわって申し訳ないのですが、少し書き方が抽象的かなと思います。例えば、見ているだけでは理解しにくいとか、評価方法を見直すとかとあるのですけれども、実習・演習科目の構造というか、コンピテンシーを前提にしてというのが他のところで出てくるのですが、やはり実習・演習が一番そうしなくてはならないところだと思います。今後の検討だと思うのですけれども、どのような能力を身につけるかというコンピテンシーを明確にした上で、例えば先ほど言った演習を30時間後でやるというようなことではなくて、基礎になる実習と統合実習のような形にして、それぞれ身につけるべきレベルを分けるとかいうことをお勧めしたいです。私ども看護の場合は実習が多く、レベルや科目を分けてやっています。身につけるべきコンピテンシーを明確にした上での実習科目の構造の検討ということを今後の課題として書いておいたほうがよいのではないかと思いました。
以上です。
○樋口座長 事務局、今の点はよろしいですか。
○御子柴主査 そうしましたら、現在、先ほどワーキンググループのほうから御報告いただいた演習の狙いですとか、あと、前回、第2回の検討会で実習の狙いも一部御紹介しておりますので、そういったところの狙いを少し引用させていただいて、追記をさせていただこうかと思います。個別の幾つか列記するような到達目標を書き始めると精査が必要になってきますので、全体の実習・演習の意義・目的をそれぞれここに書かせていただいた上で、事前に共有させていただいて、取りまとめさせていただければと思います。
○樋口座長 田村構成員、どうぞ。
○田村構成員 全部まだ読み切れていないので、もしかしたら書かれていたかもしれないのですが、1点は岩上構成員もおっしゃったことで、「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士」のというフレーズがあった社保審の報告を受けて、精神保健福祉士も同じくソーシャルワーカーですということがあり、別にそれに対抗する意味ではなくて、同じソーシャルワーカーなので、教育も半分ぐらいは一緒にやっているわけですし、ぜひこちらのほうでも養成のカリキュラムを一緒に見直すことが必要だろうという発想もあったと思うのです。
もちろん精神保健福祉士を取り巻くさまざまな状況とか、精神保健福祉士の任用があちこちで進んでいるということもあるのですけれども、1回目の検討会でも話に出ていたので、そのことも初めのところで触れていただくといいのではないかと思います。
あと、政策提言とか社会開発のようなことも役割にあるというのは、表現は出てきていたと思うのですが、21ページの今後も一層求められる役割のところで中島構成員がおっしゃっていたようなことも当然意識して教育していかなければいけないし、そういう役割が求められているという認識はありながら、どうもその印象が薄いということのようですけれども、養成の中でそれをどのように考えていくかというと、一つは政策提言していくためには政策の仕組みを学ばないといけないということや、制度には限界があるということを知らなければいけないわけですね。前回の改正のときにも、恐らくそういうことを考えた上で制度を学ぶ科目が沢山立てられたと思いますが、結果的に教育できたのは制度を教えることになってしまっていたり、制度の中で役割を果たすことを教えるほうにどちらかというと比重が置かれていた、その10年だったのかもしれない。そういったことがワーキングや検討会の中で話されていたと思います。
その反省というか、そういった考察を踏まえて、今回は制度についても、その限界や課題を考える。また、新しいものを変えていくためには何が必要かを考える。そういうことをカリキュラムの中に入れようとしたということでありますので、それは文章として加えておいていただけるといいかなと思います。
それから、この報告書をつくっていただく中で、精神保健福祉士ではない厚労省の皆さんがすごく一生懸命考えて書いてくださっていたということを私は精神保健福祉士として嬉しく思っていますし、実は昨日、課長さんが、この仕事、はまったらすごく面白いですよねというふうにおっしゃってくださっていて、そういうことが伝わる報告書になっているとすれば本当にいいなと私も思います。
以上です。
○樋口座長 事務局、いかがでしょうか。
○御子柴主査 今、御発言いただきました対応といたしまして、10年前の見直しの結果というか考察と、そういった経緯を含めて見直すということは、内容の見直しのところに少し追記させていただくということと、先ほどの中島構成員からいただいた御発言については、現状の実態という観点で書くことはできようかと思いますので、各分野のところに分けた記載の最後に、そのほか社会への働きかけというところで、マクロの部分を少し書かせていただければと思います。
それに当たっては、マクロに対する働きかけの実態ということを少し具体的に御提案いただきたいと思いますので、後日メールで実態状況を提供いただきまして、そこは現状の実態ということで書かせていただきます。
以上です。
○樋口座長 塚本構成員、どうぞ。
○塚本構成員 塚本でございます。
15ページの保健・行政のところに、例えば精神保健福祉センターとか保健所及び市町村については業務運営要領がありますので、その文字を入れてもいいでしょうし、あとは今般の措置のガイドライン、運用とか退院後の支援のガイドラインがせっかく出ていますから、そういう文言を盛り込んでもいいのかなと思いました。
それから、余りこれまでの検討とかでも触れられてはいないかと思うのですけれども、救急医療体制の整備がこれまで進んできて、かなり精神保健福祉士は救急医療の場とか、例えば受診前相談の場面に関与することが結構多くなっているのではないかと思うのです。やはり入り口の質というのはその後の人生とか予後に、たしか1回目で岡本構成員も御指摘いただいていたと思うのですけれども、医療の中でもやはり入り口の部分、救急とか受診前のことについては特出しというか、何か強調してもいいのかなとこれまでの議論で思っています。
また、養成についても、今、正直、精神保健福祉士はバブリーで、例えば精神科救急情報センターで非常勤を募集しても余り集まらない状況なのです。ということは、もう新卒の方を非常勤として採らなければいけない。救急医療のトリアージの場面でそういう実態もあるので、教育はかなり難しいと思いますけれども、どうやって考えていったらいいのか、現場の人間としては正直思います。
以上です。
○樋口座長 鹿島構成員、どうぞ。
○鹿島構成員 本日のお話はいわば総論で、とてもよくできていると思います。これから各論になると思いますが、感想なのですけれども、やること、学ぶことが多くなったということは医学も同じなのですが、一言で言えば、今後、カリキュラムを作るときにコントラストが必要になると思うのです。削除する部分とか、重点的に重なる部分とか、その辺を、実際に大変でしょうけれども、どのようにまとめていくのかが大切だと思います。
それから、特に実習を含めた繰り返しのらせん的な重複科目というものは医学でもやっていますが、必要だと思います。
もう一つは、逆のことを言うようですけれども、学習すべき知識は増えていますので、講義でそれらのことを概括的に一応触れておくべきと思います。全ては頭には残らないかもしれませんが、1回でも聞いておくと、後の実際の実習などでそのことが出てくると、習ったことを思い出し、身につくということが多いと思います。カリキュラムの重点、コントラストのつけ方について、今後、発言できればと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
時間がほぼ予定の時間になっているのですが、この後、御発言を予定されている方は何人かいらっしゃいますか。御発言はもちろん自由にしていただいていいわけで、もし御発言があれば、例えば10分ぐらい延ばしてもいいかどうか。御発言がなければもう予定どおりになりますが、予定していらっしゃる方、もしありましたら手を挙げて。
よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、今までの御議論で修正あるいは追加等をしていただく箇所を御指摘いただきました。ありがとうございました。これまでの多くの御意見や議論を踏まえて、中間報告書の案でございますが、追加の意見、そして修正等について、一旦私のほうに預からせていただいて、事務局と調整して、再度構成員の方々にメール等でお示しするという形をとった上で、中間報告書という形にさせていただくということでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、そのような形をとらせていただきます。
それでは、以上でございますが、12月に始まりましたこの検討会でありますけれども、大変短い期間で構成員の皆様、そしてワーキンググループの先生方にも大変活発に御検討いただいて、ここまで参りました。一応、年度末になりますので、ここが一括りになりますので、事務局のほうからも一言御挨拶をいただきたいと思います。
得津課長のほうからお願いいたします。
○得津課長 精神・障害保健課長です。
今回、中間報告を大筋了解ということでいただきまして、本当にありがとうございました。昨年12月から検討会、それからワーキング、本当に忙しい中、精力的に御議論いただきまして、こういう形で少し整理できたということは、非常に我々にとっても前進したと思っております。
まだまだ引き続き検討する課題もありますし、今日もこのような案を出して更に意見が出てくるということは、まだまだ議論をしていかなければいけないと我々も捉えております。年度明けからもまたカリキュラムの具体的な検討、こういったものも進めてまいりたいと思いますし、卒後の教育だとか、まだまだいろいろ課題がありますので、引き続き先生方には御協力いただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
簡単ではございますけれども、事務局からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
そのほか、事務局のほうからございますか。
○御子柴主査 まず、今後のメール等での御連絡等のスケジュールについて、現状の予定として御連絡させていただきます。
本日いただきました追加の御意見、修正の御意見を反映したものを来週の前半に座長と御相談させていただき、取りまとめたものを来週中には委員の先生方にお送りしたいと考えております。御確認いただいたものをその翌週には御返信等いただきまして、調整の上で、公表が可能であれば、年度内に公表させていただくというスケジュール感でお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○冨田障害保健係長 次回の開催につきましては、事務局より追って御連絡をさせていただきます。
事務局からの連絡は以上となります。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、時間になりましたので、本日の検討会はこれで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。