2019年3月6日 第152回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

平成31年3月6日(水) 17:00~18:30

場所

労働委員会会館講堂

出席者

【公益代表委員】
    荒木委員、川田委員、水島委員、守島委員
【労働者代表委員】
    川野委員、櫻田委員、柴田委員、中川委員、八野委員、村上委員、弥久末委員、世永委員
【使用者代表委員】
    秋田委員、早乙女委員、佐久間委員、杉山委員、輪島委員
【事務局】
    坂口労働基準局長、田中審議官、富田総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、成毛調査官

議題

(1)高度プロフェッショナル制度について
(2)2018年度の中間評価及び2019年度の目標設定について
(3)働き方改革関連法の施行に向けた準備状況について
(4)その他

議事

 

○荒木会長 それでは、ほぼ定刻ですので、ただいまから第152回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、欠席の委員としまして、公益代表の安藤至大委員、黒田祥子委員、平野光俊委員、両角道代委員、使用者代表の齋藤貴久委員、佐藤晴子委員、松永恭興委員と承っております。
本日の議題に入る前に、事務局から定足数の報告をお願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 カメラ撮りはここまででお願いします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の1つ目の議題「高度プロフェッショナル制度について」、事務局から説明をお願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
高度プロフェッショナル制度につきまして、資料No.1、参考資料No.1の2つをお手元に御用意いただければと存じます。
高度プロフェッショナルの対象業務や年収要件などを定める省令につきましては、前回の当分科会におきまして、省令案要綱について答申をいただいたところでございます。
そのうち、年収要件につきましては、お手元の資料No.1の真ん中ほどにありますとおり、1075万円で答申をいただいたところでございますが、この年収要件につきましては、資料No.1の1つ目の○にアンダーラインを付しておりますとおり、基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準とされておりまして、この基準年間平均給与額につきましては、毎月勤労統計における毎月きまって支給する給与の額によることとされてございます。
この毎月勤労統計につきましては、お手元の参考資料No.1として本日お配りをしておりますとおり、全数調査するとしていたところを、一部抽出調査で行われていたということが判明をしてございまして、先般、お手元のとおり、きまって支給する給与の額について、再集計値が公表されてございます。
このように、毎月勤労統計に関する事案が生じておりますため、高度プロフェッショナル制度の省令につきましては、この毎月勤労統計の再集計による影響の有無などにつきまして、当分科会に御報告をさせていただいた上で、その後に公聴会の開催など、省令制定の手続を進めることとしたいと考えまして、先般、1月に一度予定をしておりました公聴会の開催は延期し、本日、当分科会に御報告をさせていただくこととした次第でございます。
まず参考資料No.1をごらんいただきたいと思います。先ほど御報告申し上げましたとおり、全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたということでございますが、具体的には、1枚おめくりいただきまして、2ページをごらんいただきたいと存じます。2ページの「2.確認された事実」の(1)でございます。「500人以上規模の事業所」については、全数調査をするとしていたところにつきまして、平成16年以降、東京都の分に関しましては、抽出調査によって行われていたということでございます。
書かれておりますとおり、例えば平成30年であれば、全数であれば1,464事業所となるところについて、おおむね3分の1の491事業所が抽出されて調査をされていたというものでございます。
次の(2)でございますが、統計的処理として復元すべきところを復元しなかったということも判明をしてございます。これも記載をされておりますとおりでございますが、全数調査であるべきところが、抽出調査が行われていたといったことで、東京都とほかの道府県では抽出率が異なるということになっておりました。
しかしながら、それに伴います統計上の処理、復元が行われていなかったということでございまして、(2)の4番目のパラグラフ、「これらの結果」というところに記載されてございますが、平成16年から平成29年までの調査分の「きまって支給する給与」等の金額が低めになっているという影響が確認されてございます。
これを踏まえた対応でございますが、3ページの「4.今後の対応について」をごらんいただきますと、(1)に書かれてございますが、この復元を行っていなかった平成16年以降の期間のうち、復元に必要なデータ等が存在する平成24年以降について復元をして、再集計値として公表をされているところでございます。
具体的には、5ページをごらんいただきたいと存じます。5ページに、「きまって支給する給与」の再集計値というものが載ってございまして、今回の御報告と関連いたしますのは、平成29年というところでございます。この公表値と書いてございますのが、従来、毎月勤労統計で公表をされていた値でございまして、その左側にございます再集計値が1月11日に公表されている集計をし直した数値ということでございます。この再集計値のほうが、数字が大きくなっているというところでございます。
資料No.1にお戻りいただきたいと存じます。このような事実関係を踏まえまして、どのようにこの基準年間平均給与額が変わり、影響があるのかないのかといった点でございますが、表を載せてございます。平成29年の基準年間平均給与額につきましては、従来公表されていた値では、左側の公表値312万9249円でございました。これが、先ほどのとおり、右側の再集計値314万8734円となってございます。
これらにつきまして、先ほどの基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準という法律上の要件に照らして確認をいたしますと、まず、この1075万円を、左側の公表値で割りますと、3.44倍となりまして、当然ながら、この3倍の額を相当程度上回る水準となっているわけでございます。
一方、右側の再集計値で1075万円を割りますと、3.41倍となるわけでございます。この3倍の額を相当程度上回る水準、この分科会におきましても、3割、4割、3.3倍、3.4倍といった議論でまいりましたが、このように1月11日に公表されております再集計値によりましても、1075万円は3倍の額を相当程度上回る水準を満たしていると考えられるところでございます。
以上のとおり、高度プロフェッショナル制度の年収要件につきましては、今般の毎月勤労統計の再集計による影響はないということを御報告させていただくわけでございますが、もとより、政府統計につきましては、新たな政策の企画立案や学術研究、さらには経営判断などの基礎となるものとして、常に正確性が求められるものでございます。
厚生労働省といたしまして、統計に対する姿勢を正し、再発防止を徹底し、国民の皆様の信頼回復に努めてまいりますことを、この場をおかりして、あわせて申し上げる次第でございます。
以上、議題1に関しまして、御報告申し上げます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等があればお願いいたします。
八野委員、どうぞ。
○八野委員 御報告ありがとうございました。
今、事務局から御説明がありましたように、年収要件の算定基礎に用いた毎勤統計の再集計値と公表値には、それほどの差はなく、1075万円という年収要件の額は、改正法の条文の規定を満たしているということだと思います。
ただ、今回の高度プロフェッショナル制度は、労働条件の最低基準を決める労働基準法を改正して、労働時間の規制を適用除外する制度を新設するものであり、私たち労働条件分科会の委員はその対象労働者の年収要件を決めるという重要な議論を行ってきた。
振り返ってみると、今、事務局のほうからもあったわけですけれども、言葉を選ばずに言えば、誤ったデータに基づいて、当分科会で議論が行われたということについては、非常に重要な問題であると認識をいたします。政府の統計データは、先ほどあったように、政府の立案の基礎であるということでございますし、今後、再発防止をはかり、国民の信頼を回復すると言われておりますが、委員として意見を言わせていただけば、やはりこういうことが二度とこの労働条件分科会の中で起きてはいけない。このようなことがないように、緊張感を持った対応が必要だと思いますし、我々が見抜くということは非常に難しいと思います。当分科会の議論は、公労使または厚生労働省の事務局との信頼のもとで行われていると思いますので、あえて言わせていただきますが、今後は、緊張感を持って、このようなことのないように、対応をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 ありがとうございます。
今の八野委員の話を前提にした上で、少し詳細なことについて申し上げたいと思います。
労働者側委員の発言として、年収要件の算定について、パートタイム労働者を除いた平均給与額をもとに水準設定をすべきであると主張してまいりました。そうした考え方は、今も変わるものではないということを、まず、ことわった上で、1点確認しておきたいことがあるので、申し上げたいと思います。
資料1の冒頭に記載があるとおり、厚生労働省令で定める年収要件の額ですが、「使用者から支払われると見込まれる賃金額が基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準」とされていますのは、1075万円という水準を念頭に置いて、これを下回ることのないように歯どめをかけたということでありまして、かつ、ここで言う3倍の額を相当程度上回る水準というのは、先ほど事務局からもありましたように、3.3から3.4倍に当たるという認識のもとで議論されてきたと、私どもは思っております。
そういう前提で、今後、基準年間平均給与額の値が高くなる方向で変動し、1075万円という年収要件の額が、基準年間平均給与額の3.3倍を下回る状況になった場合は、この年収要件の額を引き上げる方向で見直す議論がなされるという理解でよいかどうかを確認したいと思います。
よろしくお願いします。
○荒木会長 今の柴田委員からの点について、事務局はいかがですか。
○労働条件政策課長 ただいまの柴田委員の御指摘の点でございます。
この3倍の額を相当程度上回る水準といったものは、まさに今、御紹介いただきましたように、その額の水準を担保するという形で定められているものでございまして、例えば実際に定められておりますものが、この3倍を相当程度上回るという範囲を超えるような実態が出てきた場合には、またこの場で御議論をいただいた上で、その見直しの議論が行われていくことになると考えてございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
守島委員。
○守島委員 確かに毎月勤労統計に重大な問題があったということ自体は、先ほど八野委員も言われたように、研究者の立場からしても落胆するところがあり、遺憾なことであると思います。
ただ、先ほどの柴田委員の御説明にもあったように、いわゆる3.3倍から3.4倍という枠で、私たちはずっと議論してきて、それでたどり着いた値が1075万円だったわけで、それからは大きくは外れていない。
先ほど、課長の御説明の中にもありましたけれども、これから見直していくということもございますので、もう施行まで1カ月を切っているわけなので、この額で進めることとしては、よろしいのではないかと私は考えます。
以上です。
○荒木会長 輪島委員、お願いします。
○輪島委員 ありがとうございます。
八野委員、守島委員からの御指摘のとおりだと思っておりまして、労働政策に限らず、政策を議論するということにおいて、統計は非常に大事だと思っております。審議会での議論というのは、統計を踏まえた定量的な分析、それに定性的な分析を加えて、総合的に議論をするというふうに考えているわけでございまして、そういう意味でも、そもそも足元の統計に疑義があるということは、非常に大変な問題だと思っております。厚生労働省には深く深く反省をしていただきたいと思っているところでございます。
その上で、今、事務局から御説明があったとおり、毎月勤労統計の再集計値、これにおいても、年収要件の1075万円に対して、3.41倍という、この水準におさまっていると、基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準というふうに見てとれるということで、影響がないということが改めて確認できたと認識をしているところでございます。
これも、守島先生から御指摘があったとおり、本日は3月6日でございまして、4月1日の施行までに本当に1カ月もない状況でございますので、早急に公聴会を開いていただいて、省令等の公布の手続をしていただきたいと思っております。
また、あわせて、きょうのその4の本当に有意義なパンフレット等ができておりますので、高プロも、このパンフレットを早急につくっていただいて、世の中に周知をしていただきたいというお願いを改めてしておきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、ただいま公労使各委員からも御指摘がありましたとおり、労働条件分科会としましては、正確なデータに基づいた議論が何よりも必要でありますので、この点については、事務局は、今後とも是非よく認識いただき、対応いただきたいと考えております。
今回、議題となっております高プロの関係ですけれども、当分科会といたしましては、事務局の説明のとおり、今般の毎月勤労統計の再集計による高度プロフェッショナル制度の年収要件への影響はないということであり、公労使からも同様の意見を述べていただいたところでございます。
したがいまして、事務局においては、昨年12月26日に当分科会で行った答申のとおり、省令指針の制定に向けた作業を進めていただきたいと考えております。
それでは、第1の議題は以上といたしまして、次に移ります。
第2の議題の資料についても、事務局から説明をお願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。資料No.2をお手元に御用意いただきたいと存じます。
労働政策の推進に当たりましては、PDCAサイクルが重要であるという観点から、労働政策審議会の各分科会におきましては、施策の実施状況について、毎年度、中間評価あるいは年度評価を行うということとされているところでございます。
お手元の資料No.2を1枚おめくりいただきたいと存じます。労働条件分科会におきましては、かねてより、資料の1ページ目の上にございます1 年次有給休暇の取得率を2020年までに70%とする。2といたしまして、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を2020年までに5%に引き下げるというものを目標として掲げておるところでございます。
これらの目標に関しましては、先般の働き方改革関連法の法律案の議論におきます平成27年の当分科会における建議においても記載されてございますし、平成29年の時間外労働の上限規制に関する建議におきましても、この2の目標が触れられているところでございます。
本日は、今年度、2018年度の中間的な評価といたしまして、この2つの目標値の達成状況、さらには関連する施策の状況について、御報告を申し上げる次第でございます。
まず、達成状況でございますが、1の年次有給休暇の取得率は、まだ2018年の実績は出てございません。そういった意味で、中間的なものでございますが、2017年の実績として、51.1%となってございます。これは就労条件総合調査によります平成29年1年間の実績でございます。2016年の49.4%からは上昇してございますが、70%にはまだ達してないところでございます。
その下、2 週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、労働力調査によりまして、2018年の実績が出てございまして、6.9%となってございます。こちらは2016、2017と7.7で足踏みをしてございましたが、最近のデータで6.9まで下がってきてございますが、依然、5%との間においては乖離がある状況でございます。
その下、施策の実施状況ということで、今年度、これまで実施してきております主な取組を掲げてございますが、まず、何と申し上げましても働き方改革関連法が成立をしたということでございます。まさに1、2のような目標の達成といったものも目指す中において、このような法律が成立し、公布をされているというところでございます。
その下に書いてございますように、まさにこの4月からの本格的な施行に向けまして、法律の内容を御理解いただくため、労働基準局、監督署はもとよりといたしまして、中小企業団体の皆様、さらには労働者団体の皆様といった方々を構成員といたします協議会を地方で開催しながら、地域隅々まで浸透するよう取り組んでいるところでございます。
また、関係省庁の御協力もいただきまして、多様なルートで周知を行いますほか、メディア、政府広報等も行っているところでございます。
2番目の○でございますが、支援といたしまして、1働き方改革推進支援センターを全47都道府県に設置しておりまして、専門家のお力もいただきながら、個別の相談援助などを実施しているところでございます。
また、2にございますが、都道府県労働局に働き方・休み方改善コンサルタントを配置いたしまして、労働時間等見直しガイドラインの周知をはじめとして、個別の相談支援を行っているところでございます。
また、3でございますが、時間外労働等の削減あるいは生産性の向上に取り組まれる事業主の方を支援するための助成金といったものも充実を図ってきているというところでございます。
その次の○、年次有給休暇に関しましては、特に取得をしやすい雰囲気づくりといったものもございまして、集中的な広報や取り組みを行ってきているというものでございます。
次が、今年度の中間評価段階におけます実施状況の分析でございます。
まず、年次有給休暇の取得率につきましては、先ほど申し上げましたとおり51.1%、これは18年ぶりに50%を超えたというところでございます。
しかしながら、先ほども申し上げましたように、依然として70%という目標とは乖離があるわけでございます。
次の3ページでございますけれども、これまでの調査におきましても、年休取得にためらいを感じるといったことが課題となってございまして、取得しやすい職場環境づくりといったものが課題でございまして、取り組んできているところでございますが、「このため」というところにございますように、大きな動きといたしまして、改正労働基準法が4月から施行されまして、年5日以上の年次有給休暇の確実な取得が義務づけられて、導入をされていくという大変大きな動きがございますので、この改正法の丁寧な周知・啓発、そしてその履行を確保していくといったことが最大のポイントになると考えてございます。
次の2でございますが、週労働時間60時間以上の雇用者の割合、こちらも過去2年、7.7で横ばいだったものが6.9に下がってございますが、依然5%には届いていない状況でございます。
この要因といたしましても、従来、36協定におきましても、この上限といったものが設定をされていなかったわけでございますが、こちらもこの4月から、大企業については施行され、中小企業につきましては来年の4月からということでございますけれども、時間外労働の上限について、罰則つきの上限が設けられたという大変大きな法改正がございました。
この2につきましても、改正法をきちんと周知し、その施行に万全を期していくということがまずもって重要な問題であると考えてございます。
以上をまとめますと、4ページのところに、評価及び今後の方針とございますが、冒頭にも申し上げましたとおり、こういった目標の達成を目指しまして、今般、大規模な法律の整備が行われてございますので、引き続き、残り3月もこれに取り組みますとともに、新年度以降もその施行に万全を期していくことが大変重要であると考えておりまして、そのような取り組みを進めていきたいと考えてございます。
なお、4ページに分科会委員の意見という欄がございますが、この欄につきましては、本日、この場で御議論いただいて、いただいた御意見などを後ほど整理して、この欄に記載をさせていただきまして、それをもってこの中間評価の評価シートが完成するという段取りで考えておりますので、後ほど御意見を賜れれば幸いでございます。
また、最後に6ページをごらんいただきたいと存じます。先ほどの2つの目標を掲げてございますが、一番右にございますように、2020年にそれぞれ70%あるいは5%という目標を掲げてございますが、残りは2年ということでございます。
したがいまして、単純に考えますと、来年度、2019年度にこの70%あるいは5%に達成するために、伸び率を年度で割りますと、年次有給休暇に関しましては、来年度の目標としては63.7%を達成したい。また、週労働時間60時間以上の割合に関しては、5.9%というものが一つの目標として考えられますが、いずれにいたしましても、今回、週5日以上の年休の取得といったもの、さらには、上限規制といったものが導入されますので、それに万全を期していくということで、この効果を上げていきたいと考えているところでございます。
資料2についての説明は以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。
櫻田委員、どうぞ。
○櫻田委員 ありがとうございます。
年次有給休暇の取得について、確認をさせていただきたいところがございます。
取得率の目標としては、2020年で70%ということになっております。
年次有給休暇の取得については、JILPTで、2011年に実施した調査があったと思うのですけれども、この中で、年次有給休暇が全く取得できていないという方も一定程度いらっしゃったと思います。
今回、法改正に基づいて、施行後は年次有給休暇を5日以上取得させることが義務となるわけですけれども、この調査では、年次有給休暇を5日以上取得できていた方の割合はどの程度あったのかということが一点。
それから、その調査結果をもとにして、今回、法改正を受けて年次有給休暇を全く取得していなかった、あるいは、取得していても5日未満しか取得できていなかった方が、全員5日取得した場合には、5日以上取得している方の割合がどの程度になるのかを教えていただきたいと思います。
○荒木会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ただいま、櫻田委員から御指摘いただきました、2011年にJILPTが年次有給休暇の取得に関しまして調査をされたところでございます。データを御紹介いたしますと、ちょっと詳しくなって恐縮でございますが、その調査結果によりますと、まず、年次有給休暇の取得がゼロ日と、全くとってないという方が16.4%でございます。取得が1~3日という方が16.1%、それから、4~5日という方が13.2%、6~9日という方が13.7%、10日という方が11.6%、11~14日という方が8.7%、残る15日以上という方が20.3%ということでございます。
このようにデータを見ますと、15日以上とられている方もいる反面、ゼロ日あるいは1~3日といった方々も多くなっているという状況でございます。
今回の法改正によりまして、4月以降、少なくとも5日に関しましては、確実に取得をする義務ができるわけでございますが、JILPTの調査はあくまで2011年のものでございまして、時点にずれがある点もございますけれども、機械的に計算をしまして、ゼロ日の方もきちんと5日とる、1~3日の方も5日とる、あるいは4日だった方も5日とるというのを簡単に試算しますと、恐らく58~59%程度に、この年休の取得率が上がるという計算ができます。
ただ、例えば先ほどのように4~5日とっている方が13.2%とあるのですが、それぞれの日数に関して、細かいデータがございませんので、例えば4~5日とっている方が13.2%であれば、そのうち半分の方が4日で半分の方が5日だといったレベルでの大きな仮定を置いてのあくまでも粗い試算ということで御紹介をさせていただきます。
そういった意味では、5日取っていない方、JILPTの調査のデータをもとに粗い試算をいたしましても、まだ70%には達しないわけでございます。ただ、もちろん今回の法改正は少なくとも5日は確実にとろうというものでございまして、もちろんそれ以上とっていただくことも目指しているわけでございますし、また、現に5日以上とられている方も、これをきっかけに、さらに職場で取得しやすい環境が進み、促進をしていくということで、取得率の向上にも寄与するところもあろうと思っております。
そのような意味合いにおきましても、今回の改正法を4月以降しっかりと施行してまいりたいと考えておるところでございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 ありがとうございます。
先ほどの櫻田委員の質問に関連した形での意見となります。
まず、年次有給休暇のところで、6ページに記載されている2019年度の目標値というのは、実現可能性を度外視して機械的に置かれているのではないかといった印象を受けることは否めません。
ただ、今まさに3月は、労働組合と会社で春闘の時期なのですけれども、法改正が迫ったこのタイミングということもあって、実際は、賃金・一時金をどうするかという議論だけではなくて、どういう働き方をすれば有給休暇をもっととれるのか、どういう働き方をすれば、残業をもっと減らせるのかという議論を、労使で同じ方向を向いて、膝をつき合わせて議論しています。マスコミの方はどうしても、賃上げは幾らかというところに注目しますけれども、そういった議論が相当されているというのも事実なので、そういった意味では、この場で議論をして決めてきたことが世の中に発信されているということは、いい方向であると考えています。
ただ、実際には、労働組合がないところもございますので、国として、こういった目標に対する働きかけ、発信は必要ではないかと思います。
先ほど、事務局の方からもございましたが、5日以上取得している人はもっと取得していただけるように取り組む、また、5日以下の方は、絶対に5日以上は取るように取り組むということを、もっと明記すべきではないかと考えます。
例えば、過労死等防止対策推進協議会で議論しました新たな大綱においても、年次有給休暇取得率70%以上という数値目標が掲げられておりますけれども、それとともに、「年次有休取得の日数が5日未満の者の解消に向けた取り組みを推進する」という記載もございます。法が施行されたら、年次有給休暇を5日取得することは当たり前にはなりますけれども、そういったことも含めて、議論して、目標を設定していくべきだと思います。
意見でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 有給休暇の関係の目標数値ですが、私どもが7月を調査時点として毎年実施している約1万9000社から回答がある調査(中小企業労働事情実態調査)結果から、この一番新しい調査結果からの数字は51.16%という数字が出ています。厚労省が資料の中で記載されている、この目標値というか実績値とほぼ同じようなものが出ています。有給休暇の取得促進は、やはり中川委員等々がおっしゃるとおり、労使双方で、この辺の取り方はぜひ検討していかなければいけないことだと思います。
今回の有給休暇の関係は、管理職を含めた全労働者になりますから、そういう面でも、目標である70%を超えるようにとか、近づけるようにというか、この辺も言い方は難しいかもしれませんけれども、ぜひ達成をしていきたいと思っています。
作成いただいたパンフレットは、なかなかわかりやすくなっていますが、1からずっとありまして、全部集めると八十数ページになって、これだけ読むのは大変なことだと思うのです。そこの中で、有給休暇のパンフレット、内容は非常にわかりやすくはなっていると思います。わかりやすいがゆえに、量がふえてくるのだなと思うのです。
特に私が申し上げたいところは、基準日とか第1基準日、第2基準日というのは今までのパンフレットにありました。それが1年目の基準日とか2年目の基準日という形で、平準化というかわかりやすくしていただいたものですから、これは非常にありがたいと思っております。
1点、質問と意見と、どちらになっているかわかりませんけれども、まず中小企業は働き方改革に何から手をつけていいかわからないというところがありました。その中で36協定の届けなり、この有給休暇の5日間取得というのは非常に労使双方にとって捉えやすいものであると思います。私は会合を通じて、頻繁に、まずここから、開始のところでも申し上げながら、いつも進めているような形をとらせていただいています。今後もぜひ私どもも進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
弥久末委員。
○弥久末委員 どうもありがとうございます。
今後の政策評価のあり方について、意見を申し上げていきたいと思います。
政府はこの間、働き方改革を政策の目玉ということで、さまざまな取り組みを進めてきております。
また、今、中川委員、佐久間委員のほうからお話がありましたように、労使間でもこの取り組みをきちんと前進させるように、いろいろな場で議論しながら進めてきているというのが現状であります。
したがって、今後、この政策を評価するというところにあって、今まで建議の中で確認をされてきたという御説明はありましたが、年次有給休暇の取得率と週労働時間60時間以上の雇用者の割合という2つの指標だけで本当にいいのかなと思います。
働き方改革は、本当に真に働き方を改革していくということを進める中で、2つだけのインデックスではなくて、別の考え方、別の見方といったものをきちんと踏まえながら、確実に前進していくといったことをぜひ検討していくべきではないかと思っています。
また、週労働時間60時間以上の者の割合についても、週の労働時間が40時間以上の雇用者、これは最も長時間労働に陥りやすいゾーンでありますが、こういったところで週60時間以上労働した者は何割あるのかということも明らかにしながら、きちんと改善を進めていくことが非常に重要かとも思いますので、ぜひとも前向きな検討をいただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
事務局から、何かお答えいただくことはありますか。
○労働条件政策課長 今、櫻田委員、中川委員、佐久間委員、弥久末委員から、それぞれ御指摘いただきました。
いただいた御意見は、先ほど申し上げましたとおり、分科会委員の意見という欄に反映をさせていただきまして、それもテークノートした形で、この評価シートということにさせていただきたいと考えてございます。
1点、最後に弥久末委員から御指摘をいただいておりました週労働時間60時間以上の者の割合を、週40時間以上働いている人の中の割合で見るといった視点も要るのではないかという御指摘をいただいております。
ここは、労働力調査からデータをとることが可能でございまして、ここでごく簡単に御紹介をさせていただきます。
週40時間以上働いている方の中で、週60時間以上働いている方の割合は、直近の平成30において11.6%となってございます。
この間、どうだったかといいますと、昨年29年は12.1%でして、その前、28年が12.6%ということでございます。したがって、弥久末委員の御指摘は大変重要な視点であるということを当然、御理解申し上げた上で、週40時間以上働いているいわばフルタイムワーカーで見た場合であっても、長時間労働者の割合は着実に減少が進んできているという、これも統計上の事実としてだけ御報告申し上げます。
いただいた御意見は、今後参考にしてまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 事務局から、続けてお願いします。
○総務課長 ただいま労働条件政策課長からあった週40時間以上の中の60時間以上の雇用者の割合でございますが、御案内かと思いますけれども、先ほども触れていただきました過労死等防止対策大綱で目標値の一つに入れておりますので、当分科会でも御議論いただくことはあるかもしれませんが、別のところでも御議論いただくことにはなっておりますので、過労死防止対策の中でも、御指摘のあった数値についてはしっかりと見ていくということはやっていきたいと思っております。
○荒木会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 意見ということで言わせていただきたいと思うのですが、6ページの、2019年度の目標とされている年次有給休暇取得率63.7%とか週労働時間5.9%というのは、2020年の中期目標値に向けてということなのだと思うのです。中期目標値のあり方として、70%とか5%をめざすということはよくわかるのですが、中期目標値をつくったときと、年次有給休暇の取得時季指定の義務化など、さまざまなものが盛り込まれた働き方改革関連法の施行を控えた現在とでは、環境も違うところがあるだろうと思います。
ですので、中川委員が言ったように、年次有給休暇の取得日数がゼロの人が5日以上取得できるように取り組むとか、5日以上取得している人もさらに取得できるように取り組むという文言を入れることは必要だと思います。また、弥久末委員が言ったように、ここで働き方改革関連法案が成立して新しい環境が整い、労使で話をしながら進めていく段階となっていますし、他方では人手不足という問題にも直面しています。そうした状況で、今後、どういう目標値を設けていくのかということについては、きちんともう一度、議論をして定め、公労使で進めていくことが重要なのではないかということを、意見として加えさせていただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはかがでしょうか。
輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
今度の4月から施行される法律で、まさに年次有給休暇と週60時間以上の雇用者の割合は、確実に効果が上がってくるものだろうとは思っています。
その点で言うと、今、経団連では全国にいろいろと御説明をしておりますけれども、年次有給休暇も、各社の事情は本当にさまざまで、原則の法律のところを理解した上で、かなり応用して、労使を含めて対応していると感じています。正直、目標も本当に大事なのだなと思いますが、実態もかなりさまざまだなということを実感として感じているところです。
八野委員がおっしゃったことも、その通りと思うのですけれども、勤務間インターバルやテレワーク、在宅など、いろいろな施策もさまざまに組み合わせてやっていくことも一方で大事なのだろうなと思っております。目標はどこかで決めなくてはいけないとは思いますけれども、それだけをターゲットにするというよりは、総合的にいろいろな政策を総動員して、その目標を達成していくというアプローチも一方で大事なのではないかと思っているところです。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
よろしければ、ただいまこの分科会で出された意見は、先ほどの目標シートの4ページに書くことが予定されておりますので、ここに適宜、取りまとめていただきたいと考えております。
次の議題に移りたいと思います。資料について、事務局から説明をお願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。資料No.3をお手元に御用意いただきたいと存じます。
働き方改革関連法の施行につきましては、時間外労働あるいは年次有給休暇といった中心的な部分がまずこの4月から、順次施行されていくという状況でございます。残り1カ月を切っているところでございますが、この間の政府におきます周知などの取り組みの状況などを御報告申し上げさせていただきます。
表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。まず、関連法の4月の施行に向けました取り組み・支援の状況でございます。
大きな1番として、労働局や監督署などにおける対応でございますが、(1)支援体制の1にございますけれども、全ての労働基準監督署に労働時間相談・支援コーナーといったものを設置しますとともに、特別チームを編成いたしまして、特に中小企業・小規模事業者の方々にも御理解しやすいような形でのきめ細やかな相談支援を実施しているところでございます。
また、2にございますが、監督署に各種届け出で来られました際などにも、さまざまな周知をさせていただいているというところでございます。
(2)でございます。都道府県における協議会は、従前、例えば地方版政労使会議とも称されていたものもございますが、これも働き方改革関連法の中で改正されました労働施策総合推進法の中に、協議会という形で位置づけられてございます。
米印にございますように、自治体、中小企業者団体、労働者団体などをはじめまして、地域で働き方改革を議論し、取り組んでいただくものでございます。こちらにつきましても、昨年12月までに全都道府県で少なくとも1回以上は開催してございまして、引き続き、このような協議会も通じまして、中小企業の方も含めまして取り組みが進むように取り組んでまいりたいというところでございます。
2ページでございますが、大きな2番で周知・支援の推進の(1)働き方改革推進支援センターでございます。昨年4月以降、順次、全都道府県にセンターを設置したところでございまして、社労士の方をはじめ、労務管理の専門家の方を配置いたしまして、商工団体とも連携を図りながら、ワンストップでの取り組みを進めているというところでございます。
実施状況でございますが、1の1つ目、センターの窓口におけます個別相談は、ことし1月末現在のデータでございますが、およそ9,000件ほどセンターにおけます相談を実施してございます。その次、アウトリーチ型は、具体的にこちらから企業、事業所へ出向いていって、相談支援を差し上げるといったもの、これが1月末現在で1万1300件ほど実施してございます。その次の出張相談会は、商工団体あるいはよろず支援拠点などの中小企業に対する支援機関とも連携を図りながらの出張相談会を、1月末時点でおよそ900件実施しているところでございます。
2のセミナー・説明会でございます。こちらも、各種団体とも連携を図りながら、改正法の内容あるいは助成金の活用に向けたセミナーを、1月末まででおよそ2,300回ほど開催してございまして、参加いただいた人数で申し上げますと、およそ8万4000人という状況でございまして、引き続き取り組んでまいりたいというところでございます。
次に、3ページでございますが、(2)多様なルートを通じた周知でございます。1にございますが、私ども厚生労働省で作成いたしました周知用の資料につきましても、関係省庁の御協力をいただきまして、それぞれで所管されております団体、業界に対しての周知を行っていただいているところでございます。
また、2にございますように、会員企業の中におきましても、会報に同封していただくなど、御協力をいただいてきているところでございます。
(3)説明会・セミナーでございますが、1は私ども厚生労働本省といたしましても、委託事業などでセミナー・シンポジウムを開催してございまして、年度末までに96回を予定しているところでございます。
2の労働局・監督署における説明会は、平成31年12月とありますが、平成30年12月末時点の誤植でございます。昨年7月から12月までで8,700回ほど実施をしてございまして、引き続き、これを実施してまいりたいと考えてございます。
3は先ほどのセンターのところで御説明済みでございますので、割愛させていただきます。
次に、4ページでございます。(4)メディアを活用した周知ということで、昨年の夏以降、ツイッター、メルマガ、インターネット広告など、実施をしてきてございますが、特にこの4月の施行が近づいているということで、2月からインターネットにおけるバナー広告を張り出しておりますほか、テレビCMも実施してございます。右側にございます松木さんをキャラクターといたしまして、行っているところでございます。
それから、3にございますけれども、新聞広告・広報誌も、全国、地方合わせ71紙への掲載などを進めているところでございます。
4 ポータルサイト「スタートアップ労働条件」でございます。これは、特に昨年、時間外労働、36協定の部分に関しましても御指摘をいただいておりましたが、このパソコン上の操作によりまして、入力によって36協定の届け出様式がプリントアウトできるというものでございます。こちらにつきまして、最新の上限規制に対応した内容で改修が終了してございまして、こちらが御利用いただける状況になってございますので、御活用を進めていきたいと考えているところでございます。
5ページでございます。(5)使用者団体への要請でございまして、先般2月18日に髙階副大臣より日本経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会の皆様に対しまして、施行が近づいてきたということで、法律の一層の周知・啓発の御要請をさせていただいたところでございます。感謝申し上げます。
そのときのお写真を掲載させていただいておりますが、それぞれの都道府県労働局におきましても、それぞれの管内の使用者団体に対しまして、要請を行うこととしてございまして、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
(6)労働者団体と連携した周知ということで、日本労働組合総連合会におかれましては、「Action!36」というお取り組みを進めていらっしゃいまして、これは長時間労働の是正に向けた取り組みを社会全体に訴えるというものでございます。
特設のサイトなども運営されておりまして、右側に私どもの根本大臣の写真もございますが、厚生労働省といたしましても賛同いたしまして、働き方改革に向けた取り組みについて、大臣のメッセージを寄稿させていただいたところでございます。引き続き、働く方々に対する周知といった視点も持ちながら、取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、6ページからでございますが、来年度、31年度におきましての取り組みを、現時点において3つほど御紹介させていただきます。
1つ目は(1)の周知広報事業でございますが、上限規制など中小企業に対しまして、1年後、1年猶予の後に適用される部分もございますので、来年度も夏以降から、さらなる強化の第2段ということも考えているところでございます。
また、(2)でございます。働き方改革推進支援センターの利用状況は、先ほど御紹介申し上げましたが、今後は特に中小・小規模事業者の方を念頭に、アウトリーチ型、こちらから出向いていって丁寧に御支援を申し上げるというところに力を入れる必要があると考えてございまして、来年度はそのように、外に出向いていって支援申し上げる専門家を500名ほど配置いたしまして、都道府県の枠を超えまして、臨機に企業訪問等を実施できる体制を整えたいと考えてございます。
また、(3)でございますが、働き方改革、長時間労働の抑制といったことに取り組んでいただいております事業主あるいは事業主団体の皆様への助成金の拡充といったものも予定してございます。具体的には(3)の2にございますが、勤務間インターバル制度を導入いただいた場合の助成金を、来年度は今年度の助成額を2倍に引き上げることを予定してございます。
また、その下に団体推進コース、これは後ほど御紹介申し上げますが、中小団体で御利用いただけます助成金に関しましての大幅な予算額の拡充を予定しているところでございます。
7ページをごらんいただきますと、7ページは働き方改革推進支援センターの図でございますが、この中の濃い緑色の矢印のところなどを中心といたしまして、専門家が個別に出向いていって、御支援申し上げるといった仕組みをさらに強化するということを予定しているところでございます。
最後、8ページでございます。助成金でございますが、上から2番目の勤務間インターバル導入コース、これは右側にございますように、上限額の引き上げを予定しているということ。それから、一番下の薄い色が団体推進コースでございます。これは3社以上の中小企業が集まっての団体におきまして、その傘下企業における取り組みのための経費として御利用いただけるものでございます。
一番右側にございますように、市場調査やビジネスモデルの開発、好事例の周知、セミナーあるいは巡回相談等々にも御利用をいただけるものでございます。これを予算額を左側に書いてございますように、来年度は大幅な拡充を予定しているというところでございます。
このような施策も着実に実施しながら、働き方改革の実現に向けまして、全力で取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
資料3につきまして、説明は以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等があればお願いいたします。
川野委員、どうぞ。
○川野委員 ありがとうございます。
まずは、働き方改革の円滑な施行に向けて、関係者各位が、今、御紹介ありましたとおり、わかりやすいパンフレットやリーフレット、また広報や広告、テレビCMを通じて、改正法にかかる労働者の権利ならびに事業主の責務等々を記載いただき、周知に向けた御尽力をされていることに心より感謝申し上げたいと思います。
先ほど来説明がありました資料No.3の1ページに、都道府県における協議会の開催の記載がございます。この記載についてでございますが、説明がございましたとおり、まさに地方版の政労使会議というべきものでございまして、都道府県によってその構成や運営が異なると思います。また、地域の産業構成等々の特性から、労働関係施策の特徴や課題もまた地域によって大きく異なるものと考えられます。
この協議会の運営に当たりまして、それぞれの都道府県において、働き方改革の進捗状況などについて、労使双方の視点で、現場の実態を踏まえた検証が行われ、意見を交わしながらPDCAサイクルを着実に回していくことが大変重要だと考えているところでございます。
とりわけ地方においては、中小企業が産業の中心になるということが多いと思われますので、そうしたことを踏まえると、協議会の取り組みを強化して、中小企業が働き方改革に適切に対応できるようにするとともに、他の都道府県における協議会の着実な履行確保に向けたさまざまな取り組み、工夫を共有できるようにすることが大変重要だと考えているところでございます。
ぜひとも、こうしたことを実行していただくよう、検討をいただきたいと思います。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
杉山委員、どうぞ。
○杉山委員 ありがとうございます。
2点ほど、意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目ですけれども、商工会議所では、働き方改革に関するセミナーを開催いたしまして、わずかではございますが、会員企業を中心に周知徹底をしております。
この働き方改革は始まったばかりではありますけれども、10年後、20年後、やってよかったと言われるような制度になってほしいなと考えております。
2点目ですけれども、以前も申し上げたのですが、私どもは小売業界です。どうしても、働き方改革でいろいろとお話が出る際、小売業界あるいはサービス関係、介護関係、福祉関係といったところは、どうしても抜け落ちがちになってしまいます。ですので、私どももいろいろと考えていくのですけれども、いろいろな施策に当たりましては、そういったところも十分御配慮いただいた上で、進めていただければと考えております。
そして、最近、大手コンビニチェーンのFCオーナーの方の働き方等が話題になっておりまして、この場とは直接関係はないと思うのですけれども、全ての働く方が幸せになれるような、そんな改革になればいいなと考えております。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
世永委員、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。
資料3の6ページに記載されています働き方改革推進センターの拡充に関して、発言をさせていただきます。
我々としましても、働き方改革推進支援センターは重要な役割を担っており、アウトリーチ型相談支援も非常に大切な取り組みであるというふうに考えています。
ただ、最近、今までも議論になりましたけれども、働き方改革関連法の施行を目前に控えて、働き方改革のシンポジウム等において、経営者に対して、法の趣旨を逸脱するような対応策を助言する事案があったという報告を受けています。
したがいまして、企業訪問等を実施する派遣型専門家が不適切な相談対応や助言をすることがないよう、要請させていただきます。
また、派遣型専門家の専門性や質を確保し、それを保証するために、労側としましては、氏名や所属等を明記したリストを公表するような手法も検討していただきたいということを申し上げさせていただきます。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがですか。
佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 私も働き方改革推進支援センターの関係なのですけれども、特にこのセンター窓口、そしてアウトリーチ型の相談支援の実施については、中小企業にとっては、待っているよりは、訪問をしていただく、この方式は非常に有効な手段だと思います。
ここでは今、1万1300件の実施と記載いただいていますが、単純に平均すると1県当たり大体240件を超える、地域によって格差があると思うのですけれども、これは非常に重要視したやり方ではないかと思います。
逆に、それにあわせて増員を図っていただいているということもあるのですけれども、私ども中央会でも、4つの支援センターを担当させていただきまして、それに伴って、事務局の事務負担も非常に多くなってきています。厚労省の委託事業として実施させていただいていますので、年度年度で決算もしなければいけないというのがあります。
事務負担がかなりふえるということで、少し軽減できるところは、事務処理の負担の軽減も考えていただきながら、充実したもの、増員を図りながら、指導の充実を図っていただきたい。相反する面もあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
村上委員、どうぞ。
○村上委員 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
1点目は、先ほど輪島委員から高度プロフェッショナル制度についてのパンフレットについての御要望がございましたが、それに関連してのお願いです。
本日、さまざまリーフレットなどをつけていただいており、大変充実したものとなっておりますが、これらと同じように、新しく高プロについてパンフレットなどをつくる際には、内容面においても表現面においても、正確なものにしていただきたいというお願いです。
私どもが行っている労働相談などには、とても対象業務には就いていないような労働者の方から、会社側から「高度プロフェッショナル制度を入れることになり、あなたはその対象になる」と言われたという相談も実は来ております。それは使用者側が法律についてきちんと知らなかったということではありますけれども、ぜひ、そういった誤解を与えるようなものにならないようにしていただきたいと思います。
以前、川野委員からもお話ししたのですけれども、働き方改革に関する24ページにわたるリーフレット、本日は配られておりませんけれども、その中でも、例えば高度プロフェッショナル制度について、労基法32条とか37条などが適用されないのだということは記載されておりませんでしたし、専門的な職業の方の自立的で創造的な働き方であるというような、かなり価値判断も入っているような表現もありました。そういうことではなくて、法律で定められたことを正確に表現していただきたい。その表現ぶりを少し易しくするという工夫は必要かと思いますけれども、余りどちらかに寄るような、印象が変わるような表現は避けていただきたいというお願いであります。
2点目は、先ほどの資料3の5ページでも御紹介いただきましたように、私どもでは、昨年9月から「Action!36」というキャンペーンを全国で行っております。経済団体の皆様や行政、弁護士会、社労士会など、多様な皆さんと連携して、残業には36協定というルールが必要であるということの認知度を高めていきたいということで、それぞれの職場で長時間労働がなくなり、人間らしく豊かな暮らしができるようにすることを目指しているところでございます。
そういった中で、資料3では、主に厚生労働省として使用者、事業主の皆さんに正しく理解してもらうための広報活動が御紹介されておりますけれども、もう一方の当事者である働く人たちへの周知というものも欠かせないと思います。
これは、私どもも行っていかなければならないことではありますが、行政におかれても、そういった方々への目配り、気配りをしていただきたいと思います。
本日は3月6日ということで、私どもが定めた「36の日」ということでございますので、午前中には、それをPRするイベントも行ってまいりました。私どもとしても取り組みますけれども、ぜひ行政の皆様方にも御協力をいただきたいと思っております。
また、その際に、結局、法律改正しただけでは職場は変わりませんので、職場に定着させなくてはいけないということでいうと、労使できっちり話し合っていくことが本当に重要だと思っております。全ての職場で日常的に労働条件や職場環境について協議、交渉していく集団的労使関係が不可欠だと思っておりまして、この働き方改革の議論を契機に、私どもとしても労働組合の輪を広げていきたいと思っております。使用者側の皆様方も含めて、労使関係の重要性についても、社会的な認知度も含めて御理解いただいて、ぜひそういった労使関係をつくることについても御協力をいただきたいと思っております。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
事務局から何かお答えいただくことはありますか。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
今、さまざまな協議会あるいは業種、働く方々への目配り、さらにはセンターでの活動、アウトリーチなどのお話などもいただいたところでございます。
まさに今回の働き方改革といったものは、大変大きなものでございますので、私どもといたしましても、行政としては当然頑張るわけでございますが、行政のみならず、さまざまな当事者の方々と一緒になって取り組んでいくというところがまさに不可欠であると思いますので、本日いただきました御意見も踏まえながら、また力を合わせて取り組んでいく進め方をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○荒木会長 ほかにはよろしいでしょうか。
今回、この分科会では働き方改革の労働時間規制あるいは年休を中心に扱ってきましたけれども、法律家から見ても、条文を読んでもわかりにくいという部分もありますので、行政の出されるわかりやすいパンフレットというものが非常に重要だと考えております。
とりわけ、労働者自身が制度を理解して、その権利を行使していただくことが重要ですので、先ほど指摘もあったように、事業者への理解ももちろん大切ですが、労働者への周知という点にも配慮して対応いただきたいと考えております。
それでは、ほかに特に御意見がなければ、本日予定した議題は以上となります。
よろしければ、次回の日程について、事務局よりお願いいたします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整の上、追ってお知らせ申し上げます。
○荒木会長 それでは、以上をもちまして、第152回労働条件分科会は終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の世永委員、使用者代表の秋田委員にお願いいたします。
本日は以上といたします。どうもありがとうございました。