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第2回非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会 議事録
厚生労働省健康局がん・疾病対策課
日時
場所
議事
○安井がん・疾病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第2回非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まず、本日の出席状況について報告いたします。本日は、宮島香澄構成員から欠席の御連絡を頂いております。なお、今村知明構成員からは、遅れて御出席される旨の御連絡を頂いております。
続いて、資料の御確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料1から資料3-2、参考資料は1から3まであります。また、構成員のお手元には、第1回検討会の資料を配布させていただいております。資料に不足、落丁等がありましたら、事務局までお申出ください。以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いします。これからの進行は永井座長にお願いいたします。
○永井座長 それでは、これから議事を始めます。前回は飯原弘二参考人、豊田一則参考人、安田聡参考人にもお越しいただいて、循環器病の診療実態把握に関する現状と課題、今後の方向性について御議論いただきました。本日はまず、救急医療現場での診療情報の活用について御議論いただき、その後で論点整理について議論をいたします。
では、まず議題(1)です。既存のデータベースと連携した循環器病の診療情報の活用の在り方についてです。急性期医療現場での診療情報活用について、現状と課題を資料1、2と続けて説明していただいた後に、御議論いただくことにいたします。それでは、横田裕行構成員から資料1の説明をお願いいたします。
○横田構成員 ありがとうございます。少し時間を頂戴し、救急医療の視点から見た診療情報の活用が現状でどうなっているのか、その課題があるとしたらどこにあるのかという部分を資料を使って説明したいと思います。右下に資料番号がありますので、それにのっとって説明したいと思います。
救急医療の専門家の学術集団である日本救急医学会が、実は幾つかの救急疾患データベースを作っています。それぞれいろいろ特徴があります。学問的・学術的なものを指向したデータベース、社会に発信して地域の救急医療のためのPDCAサイクルのツールとしてのデータベースもあります。今回、この検討会の趣旨として、後者の部分、社会への発信あるいは地域への医療貢献を考えたデータベースとして日本外傷データバンクがありますので説明をさせていただきます。2ページ目、救急医学会のホームページのこの部分に日本外傷データバンクのリンクがあり、そこをクリックすると3ページのような日本外傷データバンクが出てきます。これは日本救急医学会と日本外傷学会の2つの学会がお金を出し合って運営しているデータバンクです。一定以上の重症の患者さんだけについて、ここに書いてある日本の代表的な272施設の救急医療機関が加入し、データを登録しています。現在、約10年になりますが、37万例のデータが蓄積されています。
4、5ページは直近の5年間の上書きになっています。もちろん、過去に遡って37万例全部データを出したいのであれば見られるというデータバンクです。ここで分かるのは、外傷は高齢者が多く、85歳にピークがあるのです。5ページですが、しかもそれは転倒による外傷が一番多いということです。日本外傷データバンクを始めた頃は若年者の登録数が多く、その原因は交通事故が多かったのです。ところが、一定以上の外傷という制限が掛かっているにもかかわらず、日常の高齢者の外傷が多いことが、最近のデータとして明らかになってきています。
6、7ページですが、このようなデータを参考に、総務省あるいは日本救急医学会、本日出席されている宮本先生が理事長をされている日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会などと共同して、日常のけがに気を付けましょうといったキャンペーンを行っていますが、このようなデータを根拠として学会を挙げて取り組んでいるということです。総務省も、このようなデータから予防救急キャンペーンを行っています。これがデータバンクの役割の一つかなとも思っています。
一方、8ページを御覧ください。重症度に応じて、どの程度救命率があるか、どの程度の死亡率かを、全国272施設のトータルの平均を取っています。自分の施設がどの位置にあるかを見て取ることもできます。ですから、自分の施設はもっと頑張らなくてはいけない、あるいは日本全体の平均よりは優れているぞというようなところが、自己評価できるということです。データバンクの意味というのは、このようなPDCAサイクルを回す、それを社会に還元する、また自己の評価ができるといった意味があると思います。
もう1つ、日本外傷データバンクに登録する救急医療施設のモチベーションになっているのは、救命救急センターの充実度段階評価、これは厚労省が所管しています。その6番目の項目に診療データの登録制度の参加と自己評価という項目があります。そして2点の加点が頂けます。この充実度評価は合計0点から100点までで、それで救命センターの評価が定まってしまうのです。この2点を取るために、どこの救命センターも、データバンクに入力することを頑張っているわけです。実際、日本外傷データバンクは、入力に負担があります。
今申し上げたように、これだけ負担が掛かるけれども、多くの代表的な施設が入力をしているのは、1つはPDCAサイクルを通して社会貢献ができていること、それから充実度評価で一定の点数を頂けることが、モチベーションになっているからと考えます。また、データバンクを使うには、いろいろな医療機関あるいは病院前の様々な情報と連携しなくてはいけないわけです。そんな視点で見たのが14ページ以降です。例えば、15ページです。今も救急の領域では非常に大きな問題となっております救急車の要請件数が増え、119番をしてから現場に救急車が到達するまでの時間、また医療機関までの時間が、長くなっている時期が一時ありました。そこで先進的な取組として、佐賀県が当時タブレット型のICを駆使し救急隊と病院のマッチングのシステムを作りました。「99さがネット」と言われていますが、それを導入し救急要請から病院到着までの時間が短くなったことが、大きな話題となりました。
現在このようなシステムは、ほぼ日本全国で使われているのですが、代表的なものが16ページに書いた大阪府医療機関情報システム「ORION」と言われているものです。17ページですが、119番から病院到着までの時間、あるいは現着時間が長くなっていたのが、救急隊がタブレット型の病院のマッチングのシステムを導入した平成23年から平成26年頃に、それらの時間短縮の効果が出てきたことを示しています。18、19ページは当時このような効果が現れつつあるときに、私が厚労省の研究班を担当させていただき、その現状と課題を報告したものです。特にこの19ページですが、それぞれの地域で病院前と医療機関との連携はICTを駆使しているのですが、病院前の情報と医療機関の電子カルテの連携の部分までは至っておらず、医療機関の電子カルテにアクセスできるのは、そのときはゼロということが書かれています。
20ページは地域包活ケアの絵ですが、住居や介護生活支援を中心に矢印があります。医療情報は患者さん本人のものであり、医療機関のものではなく、救急隊のものでもないということです。患者さん本人にデータを集約することで、どの医療機関でも患者情報が見られるようなシステムができれば、社会にも効率的な医療や介護ができるのではないかというような報告をいたしました。
それぞれ、医療機関や在宅や高齢者施設等、其々すばらしいシステムを持っていますが、連携されて共有できるシステムが、まだ動いていないのが現状です。1つ参考になるのが、23ページの「とねっと」というシステムです。埼玉県の西部で地域の約100の医療機関が1つの総合病院として機能するために、同じシステムを使ってお互い患者情報を見ることができ、その情報は患者さん個人のとねっとというカードにアクセスすることにより可能であるシステムです。
それから、24ページの東京都総合医療ネットワークですが、医療機関だけのネットワークで電子カルテのNECと富士通の電子カルテを使っている医療機関では、お互い全ての患者情報が見られるというネットワークが、東京都医師会では動いています。まだ、個人情報のやり取り等では、同意書を取ったりするということで、救急の場面では使いづらいことがあるのですが、理論的には全ての医療機関が患者情報を見ることができます。こうしたシステムが既にもうできているということです。
まとめますと、この診療情報や医療情報を収集して活用することは、効率的な医療、そして自施設の質の向上というPDCAサイクルに寄与するということです。すわち、効率的で円滑な質の高い医療を提供することに資するのではないかと思います。個々の疾患、個々の医療機関、個々の地域でそれぞれすばらしいシステムがあるのですが、地域独自のシステムになると、いざ使うときにアクセスができなかったりする可能が発生します。特に循環器疾患、心臓疾患あるいは脳卒中もそうですが、何回も何回も再発を繰り返すわけです。受診する医療機関が同じではない可能性も高いことを想定すると、共用性や互換性が必要であると最後の27ページにまとめてみました。私からは以上です。
○永井座長 ありがとうございました。続いて、資料2の説明を医政局地域医療課救急・周産期医療等対策室からお願いいたします。
○高崎医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長 それでは、お手元の資料2に沿って、現在医政局で検討しております救急医療におけるデータ連携と評価指標の方向性について御説明いたします。
スライド1です。皆さん御案内のことかと思いますけれども、都道府県は国の定める基本方針に沿って、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るために、医療計画を作成いただくことになっております。その中で右下から2つ目ですが、救急医療は医療計画に記載が必要な5疾病・5事業の1つであり、医療資源・医療連携等に関する状況を把握し、課題の抽出、目標の設定、医療連携体制の構築のために必要な政策を策定し、その実行状況を評価するということを行っております。
スライド2ですが、この医療計画は随時見直すこととなっており、昨年9月に開催されました「第13回医療計画の見直し等に関する検討会」におきましては、円滑な受入体制の整備や出口問題に対応するための医療の連携に対応する指標も設定している都道府県が少ないこと、受入実績及びその他の要因を考慮した客観的かつ定量的な指標を作成している都道府県が少ないことが指摘されております。
このような背景からスライド3ですが、現在「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催しまして、救急医療におけるデータを活用した評価指標の現状と課題について御検討いただいているところです。
スライド4を御覧ください。この検討会におきましては、地域の救急医療体制に係る指標として、傷病者の緊急度、重症度、生命予後や機能予後への寄与等、客観的なデータを用いた質の総合的評価があるのではないか、また、消防機関等の把握しているデータと医療機関が把握しているデータを連結し評価等に活用するということは、救急医療の質の向上につながるのではないかという御意見を頂いております。これらの御意見を踏まえまして、現在救急医療におけるデータ連携と指標の方向性という形で議論を深めていただいているところです。
スライド6を御覧ください。具体的に申し上げますと、先ほどの第7次医療計画における救急医療の指標の課題として、以下のように救急医療体制の構築に必要な事項と指標例等ありますが、救急医療の地域性を見るための全国共通の必須項目を設定されてないということがあります。また、スライド7ですけれども、救急医療に係る指標については、患者個人や消防機関、医療機関がそれぞれ各種データベースを持っておりまして、これらは消防機関、医療機関、行政等において情報収集されておりますが、これらの連携がされておらず、発症から退院転帰までを踏まえた健康アウトカム評価へ活用するということに、現状では限界があるという状況です。
スライド8です。今後の方向性についてです。評価のためのデータ収集についてですが、救急医療に係る指標について各種データベースの連携活用に関する方策を検討してはどうかということ。地域性を踏まえた救急医療の質の向上のために、相対的な現状把握が可能な全国共通の必須指標が必要ではないかということ。最後ですが、これまで救急医療においてはコントロール群の設定をして介入実験等を行うというのは、現実的、倫理的にも困難であるためにアウトカム評価が難しく、代理指標としてストラクチャー、プロセス評価を行ってきたわけですけれども、今後は近年の技術革新、例えばリアルワールドデータ、リアルワールドエビデンスという手法も開発されてきておりますので、これら最新の手法を取り入れつつ、データ収集と分析を駆使して更なるアウトカム評価の検討を進めてはどうかということ。また、救急医療の評価指標に資するデータについては、既存のデータの活用や新たに必要なデータの収集を検討すべきではないかという御議論を頂きつつ、行政としても検討してございます。
スライド9です。この検討会において、以下のような前向きで建設的な御意見を構成員の先生方からも頂いているところです。
最後になりますが、これらの検討は医政局だけではなく、今般この検討会で御議論いただいています健康局など、分野、部局横断的な取組が重要となってくると考えております。本検討会の御意見も頂きながら厚労省全体でも検討を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 ありがとうございました。ただいまのお二人からの発表を踏まえて、御意見を頂きたいと思います。何か決めるというわけではございませんので、広く御意見や御指摘を頂ければと思います。いかがでしょうか。
ただいまの救急に関する情報の活用についてですが、新しい動きとして在宅医療があります。今まではデータも余りないとは思うのですが、恐らくこれから在宅での状態がどういうように搬送先で活用されるかということが課題になります。それから地方での話を聞いていますと、結構難しい病気をこのごろは在宅で何とか乗り越えるということも行われているようです。その辺りについてどうでしょうか。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。私も神奈川県の在宅支援診療所協会会長をやっていて、在宅も見ていますが、病病連携、病診連携の個人情報保護、機微情報の管理はすごくハードルが高くて、電子情報をお互いにやり取りするのは難しいのですが、介護の現場では在宅医療をされている先生とケアマネさん、訪問看護ステーション、ご家族などのデータ共有というのはある意味とても緩いのです。
緩いというのは、メディカルケアステーションとかカナミックなど、無料に近いリストで、皆が共通の画面で情報共有する。訪問看護ステーションの方も見るし、医師も見るし、もちろん機微情報はできるだけ入れない、飲んでいる薬、褥瘡の画像、心房細動があって脳血栓を起こしたとか、そういうことが結構書かれていて、お互いに介抱している人たち、家族の方、診療所医師も見ていると思います。東京で在宅医療を展開していらっしゃる在宅の先生たちも、そういう仕組みを使っています。病診連携とか、その辺りになると、例えば栃木県ですと「とちまるネット」とメディカルケアステーションとを切り分けてやっています。
○永井座長 その情報は、救急搬送されたときに活用されているわけではないのですか。
○羽鳥構成員 その気になれば見ることは可能です。というのは、家族の方あるいは御本人が、救急などに公開することを了承するということが書かれているというか、そういう仕組みを作っておけば、例えばその地域の医師会の方がどなたか了承すれば、横田先生の救急病院では見られるようにもなります。
○横田構成員 今の羽鳥先生の追加になるのですが、在宅、特に企業が熱心にこのようなシステムを作っています。例えばセコムや日本光電など在宅の医療機器を提供している企業は、一般の方々でも使えて、かつ在宅の先生方が必要とするような情報をクラウド上で見るようなシステムもあります。救急で搬送されたときに、救急医療機関がそれを見られるかというと、まだそこが十分ではないと思います。しかし、もし見ることができれば有り難い情報をたくさん得ることができると思います。
○山本(晴)構成員 先ほど、横田先生が脳卒中や心筋梗塞など、何度も再発してとおっしゃっていましたし、実際現場で運ばれてきたとき、これから問題になるだろうなと思っているのは心房細動の方で、経口の凝固抑制薬、DOACというものを飲んでいる方が増えているのですが、それを飲んでいて今度脳出血などの出血事象を起こしたときに、緊急で中和する中和剤が出てきているのですが、これが今、幾つかあるうちの1種類だけの中和剤が出ていましたが、もう1種類の中和剤の治験が始まるのです。前の1種類の中和剤の治験のとき、そのDOACの薬を我々の施設で出して退院した方が出血を起こして入ってきて、当然それを飲んでいるだろうと思っていて、御本人はしゃべれませんから、御家族に聞いたら「飲んでいます」と言われて治験に入れて、中和剤を打ったら、いつの間にか違う種類のDOACになぜか御近所のかかりつけ医かどこかで変えられてしまっていて、その中和剤が効くDOACとは違う薬を飲んでいたというような事例がありました。要は、抗凝固薬とか抗血栓薬とかを飲んでいらっしゃる方の急性期のときに、何を飲んでいるかを確認するというのが救急治療ではものすごく重要なので、せめて今飲んでいる薬が正しく救急隊に伝わるということは非常に重要だなと思います。
○小松本構成員 先ほどの在宅の開業医の先生方が急性期の病院のデータを見ることができるかということなのですが、先ほど羽鳥先生が言われたように、栃木県のとちまるネットというものがありまして、私ども病院は医療圏80万で、唯一私どもが555床の急性期病院で、あとは100床や200床、在宅ということで、その地域の中で、患者さんは完結してしまうのです。そうしますと、患者さんは全部同意をもらって、開業医の先生方が230以上ありますけれども、患者さんが退院したあと、開業医の先生方に行かれると、患者さんの全てのデータ、電カルのデータは全部見ることができるシステムになっています。その患者さんのデータ、サマリーから画像から検査から、全てをヒューマンブリッジに 1回移して、ネット環境があればそこにアクセスして、その患者さんのデータを見ることができるようなシステムがあります。私ども医療圏では富士通だけで、単独できているので、そういうことがやはり可能なシステムであります。そのデータは、患者さんの電カルのデータ全てをヒューマンブリッジに1回移しますから、1回アクセスして内容を全部見たい部分は開業医の先生方も見られる。1回見るとそのデータは全てすぐ消失してしまうというようなシステムです。私共医療圏では足利日赤が中心に地域完結型で動いていますので、そういうシステムも可能ではないかということで、情報は全ての医療機関で共有しております。
○永井座長 もう1つ、横田先生の所の「とねっと」、これは埼玉、利根医療圏ですか。あのあたりは5つの県が入っていて大利根医療圏とか言っていますね。埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木ですが、「とねっと」はその地域をまたがった医療圏ではなくて、埼玉の医療圏だけなのですね。
○横田構成員 実際、私も現地で見学させてもらったのですが、加須市を中心とした医療圏で、診療所も含めてトータル100の医療施設が、小松本先生が言った同様なシステムで動いています。ただ、患者さん個人の情報は患者さん個人が管理するのです。地域のネットワークとしてはいいシステムだなというように思います。
○永井座長 電子カルテが異っていても、共通のカードになるのですか。
○横田構成員 電子カルテまでは行っていないのですが、検査データ、あと画像です。電子カルテが全て診療所には入っていなかったので、当時は電子カルテまでの連携にはなっていなかったのです。
○永井座長 画像も検査所見も、違うベンダーであってもカードに落ちる、入力できるようになっているわけですか。
○横田構成員 全て、加須市の保健所に大きなサーバーがあって、そこにアクセスするようなシステムで動いていたと聞きました。地域100の医療機関が1個の総合病院という発想ですという説明を受けたのです。
○永井座長 これは何か、山本先生は御存じではないですか。ベンダーが1つなのか、あるいは共通のシステムなのか。
○山本(隆)構成員 共通の標準化システムを使われていて、「とねっと」も、東京都総合医療情報ネットワークも厚生労働省標準であるSS-MIXという標準化ストレージをそれぞれの医療機関が実装して、そのSS-MIX標準化ストレージの間を、これも厚生労働省の標準規格になっているXCAというプロトコルで、お互いに、まず患者さんの名寄せをした上で見に行くというシステムになっています。
富士通とNECというように横田先生からありましたが、私はそこの運営委員もしているのですが、富士通とNECだけではなくて、今度、第3のベンダーさんに広げていくとか、あるいはそれが終わったら第4、第5というようにしています。SS-MIXを標準化するにしても全国に900病院もう既に入っているので、そういう意味では比較的容易に広げやすいのです。それから、例えば富士通さんとかNECさんがやっているID-LinkやHumanBridgeがありますが、あれも当初はかなり独自な方法でやられていたのですが、最近はSS-MIX標準化ストレージを使った方法に変えてきています。そういう意味では、ベンダーロックインではなくて標準化ストレージに入る情報、電子カルテの情報というよりは客観情報、つまり検体検査であるとか、処方、調剤、余裕があれば画像、XCA-Iという規格になるのですが、それを使うと画像情報も交換できるのです。画像情報を交換するとやはりネットワークの負荷が多少高くなったり、サーバーの容量が大きくなったりというので、例えば東京都総合ネットワークはそこまでまだできていなくて、将来の課題として置いているというところです。
○永井座長 いかがでしょうか。
○横田構成員 小松本先生に質問したいのですが、とちまるネットですが、例えば救急車で搬送されてきた患者さんの情報というのは、患者さんの許可が得られないような状況、意識がなくて患者さんに家族がいないような場合に、救急医療機関の権限で、患者さんが普段掛かっている情報にアクセスできるというようなシステムなのでしょうか。
○小松本構成員 私共の医療圏はそもそも、患者さんがその医療圏から動かないので、最初医療機関にかかったときに、もう既にその情報はそういう扱いをすることを同意されています。
○横田構成員 ああ、そういうことなのですね。全て。
○小松本構成員 はい。だから、同意しない人はほとんどいないので、開業医の先生方も全部同意させておられますから、自動的に患者さんが動けば、どこかの医療機関に行ってもうちのデータを全て見ることができるようになっています。
○横田構成員 では、もう既に事前同意、包括同意がされているということなのですね。
○小松本構成員 はい。
○山本(晴)構成員 1回目休んでしまいましたのであれなのですが、診療情報の活用が今お聞きしていると2種類あるかなと思います。1つは患者さん自身の次の診療に役立つような、それこそ救急に行ったときにすぐ役立つような診療情報と、もう1つは恐らくレジストリでためていって、それをその次の医療に資するというところとあるのですが、これは必ずしも同じではないと思うのです。
患者さんの診療、直近で役立つための活用であれば、それこそカードとか、どんどんデバイスが良くなってきているので、患者さん、特に慢性疾患の患者さんで希望する方には、その方が電カルの中の全部の情報でなくていいので、直近何を飲んでいるかとか、あと直近のデータや画像とか、キーになる情報がどこかに掛かるたび、それが更新されていくような形で、患者さんが携帯できるようなものがあって、救急に行ったらまたそれをすぐそこで見るというようなシステムがあれば、必ずしも電カル全部を見なくても役立つのかなと思います。
その一方、レジストリとしてデータをためていくというのは、恐らくそうではなく、もうちょっと違う、それこそ予後とかいろいろなデータがまた要ると思います。
私は、現実的には、恐らく電カルを共有化していくというのは、ある程度限定された地域ではできていくのかなと思うのですが、全国的に一気にそういうことをやるというのは相当難しいことだと思います。恐らく、電カルのデータを引き出してきて、それをくっ付けてということも、技術的には可能にはなっていますけれども、実際に精度の面ではなかなか、精度を上げるところにものすごく人手が掛かってというのが現実の問題であって、すぐに、例えばここ1、2年の間に何とかできるという問題でもないと思います。
特に電カルは、先ほど横田先生がレジストリを入れることで点数評価が上がってという、そのインセンティブがあるということだったのですが、それをなかなか他の領域の病院に広げるのは難しいので、結局それを全部医療機関がコストとして引き受けるということになると、やはり現実的に難しくて、どの辺りでやっていくのか、恐らくそれも検討の内容なのかなとちょっと思いました。
○羽鳥構成員 山本先生がいつもおっしゃる点、全く私も同意です。開業医も電子カルテを7割近く使っていると思うのですが、別々のメーカーの電子カルテを使っているので統一したフォーマットでのデータを電子的に収集できない。なかなか、日本医師会もORCAを使った電子カルテもありますけれども、それ以外もたくさんあるわけです。
厚労省に何回も、いつも主張しているのですが、開業医の場合だと慢性疾患指導料、特定疾患何とか料、それから生活習慣病管理料とか、いろいろな点数が付いてくるわけですよね。先ほど横田先生から御指摘がありましたが、DPCを取るためにはそういう加点があるのと同じように、外来、診療所においても、初診のときには血圧、身長、体重を入れる、既往歴と薬のアレルギー、予防接種歴などミニマムリクワイヤメント項目をいれてはじめて初診料をとれるようにする。又、生活習慣病管理料を取るときには血圧の値、体重を入れる、血液を採ったらヘモグロビンA1cの値を入れることを求めるようにすべきです。入れるというのは何をするかというと、共通の箱を作って、それがいざ必要となったときには、クラウドなど、みんなが見られるようにするという仕組みをつくる。逆にそれが結果的にレジストリになっていくと思うので、開業医の先生もいつもキーボードを叩いて電子カルテを入力しているわけですから、有効に使えるような仕組みを厚労省が決心してできるはずのことだと思います。提案していただけたらと思っています。
○今村構成員 今、情報の共有化の議論を活発に行っていただいている中でふと思うところがあって、情報の共有化が進まない一番の理由は、各グループ間で共有化しようというコンセンサスが得られにくいことなのだと思うのです。つい最近まで、技術的に富士通とNECが使えないという話がメインだったですが、そこは同じ機械が入っていますという話になったときに、広がってきた経緯が違うネットワーク同士、違うポリシーで出来上がってきていますから、安全にこの2つを結婚させるとなったとき、「それはいい話だね」ということでつながっていくところと、「いや、もともと違うポリシーですから」というところに分かれていくところと、まず二分化されていきます。その次、結婚しようという話になって、やはりコストが掛かりますので、このコストを誰が受けるのですかといったときに、機械はリプレイスのタイミングというのがあって、この2つが合うわけではありませんから、なかなか、どちらが受けるかという話になったときに、今やるとしたらうちがお金掛かりますよねと言ったら、「いや、うちはそのときは無理です」という話になって、なかなかうまくいかないということがあります。今は技術的な面からだんだん社会的な面にバイオが移ってきているように思うので、制度的にクリアしていくということ、制度的にクリアするにしても、お互いの秘密情報を見ていいかどうかというのは信頼関係によるものなので、制度的にポンとやるというのは、現状は難しい面があるのではないかと思います。
○永井座長 コストについては、地域医療確保基金を使うことはできるのではないですか。
○今村構成員 これに行政が間に入ってきて、行政が持ちますと言ってくれればいいのですが、情報の共有化というところに行政が入ってきてというのは、ケースとしてはそんなにたくさんないと思います。
○小松本構成員 今村先生のデータの共有化がうまくいかないという1つは、以前は例えば500床、400床規模の病院がその地区に幾つかあって、そうすると富士通とNECが導入されていて、相互にそのデータが見られないというのがありました。最近はその様なことはなくなり、その問題は解決しました。
今、一番の問題になっているのは、A病院はここまでは開放する、B病院はこれは出さないというのがあって、結局そこのところでミスマッチがあってうまくいかないのが、1つ実際の現場での問題となっております。
私ども病院は全てを見る、全てを開放するという条件で、そうすると電カルの質も上がるのです。先生が前医の治療について何かコメントするのをメモ的に書かれるようなときがあります。それはやはり困るということで、信頼関係で行っているわけだから、全て開放されるとすれば、メモとして使わず、きちんとサマリーも書くし、逆に情報のエントロピーを下げることによって、かえってカルテの質が上がる。全部見られるとなったほうが逆に私はいいのではないかという感じで、私どもの病院は全ての患者さんの入院から退院まで、全ての診断、画像まで全部見られるように開放して、それがうまくいっているのではないかと思います。
○永井座長 足利地域の特性もあるのでしょうかね。
○小松本構成員 そうですね。500床規模の病院が乱立しているときに、A病院の方針とB病院の方針が違う、開放するところが違うので、データがうまく使われないというのはあるので、その辺は厚労省なりが指導して全部開放とか、1つの方向性をこの会で作れば、データの質は上がるし共有化がもっと進むと思います。
○永井座長 第三者が見ても分かるカルテを書いてくださいということになるわけですね。
○小松本構成員 はい。
○永井座長 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。また、御意見等おありでしたら後ほどお寄せいただければと思います。ありがとうございました。それでは、まず健康局医政局では、頂いた御意見を踏まえて整理していただきたいと思います。
続きまして、議題(2)にまいります。議論の整理についてですが、まず資料3-1、3-2について事務局から御説明をお願いいたします。
○安井がん・疾病対策課長補佐 お手元に資料3-1、3-2を御用意ください。資料3-1のスライド2を御覧ください。主な論点として1.「循環器病の診療実態を把握する目的と情報の集め方について」、2.「循環器病の診療実態の把握を行う対象疾患と必要な項目について」、3.「循環器病の診療実態の把握方法(体制)について」を挙げております。
スライド3を御覧ください。1つ目の論点、「循環器病の診療実態を把握する目的と情報の集め方について」の論点と対応策です。循環器病は、急性発症するとともに再発や増悪等を繰り返すこと、また急性期には発症後早急に適切な診療を開始する必要があることなど、がんとは疾患特性が異なることから、診療実態を把握する目的も異なります。診療情報を急性期中心に横断的に把握するのか、慢性期も含めて縦断的に把握するのか、いつ何をトリガーとして情報を把握し、どのように経過を追うのかを検討する必要があります。
前半の御議論にもありましたように、発症後早期に適切な診療を行うために、患者情報について医療機関間で共通の項目を把握し、循環器病再発時に当該情報にアクセス可能とすることで、急性期医療現場で円滑に循環器病の診療情報を活用できるシステムが有用ではないかと考えています。急性期医療への活用のため、また正確な患者数や罹患率を踏まえた診療提供体制の構築等のため、診療情報の横断的な把握が必要ではないかと考えられ、本検討会では、まず横断的な把握における具体的な情報の集め方を示してはどうかと考えております。長期的なQOL評価を含めた診療の質の評価や、長期的な医療施策への活用のため、診療情報の縦断的な把握が必要と考えられますが、施設を超えて情報収集するための方策や必要な項目、経過の追い方については、学会等で引き続き検討する必要があるのではないかと考えています。
スライド4を御覧ください。急性期医療への活用についてです。急性期医療現場において、患者本人や家族からの聞き取り以外に、循環器病の既往等を包括的に把握する方法について、必ずしも統一的なものはありません。循環器病再発時に、患者情報について医療機関間で共通の項目にアクセスし、診療情報を活用できるシステムが有用ではないかと考えています。また、共通の項目とする患者情報は、公衆衛生に活用する情報と重複しているのではないかと考えています。
スライド5を御覧ください。公衆衛生の活用についてです。公衆衛生の向上等の目的に十分な母集団設定を行い、患者数や診療内容等の診療実態を明らかにしてはどうかと考えています。左の図のような発症患者数や医療機関への搬送状況や、右の図のような急性期から回復期・維持期への転帰を地域で集団として把握することで、都道府県等地方自治体における診療提供体制・救急体制の構築、評価等に活用できるのではないかと考えています。
スライド6を御覧ください。循環器病による急性期入院について、主に入院時の情報と退院転帰等、退院時の情報を把握することで、急性期医療や公衆衛生へ活用できるのではないかと考えております。
スライド7を御覧ください。登録項目に関する基本的な考え方(案)としてまとめたものです。点線で囲んだ部分ですが、1)急性期医療への活用の目的のため、再発時の急性期診療に必要な情報を把握する必要があるのではないかと考えています。2)公衆衛生への活用の目的のため、地域における医療機関ごとの患者分布(数)や患者の流れの把握、時間の要素を加えた救急体制の把握、循環器病発症前後の状態変化の把握が必要ではないかと考えています。
スライド8を御覧ください。2つ目の論点として、「対象疾患と必要な項目について」です。前回の御議論を踏まえ、診療実態把握の対象疾患は、拡張性は確保しつつ、まずは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性心筋梗塞、大動脈解離、心不全としてはどうかと考えています。急性期医療への活用や公衆衛生の向上の目的に十分な母集団設定が必要ですが、医療現場での入力負担を勘案し、まず収集する情報は正確かつ簡便な項目とする必要があるのではないか、将来的なデータベースの連結も見据え、顕名で集める範囲と匿名で集める範囲と管理の在り方を検討する必要があるのではないかと考えています。具体的な項目素案を、議論のたたき台として示します。脳梗塞、急性心筋梗塞については、資料3-2に項目数等のイメージとともに示しております。また、参考資料3に全国がん登録届出票がありますので、併せて御参照ください。
スライド9を御覧ください。3つ目の論点として、「診療実態の把握方法(体制)について」です。診療への活用や公衆衛生の向上の目的に十分な母集団設定が必要ですが、脳卒中、心臓病その他の循環器病対策基本法が求める情報の収集は努力義務であり、推進方策を検討する必要があるのではないか、登録データの質を担保するため、まずは学会関連施設やカテーテル治療実施施設などを対象としてデータを収集してはどうか、データベースの維持管理には、学会やデータベースを利用する者等の協力も必要ではないか、一部の地域では都道府県等地方自治体と研究者や関連学会等が連携し、診療実態把握や医療施策に利活用しており、地方自治体との連携の在り方についても、検討すべきではないかと考えています。以上です。
○永井座長 幾つか論点がありますので、できれば意見の集約をしたいと思います。まず、循環器病の診療実態を把握する目的あるいはそれを踏まえて、何をトリガーとしてどの範囲の情報を把握したら良いのか。それから、診療実態の把握体制、特に対象とする施設の範囲等という辺りについて、御意見を頂いて集約したいと思います。また、第1回の検討会で、対象疾患は医療計画に規定されている6疾患ということで、おおむね御意見は一致していたかと思いますが、その項目についても御意見を頂ければと思います。時間は十分ございます。
例えば、何のために把握をするのか、目的をしっかり定めておく必要があります。また、情報の集め方、資料3-1でスライドの3番から7番辺りをいろいろ御説明いただきましたけれども、この辺りの御意見はいかがでしょうか。先ほど山本構成員がおっしゃったように、いろいろあるかと思うのです。急性期医療へ、患者さんの視点からどのように活用してもらうかということもありますし、レジストリー的な、しかも横断的な活用、あるいは縦断的な把握、いろいろな視点があろうかと思います。その内容についても少し御議論を頂ければと思います。これは資料3のスライド7でしょうか。いかがでしょうか。
○山本(晴)構成員 先ほどの発言が、ちょっと前倒しになってしまっていたと思うのです。資料3-1の3枚目のスライド、論点と対応策でいろいろ並べていただいていたのですけれども、先ほど私が言ったのは、患者さんが救急やすぐに医療機関に掛かったときにその場で役立つ情報と、診療実態把握とか正確な患者数とか罹患数とかどちらかと言うと公衆衛生的な観点で必要な情報というのは、オーバーラップはするものもあると思いますが、結構重要なところで必ずしも一致しないのではないかと思います。
特に、脳卒中や初発の心筋梗塞などで、比較的病態がややこしくなく、そのまますぐに家に帰って社会復帰された方であれば、そんなに動かないと思いますけれども、例えばある程度以上の重症度の脳卒中の方で、その後に急性期病院から慢性期リハ病院に行って、それから介護を受けながら自宅に戻られた方などは、それだけでも半年とか1年は掛かりますので、その間に処方自体もかなり動いてしまいます。そういう意味では、退院時処方を余り後生大事に持っておられても、役に立たないという状況は結構あると思います。最終的にその両方が1つになったらいいとは思いますけれども、最初からそれを目指すというのは、ちょっと難しいのではないかと。
私個人としては、急性期の患者さんの利便性というのは、地域でいろいろな御努力があると思いますし、一気に全体でやるというのは、また逆に難しい話であるとは思うのです。それよりはというか、それも重要ですけれども、そもそもなぜ対策基本法が必要かと言っていたかというと、正確な患者数も分からない、罹患率も分からないという状況を何とかしないといけないのではないかというのが大きかったと思います。やはり、公衆衛生的な観点でのレジストリーというものを一足先に考えるほうが、医療提供というか、医療政策を更にどうしていくかとか、提供していくためにはどうするかということを考える上では重要な情報かという気がしております。
○永井座長 今の点はいかがでしょうか。どちらかと言うと、まずは急性期の活用と横断的な把握ということですか。
○山本(晴)構成員 はい。
○横田構成員 先ほども申し上げたように、循環器の疾患というのは再発を繰り返す可能性があるということで、フォローが必要だという前提です。この項目を見ていると、急性期が主体ですけれども、多分我々の感覚から言うと、クリニカルパスそのものなのです。今はクリニカルパスのために年に何回も会議をやらなくてはいけないのですが、そういうことをこういう方法で少しでも効率化して、質を高くしていくということに結び付くのではないかと思うのです。特に循環器に関しては、そういう位置付けというのも大いにあるのではないかと思って聞いていました。
○小川構成員 先ほどもお話がありましたように、やはり循環器病はがんとは大分違うと思うのです。がんは拠点病院がある程度限られていますし、拠点病院の整備をすれば非常に正確に把握できるということがあります。循環器はかなり裾野が広いですよね。心臓に関しても脳に関しても、拠点病院はかなり増えると思うのです。それを考慮してやらないといけないわけです。
1つには、努力義務というのが非常に引っ掛かるのです。これを言っていたら、いつまでたっても正確な把握はできないと思うのです。1つの考えとして横田先生がおっしゃったことと羽鳥先生がおっしゃったような、点数を付けるというのは非常に大事なことではないかと思います。努力義務ですから皆ほとんど努力をしない、何もしないということで、結局集まらないということになります。点数になりますと非常に敏感になりますので、皆さんやっていただけるというのが1つの大きなポイントではないかと思っています。
もう1つは学会との協調です。私たち循環器学会では、1,300の専門病院のデータを全部集めております。心筋梗塞も大動脈解離も心不全も全部集めております。今は何で集めているかというと、DPCで集めているのです。DPCのうち7割の病院は「そのまま使ってください」と言われるのですけれども、あとの3割の病院がどういうわけか市町村の公立病院が多くて、「条例で個人情報保護の問題があって出せません」と言う所があるのです。DPCを出せるというのは別に、循環器学会が専門施設を取るためには、全部の症例数を出さなければいけないので、データを全部出しています。治療成績も一応出しています。それで、DPCが使える所が7割、使えない所が3割なのです。
このデータを比べてみますと、DPCを出している所も出していない所も成績は同じです。心筋梗塞の死亡率も、心不全の死亡率も全部同じです。ですから、全部出していただいたら、そのままデータが全部そろうということがあります。そのためには、点数などを考慮していただくと、皆さん全部出すのではないかと思います。個人情報も全部匿名化をしていますので、そちらのほうは問題ないのです。努力義務ですから出さなくてもいいという所が出さないのが、一番問題ではないかと思っています。
○羽鳥構成員 私も小川先生の意見に全く賛成します。最初の起点は、急性期のことは病院発でいいと思いますけれども、できるだけ悉皆性のあるデータを取るということです。そのためには、本当はここは努力義務ではなくて義務化する。がん対策基本法のがんが発見されたら、登録が義務化しておけば、もっとデータがしっかりとれると思います。
もう1つは、データの拡張性のことです。循環器だけでなく、糖尿病とか高脂血症とか、他の生活習慣病にも広がるような仕組みになると思うので、データの拡張性、要するに基本項目、は共通の必須項目として入力を求める。脳卒中、脳梗塞、脳出血の場合と、心臓病の場合は、追加で記入しなければいけないというものが当然あると思うのです。生活習慣を診ている医師は、多く複数疾患を持つ人をみています。ほかの疾患も常に頭の中で俯瞰しながらやっていただけたらいいと思います。
もう1つ小川先生の御指摘の中で、専門施設の更新というのがありました。特に脳卒中の場合には、脳卒中の拠点病院とか基幹病院みたいなものをお考えだと思いますけれども、そのときもこれを登録していなければ、絶対に更新できないということでもいいし、専門医の更新のときも一人一人のドクターにとっても更新できるように。外科のNCDと同じように、外科医が自分の手術を登録することによって、病院や施設のレベルも上がるし、個人のあれも上がっていくという仕組みを、是非考えていただけたらと思います。
○宮本構成員 今議論になっている方向性には私も賛成ですけれども、学会の立場としては、やはり専門医を取るための訓練施設の要件にするとか、あるいは脳卒中センターの認定をしていくので、その要件にするということなのですが、一方で、義務化されて「やりなさい」と言われても、忙しい中で現場が締め上げられているわけです。それを登録することによって、何かがないと前に進まないし、悉皆性が確保できないという辺りは、やはり点数なり何なりをしていただいて、これをすればきっちり診療療法士を雇えるということがないと。大きな施設は診療療法士に依存できますけれども、小さな施設では医師がやっているということになると、医師の働き方改革からも全くおかしなことになりますので、是非何か、飴と鞭と言ったらあれですけれども、デューティが増えるのだったら、しっかりそれを確保するような体制が必要かと思います。
○永井座長 厚労省としてはまだそこまでの約束は、なかなかできないということなのでしょうか。いずれ何かが必要だとは思うのです。
○佐々木がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。前回も同旨の御指摘を頂きました。例えば、先ほど来話に出ているがん登録はどうなのかということですが、これまでの地域版登録から進めてきて、今は全国がん登録になってきたといった経緯が、もし参考になるのであれば、それを研究したいと思います。また別途の検討が必要であれば、それはそれで検討したいと思っています。いずれにせよ、正確な情報が正確に登録されるには、どうするのが一番良いかというのは、御議論いただく点の本質にも関わることですので、座長からは約束はできないという助け船を出していただきましたが、少なくともその整理は我々がしなければいけないと考えております。
○林構成員 自治体でどういうように使うかということを思い浮かべながら、お話に参加していただいているわけですけれども、自治体の使い道も、恐らく今日出ていた御議論と同じで、当座は横断的な把握をして、患者さんの数をつかむといったことに使うものだろうと思います。診療の質や医学研究のために自治体が使うということは、なかなか想定し難いですし、情報共有は医療機関同士のものですので、自治体を経由しないでやっていただければ十分だと思っています。横断的な把握のためには、やはり相当悉皆性が高いか、少なくとも抽出率と言いますか、登録率が分かるようなものでないと、何割登録されているか分からないデータが幾らあっても、多分何年たっても使えないということになってしまいます。抽出率100%に近い登録をしていただけるか、それまでの間どれだけの登録率か分かるような別の仕組みが要るのではないかと思います。
先ほどからDPCデータの話が出ていますけれども、この登録をする上では、DPCデータよりも更に何を得ることができるかということは、一度整理すべきものかと思います。DPCデータも第三者利用の仕組みを活用していただければ使える方法があると思いますし、個人情報を提出いただかなくても、国が第三者利用をして、医療機関名をそこで表示することだけは、医療機関に同意いただくということであるとすれば、個人情報保護の問題は生じないはずなのです。そういったことで、できることを最大限やっていただいて、なお御負担を掛ける部分は負担を頂くというようにすべきではないかと思います。
○小川構成員 今、非常にいい御意見を頂きました。確かに年々増えていっているのです。初めは6割ぐらいだったのです。それが6割5分、7割、7割以上というように増えていっているので、皆さんに少し理解していただいたら増えていくと思うのです。先生が今おっしゃったようなことを言っていただくと、全例登録できると思います。私にはまだその知識がないものですから、最後の「国が第三者利用をして」を理解するまではいっていないのですが、それを実行していただけると、DPCに関しては全例登録できると思います。ただDPCに入っていないデータをどうするかというと、それが問題になるのです。しかし、ほとんどの病院は入っています。民間で急性期のカテーテルばかりやっている病院は一部入っていないのですけれども、大きな病院で急性期を取る病院は大体入っているという現状です。
○山本(晴)構成員 心臓と脳で大分病院が違っています。恐らく脳のほうは、DPCに入っていない所が急性期医療を支えている。特に地方は、ほとんどDPC病院ではないと思います。私も臨床試験の共同試験などで、サイトビジットなどを結構するのですけれども、驚くほど小さな個人の単科の病院が、その地域の脳卒中の急性期医療を全部賄っているのがすごく多いのです。例えば、北海道や東北のほうは、ほとんど脳外科の単科の病院が支えていらっしゃるという状況があります。関西のほうはどちらかと言うと、総合病院で脳卒中を診ている所が多いのですけれども、それでも民間の病院というか、純然たる私立の病院がものすごく多いので、やはりDPCで取れている脳卒中のデータというのは、本当に一部ではないかというのが1つです。
それこそSSMIXにすら入っていない、そんなものを入れるお金の余裕もないという病院がいっぱいあります。そういう意味でも悉皆性を出すということになると、脳卒中に関してはDPCデータだけでは難しいのではないかと。逆に、DPCによって地域差が実際にはあるのに、それが見えなくなっているという可能性はあるかなという気はいたします。
○小松本構成員 結局は、データの質をどのように測るかという議論だと思うのです。急性期を横断的に診るときに、データの質を担保するためには、やはりどういう施設かということを決めるのが大切だと思います。ですからDPC病院で、山本先生が言われたような循環器単独でセンター化しているような病院、脳卒中でセンター化しているような病院、臨床研修指定病院、脳卒中学会が言っているカテーテルをやっているような施設基準、脳卒中センター基準というのがありますが、それに準ずるようなものを持っている病院や、t-PAをやっている病院といったような、そうした施設をまず抽出すれば、データの質がかなりいいと思うのです。
最終的には、その中で地域の公衆衛生と疾患を減らすという、日本人の健康増進というのが目的だと思うのです。あとは地域医療構想です。データと数が分かっていますから、地域医療構想の中で、患者さんの流入流出の度合というのが分かってきています。ですから、それをそこのデータに掛けてあげれば、その地域全体の脳卒中、あるいはこういう病気は何パーセントがどうなっているかが分かると思うのです。まず、どういう施設からデータを抽出するかということと、そういう施設については、先ほど横田先生がおっしゃったとおり、ほとんどの所でクリニカルパスに入っているし、あとはデータ、がん登録に準ずるようなシートができている病院も実際にあると思いますので、そういう形で施設のクオリティを上げるのが大切ではないかと思います。
○永井座長 また全体を通して、後ほど御議論を頂きたいと思います。縦断的な話は、かなり息の長い議論が必要だと思いますので、学会レベルでどんどんやっていただくことにして、まず今のところの大きな目的としては急性期医療への活用、横断的把握による公衆衛生への活用ということで御了解いただきたいと思います。
○今村構成員 先ほどのDPCのデータのことです。DPCのデータもNDBのデータも両方触らせてもらっていて、地域医療計画の数字も作っているという立場からコメントさせてもらいます。DPCはかなり偏った疾患になっています。心筋梗塞などだと、DPCは割ときれいに出るのですけれども、脳卒中の場合は余りうまく出ないのです。NDBだと悉皆なので、t-PAをやっている総本数にしろ、加算を取っているというのは分かるのですけれども、その人が脳卒中かというのは分からないのです。ですから、今のNDBやDPCから分かる情報と、分からない情報とを峻別していただきたいところです。特に脳卒中の議論では、脳卒中かどうかという定義そのものも非常に難しく、そもそも地域医療計画で対象にしている「脳卒中とは何か」というところから曖昧なのです。今はt-PAを使っているということを指標に入れていますけれども、本当にその地域の医療にとってその指標でいいかということを、今、正に投げ掛けて検討しようとしているという状況だと思うのです。
○永井座長 それはどうやって集めるかにもよると思うのです。基本としては、入院時と退院時の情報をしっかり捉えるというまとめ方というか、認識でよいように思うのです。
○今村構成員 そうです。その中で何をやっているかは、そういうデータで分かるのですけれども、リスクとかどうなったかというのは、今の情報には付いてないので、そこの部分は今は把握できない情報だろうと思うのです。
○永井座長 「縦断的」と言っても、実を言えばあるか分からないわけですね。それは縦断的な議論、データの収集に関する議論になると思うのです。しかし今、縦断の議論をすると拡散してしまいます。やはり専門家が学会を中心に、少しトライアル的にでもやっていく必要があるのではないかと思います。重要性がないということではなく、それはそれで進めるとして、取りあえず今回の第一の目標としては、急性期及び横断的把握ではないかということです。しかし先生がおっしゃるように、結局は最後、予後というのは縦断的に見ないと分からないのです。
よろしいでしょうか。それでは、あと幾つかあるのですが、もう1つの論点、対象疾患と必要な項目についてです。これは資料3-1のスライド7、8及び資料3-2に提案があります。顕名で集める範囲、匿名で集める範囲、いろいろあろうかと思います。また、データの在り方についても御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
○林構成員 まず、対象疾患に必要な項目という論点になっているところに、若干の違和感を感じます。対象疾患の次に、対象患者であるとか、対象病院であるとか、つまり、公衆衛生として集めるのであれば、どういう基準で把握する患者の概要を定めるのかということを先に議論して、その上で項目ということかなと思います。そうしないと仕組みがつくれないような気がします。もし、その間をつなぐような、今、急性期ということだけは書いていますけれども、どういう患者さんをいつの時点で捉えようと思っていらっしゃるのかというところが、お考えがあるのであれば教えていただきたいと思います。
幾つかの疾患については自明なのかも分かりませんけれども、脳卒中とか脳卒中の急性期、どこをどう指しているのか、よく分からないですし、急性心筋梗塞も何度も把握するのか、狭心症でまた入院したときも把握するのか、何を把握の範囲と考えていらっしゃって、この資料をされているのかがちょっと分からないものですから、教えていただければと思います。
○永井座長 事務局、いかがでしょうか。
○安井がん・疾病対策課長補佐 事務局です。少し資料が戻るのですけれども、資料3-1のスライド6になります。おっしゃった急性期の入院についてという形で、例えば脳梗塞であれば、その発症時をイメージしております。脳梗塞の患者さんが再発で、もう一回脳梗塞をされた場合には、もう一度登録するということをイメージしております。ただ、2回目の落ち込んだときが肺炎でありますとか、急性期の循環器病以外で入院されたときまでの全部を把握するという趣旨では記載しておりません。お答えになっていますでしょうか。
○林構成員 あとは、急性心筋梗塞は心筋梗塞のエピソードだけを捉えようとされていて、同じ一連の虚血性心疾患であっても急性心筋梗塞に至っていない急性期入院は、ここには入っていないという意味でしょうか。
○安井がん・疾病対策課長補佐 御議論も頂ければと思うのですけれども、医療計画に規定されているものとしては、急性心筋梗塞という形で例示されておりますので、例えば狭心症などは登録しないイメージで記載しております。ただ、その点に関しても、もし御議論、御意見等ありましたら、おっしゃっていただければと思います。
○永井座長 それは今、急性冠動脈症候群という考え方でまとめていると思うのですが、そこを分けることが逆に弊害をもたらすという経験があるわけです。小川構成員どうですか。
○小川構成員 先生がおっしゃるとおりで非常に難しいですが、トロポ二ンが上がれば心筋梗塞という定義になっていますので、そこの区別は非常に難しいです。永井先生がおっしゃるとおりです。でも、一応何かしないといけないので、定義上ニューディフィニション、新しいディフィニションで心筋梗塞とすれば、不安定狭心症の重症系の境目でも心筋梗塞として、入院として捉えたほうがいいと思います。その辺はちょっと病院のレベルにもよるのですが、でも、一応専門医であれば、その辺の診断はできるのではないかなと思っています。
○今村構成員 病気の括りについて、医学的ではなく、今まで行政的にどのように区切ってきたかを、医療計画の立場からちょっと確認させてもらいますと、5疾病・5事業は脳卒中と心筋梗塞になっていて、脳卒中の中では細目というのはないのです。ですので、脳卒中と一括りであります。ただ、実際には医療計画の指標として作っているものは、ある程度脳外と神経内科的なものを分けられるような指標というのは作ってはきているのですけれども、病区としては分けられていないというところはあります。
それに対して心筋梗塞のほうは、もともと心筋梗塞だけだったのが、前回の医療計画の際に大動脈瘤のほうも入れるべきだということで、それが広がったという経緯があって、心不全のほうまでは、今、医療計画のほうでは網羅は十分にされていないという状況があると思います。ですから、それに比べて、今、疾病としては心不全のほうが、医療計画の範囲、医療構想で議論されてきた範囲に比べて広くなっているということと、脳卒中のほうは細分化して、今、提案がされているということを、今までの経緯との整合性の意味で確認させていただきました。
○永井座長 先ほどの急性心筋梗塞ですが、医療現場で対応を取らないといけないのは、正に不安定狭心症も同じなのです。下手に分けて、これはより綿密に、これは少し観察でというわけにはいきません。そういう意味では急性冠症候群としてまとめていったほうがよいように思うのです。病理学的な分類ではなく、プラクティカルに急性冠症候群として対応すべきというのが、今までの循環器臨床の経験だったと思うのです。
○山本(晴)構成員 脳卒中のほうも徐々にそういう状況になりつつあって、TIAという一過性で症状が消えるというのがありますけれども、今、脳血管内治療で急性期に血栓溶解とか、血栓を回収しに行くようになっているので、来たときは明らかに血管が詰まっていて症状があって、軽い虚血がMRI上見られて、これは脳梗塞だと、まず診断しますが、24時間以内に治療してしまって、病巣が残らなくて症状も残らなければ、定義上はTIAになってしまうのです。
なので、恐らく脳卒中の血管の急性期治療というのが、結局は心筋梗塞というか、心臓のほうの虚血性心疾患を追い掛けているような形になっているので、早晩同じような問題が、今、少し出つつありますけれども、恐らく同じような状況が出てくると考えて、既に対処しておくほうがいいのではないかと思います。
○永井座長 結局、政策的に求められるのは、そうした患者さんへの対応なわけですから、本当に梗塞になったかどうかというよりも、重症のケアが必要だった患者さんに対応できたかという把握の仕方です。これはいろいろテクニカルな問題もあろうかと思いますので、また事務局ともよく相談して方向性を出したいと思います。
○羽鳥構成員 医師需給分科会で、議論になっていることの1つが、疾患が同じでも主に診ている科が地域によって異なることがある。脳卒中にしても、地域によって診ている科が違うということなのです。例えば北海道では、95%脳外科だという所もあるし、関東とか関西では50%対50%疾患によって診ている科が違う所もあるというので、データの取り方もきっと工夫が必要なのだろうと思います。
今、医師需給分科会の中では、代表的な60疾患を、DPCデータに基づいて何パーセントずつが診ているか算出しますので、それも参考にされたらいいのではないかと思います。
○永井座長 項目についてはいかがでしょうか。スライド7、8に、具体的にこういう項目を調べたらどうかということが書かれているのですが、細かいことを言うと。
○宮本構成員 それについては一度、学会に投げていただいて検討することが必要かなとは思います。
○永井座長 おおよそのイメージとしては、こういうことでしょうけれども、これは一度、学会の意見を聞いたほうがよいでしょうね。
○今村構成員 把握すべき問題点の所で、是非とも注意喚起したいことがあって、実際に医療計画の数字を見ていると、例えばt-PAを実施している使用本数を都道府県別に見たら、やはり4倍から5倍ぐらいは都道府県別に差があるのです。年齢調整を掛けても、やはり3倍以上の差があって、その地域差というのは、高度な医療を実施しているかという上に、平均的な医療が実施されているか、最低限の医療を実施しているかということで見たときに、まだそこは足並みがすごくそろっていないという印象があります。
t-PAではなく、超急性期加算で見たら10倍以上の差が付きます。それは施設基準を満たしているというところで加算を取るので、施設基準を満たしているということで見ると、それぐらい差が出るというような現状があるのだと思うので、その医療の平準化ということを目指すということも、問題点の踏破と、このレジストリーの目的に考えてもらいたいと思います。
○山本(晴)構成員 将来的にはデータベースの連携を見据えて、顕名で集める範囲と匿名で集める範囲ということなのですけれども、顕名で集めるのは、何と何を連結するから顕名なのかなというのはちょっとどうなのだろうと。割と、この辺は重要な部分になってくるので、もし顕名で集める部分を作るのであれば、今すぐではなくて、少し将来のことであったとしても、そこの目的を明確化しておいたほうがいいのではないかというのを、少し思ったのですけれども。
○永井座長 これはどういうイメージを考えていらっしゃるのか、事務局はいかがでしょうか。確かにデータベースを連結するということは、いずれ求められるのですが、今の段階でどこまで名前を出すのかという問題があります。いかがでしょうか。資料8の四角の中ですが、スライドの8です。
○安井がん・疾病対策課長補佐 文字どおりでありまして、そういうところがあれば、その辺りも含めて御議論いただきたいということで記載しております。
○佐々木がん・疾病対策課長 よければ全部匿名で。
○永井座長 例えばがん登録では、その辺りで顕名の部分というのはあるのでしょうか。
○山本(隆)構成員 がん登録は全て顕名です。今の時点で顕名でデータを集めるというのは、基本的には制度的には裏付けが必要になってくる、あるいは全例とも同意を取るということが必要になるわけです。制度的な裏付けがもしあるとして、何らかの法的な処置が取られて集めるのであれば、NDBでも私はその当時、顕名で集めることを主張したのですけれども、そうしないと最終的に何かあったときに、患者さんに絶対戻らないのです。
これは、せっかくデータを出してくださっている患者さんに対して、最後に戻らないというのは、余り望ましい話ではないと思いますし、顕名で集めることは、別に顕名で集めたから危険があるわけではなくて、使うときに適切に匿名化することが非常に大事で、使い方によっては匿名加工というのは違ってきます。
例えば、10年分の病歴を集めて匿名加工するのと、1回分のエピソードを匿名加工するのは、これは全然方向が違ってきますから、そういう意味では匿名で集めたから安全というわけでもないのです。ですから、使うときの安全性を確保するという条件で、本来は顕名で集めたほうが、いろいろな意味で活用しやすいし、あるいは永井先生がおっしゃるように、縦断的に見るときでも、やはり顕名で集めるほうが確実にその本人を同定して追跡できますので、そのほうがいいと思います。ただし、努力目標とかそんな話ではなくて、これはもし顕名で集めるとすると、制度的な裏付けがないと無理だと思います。
○永井座長 スライド6を御覧いただきますと、ピンクと赤で塗ってある部分、匿名ということは、この赤が全部ばらばらになるということなのです。がんとの違いというのは、繰り返しで、経過が長い、何度も山と谷がある点です。がんの場合は5年生存率を見れば大体は結論が出るけれども、循環器の場合は、この山と谷を繰り返しながら10年、20年、30年、そして最後は介護との関係になるのです。そういう意味で、この赤の部分を全部、色を別々にしてよいのかという議論になると思います。ただ、それを行うには、それなりのいろいろな規則が必要であろうと思います。
○山本(晴)構成員 確かに今、全部を匿名化したとしても、この項目はイメージで挙げていただいていますが、生年月日を日まで取って、入院日も日まで取って、救急搬送された日や時間まで取っていたら、これは名前とかを集めなくても、ほぼ人を特定できてしまうので、匿名加工という話になったら、こうしたものを全部集められなくなってしまうと思うのです。なので、多分どこの病院かというのは絶対付いてきますので、恐らく今の個人情報保護法だったら、これはほぼ顕名で集めているのと同じことになりますから、むしろ顕名で集めて、現場にそんなに負担が来ないように、どう制度設計するかということのほうをしっかり考えていくほうが、前向きな話かなとは思います。
○永井座長 丸山先生、昔からこの辺りは議論が多いところですが。
○丸山構成員 今のお二人の山本先生の意見に、ほぼ同調いたしますけれども、顕名で集めるというようなところ、それから、先ほどから各委員の御発言を承っておりますと、患者の同意も初めに取るということですから、同意に基づいた制度構築ということであれば、そんなに難しくないのではないかなと思います。
あとは医療機関の側ですが、そのデータを登録することについて、今の制度だと第三者提供はできるということなのですが、同意があっても、提供することを義務付けるというところまでは、こちらこそ制度的な裏付けがないと難しいというようなところがあるかと思います。
あとは同意の内容として、例えば後の発症のときに役立てる、どの医療機関、あるいはどういう目的にまで、そのデータベースなりレジストリーの情報を使えるのかという辺り、最初の同意の取り方で、先ほどだと東京都内の医療機関とか、利根川辺りの機関というように、地理的に限られているようなのですけれども、厚労省で制度を作られるのであれば、全国的なものになると思いますが、かといって,無制限に医療機関であればデータを利用できるというようなことにはならないと思います。どのように目的なり施設を限るのかという辺りの同意の取り方の点で、ちょっと気になっていたところであります。現在の同意の取り方で、その辺りがどのように限定されているか、もし教えていただければ有り難いかなと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○山本(隆)構成員 東京都総合医療ネットワークの場合は、その御本人の診療に関わる場合のみ利用するということになっています。したがって、その御本人の診療に直接関わらない場合は利用しないということで、限定して同意を頂いていると。
○永井座長 極めて広いですね。本人の生命、健康のために必要であればと。
○山本(隆)構成員 でも基本的には、その医療機関に、その患者さんが行っていない限りは見えないということですよね。ですから、いわゆる公衆衛生上の利用であるとか、そういったことは同意の範囲には入っていないのです。改めて再同意をするか、今の個人情報保護法上で完全に匿名加工して、国民情報保護委員会の基準にのっとって匿名加工して、その利用ルールの下で利用するか、その2つしかないというところです。
○丸山がん対策推進官 今の山本構成員のおっしゃっていたことに近いのですが、事務局側で顕名だ匿名だというのを、このように資料に入れさせていただいたもともとの動機としては、救急隊が救急で利用するには顕名でないと、データ上の接続がすぐにできないだろうと。
一方でデータの集め方と、その後どう管理するかという話が出てまいりますが、公衆衛生上の活用で、では果たして顕名で保持したデータベースを所持しておく必要性があるのかと。集めるときは一緒になってくるかもしれませんが、その後のストレージとして救急に接続するもの、また公衆衛生上で活用するものは、顕名と匿名で分けておいたほうがいいのではないかということは、技術的なことも含めて、御意見を頂けたら幸いと思っております。
○今村構成員 匿名だけの情報をつなぎ合わせるという作業をやっている者としては、匿名化されたものからつなげるというのは、やはり基本的には難しいと思います。そもそもつなぎ合わせないように匿名化しているのに、つなぎ合わせてくださいということは無理なことなのだと思うのです。では、公衆衛生上で顕名が必要かと、それは全く必要がなくて、つながった状態で匿名化とか名前なり、バッググラウンドの情報を消していただいてもらえれば、分析には耐え得るのです。
でも現実に、一端匿名化してしまうと、例えば名前でも暗号化すればいいではないかといえば、暗号化の方法が違うと当然違ってくるわけなのです。今、制度もたくさん走っていますから、その制度ごとに暗号化の方法も違うというものをつなぎ合わせるというのは、なかなか困難な状態で、やはり基で、もらうデータではなくて、集めるときはつなげられるように顕名で、それも個人が特定できるような形で集まっていないと、分析には耐えられないと思いますし、瞬時に個人を追い掛けるということは、匿名では、まず難しいと思います。
○永井座長 そうすると医療上で必要な状況に備えて、ばらばらにして顕名にしておいて、特に公衆衛生的な研究のときには、それを匿名化してつないでという。
○今村構成員 いや、つないでから匿名化していただきたい。
○永井座長 そうですね、つないでから匿名化して、分からないようにしておくという、そういう方法と。それで同意の取り方は、どういう方法になるのですか。
○今村構成員 そういうことを全部、個別同意で。病院でデータを取っているように、研究所に使わせてもらいますというような形の、オプトアウトという形が取れれば一番望ましいと思います。
○永井座長 何らかの同意は必要だということになりますね。
○井上構成員 本人の同意というお話ですけれども、患者といたしましては、救急で搬送された場合も、自ら病院に赴いた際も、健康保険証等の提出など、患者本人の情報は、診ていただく所にお預けした、お任せしたという感覚でおるのだと思います。
同意ということをどのような形でお取りになられるのか、例えば文書なのか、それとも口頭なのかという問題もありますし、そこまで患者の状況が許さない場合もありますので、何か自分の保険証とか本人確認ができるものをお預けした段階で、患者は、もう同意してお任せしたのだという感覚でおりましたが、難しいのですね。
○永井座長 診療所はそうかもしれないですが、これは二重利用をするときに、それなりにリスクも起こり得ます。そのデータが拡散してしまったり、使う側は相当に慎重に説明をして、同意も頂かないといけない。やはりいろいろな仕切り、作法が必要と思います。
○山本(晴)構成員 多分、今の個人情報保護法だと、医療機関内にあるときしか顕名で保持できないので、レジストリーというと、多分、医療機関外のデータベースにレジストリーに入れるということになりますよね。だから、その瞬間に、そこのレジストリーに顕名で入れるというタイミングで同意がないと、恐らく法律上はもたないと思います。
現場の感覚から言うと、来た瞬間に同意を取るのは絶対に無理なので、恐らく退院のときに、いろいろな退院時の説明をする中で一緒にこれの説明をして、いいですかという同意を頂くというような流れになるのではないかなと思うのです。ただ、不幸にしてお亡くなりになったとか重い障害が残ったときに、その同意が取れるのかなというのは、ちょっと心配は残ります。現実的に急性期病院での流れで、入ってすぐにこの手の同意を取るというのは、ほぼ無理だと思うのです。
あともう1つは、やはりどういうものに使うのかということで、それこそ座長がおっしゃったようなどういう内容の同意を取るのかというのは、やはりある程度、具体的なレジストリーの活用方法が決まらないと、同意の内容、説明の内容が決まらないということにはなると思います。
○林構成員 がん登録の場合は、個人情報保護法以前からがん登録があったこともありますし、個人情報保護法の適用除外と解することができるというような指針を、厚労省のほうで出すということで、事業をやっていたように記憶しています。その辺りも含めて一度整理していただかないと、多分、普通はデータを扱っているのは同意を前提とするということは当然だと思っていますけれども、国の力を借りて、それができるのかどうかということは、ちょっと整理していただけないかと思います。
○永井座長 必ずこの縦断的な把握ということが、重大なテーマになってくるのは、間違いないのですね。それをどう綿密にするか、あるいは飛び飛びでも後でつなげて分かるようにするかというのは、これは正に脳卒中であれ、心臓病であれ、大きな特徴になっているわけです。ですから、そこは共通認識として、まず持っていただいて、その上でどのようにしていくかということです。むしろ、がんよりも、その必要性が高いのです。
6ページの赤の塗り絵の所ですが、匿名化するということは、これが全て別の色になるということなのです。そうすると僅かこの短期間のことだけは分かるということで、通して見たときに本当に施策が有効だったかは、5年、10年の経過を見ないと分からないのです。短期間に良くて長期間に悪いことは、循環器診療では今まで歴史があるのです。短期間に良かったということが、長期で見たら悪かったという問題がありますから、ここは何とかつなげられる方策を考えるということの重要性を御了解いただきたいと思います。どのようにテクニカルにするかは、また別の問題だと思います。あとは同意の問題ですね。
○丸山構成員 この2つの後の急性期医療への活用のためと、公衆衛生的な把握のためというのは、その入れ物を別にするということなのですか。それとも、1つの入れ物で、匿名・顕名などを操作して、2つの活用をしようというイメージなのか、その辺りが先生方によって、公衆衛生的な把握をすることが念頭にある御発言と、後の医療のための活用のことが念頭にある御発言と、場合によっては入れ子になっているようなところがあるのではないかなと思っているのですが、その辺りがどちらかというのをあらかじめ。
○丸山がん対策推進官 今、丸山構成員が御指摘の件ですけれども、もともとその管理は分けたほうがよいのかと、事務局側の原案としては持っていたのですが、それが運営上支障が大きいとか、こうしたほうがもっとスマートであるということがありましたら、むしろ御指導いただきたいところではあります。
○山本(隆)構成員 管理する側からすると、匿名化されていると何となく安心感があるのですけれども、そうは言っても今村先生や山本晴子先生がおっしゃるように、例えば単独や単一の情報であれば、1回のエピソードであれば、それは安心かもしれませんけれども、結構正確な日付が入っていて何回ものエピソードがあるとなってくると、名前や住所なんか消しても、多分すぐに誰かと分かってしまうことになりますから、そういう意味では匿名化には本当はならないのです。
ですから扱うときには、匿名化情報としては扱えず、顕名情報が含まれていると思って扱わないといけないとなってくると、そういうものを2つ持つことは、2つの気を遣うデータベースを両方管理するということで、労力も倍になりますし、本当はリスクも倍になって、危険も増えてくるわけです。情報を守るという立場から言うと、できるだけシンプルで1つにしておいて、そこから出るときの条件を非常に単純にと言いますか、厳しくすることが、多分一番合理的だろうと思います。
今まで、歴史的にはNDBもDPCもそうなのですが、取りあえず誰か分からないようにしてるという趣旨でやってはいるのですが、場合によっては分かる情報ですから、完全に匿名化した情報として、もう扱えなくなっているのです。ですから、そこは単純に分ければいいというのは、少し考え直したほうがいいのではないかと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。そういたしますと、その項目については、一度学会に投げるという手続が必要だろうと思いますが。
○横田構成員 その件でよろしいですか。先ほどからの宮本先生が学会に投げるということは大賛成で、そのように是非してほしいです。それから救急体制の視点から言うと、今、遠隔医療、特によく救急医療では言うのですが、ライトペイシェント、ライトタイム、ライトプレイス、これが本当にそうなのかというところが項目としてできると、有り難いなというのが1点です。
あとは、やはり遠隔医療です。脳卒中ではJoinだとかi-Strokeだとか、これは大動脈疾患にもかなり使われていますし、心電図電送は大分救急隊も日常で行っていまして、それが本当にアクセス、ライトタイム、ライトプレイス、ライトペイシェントにつながっているのかというところも、もし可能であれば検証もできると思うのです。ですから、そういう項目も専門家の学会の先生が見てくださるということなので、そこは安心していますけれども、項目として入れられればお願いしたいと思います。
○今村構成員 項目について、各学会で挙げるときに、是非、合併症についても各学会で考えていただきたいと思います。実際に分析しているときに、どれだけリスク調整するかというような話は非常に重要なのですけれども、それぞれの専門家の先生は、それぞれの病気のリスク調整には熱心なのですが、脳卒中はあるけれど、心筋梗塞はありますという場合には、心筋梗塞はさて置きという話になりがちで、でも実際には、調整するときにはそれが必要なので、各学会に投げるときでも、合併症ということを特記していただく必要があると思います。
○永井座長 ありがとうございます。もう1つ論点がありまして、資料3-1のスライド9を御覧ください。対象とする施設の範囲、あるいは地方自治体との連携の在り方について、御意見を頂きたいと思います。もちろん悉皆調査は望ましいですけれども、できることとできないこととあります。小川構成員、いかがでしょうか。
○小川構成員 先生も御存じのように、循環器は循環器専門医研修施設、循環器専門医研修関連施設とはっきりしています。それで1,300ありますので、そこで始めたら、まず漏れはないのではないかと思っています。脳のほうはちょっと難しいかもしれません。心臓に関してはそれで大丈夫と思います。
追加ですが、羽鳥先生と井上先生がおっしゃったように、脳卒中・循環器病対策基本法の中にも糖尿病、腎疾患、その辺も十分考慮して検討するようなことと書いてありますので、こういうことは絶対しなくてはいけないと、そのように思っています。
○宮本構成員 脳卒中のほうは研修指定病院と脳卒中センターと認定プライマリー・ストロークセンターと考えますと、やはり1,500ぐらいになるのではないかと思いますから、それなりの悉皆性はあるのではないかと思います。
○林構成員 施設の話と連結の話を伺っていて、心不全を本当に把握する意味があるのかどうかということは、少し疑問に思いました。他の5疾患は、エピソードの数を数えて、別に仮に連結できなかったとしても、医療提供体制にとって意味があるような気がするのですが、仮に連結できなくて、病院も限られているという情報で、心不全の入院の数を数えて何か使えるのかどうかと、私はちょっと分からないものですから、利用の価値があるのかどうかということを教えていただきたいと思います。
あとは、この論点に関しては1つだけ、利活用のことが余り書かれていないのですけれども、やはり利用する能力と言いますか、そのための体制というのも必要で、大体多くのビッグデータに関して、私たちはデータの海に溺れていて、何を分析していいか分からなくなっているようなものが多いような感じがいたしますので、どういう体制で利活用を促していくのかということを、あらかじめ論点として想定すべきだと思います。
○小川構成員 これは永井座長の医療体制の在り方で、もう十分に検討したのです。確かに先生がおっしゃるとおり、心不全はかなり抜けます。抜けますが、救急でやっている場合に、今、急性心不全や慢性心不全の増悪では、それを外せば、もう救急医療は成り立たないような状況になっています。心筋梗塞と同じぐらい大事になっていますので、これはやはり、抜けは覚悟で入れておかないといけないのではないかと思っています。
私達は2004年から、ずっと循環器疾患実態調査をやっているのですが、ずっと心不全は先生がおっしゃるように情報がなかったのです。でも、2013年に私が一応やるということを決めまして入れたのです。かなり反対もあったのですが、でもそれをやりますと、みんなきちっとした例数を入れてきてくれますので、やはりこれは漏れはありますが、やらないといけないのではないかと思います。永井先生はどうお考えかは。
○永井座長 心不全は低空飛行の状態があるわけですが、急に悪くなります。それは何回か、経過中に起こすのですね。1回起こっただけでしたら、高齢者はまだその地域に住まわれるのですが、2回起こすと、今度は地域を離れているのですね。何回起こすか、あるいはどういう状態でしのいだかということが、実は地域社会の継続性にも関わりますので、非常に大きな問題だと思います。
それから在宅との関係です。在宅の中でどのように悪くしないようにするかという問題も出てまいります。日本の高齢者疾患には、現在、非常に多くのエネルギーと医療費が必要です。更に地域社会の継続性という問題も関わってくるので、正確でなくてもよいので。
○小川構成員 入れざるを得ないと。
○永井座長 あるトレンドは把握しないといけないと思います。
○林構成員 分かりました。もし心不全が必要で、それを入れるということを前提とするのであれば、むしろ、どういう心不全を把握するのかとか、どういう施設で把握するのかということを、はっきりと次の資料には明記していただきたいと思います。恐らく、循環器だけではなくて、呼吸器とか腎臓内科とか、いろいろな診療科で実質的には心不全の方を診ていただいているのだと思いますので、それに漏れがあるということは承知の上で、どこかで決め打ちするということであれば、それも含めて合意する必要があると思います。
○横田構成員 質問したいのですが、スライド9の4つ目の四角の地方自治体との連携の在り方というのは、具体的にどういうことを想定しているのかというのを教えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○安井がん・疾病対策課長補佐 例えばですが、集めたデータをどのように診療提供体制や救急体制に生かすかという点、もう1つは救急医療現場で、もしもある地域で使うとなれば、そのときには地域も関わるのかなということで記載しておりますけれども、正に在り方についても検討すべきではないかということで、その辺りの御意見等を広く頂ければと考えております。
○横田構成員 一部の地域では、もう既にそういう連携ができていると書いてあるのですが、そのような形で連携ができているという理解でよろしいのですか。
○安井がん・疾病対策課長補佐 前回学会等のデータを使われているというような資料も参考人からお示しがありましたが、そのような取組もあります。ただ、横田構成員から今日御発表を頂いたように、それぞれの地域で、いろいろなものがあるというのは、将来的にそのままでいいのかという課題もあるかとは思っております。
○横田構成員 分かりました。
○永井座長 いろいろな医療データがありますね。これも市町村の考え方、広域連合の考え方、保健所の考え方、それがかなり多彩で、先ほど3割がなかなか難しいという理由になっていると思いますが、その辺りの整理も必要です。あるルールがあって、このようにすれば大丈夫ですという保証を与えていただかないと、それぞれの担当者は不安に思います。今村先生、その辺りの御経験はいかがですか。
○今村構成員 うちは正に公的病院で、DPCのデータを出すかとかで随分もめたので、やはりその制度の狭間にあって、筋論だけで個人情報保護法を守っていくと、やはり出せないという結論になっていて、研究目的で出すのですが、自分の所で研究するのではなくて、日本が研究のために出すという申請書をうちの病院から出すということが、なかなか難しいです。
よく考えたら、今村がDPCの分析をしているから、今村が分析するために奈良医大のデータを出すということならば筋が通るのではないかということで、やっと出せたのですけれども、普通はDPCの分析をしている先生が病院におられるわけではないので、なかなか公的機関では、建前論というか筋論のほうに負けてしまうのではないかなと思います。
○永井座長 何かみんなで納得できる約束事を作れば、可能ということですか。
○今村構成員 そうですね。このDPCであれば、厚労省からもう少し働き掛けがあったら、出してくれる所も多いのではないかとは思います。
○永井座長 それぞれの市町村、更に広域連合に条例があります。個人情報保護の条例がありますから、皆さんの同意が得られるような取決めをしっかりする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
大体時間になったのですが、今日のところは最初に急性期医療への活用、横断的把握、公衆衛生への活用と、目的としてはその辺りだろうと。そして循環器病の急性期、入院時、退院時情報の把握、また、項目については学会との相談、それから対象施設としては、できるだけ悉皆調査が望ましいですが、まずは拠点病院とか、できる所から始めましょうということです。それから自治体といろいろ相談が必要です。大体この辺のところを基本的な了承としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○佐々木がん・疾病対策課長 項目等を今度学会で、そこは自治体等と協議するまでに、少し積み残しがあるので、今日のでの積み残し的なもので言うと、急性心筋梗塞という傷病名でよいのか、また、心不全と言ってもどの診断基準で集めるのか、ちょっとここの詰めもありますので、この項目を今後相談させていただく際に、前回に一応了解いただいた形になりますが、この6疾患、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性心筋梗塞、大動脈解離、心不全(急性・慢性)といった辺りは、最終的には考え方は同じなのだけれども、表記の仕方、またその診断基準はもしかしたら変わり得るという前提で、各学会とやり取りさせていただければと思います。
あと、もう1つ、幾つか御指摘いただいて集めた項目を、どういう利用をするのか、だから、この項目を集めるという、そこの理由付けのところとの整理、それをも見据えた学会等との相談を、今後させていただいた上で、次回お示ししたいと思っております。以上です。
○永井座長 よろしいでしょうか。
○山本(隆)構成員 各学会に項目の選定をお願いするというのは、もちろんそれで大賛成なのですけれども、選定の仕方として、できればお願いしたいのは、まずはミニマムから始める、本当に必要なものを全部網羅して、駄目だったら減らそうというのは、ものすごく無駄な努力をしなくてはならなくなりますので、本当に最低限から御提案いただいて、それに増やしていくという発想でやっていただくと、いろいろな意味で効率的だと思います。
○永井座長 数もある程度、最初に提示したほうがよいですね。
○山本(隆)構成員 例えば糖尿病学会が、ミニマムデータセットを作っていましたが、13項目です。もちろん研究のためには、もっとたくさん集められるのですけれども、13項目だと限定されていますので、大体そのようなところを目安にしていただいてスタートを切ると。それで本当に研究を進めていく上で、これが足りないということであれば、1つずつ追加していくという形で、データの質まで考えると、結構いろいろな病院でいろいろなことをしなくてはいけないと思うのです。ですから、最初から増やしてしまうと、ものすごく大きな努力を払わないといけないと思います。
○永井座長 ありがとうございました。時間もまいりましたので、本日はここまでとしたいと思いますが、お忙しい中いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございます。次回は、これまで頂いた御意見を踏まえまして、御議論いただいた脳梗塞、急性心筋梗塞、この辺の病名をどうするかということを含めて、6疾患の登録項目案を、まず事務局から提示していただいて、議論を行いたいと思います。以上ですが、事務局から連絡事項等お願いいたします。
○安井がん・疾病対策課長補佐 構成員の皆様、ありがとうございました。次回の検討会の日程ですが、決定し次第御案内申し上げます。なお、机上配布資料につきましては、お持ち帰りにならないように御注意願います。ペットボトルのお水は、どうぞお持ち帰りください。事務局からは以上です。
○永井座長 どうもありがとうございました。