第4回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会議事録

日時:平成31年3月26日(火)15:00~17:00
場所:厚生労働省 省議室
議題
(1)関係団体からのヒアリング⓷
(2)その他
議事
○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第4回「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」を開催したいと思います。
皆様におかれましては、お忙しい中、御参集をいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の懇談会ですが、海老原構成員、大澤構成員、岡崎構成員、酒向構成員、村上構成員、小林構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
なお、大澤構成員の御欠席に伴いまして、群馬県より堀越参考人に御出席をいただいております。
それでは、本日の配付資料につきまして、事務局より説明をお願いします。
○山下年金局年金課企画官 事務局より、皆様のお手元にお配りいたしました資料につきまして御案内いたします。
お手元に議事次第、座席表、構成員の皆様方の名簿、そして、本日ヒアリングにお越しいただきました皆様方の御所属とお名前の一覧表。
資料1~資料3、一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会から御提出いただいた資料。
資料4及び5としまして、全国コミュニティ・ユニオン連合会から御提出いただいた資料をそれぞれお配りしております。
あわせて、メーンテーブルに御着席の皆様におかれましては、資料5に関連する内容の資料としまして、左上に別表1と記載があります資料をお配りしております。これにつきましては、全国コミュニティ・ユニオン連合会さんに寄せられましたお一人一人の相談内容が記載されているものでございます。そうした関係上、座長とも相談させていただいた上で、この資料だけは非公表という形で皆様方にお配りしております。つきましては、取り扱いについては御注意のほどよろしくお願いいたします。
さらに、今回も参考といたしまして、資料2「働き方の多様化に伴う被用者保険制度の課題」ということで、今回の議論に伴います参考資料としてお配りをしておりますので、御確認ください。
何か足りないものがありましたら、お手を挙げていただければ事務局のほうで補充いたします。
事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 それでは、これより議事に入らせていただきます。撮影の方はここまでとしてください。
(報道関係者退室)
○遠藤座長 本日は、関係団体からのヒアリングの第3回目を行います。本日ヒアリングをお願いいたしましたのは、一般社団法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会、一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会、全国コミュニティ・ユニオン連合会、以上の3団体でございます。
それでは、各団体から御出席をいただいた皆様を御紹介いたします。
一般社団法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会より、田尻様と板垣様。
一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会より、伊東様、小城様、安達様。
全国コミュニティ・ユニオン連合会より関口様。
以上の皆様にお越しいただいております。
本日は、お忙しい中、ヒアリングに御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
これより、御出席いただいた皆様から、雇用や就労の実態、これまでの被用者保険の適用拡大の実施状況、今後の制度見直しに関する御意見や御要望といった内容につきまして、1団体につき20分程度お話しいただければと思います。その後、お話しいただいた内容につきまして、質疑応答の時間を1団体につき10分程度とりたいと考えております。限られた時間ではありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、一般社団法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会からのヒアリングを行いたいと思います。田尻様、板垣様、どうぞよろしくお願いいたします。
○板垣理事 ただいま座長より御紹介いただきました、私、一般社団法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会から参りました、理事の板垣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
今回、配付資料等々は当協議会から御提出はございません。現状について、口頭で委員の皆様にお伝えさせていただきたいと思っておりますので、御了承いただければと思っております。
まず、当協議会ございますが、設立しまして約17年経過しており、現在では全国で600社余りの中小の介護事業者の方々加盟していただいている団体でございます。私どもの協議会を含みます6団体の業界団体がございまして、その団体を通じて、日ごろから介護保険行政等々について現場の意見等々を進言させていただいている団体の一つでございます。
主に私どもの協議会に加盟しております事業者につきましては、訪問介護を中心としてやっておられる事業者がほとんどでございます。皆様方も御承知のとおり、介護業界におきましては、継続的な人材不足ということが現在も続いており、先般の介護労働安定センターから出ておりますデータを見ましても、4年連続介護人材が不足しているというデータも出ているのが現状でございます。
私ども協議会に加盟しております事業者においても、同等の状況が現在もあるということ。こういった背景を踏まえながら、今回の事項について私のほうからお伝えさせていただき、当協議会の田尻理事のほうから補足をさせていただきます。
まず、『短時間労働者の属性や就労の実態について現場の状態』をということでございます。
これにつきまして、先ほど申し上げましたとおり、当協議会の加盟事業者につきましては訪問介護の事業所が多数ある状況で、いまだに訪問介護の労働者につきましては、いわゆる登録型というヘルパー非常に多いというのが現状を占めております。言うなれば、1人のお年寄りのお宅に1回訪問して幾らという報酬を得て生活を成り立たせるということが登録型のヘルパーさんの形でございますが、これがまだまだ全国的に見ても非常に多いという現状でございます。
そういった中で、短時間労働の属性や就労の実態についてどうかということで申し上げますと、働き方の多様化というところについて、業界自体が一般産業の平均収入水準よりも低いということが今日まで言われている状況でございますが、どうしても社会保険に加入するということに対して抵抗がある職員が全国的に見られているのが現状でございます。
私どもの協議会の中において、これはある団体の代表の方から出た言葉の例ですが、極端なことを言いますと、保険料を支払わないためにどういう働き方をしたらいいのだろうかという声が出ているのも現状だということをこの場でお伝えさせていただきたいと思います。
一方で、きちんと保険料を支払って、自分の将来のためにということで、働く時間も拡大し、収入も多く得たいという職員もふえつつあるのが現状かと思いますが、まだまだ前者のような実態が業界では多くあるということで、先般の拡大によって、部分的にではあるのですが、一部、二極化が生まれたというのが私どもの協議会で認識している現状というふうに捉えております。
続きまして2つ目、『これまでの適用拡大によって新たに被保険者となった労働者の評価や働き方の変化等々についてどのように捉えているか』ということでございますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたとおり、二極化が進んでいるということと、二極化が進んだことによって、今まで比較的長い時間働いていた職員が短い時間に変わったというケースも実はございます。これは先に申し上げました、保険に加入する、しないというところが念頭にあっての話ですが、当然、介護の現場で申し上げますと、そこで働くべく職員の労働時間が短くなるということで労働力が不足するわけでございますので、これに伴って、マイナス面ということで申し上げるならば、そこに採用のコストがさらにかかるという現状、これは当然起きているということでございます。
通常の人材不足に一部拍車をかけるような形で採用コストがかかっているというところが現在見受けられるということでございます。
一方で、加入をすることによって、短時間の多様化する働き方というところにおいては、現場の勤務シフト等々を工夫する事業所も多数出てきております。例えば、私どもの業界で、病院でも多い、いわゆる2交代制で勤務をするという現場の状況がございます。言うなれば、日勤と夜勤という大きな区分けになるのですが、夜勤帯というのがおおむね夕方4時か5時ぐらいから出勤をいたしまして、翌朝9時ぐらいまでの勤務というのが、施設、病院でも非常に多い状況であったのですが、これに対して、事業所によっては3交代制を敷いて勤務体制をとってきているというところがございます。
例えば夜勤の時間について、今申し上げたとおり、1回の夜勤について2日間働くという労働状況になるのですが、これを昼間勤務することと同じように9時間拘束の実働8時間に切りかえることによって、働き手にとっては多様化に対応できる形になり、かつ、保険に加入というところについても一部促進ができたという会員の声も聞かれているという状況でございます。
3番目として、『改善すべき点とか政策課題等々について』でございます。こちらも先ほどの件とリンクしているところでございますが、私どもの業界のもう一つの課題としては、職員の安定率、継続した勤務状況について非常に不安定な業界でもございます。そういった意味では、事業所における職員の出入りが非常に激しい業界でもあるというのが、私どもの業界の一部見られる特徴かと思っております。
結果として、保険等々の手続に関する事務手続の負担等々が、特に中小の事業所においてはいろいろな業務を兼務しながらやっている事業所が全国に多数ございますので、そういったところの負担感が非常に多いという声も聞かれているというのが現状でございます。
こういった点をどのように改善をすべきかということについては、現段階で業界団体の意見としてはまとまっておりませんが、いかんせん事務負担が非常に多くなっているというところが一つ現状としてございます。
あと、これも業界特有でございますが、今年は特に流行しましたインフルエンザ等々の季節的要因で職員が急遽働けなくなるというような現状も起きやすいのが私どもの業界でございます。こういったところからも、さまざまなこの件に関する影響が季節的要因というところでも見受けられていることが実態として声が聞かれております。
最後でございますが、『適用事業所の範囲と枠組み等々についての意見』というところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、従来、拡大したというところにつきましては、シフトの効率化により保険料の負担の偏りを抑えてきたということで、工夫されている事業所も多々あるということでございます。
これは業界団体からの希望ということでございますけれども、やはり人の出入りが多い業界ということもありますので、できれば保険料率とか、あるいは税との制度の何らかの統一化、あるいは連動等工夫をしていただければ、中小の事業所としても非常にありがたいという声は聞かれております。
また、この範囲を拡大することによって、保険料率を下げて幅広く徴収するというところについては、業界団体としても非常に賛成という声が聞かれているというのが現状でございます。
駆け足でございましたが、私のほうから協議会への意見ということで、代表してお話をさせていただきました。
補足につきましては大丈夫ですか。
○田尻理事 大丈夫です。
○板垣理事 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお話に関しまして、御質問、御意見等があれば挙手をお願いしたいと思います。
それでは、山田構成員、お願いします。
○山田構成員 実情を教えていただきまして、ありがとうございました。
3点御質問させていただきたいのですけれども、1つ目は働いている方々は登録型が多いということですけれども、もうちょっと属性というか、年齢とか、ここまでわからないかもしれませんが、御主人との関係で短期的な仕事のほうがいいという方なのか、いわゆるフルで共働きをされているような感じなのか、その属性の話と、2つ目は、いわゆる就業調整をして加入をむしろ避ける方が多いということですが、その辺の理由がどういうところがあるのかというのを教えていただきたいということです。
3つ目は、離職率が高いというのが課題になっているということですけれども、さまざまな理由があるにしても、いわゆる戦力化して長く働いて、期間もそうですけれども、労働時間も長くして、むしろ積極的に社会保険に加入していただくような形にして定着を高めるという可能性はないのかどうか。その3点を教えていただきたいということです。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
○板垣理事 御質問ありがとうございます。
まず、御質問いただきました1点目の属性というところでございますが、本来であればデータをきちんとお示しすべきところを御用意ができなくて大変申しわけございませんでした。私どもの業界団体のみということでの御回答とさせていただきたいのですが、平均しますと、女性が圧倒的に多くございます。割合にしますと、8割から9割近くが女性でございます。
年齢につきましても、平均しますと50歳代が平均でございます。
家族構成等々で申し上げますと、結構ばらつきがあるのですが、シングルマザーの方も業界としては非常に多いというところが一つ特徴としては言えるのかなと思っております。1つ目の質問につきましては、以上でございます。
2つ目の社会保険の加入を拒否というか、したくないというところに関しては、自分の手取りというのでしょうか、ここの部分を、先ほど申し上げましたように登録型のヘルパーさんは特に気にされる傾向にあります。そこを調整しながら、自分はどういう生活をしたいのか。よく多様化を考えるときに、自分のしたい生活があってこういう働き方というのが本来のイメージというか、流れだと思うのですが、どうしても働き手の現状を申し上げますと、今ある現状からどうするかといった発想から、極端なことを言ってしまえば、先ほど申し上げましたとおり、加入しなくて済む方法は何だろうかといったような質問が出てきているということで、やはり手取り収入、この辺を一番気にすることによって拒否傾向があるのかなというのがございます。
3番目は、離職を防ぐ方法としてどういったことが考えられるだろうかという御質問だったかと思いますが、既に御質問いただいたとおり、私ども業界全体、長く職員さんに勤めていただきたいというのはどの事業所の経営者も望むところであります。もとより、日本全国で介護を必要とされている高齢者の方に介護が滞ること、これこそが社会問題だと思っておりますので、これを継続することが必要だと思っておりまして、私どもの業界団体に限ってでございますが、そういった職員さんたち向けの教育・研修・啓発、こういった活動を実は全国展開をさせていただいております。
介護業界のライセンス取得に関しては、比較をよくされます医療業界と比べますと、講習等々を受けてそのライセンスを比較的取りやすい業界でもございます。そういったところから、その立場になってからの教育が現在不足しているなということを我々業界団体としても感じておりまして、継続的な教育・研修を通じてより長く勤めていただける、戦力化をしていくということに取り組んでいるというのが現状でございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 最初にシングルマザーの方が多いというお答えだったのですけれども、シングルマザーの方というのは、老後の生活の安定ということを考えると、むしろ保険適用になって、年金がふえますから、そのほうが合理的なように思うのですけれども、なかなかその辺はそういうふうにはならないのでしょうか。あるいは、啓蒙というか、むしろそういうところを知っていただくほうが、教育・研修もそうなのですけれども、そのほうが結果として採用のコストも下がったり、あるいはしっかり働いてくれて、実はウィン・ウィンの関係になるというふうに、特にシングルマザーの方に対してそういうことをされれば、そうなるのではないかと思うのですけれども、その辺に関してはどういうお考えをお持ちでしょうか。
○遠藤座長 お願いいたします。
○板垣理事 まさに、今、お話しいただいたとおり、私どもの業界全体で保険に加入することのメリットの啓蒙というのがどこまでできているかというと、まだまだ足りないのではないか。一方で、経営者の立場からすると、そこを前面に押すことによってむしろ離れていくのではないかと思う経営者も中にはおります。そういったことから、選択肢を働き手に委ねる。それ自体は問題ないのですけれども、できるだけウィン・ウィンの関係ということであればもう少し押すべきなのですが、いかんせん業界全体が人員不足ということもあって、ちゅうちょする経営者や使用者がいるというのも現状かと思います。
私どもの業界の協議会でも、この辺の啓蒙活動は今後より一層図っていきたいと思っております。また、今、委員がおっしゃったとおり、将来こうなるのだということの啓蒙がまだまだ足りないのかなと。中には、将来よりも今なのだという働き手もありますけれども、その辺をどう折り合いをつけていくかというのが私どもの業界の課題かなと認識しております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 ありがとうございます。
先ほどの質問の中にありましたけれども、人の出入りが激しいというか、従業員が定着をしないという話がございました。一方でそれを何とかしたいという業界の意向も強いということであれば、業界としても長く働いてもらうためには何が必要かということの一つとして、社会保険の適用についてしっかりとやっていくのだということにつながっていくような話になるのではないかなと思うのですが、業界的にはなぜそうならないのでしょうか。
○遠藤座長 板垣理事、どうぞ。
○板垣理事 まさに、今、お話しいただいたとおり、私どもの業界全体で保険に加入することのメリットの啓蒙というのがどこまでできているかというと、まだまだ足りないのではないか。一方で、経営者の立場からすると、そこを前面に押すことによってむしろ離れていくのではないかと思う経営者も中にはおります。そういったことから、選択肢を働き手に委ねる。それ自体は問題ないのですけれども、できるだけウィン・ウィンの関係ということであればもう少し押すべきなのですが、いかんせん業界全体が人員不足ということもあって、躊躇する経営者や使用者がいるというのも現状かと思います。
私どもの業界の協議会でも、この辺の啓蒙活動は今後より一層図っていきたいと思っております。また、今、委員がおっしゃったとおり、将来こうなるのだということの啓蒙がまだまだ足りないのかなと。中には、将来よりも今なのだという働き手もありますけれども、その辺をどう折り合いをつけていくかというのが私どもの業界の課題かなと認識しております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 詳細な御説明、ありがとうございます。
もしかして答えにくい質問かもしれないのですけれども、今お話を伺っていて、経営者の方にも悩みがあると。事務手続の煩雑さとか、そこへかかるコストというのも非常に理解しますし、あと、人手不足なのだけれども、募集している要件と違う要件を出してしまったら、今何とか安定している、もしくは何とか持ちこたえているものが崩れるかもしれないおそれというふうに捉えさせていただいたのです。
それに対して、社会保険料を自分で払ってでも将来に備えていきたい、特にシングルマザーの方がふえている中でそういう方もふえている。でも、その方々も、今の手取りがどうなったら、みんなどうしているのだろうということもわからず、何となく足踏みをしているように感じたのです。
ちょっとタラレバっぽいのですけれども、例えば意識調査のような形で、それは特定の地域とかではなく、地域別でもいいのかもしれないですけれども、雇用者側の意識調査として、社会保険料を払いたいと思っていますか、イエス・オア・ノーとか、将来にもっと備えて働きたいと思っている人はどれだけいますかみたいなことが出てくると、経営者も、事務手続は煩雑かもしれないけれども、そこに向けて人手不足を何とかしていこう、雇用の安定をもっとしていこうという気になりそうか、感覚的なお答えになってしまうかもしれませんが、その辺はどう思われますか。
○遠藤座長 板垣理事、お願いいたします。
○板垣理事 出入りが激しいところに歯どめをかけるというところが私どもの業界の一つの重要なポイントだと思っておりまして、先ほども申し上げましたとおり、まだまだ啓蒙活動というところが全然足りていないというところが一つ言えると思っております。
加入することによって「こういう生活やこういう未来が待っている」というところが、業界としてもまだまだビジョン化ができていないというのが私どものこれから取り組むべき課題なのかなと認識しております。
離職が多いというところに関しては、先ほど申し上げました教育活動とか、事業所さんによってはキャリアアップ制度を積極的に導入し、将来的な自分の生活設計等々が描きやすいような体制をとっている。まさに今、委員がおっしゃったとおり、そのキャリアアップ制度と社会保険の加入ということを抱き合わせで進めていくことのほうが重要なのかなという話はしております。
以上でございます。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
それでは、原構成員、お願いいたします。
○原構成員 確認だけ。おわかりになればということですけれども、全国介護事業者協議会様ということで、こういった団体が6団体ほどあるということでお伺いしたと思うのですけれども、今、来ていただいている方は訪問介護を中心に登録制ということですが、例えば、施設中心の団体とか、介護の業態によっていろいろあると思うのですが、そういった介護の業界の中でのその他団体においての状況をわかる範囲で教えていただけたらと思います。同じような状況なのか、あるいは団体のグループによって違うのか、ということです。
恐らくマネージャー的な人がいて、プラスそういう短時間などの働き方、もちろん現場で働く人は交代制で働いていると思うのですけれども、それが短時間で働いているのかなどです。時間を絞って多様な働き方ということで先ほどおっしゃいましたけれども、時間を増やさずに働いている方の割合というのはほとんどなのか、そういった部分も、もしほかの団体様の状況、例えば介護施設とかの団体があると思うのですけれども、何か違いがあるのかとか、おわかりになる範囲でお伺いしたいと思っております。
多分、流動性が高い現状だと思うので、なるべく定着率を高めるということだと思うのですけれども、規模が大きいところと小さいところとあると思いますので、それによってどう違うかということも教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
○板垣理事 御質問ありがとうございます。
まず、業界の大きな区分けとして申し上げさせていただきますと、私どものこの協議会につきましては、先ほど申し上げました、訪問介護の事業所が多いのですけれども、大きく分けまして、施設系の団体、そして私どものような訪問系をやっております在宅介護系の団体という2つの区分けになるかと思います。
その中で、時間の増減というところでどういう状況になっているかということで、これも感覚的なことで申しわけないのですが、訪問介護の場合、在宅系の場合につきましては、先ほど申し上げましたように、非常勤や登録型が多いということに対して、いわゆる施設系の場合ですと、一ところで仕事が終わるということから、拘束型の労働環境というのが多い。イメージしやすいのが病院の形に近いというところから、そちらのほうが加入促進という意味ではしやすいのかなと思っております。
施設系の事業をされている事業者と、私どもの協議会の加盟している業界の事業者の規模感でいきますと、圧倒的に施設経営をやっております事業者の規模のほうが大きいというのが現状かと思っております。在宅系の事業者さんの場合は、先ほど申し上げましたように、中小の企業さんが非常に多い。こういった規模感の違いというのが業界ではございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
それでは、永井構成員、菅原構成員の順番でお願いします。
○永井構成員 ありがとうございました。
私の理解で恐縮ですが、訪問介護の業界の登録型というお話ですけれども、副業・兼業の話をされるときに、複数の事業者等々で働かれている方も一定数いらっしゃると聞いております。働き方改革のような流れもある中で、例えば登録型の方々を正規雇用のような形にし、社会保険の適用も含めた雇用に転換をしていくような動きが、今、訪問介護の業界ではあるのか、その辺りを教えていただけたらと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
○板垣理事 御質問ありがとうございます。
今、委員から御質問がありました訪問介護の業界では、兼務とか兼業・副業というところ、私どもの業界ではダブルワークと呼んでいるのですけれども、こういった状態というのはいろいろな事業者で起きているのが現状でございます。
その中で、正規雇用への誘導ということについては、実はどの加盟企業も行っているのが現状でございます。一方で、兼業している状況を見ますと、労基法云々というところもあるかもしれませんが、あるところでは昼間中心に働いて、お休みの前の日とか時間の余裕があるときには夜専門でお仕事をしている、こういう働き方をして一定の収入を得ている介護職員は非常に多いのです。この2つの収入を足すと、1つの事業所で正規雇用として働くよりも実は収入が多いというところで、そういう働き方を選んでいる介護職員もいるというのが現状でございます。
事業者の立場から申し上げますと、一人でも多くの正規雇用者を確保したいというのが本音でございます。長く働いて戦力として活躍していただきたい、職員をふやしたいというのはどの経営者も願っているところでございますが、一方でそういった事態が起きているということでございます。○遠藤座長 ありがとうございました。
お待たせしました。菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
今のお話にも少しかかわるかもしれませんけれども、人材の流動性が高く、離職も多い、出入りが激しい職だというお話がありましたけれども、出ていかれる方というのはいろいろな御事情で動いていかれると思うのですが、出ていかれる先、転職先の待遇というのは、もといたところに比べて何か変わるのかとか、あるいは労働時間に変化があるのか、あるいは同じ介護の中で事業所を転々とされているのか、全く違うところに行って別の待遇で働くのか。恐らく経済環境でいろいろな雇用の状況もあると思うのですけれども、そのあたりを少し教えていただけますでしょうか。
○遠藤座長 では、板垣理事、お願いいたします。
○板垣理事 ありがとうございます。
今、御質問いただきました、まず離職をしてどういう先へ行くかというところですが、同じ業界に転職するという方がほとんどでございます。その一方で、全く違う業界に行くという方も中にいらっしゃいます。
それがどういう傾向かといいますと、女性の労働者については同じ業界に行く傾向というのは高いのです。しかし、男性の方で、御家庭もあって、お子さんを育てながらというような環境にある方については、少しでも生活をということで違う業界に行かれるという方も実は見られております。割合的には正確なものはないのですが、私どもの協議会の会員の中では、傾向としてはその2つに分かれているかなということでございます。
では、行った先での給与がどうなのかというところでございますが、先に申し上げました同じ介護業界のところにつきまして申し上げますと、やはり高いところに転職をするという傾向がございます。先ほど、私どもの業界では主に在宅系の会員さんが多いということをお話ししましたが、今、ちまたで非常に建設が進んでおりますのが、サービス付き高齢者向け住宅と言われております、賃貸にお住まいになって介護の提供も受けられるというような施設というか、居住のあり方がございます。パイも大きいというのもあるのですけれども、そこへ転職する職員が非常に多いというふうにも一部の会員からは聞いております。
もう一つが、これは私どもも悩みどころではあるのですが、介護系の派遣会社に登録して、複数の派遣先で介護をするという働き方、こういった転職の仕方をする職員さんもふえてきているということでございます。派遣会社から私どもの事業所に来るとしましたら、当然、通常雇用よりも高い料金を払って、そこに来る職員も通常の直接雇用よりも高い賃金でそこに登録して報酬が得られるということで、今申し上げましたとおり、サービス付き高齢者向け住宅への転職や、派遣会社の登録というか、転職、そういった動きが顕著にあらわれてきている現状だということでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、藤井構成員、お願いいたします。
○藤井構成員 ちょっと答えにくい質問かもしれませんが、先ほど施設の団体との比較で少し規模に言及されたかと思うのですけれども、確かにごく一般論、それも一面的な一般論で言えば、従業員の社会保険を含めた処遇改善等々を図っていく上で、企業として一定の規模があったほうが、中長期的な従業員の処遇は考えやすいと思うのですね。そういう観点で見たときに、訪問介護の業界は今後、規模を拡大していく方向での再編等をどのようにお考えかお聞かせいただきたい。
○遠藤座長 では、板垣理事、お願いいたします。
○板垣理事 御質問ありがとうございます。
今、私どもの業界でも、介護保険制度にのっとった事業が中心ではございますが、このメニューも多様化しております。ちまたでもよくお話が出ておりますのが認知症高齢者の対応ということで、委員から御質問がありましたとおり、訪問介護のこれからという観点でいいますと、訪問介護だけで果たして認知症の方のこれから課題とされるところについて対応がどこまでできるかということについては、実は業界としても課題としておおいに認識している状況でございます。
そこで、専ら注目をされておりますのが小規模多機能型居宅介護事業所というものでございます。これは、登録者数がおおよそ29名の事業所になるのですけれども、通い、泊まり、訪問、この3つのサービスが1つの事業所で一体的に行えるというところで、今、訪問介護事業者さんやデイサービスをやっている事業者さんが、そちらの事業に転換する傾向というのが少しずつふえてきております。
要は、その地域を訪問だけではなく、御家族の負担を軽減するためにレスパイト的に泊まりを利用していただいたり、あるいは日ごろから顔なじみの介護職員にそこに通えば会えるというような顔なじみの関係づくりというところで、認知症の方の支援、要介護高齢者の方の支援というのを地域でしっかりやっていこうというふうに、少しずつ変わってきている傾向にございます。
私どもの業界の中では、この小規模多機能というのが在宅介護における最後のとりでではないかと言われておりますサービスの一つということでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
予定していた時間になりましたので、このヒアリングにつきましてはこれぐらいにさせていただければと思います。
これにて、一般社団法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会様からのヒアリングは終了したいと思います。
板垣様、田尻様、本日はお忙しい中、お時間をとっていただきましてまことにありがとうございました。
続きまして、一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会からのヒアリングを行います。伊東様、小城様、安達様、どうぞよろしくお願いいたします。
○伊東専務理事 本日はこのような説明の場を設けていただきまして、まことにありがとうございます。
早速、説明に入らせていただきます。私どもの資料は、資料1~資料3でございますが、まず資料1の3ページ、「第2 意見提出依頼をいただいた事項について」というところから始めさせていただきます。
生活衛生関係営業と申しますのは、理容、美容、クリーニング、飲食業など、国民生活に極めて密着した営業ということで、「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」という法律が昭和32年にできていまして、これに基づいて政令で今18業種が規定されております。また、この法律によりまして同業者の組合の設立が認められておりまして、現在、その下の点線で囲っておりますマル1からマル16の16業種の組合の設立が認められているということでございます。
この16の業種の組合が各都道府県にございまして、それを束ねる全国組織である連合会というのが、東京にそれぞれ16連合会が事務所を構えている。その16連合会の全体を調整するという立場にありますのが私どもの組合中央会というような組織になっております。組合員の方たちからいろいろ意見等があれば、それを吸い上げて中央でまとめる。また、逆に最新の情報であるとか、感染症が発生したということになれば、霞が関からの情報をそういうネットワークを通じて組合員のお店にお届けをするというような機能がございます。
生活衛生業につきましては、国内の全事業所は560万ほどでございますが、その2割、124万事業所ほどでございますけれども、中小企業、小規模の事業所が多いということで、個人事業者が64%を占めておりますし、その個人事業者のうちの92%が従業員4人以下の事業所ということでございます。
そのような私どもの業種につきまして、社会保険制度の見直しに関して厚生労働省様から御質問をいただきましたので、16業種の生活衛生の同業組合の実情、意見、要望につきまして取りまとめて、次のとおりお答えをさせていただきたいと思います。
<質問1>でございますけれども、労働市場が全体として需給が逼迫していますということで、私どもの業界における最近の人材確保の状況について、実態をお聞かせくださいという御質問でございます。
この人材の確保につきまして、何かいいデータなり、あらわす客観的なものはないかということで探しておりましたが、株式会社日本政策金融公庫、ここはまさに私ども業界が融資を受けて店舗をつくったり、改修したりという、融資を受けている金融公庫でございますが、こちらの日本政策金融公庫のアンケート調査、昨年10月から12月期に実施しているものでございますけれども、その中の「雇用動向」というところで、(1)従業者の確保をめぐる環境、回答数は3,061でございます。この中を見ますと、一番比率が高いのは、マル2の変わらないというのが62.7%でございます。次に、人材確保をしにくくなったというのが36.7%でございます。
4ページに移りますが、(2)従業者の確保がしにくくなった理由、これは複数回答でございますけれども、1,115の回答でございますが、一番多いのが、新規に募集しても応募がない、少ないというのが81.8%、次がマル4の新規募集の際に求められる待遇面、給与であるとか休暇等、処遇についての水準が高いので、営業者としてはなかなか採用できないということかと思います。その次に高いのがマル1でございますが、新規雇用した者が定着しないでやめてしまう。マル3でございますが、応募はあるものの、意欲・能力面で問題があって、いい人材が少ないということが挙げられております。
(3)従業者の過不足感、3,061の方がお答えになっていますが、一番比率の多いのは、適正だ、大体足りているよというのが56.7%です。マル2、やや不足というのが24.4%、不足だというのは15.4%でございますので、やや不足ということで、不足は傾向としては言えるのだと思いますが、適正だ、こんなものでしょうと思っている事業者の方も多いということがわかります。
これらの調査結果が示しますように、人材確保が難しくなっているという状況はあるにしても、募集しても応募がない、応募があっても処遇面での折り合いがつかないという実情になっております。
また、上記の調査以外にも次のような話がありまして、東京都内の観光スポット、具体的に挙げれば、ああという感じのところでございますけれども、そこの人気のおそば屋さんが、実は1階と2階に店舗があって、従業員がいないので2階を閉めている。ここで1,500円のアルバイトを募集しても、なかなか応募が来ない。ところが、隣駅の駅前、これは駅前再開発をしているそうですが、そこの駅前のカフェでは時給900円でアルバイトの希望が殺到するというような雇用動向の変化というか、複雑さ、なかなか難しいということが見てとれるかと思います。
「2.外国人労働力の受入れ」でございます。この4月から外国人の受け入れの新制度が始まるわけでございます。生活衛生業界としても、特に人材不足の業種につきましては大変期待をしておりますけれども、小規模事業者にとりましては、日本人と同様の賃金・処遇が必要である、同一労働同一賃金の考え方でございますけれども、また何か不都合が起きた場合には事業者側が責任をとって母国に送り返さなければいけないとか、定期的にどういうことになっているかというのを管理しなければいけないということもございまして、この制度に一律に対応するのは難しい。特に、私どもは16業種ございますので、それぞれの業種の特性や事情によっても、望む、望まないというものがあるということでございます。そもそもこの制度は複雑でございますので、事業者の方々が今のところまだ十分に把握していない、承知していないという状況にございます。
次に5ページ、<質問2>でございます。被用者保険の適用事業所となった場合、一般的に従業員は社会保険の負担・給付面でメリットを受けることになりますが、そうした変化が従業員の生活の安定及び事業主の人材確保に与える影響について御意見をいただきたいということでございます。
厚生年金保険、健康保険の適用を受けるということになれば、従業員は将来受ける年金がふえ、保険料は事業主との折半となることから、国民年金などと比較しますと、恐らく少ない金額、少ない負担ということで従業員にはメリットがあるのだろうと考えております。このため、法定福利への加入は従業員の生活の安定につながりますので、人材確保にもよい影響があると考えております。
この関係で、同じく日本政策金融公庫の調査でございますけれども、従業員の定着化に向けた取り組みで効果のあったものでございます。これは複数回答でございますけれども、一番が賃金を上げる、2番が勤務時間とか休日の関係です。その次は、マル12でございますけれども、職場内のコミュニケーションの活性化ということが挙げられておりまして、マル8の福利厚生の充実というところはそれほど高い比率ではないということでございます。いずれにしましても、高い賃金をもらって楽をしたいということかなと見てとれます。
次に6ページ、<質問3>でございます。現行制度では、法定された16の業種に該当する場合には、個人事業所であっても従業員を5人以上雇用していれば被用者保険の適用事業所となっています。そこで、ほかの業種の事業所と比較した場合に、私どもの加盟業種における従業員5人以上の個人事業主に被用者保険を適用することについて、どのような問題や課題があるかについてお答えくださいということでございます。
この件につきましては、資料2で御説明いたしますが、ほかの業種の事業所との比較につきまして、私どもも他の業種の実態を十分に把握しておりませんので、なかなか比較することは困難ということでございます。
法定16業種の「常時5人以上を使用している事業所」の個人事業主の中には、非適用の業種(任意包括適用)に対して不公平感を持つ方がいらっしゃるであろうということは私どもも想像しておりますし、任意包括適用の従業員の中には法定福利の適用を望む方がいらっしゃるということでもあると思います。これは事実、そういう方がいるということと承知しております。
一方、適用事業者の中には、事業主負担が経営上の負担となって、適用除外となることを検討している者がいるということも事実でございます。実際に従業員を削って、それで適用除外になっているという事例もあるというのが実態でございます。
<質問3>につきましては、資料2をお開きいただきたいと思います。1ページでございますけれども、まず、生活衛生営業の個人事業主の状況について御説明いたします。平成28年の経済センサスの活動調査(総務省)でございますが、生活衛生業の全体は総事業所数で約124万施設となっております。このうち、個人事業主、常時5人以上雇用という事業所は6万5000余りの施設ということで、生活衛生業の全体の5.3%ほどがこの個人事業主ということでございます。
その中でも特に高い比率を示しておりますのは、麺類業の8.3%、次いで社交飲食業、夜の世界でございます。中華、料理。料理というのは料亭などでございます。それから、一般飲食でございますが、6.8%ということでございます。
次に2ページでございますけれども、厚生年金の適用となった場合の事業主負担を試算しております。厚生年金以外にも健康保険、介護保険、子ども子育て拠出金というものが必要になってまいるわけでございます。
まず、給与本俸でございますが、最低賃金の全国加重平均は、平成30年10月改定でございますが、874円でございます。これを8時間で20日勤務ということにいたしますと13万9840円ということで、これは標準報酬月額の11級、厚生年金は8級に該当します。14万2000円ということでございます。この14万2000円をもとにして試算いたしますと、健康保険料が7,029円、介護保険が1,229円、子ども子育てで412円、厚生年金保険が1万2993円、合計で2万1663円毎月必要になるということで、これが12カ月分となりますと、1人当たり25万9,956円になるわけでございます。ここで5人の常時雇用がいると仮定した場合には、5人分でございますので、年間で129万9,780円の負担増ということでございます。約130万円の負担増になるということでございます。
次に、3ページ、それでは生活衛生業の個人事業主の営業利益がどの程度かということでございます。これは厚生労働省様のほうで生活衛生関係営業の経営実態調査というのを実施しておりますけれども、この調査によりますと、個人事業主の営業利益は年平均で290万8000円ということになっております。下の表を見てもおわかりのとおり、従業者が少なくなれば収入も減っているということでございます。
次に、4ページ、このような状況を踏まえつつ、生活衛生業の個人事業主が適用拡大になった場合の課題でございます。1つは社会保険料の負担ということでございまして、マル2でございますけれども、従業員5人が社会保険に加入した場合には、事業主負担は年間で約130万円、一方で個人事業主の平均の営業利益は約291万円でございまして、個人事業主の場合には290万と130万でございますので、年収の約45%の事業主負担が新たに生じてくるということでございますので、これは経営の悪化も懸念されるぐらいの影響があるということでございます。
また、2番ですけれども、保険加入による保険事務の負担が生じます。生活衛生業は、御承知のように、理容、美容であるとか、飲食もそうですが、調髪技術であるとか調理の技術、この技術とサービスを提供する、その対価を得る営業であるわけでございまして、個人事業主も自ら店頭に立ってこの技術によって仕事をしているということが小規模のお店では多いわけでございますので、早朝の仕入れ、開店から閉店までの営業、そしてお店が終わった後、経営の管理事務なんかも実際行っているわけでございまして、ここに社会保険の適用拡大ということになりますと、その管理事務もなかなか大変で、新しい制度を覚えながら、どうやってこの金額は算定したらいいのだろうかということをやっていかなければいけないということでございます。
次に、5ページ、拡大した場合の懸念でございます。1番でございますが、雇用調整による懸念。マル1でございますが、個人事業主に社会保険の適用を拡大した場合の対応としては、常時雇用者を4人以下として適用から外れようという雇用調整が横行する可能性があるということでございます。アンケート調査で少し聞いてみたら、頭数を減らして適用除外になろうという答えが一番多かったのでございまして、実際にこれは起こるということだと思っております。
また、雇用調整によって次のような影響が出てくるのではないか。1つは、衛生水準の低下ということでございますけれども、99%が中小企業という中でも、厚生労働省の所管になっている私ども生活衛生業というのは、衛生水準の維持・向上、感染症を起こさない、食中毒を起こさないというような衛生面に着目しているので、厚生労働省所管の営業ということで、16が適用になっているわけでございます。そこがこのような状況になって人手不足になると、衛生面がおろそかになる可能性が十分ございます。そういう意味では、適正な人員が配置されないと衛生管理がおろそかになることが心配であるということが1つ。
2)でございますが、事業主、家族の健康被害。これは、雇用調整によって従業員が少なくなると、その分の仕事はどうするのかということですが、そこは事業主とか家族従業員が長時間労働によって補うということになりかねない。実際にこういうお店もあるということです。さきの東日本の震災におきましては、従業員の確保が困難となって、お店の営業を維持するために長時間の労働を余儀なくされて健康被害を受けたということが実際にあったわけでございまして、このようなことになってはいけないということでございます。
営業時間の短縮・廃業ということでございますけれども、雇用調整によって人手が不足するということで、営業時間を短縮して対応しようというところも出てくると思われますが、そうしますと収益は当然減少するということでございますので、これで適用が強制されますと事業主負担が払えないということで、雇用調整廃業になるのではないかという心配もあるということでございます。
次に6ページでございますが、従業員の給与への影響でございます。適用拡大によって事業主負担をどうやって賄うかというときに、従業員の給与を抑制することも十分考えられるということでございます。給与そのものを下げなくても、昇給が見送られるとか、このことはやはり働く方にとっては不利益になっていく可能性があるということでございます。
さらには、年金未加入の方たちが、国民年金に加入するということでございますけれども、年金の加入期間が受給資格要件を満たさないような労働者の方について言えば、適用拡大になって厚生年金に加入したとしても、実際には年金を受けられないという事態になるケースも考えられるというか、恐らくこれは起こる状況でございます。
それから、生産性への影響でございます。常時雇用5人以上で強制適用以外の業種につきましては、生活衛生営業を含めて限られた業種ということで、農業、漁業など、どちらかというと人件費の比率が高い業種で、いわゆる生産性が低いと言われる業種であろうかと考えております。社会保険適用拡大によりまして、事業主負担を含む人件費の比率がますます拡大するということにとなりますと、生産性にもやはり大きな影響を及ぼすということでございます。
実は、私ども生活衛生業は、厚生労働省の労働の統計によりまして、特に宿泊業、飲食業につきましては最低賃金を満たしていない比率が高いということで、総理官邸からも、生活衛生業、サービス業の収益力を上げ、生産性を向上しないといけないということで、補助金などもいただいて、今、徹底的にてこ入れをしているという状況でございます。そのために、30年度も全国200カ所で収益力向上のためのセミナーを開いたり、いろいろな手だてをして、収益力・生産性の向上、そして働き方改革に今、全業種で取り組んでいる状況でございまして、社会保険適用拡大の促進は現時点ではなかなか難しいのではないかというのが業界の意見でございます。
最後の7ページ、マル1でございます。お手元に資料3ということでパンフレットをおつけしているのですけれども、宿泊、飲食業を中心にして深刻な人手不足、また最低賃金の確保がなかなか思うようにいっていないということで、このパンフレットのように「賃金引上げ・社会保険加入」についてということで啓発を図っております。これはまさに社会保険加入を検討しませんかという表面、そして中を開いていただいても、社会保険加入は将来の安心感につながりますとか、賃金見直し・社会保険加入で人材難を解消するのですよというようなこととか、社会保険の加入についてこのような形でお知らせをしているということでございまして、業界としては社会保険の加入は勧めるべきであるというのは、総論的には皆さん了解をしているわけでございます。個人事業主であっても、社会保険制度のメリット、福利厚生の向上という観点から、労使で合意の上で加入している事業所も少なくございません。
マル3でございますけれども、これは余り承知されていないかもしれませんけれども、国家資格でございますが、美容師の資格を持った方を従業員に採用しようとしても、美容師の養成学校、美容学校は社会保険の適用事業所以外には生徒を紹介しないというようなことが今起こっております。このために、特に16業種の中でも美容業界におきましては社会保険適用を義務化すべきではないかというような意見も上がっているということでございます。特に東京都であるとか大都市では美容師が足りないということで、外国人労働をどうしようかということもあります。地方に行くとまた状況が変わるということでもあるので、なかなか一朝一夕にはいかないということかと思います。
マル4、マル5でございますが、しかしながら適用拡大によって事業主の保険料負担がふえるということは、多くの小規模の生活衛生の営業者は、その経営実態から見ますとなかなか非現実的な負担と言わざるを得ないというのが業界の認識でございます。
年金制度は将来のための制度でございまして、適用拡大による経費負担によって社会保険廃業とか社会保険破産などが零細な個人事業者に起こらないように、現在の生活が脅かされないように検討が進むことを祈っております。
そこで、資料1にまた戻っていただくのですが、表紙を開いていただきまして、資料1の1ページ、2ページ、特に2ページの出だしのところに、マル1、マル2、マル3と書いておりますけれども、ここが業界の結論ということで、各業界に見ていただきまして御了解をいただいたものでございます。
このたびの検討につきまして、私どもの基本的な考え方は、マル1でございますが、福利厚生を充実して従業員の満足度を向上するとともに、新規従業員を確保していく観点から、特に法定の福利制度(厚生年金、健康保険等)への対応、受け入れが必要であるというふうに認識しております。
マル2でございますが、一方、事業主負担を賄うことが困難な状況にある事業者に強制的に適用するということは現時点ではできない。
マル3でございますが、現在、生活衛生業の収益力、生産性の向上、働き方改革を進めるために、先ほど申し上げたように、総理官邸、厚労省さんからも御指導、補助金・助成金等をいただいておりまして、業界の体力向上を全業種一丸となって今取り組んでいる最中でございますので、事業主負担に対応できない事業者の経営改善を支援して、法定福利の適用を進めていくということを前向きに取り組んでいくというのが私ども業界の考え方でございます。
このため、生活衛生業に対する厚生年金、健康保険制度の適用につきましては、現行制度を維持しつつ、各業界の特性に応じた対応が可能な仕組みとしていただくよう、強く求めたいということでございます。また、個人事業主の包括適用につきましては、引き続き事業主負担が可能な事業者に対して加入を勧めていくことを促進していこうということでございます。
簡単に言いますと、社会保険適用を拡大するというのは総論としてはやるべきだということでございますけれども、先ほど申し上げたように、なかなか事業主負担が払えない、払うとお店が潰れてしまいますよというお店があるのも現実でございますので、包括で適用してもしなくてもいいという今の制度で進めていただきまして、そして生産力・収益力が向上して事業主負担を払えるお店がどんどん加入していく、そういうことで私ども業界は進めていきたいということで各業界の御了解を得て、きょうここで説明をさせていただいております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお話に関して質問をお願いいたします。
榎本構成員、どうぞ。
○榎本構成員 ありがとうございます。
データを用いて非常に詳細でわかりやすい説明をいただきまして、ありがとうございました。その中で、特に事業主の方、あるいは家族従業員の方が必死に頑張られている実情も改めて思い知らされました。ありがとうございました。
一方で、資料1で、公庫さんのアンケートだと思うのですけれども、人手不足の話が出ておりまして、従業員の過不足感のところで、適正であるという答えがかなり多くを占めているという回答が出てきたのですけれども、業種によって特徴があればご教示いただければと思います。資料2で、宿泊業や飲食業を中心に深刻な人手不足があるという記述もあるのですけれども、専務がお感じになっている部分で結構でございますのでお願いいたします。
○遠藤座長 お願いいたします。
○伊東専務理事 まず、このアンケート調査でございますけれども、これは法人も入っております。個人事業者も入っております。3,000の回答でございますが、個人が2,000、法人が1,000ということになっておりますので、個人と法人ではやはり見方が多少違うというものがこの答えに反映されている可能性はあるかと思っております。
人員不足というのは、最近広く言われておりますが、やはり宿泊業、飲食業を中心に人手不足であるということになっております。
それから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、理容、美容業界につきましては、外国人の受け入れは余り積極的に進めないということをお考えになっております。飲食業というのは、私どもこの業界でいきますと、すしから、麺から、中華、社交業とか、そういうものを全部含んで人手不足になっている。
それから、今回の検討には載っていないのですが、食肉であるとか、食鳥肉、鶏肉、この辺のところも、実は処理をするお店の裏側には、外国人の方が入らないととても間に合わないという状況になっているということもお聞きしております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、山田構成員。
○山田構成員 事情は大変よくわかりました。厳しいところも理解しました。
それで、業界さんの事業主の方の年齢は、かなり高齢化が進んでいるのか、そのあたりの状況ですね。
あと、ここ最近の事業者さんの推移、どういうふうに変化されているのか。新しいところが結構入ってきているのかというところを教えていただきたい。
もう一点、生産性向上に対して政府の補助、協力も得ながらいろいろ取り組まれているということですが、もうちょっと具体的に、大きなところでどういうふうなことをされているのかというのを教えていただきたい。
その2点をお願いします。
○遠藤座長 伊東理事、お願いいたします。
○伊東専務理事 年齢につきましては、恐らくデータはあったと思いますが、今はお持ちしていません。ただ、御承知のとおり、高齢化が進んでいるというのは間違いございません。これは私ども業界で、理事会であるとか、いろいろなところで議論になりますけれども、最初に出てくるのはやはり高齢化と後継者不足、これがこの業界がこれからどうしていくかという一番大きな問題になっているということでございます。
同じように、私どもの組合に加入するしないのところも、私どもの組合だけではなくて、ほかのいろいろな組合もそうだと思いますけれども、なかなか若者は加入しないという状況でございますので、組合員数は徐々に少なくなっているという状況にございます。
私どもの組合というのは、先ほど申し上げていますように、衛生水準の維持・向上ということで、本来であれば各都道府県の保健所さんとか、そういう公のところが指導に入るところを、当然ながら公務員の人員削減なんかもありますから十分に回れないというところを業界側で指導してやるということで、非常に有効な組織であると我々は思っているわけでございます。
組合の中でも青年部などを立ち上げて元気を出している業界もございまして、県によっては青年たちがすごく頑張っているというところはいろいろな意味で伸びているということでございますので、まさに私どもの組合の上部組織がそういうものをもっと活性化させて、組合が元気になり、営業収益も上がっていくようにしなければいけないと考えているわけでございます。
また、収益を向上させるための施策でございますけれども、これは今、農水省とか経産省なども盛んにやっておられますけれども、いろいろなセミナーということはもちろんでございますけれども、これは新年度も予算をいただいておりますので、全国の何百カ所かでセミナーを実施しようとしております。
昨年も実施しましたが、後半になってどんどん組合の人たちが我も我もとかなり参加してそういうセミナーをやっている。これは補助金事業でできるものですから、ふだん聞けない講師のお話を聞くということで、組合もかなり前向きに参加してきているということもございます。
それから、新年度はIT関係、ICTの関係も、小さなお店の方たちがさわって使えるようになるための機器の展示も含めて、セミナーとあわせて実施をするということ。それから、セミナーには必ず地元の労働部局、もしくは労働部局から委託されているアドバイザーの方たちにも講師になって来ていただいて、最低賃金の制度の説明などを全国各地で実施しているという状況でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに。
それでは、平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 最初にお聞きしたいことがあります。聞き間違えたかもしれないのですが、最低賃金を満たしていないところがあると聞こえたのですが、本当にそうなのでしょうか。
次に質問ですが、法人の事業所も結構あって、法人の事業所からすれば、社会保険の適用になっていないところとのイコールフッティングという観点から、法人の事業所から見て、個人事業所の社会保険に関してどういうふうに見ているのか、わかれば教えていただきたい。
あと、資料2のほうですが、適用されれば雇用調整が進むのではないかと書いていますけれども、一方で人手不足で人員確保が大変だと言っている中、雇用調整は本当に進むのかどうなのか、それを教えてほしい。
健康被害のところも、従事者がゼロ人のところもありますので、逆にその辺の健康被害とか衛生面の確保はどうなっているのかというところはどうなのでしょうか。
働く人の立場から見ると、働く人の将来の雇用の条件もそうなのですけれども、年金の確保ということに関して団体として事業所が配慮すべきであるのか、その辺は事業所の維持のほうが大切だということか、どっちが大切なのかということをお聞きしたいと思います。
美容師養成校が社会保険適用事業所以外に生徒を紹介しないということは、養成校にしてみれば、自分たちが育てた生徒に将来的に不利益がないようにしたいという気持ちでそういうふうになっていると思うのですけれども、事業者団体としてはその辺はどう考えているかということをお聞きしたいと思います。
○遠藤座長 幾つかありましたけれども、伊東理事、お願いいたします。
○伊東専務理事 まず、最低賃金のことでございますが、もちろん最低賃金を満たしていなければ法律違反ということでございます。しかしながら、ギリギリという現実があるということでございます。これ以上はお話しできませんけれども、実態としてはそこに追いつくのが大変ということが現実かと思います。
法人の事業者の方がどう見ているかというのは、法人は厚生年金加入で、個人事業者は事業主負担を払わなくていいという観点からということでございますね。そこは、法人の事業者が、個人事業主は負担を払わなくていいなと思われているかどうかはわかりませんけれども、先日、アンケートをとりましたら、法人も、厚生年金を適用したのだけれど、事業主負担を払うのが大変だとか、営業収益に影響があるということで、人員を削って適用除外になって、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、そういうのもあるということでございます。 組合の幹部役員の皆様はそれなりにしっかりしたお店でございますので、そういう場所では、当然ながら役員の方は事業主負担を払っているお店の方たちなので、本当に困っている人たちの話が出てこないというのはあるのですけれども、実際には困っている方たちが多々いるわけでございますから、私ども組織としては、不公平かどうかは別にしても、困る人たちを助けなければいけないという観点では考えていかなければいけないと思っております。
雇用調整の話は、先ほどのアンケートを急遽実施しましたけれども、やはり事業主負担を払うのは大変なのだと。そうなると、人数を削って適用除外になるようにしようというのは、アンケートでは強制適用になった場合にどうしますかというような問いにしたところ、そういう答えが一番返ってきたのです。そのことによって収益が減ることになるのかもしれませんけれども、とりあえずは事業主負担を払うのは大変ですよというのはほとんどの方が思っているということは間違いないと思います。
それから、健康被害の関係でございますけれども、当然ながら、衛生水準を守るために人手が要るということは確かでございます。例えば、掃除をしてくれていた人がいなくなったら掃除が余りできなくなったことによって、廃棄物の処理がうまくいっていないとか、そんなことが食中毒につながるということになってはいけないわけでございますので、そこは組合からも、そんなことにならないようにしなければいけないのだよという指導を常日ごろやっているわけであります。
そういうこともあって、店が傾くような制度改正を急激に行うのはいかがなものか、やはり弱い人たちを見ている組合の人たちもそういうことを考えているということでございます。
従業員の皆様から見てどう思うかというのは、社会保険が充実するというのはいいことだと思っている方はいらっしゃると思います。アンケートで事業主側に聞いてみると、必ずしも事業主はそう思っていなくて、そもそも従業員が望んでいないのだという答えが実は一番多いのですね。つまり、厚生年金とかに入らなくてもいいのですよという方が結構多い。
それは、このヒアリングでも以前にお話が出ていたかと思いますが、働く時間とか、ちょうど自分の生活に合わせて、ここのお店でこのくらいの時間働いて、このぐらいのお金がもらえればいいのですよというような方たちもいるということかなと思われますけれども、私ども業界全体の総論としては、社会保険をしっかりと安定させていく、将来にはちゃんとした年金をもらえるようにしていくというのは我々の当然ながら進めていかなければいけない義務だと思っております。
ただ、急激に変えられると、そのことによってお店が傾くという方たちがいるのは事実でございますので、どちらでも適用できる今の制度を進めていただきまして、そして元気のない方たちに元気を出してもらうという施策を今進めているということを私どもとしては主張したいということでございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
恐らくまだ御意見があるかと思いますけれども、予定していた時間になりましたので、これにて一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会からのヒアリングを終了したいと思います。
ちょっと手短に、平川構成員。
○平川構成員 最低賃金に関して今の発言があったので、厚労省としても受けとめて、どうすればいいかというのを少し考えていただきたいと思います。
○遠藤座長 事務局からコメントは求めますか。
○平川構成員 はい。
○遠藤座長 では、何かあればお願いいたします。
○山下年金局年金課企画官 団体の所管というわけではありませんけれども、最低賃金を満たすということは大切なことですし、満たさないと法律違反になりますので、しっかりとそういったところは改善をしてもらうようにお願いしたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
伊東様、小城様、安達様、本日はお忙しい中、お時間をとっていただきましてまことにありがとうございました。
続きまして、全国コミュニティ・ユニオン連合会からのヒアリングを行いたいと思います。
関口様、どうぞよろしくお願いいたします。
○関口事務局長 御紹介いただきました全国ユニオンの関口といいます。本日はこのような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
全国ユニオンというのは、これまで幾つか既に労働組合のヒアリングがあったと思いますけれども、その中でもちょっと変わった形式の個人加盟の労働組合の連合体になります。
個人加盟の労働組合は全国に数百あると言われておりますが、その中で12団体、1つはワーカーズコープなども私ども加入しておりますけれども、そういう中で個人加盟の労働組合を中心にして組織をした連合体ということになっております。
個人加盟の労働組合の特徴でもあるのですけれども、日常的な労働相談を軸にして、そこからさまざまな仲間づくり、組合をつくったり、個別の案件について、それぞれのユニオンに加入していただいて、そこで問題の解決を図っていくというようなスタイル、大まかに言うとそういうことになります。
そういう窓口が開かれた状態の組織なので、業種とか業態、規模というのは千差万別で、加入している状況というのも個人差があります。数千人の企業のところで一人だけ加入しているという組合員もいますし、百数十人程度のところでも管理職以外の方は全員組合に加入しているという企業もあります。特に東海地区のほうでは、外国人の方も多く加入している状況になっています。
相談の窓口を設置して、その中でいろいろ対応していくということなので、それを基軸にしてやっているので、非正規で働いていた方が多く加入していたり、中小企業の方が多く加入しているという傾向がある、一般的にそういう状況になっていると思っていただければいいと思います。
その中で、全国ユニオン総体としての相談の集計はできていないのですけれども、きょう別紙で委員限りとして配付させていただいたのは、加盟している東京ユニオンの相談の3年ほどの間に寄せられた社会保険に関する相談ということで御提供させていただきました。
1番目の短時間労働者の属性や就労の実態について現場の実態をということですけれども、これはその相談の別表1、2を見ていただくとよりわかりやすいのではないかと思います。こちらの資料4のほうでも書かせていただきましたが、外国人とか高齢者の方に加えて、最近では精神障害等でお休みをして退職し、その後、再就職をするというと、なかなか正規で働けないということで、非正規で、病気を抱えたまま、一定の障害を抱えたまま短時間で働くという方も非常に多くなっているという印象を持っていて、より多様化しているのではないかと思います。
日々の相談の中で、加入要件を満たしているという状況にもかかわらず加入していないというようなケースは、いまだにかなりたくさん寄せられております。こちらの資料4に1、2、3、4ということで挙げさせていただきましたが、同じ派遣先で就労を継続しているのですが、2カ月ぐらいごとに派遣の方が来て契約書にサインをさせる。それは何のサインかというと、派遣会社が変わるサインということですね。その都度派遣会社が変わっていくということで、社会保険の適用を免れるというような状況をつくり出すというケースです。これは外国人だったので、日本語で書かれた契約書だけを持ってきて、これにサインしてくれというふうに言われれば、本人たちもそれにサインをしなければもう働けなくなってしまうのではないかと思えば、サインせざるを得ない状況になります。そういう状況の中でサインをして、社会保険の適用を免れるということになっていたということもありました。
あと、分社化をして、500人未満の会社として設立をし直すということで、社会保険の適用を免れていたというケースもあります。先ほど、従業員の減ということもお話がありましたけれども、減少ということではなくて、会社を分けることで社会保険の適用を免れるということも相談の中ではありました。
先ほど来、従業員の方の希望ということでお話もありました。確かに希望ということでいうと、やはり手取り、目先のことというのは、働いている方もそれは関心のあることなので、そこで判断をするという傾向はなきにしもあらずで、事例3の製造業の外国人の方もまさにそういうケースだったのです。本来であれば加入させなければいけないケースであるにもかかわらず、加入しないほうが手取りがふえるよということも言い含めて、加入を希望しないのだということに署名押印をさせて、未加入であるということを指摘すると、本人が希望していないから加入させなかったのだということを抗弁するような経営者の方も中にはいらっしゃったということです。
あと、産休に入る直前に、産前休暇の給付を受けようと思って手続を進めようとして、そういう話をしたところ、社会保険に未加入だったということがわかって、遡及加入をということになったのですけれども、2年分の遡及加入を求められて、本人の負担分もそれなりの金額になるので出産手当金の受給が滞ってしまっているという状況です。
相談の事例の中でも、障害等級が2級になって障害年金の受給ということで奥さんからの相談で、統合失調症で働けないという方なのですけれども、この方などはやはり社会保険に加入していなかったということですから、当然、障害年金の受給額にも大きく影響するというような状況になっている。実際に脱法的、違法的な形で未加入状態をつくり上げられていたために、さまざまな不利益をこうむっている方々が現実にいるというようなことをまず認識をしていただきたいと思っているところです。
その中で、新たに被保険者になった労働の評価や働き方と、現在設定されている要件によって生じている問題点、改善点というところ、こちらは2つをある程度まとめてお話をさせていただきます。
やはり制度そのものがいまだに、特に年金制度ですけれども、世帯として設定されてしまっているということが現状の国民市民生活に合ってきていないのではないかなという印象を持ちます。ライフスタイルが多様化していますから、世帯を条件にして設定している今の年金制度については、やはり無理が来ているのではないかなという印象を持っていて、これはやはり世帯から個人へという、個人という単位に切りかえていくということを、スピード感はいろいろあると思いますけれども、国としてそういう方向性なんだということを示していただくことが必要なのではないかなと思っているところです。
ただ、その際に、これはそういう意味で言うと理解が足りていないということもあるのですけれども、とりわけ年金制度に対する不信感がいまだにすごく根強い状況にあります。相談の事例の中でもありますけれども、払っていても結局もらえないのではないかということを考えている人たちは非常に多いという印象を持っています。そうではないのだということと、必ず年金というのは将来はね返って自分のところでもらえるのだということとあわせて、社会保障の考え方、相互扶助、みんなで助け合いながら、それぞれ応分の負担をして老後の生活なりを支えていくという基本的な考え方をもっと周知をしてもいいのではないかと思っています。
そういうところも踏まえて、何でそういう年金に対する不信感みたいなものが出ているのかなということですけれども、いろいろ考えてみますと、自分たちの身近の中で、年金だけでは生活できない高齢者の方が目の前にいるというケースが結構あるのではないかなと思っています。
資料の5番の課題の2というところで書かせていただいた事例ですけれども、都内及び近郊で店舗展開をするスーパーマーケットの店舗閉鎖に伴う相談を受けたケースです。店舗自体はかなり歴史のある、それこそ半世紀、40年、50年、その地域でやっていた店舗ですけれども、そこを閉店する。そこで本当に長く働いていた方もたくさんいらっしゃったのですけれども、働き始めたときから社会保険に加入していたかというと、社会保険に実際に加入していなくて、途中から加入しているような方もいたので、年金自体が少ないという方が非常に多くいました。ここをやめて次にどうするのかということで、70歳ぐらいになっても、何でもいいからとにかく次の仕事を探さないと生活できない、年金だけではやりきれないという方も実際にいました。
先ほど来言っていましたように、将来より今という方々の考え方というのは、現時点で得ている賃金そのものが多くないということに問題があるのではないかと思います。これは労働組合の課題でもありますけれども、同一労働同一賃金をこれからも推進をしていくというスタンスがないと、働いている人の負担が多くなっていくという状況、その負担感だけを募らせていくという状況というのは変わっていかないのではないかと思っています。
とりあえず私のほうからは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお話に関連して御質問、御意見を承りたいと思います。
佐久間構成員、どうぞ。
○佐久間構成員 御説明ありがとうございました。
今、全国ユニオンでは、19年3月現在で12組織、そして2,800人が加入されているということですが、現在の社会保険の関係として、適用事業所以外、つまり任意包括適用の業種とか、個人企業になるわけですけれども、その事業者に働いている方は、大まかな数字で構わないのですけれども、どのぐらいいらっしゃるか教えていただけますか。また、外国人の労働者の方も多いそうですけれども、そのうちどのぐらいを外国人が占めていらっしゃるか。わかる範囲で構いませんけれども、お伺いしたいと思います。
○遠藤座長 では、関口事務局長、お願いいたします。
○関口事務局長 これも個人加盟の特徴ですけれども、組合員の出入りが激しくて、なかなか実態がはかりにくいところであります。ただ、任意包括で働いていらっしゃるところというのは、それほど多くはないという印象です。
外国人の方は特に工場で働く派遣の方が多いので、この任意包括のところから外れていく方が多いかなという印象です。
○遠藤座長 それでは、お待たせしました。海上構成員、どうぞ。
○海上構成員 ありがとうございました。多彩な事例を交えていただきまして、非常にわかりやすかったです。
こうしてヒアリングをしておりますと、ある方は経営者側の目線から、また、ある方は働き手側の目線からと、いつも両サイドに分かれたようなお話になってしまうのですので、そこで、あえてお聞きしたいのですが、困って駆け込んでこられる働き手の方たちが所属している交渉相手の会社さん、その会社さんの経営者側は、根はいい人というか、本当はやりたくないけれども、経営状態が悪くて、やむにやまれず働き手に対してきつい扱いをしてしまっているのか、それとも本当にブラックで、働き手を大事に思わないような人たちが多いのか、つまりは、経営者側に何か手が差し伸べられたり、もうちょっと経営環境がよければこういった状態も減っていくのではないかとか、そのあたりをお聞きさせていただければと思います。
○関口事務局長 コミュニケーションが円滑でなかったので問題になっているというケースはもちろんあると思います。そういう意味で、本当はちゃんと経営したい、ブラック企業と言われるような対応はしたくないけれども、結果的にそういうふうに受けとめられたというような企業さんももちろんあります。
一方、やはりかなり違法、脱法的に、確信的にそういうことをやってくる企業さんもあります。
○海上構成員 そんな中で、例えば御提言にあるように、経営者の方たちに「社会保険加入というものは本来強制的にやるものである」とか、「入るのが自然なのである」という意識が浸透し、働き手もちゃんとそうした意識が高まれば、この種の問題は減っていくとお考えですか。
○関口事務局長 若干私見という形で書かせていただきましたけれども、徴収方法そのものも将来的には見直していくことは考えたほうがいいのではないかなと思っています。
例えば、現時点、労働保険では賃金の総額に保険料を掛けて、それで毎年年度更新という形でやっていますけれども、場合によってはそれに類するような取り扱いということも検討に入れてもいいのではないか。そういう意味で言うと、逃れられないというようなやり方も場合によっては必要なのではないかなと思います。
○海上構成員 逃れられる選択肢がある、その余地がある、いわば、隙があるから、そういうところに入り込もうとする人たちが出てくるということですか。
○関口事務局長 残念ながらそういう傾向もあると思います。それは、会社側だけではなくて、働いている方にもあると思います。目の前の損得勘定だけを考えて、事例のほうでもありましたけれども、今、夫も普通に正社員として働いている、育児も一段落したので働こうと思うけれども、社会保険に入ったほうが得だろうかとか、そういうような考え方にどうしてもなってしまって、それは社会保険の考え方としてそもそも違うのだということですから、そういう両者の意識というものを根本からなくしていくといいますか、そこを逃さないような保険料の徴収の仕組みは必要なのかなと思います。
○海上構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
それでは、平田構成員、お願いします。
○平田構成員 ありがとうございます。
私も対応されている企業様に関する感覚をお聞きしたいと思います。
一定の企業にとって社会保険料は、大きなコスト増となり、じり貧に陥らせていく要因になりうると思います。一方で、この年金というものを、じり貧ではなくて、それを魅力にしていくこと、つまり労働者も企業も未来への投資として見ていくことが大事だと思います。そこで、企業全体として何かこれをきっかけにして上に上がれるような、そんな感じがありそうか。ちょっと抽象的なのですけれども、その辺の感覚を教えていただければと思いました。特に、さきほどお話しのあった生活衛生同業組合さんなどは、私たちの生活の根幹を、支えてくださっている業界だと思います。その悲痛な叫びは、私たち全体の問題として考えなければいけないなと思い、そのサポートをどうすればできるのか? という問題意識から質問させていただきました。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
○関口事務局長 もちろん真面目にやっていらっしゃる事業主さんがいるということは私どもは全然否定するものではないですし、いろいろな社会情勢の中で厳しい状況にあるということももちろんそのとおりだと思います。
ただ、そういう中であって社会保障というのをどうやってつくっていくのかという議論必要ではないかなと思っています。
最後のほうに書かせていただいたのですけれども、むしろそういうところではなくて、雇用だと社会保険料を払うことになるから、雇用ではない働き方を広げようみたいな形に今なっている。みんなできるだけ加入させていこうというよりも、むしろどうやったら逃れられるだろうかということを考えているのではないかということを危惧しているところであります。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょうか。
大体よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、これにて全国コミュニティ・ユニオン連合会からのヒアリングは終了させていただきます。
関口様、本日はお忙しい中、時間をとっていただきまして、まことにありがとうございました。
以上をもちまして、本日のヒアリングは全て終了いたしました。本日の議事は以上で終了といたします。
本日、ヒアリングに御出席をいただきました皆様におかれましては、貴重な御意見を賜り、まことにありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
それでは、今後の懇談会の予定につきまして、事務局から説明をお願いします。
○山下年金局年金課企画官 次回ですけれども、今まで3回のヒアリングを踏まえまして、構成員の皆様方のほうで今後どうするかということで議論をいただきたいと思っております。開催の日時は4月の中旬を予定しております。また追って皆様方に御案内申し上げます。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
それでは、これをもちまして第4回「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」を終了いたします。
本日は御多忙の折、お集まりいただきましてまことにありがとうございました。