第23回肝炎対策推進協議会 議事録

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

日時

平成31年3月27日(水)15:00~17:00

場所

全国都市会館3階第1会議室

出席者

泉 並木(武蔵野赤十字病院院長)
及川 綾子(薬害肝炎原告団)
岡田 京子(全国B型肝炎訴訟東京原告団)
釜萢 敏(公益社団法人日本医師会常任理事)
考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター
肝炎・免疫研究センター長、肝炎情報センター長)
小池 和彦(東京大学大学院医学系研究科消化器内科学教授)
坂上 博 (読売新聞調査研究本部主任研究員)
佐々木 洋子(日本肝臓病患者団体協議会)
武田 せい子(薬害肝炎原告団)
辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
田中 純子(広島大学大学院医歯薬保健学研究科疫学・疾病制御学教授)
中澤 よう子(神奈川県健康医療局医務監)
西村 愼太郎(日本肝臓病患者団体協議会相談役)
日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
棟重 卓三(健康保険組合連合会理事)
米澤 敦子(日本肝臓病患者団体協議会代表幹事)
脇田 隆字(国立感染症研究所所長)
 

議題

(1)平成31年度肝炎対策予算案について
(2)研究報告について
1.自治体事業指標、拠点病院事業指標調査の暫定報告(考藤委員報告)
2.DAA(インターフェロンフリー治療)不成功例の実態と全国都道府県拠点病院を中心とした対策(泉委員報告)
3.B型肝炎ウイルスの感染複製増殖機構の解明による創薬基盤形成に関する研究(脇田委員報告)
(3)その他

議事

○大場肝炎対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまより第23回「肝炎対策推進協議会」を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
事務局の厚生労働省肝炎対策推進室長の大場でございます。冒頭の進行を担当させていただきます。
開会に当たりまして、局長の宇都宮から、御挨拶をさせていただきます。
○宇都宮健康局長 健康局長の宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、年度末の大変お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろより、肝炎対策を初めとしまして、疾病対策、健康対策に、御協力、御尽力をいただいておりますことを、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
国内最大級の感染症でございます肝炎に対する対策は、我々としても非常に重要な政策課題と考えてございまして、肝炎対策基本法などに基づきまして施策を推進しているところでございます。
近いところでは、皆さん方も御存じのように、昨年12月から肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業を開始いたしました。また、先月、薬価収載されて保険適用となったエプクルーサ配合錠につきましても医療費助成の対象とするなど、少しずつではございますが、対策を進めているところでございます。
本日は、平成31年度の肝炎対策予算について御説明させていただきますとともに、先生方から研究報告をいただく予定としてございます。
ぜひ忌憚のない御意見を交わしていただいて、今後の更なる肝炎対策の推進に資するようにしていただくことをお願いいたします。
ぜひよろしくお願いいたします。
○大場肝炎対策推進室長 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
カメラの皆様方は御退室をお願いいたします。
続きまして、委員の出席状況について申し上げます。
本日は、全20名のうち、大久保委員、高橋委員、中澤善美委員の3名から欠席の御連絡をいただいてございます。17名の委員の皆様に御出席をいただいております。定足数に達しておりますので、本日の会議が成立いたしますことを御報告いたします。
続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
健康局長の宇都宮でございます。
健康局がん・疾病対策課長の佐々木でございます。
以下、がん・疾病対策課肝炎対策推進室の担当職員が出席させていただいております。
なお、宇都宮局長は、この後、公務のため、途中退席をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
配付資料一覧という1枚の資料がございます。こちらをご覧いただきたいと思います。資料1~4、参考資料1~3をお手元に配付させていただいてございます。
資料の不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。
それでは、以降の議事進行につきましては、小池会長にお願い申し上げます。
○小池会長 会長の小池でございます。
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
まず、議題1「平成31年度肝炎対策予算案について」に入ります。
事務局から、説明をお願いいたします。
○大場肝炎対策推進室長 事務局でございます。
それでは、資料1「平成31年度肝炎対策予算案について」の御説明をしたいと思います。
1ページ目をご覧いただきたいと思います。31年度予算案の概要でございますけれども、ポイントとなる部分を下線で引いて示してございます。「1.肝疾患治療の促進」で2つ目の○でございます。下線が引いてございますけれども、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業につきまして、昨年12月から開始をしてございますけれども、来年度につきましては通年で実施するための増額を行っているところでございます。2.の2つ目のポツをご覧いただきたいと思います。下線が引いてございますけれども、新たに職域のウイルス検査を受けた者に対する初回精密検査について助成を行うとしているところでございます。
2ページでございます。肝炎治療特別促進事業(医療費助成)でございます。今回新たに対象治療の追加を行うこととしてございます。
具体的には、3ページの資料をご覧いただきたいと思います。上の枠の中の○でございますけれども、C型非代償性肝硬変に対するインターフェロンフリー治療薬といたしまして、今回、初めて「エプクルーサ配合錠」が販売承認をされまして、本年2月26日から保険適用となったところでございます。私どもの肝炎医療費助成の対象にもしていくとしているところでございます。このエプクルーサ配合錠は1日薬価が約6万円でございますけれども、自己負担が月額で原則1万円となるように助成をしていくとしているところでございます。右下にございますように、インターフェロンフリー治療の全ての治療薬を助成対象としてきているところでございます。
4ページをご覧いただきたいと思います。肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業でございますけれども、上の枠で囲ってございますように、事業の趣旨でございますけれども、B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん・重度肝硬変患者の特徴を踏まえまして、負担の軽減を図りつつ、臨床データを収集して治療研究を促進するものでございます。平成30年12月から開始したものでございます。事業の枠組みにつきましては、下の表で整理してございます。中ほどに「対象医療」という欄がございますけれども、対象医療につきましては、指定医療機関における肝がん・重度肝硬変の入院医療で、過去1年間で高額療養費の限度額を超えた月が既に3カ月以上の場合に、4カ月目以降につきまして公費負担を行うものでございます。
5ページをご覧いただきたいと思います。事業の実施状況につきまして、この3月の時点で改めて調査をした結果でございます。質問1の回答でございますけれども、12月診療分から事業を実施していただいているところが46都道府県となってございまして、単独事業で実施していただいております長野県を除きまして、全ての都道府県で実施していただいているところでございます。質問2のところ、指定医療機関について、こちらも全都道府県で指定を実施していただいてございまして、指定医療機関数につきましては1,197となっているところでございます。
6ページでございます。質問3、患者への周知の取組でございますけれども、下に周知方法別に回答数を整理してございます。「6.医療機関でポスター掲示・リーフレット配布」につきましては、42都道府県で取り組んでいただいているところでございます。その下の「7.医療機関に事業の周知や説明を行う担当者(部署)の設定や案内を依頼」に取り組んでおられると回答した都道府県は23となっているところでございます。
7ページでございます。初回精密検査の対象拡大についてでございます。中ほどに図がございますけれども、赤字で記載してございます。31年度予算案におきましては、職域での肝炎ウイルス検査陽性者の初回精密検査につきましても助成対象に追加するとしているところでございます。
8ページでございます。初回精密検査費用助成の改正案でございます。下の表で「事業内容」と書いてございますけれども、今回追加する対象者と請求に必要な書類を赤字で整理させていただいてございます。
具体的な事務フローということで、9ページをご覧いただきたいと思います。事務フローの一例案となってございます。左側に「初回精密検査手続きの流れ」という青い矢印がございまして、左から右に手続が進んでいくことを示している図でございます。その左のところの下のほうに都道府県がございますけれども、そこから下に矢印で依頼ということで、検診実施機関に延びております。検診実施機関から陽性だった方への案内をしていただくということで、具体的には下にポツで書いてありますけれども、都道府県等が行うフォローアップ事業への参加のことや、その次のポツですけれども、初回精密検査費用の請求ができるということにつきまして、検診機関から案内をしていただくということでございます。その後、中ほどに黒い星印で「要精密検査の者」とございますけれども、要精密検査の方に、精密検査を受検していただきまして、都道府県に費用を請求していただくという流れを整理したものでございます。
10ページをお開きいただきたいと思います。肝炎総合対策推進国民運動事業「知って、肝炎プロジェクト」でございます。全ての国民が一生に一度は受検する必要のある肝炎ウイルス検査の積極推進に取り組んでいるところでございます。
11ページをご覧いただきたいと思います。特別参与ということで杉良太郎氏に御参画いただいておりまして、その御支援のもとに著名人の方々の御協力を得まして啓発活動を行っているところでございます。
12ページをお開きいただきたいと思います。地方自治体の訪問実績でございまして、これまで37都道府県の知事あるいは市長の表敬訪問を実施してきているところでございます。
13ページをご覧いただきたいと思います。「知って、肝炎プロジェクト」の今後の取組についてという資料でございます。前回の協議会でも申し上げておりますけれども、今後の取組ということで、まず、「1 自治体・医師に向けた普及啓発」と記載してございますけれども、重点的に知事・市長の表敬訪問を実施するとしてございまして、肝炎ウイルス検査につきまして、医師が来院した方にがん検診などをセットで勧めることで受検につなぎやすくなることがございますので、このような医師による検査の勧奨を働きかけていきたいと考えているところでございます。また、その下の「2 企業に向けた普及啓発」で、保険者団体、企業団体と連携させていただきまして、表敬訪問・働きかけ等を行っていきたいと考えているところでございます。
実際に行った取組が、14ページからでございます。活動報告の1番目といたしまして、「日本医師会 表敬訪問」と記載してございますけれども、3月4日に日本医師会の御協力をいただきまして、横倉会長の表敬訪問を実施させていただいてございます。この中で、医師による肝炎ウイルス検査勧奨について要請をさせていただいたところでございます。
15ページでございます。健康保険組合連合会表敬訪問でございます。3月11日でございますけれども、健康保険組合連合会の御協力をいただきまして、大塚会長の表敬訪問を実施させていただいてございます。その下の※の2つ目にございますように、健保組合に事業主とも連携して検査を導入していただくことを働きかけることや、健保組合を通じて加入する従業員に受検を働きかけることを要請させていただいたところでございます。
16ページをご覧いただきたいと思います。肝がん粗罹患率の推移という資料でございます。肝炎対策基本指針におきましては、肝がん罹患率をできるだけ減少させることを指標とするとされているところでございますけれども、1月に全国がん登録のデータが発表されたということがございましたため、今回、整理をさせていただいたものでございます。肝がんの粗罹患率につきましては、2008年以降、2015年まで低下しているところでございます。また、2つ目の○にございますけれども、2016年は全国がん登録のデータに切り替えられてございまして、2016年の肝がん粗罹患率は33.7となっているところでございます。
17ページでございます。高齢化の影響を調整した肝がん年齢調整罹患率につきましてもグラフで示してございますが、2008年以降、2015年まで低下しているところでございます。2016年につきましての年齢調整罹患率でございますけれども、14.7という数値になっているところでございます。
説明は、以上でございます。
○小池会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの大場室長からの御説明に関しまして、御質問、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、辰巳委員。
○辰巳委員 B型肝炎の辰巳です。
ページでいうと4ページ以降の肝がん・重度肝硬変研究及び肝がん・重度肝硬変患者への支援のところなのですが、46都道府県で実施されていて、指定医療機関についても46都道府県指定されているということですけれども、実際にどれだけ申請があったのかについては、日肝協と薬害B肝の患者さん団体で協力して調査させていただいて、46都道府県、長野県を除くのですが、そのうち42都道府県から回答をいただいています。2月末の時点で、口頭で恐縮なのですけれども、全国で申請があったものが79、実際に参加者証の交付かあったものが45、既に支払いがされたものが8という件数で把握しています。14県については申請が全くゼロということで、1番目に多かったのが大分県の13件、2番目が新潟の10件、3番目が兵庫の9件、その他、5件、4件、3件という形の分布になっております。
実施されて3カ月で、全国全体で79件というのはいかにも数が少ないと感じていまして、原因としては分析する必要があるとは思うのですが、こちらとしては、まず、対象患者がいらっしゃる、入院している患者さんがいらっしゃる医療機関が指定医療機関となっていない可能性があるのではないか。指定医療機関数が、先ほど1,197とか数字が出ていましたけれども、そもそも数全体も少ないのではないかと考えています。したがって、この辺を増大していく必要もあるのではないかと考えているのですが、この数の評価と分析について厚生労働省はどう考えておられるのか、質問させていただきたいと思います。
○小池会長 では、事務局からお願いいたします。
○大場肝炎対策推進室長 私どもも、都道府県からは実績の報告を一部いただいておりまして、全部そろってはいない中ではございますけれども、大体40件の認定がこれまであったと承知してございます。この数字をどう考えるかということでございますけれども、この12月から開始したばかりであるということもございますので、今、この時点で事業の評価を行うことはなかなか難しいのではないか。まだその段階ではないのではないかと考えてございます。都道府県や医療機関におきまして様々な周知の取組に御努力いただいているところでございますけれども、こういった取組を更に進めていくことや、指定につきましても更にできるだけ多くの指定をしていただくことなど、引き続きそれに向けた取組をさせていただきまして、多くの方がこの事業を利用できるように取り組んでいきたいと考えております。
○小池会長 どうぞ。
○西村委員 日肝協の西村です。
先ほどの辰巳委員の発言に関連して、3団体で調査した結果、例えば、大阪の例ですけれども、指定医療機関が64施設、非代償性肝硬変と肝がんの患者数が、NDBの2016年のデータですけれども、1万4423人おられます。療養病床医療機関数が、平成28年度の医療施設の動態調査ですけれども、病院が230、診療所が5、合計で235施設があって、療養型病床数が2万2267床あります。
こういう状況の中で、大阪は肝がんや肝硬変の患者さんが非常に多い地域にもなっておりますし、取組としては、前回の協議会でもお願いしましたけれども、肝硬変や肝がんで入院治療をしている施設については、全てが指定医療機関の届け出を出すように、ぜひ指導といいますか、医療機関に対して手助けをしていただいて、指定医療機関の数をぜひ増やしていただきたい。実際に、大阪の患者会に、医療費助成のことでの御相談ではないですけれども、肝硬変で大変苦労されている患者さんの御家族から、何とか専門的な治療を受けたいという相談はあるのです。そこが急性期医療から療養型病床群に変わって、治療内容は変わらないのですけれども、患者家族にとってみたら、専門医療機関ではなくなってしまったということで不安があるという問題もありますので、その辺でぜひ療養型病床群も含めまして指定医療機関の数を増やすように御努力をお願いしたいと思います。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 患者の皆様ができるだけ身近な医療機関で支援を受けられるようにしていくということで、私どもはこれまでも都道府県により多くの指定ということでお願いしてまいりましたけれども、引き続き都道府県への指定の働きかけに取り組んでまいりたいと考えております。
○小池会長 及川委員。
○及川委員 6ページなのですけれども、12月の協議会でも申し上げましたが、まず、患者に周知していただきたいということでお願いしたところ、米澤委員からも発言がありましたし、考藤先生からも厚労省だけでなく肝炎情報センターからも発信していただけるというお話がございました。この23という数字は、今の時点では低過ぎる。まず、これを何とかしていただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
○小池会長 事務局、どうぞ。
○大場肝炎対策推進室長 医療機関にこういった担当者や部署を設定していただくということでございますけれども、前回の協議会以降、私どもからも、都道府県の担当者の会議あるいは拠点病院の会議など、そういった機会を捉えまして、こういった担当の設定あるいは案内をぜひ進めていただきたいということでお願いさせていただいているところでございます。そういった会議が2月あるいは1月にあったということで、ごく最近であったということもございますけれども、引き続きこの23という数値が増えていくように私どもは働きかけをさせていただきたいと考えております。
○小池会長 引き続き働きかけを行っていくという御回答でございます。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○坂上委員 読売新聞の坂上といいます。
全般的な話なのですが、薬害被害者の救済の話なのですけれども、いまだに見込みの人数に比べて見つかっている感染者の方が少ないということで、先ほどのPRの部分はあったのですけれども、これだけではなかなか進まないとは思うので、厚労省としては、閉院した病院のカルテを調べるなど、もっと積極的に何か見つけていく手段は、今後、考えたり、今、実行したりということはしているのでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 済みません。薬害肝炎の救済の部分だけは私どもの担当から外れておりまして。
○坂上委員 その辺の厚労省内で横の情報交換などはしていないのでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 横の情報交換をしている部分はございますけれども、今のお話については、十分承知しておりません。
○坂上委員 一部情報では、カルテを調べてもっと積極的に調べるということを厚労省内で考えているというような話は聞いているので、こちらで直接的な担当ではないのかもしれないのですけれども、ぜひその旨を伝えてしっかり調査をやっていただきたいということをここでは私は話させていただきます。
○小池会長 ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
○岡田委員 B肝原告団の岡田です。
資料の7ページと8ページ、初回精密検査費用の助成について御説明がありますが、この対象者についてお願いがあります。
現状の自治体で実施する肝炎ウイルス検査を受けた者と今回新たに職域で実施する肝炎ウイルス検査を受けた者とありますが、これに加えて、新たにといいますか、もう少し拡大をお願いしたいのです。妊婦健診を受けられた方、この方たちは主に医療機関で受けていると思うのですが、現在、この方たちがこの初回の精密検査費用の対象者に入っていない現状があります。妊婦の方たちの話としては、病院では家族の検査を勧められたのですが、自分の検査は勧められなかったとか、子供の感染防止事業は徹底されていると思うのですが、母親自身のフォローが全く行き届いていないという現状がありまして、現在、医療機関任せになっているという現状があります。
このことについては、昨年のB肝原告団と厚生労働大臣との大臣協議においても要求していたことですが、改めて妊婦健診の陽性者についても対象としていただきたいというお願いです。
○小池会長 いかがでしょうか。
事務局から、お願いします。
○大場肝炎対策推進室長 助成の対象にするあるいはフォローアップの仕組みに組み込んでいくことも含めまして、医療機関での実態を調べさせていただいた上で検討していきたいということで大臣からも御回答させていただいたかと思いますけれども、その方針に沿って検討させていただいているところでございます。
○小池会長 どうぞ。
○武田委員 薬害肝炎の武田と申します。
職域のウイルス検査ですけれども、今度、新しくなりました初回の検査の助成なのですが、その周知を、先日、私たちは愛媛県でも肝炎対策推進協議会がございまして、そこで職域の検査呼びかけを患者会の皆さんも是非やっていただけたらという話も出ました。ですので、これは愛媛県だけではなくて全国各地で職域は大変難しいと思いますので、その検査を呼びかけるためにも、肝炎の患者会をぜひ利用していただけたらと思います。全国でそういう働きかけをしていただけたらと思います。
以上です。
○小池会長 ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ、西村委員。
○西村委員 日肝協の西村です。
スライド7について、関連しての質問です。
職域での初回が今度は入るわけですけれども、大阪府も昨年度からやっと初回の検査が始まるという状況で、実施数も少ないですし、先ほど岡田委員からの質問にもありました妊婦健診ではなくて、例えば、眼科、耳鼻科、整形外科など他科の診療で見つかった人、陽性になった人が、消化器内科で詳しい検査をしてくださいという話になったときに、医療費がかかるということで、自覚症状もないし、なかなか受検されない方が多いように聞いております。自治体だけではなくて、他科で陽性になった方についても、妊婦健診の検討の折に、初回精密検査とフォローアップ事業に参加できるような仕組みをぜひ検討していただきたい。
それから、定期検査ですけれども、大阪府はいまだされておりません。この3月議会の中でも、3回も議員さんがこの問題を取り上げて質問していただきまして、府当局からの答弁は、今後の初回ウイルス検査の実施状況や他府県の状況を見ながら検討を進めたいという回答で、非常に消極的な回答だったわけです。厚生労働省で進めておりますし、我々患者会でもぜひ進めていただきたいということで、均てん化、格差をなくすという意味で、47都道府県全部で実施ができるような仕組み、支援を進めていただきたいと思います。
御検討、御意見をよろしくお願いします。
○小池会長 事務局からは、いかがでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 検査を受ける機会は、今、御指摘がありましたように、自治体、職域、妊婦健診のほかにも、手術前に受けることもございます。こういった手術前の検査を受けた場合について、現状では、御指摘いただきましたように、精密検査は助成の対象になっていないということはございます。この点については、検討してまいりたいと考えております。
また、大阪府での取組につきましては、私どもでも状況を把握させていただきまして、必要に応じて働きかけ等を行ってまいりたいと考えております。
○小池会長 ありがとうございます。
辰巳委員、お願いします。
○辰巳委員 先ほどの西村委員のこととも関連するのですが、先ほどの大阪はそもそも定期検査の医療費助成を実施していないということがあったのですけれども、自治体検査で陽性となった者は、初回精密検査ではもともと要件にあるのですけれども、定期検査費用にはない要件なのです。奈良県は、定期検査費用の助成はしているのですけれども、本来要件にない定期検査費用についても自治体検査で陽性となった者というフィルターをかけているのですね。もともと奈良県はそもそもウイルス検査自体が全国最下位で、さらにそこで陽性になった人だけが定期検査費用の助成を受けられるということになると、実際の実績もゼロがずっと続いているような状況で、ここはいかにもおかしいということで奈良県の肝炎対策推進協議会で患者委員から要望書を出させていただいたのですが、県の回答はなかなか予算上難しいという回答で、前向きな姿勢は得られませんでした。
こういったことも含めて、厚生労働省から奈良県のところも把握いただいて働きかけをしていただいたらと思っています。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 奈良県で、要件を限定的に運用されていることについての県としてのお考えもあろうかと思いますので、そういったところも情報収集をさせていただいて、その上で必要な対応を考えてまいりたいと思います。
○小池会長 ほかにいかがですか。
米澤さん、どうぞ。
○米澤委員 「知って、肝炎プロジェクト」について、よろしいでしょうか。
37都道府県にサポーターの方が行って、県知事などと握手をして啓発をしているという実態なのですけれども、この報告を読むと、ほぼ全国、そういった啓発が行き渡っているのだという内容で、これはこれでいいのですけれども、今後は医師なども一緒に同行して啓発をするということなのでしょうか。質問です。
○小池会長 事務局、どうぞ。
○大場肝炎対策推進室長 資料の13ページで、「1 自治体・医師に向けた普及啓発」と整理させていただいておりますけれども、かかりつけ医からの受検の勧奨を進めていきたいと考えておりまして、知事あるいは市長の表敬訪問の際に、県あるいは市の医師会にも御同席いただいて、そこでサポーターから医師からの検査の勧奨を働きかけていくといったことを考えているところでございます。
○米澤委員 済みません。ちょっと私は誤解をしていました。そういうことだったのですね。
私たちの希望としては、この「知って、肝炎プロジェクト」の啓発活動に、ぜひ専門医の方と当事者である患者も同行して、あるいは当地の患者会などでもいいのですけれども、患者と専門医が一緒になって、それで啓発活動をより深く進めていっていただけたらと希望します。
○小池会長 その場合は、ついていった専門医は何か質疑応答なども行うという意味合いですかね。
○米澤委員 そうです。もっと内容を踏み込んだようなものにしていただけたらと思っています。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 自治体によっては、これまでも専門の先生の方に御同席いただくということもやってまいったのですけれども、今のこの点につきましては、今後の運営の中で考えさせていただきたいと思います。
○小池会長 どうぞ。
○及川委員 及川です。
今の肝炎プロジェクトに関して、情報発信のことにつきまして、教育関係なのですけれども、今回の資料には全く載っていないようですけれども、前回はちょっと教育のことについて書かれていたようですが、肝臓専門医が学校を訪問して肝炎の授業をしているということを私は検索して初めて知りました。肝炎プロジェクトの一環ということで富山の小学校で専門医が授業をしていたり、島根の先生が島根の高校で授業をしているということを初めて知ったのですけれども、全くこのホームページには書かれていなかったし、こういう資料にも出ていませんでしたので、そういうことを伝えていただきたいし、そういう取組は患者にも知らせていただきたいし、先ほど米澤委員がおっしゃいましたように、患者も入れていただいた教育ができないのかなということもありますので、今後、肝炎授業ということに関してお考えいただけたらと思います。
○小池会長 どうぞ。
○佐々木委員 日肝協の島根の佐々木といいます。
今のお話に関連しまして、島根県では高校生に対する肝炎の特別授業を拠点病院の先生が中心に非常に積極的に取り組まれておりまして、1学年全員を体育館に集めてやるような形なのですけれども、その場でこういう札を上げて、イエス・ノーみたいなものを上げて、数値がその場で出るような形で、例えば、感染に関して、握手でも感染するとか、あるいはピアスで感染するのかしないのかというような高校生の生活に非常に身近な問題でイエス・ノーでやっていくと、授業を受ける前に一回やって、授業を受けた後でもう一回同じ質問をすると、結果ががらっと変わるのですよね。それぐらいの年齢でこういう授業をやることは非常に効果があるし、家に帰って、検査を受けておられないようだったら、御家族の人にぜひ検査を勧めてください、家でこのことを話してくださいという形で授業を進めておられますので、この取組は非常に有効だと思っております。全国にもぜひ普及していただきたいと思っております。
○小池会長 島根の場合は、この「知って、肝炎プロジェクト」と関連して行われたということですか。
○佐々木委員 そうです。第1回の肝炎プロジェクトのときに、名前はわからないのですけれども、非常に若い方が来られて、そのときに。
○小池会長 男の子3人組のw-indsではないの。
○佐々木委員 拠点病院の先生が、これをどのように展開しようかと思われたときに、若い方ならこの人を知っているということで、表敬訪問のときに高校の校長先生全員に来ていただいて、その方のアイドルのサインを皆さんに渡されたのですよ。それで、またこういう特別授業などもやりたいので、手を挙げていただければ行きますよということから始まって、どんどん広がっていったという経過がありますので、とてもよかったと思います。
○小池会長 どうぞ、米澤さん。
○米澤委員 今の話に関連して、今年、その島根の県立島根中央高校というところで、今、佐々木委員がおっしゃった肝炎の特別授業を見学してまいりました。これは研究班で及川委員と一緒に見学させていただいたのですけれども、見学させていただいて、非常に内容も濃いし、いいなと思ったのですが、先ほど及川委員が言ったように、ぜひ当事者である患者も交えて授業を進めていかれたら、患者に対しての思いも少し加えて深まっていくのかなと思いました。
以上です。
○小池会長 そういうことで、前向きに進めていくと。
どうぞ。
○大場肝炎対策推進室長 その点、従来から問題意識を持っておりましたので、私どもも前回の協議会の資料の中で触れさせていただいておりますけれども、青少年のための肝炎というコンテンツを中学生向けにつくらせていただいて、どういった場合に肝炎ウイルスに感染するとか、検査で調べるとか、そういったことを普及啓発用につくらせていただいたものもございますけれども、御指摘いただいたように、高校生や若い方々にきちんと肝炎のそうした実態を普及啓発していくことは、知識不足によって新たな感染が起こることがないようにしていくということで重要な点ではないかと思いますので、今後、そういうところも検討を進めていきたいと考えております。
○小池会長 どうぞ。
○西村委員 スライド2と3に関連して、医療費助成、肝炎治療促進のための環境整備ですけれども、今回、都道府県ごとの資料は出ていないのですけれども、22回の協議会で医療費助成の都道府県ごとの資料が出されておりました。指名して申しわけないのですけれども、きょう御出席の田中委員にもお聞きしたいのですけれども、22回の医療費助成のときに、インターフェロンフリー治療助成受給者の割合ということで、広島県など割合が非常に低いところがあるのですね。この辺が何でそうなっているのか。例えば、高齢者医療制度を使った人が多かったのかなど、そういう分析がどうなっているのかということをお知らせいただきたい。
C型肝炎につきましては、ほとんどの方が治る治療ですので、陽性者の方はなるべくたくさん治療を受けてほしいと思いますので、その辺のところで田中先生を含めて御意見をいただきたいと。
○小池会長 では、広島から。
○田中委員 田中です。
先日、西村さんがお示しになったグラフについては、私からも申し上げておりまして、今、検討中でございます。高齢者医療での算出なのか、それともデータがどうなのかということについて検討しておりますので、しばらく待っていただければと思います。
事務局も、それでよろしいですか。
○小池会長 事務局、どうぞ。
○大場肝炎対策推進室長 前回の協議会の資料で御提示させていただいたものでございますけれども、広島県あるいは群馬県で核酸アナログ製剤の助成の受給者割合が低いといったことがございまして、その理由について各県に聞いてみたりもしているのですけれども、なかなかその決め手になる理由はないように聞いてございました。また、この核酸アナログの受給率がインターフェロンフリーの受給率の高低と連動しているものでもないようですし、あるいは、広島県は非常に肝炎医療コーディネーターを積極的にやっていただいているのですけれども、そういった肝炎医療コーディネーターの配置状況とも連動していないようであるということで、なかなかどういった理由なのかというところはわかり切れていない現状でございます。
○小池会長 今のところ、不明であると。
○田中委員 分析中です。
○小池会長 分析中ですね。
どうぞ。これで最後にしましょうか。
○西村委員 「知って、肝炎プロジェクト」のスライド13について、今後のことですけれども、このプロジェクトといいますか、肝炎対策が進む前から、ウイルス肝炎研究財団で、毎年7月、肝臓週間の折にパネルディスカッションをやっておられます。昨年は、奈良で行われまして、米澤先生や泉先生にも遠いところを来ていただきまして、わかりやすく貴重なお話を聞いたのですけれども、一生懸命県も含めて広報をされているのですけれども、何せ地元の先生方は集まりが悪いという問題もありまして、立派な会場で、私も見に行ってびっくりした次第なのです。その前がつくばでやられまして、田中先生がお越しになられて、私も聞きに行きました。世界肝炎デー、日本肝炎デーのときに、せっかく著名な先生をお招きしてやるわけですから、ぜひ「知って、肝炎プロジェクト」と連動させて取組をしていただいたらどうかと杉良太郎先生にもお願いして、ぜひそういう前向きな姿勢でウイルス肝炎研究財団と連動した取組をしていただきたいと思います。
以上です。
○小池会長 これは、ウイルス肝炎研究財団に伝えるということにしましょうか。
それでは、時間も大分たっておりますので、議題1についてはこれまでとさせていただいて、続いて、議題2「研究報告について」に入りたいと思います。
まず、「自治体事業指標、拠点病院事業指標調査の暫定報告」について、考藤委員から御報告いただきたいと思います。その後、泉委員、脇田委員からの御報告がありますが、それぞれで質疑応答を行っていきたいと思います。
では、考藤委員、よろしくお願いします。
○考藤委員 考藤です。よろしくお願いいたします。
前回の協議会で、肝炎医療指標の暫定報告をさせていただきました。きょうは、前半と後半の2つがありまして、前半で自治体事業指標、後半で拠点病院事業指標の調査の暫定報告をさせていただこうと思います。
スライド2であります。これは前回もお出しした、いわゆる指標班としての指標の考え方でありますけれども、御存じのとおり、肝炎政策は受検、受診、受療、フォローアップといった幾つかの段階がありまして、それぞれがシームレスに進んでいくこと、効率よく進んでいくことが全体の総合的な政策の推進につながることは周知の事実であります。今回、研究班として各段階の指標を作成いたしまして、それを事業の中で評価していただき、実際に効率的に運用するために、さらに肝炎政策全体を推進するためにどのようにそれを使っていけるのかということを研究班として検討させていただきました。
次のスライドをご覧いただきます。指標班のミッションとしてはそこに掲げてあるとおりで、きょうは2つ目と3つ目のポツ、自治体事業指標と拠点病院事業指標の暫定結果を御報告いたします。
スライド4は、指標班の最初のスキームでありまして、説明を省かせていただきます。前回、同じ説明をさせていただきました。
スライド5を見ていただきます。指標の考え方の整理として、そのように指標班としては考えております。事業改善のための目印として利用される数値表現であるということで「プロセス」あるいは「アウトカム」を扱う量的なツールとして捉えようということで、これを肝炎事業の中で運用していくということです。例えば、今日お話しする自治体フォローアップの指標の一つの例として、このような形で指標値を求めることになっています。つまり、分母として市町村全体、分子としてフォローアップ事業実施市町村、これは都道府県別でありますけれども、このような形の分数で表現されるものが指標値であるとお考えください。これ以外にも「あり」「なし」という単純な2択でお答えいただいているものもありますので、全てがこの指標値として1未満の値として出てくるわけではありません。
スライド6も前回の協議会で御報告しました指標作成のプロセスで、外部委員の方にも入っていただきながらコンセンサスを会議の中でとっていったということで、これは参考程度で結構です。
スライド7、これも前回にお出ししました。平成29年度に指標班が始まりまして、そのときに作成した指標のいわゆる簡略化したものの例をお示ししています。今日お話しするのは、赤枠で囲っております自治体指標と拠点病院指標について御報告いたします。
スライド8は、平成29年度に作成した各事業指標の調査を平成30年度に行いました。そのときの調査の概略を示しております。一番上に、拠点病院を対象にした肝炎医療指標調査の方法が書いてあります。全てアンケート調査あるいはその調査の結果をもとにした抽出調査でありますけれども、2段目、3段目のところが、拠点病院事業指標調査、自治体事業調査の調査結果の収集の仕方になっております。2番目の拠点病院事業調査に関しましては、毎年肝炎情報センターが全拠点病院を対象に行っております事業調査の結果から抽出しまして、指標値を解析いたしました。一番下の自治体事業調査の仕方は、毎年、肝炎対策推進室が全都道府県を対象にして行っております、自治体事業調査の結果をお借りしまして、そこから該当する数値を抽出し、指標値として計算いたしました。
スライド9になります。指標の重みづけということで、3段階に分けて考えております。これは前回もお示ししたと思いますけれども、例えば、自治体事業指標の重みの基本的な考え方としましては、重要指標、標準指標、参考指標ということで、その順番に達成が期待される度合いが強いと考えていただければ結構かと思います。
スライド10とスライド11は、平成30年度に調査・運用した自治体事業指標の一覧になります。少し字が小さいので恐縮なのですが、それぞれに、左から、色づけしてあります重み、指標番号、それぞれの指標の内容を反映する項目、指標の分子、分母ということで記載しております。今回、平成29年度に作成した事業指標は全部で26個あったのですが、実際に平成30年度に運用して指標値をとる。いわゆる現実的な可能性等を評価しまして、最終的に19に整理しております。スライド11の下段を見ていただきますと、平成29年度の作成した事業指標から平成30年度の運用指標、今日結果を示しますけれども、26から19に指標を減らした原則を4つのポツで示しております。例えば、既に全自治体で実施済みの事業指標は削除する。実数把握が困難な指標は削除する。行政施策の内容でないものは削除。B型・C型肝炎抗ウイルス治療助成受給率は新たに追加する。このような出し入れをしまして、最終的に整理した19の指標を今日は御報告いたします。
以下のスライドで、個々の指標の結果が出てまいります。今日お示しするスライドの見方でありますけれども、横軸にそれぞれの指標の低いほうから高いほうに大体5つぐらいに分布を分けております。それぞれの指標値をとった都道府県の数を縦軸の棒の長さで示しています。概観していただきますと、例えば、右のほうに棒が長いものが多く集まっていると、その指標値は達成度が非常に高いと考えていただけると御理解しやすいかなと思います。例えば、自治体検診-1、これは都道府県別になりますけれども、肝炎ウイルス検診実施市町村の割合で、これは健康増進事業に限ってとなりますが、ほとんどの自治体で1になっておりますので、全ての市町村でこの事業を実施していることが見てとれます。
スライド13、今度は健康増進分の事業分の40歳以上人口10万人当たりの肝炎ウイルス検診受検率ということで、下の数字は今度は10万人当たりの実施の数、実数になりますけれども、そのような分布になっております。
自治体検診-3、これは特定感染症検査等の事業分になりますけれども、これもスライド13と同様に、成人10万人当たりの肝炎ウイルス検査受検率で10万人分の実数になっております。
スライド15、自治体検診-4、これは人口10万人あたりの肝がん罹患率の肝がん粗罹患率になります。これも10万人分の実数になっております。
自治体検診-4、今度は人口10万人当たりの肝がん罹患率、年齢調整肝がん粗罹患率になりますが、ご覧のとおりの分布になっております。
スライド17、人口10万人当たりの肝がん死亡率、粗死亡率ということで、こちらも先ほどと同様、10万人分の実数になっております。
スライド18、今度は人口10万人当たりの肝がん死亡率、年齢調整死亡率ということで、こちらも10万人分の実数になっております。
自治体検診-6、今度はB型肝炎核酸アナログ製剤の治療助成受給率、先ほど御議論がありましたけれども、これの母数はNDB調査の数になっております。核酸アナログ製剤治療助成受給者数/HBV関連治療患者(がんは除く)ということで、そのような分布になっております。
その下、今度は自治体検診-7になりますが、C型肝炎インターフェロンフリー治療助成受給率、見方は同じでありまして、母数はNDB調査の数、それ分のインターフェロンフリー治療助成受給者数ということで、そのような分布になっております。
スライド21、今度は自治体フォローアップに関する事業指標になります。これは、都道府県別で成人10万人当たりの初回精密検査費用助成受給率ということで、10万人分の実数で、そのように分布しております。
スライド22、今度はフォローアップ事業実施市町村の割合ということで、まず、健康増進事業分になりますけれども、これを実施している市町村は非常に高率で達成できているということになっております。
スライド23、今度は都道府県別の成人10万人当たりの定期検査費用助成受給率ということで、人口10万人当たりの実際の人数ということで、そこにお示ししております。
スライド24は、ありなしで調査させていただいた結果になりますけれども、これは肝炎対策にかかる計画・数値目標策定の有無で、当然のことながら計画は都道府県全てで策定していただいていることがわかりますし、その中で数値目標を掲げて政策目標策定をしておられるところが47分の42になっております。
スライド25、今度は肝炎対策協議会の開催の有無で、こちらも全ての都道府県で開催されているという実態であります。
スライド26、今度はコーディネーターの関連になります。これは成人10万人当たりのコーディネーター養成人数、累積になっております。こちらは、分母は10万人、それ分の実数になっております。
スライド27、こちらは新規のコーディネーター養成人数ということで、こちらも成人10万人当たりの数になっております。
スライド28、こちらはコーディネーター資格更新をしているかどうかというありなしのクエスチョンでありまして、こちらは、ありと答えたところが16、なしが31になっております。
スライド29、コーディネーターを養成した後にどこに配置されているかということが実際の活動を活性化するためには非常に重要になります。今度は、その配置状況を問う指標になります。自治体施策-6、拠点病院に少なくとも1人コーディネーターが配置されているかどうかということで、拠点病院分の配置されている拠点病院という聞き方になっています。さすがに拠点病院には少なくとも1人のコーディネーターが配置されている都道府県が非常に多いことがわかります。
ところが、専門医療機関のところにコーディネーターが配置されているかどうかという質問を自治体施策-7で指標としてとりますと、そのような形でまだ十分に配置されていない状況が見てとれるのではないかと思います。
スライド31、今度は保健所にコーディネーターが配置されているかどうかという質問になります。本所+支所を保健所数、分母としまして、実際にその中でコーディネーターが配置されている保健所数を指標としてとりました。このような形で比較的高率に配置されている状況が見てとれます。
自治体指標の最後になりますけれども、自治体施策-9、今度は市町村の肝炎担当部署にコーディネーターが配置されているかどうかという質問です。これは市町村数を分母にとりまして、分子にコーディネーターが配置される市町村をとりますとそんな状況で、まだ配置されていない状況があるのではないかということが見てとれます。以上が、自治体事業指標をざっと駆け足で説明した内容になります。
引き続きまして、拠点病院事業指標について、以下、御説明いたします。スライド33、先ほどと同じように、拠点病院事業指標を1~18まで、2ページにわたりまして掲載しております。表の見方は同様でありまして、左から、重み、指標番号、各指標の項目内容、分子と分母ということで、これは多くは「あり」「なし」クエスチョンになっておりますけれども、拠点病院事業指標も事業の内容によって分かれておりますので、表の右端にそれぞれがどのような意味合いを持った事業であるかということを大まかに記載しております。自治体事業指標と同様に、実際に平成29年度に拠点病院事業指標を作成し、平成30年度に運用したときに整理をさせていただきました。
今日は、その整理した結果を御紹介いたしますけれども、スライド34の下、平成29年度から平成30年度の運用指標への整理の原則ということで、当初の21指標から18指標に減らしております。原則として2つポツを書いてありますけれども、例えば、肝炎専門医療従事者研修会の参加者数、一般医療従事者研修会、市民公開講座の参加者数を指標値として挙げておりましたけれども、実際に参加人数が必ずしも内容の評価に結びつかないだろうという検討結果の上で、そういった3つの指標を削除いたしました。新たに追加した指標はございません。以下、結果を御説明いたします。以前、肝炎対策推進協議会でも御報告した拠点病院事業報告と重複する内容があるかもしれませんが、逐一御説明いたします。
スライド35は、拠点-1、肝疾患相談支援センターのホームページを開設しているかということで、これは単純に「あり」「なし」のクエスチョンであります。左の平成22年度から右の平成29年度まで経年的な変化をごらんいただいておりますけれども、現在は90%以上で肝疾患相談支援センターのホームページを独自に開設している状況であります。
スライド36は、肝疾患相談支援センター自体の設置の「あり」「なし」ということで、これは全ての拠点病院におきまして既に設置が終了している。100%ということです。
スライド37、今度は各相談支援センターに寄せられた相談件数、単純に件数を棒グラフで見ております。非常に多いところから、まだ十分ではない、低いところまで分布はばらけております。そのような件数の状況で、全国平均を無理やり出してみますと1施設当たり330件あたりになります。
拠点-4、スライド38、相談支援に係る自治体との連携ということで、連携の有無はそれぞれの拠点病院に判断をお任せいたしましたけれども、連携ありと答えていただいたものが80%という状況であります。
スライド39、肝臓病教室の実施回数を問うております。非常にたくさん熱心に開催していただいている拠点病院もありますし、残念ながらまだ開催していない拠点病院もあるということで、平均的には大体年4.6回開催されている状況であります。
拠点-6は、家族支援講座の実施回数ということで、こちらもかなりばらけておりますけれども、平均的には年1.7回程度実施しているという答えでありました。
スライド41、今度は拠点-7でありますけれども、就労支援講座の実施回数ということで、ここはまだなかなか全国的な取組が難しい状況があります。実施ありと答えていただいたところが平成29年度で17施設という状況であります。
拠点-8、連絡協議会の実施回数、こちらも実数を問うておりますけれども、大体年1回ないしは2回を開催しているところが多いのですが、残念ながら0回というところもあります。
拠点-9、今度は肝炎の専門医療従事者研修会の実施ということで、こちらも非常に熱心に10回以上行っておられるところもありますが、大体平均的には1~2回ということで、平均値もそのような形になっております。
スライド44、今度は肝炎専門医療従事者研修会開催時の自治体等との連携で、この連携の意味も先ほどと同様に各施設にお任せして判断していただきましたが、こちらは平成29年度で42の連携ありということになっております。
スライド45、こちらは一般医療従事者研修会の実施回数を問うております。これも大体年1~2回が非常に多いということです。ここで少し注意が必要なことは、この一般医療従事者研修と専門医療従事者研修を同時に開催して行っている施設もあるということです。これらの事業は別々にする必要があるという形には申し上げてはおりませんので、それも含めて御理解いただけたらと思います。
スライド46、これは拠点-12になりますが、一般医療従事者研修会開催時の自治体等との連携ということで、先ほどと同じ評価の仕方になりますが、連携ありが大体半分ぐらいということになります。
スライド47、今度は市民公開講座の実施の回数ということで、こちらも非常に多い回数を実施しておられるところもありますが、平均的には1~2回というところでしょうか。
スライド48、地域診療連携パスの運用ということで、こちらは実際にどれぐらいのパスを発行しているかという実数になります。200以上という非常に多いところが東京都になります。それ以外のところは残念ながらまだパスの運用が十分に行き届いていないという実情であります。
スライド49、肝炎情報センター実施の拠点病院間連絡協議会ということで、こちらも拠点病院の方々には参加をお願いしている会でありますけれども、こちらは全て参加いただいております。
拠点-16、こちらは責任者向け研修会ということで、協議会と同日に午前・午後で開催することが多いので、こちらにもきちんと参加していただいて、情報共有ができているということになっております。
スライド51、今度は看護師・相談員向け研修会ということで、現在、肝炎情報センターでは、主に肝炎医療コーディネーターの方へのいわゆる情報提供という形の位置づけで運営しておりますけれども、こちらも非常に参加率が高く、そのような状況になっております。
スライド52、今度は複数の拠点病院がある場合の連携の有無ということで、こちらはほとんどが連携しているということになっております。なしという答えがどうしてこういう状況になるのかということはちょっと理解ができません。以上、拠点病院事業指標の内容になります。
2つの事業指標の結果をまとめますと、最後のスライド53になります。平成29年度に、当初作成した事業指標を実際の運用調査の過程で整理して、26から19あるいは21から18に整理いたしました。3つ目のポツは、一般的な話になりますけれども、前回協議会で御報告した肝炎医療指標に加えて、自治体事業指標、拠点病院事業指標を継続的に運用していくことが各事業における実施状況の把握、さらには各施設における改善点のいわゆる気づき、そういったところにつながって、最終的に総合的な肝炎対策の推進につながるのではないかということを指標班としては大いに期待しております。
以上になります。
○小池会長 考藤委員、ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関して、御質問、御意見はございますでしょうか。
どうぞ、米澤委員。
○米澤委員 日肝協の米澤です。
スライド11の自治体事業指標のところ、コーディネーターの配置状況ですね。私たち患者が一番望んでいる部分が拠点病院におけるコーディネーターの配置なのですが、その後のスライド29のところでも、かなりの拠点病院がコーディネーターを配置しているという結果を、今、御報告いただきました。これは参考ではなくて、拠点病院のコーディネーター配置については標準ということでお願いしたいと思っております。何度も申し上げて申しわけありません。
○小池会長 よろしいですね。
○考藤委員 我々もそれは絶対に必要だと指標班としては考えておりますので、進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○米澤委員 ありがとうございます。
○小池会長 及川委員。
○及川委員 同意見ですので、大丈夫です。
○小池会長 では、佐々木委員。
○佐々木委員 日肝協の佐々木です。
とても貴重な指標がまとめられたと思うのですけれども、これを今後どう底上げに生かしていくのかというところでの取組について、何か検討されていることがあれば教えていただきたいことと、これの基礎になった都道府県ごとのデータが見られるようにしていただけないかということをお願いしたいです。
○小池会長 考藤委員、いいですか。
○考藤委員 とりあえず指標班の考え方、研究班としての考え方を先に申し上げます。
今の御指摘は非常に貴重だと、私自身、指標班としても考えておりまして、当初、この指標班が立ち上がったときの指標の目的に関係するところだと思います。こういった指標は決して調査のための調査であってはだめです。いわゆる全体を俯瞰するためには非常に有用なのですけれども、全国的な位置の中で自分のところがどういった位置にあるのかということをまずは認識していただいて、その上で、個別に指標値を改善するあるいは少しでも上げていくためには、どのように進めていけるかということを検討する一つの材料として使っていただくことが、非常に重要な指標の目的だと考えています。
ただ、結果の伝え方に関しましては、いろいろ数字がひとり歩きをする可能性もございますので、少し慎重に考えていくべきであろうし、肝炎室が都道府県と一緒に進めているいろいろな都道府県事業の中で、どのようにこの指標を運用していただくかということをまずはしっかりと議論した上で、伝え方を考えていきたいと思っています。
後半に御指摘になった都道府県別の資料として見られないかということは、かなり微妙な問題をはらんでいるところもありますので、班と肝炎室と十分に議論を重ねた上で提示の仕方は検討したいと考えております。あくまで指標班としての考え方です。
○小池会長 事務局からは何かありますか。
○大場肝炎対策推進室長 今、考藤先生からお話があったとおりでございますけれども、この研究は2年目になっておりまして、都道府県からの御意見を伺うことがまだ十分にできていない部分もございますので、今後は、都道府県等からもこういった指標の取組について御意見を伺いながら研究を進めていっていただきたいと考えております。
○小池会長 武田委員、どうぞ。
○武田委員 薬害肝炎の武田です。
先ほどのコーディネーターの件なのですけれども、28ページにコーディネーターの資格更新の有無ということで更新をしていないところが結構あるので、活動報告なども入れなくてはいけないということを踏まえると、やめる方もいらっしゃったり、いろいろ重度の肝硬変や肝がんのことなども新しく始まりましたし、研修というか、更新はするべきだとは思ったのですけれども、先ほど見ました51ページには肝炎情報センターで研修をたくさんされているということで、これはコーディネーターの方が多いとお聞きしたのですけれども、そういう情報センターの研修ができていても自治体の研修ができていないということは、どういうことかというか、もっと働きかけをしないのでしょうか。
○考藤委員 私が答えていいでしょうか。
○小池会長 どうぞ、考藤委員。
○考藤委員 ここの指標で取り上げた、御指摘があった資格研修をしているかどうかという問いは、当然、資格を更新するためにある程度年数がたっている必要がありますので、比較的最近コーディネーター養成を始めたところは、まだできていないという実情があります。そこは割り引いて考えていただく必要があるのかなと思います。
情報センター主催のいわゆる相談員向けの研修会に関しましては、先ほどちょっと説明が行き過ぎたかもしれませんが、多くの方はコーディネーターの資格を持っておられる方なのですが、そうでない方もたくさんいらっしゃいまして、現在、情報センターとしてはこの研修会をコーディネーターの方の情報交換あるいはスキルアップにつながるような形で内容を充実していきたいという思いがあります。しかし、現時点ではまだそういう位置づけにはなっていないという状況です。将来的にはしていきたいという希望は、私自身はあります。
○小池会長 この28ページのグラフというのは、要するに、資格更新にまで達している人がいない自治体が多いという意味なのですね。そこはわからないのですか。両方入っているのですか。
○考藤委員 両方が入っていると思います。
○小池会長 どうぞ。
○武田委員 人数も、県によりますとたくさん何百人と受けられている方もいらっしゃるのですけれども、そういう方たちが退職されたりとか、配置転換とか、いろいろあると思うのですけれども、そのようなことも把握しながらきちんとした研修をしていかないと、数値だけがだんだんと上がっていって、本質的なものができていないという状態になろうかと思います。
○小池会長 よろしいですね。
日浅委員。
○日浅委員 このデータについては、拠点病院のコーディネーターと、拠点病院外の関連施設など、そういったところのコーディネーターの意識の差がちょっとあるかもしれないですね。センターがされているようなものの参加は、拠点病院からの参加は結構あるのですけれども、各都道府県で更新しているような場合は拠点病院以外のコーディネーターも対象になりますので、そこら辺の意識の差をどう埋めていくかということは課題の一つかもしれません。
○小池会長 ほかはいかがですか。
どうぞ、西村委員。
○西村委員 スライド32、自治体のコーディネーター配置状況ですけれども、少ないところが多いようなのですけれども、例えば、前回の協議会で資料を出されて、大阪府は肝炎ウイルス検査の受検者数の目標が100万人上積みをするということが示されていまして、ところが、大阪府の肝炎、去年から始まった肝炎コーディネーターの出席構成を見てみますと、自治体の人がものすごく少ない。専門医療機関や拠点病院の従事者の方が多いということで、自治体の目標からして、市町村の担当者をどう養成するかということが非常に多くて問題になってくると思うのですけれども、この辺をどのように評価するのかという点ですね。ただ数の問題だけではなくて、それぞれの自治体の目標との関連で厚生労働省はどう考えておられるのかをお聞きしたい。
あとは、和歌山県の肝炎対策協議会でも肝炎医療コーディネーター養成研修会に出席者の構成の一覧が出されました。ほとんどが医療機関で、自治体が3自治体ぐらい、市町村という状況でした。説明は、2つの施設、北部と中部でやっておられるのですけれども、交通機関が非常に悪いという問題、道路網が悪いという問題などで、なかなか自治体からの参加が難しいという説明も受けております。そういう点で、自治体の職員さんに参加してもらう工夫は必要なのではないかと思います。例えば、長野県では、DVDとテキストの資料を配って回答をもらうという形で、1つの会場に集めるのではなくて、独習をしてチャレンジをしていただくという方法もとられているようです。ですから、そういうコーディネーター養成の手法といいますか、やり方の評価という部分も必要ではないかと思います。
以上です。
○小池会長 指標の部分は、考藤委員。
○考藤委員 あくまでも現在は都道府県にお願いしているような状況だと私は理解しておりますので、いわゆるその研修のやり方やその方法、さっき御指摘があったようないわゆるウエブを使うなど、そういったことも将来的に可能になれば、参加者が増えて非常にいいのかなと思います。ただ、いろいろなところで状況のお話を聞いていますと、養成はされたけれども、実際にどういう形で自分が頑張ればいいのか御自身がつかめていないというところもあるようです。それは、ここの場に配置されているコーディネーターの方はこのような形の仕事ができますよという形をもう少し具体化する必要があるのかなと考えております。そこは指標班のみならず肝炎情報センターの仕事にもなってくると思いますので、そういったところも踏まえていろいろ話し合いを進めていきたいと考えております。
○小池会長 関連した発言ですか。
○田中委員 コーディネーターのことです。都道府県がコーディネーターを育成するため研修を行い、任命するわけですけれども、そのときの対象者への声かけが、医療従事者だけではなく、市町村に勤めている人、薬剤師、臨床検査技師、あるいはドックに勤めている職員の人など、いろいろあると思います。都道府県によって声かけの仕方が偏っていたり不十分であったりする場合もあるのかと思います。満遍なくいろいろな分野にコーディネーターの方がいるという仕組みが大事と思います。コーディネーターになられた後の後研修は、肝炎情報センターでやっていらっしゃるので良いと思いますけれども、まず、コーディネーターになってもらうところは都道府県で様々な職種への声かけが必要と思います。
○小池会長 ありがとうございます。
どうぞ、米澤委員。
○米澤委員 日肝協の米澤です。
考藤先生の指標班の今後なのですけれども、私たち患者が集まると、肝炎対策もかなり進んできて、地域間格差を非常に大きく感じるのです。あちらではこれはできていないけれども、こちらではこれはできている、あちらではこうだというところで、この指標班という意義は非常に大きい、重要だと思っているのですけれども、31年度で研究班が終わってしまうということで、今後なのですが、この指標班の位置づけや方向づけというか、どのようになっていくのかということが気になってならないのですが。
○小池会長 これは事務局ですかね。
○考藤委員 私は答える立場にありません。
○小池会長 そうですよね。
どうぞ。
○大場肝炎対策推進室長 32年度以降をどうしていくかということは、今後、予算要求もございますので、検討していきたいと思います。
○米澤委員 これで終わってしまうかもしれません。
○小池会長 これは今年で終わりにならないような口ぶりでしたけれども、はっきりとは言っていないですね。
○米澤委員 そうですか。期待しています。
○考藤委員 平成31年度もあります。
○小池会長 31年度はまだ続くのですよね。
○考藤委員 あります。
○米澤委員 わかりました。
ありがとうございます。
○小池会長 よろしいですか。
そろそろ次に移りたいと思います。
次は、泉委員から「DAA(インターフェロンフリー治療)不成功例の実態と全国都道府県拠点病院を中心とした対策」ですね。
よろしくお願いします。
○泉委員 よろしくお願いいたします。
資料3をごらんください。かなり専門的な領域なので、できるだけわかりやすくお話しさせていただきます。
2ページをごらんください。8年前から、全国赤十字病院、92病院がありますけれども、共同研究をやっておりまして、C型肝炎に対する薬の実態を実臨床で調べるということで共同研究をさせていただいています。3年前からこの薬剤耐性が非常に問題になって、耐性ができたときにどう克服するかということが問題になったので、私どもの研究班に、考藤先生を初め、全国の拠点病院の先生方、ウイルス肝炎の薬剤耐性に非常に造詣の深い先生方に加わっていただいて、AMEDの研究班をさせていただいているという現状です。
3ページをごらんいただいて、これは日本で初めてインターフェロンなしで治療ができるダクラタスビル+アスナプレビルの実臨床のデータです。全国の赤十字病院の1,012例のデータです。アスナプレビルという薬が1b型という遺伝子型にしか効かない。日本人は1b型ばかりなのですが、1a型に効かないのでFDAが認可しなかったという経緯があります。そこで日本でのみこの薬が使われたという経緯があって、世界では使われていないという特殊な事情があることになります。このダクラタスビル+アスナプレビルで薬剤耐性変異を治療前から持っている方と持っていない方を見ると、治療前から持っていない方は非常に治療効果がよくて93.4%は効いているけれども、治療前から薬剤耐性がある方は66.6%であることが実臨床でわかったわけであります。すなわち、治療をしても治らなかった方がいらっしゃることが、現状、わかったということであります。
4ページを見ていただきますと、次に、2015年にレジパスビル+ソホスブビルのハーボニーという薬が認可されました。非常に効果が高かったのですけれども、1,461例の全国の赤十字病院で見てまいりますと、患者さんたちをいろいろなセグメントで分けてみましたけれども、大体96~98%と非常に治療効果が高い薬剤であることが実臨床で示されたわけであります。
そこで、同じ年、2015年に問題になったことが5ページですけれども、では、ダクラタスビル+アスナプレビルで治らなかった方がこのハーボニーで治るのではないかという意見で、厚労省の肝炎治療戦略会議でいろいろ議論が分かれたところであります。どんどん治療は受けていただいたほうがいいという意見と、2回失敗すると大変治りにくいウイルスになってしまうという慎重な方がいらっしゃって、なかなか決まらなかったという現状がございます。そこで、2回目の治療が適切かどうかを全国の都道府県の拠点病院にいらっしゃる肝臓専門医に判断してもらって、意見書を作成してもらう。2回目の医療費助成は、この拠点病院の肝臓専門医の意見書がないと通らないという制度設計がつくられたわけであります。拠点病院の専門医はどうするかというと、私どものAMEDの研究班、泉班に薬剤耐性変異を測定させていただくよう依頼をしていただきます。その答えを拠点病院の肝臓専門医にフィードバックをして、肝臓専門医がこれだったら克服できるのではないかというときに意見書を書いていただく制度になったということで、2015年10月16日に、全国70の拠点病院、全ての先生方にこの制度を説明したということでございます。そうしますと、インターフェロンフリーの飲み薬で治療して治らなかった方のデータがたくさん私どもの研究班に集まってくることになりました。
6ページを見ていただきまして、これは全国の拠点病院からC型肝炎の抗ウイルス薬を飲んで治らなかった方がたくさん集まってきたということで、遺伝子型1型が1,420例で多くて、2型の方が175人、3型も8人集まっている。検査ができない方が78人になっています。
7ページに、これまで飲み薬のC型肝炎ウイルスを殺す治療薬はどういう薬が認められたかということを書いています。2014年のダクラタスビル+アスナプレビルから始まって、1型については、ハーボニー、ヴィキラックス、エレルサ+グラジナ、ジメンシー、2017年にはマヴィレットが通って、今、エプクルーサが通ってきているという状況です。
それぞれの薬の治療を受けて治らなかった場合にどういう薬剤耐性になっているかということを、全国の拠点病院の先生方から集めて解析したデータを8ページに示しています。これは、遺伝子型1b型についてそれぞれ不成功に終わったときにどういうところの薬剤耐性が多いかということを調べたものになります。L31とY93は非常に耐性変異の頻度が高いところとして有名ですけれども、どの薬で不成功になっても非常に頻度が高く出現しているということです。不成功例に特有の耐性変異はP32番とA92番というところですけれども、これもそれぞれいろいろな薬剤でP32番とA92番が出るということで、それほど薬によって大きく差がないことがわかったわけであります。
9ページが、このダクラタスビル+アスナプレビルが不成功に終わったときに、ハーボニーで再治療を受けたことを全国の拠点病院からデータを集めさせていただいたということです。
10ページが、その成績であります。そうすると、ダクラタスビル+アスナプレビルで不成功に終わって、ハーボニーでもう一回治療を受けたという患者さんのデータを見ると、全国から295人のデータをいただきましたけれども、SVR12が2回目にウイルスが治った方になります。これが64%ということで、通常ハーボニーで治療すると95%以上が治るので、かなり低いというデータであります。
11ページが、不成功に終わった患者さんです。2回目に不成功に終わったという患者さんが36%いらっしゃることがわかって、一旦抗ウイルス薬で殺されそうになったウイルスは非常に耐性があって、非常に強力なハーボニーといえども36%の方が2回目で不成功に終わっているという現実がわかったわけであります。
12ページが、P32番で、DAAという抗ウイルス薬で不成功に終わったときに特有の耐性変異でありますし、P32 deletion、欠損というものが非常に強い薬剤耐性を示すことが実験系でわかっておりました。そこで、どの薬で不成功に終わったときにP32の欠損が多いのかということを調べたのですが、これも薬の種類に余りよらない。ヴィキラックスは数が少ないのでゼロになっていますが、2~8%が出ているというわけであります。
13ページに、このP32番について、ピブレンタスビル、マヴィレットという薬が出たときに、これが非常に強力だということですけれども、試験管の中で見てみますと、P32番に欠損があったら100倍以上の耐性強度になることがわかったので、マヴィレットで治療するときにはP32番は非常に注意しなければならないということが実験系で示されているというデータになります。
14ページ目が、何回失敗したら多重耐性になるかということを示したものであります。NS3はプロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤、これは2つ両方での耐性になったら多重耐性といっています。そうすると、1回だけ不成功の場合は34%ですけれども、2回失敗したら55.3%、3回不成功になったら86.7%で、失敗すれば失敗するほど治りにくいウイルスになるという結果だろうと思いますので、インターフェロンとは違ってきちんと治る薬剤を選んで治療することが重要だということは言えるのではないかと思います。
15ページに、グレカプレビル+ピブレンタスビル、マヴィレットです。これで再治療を受けになる予定の患者さんの545人を全国の拠点病院から集計させていただきました。DAA治療回数で、1回の方が478人ですけれども、2回目の方は55人、3回目の方は12人というデータです。どの薬剤で不成功だったかということで示しています。ダクラタスビル+アスナプレビルは76%で一番多いのですけれども、これを足して100%を超えてしまうのは、2回以上治療をお受けになった患者さんがいることになります。
16ページに、これはマヴィレットの第III相の開発試験のデータです。日本にダクラタスビル+アスナプレビルで治らなかった人が非常にたくさんいることが大きな問題になっているということで、開発治験の段階でダクラタスビル+アスナプレビルで治らなかった方が、30人、この治験をお受けになっています。マヴィレットの12週間の治療をお受けになって、30分の28人が治って93%というすばらしいデータなのですけれども、ここで大きな問題がわかって、マヴィレットの治療前にP32番の欠損があるという患者さんは2人だけいらっしゃったのですけれども、2人とも治らなかったということで、マヴィレットは非常にいい薬なのだけれども、P32番の欠損があると治らないことが開発治験の段階からわかっていたわけであります。
そこで、全国の拠点病院、赤十字病院の先生方に、このマヴィレットの治療前には薬剤耐性をしっかりはかってくださいということをもう一回注意いたしました。17ページは、全国赤十字病院のマヴィレットで再治療を受けた患者さんのデータです。そうすると、P32番の耐性は誰もいないということで、赤十字病院の先生方はP32番があるとマヴィレットを使わないようにということは十分に周知されたということで、ここはうまくいったと考えております。
18ページを見ていただきまして、これは全国の拠点病院からマヴィレットで再治療をお受けになった患者さんのデータを集めることができています。そうすると、治療終了時が374人集計できていますが、治療終了時でも3人の方はウイルスが消えていないことになりますし、それぞれSVR4、SVR8、SVR12で少しずつ効いていない方がふえてきて、12週たってみると、10人の方が再びマヴィレットでもウイルスが出てきて消えていないという結果になっています。
このマヴィレットは非常に成績がいいのですが、マヴィレットでも治らなかった患者さんを調べてみようということで、19ページにマヴィレットでも治らなかった患者さんの治療前の薬剤耐性変異を示しています。赤十字病院で治らなかった2例と、全国の拠点病院で治らなかった10例、合計12例で示していますけれども、P32の欠損があった方はこの12名の中に3人だけいらっしゃる。A92番という独特の耐性変異の方が2人いらっしゃるのですけれども、それ以外はどうしてマヴィレットで治らなかったのかということがこの耐性変異だけからでは説明ができないということなので、ほかの原因も多少関与しているかもしれないということになるかと思います。
20ページに、1回目の治療、マヴィレットの前の治療はどういう治療だったのかということとマヴィレットの再治療のデータを示していますが、そうすると、右側のハーボニーだった場合には全例がマヴィレットで治っている。これはプロテアーゼ阻害剤がハーボニーには入っていないからということになります。左側のダクラタスビル+アスナプレビルを含む治療ですと、マヴィレットでの不成功例が少しいらっしゃるという結果になっています。同種類の系統の薬は危ないということになろうかと思います。
21ページですが、どの耐性変異が最も不成功に関与するかということで見てみますと、P32番のdeletion、欠損がある方が治癒率が非常に悪いことがわかってきて、安易に薬を決めるのではなくて、治療前にどういう耐性変異があるかということをしっかり調べた上で、マヴィレットにするかどうかを選んだほうがいいという結果になっています。A92Kは、1人だけですけれども、治っていなかったというデータです。
22ページが、P32番があるにもかかわらずマヴィレットで治療されたという患者さんが全国で7人集まってきています。この7人を見てみますと、上から4人は既に治っていないことがわかって、下の3人の結果はまだわからないのですけれども、恐らくかなり厳しいかなと考えられます。
23ページが、不成功例だった患者さんでP32番の欠損のある方は次にどのような治療法を考えていらっしゃるかということをアンケートにしたものです。青の7と書いてあるものがマヴィレットで治療された患者さんで、既に7分の4が不成功だという結果です。その下の緑のところがハーボニーで治療された19人ですが、ハーボニーもP32の欠損があると5人が治っていないという結果です。左側の紫のところ、16人が「治療待機」と書いています。恐らく、今回、エプクルーサが出たので、エプクルーサで治療されることがいいのではないかと考えられます。
P32があることはマヴィレットでも克服できないということで困るわけですけれども、このエプクルーサという薬が今回出たということで、このエプクルーサはソホスブビルとベルパタスビルという非常に薬剤耐性の強いNS5A阻害剤を一緒にくっつけたという薬剤であります。
25ページが、日本の開発治験データです。そうしますと、この緑のところだけ24週間の治療ですので、グレーが12週間の治療。これはちょっと成績が悪いので、今回、日本では24週間の治療ということになりました。緑だけを見ていただきますと、全体で2人だけ治らなかったと。GT1という1型の方が48分の47で、1人だけ治らなかったというデータです。GT2型の方も12分の11で、1人だけ治らなかったというデータで、それぞれ1例ずつがエプクルーサで治らなかったというデータです。
26ページを見ていただいて、では、治療前の薬剤耐性変異はどうかということで、P32番の欠損があった患者さんが5人いらっしゃいます。12週間の治療では2分の2が治っていて、24週間の治療では3分の2で1人だけ治っていないということなので、エプクルーサでは、P32に欠損があっても80%ぐらいは乗り越えられそうだけれども、100%ではないというデータがわかってきているということになります。
27ページは、ゲノタイプ2型のデータで、ソホスブビル+リバビリンで2015年に保険が通った薬で、これは治療成績96%と非常によかったわけですけれども、それでも治らなかった方がいらっしゃることになります。
そこで、このソホスブビル+リバビリンで治らなかった方がマヴィレットで治療をしたらどうかということを示したものが28ページになります。28ページのデータでいくと、全員、40分の40が12週までにウイルスが消えている、治っているということで、2型につきましては、このマヴィレットの治療成績がいいので、恐らく今後は余り問題にならないでうまくいくのかなと考えられております。
現在でもこのシステムは維持されておりまして、都道府県の拠点病院に連絡をしていただきますと薬剤耐性変異ははかれますし、拠点病院以外の先生方も拠点病院に御連絡さえしていただければちゃんと薬剤耐性変異がはかれる制度設計が今でも続いておるということですので、2回目以降の治療をするときには薬剤耐性をしっかりとはかっていただいて治療をしていただくという制度設計を持続させていきたいと思っています。
全国のデータ、どの薬剤で不成功だったか、どの薬剤で耐性変異を克服できたかどうか、きちんと科学的にデータを集めるということで、これは研究班の研究に使わせていただきますという同意書を書いていただいています。
31ページに、その背景を書いていただきまして、次にどういう薬で治療をなさっているのかということを登録して書いていただく。これを全国から集めて我が国のデータにしていくとさせていただきたいと思っています。今、アジアの国でもダクラタスビル+アスナプレビルは使われてきていますので、日本がとった対策、きちんと科学的にどういう対策をとったかということは参考にしていただけるのではないかと思っています。
32ページが、P32がどのようにレポートで返ってくるかということを示したものであります。そうすると、上側のところにP32を赤で囲っていますが、P32に「del」と書いてあります。これがあると、P32 deletion、欠損があることになりますので、これはマヴィレットでは非常に治療が困難だということになりますので、こういった薬剤耐性をしっかりはかっていただくという制度をつくり、ぜひ今後も続けていきたいと考えております。
その下に、今回、データをたくさん出していただきました、赤十字病院、全国拠点病院の先生方、関連病院施設の先生方に謝意を示したものであります。
以上であります。
○小池会長 泉先生、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関して、質問、御意見をどうぞ。
○及川委員 及川です。
まず、泉先生に、まとめていただきまして、ありがとうございます。C型は治る時代になったといって、たくさんのいいお薬が出て多くの方が治っているのですけれども、その一方で、たくさんのお薬の中で翻弄されて、耐性ができてしまって治らない患者が私の周りにもたくさんおります。最初のお薬のときに、L31とY93の耐性をはかって検査をしましょうという戦略会議でのお話だったのですけれども、耐性などは全くはからずに、先生のおっしゃるままに治療をして治らなかったという患者が、意外に私の周りでも結構いらっしゃるのですね。先生のデータを見ますと、全国で1,681名の拠点病院のデータでこういう患者さんがいらっしゃるということを見まして、本当にすごく悲しくなります。拠点病院だけでこれだけいらっしゃるということは、全国にどれだけの患者さんがDAAで不成功になってしまったのかということを思いますと、怒りという言葉を使っていいかわからないのですが、代弁させていただくと、どうしたらいいのかわからないという患者の声を申し上げたいと思います。
時間がないので、たくさん言いたいことはあるのですが、17ページなのですけれども、マヴィレットの第III相試験で、2例だけれどもP32の欠損があった例は治らなかったという治験結果が出ているにもかかわらず、赤十字病院ではマヴィレットはやらなかったようなのですけれども、22ページ、全国拠点病院では、これだけP32のdeletionがありながら、グレカプレビル+ピブレンタスビルの再治療をしてしまったと。何でこんなふうになってしまったのかと、本当に怒りを感じます。
データがきちんと出ているにもかかわらず、先生方のきちんとしたガイドラインなど、そういうものにも書いてあるにもかかわらず、こういう患者さん、治っていない患者さんができてしまった。この7名の患者さんたちはこれからどのようになっていくのか。このマヴィレットでも治らなかった後の耐性がもっと複雑になってしまっているのか。C型はお薬が最後になってしまいますので、今後どうなってしまうのかということが、人ごとでなく、本当に助けていただきたい。この泉先生の御発表で、先生方はどのように思っていらっしゃるのか。また、厚労省の政策としまして、今後、どのようにこの患者さんたちを救っていっていただけるのか、お話しいただけたらと思います。
以上です。
○小池会長 泉先生。
○泉委員 それこそ2015年にハーボニーが出されたときに、これで皆さんは治るだろうという楽観的な御意見と、ダクラタスビル+アスナプレビルで失敗しているので、ハーボニーですら厳しいのではないかという意見で、全然世界にデータがなかったので、意見が割れたのですね。もちろん全部が治ればそれに越したことはないのだけれども、今後、しっかりしたエビデンスをつくらないといけないだろうということで、当時、厚生労働省が本当によく考えた制度設計だろうと思います。エビデンスをしっかりつくって、ハーボニーですら治らない、2回失敗した人も今後出てくる可能性があるということで、その次に、本当に治らない患者さんをできるだけ減らそうという対策としてこの制度設計がつくられたということだと思います。このときはまさかP32番のdeletionがそんなに危ないなどと夢にも思っていなかったのですけれども、そのときの厚労省が一生懸命にやった制度で、こういったP32や新しいことがわかってきたということだと思います。
この制度はどんな薬でも治らないC型肝炎の方を減らそうということで行った対策ですけれども、なかなか臨床医学ではゼロには完璧にできない。ただ、相当の患者さんがこの対策によって、非常に治ることが困難なウイルスになってしまうことを防ぐことができたのではないかとは考えております。ゼロにできれば、もちろんそこが一番いいと思います。
○小池会長 事務局から、何か追加がありますか。
○大場肝炎対策推進室長 肝炎医療の向上、こういった変異をはかることも含めて、まさにそういった取組は先ほどの考藤先生の御報告にもあったような指標で評価される中でもこれまで進められてきたところでございます。現状では、前回の御発表にありましたように、拠点病院を対象としてRASの検査をやっているのかといったことの集計もございましたけれども、来年度においても、研究班の中で更に御検討いただけると思います。肝炎医療は専門医療機関にも担っていただいておりますので、こちらも含めて更なる研究を進めていく、それで活用できる指標にしていただくことが必要かと考えております。
○小池会長 米澤さん、どうぞ。
○米澤委員 時間がないので簡単に、お願いがあります。
私たちのところにも、たくさんの患者から、もう薬が出ないのでどうしようという不安の声がたくさん来ています。現在、エプクルーサの治療が進行中ですので、この結果が出るまではまだ何とも言えないところもあると思いますが、先ほど泉先生がおっしゃったように、全ての患者が治るかどうかわからない。私たちの周りにも、治療に治療を重ねて、治らなかった患者ばかりが残っています。お願いというのは、そういった最終的に治らなかった患者を何らかの形で把握していただいて、研究班を立ち上げていただいて、最後の1人までフォローをしていただきたいということです。
○小池会長 事務局からどうですか。そういう方針でということでよろしいですか。
○大場肝炎対策推進室長 インターフェロンフリー治療の予後が悪かったケース、これについても研究をしていかなければならないということで、来年度、新たな研究班を立ち上げることも進めているところでございますので、そういった形で厚労省としても進めていきたいと考えております。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
時間がそろそろないので、脇田先生、お待たせしました。
どうぞ始めてください。
○脇田委員 ありがとうございます。
私からは、B型肝炎ウイルスの創薬研究班の成果について御報告したいと思います。
今、泉先生から御紹介がありましたとおり、C型肝炎ウイルスの治療薬の開発は非常な勢いで進んで、治療に関してめどがつきました。一方で、B型肝炎ウイルスの治療はどうなのかといったときに、核酸アナログがありますけれども、ウイルス排除に至るような治療はないということで、そういった薬の開発が必要なのではないかということになりました。そのときに、B型肝炎ウイルスの研究の基盤自体がまだ十分にないということで、B型肝炎ウイルスの感染複製増殖機構を解明して、創薬につなげる研究班ということでやってまいりました。こちらは、当初は厚生労働科学研究費、現在はAMEDの研究費ということでやらせていただいています。
1ページが概念図ということで、我々ウイルスを研究している者は、このB型肝炎ウイルスの感染複製増殖のメカニズムを解明して、それを治療薬の開発につなげるということをやってきています。
スライドの2番目、研究の概要ですけれども、研究はこのように感染複製増殖機構の解明を目指すということで、それを創薬につなげるということです。B型肝炎ウイルスの生活環に関与しているような宿主因子を同定する。それから、複製増殖機構のさまざまなステップを解析するような実験系を開発して、新たな創薬標的を同定する。そして、スクリーニング系を樹立するということで、新しい化合物のスクリーニングを進めてその作用機序を解析するということであります。これまでの成果を簡単にその下のスライドにまとめていますけれども、赤字のところでいいますと、エントリー阻害剤の開発、逆転写酵素の阻害剤のスクリーニング、キャプシド阻害剤、新規核酸アナログの開発、1個飛びましてHBc/HBsワクチン療法の解析、iPS細胞を使った肝芽、liver budといっていますけれども、こういったものを創薬のスクリーニングに使うということです。
4枚目のスライドです。B型肝炎ウイルスの生活環です。ウイルスが細胞の表面に吸着する。それが侵入して、そのウイルスはゲノムとして不完全二重鎖のDNAを持っていますから、核の中まで侵入して、我々の体のDNAの修復機構、複製機構を利用して完全なcccDNAになります。cccDNAはまさにヒトのゲノムとよく似た構造をしていて、そこからウイルスのRNAが転写されます。それを鋳型にして翻訳が始まり、たんぱくがつくられてキャプシドを形成して、その中にpregenomic RNAが取り込まれて、逆転写が開始されて不完全二重鎖のDNAがつくられる。それがキャプシドですが、キャプシドがエンベロープを獲得してウイルス粒子になって出てきます。もう一方のサイクルとしてリサイクルがあり、このキャプシドそのものがまた核の中に入って複製が回るという経路があります。B型肝炎ウイルス自体は非常にシンプルなウイルスなのですけれども、この複製機構が複雑であるという特徴を持っています。
我々の研究班での成果をかいつまんで説明します。スライドの5番目に4つほど本日紹介することを羅列してあります。最初に、感染研の私たちのチームがやっているエントリー阻害剤の開発です。
次のページをおめくりください。まだ実験系が十分になかったときには、ウイルス培養系により、化合物のスクリーニングを行いました。さまざまな化合物がヒットしまして、一番最初に当たったものが2014年のヘパトロジー論文で、シクロスポリンです。シクロスポリンという免疫抑制剤がこのB型肝炎ウイルスのエントリーを阻害することを最初に報告しまして、そこが手がかりになって、さらにさまざまな化合物を報告してまいりました。
その下のスライドで、その後に、B型肝炎が細胞の中に入るために必要な因子が中国のグループから報告されまして、NTCPでした。これは肝細胞表面にある胆汁酸を取り込むトランスポーターです。胆汁酸を取り込むために肝細胞の膜にあるわけですけれども、それがB型肝炎を吸着して細胞の中にウイルスを入れるということです。
8ページですけれども、このNTCPを標的とした試験管内のスクリーニングも進めてまいりました。
9ページ目は、横浜市立大学の梁先生との共同研究ですけれども、アルファスクリーン・アッセイというものがありまして、それは分子の相互作用を測定するアッセイです。これによりましてB型肝炎のHBs抗原とNTCPが結合するということを指標にして、結合を阻害するような分子をスクリーニングしてまいります。
次のスライドをごらんください。そうしますと、さまざまなものがとれてくるわけですけれども、一つのヒットとしては、ラパマイシンがとれてきまして、10ページ目の右側のスライドで「control」と書いてある赤い点々があります。これがB型肝炎に感染している細胞ですけれども、シクロスポリンではそれがなくなる。同様に、ラパマイシンを使ってもその感染が抑えられることがわかりました。
その下のところでは、化合物アレイというものがありまして、これは理化学研究所の長田先生との共同研究なのです。ガラスのアレイの上に化合物がプリントしてありまして、それにNTCPを結合させることはできるのですけれども、そうすると光が出る。そこに阻害するようなものを探してくるということをやりました。
12ページ目を見ていただきますと、NPD8716という化合物がとれてきます。これもB型肝炎の感染を阻害するようなものとして報告しています。
13ページは、東京大学の菅先生との共同研究で、菅先生のチームは、低分子の化合物ではなくて、それよりも少し大きい中分子ぐらいの特殊環状ペプチドをRaPIDシステムによりスクリーニングされています。この方法によりNTCPに結合する環状ペプチドをスクリーニングしてまいりました。
14ページに行ってもらいますと、胆汁酸阻害活性のないB型肝炎のエントリーを阻害するような特殊環状ペプチドを同定することができました。
15ページ、これがまとめなのです。つまり、NTCPは胆汁酸をトランスポートする分子ですが、これまで報告されているB型肝炎のエントリーを阻害するような、例えば、シクロスポリンというものはこの胆汁酸の取り込みも一緒に阻害してしまう。ところが、この特殊環状ペプチドを使いますと、胆汁酸の取り込みは阻害しないで、B型肝炎の侵入だけを阻害するようなものもできることが新たにわかりました。
次のスライドで、このB型肝炎の感染に関与する新たな宿主因子の同定を進めてまいりました。これはsiRNAライブラリーのスクリーニングでその宿主因子のスクリーニングすると、1個の宿主因子がヒットをしてきました。
それがRTKというものなのですけれども、17ページのスライドで、RTKという因子は、B型肝炎ウイルスの細胞表面への結合ではなくて、その中に入っていくところの侵入に関与することを示すことができました。
その次のページを見ていただきまして、このRTKは細胞の表面にありまして、NTCPに結合しています。それによってこのB型肝炎が侵入していくのですけれども、このRTKの阻害剤を使うことによって、B型肝炎の感染が阻止できるということを同定しました。このRTKというのは仮の名前で、これは既にアメリカの一流誌にアクセプトをされているのですけれども、来週の火曜日にプレスリリースをされますので、それまでちょっと名前は出せないということですので、御了承ください。
19ページ目です。逆転写酵素アッセイの構築と阻害剤探索。
こちらは主に長寿研の豊田先生と一緒にやっているのですけれども、世界的にもB型肝炎の逆転写酵素のアッセイは試験管内でなかなかできていません。逆転写酵素阻害剤が臨床で使われているのは、HIVの逆転写酵素の阻害剤をB型肝炎に使用して活性があることがわかったわけですね。B型肝炎の逆転写酵素をアッセイする系がないのですけれども、これを世界で初めて樹立することができました。ここに書いてあるのは、RNase Hという逆転写酵素の一部の別の酵素のアッセイ系なのですけれども、この系を使ってRNase Hの阻害剤のスクリーニングもできるようになりました。逆転写酵素のアッセイ系を用いて、B型肝炎にも非核酸型の阻害剤をスクリーニングできるという系を樹立しています。こちらも特許の関係で出せないのですけれども、スクリーニングを進めていくということになります。
21ページ目、キャプシド阻害剤と新規核酸アナログの開発。
こちらは鹿児島大学の馬場先生のグループと一緒に共同研究をさせていただいていますけれども、22ページ目のスライドで、新たな核酸アナログを開発しました。これは確かにB型肝炎の阻害活性があるのですけれども、今までの核酸アナログと作用機序が違うことがわかりました。
23ページ目のところで、逆転写酵素を阻害するのではなくて、B型肝炎のRNAの分解促進をするといった作用があることを明らかにしました。
24ページを見ていただきますと、キャプシドたんぱくの阻害剤を試験管内でスクリーニングして、さまざまな化合物を得ております。
少し飛んでいただきまして、26ページ目、最後に、治療ワクチンについて御紹介したいと思います。
きょうは日浅先生がいらっしゃっていますけれども、こちらは愛媛大学のアクバル先生、バングラデシュの出身の先生です。長くこのワクチン療法の開発を続けておられます。
28ページ、いわゆるHBs抗原の感染予防ワクチンではこの治療的な効果が少ないということで、アクバル先生のチームはNASVACといったワクチンを開発されまして、これがHBs抗原とHBc抗原、各100マイクログラムを経鼻あるいは皮下投与するということで、ちょっとわかりにくいのですけれども、「Schedule」と書いてありますが、上のバーがNASVACの投与、下のバーがこれはペグインターフェロンの治療ですね。ペグインターフェロンの治療に比べますと投与回数も少なくて済むということですけれども、アクバル先生の臨床的な結果によりますと、ペグインターフェロンによる治療よりも効果が高いということで、現在、第III相の試験も終わり、さまざまな国で薬剤として承認をされているということですので、我々の研究班におきましては、このNASVACの有効性のメカニズムを解析していただいているということになります。
最後のスライドです。B型肝炎のワクチンが開発され、輸血のスクリーニングが進んで、新しい感染は非常に減ったけれども、いまだに多くのB型肝炎のキャリアの方がいらっしゃいます。新しいB型肝炎の治療方法の開発が必要と我々研究者としては認識しています。それには、核酸アナログに加えて、新たな作用機序のあるB型肝炎に対する薬の開発が必要であるということで、研究を進めさせていただいております。
私からは、以上です。ありがとうございました。
○小池会長 脇田先生、ありがとうございました。HBVの駆除を目指して、今、さまざまな開発が行われているということでございます。
どうぞ、日浅先生。
○日浅委員 ワクチンについて、ちょっと追加です。
アクバルさんがバングラデシュでされたのは経鼻+皮下でされたのですが、現在、経鼻のみで愛媛大学で臨床試験をやっておりまして、班会議を新たに立ち上げさせていただいております。今のところ、核酸アナログ内服中の人あるいは無症候性キャリアの人の4割ぐらいの人で抗体ができてきておりますので、結構有効な治療法になるのではないかと期待しているところです。まだ解析途中ですので、集まりましたらまた発表させていただきます。
○小池会長 脇田先生の御説明については、よろしいですか。結構難しい話でしたが。
どうぞ。
○岡田委員 B肝原告団の岡田です。
いろいろな作用の違う薬を開発中ということで、患者としてはすごく期待するところであり、また、感謝を申し上げるところではあるのですが、すごく難しい質問かとは思うのですが、私たち患者は最初の薬がいつ出るのかをすごく聞きたいところなのです。
○脇田委員 いつごろというのはなかなか申し上げることができないのですけれども、例えば、我々がC型肝炎ウイルスの研究をしていたときに、最初はプロテアーゼ阻害剤をつくることが非常に難しいと言っていたのですね。ただ、そこに向かってさまざまな企業も入ってきまして、競争と開発をつなげることによって、あっという間に完成されたという例もありますので、先ほどC型肝炎の治療薬が新しいものはもう出ないという話もありましたけれども、今、B型肝炎の新しい治療薬の開発はかなり多くの製薬会社等も頑張っているところですので、近い将来に新しい薬は出てくると私も信じているというところまでお伝えしたいと思います。
○岡田委員 ありがとうございます。
○小池会長 ほかはよろしいですか。
それでは、この議題2については、ここまでとさせていただきます。
最後に、議題3「その他」となりますが、委員の皆様からこの場で何か御発言したいことはございますでしょうか。
どうぞ。
○日浅委員 現在、いろいろなところで啓発していますけれども、先日、愛媛大学で、HBs抗原、C型肝炎の抗体をチェックしまして、陽性者の人のフォローができているかということを検査部のデータから検索しましたところ、内科以外の特に眼科、耳鼻科、整形外科からちゃんとフォローができていないというデータが足元から出てまいりまして、我々は驚愕しているところなのですが、1点、ここはいろいろなところから来られているのでお願いしたいのですけれども、内科の中では比較的肝炎ウイルスの啓発、医師への啓発はできているのですが、外科もできていると思うのですけれども、眼科、耳鼻科、整形外科への啓発の機会がなかなかなくて、医師会など、いろいろなところで内科以外への医師への啓発の機会みたいなものがありましたら、もうちょっとここら辺がうまくいくのではないかと思っておりますので、もしチャンスがありましたら御協力いただけたらと思います。
○小池会長 それは、愛媛大学病院内では、陽性で引っかかった場合に。
○日浅委員 医師会で耳鼻科を集めてやったときに、結構反響があって、そういえば内科以外の科の先生の前でしゃべる機会がなかなかないなということを痛感しているところであります。
○小池会長 どうぞ。
○釜萢委員 大変大事な御指摘をいただきましたので、しっかり考えて、そのような機会をぜひつくるようにしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○小池会長 ほかはいかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、特にないようでしたら、本日の議事は終了いたします。
事務局から、連絡事項等はございますでしょうか。
○大場肝炎対策推進室長 本日は、長時間にわたり御審議をいただき、また、多くの御意見や御質問をいただきまして、ありがとうございました。
本日の議事録につきましては、原案を各委員の皆様に事前に送付させていただきますので、御確認をしていただいた上で、その後、私どものホームページで公表させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○小池会長 それでは、閉会とさせていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

前野 鎌田
代表番号:03-5253-1111(内線2948)