第3回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会議事録

日時:平成31年3月12日(火)14:00~16:30
場所:厚生労働省 省議室
議題
(1)関係団体からのヒアリング
(2)その他
議事
○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第3回「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」を開催したいと思います。
皆様におかれましては、年度末のお忙しい中、御参集をいただきましてまことにありがとうございます。
本日の懇談会ですが、岡崎構成員、村上構成員、大澤構成員より御欠席の御案内をいただいております。
また、大澤構成員につきましては、群馬県より堀越参考人に代理で御出席をいただいております。
それでは、本日の配付資料につきまして、事務局より説明をお願いします。
○山下年金局年金課企画官 事務局より、皆様のお手元にお配りしております資料につきまして御案内いたします。
お手元に議事次第1枚紙、座席表、構成員の皆様の名簿、さらに本日、御出席いただいております各団体の皆様方の御所属とお名前の書かれた一覧表。
資料1としまして、特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむから御提出いただいています資料。
資料2としまして、一般社団法人全国スーパーマーケット協会から御提出いただきました資料。
資料3としまして、一般社団日本惣菜協会から御提出いただきました資料。
資料4及び資料5としまして、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会から御提出いただいた資料をそれぞれお配りしております。
また、参考資料といたしまして、前回と同じでございますが、第1回の懇談会でお配りした資料のうち、資料2「働き方の多様化に伴う被用者保険制度の課題」を改めてお配りしておりますので、御確認ください。
不足等がございましたらお手を挙げていただいて、事務局から補充させていただきます。
事務局からの御案内は以上でございます。
○遠藤座長 お手元の資料よろしゅうございますか。
それでは、これから議事に入らせていただきます。
冒頭のカメラ撮りは、これまでにしていただきたいと思います。
本日は、関係団体からのヒアリングの第2回目でございます。本日、ヒアリングをお願いいたしましたのは、特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ、全国社会保険労務士会連合会、一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人日本惣菜協会、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、以上の5団体でございます。
それでは、各団体から御出席いただきました皆様を御紹介いたします。
特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむより、赤石様。
全国社会保険労務士会連合会より、椎野様と稲田様。
一般社団法人全国スーパーマーケット協会より、増井様。
一般社団法人日本惣菜協会より、清水様。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会より、平田様、中山様、塚本様。
以上の皆様にお越しいただいております。
本日はお忙しい中、ヒアリングにお越しいただきましてまことにありがとうございます。
これより御出席をいただいた皆様から、雇用や就労の実態、これまでの被用者保険の適用拡大の実施状況、今後の制度見直しに関する御意見や御要望といった内容につきまして、1団体20分程度お話しいただければと思っております。その後、お話しいただいた内容につきまして質疑応答の時間を、やはり1団体につき10分程度とりたいと思っております。
限られた時間でありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむからのヒアリングを行いたいと思います。赤石様、どうぞよろしくお願いいたします。
○赤石理事長 NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事長をしております赤石です。
きょうは働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会で発言の機会を与えてくださり、ありがとうございます。
私どもはシングルマザーの子供とママを応援する団体で、私もシングルマザーの卒業生でございます。
日本ではひとり親家庭の相対的な貧困率が非常に高く、50.8%であるということが言われておりまして、済みません、私は資料が短かったかなと思うので前振りをしております。それで50.8%でございまして、その特徴としては、就労率は非常に高い。世界でも1番目とか数番目に就労率が高い80%を超えているシングルマザーが、就労しても稼げない、そのことによって相対的に貧困であるという状況になっております。
その要因の一つが、就労収入が低いということになります。ですので私どもは、ここでこの被用者保険の問題がどういうふうに絡むのかということを申し上げたいと思って、きょうこの場に参加しております。
就業率が高いと申し上げました。シングルマザーの現状、母子世帯の母81.8%でございます。しかし、年間の就労収入の平均は母子世帯のお母さん200万円で、手当や年金等を含めて243万円ということで、これでお子さんたちを扶養しているわけでございます。その結果、非常に子供も生活が苦しい、いろいろな問題があります。
特に母子家庭の就業状況、次のスライドでグラフを示しておりますが、パート・アルバイトの方の平均就労収入は、平成28年度の全国ひとり親世帯等調査によりますと、年間で133万円、非常に社会保険の限度額に近い数字となっております。また、パート・アルバイトで働かれる方の年収が5年前よりは少し上がったのですけれども、全体で見ると非常に上がり方が少ないということがあります。これがなぜなのかということを私ども考えているのですが、次にどんな傾向があるかということをお伝えしたいと思います。
私どもは東京の団体ではありますが、例えば明石市などから委託事業を受けて相談をお受けしております。東京ですと賃金が少し高いので、この議論がされております106万円を超えるというのは割に簡単にできると思うのですけれども、最低賃金が低い地域でございますと、お母さんたちはパートで短時間で働いている場合、月収10万円ぐらいで働いている方が非常に多いです。言うなればねお母さんたちも離婚してその子供に悪い影響があったらいけないとか、どうしても子供が学校から帰ったときにおかえりと言ってあげたいという、何というか、こういうことを思っているお母さんたちは日本中たくさんいらっしゃるわけなのですけれども、そういうわけで割に短時間で通勤時間の短い仕事につく傾向がございます。子供が小さいうちは、それで何とかなるわけですけれども、この後というのが大変難しくなるわけです。結局、探す仕事は、この方たちは別にシングルマザーですから、被扶養の範囲内で働く必要はないのですが、労働市場に用意されている仕事は被扶養の仕事なわけです。ですからここに吸い込まれていきます。それが非常に短時間の就労になるわけです。工場のパート労働であるとか、販売のパートであるとか、こういったものについておられます。
私どもが御相談を受けるときには、この後、教育費をどうしたらいいだろうか、あるいは借金があったりとか、いろいろこの先どうしたらいいだろうかというときに御相談を受けるわけですけれども、月収10万円の範囲で働いていれば、このままでは難しいですよねということで、子供の教育費などを考えるともっと働いたほうがいいというのはおわかりになっていらっしゃるけれども、これ以上働くといろいろな壁があると思っておられ、不利になるかもしれないとか、子供との時間が減るのもかわいそうだとか、いろいろなことをおっしゃるわけです。その結果、何が起こるかというと教育費の不足であって、子供に十分な教育を受けさせるような余裕がないということになります。
また、パートで働いていらっしゃる方というのは、その職場でいろいろな人間関係にさらされます。ですのでいい人間関係のところだったら、そこに長くいたいというお気持ちになるのもわかります。決して女性同士の職場が助け合うということにはならない場合もありますので、そういったことも気にされているんだなということは思います。今の職場はやっとついたところで人間関係もまあまあいいので、移りたくないんだということをおっしゃることもあります。
ですのでシングルマザーの場合、幾つもの壁が就労収入を押し下げてきたと思っております。1つは配偶者控除の壁です。これが昨年度103万円から150万円に上がったという認識でよろしいでしょうか。ということではありますが、でも現実に労働市場にある仕事というのは、このあたりを限度にしているわけです。なので主婦パートが働く場で働いている。これがこの方にはない壁なのですけれども、実際には作用しているのです。それから、社会保険適用の壁でありまして、3番目、児童扶養手当の全部支給の壁というものがございました。これは子供が1人いる児童扶養手当、離婚等のひとり親家庭に出る手当ですが、年収130万円までが全部支給のラインとなっておりました。これも2018年に160万円に上がった。というのは、パートで働いている方の収入が余りにも低いということを認識されたからかなと思っております。
ちなみに2002年までは、児童扶養手当の全部支給のラインは200万円近かったのですが、2002年に下がったということがございます。そして、もう一つが住民税非課税ラインの壁。これも子供1人いるシングルマザーでも204万円なので随分高いところにありますが、課税というのはそれ以上だとなかなか生活していくのに十分でないから、課税できませんよというライン以下のところに壁が結果的にシングルマザーの場合あって、それが収入を押し下げていることがございます。
最後に5番目は児童扶養手当の一部支給の壁で、これは365万円ですから随分高くなる。こういうふうになります。
この幾つもの壁、結局、主婦パートと同じような働き方、同じ労働市場にいることによって、いろいろな壁のために収入が押し下げられてきたというのがシングルマザーの現実であろうと思っております。私どもデータを持ってこなければと思っていろいろ考えて、私どもは新入学お祝い金事業というものをやっているのですけれども、これは2019年に入学するお子さんたちに、教育費が足りないということで制服を買うのもままならないということでお申し込みをくださった方を選考して、その方たちに子供1人につき3万円で、高校生のみ4万円ということで給付する。全額寄附で賄っている事業をやっております。
ことし1,262人、これは子供の数なのですけれども、ですので世帯の数ですとちょっと違うのですが、お申し込みくださいました。必死になってこの方たちの収入階層分布をつくってみたところ、スライド6のような分布になっておりました。決してこれがシングルマザーを代表しているわけでもなく、また、都道府県にもばらつきがございます。結構沖縄が多かったのですけれども、ということで単なる教育費に困っているシングルマザーの方の年収の分布ということで御認識いただければと思います。ただ、1,000人以上はいらっしゃいますので、それなりの数になるかなと思うのですけれども、これを見ますとやはり100万円から110万円ぐらいのところで一つの固まりがあるというのがわかっていただけるかと思います。その後に、もう一つの山が130万円あたりであって、その後は200万円弱のところに山があるように思います。
この中で今、適用拡大のときに多分、問題になる年収というのが106万円から130万円の方たちの働き方なのかなと思いまして、そのあたりの方をもう少し詳しく見てみました。個人情報がありますのでちょっと丸めたり、数字を変わらない範囲であれですけれども、働き方の中で社会保険不適用の方が非常に多く、また、大手の500人以上の会社であっても短期のバイトなので不適用になっていらっしゃる方もいらっしゃったのですが、500人以上の会社だろうと思われたり、官公庁であったりということで適用になっている方もいらっしゃいます。
なぜわかるかというと、私ども新入学お祝い金のときに源泉徴収票のコピーをいただいたのです。でないと収入がチェックできませんので、ですので非常に個人情報としては詳しいものをいただいていますので、それをもとにここの表を作成しております。
本当に信じられないようなことですけれども、子供が3人いても122万円で働いているような方がこの世の中に存在するということです。これでいいのかということは皆さん思ってくださっていいと思います。
スライドの9番に行きます。社会保険の適用拡大というのは私は賛成です。賛成の立場からお話しておりますけれども、それがなったときにどういうことがもたらされるかということを考えてみました。
ほかの壁とも関係するのですが、これ以上に働きたいと思っていらっしゃる方がいらっしゃるにもかかわらず、働き方としてのモデルがないというか、もうちょっと時間を長くして、就労収入を上げたい方がいらっしゃるということです。そのことをどう働き方の企業の中とか官公庁の中に実現するのかというのがやはり必要なのだろうと思います。その結果、収入が上がっていくという道がある。そして、それが日本の今、働き手の不足の中で総労働時間が上昇することにもなるのだろうと思っております。
もう一つが、被扶養の立場で社会保険の適用になっていない。これは企業様のほうの御負担もないわけですけれども、やはり働くということは働かせている企業主も、また、働いている方も社会保険というものを払うんだという働き方の改革への道筋をつくっていくことになるのではないかと思います。
その結果、個人としては例えば老後の安定。わずかではありますけれども、シニアの独身の女性あるいはシングルマザーであった女性の貧困というのは、これから大きな社会問題化すると思われております。ですので少しでも2階建て部分の年金があるということは、非常に大きな支えになります。
また、いろいろな新入学お祝い金を応募してくださった方の中にも、御病気になられた、がんになりました、いろいろな病気になりました。お子さんが障害になってそういうことでなかなか働けませんというような方もいらっしゃいました。傷病手当金が受けられるとか、あるいは障害年金の厚生年金の可能性とか、あるいはお子さん、お母様が残念なことに亡くなられた後でも、遺族年金等が基礎年金部分だけでなく出るというようなことで、不安定な生活の中により安定した部分ができるということでも私は賛成しております。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのお話に関連して御意見、御質問等いただきたいと思います。いかがでございましょう。それでは、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 詳しい御説明ありがとうございました。
経年的な様子をお伺いしたいなと思って質問なのですけれども、昨今、離婚率が徐々に上がってきているという話も伺う中で、数年前と今とで離婚率が社会全体上がっても、母子家庭のシングルマザーの収入というのは同じような状況がずっと続いている、もしくは社会的にそういう方がふえてきたから、より長く働こうと思う。そして、それを実現するという人たちもふえてきているのか、その辺の状況の変化があるかどうかお聞かせいただけますか。
○赤石理事長 御質問ありがとうございます。
離婚件数と離婚率は、ここ数年は下がっております。離婚件数のピークは2002年でございまして、最近は22万組ぐらいで下がってきております。これは人口の中の結婚するコホートといいますか、そういうものの違いがありますので、単純に言えないと思うのですが、今はそれほど増加しているということではございません。
ただ、母子世帯数は大体横ばいとなっております。就労収入は若干上がってきております。10年前が平均年収が170万円で、5年前が180万円で、直近の調査が平成28年なのですけれども、それが200万円になった。この変化が何によってもたらしているのかとか、はたまた調査としてどこを選んだかによって、どのくらいばらつきがあるのか、そういうものは私にはわかりません。
ただ、継続就労率が上昇すれば、女性が結婚・出産によって仕事をやめるということがなくなれば、ある程度就労収入は上がっていくという道筋もあるかと思いますので、いろいろな要素がかかわっているのだろうなと思っています。ただ、今でも結婚時には専業主婦であって、その後に離婚後に働き場所を見つけるという方が多数であることは間違いありません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますでしょうか。それでは、藤井構成員、お願いいたします。
○藤井構成員 御説明ありがとうございました。
母子家庭のお母さんは基本的に社会保険の被扶養者となっていないと思います。医療保険は国民健康保険に入っていらっしゃるのではないかと思うのですが、年金は厚生年金の適用になると将来の老後の資金が増えていくというところがある一方、健康保険は国民健康保険と社会保険とで給付そのものは7割と変わらないと考えます。ただ、保険料が違うことや、あるいは先ほどおっしゃった傷病手当金があること等の違いがあるのですけれども、母子家庭のお母さんの立場から見て、国民健康保険と社会保険の適用、健康保険の適用になった場合の比較について、どのようにお考えになるのかを改めてお伺いできればありがたいと思います。
○赤石理事長 ひとり親世帯の場合には特に今、問題になっている年収の場合には、自治体によって違うのですが、ひとり親の医療費助成制度の対象になっていることが非常に多いかと思います。そのほかに年齢がさまざまではありますけれども、乳幼児医療費助成でありますとか、これが義務教育まで子供の医療費助成でありますとか、そういったものも自治体によってばらばらではありますけれども、行われております。ですので医療機関に行ったときの負担については、ある程度カバーされていることは多いかと思うのですが、問題は健康保険料を払っていなければ保険証をもらえないという世帯がある程度の率でいらっしゃるということでございます。
ひとり親世帯等調査でも、今、直近のデータは忘れてしまいましたけれども、保険料を払えないと答えている方が3%か4%いらっしゃったかと思います。同じように国民年金の保険料を払えていないので、非加入ですと答えている方もそのような数字でいらしたかと思います。ですのでそういった面から言っても、要するに医療費助成制度があったとしても、医療保険に加入するというところが経済的に難しければ、お医者さんにはかかれない方がいるということですので、そういう意味では医療保険、社会保険に入っているということは意味があることかと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。それでは、海上構成員、お願いいたします。
○海上構成員 詳細な御説明ありがとうございました。
先ほど、お母さん方が短時間労働を選ぶ、つまり、お金より時間を選ぶ一つの動機として、「おかえり」と言ってあげたい。家で小さい子供の顔を見たいというのがありましたけれども、これはもちろんそうあるべきだと思うのですが、残念ながら、せいぜい13~14歳までというか、そこから中学、高校になると帰宅時間も遅くなるし、帰ってからまた塾に行くだとか、いろいろと物入りになってくる。そう考えてると、幼いころは子供と一緒にいたいという動機でパートになりたいという方も多くいらっしゃいますけれども、それ以降はそういう動機は薄れて、時間よりお金を選びたい、より長く働きたいという思いのほうが強くなるのかどうか。そのあたりをお聞きしたいのですが。
○明石理事長 そうですね。中学生になれば子供も親はうるさいみたいなものですので、そんなにおかえりということの時間にというようなことは思わなくなると思うのですが、私どもがいろいろなセミナーとかでお母さんたちに言っているのは、そのときには遅いのです。転職活動、スキルアップとかそういうものを早めて、例えばお子さんが小学校の2年生ぐらいになって、1年生というのは小1の壁とかもございますので、その後にはもうちょっと頑張ろうかというお話をさせていただくのですけれども、そこがなかなか思い切りがつかないために、お子さんが本当に待ったなしで教育費がかかるころには、スキルもなく、単純なお仕事をすることしかできないんですみたいに思い込んでおられて、実際のところそういうチャンスがなく、そうなりますと教育費を出すためには夜、居酒屋さんで働くとか、ダブルワークにならざるを得ないというのが現実でございます。
ですので、もっと早期により収入が上げられるお仕事につきましょうということを申し上げてはいるのですけれども、今の話題で言えば、そういうふうにこま切れのお仕事を副業してしまう結果にもならざるを得ないということでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。それでは、平田構成員、お願いいたします。
○平田構成員 先ほど配偶者控除の壁とか社会保険の適用の壁は、本来は当人には影響しないはずだけれども、労働市場の関係で実際には作用しているという御発言がありました。これの背景というか、それについてもう少し詳しく教えていただきたいと思ったのですが。
○赤石理事長 手近に余り通勤時間とかもかけずに、そこにあるお仕事につく傾向というか、そういうものはひとり親の方に多いかなと思います。ですので例えば新聞の折り込みにあるようなお仕事ですと、被扶養の範囲ですみたいに書いてあるものがたくさんあると思うのですけれども、そういうものは気軽にできるとはいえ、多くの主婦の方が働いているというところで、実際には配偶者控除の範囲内であったりすることが多いのではないかと思います。だからきちんとネットでも探すかと思いますけれども、割と目の前の何かお仕事についてしまう傾向というのがありまして、そういうのは市場に多い仕事になるかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 それに関連しての御質問なのですけれども、手近にある職業につきやすいというのは、離婚する前、主婦だったからそういうふうになっているということですね。離婚する前にフルタイムになっていれば、そういうものにならないということですね。
○赤石理事長 私ども就労支援プログラムも運用しておりますので、お申し込みの方と面談でいろいろお話しますが、ブランクがあればすぐ働くのは前と同じような正規社員、大手で働いている方でもパートから始められていると思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、原構成員、どうぞ。
○原構成員 1つ質問をさせていただきたいと思うのですけれども、今のところでそういう働き方をされている方が多いという5ページのところですが、ではいざ適用拡大をしていこうという中で、児童扶養手当の壁、全部支給、一部支給の壁と先ほどお話がございましたが、これと何か影響することがあるのかということに関しては、どのようにお考えかお聞きしたいのですがいかがでしょうか。
○赤石理事長 そうですね。これは家庭福祉課の児童扶養手当制度の問題ですが、手当をもらうときのお母さんたちの意識の中にも、手当の全部支給ライン以上に働くと損をしてしまうのではないかという神話のようなものがありまして、それがたまたま130万円の壁とかいろいろなものと連動してしまっていたので、非常に強くなってしまったかなという感じはしました。これは気がつかれたというか、平成28年度の調査でパート・アルバイトの平均年収133万円という数字は非常に厳しい数字だと思いますので、160万円に上げるということがございました。
ですので、こういったものによって、実際のところは別に労働収入と就労収入の合計額は漸増していくようなモデルになっているのですけれども、誤解を生みやすかったということです。ですので誤解を生まないようなお話もしなければならないですし、よりその壁が上がっていくことも必要だったのかなということを御認識されたのではないかと推測しております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、大体予定していた時間になりましたので、これをもちましてしんぐるまざあず・ふぉーらむからのヒアリングを終了したいと思います。赤石様におかれましては、本日は大変お忙しい中、貴重なお話をいただきましてどうもありがとうございました。
続きまして、全国社会保険労務士会連合会からのヒアリングに移りたいと思います。椎名様、稲田様、どうぞよろしくお願いいたします。
○椎野労務士 改めまして、私は全国社会保険労務士会連合会の椎野と申します。
実は今回、このような席は初めてでございまして、ちょっと情報が前回の赤石様のようにきちんとした資料がないということをおわび申し上げて、まずお話をさせていただきたいと思っております。
現在、私ども社会保険労務士会というのは、ことし50周年を迎えまして、ある意味、半世紀を迎えております。そういう意味では御承知とは思いますけれども、私どもの業務というのは具体的に言いますと社会保障、労働法、労働保険ということになりますが、そういう意味では日常の業務の中で大変日々、そういう細かな業務をしておりますので、私どもの職員の事務所の全体像というのをちょっとお話をしながら、私ども社労士、そして、そこで働く職員の意識というものを、私の感想として述べさせていただければと思っております。
まず、現在、私ども社会保険労務士会の前年の登録者数というのが、全国で4万2039人ということで、大体4万2000人という会員がおります。年々割と2.2%ぐらい増としてスタートしております。
また、その内訳として、ほかの資料とはちょっと変わっておりまして、開業登録をしている、実際に社労士の業務を事務所として専門としてしているというのが開業登録という流れになっておりまして、これが2万6422人ということで、62%ぐらいというような数字で挙げております。
もう一つは勤務登録という形になりまして、各企業さんに社会保険労務士の資格を持っていながら、企業の中で仕事をしている勤務内社労士というようなことの2つの業務の中で遂行しているということで、勤務の方の割合というのが大体37%、4割弱となっております。
また、ほかの他士業の先生方もそうなのですけれども、法人の事務所というのが大体できておりまして、基本的には個人の事務所でありますけれども、最近は法人数は社会保険労務士法人として法人の事業所が大変ふえてきております。それが現在1,640ぐらいが登録されております。
あとは社会保険労務士の事務所というのは基本的に個人が運営しておりますけれども、社員が1人という社労士法人も中にはありますが、大体1社会保険労務士事務所は5人未満がほとんどであります。
こういった状況の中で私たち先ほど言いましたように、ある意味、社会保障の専門という形になっておりますので、日々の業務の中で私も今年度から社労士法人とさせていただきましたが、スタートのころには5人未満の小さな事務所をスタートいたしまして、日々の業務の中で企業さんの社会保障の年金、健康保険の手続をしているときに、職員にもきちんとした知識を得てほしいということで、できる限り任意で、任意包括という形で社会保険の加入をしております。多分、これは想像ですけれども、ほかの先生方の事務所も5人未満であれば任意で加入することができるという形なので、任意包括というような流れになっているのではないかなと私の感じとしては思っているところでございます。
事前に質問という項目で準備させていただいたものにつきましては、最近、労働力不足ということでどこの企業さんもそうですが、職員の不足が大変目立っています。人材不足ということで人がいないのは私どもの業界もそうですけれども、ほかの企業さんも多分そうだと思います。そういうところではやはり社会保険の適用ということは、特に若い方たちは社会保険の適用事業所かどうかというところは、きちんと皆さん意識が高くなっておりまして、以前については逆に言うと社会保険料が引かれてしまうことによって手取り収入が少なくなるので、加入は余りしたくないという方も中には多く見受けられましたけれども、今の若い方たちの認識というのは、できるだけ社会保険にちゃんと入って適用しているような就労形態を望んでいるということは、私の中でも実感をしております。
できたら適用拡大ということは私たちから含めれば、当然進めていっていただきたいという気持ちではおります。ただ、社会保険に加入するということは、実質、会社側にとったら賃金が上がる形になってきますよね。あとは社員の方の手取り収入というのもある程度下がってきてしまう。その辺のバランスで従来の未加入だった者が適用して加入するということについては、双方、要するに企業側もそうですが、社員側もそれなりの金額、企業から言えば金額が、賃金が上がっていくという実態と受けとめられますし、社員のほうからすれば、手取り収入が下がってしまうというような認識を持っているところが問題になるのかなと思います。
ただ、先ほどから前回の赤石様がおっしゃったように、社会保険に加入するということ、私たちの業務の中で企業さんにお勧めする場合には、できるだけ労働保険も労災含めて、労災と雇用というのが労働保険という形になりますが、これはどうしても必ず入ってほしいということをお勧めいたしますけれども、なかなか利益が上がっていない企業さんに対しては、社会保険はもう少し企業の安定した時点で、できるだけ努力をしてほしいというような勧め方はいたしております。
そういうこともありますけれども、社員側からすれば先ほど言った傷病手当金のような給付というのはあるかないか。要するにもともとの健康で健全に働ける状況ということが社会保障の基本だと思いますけれども、そういう意味でも社会保険に加入することによって健康保険が病気をしたときと、傷病手当金の生活の保障、そして公的年金につきましては国民年金の約倍の年金が支給されるというところからすれば、この辺は特に推し進めていくべきだろうと私の立場からすれば感じております。
それから、法定の今、個人事業でやって16業種に該当する場合ということで社会保険から除外されているところもありますが、例えば農業法人というのも最近とても広がってきております。ですけれども、農業法人だけではなくて、農業、畜産含めてのそういったところに適用することによって、働いている方たちの生活の安定ということも含まれるのだろうなと思っております。
私のほうで準備しました質問項目の回答を、今させていただきました。
○稲田社労士 引き続きまして、社会保険労務士の稲田と申します。よろしくお願いいたします。
社会保険労務士の社会保険労務士法というものがありまして、第1条の目的のところに、事業の健全な発達と労働者の福祉に資するということが目的になっています。私たち社会保険労務士は、経営者側だけでなくて労働者、経営者と労働者が安定するように、仕事ができるように潤滑油的な役割を果たしていると思っております。
そういう立場でお話をさせていただきますと、大きく分けると2つあります。まず社会保険労務士事務所を経営する立場として社会保険の加入について、あと、顧問先に関与する経営コンサルタント、社会保険労務士の立場、この2つの立場でお話をさせていただきます。
まず社労士事務所という立場で現状お話しますと、もともと5人以上にもかかわらず、とりあえず任意包括加入することができるという形になっています。ただ、現状、5人以上雇っている社労士事務所というのは、結構社会保険に任意包括をしているという現状があります。また、法人化をしていますので1人以上でも社会保険に強制加入となっている。あと別に例えば社会保険労務士事務所のほかに賃金計算の関係とか、コンサルとの関係という形で法人をつくって、株式会社とかをつくって、そこで社会保険に加入しているという形もあります。そういったことを踏まえてお話をしますと、基本的には社会保険労務士会としては個人で5人以上であっても強制加入になったほうが、そこについてはそこで働く人にとってもよろしい問題ではないかなと思っております。
あと、社労士会を初め各士業というのは顧問契約を締結して、コンサルタント、そしてアドバイスをやっていく立場であります。そういったところの士業が率先して社会保険に加入をしていかなければいけないとまず思っております。また、経費負担的な話をしますと、社労士事務所として5年以上働いているようなところは、社会保険の負担についても収入的にも安定していますので、問題はないと思っております。
一方、顧問先への関与という形での社労士としての立場をお話しますと、もともと社会保険というのは働く人たちが収入に応じて保険料を出し合って、いざというときの生活の安定を図るという目的でつくられた制度であると思っています。たまたま就職先の規模や業種によって社会保険制度の加入の状況があるのかないのか、加入できるのかできないのかということによって不公平が生じるのは間違いないと思っております。
あと、実際に私は今、健康経営というのと働き方改革を中小企業に広める立場でいろいろなお話をしているのですが、優秀な人材、きちんと働きたい、あと、安定した職業を希望するという方は、きちんと社会保険にそこの会社が加入をしているのかいないのかというのは必ず確認します。そういったところを確認しないと応募をしてきません。そういったことを考えると、社会保険の加入というのは適用拡大していくことがマストかなと思っております。
あと具体的な話できのう確認したのですが、今まで保険料、社会保険、国民健康保険とか国民年金を払っていないという話はまた別ですが、例えば給料月額20万、年収で240万ぐらいの人が国民健康保険と国民年金保険に加入した場合、大体2万7000円、約2万8000円弱の保険料を自分で負担することになります。一方、社会保険に加入をしている会社に勤めた場合は、健康保険と厚生年金合わせて2万8200円となると、その差額は219円になります。ということは、国民健康保険から社会保険に加入をしたとしても、本人の負担はそんなにはふえないということになります。
あと、そういった方から考えますと何が問題か。社会保険がなかなか実際は強制加入でなければいけないのにもかかわらず、進まないのは何が問題かといいますと、会社負担の問題が一番大きいのかなと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、ただいまのお話を受けまして、海老原構成員お願いします。
○海老原構成員 大変いいお話だったと思うのですけれども、結局、短時間のパートに関しては3号で会社で入っているのだから、足して入るのは嫌だという気持ちは労働者のほうにもあると思うのです。そうではなくて、30時間以上働いているようないわゆる普通に入れるフルタイマーの人たち、この人たちは入ったほうが損はしないという話ではないですか。特に労働者の側は損しない。ただし、企業の側は損をする。だから企業はなかなか入りたくないというお話ですね。端的に言えば。
そこで考えると、生活衛生営業だけが特権で5人以上なのに個人事業の場合、入らなくていいという古いものが残っていることが、かなり大きな問題ではないですか。ここに関して社労士のクライアントの方たちどう思いますか。特権だから離したくないと思いますか。正直に聞きたいんですここは。
○稲田社労士 正直言って、それは離してもいいと思っています。
○海老原構成員 いや、皆様方の話ではありません。士業の方はほぼ入られているのは存じているのです。士業ではなくて要するに飲食業とかクリーニング業とか理髪業の人たちで5人以上のクライアント。5人未満なら家族労働だからまだわかるのです。5人を超えるとれっきとした従業員ではないですか。この場合、事業者側が入りたがるか入りたがらないか、正直な話、聞きたいのです。
○稲田社労士 正直なところ、入りたくないと思っているところが多いかと思います。
○海老原構成員 私はおかしい特権だと思っているわけなのです。5人以上だったら必ず入らなければいないのに、ここだけが入らなくていいというのは特権ですよね。ここは何とか改善していく余地はあるのですか。
○椎野社労士 実は実際、私どもの業務で感じていることは、その企業さん、特に5人未満というと飲食店が多いと思うのですが、そこが経営状況によっても考えが違ってくることは正直あります。
○海老原構成員 5人未満のところはまだしようがないと思うのです。5人未満のところは私が調べた限り全従業員で200万人ぐらいなのです。資料の中にある300万人との差の部分、50万から100万ぐらいが5人以上の生衛業だと思うのです。この5人以上の生衛業で少なくとも50万人も厚生年金未加入者がいるのだったら、かなりなボリュームになっているのではないかと思うのですが。
○椎野社労士 私の範囲の中でと申し上げるしかないのですけれども、そういう意味で強制適用ということになると思うのですが、そのところの会社さんは比較的好意的に加入はしていらっしゃる。
○海老原構成員 いや、生活衛生事業だと強制にならないではないですか。会社ではなくて個人事業の場合だと。この個人事業の5人以上で、しかも生活衛生系の事業というものに関しての事業者側は、どうおっしゃっているかというお話なのです。
○稲田社労士 生活衛生関係が今のところ余りなくて、はっきりとしたお答えができません。
○海老原構成員 わかりました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょう。山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 先ほど昨今は求職者も、特に若い方は社会保険に加入しているかどうかということで企業を選ばれるということです。これは事業所から見ると人材確保のためには社会保険に入るということが、実は人材獲得という面ではメリットになるのではないかという話だと思うのですけれども、クライアントさんとかでお話をされているところで、それ以外のメリットみたいなところを口にされるようなこと、聞かれたことがあるか。あるいは考えられているかということです。
もう一つは、任意適用事業所でも500人以下というのは任意だと思います。その中でも実際には適用されている事業所もあると思うのですけれども、クライアントさんの中にもしそういう方が、そういう企業がいらしたとしたら、どういうところにわざわざ任意にもかかわらず、あるいは短期的にはなるわけですけれども、入られているのか。その辺の情報があれば教えていただきたいということです。ある範囲で。
○椎野社労士 私の知っている範囲で申し上げるということで御了承いただきたいと思っています。
確かに経営者の考え方は1つだと思います。特に中小企業というのはオーナー会社の社長が多いものですから、その社長の考え方で社員を大切にしていきたい。先ほどおっしゃったように健康経営、社員の健康のためにも気を使ってあげたい。そういう思いを持っている経営者の方であれば、任意拡大をしても説明すると確かにそうだよねという言い方で前向きに検討してくださっていると思います。そこら辺の経営者の考え方一つで随分変わってくるのではないかと感じております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 労働市場の関係で、人材不足の中で社会保険適用が人材確保のための一つの大きなポイントとなってきているのではないかという御意見がありましたけれども、将来的には就労人口が減っていくという中で、これから短時間勤務で、かつ、社会保険の適用がないという、そういう方々の労働力を基本とした事業というのは将来的にどうなっていくのか。社会保険労務士会から見てどういうふうに見えているのか、もし御所見がありましたらお聞きしたいと思います。
○稲田社労士 まず1995年が生産年齢人口のピークだったのです。8717万人いたところ、2045年ぐらいには五千何百万人かな、相当落ちます。結果的に生産年齢人口、働き手がいないとなりますと、適用拡大も含めて、社会保障も含めて、きちんと手当をすることによって安心して働けるような人たちが、今まで働けなかった人たちが一歩踏み出せるような形になっていくのではないかというか、そうしていかなければいけないのではないかと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
佐久間構成員、どうぞ。
○佐久間構成員 社労士のプロの方に社会保険制度についてお伺いするのも何なんですが、今、「社会保険労務士」という業界だけで見ますと、常時5人以上の方を使用する社労士事務所については、ほとんどが厚生年金など社会保険関係は加入しているというお答えをいただきました。
実際に5人以上の方を使用する個人の社会保険事務所について、本当にどのくらいの数が加入していらっしゃるのか。また、個人で5人未満の社会保険労務士事務所の方々がどのぐらいが加入しているのか。このへんの数値がもしわかれば教えていただきたいと思います。
士(サムライ)業である弁護士さんとか、税理士さん、そして社会保険労務士の皆さんは、業務として、また、名称としても独占業務なわけです。特に社会保険労務士の資格を持たれていて、独立されている方々は、「働き方改革」により、私から見るとかなり忙しくなってきて、収入の面では非常に名称独占業務の中でも比較的仕事が結構あり、収入や収益も増加してきていると思います。これは失礼な言い方だったかと感じられたら、ごめんなさい。このような言い方をして申し訳ないのですけれども、先ほど海老原先生からもありましたけれども、その場合、5人未満の事業所の方であってもある程度報酬がある方は、強制適用業種として業務や名称の独占業務の方々は全部入ってもいいのではないかとか、そういう思いはいかがでございますか。
○椎野社労士 確かに私たち、先ほどもお話をしましたように、日々の業務の中で適用ということ、要するに社会保険の適用、こういう企業さんだとか職員にも言っていますので、そういう意味では灯台、紺屋の何とかではよくないということで、きちんとした知識を職員にも伝えるためにも、そういったルールはまず自分たちからスタートしていきたいと思っている社労士が多いのではないかと思っております。
ただ、先ほどからお話と今の御質問から外れるかもしれないのですが、今、問題になっている外国人労働者の方の就労問題につきまして、この辺の適用というのが大変微妙なニュアンスがあると思います。というのは、年金というのも一時的に、帰化して日本国籍を取っている方というならきちんとお仕事はなさいますが、そうではない方も中にはいらっしゃると、この社会保険の適用というのも大きな壁になるというか、問題になっていくのではないかと思っています。済みません、御質問から外れてしまったかもしれないです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 現行では短時間労働者の社会保険適用の基準で、企業規模要件で言うと501名以上で非常に大きいギャップがあるのですけれども、業種によっても例えば適正規模といいますか、そういうものは全く産業によっても違うと思うのですが、現行では501名というところで明確な企業規模による差をつけているという現状なのです。社労士としてのお立場からすると、この企業規模要件の合理性といいますか、このあたりどのように考えていらっしゃるのかなということと、もし仮に企業規模要件というものを変えていくという方向にあるとするならば、その際にどういう点に注意をしてこれを変えていくべきなのかというお考えがあれば、少しお聞かせいただきたいのですが。
○椎野社労士 私の私見というか、感じだけでお話をしてしまうかもしれません。少なくとも私が今、感じていることは、業種によってとかよく景気がいいとか悪いというお話があったと思うのですが、最近は企業さんが、例えばこの業界は厳しいという業界ですら利益を上げているところと、全くこれから将来性がないという、企業さんの見方、1企業ごとに、業界の考え方ではなくて、企業単位でどう努力をしているかというところの格差がすごく広がっているのだろうなと感じております。
そういう意味では、先ほど単純に501人以上がとか、それは将来的に全部20時間以上の社員については、社会保険の適用をするという方向の経過措置だと思うのです。だけれども、そういう将来的な流れの中で、それに耐えられる企業と耐えられない企業、だから単純に人数で私ははかれるものではないというふうに、特に最近感じておりまして、その企業一社一社の努力がどうあるべきかというところで、先ほどちょっと申し上げましたように経営者の感覚で経営者がどう思っているかによって、適用拡大というのは進むのではないかと感じております。不十分で申しわけありません。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
それでは、これをもちまして全国社会保険労務士会連合会からのヒアリングを終了させていただきます。
椎野様、稲田様におかれましては、本日は大変お忙しい中、また、大変難しい質問に対して御対応いただきましてどうもありがとうございました。
それでは、これにて終了したいと思います。
続きまして、一般社団法人全国スーパーマーケット協会からのヒアリングを行いたいと思います。増井様、どうぞよろしくお願いいたします。
○増井副会長 全国スーパーマーケット協会の増井でございます。
本日はこのような席にお招きいただきまして、ありがとうございます。
私の話が的を射ているかどうかどうかわかりませんけれども、こういうことは初めてな経験でございますので、的外れになることがあるかもしれせんが、一つこの資料を見ながら御説明をさせていただきたいと思います。
皆様のお手元にお配りをしてございます「社会保険適用拡大に関するヒアリング資料」ということでございますが、まず最初に6ページからお開きいただきたいと思います。ここは結論が出ております。その結論というのは、私ども全国で約1,000社スーパーマーケットがございます。大体2万店舗展開しているわけでございますが、うち、売上高が年間50億円未満という小さいスーパーが48%でございます。あるいは500億円未満の店舗といいますか、お店というか会社が90%、ほとんど中小のお店、スーパーで構成されているということが前提としてございます。
また、6ページの売上高利益率をごらんいただければおわかりになると思いますけれども、利益率が1%でございます。1%ということは、100円のほうれんそうを売って1円残るか残らないかというのが私どもの今やっていることの基本でございます。この辺をまず御認識していただきたいと思います。
そういう中で、大変私ども今、売り上げがここ何カ月間か減少しておりますし、また、以前の消費税が増税されたときにも大変厳しい思いをいたしてまいりました。そういう中でコンビニエンスストアさんですとか、ドラッグストアさんですとか、あるいは今ではネットスーパーさんですとか、そういう非常に多くの競合、多店舗、いわゆるオーバーストアの中で、大変売り上げが厳しいということがございます。
また、後で御説明申し上げますけれども、それぞれのコストが上がっている。あるいは人手不足は本当にまさに深刻なものでございます。こういうような私ども中小スーパーにとりまして、社会保険の適用拡大というのは今の時点で考えてみますと、非常に困難なものということはございます。これは決して経営者がやりたくないということではなくて、実態を見てみますと、この1%の純利益の中でそれ以上の経費をかけるということは、大変厳しいということがございます。
このようなことから、大変厳しいということを結論として持ってきております。ですので企業負担を軽減する措置ですとか、あるいは国家予算を大きく見直していただくというような切り口も必要なのではないかと個人的には考えております。このようなことで私どもスーパーマーケット協会としては、大変厳しいということが言えるかと思います。
それでは、最初のページに行っていただきまして、まず皆様方に私どもスーパーマーケット協会の概要を御案内申し上げたいと思います。
よく皆さん、ふだん御利用を大変いただいていると思っておりますけれども、私どもの業界は約1,000社の企業群でございまして、売り上げ規模は約30兆円でございます。しかし、この売り上げ規模30兆円というのは、実はアリババが11月11日に独身の日でやる売り上げにも満たないというのが実態でございます。これは余計な話でございます。そういうことで売上高は約30兆円で2万店舗ございます。
この中で中小・小規模企業が非常に大きく、下の円グラフをごらんいただきますとわかりますように、およそ半分が年商50億円未満、従業員が100名未満でございます。また、保有店舗数では、7割近くが10店舗以下の本当に細々としたチェーンと言っていいのかどうかわかりませんが、そういうような展開になってございます。また、パートさん、アルバイトさんの総数、これは2016年の商業統計調査によりますと、おおよそ35万人。全従業員に占めるパートさん、アルバイトさんの割合は約75%程度と、大変多くの方に働いていただいてございます。
それでは、ここから事前に御質問いただいた内容に沿って御説明したいと思います。
まず人手不足に関してでございますが、スーパーマーケットは年々人手不足が深刻になっております。昨年行いました調査では、充足定員の18%の不足との結果が出てございます。最も足りない部門というのはレジ部門でございます。これは皆さん現金を扱いたくないということが根底にあるかと思いますが、そのようなことでレジ部門は人が集まりにくい。あるいは総菜部門、水産部門、このような加工技術を必要とする部門に対する人手も大変不足をいたしております。
また、全国的な人手不足の影響あるいは最低賃金の引き上げなどの影響を受けまして、時給の上昇が続いております。これは3ページの右下をごらんいただければおわかりになるかと思います。都市圏では平均時給が942円、前年から比べれば28.4円上昇しております。また、地方でございますが、820円ということで時給が上がってございます。このようにじわじわと人が足りないということで時給を上げざるを得ない。時給を上げてもなかなか集まっていただけないというのが実態でございます。
続きまして、2016年の社会保険適用拡大による影響でございます。こちらも昨年の調査でございますが、適用拡大の対象従業員がいた企業が51店舗以上で9割以上。26店舗以上で7割以上という結果が出ております。また、対象従業員につきましては、労働時間を短縮するなどして適用外としたのはおよそ4分の1、特に調整を行わずそのまま適用した従業員数が4分の3となってございます。
また、対応した企業の意向を見ましても、働き手さんの希望に任せるとする判断が過半数を超えております。調整を行おうとした企業は17%にとどまったということから、2016年の適用拡大については労働時間の短縮につながったのかなということが言えると思います。
最後に、今後の適用拡大に向けての課題でございますが、足元の私どもスーパーマーケット業界は、3カ月連続で売上高の既存店前年同月比がマイナスとなっております。協会全体、長期的に見れば非常にダウントレンドでございます。また10月に消費税が増税されたり、軽減税率があったりということで、非常に事務手数料にかかるコストも恐らく増大するであろうということが予想されてございます。そういう中でも中小・小規模企業の低迷といったものが顕著になってございます。
この折れ線グラフでございますが、大変見にくいのでございますけれども、総売上高の既存店前年同月比の推移をあらわしております。棒グラフが示すのはスーパーマーケット業界全体と、店舗別に集計した前年同月比の乖離幅をお示ししております。ごらんいただくとおわかりになりますように、乖離の幅が非常に拡大傾向にある。4%以上の拡大になってございます。
そして、これは最後になりますけれども、帝国データバンクさんの財務データを使いました企業規模別の営業利益率を載せてございます。中小零細企業の営業利益というのは1%前半から1%を切る水準で推移しております。先ほどの売り上げの低迷が加わることでね直近ではより一層、低下をしているということが推察されてございます。このような中で人手不足の対応が十分に進んでいないということを示しているのが図表12になっております。なかなか中小ですと人手不足感というのは非常に高い、なかなか集まらないということでございます。
このように多くのパートさん、アルバイトさんの労働力に支えられ、かつ、決して順調とは言えない経営を強いられている私ども中小スーパーマーケットに対して、このような社会保険料の負担がふえるということは大変厳しい状況になるのではないかと考えてございます。
とにかく私どもは地域に根差すスーパーマーケットというものは、地域の食を守り、あるいは食文化を守るライフラインであると言えます。また、地域のコミュニティーの中心を担う存在でもございます。これでその明かりが消えることがないように、格段の御配慮をお願いしたいわけでございますが、たまたま2011年3月11日、昨日でございます。東日本大震災が起こったわけでございますが、この中で安倍首相は、警察、消防、自衛隊、役所の皆さん頑張っていただいたと。こういう話をされておりました。1つ抜けていると私は思うわけです。やはりその中で最後のライフラインをきちんと守ったのが私ども中小のスーパーなのです。地震のあったその日の夜に、皆さん車のライトでお店を照らして、そこで避難されてきた方、被災の方、そういう方々皆さんに食料をお渡ししたというようなことがございます。ですから安倍首相はもう一言、中小スーパー頑張ったなと言っていただければもっとよかったのですが、この火が消えるということが本当に日本の地方創生にとってプラスになるかどうかということではないかと思っております。
そういうことで、私ども例えばそのような適用拡大が行われることになれば、できる限り企業の負担を軽減する措置をとっていただきたいと考えております。
私ども全国スーパーマーケット協会からの御報告は以上とさせていただきます。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見、御質問を承りたいと思います。河本構成員、お願いします。
○河本構成員 1点、質問をさせてください。4ページ目で先ほどの御説明の中で、前回の社会保険の適用拡大のときに、労働時間を調整して適用外とされた方が24%というお話がございました。おわかりになれば教えていただきたいのですが、継続的に社会保険に加入とされている75%の中で、適用拡大によって手取り収入が減ることに対して労働時間をふやして対応したという方が含まれているのではないかと思いますが、それがどのぐらいの比率かというのはおわかりになりませんでしょうか。
○増井副会長 済みません、その辺は明らかになっておりません。申しわけございません。
○河本構成員 そうですか。調整して適用外にされた方が24%おられて、逆に前回のほかの業界さんのヒアリングの中では、手取り収入の減に対応するためにふやしたという方もそこそこおられるようなお話があったものですから、ちょっとどうだったのかなということでお伺いしました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 最初に、私は札幌の人間でして、北海道地震では大変流通関係の方々が必死になって食料品とか確保していただいたということに関して、感謝を申し上げたいと思います。
それは置いておきまして、適用拡大の対象者がいた企業がありますけれども、例えば適用拡大になったスーパーから、逆に適用がされていない中小のスーパーに労働力移動があったのかどうか、もしわかれば教えてほしいということと、労働力不足というのはすごい強調されているのですが、例えば事業主として逆に長く働いてもらうようなモデルをつくっていこうということを考えているのかどうなのか。労働力不足の考え方であれば、パートさんよりも逆にフルタイムに近いほうがよりいいような気がするのですが、その辺はどういう考え方なのか少し教えていただきたいと思います。
○増井副会長 基本パートタイマーさんでもアルバイトさんでも、お客様にとってみれば社員でございますので、当然それはスキルあるいは商品知識等々を見ますと、お客様にはわからないことでございますので、そういう意味では非常に社内教育等も含めましてスキルアップを図っているということが今、言えるかと思います。しかし、経費の中で一番高いのは、当然仕入れコストが一番高くなるわけでございます。その次に人件費ということが来ますから、その辺をどう抑えつつ、スキルを高めていくかということが考えなければいけないことではないかなと、お答えになっているかどうかわかりませんが、考えております。
○平川構成員 あと、例えば大きなスーパーから小さなスーパーへの労働力移動があったかどうかというのは。
○増井副会長 ちょっとわかりませんね。非常に離職率が高い職場とそうでない職場というのが恐らくあると思うのです。例えばレジですとか、先ほど申し上げましたように鮮魚ですとか、精肉というようなところはなかなか定着率が高くない、低いということもございます。ですからそれがおやめになって、他の条件のいいところに移るかどうかというところの統計というのは、今のところございません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。それでは、榎本構成員、お願いします。
○榎本構成員 非常にわかりやすいプレゼンテーションをいただきまして、本当にありがとうございました。厳しい状況の中で日々頑張られていることが改めてわかりました。
2点ほど質問なのですけれども、1つは前回の2016年10月に適用拡大があったときに、現にかなり厳しい状況に置かれた商店主あるいは企業の方がいらっしゃったという声があったらお教えいただきたいのと、また、人手不足で18%の不足分があるとご説明いただいたのですが、最後のページに例えばプロセスセンターを導入するとか、セルフレジを導入するという打開策も御提示いただいているのですが、さはさりながらこれは経費もかかる話で、こういったことができないということになったら、中小のスーパーさんはどういう状況に置かれてしまうのか。これは副会長様の御感覚で結構なのですが、御教示いただきたいのですが。
○増井副会長 恐らく大変厳しい状況になって、閉じざるを得ないことになってくるのではないかと想像されます。ただ、こういう例えばプロセスセンターあるいはセルフレジ、自動発注システムというような設備投資をしなくても、生き延びる道というのが片方であると思います。というのは、その地域地域に根差した産業というのはスーパーマーケットだと思うのです。その地域に根差すということは、その地域に住むお客様一人一人と常に会話ができるというような立ち位置に私ども常にいなければいけない。そうすることによってその地域に必要なものになっていくだろう。ですからたとえ純利が1%であっても、その地域に貢献していくためには生き残る努力をしているということだと、このように私は願っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。永井構成員、どうぞ。
○永井構成員 御説明ありがとうございました。
逆の側かもしれませんけれども、労働組合の立場で少し話させていただきます。事情は十分共有させていただいている立場で申し上げたいと思っております。私どもの組合員でも今、スーパーマーケットで働く方々の働き方とか属性が非常に多様化していると思っております。少し前であれば主婦が個人のニーズから、家から近いところとか、育児などの制約の中で短い時間働くということが多かったと思いますが、昨今ですと私どもの調査でも独身の男性や、再雇用の方、高齢者の方、シングルマザーといった、働き方が多様化してきていて、主婦パートの働く場ということからは少し変化があるのだろうと思っております。そういった中で、今までもお話にあった人手不足感とか、安定した雇用といった話の中では、無期転換をするとか、多様なという意味も含めて社員化をするとか、そういうことで社会保険をきちんと適用して長く働いてもらうといったような動きは、特に中小が多い貴協会ではどうなのか、教えていただければと思います。
○増井副会長 それは恐らく永井先生も状況はおわかりかと思うのですが、私どもとしましても、とにかく安心して働きやすい環境をつくるというのは、これはお客様に対する一つのベースになってくる。あるいはその企業に対するロイヤリティーあるいはモチベーションといったものになるかと思いますので、非常に現実とのギャップというのが恐らく大きくあると思います。ですからその辺はそれぞれ個々の企業さん、あるいは働く方の意識、こういったものによってくるのではないかと私は考えております。お答えになりましたでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。海上構成員、お願いいたします。
○海上構成員 どうもいろいろなデータ、数字でわかりやすい説明ありがとうございました。
私もいろいろスーパーの経営者の方々とお話をする機会があります。よく「スーパーでレジ打ちでもしようかしら」みたいな、あたかもお手軽なパートやアルバイトの一つかのような言われ方をされていますけれども、実は「レジ打ち」の方々こそ、すごいスキルワーカーであって、同時に最前線の接客担当でもあることから、あの方たちの動き一つで顧客がつくかつかないかという結果が左右されたりする。また、惣菜部門だとか陳列の担当者さんの技量も売上に影響する。そういうプライス以外のことで、結構、客がついたり離れたりということが多くあると聞いています。
そんな中で、レジを打たれている優れた人材の育成とか、定着の問題を考えるならば、より長く一緒に働いてもらいたいというか、安定してやっていきたい。特に、近隣から働き手を募集することが多いので、賃金の相場だとか社会保険の適用なども含めた条件や待遇が地域社会に知れ渡るものですよね、スーパーの求人というのは。そういう見方をするると、一つの考え方ですけれども、社会保険の適用だとか、働き手に対する厚い待遇といったものが逆にプラスに働いたりとか、そんなこともあのでしょうか。それから、全国スーパーマーケット協会さんは非常に研修等も進んでいらっしゃるところで、よく統一研修とか店長研修とかやっていらっしゃるのを存じ上げております。とても体系的な教育、啓蒙活動ができる団体様だと思うのですが、そういった活動の一環として、例えば、働き手に対する厚い扱いをこれからすることになるから、経営者の方たちも理解を深めたらどうかというような、そういう啓蒙活動もできる余地というのはないのでしょうか。
○増井副会長 大変難しい御質問でございまして、確かにレジはお客様によってはこの人でなければ嫌だという方が確かにおいでになります。ですから忙しいレジとそうでないレジが分かれます。これは実際うちがそうでございますから、そういう例がございます。
私ども協会ではS検というスーパーマーケット検定試験というものがございます。これはレジ部門ですとか、あるいはそれぞれの各部門の教育をしていこうということで、私ども年間にスケジュールを立てて、その講習はトータルでいろいろ食品表示とかございますけれども、恐らく7,000~8,000人の方が受けておいでになります。特にレジ部門におきましては3級、2級、1級という形で教育の制度がございまして、そのために年に何回か検定試験も行っております。ですから1級を受けるということは本人のみならず、会社にとっても非常に名誉なことだというような位置づけになってございます。
ただ、ある意味裏返しがございまして、客様からは1級のバッジをつけていると、「あんた何よ1級なのに」というような苦情をいただくことも裏側にはございます。そのようなことも実際にあるのですけれども、私どもで今、働き方改革プロジェクトというものを今、進めております。これは座長というかリーダーは阪急オアシスさん、私どもの協会の副会長が務めておりますが、そこで働き方改革を進めることによって、いかに働く人にとってプラスになるか、あるいは企業にとって生産性を向上できるかというようなことを、恐らく10社ぐらい集まって検討をしているということでございますので、恐らくそういう中でそういうことが議題に上がることは今後考えられるかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかよろしゅうございますか。原構成員、どうぞ。
○原構成員 大変細かいデータの説明ありがとうございます。 最後、整理で確認なのですが、4ページのところの調査は非常に興味深いのですが501人以上の適用拡大の対象者がいるところだと思うのですけれども、この中ではグラフの下の真ん中にもありますとおり、社会保険に労働時間等を調整せずに加入した人が75.9%で、理由としては企業の意向としては働き手の意向に沿う形というのが半分以上であるという、割とプラスのイメージ、結果が出ているように思われます。赤字にあるとおり、これまでの適用拡大というのは、これまでというのは改正だと思うのですが、労働時間の短縮につながったという例は少ないということで、しかも、ある程度適用と今なっているところについては、働く方の意向に沿ったというところが半分位で、社会保険に加入している人が75%いるということかと思います。
ただ、一方で中小のそれより店舗数が少ないところにおいては、人手不足が非常に深刻である一方、経営上の問題で事業主負担ということもあって、最後のページにあったとおり適用拡大は厳しいというように分かれているということかと思います。図表12にあるとおりセルフレジとか今、進んでいるかと思います。私そういうことを徐々にですけれども、割とたくさん店舗をお持ちのところは導入をして、これが徐々にではあるかもしれません。設備投資もかかるかもしれませんが、進んでいけば、ある程度の部分はまず対応できるということがあるかもしれませんし、中小スーパーの今の人手不足の深刻化ということに対応するに当たって、大きなところからの流れといいますか、働き手の意向に沿う形で適用拡大というものが、人手不足の中小のスーパーにとってその対処法とはならないのでしょうか。それよりも経営のほうが厳しいということかもしれませんが、そのバランスだと思うのですが、その辺りはこういった流れを汲んで今後の見通しについて再度、確認させていただければと思いますけれども、いかがですか。
○増井副会長 そうですね。恐らく今の取り巻く環境、競合状況を見ますと、昔のスーパーの位置づけと今の競争環境というのは、本当に比べものにならないほど厳しくなっているというのが実際だと思います。ドラッグさんを見ましても、ドラッグさんの売り上げのほとんどが食品なのです。ですからそういうことを見ますと、希望的観測は言えますけれども、実際の現場といいますか、経営をされている方の実態を考えますと、そうは思えども、実態としてなかなか実際にできないというのが本音のところではないかと思っております。中小においては特に。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大体予定していた時間になりましたので、これぐらいで一般社団法人全国スーパーマーケット協会からのヒアリングを終了させていただきたいと思います。
増井様におかれましては時間をとっていただきまして、どうもありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。
続きまして、一般社団法人日本惣菜協会からのヒアリングに移りたいと思います。清水様、どうぞよろしくお願いいたします。
○清水事業運営本部長 一般社団法人日本惣菜協会の清水でございます。
本日は、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。
惣菜協会の意見を述べさせていただきたいと思います。
現在、日本惣菜協会では583社加盟しておりまして、全国各地のお惣菜製造業を中心とした企業さんが参加されておられます。お惣菜といいましても煮物でございますとか、煮物を中心とした和惣菜、サラダを中心とした洋惣菜、また、中華惣菜、お弁当、寿司、調理パン、調理麺等々、そういうものを製造しておりまして、お惣菜と中食市場というふうに時々皆様も目にされると思いますけれども、お惣菜はメニューでございまして、中食は食シーンでございます。家庭内食で、御家庭で調理して食べるのは家庭内食。ホテル、レストラン等で給食等で食事をとられるのは外食というふうに呼ばれておりまして、例えばオフィス、公園、運動会、ハイキング、海とか、いろいろなシーンで食事をとれるという食シーンを中食というふうに呼んでおりまして、この市場規模は毎年拡大しておりまして、2017年の市場は10兆円を超えたところでございます。
そして、なかなか課題も多くて、例えば平均給与でございますけれども、経産省のデータですが、製造業中心は約500万円ということでございますけれども、食料品製造業におきましては約300万円ということでございます。惣菜製造業はさらに低いということが推測できます。また、生産性でございますが、食品の製造業の生産性の平均が約1000万ちょっとでございますけれども、寿司、弁当、調理パン製造等は、約500万を切るという生産性の低さということでございます。
そういう環境の中で有効求人倍率は平均1.54と言われておりますけれども、食料品製造業は2.78と異常な人手不足という状況でございます。そういうものに対して日々従業員と一緒に、大切にしながらいろいろな施策を打っているのが現状でございます。
それでは、この文書を見ながら御説明をさせていただきたいと思います。惣菜・中食の業界は、日本の伝統食を継承する役割を持っております。昔、お母さん、おばあちゃんがおつくりになったお惣菜を全国各地でおつくりになって、主婦の代行業という使命を持って製造をしております。
また、ショートライフでございます。鮮度保持の観点から地元の製造販売会社でございまして、特に今、申し上げましたように労働集約型産業ということで、小規模の事業者が全国各地に集まっておりまして、そして、そうは言いながらも皆さんの人口動態、食生活の変化によりまして市場規模は拡大をしておりまして、連続拡大をしておりまして、一昨年は10兆円を超えましたということでございます。そういう意味では、惣菜は今や日本の食生活のインフラとなっておりまして、さらにこの役割は重要だと認識しております。
一方、業界では市場規模拡大に伴いまして、今、申し上げましたように人材確保にさまざまな施策を行っておりまして、高齢者の定年延長でございますとか、時短の労働者の御活躍でありますとか、外国人労働者の採用ということで、本当に苦労しながらやっております。このような中で最近、働き方改革ということで有休の取得、残業の削減、また、最低賃金の増加、そして消費税増税に伴ういろいろな設備投資、食品衛生法の改正がこの15年ぶりに行われました。HACCP導入に当たって各工場も衛生管理を充実しなければいけないという環境でございます。また、表示法の改正が連続して行っております。これらは全て企業側のコストアップでございます。そこに置く中で、複数同時期に展開されているというのが現状というところを、皆様方に御理解いただきたいと思います。
このたびの短時間労働者に対する被用者保険適用拡大の検討に当たりまして、年金等の保障を厚くするという観点は、私たちも賛同するところでございますけれども、それに伴う事業者の負担の増大は大きいと認識しております。
御質問にありました課題を申し上げますと、短時間労働者に対する社会保険適用と企業経営の影響ということで、2016年に改正がございました。これは比較的大規模な企業が対象ということでございますけれども、17年の事業者の純利益は、社会保険料のアップとして約5%の営業利益に影響があったと聞いております。
課題2でございますけれども、時短労働者に対する社会保険適用拡大が、働きたい人が働きやすい環境を整えるための対策になっているのかいないのかという観点でございます。そういう面では協会の調査によりますと、収入に応じて就業調整する考え方を優先し、本来、事業者とともに調整すべき働き方の多様化とは逆に、両者の条件の不一致なケースが発生し、就業調整が複雑になり、働きやすい環境を整えることは逆行する効果になりましたということでございます。先ほども質問がございましたように、働く時間を少なくして適用除外とした対象者が53%、時間を延長して収入をしっかりと確保して対象になったという方が47%という結果でございます。このように現状よりも働く時間を少なくして適用外と判断した人が多いということは、また労働力不足に拍車をかけるという結果になったということだと認識しております。
先ほどもいろいろ御議論がありましたように、適用拡大を望まないという理由としましては、収入は得たいが、家庭環境により短時間就労を希望したのに、現状より手取りが減るのであれば仕方なくやめる、もしくは延長するという判断でございます。家庭環境により短時間就労を希望したのに、現状よりも手取り収入が減るので減らすということでございます。また、健康保険、配偶者控除という点も時短の選択をされる方が多いということでございます。特に企業自体は地元密着型ということで、非常に通勤圏内に近いという主婦層の方々の力を頼ってお惣菜をつくっているというのが現状でございます。
短時間労働に対する社会保険適用拡大と現地企業の影響ということでございます。惣菜は今、申し上げましたように、日本食を伝承する意味で鮮度保持のために必要な現地生産を基本としております。適用拡大は特に地方に多い中小企業者への企業負担の増大ということで、経営が悪化するおそれがございます。また、地方の短時間労働者の雇用機会を失わせることになり、人手不足による業界発展の阻害要因にもなるのではないかと認識しております。
経営悪化によりまして、地元の短時間労働できる企業が少なくなる。そのために郊外の企業まで通勤し、就労するだけの時間的余裕がないために、生活に影響のない範囲で就労を限定するということでございます。
重複いたしますが、短時間労働に年金等の保障を厚くするという観点は、賛同するものの、現行制度の適用拡大にすることは、短時間労働者や事業者の負担増大を示しております。特にこの時期に企業経営に大きなダメージを与えるのは確実でございます。また、働きやすい環境を整えることとは逆行するという結果が出ているため、本件につきましては慎重な対応をお願いしたいというのが惣菜協会の見解でございます。
以上でございます。よろしくどうぞお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御発言について御質問、御意見等を承りたいと思います。
それでは、海老原構成員、お願いいたします。
○海老原構成員 私もいつも使っております。ありがとうございました。
早速質問をしたいのですけれども、惣菜って正直、内容量をちょっと減らすとか、10円高くするという形で幾らでも最終価格で調整できるではないですか。そう考えると事業者負担は負担する分高くしたり減らすので、どうにかかわせられるのではないかと思うのです。それよりも圧倒的に働く人の気持ちのほうが大きいのではないかなという気がするのですけれども、そこはいかがですか。
○清水事業運営本部長 御意見ありがとうございます。惣菜市場が伸びてきた理由は、生産者の方の努力が非常に大きいと思っているのです。消費者は非常に厳しい選択をされておりますので、御家庭で食べるよりもまずいというものはほとんど売れません。例えば本当にグラムを少し減らすだとか、高くするとか品質を下げるとか、もう一気に消費者は離れます。そんな簡単なものではないというのが状況でございますので、あとは御販売先との売価をいかに上げていくか。日本の食品自体が欧米諸国を見ましても非常に安い価格で提供されていると思うのです。これがなかなか本当に業界を挙げての課題ではないかなと思っております。一消費者になると安いほうがいい。しかし、業界に行くとあと2~3割上げてもこの品質は十分堪えるなというものがたくさんございますので、ぜひお力添えをいただきたいというのが本音でございます。
○海老原構成員 追加でお聞きしたいのですけれども、やはり私は働く人の気持ちが短時間でいたいと思っているのではないかなという気がしてしまうのです。実は食品製造業はかなり技能実習生が多い業界ではないですか。惣菜に関してはまだ4年ぐらいしか歴史がないですけれども、もともと多かったところですよね。彼らを雇うと最低賃金の上に団体管理費でかなりお金を払うではないですか。結局、物すごいお金を払っていて、社会保険料では全然関係ない。もっともっとたくさんのお金を払っているではないですか。それでも何とかやっていけるということは、会社はそこそこお金があるけれども、どちらかというと働く人が私短時間で社会保険料を払いたくないというほうが、ここは働く人の気持ちのほうが強いのではないですか。
○清水事業運営本部長 ただいまの御質問は、働く方々が短時間で社会保険料を払いたくないという意見が多い。
○海老原構成員 そっちのほうが強いのではないかと。
○清水事業運営本部長 ヒアリングをしますと、それが非常に多い。例えば先ほど傷病手当とか、そこまで詳しいことはわからない。また、会社が半分負担しているというところまで御存じないという方も非常に多いと聞いておりますが、短時間労働者の方々に関しましては、社会保険料を払ってまで時間を延長したいとは思わないという状況でございます。
また、外国人労働者も製造業は今、技能実習生は4年目になりますが、3万数千人、今、働いていただいておりますので、この方々がいないと本当に商品がつくれないというのが今の状況でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 詳細な御説明ありがとうございました。
参考までにお伺いしたいのですが、会員の方が583社いらっしゃるということですけれども、この583社の従業員規模はどのような分布になっておりますでしょうか。500名以上、300名未満、200名未満、100名未満といったように内訳がもしおわかりになれば教えていただきたいと思います。
○清水事業運営本部長 大部分が中小企業と思っておりますが、今、正確なデータを持ち合わせておりませんので、また年金局の方に報告したいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでございましょう。それでは、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 いろいろ詳細かつ厳しい状況の御説明ありがとうございます。
経営として難しいという条件ですとか、いろいろ厳しいものが仮に取っ払われたとして、働く方に対してより長く働いてもらって、長期間働いてもらってスキルを上げてもらって、かつ、商品開発にも入ってもらうとか、私も半分主婦としては料理はスキルが非常に大事なところですので、そこのスキルがどんどん経年で積んでいくというのは大切な経営資源になるのではないかと思ったりするのですけれども、そのような働き手を育てていくためにも人材の人件費、社会保障料も含めて上げていってもいいという働きかけを協会として、協会の加盟社さんに働きかけていこうかという動きはあるとか、もしくはそういうふうにしてみようかという議論があるとか、そういう傾向についてもしもあったらお聞かせいただけますか。
○清水事業運営本部長 若年層でございますとか、そういう方々は将来、本当に日本の惣菜産業を担っていただくという観点からすれば、当然のことながらそうやって社会保険料でございますとか給与、待遇面、将来性みたいなものをしっかりとビジョンを挙げていくことが必要だと思います。
現在、パートタイマーである代表的な例ですと89%がパートタイマー比率ということで、それも50歳を超える方々に担っていただいているということでございます。そうしますと、そういう方々が仮にそのような適用になったとしても、ある意味では今、80歳ぐらいの方も働いていただいておりますけれども、短い間に年金適用になったとしても、それだけの価値を感じてくれるかというあたりも非常に難しいところだなと認識しております。
○田中構成員 少し乱暴な言いかえをすると、未来への保障よりもきょうの手取りをとられるという判断ということですか。
○清水事業運営本部長 働いている方が比較的その意見が多いという感じが、先ほども御意見があったように認識をしております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。平川構成員、お願いします。
○平川構成員 表紙の1ページ目の調査ですけれども、これは2016年10月からの適用拡大によりと書いてあるのですが、1ページ目から裏にかけて適用拡大を望まないという意見になっているのですけれども、これは適用拡大を望む望まないという調査なのか、就労調整をしたのかしなかったのかの調査なのか、わかりづらかったので、それを教えてください。
○清水事業運営本部長 課題2のところでございますね。適用拡大がこの時期に改正をされました。そのときに従業員の方に、あなたの就業時間になりますと今度適用になりますと言いますと、そのときに働く時間を短くした方が53%、働く時間を長くした方が47%ということでございます。
○平川構成員 それで先ほどのスーパーマーケット協会さんと比較すると、就業調整した方はスーパーマーケット協会さんでは24.1%となっていまして、惣菜協会さんではかなり多かったという形になっています。多分、設問の内容が違うのでこういう結果になっているのかもしれませんが、その要因というのがもしわかりましたら教えていただきたいと思います。
○清水事業運営本部長 最要因はスーパーマーケット協会様のデータのデータがわかっておりませんので、申しわけございません。わかりません。
○平川構成員 あと、どういう設問にしたのか、わかれば教えていただきたいのですが。
○清水事業運営本部長 結果を調べていただきました。
○平川構成員 クエスチョンの内容を知りたい。どういう設問だったのか。もし今わからなければ後でいいです。
○遠藤座長 調査の設問の内容をもし後ほど御提出いただけるのであれば、御提出いただければということです。
○清水事業運営本部長 これは結果がこうなりましたということなのです。企業の方に適用になりますよという話をどういうふうにしたかということでございますか。
○平川構成員 調査の設問を、クエスチョンを教えてほしい。
○清水事業運営本部長 なるほど。わかりました。では後ほどお答えさせていただきます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、原構成員、お願いいたします。
○原構成員 先ほどこちらの協会様では主婦の方が多いと聞いたのですけれども、それで今の続きにもなるのですが、時間延長、適用拡大を望まないというか、働く時間を短くした人のほうが多かったということだと思うのですが、主婦以外の方、例えば第1号被保険者と言いますけれども、個人で働いている、例えば男女の区別はないかもしれませんが、要は主婦の方以外の方というか、単身の若い方とか、あるいは40代、30代の単身の方とか、そういった主婦以外の方について適用拡大になるときの反応というのをお聞かせいただきたいなと思います。主婦の方は大体想像できるのですけれども、それ以外の方の反応を教えていただきたいのですが、お願いします。
○清水事業運営本部長 適用拡大になるとどうしますかということですか。属性自体は全部把握できておりませんが、例えば協会に加盟する企業さんにとっては、長時間働いていただくということは大歓迎なことでございます。ですから適用拡大が云々というよりも、例えば時間を150万を超えるとか200万を超えるぐらい稼いで働いてくれるというところは望むところでございまして、短時間労働の方が適用するから労働時間が延びるということになれば、それは逆にありがたいことではございますが、今の状況でそのまま適用になるというのはコスト増だけという認識にされるということだと思います。ですから御家庭の事情で長時間働けるというのであれば大歓迎なことでございますので、その適用拡大という以前の問題だと思っておりますが、いかがなのでございましょうか。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 本日はありがとうございます。
先ほど来の話ともかかわるのですが、前提としていわゆる業界さんで短時間で働いている方の属性のざっとした分布のイメージ、主婦の方でも結構お年寄りの方が多いのか、外国人の方という話もありました。そこの全体像のイメージ、それと、多分、大きいところですと料理をつくっている、加工されている方と販売されている方というのもまた別なのではないか。小さいところだと一緒ということなのでしょうけれども、そこの全体像を教えていただければと思うのですが。
○清水事業運営本部長 いろいろな職種がございますし、製造だけやっている、製造・小売をやっている惣菜企業さんもございますし、デパートに入っているところもございますし、いろいろなところがございますので、なかなか属性が申し上げにくいところですけれども、1つの例でございますが、パートタイマー比率89.6%で、外国人比率が6.4%、社員比率が4.0という、そこそこ大きいところはこういう比率になるのではないかと思っております。
あと、パートの中での比率は、女性労働者の方々が大半を占めるということでございます。その中においても、外国人といえども帰化された方とか、そういう方々もたくさんいらっしゃって、いろいろな方で支えていただいている状況だと思います。答えになったかどうかわかりませんが。
○山田構成員 女性の主婦の方が多いということだと思うのですが、年齢が結構いっている方が多いということでしょうか。
○清水事業運営本部長 そうですね。非常に高齢者が多いです。高齢者の方々に支えていただいております。
○山田構成員 その関係でさっきおっしゃったのは、長く本当は労働時間働いていらっしゃることのほうがありがたい。そうすると子育て中の方だと労働時間が短くならざるを得ない。でも一定の年齢をいかれた方で、もちろん体力によるのですけれども、今、結構多い。そうすると、今は小さいところでも正社員の4分の3のところで線が引かれているわけですね。そうすると、そこで就業調整をやられている方はいられると思うのです。ところが、逆に変な話、適用の下限が下がってくると、そこで就業調整を4分の3でしている方がフルで働くと、そういうケースは出てきて業界さんにとってプラスになるようなことは発生しないのかということです。
○清水事業運営本部長 間違いなくフルで働いていただく方がふえるということは、歓迎すべき事象だと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。予定していた時間になりましたので、これにて日本惣菜協会さんからのヒアリングは終了させていただきたいと思います。
清水様におかれましては、本日は大変お忙しい中、時間をとっていただきました。まことにありがとうございます。改めてお礼申し上げます。
続きまして、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会からのヒアリングに移りたいと思います。平田様、中山様、塚本様、どうぞよろしくお願いいたします。
○平田代表理事 よろしくお願いいたします。本日このような場をいただきまして、まことにありがとうございます。
今回、我々の発表の機会をいただいているのですけれども、そもそもフリーランスというのが被用者、労働者ではございませんので、短時間労働への適用拡大というこれまでの議論と少し毛色が変わってくるかと思うのですが、中長期的に御検討いただくテーマの一つとなっていると伺っておりますので、参考までにお話させていただきます。
まず自己紹介のページを入れているのですが、私がフリーランスを今まで9年ほどやってきていまして、子育てをしながら働ける選択肢ということで、こういった働き方をする女性もふえておりますし、あとはもちろん従来から男性としてもこのような働き方をされている方はたくさんいらっしゃる、そういう状況でございます。
2ページ目で働き方の多様化のリアルと入れておりますが、2024年までに過半数が50歳以上を超えるということも言われておりますけれども、人生100年と言われる中で、セカンドキャリアの模索というのは非常にミドルシニアの方にとって身近な問題になっていまして、定年後は誰もがフリーランスになり得る時代、そういうことで非常に身近な問題として我々のイベントとかにも40代、50代の方はたくさん参加されるようになってきています。
また、レールの複線化と書いていますけれども、従来は正規雇用、終身雇用というのが前提でいろいろと社会保険の制度とかもつくられてきたと思うのですが、若い世代でも副業ですとか独立への関心が高まっているということもありまして、我々の活動ですとか、このフリーランスという言葉は日々メディアで取り上げていただいたりですとか、書籍が売れたりとか、そういう状況がございます。
少し簡単に協会の御説明をさせていただきますが、我々はそのような中で2017年1月、ちょうど3年前に設立して3年目に入っているのですけれども、いわゆる無料の会員の方が1万人強、有料の会員の方が1,700名近くに今なっていますが、そういったフリーランスの方たちを支援する非営利の団体として活動しています。
4ページ目でビジョンとあるのですが、フリーランスをふやしたいとか、フリーランスが最高とか、そういうことではなくて、会社員の方とかも含めて自律的なキャリアを築ける世の中にしていきたいというミッションで、いろいろなイベント、セミナーをやったりですとか、福利厚生の場を提供したり、実態調査を行ったり、そういう活動をしている団体です。
我々がフリーランスと言っているときの定義なのですけれども、5ページ目をごらんいただきますと、大きく分けて独立系と副業系、両方合わせてフリーランスというふうに呼んでいます。定義としては、特定の会社や組織の看板を使わない形、特定組織に専従しない形で御自身の名前でお仕事をして、対価を得ている方。そういう定義にしているのですけれども、雇用関係をどことも持っていない独立系のフリーランスの方の中には、法人成りをされているいわゆる経営者の方、それから、個人事業主の方、そして最近は開業届を出さずにいろいろなオンラインサービスを使って、すき間時間で業務委託の仕事をされている方も非常にふえています。
また、副業系のほうはパート・アルバイトも含めてですけれども、どこかと雇用関係を持ちながら、プラスアルファ、自分の名前で業務委託などでお仕事をしている方としております。
きょうも短時間労働者ということで言いますと、パートのかけ持ちといったものが一番右の雇用×雇用といったところになってくるのだと思うのですけれども、今、副業ブームと言われる中でふえているのは、主に雇用×経営だったり、個人事業主だったり、すき間ワーカーというところで、雇用×雇用で正社員の場合でのダブル雇用というのはほとんど我々の会員の中でも耳にしないというか、事例としてはそんなにないのかなと思っております。それぞれに対して社会保険の制度が少しずつ違う。そういう状況です。
まず独立系フリーランスの方に関してというところで6ページ以降、御説明させていただきますけれども、この協会の設立の背景にもなっているフリーランスがかかわる問題というのがいろいろありまして、柔軟な働き方を選びたいのに踏み出せない、もしくは続けられないという人がたくさんいるのですが、その中で非常によく上がる問題が健康保険だったり、労災だったり、出産・介護のセーフティーネットといったあたりになっていきます。
8ページ目、これまでというのは自己責任論というのが非常に根強くありまして、フリーランスは自分でその道を選んでいる、もしくは才能があるからできるんだというところで、自由を求めながら保障も求めるなんてわがままだとか、そんなことが自分で何とかできないのだったら独立すべきではないとか、自分も乗り越えたのだから後輩も乗り越えろということで、割とフリーランス当事者の中でも社会保険に関しては自己責任論というのが横行していたのですけれども、これからは先ほど言ったようにシニアの方も誰もがフリーランスになり得るということもありますし、一億総活躍の中で子育て中の女性とか、介護と両立する男女問わずそういった中で誰もが自律的なキャリアを築く、フリーランスになり得る可能性があるということで、働き方に中立な社会保険制度の実現をしていただきたいということを設立以来、いろいろなところで発信させていただいております。
9ページ目、このフリーランスという人たちが何でフリーランスになっているのかということを少し参考でお話させていただきますが、これは別途、添付でも本文をつけているフリーランス白書からの抜粋ですけれども、裁量だったり、場所、時間の自由、能力発揮の機会、ワーク・ライフ・バランス、そのようなものを求めてフリーランスになる方が非常に多くいらっしゃいます。下のほうは御自身の健康だったり、子育てとの両立とか、勤め先の事情、介護との両立、そういった非自発的な理由でフリーランスになっている方も一部いらっしゃいます。
10ページ目、独立前後の変化ということで、基本的には働く時間だったりストレスが減って、いろいろな人脈とか満足度がふえて、収入に関してはふえた人と減った人両方いるけれども、ワーク・ライフ・バランスをとった上で収入が減ったのだったら満足という方も含めて、割と柔軟な働き方として注目されたり、志望者がふえているという状況なのですけれども、11ページ目、課題としてこれは厚生労働省さんの高齢者の働き方に関する検討会で、昨年3月に出された報告書の中で総括で挙げられていた検討事項を私のほうで3分類させていただいているのですが、仕事上のトラブル対策、仕事上のリスク対策、そして生活健康のリスク対策という、このような課題が今フリーランスにはございます。
特にライフリスク、ピンク色の部分について本日お話させていただくのですけれども、12ページ目をごらんいただきますと、これもことしのフリーランス白書の中で、先ほどの18の検討項目を選択肢に並べて、フリーランスや副業といった働き方が日本で選択しやすくするために何が必要だと思いますかという設問を聞いたところ、ライフリスクに関する回答が集中していました。一番多かったのは出産・育児・介護などのセーフティーネット。これは主に雇用保険に当たる部分と一部健康保険に関する部分なのですけれども、それと健康保険組合、厚生年金、そしてフリーランスと被雇用を自由に行き来できる仕組みというのもありまして、これは社会保険のポータビリティーですね。特に具体的には雇用保険になりますけれども、働き方が変わったときに積み立ててきたものがゼロリセットされてしまうことへの不安の声といったものも挙がっていました。
もう少し具体的にお話させていただきますと、13ページ目ですけれども、フリーランスはあらゆるライフリスクにさらされているということでございまして、まず健康保険に関しましては、日本は皆保険ですので我々ももちろん健康保険には入っているのですけれども、その多くが自治体の運営する国保に入っている状況です。その場合、国保の場合ですと疾病手当金ですとか出産手当金が任意給付となりますので、ほとんど支払われている実態はないということですとか、やはり高齢者の方々を支えているというところもありますので、働き盛り世代の予防医療に割く財源の余裕がなかなかないということですとか、経済的な負担が大きいという声もございます。
あと、今回の議論の対象ではないと思いますけれども、雇用保険に関しても介護、育児、職業訓練に関する給付金がないということですとか、労災に関して病気やけがで働けなくなった瞬間に収入が途絶えるといった問題。それから、年金に関しては1階建ての年金で老後の備えで会社員と差があるのではないか。そういったところでこの協会設立以降、非常に我々に対しても特に健康保険と年金の問題ですね。何とかしてほしいという声が日々たくさん届いているような状況です。
もう少し具体的な課題認識ということで14ページ目に、これは昨年の調査の自由回答を載せているのですけれども、ことしちょっと自由解答欄をつくらずに先ほどの選択制にしたので昨年のものなのですが、自由回答だったにもかかわらず、社会福祉制度について390人の方が非常に熱心に具体的な要望を寄せてくださっていました。
その抜粋なのですけれども、企業に勤めること前提の制度設計に無理が来ているのではないかという声ですとか、正社員至上主義の感覚をなくし、どの働き方を選んでも格差のない保障を受けられるようにする必要があるですとか、超高齢者社会の中で高齢のフリーランスもふえると考えられるので、そのあたりの対策が必要ではないか。あと、国保・年金は高い。収入が安定しないのに前年の収入で算出されてしまうとか、病気などのサポート面の不安があるとか、納税の仕組みも含めて社会保障制度全体の見直しが必要なのではないかとか、いろいろな声が寄せられておりました。
今、どれだけ会社員と差があるのかということで、こちらにいらっしゃる皆様は御存じだと思うのですけれども、釈迦に説法だと思うのですが、15ページ目で比較表を載せさせていただいております。会社員であれば非正規の方も含めて当たり前にあるものがないという状況でして、健康保険、年金保険に関しても一応、国民健康保険と国民年金という形であるのですけれども、会社員の方と比べる、いわゆる被用者の方と比べると差があるという状況でございます。
具体的にどういう問題が出てきているのかというところで、これも御参考ですけれども、16ページ目のところです。フリーランス同士の会話で非常によくある話題なのですが、健康診断、人間ドックに何年も行っていないという人が非常にたくさんいらっしゃいます。これはTwitterで「フリーランス 健康診断」で検索するとこういった話題がたくさん出てくるので、イメージを持っていただければと思ってお持ちしたのですけれども、自治体の国民健康保険の場合、余り予防医療に割く予算がないということもあって、人間ドックとかを受けられるという国保はまずほぼありませんし、健康診断を開催しているところも決まった日時、決まった場所で、そこに行けないとなかなか受けられないところで働いているフリーランスの人には難しいなとか、疾病手当金、出産手当金がないとか、国民健康保険の中でも国保組合に入っている方というのは割と働き盛りの方を中心に組成されていますので、保険料の負担も会社員と余り変わらなかったり、予防医療のところもいろいろ工夫のしがいがあるのではないかなと思うのですけれども、今いわゆるフリーランスの方が入れる保険としてよく挙がるのが文芸美術の保険とかがあるのですが、文芸美術国保組合です。そういったものも入れる方の職種が非常に限られていますので、大体ほとんどの方は自治体の国保に入っているという状態です。
17ページ目、妊娠・出産リスクについて書いていますけれども、これはフリーランス協会と本日御出席いただいている弁護士の塚本さんとかも一緒に、フリーランスと経営者の女性たちの雇用関係によらない働き方と子育てを研究していこうということで実態調査をしたときの結果なのですが、妊娠・出産・育児を経て仕事を継続している人のフリーランスと経営者の場合、復帰タイミングが産後2カ月以内が59%で、産後1カ月以内でも44.8%ということで、これは母体保護の観点からも非常に問題なのではないかと思っています。
なぜそういうふうに皆さん早期で復帰せざるを得ないのかということに関しまして、もちろん自分が経営者だったり、代表者として仕事上の責任があるからというビジネスリスクの理由もあるのですけれども、それ以上に全体の63.1%の方が御自身で健康保険料を納付しているにもかかわらず、出産手当金はわずか19.3%しか受けられていない。あとは社会保険料も会社員の方は免除があるものが、独立しているとないということもありますので、そういった経済的な理由で復帰せざるを得ないということで皆さんお仕事されているのかなと思っております。
こういった状況の改善を求める署名活動をしたところ、1万4000人を超える署名が2週間ほどで集まりまして、昨年6月に厚生労働省さんにも提出させていただいているのですけれども、年金に関してはことし4月から第1号被保険者も産休中は免除いただけるというふうにしていただいて、これに対しては非常に歓迎の声がフリーランスと経営者の間で出てきているのですけれども、この年金だけではなく健康保険についても産休中、免除していただきたいですとか、国保であっても出産手当金を給付義務にしたほうがいいのではないかという声が、フリーランス当事者の間では非常に多く出ているという状況でございます。
18ページ目で長生きリスクと書いていますが、年金に関して先ほど白書の調査で必要なものとして2番目に多く挙がっていたのが厚生年金でして、それは年金を運用する皆様にとっては朗報かなと思うのですけれども、実際にそのような声があったのは私たちも実はびっくりした結果でして、実際に我々の耳に届く周りの声としましては、漠然とした不安もあるものの、なかなか今、既に国民年金基金とかiDeCoとかあるものの、認知、理解というのは非常にされにくいなというのは実感しております。
これも我々の耳に入ってくる意見の参考で載せているのですが、大体皆さん会社員時代は気づかれないうちに払っていますので、まず自分で払うとなったときにこんなに取られていたんだ、痛い出費だなというところがどうしても発想のスタートになってしまうのです。そこを起点として皆さん不安はあるものの、厚生年金と同じだけの支払いを自分でしようかとなると、なかなか難しいような感触を受けていまして、我々も国民年金基金ですとかiDeCoの宣伝も一応、御案内しているのですが、iDeCoだったら例えば投資なのでしょうと。元本割れも嫌だし、中途解約もできないし、だったらそこまでしてふやさなくてもいいやとか、あとは国民年金基金も結構資料請求はしているのだけれども、プランが複雑でわからないから先々考えればいいかと後回しにしてしまうとか、自分でしっかり稼いで資産運用して貯蓄しているから、年金に頼らなくてもいいんだという御意見も結構ありまして、実際に年金制度を支える上で、恐らく加入者を拡大されたい御意向があるのだと思うのですけれども、なかなか一筋縄ではいかなそうだなというのは感触としてはございます。
ただ、だからそのままでいいかというと、そうではなくて、我々がベネフィットプランという形でいろいろと福利厚生を提供している中で、20ページ目でライフリスク対策として書いていますけれども、1つがWELBOXということで、健康診断とか人間ドックの優待の御提供をしています。また、所得保障制度といってこれは労災のかわりとしてけがや病気で働けなくなったときの就業不能を補償する保険を提供しているのですが、いずれも非常に好評をいただいておりまして、まだまだ公表不足なところはあるのですが、口コミだけでこれまで広がってきているという、そういうような状況です。
こういったニーズもありますし、私たちのところに寄せられる声として、先ほどの文芸美術とか弁護士とか美容師さんとか土木とか、そういった職種別の国保組合というものがあるのですけれども、そうではない職種不問の国保組合をつくってほしいという根強い声が非常に多く寄せられている状況です。
ただ、フリーランス白書の本編で、お配りしているものの40ページ以降でこのあたりの問題を詳述させていただいているのですが、そこにも書いているとおり、今、国保組合の新設というのが基本的に難しいと言われておりまして、昭和38年に厚労省で自治体の国民健康保険を守るために、職種別の国保組合は新設しないという方針を出していただいていると思うのですけれども、今回この短時間労働者の適用拡大に伴って国民健康保険からの被用者保険への加入者移動というのも想定されていると思いますので、どさくさに紛れてというわけではないのですけれども、フリーランスでも職種不問の国保というものを新設するところに向けて、ぜひいろいろとできるところ、できないこと、情報交換等をさせていただきたいなと思っております。
○遠藤座長 平田様、ちょっと予定していた時間をかなりオーバーしておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。
○平田代表理事 そうですね。この社会保険加入をうたう詐欺まがいのサービスというのが出てきていまして、結構、我々の協会にも問い合わせがあるのですが、そういった問題を防いでいくためにも、働き方に中立な社会保険制度の御検討をお願いできればと思っております。
あと、副業のフリーランスの方も短時間労働を行っている人、複数事業者をかけ持ちでしている場合もあるということで、適用の枠組みをどう考えるかというのを意見するようにという御要望があったのですけれども、今はこの健康保険と年金に関しては、副業系の方々は大体メーンの勤め先のところで入っていらっしゃるので、いわゆる副業ブームでふえている人に関しては、余り複数事業所で保険を納めるということは想定しにくいのかなと思っています。
23ページ目で2方向のパラレルキャリアと書いていますが、今、話題になっているのは大体この水平型のパラレルキャリアの方たちでして、どこかに雇用されながらすき間時間で働くという形態ですので、この垂直型のパラレルキャリアの方は、まだそんなに多くないかなと思っております。
また、24ページ目で働き方の3タイプとありますが、本当はフリーランスの場合ですとタスク型、プロジェクト型で、数日もしくは数カ月期間での契約の方が大多数を占めておりますので、その場合、余り取引先に対する帰属感というのがお互いにない場合が多いですので、その方たちを取引先経由で社会保険料を納めていただくというのは少し難しいというか、余りイメージしにくいのかなと感じております。
以上になります。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお話に関して、海老原構成員どうぞ。
○海老原構成員 どうもありがとうございます。私も半分はフリー、半分は自分の会社を持っていますけれども、だから似たような気持ちもわかるのですが、私の個人に関しても、個人会社を設けて、そこで健康保険とかは入っておるのですよ。協会けんぽとか入ると、健保は全部大丈夫ですし、経営者用の退職金もしくは事業保険みたいなものもあるから、ここでかなりカバーされるのですけれども、実際に法人成りしている率はどのぐらいなのか。何で法人成りみんなしないのかが聞きたいのですが。
○平田代表理事 法人成りしている率ということで言いますと、フリーランスの範囲をどうとるかにもよってくるので。
○海老原構成員 フルタイマーで。
○平田代表理事 そうですね。我々の会員の中でということで言うと、法人成りの率が1割ぐらいなのです。
○海老原構成員 なぜ低いのですか。
○平田代表理事 恐らくフリーランスという言葉が、法人成りされている方々は余り自覚されていないケースが多いというか、我々としては皆さんフリーランスですよと思ってウエルカムなのですけれども、自分は経営者だとか、コンサルタントだという自認をされている方が多いので、我々の会員の中では1割を切っているという状況なのですが、なぜ法人成りすることが解決策にならないのかということで申し上げますと、法人化はなかなかハードルがあると思っているのです。それは実際に法人設立のときの資金だったりとか、リテラシーという問題もありますし、我々としては独立が一方向ではなく、一時的に例えば子育てとか介護と両立するためにフリーになったけれども、また会社員に戻るとか、そういう双方向の行ったり来たり、流動化できる社会が理想ではないかと思っていますので、そういったときに会社をつくって、たたんでということをわざわざしなくても、同じように社会保険適用されるほうが望ましいかなと思っています。
○海老原構成員 わかりました。
実際にもう一回戻るかもしれないからというふうに考えていると思うのですが、知らないという人もたくさんいませんか。法人成りすればかなり解決することを知らなくて、それを教えてあげるとかなり解決することもありませんか。
○平田代表理事 そうですね。もしかするとそういう方もいらっしゃるかもしれないのですけれども、大体我々の協会にも独立の相談とかいらっしゃるときに、法人化と個人事業主という選択肢があるということは割と多くの方が御存じなのです。そのときのメリット・デメリットを比較して個人事業主のほうが、大体年収が一千数百万円を超えたらというアドバイスを税理士さんとかもされることが多いので、個人事業主を選択される方が多いのかなと思っております。
○海老原構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょう。では、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 詳細な御説明ありがとうございます。
フリーランス協会さんの範囲ではないかもしれないのですけれども、23ページ目のパラレルキャリアのところで、まさにシェアリングエコノミーという言葉を使っていらっしゃいますが、例えば音楽教室に登録型でアルバイト形式で働いていらっしゃる方だとか、通訳さんのフリーランスなのだけれども、登録型でほぼほぼ1つの企業さんのために働いているとか、昨今だと看板を文字どおり背負って食品宅配とかをやっている方とかも、そこの企業のためにほぼほぼ時間を使っているみたいな、そういうときのアルバイトと呼ぶのか、フリーランスと呼ぶのか微妙だと思うのですが、何か例えば困っている駆け込みの話があったりとか、そういうトラブルというのは既に発生したりしているのですか。
○平田代表理事 そうですね。駆け込みと言うほどのあれではないのですけれども、雇用類似の働き方ということで今、議論されているところだと思うのですが、業界によって例えばアニメーターさんですとか、テレビ制作業界とか出版業界とかでは、そういった雇用に非常に近い形での業務委託労働をされている方が多いということは情報として入ってきたり、実際に我々もヒアリングさせていただいたりして認識しているところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。佐久間構成員、どうぞ。
○佐久間構成員 今、フリーランス協会さんは、今、話題になっている兼業・副業も含めて、我が国の事業者の育成というか、開業率を高めていく上でも非常に重要な施策の一つなのではないかと思います。
そこの中で今、社会保険、また、労働保険というものを含めて、例えば年会費1万円でフリーランス協会の活動を支援する特典として所得保障もできる。それから、人間ドックのサポートなんかも比較的安い費用で受診することができるとか、こういう特典があると思います。
12ページの中で当事者たちの課題認識というものがあって、所得保障、健康保険組合、厚生年金、これは労働法的には労働者がいるから制度が活用できるということがあると思うのですが、今、皆さんの協会が実施されている所得保障の関係とか、これは民間ベースの保険で皆さん方がサポートしてやっていらっしゃるということになると、いただいた資料の中に赤字で記載されている項目の中で、実現できる、できないは問わずに、何がこの中で一番もし実現したいと、何があげられますか。例えば、労災保険は制度として利用していきたいとか、厚生年金などの年金制度とか、1つ挙げるとしたらどこが一番対象となると考えられますでしょうか。
○平田代表理事 一番ということで申し上げますと、国保組合をつくりたいなというのが声としては非常に多く寄せられておりますし、私たちも思っています。と申しますのも厚生年金は国民年金基金ですとかiDeCoですとか、今も支援制度がありますので、そちらをきちんと周知していくことがまず今できることかなと思っておりますし、労災保険に関しても保険会社さんの御厚意、非常にリーズナブルな値段で所得保障制度を提供させていただけていますので、今、完全に欠けているパーツとしては国保組合の部分ですね。自分たちで国保組合をつくることができれば、出産手当金ですとかそういったものの給付も我々として考えていけるのではないかと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。それでは、平田構成員、お願いします。
○平田構成員 5ページの広義のフリーランスと社会保険というところに、経営者とか個人事業主、すき間ワーカー、雇用×経営者とかあるわけですが、このような働き方ということではなく、この方々の属性といいますか、主婦の方が増えているであるとか、個人事業主で食べている人が増えているであるとか、今、シニアの方の起業も増えていると思うのですが、どういった方々が多い、あるいは増えているといった傾向があれば、教えていただければと思います。
○平田代表理事 ありがとうございます。今、国内にフリーランスは440万人いるとリクルートワークス研究所さんのデータでは言われていまして、就労人口の7%に当たるのですが、そのうちの300万人が独立系のフリーランスで、140万人が副業系のフリーランスと言われています。大体副業系のフリーランスという方が今、フリーランスがふえている方の大きな割合を占めているのではないかと感覚では感じているのですけれども、おっしゃるとおりシニアの方ですとか、保育園に落ちてしまって会社員として就業を続けられない女性ですとか、そういう方で法人成りもしくは個人事業主として雇われない働き方に従事する方は非常にふえていると思っています。
○遠藤座長 よろしいですか。ありがとうございます。
ほかに何か御意見ございますか。よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。それでは、これにて一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会からのヒアリングを終了させていただきます。
平田様、中山様、塚本様、本日は本当にお忙しい中、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
以上をもちまして、本日のヒアリングは全て終了をいたしました。
それでは、本日の議事は以上で終了したいと思いますが、本日ヒアリングに御出席をいただきました皆様におかれましては、大変貴重な御意見を長時間にわたって賜ることができました。まことにありがとうございます。改めて御礼申し上げたいと思います。
それでは、今後の懇談会の予定につきまして、事務局から何かあればお伝えください。
○山下年金局年金課企画官 次回でございますが、また引き続き関係団体の皆様方からのヒアリングを行う予定でございます。開催の日時ですが、2週間後の3月26日火曜日を予定しております。また詳しいことにつきましては、構成員の皆様方に個別に追ってお知らせいたします。
以上です。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして懇談会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。