第85回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

平成31年2月19日(火)15:00~17:00

場所

中央労働委員会 労働委員会会館 講堂

議事


○阿部分科会長 それでは、ただいまから、第85回「障害者雇用分科会」を開催いたします。
まずは本日の出欠状況です。
本日は、武石委員、松爲委員、長谷川委員、桑原委員、岡本委員、竹下委員が御欠席となっております。
竹下委員の代理として、日本盲人会連合の工藤氏にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
カメラ等の頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○阿部分科会長 それでは、本日の議題ですが、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について御議論いただきたいと存じます。
これにつきまして、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の松下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私から、資料につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
本日、資料を用意させていただいているものでございますが、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」ということで、諮問文という形になっております。この中身について御説明をさせていただきたいと思います。
表紙をめくっていただきまして、別紙になります。1ページ目でございます。表題が「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」でございます。順次中身について説明をさせていただきます。
まず、中身に入る前に、前回、2月13日に、当分科会におきまして意見書を取りまとめていただきました。今回、法律案の要綱を出させていただくに当たりまして、その意見書を踏まえまして、法律案要綱という形で資料として提出させていただいたというところでございます。
中身に入りますけれども、1ページ目の「第一 障害者の活躍の場の拡大に関する措置」でございます。
まず、第一の一でございます。国及び地方公共団体の責務規定の改正でございます。この後、縷々5行ほど文章が続いておりますけれども、現在の障害者雇用促進法の中に、既に国及び地方公共団体の責務規定がございます。今回、その中に追記をさせていただく部分ということで、「国及び地方公共団体は」の後でございますが「自ら率先して障害者を雇用するとともに」といった文章を、今回の責務規定の中に追記させていただいております。率先垂範して国及び地方公共団体が障害者を雇用するということを明確にしていくという趣旨で入れ込んでいる、追記をしているという中身になっております。
続きまして、二の障害者活躍推進計画の作成指針等でございます。これにつきましては、意見書の中におきまして、障害者雇用の質の確保に資する計画の作成・公表に係る規定ということで出てきている部分でございます。二の中の1の障害者活躍推進計画作成指針でございます。これにつきましては、1の(一)をごらんいただきたいと思います。
この指針につきましては、作成主体が厚生労働大臣になります。厚生労働大臣は、国及び地方公共団体が障害者である職員がその有する能力を有効に発揮して職業生活において活躍することの推進に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、2ページ目に移りますけれども、障害者雇用対策基本方針に基づき、次の2の(一)に出てきますが、障害者活躍推進計画の作成に関する指針を定めるものとするということにしております。
次の(二)は作成指針の中身でございます。「作成指針においては」ということで、障害者活躍推進計画の作成に関する基本的な事項、障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容、こうしたものに関する事項について、指針となるべきものを定めるという中身としているところでございます。
(三)でございますが、この指針を定めたときは、遅滞なく、公表しなければならないという公表規定を置くということにしております。
以上が活躍推進計画の作成指針になります。
続きまして、2の活躍推進計画そのものでございますが、(一)で、これの作成主体でございますが、国及び地方公共団体の任命権者ということになります。任命権者は、今、申し上げました指針に則して、この活躍計画を作成しなければならないということで、義務化をしていくという形にとっております。
(二)は計画の中身でございます。この計画においては、計画期間、障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標、それとその下に書いてございますが、3ページ目に移ります。実施しようとする障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容、それと取組の実施時期を定めるものとするという中身にしております。
続きまして、(三)でございます。計画の作成に関して、国又は地方公共団体の任命権者が作っていくということになるわけですけれども、作成に関し、厚生労働大臣は必要な助言を行うことができるという規定を置いているところです。
(四)でございますが、国及び地方公共団体の任命権者は、この計画を作成したとき、遅滞なく、職員に周知する。そのための措置を講じなければならないという規定を置いております。
次に、(五)でございますが、この計画を作成したときは、遅滞なく、職員だけではなくて広く世の中に公表するという公表規定を置いているというところです。
(六)ですけれども、この計画は、先ほど中身のところで、計画期間を定めるということで、これは2年から5年程度ということを想定しておりますが、その計画期間の中で、仮に5年という計画期間とすれば、5年後に最後に状況を公表すればいいということではなくて、(六)に書いてありますように、毎年少なくとも1回、活躍計画に基づく取組の実施の状況を公表しなければならないこととするといった、毎年の実施状況の公表ということで、PDCAサイクルが回るような形の規定を置いているということでございます。
(七)でございますが、推進計画におきましては目標を定めていただくということを考えております。目標を達成するように努めなければならないという規定も置いているという中身にしております。
以上が活躍推進計画の内容としているところでございます。
続きまして、三は国及び地方公共団体の任命権者による対象障害者である職員の任免に関する状況の公表でございます。これにつきましては、「国及び地方公共団体の任命権者は」ということで、それぞれの役所ごとに対象障害者の職員の任免に関する状況の内容を公表しなければならないという規定を置いております。4ページ目に移っております。
続きまして、四の特定短時間労働者の雇用の促進及び継続を図るための特例給付金制度という柱でございます。これは意見書の中で申し上げますと、週所定労働時間20時間未満の障害者の方を雇入れする場合の支援についてといったことでも出てきておりましたが、それに関連する部分になります。
1ですけれども、「厚生労働大臣は」というところで、特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にある対象障害者を特定短時間労働者、括弧で短時間労働者のうち、週の所定労働時間が省令で定める時間ということで、具体的には省令で10時間以上20時間未満というような形の規定を想定しておりますが、そうしたことを省令で定めていくということを考えております。こうした障害者の方の雇入れをする事業主に対して、特例給付金を支給する業務を行うこととするというものが1番目のところでございます。
続きまして、2でございますが、1の特例給付金については、支給事務について独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が支給を行うという規定を置いております。
3でございますが、障害者雇用納付金について、1の特例給付金の支給に要する費用に充てることができるということで、納付金財政からの拠出、支出という形の規定を置いているというところでございます。
以上が4番目の内容でございます。
続きまして、五の基準に適合する事業主の認定等です。意見書の中におきましては、優良な取組を行う中小企業事業主の認定の関係の部分がこの五になります。5ページ目に移ります。
1は対象となる事業主の要件の部分でございますが、厚労大臣は、その雇用する労働者の数が常時300人以下である事業主からの申請に基づきということで、このような形で報告事業主について、取組の実施状況が優良なものであることとか、そうした要件を満たす事業主に対して認定を行うことができるという規定を置いております。
2としまして、1の認定を受けた事業主の方については、商品とか役務の提供の用に供するもの、そうしたものに厚生労働大臣が定める表示を付することができるという形にしております。また、こうした認定を受けた事業主以外の場合、「何人も、この場合を除くほか」と書いてありますけれども、不当に認定を受けずに商品等にこの表示を付ける、紛らわしい表示を付してはならないといった規定も置いている。禁止規定を置いているというところです。
3ですけれども、これは認定要件、基準に適合しなくなった状況になったとき、こうしたときには認定を取り消すことができるという取消規定を置いているというものが3でございます。
以上が認定の関係の規定となっております。
続きまして、六でございます。これは障害者の障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員の選任に関する規定の部分でございます。1ですけれども、「国及び地方公共団体の任命権者は、厚生労働省令で定めるところにより」というところで、障害者雇用推進者の部分を規定しているところでございます。具体的な業務の中身はそこにも書いてございますが、5ページ目から6ページ目に業務の内容を書いてございます。
2行目で、活躍推進計画の作成及び障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の円滑な実施を図るための業務。そうしたものを担当する者を選任しなければならないということで、こうした業務を行う推進者を選任するという規定を置いております。
2でございますが、こちらは障害者職業生活相談員の規定になっております。国及び地方公共団体任命権者は、厚生労働省令で定める数以上の障害者が勤務する事業所においてということで、これは既に民間企業で障害者が5人以上いる事業所において、生活相談員を選任しなければならないという規定がございますので、そうした規定を踏まえて今後、数を定めていきたいと考えております。こうした事業所において、厚生労働大臣が行う講習を修了した方等の中から、その障害者職業生活相談員を選任しなければならないという規定を置いているところでございます。
続きまして、七でございます。七につきましては、障害者の方を解雇した場合の届出義務、ハローワークに届出をする。その届出義務を適用していくということでございます。ここの部分も民間企業に対しての規定が既に障害者雇用促進法の中に規定されております。それと同様の規定を国、地方公共団体に対しても置いていくという中身となっているところでございます。
続きまして、7ページ目をお開きいただきたいと思います。7ページ目でございますが、大きな柱としまして、第二でございます。「第二 国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置」という柱になっております。
大きく3つに分かれておりまして、1つ目でございますが、この1つ目につきましては、対象となる障害者の確認方法について規定をしております。具体的には、対象となる障害者であるかどうかの確認については、厚生労働省で定める書類により行うものとするという形にしておりまして、具体的な内容については省令で今後定めていくという形にしております。
二でございます。これは書類の保存義務という中身でございまして、民間事業主に対しては既に省令の中で保存義務が規定されておりますけれども、今回、国、地方公共団体に対して書類の保存義務を法律のレベルにおいて規定をしていきたいと思っております。その並びで、民間事業主の書類の保存義務につきましても、省令から法律に格上げという形で、同じような並びで規定をしていきたいというのが二の内容となっております。
三は報告徴収の規定でございます。具体的には厚生労働大臣又は公共職業安定所長がこの法律を施行するため必要な限度において、省令で定めるところによって、国又は地方公共団体の任命権者に対して、障害者の雇用の状況その他の事項について報告を求めることができるという規定を置くことを考えているところです。
第三の柱でございますが、「その他」というところで、一の罰則規定の整備でございます。先ほど中小企業の認定の話が出てきておりますけれども、認定を受けた際に、厚労大臣が定める表示マークがございます。その表示について規定がございますけれども、勝手にといいますか、認定を受けずに表示を付してはならないという規定がございます。その規定に反した場合について、罰則という形の規定の整備を行うことを考えているという内容でございます。
二のその他でございますが、その他所要の規定の整備を行うということで、主なものとしましては、条文が追加されたり、そうしたこと等によって条文のずれが生じたりしておりますので、そうした規定の整理を行うということが中心の内容となっているところでございます。
あと、8ページ目をお開きいただきたいと思います。第四の柱で「施行期日等」となっております。
一の施行期日でございます。この法律は、平成32年4月1日から施行することとするという形にしております。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行するということで、分かれて施行日を規定していきたいと考えております。
1つ目ですけれども、公布日施行ということを想定しております。第一の一、これは責務規定のところでございます。第二の三で言いますと報告徴収、第四の二で言いますと後ろに出てきます経過措置であったりとか、三で言いますと検討規定、こうした部分については公布日施行という形にさせていただきたいという内容でございます。
2の部分につきましては、これは政令で公布の日から起算して3か月を超えない範囲で、政令で定める日ということで、別途定めるという形にさせていただきたいと考えている部分でございます。中身は第一の三で言いますと国等における任免状況の公表であったりとか、第一の六で言いますと雇用の推進者であったり生活相談員の選任、第一の七で言いますと解雇の届け出義務、第二の一で言いますと対象障害者の確認方法の明確化、第二の二で言いますと書類の保存義務。こうしたものにつきましては、別途政令で定める日で施行するという形にしたいと考えているところでございます。
具体的にはこうした政令で定める理由といたしまして、すぐに施行すべき内容であると考えられるものではありますけれども、この中身につきましては、省令で具体的な内容を規定していくという形にしていきたいと思っておりますので、省令改正が必要なものとなっておりまして、そのための省令を策定する、御審議もいただくということにもなりますので、そのための一定の時間が必要であるということを踏まえて、別途政令で定める日ということを想定して考えているという中身になっております。
二の経過措置については、この法律の施行に関し必要な経過措置を定めていくということでございます。
三の検討規定でございます。政府は、この法律の施行後3年を目途として、この法律による改正後の法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするということで、3年を目途とした見直しの必要があるときの見直し規定を置いているという内容にしているところでございます。
以上、雑駁でございますけれども、本日お示しさせていただきました法律案の要綱の内容について、御説明をさせていただきました。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
本件は、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会に「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」として諮問されているところでございます。当分科会としては、本件について、これから議論を行い、検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと存じます。
それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、視覚・聴覚障害者の方々への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただいて、その後、名前を名乗ってから御発言いただきますよう、お願いいたします。どなたからでも結構です。御質問、御意見がございましたら、御発言ください。
それでは、工藤代理、内田委員の順でお願いいたします。
○工藤代理 日本盲人会連合の工藤です。きょうは竹下委員の代理で出席しております。
内容については全く異論がありません。全面的に賛同いたします。
今、説明を聞いて、任命権者という言葉がたくさん出てくるのですけれども、任命権者と考えたときに、例えば同じ障害者の人でも、その任命権者が、厚生労働省を考えた場合、大臣発令、地方労働局長発令、あるいは職業安定所長発令というように、そういう違いをふと思ったのですね。その辺は今後、整理されていくのでしょうけれども、全て任命権者が、ということでやられていますので。
例えば職業生活相談員というのは、今後、非常に重要な役割を果たす人になっていくと思うのです。それが5人以上、障害者の数ということになっていくと、任命権者によっては、そこには3人しかいないとか、もう少し広く見るともっといる。特にハローワークなどを具体的にイメージすると、それぞれのところでは2人とか、少ない。でも、全体としては10人とか、かなりの数がいる。そういったときにどうするのかなということを考えますと、それは全然問題なく、障害者の人が困ったときに相談できるような、そういう仕組みになっていくのだろうと期待しております。 それから、職業生活相談員ということが、今言ったように、障害者が散らばっているときに、それらもしっかりフォローしていけるように、それから、単に生活の相談とか職業生活だけではなくて、虐待防止の問題だとか、合理的配慮の相談とか、そういうことも対応できるようにしていくと、職業生活相談員の役割をもっと発揮されていくのではないかと感じております。
職業生活相談員の質の問題で、少なくともジョブコーチが6日ぐらいかけて研修を受けているわけですけれども、十分そのような意味で時間をかけた研修をやっていただければと感じています。
以上です。長くなりました。
○阿部分科会長 任命権者の違いによって職業生活相談員の配置が違ったりしないかとか、あるいは職業生活相談員の具体的な、どんなことをやるのかといったことについて言及がありましたので、事務局のほうからお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、工藤代理のほうから御発言がございました、任命権者の考え方の部分でございますけれども、これは障害者雇用促進法の中で毎年雇用の状況、任命の状況の報告もいただいて、それぞれの任命権者に基づいた形で整理もされて、報告もいただいているという形になっておりますので、これまでも一定の整理をされているという状況があるかと思っております。
そうした中で、今回、生活相談員ということで、任命をしていただくということで、これはそれぞれの任命権者の中で、それぞれ事業所の部分の単位で考えているものでございまして、障害者の方が5人以上いらっしゃる事業所において、必ず相談員の方を選任しなければならない。その選任された障害者の方については、先ほども申し上げましたけれども、選任をするに当たって、講習を受けていただくという形等の要件を定めておりますので、今回、国も地方公共団体も含めて障害者職業生活相談員の選任をするに当たりまして、しっかりと相談対応ができるよう、障害のある方からいろいろな相談、確かに合理的配慮に関する部分とか、そうしたこと等、いろいろ相談が出てくる部分があるかと思います。
そうした相談内容に応えられるような研修、講習といいますか、そういう要件、資格を持った方を選任していただくということをしっかりと我々としても制度設計、あるいは各省に対して、各役所に対しても周知をしていく、対応していくということが大事かと思っているところでございます。
以上です。
○阿部分科会長 工藤代理、よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、事務局、お願いします。
○土屋職業安定局長 職業安定局長でございます。
ちょっと今の説明に補足をさせていただきますと、工藤代理からお話があった任命権者の関係ですけれども、今回お示ししている要綱の中では、例えば障害者活躍推進計画のところに国及び地方公共団体の任命権者というふうに出てまいります。
この任命権者の考え方ですけれども、実際に条文に規定するときには、この任命権者については説明的な括弧書きをつける予定で、委任を受けて任命権を行う者を除くというふうに書く予定でございます。したがいまして、先ほどお話があった、私どもの機関で言えば厚生労働大臣が大もとの任命権者で、そのもとで労働局長が委任を受けて人事発令などをするという意味での任命権者たり得る場合があるのですけれども、その場合、労働局長を指すわけではなくて、厚生労働大臣を指すという意味で規定をさせていただきたいということでございます。
障害者職業生活相談員のところについては、これは松下課長から説明があったとおりでございますが、ここにおきましては、任命権者が選任をしなければならないというふうに規定をするわけですけれども、その選任の単位は事業所ごとにということでございますので、事業所単位で見て、現在、民間には5人以上の障害者の方がいる場合というふうにやっておりますので、公的機関もそれを参照してやっていくということを想定し、また、任務といいますか、職務に関しては民間と同様の職務をやっていただくことを想定しているということでございます。
○阿部分科会長 工藤代理、よろしいですね。
それでは、内田委員、どうぞ。
○内田委員 労働側の内田です。
内容について異論はございませんが、1点御意見を申し上げたいと思います。要綱の4ページから5ページ目に記載されております、基準に適合する事業主の認定についての部分でございます。5ページ目の3にございます認定について、基準に適合しなくなった場合や障害者雇用促進法やそれに基づく命令に違反した場合、不当な手段により認定を受けた場合には、認定の取り消しができるとされております。
また、7ページ目に記載されております罰則規定の対象としましては、認定企業の不当表示などを想定しているとの御説明があったところでございますが、この法令違反や不正については随時対応が必要となると考えますが、基準に適合しなくなった場合について、定期的に確認する必要があるのではないかと考えます。
例えば厚生労働省のユースエール認定企業制度などでは、認定後も事業主に年度ごとに認定の適合状況について報告の提出などを求めております。この制度につきましても、認定基準などは今後、省令で定めることになると思いますが、この認定が取組の優良な企業に対するものであることを担保できるようにしていくためにも、そういったきちんとした基準が担保されているということを報告する、確認する手順が必要ではないかと考えます。
以上です。
○阿部分科会長 御意見として承りたいと思いますが、事務局から何かあればお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、内田委員のほうからいただいた御意見を踏まえて、今後、制度設計に当たりましての検討を進めていくということにさせていただきたいと思いますけれども、この部分、基準に適合しなくなったときとか、一番端的にここの5ページ目の3に書いてありますけれども、法令、法律に基づく部分に違反した場合ということで、ここも当然制度設計にかかわる部分ではありますが、この認定を受けるに当たって、どういう事業主が対象になってくるのか。
前回、前々回の分科会でもお話がございましたが、法定雇用率を達成している事業主。そうしたこと等も考えられると思いますので、例えばですが、そうした法定雇用率を達成していないような事業主といった場合が、すぐにその後判明した場合とか、そうしたこと等も含めて、どうした場合にこの基準に適合しなくなったということが認められるかというところについては、しっかりと検討していきたいと思っているところでございます。
○阿部分科会長 では、遠藤委員から関連の質問ということで。
○遠藤委員 経団連の遠藤と申します。内田委員が御指摘されたことですが、大変重要です。制度設計の中で、客観的に確認できる状況をどうつくっていくのかということについては、私どもも関心を持って見てまいりたいと思います。
今後の展開の中でどのように整理されていくかということなのですが、法定雇用率の達成状況は月次で変わってくることもございます。端的な例ですが、認定を受けて、表示もした。商品やサービスにかかわるグッズの中で展開していて、月次のある時期において法定雇用率を達成しなかったときに、それを不当表示だと直ちに見ることが運用上どうなのか、当然のことながら出てくる話であると思います。悪意を持って、重大な過失があって、これはもう説明の要らない話だとは思うのですが、そのような状況下も十分あり得るということで、制度設計には御留意いただければと思います。
○阿部分科会長 今、お二人から御意見がありましたけれども、御意見があったとおりで、そういったことに留意しつつ、今後の制度設計を当たっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
その他の御意見、御質問等はございますでしょうか。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 労働側の佐保であります。
私のほうからは、要綱の2ページから3ページにかけての作成指針の部分と、活躍推進計画について、確認を含めて御質問を3点ほどさせていただき、意見を1点だけ述べたいと思っております。
まず、作成指針についてなのですけれども、作成指針に則して計画を作成するということになっておりますが、この指針の内容については、本分科会でもこれから議論を行っていくのかどうかということが1点目の質問でございます。
2点目は、この計画を作成する地方公共団体についてです。自治体の規模については特段書かれておりませんし、計画は作成しなければならないというふうに書かれておりますので、どんなに小規模な自治体であっても、要するに、全ての市区町村がこれを作成しなければならないのかどうかという確認でございます。
3点目は、計画の期間について、先ほど課長の御説明で、2年から5年を想定しているというお話をお伺いしましたが、これは具体的に省令なり通知なり、もしくは指針などで、2年から5年の間隔で計画をすることを定めるのかどうかということをお聞きしたいと思っております。
以上3点が確認で、あとの1点は意見としてなのですが、活躍推進計画を作成するに当たっては、国のほうで、厚生労働大臣が必要な助言を行うことができるということが書かれております。自治体といっても、規模によって、大きな自治体から本当に職員数の少ない小規模な自治体までありますので、大きな自治体と小規模な自治体では業務の負担が異なると思っております。適切に計画を作成できるように十分な周知や情報提供をお願いしたいと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、佐保委員のほうから御質問がございました。
まず、最初の指針について分科会にということでございますが、この指針につきましては、中身はここに書いてありますように、障害者の計画の作成に関する基本的な事項とか、活躍の推進に関する取組の内容に関する事項といった、計画そのもののガイドラインという位置づけのものになっていきますので、重要な指針ということで認識をしております。この分科会においても御議論いただくという場を想定しているところでございます。
また、計画自体の作成主体という2点目のお話、小規模自治体等も含めてつくるのかという御質問ですけれども、これもこの要綱にも書いてございますように、国及び地方公共団体ということで、特に規模を限定しているわけではございませんので、小規模自治体も含めて作っていただくという形を想定しております。
今、先ほど佐保委員のほうからも話がございました。そうした小規模自治体にもつくっていただくということもございますので、今回の要綱の中の3ページ目の(三)にも書いてございますが、厚労大臣が国又は地方公共団体の任命権者の求めに応じて、作成に関し必要な助言を行うことができる。まさしく先ほど佐保委員のほうから話があった観点から、厚労省としてもそうした小規模の自治体を含めてしっかりと支援できるようなことをやっていくということを考えているところでございます。
あと、計画期間で2年から5年と申し上げました。そうしたことを想定しているのですが、どこに規定をしていくのかというところでございますが、これにつきましても、指針の中にそうした計画期間の内容等々も記載することが考えられるのではないかと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
小出委員、どうぞ。
○小出委員 育成会の小出です。
1つ確認をさせていただきたいと思います。7ページの「第二 国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置」ということで、第一に、当該機関に勤務する職員又は当該事業主が雇用する労働者が対象障害者であるかどうかの確認ということで、これの文言で、私がちょっと理解不足かもしれませんけれども、現に働いている職員に対するものであって、新たに採用するときにはどういう項目、これと同じようなことが準拠されるのかどうか。文言として、採用時における障害者という条件はどこから出てくるのかなと。採用についてはないものですから、確認をさせてください。
○阿部分科会長 それでは、事務局、お願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 7ページの第二の1番目のところですけれども、対象障害者となる職員の確認方法でございます。ここの規定について、これはここに書いてありますけれども、当該機関に勤務する職員又は当該事業主が雇用する労働者について、雇用率の対象となる障害者であるかどうかの確認という規定になっております。ここの規定については、そうした中で限定といいますか、そうした方々についての確認方法を省令の中で定めていくという形にしておりますので、規定としてはそういう御理解をいただければと思っております。
○阿部分科会長 小出委員、どうぞ。
○小出委員 わかりました。小出です。
採用についてはまた別途の規定というか、制度の文言になるということでしょうか。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 採用に当たりましては、例えばハローワークで障害のある方が、自分自身が障害者であるということを申し出て、それで職業紹介を受けるという場合もありますし、そうではなくて、一般の職業紹介を受けるという場合もございます。そこはそれぞれの求職者、障害者の方の対応によって出てくるものがあると思っているところでございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
では、どうぞ。
○小原委員 大阪大学の小原です。
質問ではなく、御回答もいただかなくても、意見だけ申し上げておきます。先ほど佐保委員からあった点なのですけれども、小規模の団体にも同じものを課すということなのですが、多分、書類の保持などを議論するときなどにも大事な項目だろうなと思っておりまして、書類を残すことは利益とコストがあるわけなのですが、恐らく書類を残すというのは小さなところでは非常に負担でもあるので、その規定はこれから話すときにしっかり考えておかないといけないなと感じました。お答えは結構です。今後議論しましょうということです。
○阿部分科会長 いいですか。ほかにはいかがですか。
村上委員、どうぞ。
○村上委員 労働側の村上です。
この要綱案そのものには書いていないことなのですけれども、今回の法改正の内容が公務部門での再発防止策中心ということですので、1点お願いということで申し上げます。
それは合理的配慮の提供についてでありまして、民間の場合については苦情処理や紛争解決援助は労働局の都道府県労働局長による助言・指導、勧告がありますし、紛争については調停制度も活用できるということになっております。
合理的配慮に関するトラブルがあったときには、国家公務員については、公平審査制度で対応されるということだろうと思いますし、地方公務員につきましては人事委員会、公平委員会で調停ができるということになるのだろうと思いますが、こういった公平制度や審査制度、人事委員会、公平委員会というものは、これまではどちらかと言えば職員全体の不利益処分であるとか、勤務条件の取り扱いを担当してきたところであると認識しております。
必ずしも障害者雇用に関する合理的配慮の判断であるとか、過重な負担についての判断をこれまで専門的に行ってきたわけではありませんし、そうした経験はまだ浅いのではないかと感じております。
今後、公務部門で多くの障害を持った方々に働いていただくということになっていくと、そこでの雇用の質を確保するという意味では、合理的配慮を適切に提供していただくということが基本になりつつも、公平委員会などで相談や援助などに適切に対応していくことが必要であると思っております。そういった部分をどのようにして確保していくのかについて、何かお考えがあればお聞かせいただければと思いますし、今後、ぜひそのような部分を充実させていただきたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 では、お願いします。事務局。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、村上委員からお話がございましたように、国家公務員及び地方公務員につきましては、障害者雇用促進法の助言・指導、勧告の規定が適用除外とされております。ですから、紛争解決援助、調停に係る規定につきましても、国家公務員及び地方公務員は適用除外とされているところでございます。
このため、国家公務員におきましては国家公務員法、人事院規則に基づきまして公平審査制度というものが設けられておりますし、地方公務員におきましては、地方公務員法の中におきまして、人事委員会及び公平委員会というもので別途こうした紛争解決の対応が図られているという現状がございます。
こうした中で、今、御指摘がございました、今後こうした公務における障害者の方が増えるということを踏まえてのこうした制度の有効な機能の発揮という御指摘であったかと思います。こうした御意見を踏まえまして、制度としましては、それぞれ人事委員会のほう等々も所管するような話にもなってくる部分かと思います。そうしたところとこういう状況をよく共有しながら、今、御意見があったこともお話をさせていただきながら、対応を図っていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。
それ以外にいかがでしょうか。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 経団連の遠藤です。本日、諮問された資料で申しますと、8ページです。第四の三の検討についてです。私どもといたしましては、5年ではなくて、施行後3年を目途とした形での見直し規定を盛り込んだという、この御判断については評価をさせていただきたいと思います。
そして、この規定の根底にある考え方の方向性はぜひ実現させていく必要があると考えます。意見書の中で引き続き検討すると位置づけられた項目が幾つもございましたので、改正法案の成立後、この審議会はもちろんのことですが、加えて、例えば新規の研究会をスタートさせるなど、迅速な取組をお願いさせていただきたく思います。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
遠藤委員から御意見がございました検討規定の部分でございます。施行後3年を目途として、必要があると認めるときは所要の措置を講じていくという検討規定を置かせていただいております。
今回、意見書の中におきまして、民間事業主等に関連する部分の検討の項目が多々ございます。その多くある中の検討内容につきましては、今、委員からいただいた、出てきた意見等も含めながら、分科会長とも御相談させていただきながら、どういう場で御議論をするかということも含めて、しっかりと検討を深めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。
三輪委員、どうぞ。
○三輪委員 使用者側の三輪でございます。
意見書の記載に関するコメントをさせていただくということでもよろしいですか。
○阿部分科会長 どのような内容でしょうか。
○三輪委員 前回、実は欠席させていただいていまして、ついていけていない部分があるかもしれないのですけれども、意見書の最後の9ページ、10ページに、法定雇用率の達成に向けた計画的な取組等という記載がありまして、これまで国等で今後、4,000人強の障害者の方の採用をある程度のスピード感を持ってやっていかなければならないという中で、民間企業がそれで受ける影響について、いろいろと懸念をするという議論があったかと思うのですが、それを受けて恐らく結びのところに「国等における障害者採用による民間事業主への影響に配慮することが重要である」という記載を入れていただいているのだと認識しておるのですけれども、この具体的な方策とか取組について、何か現時点でお考えがあるのであればお伺いしたいと思いますし、もし現時点で具体的な内容がないのであれば、しかるべきタイミングで何かそういうことをお示しいただけるのかどうかについてお話を伺いたいと思っています。
○阿部分科会長 では、お願いいたします。事務局からお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、三輪委員のほうから御質問、御意見がございました、意見書の中の9ページから10ページ目にかけて、国等における障害者の採用による民間事業主への影響に配慮するということが重要であるという取りまとめの内容の部分でございますが、ここの部分につきましては、これまでも基本方針の中におきまして、民間事業主の求人、雇用に与える影響を考えながら、まずは求職者の方についてしっかり採用を進めていくという考え方が、昨年10月に基本方針を取りまとめられました中にも盛り込まれているということでございますので、ハローワーク、また、関係の就労支援機関等も含めながら、そうした求職中の方を中心に、しっかりと就職に向けた支援をやっていくということが第一義にあるかと思っております。
また、この部分につきましては、実際、民間事業主への影響といったこともどの程度今後、出てくるかというところも含めながら、我々としても、またその後の対応についても考えていくということも場合によっては必要になってくる部分があるかと思っている。
以上でございます。
○三輪委員 ぜひまた意見を言わせていただける場をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 今後の推移を少し見ていきながら、またこの場で議論ができれば議論したいと思います。ただ、意見書は意見書で取りまとめておりますので、これについて直接的な意見ではなかったと思いますので、今後の対応の仕方ということで、御意見があったというふうに理解をさせていただければと思います。
その他、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、皆様から御意見を頂戴しましたが、今回、御提示いただきました法律案要綱そのものについて、大きな修正はないというふうに私自身は理解しておるところです。
したがいまして、当分科会としましては厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告を申し上げたいと思いますが、そのような形でよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、報告文案の配付をお願いします。
(報告文案配付)
○阿部分科会長 では、平成31年2月19日付で、労働政策審議会会長樋口美雄殿宛てに、障害者雇用分科会分科会長阿部正浩から、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について、平成31年2月19日付厚生労働省発職雇0219第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は下記のとおり報告する。
記。厚生労働省案は妥当と認める、という内容で書かれております。
このような形で報告をさせていただきたいと思います。
こういった形でお手元に配付された報告文案で労働政策審議会会長宛てに報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、そのように報告をさせていただきます。
今後ですが、労働政策審議会会長宛てに報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申するということになりますので、よろしくお願いいたします。
これで本日の議論は全て終了いたしました。本日も大変熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。
閉会に当たりまして、土屋職業安定局長から一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土屋職業安定局長 職業安定局長の土屋でございます。
本日は「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」につきまして諮問を申し上げましたところ、答申をおまとめいただきました。まことにありがとうございました。
本日、御承認をいただきました法律案の要綱は、先週13日におまとめいただいた意見書を踏まえたものでございますが、官民を問わず障害者の方々が働きやすい環境を作って、また、全ての労働者にとっても働きやすい場をつくるということが重要であるという観点から意見書をおまとめいただき、また、私どもこの要綱案の形で法的な整備の内容をまとめた、こういうものでございます。
本日の答申を受けまして、速やかに法律案を作成いたしまして、今、開会中の通常国会に提出をしていきたいと考えております。また、先の話にはなってまいりますが、法案が成立をした際には、改めてこの分科会において施行に向けた御審議をいただくということになると思っておりますので、各委員の皆様方には、今後とも引き続き御指導、御助言を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
最後に事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。
お願いします。
○木本障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程につきましては、分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。
本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表は内田委員に、使用者代表は三輪委員に、障害者代表は本條委員にお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中をありがとうございました。