第83回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

平成31年2月1日(金)17:00~19:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室

議事


○阿部分科会長 それでは、ただいまから、第83回「障害者雇用分科会」を開催します。
本日の出欠状況について御報告します。
本日は、小原委員、中川委員、長谷川委員、塩野委員、石田委員が御欠席です。
石田委員の代理として、日本商工会議所の高野氏にお越しいただいております。
また、武石委員は、遅れて御参加されると聞いております。
それから、土屋職業安定局長は、ほかの公務により、少し遅れるとお聞きしております。
それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。
前回の会議でお話ししたとおり、本日は、これまでの分科会での論点整理における議論を踏まえて、事務局と意見書のたたき台を作成いたしましたので、これについて、事務局から説明をお願いして、その後、議論をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、事務局、どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の松下でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
今、分科会長からお話がありましたとおり、分科会長の御指示を受けまして、我々事務局のほうにおきまして、今回、これまでの2回の論点整理におけます御議論、御意見を踏まえて「今後の障害者雇用施策の充実強化について」という意見書のたたき台を作成させていただきました。
資料につきましては、資料1を中心に御説明をさせていただきたいと思いますので、ご覧いただければと思います。
まず、早速ですけれども、1ページ目をご覧いただきたいと思います。
「今後の障害者雇用施策の充実強化について(たたき台)」ということでございます。
まず、前段の前文のところでございますが、ここにつきましては「今後の障害者雇用施策については」というところで、1段落目のところでございますが、これは、2017年9月から約1年間にわたって議論をしてきておりました研究会がございます。
この研究会が、2018年7月に報告書の取りまとめをしております。この報告書が取りまとめられました研究会での議論を十分踏まえて、今後の対策を検討していくということが必要であるということを1段落目に書かせていただいております。
「こうした中で」ということで、2段落目のところでございますが、今回の、昨年起こりました対象障害者の確認計上に誤りがあったという事案がございました。そうした事案について、このような事態は極めて遺憾であり、制度を所管する立場にある厚生労働省及び国等はこれを重く受けとめた上で、再発防止を徹底するだけではなく、これを契機として、今後は民間事業主に先駆けた取組にも積極的にチャレンジするなど、名実ともに民間事業主に率先垂範する姿勢のもとで、障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を進めていくことが必要であると、2段落目で整理をしております。
最後の3段落目でございますが、このような状況を踏まえ、今後の障害者雇用施策の充実強化について、法的整備を中心に取り組むことが必要であるという形で前書きのところをさせていただいております。
その後でございますが、今回、論点整理で大きく2つ柱を立てて整理をさせていただきました。
まず、第1のところにありますように「民間事業主における障害者雇用の一層の促進に関する措置」という柱を立たせていただいております。
ここのところにつきましては、まず、項目1でございます。「週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援措置の創設」というところで柱を立てております。
その下の段落のところでございますが、まず、下の段落の部分の中身につきましては、週所定労働時間20時間未満での働き方の支援の枠組みについては、障害者雇用率制度あるいは納付金制度の対象とされていないと、その理由を示して記載をしております。職業生活において自立しているとは言えないではないかという考え方に基づくものということで整理をしております。
2段落目のところでございますが「一方で」ということで、精神障害者の最近の動き、状況について整理をしております。
就労希望者が大幅に増加傾向にあるということと、中長期にわたり現行の雇用率制度の対象となる働き方に移行できない方であったりとか、こうした働き方を求められること自体がストレスにつながる方も一定程度見られると、そうした状況等を整理しております。
続きまして、2ページ目をお開きいただきたいと思います。
2ページ目につきましては「こうした状況を踏まえ」という3行目のところの段落でございますが、雇用率制度のカウント対象とする常用労働者については、職業的自立の目安である週所定労働時間20時間以上の労働者とする枠組みを維持するということを書いております。
維持しながら、短時間であれば、就労可能な障害者の方の雇用機会の確保を支援するためと、労働時間の20時間未満の方に対する支援を納付金財源とする特例的な給付金という形で事業主に支援することが適当であるという形で整理をしております。
「その際」というところでございますが、給付金の単価について記載をさせていただいております。
ここにつきましては、そこに書いてありますように、調整金・報奨金の単価の4分の1程度ということが適当である。前回、分科会の中で御意見もございましたが、3分の1程度という単価の設定もあるのではないかという御意見がございました。
ここの部分につきましては、納付金財政の持続可能性ということも踏まえながら、今回の整理案のたたき台としましては、調整金・報奨金の単価の4分の1程度ということで一旦整理をさせていただいております。
また、支給期間につきましては、限定をしないということが適当であるということと、週所定労働時間の下限の部分につきましては、10時間ということで整理をさせていただいております。
以上が1番目でございます。
続きまして、2つ目「障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設」の部分でございます。
1段落目につきましては、現状の中小企業における状況、障害者雇用のゼロ企業が多く残されている、そうした状況があるということを示しております。
次の段落のところでございますが「このため」ということで、障害者雇用に対する経営者の理解を促進するということと、先進的な取組を進めている事業主が社会的なメリットを受けることができるよう優良な中小企業に対する認定制度を創設することが適当ということで整理をしております。
「その際」ということで、次の段落のところでございますが、認定をする企業の考え方としまして、幅広い評価項目を設定した上で、一定の評価項目に該当する場合に点数を与えて、その点数が一定点数以上となる企業を認定するポイント制ということが適当であるということで整理をしております。
その後、なお書きのところでございますが、評価項目の例として、以下のとおりということで(1)から(9)まで9項目例示として整理をさせていただいているところでございます。
2ページ目のところの、なお書きの中段あたりでございますが、先進的な取組を進めている事業主を認定すると、そういう制度趣旨を踏まえると、法的義務を果たしていることが前提と考えております。
このため、例えば、法に基づく法定雇用率を達成していることとか、その他、関係法令に違反する重大な事実がないことということが前提の企業を認定するという形に整理をしているところでございます。
3ページ目をお開きいただきたいと思います。
3ページ目の上のところ(9)までが2の認定の関係でございます。
3ページ目の3のところでございます。「法定雇用率の段階的な引上げの検討」というところで、1段落目につきましては、今後の見通しといったところを一旦整理させていただいております。
こうした見通しも踏まえながら、2段落目のところでございます。
「この点」というところでございますが、今後の雇用率見直し時において、法定雇用率を計算式の結果に基づき設定した上で、企業の障害者雇用の状況や行政の支援状況等を勘案して、障害者雇用の質を確保する観点から必要と考えられる場合に、当該法定雇用率までの引上げを段階的に行うように運用するということにしております。
その場合の具体的な引上げ幅や引上げ時期については、当分科会で議論することが適当であるということで整理をさせていただいております。
その後の「なお」のところでございますが「法定雇用率の在り方については」というところで、その他、今回の分科会の中でも御意見が出てきておりました、計算式、法定雇用率の算定に当たっての計算式の分子、雇用されている障害者の方の数の部分でございますが、その中における就労継続支援A型事業所の雇用者についての取扱い、評価をどうしていくのか。
また、暫定措置として、35年までの措置とされております、精神障害者の短時間労働者にかかる雇用率のカウントの取扱いなど、そうした論点について、引き続き検討を行っていくということが適当であるということで整理をさせていただいております。
以上が3でございます。
続きまして、4のところでございます。調整金・納付金の仕組みの検討でございます。
(1)のところにつきましては、調整金・納付金の適用企業の適用拡大についての論点、課題のところでございます。
これは、研究会報告書におきましても、50人規模以上に適用拡大していくのが適当ではないかという報告書の中身でございました。
「この点」というところで、この分科会におきまして、制度の対象拡大については慎重に検討すべき等々の御意見が出ていたところでございます。
こうした御意見等も踏まえながら、中段あたりでございますが、中小企業における調整金・納付金の適用に関しては、納付金財政の持続可能性、中小企業における障害者の受入体制の整備、支援機関等の関係構築あるいは就労支援機関における理解の状況等を踏まえながら、納付金の額の引下げをするなどの猶予措置とか、報奨金の要件緩和も含めて、引き続き総合的に検討することが適当であるという形で整理をしております。
続きまして(2)のところでございます。これは、調整金の上限額を設定していくというところで、大企業A型事業所における、そうした措置でございます。
ここにつきましては、一定程度こうした見解に対して理解するという意見が出てきた一方で、4ページ目をご覧いただきたいと思います。
4ページ目のところでございますが、肯定的な意見が出てきている一方で、また、A型事業所に対する就労場所が、これによって失われる懸念があると、そうしたことも踏まえながら検討を進めるべきであるといった御意見が出てきていたところでございます。
こうした御意見等も踏まえながら、上限額の設定、「この点」の段落のところの中段あたりでございますが、上限額の設定については、社会連帯の理念に基づき、企業間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図ることが納付金制度の目的であり、A型事業所に支給される福祉サービスの報酬との関係であったりとか、大企業におきましては、企業規模の関係と調整金との整理、そうしたことも踏まえながら、この論点について引き続き検討することが適当であるという形で整理をしております。
(3)のところでございますが、納付金財政の調整機能の部分についてでございますが、ここの部分、あまりこの分科会におきまして御意見等は、それほど多く出てこなかった論点でございますが、今、申し上げました調整金・納付金の対象企業の拡大であったり、上限額の設定の(1)(2)の部分と同列で、こうした納付金財政の調整機能についても、引き続き検討することが適当であると、そうした趣旨で整理をさせていただいております。
続きまして「5 その他の課題」というところです。
「(1)除外率制度に関する対応」でございます。
除外率制度につきましては、研究会報告書におきまして、鍵括弧で書かれてあるような意見という形で報告もされておりますが、法律におきまして、除外率を廃止するという方向性が決まっております。
そうした中で、そうした方向性は、委員の方々、一緒の形になっているかと思いますけれども、除外率を今後下げていく、廃止するに当たってのスケジュールであったりとか、ただ、職種、業種によってはなかなか難しい、除外率を廃止するのは難しいものも残っているということも御意見として出てきたところでございます。
そうしたことも踏まえながら、今後の対応としまして、除外率の廃止について諸外国を含め、特定の業種における障害者雇用の実態把握を行いながら、引き続き検討することが適当であるという形で整理をさせていただいております。
(2)のところでございます。雇用率制度におけます長期継続雇用の評価のところでございます。
ここにおきましても、研究会報告書の中で、こうした論点が提示されているところでございます。
一番下の行のところで、この分科会における意見としまして、そういう長期継続雇用のカウント、雇用率におけるカウントの上積みを肯定する意見も出ておりましたが、一方で、その鍵括弧のところ、常勤雇用の障害者が、5ページ目のところでございますが、長期に就労することは当然であって、カウントの上積みは理念的に問題といった御指摘、御意見も出ていたところでございます。
こうしことも踏まえながら、この論点につきましては、引き続き検討することが適当であるということで整理をしております。
続きまして(3)のところでございますが、在宅就業障害者支援制度についての、今後の支援のあり方といったところの論点でございます。
この論点につきましては、あまり御意見等は出ていなかったところでございますが、この部分につきましても、研究会報告書の中で検討すべきということで提示もされておりますので、引き続きここの部分につきましても検討していくという形で整理をしているところでございます。
(4)のところでございます。雇用率制度の対象となる障害者の範囲の検討というところでございます。
ここの部分につきましても、研究会報告書におきまして、今の手帳制度に代わるような精神障害での自立支援の医療受給者証の交付者を対象としてはどうかといった論点。あるいは外国の例として、フランス等におけます就労能力の判定の仕組みといったことも含めて検討すべきであるという形で提示をされていたところでございます。
この分科会におきまして、こうした点につきまして、一定そうした考えを理解するということがありながらも、少し中長期的に専門家も入った検討会を設置して議論してほしいといった御意見等も出てきたところでございます。
こうした御意見等も踏まえながら、最後のところでございますが、雇用率制度の対象障害者の範囲につきまして、諸外国における仕組みを参考にしつつ、福祉施策との連携も深めながら引き続き検討するという形で整理をしております。
(5)のところでございます。これは、差別禁止関係、合理的配慮の提供の実施状況の把握というところでございます。
これにつきましては、2013年の法改正により、こうした措置がとられる形になったわけですが、その後の状況として、こうした実施状況の把握をしていくことが適当であるということで整理をしているところでございます。
6ページ目のほうに入っております。
(6)のところでございます。短時間勤務制度の措置であったり、通勤支援の検討というところでございます。
この短時間勤務制度あるいは通勤支援の部分につきましても、まずは現場の実態を把握しながら、引き続き検討することが適当であると。
また、特に通勤支援の部分につきましては、その通勤支援のあり方について、福祉施策との連携も進めながら引き続き検討することが適当であるという形で整理をさせていただいております。
以上が、民間の障害者雇用に係る論点を踏まえた御意見を受けて整理をさせていただいたところでございます。
続きまして、第2のところでございます。第2につきましては「国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握及び障害者の活躍の場の拡大に関する措置」という形で柱を立てております。
下のほうの1つ目「1 国及び地方公共団体の責務の明確化及び任免状況の公表義務の創設」でございます。
この部分につきましては、基本方針におきまして、障害者の任免状況については、それぞれの各機関が公表する仕組みを検討するということとされております。
また、責務の明確化につきましては、国等の機関、障害者雇用を推進すべき立場にあると、率先して進めるということも踏まえながら、こうした点につきまして、法律において、国等の責務を明確化していくということとあわせて、みずからの機関ごとの障害者の任免状況を公表することが適当であるという形で整理をしております。
続きまして、7ページ目をお開きいただきたいと思います。
7ページ目につきましては、「2 障害者雇用の質の確保に資する計画の作成・公表に係る規定の整備」のところでございます。
法的雇用率を達成していないということで、今回、多くの不足数を出してきたわけでございますが、不足数の採用につきましては、採用計画というものが、既に法律の規定で定められて、量の部分は対応している。
一方で、雇用の質の部分につきまして、特に国・地方公共団体、今回の事案の検証の中でも、障害者雇用に対する意識、ノウハウが不足しているということなどから、採用した障害者の職場定着が進まなかったり、能力が発揮しにくかったりと、そうした状態が生じないように、雇用の質の面、障害者の方が活躍しやすい職場づくり、そうしたことを進めることが必要であるということで、1段落目で整理をしております。
こうしたことを受けてということで「このため」のところでございますが、障害者の活躍の場の拡大のための取組を不断に実施するなど、自律的なPDCAサイクルを確立できるよう、法律におきまして、障害者の雇用の質の確保に資する計画の作成・公表に係る規定を整備することが適当であるとさせていただいております。
また、その際ということになりますけれども、各機関が計画を作成するに当たって、厚労省において計画の作成指針を丁寧に示すということが適当であるということを書いております。
「具体的には」というところでございますが、計画期間については、おおむね2年から5年、また、計画の内容については別紙でございますが、取組例を10ページ目のほうにつけさせていただいておりますけれども、前回の分科会での資料にも出させていただいた取組例を別紙として10ページ目につけさせていただいております。
こうしたことも踏まえながら、あわせて取組に係るものだけではなくて、目標も設定することも考えていくということで整理をさせていただいております。
以上が2でございます。
続きまして、3のところでございます。
障害者の雇用推進者、それと生活相談員の選任のところでございます。
これにつきましては、最初の段落の2行目のところにもありますが、民間事業主に対しては、既にこうした規定がございます。
一方で、国等に対しては、そうした規定がないということを受けて、今回、2段落目を飛ばしまして、3段落目の2行目のところ、国等の機関に対しても民間事業主と同様に、法律において推進者及び相談員の選任に関する規定を整備することが適当であるという形で整理をしております。
続きまして、4のところでございます。
「国及び地方公共団体に対する報告徴収の規定の整備」でございます。
これにつきましても、民間事業主に対しては、既にこうした規定があるということで、一方で、国等の機関に対しては規定がなかったということで、今回の不適切な計上事案等々も踏まえながら、関係閣僚会議で決定された基本方針に基づいて、こうした報告徴収等の規定を検討するということが盛り込まれておりますが、基本方針に基づく取組だけではなくて、法の実効性を確保するという観点から、法律におきまして、厚生労働省が国等の機関に対して報告徴収できる規定を整備するということが適当であると、必要な体制を整備することが適当であるという形で整理をしております。
8ページ目をご覧いただきたいと思います。
「国及び地方公共団体に対する解雇の届出義務の適用」のところでございます。
これにつきましても、既に民間事業主に対しては、こうした規定が整備されております。一方で、国等の機関に対して規定がなかったということで、今回、民間並びということも含めまして、この届出について、解雇された障害者である労働者の支援の観点から、国等の機関に対しても同様の規定を整備していくということが適当であるということで整理をしております。
続きまして「6 書類保存義務の明確化」のところでございます。
これも、先ほど来申し上げておりますように、民間事業主に対しては、省令という形になりますけれども、既に書類保存義務が規定されております。
今回、報告徴収等の規定も整備するということが適当であるということの、先ほどの論点、項目とセットになる部分かと思いますが、書類の保存義務ということにつきましても、国等に対して義務を明確化して、規定を置いていきたいということでございます。
この法律において措置をしていくということを考えていくことが適当であるかと思っておりますので、最後のなお書きのところでございますが、民間事業主におきましても、先ほど申し上げましたが、省令で規定されているものを国等と並んで法律上の義務とすることが適当であるという形で整理をさせていただいております。
続きまして「7 対象障害者の確認方法の明確化」というところでございます。
今般の国の不適切計上の事案の原因の一端として、障害者の対象となる方々の範囲、確認方法が明確でなかったということが指摘されております。
こうしたことを受けて、基本方針においても明確化を図るような取組、ここに書いてありますような手引等々を作成し、各府省に送付するという形も基本方針の中で明記されております。
こうした基本方針の取組とあわせるような形で、法律の中におきましても、こうした対象となる障害者の確認方法を明確化することが適当であるという形で整理をしております。これが7でございます。
続きまして、8のところでございます。
「8 国等の機関における納付金制度の適用等」というところの項目でございます。
これにつきましては、その下のところに記載させていただいておりますが、これは、御承知のとおり、民間事業主に対しては納付金制度、一方で、国の機関に対しては、そうした規定がないということ。
9ページ目のほうに移りますが、こうした状況の中で、国等に対して納付金を徴収するということについては、国民の税金から支払うことになり、結果的に国の納付義務を国民に転嫁することとなるといった課題がある。
そもそも国等の機関は率先して障害者雇用を推進すべき立場であることから、法定雇用率の達成を前提として取組を確実に進めていくことが重要であるという形に整理をしております。
「なお」というところにつきましては、納付金制度の趣旨、考え方のところを改めて、また、そこの整理をさせていただいております。
事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図っていくということ。
それと、障害者を雇用する事業主に対しては、納付金という形だけではなくて、助成金で支援をしたり、調整金というものもございます。
そうした制度もあるという、納付金が果たしてきた機能を今後も維持するためにも、今般の公務部門における事案にかかわらず、納付金制度を引き続き適切に運用することが適当であるという形で整理をしております。
最後の項目でございます。「9 法定雇用率の達成に向けた計画的な取組等」というところでございます。
今回、不適切な計上があったということで、約4,000人の障害者を採用するということで、今後、国の機関におきましては、必要になってきているというところでございます。
これは、2019年末までに、そうした人数を採用するということになっております。
この点に関しまして、この分科会におきまして、不適切な状態が何年も続くということを容認すれば、民間に対して雇用率を達成するように指導できないのではないかといった懸念が示される一方で、1年間で4,000人の障害者を採用することにより、数合わせのための問題が生じるのではないかといった懸念も示されたところでございます。
こうしたことも踏まえながら、各国の機関、府省におきましては、今年になりますけれども、2019年1月を始期とする法令に定められた1年間という期間で採用計画に基づき取組を進めることが第一に重要ではありますけれども、数合わせということにならないよう、雇用の質の確保を図ることが重要であるという形で整理をさせていただいております。
以上が、少し説明が長くなりましたけれども、今回の意見書のたたき台ということで、事務局として、分科会長の御指示をいただきながら整理をさせていただいたところでございます。
以上で、説明とさせていただきます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、質疑応答に入りたいと思います。
いつものとおりでございますが、御質問や御意見がありましたら、視覚・聴覚障害者の方々への情報保障の観点から必ず挙手をしていただいて、私が指名した後に、お名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。
それでは、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
それでは、竹下委員。
○竹下委員 竹下です。
まず、民間の関係で、中小企業の、私は中小企業に限定する必要はないと思うのですけれども、障害者雇用の優良企業の認定制度は、ぜひ前向きにかつ意義あるものにしてほしいと思うわけです。
こういう認定企業が、例えば、入札とかの便宜が図られる上で有利だというだけではだめだと思うのです。もっと社会的なアピールといいますか、社会から見ても企業がそういう形で障害者雇用の大きな取組をしているというアピールにつながる、そういう認定制度にぜひしていただきたいというのが1点であります。
それから、除外率の関係では、なぜ、この十数年間、廃止すると決めているにもかかわらず、動きがとまっているのかということをきちんと問題点を整理しながら、除外率を下げていくことにおける何が、ある意味では壁になっているのか、あるいはどうすれば、ゼロに近づけられるのかということについて、十分な支援策も含めた議論をしていただきたいと思います。
それから、在宅就労の関係ですけれども、私は、在宅就労は、障害者にとって障害の種別を越えて極めて重要な1つの就労体系だと思うのですけれども、逆に気をつけていただきたいのは、通常勤務につけるにもかかわらず、それをいわば在宅に、言葉は不適切かもしれませんが、押しとどめさせる形でのものにならないようにしていただきたいと思うのであります。
それから、毎回申し上げておりますが、通勤の問題は、いつも福祉の分野からは、福祉だけで対応すべきではなくて、事業主との合理的配慮の調整の問題なのだといって、いつもそこでとどまる。
逆に、今度は雇用問題でいくと、福祉との調整という形でその問題が壁になってしまう。そうした谷間に置かれるようなことに決してしてはならないと思うので、この通勤問題を早急に解決する形をつくっていただきたい。
最後に、長くなって済みません、官公庁の関係で2つだけ申し上げます。
1つは、雇用の質の確保の関係は、計画的にやっていくということは、極めて大事なことであるし、今後、この計画がもたらすことによる進歩というものを期待するわけですけれども、雇用の質というときに、合理的配慮であるとか、あるいは就労に対する職場における改善状況というものが、より外からも見えるような形に、これもしてほしいなと。
そのときには、どうしても資金が必要かと思うのです。資金の問題を考えないで計画を立てても、それは絵に描いた餅に終わると思うわけです。その点でも、資金的な裏づけを伴う計画のあり方ということをぜひ考えていただきたい。
もう一つだけ最後に、公務員の関係の9番目のところで、今、課長自身が口にされたように、今回のこの問題が数合わせで終わってはならないのだと、こうおっしゃっているのだけれども、非常にこの書き方は、そのことと不釣り合いなような気がするのです。
なぜなら、9番目にこう書いてあります。「法定雇用率の達成に向けた計画的な取組等」と書いてある。それだったら、結局は、雇用率を達成したらおしまいかと言いたくなるわけです。それだったら、まさに数合わせそのものではないかと言いたくなるわけです。
そうではなくて、あさって実施される障害者を対象とした選考採用試験制度は、この問題に取り組む大きな前進だと思うのです。こうした問題が、恒久的な制度として実施され、法定雇用率を達成したからおしまいではなくて、積極的に障害者の就労の機会を確保するという観点から制度の恒久化をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 いずれも御意見だとは思いますが、事務局からお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。御意見ありがとうございました。
まず、中小企業の認定制度につきましてですが、これは、先ほども御説明させていただきましたけれども、まず、中小企業におきましては、なかなか障害者雇用が進んでいない、停滞している状況、障害者の雇用ゼロ企業も多く見られると。そうしたことも踏まえまして、中小企業の方々の障害者雇用を進めると、社会的喚起ということで意見書の中にも書かせていただきましたけれども、そうしたことを目的として、今回、認定制度を創設して障害者雇用を進めていきたいという制度の趣旨ということでありますので、中小企業を対象とさせていただきたいということでお願いをしたいと思っているところでございます。
また、除外率のところにつきましては、今、竹下委員がおっしゃられたような観点も含めて、平成14年、16年以降、除外率の関係、動きがとまっているということも含めながら、また、この間、障害者雇用は当時と違った状況もあるかと思います。そうした業種の状況等もできる限り我々としても把握をするということも含めながら、今後、検討を進めていくということが適当ではないかという考え方に立っているというところでございます。
また、通勤支援の関係につきましても、ここの部分、先ほど委員のほうからも御指摘がありましたように、雇用と福祉というところの狭間に落ちるというような御指摘があったかと思いますけれども、こうした部分を、我々も今いただいた意見も念頭に置きながら、今後の支援策のあり方ということにつきまして、しっかりと検討していくということも考えていかなければいけないということで、意見書にもそうした趣旨のことを書かせていただいております。
国等の公的関係のところにつきまして、雇用の質のところについての予算的な、資金的なということの部分でございますが、ここの部分につきましては、計画自体は、それぞれの役所ごとに作成をしていただくということになってきますので、一義的には、それぞれの役所が計画を作っていくに当たって、その計画を実現するに当たって予算要求していくという形になってくると思っておりますので、その際に、我々厚労省としてもどうした支援ができるかということも含めながら考えていくべき論点かと思っております。
また、最後の御意見で出ておりました、採用の関係でございます。数合わせにならないようにということで、この分科会の中でも、縷々御指摘もいただいてきたところでございます。
そのために、今回、そういう数合わせにならないように、雇用の質といったことをしっかりと確保していくということで、障害者の活躍推進計画と、雇用の質を担保するための計画を進めていくということで、前回の分科会の中でも資料を出させていただいたところでございます。
こうした点を、我々としてもしっかりと意識しながら、今後の取組、今、委員から御指摘のあった点も踏まえ、しっかりと進めていきたいということでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 竹下委員と重なる部分もありますけれども、まずは、今の松下課長のお答えにもありましたけれども、結局は、9ページの9番ですけれども、2019年末まで、これから4,000人の採用ということは、すごく大変なことではないのかなと思っています。
また、一方、これは竹下委員の発言のように、7ページに障害者雇用の質の確保に資する計画については、おおむね2~5年と、そういう計画を立てていながら、1年間で4,000人という中で、結局は、合理的配慮などにも、一人一人に合ったものがなくてやめてしまったりする人、自分の力を発揮できない人がいたら、本当に困るのではないのかなと思いますので、確かに、9にあるように早急に4,000人というのとても大事なことで、期限を決めなければ、いつになったらという問題もあるのかもしれないけれども、この1年というのをきっちりしたものではなくて、ある程度雇用の質と合わせながら、それぞれの方々の仕事のぐあいと合わせながら検討していくことも必要ではないのかなと思います。
もう一点は、本当に単純なことですけれども、ただの字句だけです。3ページです。
3ページの下から3行目「(2)大企業及び就業継続支援A型」と、これはただの誤字です。恐らく就労継続支援ですね。ただ、それは後から気づくことだとは思いますけれども、今、一応、申し上げさせていただきます。
もう一点だけですけれども、7ページの「3 障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員の選任」ということは、民間企業でも、多分、従業員何人に1人とか、そういうものがあるのであれば、そういうこともきめ細かく、その辺のところも詳しく調べていないのですけれども、十分な数の配置がなければ大変なのかなと思っていることだけ、心配ということで申し上げさせていただきました。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
事務局から何かございますか。
どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
最後の障害者雇用推進者、障害者職業生活相談員の選任のところでございますが、まず、障害者職業生活相談員のところでいいますと、今の民間企業におけます規定としまして、障害者が5人以上雇われている事業所ごとに選任するという形になっております。そうしたことも踏まえながら、今回、国等の規定を整備するに当たって、また、考えていくということになるかなと思っているところでございます。
障害者雇用推進者についても、そうした雇用率の対象となる観点から、民間企業でいいますと、45.5人という形になるかと思っていますが、そうしたことの、今の民間の状況も踏まえながら公務関係の整理をしていきたいと思っているところでございます。
また、最初の1つ目のところで、採用計画の期間のところのお話がございました。1年間で4,000人ということで、なかなか難しいということで、我々もそうした4,000人の部分について簡単ではないということは認識をさせていただいております。
一方で、まずは関係法令に沿って、1年間ということで計画期間がなっておりますので、それに沿った形で取組を開始させていただきながらも、進捗状況とか、その状況、課題などもしっかりと途中段階でフォローアップをしながら、今後の採用計画の部分についても考えていくということもあるかなと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 小出委員の前に内田委員が手を挙げていましたので、内田委員、小出委員の順でお願いいたします。
それでは、内田委員、どうぞ。
○内田委員 労働側委員の内田です。
私からは、2ページ目の「障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設」についての意見と質問をさせていただきます。
内容的には、前回の資料に比べて具体的な記述がふえていると思いますが、この認定を受けることによって、どのようなメリットが享受できるのかというのがまだ不明確ではないかと思います。制度としてのさらなるつくり込みは、今後、本分科会で行うにしても、意見書の取りまとめに当たっては、中小企業に対し、どの程度の負荷で、どの程度のメリットがあるのかということを明らかにしたほうがよいと思います。
制度の創設の趣旨である社会的な関心を喚起するためには、相応のメリットがないといけないのではないかと考えます。
また、質問になりますが「幅広い評価項目」と記載がありますが、先ほどの御説明では、(1)から(9)が例示だと御説明をいただいたのですが、このほかにも、評価項目として御検討されているものがあれば、教えていただきたいと思います。
また、この認定の有効期限について、どのくらいと想定されているのか、具体的なものを、もしお持ちであれば、教えていただければと思います。
以上です。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
認定制度の関係で御質問がございました。まず、最後に御質問がございました、有効期限の期間の関係でございます。
ここの部分につきましては、他の認定制度も、今、我々は見ているところでございまして、例えば、似たような認定制度、例えば、次世代育成支援推進法に基づく認定の関係、女性活躍推進法に基づく認定の関係、くるみんとか、えるぼしとか、ございますけれども、そうしたものの有効期間、有効期限について見てみますと、特段期間を定めていないという形になっているというところもございます。
そうした他の制度の状況も踏まえて、今回の認定制度の期間の関係というのを整理していきたいと思っておるところでございます。
また、メリットの話がございました。ここにつきましても、まさしくメリットを認定された企業に対して付与していくということは大事な観点でございます。
今、我々も関係省庁とそうした観点で、メリットの付与というところで調整をしているところでございますので、その部分、メリットを付与して、それが認定を受けたいと思えるようなものを、できる限り作っていきたいと考えているところでございます。
あわせまして、先ほど、竹下委員からも話がありましたけれども、こうした認定された企業について、アピールといいますか、社会的に広げていくということも含めて、認定された企業に対して、厚労省としてもそうした企業、例えばですけれども、ホームページ等々で周知をしていくとか、そうしたことも考えていくことが大事かなと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、小出委員、お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。
9ページの9に関連するかとは思いますけれども、公務部門における採用と、先ほど竹下委員さんのほうから、あさって採用ということが始まるということを言われておりましたけれども、公務部門における採用という、これほど大幅な採用試験というのは、かつてなかったということ。
それから、この雇用率の算定の中に、精神障害者、その中に発達障害という部門が入ってきました。
それで、今、皆さんが議論しているベースには、従来の障害者という概念のもとにということがあったと思うのですけれども、実は、こういうことも聞いております。
大学生の中で、障害者手帳を取得という、その傾向がふえているという、これをとって障害者枠の公務員試験を受けると、そういうことがちょっと聞くところによるとあるということを聞いております。
そうすると、この辺のところ、あさって採用試験があるということなのですけれども、どういう職種、また、業務の切り出しを行って、どういうところに、その人たちを求めているのかというようなこと。
それから、採用試験に臨む人たちに、どういう方々がいるのかと、雇用率のほうの算定に障害者枠、発達障害が入ってきたということで、従来からの傾向とはまた違うということがあると思います。
ですから、そのところを公にできるところは公表していただきたいと。そうでないと、検討という概念ががらっと変わってくるのではないかと感じております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、事務局から何かあれば、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今回、人事院が行う統一的な障害者を対象とした選考試験のお話をされたかと思います。
今回、700名弱の枠の中で、我々が聞いておりますのは8,000人以上の応募者が来られたということで聞いているところでございます。
恐縮ですけれども、参考資料でいいますと、参考資料3、ページ数でいいますと、スライドがツーアップになっておりますので恐縮ですけれども、スライドでいいますと、20枚目のスライドになります。
ここに今回の人事院の選考試験の採用の関係の状況、これは人事院のほうで作成された資料を使っております。
今回、先ほど申し上げましたけれども、採用予定数676人のところに申込者数が8,711名と、12月19日の時点ということでございます。これだけ多くの方々が募集に応募してきているということになっております。
その中で、先ほど、どういう職種でということのお話もございました。そうした職種であったり、また、結果ということも含めてということかと思いますので、この部分につきましては、人事院さんのほうにも、我々としてそうした意見があったということを重ねて、また、話をしておきたいというところでございます。
以上でございます。
○小出委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 では、松爲委員、お願いします。
○松爲委員 松爲でございます。
質問と意見と2つお願いいたします。
まず、質問ですけれども、3ページの法定雇用率の段階的な引き上げの最後の段落です。
つまり、A型事業所の人たちに対しての雇用の評価のあり方とか、それが、今、ここに書いてある福祉部局の間の論議を重ねて、なかなか問題は難しいと、その問題が難しいということの中身について、少し整理して聞かせていただきたいのです。
つまり、福祉と雇用との連動ということを考えたときに、先ほど、竹下委員が、例えば、通勤の場合でも、雇用か福祉を扱うかで隘路になりましたということでありますね。
そういった意味と同じように、A型というのをどういう格好で雇用との流れをつくっていくかということで、今、福祉部局と何が隘路になっているのか、それを1つ整理して聞かせていただきたいと思います。
2つ目は、意見なのですけれども最後のページにありました計画、これも前回の委員会のときにお話をしたと思いますけれども、少なくとも、こういった全体の流れというのは、民間企業でノウハウとしてつくってきた枠組み、それをある程度中央官庁にも反映させていこうと、そういったことで、それなりに評価をするのですけれども、ただ、民間企業の今までの雇用の流れからしますと、推進チームとか、責任者以前の段階だけでは収まらなかったはずですね。
特に大企業においては、特例子会社という全く新たな制度をつくったおかげで、大々的に障害者雇用が進んだわけですね。
今、例えば、こういった推進員というのは、それ以前の段階でつくられたけれども、実は、それよりもっと大きな効果があったのは、特例子会社制度だったと思います。
そういった意味では、民間企業でつくられてきた特例子会社を含めたノウハウの活用といったことまで考えていかないと、中央官庁の障害者雇用率の達成はおぼつかないのではと思うのです。
そういった意味では、民間のやってきたいろんな制度、政策、特に特例子会社に対する政策を、何とか中央官庁にも組み込むような制度改革が必要ではないかと思います。
法改正を含むとなると大きな課題になるかもしれませんが、これをやらないと恐らく中央官庁の障害者雇用は進んでいかないと思いますので、意見として述べさせていただきます。
以上です。
○阿部分科会長 では、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
まず、最初のA型事業所のところでございます。このA型事業所の関係の御質問のところでございますが、これは、研究会報告書の中でもこの論点、課題というものが出てきておりまして、計算式を出すに当たって、その分子のところに、A型事業所における雇用についてどう取り扱っていくかのというところが論点として研究会報告書の中で出てきているところでございます。
これは、大変恐縮ですけれども、資料で申し上げますと、参考資料の6-2のところでございます。
参考資料6-2の報告書そのものの資料でございますが、この中のページ数でいいますと、35ページをお開きいただきたいと思います。
上のほうでございます。少し読ませていただきますけれども「また」というところで「現在の法定雇用率の計算に当たっては、就労継続支援A型事業所の利用者についても雇用契約を締結していることから、計算式の分子(雇用されている障害者)の内訳に含まれている。就労継続支援A型事業所における雇用については、利用者である雇用者の数等に応じて障害福祉サービスの報酬が支払われる等、いわゆる一般の雇用とは異なることからも、就労継続支援A型事業所が増えれば増えるほど法定雇用率が引き上げられていくような仕組みは適当ではないとの意見が多く示され、法定雇用率の設定に当たっては、計算式の分子の数値から就労継続支援A型事業所の利用者数を控除した数を用いるべきとの意見も示された」ということが出てきております。
こうした研究会報告書の中で書かれてあること、ここで議論になるところとすれば、障害者福祉サービスの報酬も支払われているといったところ等々との兼ね合いとかも含めながら、今後のA型の雇用、利用者の方の評価、そうしたところについて課題になっているというところであるかと考えております。
また、2つ目のところでございますが、採用計画に絡めて大企業のノウハウ、特に特例子会社の部分について御意見があったということで認識をしております。
まさしく、今、おっしゃられている部分の特例子会社等々、大企業、民間企業で行われている制度、そうした仕組みも官の部分で考えていくということにつきましても、そうした観点、大事な部分はあるかと思っておりますので、また、そこの部分について今後の取扱い、また、委員の皆様方との中で、この報告書、意見書の中でもどうした取扱いをしていくのかというのは、また、分科会長とも相談していきながら検討していきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。
どうぞ。
○松爲委員 松爲でございます。
福祉サイドの人たちがA型事業所に対して、障害者雇用率をカウントする際に分離するのを拒否しているのかどうか、もしそうなら、その理由は何なのか、ということがよくわからないのです。
雇用側の視点では、障害者雇用率のカウントに際しては、A型事業所は除外すべきだと考えるのですが、福祉分野の人たちは、それはいろんな意味で難しいという意見も聞かれます。そうした意見の内容について、わかる範囲で教えていただきたいと思います。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございますが、今後、A型事業所の雇用の評価の中で、今、松爲委員のほうから話があった部分につきましては、議論をしていく部分かと思っておりまして、我々のほうとして、現段階、先ほど申し上げました以上の情報ということは認識をしていないというところでございます。
○松爲委員 わかりました。済みませんでした。
○阿部分科会長 では、岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 労働側の岡本でございます。
今の関連ということではありませんけれども、法定雇用率の段階的な引き上げについて、確認と質問でございます。
この段階的な引き上げについては、これまでもこの分科会でさまざまな御意見が出されており、検討をされておりますけれども、確認でございますが、この段階的な引上げについては、法律の改正等が必要なわけではありませんので、具体的な内容については、法定雇用率の5年に一度の見直しの機会に、この分科会で検討していくという理解で良いのかどうかというのが1点。
それから、先ほども少しお話がありましたけれども、法定雇用率の段階的な引上げの問題と、いわゆる分子問題、法定雇用率の分子である雇用されている障害者の方の数の対象範囲の問題の議論のところで、引き続き検討を行うという記載と、具体的な段階について議論していくというように書き分けがされてありますけれども、分子問題については、いわゆるゼロベースで議論をするというような理解で良いのかどうか、どういう意味合いでこの書き分けがされているのかについて事務局のほうで御回答いただければと思います。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
まず、法定雇用率の段階的な引き上げの部分でございます。まさしく3ページ目の2段落目のところに記載をさせていただいておりますように、法定雇用率の見直しのときにおきまして、法定雇用率の計算式の結果に基づき設定した上で、法定雇用率までの引き上げを段階的に行うように運用すると。
その際の考慮要素として企業の障害者雇用の状況であったり、行政の支援状況を勘案して、雇用の質を確保する観点から、そうした段階的引上げを検討していく。その引上げ幅、引上げ時期については、この分科会において議論して決めていくという形にしていくということで、先ほど、御意見があったとおりのことで対応していくということでございます。
また、2つ目のA型事業所における雇用者の評価の部分でございます。ここの部分につきましては、もともと先ほども紹介をさせていただきました、研究会報告書のベースもございます。そうした、これまで積み重ねてきた議論も含めながら、今後のA型事業所の雇用者の評価といったことを考えていくということになるかと思っております。
引き続き検討して、もちろん、それぞれ新しく議論をするに当たりまして、いろんな立場から御議論をするという形にはなるかと思っておりますけれども、これまで出された研究会の報告書等も踏まえながらやっていくということになるかと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 では、先ほど、佐渡委員の手が挙がっていましたので、佐渡委員、お願いします。
○佐渡委員 使用者側の佐渡でございます。
新たな認定制度につきまして、ぜひともお願いしたい点、障害者優先調達推進法との連動をぜひとも考えていただきたいということ。
これに付随しまして、地方自治法施行令の中に、地方自治体にも準ずるものを認定できる枠組みがあろうかと思うのですけれども、ぜひとも地方、地域に応じて認定することが推進されるような啓発をぜひとも進めていただきたいということでございます。
○阿部分科会長 では、御意見として承りますが、事務局から何か、特になければいいですけれども。
では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今の御意見でございますが、優先調達推進法を所管している、弊省の障害部のほうにものお話をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、本條委員、どうぞ。
○本條委員 認定制度でございますけれども、全体的には賛成で、ぜひ進めていただきたいのですが、これの真ん中に「その際」と書いてありますけれども「障害者雇用に関する取組は、各組織及び障害者本人等の状況に応じて様々に進められていることを踏まえ、幅広い評価項目を設定した上で」ということで、これ自体は、やはり大切なことだと思いますが、恐らく想定されるものは、入札において優遇されるというか、ポイントが上がっていくと思うのですけれども、入札にしますと、大企業などは、ほとんど雇用率が達成しているところが多いと思いますので、やはり、中小企業のものを進めていこうとするならば、その雇用率だけではなく、例えば、入札する場合には、実績とか、あるいは企業規模とか、いろいろなものがありますけれども、中小企業でなければできないものもあると思いますので、そういうところをある程度優遇すると、中小企業でも障害者雇用に熱心に取り組んでいるところは、そういう中小企業でもできないようなものについては、一律に評価するのではなく、そういうところも勘案して、より進むようにしてはどうかと思います。
それから、3ページ目ですけれども、4の(1)50人規模以上に限定して適用拡大していくというのが賛否両論あるわけでありますけれども、これについても、今までにない考え方として、雇用率を一律にするのではなく、そういう100人以下の企業については、短時間も0.5人も1としてカウントするとか、そういう障害者を雇用しやすいような形を検討するというのはどうかと、こういうぐあいに思います。
これは意見です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
まず、認定制度のところでございますが、2ページ目の2の項目のところ、段落でいいますと、3段落目の「その際」のところで、今、お話があった点でございます。
ここのところの書きぶりにつきまして、少し説明をさせていただきますと、実際、どのような企業を認定するかといったところで、確かに幅広い評価項目を設定した上でということで、その項目例としまして、下のほうにあります(1)から(9)というような形で、少し幅広く評価項目を設定した形にした上で、ここに企業の取組が該当すると。
例えば(1)に該当するということであれば何点と、(3)に該当するということであれば何点という形で、それぞれ点数を付与し、その点数が一定の点数に積み上げて、一定の点数になった企業に対して認定していくというようなポイント制という形をとっていくということで、そこの3行については書かせていただいているというところでございます。
また、お話があった部分は、メリットの部分の話かと思います。認定された企業に対して、入札での加点要素であったりとか、そうしたこと等を踏まえまして、我々としてメリットの付与がどこまでできるのかというのを関係省庁とも調整をして、できる限りのメリット付与という形ができるようにしていきたいと思っているところでございます。
2点目のところでございます。
雇用率の制度、例えば、お話がありましたように、100人以下のところ、短時間の労働者の障害者の方の0.5を1にするといった検討という部分でございますが、ここにつきましては、雇用率制度のあり方にかかわってくるという部分でございますので、すぐに何かこの場でそうしたことができるということは難しいかと思っております。
いずれにしましても、4の(1)のところでいいますと、50人規模に拡大していくということにつきましては、しっかりと、これからまた引き続き検討していくということにさせていただいておりますので、この中で、こうした取組を検討しながらも、先ほど御意見がありました部分は、なかなか難しい部分かなと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
ほかに、いかがでしょうか。
では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 労働側委員の佐保です。
私のほうから、先ほど、竹下委員がお話になった除外率制度についてお話をさせていただきたいと思います。
これについては、1点確認を含めて発言をしたいと思います。
4ページ目の5の(1)になりますが、分科会としては、除外率制度については廃止と決めて、今後はなくしていく方向であるということは、私は理解をしております。(1)の記載の最後のほうなのですが「除外率の廃止について、諸外国を含め、特定の業種における障害者雇用の実態把握を行いながら、引き続き検討することが適当である」と記載してあります。
これについては、以前の分科会で廃止すると決めたことも含めて検討するという意味に受けとられかねないと考えております。
この間の議論は、障害者の除外率の廃止に向けた検討を行うという前向きなものであったと理解をしております。
いずれにしても廃止に向けて、どのように除外率を引き下げていくのかといったことについては、3ページ目の法定雇用率の段階的な引き上げと同じように、段階的に引き下げていくといったことも重要でありますので、その議論も早期に開始する必要があると考えております。
以上です。
○阿部分科会長 では、遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 関連なので御発言をさせてください。
今回のたたき台のまとめにつきまして、改めて1ページをご覧いただきたいのですが、最初の5で、昨年の7月に取りまとめられた研究会の報告書を前面に出していただき、そして、その議論を十分踏まえつつ検討を深める必要があると書いていただいたことに対して御礼を申し上げたく思っております。この方向で議論を深めていくことが何よりも重要ではないかと思っています。
先ほど、ゼロベースみたいな御発言がございましたが、結果がどういう方向に行くのかは別として、議論を積み重ねてきているので、その議論を踏まえた形で次の展開を図っていくのは当然ではないかと思っています。これが、まず1点目です。
除外率につきましては、研究会報告書の中でも慎重な御意見の方がおり、法律の方向性も理解しつつ、では、現状はどうなのかということについて議論していくことを確認したのであって、それが前向きだとか、後ろ向きだとか、そういう評価をすることなく淡々と書いていただいている。この書きぶりで私はいいのではないかと思います。それが2点目です。
先ほどA型のお話がございました。A型については、どういう問題があるのか、松爲先生自身がよくご存じのことであって、むしろ、それを質問することによってどういうところに論点があるのかを皆さんと共有したいという趣旨の発言かと思います。
ただ、今回は、そのことが求められているわけではございませんので、引き続き検討しましょう。福祉の観点がどうしても必要不可欠になってまいります。
障害福祉部門との調整なくして、展開していかないということを考えれば、算定式の分子における取扱いをどうするのか、あるいは、調整金・報奨金の対象として続けていくのかどうか。上限設定をどうするのか。ここに書かれているように、障害福祉部門との調整と、それから、その調整を実あるものにしていくためには連携強化について、このくだりを今一度入れていただくことをお願いしたいと思っています。
また一方で、障害福祉サービスの関連で言えば、昨今の報酬単価の見直しがあり、それによって、実態についても竹下委員から御指摘がございました。
直近の動きも踏まえつつ、対応していくことが必要ではないかと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
これに関して、事務局から何かありますか。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
除外率の関係につきましては、先ほど、お二方の委員から話が出ておりますように、除外率を廃止するということを法律の中でも決まっている。
そうした流れの中で、実際、どこまで除外率の部分を、今後、対応していけるのかといったところについて議論していくということでございます。
ですから、まさしく除外率の廃止に向けてという形の流れの中で、今後、諸外国も含め、特定の業種における障害者雇用の実態把握を行いながら、引き続き検討すると、そうした趣旨で、ここの部分を書かせていただいたということでございます。
また、A型事業所の話の部分につきましても、今、遠藤委員のほうからも話がございました。いろいろ福祉サイドとの連携といったこと、我々も重要だということを、先ほど来、申し上げているとおりでございます。その直近の動き等々も踏まえて議論していくということは大事な論点だと思っておりますので、こうした部分についても、この意見書の中で取り込めるかということにつきましても、また、分科会長とも相談しながら検討をしていきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、村上委員、どうぞ。
○村上委員 ありがとうございます。
何点か意見と質問です。まず、2ページの中小企業の認定制度についてでございます。本日も御意見がたくさん出ましたけれども、具体的なイメージや他の制度との比較なども見させていただくと、より明確になっていくかと思いますので前回も申し上げましたけれども、そういった資料を次回以降出していただければと思っております。
それから、2ページの(1)から(9)に認定のポイントとして評価する項目の例が出されておりますが、その中に、今後追加を検討いただきたいと思っていることがございまして、それは、除外率の問題です。
例えば、除外率の対象業種なのだけれども、除外率を適用しないで法定雇用率は達成しているというようなことに対しては、十分加点するべき内容ではないかと思っております。
そういうことをしていくことで、除外率を引き下げていく道筋も少しできていくのかもしれないと思っておりまして、御検討いただければと思います。
次に、これは質問ですけれども、5ページから6ページにかけて、差別禁止や合理的配慮の提供に関しては、実施状況を把握するということがありまして、6ページの冒頭に「幅広く実態を把握することが適当である」と書かれております。こう書かれているということは、何か具体的にお考えがあるのかと思いましたので、何か調査をすることを考えているのかということについて質問です。
それから、7ページの公的機関に関してなのですが、厚生労働省が国や地方公共団体に対する報告徴収をできるようにするという規定について確認なのですが、これは、対象となる障害者は、障害者雇用促進法が対象とする障害者全般であるのかということと、そうである場合、例えば、ある機関で採用において、差別禁止の規定あるいは合理的配慮の提供と抵触するような条件を付していたり、きちんと合理的配慮の提供がなされていないというような事案が判明した場合、そういう機関に対しての報告徴収も厚生労働省として行えるといったようなことなのかという確認であります。
最後に9ページの9の「法定雇用率の達成に向けた計画的な取組等」の部分で、竹下委員、阿部委員からもありました御意見と重なる部分があるのですが、国等の機関で不足数が4,000人ということでありますけれども、地方公共団体も含めますと、1万人程度と言われておりまして、そういった中では、性急に採用を進めるのではなく、計画的に進めていくことが大事であって、一気に採用を急ぐことで、働く障害者の皆さんだけでなく、受け入れた職場においても混乱をしかねないのではないかという危惧をしております。
障害者の皆さんが、長期的、安定的に働くことができる環境整備をきちんとした上で採用していくということが大事でありまして、職場の仲間として本当に受け入れていくということを優先した採用計画を立てていただきたいと思っております。
また、この間、分科会でもご意見が出されておりましたけれども、大量の採用が必要ということで、民間企業の障害者雇用への影響も危惧されるところでありますので、そういったことについても十分な配慮をいただきたいということであります。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
認定関係の比較の資料につきましては、次回にお出しをさせていただきたいと考えております。
それと、除外率の関係につきましては、認定に当たってということの考慮要素ということにつきまして、その分、取扱い、また、我々としてもそうしたことも含めて、また、考えていきたいというところでございます。
また、3点目のところでございます。
実態把握のところでございますが、幅広く実態把握を行うというところの御質問のところでございますが、ここの部分につきましては、我々としましても、合理的配慮、差別禁止規定が施行されて、もう数年経っておりますので、また、この時期、この状況の中で一定程度実態の把握をしていくということが大事かと思っておりますので、そうした観点から何らかの調査ということも含めて考えていきたいというところでございます。
あと、報告徴収の関係で御質問もあったところでございますが、報告徴収の関係でいいますと、今回、基本方針に明示的に出てきておりますのは、障害者の方の名簿ですとか、あと、障害者手帳のコピーの写しなど、今回の不適切な事案を受けて、今後、そうしたことが懸念されるときにも、例えばということになるかと思いますけれども、そうした部分の資料をチェックするということで、報告徴収といった流れが基本方針の中でも書かれているところでございます。
今、お話がございました、差別禁止であったりとか、合理的配慮の関係の部分の取扱いの部分で、何か疑義が生じた場合ということでございますが、ここの部分につきましては、障害者雇用促進法、御承知のとおりでございますが、国等のそうした部分については、直接的な対象外といいますか、適用の部分から外れるというところもありますので、その取扱いについては、一定程度報告徴収の中で対応できる部分からは外れるものになるのではないかと考えているところでございます。
あと、最後のところでございますが、採用計画のところでございます。
先ほど来、各委員の方からも話がございましたように、採用を急がないといったところ、要は雇用の質の確保といったところが大事だという趣旨かと思います。そこの部分、我々もしっかり雇用の質の確保をしながら安定的な雇用につなげていくといった部分は大変大事なところでありますので、そうした部分は、先ほど来、お答えさせていただいているとおりでございまして、しっかりと量の部分だけではなくて、雇用の質の確保の観点から取組を進めていくということで対応していきたいというところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 桑原委員、どうぞ。
○桑原委員 労働側の桑原です。
私からは、何人の方が触れられておりましたけれども、7ページの一番上の質の確保に関する部分についてで、少し違う観点で意見というか、提案をさせていただきたいと思います。
公務部門における、今回、法改正の項目ということで言うと、今、言った2のところと、前のページにもありますけれども、公表義務の創設の部分、それと、2のところで言えば、自律的なPDCAサイクルを回すことということがあるのですが、公務部門の機関の性善説に基づいて法改正を進める方向性であると読み取れます。
ただ、実際にはこれまでも雇用率の公表はされていたわけでありまして、公表するということは、通常、公表したことによる責務というのが伴うと思われるのですが、それでも不適正な雇用率報告が長年行われてきたということです。
特に、都道府県の教育委員会のように、雇用率未達成を漫然と繰り返してきたことなどを踏まえれば、一定程度外部のチェック機能を働かせることで、PDCAサイクルが適正に運用されていることを担保することも必要なのではないかと思っております。
担保することが必要というよりは、一定の外部によるチェック制度が不可欠だと考えており、そうしていただきたいという意見、提案でございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
7ページ目のところでございますが、この計画の作成・公表に係る部分でございます。
この部分について、今回、新しくこうした計画を作っていくという形にさせていただいておりまして、実際、外部のチェック機能ということで御意見が出てきたところでございますけれども、公表するということは、まず、その内容、取組を世の中に知らしめるというところで、一定のチェック機能、世の中に対して示すということで意義があると思っております。
これもどのぐらいの頻度で計画期間の見直しといったことを、制度設計の部分にかかわってくる部分でございますが、その見直しの中で、絶えず、PDCAサイクルを回して、その部分の結果についても公表していただくとか、そうしたことをしっかり組み込むことによって、チェック機能という形、外部の目にさらすということの観点、非常に意義があると認識しておりますので、まずは、そうした仕組みをしっかりつくって、取組を進めていくということで対応していきたいと考えているところでございます。
○阿部分科会長 どうぞ。
○桑原委員 労働側の桑原です。
おっしゃることはわかるのですが、先ほども申しましたとおり、今までも公表してきたがうまくいかなかったので、ということをつけ加えて申し上げたものです。いきなり実施するのは無理ということなのかもしれませんけれども、やはり、こういうことは検討の価値はあるのではないかという意味で提案をさせていただきます。
○阿部分科会長 では、事務局。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今回、国・地方公共団体を含めてでございますが、ここの意見書の中にも書いてあるような取組につきましては、ページ数でいいますと、6ページ目のところでございます。
6ページ目の第2の前書きといいますか、1の前に書いてある文章のところでも書いてありますけれども、その中の1段落目の下のところでございます。取組状況については、適切な時期に当分科会においてもフォローアップを行うことが重要であるということも今回、この意見書の中にも書かせていただいたところでございます。
こうしたことも含めながら、先ほど、申し上げました公表ということもしっかりさせていただきながら対応していくということで考えているというところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 松爲でございます。
この報告書には直接的なかかわりは薄いのですが、今後のこともあってお願いしておきたいことがあります。
5ページの障害者雇用率制度の対象障害者の範囲の検討についてです。
この中で、障害者手帳制度とは異なる形で障害者を能力判定することの必要性が指摘されています。この件に関しては何十年も言われ続けてこられた話なのですがなかなか進みません。
現在は障害者手帳を基盤に医者という社会的なステータスのある専門職が判定することで社会一般が一応納得するというのが実情ではないでしょうか。
ただ、それに代わる制度をつくるとなると、個人的には障害者総合支援法の支援程度区分判定の制度が参考になると思います。これまでの、数多くの研究会の報告書の中で、手帳制度とは異なる形で障害者の能力判定方法の提案がなされるのですが、一歩も進んでいないのです。障害者手帳委に代わる障害認定の制度について、ぜひとも一歩進んだ研究会を立ち上げていただきたいと思います。
発達障害とか難病の人たちなどの障害者手帳制度では捉えられない人たちが労働市場に参入しやすくするには、支援程度区分判定の仕組みを参考に、チェックリストによる第一次判定とそれを補完する専門職チームによる第二次的判定機能を組み合わせた社会システムをつくっていくことが不可欠だと思っています。
特に発達障害や難病など手帳を持っていない人たちが、ますます障害者労働市場に参入する可能性が高まる中においては、対策を検討していただきたいと思います。これは、要望でございます。
○阿部分科会長 では、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、松爲委員のほうから御指摘がございました手帳制度でございますが、これは、もう御承知のとおり、雇用率制度の対象となる障害者の方を確認する方法として、客観的な方法ということで手帳ということで、これまで運用されてきたというところがございます。
これが、ずっとこれまで連綿と続いてきているという状況の中で、今後の雇用率制度の対象となる障害者のあり方といったところで、今、委員のほうから話があったという点も含めて、ただ、これまでの障害者の手帳制度のあり方等々も含めて、そこは一定程度意義があるということで、これまで続いてきている部分もございますので、そうしたこととの比較の中で議論を深めていくということが大事かなと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 経団連の遠藤と申します。
毎回、名前を名乗らないで申しわけございません。
先ほどの御議論の続きになるかと思いますが、私どもも、中長期を視野に入れたときには、手帳ではかり切れないような状況も一定程度出てきているので、どう考えていくのか。やはり、未来志向で考えて行く必要があるかと思います。
現状、少し耳が痛いかもしれませんけれども、公務部門における不適切な計上の話がある中で、手帳がない形での議論が前に進むことにはなり得ないと思います。
現状では、基本的な考え方にのっとって、それを正確に運用していく体制を整えて、その中で展開していく。そうは言っても拾い切れない部分で物事は展開していく必要があろうかと思っています。
この関連で、就労パスポート作成検討会がございます。
これについては、あくまで当該障害者の方が、今、どんな状況にあって、どんな状態になったときにサポートをしてもらえれば働くことができて、働き続けるためには、こんなことが求められる。どうやって、就労支援をしている方々あるいは就職先になるであろう企業と共有するか、議論が始まっています。
今後、議論をワンステップ、ツーステップこなしていく中で、次のステップとして、例えば、今ただ、松爲先生がおっしゃったようなことも含めてやっていただくこともあり得ると思っています。
最後、皆様方は温かい手を差し伸べているといいますか、最後のくだりです。
確かに4,000人あるいは地方を含めたら相当な数になってくるわけですが、計画を立てて、それに対して実行していくということになります。
私どもとしても、実際に公的部門がどんな活動をしていて、どういう状況になっているのか、しっかりウォッチさせていただきたいと思っています。
そういう中で、これは使側委員の打ち合わせの中で出てきたことですが、例えば、民間企業で働いていたけれども理由があって働き続けられなくなってしまった、あるいは、民間で何度か面接を受けてみたけれども就職できなかった。民間部門で採用できていない、あるいは定着できていない方々を率先して公務部門で取り組んでいく。そういうことに対しても、公務部門が取り組んでいるところも見せていただきますと、率先垂範というのは、数字だけの話ではないので、そういう中身の議論まで含めて、充実した取組をやっていただくことに対しては、大いに期待をしております。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
何か事務局からありますか。
○松下障害者雇用対策課長 最後の点でございますけれども、まさしく今回、国・地方公共団体、民間事業所に率先してということで、責務の明確化ということも考えていくということも、我々、今回、意見書の中でも盛り込ませていただいている部分でもあります。
そうしたことも含めながら、今、遠藤委員から話があったような、なかなか働きが難しい方々、就職が困難な方々に対しての公務部門が率先して採用を取り組んでいくといった観点、大事な観点かと思っておりますので、そうしたことも何らかの形で、我々としても対応を進めていけるように検討を深めていきたいと思っております。
また、パスポートの関係につきましても、そこの部分、まさしく、今、検討会を開いて検討している状況でございますので、パスポートのあり方も含めて、今後、我々としてしっかり議論をして、世の中に出していくということで、今後、進めていくということでございますので、そうした流れの中で、また、議論を進めていければなと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
では、小出委員、どうぞ。
○小出委員 育成会の小出です。
7ページの3のところです。公務部門においても、障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員の選任と、これを法定化するということ、これは、非常にいいなということでありますけれども、もう一つ、私ども国だけではなくて、地方自治体のほうでありますと、毎年採用ということをかけて、採用している中において、障害種別を見ますと、例えば、私ども育成会の関係の知的障害、それが99人中3人しかいないよとか、そういうことがあります。
要は、前回も述べさせていただきましたけれども、間接差別的な条件が挙げられている。自立通勤ができることとか、そういうことがありまして、1つは、内部的に働き方においても、民間であるジョブコーチというような制度が、この部門には入りにくいということがあります。
そういうことに対する新たな対応ですね。そういうことをしていただけると、地方自治体においても波及効果というのは非常に大きいということがあります。
ですから、知的障害、そういう方々にとっても働きやすい職場ということを、この部門においても進めていっていただけたらなと、そう思っております。
要望でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日身連の阿部です。
簡単な確認なのかもしれませんけれども、2ページの「障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設」。これは、一体どのように誰が認定していくものなのか、具体的なことがある程度あれば、少しお話ししていただければと思います。
これは、多くの企業がある中で、地域も含めてどのようにやっていくのかということ。
それから、これは、自己推薦とか推薦というのもあるのかどうかも含めて、私は一体どう進むかと期待しているだけに、今、具体のものがあるのであれば、少し教えていただきたいと思います。
○阿部分科会長 それでは、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
認定の関係でございますが、今、検討を考えておりますところは、中小企業の方々から手を挙げていただいて、それについて、厚生労働大臣が認定するという形になっております。
厚生労働大臣が認定するに当たって、都道府県の労働局においても認定をやっていくということもあるかと思っていますので、認定する主体としてはそう考えているというところでございます。
また、こうした流れの中で、しっかりと周知をして、手を挙げていただくということを考えておりますので、中小企業事業主の方々にしっかりと、こういう認定の仕組みがあるということも、我々として周知をしていくということも大事かと思っておりますので、そうしたこともしっかりとやっていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 どうぞ。
○阿部委員 そうしますと、それぞれ(1)から(9)までの基準というか、クライテリアをしっかりと明確に企業の方々にもお示ししなければいけないことだと思いますし、これは、本当にしっかりと取り組む、時間もですけれども、本当に充実した取組が望まれるのではないかなと思いました。
確認でした、ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、阿部委員のほうから御発言のありました点、まさにしっかりと認定の基準というものを定めて、その分を事業主の方々に周知していくと、大変大事な、この制度の肝になってくる部分かと思いますので、しっかりとやっていきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 その他、いかがですか。
では、本條委員、どうぞ。
○本條委員 大変初歩的な御質問で恐縮なのですが、5ページの(4)の9行目に「フランス等の諸外国における就労能力の判定の仕組み」と書かれているのですけれども、ひょっとしたら以前、こういう資料が出てきたのかもしれませんけれども、きょうでなくても結構ですけれども、フランス等の等、どういう国かということと、それから、就労能力の判定というものの、もし、資料がありましたら、過去に教えていただいていたとしたら大変恐縮でございますけれども、教えていただきたいと思います。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、御質問がございました「フランス等の諸外国における就労能力の判定の仕組み」というところでございます。
フランス等の「等」ということでいいますと、我々が認識しているのはドイツもあるかと思っております。そうした外国の例、外国におけます就労能力の判定の仕組み、これを我々が認識しているところでいいますと、フランスでありますと、就労能力の判定機関といったものを設けて、日本で言うと、自治体に該当するようなところで、それぞれ機関を設けて、当該障害に該当するか、該当しないかという方の能力の判定をして、その能力の判定をした上で、対象となる障害者ということに認定していくというような仕組みがあると承知をしております。
こうした仕組みにつきましては、先ほど、資料ということも話がございましたので、次回の分科会の際に提出をするという形で考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
武石委員、どうぞ。
○武石委員 公益の武石です。
認定のところで、皆さん、いろんな御意見が出ているのですけれども、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
メリットということで、皆さんから御意見がありました。同じような認定の仕組みで、先ほど、くるみんとか、えるぼしという話があったのですが、くるみん、えるぼしは、認定を受けると、労働市場で、あの会社はすごく働きやすい会社だということで、採用のマーケットで非常に有利になるというのがあるのですが、やはり、障害者雇用ですと、ちょっと特殊で、この認定を受けたからといって、一般の、例えば、学卒の学生が、あの会社は働きやすいと、なかなかそこは直結しない部分があると思います。
障害者雇用を熱心にやられている企業というのは、社会的責任であったり、経営者の方が非常にそういうことに対する思いが強いという意味では、大変いい会社だと思いますので、障害者雇用を熱心にやっている企業の社会的な責任をしっかり果たしているとか、そういうことを行政のほうから発信していただくことがすごく重要なのではないかと思いますので、やはり、えるぼし、くるみんとは少し違うものなのだということを踏まえて、ここの認定を受けている企業のよさというものをぜひアピールしていただきたいということが1つです。
それから、ここに9項目あるのですが、何となくしっくりこない。障害者を雇用している人数が入ってもいいのかなと思いました。こういうことをやっていれば数がふえるはずだから、それはあえて入れないのか、と言っても、やはり、先ほど除外率を考慮するべきだとお話があったのですが、それなりに人数が多いということは、採用を積極的にやって定着をやっているという結果指標だと思うので、取組とダブルカウント的なものになるかもしれないのですが、その数というものも御検討いただいてもいいのではないかと思いました。
以上です。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
まず、第1点目の認定企業に関する部分のところでございますが、働きやすい職場環境という観点の御意見がございました。
障害のある方が多数採用されているという企業でありますと、障害のある方に対していろいろな配慮、働き方の労務管理の部分も含めて、実際のハード面も含めて、いろいろ対応しているという企業も、多数雇用をしているところについてはあるかと思います。
そうした部分、直接的ではないかもしれませんけれども、そのほか、健常者の方におきましても、同様に働きやすい職場ということにもつながってくる部分はあるかと思っております。
いずれにしましても、認定制度の部分の効果、メリットといったところを、しっかりと我々としても、今後周知をしていくということを、御意見も踏まえながら考えていきたいと思っております。
また、2点目のところでございます。
評価項目のところの人数の部分の御指摘がございました。今回、少し項目を簡単に、少し丸めてというか、簡単に項目例ということで示させていただいておりますけれども、3ページ目でいいますと「(7)募集・採用の取組」のところで、具体的に採用の人数の関係とか、そうしたことも含めて考えているところでございまして、御指摘を踏まえて、しっかりと検討を深めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○高野代理 石田委員が欠席のため代理出席しています、日本商工会議所の高野です。
先ほどからご意見が出ております認定制度の創設について申し上げます。メリットについては、かなり皆さんからご意見をいただいています。こちらのほうは、ぜひやっていただきたいと思います。
しかし、ただ実施するだけではなく、認定制度の本来の趣旨は、障害者雇用が進んでいない中小企業に対して、社会的な関心を喚起し、経営者の理解を促進するということもあります。したがって、障害者を雇用したいのだけれども、どうしようかなと思っている中小企業に対しても障害者を雇用する際の参考になるように、先進事例として、ぜひ、発信していただければと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
ほかには、いかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、本日の議論を私なりに理解させていただくと、本日、たたき台を示しまして、皆さんから御意見をいただきましたが、賛否両論出てきたとか、大きな反対があるというようなところはあまりなかったのではないかなと思っております。
それで、本日いただいた御意見を次回までに意見書のたたき台の次の案という形でまとめさせていただきまして、委員の皆様にも、いろいろとその上で御意見なりを賜って、引き続き取りまとめに向けて動いていきたいと思っております。
もちろん時間をかければいいものができるかというと、そういうものでもないと思いますので、できたら、可能であれば、次回あたりで一定程度の意見書の姿を見たいと思っておりますので、委員の皆様におかれましては、引き続き取りまとめに向けて御協力をいただければと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局には、きょうの意見を踏まえまして、意見書案を作成していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、次回の日程につきましては、次いで事務局から連絡があれば、お願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の池田です。
次回の日程については、分科会長と相談の上で、皆様に御連絡させていただきます。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、本日の分科会は、これで終了させていただきます。
本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表は村上委員、使用者代表は遠藤委員、障害者代表は阿部委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日は、大変お忙しい中、活発に議論をいただきまして、本当にありがとうございました。これで終了させていただきます。
ありがとうございました。