第82回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

平成31年1月18日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省 共用第6会議室

議事

○阿部分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第82回「障害者雇用分科会」を開催いたします。
本日の出欠状況ですが、小原委員、武石委員、長谷川委員、佐保委員、岡本委員が御欠席です。
早速ですが、議事に入りたいと思います。
まず、資料1につきまして、事務局から説明をお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
私から、本日の資料につきまして、説明をさせていただきたいと思います。
本日、資料として用意をさせていただいております、資料1「論点整理(案)」で、これは昨年12月25日の分科会におきましても、論点整理ということでお示しさせていただいておりましたが、前回の論点整理につきましては、民間企業におきます障害者雇用の促進に関する論点ということでお示しさせていただきました。
今回は、前回に加えまして、地方公共団体を含めまして、公的部門における論点整理という形で追記をさせていただいて、御提示させていただいておりますので、その部分を中心に資料の説明をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料1「論点整理(案)」を順次説明させていただきます。
まず、1ページ目をお開きいただきたいと思います。国等の機関におきます障害者雇用の促進についてというところでございます。
一番上の1段目の箱のところでございます。資料のつくりにつきましては、前回の資料と同様に、左側が現行制度における課題・提言・指摘、それを受けて今後の対応・方針ということで、事務局としての整理をさせていただいているという造りになっております。
一番上、左側の箱でございます。国等の機関においては、障害者雇用に関して、民間事業主に対して率先垂範して障害者を雇用する立場にあり、基本方針においても、国の行政機関等における障害者の任免状況について、これまで実施してきた厚生労働省による一括した公表とあわせて、各機関における説明責任を果たす観点から、各機関がみずから任免状況を公表する仕組みを検討することとされているという提言がされております。
これを受けまして今後の対応・方針、右側でございますが、3行目でございます。法律において、国等の責務を明確化していくということでどうか。あわせて、国等の機関みずからが障害者の任免状況を公表することが必要ではないかということで、対応・方針を整理しています。
続きまして、2つ目は2段目の箱でございます。これは障害者雇用促進法の中におきまして、法定雇用率が未達成の場合におきます雇用の量の部分につきましては、障害者の採用計画が法律の中に規定されておりますが、一方で、法定雇用率の達成が数合わせにならないような法律上の担保、いわゆる雇用の質の確保、といった部分について、法律上の規定が十分ではないという現状がございます。
こうしたことを受けて、今後の対応・方針でございますが、障害者の活躍の場の拡大のための取組が不断に実施されるよう、法律において、障害者の雇用の質の確保に資する計画を策定する、こうしたものを新たに策定することによって、雇用の質、定着の関係、そうしたところに繋がるような取組を法律の中に明記してはどうかということで対応・方針の整理をさせていただいております。
3つ目、一番下の箱でございますが、既に法律の中におきましては民間事業主に対して規定されているところでございますが、障害者雇用推進者、障害者職業生活相談員の選任についてでございます。この部分につきまして、右側の対応・方針をご覧いただきたいと思いますが、国等の機関に対しましても、民間事業主と同様に、法律においてこうした推進者及び相談員の選任に関する規定を整備していってはどうかということで、対応・方針を整理しております。
続きまして、2ページ目をご覧いただきたいと思います。ここにつきましては、国等の機関に対して報告徴収等の権限に関する規定がない。他方で、民間企業、民間事業主に対しては、そうした規定があることとの対比におきまして、今回、対応・方針のところに書いてございますが、国等の機関に対して、報告徴収等の必要な実態把握を行う権限を規定することが必要ではないかということで、整理をしているところでございます。
続きまして、2段目の箱でございます。これは今、申し上げました報告徴収等の権限を置くこととのセットになると思いますが、書類の保存義務を国等の機関に対しても規定すべきではないかということで、対応・方針に規定をしております。これにつきましても、民間事業主に対しては、既に省令の中におきまして、保存義務ということで関係書類、そういう規定が置かれておりますが、国等の機関に対してはないということで、民間並びということと、先ほどの報告徴収との権限とのセットでこうした保存義務についても国等の機関に対して義務づけることが必要ではないかと対応・方針で整理をしております。
3番目でございますが、今回、障害者雇用の不適切な計上が起きた原因の一つとして、対象となる障害者の要件確認方法が明確に法令レベルあるいは通知等も含めて不明確であった。そうしたことが指摘されております。こうした指摘を受けて、今回、法律、法令のレベルにおきまして、対象障害者の確認方法を明確にしていく。そうしたことが必要ではないかということで、今後の対応・方針のところに提起をしているというところでございます。
続きまして3ページ目をご覧いただきたいと思います。箱は1つでございますが、一番上です。障害者雇用促進法におきまして、納付金制度の話でございますが、民間事業主に対してはこうした規定がある。他方で、国等の機関に対してこうした納付金制度についての規定がないということについて、今後の対応・方針でございますが、これまでの分科会の中でも御議論あるいは御説明をさせていただいておりますけれども、国等から納付金を徴収することについては、国民の税金から支払うこととなり、結果的に国の納付義務を国民に転嫁することとなる。そうした課題等があって、国等に対して納付金制度を適用するということはなじまないのではないかといった対応・方針。また、法定雇用率の達成を前提として取組を確実に進めていくことが重要ではないかということで整理をさせていただいているところでございます。
以上が今回、新しく論点として追加をさせていただきました国等の機関における障害者雇用の促進についてという内容でございます。
また、4ページ目以降につきましては、前回お示しさせていただきました民間企業における論点整理の内容でございます。その論点整理ごとに前回の分科会におきます意見という形で、箱の下のところに整理をさせていただいております。少しかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
まず、1つ目は、4ページ目の週所定労働時間20時間未満の障害者の方を雇い入れた場合の支援措置の関係でございます。前回の分科会における意見としましては、こうした支援措置を新たに創設していくことにつきましては妥当ということで、多くの委員の方々からそうした意見があり、特に異論等はなかったかと思っております。また、その際に、論点にも書いてございますが、短時間のトライアル雇用助成金は週所定労働時間10時間以上で支給を受けられるということで、所定労働時間の下限をそうした形で検討していってはどうか、週所定労働時間20時間未満の雇用に押し込められることが、そこに集中的に流れ込むようなことがないような制度設計も考えるべきではないか、そうした御意見が出ているという形になっております。
ここの部分につきましては、我々は今回、事務局として一定の基本的な考え方を資料として出しておりますので、その部分について説明をさせていただきたいと思います。資料につきまして、恐縮ですが、後ろでございます。13ページ目をご覧いただきたいと思います。13ページ目に週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援措置の具体的な内容ということで、基本的な考え方ということで資料を用意させていただいております。
まず、1つ目のアスタリスクでございますが、20時間未満の方々に対する雇用率のカウントをどうしていくのかというところにつきましては、週20時間以上というふうに雇用率制度のカウントについて対象としておるわけですけれども、この考え方につきましては、そこに書いてありますように、職業的自立の目安として20時間以上というこれまでの考え方を維持するということで考えております。ですので、20時間未満の障害者の方に対するカウントの対象ということは考えていないということでございます。
2つ目でございますが、短時間であれば就労可能な障害者の方の雇用機会を確保するため、こうした納付金を財源とする特例的な給付金を支給していくということをやっていきたいと考えております。支給額の単価の考え方でございますが、これは調整金・報奨金の単価。調整金で言いますと1カ月1人当たり2万7000円という単価になりますけれども、そうした単価を踏まえて週20時間から30時間の短時間労働者の雇用率のカウントが0.5であること、そうしたことと今回、20時間未満で、さらにその半分程度ということで、調整金・報奨金の単価の4分の1程度を支給額の単価としていってはどうかと考えております。
その下でございますが、支給期間につきましては、中長期にわたって20時間以上の勤務に移行できない方々も見られることを踏まえ、期間については限定をしないという考え方でございます。
一番下は労働時間の下限でございます。これも先ほど少し話も出ましたが、トライアル雇用助成金における下限を踏まえながら10時間程度、10時間という形にしてはどうかということで考えているところでございます。
大変恐縮ですが、また戻っていただきまして、4ページ目でございます。4ページ目が20時間の関係の説明でございます。
続きまして、5ページ目をお開きいただきたいと思います。5ページ目の一番上の箱につきましては、中小企業の障害者雇用を後押しするという観点で、優良な取組を行う企業に対しての認定制度を創設してはどうか。下の意見のところでございますが、事務局として考えている制度の基準、メリットなどの内容を示してほしいという前回の分科会における御意見がございました。これを受けまして、今回、資料の用意をしております。
また大変恐縮でございます。14ページ目をご覧いただきたいと思います。障害者雇用に関する優良な中小企業に対する認定制度の具体的な内容ということで、資料を1枚用意しております。基本的な考え方でございます。一番上は中小企業の現状ということで、取組が停滞している、厳しい状況にある。一方で、2つ目のところでございますが、このため、中小企業における障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起し、障害者雇用に対する経営者の理解を促進する。あわせて、先進的な取組を進めている事業主が社会的なメリットを享受できるようにということで、認定制度を創設してはどうかということでございます。
その際、どのような企業を認定するかという考え方のところでございますが、3つ目をご覧いただきたいと思います。評価項目といたしまして、幅広い項目を設定した上で、一定の点数以上となる企業を認定していくような形でどうかと考えております。
具体的な評価項目でございますが、下の考えられる評価項目例ということで、9つを項目例として挙げさせていただいております。障害者雇用の推進体制の整備であったり、3つ目で言いますと、職務の選定、切り出しの関係、創出の関係の取組であったり、4つ目で職場環境の整備、雇用管理の充実とか、募集・採用、職場定着の取組。そうした幅広い項目を評価項目という形で設定し、これに該当する取組があれば、その取組ごとに点数化し、一定の点数になった際に認定していく。そうしたことを考えているところでございます。
また、基本的な考え方でございますが、一番下、認定を受けた企業、事業主のメリットといたしまして、現在、関係府省と調整中ではございますが、国等の公共調達における加点要素に認定の有無を加えるということにつきましても検討を進めていきたいと考えているところでございます。
こうしたところを現状、我々のほうで事務局として考えているということで、資料をお出しさせていただきました。
大変恐縮ですが、また戻っていただきまして、5ページ目をご覧いただきたいと思います。次に、一番下の2段目の箱でございます。これは法定雇用率の設定の考え方、あり方の論点でございます。これにつきましても、前回の分科会におきます意見で、それぞれの立場から異なる見解、意見が出ていたところでございます。
一番上の○でございますが、激変緩和の仕組みを恒久的なものにしていくことが必要。具体的には、一定の場合に限って、柔軟な対応を審議会の議論の中で決めていく。そうした仕組みが必要ではないかといった意見。また、そうした激変緩和については理解すべきであるという意見ではありますけれども、単に激変緩和について法定化していくことについては疑問といった意見。3つ目の○につきましても、急激に数をふやせばいいということではない。一定の理解を示しながらも、ただ、激変緩和を高級化・固定化することについては、実際にどのように雇用率が推移していくのかを見なければならず、慎重に対応する。4つ目でございますが、激変緩和は今までもあった。数だけそろえるような実態も生じるため、余りにも高い数値が設定されるのは問題といった形で、こうした激変緩和の考え方を肯定するといった考え方も出ております。
こうしたそれぞれ若干立場が違うといいますか、そうした意見が前回の分科会でも出ている状況となっているところでございます。
続きまして、6ページ目をご覧いただきたいと思います。6ページ目につきましては、納付金制度の適用企業の範囲について、現行100人超を50人以上に広げていく。対象企業の拡大についての論点でございます。これにつきましては、前回の分科会におきましては、慎重に検討してほしい。障害者雇用の土壌づくりから丁寧に意識改革を促さないと、雇用が進まないといった意見が出て、基本的にはこうした意見について反対は出ていなかったのかなと理解しているところでございます。
続きまして、下の箱でございますが、調整金の支給上限額の設定でございます。この部分につきましても、上限額の設定については理解をするという意見が多く出ておりましたけれども、一方で、A型事業所がそうした上限を設定することによって、そこの下に書いてございますが、A型事業所が加速度的に潰れるとか、そうしたことにならないよう、そうしたことになった場合、障害者の就労場所が失われることは懸念といった御意見も出ているところでございました。
続きまして、7ページ目でございますが、納付金財政が赤字になったときに調整金の額を減額させるなど、そうした仕組みをあらかじめ導入していくという論点でございます。ここの部分につきましても、上限設定といいますか、調整金の額を減額させるとか、そうした考え方については特段異論がなかったかと思っております。前回の分科会における意見につきましては、上限設定という話で、少し前の論点の部分も書いてございますが、こうした納付金財政の検討については引き続きやっていくということで、反対意見等はなかったということで認識しております。
続きまして除外率、下の箱でございますが、この部分につきましては、法律の中で廃止することが決まっている中で、今後、議論するためのスケジュールを設定すべきではないかといった意見が出ておりました。他方で、障害者が就くのは難しい職種が現状として残っているのが事実であり、経過措置であったとしても、一定割合こうした除外率を残していくことは政策的には必要といった意見も出ていたところでございます。
続きまして、8ページ目をご覧いただきたいと思います。上の箱でございます。前回の分科会における意見は、論点としましては、長期間にわたる雇用を継続された障害者について、雇用率制度のカウントを上積みするというところでございますが、この部分につきましても多様な意見が出ておりまして、そうした上積みを進めるべきであるという意見と、一方で、新規に障害者雇用に取り組む企業、事業主に対しては、そうした恩恵が薄いといった意見も出ておりました。また、2つ目の○にありますように、精神障害の部分について、30時間を下回る短時間の労働に関して、現行はそういう特例的な措置があるわけですけれども、1カウントのまま働き続けることができるか。こうした経過措置の規定については、恒久的に措置していく必要性があるのではないかといった意見も出されていたところでございます。
次に、下の箱の在宅就業障害者支援制度でございます。この部分につきましては、在宅就業者支援制度の対象となる場所はどのようなところかという御質問がありましたので、今回、資料を用意しております。大変恐縮ですが、参考資料2をご覧いただきたいと思います。ページ数で言いますと、これは1枚で2アップになっておりますので、ページ数がそれぞれページの真ん中右、下のほうの右側にそれぞれスライドのページが打ってありまして、右下のほうの100ページ、100枚目のスライドをご覧いただきたいと思います。
在宅就業障害者支援制度の対象となる場所というところで、これは法律、省令の規則の中で規定がされている部分でございますが、5つ記載をしております。まず、1つ目が自宅でございます。2つ目が、障害者が物品製造等業務を実施するために必要な施設及び設備を有する場所。3つ目が、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜が供与される場所、就労移行支援事業所であったりとか、B型事業所、地域の活動支援センター。4つ目が必要な職業準備訓練が行われる場所。その他これらに類する場所という形で、制度の対象となる場所ということで、今回、資料を用意しているところでございます。
続きまして、恐縮でございますが、資料を戻っていただきまして、今度は9ページ目をご覧いただきたいと思います。9ページ目につきましては、雇用率制度の対象となる障害者の範囲でございます。障害者手帳を持っている方だけではなくて、広くその他の障害者の方も対象とすることによって支援をすべきではないかという論点でございます。前回の分科会におきます意見が下のところでございますが、考え方については一定のそうした手帳所持者以外の方に対しての支援は必要だと。ただ、現在の議論といいますか、今回の議論が一段落して専門家も入った検討会を設置するなどによって、少し時間をかけて議論すべき論点ではないかという話と、また、これは雇用の部分だけではなくて障害福祉の部局とも連携をして、例えば社会保障審議会とも連携して議論すべきではないか。そうした意見も出ていたところでございます。
次に、その下の箱でございますが、障害者に対する差別禁止であったり合理的配慮の提供に関して、苦情申出を行った場合の不利益取扱いの禁止に関する規定を設けるべきではないかといった論点でございます。前回の意見におきましては、現行の仕組み、制度の中で、事業主と障害者の方々の自主的な解決に向けた努力義務が法定化されている状況があるということで、今後、さらなる上乗せをすべきかどうかについては、しっかり慎重に、継続的に状況を見ていく必要性があるのではないかといった意見が出されておりました。
10ページ目でございますが、短時間勤務制度を設けることが必要ではないかといった論点でございます。そもそもこうした勤務制度を設ける趣旨、考え方のところでございますが、意見として、中途障害になられた場合に短時間勤務を希望するとか、障害の程度が変化して、長時間の勤務が厳しくなった方については、そうした制度を設けることが必要ではないかといった観点での御意見でございます。また、こうした部分の対応につきましては、現在、合理的な配慮の提供の枠組みの中で対応することも可能である。そうした事例も実際にあるということも踏まえて、さらに進んだ取組を打つことが必要かどうかについては議論していくことが大事ではないか。そうした意見が出されていたところでございます。
続きまして、11ページ目でございますが、その他の意見ということで、6つほど記載させていただいております。主なものとしましては、2つ目の○、障害者雇用の分野については、実態把握や詳細なデータ等をしっかり把握をすることが大事ではないかといった御意見、また、3つ目も同様の趣旨でございますが、議論、制度の検討に当たっては、可能な範囲でデータ、試算を出してほしいという意見。それと、4つ目でございますが、これは人事院が行っている選考試験のことが中心になると思いますけれども、採用面について、恒久的な措置、制度的な対応としていくべきではないか。通勤支援についても論点としてほしい。最後に、公務部門の採用について、応募状況がわかる資料を出してほしいといった御意見、御質問がございました。
最後の公務部門の採用に関しての応募状況がわかる資料ということで、これも何度も行ったり来たりで恐縮でございますが、先ほどの参考資料2をご覧いただきたいと思います。参考資料2のスライドのページで申し上げますと、右下の真ん中になりますが、21ページ、21枚目のスライドをご覧いただきたいと思います。
21枚目の「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」の取組状況(人事院)となっているスライドでございます。その中で、水色の部分の上のほうで、人事院の選考試験を経る常勤採用というところで、採用予定数が676人となっているところです。その右側に申込者数が8,711人という形で、応募の状況ということで、12月19日時点になっておりますけれども、それだけ多くの方々が応募してきている状況になっているということで、資料をつけさせていただいております。
恐縮でございますが、11ページ、資料1のほうに戻っていただきまして、1点御説明をしていない部分がございます。資料12ページ目をお開きいただきたいと思います。資料1の12ページ目でございます。これは先ほど国等におきます論点のところで申し上げました、説明をさせていただきましたけれども、雇用の質の確保に関する計画の部分でございます。この部分のイメージを持っていただくということで、今回、資料をつけさせていただきました。表題につきましては、国・地方公共団体における「障害者活躍推進計画」(仮称)のイメージということでございます。
計画期間につきましては、役所ごとにそれぞれつくっていただくということになりますけれども、おおむね2年間から5年間程度ということを考えておりまして、具体的な中身につきましては、大きく3つの柱で考えているところでございます。
1つ目の柱でございますが、障害者の活躍推進に関する基礎的な取組ということで、具体的には3つ、(1)から(3)の中身で、これにつきましてはそれぞれの役所ごとに記載をしてもらうということで、例示になることをイメージしております。
(1)で申し上げますと、それぞれ役所内の体制整備のための取組というところです。具体的には、それぞれ役所の中で、障害者雇用推進チームといったものを設置していただくことであったりとか、障害者雇用の担当者、実務責任者を選任していただくということであったり、また、障害のある方から相談があった場合の相談対応の相談員の選任、そうした体制整備のための取組をこの計画の中に盛り込んでいただいてはどうかと思っております。
(2)でございますが、障害者雇用に関する理解促進のための取組といたしまして、2つ目のポツでございますが、セミナーであったり講習会、職場見学会、こうしたものに職員を参加させたり、派遣したり、そうした取組を通じて理解促進を図っていく。こうしたものを盛り込んでいただいてはどうか。
(3)といたしまして、実際の障害者の方が仕事に就くに当たっての仕事、職務の選定、切り出しの部分で、そうした部分の取組についても、この計画の中に盛り込んでいただいてはどうかと考えております。
以上を1つ目の基礎的な取組という柱のイメージということで示させていただいております。
2つ目の柱でございますが、採用を進めるための取組でございます。採用につきましては、雇用の量の面につきましては、既に法律の中に採用計画というものがございますので、採用計画につきましては、量、数の部分はそちらのほうで担保される形になっておりますけれども、計画のこの部分につきましては、採用を進めるに当たっての具体的な取組内容を盛り込んでいただいてはどうかというところでございます。
(1)でございますが、募集・採用に関する取組というところで、具体的には先ほど御説明いたしました人事院の統一的な選考採用試験を活用したりとか、非常勤の方を中心として、ハローワークを活用して採用をしていくとか、そうした取組を盛り込んでいただいてはどうか。
(2)といたしまして、任用上の措置につきましても、例えば非常勤から常勤化していくステップアップ制度といったものも今回は作っておりますので、そのステップアップ制度を活用していくとか、そうしたことの内容について盛り込んでいくということではどうかというものが2つ目の柱でございます。
続きまして、右側の3つ目の柱でございますが、障害者の方が職場定着し活躍できる職場環境づくりのための取組を盛り込んでいただいてはどうかと思っております。
(1)でございますが、具体的には施設整備、バリアフリー化であったりとか、休憩場所の拡大、そうしたことをやっていくことを盛り込んではどうか。あと、障害の方が働くに当たってのサポートをするための就労支援機器の導入であったり、人的サポート体制、ジョブコーチであったりとか、そうした方々を配置する。支援者の配置といった取組などを盛り込んでいただいてはどうかといったことを(1)の内容として考えております。
(2)でございますが、これは働き方、人事労務管理に関する取組というところで、具体的にはその下に書いてありますような、テレワークの活用を促進していく。また、フレックスタイム制、各種休暇の利用促進、こうした取組なども労務管理といった観点で計画の中に盛り込んでいただいてはどうかということで、先ほど申し上げましたけれども、それぞれの役所ごと、組織ごとにこうしたものもそれぞれの役所の実情に応じて取組内容を定めていただいてはどうかと考えているところでございます。
また、下でございますが、※で、こうした具体的な取組のほかに目標についても設定していくことも考えていってはどうかと思っているところでございます。
以上が現段階におきまして考えている計画のイメージでございます。
若干説明が長くなりましたけれども、私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見がございましたら、視覚聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。
本日は、国等の機関における障害者雇用の促進についての部分に関して、まずは御質問、御意見を承り、その後、民間企業における障害者雇用の促進についての部分を議論していきたいと思っております。まず、国等の機関における障害者雇用の促進についての部分に関しまして、御質問、御意見がございましたら、挙手をして御発言ください。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 経団連の遠藤と申します。
質問です。これまで審議会に携わらせていただきましたが、法律改正を視野に入れた議論のときは、法律改正の部分と法律改正ではない部分を、パッケージで絵を描きながら取りまとめに入っていくというのがこれまでの対応かと思っています。今回、資料1で国等の機関における内容は、ほぼ法律の規定に終始しているように思います。これ以外で政策にかかわる部分はどこで読めばいいのか、1つ目のお尋ねです。
その答えが昨年10月23日にまとめた基本方針の中で読んでくださいということであるならば、基本方針の内容についてお尋ねしたいと思います。今回は再発防止と法定雇用率未達成の場合の達成に向けた取組であり、これは当たり前の内容です。それ以外の部分で、基本方針の中にある政策は何なのか、最大のものを教えてください。これが2つ目の質問です。
それから3つ目、細かいことですが、資料1の2ページ目、3つ項目がありますが、国等の機関に対しての「報告徴収等」の「等」の内容についてです。これにつきましては、参考資料2の通し番号で言うと17ページに条文が紹介されています。民間事業主に対しては、報告徴収以外に立入検査の権限が入っていますが、資料1で書かれている「等」の中には立入検査についても包含しているのか、お尋ねさせてください。
○阿部分科会長 では、御質問ですので、事務局からお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
遠藤委員から、大きく2点御質問があったかと思います。今回、法律改正の部分と、そうではない部分の整理はどのような形になっているのかというところ、まずは1点目のところでございます。
今回、論点整理ということで、確かに提示させて、今回、追記させていただいている部分としまして、法律改正に直結する部分を中心として整理させていただいております。法律改正以外の部分で申し上げますと、前回、昨年12月25日に、論点整理の資料の中で、民間企業におきます論点整理の、その次のところに、基本方針の概要というところもつけさせていただいております。先ほど遠藤委員からもお話がございましたが、基本方針の概要をつけさせていただいた中で、法律に関係する部分とそうではない部分ということで、今回、赤字の部分が法律に関する部分。具体的に言いますと…。
○遠藤委員 そこまでは聞いていませんので。
○松下障害者雇用対策課長 よろしいですか。そういう部分で整理をさせていただいております。さらに申し上げますと、法律以外の部分で言いますと、遠藤委員がおっしゃるように、基本方針の中で書かれてある内容、今回の論点、追加させていただいている部分以外のところを中心に、基本方針の中で、法律以外のところをやっていきたいということで考えているところでございます。
その中で、具体的な法律にかかわらない部分ということで言いますと、法定雇用率の達成に向けたいろいろな計画的な取組ということで、障害者の雇用に関する理解の促進のための各種取組を基本方針の中にも盛り込んでおります。セミナーであったりとか講習会、職場見学会、そうしたことで理解を促進していくといった取組であったりとか、また、今回、障害者が活躍できる場の拡大というところで言いますと、働き方の部分で言いますとフレックスタイム制とか、早出・遅出勤務の特例、あとはテレワークの活用、任用面の話で言いますと、これは人事院の話でございますが、統一的に行う障害者を対象とした選考試験といったものを新たに導入しております。そうした取組等々、ステップアップ制度もそうでございますが、こうしたものもしっかりやっていくことが大きな取組になるかと思っております。
1点目につきましては以上でございます。
2点目でございますが、報告徴収の関係の「等」という規定でございます。立入検査がここに入るのかというところでございますが、ここにつきましては、現在、法制局において審査をしていただいている最中でございますが、現時点におきましては、立入検査は「報告徴収等」の「等」の中に入るということまで、法制局との関係で整理がついていないというところでございます。「等」につきましては、今後、逆にどういうところが該当するかということも含めて、また引き続き検討することもあり得るということで、「等」の部分を規定しているということでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 遠藤委員、よろしいですか。
どうぞ。
○遠藤委員 ありがとうございました。
ただ今、お話がございましたように、最後に戻るのは基本方針です。基本方針については、この審議会でも2回、議論させていただいており、皆さんは方向性に賛同していると理解しています。基本方針に書かれている内容につきましては、賛同している方向で議論を整理するのがよいと思っています。唯一あるとすれば、1ページ目の一番上の囲みについては「検討することとされている」というのが基本方針ですので、さらに一歩進めて「必要である」という形でまとめるということで、私は賛同したいと思います。
2つ目、プラスアルファという形で、実は期待していた項目があったのですが、それは出てきませんでした。お手数ですが、参考資料3-2の基本方針、ページで申し上げますと4ページになります。4ページの中に、障害者雇用に関する理解の促進という項目があって、そこの1つに、「厚生労働省は、障害者の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理に精通した者を選任し、障害者が活躍できる具体的な業務の選定等各府省に対してその実情に応じた専門的な助言を行うことができる体制を速やかに整備する」というものがあります。
民間では機構等をはじめ幾つかのサポート部隊があるのですが、各府省におかれては、なかなかそういうところがないので、この政策自体は大賛成なのですが、この整備について、現状どうなっているのかが出てきておりません。これはこの審議会の場でなくて結構ですので、現状どのようになっているのかということを教えていただければと思っています。
○阿部分科会長 よろしいですね。ありがとうございました。
それでは、竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 ありがとうございます。日盲連の竹下です。
4点ばかりお願いと質問があるのですけれども、まず、1番目に、各省庁、機関ごとに障害者の任免状況を発表するということは大賛成なのですが、その場合の公表される内容です。数だけにとどまるのではだめだと思うのです。障害種別や部位別、等級などについても予定しているのかどうかということが1点目です。
次に、障害者の支援のための機器整備のところですけれども、これは予算的にはどういう形で機器整備の確保がされていくのかについて、どういう仕組みで考えているかについて教えていただきたいと思っております。
障害者の雇用推進者あるいは障害者職業生活相談員は、非常に大事な役割を果たすと私は思うのですけれども、こういう人たちが名ばかりにならないためには、どういう資格あるいはどういう専門性を持った人を配置することを想定しているのかについてお教えいただきたいというのが3点目です。
それから、お願いということになるかもしれませんが、通勤支援のことも前回申し上げたのですけれども、若干報告の整理のほうに入っているのは入っているのですが、通勤支援について、具体的なものは全く見えてきておりません。民間については、通勤対策助成金が出ているのだそうですけれども、公務員といいますか、国又は地方公共団体における障害者雇用の場面における通勤支援はどういうものが想定されているのかについて、今の時点でまだ考えていないようであれば、ぜひ具体化を考えていただきたいというのが4点目です。
来月に試験が行われるわけですけれども、その数字、今、発表で言われたように8,000人余りが応募しているというのは非常に大きな期待を持って結果を待ちたいと思うのですが、その結果についても、具体的にどういう障害種別、部位別、等級の人が合格したかということについての報告をお願いしたい。
最後に、その結果雇われた障害者が、まさに職場に定着していくために、あるいは雇用の質を維持していくために、雇用後の配慮の仕方あるいは障害者が能力を発揮するための研修の保障、機会をどう確保するかということについても今わかっていることがあれば、考えていることがあればお教えいただきたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、御質問がありましたので、事務局からお願いいたします。
○松浦主任障害者雇用専門官 障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官の松浦でございます。
今、お尋ねの1点目につきまして、機関ごとの任免状況につきまして、数だけではということで御指摘のあったところでございますけれども、これにつきまして現状を申し上げますと、平成30年の任免状況の報告につきましては、従来どおり障害の種類別に合計数でお出ししているところでございます。ただし、御質問のございました省庁別のものにつきましては、省庁別で開示した場合、障害の種別まで開示をいたしますと、個人の特定がされるといった問題があり、それはなかなか難しい面もございますので、各省庁の御判断により、そういった問題があるか、ないかを考えた上で御判断いただくということにさせていただいております。
以上でございます。
○阿部分科会長 どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今の1点目の御質問の件ですけれども、各省の公表に当たって、どういう形で公表していくのかというところでございますが、それぞれ各省から厚労省に対して毎年報告をいただいておるところでございます。そうした報告は、現段階におきましては、厚労省が一括して公表させていただいておりますけれども、それを各省においても責任を持って主体的に公表していただくことをやっていただきたいと思っております。
その具体的な内容につきましては、また我々もしっかり詰めていきたいと思っておりますし、今までいただいている我々の公表している内容等を踏まえて、各省に対しても公表していただくということをやっていただきたいと思っております。それが1点目で、補足的な説明でございます。
2点目でございますが、機器の整備関係の予算でございます。この部分につきましては、それぞれの行政機関であれば行政機関の役所ごとに必要となる予算を要求して、それで予算の確保をやっていただくということが一義的な対応になるかと思っております。ちなみにといいますか、今回、来年度の予算案におきましても、厚生労働省におきまして、障害者雇用関連施策の関係で、機器の整備、機器の導入であったりとか設備改善の関係の予算を要求しておるところでございますので、そうしたところを一義的には各省それぞれが必要に応じて要求していくという形になるかと思っております。
また、推進者、相談員の関係でございます。どのような方がそうした推進者、相談員になるか。資格とか講習とかも含めてという御質問だったかと思います。推進者につきましては、それぞれの役所ごとに障害者雇用を進めるに当たっての責任者を職員の中から選任していただくということを考えております。具体的な取組としましては、先ほど申し上げましたけれども、一例として考えられることといたしましては、不足数が出たときの採用計画の策定に当たっての担当であったりとか、また、先ほど論点のほうでもお話しさせていただきましたけれども、障害者の雇用の質の面での計画の策定に当たっての責任者であったりとか、厚労省との窓口であったりとか、そうした業務を担当することを中心としながら、役所の中、機関の中の障害者雇用の実務担当者ということで、職員の中から選任していただくということを考えております。
生活相談員の部分につきましては、今、法律、民間企業、民間事業主に対して、それぞれ事業所ごとに障害者の方が5名以上いる事業所において選任をするという形になっております。国・地方公共団体においても、現段階で考えておりますのも、そうした今の民間の規定も踏まえながら考えていきたいと思っておりますし、相談員の選任に当たりましては、講習を受けることにもなっておりますので、講習を受けていただくということも現状の取組を踏まえて考えていきたいと思っているところでございます。
3点目の通勤支援のところでございます。この部分も、国・地方公共団体において通勤支援をどのように考えていくのかというところでございますが、厚生労働省で、国・地方公共団体の部分で、責任を持ってお答えする部分としてはなかなか難しいところではある論点ではございますけれども、一義的にはそれぞれの役所において、合理的配慮といった観点の中から通勤支援についても考えていく。必要に応じて予算等々も考えていくということになるのかなと思っております。そうしたところになるのかなという現状の考え方でございます。
最後の試験の話でございますが、試験の結果の報告、詳細な内容について報告ということでの御要望、御依頼でございましたけれども、そうしたお話があった点につきましては、人事院のほうにもお話があったことをお伝えしていきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。
どうぞ。
○竹下委員 ありがとうございます。竹下です。
今の報告だと、物すごく気になるのは、機器の整備のところで、例えば業務を遂行する上でこういう機器の支援あるいは購入が必要だというときに、予算のために来年に回しましょうと。その1年間は業務の遂行が困難になるわけですね。極めて不合理な仕組みだと思うのです。ですから、それを一定の諸経費になるのか、人事院でまとめるのかはわかりませんけれども、もう少し臨機応変というのか、スムーズにそういう機器の支援が実現する形はぜひ考えていただきたいということを要望しておきます。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、内田委員、どうぞ。
○内田委員 労働側委員の内田です。
私からは、資料の1ページ目の真ん中の段、2つ目の箱になりますが、障害者雇用の質の確保について記載がされておりますが、障害者雇用の質の確保に資する計画を策定すること自体は良いことだと思っています。その上で、12ページ目に計画の具体的なイメージ案が記載されておりますが、こちらを読む限りでは、雇用するために必要な体制の整備や採用後の職場定着に必要な取組の方法について記載されております。
雇用の質の確保のための計画を立てるということですが、安心して働き続けるための雇用の安定や、本人の能力に合わせた適切な業務の設定によるやりがいといった雇用の質の内容については触れられていないように思います。法定雇用率の達成に向けて、人数などの雇用の量に目がいきがちですが、障害者の雇用の質とは何か、なぜ重要なのかということが国の機関等の職員の方に共有されることが重要ではないかと思いますので、その点のご対応をよろしくお願いいたします。
また、1ページ目に戻っていただいて、下の箱になりますが、こちらにつきましても、雇用推進者や職業生活相談員の選任に関する整備をすることについては、異存はございませんが、相談窓口については、国の機関で働く障害者の方も、職場以外に相談できる体制があることが望ましいのではないかと考えますので、そちらのほうのご検討もお願いします。
以上です。
○阿部分科会長 では、御意見として承りたいと思います。ありがとうございます。
済みません。阿部委員、本條委員、桑原委員、松爲委員の順でお願いしたいと思います。
それでは、阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日身連の阿部です。
簡単な確認になるだろうと思うのですけれども、先ほどのやりとりから、「国等の」というところで、「等」で地方公共団体も対象になるし、先ほどの障害者雇用推進者とか職業生活相談員も対象となるような話で、そのように受け取りました。それで12ページなのですけれども、タイトルが国・地方公共団体における「障害者活躍推進計画」ということですから、これは国の省庁だけではなくて、それぞれの地方公共団体ごとにつくっていくのですねと。そうであれば、とても心強いので、その確認です。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 では、お尋ねですので、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今の計画の策定の主体の御質問でございますが、国だけではなくて地方公共団体においても作成をしていただくということで、関係役所またはその関係団体と調整を行っているというところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 どうぞ。
○阿部委員 そのお話を聞いて、例えばこの中に書いてあることで、ステップ制度とかについても、もしかしたら地方公共団体でも検討することになるなど、この中身について検討すれば、それぞれの地域で雇用が進むのかなという期待を含めて発言させていただきます。ぜひそのように進んでいただくようによろしくお願いします。非常勤の職員が多いという実態がありますので。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、本條委員。
○本條委員 みんなねっとの本條でございます。
私からは、簡単な質問です。12ページの1の(2)のポツの4つ目、障害者優先調達推進法に基づく障害者就労施設等からの調達。この場合の障害者就労施設と、それから、前回に質問してきょう御回答をいただきました100ページの就労支援施設ですね。これは同じようにも思うのですけれども、優先調達推進法には、総合支援法における障害者施設だけではなく、重度障害者多数雇用事業所とか、特例子会社とか、言ってみれば企業のほうも入っているわけですが、これの整合性といいますか、ちょっと御説明いただきたい。このように思っています。
○阿部分科会長 それでは、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今の御質問でございますが、大変恐縮ですが、障害者の優先調達推進法につきまして、障害保健福祉部の担当のほうにも確認をしていきまして、また後日、次回の分科会で資料を整理して出していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 では、そのようにお願いします。
桑原委員、どうぞ。
○桑原委員 労働側の桑原です。
私からは、3項目に対して意見と、1項目に対して質問をいたします。1点目が、きょうの論点整理の1ページ目の一番上にあります、国等の責務の明確化と任免状況の公表についてというところです。責務の明確化については非常に重要だと思っております。任免状況の公表についてですが、公表ということも重要なのですけれども、結果として公表内容が適切かどうかを担保するためには、第三者機関などのチェックが必要なのではないかと思っております。それが1点目です。
2点目が、論点整理の2ページ目の真ん中の2つ目、書類の保存義務についてになります。保存義務に関しては特段の異論はないのですが、こちらも書類の保存に当たっては国等の機関においても民間と同様に適切な取扱いが求められると思っております。
そして、同じページの一番下、3つ目になりますが、確認方法の明確化というところになります。ここは原則障害者手帳で確認となっているのですが、手帳取得者以外の方が対象になる場合についても、明確にわかるように明記をしたほうがいいのではないかということです。明記した場合でも、今後、こちらも適切に確認が実施されているかの有効なチェックが行われなければ不適切な計上を防ぐのは難しいのではないかと思っております。
どちらにしても、今、言った3点の意見は、どう担保していくかということに対する意見を述べさせていただきました。
最後に、質問なのですが、これはきょうの論点整理の内容ではないのですが、昨年12月27日付で人事院から通知が出ています。職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対する各省庁の長が講ずべき措置に関する指針というものが12月27日付で通知が出ておりますが、この通知にはどの程度拘束力があるのかということが1つ目の質問になります。
そして、この中に合理的配慮の提供が過重な負担となる場合について記されており、合理的配慮について「過剰な負担がある場合はこの限りではない」ですとか、「過剰な負担にならない範囲で」というような記述があります。民間も同様になっていると思っていますが、ただ、どういうものが過重かということは通知に書いていないものですから、判断基準が曖昧だと拡大解釈されるおそれもあります。民間の場合は、合理的配慮のガイドラインが出されていると思うのですが、国等の場合は、この判断基準を今後どう示していくのかという考えがあればお聞かせいただきたいですし、ガイドラインは必要なのではないかということであります。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
まず、御意見という形で、縷々3点ほどいただいた部分でございます。しっかりチェックをしていく。チェックが大事だという御指摘だったと思っております。我々も大変重要な点であるということは認識させていただいております。
このため、基本方針の中におきましても、それぞれ各省の実施状況について、厚生労働省としてもチェック、状況をフォローアップしていくということにもなっておりますので、そうした中で、可能な限りのチェック、フォローをやっていきたい。こういうことを進めていきたいと考えているところでございます。
また、2点目の御質問の人事院の指針のところでございますが、御承知のとおり、これは人事院のほうで作られたということでございますけれども、指針ということで、そういう意味での法的な拘束力で言いますと、拘束力はなかなか難しいところもあるかなと思っているところでございます。ただ、このように、国の行政機関、役所に対して示したということでございますので、それぞれの役所ごとにこの指針に沿って今後対応するということになっていくと考えておりますし、また、先ほど話がございました御意見につきましても、先ほどの竹下委員からの話があった部分等々も含めて、人事院のほうにも話をしていきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、松爲委員、お願いします。
○松爲委員 東京通信大学の松爲と申します。
2つ質問させてください。いずれも資料でいきますと12ページの障害者活躍推進計画に関してです。私はこの計画を読ませていただいたところ、実は、これは今まで数多くの民間企業が、いろいろな支援センターとかハローワークとか、いろいろなところと共同してようやくつくり上げてきた全体的なノウハウだと思っています。それだけ非常に全体を網羅していますね。ですから、そういった意味では、先ほど遠藤委員がおっしゃった法律以外のところに関しては、かなりの部分を網羅していると思います。
問題なのは、この計画をむしろどのようにして官庁が実施していけるかどうかなのです。実際に官庁がつくるにしてみても、それをどのように担保して、計画どおり実行されるかどうか。それをどのように保障して皆さんが見ていくかどうか。その保障の体制をどうすべきかということをぜひとも聞かせて頂きたいです。なぜなら民間はこれだけのものを全部やってきて、やっとのことで今の段階に進んでいますから、官庁が今までこういったことをやっていないのだったら、当然民間のいろいろなノウハウを利用しなければいけないではないですか。民間がやってきたこういった取り組みを官庁が実施していけるかどうかの担保について第1に質問したいと思います。
第2点目は、職場づくりのための(2)で、人事に関する取組等の例なのです。例えばテレワークをするということは、場合によっては、中央官庁で働いてもらうことは難しいですから、全部出先のほうに回してしまって、中央官庁には障害者の職場を設けないという考え方もできなくはないでしょう。それゆえ、こういった制度を採用するのだったら、たとえば就労継続A型事業所は雇用関係がありますから、それにまる投げという形にはしないようにお願いいたします。
○阿部分科会長 では、お願いします。
○松下障害者雇用対策 障害者雇用対策課長でございます。
まず、12ページ目の計画を担保していくための方法の御質問でございます。我々が現段階で考えておりますのは、こういう計画を各行政機関、地方公共団体を含めて作成するに当たりまして、何らかのモデルといいますか、そうしたものをつくっていくことを考えていかなければいけない。そうしたものを指針という形にするのかどうかということは、現段階で検討しているところでございますが、そうしたものを示しながら、各省において、各地方公共団体において、計画を策定していくということを進めていきたいと思っておりますし、その際、各府省、各地方公共団体がつくった計画につきましては、また公表もしていくということも、可能な限りそういった措置も、規定も盛り込むことができればということも検討を進めていきたいと思っております。あわせて実効性ということが、また中身の効果的な取組がちゃんと進められるかどうかというところも大変大事な論点かと思っておりますので、この部分もしっかりPDCAサイクルとか、そうしたものが回せるような考え方も含めて、制度設計、中身について検討を進めていきたいと思っているところでございます。
2点目のテレワークの活用でございます。これはそれぞれ各行政機関、役所でテレワークを推進していただくということでございますが、これもそれぞれの役所の状況、実情に応じて取組をいろいろ、温度差も場合によってはあるかと思っております。その状況に応じて各役所が進めていくということで考えておりますけれども、厚労省としましても、できる限りの各省の取組に対する支援も進めながら、テレワークの推進が進むように支援を考え、取組を進めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 わかりました。ありがとうございます。
○阿部分科会長 村上委員、どうぞ。
○村上委員 日本労働組合総連合会の村上でございます。
3点、意見と質問をいたします。1点目は論点整理の2ページ目の一番上、報告徴収の権限付与の部分であります。厚生労働省が国等の機関に対して必要な実態把握を行う権限が必要ということでありまして、このこと自体は理解できるのですが、先ほどから松爲委員なども御指摘されているように、その実効性はどうなのかというところが重要ではないかと思っておりまして、実態把握の権限だけで十分な対応ができるのかという点については、少し疑問も残るところでございます。
民間事業者の場合については、JEEDが納付金の決済や徴収を含めて確認を行っているところでありますけれども、国等の機関にも同じように確認を行うということであれば、それなりの人員や体制整備も必要でありますし、また、厚生労働省の雇用率の状況をどのようにチェックしていくのかという問題もクリアする必要があるのではないかと思っております。その事も含め、第三者機関でチェックすることなども考えなければならないのではないかということを重ねて意見として申し上げておきたいと思います。
2点目は、資料3ページの納付金の話でありまして、ここに記載のある今後の対応・方針については、御説明のとおりであると理解しているのですけれども、今回、議論を終えたときには、報告を取りまとめていくことになろうかと思います。その際に、法定雇用率の達成を前提としてやっていくということや、雇用率を達成すれば良いということだけではなくて、やはり雇用の質の面も重視しなくてはいけないのだということをあわせて記載をいただきたいと思います。最後の報告の取りまとめに当たっては、雇用の質の部分も重要だということで記載をいただきたいということでございます。
3点目は、論点案には出てきていない話なのですが、遠藤委員もおっしゃっていた基本方針にもかかわるのですけれども、法改正が終わった後、この分科会の役割や所掌は広がるのかどうかという質問で、少し広げてもよいのではないか。広げる必要があるのではないかという意見でございます。基本方針にも、関係閣僚会議などで政府一体となってフォローアップをしていくのだということが書かれておりまして、政府内でのフォローアップについては当然必要だと思っておりますが、現場の状況なども踏まえた障害当事者の皆様方も入られた形でのフォローアップの場がどこかで必要ではないかと思っておりまして、この分科会が役割を発揮するのかどうかということと、その際には、今、間接的に厚生労働省の方々が人事院や総務省の話もされておりますけれども、御説明などをいただく際には人事院の方や総務省の方にも来ていただいて、意見交換をする場も必要ではないかと思っておりますので、先の課題ではありますけれども、意見として申し上げたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、小出委員、お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。
今回の省庁における雇用の問題が、よく見ますと、現在働いている人、その人を障害者として採用していた。そういうことが見受けられますけれども、地方自治体においても、その辺の証明書をとって雇用を確保しているよというところも、先ほど竹下委員を初め皆さんからデータの開示ということを言われておりましたが、よくよく採用している中身を精査しますと、例えば99人採用していた政令市があって、そのうちの90人は身体障害者、知的障害者が3名、9名が精神障害。そういう状態でありました。よくよく確認しますと、採用時に条件をつけていた。
要は、自立で通える人、通勤ができる人。要は、雇用促進法のときに、差別禁止とかそういうところの法律改正のときに、ガイドラインをつくりました。そのときに、差別とはというところで、直接差別を差別として、間接差別は差別の対象にしないというようなガイドラインだったと思いますけれども、まさに採用時において、そのような条件をつけられるということですね。これは障害者差別そのものであって、間接差別は差別の対象としないというようなことには法律上なっておりますけれども、そういうところまで、今回の問題発生が採用時においてということではなくて、採用された人を、既にいる職員を障害者にしていくということが多かったものですから、今回はそのところが明記されていないということ。
それで、データを開示することをやると個人が特定されるということなのですけれども、私どもは、データからこれはおかしいぞという気づきがそこで発生します。そういうことも含めて、その辺のところ、今まで検討の中に挙がってこなかった間接差別について、どの程度まで踏み込むか。そういうところまで採用条件等を含めて、ちょっと教えていただきたい。そのように思います。
○阿部分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、小出委員からお話がございました合理的配慮とか障害者の差別禁止規定等の関係等の取扱い、対応ということでございます。特に例示といいますか、事例としてお話がございました自力通勤ができる人という形で、限定した形での求人募集を行っているという話がございましたけれども、この部分につきましては、御指摘もありましたように、障害者雇用促進法の理念、考え方からすると、そうした今、申し上げたような、限定するような形での求人募集はやはりふさわしくないということで、我々厚労省としましても、国の行政機関であったりとか、地方公共団体に対してもその旨を発信といますか、通知文を出させていただいております。そうしたことをやっておりますし、今後のそうした取扱い、合理的配慮、差別禁止の関係の取扱いにつきましても、こうした御意見を踏まえながら、今後の分科会の中でどういう対応、検討を進めていくのかということを我々としてもしっかり検討していきたいと思っております。
○阿部分科会長 ほかに、内田委員、先ほど手が挙がっていましたが、よろしいですか。
○内田委員 小出委員と同じ内容になりますので。
○阿部分科会長 それでは、三輪委員、どうぞ。
○三輪委員 使用者側の三輪でございます。
質問を1点なのですけれども、参考資料2の21ページ、先ほど竹下委員が御質問された点と似ているのですが、人事院の選考試験を経る常勤採用で、申込者数8,711人ということで、非常に大きな数字だなと感じておりまして、差し支えのない範囲でということになるのかと思うのですが、8,711人の申込者の方の属性といいますか、例えば現在職についている方、現在職についていらっしゃらない方、恐らくこのタイミングですと新卒の方はほぼゼロではないかと思いますので、その2つに分けられるのかなと思っています。
現在、在職、職についていらっしゃる方については、恐らく民間部門が大多数ということになるかと思うのですが、公務部門から公務部門というものもあるのかもしれないのですが、そういう形の切り口で少し数字を教えていただけないかということです。
あわせて参考までに、障害種別といいますか、身体障害者の方、知的障害者の方、精神障害者の方がそれぞれ何名ぐらいいらっしゃるのかということも教えていただけるのでしたら教えていただけないかと思っています。民間部門の障害者の方の雇用に対する、与えるインパクトが小さくないかなと危惧していまして、御質問させていただく次第です。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今の御質問でございます人事院の選考試験の申込者数の属性でございますが、この部分につきましては、人事院のほうでやっている制度でございますし、また、中身、内訳につきまして、公表していないような形になっているかと認識しております。ですので、大変恐縮ですけれども、現段階でその内容等についてお答えする情報を我々は持っていないということで御理解いただければと思っています。
以上でございます。
○阿部分科会長 三輪委員、どうぞ。
○三輪委員 いたし方ないということですね。残念ですけれども。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。
塩野委員、どうぞ。
○塩野委員 使用者側の塩野です。
意見を述べさせていただきます。今後の国等の機関における障害者雇用については、計画に基づいて確実に雇用、定着に取り組んでいただきたいと思っています。ただ、今、三輪委員からも御発言がありましたけれども、企業として懸念することは幾つかあります。例えば、今後、かなりの規模で国等の機関で採用が行われた場合、企業からどれだけの人が転職するのか、あるいは採用のときに企業と取り合いになるのではないか、そういったところを非常に心配しています。
また、これまでの企業における経験からすると、障害者雇用で一番重要なのは、職場の理解だと思っております。企業でもかなりの時間をかけて丁寧に対応してきたつもりです。そのため、今回のような急な採用で、国等の機関で、それぞれの職場が本当に理解をしていただけるのかということは非常に心配しています。そういったことを考えると、場合によっては、例えば特区のようなものを考えてもいいのではないかと思っています。
国の出先機関を集めて、さまざまな配慮をしながら雇用するようなことを考えてもいいのではないでしょうか。それによって、例えば現状ではさまざまな事情から企業ではなかなか雇用できない方、こういった方を雇用していただけるのではないかと思っています。それによって、企業との取り合いというようなことも減っていくのではないでしょうか。
今後、多くの障害のある方がそれぞれに活躍していただくために、国等の機関においてもさまざまな工夫をされるかと思いますが、これまで地道に障害者雇用に取り組んできた企業に対しても御配慮いただきたいと思います。

○阿部分科会長 では、御意見として賜りたいと思います。それでは、公務部門のところはこのあたりにさせていただきまして、もう一つの民間企業における障害者雇用の促進についての部分で御質問、御意見があれば承りたいと思います。
それでは、委員、どうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。
中小企業の障害者雇用は余り具体的に進んでおらず、自分としては残念に思っています。そうした中、中小企業が障害者を雇用した時のインセンティブとして資料1の14ページに記載のとおり、認定制度を創設し優良な中小企業を評価いただくことに対しては感謝を申し上げます。
しかし、あくまでこの評価項目は、障害者雇用が啓蒙される方向に向く仕掛けとなるような形で整理していただければ大変ありがたいと思います。
もう一点、よろしいでしょうか。この中で厚労省以外の省庁から来られている方はいらっしゃいますでしょうか。いらっしゃらないということで、あえて苦言を申します。もちろん組織上の問題ですので批判ではありません。しかし、これだけ多くの国民の目にさらされて政治が動いたという案件に関して、少なくとも大変進捗の悪かった省庁ぐらいは、真摯な態度でこういう場に出てくるという方法も一つの公務の新しいあり方ではないかと思いますので、国全体の会議運営の在り方について一言申し上げたいと思います。
実は、私は農水関係の外業界団体である日本惣菜協会の会長をやらせていただいたのですが、農業は産業でもありますので、会議には現在の経済産業省の方にも出席申請をしておりました。なかなか具体的に実現しなかったので、非常に残念だと思う一方、大きな会合の場合には必ず来ていただき、御発言をいただいたという経験もあります。みんなで前を向いていくという形がこういう分科会でもできれば、新しい形としていいのではないかと思います。
以上です。
○阿部分科会長 では、御意見として賜りたいと思います。
その他はいかがでしょうか。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 ありがとうございます。
本日2回目ということであり、頭の中で何回も発言を繰り返したのですが、厚労省のスケジュールにのっとりますと、きょうで論点を整理して、次回からまとめに入るということになります。これは事務局にお聞きする話ではなくて、むしろ委員の皆さんに率直なところをお聞きしたい。このような状況下でまとめるということが、果たして私どもが付託された責務を果たしたことになるのかどうか、私は正直、大きな疑問を持っています。
まず、データがそろってから議論するか、議論している途中でデータを見るか、最初の段階で大切な議論として行いました。5年に1回の実態調査はいまだに出てきていません。民間部門における6/1調査の結果も出てきておりません。データを見ないまま、まとめてしまって、ふたをしてしまうということが果たしていいのかどうか、それが1つ目です。
2つ目として、余りにも公務部門に関する議論に時間を割き過ぎてしまって、民間部門についての議論が十分とは言いがたい状況です。前回、ようやく民間部門でお話をさせていただきましたが、皆さんがせっかく質問や反対意見を言ってくれても、前回は私の発言機会が余りにも多いものですから自粛してしまいました。1対1の関係で議論が終わってしまって、何ら議論が深まっていない状況です。
私はこの会議の進め方について、事務局には何度も提案させていただきました。例えば内閣府の会議は3時間の会議です。3時間ぶっ通しでやるわけではなくて、途中に休憩を2回入れることによって3時間できます。あるいは午前と午後という形で、お昼を挟むような形で2回やってもいいではないですか。場合によっては、非公開で勉強会をやってもいいではないですか。それくらいやらなければいけないような課題を、民間部門は抱えているのに、このような議論で終わりをつけて、法案律を改正していくということに対しては、残念を超えて無念です。
せっかく有識者研究会が多くの論点のもとに一定の方向性を書きました。皆さんのお立場から、受け入れられるもの、受け入れられないものがあったかもしれませんけれども、あれだけ素材を出してくれたのに、それさえ十分こなし得ていない。何のために15回も有識者研究会が開かれたのか。そして、まとめができたのか。そのようなことを思い返しても、果たしてこれで、この議論をまとめていいのか、大きな疑問を持っています。そのことを2回目の発言とさせていただきました。
○阿部分科会長 ただいま遠藤委員から、この会の持ち方について御意見を賜りました。
実際のところ、私もどのようにしていけばいいのかということは悩ましいと思っているところが率直なところでございます。ただ、今回の場合は、もともと検討会をやっている際には、国等の機関における障害者雇用の問題ということは念頭になかったわけでして、それで民間部門の障害者雇用の今後の促進のあり方について検討させていただいて、その後、審議会でじっくり議論して、法案化するものは法案化していきたいと思っておりました。ある意味で突然、国等のこの機関の問題が出てまいりまして、速やかにこの問題を解決するべくいろいろな法制化なりをしていくこともあるということでございますので、そのあたりをどのようにうまく処理していくかということを、我々自身も考えていくところがあるのではないかと思います。
その意味で、確かにまだ議論が煮詰まっていない部分もありますし、そのあたりをこれから少し皆さんの力をおかりしながら、できる限り詰めていきたいと私個人としては思っております。そういう意味で、ふたをして、それで終わりにするというつもりは、今のところ私は持っておりませんし、そうならないためにも皆様からいろいろと御協力をいただければと思っております。
できるだけ議論に時間を割いて、皆様がもしそれでよければ、遠藤委員から御提案のあった3時間の会議でもやるつもりでございます。実際のところ、スケジュール的には、遠藤委員がお話しになったとおり、次回からは論点整理をこれで終わって、まとめの段階に入っていきたいとは思っていますけれども、その中でもこういう結論ありきのまとめではなくて、実際どのように最終的なまとめを仕上げていくかといったことも、皆様の議論の中でいろいろと最終的なものを仕上げていければと思っております。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 先生、ありがとうございます。
先生が有識者研究会の座長をお務めになられて、また、このような状況下でどれだけ御苦労されているのかということを十分わかった上で発言させていただき、失礼があったらお許しいただきたいと思います。
民間部門については幾つも論点があるのですが、資料1の最後に2枚物の資料があるので、もう透けて見えています。事務局として法的に対応したいのは、この2点ということが資料のつくり方から見えています。中小企業を対象にした認証制度ですが、当然に認証制度を取得するためには、法定雇用率を達成している企業が取得申請することが前提になるかと思います。2017年6月1日時点のデータですけれども、50~100人未満で実雇用率が1.6%です。100~300人で1.81です。こんな状況下で、果たしてこれが中小企業対策と言えるのでしょうか。効果としては乏しいと思います。
2つ目として、20時間未満の特例的な給付制度です。有識者研究会の議論の中で、私どもが主張していたのは、一方で、納付金における調整金・報奨金の上限を設定して、そこで浮いた部分を20時間未満の方の特例給付金制度の財源に充てるということです。財源をやりくりすることによって政策をシフトさせていくことで、政策の効果を見ていきたいと思ったのですが、上限設定はやりたくないということです。そうすると、単に週20時間未満で雇われている方に対して給付金を出し続ける仕組みしか残ってこない。政策効果については、果たして何のために政策を打ち出したのかということになりかねないと思っています。
現状を申し上げると、今回、俎上に上がっているような民間部門における法律改正の案件については、政策効果が乏しいと言わざるを得ないと思っています。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
遠藤委員が御指摘の第1点目のほうですけれども、中小企業に対する施策ですが、これは前回も石田委員から御意見があったと思います。本日も中小企業の啓蒙をしていくべきだというような御発言もありましたので、それはそれで御意見があったのを受けとめまして、厚労省はぜひ考えるべきだろうと思います。また、その後の上限の話についても、まだこれは最終的に決まったわけではないと思っておりますので、遠藤委員からの御指摘を踏まえて、またどのような政策が最も効果的なのかといったことも厚労省にはぜひ検討いただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 遠藤委員から中小企業対策について、認証制度の御意見がありました。これは雇用率を達成しているということを条件とするのではなく、雇用率を達成しているところは何点とか、あるいは80%のところは何点とかいうようにすれば解決するのではないか。このように思います。
○阿部分科会長 いろいろな案があると思いますので、もう少しどのような案にしていくかは示していただいて、また皆さんと議論できればと思います。ほかにいかがでしょうか。
阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日身連の阿部です。
確認なのですけれども、14ページの考えられる評価項目例というところで、今、職場実習とかの受け入れがなかなか大変だというようなこともお聞きしていますが、それはこの9項目のどこかに入っているものなのかどうか、企業のいろいろな貢献として職場実習、そういうところがこの9項目の中に入っているかどうかだけの確認です。お願いします。
○阿部分科会長 では、事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今の御質問の件ですけれども、我々としてもいただいた意見の観点を盛り込むような形で、盛り込めるような評価項目の設定をしっかり検討していきたいと思っております。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、遠藤委員。
○遠藤委員 発言の回数が多くなりまして申しわけございません。
前回も申し上げました件ですが、ページで申し上げますと、5ページの下の部分囲みです。激変緩和の仕組みをどう考えていくかということですが、まず、御意見をいただけたことに対して御礼を申し上げたいと思います。
その上で、いま一度この趣旨を申し上げておきたいと思います。私どもが申し上げておりますのは、必ず激変緩和の仕組みを使うということではなくて、こういう仕組みをセーフティネットとして持っていることが、法定雇用率制度を維持するために必要ではないかということです。
ただの1回限りということは、資料の中でも明言されているように、附則の規定は期限を区切ればなくなってしまいます。なくなってしまえば、もとの条文の解釈に戻っていくというのは、これは誰も待ったなしのところかと思います。その戻ってしまったときの状況をどう変えていくのかということが法律改正の議論であって、繰り返しになりますけれども、幾つかの要件縛りをかけながら、その要件に見合ったような場合については、この審議会の中で雇用状況等その他を勘案して、どうあるべきかを議論しましょうという趣旨です。
決して安易な形でこれを発動することを考えているものではないということをいま一度申し上げたいと思います。何とか御理解をいただき、法律改正という形で実現できるようお願い申し上げたく思います。
○阿部分科会長 では、御意見として承りたいと思います。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 13ページです。超短時間雇用について調整金を支給するということで、一歩前進であると受けとめつつも、私どもはやはりこれを何らかの形で雇用とみなしていく、ちゃんと雇用と考えていくという意見でありますので、これで結論ありきとするのではなく、そこのところも議論していただきたい。このように思っております。
それともう一点、13ページの3つ目のところです。調整金を週20時間以上30時間未満については0.5であるから、それよりさらに短時間であるから4分の1にするというのは、一見すると整合性があるように思われますが、実際は30時間であっても1.0とカウントするわけですね。それから、今回、10時間としても、10時間は働いているわけです。20時間未満10時間以上としても、20時間未満ということは19時間幾らであっても4分の1にするということは、約3分の2であって4分の1ということは、そういう観点から言うと不合理ではないか。このように思います。
私の提案でありますけれども、やはり30時間で1.0ということは、短時間雇用、いわゆる週所定労働時間が20時間以上30時間未満は3分の2、それから、20時間未満は10時間以上を規定するとすれば3分の1というのが妥当ではないか。このように考えております。もちろんそうすることによって、短時間が非常にふえるのではないか。そういう御懸念もあろうかと思いますが、一つの案として御提案したい。このように思います。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 中川でございます。
今の本條委員の御意見に関連したことなのですが、20時間以上の勤務が難しい方、特に精神障害者を中心として、就労能力はありますが20時間以上は難しいという方が一定程度ございます。今、そういう方は雇用の施策になかなか入ってこないということですが、そういう方が福祉的就労ではなくて雇用されるということは、社会参加やQOLの向上ということで、非常に意味があることだと思います。
今回、20時間未満は雇用率にカウントしないという方向で議論が進んでいるわけですが、特例的な給付金という形でありますと、どれだけそれは実効性があるのか。実効性という意味では、やはり雇用率のカウントが一番有効なわけでして、納付金がどんな実効性があるかということはまだ不明確な点がございます。そういうことで、先ほどからPDCAサイクルの問題が出ておりますが、ぜひこの施策を実行したときの実効性がどの程度あるかということを検証していただきたいということが意見でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
村上委員、お願いします。
○村上委員 中小企業の認定制度について御質問と意見です。
前回のリクエストに応えて、今回14ページで認定制度の具体的な内容について少しイメージを出していただいているのですけれども、まだこの認定制度の目的がよくわからない部分がございまして、何を目的にするかによって、先ほど御意見があった法定雇用率未達成企業も入れるか、入れないかということも変わってくるのではないかと思っています。例えば、公共調達における加点要素に入れるというようなことであれば、やはり法定雇用率達成企業ということになるでしょうし、そうではなくて、より多くの企業で取組を進めるために、何か取組状況を底上げしていくという目的であれば、法定雇用率達成企業以外を含めるということもあり得るでしょう。そうした制度の目的を改めて明確にしていくことが必要ではないかと思っております。
また、認定制度は、女性活躍であるとか次世代などいろいろありますけれども、それらの制度と横並びで比較していくことも必要ではないかと思っております。認定した後にどうするのか、例えば公表するのかですとか、どのように活用をするのかということで言えば、制度との並びも考えていくべきではないかと思います。
もう一点、ほかの認定制度などと比べてやや違っているのがポイント制にするという御提案でありまして、ほかの企業の取組を認定する制度では、一定の基準を設けてそれをクリアしているところを認定するものが多いのですが、ポイント制となっている制度はほかにあるのかですとか、そういったことについても、今回でなくても結構ですので、より議論を深めていくためには御説明をいただければと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
今の段階で事務局から何かございますか。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
大変重要な論点、課題、御指摘をいただいたと思っております。我々としましても、趣旨、目的のところで言いますと、この部分はまた改めて整理をしたいと思いますが、もともとの考え方で言いますと、資料のところにもお出しさせていただいておりますけれども、個々の中小企業における障害者雇用の進展に対する関心を喚起していくということ。それで中小企業、取組が進んでいるところを支援することによって、そうした関心を起こしていきたいということで、取組を進めていきたい。また、それを通じて間接的ということになるかもしれませんが、底上げも図られるようにしていきたいということを考えて制度設計をしているところでございます。改めて本日いただいた意見は他の制度との比較も含めて、資料をまたお出しさせていただきながら、検討を深めるような形にしていきたいと思っています。
以上でございます。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 何回も申しわけございません。
雇用の質ということですが、なかなか雇用の質を具体化するような施策は打ち出し得ていないというのが正直なところかと思います。かなりの御批判をいただいている長期継続雇用における上乗せカウントについてです。私のほうにメールが入ってきまして、た。政策的に長く期間の数字を置いたらどうなのだろうか、例えば勤続年数20年以上という大変長い期間を達成した場合については、また新たな働き方の環境をつくっていくという前提に立って考えていったらどうか、積極的な御提案も複数いただいています。
決して安易な形での上乗せということではなくて、企業の目をそちらに向けて、それが新たな環境づくり、場合によっては定年というところも、障害者の方にも必ず意識いただけるような環境づくりに向けて動いていきましょう。そういう機運をぜひつくっていただきたいと思っています。
あわせて、継続的に定年まで働けなくても、例えば一時的にA型事業所に移っていく、でも、そこで、もとの状態に戻ったら、また企業に戻ってくる。労働市場全体の中で雇用の場を支えていくような仕組みを現実化する状況に来ているのではないかと思っています。
そしてもう一つ、有識者研究会の中で出てきたA型事業所に対する議論です。正直、何も進展がありません。この審議会では、テーマ出しもなかなかできないような状況です。優良A型がある一方で、そうではないA型があるのも事実です。そういった状況下で働いている人たちが一般就労のほうに出ていけない現状もそのまま残ることが危惧されます。議論は避けて通れないということも、この審議会として意思表示していく必要があり、難題と言われるようなものについても十分議論を割いていくことが求められているのではないかと思っています。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
それでは、特にこれ以上御意見、御質問がなければ、本日はこのあたりにしたいと思います。
本日も委員の皆様から多数の貴重な御意見を承ったと思っております。遠藤委員から御指摘をいただきましたけれども、もっと論点を煮詰める必要があるだろうということであります。それは私も認識はしておりますが、一旦ここで私と事務局とで相談をしまして、これまでの議論も踏まえて分科会の意見書のたたき台を一旦つくりまして、皆様にご覧いただいて、また再度議論をしていただこうかと思っております。
皆様から御了解をいただければ、そのようにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局は意見書のたたき台をこれまでの議論も踏まえつつ作成をお願いしたいと思います。
今後の日程等につきまして、事務局から連絡事項がありましたら、御発言ください。
○木本障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程につきましては、分科会長と相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。
本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表は村上委員、使用者代表は塩野委員、障害者代表は阿部委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、ありがとうございました。