第80回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

平成30年12月18日(火)17:30~19:30

場所

厚生労働省 省議室

議事


○阿部分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第80回「障害者雇用分科会」を開催します。
初めに、本日の出欠状況です。本日、小原委員、長谷川委員、桑原委員、三輪委員、小出委員が御欠席です。
また、小出委員の代理として、全国手をつなぐ育成会連合会の田中氏にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
頭撮りは、ここまでにさせていただきたいと思います。カメラ取材の方については、御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○阿部分科会長 本日は、ペーパーレス開催となっております。
それでは、資料1、資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○松下障害者雇用対策課長 事務局でございます。
私から、資料に基づきまして、説明をさせていただきたいと思います。
本日の分科会でございますが、次第にございますように、議題といたしましては「(1)今後の障害者雇用対策の在り方について」ということで、御議論をいただきたいと考えております。
資料の説明に入る前に、最近の障害者雇用に関する動きについて、少し振り返ってみたいと思います。
昨年からですけれども「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催させていただいております。研究会につきましては、今年の7月に報告書が取りまとめをされたところでございます。報告書につきましては、今年の8月の分科会で御報告をさせていただいたところでございます。
また、8月でございますが、国の障害者雇用の関係で、不適切計上、そうした事案がございました。これにつきまして、同じ8月の分科会におきまして、第一報という形で報告させていただいたところでございます。
その後、国の障害者雇用の問題につきましては、政府一体となって、関係府省の連絡会議を設け、また、関係閣僚会議の中でも、今後の対策ということで、議論をしてきておりまして、今年の10月23日に、関係閣僚会議の中で、今後の対応方針について、基本方針という形で、関係閣僚会議の決定ということで、取りまとめがされたという流れがございます。基本方針につきましては、10月22日の分科会におきまして、その中身について、御説明をさせていただきました。
あわせて、同日でございますが、国の障害者雇用に関する検証委員会という、別途、今回の事案が起きた原因等々を検証する委員会の報告につきましても、検証委員会の事務局から、この分科会で報告をさせていただいたという流れがございます。
その後、秋の臨時国会におきまして、国の障害者雇用に関する問題に対し、質問等々が出てきておりまして、後ほど、国会の状況について、資料に基づいて御説明をさせていただきたいと思っております。
そうした流れがありまして、本日、分科会を開かせていただいたという運びとなっているところでございます。
資料の説明に入りたいと思います。資料につきましては、先ほど分科会長から御発言がございましたが、資料1、資料2、あと、参考資料1から参考資料5-2までということで、資料を用意させていただいております。
先ほど少し申し上げましたが、去年1年間ご議論いただき、今年取りまとめがされました、研究会の関係につきましては、参考資料5の関係でございます。参考資料5-1が概要、参考資料5-2が研究会報告書の本文という形で、資料としてつけさせていただいております。
また、国の障害者雇用の不適切計上の関連の資料といたしまして、参考資料3-1から参考資料4-2までが、国の障害者雇用に関する不適切計上の事案の資料ということで、用意をさせていただいております。この関係につきましては、これまでも説明をさせていただいておりますので、具体的な中身については、説明は省略をさせていただければと思っております。
また、適宜、御質問、御意見の中で、参照する場面が出てきたら、御紹介、御説明をさせていただきたいと思っております。
資料1でございます。「国会における障害者雇用に関する議論」を御説明させていただきたいと思います。資料1をごらんいただきたいと思います。
これは秋の臨時国会で、障害者雇用に関する議論がされたものを、まとめて整理をさせていただいたものでございます。
表紙の次の右下にページ数を打ってございます。
1ページ目をごらんいただきたいと思います。1ページ目につきましては、政府の認識ということで、今般の障害者雇用の不適切計上に関する認識ということで、衆議院本会議で質問が出ております。
赤字のところを中心に、説明をさせていただきます。
質問といたしまして、「総理は、所信で触れる必要のない軽微な問題との認識なのでしようか。具体的な再発防止策、特に中央省庁の意識改革に向けた具体策を含め、見解を求めます」といった質問が出ております。
総理の答弁ですけれども、「今般、国の行政機関の多くで障害者の法定雇用率を達成していない状況が明らかとなり、検証委員会からは、障害者雇用を促進する姿勢に欠けていた等、大変厳しい指摘を受けました。このため、去る10月23日に開催された関係閣僚会議において、私から、各大臣は今回の事態を重く深く反省し、真摯に重く受けとめ、組織全体として、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づき、再発防止にしっかりと取り組むよう、強く指示をしました。基本方針に基づき、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と障害のある方が活躍できる場の拡大に向け、政府一体となって取り組んでまいります」といった答弁をしているところでございます。
続きまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。今回の事案の責任ということで、質問が出ております。
質問は、「今回の事案の責任について、厚生労働大臣の御所見を伺います」ということです。
答弁につきましては、「今般の国の障害者雇用をめぐる一連の事態については、」ということで、若干省略をさせていただきます。「総理から各大臣に対し、今回の事態を深く反省し、真摯に重く受けとめ、組織全体として、障害者雇用を推進するという意識を徹底し、再発防止にしっかりと取り組むよう、強く指示がありました。さらに同日の関係閣僚懇談会において、官房長官からも強く指示がされました。これらの総理及び官房長官からの指示を踏まえ、直ちに大臣から事務次官と職業安定局長に対し強く注意、指導を行いました。そうした指示をしました。さらに全部局の幹部を集め、こうしたことが起こることがないように、再発防止に取り組むよう、訓示を行った」。そうした答弁をしているところでございます。
続きまして、3ページ目をごらんいただきたいと思います。これは検証委員会の報告書の受けとめでございます。
質問は、「この報告書に対する大臣の受けとめを伺いたい」ということでございます。
答弁ですけれども、「報告書において、職業安定局の問題と各行政機関側の問題とが相まって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないと指摘されたことは、まことに遺憾であります」。そうした指摘がされたということで、答弁をしているところでございます。
4ページ目ですけれども、チェック機能の強化についてでございます。
「今後の再発防止に向けて、チェック機能の強化についての考え方」ということで、質問が出ております。
これについて、総理から、「今後、基本方針に基づき、再発防止に向けたチェック機能の強化について、法的整備を視野に入れた、さらなる検討を行う」という答弁をしていただいています。
次に5ページ目でございます。再発防止、チェック機能の強化の観点ですけれども、「立入権限、書類の保存について」ということで、質問が出ております。
その関係についての答弁ということで、総理から、「各省庁に対して、雇用において、雇用形態も含めて工夫を凝らすよう、指示をしている」という答弁があります。
6ページ目ですけれども、平成31年末までに約4,000人ということで、今回、不足数を採用していくことになっておりますが、各府省合わせて、約4,000人を雇用することについてでございます。
質問についてですけれども、「4,000人という数合わせであれば、これは一旦勤めたとしても、定着をしないのではないか」という懸念の御質問でございます。
これについての答弁でございますが、「法定雇用率を達成していない公的機関、これは法定雇用率の達成に向けた採用計画をつくらなければならないと法律に規定されている。その計画期間は、関係法令によって1年間とされている。厚労省としても、各府省の取り組みを最大限支援していきたい。各府省においても、厚労省の支援を活用しながら、最大限努力してもらいたい。31年末までの採用について、これは率直に申し上げて、容易なことではない、相当な困難を伴う面もありますが、まずは関係法令に沿って取組を開始し、進捗状況、課題についてフォローアップをしながら、政府一体となって取り組んでいきたい」という答弁をしているところでございます。
7ページ目につきましては、民間企業との競合ということで、「役所から求人が多く出ることでの民間企業との競合」という質問でございます。国と民間との間で、人材の取り合いが生じるのではないかということです。
これにつきまして、答弁ですけれども、「今般の事態を受けた取組によって、公務部門における障害者雇用の需要が増える、これは事実であります。それによって、民間との競合が起きないように対応していくことが、私も本当に重要だと思っております。厚労省としては、現在就職が実現していないハローワークの求職者、そうした方々などに対して、しっかり支援をしていく」ということで、答弁をしているところです。
8ページ目です。定着のフォローアップについてということで、採用した後、各府省のその後の定着についても、きちんとフォローをしていただきたいということで、質問が出てきております。
大臣から、定着については、しっかりフォローアップをしていきたいという旨、答弁をしているところでございます。
次に9ページ目をごらんいただきたいと思います。納付金制度についての質問でございます。
これは「なぜ国などが入っていないのか」という御質問でございます。
それについての答弁といたしまして、「納付金制度の趣旨は、障害者の雇用に伴う経済的な負担を調整する、多く雇っているところは多く負担をし、少ないところは少ない負担で済んでいる、その負担を調整するということを通じて、事業主間の公正な競争条件を確保しようという趣旨のものであるということと、また、納付金の徴収ということになると、国民の皆様からお預かりした税金から支払うことになって、結果的に納付義務を国民の皆さんに転嫁することになるので、国などの適用については好ましくない」といった、そうした趣旨のことを答弁しております。
また、下のところでございますが、「一般企業は、法定雇用率を満たさなければ、いわゆる罰金という形で、納付金を納めなければならない。公務部門の採用が終了するまで、1回、この制度を停止し、調整金の支給分について、別途、予算措置で賄うべきではないか」といった、別の観点からの質問も出ております。
これについても、上に出てきている答弁の内容とオーバーラップしますけれども、「障害者の雇用に伴う経済的な負担を調整し、事業主間の公正な競争条件を確保するといった制度である」ということで、答弁をしているところでございます。
次の10ページ目ですけれども、「公務部門における特例子会社の取組について進めてはどうか」という質問でございます。
これにつきまして、答弁ですけれども、「国においても同様に、各府省において、障害特性に応じた業務を選定し、作業室等で当該業務を集中的に行うことは可能であると考えている。民間における特例子会社を活用した取組によって、知的障害、精神障害を持つ方の雇用が進んでいることを踏まえると、こうした自治体の事例は、さまざまな障害をお持ちの方の雇用を拡大するに当たっての1つの有力な手段だと考える。こうした取組について、情報提供していきたい」といった答弁をしております。
続きまして、11ページですけれども、障害者の範囲のところでございます。
「障害者は、御承知とおり、雇用率制度の対象となる方は、障害者手帳が原則となっております。そうしたことを広げるということで、社会モデルの観点から、障害者の範囲について、検討し直すべきではないか」という質問でございます。
それについての答弁でございますが、真ん中あたりですが、雇用義務制度について、手帳としている理由のところですけれども、「法的な公平性であるとか、安定性を確保するという観点から、対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるという趣旨から、障害者手帳を所持していることを要件にしている」といったところで、答弁をしているということでございます。
12ページ目ですけれども、みなし雇用についてという質問が出ております。
「みなし雇用制度に移行していくという手もあるのではないか」という質問でございます。
これについての答弁でございますが、「事業主がそれぞれに一定の割合の雇用の場を用意していただくということを考えると、その分、事業主の取組が、みなし雇用によって緩和されてしまう。また、福祉的な就労から雇用への移行を促すということにならなくなってしまうということがある。そういうことで、みなし雇用という考え方については、慎重な検討が必要ではないか」という答弁をしているところでございます。
次に13ページ目でございます。法的雇用率未達成の場合の罰則について、公務部門で考えてはどうかというところでございます。
これについての答弁ですけれども、「罰則に関しては、雇用率の達成そのものについての罰則というのは、特に民間企業についても規定をしていない。公的機関に罰則の適用というのは、基本的に慎重に検討していく必要があるのではないか」という答弁をしております。
次に14ページでございます。重度障害、労働時間が週20時間未満の労働者、難病患者についての支援というところで、具体的には、「重度障害のダブルカウントを廃止してほしいとか、週に20時間未満の方々についても対象に入れてほしい、難病患者団体からも対象としてほしい」という質問でございます。
これにつきまして、答弁といたしまして、「障害者雇用を促進するための方策については、先ほど申し上げましたような研究会の中で議論をしてきている。報告書も取りまとめをされている。こうした指摘、いただいた点も含めて、今後、労政審の分科会の中でも検討してまいりたい」といった答弁をしているところでございます。
15ページ、最後のところですけれども、当事者団体の意見の反映でございます。
これにつきましては、種々いろいろなところで質問も出てきたところでございますが、答弁のところに入りますが、「私どもが、今、想定している場として、例えば労政審の障害者雇用分科会、まさしくこの場でございますが、障害者団体の代表の方もお入りいただいている場で、基本方針を策定するに当たっても、御意見を伺った。フォローアップについても、報告をしながら、適時、進めていきたい」ということを申し上げております。
そうした国会の御議論について、資料1という形で整理をして、御説明をさせていただきました。
続きまして、資料2でございます。資料2をお開きいただきたいと思います。
資料2でございますが、今後の検討スケジュールでございます。
今後の進め方でございますが、本日、12月18日、今後の障害者雇用対策のあり方についてということで、御議論をいただきたいと思っております。
2回目でございますが、来週、ちょうど1週間後でございますが、同じ障害者雇用対策のあり方ということで、また御議論をいただければと思っているところでございます。
年明けでございますが、来年1月、2月にかけて、1~2回程度開催予定ということで、資料としては書かせていただいておりますが、検討スケジュールにつきましては、先ほど申し上げました、国の障害者雇用に関する基本方針の関係でございますが、国の行政機関等における障害者の任免状況に関するチェック機能の強化について、法的整備を視野に入れた検討を行うということで、基本方針の中に書かれております。また、この分科会におけます議論の状況等に応じて、今後、熟度といいますか、中身に応じて、回数なり、取りまとめ、今後の分科会の開催の時期なりを、分科会長とも御相談しながら進めていきたいと思っているところでございます。
資料1と資料2につきましては、以上でございます。
本日の議論につきましては、先ほど御説明をさせていただきました、国会での議論であったり、これまで研究会の報告書で説明をさせていただいた内容、あるいは国の今回の障害者雇用に関する基本方針といった内容等も含めまして、皆様方から幅広い御意見、御議論をいただければと思っているところでございます。
私からの説明は、以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、質疑応答に移りたいと思います。
御質問や御意見がありましたら、視覚障害者の方々や聴覚障害者の方々への情報保護の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後に、お名前を名乗ってから御発言いただくように、お願いします。
それでは、どなたからでも結構です。御質問、御意見があれば、挙手をお願いいたします。
竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 ありがとうございます。
日本盲人会連合の竹下です。
今回の雇用者数の水増し問題ということで、2つ、検討の中で欠けているものがあると思っています。
責任論ということで議論したいのではなくて、いわば原因論と言ってもいいと思うのですけれども、検証委員会の報告書を見ていましても、糖尿病の人を障害者にするとか、裸眼で0.1以下の人を矯正視力とは無関係に障害者にするという、そのやり方の問題はあるわけですけれども、そうではなくて、全く障害者を外部から採用していないということです。
どういうことかといいますと、今度、国が障害者を対象とした試験を実施する。障害者を対象にしなくてもいいです。端的に言えば、一般採用の形であろうが、どういう形でもいいです。少なくとも障害者を採用するという意識がなかったということが、数字の上では明確になったのではないかと思います。もちろん一般の採用試験で合格した障害者がゼロだとは申しておりません。
少なくとも、4,000人ほどの架空の障害者の数だけに限らず、それ以外、実際に障害者としてカウントされてしかるべき方々についても、果たして障害者として採用されたのではないのではないか。たまたまという言い方がいいかどうかわかりませんが、当該公務員の方々が障害を持っていた、あるいは障害を持つに至ったという方々をカウントしているということが、ほとんどのケースであって、障害者を採用するという意識がなかったのでないかということは、大きく指摘されるべきだと思っていますが、どこにもそういう観点からの記述はありません。
もう一点、今回の水増し問題で考えてみなければならないのは、障害者を採用するということは、どういう意味を持っているのか、そのことが議論されていないと思います。障害者を採用するということの意味は、いろいろあると思うのだけれども、障害者の働く場を積極的につくり出していくということだろうと思います。同時に、障害者を採用した場合、事業主のさまざまな負担、あるいは工夫というものも、そこに出てくるわけですけれども、障害者が働くための環境をつくり出すという視点があるかと思います。今回の水増し問題で、その部分は、議論としてされていないのではないか、分析がされていないのではないかと思うわけです。すなわち、障害者が働く場を拡大する、あるいはつくり出す、提供する、そういう観点がどこにも出てこない。検証委員会の文章にも出てこないし、国会の議論の中にも出てきているようには思えない。
障害者の働く場における環境づくりについては、若干の議論はあるわけですけれども、少なくとも水増し問題で、中央省庁といいますか、役所の範疇で、障害者のための職場環境を考えてこなかったことの結果があらわれていると思うわけです。そういう議論が欠けているのではないかと思うので、この点について、そうではないということであるなら、少し御説明いただきたいと思っています。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
事務局から何かございますでしょうか。どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 事務局でございます。
今回の不適切計上に関する御質問が2点ございました。
障害者の方がこれまで採用されていなかったのではないかという御指摘でございます。今回、障害者の採用ということで、先ほど竹下委員からも発言がありましたけれども、人事院のほうで、障害者を対象とする試験制度を設けてやっていくということで、既にこれは動いているところでございますが、これまでの間の取組ということで申し上げますと、障害者枠ということで対応したのは、今回が初めてということになるわけです。一方で、採用ということでいいますと、各府省におきまして、非常勤の職員の方々につきまして、チャレンジ雇用であったりとか、そうした中で採用してきているということがございますし、また、障害をお持ちの方が試験に合格して、採用をしていくという例もあるのではないかと思っております。ただ、多くの方々は、非常勤の形で採用されてきているということもあるかと思います。
あと、実態といたしまして、中途で障害になられた方、そうした方々が障害者の雇用率のカウントという形で、これまでも計上されてきている状況にあると思っているところでございます。
いずれにいたしましても、今回、検証委員会の報告の中でも指摘されておりますけれども、各府省の障害者雇用に関する意識については、無関心であったり、意識の低さといったところが厳しく指摘されているところでございます。そうした点について、各府省は今回の事案を重く受けとめて、今後、こうした事案が起きることがないように、再発防止にしっかり取り組んでいく。そのあたりの内容につきましては、基本方針の中でしっかり明記されておりますので、我々厚労省としても取り組んでいきますし、各府省に対しても、厚労省ができる支援といったものをしっかりやっていくということでございます。
また、先ほど2点目で質問がございました、働く場の提供といいますか、そうした環境の話でございますが、仕事をつくり出していくというところで、御質問があったかと思います。そのあたりの議論がということでございますが、この部分につきましても、身体障害、知的障害、精神障害、それぞれの障害の特性、または障害者の希望を踏まえて、仕事を提供していくということが、基本方針の中でも明記されておりますので、そうした仕事の提供、選定といったことをしっかりやっていくということで、御紹介をさせていただきます。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいでしょうか。どうぞ。
○竹下委員 どうもありがとうございました。
今の課長の説明はよくわかるのですけれども、そうであればあるほど、今回の水増し問題を受けて、国が来年2月3日に初めて実施する、障害者を対象とする別枠採用試験、これが時限的なものにならないようにしてほしいということです。
よくこの問題で、数合わせをするなという声が当事者団体からあるかと思うのですけれども、例えば今年の採用枠が676人、それ以外は非常勤で対応する、これ自身は構いません。これを何年続けるかわかりませんが、それで法定雇用率に達した、それで終わったということでは、数合わせで終わってしまうと思うのです。
今の課長の説明は、そういう形で反省されたのであれば、別枠採用制度というものが、地方自治体がそうしているように、制度として、継続的なものとして、今後、実施されていくことを強くお願いしたいと思うわけです。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
御意見として、承りたいと思います。
ほかに御質問、御意見はございますか。本條委員、どうぞ。
○本條委員 資料ではないのですけれども、確認をさせていただきます。
一部の新聞報道によりますと、今回の計画は、与党議員や障害者団体からの計画の実現を疑問視する声や単なる数合わせになり、雇用の質が確保されない、あるいは民間企業から大量の退職者が出るといった懸念が出ていた。こうした指摘を受け、政府内では、採用計画の期間を現状の1年間から2~5年程度に延ばすよう、告示を改正する案が浮上しているという報道がなされていますけれども、これは事実なのかどうか。
事実でなければ、できる限り実現に向けて努力していくということで捉えますけれども、不適切な状態が何年も続くということを容認すれば、民間に対して、雇用率を達成するように指導できないのではないかと思いますので、御確認と方針といいますか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 事務局でございます。
今、本條委員から御質問がございました、4,000人の採用の計画期間の観点でございます。御質問がありました報道の内容でございますが、政府として、採用期間を見直すとか、そうしたところを決めたという事実はございません。
先ほども少し御説明をさせていただきましたけれども、障害者雇用促進法におきましては、法定雇用率を達成していない公的機関においては、法定雇用率の達成に向けた採用計画をつくっていただく。年内でできなければ、そういう採用計画をつくっていただく。つくった上で、1年間で達成をしていただくということで、関係法令で規定をされているということでございます。こうした規定を踏まえて、取り組みを進めていくということで、今、対応を進めているところでございます。
厚生労働省といたしましても、4,000人という数について、先ほど申し上げましたけれども、31年末までに採用することは、簡単ではないということは認識をしておりますけれども、まずは関係法令に沿って取り組みを開始させていただいて、進捗状況、あるいはその時々の課題について、フォローアップをしながら、取組を進めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 本條委員、よろしいですか。
それでは、それ以外にございますか。松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 松爲でございます。
先ほどの国会答弁の4ページ、内閣総理大臣の返答として、法的整備を視野に入れたさらなる検討と書いてあります。今回の検証委員会というのは、どちらかというと、再発防止を中心にした中身だと思っています。そういった意味では、再発防止のための法的整備というのは、具体的には幾つかの案があると思いますけれども、現在、事務局としてどういうことを考えていらっしゃるのかについて、お聞きしたいと思います。
もう一つ大事なことは、検証委員会というのは、過去の再発をしないということです。ただ、採用された後、将来的に一番大きな問題は、定着するかどうかということなのだと思います。ですから、そういった意味では、過去の検証委員会とは違いまして、例えば採用された後の定着、離転職したときの再発防止とか、そういったものに対しての将来展望を含めて、事務局として案がありましたら、教えていただきたいと思います。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 事務局の障害者雇用対策課長でございます。
今、松爲委員から御質問がございました、再発防止に向けた内容ということでございます。基本方針の中で、今回、再発防止のための対策ということで、示されている部分がございます。
資料の概要で御説明をさせていただきたいと思います。参考資料3-1をごらんいただきたいと思います。参考資料3-1の1ページ目でございます。(2)のところで、厚生労働省における取組が左側にございますが、ここの部分で、取組が書かれておりますけれども、障害者雇用促進法に基づく通報等に関する実務、再発防止のための取組に係る留意事項を示した手引と書いてありますが、これは実務上の動きということにもなってきます。
あと、ここに書いてある中身で、制度面にかかわってくるところで考えられる部分としましては、下のところにありますけれども、各府省の関係書類等について必要な調査を行い、障害者の範囲や確認方法が適切かどうか確認するとか、こうしたところが基本方針に書かれてございます。このあたりなどが1つ大きな論点になってくると考えているところでございます。
また、チェック機能の強化に向けたさらなる検討のところでは、まさしく先ほど委員から御発言がありました、法的整備を視野に入れた検討を行うということと、各機関がみずから障害者の任免状況を公表する仕組みを検討、こうした内容がございます。
あと、現在、考えられるものとしまして、右側の各府省における取組のところでございますが、ここも各府省で取組状況のフォローアップを実施していただくとか、体制整備とか、こうした点が書かれております。
また、真ん中あたりでございますが、手引に従って、通報対象となる障害者の名簿を作成するというところと、障害者手帳の写し等の関係書類の保存とか、そうしたところが記載されております。
こうした基本方針に書かれている内容を踏まえながら、再発防止に向けた検討、法的整備といったことも、検討を進めていくことになるかと思っているところでございます。
2つ目の質問でございますが、定着支援の部分でございます。定着支援のところにつきましても、同じ参考資料の2ページ目をごらんいただきたいと思います。
2ページ目のところで、取組としまして、今回、左側のほうでございますが、2.のところで、真ん中あたりの障害者雇用に関する理解の促進の中で、2つ目のポツのところで、障害者雇用に精通したアドバイザー等による、各府省において障害者が活躍できる具体的な業務を選定するための支援など、そうした取組がございます。
また、右側の3.でございますが、障害者の活躍の場の拡大という表題のところの1つ目の○のところで、活躍しやすい職場づくりの推進というところで、各府省の推進体制の整備、実務責任者を配置するとか、障害者雇用に関する理解の促進ということをやりながら、障害者向けの相談窓口の設置、個々の障害者をサポートする支援者の配置、障害者の作業環境を整えるための機器の導入・設備改善といったところとか、あと、働きやすい人事管理のあり方といったところも、定着支援につながってくる部分があるかと思っております。こうしたところをしっかり進めていくことが、大事だと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 松爲委員、よろしいですか。
その他、いかがでしょうか。阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日身連の阿部です。
資料1でも、納付金制度のことについて、いろいろと質問を受けて、また、その答えもあります。納付金制度を別な角度から考えれば、障害者の方々の雇用に前向きな企業様の調整金というところで、その財源というのは、すごく大事なことだと思います。また、今回、4,000人の方の雇用に取り組むのであれば、そのための財源は十分に確保されているのかどうかということが、とても心配です。合理的配慮でも、その前に、事前の環境整備といいますか、ハード面も含めてであれば、財源の確保はしっかりしていただきたいと思いながら、質問というか、意見というか、お話しさせていただきました。財源が十分に確保できないから、ある意味で、障害の重い人の雇用ができないということは、あり得ないとは思いますけれども、しっかりと財源の確保をしていただきたいということで、お話ししたところです。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
事務局、どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 事務局の障害者雇用対策課長でございます。
予算の関係でございます。今回、国のほうで、4,000人ということで、多くの障害者の方を採用していくことになっておりますので、採用に当たっての予算が必要になってきますし、また、採用以外におきましても、環境整備の関係、先ほど申し上げましたような、定着支援のための事業であったり、あとは、バリアフリーですとか、まさしく働く環境の場の整備といいますか、そうしたところで必要になってくる予算が生じてくると認識をしております。
このあたりにつきましては、基本方針の中におきましても、定員予算措置という項目がございまして、基本方針に書かれているような施策の推進に必要となる予算について、適切に措置するという形で、関係閣僚会議の中でも、基本方針として明記をされているということですので、これに沿った形で、適切に対応されるものと認識をしているところでございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 この中で述べられていますけれども、例えば病気によって入院されている障害のある方々は、入院しながら、ICTを利用して社会参加したいということで、国立病院法人に入院されているということを聞きます。その方々のテレワークによる勤務ということも十分に考えていただきたいと思いますし、そのための財源の確保も大事だと思って、申し上げました。
以上で終わります。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。武石委員、どうぞ。
○武石委員 武石です。
先ほど基本方針の御紹介をいただきまして、それに関連しての質問なのですけれども、基本方針の中に、幾つか年内にやりますということがあって、年内というのは、今月ぐらいだと思うのですが、そのあたりの進捗がどうなっているのかということが、おわかりになれば、教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
御質問についてでございますが、年内に対応すべきものといたしまして、人事院のほうで、民間事業主向けの合理的配慮指針を踏まえながら、国家公務員における合理的配慮指針を年内をめどに策定することになっております。これにつきましては、まさしく人事院で対応を進めているということで、年内をめどに、指針が策定されると承知をしております。
あと、同じ採用、任用の関係でございますが、各府省の個別の選考採用も並行して実施するわけですけれども、その点について、人事院から、留意点について、各府省に年内に提示をするということも、基本方針の中で明示をされております。これについても、年内に各府省に提示するという形で、動いているものと承知をしております。
非常勤職員につきましては、障害特性に応じた適正な対応を図る観点から、雇用の安定確保に関する運用指針を年内に策定することになっておりますので、これも同様の対応がされているということで、承知をしているところでございます。
主なものとしては、以上でございます。
○阿部分科会長 武石委員、どうぞ。
○武石委員 武石です。
ありがとうございます。
人事院がやるとか、厚生労働省以外のところもあると思うのですが、いろんなことが書いてあるので、この方針がきちんと進むようにということは、厚労省として、連携を図っていただきたいということをお願いしたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 松爲でございます。
今、伺っていてもそうなのですけれども、年内、年度内に数千名というのは、数合わせではできないこともないでしょう。私が一番心配しているのは、その後なのです。むしろ入った人たちをどのように定着させていくか、そのための支援体制がどうあるべきかということを、もっと議論しなければならないと思っています。
その中で、定着といったときに、本来、民間企業は、例えば障害者就業生活支援センターとか、ジョブコーチとかが、税金の財源を使ってたくさんやってきて、企業と一緒になって、ここまで定着を進めてきたわけです。税金が使えないからということで、ジョブコーチとか、就業生活支援センターは使えませんといったときに、果たして民間がこれまでやってきたことを、どういう格好で継続的に担保できるのかどうか、そこが一番心配するところなのです。定着支援をどういう格好で考えていくかということは、本格的にいろんな体制、あり方を考えなければいけないということが1つです。
もう一つ言いますと、例えば民間の場合ですと、離転職した人に関しては、ハローワークに優先的に登録することによって、職業選択の優先順位を考えています新聞報道などによりますと、官庁に関しては、退職させたときには、何の担保もない。定着ということを考えたときに、ハローワークに登録させて、ハローワークに優先的に中央官庁も全部申請して、離転職しても担保できるような、そういった制度の改革をぜひともお願いしたい。この2点をお願いしたいと思います。
○阿部分科会長 事務局、どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
2点、御質問がございました。
まず定着支援のところでございます。ここの部分につきましては、大事な問題点だと認識をしているところでございます。各府省におきましても、採用に当たっては、採用後も含めて、具体的な取組計画といったものを今回定めていただいております。そうした中で、定着に関する部分について、しっかり対応してもらうということで、我々厚労省としても、各府省に対してフォローアップをやっていきたいと思っているところでございます。
また、今回、定着に当たっての各種支援につきましては、先ほど阿部委員からもお話しがございましたけれども、予算の要求もさせていただいているところがございます。こうした予算要求も含めて、今後とも厚労省としてしっかり対応してきたいと思っているところでございます。
2点目でございます。退職、離職した人に対する国としての支援の部分でございますが、ここの部分は、障害者雇用促進法の中で、民間の企業に対しては、規定があるわけですけれども、離職した場合、解雇した場合について、ハローワークへの届出という規定がございますが、役所、公的部門に対してのそうした規定がない、そうした趣旨の御発言だったと思っております。こうした部分につきましても、今、御指摘いただきましたので、今後、制度面としての検討を深めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 村上委員、どうぞ。
○村上委員 労働組合連合の村上でございます。
余り具体的な意見ではないのですが、冒頭の竹下委員の御指摘は、大変ごもっともで、私どもも重く受けとめなければならないのではないかと思って、聞いておりました。
今回のいわゆる水増し問題は、国、地方公共団体で生じたことでありましたけれども、民間においても津々浦々で、ともに働き、ともに社会をつくっていくという意識が十分なのかどうかというところも、振り返って考えていかなければならないのではないかと考えております。
こういったことについては、まだまだ息の長い課題でございますので、政府はもとよりですが、労使も含めた関係者全体で引き続き取り組んでいかなくてはならないのではないかと考えております。
そういうことを進めながら、再発防止のためということで、検証委員会、政府としての対策が急ピッチでまとめられております。こういった経緯も踏まえれば、十分かどうかということは、さまざまに検証していかなくてはなりませんけれども、必要な法整備ということについては、早く進めていくことが重要ではないかと思っておりますので、審議会の議論については、積極的に参画していきたいと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 佐保です。
私からは、2点ほど、お話しをしたいと思っております。
昨今、報道等でも出ていますが、複数の地方自治体や国の機関において、特定の障害種別の方を採用の対象から除外したり、自力での通勤などの不適切な要件を課したりするなどの、採用募集時から不適切な対応が行われていたといった報道がなされていると思います。今後、そうした不適切な事案については、厚生労働省で指導なり、助言なりを行っていくということになるのでしょうかということが1点目です。
2点目は、自立通勤要件などが廃止になる。そういうことに伴って、親族の方などが通勤を支援する場合、通勤手当をどのように考えるかなど、実務面で必要な見直しをすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
以上です。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、御質問がございました、地方公共団体におけます自力通勤であったり、介助者なしで業務遂行が可能であるといった、そうした募集のあり方になってくるかと思っておりますが、こうした点につきまして、障害者雇用促進法におきましては、御承知かと思いますが、全ての事業主の方については、障害者雇用に関して、社会連帯の理念に基づいて、雇用の場の提供に努めなければならないという規定がございます。また、民間事業主におきましては、労働者の募集、採用について、障害者の方に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。また、民間事業主や地方公共団体においては、障害者と障害者でない者との均等な機会を確保するため、障害者の障害特性に配慮した必要な措置を講じなければならないという、障害者雇用促進法の規定がございます。
こうした内容を踏まえますと、今般の障害者向けの求人においても、介助者の付き添い等の社会的不利を補う手段を利用しないといった条件をつけずにとか、また、特定の障害種別に限るといった報道もされてございますが、応募者と個別に話をし、本人の障害特性に配慮した合理的配慮ができるかどうかといった観点から、こうした事案について検討することが、適切な対応であると考えているところでございます。
したがって、先ほど来、御質問に出てきておりますような、求人のあり方、募集のあり方については、障害者雇用促進法の趣旨に反するということで、我々厚労省としても、認識をしているところでございます。この部分については、ハローワーク等を通じ、また、自治体、地方公共団体におきまして、総務省とも連携して対応していきたいと考えているところでございます。
2点目の通勤手当の部分でございますが、そこのあり方につきましては、国でいいますと人事院になりますけれども、地方におきましては、総務省になる部分もあるかもしれません。そのあたりは、担当の官庁、役所にも、御指摘があったということで、お話しをさせていただきたいと思っております。
○阿部分科会長 その他、いかがですか。田中代理からお願いします。
○田中代理 全国手をつなぐ育成会の田中です。
今回、竹下委員からありました、省庁の障害のある方たちに向かい合う姿勢から始まって、さまざまなことが不足していると思うのですけれども、省庁が数を目標に進めていくことに対しての計画が公表されたときに、それぞれの省庁によって、受けとめるべき課題が違ってくると思うのですが、大きく分けると、障害のある人たちに向かい合ってこなかったということでいえば、基本の理念が足りないということになりますので、そういったことに対して、計画でどこまで具体化できるのかということが気になっています。
理念的なところでは、今までも障害ということに対しての理念は理解していて、十分な対応をしてこなかった、不足しているので、確保し切れないということで、ノウハウが足りないことに関しては、アドバイザーなどを用意して、具体化していくという計画があるようですけれども、特に国会での議論においても、重い人たちは、特例子会社などを活用してみてはどうかという、法改正も含めて、仕組みの不十分さを指摘することへの計画の足りなさなどもありますので、いずれにしましても、省庁の計画が出た段階で、欠けている部分に対して、具体的にこんな対応をしたらいいのではないかというような、計画に対するチェック、もしくは計画に対する指導という、そういう立場はどのような機能が働きかけていくような結果になるのかということに対して、国会でそれを確認するのか、それともこの場でそれをチェックしていくのか、障害者政策委員会のような、障害者団体を中心にした場でやっていくのか、計画を不足だとして出させていく、そのチェックは、どのような仕組みで機能させていくのかということが、気になるところです。
以上です。
○阿部分科会長 事務局、どうぞ。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
チェックのフォローアップの取組についてという御質問でございますが、基本方針の中にフォローアップの関係の規定がございまして、基本方針に基づく取組につきましては、各府省におきましても、再発防止に向けた、あるいは障害のある方の活躍の場の拡大に向けた取組を行っていただくことになっておるわけですが、そうした取組状況につきましては、政府一体となって推進する体制のもとで、フォローアップを行う。それも閣僚会議等という形で、明記もされておりますけれども、そうした体制の中で、フォローアップをしていくという規定がございます。こうした中でのチェックをやっていくということが、まずあるかと思っております。
先ほど御説明申し上げましたけれども、各府省におきましては、採用に当たって、また、採用以降の取組について、具体的な取組計画をつくっていただいております。こうしたものにつきましては、厚労省といたしましても、各府省の取組状況につきまして、フォローをしていく、どういう取組になっているのかということを確認していくということ、実地で確認をするということもやっていくこととしておりますので、そうした取組も含めて、厚労省としてもやっていきたい、政府全体としてもやっていくことになっているということでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。
内田委員、どうぞ。
○内田委員 労働側の内田です。
先ほど来から、定着の話等々が出ておりまして、繰り返しになる部分もあるかと思いますが、今回の水増し問題ということでは、法定雇用率が未達成の場合は、1年単位で計画を作成し、見直しを行うということは理解しておりますが、今回は余りにも採用すべき人数が多いということと、また、こういったことで、民間の障害者の雇用が逼迫するのではないかという声もございます。特に対象となる障害者が限られるような地域では、民間と公務が採用で競合するような、混乱を招くこともかなり懸念されます。また、短期間で多数の障害者の採用を行うことによって、職場への定着の対応が十分にできないおそれもあると思いますし、受け入れる職場の方々の混乱もあると考えられますので、働くということを軸に、しっかりと丁寧な対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日盲連の竹下です。
2点だけ追加したいのですけれども、ほかの委員からも出ていることに関連するのですが、1つは、障害者雇用に対する意識の問題なのですけれども、障害者雇用促進法ができて、民間企業は障害者雇用を進めるために、それなりの工夫、あるいは勉強をしてきていると思います。今回、水増し問題をきっかけに、役所が考えるべきことは、そこに2つのヒントがあると思っています。
1つは、障害者の特性をというのは、必ず出てくるし、安倍内閣になってから、骨太の中で、多様性を受け入れる職場づくりみたいなことを言っているのだけれども、もっと具体的に、障害を持った人にできる仕事をその企業の中で十分に議論してきたということを、今度は役所の中でこれからやっていけるのだろうか。例えば目が見えないために、何ができるかという言い方でも構いませんけれども、障害を持った人がどういう仕事ができるか、できる仕事を十分に分析して、その仕事を組み立てることによって、他の業務を遂行している方の効率性まで上がっていくという、そういう発想が本当に持てるのかということだと思っております。
私の本業の仕事をしている過程で、ある大きい企業ですけれども、脳梗塞で50歳前後の方が倒れて、職場復帰するときに、人事担当者と話をしていたときに、私は驚いたというか、納得したのですが、倒れた後でも継続雇用することで考えますとおっしゃっていて、脳梗塞を起こしているから、高次脳機能障害が出るのだけれども、そのときに、その人に何ができるかをリハビリの先生と相談させてほしい。そこから自分たちの会社でできることを一遍検討させてほしいとおっしゃっているわけです。
同じ企業で知的障害者を採用するときに、バックヤードという言い方をされていましたが、要するに表舞台ではないけれども、片づけであるとか、掃除とか、これまでアウトソーシングしていたのかどうかわかりませんが、それを業務として組み立てて、障害者の雇用に結びつけたという話を聞いていると、民間で努力していることが、本当に役所でやっていただけるのだろうかという思いが1点です。
もう一点は、先ほど通勤手当の話がありました。また、先ほど松下課長から、通勤に対する配慮のお話しも出たかと思います。国会の審議の答弁の中で、役所が事業主として採用した障害者の通勤についての配慮を検討したいとおっしゃったと記憶しているのですけれども、障害者が通勤しやすくなる、あるいは通勤する際の何らかの手だてが講じられるという好事例を、ぜひ役所でつくり出してほしい。
これまで民間の場面では、必ず移動支援のところで、厚生労働省の答弁は、それを福祉で担うのか、企業の合理的配慮で担うのかは、今後、議論のあるところですといって、常にそこは答えを避けてきたのです。ところが、今度は、役所が事業主の立場に立つわけですから、そういう逃げ方はできなくなっているわけです。ですから、移動支援というものを事業主としての役所がどういう形で実践するのか、私はぜひ形にしてほしいと思っています。
以上です。
○阿部分科会長 御意見として、受けとめます。
松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 松爲でございます。
先ほど来、官庁も含めて、雇用率を達成しなければいけない、でも、中央官庁だけで数千名採用しなければいけないというお話しがあります。今、雇用対象となりえる障害者の数がそんなにない中で、民間は2.2%を達成しなければいけない。端的に言いますと、障害者雇用率という制度そのものは、この後やっていけるのだろうかということに関して、皆さんの御意見を伺いたいところです。
こういう制度は、きちんと維持しなければならない。でも、現実問題として、例えば中央官庁は民間より0.2%高くしなければいけない。今、この状況だと、果たして民間より高い率を維持できるかどうか。そういうことをいろいろ考えていきますと、基本的な姿勢として、障害者雇用率制度、法定雇用率を含めた、将来的な形というのをどういう格好で考えればいいのかということ、本省の基本的な姿勢をお伺いしたいので、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
法定雇用率の設定のあり方について、まず申し上げますと、法律におきまして、法定雇用率については、常用労働者と失業者の総数に対する、障害である常用労働者と失業者の総数の割合ということで、分母が常用労働者と失業者の総数、分子が障害者である常用労働者と失業者の総数という算定方式のもとで、法定雇用率という計算式の算出をしてきているところでございます。この部分につきまして、これまで法定雇用率を決めていくに当たっての取扱いということでやってきたところでございます。
今後の法定雇用率のあり方につきましては、先ほど申し上げました、今年7月に取りまとめられました、研究会報告の中におきましては、提言をされているところでございます。具体的には、法定雇用率の設定について、算定方式で算出された数値をそのまま適用するということについて、その時々の雇用の状況、あるいは会社の定着の支援の準備状況とか、そうしたことを踏まえて、柔軟に設定できるような見直しをすべきではないかという提言も、研究会の報告書の中ではされているということがございます。この部分についての取扱いにつきまして、また、それぞれの委員の皆様方からも、御意見等々をいただければと思っているところでございます。
○阿部分科会長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 ただ今、いろいろ御答弁をされていて、まず事務局にお聞きしたい。基本方針をまとめるために審議会の回数を使って議論してきましたが、私の理解では、前回で終わっていると思います。例えば基本方針の中で、法律に基づく体制を整備していくという記述があり、それについてどう考えていくのかということであるならば、それを紙でまとめて、皆さんで議論すればいい話です。それをしないで、真っさらな状態でどう考えますかと、こうやって1時間強にわたって議論していることの背景を教えていただけますか。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○松下障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。
今、遠藤委員からお話しがございましたことは、進め方、分科会での議論のあり方ということだと思います。先ほど冒頭にも説明させていただきましたけれども、これまで研究会報告であったり、国の障害者雇用に関する基本方針の問題であったり、最近でいいますと、ここの部分につきましては、臨時国会での動き等々がございました。こうした一連の動きを踏まえまして、改めて現状についての動き等々を整理して、御報告をした上で、今回、自由に御意見、御議論をいただきたいということで、本日の分科会を設定させていただいたところでございます。
今後につきましては、本日いただきました御意見、また、これから出てくる御意見等も踏まえながら、そうした中で、事務局としての整理も考えていかなければいけないと思っているところでございますが、この点につきましては、分科会長とも相談しながら、本日の持ち方につきまして、進めてきております。今後につきましても、分科会長と相談して、進めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部分科会長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 そういうことであるとしても、有識者研究会で議論しているときに、不適切な計上の関係を踏まえた対応についてどう考えるかというのは、1度たりとも議論に上っていない。どういう形で障害者雇用を進めていくのか、今ある課題をどう解決するのかという形で議論したまとめの部分を、今回の問題とくっつけて説明することは、使用者側からすると、甚だゆゆしき行為です。そんなことを議論しているわけではないのですから、それを今みたいな回答でくっつけられてしまっては、これからの議論に対して、どういう影響を及ぼすかということぐらいは、十分に想定できるのではないでしょうか。
○阿部分科会長 遠藤委員がおっしゃっていることは、理解できるところはあるのですが、私は必ずしもくっつけて議論しているとは理解していません。松爲委員がおっしゃったことは、どちらかというと、民間部門における雇用率制度が維持できるのかどうかといったところを御懸念されているのであって、前段の水増し問題で、今回、一気に4,000人の雇用があって、それが民間部門に対して影響するだろうという話と、その後の今後の雇用率制度の維持という話は、分けて考えるべきだろうと思っています。松爲委員がおっしゃったのは、こういう事態が起こった場合に、雇用率制度が維持できるのかという話と、それから、今後の雇用率制度の維持という観点から、どのように雇用率制度を考えていくべきかという、そういう問題提起だったのではないかと思います。
○松爲委員 まさにそのとおりです。
○遠藤委員 有識者研究会でまとまった中身というのは、2期続けて引き上げてきましたので、2023年4月以降に向けて、どういう形で民間企業が準備していくか。課題を解決しながら、さらに高みに上がっていこう、しかし、算定式で機械的に算出された数字をそのまま雇用率に当てはめていくという体制に戻ってしまうならば立ち行かなくなるのではないでしょうか。その時々の雇用情勢を踏まえ、審議会の中で議論した上で、こうあるべきだという数値を置いていきましょうとまとめたものです。
○阿部分科会長 わかりました。
松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 今の話でいきますと、今回の改正で激変緩和措置をやりました。激変緩和措置をやったときに、ちょっと疑問だったのは、本来、2.42、それを2.3に変えました。なおかつ、大変ですから、2.2に変えました。2.42を2.3、2.2に変えたということの根拠が一体何かというのは、わからないのです。ですから、それぞれの状況について考えましょうといったときに、状況を変えるときの根拠になるようなものを、これから先、ちゃんと制度としてつくっていかないといけないと思います。
法定雇用率というのは、ある意味では理想です。でも、現実は難しいから、ゴールポストをあちこちに変えましょうという話になりかねないという気がするのです。法律の中で決まっている法定雇用率の仕組みは維持するにしても、例えばそれを今回のような激変緩和措置だと考えるのだったら、その中身とか、制度のあり方、緩和措置というのは、どういう格好で、客観的にみんなが認めるようなものにするかどうかという、そこがこれから先の議論に必要だというのが1つです。
もう一つは、前々から問題になってきている話ですけれども、A型事業所をそのまま雇用率の中でカウントしていいのかどうかというのは、大きな問題になってきます。
何が起きているかというと、A型事業所を民間企業が買い取る、買収するという話までありまして、びっくりしました。買収することによって、A型事業所は雇用関係を持っていますから、そこのところをカウントします。民間企業は、今、そこまでせっぱ詰まっている状況だということを聞いて、びっくりしました。
そうであるがゆえに、今後のあり方として、法的な雇用率制度を維持するにしても、あるいは激変緩和措置的にやるにしても、激変緩和措置をするための根拠的なものをちゃんとつくっていかないと、毎回、恣意的なものになっていきますと、持ちこたえられないというのが、私の意見です。
○阿部分科会長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 決して松爲先生と違うことを言っているわけではなくて、このことは皆さんと共有できると思うのですが、どうして2018年4月以降、このような引上げ方になったかというと、2013年4月は15年ぶりに2.0に上がりました。過去を見ると、引上げ後は、少なくても10年間は同じ数字で努力していたところ、5年後に引き上げなければいけない状況になりました。さらに引上げ幅を見たときに、過去最大で上がっても0.2ポイントしか上がっていない、それを超えて上げようということになったから、段階的に上げたらどうでしょうかという議論になりました。全く経験したことがないけれども、そういう中で、皆さん努力していきましょうということで、走り出したものです。
そういう形で、1回、船出をしましたけれども、2023年4月以降を考えたら、難しい状況しか見えてきません。1回限りだった激変緩和の仕組みを恒久化させていただきながら、その時々の知見を集めながら、この数値でやっていこうという仕組みを、皆さんでつくり上げていきましょう。使用者側委員の代表として塩野さんに、何度となく御発言いただき、それについては、おおよそ御賛同もいただいたという意味合いで、報告書の中にまとめられたものと受けとめています。
○阿部分科会長 冒頭に事務局からも説明がありましたけれども、今回の国会における議論だけではなくて、研究会報告も含めて、今後、皆さんと議論していくということでございますので、遠藤委員や松爲委員からいただいた意見も、もちろん今後の議論の論点になると思っておりますし、また、皆さんにいろんな議論をしていただければと思っています。
岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 労働側の岡本です。
先ほどのお二方の委員の議論に沿う形の発言になると思いますけれども、労働者の立場でいっても、職場で障害者の方と一緒に働いていくということを抜きにして障害者雇用を進めていくことはできません。雇用率という数字だけで職場は動いていませんから、どういう形でその人たちと一緒に仕事をしていくかというのは、大きな問題ですし、大切な問題だと思っています。そのために、一定の激変緩和という考え方、職場にとっても障害者雇用をまずは少しずつ進めていくということについては、私たちとしても、当然あり得るものだろうと思っています。激変緩和の階段をどうするかということについては、これから議論ということになるのだと思いますけれども、決して目指すべきゴールがブラックボックス化しないように、きちっとした議論なりを行って、みんなが納得いく形でルールをつくっていくべきだろうと思っているということを、あわせてお話しさせていただきました。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
塩野委員、どうぞ。
○塩野委員 塩野です。
先ほど遠藤委員からもお話しがありましたけれども、私は、研究会に出させていただき、障害者雇用率のあり方について、何度も発言をさせていただきました。この場でも、改めて発言をさせていただきます。
法定雇用率につきましては、先ほどから御説明がありますように、今年の4月に2.2に上がって、さらに2.3という引き上げが行われます。いわゆる大企業におきましては、0.1ポイントの引き上げで、非常に大きな影響があります。また、身体障害の方を中心とした高齢化という問題も出てきています。
先ほど他の委員の方もおっしゃいましたけれども、障害者雇用は、単に採ればいいとは思っておりませんし、いかに企業において活躍していただけるか、丁寧にやっていきたいと思っています。ただ、いろいろな課題を考えると、今後の法定雇用率の達成・維持というのは、ますます厳しくなっていくのではないかと思っています。
そういった中で、研究会でも発言させていただきましたが、激変緩和措置の恒久化は、是非お願いをしたいと思います。現状のように、機械的に算出された数値をそのまま法定雇用率にするのではなくて、審議会でいろいろな方の議論を通して、納得できるような、そんな雇用率に、柔軟に調整ができるようにしていただきたいと思います。
今年○阿部分科会長 ありがとうございました。
事務局、どうぞ。
○土屋職業安定局長 職業安定局長でございます。
先ほど障害者雇用対策課長から障害者雇用率の考え方といいますか、計算式を御説明申し上げたところでございますが、今、何人かの委員の御発言の中に、機械的に計算されたというお話しも出ているので、そこを補わせていただきたいと思います。
本日の資料の参考資料2の6ページに、雇用率制度の概要という資料を入れさせていただいています。ここに先ほど障害者雇用対策課長から申し上げた計算式も記載をしているところでありますけれども、この式が持っている意味というのは、上の囲みのところにありますように、障害者の方について、一般労働者と同じ水準において、常用労働者となり得る機会を確保する、そういうものとして、この計算式があろうかと思います。
したがいまして、この計算式によって出てくる数字について、どういうお考えをお持ちいただくかということと、それから、そういう率が計算式の中で出てくる、そのことを踏まえて、先ほど来、お話しが出ているように、企業の側の準備であるとか、雇用の実質的な内容の問題であるとか、そういうことを踏まえて、段階的にどう考えていくのかということ、その2点の面が論点としてあるのではないかと思いますので、その点をこの場でも十分に御議論いただいて、また整理をさせていただければと思っているところでございます。
以上です。
○阿部分科会長 松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 論点が違いますけれども、雇用率のカウントとは別に、本来、なぜこんな議論になるかというと、労働に入れるような障害を持った人たちのパイが限られているというのが、背景に大きくあると思います。まして、今回に関しては、数千名、官庁に入れなければいけない。ただでさえ、障害のある人たちが企業に入るパイは大きくないと思っている中で、しなければいけない。ですから、企業にとっても、雇用率は達成できないでしょうと言われています。
そういうことを考えていますから、今後の大きな課題は、法改正を含めてやる課題だと思いますけれども、上流側の就労系の障害福祉サービスに関して、きちんと企業のニーズに応え得る人材を育成する体制を作ることを、ぜひともお願いしたいと思います。
移行支援事業、就労継続A型、B型の中にいる障害者をいかに企業に流れるようにするか。そのためには、移行支援、A型、B型事業所は今のままで育成ができるような体制になっているのかと、いつも疑問に思います。
例えば就労系の障害福祉サービス事業所に配置されている人材としてサービス管理責任者がおりますが、その育成のための具体的なプログラムは一般企業の求める人材とそれに向けて育成する方法については必ずしも十分とは言えないと思います。私は、今後の障害者雇用の対象となる人材のパイをいかに広げていくかといったときには、上流側となる移行支援、就労継続AB型で、人材を確保するような制度をぜひともつくってもらいたいと思うのです。
少なくとも就労支援にかかわる障害福祉サーブス事業所に関しては、常設の就労支援の専門家を置くことが必要だと思っています。その際の専門家は、たとえば7,000名以上も育成してきたジョブコーチがおります。それから、障害者職業カウンセラーという、労働大臣認定講習を受けた名称独占の質の高い専門職もおります。そういった人たちをなぜ埋もれたままにしているのだろうかという疑問をいつも抱いています。
そういった意味では、今後の大きな法改正の流れとして、上流側となる就労系の障害福祉サービス事業所に、就労支援の人材を必ず配置するように制度を変えていくことを要望したいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、御意見として承ります。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 公務部門で4,000名という数が非常に大きいということでありますけれども、2.2%に上げることによって、何名の方を採用しなければいけないかと考えてみますと、4,000人よりはるかに多い数になるわけです。確かに500人とか、1,000人を雇っておられる会社にとっては、0.2%にすぎないわけですが、例えば100人未満のところで、法的には、1名の採用でいいということでありますけれども、それほど採用していなくても、お咎めがないわけです。それが2.2%に上がりますと、91名以上であれば、2名を採用しないといけない。
民間の企業は、それだけ努力されて雇用率を達成しようとされているわけでありますから、公務部門においては、あらゆるノウハウを持っておられるわけで、それを駆使して、こういうようにすれば、障害者の方が活躍できるという、それこそ率先垂範をして、4,000名という数は結果的にできなくても、最善の努力をすることが大切ではないかと思います。そして、その段階で、公務部門だけで考えるのではなくて、民間の知恵を借りながら、お互いに知恵を出し合いながらやっていけば、雇用率アップのみならず、雇用の質も上がっていくと思います。
それと、もう一つは、松爲先生の御意見はもっともでございますけれども、私は、そういう障害者の方を支援し、訓練していくことも大事でありますが、いろんな特性を持っている、いい部分を企業に活用していくことも、要するにマッチングです。それが大事ではないか。そうすることによって、従来、能力がそれほどないと思われていた人は、いい特性とか、あるいは志向も含めて、マッチングしているところにあれば、物すごい能力を発揮することもあると思うのです。そういう観点がこれから必要になってくると思っております。
○阿部分科会長 松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 マッチングの大事さはわかるのですけれども、マッチングをできる人材をつくらなければだめではないでしょうか。
○本條委員 それは賛成です。
○松爲委員 そういうことになりますよね。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。石田委員、どうぞ。
○石田委員 石田でございます。よろしくお願いします。
今回の国の障害者雇用に関する問題に対して、前回も申し上げましたように、国の職員の方に言うことはありません。国会議員が国の障害者の雇用状況についてチェックする機能を果たさなかったという問題点もあり、そして、それに対して、我々はもっと意見を主張していかなければいけないところだと思います。しかし、これが全くできていないので、残念だと思います。
もう一点は、民間よりも国における障害者雇用率を上げていますけれども、これも考えによっては、国だから行政だからやるのは当たり前ということがあるかもしれませんが、見方によっては民間が国に対して甘えていくという構造そのものであり、個人的には好きではありません。自らどういう努力をするかということも、初心に戻ってやるべきだと考えております。ついては、今回のことは、国の中できちっと再発しないようなものにしていただくということで結構でございます。
一方、中小企業のことについてお話ししたいと思います。現在、100人超の中小企業が障害者雇用納付金制度の対象となっています。現状は、法定雇用率をほぼ達成していない、雇用していない企業がほとんどです。裏を返せば、納付金だけを納めればいいのではないかという姿勢が蔓延しているということで、皆さん、決して怠っているわけではなくて、雇用したくてもできないということもあると思いますけれども、そういう状況があるということを、私は反省をしなければいけないと思っております。
100人以上超の中小企業でも採用が進まない中で、さらに50人以上の企業についても納付金制度の対象に拡大しようということですけれども、障害者雇用の機運ですとか、考え方を社会の中に安定的につけていくことは、大変よいことだと思います。一方、100人超の企業で障害者雇用が進まないところを、50人以上の企業に納付金制度を適用しても、まず障害者雇用は進まないと思います。ですから、進まないところに対象を拡大しても、何の意味もないと思います。問題は、中小企業はどれだけ採用できるかです。そこに対する支援もありますけれども、ノウハウといいますか、そういったものが中小企業には大切だと思います。そういうことで、いろいろな情報を整理して国から民間にさらに提示してほしいということをお願いしたいと思います。
具体的には、障害者の方がどういう地域に、どういう分布になっていることすらわからないのです。また、数字があるなら聞いてこいと言っても、中小企業の人は、忙しいから行かないのです。そこまで行かせるためのものは、物の考え方ですとか、心の持ち方、社会の企業として、弱者の方とともに生きていく社会的責任とか、そういうことも非常に大事だと思うのですけれども、そういったものを広めるような手段を講じてほしいという希望でございます。
もう一つ、地域的に大企業は働く場所が限られてしまいます。しかし、中小企業は、全国に散らばっています。ですから、中小企業に雇用を広げることは、障害者の方たちも働きに行きやすい通勤とか、いろいろなことでよい環境づくりになると思います。法定雇用率%さらに上昇させるのかという問題よりも、中小企業でいかに障害者雇用を推進させることができるかということを、皆さんとともにやっていけるということを、御指導、御提案をいただければと思います。
以上、2点でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○石田委員 もう一つあります。障害者雇用を実施する中小企業の表彰制度について実施していただけるので、感謝しております。しかし表彰したからといって、すぐに雇用が前に進むことはないと思います。ありがたいことで、当社は世田谷区から表彰を受けていますけれども、表彰とは別に雇用促進策を提案させていただきます。中小企業は障害者の方を採用するということについて、障害者雇用に関する専門的な知識を有する人材もいないし、障害者の採用は大変だという気持ちを持っています。ですから、まず採用しなくても、障害者雇用に対する理解のある社員をつくっていく、そういう教育をしていく。そういう教育の場所に、年に5時間ほど出たら1単位ということで、例えば1人採用したことに該当するとか、そういうことも1つの方法ではないかと思います。具体例として、これだけ提案させていただきます。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
村上委員、どうぞ。
○村上委員 ありがとうございます。
法定雇用率の算定の問題について、先ほど岡本委員からも申し上げたところでございますけれども、2.0%から2.4%になってしまうのは、余りにも影響が大きいということで、2.3%になった経緯については、遠藤委員のおっしゃるとおりだと思っております。
ただ、そういう中で、今後、法定雇用率の運用をどうしていくのかという話につきましては、段階的な引上げの話はあり得ると思っておりますけれども、法定雇用率が算定式に基づいた基準であることは、忘れてはなりません。今後、それを続けていくべきなのかどうかという、大きな話はあると思いますけれども、現行においては、ゴールの数字を変更することなく、続けていくことが必要ではないかと考えております。
次回以降になると思いますが、研究会報告で出された論点、考え方とともに、再発防止策についての議論がなされることになると思います。研究会報告でいろいろ御検討いただいた中身については、恐らくかなり議論が必要な項目もあると思っておりまして、それらについても、時間がない中で再発防止策の法改正の内容を取りまとめていくことになると思いますが、そこに乗らなかった部分についても、余り間をおくことなく、きちんと議論していくべきであろうと思っております。
また、研究会報告に載っていない課題についても、必要な政策はあると思っておりまして、例えば障害者雇用促進法には、障害者が、事業者に差別禁止や合理的配慮についての苦情申し立てを行った際の不利益取り扱い禁止がないとか、あるいは障害者の方から伺った御意見では、短時間勤務制度など、育児・介護休業法にあるような制度を設けていただけないかという御提言も、私ども組合として受け取っているところであります。
そういった課題については、いろんな場で議論をこなしていかなくてはならないと思っておりますが、引き続き、幅広く検討をいただきたいと思っております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 阿部です。
先ほどの石田委員のお話しは、地域で雇用を広げていくためには、中小企業さんの取り組みがすごく大事だと思います。また、不勉強なので、確認なのですけれども、50人以上となれば、いわゆる調整金もそうなるということで、調整金と報奨金の差は随分あります。また、それでインセンティブで、調整金が来るから雇用するのではないと思いますけれども、環境は随分整うと理解すればよろしいのでしょうか。
○石田委員 石田です。
我々は、中小企業と一言で言っていますけれども様々です。例えば従業員の面で見ますと、月に2回しか来ない従業員も必要なのです。なぜならば、その日にしか仕事がない、そのために常用雇用しておくわけにはいかないからです。当社は、週に1回とか、月に2回とか、たくさん採用していました。この時期を基準に障害者をカウントすると、従業員数が0.5になってしまうのです。ですから、実態がまだ不透明なのです。そういう意味で、今、委員がおっしゃられたことは、そのとおりになるかどうかは、一部の企業ではなりますけれども、一部ではならないという答えしか出ないと思います。
自分自身の努力が足りないということで、私はいつも自己反省をするしかないと思っているのですが、中小企業に対しては、社会の動きがどうなっているかというところから、もっと大事な部分を理解していただくような施策が必要だと思います。
それがあれば、当社は、経営者にそういう心のある人でしたので、たまたま障害者の方を使ってくれないかと依頼がきたときに、取り組めと言われて、私は、最初は反対したのですけれども、やってみて、結局はよかったと思います。ですから、そういった意味で、障害者雇用について心ある人がいれば、やっていただけるし、障害者雇用は、それが理想な形だと思うのです。こうした雇用は中小企業から生まれると思いますので、そういうところを応援していただければと思います。
○阿部分科会長 どうぞ。
○阿部委員 今のお話しを受けて、心強く思いました。中小企業の企業主の方々のネットワークを広げるということでも、努力されているということです。地域になると、大企業がないところは大変だと、自分も身近に感じているので、その辺もよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。
特段なければ、本日の議論は、ここまでにしたいと思います。
○遠藤委員 今後の展開で、お尋ねしたいことがあります。
○阿部分科会長 どうぞ。
○遠藤委員 資料の説明の中で、年明けのスケジュール等も示されています。法律改正を視野に入れると、分科会としてのまとめが1回必要で、その後、法案要綱の諮問、答申ということを考えると、それだけで2回も費やしてしまうことになると思いま。
そうなったときに、先ほど村上委員がおっしゃったように、議論しなければいけないことは、幾つもあって、そういう状況下の中で、今後、どうやって、この会議体が皆さんと議論をしていくのかということについては、相当工夫していかなければいけないと思います。その点については、事務局にお知恵があるのか、ないのか、もし知恵がないということであれば、皆さんが持っている知恵を御提供することもあろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○阿部分科会長 その点につきましては、私と事務局とで御相談させていただいて、次回、どのように、今後、進めていくかを含めて、御提示したいと思います。
次回なのですけれども、きょう、皆様からいろんな御意見をいただきましたので、一旦、今後、議論するべき論点を事務局に取りまとめていただいて、その上で、論点整理をして、どのように、今後、進めていくかについても、議論できればと思いますが、そういう形でよろしいでしょうか。
○遠藤委員 お願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、次回以降、論点を明確にして、議論していきたいと思います。本日、いろんな意見もございましたので、それも踏まえまして、事務局には論点を整理していただいて、次回、資料として提示をしていただければと思います。
それでは、最後に、事務局から連絡事項がありましたら、お願いします。
○木本障害者雇用対策課長補佐 事務局です。
次回の日程ですが、12月25日火曜日10時から、中央労働委員会7階、講堂で開催したいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、本日は、遅い時間にもかかわらず、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。
本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表は内田委員、使用者代表は佐渡委員、障害者代表は本條委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の分科会は、これで終了したいと思います。ありがとうございました。