第14回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)

日時

平成30年7月20日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

議事

 
 ○阿部座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第14回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催します。
本日の出欠状況ですけれども、眞保委員が御欠席ということでございます。
それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。本日はこれまでの検討を踏まえて、報告書の素案が作成されております。本日はこちらについて議論したいと思います。
進め方ですが、まず事務局から報告書(素案)の全体を説明していただき、その後に幾つかの項目ごとに意見交換をさせていただきたいと思っております。
それでは、事務局から、資料について説明をお願いしたいと思います。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
これまでの議論を踏まえまして、事務局で全般的な意見を盛り込む形で素案という形で作成いたしました。私から報告書の素案について御説明申し上げますので、それぞれ御意見をいただければと思っております。
表紙をめくっていただいて、まず1ページ目、目次となっていますが、構成について簡単に御説明します。「Ⅰ はじめに」ということで、本研究会の趣旨、立ち上げの経緯等を書いてございますが、その後に「Ⅱ 障害者雇用の現状と本研究会における議論の論点」ということで、障害者雇用の現状について、研究会の中でもデータとしてお示ししたようなことを含めて記載しております。その後、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴというところが各論点ということになりますが、「Ⅲ 多様な働き方のニーズ等に対応した障害者の雇用の質の向上に向けた取組の推進」ということで、論点を幾つか盛り込んでおります。その上で「Ⅳ 中小企業における障害者雇用の推進」、Ⅴが制度の関係ということになっております。
中身はこれから御説明いたしますが、Ⅲについては、質の向上に向けた取り組みの推進ということで、まずはいわゆる障害者雇用の質ということで、どういった御議論があったのかということを簡単に整理、まとめております。その上で出てきた論点について大きく2つに分けておりますが、1つは多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大ということで、さまざまな障害特性の方が就労希望されている中にあって、働き方の選択肢を確保していくためにどういった措置が必要なのかということについて整理しております。一つは週20時間未満への対応であったり、在宅あるいは施設就労に対する就業機会の確保、あるいはテレワークの推進ということを整理しております。
加えて、安心して安定的に働き続けられる環境の整備ということで、精神障害の方であるとか中高年齢層の方について、これは研究会の論点でも当初から掲げておりますが、そういった方の雇用継続についてどういったものが考えられるかという御意見をまとめたものであったり、地域における就労支援体制の機能強化をどう図るか、あるいは質の向上に向けた事業主の取り組みについて、どういったものの支援を行っていくかということを整理しております。このあたりも含めまして、これまでの研究会で出てきたものについて、我々のほうで整理したというものでございます。
その次に、中小企業における障害者雇用の推進ということで、まずは中小企業における障害者の雇用の状況であったり、あるいは現状の支援措置について整理しております。その上で認証制度についてであったり、障害者雇用調整金あるいは納付金の適用について記載しております。
最後は、障害者の方が長く安心して安定的に働き続けられる環境整備につなげる制度のあり方ということで、雇用率制度、あるいは納付金制度について、これまでいただいたものをもとに、我々のほうで整理しております。
最後に「Ⅵ おわりに」ということで、今後考えるべきものということで整理しております。
それでは、2ページから御説明したいと思います。ここからは段落ごとについております段落番号に沿って御説明したいと思います。全ての段落を御説明していると時間もかかりますので、一部省略しながら説明させていただきたいと思いますが、その点は御理解いただければ幸いでございます。
まず「Ⅰ はじめに」ということで、段落番号1番から6番でございますが、本研究会自体「働き方改革実行計画」の議論を進める中で、こういった研究会を立ち上げる必要があるということが盛り込まれたことに端を発するわけでございます。「働き方改革」の中では、いわゆる一億総活躍社会をつくるための重要な鍵として、誰もが生きがいを持って働ける、あるいは社会をつくっていくことを掲げているわけですが、これは障害者雇用の推進に向けても同様であるということで、まさに働き方改革実行計画の中では、障害者の方の希望や能力、適正を十分に生かし、障害の特性等に応じて活躍できることが普通の社会、あるいは障害者の方とともに働くことが当たり前の社会を目指しているというところでございます。
そうした中にあって、2番にもございますが、全般的には障害者雇用の量的な側面といいますか、雇用者数という点においては着実に進展してきているというところでございますし、段落の3番にもありますが、働く環境という意味においても、長年の経緯を見ていけば、民間企業あるいは地域の就労支援機関、それぞれが障害者雇用のあり方であるとか意義を理解し、あるいは雇用管理上のノウハウというものもそれぞれに蓄積がされてきているというところではございます。
しかしながら、後ほど整理しておりますが、精神・発達障害者の方であるとか、あるいは従来であればなかなか雇用労働というのは難しかった、例えば重度身体障害者の方なども含めて、個別性の高い特性のある就労希望の方が増加していくという中にあって、今後多様な特性に対応した職場定着支援であったりとか就労支援のあり方というものが必要になっていると。あるいは、身近な地域における雇用の場ということでは、中小企業に対する期待というものも非常に大きくなっているということがあるわけでございます。
段落の4番ですが、そうしたことを踏まえて、「働き方改革実行計画」の中でも、有識者会議を設置した上で、多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進であったりとか職場定着支援を進めるための検討を進めるべきだということが盛り込まれまして、昨年9月から本研究会は開催されているというものでございます。
5番にもございますが、本研究会自体は、昨年、16団体のヒアリングを行った上で、今年に入ってからは論点ごとに御議論をいただいてきたわけでございますが、今般、取りまとめに向けた素案というものを我々のほうで提示させていただいたところでございます。
次ですが、障害者雇用の現状ということで、3ページ、7番から12番まで書いてございます。これはこれまで議論されてきたことですので、中身の詳細は割愛いたしますが、障害者雇用のいわゆる量的な側面ということに関して申し上げれば、着実に改善してきているということ、内訳ということに関しても、従来であれば身体障害の方が非常に多かったのに対して、精神・発達障害の方とか難病の方、あるいはその他ということで、さまざまな方が就労を希望されるような状況になってきているということでございます。
あるいは、支援機関についても障害者就業・生活支援センターであったりとか、あるいは障害福祉サービスにおけるA型、B型事業所、あるいは移行支援事業所ということで、それぞれサービスが増加しているということで、全般的には支援体制も強化しているということが言えるのではないかということだったかと思います。
4ページ、12番ですが、民間企業の取り組み状況ということにつきましても、全般的には過去最高を更新し続けるような形で障害者雇用自体は進展の動きを見せているということであろうと思いますが、大企業と中小企業の間では、それぞれ改善あるいは進展の程度には差が出てきているというところが論点としては挙げられているということだったかと思います。
そうした現状を踏まえまして、昨年9月に始まった際に我々からお示しした論点の案ということで、段落の13番にマル1からマル5とありますが、こうした論点についてヒアリングを行った上で御議論いただくということをやってきたわけでございます。論点を改めて中身の詳細は繰り返しませんが、基本的には障害者の方の雇用の質を向上するということで、離職率の問題が課題になっております精神の方や、あるいは体力等の課題がある中高年齢層の方、あるいはICT技術の発展等に関するものをどう活用していくのかということなどを含めて、それぞれ御議論いただいてきたというものであったかと思ってございます。
そうしたものを踏まえまして、6ページ以降、それぞれの論点を整理しておりますので、ごらんいただければと思います。
この研究会の大きなテーマでもあります障害者の雇用の質についてということで、こちらでは15番から21番までに整理しております。この中では整理し切れておりませんので、改めて来週に向けて追記することも考えておりますが、障害者雇用の質といった観点で見たときに、研究会の中でもさまざまな視点、例えば正規雇用の割合であるとか賃金、あるいは継続期間というようなことについてデータをお示しした上で、それぞれ御議論いただいてきたところでございます。御議論いただく中で、障害者の方の雇用の質といった際に、特に17番ですが、雇用形態であるとか賃金等の処遇・待遇の改善が重要であること、これ自体は言うまでもないということであったと思います。他方で、障害特性により体力面での制約があるとか、そもそも通勤に困難があったりとかということがいろいろある中にあって、労働条件そのものよりも、あるいは労働条件そのものに加えて、仕事のやりがいであるとか、仕事に対するみずからに対する評価、あるいは社会の参加というようなところを含めて、みずからの周囲や社会とのつながりがどう構築されているのかということが非常に重要であるということが意見としてはあったということかと思っております。
段落の18番ですが、そうしたことを考えていきますと、障害者の方お一人お一人が、それぞれ当然置かれている状況であるとか特性、あるいは希望される職種というものが異なっている中にあって、まずはそうした方々が希望するような働き方というものが選択できる環境というのが整っているということが大事なのではないかということ。あるいは、安心して安定的に働き続けられる環境というものをどう整備していくかということが大事であるというようなことであったかと思います。あるいは、それぞれのヒアリングの中では、各企業において個別に障害者の方の雇用管理といいますか、日常生活面の支援のようなことも含めて幅広く見ていらっしゃるということもこれまでの実績としてはお話があったようなところもあったかと思っております。
そういったことを踏まえて、これは事務局のほうも含めて御議論いただいてきたこととして、7ページ以降に整理しておりますが、まず1つ目としては、週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援措置の創設というものが御議論いただいてきたものとしてはあったかと思います。ヒアリングの中でも、週20時間未満の方に対する支援というものが必要なのではないかという御意見が複数見られたということもあって、ことしに入ってからも事務局から論点を提示して御議論いただいてきたわけですが、現状としては、22番から25番にございますが、週所定労働時間20時間未満の方については、現行の雇用率制度あるいは納付金制度においては、職業生活において自立としているとは言えないという従来の考え方に基づいて対象になっていないということである一方で、23番にもありますように、20時間未満で働いている方の数自体はふえているということであるとか、あるいは現状のなかぽつセンターにおいても、就職実績の約1割が20時間未満であるということも含めて、全体的な支援というものはふえているということかと思います。
あるいは24番、25番にもありますが、例えばICT等の発展において、重度の身体障害者の方が、さまざまな制約がある中でも職業能力を生かして短時間での雇用に結びついているケースであったりとか、あるいは25番のように、精神障害の方についてもさまざまな制約がある中で、働く意欲を持って前向きに取り組めるものということで、週20時間未満ということからスタートされることも多々あるというお話があったかと思っております。
そうした中で、26番から30番ですが、週所定労働時間20時間未満の障害者雇用に関する議論ということで、全体としてはそれぞれ御意見があったわけでございますが、まずは週20時間未満に対する何らかの支援が必要なのではないかというところは、御議論としては多くの御意見があったと思っております。
その上で、27番ですが、例えば週所定労働時間20時間未満の方を雇用するような場合であっても、事業主には合理的配慮を含めてさまざまな配慮が求められるという点であったりとか、あるいは、在宅就業支援制度というものを含めて現状あるわけですが、そういったものとあわせてといいますか、そういったものと同じような性質があるのではないかとか、あるいは同じようなことで考えられるのではないかということも、28番にもありますとおり、御意見としてはあったかと思います。
29番ですけれども、そうしたものを踏まえますと、全般としては20時間未満に対する支援というものも、中身についてはそれぞれあったかと思いますけれども、何らかの支援が必要なのではないかという御意見があったかと思っております。
他方で、30番ですが、週所定労働時間20時間以上での雇用と比較した場合に、経済的な意味での十分な自立につながりづらいという課題もあるのではないかというところもあったと理解しております。
9ページ、そうした中で、全般として我々のほうで整理したところでございますけれども、週所定労働時間20時間未満の障害者雇用に関する新たな支援についてということで、31番から35番に書いてございますが、週所定労働時間20時間未満の常用労働者として紹介者を雇用する場合について、特例的な給付金による負担の調整を行う仕組みというものが考えられるのではないかということを書かせていただいています。
その上で、具体的には20時間未満で雇用される方について、その雇用者数なのか、あるいは労働時間の合計に応じてなのか、それぞれ給付金的なものを支給するというものが考えられるのではないかということであるとか、下限時間というものも設定することが考えられるのではないか。32番にもありますが、対象者について、雇用率制度と同様にするという考え方であるとか、障害特性上、短時間での雇用を望むケースの多い精神障害の方を中心に、医師等の判断を含めて対象者を設定していくべきであるということもあったかと思いますし、そういったことも含めて、支援策の具体化に当たってはさらなる検討を行うということがあったかと思っております。
また、33番ですけれども、額設定についても御意見があったかと思っております。
34番にございますが、そういった中で週20時間未満の働き方については、例えば中小企業の観点からも一定の効果があるのではないかとか、ヒアリングの中でも働き方の考え方自体を変えていくような観点もあるのではないかというような御意見があったかと思っております。こちらが週20時間未満についての議論の整理でございます。
10ページ、自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保ということで整理しております。こちらも全般として障害者の就労施設に対する発注等について、みなし雇用のような議論も含めまして、何らかのメリットを講じてほしいということが全体としては意見として見られたかと思ってございます。
そうした中で整理していったものでございますけれども、36番から38番につきましては、現状ということで、障害者の方については、施設就労される方を含めて近年大幅にふえているという状況がございますので、そういったものを整理してございます。
その上で、在宅就業障害者支援制度の拡充等についてということで、39番から47番についてそれぞれ整理しておりますが、これは事務局から提示したものも含めまして幾つか整理しておりますけれども、まず、全体としては、いわゆる在宅就業支援制度といった場合に、39番ですが、例えばいわゆるフリーランス的な働き方をしているような在宅就業者の方の話と施設就労されている方の場合ということで、大きく2つ、それぞれ違う仕組みを考えることも大事なのではないかという御意見があったかと思いますし、例えば40番ですけれども、施設外就労に対する発注に対するメリットであるとか、41番のように、企業から見たときにこうした発注に対するメリットを講ずるために、障害者特例調整金の額設定の考え方を報酬額ではなくて発注額に見直していくようなことも考えられるのではないかということもあったかと思っております。
また、42番ですけれども、そうした改正を行う際にはということで、例えば再委託が行われない仕組みにするべきではないかとか、B型事業所の働き方そのものについて、受け入れ企業との関係において指揮命令が行われていないかとか、そういったことも注意が必要であるということが御意見としてあったかと思います。
43番ですが、現行の在宅就業障害者特例調整金の評価額である35万円についても、現状、経費等を加えたものとして設定しておりますが、額設定の考え方についても整理をし直すことが考えられるのではないかという御意見があったかと思います。
また、44番ですが、在宅就業支援団体自体が現状、なかなか広がっていかないという中にあって、在宅就業支援団体の中で職業能力の向上であるとか、障害者の方の生活支援等を積極的に行っている場合に対する個別の助成措置についても御意見があったかと思っております。
加えて、45番ですけれども、そういった仕組みを広げていく観点から、現状、障害者を全く雇用していない企業において活用できない制度になっているわけですが、そういったことを含めて在宅就業障害者支援制度を活用できるようなことも考えられるのではないかという御意見もあったかと思います。ただ、障害者雇用納付金の収入を活用して本制度を運用しているということを考えれば、障害者を全く雇用していない企業に対して納付金財源を活用して給付を行うことに対する懸念の声もあったかと思います。
46番ですが、そうした制度に加えてといいますか、そうした制度の前提として、障害者の就労系福祉サービス事業所等に対して発注をふやしていくためには、個々の制度の見直しとあわせて企業から安心して発注できるような質の担保であるとか、消費者を納入するための能力の向上といった取り組みも欠かせないというような御意見があったかと思います。
加えて、47番ですが、幾つか「障害者雇用」とみなすということで、発注をみなすような話も御意見としてはあったかと思いますが、全般としては、みなし雇用によって障害者雇用の促進が阻害されるおそれがあるのではないかという御意見が多かったかと思っております。
続きまして、マル3希望する障害者のテレワークの推進というところでございますが、48番から52番に整理しております。全般として、障害者のテレワークについては、都市部と地方部において、求人に差が見られる中にあって、都市部を中心に未充足のままとなっている求人について、テレワークなども活用した充足というものも方法としては考えられるのではないかということがあったかと思っております。ただ、テレワークを推進する際には、いわゆる障害者の方の雇用管理の観点であるとか、物理的にコミュニケーションがなかなか難しい中にあって、どういった形で相互のつながりを生み出していくかということを含めて、論点であるということがあったかと思ってございます。
14ページ、安心して安定的に働き続けられる環境の整備ということで、まず、精神障害者等の個別性の高い支援を要する場合の支援の充実ということで、53番から60番に整理しております。53番から55番は、研究会の中でお示ししたデータにもございましたとおり、全体として精神障害者の方の定着率が低いということは、これまでも言われているわけではございますが、他の障害種別も同様に、ある意味では障害者求人においては一定程度定着率は高い一方で、一般求人であったりとか、特にその中でみずからの障害を企業に開示しないで採用されているような場合には、職場定着率が低いというところが傾向としてあったかと思っております。
そうした観点に加えて、55番ですけれども、採用の前の段階から、職業訓練の受講があったりとか、あるいはハローワークと地域の支援機関が連携をして支援をしているという場合には、職場定着率が高くなるというところもデータとしてはあったかと思います。データとしてお示しした中でも、例えば精神障害者の方について見た場合に、全般的に見れば障害者求人のほうが定着率は高いということになるわけですが、障害者求人であっても支援機関を活用していない場合と、一般求人であっても支援機関を活用している場合では、定着率においてはほぼ同水準となるという意味において、就労に当たってどのような支援を受けているのかということも、求人と同じように、非常に定着状況に大きく影響しているということがあったかと思います。
そうした中では、56番ですが、まずはハローワーク等において、障害者御本人に対して障害情報を開示するか、非開示でいくかということに対して、前提としては御本人の意思というものがあるわけですが、他方で、支援機関を活用しながらであれば、障害情報を活用して、むしろ必要な配慮を受けることが定着につながるということについても、しっかりと説明していく必要があるのではないかと思っているというものでございます。
加えて、57番、58番ですが、研究会の中でも御議論をいただきましたが、精神障害者などの個別性の高い支援を要する場合の就労パスポートの作成ということで、これまでは各支援機関の間において、障害者の方の、どういったものがまずそもそも情報共有が図られるべきであるかとか、どの程度までが共有してもいいのかとか、あるいは、どういう形で進めていくかということが、支援機関ごとにそれぞれの発想に立ってやっていたということでございます。当然、各機関の自主性は前提にあるわけですが、ハローワークのほうで一定のフォーマットを作成することによって、就労、福祉、医療、あるいは雇用される民間企業との間でそれぞれの特性について適切な把握をしていくというものが考えられるのではないかということでございます。
そうしたものを進めていくことによって、結果として採用時のマッチング、あるいは定着に対しても一定の効果が上げられるのではないかと考えておりますが、まさに個人情報等の観点もございますので、そうしたことも含めて、今後さらに具体的な検討を進めていただければというもので整理してございます。
加えて、59番、60番ですが、精神障害者の方について、就労能力等を一定の基準のもとで線引きすべきという御意見もあったわけですが、さまざまなデータをお示しする中でも、御本人がどういった仕事につけるかということについては、もちろん障害の状況もあるわけですが、職業適性であるとか、日常生活管理、健康管理、あるいは各会社の環境などによっても大きく変化してくるという中において、現状の知見においてはなかなかそういったものの線引きを整理することは難しいのではないかということであったかと思います。
そうした中で、60番ですが、しかしながら、フランス等の諸外国では、就労能力の判定の仕組みを導入しているというところもございますので、まずはそういったところをしっかり調査等を進めていく中で、知見を蓄積していくということが考えられるのではないかと考えてございます。
そうした中で、障害者雇用率制度の対象についても、例えば精神障害者等の範囲について、自立支援医療受給者証の交付者であるとか、あるいは手帳を返還された方とか、それぞれ適用対象に入れるべきではないかという御意見があったわけですが、そういったところもこういう就労能力の判定等に関する知見の蓄積というものが、まずはあるべきなのではないかということで整理しております。
加えて、身体障害者の範囲についても、障害者手帳ではなくて、就労能力の判定等によることとしてはどうかという御意見がございましたので、あわせて記載しております。
あわせて、難病患者の就労支援等の観点からも、手帳を所持しない方も雇用率制度の対象にするということが御意見としてはございましたが、これも同様に、就労能力の判定の仕組み等をまずは十分に精査することが重要ではないかと整理しております。
マル2中高年齢層の障害者の方が希望により長く安定的に働ける環境の整備ということで、61番から70番に整理してございます。まず、現状ということで、61番から65番に書いてございますが、それぞれの障害種別に障害者の方の年齢別の就労状況を見ていきますと、全般として若年層の雇用は非常に進展しているのに対して、中高年齢層に関しては、もちろん過去に比べればふえているわけですが、社会全体の高齢化とか、あるいはもともと若年層で働いていた方の年齢的な移行ということを考えていくと、むしろ一般の労働者に比べると早期に引退しているような事例が多く見られるのではないかというところが61番から63番まで含めた分析としては整理されていたかと思っております。
64番ですが、これは研究会の中でもお示ししましたが、中高年齢層の方の障害者の引退時期が比較的早いということの背景等を調べていきますと、アンケートなどにおいては、職場の環境が働くように整っていないという回答が多かったかと思っております。ただ、この上で、この際に環境といったものについては、例えば病気や障害の社内理解の認識であるとか、体力の低下の変化あるいは業務スピードの変化などへの配慮など、いわゆる能力、体力に関係すると思われる回答が多かったと捉えております。
そうした上で、今後の雇用継続支援のあり方ということで、66番から70番で整理しておりますが、加齢等による体力の低下が見られる中で、後ろでも整理しておりますが、中途障害の方を含めて配置転換等も視野に入れた職業訓練の促進等によるキャリア形成の促進がまずは大事なのではないかということで、記載しております。
その上で、やはり障害者の方が長く働くことを考えますと、福祉との連携が大事であるという御意見もあったかと思いますし、就業面、生活面、セットでの支援が大事であるという御意見があったかと思います。
また、それぞれ我々のほうも御意見を伺う中で、現状でも障害者の中高年齢層の方の雇用環境の配慮などを行っている企業等もある中で、そういった事例がまだまだ十分には整理されていないというところもございますので、まずは中高年齢層の障害者御本人が希望する場合に、どういった支援が必要であるかということを、事例を整理していくというようなことが必要なのではないかということで整理しております。
マル3地域における就労支援体制の機能強化、71番から87番までございますが、まず、71番、72番については、地域における就労支援体制が、現状、それぞれ拡大してきているということを整理しているものでございます。
しかしながら、72番にもございますとおり、就労移行支援事業所を含めまして、支援の能力にはかなり大きな差があるということで、どういった支援機関を選ぶか、あるいはどういった支援機関に行かれるかということによって、受けられるサービスにも大きな差があるというのは、やはり一つの課題ではないかと捉えてございます。
73番から75番については、地域障害者職業センターについて整理しておりますが、これまでも専門的なリハビリテーションを提供する施設として全国に展開しているほかとして、地域の就労移行支援事業所の質の向上を図るような取り組みも図ってきているところでございますが、いただいた御意見等も踏まえますと、今後の取り組みとしては、75番にもありますように、養成に当たっては、特に企業在籍型のジョブコーチが能力の醸成を図れるような形ということで、養成数を倍増したりとか、あるいはフォローアップ研修においても、企業在籍型のジョブコーチの方の能力の構築をどう図るのかが大事であるということ。あるいは、ジョブコーチのフォローアップ研修等を含めまして、精神・発達障害者であるとか聴覚障害や視覚障害などについて、それぞれ支援対象者に応じた専門的な知見を習得できるような場というものも整備していく必要があるというように整理しております。
次に76番、77番が、障害者就業・生活支援センターの取り組みの現状ということでございますが、こちらも地域の支援機関のハブとして、一人一人のニーズに応じた形で地域の就労支援機関や、福祉施設、医療機関等との連携を行うということと、あわせて、最近では就労支援の経験が比較的豊富で、精神障害者の職場定着等でも成果を出していることも踏まえまして、さらにソーシャル・スキル・トレーニングであるとか、あるいは独自に開発したアセスメントツールの活用など、さまざまな定着支援の取り組みも講じているという状況でございます。また、地域センターと比べまして、全国334カ所ということで、比較的広く展開しているというところも他の支援機関であるとか、あるいは地域の民間企業の方からは身近な存在として活用が可能であるということも、お声としてはいただいているというものでございます。
78番から82番ですが、そういった御意見を踏まえて、今後の方向性として幾つか考えられるのではないかということで整理しております。まず、78番については、障害者の方に対する支援として、民間の支援機関等の能力の差が生まれてきている中にあって、就業・生活支援センターも含めて、各地域の民間の支援機関等に対してノウハウを提供していくであるとか、あるいはみずからが蓄積してきたシステム等を移転していくというようなことが考えられるのではないかということが78番です。
79番ですが、そういったネットワークを構築していく中で、事業主団体等とも密接な関係を構築するということが必要であるということ。
80番ですが、現状、政府としても「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成等を図っているところではございますけれども、加えまして、地域の中小企業での雇用を進めていく観点からは、中小企業の中では、障害者雇用に関するノウハウを有する人材が限定的で、相談相手がなかなか社内にはいないということもございますので、そういった民間企業、特に地域の中小企業等の障害者雇用に関する相談について、雇用管理上の課題であるとか悩み、あるいは接し方みたいなことを含めて、気軽に相談できるような場としても就業・生活支援センターの役割としては期待されるのではないかと考えております。
また、81番ですけれども、いわゆる従来から明示的に示されているような精神・発達障害者、知的障害者ということに加えて、難病の方、依存症の方、あるいは生活困窮者で実際には障害がうかがわれる方についても、各支援機関からは就労支援のノウハウが不足していてなかなか十分な支援ができていないというような声もいただいておりますし、この場でもそういった御意見があったかと思っております。そういったことも踏まえますと、障害者就業・生活支援センターで蓄積されてきた就労支援ノウハウを活用して、お一人お一人の状態に着目した支援を充実していくためには、難病だったり、依存症のための支援機関、あるいは生活困窮者等の支援機関等とも連携しながら、必要に応じて直接訪問支援なども行うなど、障害がうかがわれる方に対する支援等も積極的に広げていくということも求められているのではないかと思っております。
また、82番ですが、ヒアリングの中でも、みずからの圏域を超えて都道府県単位で協議会を立ち上げているという報告もあったわけですが、そういった中で、いわゆる障害福祉圏域を超えた業務を行っている特別支援学校であるとか都道府県の商工労働部等との連携も図られるというメリットもあるということもございましたので、そういったことも促していくことが考えられるのではないかということで整理しております。
また、83番ですが、障害者雇用における産業医の活用ということで、産業医の方については、医療的知見、当然お持ちであるという一方で、産業医が選任されている状況が限定的であるということは前提にする必要があるわけですが、例えば研修の場面で障害者雇用に関するノウハウを提供するといったようなことからまずは始めていくようなことで、産業医との連携も進めていくことが考えられるのではないかということで整理しております。
また、障害者雇用のノウハウ等を有する人材の活用ということで、この研究会の中でもさまざまに御意見がありましたけれども、従来から障害者雇用を進めてきている中にあって、例えば障害者雇用経験の豊富な人材ということで、特例子会社の経営者をやっていた方であるとか、そういった経営等にかかわっていた方、あるいは専門職人材ということで活躍されている方など、さまざまに障害者雇用に関する知見をお持ちの方はふえているわけですが、そういった方の情報が十分に広がっていなかったりとか、あるいは地域によってはそういった支援を十分に受けられないということも御意見としてはあったかと思います。中小企業においては、そういった知見をお持ちの方がそもそも社内にいないということで、中小企業において障害者雇用を進めるネックになっているようなところも御意見としてありましたので、そういったそれぞれノウハウをお持ちの方などについて、地域ごとの人材情報を蓄積して、民間企業に対して必要に応じて紹介派遣を行っていくということも考えられるのではないかということで整理してございます。また、教育機関等との連携ということで、特別支援学校等との連携についても御意見がございましたので、整理してございます。
その次に、マル4障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取り組みに関する支援措置の創設等ということで、88番から92番について、障害者の雇用継続に対する支援ということで整理してございます。
障害者雇用の質の向上を図るためには、いわゆる障害者雇用率制度や納付金制度の中で、障害者雇用の質の向上を評価することが考えられるのではないかという御意見がヒアリングの中でもそれぞれ見られたということでございました。そうした中で、雇用の質ということで正規雇用労働者であるとかフルタイム、あるいは長期間雇用継続されている等、さまざまメルクマールとして考えられるのではないかという御意見はあったわけですが、一方で89番にもございますとおり、事業主に対して規制をかける制度ということで考えると、どういった支援が必要なのかというのは人それぞれ異なるということなども踏まえると、評価軸を絞ることが難しいのではないかという御意見が多く見られたかというように思っております。
ただ、90番にもございますが、そうした中で障害者雇用の質に対して多くの意見に共通するものとしては、安定的に働き続けることができる環境が整っていることが挙げられるのではないかということが御意見としてあった中で、長期雇用継続を実現している企業に対する評価ということも御意見としては幾つか見られたかと思っております。
91番ですが、そうした中で雇用継続期間のデータ等を見ていきますと、労働者全体と身体障害、あるいは知的障害の方の間で、それほど大きな継続期間の差が見られないというような意見もある一方で、中高年齢層の方の障害者については加齢による体力等の低下も見られるということ、あるいは、実際そうしたことも背景として、雇用者割合が低水準にとどまっているということも踏まえると、雇用率におけるカウントを上積みするという措置を講ずることも考えられるというようには、御意見としてはそれぞれあったかと思います。
ただ、今後の検討に当たっては、こうした仕組みが当分の間については、これまで雇用継続してきた結果に対する評価が中心となるわけでありまして、新たに雇用継続に取り組もうとする企業にとっては直ちに恩恵が生じないということであるとか、あるいは、現に中高年齢層で失業されている方に対しては直接的にはメリットがないということも、課題としては踏まえる必要があるのではないかということで整理してございます。
続きまして、障害者の雇用の質の向上に関して、助成措置ということで、93番から98番まで整理しておりますが、95番を見ていただきますと、一般労働者と比較して障害者である労働者の方の場合にはOJT、Off-JTともに受けられる機会が非常に少ないというのがある中で、いわゆる高度な専門的知識を習得するような訓練だけではなくて、例えば中途障害となった場合に新たに技能を習得することによって、それまでの経歴を生かす職域に引き続き従事できるようになるとか、あるいは加齢等によって体力が低下する中にあっても、新たな技能の習得等によって職域が広がる可能性があるということも含めて、一般的な事務的に技能を習得するような訓練というものも積極的に支援していく必要があるのではないかというようなことが御意見としてはあったかと思います。
そうした中で、97番にもございますが、障害者雇用納付金財政等を活用して、そうした事業主に対する支援を行っていくということも考えられるのではないかということで整理してございます。
98番ですが、合理的配慮の進展のために必要となるような支援機器あるいは職場介助者等については、現状でも対応は行っているところではございますけれども、最新のテクノロジーを活用した支援器具も速やかに支援するなど、それぞれ使い勝手がいいような制度にしていく必要があるのではないかということも盛り込んでございます。
25ページからが「Ⅳ 中小企業における障害者雇用の推進」ということでございますけれども、中小企業における障害者の雇用状況と支援措置ということで、99番から106番については、これまで整理してきたようなこと、あるいは98番までに書いてあることでございますので、説明は割愛させていただきたいと思います。いわゆる質の向上に取り組む中で、中小企業の観点からもメリットはあるのではないかということに加えて、中小企業の関係では、2つ施策についての議論をいただいているわけですが、一つは障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度の創設ということで、107番から112番に整理してございます。中小企業においては、障害者雇用に対して積極的に取り組むに当たって、大企業と比べて経営者の理解が十分でないとか、あるいは社会的な関心が必ずしも高くないということもある中で、社会的にさまざまなメリットが受けられるようにしていくことが必要ではないかという御意見があったと思います。
108番、109番ですけれども、そうした中で考えていきますと、障害者雇用の進展によって、中小企業の方々には障害者の雇用の選択肢を確保していくという観点が期待されているということもございますし、いわゆる障害者雇用の質の向上を図る中では、結果として社会全体の働き方に対してもメリットを講じ得るということもございますので、これらを総合的に勘案すると、障害者雇用の公的な認証の仕組みを新たに創設するようなことも考えられるのではないかということで整理してございます。
中身については、111番、112番にも書いてございますが、必要とされる、いわゆる障害者雇用の質といったものがそれぞれのお一人お一人によって、あるいは会社によっても異なるという事情がございますから、どういった形で認証していくのかということについては、今後さらなる検討が必要であろうということで整理してございます。
加えて、112番ですが、公的な認証制度といったものをつくるに当たっては、政策金融における低利融資であるとか公共調達における積極的評価というようなことも、中期的にはあわせて検討していくようなことも考えられるのではないかということで、御意見を整理してございます。
加えて、28ページ、29ページ、113番から118番でございますが、中小企業に対する障害者雇用調整金及び納付金の適用ということで、これもこれまで御議論いただいてきた中においては、一つには障害者雇用納付金及び調整金について、平成22年以降、300人超のところから100人超のところまで適用対象を拡大していく中にあって、100人超から300人超の企業においては、障害者雇用が大きく改善する傾向が見られたということであったりとか、100人以下の企業においても、実際には約半数、46.5%が法定雇用義務を達成していることに加えて、法定雇用義務による雇用者数を超えて障害者を雇用している企業の割合も全体の25.7%ということで、全体の約4分の1の企業が障害者雇用に積極的に取り組んでいるということが言えるのであろうと整理してございます。
しかしながら、こうした中小企業の場合には、法定雇用義務を超えて障害者雇用に取り組んだとしても、報奨金の対象となる一部の企業を除いては継続的な経済支援を受けることはできない状況にあるということを踏まえますと、障害者雇用調整金及び納付金について、100人以下の企業に対しても、適切な経済的支援を講じるためにも、適用範囲を拡大していくことが考えられるのではないかということで考えてございます。
そうしたことを考えていきますと、障害者雇用納付金の納付義務についても拡大していくということが整理できるわけですが、他方で、さまざまな事情も勘案しますと、平成25年から雇用義務の対象とされている50人規模以上に限定して適用拡大していくことが考えられるのではないかということで、整理してございます。
加えまして、中小企業に対してこういった拡大をしていくに当たっては、制度導入後の一定期間においては、額を引き下げるなどの猶予措置が必要ではないかという御意見もございましたので、整理してございます。
最後に30ページから「Ⅴ 障害者が長く安心して安定的に働き続けられる環境整備に繋げる制度の在り方」ということで、大きく障害者雇用率制度のあり方と納付金制度のあり方について整理してございます。
いわゆる法定雇用率制度については、122番から129番でございますが、全般、これまでの御議論を整理しますと、障害者法定雇用率制度については、制度が昭和51年に創設されて以来、以前は10年あるいは15年ということで、比較的間隔をあけて上昇してきたわけでございますが、近年は障害者雇用状況の急速な進展等とも相まって、短期間での連続的な引き上げが生じているということであったかと思います。
そうした中で、障害者雇用が進めば進むほど法定雇用率が上昇していくという仕組みについては、むしろ障害者雇用における最終的な目標となる水準を示すべきという御意見もあったわけでございますが、そうした点については、他方で、法的雇用率が労働市場の実態に合わせて設定されてきたからこそ企業の中で達成すべきという考えが浸透してきたという考え方であるとか、そもそも障害者手帳の所持者数が現状増加し続けているということも踏まえると、なかなか現状、固定的に法定雇用率を設定することは困難ではないかということで整理してございます。
加えて、125番以降ですけれども、他方で、そうした基本的な考え方を維持するにせよ、計算式の結果を踏まえて直ちに計算式どおりに引き上げていくというような考え方については見直しが必要という御意見も多くあったかと思っております。
そうしたものも踏まえますと、126番にもございますが、平成30年4月からの法定雇用率の設定の際に、当面5年間の暫定措置として激変緩和措置が盛り込まれたところでございますが、平成29年5月に平成30年以降の法定雇用率を御議論いただいた際にも、当事者団体の方を含めて激変緩和措置の必要性については、それぞれ御意見をいただいたということでもございますので、127番にもございますとおり、今後についても法定雇用率について、現行の考え方を維持しつつも、障害者雇用の促進を阻害しない範囲において、各企業の取り組みを積極的に支援するということで、激変緩和措置を継続していくことも考えられるのではないかということで整理してございます。
そうしたことで、特に128番ですが、障害者実雇用率の現状であるとか、見通し等を踏まえて、労使及び当事者並びに有識者の議論により決定していくということが考えられるのではないかということで整理してございます。
129番ですが、そうした中でA型事業所の法定雇用率における扱いについても御意見があったわけでございますが、仮に今後法定雇用率の設定について128番までに整理しておりますように、法定雇用率の計算式どおりに直ちに引き上げるのではなくて、各労使あるいは当事者等の御意見を踏まえながら決定していくということであれば、議論の際の参考データとして、A型事業所の利用者数等を控除した結果についてもお示ししていくということも考えられるのではないかということで、整理してございます。
加えて、除外率制度についてということで、130番、131番に整理してございますが、障害者雇用率制度における除外率制度については、平成14年の法改正において既に廃止されているという中にあって、16年、22年の二度、10ポイントずつ引き下げられているわけですが、現状は平成22年の引き下げ以降、数字は維持されたままとなっているということでございます。
これについては、平成25年以降、連続して法定雇用率自体が引き上げられてきたというようなことを踏まえると、特定業種の障害者雇用に対する意欲をそがないような配慮が必要であるという御意見も多かったわけですが、他方で、廃止することが既に決定されている中にあって、いわゆる障害者雇用が困難とされてきた業種においても、障害者雇用自体は先進的な取り組みを含めてさまざまに見られるということであるとか、いわゆる強制社会の理念にもそぐわないのではないかということも踏まえますと、今後については、これら特定の業種における障害者雇用がどのように進んできているかを整理した上で、今後の対応についての検討を進める必要があるのではないかということで整理してございます。
加えて、障害者雇用納付金制度のあり方ということで、132番から最後まででございますけれども、最初に障害者雇用調整金制度について見ていきますと、納付金の額決定ということで、障害者雇用納付金及び調整金については、それぞれ額決定がされているということでございまして、133番にもありますとおり、過去3回財政赤字に見舞われたことがあったということでございます。
そうした財政赤字自体が、制度上、潜在的に存在するということを踏まえますと、134番にもありますように、フランスやドイツのように障害者雇用調整金自体を廃止するということもあるのではないかという御意見はあったわけですが、他方で、障害者雇用に必要な環境整備等にこれまで調整金を充ててきたということも踏まえると、慎重な対応が必要ではないかということで整理しております。
しかしながら、障害者雇用納付金財政の状況について検討を行うに当たって、さまざまなデータを見ていきますと、一部の大企業や法人に障害者雇用調整金が集中しているのではないかという御指摘もあったところでございます。データは過去にもお示ししておりますので、詳細は割愛いたしますが、現にいわゆる大企業であったりとか、就労継続支援A型事業所といったような障害者の方を大量に雇用しているようなところに、障害者雇用調整金が集中的に支給されているというところが実態としてはあるのではないかというところが見られたわけでございます。
加えて、136番にもありますように、例えば就労継続支援A型事業所については、これ自体は、当然一般雇用が困難な障害者対して、雇用継続に基づく就労機会を提供するということで、重要な役割を担うわけではございますけれども、障害福祉サービスからの報酬としても、年間2,400万円程度が支給されているということで、その内訳としては利用者数ごとに応じて支給される報酬もあるということを踏まえますと、支給目的が一見重複しているというものにおいて、調整金とこういった福祉サービスからの報酬ということで重複しているということもどう考えるかということが課題ではないかということがお示しされたかと思っております。
そうしたことを踏まえますと、138番にもございますように、大企業の場合には障害者を雇用する前提である経営基盤が比較的安定していること、あるいはA型事業所の場合には利用者である雇用者数に応じて施設に対して障害福祉サービスの報酬が支給され、必要な人的配置等に充てられていることを前提に、加えて、データでも過去、研究会でもお示ししましたが、障害者を雇用する場合の追加的な特別費用が障害者の方を雇用すればするほど低減していくということを考慮しますと、障害者を多数雇用し集中的に障害者雇用調整金の支給を受けている事業主に対する調整金については、一般的に障害者を大量に雇用されているような中小企業等への影響は当然配慮しつつも、法定雇用義務を一定以上超過した場合には、支給額を低減あるいは停止させるであったりとか、あるいは単位調整額そのものを一定額減額するというような措置も講ずることが考えられるのではないかということで整理してございます。
そうしたことにおいて生じる原資については、むしろ障害者雇用ゼロ企業を減少させることを含めて、障害者とともに働くことが当たり前の社会にしていくための取り組みに充てることが必要ではないかということで、御意見をいただいたかと思っております。
その後、140番以降ですが、納付金についても幾つか御意見がございましたが、全般としては例えば障害者雇用をしたときにかかる費用と同水準に引き上げるべきという御意見であるとか、あるいは障害者の雇用水準にあわせて実雇用率を設定していくべきという御意見があったかと思います。そうした中、他方では、例えば障害者雇用納付金について、障害者の方お一人お一人を雇う際にかかる費用ぐらいまでに引き上げるということについては、むしろそうした額に引き上げることによって、結果として障害者雇用に対する意欲を減退させる可能性もなくはないのではないかということが御意見としてはあったかと思います。
また、障害者雇用ゼロ企業を含めて実雇用率が低い場合であるとか、障害者雇用義務に対して雇用する障害者の不足分が多い場合には、納付金の額を引き上げるべきという御意見もあったわけでございます。実際にさまざまなデータ等を見ていきましても、確かに特に障害者ゼロ企業においては、通常想定される設備投資、人的配置等に加えて、初期投資のようなものもそれぞれかかるということを踏まえますと、追加的に必要となる特別費用が高くなるということも考えられるわけでございます。他方で、障害者雇用の現状を見ていきますと、特にゼロ企業においては中小企業がほとんどを占めているということであったりとか、全体としても実雇用率が中小企業のほうが傾向としては低いということを踏まえますと、雇用水準にあわせて納付金の額を変更していくということについては慎重な検討が必要であるということで整理させていただいております。
144番から146番でございますが、障害者雇用納付金財政の調整機能についてということで、過去に三度財政赤字になっていること等を踏まえますと、調整金の額について、単年度でも障害者雇用納付金財政が赤字となった際には、例えば調整金の額を自動的に減額できるような仕組みを盛り込んでおくことも考えられるのではないかということで整理しております。
しかしながらということで、障害者雇用調整金の支給額について、今般、143番までの中においても一定の枠組みを設けることが提案されていることを踏まえますと、まずはそうした影響等を踏まえながら見ていくということが必要ではないかということで整理してございます。
最後に「Ⅵ おわりに」ということで、本研究会において出された意見等を踏まえまして、全体的な概観を示しておりますが、147番にもございますとおり、本研究会における中身については、今後制度の見直しに向けた議論につなげていくということが考えられるのではないかということで整理してございます。
149番以降でございますが、こうした働き方、いわゆる障害者雇用については、それぞれ質の向上、量的な改善というものが求められているわけでございますが、我々自身を含めて、みずからの仕事と例えば育児であったりとか、家事であったりとか、あるいは介護、病気の治療等で、それぞれお互いの事情を配慮した上で働くことも求められているという中においては、全ての人にとっての働く環境を整備していくという観点からも、障害者雇用の環境面を整備していくことが必要なのではないかということで、最後、示させていただいてございます。
急ぎで申しわけございませんが、事務局からの説明は以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました素案について、皆様から御意見を頂戴したいと思います。事前に工藤委員からは報告書(素案)に対するコメントということで、委員の皆様のお手元には配付されていると思いますが、これも含めて御発言を工藤委員にはお願いしたいと思います。
項目を分けて意見交換を行いたいと思いますが、まず初めに1段落目から21段落目、つまり「Ⅰ はじめに」から、Ⅲの「1.障害者の雇用の質について」まで、御意見がありましたら、御発言をいただきたいと思います。
なお、毎回お願いしていることではございますが、必ず挙手をしていただき、お名前を名乗ってから御発言いただければと思います。それでは、どなたでも結構ですので、よろしくお願いします。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤です。
今、座長から御説明があったように、この全体の素案の最初に送ってきた、それに基づいて、大きな意見ではないのですけれども、読みながらこの辺に加筆したらいいのではないかということはメモとしてほかの委員の方にも配らせていただきました。
その中で、まずⅠとⅡのところで、これはそこに入るのがふさわしいかどうかわからないのですけれども、全体的なところで、障害者の雇用は非常に進んでいるということですね。それから、いろいろな働き方においても選択できるようになってきているということであるとか、各種の支援制度も全体としては非常にメニューもふえて拡大していると。そういう前書きのところと現状があるのですが、確かに一般的にはそういうことなのですけれども、視覚障害者に限ってみると、むしろ雇用は平成19年度からのハローワークの就職状況を見ても減っているのですね。非常に厳しい実態がありますということです。
いろいろな制度は充実しているのですけれども、ジョブコーチにしろ、職業訓練にしても、非常に障害がマイナーであるということゆえだと思うのですが、そういう恩恵が受けられないという、ある意味では取り残されているような実態があるということ、これは日盲連として繰り返し述べてきたことなのですが、そういったことも少し補足していただければと思います。Ⅰのところでは3のところ、Ⅱのところでは9のところに、例えばというところでそのようなコメントを書かせていただきました。
とりあえずは以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
工藤委員に冒頭でお話しいただきましたとおり、障害者雇用が一定拡大しているとか、ただ、その一方で質の向上が望ましいとか、そういう文脈でこの部分は書かれていると思いますので、工藤委員から御提示されている加筆コメントの部分は、取り扱いについてまた事務局と相談させていただいて、場合によっては脚注とか、そういったところで取り上げさせていただければと思います。ありがとうございました。
○工藤委員 よろしくお願いします。
○阿部座長 その他、いかがでしょうか。
漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
質問と意見でございます。まず、質問のほうですけれども、これは最初の部分だけではなくて全体に言えるところなのかもしれないのですが、今後の検討が必要であるとか、議論をさらに深めるとか、そういった記載がこの中にもいろいろなところに出てきているのですが、「検討」または「議論」を今後どうしていくのかという記載が見当たらないのです。今後の検討ということが意味しているものが、労政審での議論なのか、あるいは先ほど工藤委員から配られてメモの中にあるように新たな検討会を立ち上げるのか、夏までにまとめられなかったものをこのまま継続して検討するのかというところについて、どのようになっているのかというところが質問でございます。
意見のほうですけれども、実は私は途中から委員になったということもあって、第1回には参加をしていなかったのですが、改めて第1回の資料の中で研究会の開催要綱というものを拝見すると、その中での主な検討事項が、「納付金制度のあり方」と「雇用率制度のあり方」、「その他」と3つ書かれていて、8回目ぐらいから「雇用の質」というところの議論になってきたのではないかと思います。もちろん、連合としても、雇用の量だけでなく質の向上を求めるということ自体は違和感もなく賛成なのですけれども、どうしてそうなったのかということがわかるような記載というか、どのような検討の結果で「雇用の質」が出てきたのかがわかるような文面にしていただくとありがたいなと思います。参集された委員が、貴重な意見を述べられていて、口頭で説明した中では説明のあった、こういう意見があってこうした記載なっていますというようなところが、報告書の記載の中にわかりやすく入っていると、とりわけ団体から出ている委員の場合は団体の意見もあるわけなので、ちゃんと発言してこうなっていますというのが説明できるような文章にしていただくとありがたいというところでございます。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、まず御質問がございますので、事務局からお願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局です。
お答えいたします。検討については、それぞれ当然障害者雇用分科会にいずれ報告をしていくということはあると思いますけれども、テーマごとにどういったレベルで検討いただくのがいいのかということについては、改めて座長とも御相談しながら決めていきたいと思っております。それぞれ全てをまとめて同じ場で議論するのか、物によっては改めて別の議論の場をつくるのかということも含めて、座長なり皆様とも改めて御相談しながら決めていきたいと思っております。
○阿部座長 また、漆原委員から御意見、御提案がございましたが、我々全体でこの研究会として議論したわけですので、特定の団体あるいは特定の個人の御意見としてまとめるということは、どういうことなのかなとは感じます。それでも、さらに必要であるという御意見がございましたら、また事務局と相談はさせていただきますけれども、現段階では特定の個人あるいは特定の団体の意見として、この研究会での報告書として取りまとめる意思は、私にはございません。
どうぞ。
○漆原委員 発言者や団体を明示して意見を書いてほしいということではなくて、検討会の中にこういう議論があった、こういう意見とそれに反する意見もあった、でも、こういう取りまとめになったという記載にしてほしいということです。この報告書案の中ではこういう背景でこうなったという記載はあるのですけれども、こういう意見を受けてこうなったという記載が少なかったものですから、別に委員の名前ですとか団体を明示していただきたいということではなくて、議論がこういう経過でこうなりましたというところがわかりやすく記載があればという意見でございました。
○阿部座長 検討させていただきますけれども、この報告書というのは取りまとめでございますので、議論の経過というのはこれまでも議事録等でも発信されているものと思いますので、そのあたりまで踏み込んで報告書の中で議論すべきかどうかというのは、検討させていただきます。
ほかにいかがでしょうか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
要望が1つあります。どこに入れ込むかは少し難しいかとは思うのですけれども、「Ⅰ はじめに」か、あるいはⅢの1の部分ですか。2ページとか6ページのあたりに、障害者雇用促進法のなかに、差別禁止や、合理的配慮の提供義務が規定された上で、さらに雇用の質をどのような形で検討していくべきかというようなことを書いていただけるとありがたいと思いました。雇用義務制度と差別禁止の両方で障害者雇用のあり方を検討していかなければならないという形が本来あるべき問題の姿なのかなと思いますが、この研究会では、差別禁止ですとか合理的配慮のことについては、議論はほとんどできませんでしたが、ただ、そういう背景はあるし、前提はあるよということを確認しておいていただきたいと思います。
○阿部座長 わかりました。それは検討させていただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次の段落が22段落目から52段落目ですね。Ⅲの「2.多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大」まで、御意見があれば御発言ください。
どうぞ。
○塩野委員 塩野です。
2点発言をさせていただきます。まず、週20時間未満の雇用についてですが、法定雇用率への累積カウントを求める声がある一方で、職業生活における自立促進の観点から見ると、安易な形で週20時間未満の雇用に誘導させるような懸念もあるかと思っています。また、企業現場からは、週の労働時間が短くなると、仕事の引き継ぎなど、労務管理上の対応が難しくなるといったような声も少なくありません。
そのような課題が多く指摘されている中で、精神障害者の短時間労働、週20時間から30時間未満については、政策の影響を検証するなどの理由から、時限的な取り扱いになっていることに比べると、今回の特例的な給付金の創設という方向性は、少し結論を急ぎ過ぎているかのように思います。働き方の選択肢拡大に向けた見直しは大変重要であるとは思いますけれども、研究会における議論がまだまだ深まっていない状況を踏まえると、今回の方向性というのは拙速であると言わざるを得ないと感じています。
2点目は、在宅就業障害者支援制度の拡充についてです。本制度の見直しを議論するに際して各論点が厚労省から提示されてはおりましたけれども、研究会として議論の一致というのは見られなかったのではないかと思っています。そのような状況で、このような方向性があたかも意見が一致しているかのような感じで記述されているように思え、違和感を覚えています。とりわけ施設外就労の拡大については、実際の障害者雇用につながる確証がいまだ得られていない段階で制度を拡充する必要があるのか。また、障害者雇用ゼロ企業にも利用機会を認めていくことについては、よいとは思っていません。
また、過去の利用実績を平均して、年間10件程度であるということを踏まえると、場合によっては制度の廃止を含めて再検討することも必要ではないかと考えています。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
御意見として賜りたいとは思いますが、研究会で出た意見、それに対する反対意見をフラットに書いているのではないかとは思っております。必ずしも研究会で全ての議論が集約されたとも理解しておりませんので、読んでいただければ反対意見も書いているとは考えております。
その上で、もし研究会全体で意見の一致を見ないものは全て削除すべきだという御意見であれば、それは全てに対して削除させていただきたいとは思いますが、そこまで強い御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
では、それがちゃんとフラットに書いていないという御意見があれば、ぜひまた御指摘いただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 これから話すこともこのコメントの中に書かれてあることなのですが、それを全部ではなくて何点か、Ⅲの質のところに関連することなのですが。
○阿部座長 それでは、まだ58段落まで行っていませんでしたので、ここからは53段落目から98段落目まで、工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 失礼いたしました。
この中に就労パスポートのことなども書かれていますけれども、これは私は非常にいいアイデアだと思っています。こういうことも、これから具体化するに当たっては労使、当事者、学識経験というところで、どういうものがいいのかということを具体的にぜひ詰めていければいいなと思っております。
そして、視覚障害者の特徴として、ほかの障害と違うところは、働き盛りのここでは中高年齢層の雇用の問題が質のところで結構出てくるのですが、視覚障害者に限ってはちょうど働き盛りの中高年のところで発症したりとか、そうすると、その段階でもう御本人もキャリアに対する創出だとか、できないと思ってしまうという特徴があるのです。そのための中途で障害になった人の継続雇用支援ということもこの質の中で、どこに入っているのでしょうけれども、改めてその辺を強くお願いしておきたいと思います。
それと、ジョブコーチ支援とか職業訓練ということがありますけれども、ジョブコーチ支援については、平成25年と26年に「地域の就労支援の在り方に関する研究会報告書」というところで視覚障害、聴覚障害、要するに感覚障害についてのジョブコーチ、専門にできる人が非常に少ないと。そのために養成、配置をすると書かれているのですが、確かにこの平成30年度からも前年度から量がふえた、それから、質的にも向上させるということなのですが、実態としては視覚障害のできるジョブコーチというのはほとんどいないに等しい、それは全然変わっていないということなのです。
なかぽつセンターについても、確かにそれが視覚障害者にも使えると非常にいいですけれども、実際はほとんど視覚障害者がそこに相談にも行っていないし、相談も受けているところがないと。そういう実態もあることを押さえてほしいと思うのです。
職業訓練についても、これは重要な、キャリア形成のためにも必要なことなのですけれども、それについても非常に数も少なく、地域的に偏在している。でも、それを受けることによってやめないで済むわけだし、それを考えたら、いかにして職業訓練を保障するかということも、これは日盲連がるる何度も述べてきていますので、そういう意見があったというか、そういうことが指摘されたということも触れておいていただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 みんなねっとの本條でございます。
20時間未満の短時間の雇用についてでありますが、この報告書(素案)は、非常にそれに推進すべき意見ということと慎重な意見が書いてあって、私は非常に公平に書かれてあるのではないかと、このように思っております。
ただ、それに関して、やはり短時間雇用、経済的なことだけで見るのではなく、雇用の質ということを考えてみますと、特に精神障害の場合は、長時間あるいは長期間安定的に働くということは、必ずしも御本人の希望あるいは障害特性に合っているかどうかという問題もあります。
もう一点は、雇用だけではなく、短時間であっても働くということが社会参加につながり、また、病気の再発を防ぎ、再入院を防ぐ、そういうメリットもあるわけでありますので、そういうところも少し書いていただいたらいいのではないかと思っております。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかにいかがですか。
それでは、99段落目から118段落目、「Ⅳ 中小企業における障害者雇用の推進」の部分で御意見があれば、御発言ください。
どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
確認も含めてなのですが、全体的にこれはよくフラットだということでまとまっていると私も思っています。ただ、中に1つ、2つ、うーんというところがございまして、まず一つは118段落で「なお、中小企業に対して障害者雇用調整金及び障害者雇用納付金の適用を拡大する際には、制度導入後の一定期間は、障害者雇用納付金の額を引き下げる等の猶予措置が必要ではないかという意見」ということで書いてあるのですが、これは一定期間というのは出ていたかなという感じがするのです。金額的に4万にするとか3万にするという話がちらっと出ていたような気はするのですが、この一定期間というのが出ていたのかどうかというのは私はちょっと確認したいのですが。
○阿部座長 お願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。
この場だけではなくて、それぞれ当然御説明している中でそういった御意見もあったので、そういったものも含めて書いているということではございますけれども、そういう意味で申し上げれば、一定期間そういったものが必要であるという御意見はあったかとは思っております。
○栗原委員 栗原です。
一定期間というと、それがひとり歩きしてしまうとどうなのかなという感じがしまして、ここに書かれていると、かなり重みを帯びるのではないかという気がしましたので。
○阿部座長 わかりました。それでは、その御意見があったということで、後でまた事務局と相談させていただきます。
ほかにいかがでしょうか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
今、栗原委員がおっしゃった一定期間というのは明示的には出なかったかもしれませんが、これまでの300人から200人とか、200人から100人と下がってきた中で、一定期間、猶予期間がありましたね。5年間だけ猶予期間があったという議論の延長としてこの話もしていたので、私の頭の中では当然一定期間だろうと想定していましたし、皆さんもそうだったのではないかと私は思いました。済みません。余計なことかもしれません。
もう一つ検討していただきたいと思うこととして、117あたりになるのかなと思いますが、今後50人規模以上に限定して適用拡大をしていくということになった場合、また、新たなラインができて、50人未満のところは納付金制度の適用対象にならないということになってくるかと思います。今度はその50人以下の事業主が、今もですけれども、報奨金の対象になっていく中で、その報奨金の支払い、支給の要件を何人にするのかということも新たに検討すべきであると。今みたいに7人以上雇用しないと出ないというのを、そのまま続けるかどうかを検討したほうがいいのではないかみたいなことを書いていただきたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○塩野委員 塩野です。
少しさかのぼっていただいて、88から98に関するところですが、障害者雇用に早くから積極的に取り組んできた企業、とりわけ大企業では高齢化への対応が喫緊の課題となっています。本研究会における議論の中でも、本来は重要な論点になるはずであったと思いますけれども、まだまだ十分な議論がなされなかったのではないかと思います。今後、審議会でも議論されるのであれば、高齢化の対応策として方向性が見出せるような、合意形成にも取り組んでいきたいと思っています。
私自身、これまでの研究会の中で3回同じ趣旨の発言をさせていただきました。本日は繰り返しになるので手短に申し上げたいと思います。高齢期を迎えて、障害者の安定的な雇用を目指すためには、企業に対して就業環境の整備を継続的に促していく必要があると思っています。例えば週30時間以上で働いている方が一定の勤続期間を超えた場合には、その雇用率のカウントを1.0ではなく1.5にするなど、見直しをするべきであると考えています。これは繰り返し申し上げたとおりです。論点として残すためにも、過去の発言の趣旨について記述していただきたいと思っています。
これまでの主張の背景にあるのは、あくまでも企業の中で現在働いている障害者の方々に、どのような取り組みがあれば引き続き働いていただけるのかということです。そういった意味では、23ページの92のところは、研究会で余りこういった発言はなかったかと思いますが、求職中の障害者の方の視点というのは、議論のすりかえのように思えて違和感を覚えているところです。
以上です。
○阿部座長 わかりました。
そうすると、発言の趣旨としては、高齢者の雇用という文言を加えていくということなのでしょうか。
○塩野委員 そうです。高齢者について、例えば雇用率のカウントのところも少し触れてはいただいているのですが、あまり具体的ではないので、もう少し具体的に記載をしていただきたいということです。
○阿部座長 わかりました。では、事務局と相談させていただきたいと思います。
後段のほうですけれども、多分、ここに書いてあるのは先ほど栗原委員がおっしゃったように、いろいろな場面で出てきた意見を事務局が取りまとめたと私も理解しているところです。ただ、これも事務局と相談させていただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、118段落目まで特になければ、119段落目から146段落目、「Ⅴ 障害者が長く安心して安定的に働き続けられる環境整備に繋げる制度の在り方」の部分で、御意見があれば御発言ください。
どうぞ。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤です。
除外率のことですが、先ほど事務局からも説明があったのですけれども、表現が実際に議論されていたよりもかなり弱いような感じで、日盲連は、廃止は決まっていることであるということで、廃止の方向に向けて進むべきだと主張をさせていただきました。現に企業の間でも不公平感があるのではないかという話も聞こえてくるのです。
それから、これは事務局から説明があったように、産業構造も変化して、今までは考えられないような働く場も、例えば運輸・通信のところで、農業のほうとか、レストランとか、そういうところと連携した形での企業経営をする中でいろいろな障害者が働ける状況にある。そういうことも考えると、廃止することで雇用率は実質上がるわけですから、雇用は確実にふえていくし、障害者にとってもこれは非常に、むしろ廃止を早くするということを目標というか、スケジュール感をここに出していただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
よろしければ、147段落目以降「Ⅵ おわりに」の部分でございます。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大の長谷川です。
戻って大丈夫ですか。
○阿部座長 どうぞ。
○長谷川委員 142番と143番のところで質問があるのですけれども、142番で実雇用率が特に低い場合ですとか障害者数の不足分が多い場合には納付金の額を引き上げるべきとの意見も示されたということは、確かに実雇用率で言ってしまうと障害者雇用がゼロだというと実雇用率ゼロなので上がりようがないですし、多分私もこのような意見を言ったと思います。ただ、その際、想定していたのは、ある程度大きい企業だけれども、例えば10人ぐらい障害者を雇わなければいけないのだけれども、1人、2人しか雇っていないというような、不適切な言葉かもしれませんけれども、やる気のないというか、不誠実な企業に対してはこういう対応をしていく可能性もあるのではないかという話をしたつもりです。それがゼロ企業の話に143番はなってしまって、そのゼロ企業というのは中小企業が多いので、中小企業に負担をふやしていくのは慎重な検討が必要であると書いてくださっているのですけれども、必ずしもゼロ企業を想定していた意見ではなかったのではないかと。どうしてこのようなまとめ方になっているのかなという質問です。趣旨はわかりましたか。
○阿部座長 わかります。
○長谷川委員 質問になっているかどうかわかりませんが。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局です。
趣旨はわかりました。ただ、これまで御議論いただいていた中で、一定の企業で障害者雇用者数が、低いときみたいな、そういう場合分けまでされて議論されていたという認識にこちらがなっていなかったというのもあるので、そういう意味で、特に議論が出てきたのがゼロ企業であったりとか、あるいは少なくとも大企業か中小企業かというような分け方などが必ずしもあったというのが何となく認識になかったというのがありますので、必要であればそこは座長と御相談しながらということで考えたいと思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○阿部座長 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤です。
148番のところに、今までも公務員の問題ですね。自治体労働者であるとか公務部門のこと、これが雇用促進制度の議論となってくると、どうしても民間企業中心の議論がいつもされていて、公務員も同様に雇用されて働くということでは、民間企業であろうと公務労働者であろうと、働く者の立場から考えると必要な合理的配慮は受けられるわけですね。実際に拡大読書器であるとか、音声パソコンであるとか、そういうものを導入してほしいと言っても導入してもらえないということであるとか、在職者訓練であるとかジョブコーチであるとか、民間企業であれば使える制度というものが、ほとんど使えない。そういう意味では、公務部門の問題も、この研究会は議論する場ではない、公務員制度のことだからとか、そういうこともありましたけれども、問題提起があったということは、このその他のところで。
自営業者の問題についても、働き方ということで考えると、特に視覚障害者にとってはあん摩、はり・きゅうという伝統的なというか、昔から培ってきた職業に実質的に今でも依存しているのですね。それが今の社会情勢の中で非常に厳しくなってきていて、何かの支援策が確実に求められているのです。これも自営業者だからとか雇用でないからということで、本当に生業を維持できなくなっていくようなことになっていけないと思いますので、自営業者の働き方のあり方についてもどこかで検討していく。そういう意見もあったということを、ぜひここで残しておいていただければと思います。
Ⅲのところの追加になりますけれども、96のところに、職業訓練を受けやすくするためにも、例えばリハビリテーション休暇であるとか研修制度、それも合理的配慮としても位置づけられるのではないかと。ですから、リハビリテーション休暇、研修制度の創設というか、そういうことは合理的配慮として検討していいのではないかと。これも日盲連の第3回目のときの意見書というか、その中にはこの言葉がしっかり盛り込んであります。
98のところ、これは助成金についてなのですけれども、納付金に基づく助成金ですね。助成金をより使いやすく本当に役立つようにするためには、今、機構本部のほうで要領をつくったりとか、知らない間に内容が変わっていたりするのです。そういうことのないようにするためにも、これは労使、当事者、あとは学識経験者ですね。そういうところで、実際どういうものが就労支援の機器とか、または就労支援策として助成金を活用するのにどのようなものが望まれているのかとか、そういうことを検討する必要があるのではないかということ。これも前回も発言しておりますので、98のところに書き込んでいただければと思います。
例えば、かつては納付金に基づく助成金ですね。一時76億円ぐらいあったのが、98年度実績だと12億しかないのです。それでいながら、視覚障害者の一番ポピュラーな拡大読書器であるとか職場介助者、そういう実績をつい先日、障対課を通じて機構本部に問い合わせたところ、トータルでそれぞれ数百万、1,000万ぐらいなのです。そういう中にありながら、拡大読書器だとか音声パソコンは6カ月という条件があって、申し込んだけれども、断られたという実態もありますので、本当に使いやすいものを助成金にするために、この研究会とは別に、今、言ったような検討の場をつくるのが必要ではないかということを指摘しておきたいと思います。
それともう一つ、前回13回のときに私は述べましたけれども、今回の意見書のメモの中に入っていませんが、ハローワークの機能強化ということなのですね。新規の就職だけではなくて、在職障害者の雇用継続支援ということもハローワークの重要な仕事だと思うのです。視覚障害者にこだわりますけれども、職業訓練する場所は非常に少ないと。でも、新規で就職する場合には雇用保険法で受講指示ということで、遠くにも出かけられるですが、在職の場合にはそれがないので、雇用対策法の中に、在職者でもハローワークの所長が受講指示ということで、広域的な求職活動、それに類するような受講指示ということをしてもらえると、遠方の人でも、吉備高原であるとか国立の所沢の職業リハビリテーションセンター、そういうところに出てきて訓練が受けられると。訓練を保障するためにも、雇用対策法の中で、在職者に対する広域的な支援ということも今後検討してほしいと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。特に最後のほうで。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 みんなねっとの本條でございます。
「Ⅵ おわりに」の150番ですね。これは非常にいいことが書いてあって、賛成なのですけれども、特に3行目「お互いの『できること』『得意なこと』に目を向け」と。ここは非常に重要であります。屋上屋を架すことになるかと思いますけれども、「できないことに注目するのではなく」という文言を入れていただいて、全ての働きたいという意思のある人は、障害があってもなくても働けるような社会をつくっていくということが大事でありますので、ここのところをもう少し強調して書いていただきたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
内容は違うかもしれないのですが、金額は別にして、50人以上に対して納付金を払うという話で、今、進んでいますね。法定雇用率が当然上がれば、今、45人に1人ですか。それが当然のことながら下がってくるわけですね。納付金の義務については、できれば50人どめに中小企業としてはしたいなと。それ以下になりますと、金額の多寡は別にして非常にきついような状況になってくるのではないかと。ですから、法定雇用率が下がるのは結構ですが、納付金と人数は、この50人でできればとめていただければなというのが、中小企業の方々の多くの方の声ですね。そういうことがありますので、今、ここで発言をさせていただきました。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがですか。
塩野委員、どうぞ。
○塩野委員 塩野です。
納付金、調整金に戻ってしまいますが、これまで納付金について、法定雇用率達成に近づいている場合には減額し、一方で雇用ゼロという場合など一定の場合は増額するという発言をさせていただきました。これは実雇用率に応じて納付金を変動させることによって、障害者雇用を一層促進していく必要があるのではないかという趣旨で申し上げたのです。今回の報告書には、雇用ゼロの場合は記載をいただいているのですが、法定雇用率達成に近づいている場合は減額することについては一切記載がされていません。できればこういったところもあわせて記載をお願いしたいと思います。
また、A型事業所については、一般就労と相当程度乖離している実態を踏まえると、制度として納付金、調整金、報奨金は対象外とすべきだと思っています。ここについても記載はしていただいておりますけれども、もう少し明確に記載をしていただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
129段落目のところで、A型事業所を法定雇用率の計算をする際にどうするかということが書いてあるのですが、この研究会における議論ではいろいろな意見があったかとは思いますが、この129の2段落目で書いてあるように、前述のような方法で決定していく、激変緩和措置等をとりつつやる場合には、参考のデータとしてA型事業所の利用者数を控除した結果についても考慮しつつ議論していくことも考えられるという意見というよりも、むしろそもそも法定雇用率の計算式にA型の利用者を入れないというような意見も出ていたかと思うので、どちらの方法がよいという主張ではないですが、そもそも入れない計算式にという意見も出ていたと思うので、その点も書き込んでいただいたほうがいいのかなという気がします。ほかの委員の方がそうではなかったとおっしゃるのであれば、そのようには思わないのですけれども、たしかそうだったのではないかと思ったので、どうでしたか。
○阿部座長 わかりました。
私も理解できていないところもあるのですけれども、その下の「その場合」以下の部分ではそれは読めないですか。それでもだめだということならば、検討させていただきます。
そのほか、いかがでしょうか。
それでは、最後のところの37ページの「Ⅵ おわりに」の部分で書くのがいいのか、私もまだ整理がついていないのですが、冒頭に漆原委員から今後議論していくべき場所というのをもう少し明示的に書いたらどうかと。審議会なのか、また別途の検討会なのか、あるいはさらにこういった検討会でやるのかというようなこともあったと思いますので、それが少し書けるようなところがあれば、どこかで書いたほうがいいかなという気もしました。確かに今後の議論となると、どこでやるのだというのは気になるところかとも思いますので、そこは書いておいてもいいかなとは思いました。それが今後の課題になるのかもしれません。
それから、漆原委員から、論点が第1回の検討会から少し変わったのではないかという御発言もありましたので、多分、私も雇用の質というのを途中から結構うるさく言うようになったので、そのあたりも少し書ければ書いてみたいとは思います。
その他、御意見がなければ、本日いただいた意見をまた私と事務局で御相談させていただきながら、必要な修正をしていきたいと思います。その修正が終わった段階で、次回、報告書の取りまとめを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次回の日程等について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。
次回第15回ですが、来週金曜日の27日、同じ時間、10時から開催予定でございます。場所は20階です。また改めて委員の皆様には御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
○阿部座長 では、ありがとうございました。